インサートモールド部品
【課題】
樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止できるインサートモールド部品を提供することにある。
【解決手段】
2つのインサート部材4A,4Bの一部が外部に露出して、2つのインサート部材の中央にたすき状に樹脂2aaを橋渡して、周囲の樹脂と一体的に連結し、インサート部材4A,4Bを保持固定する。モールド成形する金型の開閉方向の面Xに対して垂直な面Yであって、インサート部材4A,4Bの間の延長方向のインサート部材の側面の位置Gに、樹脂を鋭角に充填するトンネルゲート8bを設け、このトンネルゲートから樹脂を充填して、たすき状の樹脂2aaを形成し、インサート部材4A,4Bを保持固定する。インサートモールド部品2は、トンネルゲート8bから充填された後、スプールランナーの切り離し時の楕円形状のゲート痕8bbを有する。
樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止できるインサートモールド部品を提供することにある。
【解決手段】
2つのインサート部材4A,4Bの一部が外部に露出して、2つのインサート部材の中央にたすき状に樹脂2aaを橋渡して、周囲の樹脂と一体的に連結し、インサート部材4A,4Bを保持固定する。モールド成形する金型の開閉方向の面Xに対して垂直な面Yであって、インサート部材4A,4Bの間の延長方向のインサート部材の側面の位置Gに、樹脂を鋭角に充填するトンネルゲート8bを設け、このトンネルゲートから樹脂を充填して、たすき状の樹脂2aaを形成し、インサート部材4A,4Bを保持固定する。インサートモールド部品2は、トンネルゲート8bから充填された後、スプールランナーの切り離し時の楕円形状のゲート痕8bbを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート部材をインサートしたインサートモールド部品に係り、特に、複数のインサート部材間にたすき状に樹脂を橋渡す場合に好適なインサートモールド部品に関する。
【背景技術】
【0002】
インサートモールド部品のインサート部材には、いろいろな材料及び形状の部材をインサートされているが、インサート部材と樹脂との線膨張係数の差からインサート部材を保持している樹脂部位には、クラックが発生しやすいという問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特開平5−124058号公報に記載のように、樹脂内にガスを注入し、インサート部材の周囲に空間部を形成するものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−124058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平5−124058号公報に記載のように、樹脂内にガスを注入し、インサート部材の周囲に空間部を形成させるものでは、空間の大きさや位置は樹脂の粘度に左右され、安定した空間部を所定の位置に設けることが難しいものである。空間部の位置が適切でないと、インサート部材と樹脂の間にガタやズレが生じるため、位置精度を必要とするインサートモールド部品には適用できないものであった。また、特開平5−124058号公報に記載のものでは、インサート部材の周囲にウェルドが発生しやすいという問題もある。ウェルドが発生すると、樹脂の母材強度が低下するものである。
【0006】
本発明の目的は、樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止できるインサートモールド部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも2つのインサート部材の一部が外部に露出して、前記2つのインサート部材の中央にたすき状に樹脂を橋渡して、周囲の樹脂と一体的に連結し、インサート部材を保持固定したインサートモールド部品において、前記インサートモールド部品をモールド成形する金型の開閉方向の面に対して垂直な面であって、前記2つのインサート部材の間の延長方向の前記インサート部材の側面の位置に、樹脂を鋭角に充填するトンネルゲートを設け、このトンネルゲートから樹脂を充填して、前記たすき状の樹脂を形成し、前記インサート部材を保持固定したものである。
かかる構成により、樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止し得るものとなる。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記インサートモールド部品は、前記トンネルゲートから充填された後、スプールランナーの切り離し時の楕円形状のゲート痕を有するものである。
【0009】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記樹脂は、ガラス繊維のフィラ−を充填した熱可塑性からなる樹脂である。
【0010】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の開閉によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されるものである。
【0011】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の製品突き出し動作によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されるものである。
【0012】
(6)上記(1)のインサートモールド部品に電子部品を搭載して、前記インサートモールド部品をインサート部材として、樹脂で一体にモールドしたものである。
【0013】
(7)上記(6)の複合一体成形品に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うものである。
【0014】
(8)上記(7)において、好ましくは、前記電子装置は、非接触式の変位センサである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止できるインサートモールド部品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図22を用いて、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の構成及び製造方法について説明する。
【0017】
最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品の全体構成について説明する。なお、以下の例では、インサートモールド部品として、非接触式の変位センサ,より具体的には、電子制御スロットル装置において、スロットルバルブの角度をホール素子により検出するスロットル角センサを例にして説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す斜視図である。なお、図1は、図2のA−A断面を示している。但し、A−Aの断面位置は、図2のインサート部材4A,4Bの中央位置ではなく、一部インサート部材4Bが断面形状に現れる位置である。
【0018】
図1に示すインサート部材付きインサートモールド部品2は、予め樹脂2aの中に金属性からなるインサート部材4と、電気的接続を行うため複数本の電気的接続用端子3をインサートし、成形される。インサート成形後、インサートモールド部品2に、電子部品5A,5Bを搭載し、接続用端子3に、電子部品5A,5Bのリード線5aが接続される。その後、樹脂1a中にインサート物として、インサートモールド部品2および、本体取付け用のブッシュ6をそれぞれインサートして成形し、点線で示す複合一体成形品1が得られる。
【0019】
ここで、インサートモールド部品2がスロットル角センサの場合、電子部品5A,5Bは、2個のホール素子からなる。インサート部材4は、図2に示すように、2個のインサート部材4A,4Bからなり、ホール素子5A,5Bの上部に配置される磁性材料のカバーである。スロットル弁の軸端部には永久磁石が固定され、スロットル弁の回動に応じて、永久磁石が回動することで生じる磁束の変化が、ホール素子5A,5Bによって検出され、スロットル弁の開度を検出することができる。
【0020】
インサート部材4A,4Bは、樹脂2aによって互いに絶縁されると共に、樹脂2aによってホール素子5A,5Bを覆う所定の位置に位置決め固定される。図2に示すように、インサート部材4A,4Bの一部は、露出している。
【0021】
なお、図1及び図2において、符号8bbは、トンネルゲートから樹脂をモールド成形し、スプールランナーを切り離した後のゲート痕8bbを示しているが、この点については後述する。
【0022】
