エピタキシャルリフトオフを用いたフレキシブル光起電力デバイスの製造方法、およびエピタキシャル成長に用いる成長用基板の一体性を保持する方法
エピタキシャルリフトオフを用いる、フレキシブル光電(PV)デバイス等の感光性デバイスの製造方法が開示される。同様に、成長用基板を有する構造を含むフレキシブルPVデバイスを製造する方法が開示され、この方法では、保護層の選択的エッチングにより、再利用に好適な平滑な成長用基板が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年9月10日提出の米国仮出願番号第61/241、373号、2009年9月10日提出の米国仮出願番号第61/241、374号および2010年6月24日提出の米国仮出願番号第61/358、298号の利益を享受する。これらの出願の内容全体は参照によってここに組み入れる。
【0002】
連邦支援研究に関する声明
本発明は、米国陸軍研究所により授与された授与番号W911NF−08−2−0004および米国エネルギー省により授与された授与番号DE−SC0001013に基づく合衆国政府の支援でなされた。合衆国政府は本発明について一定の権利を有する。
【0003】
共同研究の合意
本開示の発明は、大学−企業間協力研究の合意による以下の一以上の団体の協力により、および/またはこれに関連してなされた:ユニヴァシティ オブ ミシガンおよびグローバル フォトニック エネルギー コーポレーション。この合意はクレームした発明のなされる前およびなされた日に有効であり、クレームした発明はこの合意の範囲の活動の結果なされたものである。
【0004】
開示の分野
本開示は全般に、エピタキシャルリフトオフを用いた、フレキシブル光起電力デバイス等の感光性デバイスの製造方法に関する。特に、本開示は、エピタキシャル成長を用いてフレキシブル光起電力デバイスを準備する方法および再利用のために成長用基板を保持する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
光電子(optoelectronic)デバイスは物質の光学的および電子的性質によっており、電子的に電磁波放射を発生するか検出する、または、周囲の電磁波放射から電気を発生させるものである。
【0006】
感光性光電デバイスは電磁波放射を電気に変換する。太陽電池は、光起電力(Photovoltaic 「PV」)デバイスとも称され、電力を発生させるために特別に使用される感光性光電デバイスの一種である。太陽光以外の光源から電気的エネルギーを発生させるPVデバイスは、例えば、照明、加熱、または、電気回路、計算機、ラジオ、コンピュータ等のデバイスへの電力供給、または、遠隔モニター、通信装置のため、電力を消費する負荷体を駆動するために使用され得る。これらの電力発生への応用はしばしば、太陽や他の光源からの直接照射が使用できないときに連続運転をするため、または、特定の用途に要求されるPVデバイスの出力を一定にするために、バッテリーの充電を伴う。ここで使用される「負荷抵抗」は、電力を消費または貯蔵するあらゆる回路、デバイス、装置またはシステムを参照する。
【0007】
別の種類の感光性高電子デバイスは光伝導セルである。この機能においては、検出回路が、光吸収による変化を検出するためにデバイスの抵抗をモニターする。
【0008】
別の種類の感光性光電デバイスは、光検出器である。操作において、光検出器は光検出器は、印加されたバイアス電圧を受け、光検出器が電磁波放射に照射されたときに発生する電流を測定する電流検出回路と連結して使用される。ここで記載する検出回路は、光検出器にバイアス電圧を供給する、および電磁波放射に対する光検出器の電気的応答を測定する能力がある。
【0009】
これら三種類の感光性光電デバイスは、下記で定義する整流接合が存在するかどうかによって、また、デバイスがバイアスまたはバイアス電圧として知られる外部からの印加電圧で動作するかどうかによっても特徴づけることができる。光伝導セルは整流接合を有しておらず、通常はバイアスによって動作する。PVデバイスは、少なくとも一の整流接合を有し、バイアスなしで動作する。通常は、太陽電池は回路、デバイスまたは設備に電力を供給する。光検出器または光伝導体は、検出回路を制御するための信号もしくは電流、または検出回路からの情報の出力を供給するが、回路、デバイスまたは設備には電力を供給しない。
【0010】
従来、感光性光電デバイスは、多数の無機半導体、例えば、結晶性、多結晶性および非晶質ケイ素、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム並びにその他で構築されてきた。ここでは、「半導体」の語は、電荷キャリアが熱的または電磁的励起により誘起されるときに電気を通すことのできる物質を指す。「光伝導性(photoconductive)」の語は、一般的に、キャリアが物質中の電荷を伝導する、すなわち輸送するために、電磁放射エネルギーが吸収され、それにより電荷キャリアの励起エネルギーに変換されるプロセスに関連する。「光伝導体」および「光伝導性物質」は、ここでは、電荷キャリアを生成する、電磁放射を吸収する性質のために選択された半導体物質を参照するために用いられる。
