説明

エネルギー補給量制御システム

【課題】エコロジー走行又は低コスト走行等の何れの走行方針を採用した場合にも過不足なくエネルギーを補給できるエネルギー補給量制御システムを提供すること。
【解決手段】二種類以上のエネルギー源を利用する移動体Vにおいて各エネルギー源の補給量を制御するエネルギー補給量制御システム100は、目的地までのルートを探索するルート探索手段C10と、ルート探索手段C10が探索したルートに関する情報に基づいて各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを算出するエネルギーコスト算出手段C12と、エネルギーコスト算出手段C12が算出したエネルギーコストに基づいてエネルギー源の補給量を制御するエネルギー補給量制御手段E14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二種類以上のエネルギー源を利用する移動体において各エネルギーの補給量を制御するエネルギー補給量制御システムに関し、特に、エコロジー走行又は低コスト走行等の走行方針に合わせて各エネルギー源の補給量を最適制御するエネルギー補給量制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低公害、省エネルギーを達成するために、充電可能地である目的地への到着時にバッテリに蓄えられていた電気エネルギーを使い切るよう、バッテリに蓄えられている電気エネルギーを効率的に利用するハイブリッド車両が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このハイブリッド車両は、予め設定された運転スケジュールから得られる経路、走行距離、充電可能地の位置及び充電可能地における充電時間等の情報、並びに、バッテリ残量に基づいて経路中の各地点における目標バッテリ量を決定し、各地点における目標バッテリ量が達成できるよう、バッテリに蓄えられた電気エネルギーの消費量を制御する。
【特許文献1】特許第3539497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のハイブリッド車両は、電気料金や燃料費を考慮することなく充電可能地における最大限の充電を前提としながら経路中の各地点における目標バッテリ量を決定するので、電気料金と燃料費との間の関係によっては、電気を利用する場合と燃料を利用する場合との間のエネルギーコストの差が大きくなり、低コスト走行を望む者(運転者)にとって利用しにくいものとなってしまう場合がある。
【0005】
上述の点に鑑み、本発明は、エコロジー走行又は低コスト走行等の何れの走行方針を採用する場合にもエネルギーコストを考慮ながら過不足なくエネルギーを補給できるエネルギー補給量制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係るエネルギー補給量制御システムは、二種類以上のエネルギー源を利用する移動体において各エネルギー源の補給量を制御するエネルギー補給量制御システムであって、目的地までのルートを探索するルート探索手段と、前記ルート探索手段が探索したルートに関する情報に基づいて各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを算出するエネルギーコスト算出手段と、前記エネルギーコスト算出手段が算出したエネルギーコストに基づいてエネルギー源の補給量を制御するエネルギー補給量制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、第二の発明は、第一の発明に係るエネルギー補給量制御システムであって、前記エネルギーコスト算出手段は、各エネルギー源の料金情報と前記ルート探索手段が探索したルートに関する情報とに基づいてエネルギーコストを算出することを特徴とする。
【0008】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係るエネルギー補給量制御システムであって、前記エネルギーコスト算出手段は、前記ルート探索手段が探索したルートで複数のエネルギー源を利用する場合におけるエネルギーコストを算出することを特徴とする。
【0009】
また、第四の発明は、第一乃至第三の何れかの発明に係るエネルギー補給量制御システムであって、前記二種類以上のエネルギー源のうちの少なくとも一つは、前記移動体の所定動作により回生され、前記ルート探索手段が探索したルートで回生されるエネルギー源に関する情報を算出する回生情報算出手段を更に備え、前記エネルギーコスト算出手段は、前記ルート探索手段が探索したルートに関する情報と前記回生情報算出手段が算出した回生されるエネルギー源に関する情報とに基づいて各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを算出することを特徴とする。
【0010】
また、第五の発明は、第四の発明に係るエネルギー補給量制御システムであって、前記回生情報算出手段は、地図情報に基づいて前記ルート探索手段が探索したルートで回生されるエネルギー源に関する情報を算出することを特徴とする。
【0011】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係るエネルギー補給量制御システムであって、前記二種類以上のエネルギー源は、電気及び燃料を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の手段により、本発明は、エコロジー走行又は低コスト走行等の何れの走行方針を採用する場合にもエネルギーコストを考慮しながら過不足なくエネルギーを補給できるエネルギー補給量制御システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係るエネルギー補給量制御システムの構成例を示すブロック図であり、エネルギー補給量制御システム100は、充電装置E、通信センタSに設定された固定端末C、及び、ハイブリッド車両Vに搭載された車載端末Qから構成され、充電装置E、固定端末C及び車載端末Qは、それぞれ無線通信を介して情報をやり取りする。
【0015】
なお、バッテリ部E4を備えた充電装置Eは、ハイブリッド車両Vが走行中の場合には車両に搭載され、バッテリ部E4を充電する場合にはバッテリ部E4と共に車両から取り外される。また、充電装置Eは、無線通信を介して車載端末Qと情報をやり取りする。
【0016】
また、充電装置Eは、車両に搭載されたままバッテリ部E4を充電するようにしてもよい。この場合、充電装置Eは、車両に搭載されている間にCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の車載LANを介して車載端末Qと情報をやり取りするようにしてもよい。
【0017】
図2は、充電装置Eの構成例を示すブロック図であり、充電装置Eは、制御部E1、通信部E2、入力部E3、バッテリ部E4、表示部E7及び充電制御部E8から構成される。
【0018】
制御部E1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータであって、例えば、充電量制御手段E14に対応するプログラムをROMに記憶しながら、その手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0019】