次に、図3〜図6を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品の要部構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す拡大斜視図である。図4は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す平面図であり、図3のP矢視図である。図5は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す正面図であり、図3のQ矢視図である。図6は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す断面図であり、図3のB−B断面を示している。なお、図3〜図6において、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0023】
インサート部材4A,4Bの中央部には、インサート部材4A,4Bを保持固定するために、たすき状の樹脂部材2aaを形成している。たすき状の樹脂部材2aaは、2つのインサート部材4A,4Bの中央に、たすき状に橋渡される。たすき状の樹脂部材2aaは、他の樹脂部材2aと同時に充填したため、途中途切れることなく一体的に連結している。尚、インサート部材4A,4Bと樹脂部材2aaの接触面及びに他の樹脂部材2aとの接触面以外は、図3〜図6に示す如く、外部に露出している。更に、図6に示すように、後から搭載する電子部材5A,5Bの空間2bを有した形状で構成している。
【0024】
ここで、樹脂部材2aとしては、ガラス繊維30%充填したPBT樹脂を用いているが、樹脂部材2aの材質は、PBT樹脂に限定されるものではなく、他の熱可塑性樹脂やこれらの樹脂に無機材料のガラス繊維、有機材料の炭素繊維等を充填した樹脂を用いることができる。
【0025】
次に、図7及び図8を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。図8は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。なお、図7及び図8において、図1〜図6と同一符号は、同一部分を示している。
【0026】
図7に示すように、上金型10aaと、下金型10bbとの間に形成されるキャビティ内の所定の位置に、インサート部材4A,4B及び接続用端子3が位置決めされる。上金型10aaには、トンネルゲート8bが形成されている。
【0027】
トンネルゲート8bが形成される位置は、図8に示すように、モールド成形する金型10aa,10bbの開閉方向の面Xに垂直な面Yであって、2つのインサート部材4A,4Bの間の延長方向のモールド部品4A,4Bの側面の位置Gである。しかも、トンネルゲート8bは、たすき状樹脂部材2aaを形成するために、2つのインサート部材4A,4Bの間に樹脂を充填する方向であって、しかも、図8において、角度θが90°未満の鋭角となるように設けられる。さらに、トンネルゲート8bは、円錐形状をしている。
【0028】
図7に示すように、トンネルゲート8bから樹脂を充填することで、インサート部材4A,4Bの一部が外部に露出して、前記インサート部材4A,4Bの中央へたすき状に形成する樹脂部材2aaが橋渡され、周囲の樹脂部材2aと一体的に連結して、インサート部材4A,4Bを保持固定するインサートモールド部品2が成形される。
【0029】
次に、図9〜図16用いて、本実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れについて説明する。なお、ここでは、金型の図示は省略している。
図9〜図11は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。図12は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形後のモールド部品の要部斜視図である。図13は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの拡大説明図である。図14は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のモールドフロー図である。図15は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。図16は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の型離し時の説明図である。
【0030】
最初に、金属性からなるインサート部材4A,4Bを下金型10bbのキャビティの所定位置にセットし、上金型10aaと型閉めした後、鋭角に充填する円錐状のトンネルゲート8bから、図9に示すように、溶融樹脂2aをキャビティ内部に流し込む。
【0031】
このとき、トンネルゲート8bは、前述の面Yに対して鋭角に設けられているため、図13に示すように、流し込む樹脂2aに方向性が持たせられる。すなわち、矢印2ab1の方向が、矢印2ab2の方向よりも流動抵抗が小さいため、樹脂2aはキャビティ内部に入り込んでから流動抵抗の小さい方向(矢印2ab1の方向)へと多く流れる。逆方向へは少なくなる。
【0032】
ここで、図14を用いて、そのときの樹脂2aの流れを示すモールドフロー2ab1について説明する。
【0033】
樹脂部材2aa2を形成する部位へ入り込んだ初期の樹脂2aは、トンネルゲート8bを中心に楕円状に広がる。ここで流れの拡大は、流動抵抗の小さい所を中心に広がるため、充填した樹脂2aは、全体的に流れの拡大方向に中心8bbbがシフトしながら広がる。この拡大が順次連続的に行われる。結果、樹脂2aのモールドフロー2ab1はゲート8bから放射状に張り出してから、流線状に流動抵抗の小さい方向へ徐々に向きを変えながら広がる傾向となる。
【0034】
この時、樹脂内部のガラス繊維2acにおいても、流れの方向に配向しやすい特徴があるため、図15に示すように、モールドフロー2ab1と同気した配向となる。
【0035】
その後、流動抵抗の小さい方向の充填樹脂2aは、充填速度が速くなるため、図10に示すように樹脂部材2aa1となる空間を流れ、続けてゲート8bと対面側である樹脂部材2aa2となる空間へと流れ込む。
【0036】
一方、流動抵抗の大きい側の樹脂2aは、充填速度は遅いまま徐々に広がり、ゲート8bと接する樹脂部材2aa2となる空間を充満する。たすき状の樹脂部材2aaを充満した溶融樹脂は、図11に示すように、他の樹脂部位を形成する空間へと流れ、後にキャビティ内部を充満し、充填が完了する。
【0037】
次に、トンネルゲート8bにより充填が完了したインサートモールド部品2は、金型から取り出すために、金型10aaと金型10bbは、図8に示すように、型開閉する。この開閉動作と連動して、トンネルゲート8bを形成する部位の金型10aaは、図16のようにトンネルゲート8bの内部に形成されるスプールランナー8bcは、これと繋がっている樹脂部材2aa2の面において、スプルランナー8bcを徐々に弾性変形させながら同時に、鋭角な形状を持つトンネルゲート8bの部位によりスプルランナー8bcを樹脂部材2aa2から金型10aaの開閉方向に切り離す。切り離したスプルランナー8bcは破線で示す位置8bc’に弾性変形後、再度切り離し前の位置に戻り停滞するがインサートモールド部品2の突き出しと同時に、金型の外へ排出される。
【0038】
このようなゲート8bと樹脂2aの切り離しによれば、切り離し後のゲート痕8bbは、樹脂部材2aa2面より外側方向へ凸状に突起が発生することがない。よって、樹脂部材2aa2面と同一な平面を確保することができる。これにより、ピンゲートのようなゲートでは、切り離された後の成形樹脂面からゲート残りが凸状に突起する問題が回避される。またゲート切り離しが、トンネルゲート8b部位の鋭角な形状によりナイフ状に切り離されるため、樹脂部材2aa2に加わる負荷も小さくできる効果がある。更には、ピンゲート方式では限界とされる薄肉成形を図ることが可能となる。なお、面Yに対して鋭角なトンネルゲートを用いているため、ゲート痕8bbは、図14に示すように楕円形状となる。
【0039】
以上の工程により、図12に示すようなインサートモールド部品2が成形される。
【0040】
ここで、図17〜図20を用いて、従来の方法と、そのときウェルドが発生する理由について簡単に説明する。
図17及び図18は、従来の方法におけるモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。図19は、従来の方法におけるモールド成形時のモールドフロー図である。図20は、従来の方法におけるモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。
【0041】