【0011】
PVデバイスは、入射する太陽エネルギーを有用な電力に変換し得る効率によって特徴づけることができる。結晶質または非晶質ケイ素を用いるデバイスは、商業的応用において重要であり、23%以上の高効率を達成するものもある。しかしながら、効率的な結晶性ベースのデバイス、特に大きな表面積のものは、効率を損なう重大な欠陥なしに大きな結晶を製造することに本質的な問題があるため、製造が困難であり高価である。一方、高効率の非晶質ケイ素デバイスは、まだ安定性の問題を有している。現状で市販されている非晶質ケイ素の電池は、4〜8%の間の効率で安定となっている。
【0012】
PVデバイスは、標準的な照明条件下で(すなわち、1000W/m2、AM1.5スペクトルの照明下での標準試験条件(Standard Test Condition))、電力発生を最大にするため、光電流と光電圧との最大積にするために最適化され得る。標準的な照明条件下のこのような電池の電力変換効率は以下の3つのパラメータに依存する:(1)ゼロバイアスでの電流、すなわちアンペア単位の短絡回路電流ISC、(2)開回路条件下の光起電力、すなわちボルト単位での開回路電圧VOC、および(3)曲線因子ff。
【0013】
PVデバイスは、負荷に接続され光に照射されたときに光生成(photo-generated)電流を生じる。無限負荷(infinite load)下で照射されたときは、PVデバイスは可能な最大電圧、V開回路またはVOCを発生する。電気的接続が短絡した状態で照射されたときは、PVデバイスは、可能な最大電流、I短絡回路またはISCを生じる。実際に電力を発生させるために使用するときは、PVデバイスは有限の負荷抵抗に接続され、電力出力は電流および電圧の積、I×Vで与えられる。PVデバイスにより発生する全体の最大電力は、本質的に積、ISC×VOCを超過することはできない。負荷の値が最大電力を引き出すために最適化されたとき、電流および電圧はそれぞれLmaxおよびVmaxの値を取る。
【0014】
PVデバイスの性能を数値化したものは、曲線因子ffであり、以下のように定義される:
ff={ImaxVmax}/{ISCVOC} (1)
ここで、実際の使用においてISCおよびVOCが同時に得られることはないため、ffは常に1より小さい。にもかかわらず、ffが1に近づくにつれて、デバイスは直列または内部抵抗がより小さくなり、したがって最適条件下では、ISCおよびVOCの積のより大きなパーセンテージを負荷に運搬する。ここで、Pincはデバイスに入射する電力であり、デバイスの電力効率ηPは、以下で計算し得る:
ηP=ff*(ISC*IOC)/Pinc
半導体の実質的な容積を占める内部形成電場を生成するためには、通常、特に分子の量子エネルギー状態の分布に関連する導電特性を適当に選択した材料の二層を並置する方法が取られる。これら二つの材料の界面は光起電性接合(photovoltaic junction)と呼ばれている。従来の半導体理論では、PV接合を形成する物質は、一般的にnまたはp型のどちらかを意味してきた。ここで、n型は大部分のキャリアの種類が電子であることを意味する。これは、相対的な自由エネルギー状態で多数の電子を有する物質とみなすこともできる。p型は大部分のキャリアが正孔であることを意味する。このような物質は相対的な自由エネルギー状態で多数の正孔を有する。型の背景としては、光生成ではなく、大部分のキャリア濃度は第一に意図的でない欠陥または不純物に依存する。不純物の種類および濃度は、価電子帯の最大エネルギーと伝導帯の最小エネルギーとの間のギャップ中の、Fermiエネルギーまたはレベルの値を決定する。Fermiエネルギーは、占有確率が1/2に等しいエネルギーの値で示される、統計的な分子の量子エネルギー状態の占有を特徴づける。伝導帯の最小エネルギー準位付近のFermiエネルギーは、電子が優勢なキャリアであることを示している。価電子帯の最大エネルギー付近のFermiエネルギーは、正孔が優勢なキャリアであることを示す。したがって、Fermiエネルギーは従来の半導体の第一の特徴的性質であり、プロトタイプのPV接合はこれまでp−n界面であった。
【0015】
「整流」の語は、とりわけ接合部分が非対称な導電特性を有する、すなわち界面は好ましくは一方向の電荷輸送を行うことを意味する。整流は通常、適当に選択された物質の間の接合において生じる内部(built−in)電場を伴う。
【0016】