通信部E2は、ハイブリッド車両Vに搭載された車載端末Q、又は、通信センタSに設置された固定端末Cと充電装置Eとの間の通信を制御するための装置であり、例えば、携帯電話用周波数又は特定小電力無線通信用周波数を利用して車載端末Q又は固定端末Cとの間で情報をやり取りする。
【0020】
入力部E3は、充電装置Eに情報を入力するための装置であり、例えば、タッチパネル、マウス、キーボード等がある。
【0021】
バッテリ部E4は、ハイブリッド車両Vを駆動するモータやハイブリッド車両Vに搭載された各種電子機器を作動させるための装置であり、例えば、ニッケル水素充電池やリチウムイオン充電池等がある。
【0022】
表示部E7は、各種情報を表示するための装置であり、例えば、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等がある。
【0023】
充電制御部E8は、バッテリ部E4の充電を制御するための装置であり、例えば、制御部E1からの制御信号に応じてバッテリ部E4の充電を開始或いは終了させたり、充電電圧を制御したりする。
【0024】
また、充電制御部E8は、バッテリ部E4のバッテリ残量を監視しながら、バッテリ残量が所定のレベルになるまでバッテリ部E4を充電する。なお、充電制御部E8は、バッテリ部E4を充電するために商用電源を利用する。
【0025】
充電量制御手段E14は、充電制御部E8を制御するための手段であり、例えば、通信部E2を介して固定端末Cが算出する後述の推奨充電量(充電可能地(例えば、自宅、勤務先等である。)において充電すべき必要十分な電気量をいう。)を取得し、その推奨充電量に関する情報を含む制御信号を充電制御部E8に送信する。
【0026】
また、充電量制御手段E14は、取得した推奨充電量に基づいて充電電圧、充電時間、充電開始時刻、充電終了時刻等を決定し、制御信号を介して充電制御部E8を決定通りに作動させるようにしてもよい。
【0027】
図3は、固定端末Cの構成例を示すブロック図であり、固定端末Cは、制御部C1、通信部C2、記憶部C5から構成される。
【0028】
制御部C1は、制御部E1と同様、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータであって、例えば、ルート探索手段C10、回生情報算出手段C11、エネルギーコスト算出手段C12及び推奨充電量算出手段C13のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、それら手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0029】
通信部C2は、通信部E2と同様、ハイブリッド車両Vに搭載された車載端末Q、又は、充電装置Eとの間の通信を制御するための装置である。
【0030】
記憶部C5は、固定端末Cが利用する各種情報を記憶するための装置であり、例えば、ハードディスクやDVD(Digital Versatile Disk)等の不揮発性記憶媒体であって、地図情報データベース(以下、「地図情報DB」とする。)C50及び料金情報データベース(以下、「料金情報DB」とする。)C51を格納する。
【0031】
地図情報DB(C50)は、後述のルート探索手段C10がルートを探索するために利用する、有料道路の通行料金、地名、住所、電話番号等、ノード(分岐点、合流点、インターチェンジ等をいう。)の位置情報(緯度、経度、高度)、又は、ノードを連結するリンクのリンク長若しくはリンクコスト等を検索可能に体系的に記憶したデータベースである。
【0032】
また、料金情報DB(C51)は、供給元、地域又は時間帯毎に異なる電気料金、給油施設(ガソリンスタンド等である。)や種類(エタノール、ガソリン、軽油、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、水素等をいう。)毎に異なる燃料費等を検索可能に体系的に記憶したデータベースである。なお、固定端末Cは、地図情報DB(C50)及び料金情報DB(C51)を定期的に更新するものとする。
【0033】
次に、制御部C1が有する各種手段について説明する。
【0034】
ルート探索手段C10は、出発地の位置情報(緯度、経度、高度)と目的地の位置情報(緯度、経度、高度)と地図情報DB(C50)とに基づいて、出発地から目的地に至るまでの最適なルートを導き出すための手段であり、例えば、最短ルート探索アルゴリズムとしてダイクストラ法を用い最短ルートを探索する。なお、ルート探索手段C10は、最短ルートの他、最も早く目的地に到達できる最速ルートや高速道路を利用しないルート等を探索するようにしてもよい。
【0035】
回生情報算出手段C11は、回生情報を算出するための手段であり、例えば、ルート探索手段C10が探索したルートに関する情報(例えば、ルートの総距離、ルートの高低差、ルート上の一時停止地点等であり、以下、「ルート情報」とする。)に基づいて回生情報を算出する。
【0036】
「回生情報」とは、回生エネルギーに関する情報であり、回生エネルギーの回収を開始する地点、回生エネルギーの回収を完了する地点、回生エネルギーを回収する区間(以下、「回生区間」とする。)の距離、各回生区間で回収される回生エネルギー量、総回生エネルギー量等がある。
【0037】
なお、回生エネルギーは、ハイブリッド車両Vが減速する場合や下り坂を惰性走行する場合に回収され、各回生区間で回収される回生エネルギー量は、地図情報に基づいて取得した、ハイブリッド車両Vが走行する道路の法定速度(km/時)、又は、下り坂の開始地点と終了地点との間の高低差(m)等を用いて算出される。また、各回生区間で回収される回生エネルギー量は、ハイブリッド車両Vにおける各種センサを介して取得したハイブリッド車両Vの過去の平均速度(km/時)や最高速度(km/時)等を用いて算出されてもよい(平均速度(km/時)や最高速度(km/時)から減速時間(秒)、減速度(km/時/秒)、又は、減速区間距離(km)等が算出される。)。
【0038】
エネルギーコスト算出手段C12は、エネルギーコストを算出するための手段であり、例えば、ルート探索手段C10が探索したルートの総距離(km)、回生情報算出手段C11が算出した回生区間の距離(km)及び回生電気量(%)(以下、電気量は、バッテリ部E4の満充電状態を100%とした場合におけるバッテリ残量の割合で示される。)、料金情報DB(C51)に記憶された電気料金(円/%)(電気量1(%)を充電するための費用で示される。)及びガソリン料金(円/リットル)(ガソリン1(リットル)当たりの費用で示される。)、並びに、ハイブリッド車両Vの電気消費量(%/km)(1キロメートル走行するために必要な電気量で示される。)及びガソリン消費量(リットル/km)(1キロメートル走行するために必要なガソリン量で示される。)等に基づいてエネルギーコストを算出する。
【0039】