従来の方法では、サイドゲートは、図8に矢印Pで示す方向に設けられている。すなわち、上金型と下金型の開閉面Xの上であって、面Xに平行な方向に設けられている。すなわち、面Yに対して直角方向となっている。
【0042】
従来の方法では、キャビティ内部に流れ込む溶融樹脂2aの流れは、図17及び図18に示すように、サイドゲート8aの近いところから流動抵抗の少ないところへと先に流れ込む。したがって、溶融樹脂2aの流れは、始めに流動抵抗の最も少ない部位2ab1へ流れ込み、次に、部位2ab2から部位2ab3へと順次流れ込む。そのためインサート部材4A,4Bを保持固定するインサート部材4A,4Bの中央部に形成するたすき状の樹脂部材2aaは、他の部分より充填遅れが生じる。溶融樹脂2ab3は、樹脂部2ab2とたすき状の樹脂部材2aaを連結している両側より充填する。結果互いの溶融樹脂2ab3は、たすき状の樹脂部材2aaの途中で合流し、合流した溶融樹脂2ab3においては最終充填部位となり、他の部位へ流動することなく、冷却固化した後にウエルド9となって介在する。ここで、予め樹脂の補強材として充填しているガラス繊維においては、合流後の流動がないウエルド9では特に、ガラス繊維が互いに絡むことがない。よって補強の効果は少なく、樹脂母材強度の低下部位となる。
【0043】
インサートモールド部品の樹脂2aには、インサート部材4A,4Bとの線膨張係数の差を有しているためインサート部材を保持固定しているたすき状の樹脂部材2aaは、成形後の繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下で線膨張係数の大きい樹脂2aaは、低線膨張係数の金属性からなるインサート部材4A,4Bに収縮を阻害され、樹脂2aaの内部に応力が繰り返し生じる。この繰り返し発生する応力に耐えきれず樹脂2aaには、クラックが発生しやすくなる。特に樹脂の母材強度の低いウエルド9では、クラック発生を回避することは難しいものである。
【0044】
従来のピンゲート方式では、ゲートは充填面の法線に対して、垂直に設置することになるため、充填する樹脂の流動抵抗はゲート中心に全周等しくなる。その時の樹脂2aの流れを示すモールドフロー2abは、図19に示すようになる。すなわち、樹脂2aは、ゲート8cを中心として、放射状に広がる。拡大方向の中心は、シフトすることなくゲート8c中心のままとなる。その結果、樹脂内部のガラス繊維2acにおいても、流れの方向に配向しやすい特徴があるため、図20に示すようにモールドフロー2ab2と同気した配向となる。
【0045】
ここで、本実施形態による図15と、従来の方法による図20とを比較して説明する。本実施形態では、図15に示す部位2abにおけるガラス繊維2acの配向は、平行な向きのガラス繊維2acと左右どちらかに傾きを持つガラス繊維2acとが共存する。一方、従来の方法では、図20に示す部位2adにおけるガラス繊維2ac配向は、ほぼ全体的に平行な向きのガラス繊維2acとなる。
【0046】
ここで本来、補強材として充填されたガラス繊維2acは、樹脂の補強を目的として充填されているが、樹脂の樹脂収縮を阻害して、できるだけ線膨張を低下させ、金属性のインサート部材などの線膨張係数に近づける役割も有している。よって、樹脂2aの補強材として充填されたガラス繊維2acの向きが、樹脂2aとインサート部材から発生する樹脂への拘束力Nの方向と同一方向に配列すると、Nの方向への樹脂収縮はガラス繊維2acにより収縮が阻害され最小となる。逆に、拘束力Nの方向と直角に配列するとNの方向に対するガラス繊維2acでの収縮阻害は最小になるため、Nの方向への樹脂収縮は最大となる。このことから拘束力Nの方向と直角にガラス繊維2acが配列すると温度変化時の樹脂収縮により発生する内部応力は最大となる。よって、低温環境下におけるインサート部材と樹脂2aの線膨張係数差から生じる樹脂2aaの内部応力に対する、耐力は最も厳しくなり、時にはクラック発生に到ることもある。
【0047】
これにより、ゲートを中心とした樹脂の流動方向に対抗する部位2adのガラス繊維2ac配向において、図20に示すように、全体的に平行な向きのガラス繊維2acとなる従来方式よりも、図15に示したように、平行な向きのガラス繊維2acと左右どちらかに傾きを持つガラス繊維2acとが共存する本実施形態のトンネルゲートの方が樹脂の収縮に対する阻害効果で優位となる。これによりゲート周囲における樹脂収縮の抑制が改善される。結果として、成形後の繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下におけるインサート部材4A,4Bと樹脂2aの線膨張係数差から生じる、樹脂2aaの内部応力の軽減が図れ、クラック発生の抑制を可能とする効果が望める。
【0048】
次に、図21及び図22を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成について説明する。
図21は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す断面図である。図22は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す斜視図である。図21は、図22のC−C断面を示している。なお、図21,図22において、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0049】
インサート部材付きインサートモールド部品2は、予め樹脂2aの中に金属性からなるインサート部材4と、電気的接続を行うため複数本の電気的接続用端子3をインサートし、成形される。インサート成形後、インサートモールド部品2に、電子部品5A,5Bを搭載し、接続用端子3に、電子部品5のリード線5aが接続される。その後、樹脂1a中にインサート物として、インサートモールド部品2および、本体取付け用のブッシュ6をそれぞれインサートして成形し、点線で示す複合一体成形品本体1が得られる。複合一体成形品本体1は、非接触式の変位センサなどの電子装置である。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、製作されたインサートモールド部品2は、インサート部材4A,4Bと同等な線膨張係数を持つ高コストの樹脂材を用いなくても、インサート部材4A,4Bを保持している樹脂部材2aaの著しい強度低下の発生防止、並びに低温度時に発生する内部応力の軽減が図れ、成形後に繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下で前記樹脂部材2aaの破損を防止し、高信頼性のインサート部材付きモールド部品を確保できる。
【0051】
また、本実施形態によるインサートモールド部品を用いることで、インサート部材周囲がクラックにより発生するがたつきが生じない位置精度を可能とする複合一体成形品を得ることできる。
【0052】
また、本実施形態の複合一体成形品によれば、モールド上もしくはモールド内部に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うことにより電子装置用モールド部品を得ることができる。
【0053】
次に、図23及び図24を用いて、本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品の製造方法について説明する。
【0054】
図23は、本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。図24は、本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。なお、図23及び図24において、図1〜図6と同一符号は、同一部分を示している。
【0055】
本実施形態では、前述の第1の実施形態のインサート部材付きモールド部品2aに対して、インサート部材4A,4Bの金型へインサートする方向が上下逆向きなキャビティを金型へ掘り込み構成している。
【0056】
すなわち、下金型10bbbには、トンネルゲート8bが形成されている。トンネルゲート8bが形成される位置は、図24に示すように、モールド成形する金型10aa,10bbの開閉方向の面Xに垂直な面Yであって、モールド部品4A,4Bの側面の位置Gである。しかも、トンネルゲート8bは、樹脂を鋭角に充填する方向に設けられる。さらに、トンネルゲート8bは、円錐形状をしている。
【0057】
つまり第1の実施形態の金型に対して、上型のキャビティを同じ大きさ、形状、及び配置で下型に掘り込み、上型へは下型のキャビティを同じ大きさ、形状、及び配置で掘り込み、金型の開閉面で対称に設置している。
【0058】