従来の無機半導体PVセルは、内部電場を形成するためにp−n接合を用いていた。高効率PVデバイスは、典型的には、高価な単結晶成長用基板上に製造される。これらの成長用基板は単結晶ウエハーを含む場合が多く、これは、「エピ層(epilayer)(エピタキシャル層)」として知られる活性層のエピタキシャル成長のための構造的支持体および完全な格子を形成するために用いられうる。これらエピ層は、無傷の最初の成長用基板とともにPVデバイス中に一体化し得る。そうでなければ、それらのエピ層は移動されて、ホスト基板に再接合され得る。
【0017】
いくつかの例では、所望の光学的、機械的または熱的性質を示すホスト基板にエピ層を移動することが望ましい場合がある。例えば、ガリウムヒ素(GaAs)エピ層はシリコン(Si)基板上で成長させ得る。しかしながら、得られた物質の電子的な品質は、特定のエレクトロニクス分野への応用には不十分な場合がある。したがって、他の基板中でこれらのエピ層の一体性(integration)を保ちながら、格子整合したエピ層の高品質な物性を維持することが望ましい。このことは、エピタキシャルリフトオフとして知られる方法により実現され得る。エピタキシャルリフトオフ工程においては、エピ層は成長基板から持ち上げられ(lifted off)(例えば、接合または接着により)新しいホスト基板に再接合され得る。
【0018】
典型的な成長用基板は厚く余分な重量があり、それらは所望のエピタキシャル成長特性を提供し得るが、その結果得られるデバイスは脆弱なため分厚い支持システムを必要とする場合が多い。エピタキシャルリフトオフはエピ層を、それらの成長用基板からより効果的で軽量かつ柔軟なホスト基板に移動するための好適な方法となり得る。典型的な成長用基板の相対的な不足およびそれらが最終的なセル構造に与える望ましい特性のため、連続するエピタキシャル成長において成長用基板をリサイクルおよび/または再利用することが望ましい。しかしながら、成長用ウエハーを再利用する従来の試みは、効率を低下させる結果となるか、ウエハーの上から物質を数μm取り除くことにより、ウエハーを「研磨」することが要求されていた。
【0019】
米国特許出願公開第2010/0047959号明細書は、単結晶基板からエピタキシャル層を選択的に遊離する方法を記載している。記載されている方法は、第一のバッファ層、エッチング停止層、第二のバッファ層および分離層の堆積を含む。分離層上に、電池を形成する一連の半導体層が堆積される。この方法は分離層のエッチングを含み、それにより半導体層は、基板並びにそれに伴うバッファ層およびエッチング停止層から引きはがされる。しかしながら、その明細書は、例えば、バッファ層および/またはエッチング停止層を選択的にエッチングして除く等の、遊離した基板を再利用のために準備する方法は記載していない。したがって、成長用基板の一体性(integrity)を再利用のために保持する方法を開発する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0020】
概要
本開示は、より効率的、軽量、かつフレキシブルなPVデバイスをさらに開発する要求に取り組んだものである。本開示は、加えてエピタキシャル成長層を成長用基板から非破壊的に取り除き、研磨または次の使用に先立って表面を破壊的な方法で準備する必要なしに、再利用のために成長用基板の一体性を保持する方法を開発する要求に取り組んだものである。ある場合には、この目的は、成長用基板を含む構造から、活性エピ層をより軽いフレキシブルなホスト基板に移動することにより達成される。場合によっては、エピ層移動のためのエッチング方法は、犠牲層の選択的エッチング、それに続く二以上の保護層の選択的エッチングを含むエピタキシャルリフトオフ法の使用を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ここで記載するフレキシブルPVデバイス等の光電デバイスは、成長用基板を有する既存の(pre−existing)構造からエピ層を移動することにより製造され得る。いくつかの実施形態では、ここに記載するデバイスは、成長用基板上に最初に成長するエピ層により製造され得る。
【0022】
したがって、ここに開示する方法は、
成長用基板およびエピ層を有する構造を提供する工程;
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積して接触層を形成する工程;
前記接触層を金属または合金被覆したホスト基板に接合する工程;および
前記構造から前記エピ層を遊離する工程、を含む方法である。
【0023】
一実施形態では、
成長用基板上にエピ層を成長させる工程;
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積して接触層を形成する工程;
金属または合金被覆したホスト基板に前記接触層を接合する工程;および