また、エネルギーコスト算出手段C12は、バッテリ部E4の充電を含めできるだけ電気のみを利用する走行(以下、「電気重視走行」とする。)を採用した場合におけるエネルギーコスト、燃料の補給を含めできるだけ燃料のみを利用する走行(以下、「燃料重視走行」とする。)を採用した場合におけるエネルギーコスト、バッテリ部E4に蓄えられた現有の電気(走行中に回生される電気を含む。)を優先的に利用する走行(以下、「電気優先走行」とする。)を採用した場合におけるエネルギーコスト、又は、燃料タンクに蓄えられた現有の燃料を優先的に利用する走行(以下、「燃料優先走行」とする。)を採用した場合におけるエネルギーコスト等の複数の走行モードにおけるエネルギーコストを算出する。
【0040】
また、エネルギーコスト算出手段C12は、各種走行モードにおけるエネルギーコストを最小化させるため電気走行と燃料走行とを切り替える地点(以下、「駆動源切り替え地点」とする。)の位置情報(緯度、経度、高度)を算出するようにする。
【0041】
なお、回生情報算出手段C11及びエネルギーコスト算出手段C12は、ルート探索手段C10が探索したルートを構成する各道路の法定速度若しくは過去の渋滞確率、又は、各運転者の過去の平均燃費若しくは平均速度等のパラメータを考慮して回生情報及びエネルギーコストのそれぞれを算出するようにしてもよい。回生情報及びエネルギーコストは、これらパラメータの影響を受けるからである。
【0042】
推奨充電量算出手段C13は、充電可能地(例えば、自宅、勤務先等である。)において充電すべき必要十分な電気量(以下、「推奨充電量」とする。)を算出するための手段であり、例えば、バッテリ部E4の現在のバッテリ残量と、電気重視走行、燃料重視走行、電気優先走行又は燃料優先走行等の各種走行モードを実行するために必要なバッテリ残量との間の差(ギャップ)を推奨充電量として算出する。
【0043】
例えば、推奨充電量算出手段C13は、エコロジー走行(二酸化炭素等の排出量を抑えた走行であり、電気重視走行が該当する。)を実現するために、ルート探索手段C10が探索したルートの総距離(km)、回生情報算出手段C11が算出した回生区間の距離(km)及び回生電気量(%)、並びに、ハイブリッド車両Vの電気消費量(%/km)に基づいてガソリン使用量(リットル)を最小にする(電気使用量を最大にすることを意味する。)走行に必要十分な推奨充電量を算出する。
【0044】
また、推奨充電量算出手段C13は、低コスト走行(エネルギーコストを抑えた走行をいう。)を実現するために、ルート探索手段C10が探索したルートにおける駆動源切り替え地点の位置情報(電気走行距離やガソリン走行距離が求められる。)、電気料金(円/%)、ガソリン料金(円/リットル)等に基づいてエネルギーコストを最小にする走行に必要十分な推奨充電量を算出するようにしてもよい。
【0045】
図4は、車載端末Qの構成例を示すブロック図であり、車載端末Qは、制御部Q1、通信部Q2、車両情報取得部Q6及び駆動源切り替え部Q9から構成される。
【0046】
制御部Q1は、制御部E1及び制御部C1と同様、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータであって、例えば、運転支援手段Q15に対応するプログラムをROMに記憶しながら、その手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0047】
通信部Q2は、通信部E2及び通信部C2と同様、通信センタSに設置された固定端末C、又は、充電装置Eとの間の通信を制御するための装置である。
【0048】
車両情報取得部Q6は、ハイブリッド車両Vの車両情報を取得するための手段であり、例えば、ハイブリッド車両Vに搭載されたGPS(Global Positioning System)、燃料センサ、走行距離計等の各種センサ類からの情報を収集して車両情報を取得する。
【0049】
「車両情報」とは、回生情報、エネルギーコスト及び推奨充電量を算出するために利用されるハイブリッド車両Vに関する情報であり、例えば、車両位置、燃料残量、平均燃費、平均速度等がある。
【0050】
駆動源切り替え部Q9は、ハイブリッド車両Vの駆動源を切り替えるための装置であり、例えば、制御部Q1からの制御信号に応じて、駆動源をモータから内燃機関に切り替えたり、反対に、駆動源を内燃機関からモータに切り替えたりする。
【0051】
運転支援手段Q15は、ハイブリッド車両Vの運転を支援するための手段であり、例えば、通信部Q2を介して通信センタSから取得したルート情報に基づいてルート案内を実行したり、通信部Q2を介して通信センタSから取得した駆動源切り替え地点に関する情報に基づいて制御信号を駆動源切り替え部Q9に出力し駆動源を自動的に切り替えさせるようにしたりする。
【0052】
次に、図5を参照しながら、エネルギー補給量制御システム100が採用する走行モードを決定する処理(以下、「走行モード決定処理」とする。)について説明する。なお、図5は、走行モード決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
最初に、エネルギー補給量制御システム100の固定端末Cは、充電装置Eからの要求に応じて記憶部C5が格納する地図情報DB(C50)の地図情報を通信部C2及び充電装置Eの通信部E2経由で充電装置Eに送信し、充電装置Eの表示部E7に電子地図データを表示させながら操作者に目的地を入力させ、ハイブリッド車両Vの現在位置及びハイブリッド車両Vが次に向かう目的地に関する情報を取得する(ステップS1)。
【0054】
その後、固定端末Cは、ハイブリッド車両Vの現在地及び目的地に関する情報に基づいて、ルート探索手段C10によりルート探索を実行する(ステップS2)。
【0055】
この場合、固定端末Cは、ルート探索手段C10により探索した複数のルートを通信部C2及び充電装置Eの通信部E2経由で充電装置Eの表示部E7に表示させ、操作者に一つのルートを選択させるが、制御部C1が自動的に一つのルートを選択し、選択したルートを表示部E7に表示させながら操作者の確認を得るようにしてもよい。
【0056】
なお、充電装置Eは、ルート探索手段C10が探索したルートを他の地図情報(道路)から識別できるように表示部E7に表示させ、操作者にそれらルートを地図上で確認させながら一つのルートを選択させるようにしてもよく、ルート探索手段C10が探索したルートの主要な経由地等の文字情報を含むソフトウェアボタンを表示部E7に表示させ、操作者に一つのルートを選択させるようにしてもよい。
【0057】
その後、固定端末Cは、回生情報算出手段C11により、選択されたルートのルート情報に基づいて回生情報を算出する(ステップS3)。
【0058】
その後、固定端末Cは、各種走行モードに対応するエネルギーコスト、駆動源切り替え地点、推奨充電量を算出するために、充電装置Eから無線通信を介してバッテリ残量及び車両情報を取得し(ステップS4)、かつ、記憶部C5に格納された料金情報DB(C51)から料金情報を取得する(ステップS5)。
【0059】
なお、充電装置Eは、自宅や勤務先での充電のため車載端末Qから切り離される時に、車載LANを介して車載端末Qから車両情報を取得するようにしてもよく、車載端末Qから切り離された後に、無線通信を介して車載端末Qから車両情報を取得するようにしてもよい。
【0060】