樹脂2aは、キャビティ内部に入り込んでから流動抵抗の小さい方向へと多く流れる。逆方向へは少なくなる。その後、流動抵抗の小さい方向の充填樹脂2aは、充填速度が速くなるため、樹脂部材2aa1となる空間を流れ、続けてゲート8bと対面側である樹脂部材2aa2となる空間へと流れ込む。一方、流動抵抗の大きい側の樹脂2aは、充填速度は遅いまま徐々に広がり、ゲート8bと接する樹脂部材2aa2となる空間を充満する。たすき状の樹脂部材2aaを充満した溶融樹脂は、他の樹脂部位を形成する空間へと流れ、後にキャビティ内部を充満し、充填が完了する。よって、本発明によるところの樹脂の流れとガラス繊維の配向においても、第1実施例と同様に作用し、樹脂の収縮に対する阻害効果で優位となる。これによりゲート周囲における樹脂収縮の抑制が改善され、成形後の繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下におけるインサート部材4A,4Bと樹脂2aの線膨張係数差から生じる、樹脂2aaの内部応力の軽減が図れ、クラック発生の抑制を可能とする効果が望める。
【0059】
本実施形態の特徴は、ゲート8bの切り離しを図24に示すように、金型の開閉動作ではなく、製品の突き出し動作と連動して、スプルランナー全体が金型から突き出し方向に離型しながら鋭角な形状を持つトンネルゲート8b部位によりゲート8bを樹脂部材2aa2から金型10aaaの開閉方向に切り離す。切り離したスプルランナーにおいては、インサートモールド部品2の突き出しと同時に、金型の外へ排出される。
【0060】
本実施形態によれば、ゲート切り離しが、トンネルゲート8b部位の鋭角な形状によりナイフ状に切り離されるため、樹脂部材2aa2に加わる負荷も小さくできる効果があり、切り離し後のゲート8b跡は、樹脂部材2aa2面より外側方向へ凸状に突起が発生することがない。更にゲート8b全体が金型から離型しながら切り離しが行われるため、スプルランナー全体が金型10aaaに拘束されなくなる。よってスプルランナー8bcの弾性変形8bc’に伴う変形をスプルランナー全体で撓むことが可能になるため、局部的な応力を緩和することができる。スプルランナー8bcの弾性変形8bc’によるランナーの破損防止に対して、優位となる。
【0061】
本実施形態によっても、製作されたインサートモールド部品は、インサート部材と同等な線膨張係数を持つ高コストの樹脂材を用いなくても、インサート部材を保持している樹脂部材の著しい強度低下の発生防止、並びに低温度時に発生する内部応力の軽減が図れ、成形後に繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下で前記樹脂部材の破損を防止し、高信頼性のインサート部材付きモールド部品を確保できる。
【0062】
また、本実施形態によるインサートモールド部品を用いることで、インサート部材周囲がクラックにより発生するがたつきが生じない位置精度を可能とする複合一体成形品を得ることできる。
【0063】
また、本実施形態の複合一体成形品によれば、モールド上もしくはモールド内部に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うことにより電子装置用モールド部品を得ることができる。
【0064】
本発明は、モータなどの回転体を形成するものや回転体を用いて角度や位置、変位をセンシングするセンサなどに適用される。例えば、自動車分野における流入空気量を調整するスロットル弁(バルブ)やそこに取付けられるスロットルポジションセンサ、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、これらセンサを一連に制御構成するための各種センサなどである。また、本発明の課題を解決するものであれば、上記の列記した製品に限定されることなく適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図10】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図11】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図12】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形後のモールド部品の要部斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの拡大説明図である。
【図14】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のモールドフロー図である。
【図15】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。
【図16】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の型離し時の説明図である。
【図17】従来の方法におけるモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図18】従来の方法におけるモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図19】従来の方法におけるモールド成形時のモールドフロー図である。
【図20】従来の方法におけるモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。
【図21】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す断面図である。
【図22】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す斜視図である。
【図23】本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。
【図24】本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1…複合一体成形品本体
1a,2a,2aa,2aa1,2aa2…樹脂部材
2…インサートモールド部品
2ab,2ab1,2ab2,2ab3…モールドフロー
2ac…ガラス繊維
3…端子
4…インサート部材
5…電子部品
5a…リード線
6…ブッシュ
8b,8b’…スプルランナー
8b…トンネルゲート
8c…ピンゲート
9…ウエルド
10a,10aa,10aaa…上型
10b,10bb,10bbb…下型
11…金型開閉方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート部材をインサートしたインサートモールド部品に係り、特に、複数のインサート部材間にたすき状に樹脂を橋渡す場合に好適なインサートモールド部品に関する。
【背景技術】
【0002】
インサートモールド部品のインサート部材には、いろいろな材料及び形状の部材をインサートされているが、インサート部材と樹脂との線膨張係数の差からインサート部材を保持している樹脂部位には、クラックが発生しやすいという問題があった。
【0003】
そこで、例えば、特開平5−124058号公報に記載のように、樹脂内にガスを注入し、インサート部材の周囲に空間部を形成するものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−124058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平5−124058号公報に記載のように、樹脂内にガスを注入し、インサート部材の周囲に空間部を形成させるものでは、空間の大きさや位置は樹脂の粘度に左右され、安定した空間部を所定の位置に設けることが難しいものである。空間部の位置が適切でないと、インサート部材と樹脂の間にガタやズレが生じるため、位置精度を必要とするインサートモールド部品には適用できないものであった。また、特開平5−124058号公報に記載のものでは、インサート部材の周囲にウェルドが発生しやすいという問題もある。ウェルドが発生すると、樹脂の母材強度が低下するものである。
【0006】
本発明の目的は、樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止できるインサートモールド部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも2つのインサート部材の一部が外部に露出して、前記2つのインサート部材の中央にたすき状に樹脂を橋渡して、周囲の樹脂と一体的に連結し、インサート部材を保持固定したインサートモールド部品において、前記インサートモールド部品をモールド成形する金型の開閉方向の面に対して垂直な面であって、前記2つのインサート部材の間の延長方向の前記インサート部材の側面の位置に、樹脂を鋭角に充填するトンネルゲートを設け、このトンネルゲートから樹脂を充填して、前記たすき状の樹脂を形成し、前記インサート部材を保持固定したものである。