前記構造から前記エピ層を遊離する工程、を含む方法である。
【0024】
一実施形態では、成長用基板およびエピ層を有する構造を提供する工程;
前記エピ層上の少なくとも一の最上部接触(top contact)をパターニングする工程;
キャリア基板に前記エピ層を取り付ける工程;
前記成長用基板から前記エピ層を遊離する工程;
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積し、接触層を形成する工程;
金または合金被覆したホスト基板に前記エピ層を接合する工程;および
前記エピ層から前記キャリア基板を除去する工程、を含む方法である。
【0025】
他の実施形態では、
成長用基板上にエピ層を成長させる工程;
前記エピ層上に少なくとも一の最上部接触をパターニングする工程;
キャリア基板に前記エピ層を取り付ける工程;
前記成長用基板から前記エピ層を遊離する工程;
少なくとも一の金属または合金を少なくとも一部の前記エピ層上に堆積し、接触層を形成する工程;
金属または合金被覆されたホスト基板に前記エピ層を接合する工程;および
前記エピ層から前記キャリア基板を除去する工程、を含む方法である。
【0026】
他の実施形態では、エピタキシャルリフトオフによりエピ層を遊離した後、成長用基板の平滑性を維持し、したがって基板を複数回使用できるようにする方法が開示される。いくつかの実施形態では、当該方法は(例えば少なくとも三の)多層膜の犠牲層および成長用基板を有する構造からのエピ層の移動を含み、その際、第一犠牲層はその構造からエピ層を遊離するためにエッチングされ、第二および第三の層は平滑な成長用基板を得るためにエッチングされる。いくつかの実施形態では、成長用基板は再利用に適したものであり得る。
【0027】
一実施形態では、多層膜は、当初の基板からGaAs太陽電池を移動するためにエッチングされる通常の犠牲層(例えばAlAs)と共に、GaAs等の基板と同様の材料を含む「ダミー層」およびInGaP等のバッファ層を含む。
【0028】
基板がInPである時は、ダミー層は、InP基板の前にInPおよびInGaAsバッファ層を含む。両方の場合に、基板から太陽電池を移動するために使用されるエッチング液は、ダミー層のみに損傷を与えるのみならず、バッファ層と共にダミー層に損傷を与え、双方は最初の基板から容易にエッチングによって除去される。したがって、最初の基板は再利用し得る。
【0029】
一実施形態では、
少なくとも一の成長用表面を有する成長用基板;電池;犠牲層;第一の保護層;および第二の保護層を有する構造を提供する工程、ただし、前記犠牲層、第一の保護層および第二の保護層は前記成長用基板および電池の間に位置する;
前記犠牲層をエッチング液でエッチングすることにより電池を遊離する工程;
第二の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程;および
第一の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第一の保護層を除去する工程を含む、成長用基板の一体性を保持する方法が開示される。
【0030】
一実施形態では、前記構造はさらに成長用基板および第一の保護層の間にバッファ層を含む。
【0031】
一実施形態では、
少なくとも一の成長用表面を有する成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および電池を成長用基板上に堆積する工程、その際前記犠牲層、第一の保護層および第二の保護層は成長用基板および電池の間に配置される;
前記犠牲層をエッチング液でエッチングすることにより前記電池を遊離する工程;
第二の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程;および
第一の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第一の保護層を除去する工程、を含む、成長用基板の一体性を保持する方法が開示される。
【0032】
一実施形態では、前記方法はさらにバッファ層を堆積する工程を含み、バッファ層は前記成長用基板および第一の保護層の間に配置される。
【0033】
一実施形態では、
成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および少なくとも一のエピ層を前記成長用基板上に堆積し、前記犠牲層、第一の保護層および第二の保護層は成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、前記犠牲層は成長用基板および前記エピ層の間に配置される;
少なくとも一の金属または合金を少なくとも一部の前記エピ層上に堆積し、接触層を形成する工程;
接触層を金属または合金被覆したホスト基板に接合する工程;および