その後、固定端末Cは、エネルギーコスト算出手段C12により、ルート探索手段C10が探索し操作者に選択されたルートのルート情報と回生情報算出手段C11が算出した回生情報と料金情報DB(C51)から取得した料金情報と通信部C2を介して取得したバッテリ残量及び車両情報とに基づいて各種走行モードに対応するエネルギーコスト及び駆動源切り替え地点を算出し、かつ、推奨充電量算出手段C13により推奨充電量を算出する(ステップS6)。
【0061】
その後、固定端末Cは、無線通信を介して充電装置Eの表示部E7に走行方針を選択させるための画面を表示させ、かつ、無線通信を介して充電装置Eの入力部E3を介した操作者の入力を取得した上で何れの走行方針が選択されたかを判定する(ステップS7)。
【0062】
固定端末Cは、例えば、走行方針を操作者に選択させるために、「低コスト走行」又は「エコロジー走行」等の選択肢を表すソフトウェアボタンを表示部E7に表示させ、タッチパネルを介してソフトウェアボタンを操作者に選択させるようにする。
【0063】
なお、固定端末Cは、エネルギーコスト、駆動源切り替え地点及び推奨充電量等に関する情報を表示しながら操作者に走行方針を選択させるよう、エネルギーコスト、駆動源切り替え地点及び推奨充電量等を算出した上で走行方針を選択させるための画面を表示させるが、エネルギーコスト、駆動源切り替え地点及び推奨充電量等を算出する前に走行方針を選択させるための画面を表示させてもよい。エコロジー走行が選択された場合にエネルギーコストの算出を省略することができるからである。
【0064】
低コスト走行が選択されたと判定した場合(ステップS7の低コスト走行)、固定端末Cは、エネルギーコストが最も低い走行モードにおけるエネルギーコストと電気重視走行を採用した場合のエネルギーコストとの間のコスト差が閾値T1以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0065】
コスト差が閾値T1以上となる場合(ステップS8のYES)、固定端末Cは、エネルギーコストが最も低い走行モードの採用を直ちに決定して(ステップS9)、走行モード決定処理を終了させる。
【0066】
また、コスト差が閾値T1未満となる場合(ステップS8のNO)、固定端末Cは、コスト差が小さいため電気重視走行を採用する旨を操作者に通知するためのメッセージを充電装置Eの表示部E7に表示させるようにする(ステップS10)。
【0067】
より多くの操作者にエコロジー走行を奨励するためであり、エネルギーコストが最も低い走行モードにおけるエネルギーコストと電気重視走行を採用した場合のエネルギーコストとの間のコスト差が小さいため、エコロジー走行を採用しなかった操作者にもエコロジー走行を奨め易いからである。
【0068】
但し、固定端末Cは、操作者がエコロジー走行の採用を拒否できるようにしてもよい。操作者がエコロジー走行の採用を拒否した場合、固定端末Cは、エネルギーコストが最も低い走行モードを採用することとなる。
【0069】
その後、固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)の採用を決定して(ステップS11)、走行モード決定処理を終了させる。
【0070】
なお、ステップS7においてエコロジー走行が選択されたと判定した場合にも(ステップS7のエコロジー走行)、固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)の採用を決定して(ステップS11)、走行モード決定処理を終了させる。
【0071】
その後、固定端末Cは、推奨充電量算出手段C13が算出した推奨充電量を充電装置Eの充電量制御手段E14に送信し、充電装置Eによるバッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
【0072】
また、固定端末Cは、車載端末Qからの要求に応じて、ルート探索手段C10が探索し操作者が選択したルートのルート情報、及び、エネルギーコスト算出手段C12が算出した駆動源切り替え地点に関する情報を車載端末Qの運転支援手段Q15に送信し、車載端末Qにルート情報に沿ったルート案内を実行させ、かつ、駆動源切り替え地点に関する情報に沿って駆動源切り替え部Q9に駆動源を切り替えさせるようにする。
【0073】
次に、図6に示す五つのサンプルを参照しながら、エネルギーコスト及び推奨充電量を算出して適切な走行モードを採用する処理の流れについて説明する。なお、図6は、エネルギーコスト及び推奨充電量を算出するためのパラメータ表であり、五つのサンプルに共通して、満充電状態のバッテリ部E4による電気走行可能距離が10(km)、すなわち、電気消費量が10(%/km)であることを示す。
【0074】
(サンプル1)
図6のサンプル1は、操作者がエコロジー走行を希望する場合であって、バッテリ残量が20(%)、ガソリン残量が30リットル、燃費が10(km/リットル)、電気料金が20(円/10%)(なお、電気料金は、バッテリ部E4の10%を充電するために要する費用で表される。)、ガソリン料金が130(円/リットル)、操作者が選択したルートの総距離が10(km)、回生区間の総距離が4(km)、回生区間で回生される電気量の総量が20(%)であることを示す。
【0075】
この場合、固定端末Cは、ルートの総距離10(km)から回生区間の総距離4(km)を差し引いた距離6(km)と、電気消費量10(%/km)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量(6×10=60)60(%)を算出する。
【0076】
また、固定端末Cは、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量60(%)と、回生区間で回生される電気量の総量20(%)と、バッテリ残量20(%)とに基づいて、回生区間以外で電気走行するために必要な推奨充電量(60−(20+20)=20)20(%)を算出する。
【0077】
さらに、固定端末Cは、推奨充電量20(%)と、電気料金20(円/10%)とに基づいて、電気コスト40(円)を算出する。
【0078】
以上より、サンプル1は、電気コスト40(円)で、充電装置Eにおけるバッテリ部E4のバッテリ残量を20(%)から40(%)まで充電させれば、ハイブリッド車両Vを電気走行のみによって目的地まで移動させることができることを意味する。
【0079】
一方で、固定端末Cは、ルートの総距離10(km)から回生区間の総距離4(km)を差し引いた距離6(km)と、バッテリ残量20(%)と、回生区間で回生される電気量の総量20(%)と、電気消費量10(%/km)と、燃費10(km/リットル)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気優先走行させるために必要なガソリン量(6−(20+20)÷10)÷10=0.2)0.2(リットル)を算出し、そのガソリン量0.2(リットル)とガソリン料金130(円/リットル)とに基づいて、ガソリンコスト26(円)を算出する。
【0080】
以上より、サンプル1は、先に述べた目的地までの移動に加え、バッテリ部E4を充電させることなく(電気コストはゼロとなる。)、バッテリ残量20(%)と回生区間で回生される電気量の総量20(%)とを用いてハイブリッド車両Vを電気走行によって4(km)移動させ、ガソリンコスト26円で0.2(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって2(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0081】