かかる構成により、樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止し得るものとなる。
【0008】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記インサートモールド部品は、前記トンネルゲートから充填された後、スプールランナーの切り離し時の楕円形状のゲート痕を有するものである。
【0009】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記樹脂は、ガラス繊維のフィラ−を充填した熱可塑性からなる樹脂である。
【0010】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の開閉によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されるものである。
【0011】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の製品突き出し動作によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されるものである。
【0012】
(6)上記(1)のインサートモールド部品に電子部品を搭載して、前記インサートモールド部品をインサート部材として、樹脂で一体にモールドしたものである。
【0013】
(7)上記(6)の複合一体成形品に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うものである。
【0014】
(8)上記(7)において、好ましくは、前記電子装置は、非接触式の変位センサである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂部位にクラックが発生することなく、しかも、ウェルドの発生を防止できるインサートモールド部品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜図22を用いて、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の構成及び製造方法について説明する。
【0017】
最初に、図1及び図2を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品の全体構成について説明する。なお、以下の例では、インサートモールド部品として、非接触式の変位センサ,より具体的には、電子制御スロットル装置において、スロットルバルブの角度をホール素子により検出するスロットル角センサを例にして説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す断面図である。図2は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す斜視図である。なお、図1は、図2のA−A断面を示している。但し、A−Aの断面位置は、図2のインサート部材4A,4Bの中央位置ではなく、一部インサート部材4Bが断面形状に現れる位置である。
【0018】
図1に示すインサート部材付きインサートモールド部品2は、予め樹脂2aの中に金属性からなるインサート部材4と、電気的接続を行うため複数本の電気的接続用端子3をインサートし、成形される。インサート成形後、インサートモールド部品2に、電子部品5A,5Bを搭載し、接続用端子3に、電子部品5A,5Bのリード線5aが接続される。その後、樹脂1a中にインサート物として、インサートモールド部品2および、本体取付け用のブッシュ6をそれぞれインサートして成形し、点線で示す複合一体成形品1が得られる。
【0019】
ここで、インサートモールド部品2がスロットル角センサの場合、電子部品5A,5Bは、2個のホール素子からなる。インサート部材4は、図2に示すように、2個のインサート部材4A,4Bからなり、ホール素子5A,5Bの上部に配置される磁性材料のカバーである。スロットル弁の軸端部には永久磁石が固定され、スロットル弁の回動に応じて、永久磁石が回動することで生じる磁束の変化が、ホール素子5A,5Bによって検出され、スロットル弁の開度を検出することができる。
【0020】
インサート部材4A,4Bは、樹脂2aによって互いに絶縁されると共に、樹脂2aによってホール素子5A,5Bを覆う所定の位置に位置決め固定される。図2に示すように、インサート部材4A,4Bの一部は、露出している。
【0021】
なお、図1及び図2において、符号8bbは、トンネルゲートから樹脂をモールド成形し、スプールランナーを切り離した後のゲート痕8bbを示しているが、この点については後述する。
【0022】
次に、図3〜図6を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品の要部構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す拡大斜視図である。図4は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す平面図であり、図3のP矢視図である。図5は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す正面図であり、図3のQ矢視図である。図6は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す断面図であり、図3のB−B断面を示している。なお、図3〜図6において、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0023】
インサート部材4A,4Bの中央部には、インサート部材4A,4Bを保持固定するために、たすき状の樹脂部材2aaを形成している。たすき状の樹脂部材2aaは、2つのインサート部材4A,4Bの中央に、たすき状に橋渡される。たすき状の樹脂部材2aaは、他の樹脂部材2aと同時に充填したため、途中途切れることなく一体的に連結している。尚、インサート部材4A,4Bと樹脂部材2aaの接触面及びに他の樹脂部材2aとの接触面以外は、図3〜図6に示す如く、外部に露出している。更に、図6に示すように、後から搭載する電子部材5A,5Bの空間2bを有した形状で構成している。
【0024】
ここで、樹脂部材2aとしては、ガラス繊維30%充填したPBT樹脂を用いているが、樹脂部材2aの材質は、PBT樹脂に限定されるものではなく、他の熱可塑性樹脂やこれらの樹脂に無機材料のガラス繊維、有機材料の炭素繊維等を充填した樹脂を用いることができる。
【0025】
次に、図7及び図8を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。図8は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。なお、図7及び図8において、図1〜図6と同一符号は、同一部分を示している。
【0026】
図7に示すように、上金型10aaと、下金型10bbとの間に形成されるキャビティ内の所定の位置に、インサート部材4A,4B及び接続用端子3が位置決めされる。上金型10aaには、トンネルゲート8bが形成されている。
【0027】
トンネルゲート8bが形成される位置は、図8に示すように、モールド成形する金型10aa,10bbの開閉方向の面Xに垂直な面Yであって、2つのインサート部材4A,4Bの間の延長方向のモールド部品4A,4Bの側面の位置Gである。しかも、トンネルゲート8bは、たすき状樹脂部材2aaを形成するために、2つのインサート部材4A,4Bの間に樹脂を充填する方向であって、しかも、図8において、角度θが90°未満の鋭角となるように設けられる。さらに、トンネルゲート8bは、円錐形状をしている。
【0028】
図7に示すように、トンネルゲート8bから樹脂を充填することで、インサート部材4A,4Bの一部が外部に露出して、前記インサート部材4A,4Bの中央へたすき状に形成する樹脂部材2aaが橋渡され、周囲の樹脂部材2aと一体的に連結して、インサート部材4A,4Bを保持固定するインサートモールド部品2が成形される。
【0029】
次に、図9〜図16用いて、本実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れについて説明する。なお、ここでは、金型の図示は省略している。