前記少なくとも一のエピ層を、犠牲層をエッチング液でエッチングすることにより遊離する工程、を含む、PVデバイスを製造する方法が開示される。
【0034】
一実施形態では、前記方法はさらにバッファ層を堆積する工程を含み、前記バッファ層は前記成長用基板および第一の保護層の間に配置される。
【0035】
一実施形態では、
成長用基板、犠牲層、バッファ層、第一の保護層、第二の保護層、第三の保護層、第四の保護層、少なくとも一のエピ層、少なくとも一の接触および金属または合金被覆されたホスト基板、を含み
前記犠牲層が前記成長用基板および前記少なくとも一のエピ層の間に配置され、第一の保護層および第二の保護層が前記成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、第三の保護層および第四の保護層が前記犠牲層および前記エピ層の間に配置される、成長用構造が開示される。
【0036】
本開示の前述のおよび他の特徴は、添付の図面を組み合わせた、以下の例示的な実施形態の詳細な説明から容易により明らかになるであろう。なお、便宜上すべてのデバイスの図面の高さ方向の寸法は、幅方向の寸法よりも誇張されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本明細書に記載する実施形態によるフレキシブルPVデバイスを製造する異なる方法を示す、デバイスの概略断面図である。
【図2】図2は、本明細書に記載する実施形態によるフレキシブルPVデバイスを製造する、本明細書に従う追加の方法を示す、デバイスの概略断面図である。
【図3】図3は、本明細書に記載する実施形態によるフレキシブルPVデバイスを製造する、本明細書に従う追加の方法を示す、デバイスの概略断面図である。
【図4A】図4Aは、例示的なコントロールデバイスの概略断面図である。
【図4B】図4Bは、本明細書に記載する方法に一致する方法で製造された、フレキシブルPVデバイスの概略断面図である。
【図5A】図5Aは、図4Aのコントロールデバイスの、光強度(sun)に対する電力効率(%)を表している。
【図5B】図5Bは、図4BのフレキシブルPVデバイスの光強度(sun)に対する電力効率(%)を表している。
【図6A】図6Aは、図4Aのコントロールデバイスの、光強度(sun)に対する開回路電圧(VOC)を表している。
【図6B】図6Bは、図4BのフレキシブルPVデバイスの、光強度(sun)に対する開回路電圧(VOC)を表している。
【図7A】図7Aは、図4Aのコントロールデバイスの、光強度(sun)に対する曲線因子(%)を表している。
【図7B】図7Bは、図4BのフレキシブルPVデバイスの光強度(sun)に対する曲線因子(%)を表している。
【図8A】図8Aは、例示的なコントロールウエハーを示す概略断面図である。
【図8B】図8Bは、本明細書に記載する方法と一致する方法で製造されたフレキシブルPVデバイスの概略断面図である。
【図8C】図8Cは、コントロールウエハーの例を示す概略断面図である。
【図8D】図8Dは、ここに記載する方法と一致する方法で製造されたフレキシブルPVデバイスの概略断面図である。
【図9A】図9Aは、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)の両方の電流密度/電圧 特性を示す。
【図9B】図9Bは、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での、図8Cのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8DのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電流密度/電圧 特性を示す。
【図10A】図10は、波長650nmおよび1100nmの間の、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のEQE特性を示す。
【図10B】図10は、波長650nmおよび1100nmの間の、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のEQE特性を示す。
【図11A】図11Aは、多様な太陽光強度下での図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の曲線因子を示す。
【図11B】図11Bは、多様な太陽光強度下での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のVOCを示す。
【図11C】図11Cは、多様な太陽光強度下での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電流密度を示す。