固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)を採用した場合のエネルギーコスト40(円)及び低コスト走行(電気優先走行)を採用した場合のエネルギーコスト26(円)を充電装置Eの表示部E7に表示させ、操作者に何れかの走行モードを選択させるようにする。
【0082】
その後、固定端末Cは、充電装置Eの入力部E3においてエコロジー走行が選択されたことを検出すると(操作者は、多少割高となってもエコロジー走行が採用されることを希望している。)、エコロジー走行を採用した上で推奨充電量の値20(%)を充電装置Eの充電量制御手段E14に送信し、商用電源によるバッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
【0083】
この場合、固定端末Cは、コスト差が14(円)であるため、操作者に対する何らの注意喚起を行うことなくバッテリ部E4の充電を開始させるが、操作者の注意を喚起し操作者の確認を得た上でバッテリ部E4の充電を開始させるようにしてもよい。
【0084】
その後、固定端末Cは、駆動源切り替え地点に関する情報を車載端末Qの運転支援手段Q15に送信し、駆動源切り替え地点に関する情報に従い駆動源を自動的に切り替えながらハイブリッド車両Vを目的地まで移動させるようにする。
【0085】
(サンプル2)
図6のサンプル2は、操作者が低コスト走行を希望し、操作者が選択したルートの総距離が30(km)、回生区間の総距離が7(km)、回生区間で回生される電気量の総量が35(%)である点においてサンプル1と相違する。
【0086】
この場合、固定端末Cは、ルートの総距離30(km)から回生区間の総距離7(km)を差し引いた距離23(km)と、電気消費量10(%/km)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量(23×10=230)230(%)を算出する。
【0087】
また、固定端末Cは、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量230(%)と、回生区間で回生される電気量の総量35(%)と、バッテリ残量20(%)とに基づいて、回生区間以外で電気走行するために必要な推奨充電量(230−(35+20)=175)175(%)を算出する。
【0088】
ここで、推奨充電量の最大値は、バッテリ残量が20(%)であることから、80(%)となり(100%を超えて充電することはできないからである。)、ハイブリッド車両Vを電気走行で移動させることができる最大距離は、回生区間で回生される電気量の総量35(%)を考慮して、電気量135%に相当する13.5(km)となる。
【0089】
さらに、固定端末Cは、推奨充電量80(%)と電気料金20(円/10%)とに基づいて、電気コスト160(円)を算出し、さらに、回生区間以外でハイブリッド車両Vを燃料走行させる距離9.5(km)と燃費10(km/リットル)とガソリン料金130(円/リットル)とに基づいてガソリンコスト123.5(円)を算出して、エネルギーコスト283.5(円)を算出する。
【0090】
以上より、サンプル2は、電気コスト160(円)で充電装置Eにおけるバッテリ部E4のバッテリ残量を20(%)から100(%)まで充電させてハイブリッド車両Vを電気走行によって13.5(km)移動させ、ガソリンコスト123.5円で0.95(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって9.5(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0091】
一方で、固定端末Cは、ルートの総距離30(km)から回生区間の総距離7(km)を差し引いた距離23(km)と、バッテリ残量20(%)と、回生区間で回生される電気量の総量35(%)と、電気消費量10(%/km)と、燃費10(km/リットル)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気優先走行させるために必要なガソリン量((23−(20+35)÷10)÷10=1.75)1.75(リットル)を算出し、そのガソリン量1.75(リットル)とガソリン料金130(円/リットル)とに基づいて、ガソリンコスト227.5(円)を算出する。
【0092】
以上より、サンプル2は、先に述べた目的地までの移動に加え、バッテリ部E4を充電させることなく(電気コストはゼロとなる。)、バッテリ残量20(%)と回生区間で回生される電気量の総量35(%)とを用いてハイブリッド車両Vを電気走行によって5.5(km)移動させ、ガソリンコスト227.5円で1.75(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって17.5(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0093】
固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)を採用した場合のエネルギーコスト283.5(円)及び低コスト走行(電気優先走行)を採用した場合のエネルギーコスト227.5(円)を充電装置Eの表示部E7に表示させ、操作者に何れかの走行モードを選択させるようにする。
【0094】
その後、固定端末Cは、充電装置Eの入力部E3において低コスト走行が選択されたことを検出すると(操作者は、エコロジー走行と低コスト走行との間のコスト差が大きい場合には低コスト走行が採用されることを希望している。)、低コスト走行を採用した上で推奨充電量の値(この場合、ゼロとなる。)を充電装置Eの充電量制御手段E14に送信し、商用電源によるバッテリ部E4の充電を開始させないようにする。
【0095】
また、固定端末Cは、駆動源切り替え地点に関する情報を車載端末Qの運転支援手段Q15に送信し、駆動源切り替え地点に関する情報に従い駆動源を自動的に切り替えながらハイブリッド車両Vを目的地まで移動させるようにする。
【0096】
(サンプル3)
図6のサンプル3は、操作者がエコロジー走行を希望し、電気料金が10(円/10%)である点においてサンプル2と相違する。
【0097】
固定端末Cは、推奨充電量80(%)と電気料金10(円/10%)とに基づいて、電気コスト80(円)を算出し、ガソリンコスト123.5(円)と合わせて、エネルギーコスト203.5(円)を算出する。
【0098】
以上より、サンプル3は、電気コスト80(円)で充電装置Eにおけるバッテリ部E4のバッテリ残量を20(%)から100(%)まで充電させてハイブリッド車両Vを電気走行によって13.5(km)移動させ、ガソリンコスト123.5円で0.95(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって9.5(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0099】