図9〜図11は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。図12は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形後のモールド部品の要部斜視図である。図13は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの拡大説明図である。図14は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のモールドフロー図である。図15は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。図16は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の型離し時の説明図である。
【0030】
最初に、金属性からなるインサート部材4A,4Bを下金型10bbのキャビティの所定位置にセットし、上金型10aaと型閉めした後、鋭角に充填する円錐状のトンネルゲート8bから、図9に示すように、溶融樹脂2aをキャビティ内部に流し込む。
【0031】
このとき、トンネルゲート8bは、前述の面Yに対して鋭角に設けられているため、図13に示すように、流し込む樹脂2aに方向性が持たせられる。すなわち、矢印2ab1の方向が、矢印2ab2の方向よりも流動抵抗が小さいため、樹脂2aはキャビティ内部に入り込んでから流動抵抗の小さい方向(矢印2ab1の方向)へと多く流れる。逆方向へは少なくなる。
【0032】
ここで、図14を用いて、そのときの樹脂2aの流れを示すモールドフロー2ab1について説明する。
【0033】
樹脂部材2aa2を形成する部位へ入り込んだ初期の樹脂2aは、トンネルゲート8bを中心に楕円状に広がる。ここで流れの拡大は、流動抵抗の小さい所を中心に広がるため、充填した樹脂2aは、全体的に流れの拡大方向に中心8bbbがシフトしながら広がる。この拡大が順次連続的に行われる。結果、樹脂2aのモールドフロー2ab1はゲート8bから放射状に張り出してから、流線状に流動抵抗の小さい方向へ徐々に向きを変えながら広がる傾向となる。
【0034】
この時、樹脂内部のガラス繊維2acにおいても、流れの方向に配向しやすい特徴があるため、図15に示すように、モールドフロー2ab1と同気した配向となる。
【0035】
その後、流動抵抗の小さい方向の充填樹脂2aは、充填速度が速くなるため、図10に示すように樹脂部材2aa1となる空間を流れ、続けてゲート8bと対面側である樹脂部材2aa2となる空間へと流れ込む。
【0036】
一方、流動抵抗の大きい側の樹脂2aは、充填速度は遅いまま徐々に広がり、ゲート8bと接する樹脂部材2aa2となる空間を充満する。たすき状の樹脂部材2aaを充満した溶融樹脂は、図11に示すように、他の樹脂部位を形成する空間へと流れ、後にキャビティ内部を充満し、充填が完了する。
【0037】
次に、トンネルゲート8bにより充填が完了したインサートモールド部品2は、金型から取り出すために、金型10aaと金型10bbは、図8に示すように、型開閉する。この開閉動作と連動して、トンネルゲート8bを形成する部位の金型10aaは、図16のようにトンネルゲート8bの内部に形成されるスプールランナー8bcは、これと繋がっている樹脂部材2aa2の面において、スプルランナー8bcを徐々に弾性変形させながら同時に、鋭角な形状を持つトンネルゲート8bの部位によりスプルランナー8bcを樹脂部材2aa2から金型10aaの開閉方向に切り離す。切り離したスプルランナー8bcは破線で示す位置8bc’に弾性変形後、再度切り離し前の位置に戻り停滞するがインサートモールド部品2の突き出しと同時に、金型の外へ排出される。
【0038】
このようなゲート8bと樹脂2aの切り離しによれば、切り離し後のゲート痕8bbは、樹脂部材2aa2面より外側方向へ凸状に突起が発生することがない。よって、樹脂部材2aa2面と同一な平面を確保することができる。これにより、ピンゲートのようなゲートでは、切り離された後の成形樹脂面からゲート残りが凸状に突起する問題が回避される。またゲート切り離しが、トンネルゲート8b部位の鋭角な形状によりナイフ状に切り離されるため、樹脂部材2aa2に加わる負荷も小さくできる効果がある。更には、ピンゲート方式では限界とされる薄肉成形を図ることが可能となる。なお、面Yに対して鋭角なトンネルゲートを用いているため、ゲート痕8bbは、図14に示すように楕円形状となる。
【0039】
以上の工程により、図12に示すようなインサートモールド部品2が成形される。
【0040】
ここで、図17〜図20を用いて、従来の方法と、そのときウェルドが発生する理由について簡単に説明する。
図17及び図18は、従来の方法におけるモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。図19は、従来の方法におけるモールド成形時のモールドフロー図である。図20は、従来の方法におけるモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。
【0041】
従来の方法では、サイドゲートは、図8に矢印Pで示す方向に設けられている。すなわち、上金型と下金型の開閉面Xの上であって、面Xに平行な方向に設けられている。すなわち、面Yに対して直角方向となっている。
【0042】
従来の方法では、キャビティ内部に流れ込む溶融樹脂2aの流れは、図17及び図18に示すように、サイドゲート8aの近いところから流動抵抗の少ないところへと先に流れ込む。したがって、溶融樹脂2aの流れは、始めに流動抵抗の最も少ない部位2ab1へ流れ込み、次に、部位2ab2から部位2ab3へと順次流れ込む。そのためインサート部材4A,4Bを保持固定するインサート部材4A,4Bの中央部に形成するたすき状の樹脂部材2aaは、他の部分より充填遅れが生じる。溶融樹脂2ab3は、樹脂部2ab2とたすき状の樹脂部材2aaを連結している両側より充填する。結果互いの溶融樹脂2ab3は、たすき状の樹脂部材2aaの途中で合流し、合流した溶融樹脂2ab3においては最終充填部位となり、他の部位へ流動することなく、冷却固化した後にウエルド9となって介在する。ここで、予め樹脂の補強材として充填しているガラス繊維においては、合流後の流動がないウエルド9では特に、ガラス繊維が互いに絡むことがない。よって補強の効果は少なく、樹脂母材強度の低下部位となる。
【0043】
インサートモールド部品の樹脂2aには、インサート部材4A,4Bとの線膨張係数の差を有しているためインサート部材を保持固定しているたすき状の樹脂部材2aaは、成形後の繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下で線膨張係数の大きい樹脂2aaは、低線膨張係数の金属性からなるインサート部材4A,4Bに収縮を阻害され、樹脂2aaの内部に応力が繰り返し生じる。この繰り返し発生する応力に耐えきれず樹脂2aaには、クラックが発生しやすくなる。特に樹脂の母材強度の低いウエルド9では、クラック発生を回避することは難しいものである。
【0044】
従来のピンゲート方式では、ゲートは充填面の法線に対して、垂直に設置することになるため、充填する樹脂の流動抵抗はゲート中心に全周等しくなる。その時の樹脂2aの流れを示すモールドフロー2abは、図19に示すようになる。すなわち、樹脂2aは、ゲート8cを中心として、放射状に広がる。拡大方向の中心は、シフトすることなくゲート8c中心のままとなる。その結果、樹脂内部のガラス繊維2acにおいても、流れの方向に配向しやすい特徴があるため、図20に示すようにモールドフロー2ab2と同気した配向となる。
【0045】
ここで、本実施形態による図15と、従来の方法による図20とを比較して説明する。本実施形態では、図15に示す部位2abにおけるガラス繊維2acの配向は、平行な向きのガラス繊維2acと左右どちらかに傾きを持つガラス繊維2acとが共存する。一方、従来の方法では、図20に示す部位2adにおけるガラス繊維2ac配向は、ほぼ全体的に平行な向きのガラス繊維2acとなる。
【0046】
ここで本来、補強材として充填されたガラス繊維2acは、樹脂の補強を目的として充填されているが、樹脂の樹脂収縮を阻害して、できるだけ線膨張を低下させ、金属性のインサート部材などの線膨張係数に近づける役割も有している。よって、樹脂2aの補強材として充填されたガラス繊維2acの向きが、樹脂2aとインサート部材から発生する樹脂への拘束力Nの方向と同一方向に配列すると、Nの方向への樹脂収縮はガラス繊維2acにより収縮が阻害され最小となる。逆に、拘束力Nの方向と直角に配列するとNの方向に対するガラス繊維2acでの収縮阻害は最小になるため、Nの方向への樹脂収縮は最大となる。このことから拘束力Nの方向と直角にガラス繊維2acが配列すると温度変化時の樹脂収縮により発生する内部応力は最大となる。よって、低温環境下におけるインサート部材と樹脂2aの線膨張係数差から生じる樹脂2aaの内部応力に対する、耐力は最も厳しくなり、時にはクラック発生に到ることもある。
【0047】