【図11D】図11Dは、多様な太陽光強度下での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電力効率を示す。
【図11E】図11Eは、図8DのフレキシブルPVデバイスの曲線因子、VOC、電流密度、および電力効率を示す。
【図11F】図11Fは、図8Cのコントロールウエハーの曲線因子、VOC、電流密度および電力効率を示す。
【図12A】図12Aは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対曲げ半径を示す。
【図12B】図12Bは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対曲げ半径を示す。
【図12C】図12Cは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電流密度対曲げ半径を示す。
【図12D】図12Dは、引張応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスの電流密度対曲げ半径を示す。
【図13A】図13Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対太陽光強度を示す。
【図13B】図13Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対太陽光強度を示す。
【図14A】図14Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスのVOC対太陽光強度を示す。
【図14B】図14Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスのVOC対太陽光強度を示す。
【図15A】図15Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの曲線因子対太陽光強度を示す。
【図15B】図15Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの曲線因子対太陽光強度を示す。
【図16A】図16Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの応答性対太陽光強度を示す。
【図16B】図16Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの応答性対太陽光強度を示す。
【図17A】図17Aは、図13〜16で示される引張応力すべてを印加した後の図8BのフレキシブルPVデバイスの画像である。
【図17B】図17Bは、図13〜16で示される圧縮応力すべてを印加した後の図8BフレキシブルPVデバイスの画像である。
【図18】図18は、引張および圧縮応力を印加した後の、図8Dで表されるフレキシブルPVデバイスの性能を示す。
【図19】図19は、図8Dで表されるフレキシブルPVデバイスの、他のデバイスとの性能の比較である。
【図20】図20は、構造の概略断面図であり、本明細書に記載する実施形態による、成長用基板から電池を除去する方法を示す。
【図21】図21は、構造の概略断面図であり、本明細書に記載する実施形態による、成長用基板から電池を除去する方法を示す。
【図22】図22は、AlAs犠牲層を用いたエピタキシャルリフトオフ後のGaAs基板の一体性を保持する方法の例を示す。
【図23】図23は、犠牲層としてのInAs/AlAs超格子を用いたエピタキシャルリフトオフ後のInP基板の一体性を保持する方法の例を示す。
【図24】図24は、本明細書に記載する実施形態による、成長用構造の例および層構成の断面を示す。
【図25A】図25Aは、図24の成長用構造の製造前の、InPウエハー表面の原子間力顕微鏡像である。
【図25B】図25Bは、本明細書に記載する実施形態による方法で図24の構造をエピタキシャルリフトオフ(ELO)およびエッチングした後の表面の原子間力顕微鏡像である。
【図26A】図26Aは、新しいInPウエハー上に成長させた第一のデバイスおよび本明細書に記載する実施形態による方法で再利用したInPウエハー上に成長させた第二のデバイスのIVプロットを示す。
【図26B】図26Bは、図26Aのデバイスに対応する電気的量子効率(EQE)プロットを示す。
【図27A】図27Aは、図26Aのデバイスに対応する短絡回路電流(ISC)を示す。
【図27B】図27Bは、図26Aのデバイスに対応する開回路電圧(VOC)を示す。
【図27C】図27Cは、図26Aのデバイスに対応する曲線因子(FF)を示す。
【図27D】図27Dは、図26Aのデバイスに対応する電力変換効率を示す。
【図28】図28は構造の概略断面図であり、本明細書に記載する実施形態によるPVデバイスの製造方法を示す。