固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)を採用した場合のエネルギーコスト203.5(円)及び低コスト走行(電気重視走行以外の走行モードのうちエネルギーコストが最も低い走行モードであり、この場合、電気優先走行である。)を採用した場合のエネルギーコスト227.5(円)を充電装置Eの表示部E7に表示させ、操作者に走行モードを選択させるようにする。
【0100】
その後、固定端末Cは、充電装置Eの入力部E3においてエコロジー走行が選択されたことを検出すると(操作者は、エコロジー走行と低コスト走行との間のコスト差が大きい場合であってもエコロジー走行が採用されることを希望している。)、推奨充電量の値80(%)を充電装置Eの充電量制御手段E14に送信して商用電源によるバッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
【0101】
なお、固定端末Cは、操作者が選択したエコロジー走行のエネルギーコストが元々最低コストとなっているため、操作者に対する何らの注意喚起を行うことなくエコロジー走行を採用した上で、バッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
【0102】
(サンプル4)
図6のサンプル4は、操作者が低コスト走行を希望し、バッテリ残量が0(%)である点においてサンプル3と相違する。
【0103】
固定端末Cは、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量230(%)と、回生区間で回生される電気量の総量35(%)と、バッテリ残量0(%)とに基づいて、回生区間以外で電気走行するために必要な推奨充電量(230−(35+0)=195)195(%)を算出する。
【0104】
ここで、推奨充電量の最大値は、バッテリ残量が0(%)であることから、100(%)となり、ハイブリッド車両Vを電気走行で移動させることができる最大距離は、回生区間で回生される電気量の総量35(%)を考慮して、電気量135%に相当する13.5(km)となる。
【0105】
また、固定端末Cは、推奨充電量100(%)と電気料金10(円/10%)とに基づいて、電気コスト100(円)を算出し、さらに、回生区間以外でハイブリッド車両Vを燃料走行させる距離9.5(km)と燃費10(km/リットル)とに基づいてガソリンコスト123.5(円)を算出して、エネルギーコスト223.5(円)を算出する。
【0106】
一方で、固定端末Cは、ルートの総距離30(km)から回生区間の総距離7(km)を差し引いた距離23(km)と、バッテリ残量0(%)と、回生区間で回生される電気量の総量35(%)と、電気消費量10(%/km)と、燃費10(km/リットル)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気優先走行させるために必要なガソリン量((23−(0+35)÷10)÷10=1.95)1.95(リットル)を算出し、そのガソリン量1.95(リットル)とガソリン料金130(円/リットル)とに基づいて、エネルギーコスト253.5(円)を算出する。
【0107】
以上より、サンプル4は、バッテリ部E4を充電させることなく(電気コストはゼロとなる。)、バッテリ残量0(%)と回生区間で回生される電気量の総量35(%)とを用いてハイブリッド車両Vを電気走行によって3.5(km)移動させ、ガソリンコスト253.5円で1.95(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって19.5(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0108】
固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)を採用した場合のエネルギーコスト223.5(円)及び低コスト走行(電気重視走行以外の走行モードのうちエネルギーコストが最も低い走行モードであり、この場合、電気優先走行である。)を採用した場合のエネルギーコスト253.5(円)を充電装置Eの表示部E7に表示させ、操作者に走行モードを選択させるようにする。
【0109】
その後、固定端末Cは、充電装置Eの入力部E3において低コスト走行が選択されたことを検出すると(操作者は、エコロジー走行と低コスト走行との間のコスト差が大きい場合には低コスト走行が採用されることを希望している。)、推奨充電量の値100(%)を充電装置Eの充電量制御手段E14に送信して商用電源によるバッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
【0110】
なお、固定端末Cは、エコロジー走行でなく低コスト走行が操作者により選択されているが、エコロジー走行のエネルギーコストが元々最低コストとなっているため、操作者に対する注意喚起を行うことなくエコロジー走行を採用した上でバッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
(サンプル5)
図6のサンプル5は、電気料金が13(円/10%)、回生区間が6(km)、及び、回生区間で回生される電気量の総量が10(%)である点においてサンプル4と相違する。
【0111】
この場合、固定端末Cは、ルートの総距離30(km)から回生区間の総距離6(km)を差し引いた距離24(km)と、電気消費量10(%/km)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量(24×10=240)240(%)を算出する。
【0112】
また、固定端末Cは、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気走行させるために必要な電気量240(%)と、回生区間で回生される電気量の総量10(%)と、バッテリ残量0(%)とに基づいて、回生区間以外で電気走行するために必要な推奨充電量(240−(10+0)=230)230(%)を算出する。
【0113】
ここで、推奨充電量の最大値は、バッテリ残量が0(%)であることから、100(%)となり、ハイブリッド車両Vを電気走行で移動させることができる最大距離は、回生区間で回生される電気量の総量10(%)を考慮して、電気量110%に相当する11(km)となる。
【0114】
さらに、固定端末Cは、推奨充電量100(%)と電気料金13(円/10%)とに基づいて、電気コスト130(円)を算出し、さらに、回生区間以外でハイブリッド車両Vを燃料走行させる距離13(km)と燃費10(km/リットル)とガソリン料金130(円/リットル)に基づいてガソリンコスト169(円)を算出して、エネルギーコスト299(円)を算出する。
【0115】
以上より、サンプル5は、電気コスト130(円)で充電装置Eにおけるバッテリ部E4のバッテリ残量を0(%)から100(%)まで充電させてハイブリッド車両Vを電気走行によって11(km)移動させ、ガソリンコスト169円で1.3(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって13(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0116】