これにより、ゲートを中心とした樹脂の流動方向に対抗する部位2adのガラス繊維2ac配向において、図20に示すように、全体的に平行な向きのガラス繊維2acとなる従来方式よりも、図15に示したように、平行な向きのガラス繊維2acと左右どちらかに傾きを持つガラス繊維2acとが共存する本実施形態のトンネルゲートの方が樹脂の収縮に対する阻害効果で優位となる。これによりゲート周囲における樹脂収縮の抑制が改善される。結果として、成形後の繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下におけるインサート部材4A,4Bと樹脂2aの線膨張係数差から生じる、樹脂2aaの内部応力の軽減が図れ、クラック発生の抑制を可能とする効果が望める。
【0048】
次に、図21及び図22を用いて、本実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成について説明する。
図21は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す断面図である。図22は、本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す斜視図である。図21は、図22のC−C断面を示している。なお、図21,図22において、図1,図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0049】
インサート部材付きインサートモールド部品2は、予め樹脂2aの中に金属性からなるインサート部材4と、電気的接続を行うため複数本の電気的接続用端子3をインサートし、成形される。インサート成形後、インサートモールド部品2に、電子部品5A,5Bを搭載し、接続用端子3に、電子部品5のリード線5aが接続される。その後、樹脂1a中にインサート物として、インサートモールド部品2および、本体取付け用のブッシュ6をそれぞれインサートして成形し、点線で示す複合一体成形品本体1が得られる。複合一体成形品本体1は、非接触式の変位センサなどの電子装置である。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、製作されたインサートモールド部品2は、インサート部材4A,4Bと同等な線膨張係数を持つ高コストの樹脂材を用いなくても、インサート部材4A,4Bを保持している樹脂部材2aaの著しい強度低下の発生防止、並びに低温度時に発生する内部応力の軽減が図れ、成形後に繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下で前記樹脂部材2aaの破損を防止し、高信頼性のインサート部材付きモールド部品を確保できる。
【0051】
また、本実施形態によるインサートモールド部品を用いることで、インサート部材周囲がクラックにより発生するがたつきが生じない位置精度を可能とする複合一体成形品を得ることできる。
【0052】
また、本実施形態の複合一体成形品によれば、モールド上もしくはモールド内部に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うことにより電子装置用モールド部品を得ることができる。
【0053】
次に、図23及び図24を用いて、本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品の製造方法について説明する。
【0054】
図23は、本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。図24は、本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。なお、図23及び図24において、図1〜図6と同一符号は、同一部分を示している。
【0055】
本実施形態では、前述の第1の実施形態のインサート部材付きモールド部品2aに対して、インサート部材4A,4Bの金型へインサートする方向が上下逆向きなキャビティを金型へ掘り込み構成している。
【0056】
すなわち、下金型10bbbには、トンネルゲート8bが形成されている。トンネルゲート8bが形成される位置は、図24に示すように、モールド成形する金型10aa,10bbの開閉方向の面Xに垂直な面Yであって、モールド部品4A,4Bの側面の位置Gである。しかも、トンネルゲート8bは、樹脂を鋭角に充填する方向に設けられる。さらに、トンネルゲート8bは、円錐形状をしている。
【0057】
つまり第1の実施形態の金型に対して、上型のキャビティを同じ大きさ、形状、及び配置で下型に掘り込み、上型へは下型のキャビティを同じ大きさ、形状、及び配置で掘り込み、金型の開閉面で対称に設置している。
【0058】
樹脂2aは、キャビティ内部に入り込んでから流動抵抗の小さい方向へと多く流れる。逆方向へは少なくなる。その後、流動抵抗の小さい方向の充填樹脂2aは、充填速度が速くなるため、樹脂部材2aa1となる空間を流れ、続けてゲート8bと対面側である樹脂部材2aa2となる空間へと流れ込む。一方、流動抵抗の大きい側の樹脂2aは、充填速度は遅いまま徐々に広がり、ゲート8bと接する樹脂部材2aa2となる空間を充満する。たすき状の樹脂部材2aaを充満した溶融樹脂は、他の樹脂部位を形成する空間へと流れ、後にキャビティ内部を充満し、充填が完了する。よって、本発明によるところの樹脂の流れとガラス繊維の配向においても、第1実施例と同様に作用し、樹脂の収縮に対する阻害効果で優位となる。これによりゲート周囲における樹脂収縮の抑制が改善され、成形後の繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下におけるインサート部材4A,4Bと樹脂2aの線膨張係数差から生じる、樹脂2aaの内部応力の軽減が図れ、クラック発生の抑制を可能とする効果が望める。
【0059】
本実施形態の特徴は、ゲート8bの切り離しを図24に示すように、金型の開閉動作ではなく、製品の突き出し動作と連動して、スプルランナー全体が金型から突き出し方向に離型しながら鋭角な形状を持つトンネルゲート8b部位によりゲート8bを樹脂部材2aa2から金型10aaaの開閉方向に切り離す。切り離したスプルランナーにおいては、インサートモールド部品2の突き出しと同時に、金型の外へ排出される。
【0060】
本実施形態によれば、ゲート切り離しが、トンネルゲート8b部位の鋭角な形状によりナイフ状に切り離されるため、樹脂部材2aa2に加わる負荷も小さくできる効果があり、切り離し後のゲート8b跡は、樹脂部材2aa2面より外側方向へ凸状に突起が発生することがない。更にゲート8b全体が金型から離型しながら切り離しが行われるため、スプルランナー全体が金型10aaaに拘束されなくなる。よってスプルランナー8bcの弾性変形8bc’に伴う変形をスプルランナー全体で撓むことが可能になるため、局部的な応力を緩和することができる。スプルランナー8bcの弾性変形8bc’によるランナーの破損防止に対して、優位となる。
【0061】
本実施形態によっても、製作されたインサートモールド部品は、インサート部材と同等な線膨張係数を持つ高コストの樹脂材を用いなくても、インサート部材を保持している樹脂部材の著しい強度低下の発生防止、並びに低温度時に発生する内部応力の軽減が図れ、成形後に繰り返し発生する熱履歴において、特に低温環境下で前記樹脂部材の破損を防止し、高信頼性のインサート部材付きモールド部品を確保できる。
【0062】
また、本実施形態によるインサートモールド部品を用いることで、インサート部材周囲がクラックにより発生するがたつきが生じない位置精度を可能とする複合一体成形品を得ることできる。
【0063】
また、本実施形態の複合一体成形品によれば、モールド上もしくはモールド内部に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うことにより電子装置用モールド部品を得ることができる。
【0064】
本発明は、モータなどの回転体を形成するものや回転体を用いて角度や位置、変位をセンシングするセンサなどに適用される。例えば、自動車分野における流入空気量を調整するスロットル弁(バルブ)やそこに取付けられるスロットルポジションセンサ、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、これらセンサを一連に制御構成するための各種センサなどである。また、本発明の課題を解決するものであれば、上記の列記した製品に限定されることなく適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す拡大斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品の要部構成を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。
【図8】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。