【図29A】図29Aは、新しいInP基板のRMS値、続いて図26Aの第一および第二のデバイスのELOリフトオフ後のRMS値、保護バッファ層を使用しないELO後のデバイスのRMS値を報告する原子間力顕微鏡像を示す。
【図29B】図29Bは、50μm厚さのKapton(登録商標)シートとして冷間溶接およびELOの組み合わせにより製造したITO/InP薄膜太陽電池の配列を含む、リフトオフされた2inch直径のエピタキシャル層のイメージである。
【図30】図30は、その後の製造およびELOのInPウエハーと比較した、図24の成長用構造の製造前の新しいInPウエハーのX線電子スペクトル強度(kcounts)対接合エネルギー(eV)を示す。
【0038】
挿入:反射光エネルギー電子線回折により得られた、酸化物層を除いた、新しい基板およびELO工程後の基板の2xおよび4x表面復元パターン。
【図31】図31は、Kapton(登録商標)シートに接合されたコントロール電池と比較したときの、1sun、AM1.5Gでの太陽放射シミュレーションで測定された図7Aの第一および第二のデバイスのELO後の電流密度(A/cm2)対バイアス(V)を示す。
【0039】
挿入:当初の基板ELOおよび保護層除去後の原料基板(a)および保護層なしのELO後の基板(b)の表面モルフォロジー。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
本明細書に記載する感光性デバイスは、これに限定されないが、太陽電池、光検出器、光センサー、光伝導体、化学センサーおよび生物学的センサーが含まれる。感光性デバイスの例には、PVセルおよび/またはデバイスが含まれる。本明細書にはそれらの製造方法もまた記載されるが、その製造方法は、成長用基板上のエピタキシャル層成長および得られた電池の成長用基板からの移動が含まれ、前記基板の一体性は続けて再利用するために保持される。
【0041】
本明細書で用いられる、「層」の語は、主要な寸法がX−Yすなわち長さおよび幅であり、通常は照明の入射の面に対して垂直である、感光性デバイスの部材または要素を参照する。「層」の語は、必ずしも単一の層または材料のシートに限定されないことに留意すべきである。層は積層物または材料シートの組み合わせを含みうる。加えて、ある層の表面は、そのような層と他の材料または層との界面を含み、不完全であってもよく、その際その層は他の材料または層と互いに貫通し合い、もつれ、入り組んだネットワークを呈していてもよいことに留意すべきである。同様に、その層のX−Y方向に沿う連続性が、他の層または材料に遮られるか割り込まれるように、層は不連続であってもよいことを理解すべきである。
【0042】
本明細書では、「III−V材料」の語は、周期律表IIIA族およびVA族の元素を含む化合物結晶を参照し得る。より詳細には「III−V材料」の語は本明細書でガリウム(Ga)、インジウム(In)およびアルミニウム(Al)の族、並びにヒ素(As)、リン(P)、窒素(N)およびアンチモン(Sb)の族の組み合わせの化合物を参照する。代表的な材料は、GaAs、InP、InGaAs、AlAs、AlGaAs、InGaAsP、InGaAsPN、GaN、InGaN、InGaP、GaSb、GaAlSb、InGaTePおよびInSb並びに関連するすべての化合物が含まれ得る。「IV族」の語は、周期律表のIV欄のSiおよびGe等の半導体を含む。II−VI族は、例えば、周期律表のII族およびVI族に属するCdSおよびCdTe等の半導体を含む。ここに開示する方法は、これらの半導体の共通の集合のすべてに適用できることを理解すべきである。
【0043】
上述のように、本明細書に開示するフレキシブル光起電力デバイスは、エピ層および成長用基板を有する既存の構造を最初に提供し、または、成長用基板上にエピ層を最初に成長させることにより、製造し得る。そうすると、フレキシブルPVデバイスは以下の方法で製造され得る:
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積し、接触層を形成する工程;
金属または合金被覆されたホスト基板に接触層を接合する工程;および
前記構造からエピ層を遊離する工程。
【0044】
図1はフレキシブルPVセル等のPVデバイスの製造の概略を示している。図面、並びに、ある材料および層の相対的な大きさ/深さは、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図1の方法は、「一回反転(single flip)」法とも称され、デバイス100の選択で開始される。デバイス100は成長用基板102およびエピ層106を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス100はさらに遊離層104を含み得る。選択的に、デバイス100は成長用基板102上にエピ層106を成長させることにより準備してもよい。好適な成長法としては、例えば、ガスソース分子線エピタキシー、MOCVD(有機金属化学気相成長)/MOVPE(有機金属気相エピタキシー)、HVPE(ハイドライド気相エピタキシー)、固体ソースMBEおよび化学ビームエピタキシーを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、エピ層106は、PVデバイスに使用されるのに望ましいいかなる活性物質を含んでもよい。物質の性質に応じて、PV活性層が異なる特性および/または異なる性能レベルを示してもよい。表1は、異なる活性層を含むPVセルの出力および効率を比較するものである。