一方で、固定端末Cは、ルートの総距離30(km)から回生区間の総距離6(km)を差し引いた距離24(km)と、バッテリ残量0(%)と、回生区間で回生される電気量の総量10(%)と、電気消費量10(%/km)と、燃費10(km/リットル)とに基づいて、回生区間以外でハイブリッド車両Vを電気優先走行させるために必要なガソリン量((24−(0+10)÷10)÷10=2.3)2.3(リットル)を算出し、そのガソリン量2.3(リットル)とガソリン料金130(円/リットル)とに基づいて、ガソリンコスト299(円)を算出する。
【0117】
以上より、サンプル5は、先に述べた目的地までの移動に加え、バッテリ部E4を充電させることなく(電気コストはゼロとなる。)、バッテリ残量0(%)と回生区間で回生される電気量の総量10(%)とを用いてハイブリッド車両Vを電気走行によって1(km)移動させ、ガソリンコスト299円で2.3(リットル)のガソリンを燃焼させてハイブリッド車両Vを燃料走行によって23(km)移動させることで、ハイブリッド車両Vを目的地まで移動させることができることを意味する。
【0118】
固定端末Cは、エコロジー走行(電気重視走行)を採用した場合のエネルギーコスト299(円)及び低コスト走行(電気重視走行以外の走行モードのうちエネルギーコストが最も低い走行モードであり、この場合、電気優先走行である。)を採用した場合のエネルギーコスト229(円)を充電装置Eの表示部E7に表示させ、操作者に走行モードを選択させるようにする。
【0119】
その後、固定端末Cは、充電装置Eの入力部E3において低コスト走行が選択されたことを検出すると(操作者は、エコロジー走行と低コスト走行との間のコスト差が大きい場合には低コスト走行が採用されることを希望している。)、エコロジー走行(電気重視走行)と低コスト走行(電気優先走行)とでエネルギーコストに差がないことを操作者に通知してエコロジー走行(電気重視走行)の採用を促し、推奨充電量の値100(%)を充電装置Eの充電量制御手段E14に送信して商用電源によるバッテリ部E4の充電を開始させるようにする。
【0120】
なお、固定端末Cは、エコロジー走行の採用を確認させる画面を充電装置Eの表示部E7に表示させ、低コスト走行(電気優先走行)を採用できないようにしてもよい。
【0121】
また、サンプル5は、エコロジー走行を採用した場合のエネルギーコストと低コスト走行を採用した場合のエネルギーコストとが同値になる場合を例に挙げるが、固定端末Cは、コスト差が所定範囲内であれば、エネルギーコストには差がないとして扱うようにしてもよい。
【0122】
以上の構成により、エネルギー補給量制御システム100は、各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを操作者に比較させた上で走行方針を決定させるので、操作者が希望する走行方針に合致する過不足のないエネルギー補給を実現することができる。
【0123】
また、エネルギー補給量制御システム100は、各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを算出するので、最もエネルギーコストが小さい走行モードを操作者に選択させることができる。
【0124】
また、エネルギー補給量制御システム100は、ハイブリッド車両Vが目的地まで移動する途中で回生される電気エネルギーを考慮しながら推奨充電量を算出するので、無駄な充電を確実に防止し、操作者のコスト負担を軽減させることができる。
【0125】
また、エネルギー補給量制御システム100は、操作者に大きなコスト負担を与えないようにしながらエコロジー走行を推奨するので、環境保護に関心を持たない操作者の環境保護に対する意識を高めることができる。
【実施例2】
【0126】
次に、図7及び図8を参照しながら、エネルギー補給量制御システムの別の構成例について説明する。なお、図7は、エネルギー補給量制御システム200の構成例を示すブロック図であり、図8は、エネルギー補給量制御システム200における充電装置Fの構成例を示すブロック図である。
【0127】
図7に示すように、エネルギー補給量制御システム200は、充電装置Fが車載端末Qの機能を統合した点において図1に示すエネルギー補給量制御システム100と相違するが、他の構成についてはエネルギー補給量制御システム100と共通する。
【0128】
また、図8に示すように、充電装置Fは、車両情報取得部F6及び駆動源切り替え部F9を備え、制御部F1に運転支援手段F15を有する点において、図2に示す充電装置Eと相違するが、他の構成については充電装置Eと共通する。
【0129】
このように、エネルギー補給量制御システム200は、充電装置Fをハイブリッド車両Vから取り外すことなく、充電装置Fをハイブリッド車両Vに搭載したまま商用電源を利用してバッテリ部F4を充電することができる。
【0130】
なお、エネルギー補給量制御システム200は、充電装置Fをハイブリッド車両Vから取り外した上でバッテリ部F4を充電するようにしてもよい。
【実施例3】
【0131】
次に、図9及び図10を参照しながら、エネルギー補給量制御システムの更に別の構成例について説明する。なお、図9は、補給量制御システム300の構成例を示すブロック図であり、図10は、エネルギー補給量制御システム300における充電装置Gの構成例を示すブロック図である。
【0132】
図9に示すように、エネルギー補給量制御システム300は、充電装置Gが固定端末Cの機能を統合し、通信センタSを利用しない点において図1に示すエネルギー補給量制御システム100と相違するが、他の構成についてはエネルギー補給量制御システム100と共通する。
【0133】
また、図10に示すように、充電装置Gは、地図情報DB(G50)及び料金情報DB(G51)を格納する記憶部G5を備え、制御部G1にルート探索手段G10、回生情報算出手段G11、エネルギーコスト算出手段G12及び推奨充電量算出手段G13を有する点において、図2に示す充電装置Eと相違するが、他の構成については充電装置Eと共通する。
【0134】
このように、エネルギー補給量制御システム300は、充電装置Gにおいて、ルートの探索、並びに、回生情報、エネルギーコスト及び推奨充電量の算出を実行するので、通信環境に左右されることなく、操作者が希望する走行方針に合致する過不足のないエネルギー補給を実現させることができる。
【実施例4】
【0135】
次に、図11及び図12を参照しながら、エネルギー補給量制御システムの更に別の構成例について説明する。なお、図11は、エネルギー補給量制御システム400の構成例を示すブロック図であり、図12は、充電装置Hの構成例を示すブロック図である。
【0136】
図11に示すように、エネルギー補給量制御システム400は、充電装置Hが車載端末Q及び固定端末Cの機能を統合している点において図9に示すエネルギー補給量制御システム300と相違するが、他の構成についてはエネルギー補給量制御システム300と共通する。
【0137】
また、図12に示すように、充電装置Hは、通信部を省略しながら、車両情報取得部H6及び駆動源切り替え部H9を備え、制御部H1に運転支援手段H15を有する点において、図10に示す充電装置Gと相違するが、他の構成については充電装置Gと共通する。
【0138】