【図9】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図10】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図11】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図12】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形後のモールド部品の要部斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の樹脂の流れの拡大説明図である。
【図14】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のモールドフロー図である。
【図15】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。
【図16】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形時の型離し時の説明図である。
【図17】従来の方法におけるモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図18】従来の方法におけるモールド成形時の樹脂の流れの説明図である。
【図19】従来の方法におけるモールド成形時のモールドフロー図である。
【図20】従来の方法におけるモールド成形時のガラス繊維の配向説明図である。
【図21】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す断面図である。
【図22】本発明の一実施形態によるインサートモールド部品を用いた複合一体成形品である電子装置の構成を示す斜視図である。
【図23】本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法を示す部分断面図である。
【図24】本発明の他の実施形態によるインサートモールド部品のモールド成形方法における型離し時の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1…複合一体成形品本体
1a,2a,2aa,2aa1,2aa2…樹脂部材
2…インサートモールド部品
2ab,2ab1,2ab2,2ab3…モールドフロー
2ac…ガラス繊維
3…端子
4…インサート部材
5…電子部品
5a…リード線
6…ブッシュ
8b,8b’…スプルランナー
8b…トンネルゲート
8c…ピンゲート
9…ウエルド
10a,10aa,10aaa…上型
10b,10bb,10bbb…下型
11…金型開閉方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのインサート部材の一部が外部に露出して、前記2つのインサート部材の中央にたすき状に樹脂を橋渡して、周囲の樹脂と一体的に連結し、インサート部材を保持固定したインサートモールド部品において、
前記インサートモールド部品をモールド成形する金型の開閉方向の面に対して垂直な面であって、前記2つのインサート部材の間の延長方向の前記インサート部材の側面の位置に、樹脂を鋭角に充填するトンネルゲートを設け、
このトンネルゲートから樹脂を充填して、前記たすき状の樹脂を形成し、前記インサート部材を保持固定したことを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項2】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記インサートモールド部品は、前記トンネルゲートから充填された後、スプールランナーの切り離し時の楕円形状のゲート痕を有することを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項3】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記樹脂は、ガラス繊維のフィラ−を充填した熱可塑性からなる樹脂であることを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項4】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の開閉によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されることを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項5】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の製品突き出し動作によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されることを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項6】
請求項1記載のインサートモールド部品に電子部品を搭載して、前記インサートモールド部品をインサート部材として、樹脂で一体にモールドしたことを特徴とする複合一体成形品。
【請求項7】
請求項6記載の複合一体成形品に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うことを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項7記載の電子装置において、
前記電子装置は、非接触式の変位センサであることを特徴とする電子装置。
【請求項1】
少なくとも2つのインサート部材の一部が外部に露出して、前記2つのインサート部材の中央にたすき状に樹脂を橋渡して、周囲の樹脂と一体的に連結し、インサート部材を保持固定したインサートモールド部品において、
前記インサートモールド部品をモールド成形する金型の開閉方向の面に対して垂直な面であって、前記2つのインサート部材の間の延長方向の前記インサート部材の側面の位置に、樹脂を鋭角に充填するトンネルゲートを設け、
このトンネルゲートから樹脂を充填して、前記たすき状の樹脂を形成し、前記インサート部材を保持固定したことを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項2】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記インサートモールド部品は、前記トンネルゲートから充填された後、スプールランナーの切り離し時の楕円形状のゲート痕を有することを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項3】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記樹脂は、ガラス繊維のフィラ−を充填した熱可塑性からなる樹脂であることを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項4】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の開閉によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されることを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項5】
請求項1記載のインサートモールド部品において、
前記トンネルゲートから充填した部位が、金型の製品突き出し動作によりモールド部品の樹脂側面部位からせん断方向に切り離されることを特徴とするインサートモールド部品。
【請求項6】
請求項1記載のインサートモールド部品に電子部品を搭載して、前記インサートモールド部品をインサート部材として、樹脂で一体にモールドしたことを特徴とする複合一体成形品。
【請求項7】
請求項6記載の複合一体成形品に電子部品を配置し、外部との電気信号の授受を行うことを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項7記載の電子装置において、
前記電子装置は、非接触式の変位センサであることを特徴とする電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2007−62327(P2007−62327A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254959(P2005−254959)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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