このように、エネルギー補給量制御システム400は、充電装置Hをハイブリッド車両Vから取り外すことなく、充電装置Hをハイブリッド車両Vに搭載したまま商用電源を利用してバッテリ部H4を充電できるようにしながらも、充電装置Hにおいて、ルートの探索、並びに、回生情報、エネルギーコスト及び推奨充電量の算出を実行するので、通信環境に左右されることなく、操作者が希望する走行方針に合致する過不足のないエネルギー補給を実現させることができる。
【0139】
なお、エネルギー補給量制御システム400は、充電装置Hをハイブリッド車両Vから取り外した上でバッテリ部H4を充電し、かつ、ルートの探索、並びに、回生情報、エネルギーコスト及び推奨充電量の算出を実行するようにしてもよい。
【0140】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0141】
例えば、上述の実施例において、エネルギー補給量制御システム100は、操作者が低コスト走行を希望することを確認した場合、エコロジー走行(電気重視走行)におけるエネルギーコストと電気重視走行以外の走行モードで最も低いエネルギーコストとの間のコスト差が閾値T1以上であるときには、そのままその低コスト走行(電気重視走行以外の走行モードのうちエネルギーコストが最も低い走行モード)を採用し、コスト差が閾値T1未満のときには、低コスト走行の代わりにエコロジー走行の採用を促すようにする。
【0142】
これに対し、エネルギー補給量制御システム100は、操作者の希望を確認することなく、コスト差が閾値T2(T2>T1)以上であれば、低コスト走行を強制的に採用するようにしてもよい。
【0143】
また、エネルギー補給量制御システム100は、操作者がエコロジー走行を希望することを確認した場合であっても、コスト差が閾値T2以上であれば、低コスト走行を強制的に採用するようにしてもよい。
【0144】
さらに、エネルギー補給量制御システム100は、コスト差が閾値T1未満になるよう、ハイブリッド車両Vのエコロジー走行に占める電気走行と燃料走行との割合を変化させる(燃料走行の割合を増大させる。)ようにしてもよい。
【0145】
また、エネルギー補給量制御システム100は、低コスト走行、エコロジー走行の他、所定区間(例えば、高速道路等である。)における加速を重視したスポーツ走行(例えば、所定区間では電気と燃料とを併用した走行を行う。)等の走行方針を採用できるようにしてもよい。
【0146】
また、エネルギー補給量制御システム100は、バッテリ部E4の推奨充電量を制御するが、ガソリンや軽油の推奨給油量、又は、LPGや水素ガスの推奨充填量等を制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】エネルギー補給量制御システムの構成例を示すブロック図(その1)である。
【図2】充電装置の構成例を示すブロック図(その1)である。
【図3】通信センタの構成例を示すブロック図である。
【図4】車載端末の構成例を示すブロック図である。
【図5】走行モード決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】エネルギーコスト及び推奨充電量を算出するためのパラメータ表である。
【図7】エネルギー補給量制御システムの構成例を示すブロック図(その2)である。
【図8】充電装置の構成例を示すブロック図(その2)である。
【図9】エネルギー補給量制御システムの構成例を示すブロック図(その3)である。
【図10】充電装置の構成例を示すブロック図(その3)である。
【図11】エネルギー補給量制御システムの構成例を示すブロック図(その4)である。
【図12】充電装置の構成例を示すブロック図(その4)である。
【符号の説明】
【0148】
100、200、300 エネルギー補給量制御システム
C 固定端末
E〜H 充電装置
Q 車載端末
S 通信センタ
V ハイブリッド車両
C1、E1〜H1、Q1 制御部
C2、E2〜G2、Q2 通信部
E3〜H3 入力部
E4〜H4 バッテリ部
C5、G5、H5 記憶部
F6、H6、Q6 車両情報取得部
E7〜H7 表示部
E8〜H8 充電制御部
F9、H9、Q9 駆動源切り替え部
C10、G10、H10 ルート探索手段
C11、G11、H11 回生情報算出手段
C12、G12、H12 エネルギーコスト算出手段
C13、G13、H13 推奨充電量算出手段
E14〜H14 充電量制御手段
F15、H15、Q15 運転支援手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二種類以上のエネルギー源を利用する移動体において各エネルギー源の補給量を制御するエネルギー補給量制御システムであって、
目的地までのルートを探索するルート探索手段と、
前記ルート探索手段が探索したルートに関する情報に基づいて各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを算出するエネルギーコスト算出手段と、
前記エネルギーコスト算出手段が算出したエネルギーコストに基づいてエネルギー源の補給量を制御するエネルギー補給量制御手段と、
を備えることを特徴とするエネルギー補給量制御システム。
【請求項2】
前記エネルギーコスト算出手段は、各エネルギー源の料金情報と前記ルート探索手段が探索したルートに関する情報とに基づいてエネルギーコストを算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー補給量制御システム。
【請求項3】
前記エネルギーコスト算出手段は、前記ルート探索手段が探索したルートで複数のエネルギー源を利用する場合におけるエネルギーコストを算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエネルギー補給量制御システム。
【請求項4】
前記二種類以上のエネルギー源のうちの少なくとも一つは、前記移動体の所定動作により回生され、
前記ルート探索手段が探索したルートで回生されるエネルギー源に関する情報を算出する回生情報算出手段を更に備え、
前記エネルギーコスト算出手段は、前記ルート探索手段が探索したルートに関する情報と前記回生情報算出手段が算出した回生されるエネルギー源に関する情報とに基づいて各エネルギー源を利用した場合のエネルギーコストを算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のエネルギー補給量制御システム。
【請求項5】
前記回生情報算出手段は、地図情報に基づいて前記ルート探索手段が探索したルートで回生されるエネルギー源に関する情報を算出する、
ことを特徴とする請求項4に記載のエネルギー補給量制御システム。
【請求項6】
前記二種類以上のエネルギー源は、電気及び燃料を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のエネルギー補給量制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−265666(P2008−265666A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114405(P2007−114405)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】