【0046】
【表1】
【0047】
いくつかの実施形態では、エピ層106は少なくとも一のIII−V材料から選択し得る。GaAs、InPおよび他のIII−V化合物はPVデバイスを含む多様な種類の光電デバイスに好適な電子材料であり得る。一般的に、あるIII−V化合物は、望ましい圧電特性および光電子光学特性、高い圧電定数および広い電子バンドギャップ(Siに対して)を有し得る。いくつかの実施形態では、あるエピ層の好ましい特性は、薄く、軽量なPVデバイスの製造を可能にし得る。いくつかの実施形態では、得られるPVデバイスは、ほんの数μmの厚さから数百μmの厚さを示し得る。例示的なデバイスでは、これらに限定はされないが、約10〜約150μm、約25〜約30μm、約10〜約25μm、および、いくつかの例では、10μm未満の最終的な厚さを示し得る。加えて、III−V材料のいくつかは、それらが誘導された二元化合物(例えば、AlxGa1−xAsおよびGaAs)と厳密に一致した格子定数を有する三元または四元の「整合した(matched)合金」として堆積され得るが、これは、デバイス性能を向上させる広範なヘテロ構造の製造を可能にする。InPの整合した合金は、InGaAs、InAlAs、InGaAsPおよびInGaAlAs等の化合物を含む。
【0048】
格子整合したGaAs化合物の非制限的な例としては、以下:In0.5Ga0.5P;In0.5Al0.5P;並びに、しばしばInGaAsP、InGaPAs、GaInAsPと略記される、(In0.5Ga0.5P)X(In0.5Al0.5P)1−Xおよび(In0.5Ga0.5P)X(GaAs)1−X等のGaAsを含む、これらの任意の組み合わせ、が含まれる。同様の名称が以下の二つの化合物:(In0.5Al0.5P)X(GaAs)1−Xおよび(In0.5Ga0.5P)Y(In0.5Al0.5P)X(GaAs)1−X−Y、にも用いられる。
【0049】
また、Geは近接して整合しており、基板としてしばしば用いられるが、その層は通常GaAsウエハー上には成長させない。
【0050】
InPの格子整合した化合物の比制限的な例としては、以下:In0.53Ga0.47As;In0.52Al0.48As;GaAs0.5Sb0.5;AlAs0.5Sb0.5 および(In0.53Ga0.47As)X(In0.52Al0.48As)1−X等のInPを含む上記の他の任意の組み合わせ;(In0.53Ga0.47As)X(In0.52Al0.48As)Y(InP)1−X−Y;(In0.53Ga0.47As)W(In0.52Al0.48As)X(GaAs0.5Sb0.5)Y(AlAs0.5Sb0.5)Z(InP)1−W−X−Y−Z、が含まれる。
【0051】
一実施形態では、低濃度の窒化物を化合物に少量の窒素(0〜5%)を添加することにより用いることができる。この実施形態では、InまたはSb等の他の物質を、格子整合を維持するために添加する必要がある。このことは、格子を整合させつつ、低いバンドギャップ材料を製造するのに有用な場合がある。
【0052】
エピ層106は、異なる材料の「スタック」を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、エピ層106は異なるIII−V材料のスタックを含み得る。スタックの例としては、InGaAs/InP、InGaAs/InP/InGaAs、GaAs/InGaP、InP/InGaAlAs、GaAs/InGaAs、AlGaAs/GaAs、InP/InGaAs/InGaAs、InP/InP/InAlAsおよびInP/GaAs/InGaAsを含み得る。例示的なスタックは、交互層の「超格子」を含み得る。超格子の例は、InAs/AlAsの交互層を含み得る。
【0053】
さらに、エピ層106は、「歪み層」として知られる格子不整合層として堆積し得る。格子不整合材料はGaAs/AlGaAs等の格子整合材料と比較して異なる成長モードを示し得る。例示的な格子不整合層は、GaAs上のInAsを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、エピ層106はドープされていてもよい。好適なドーパントとしては、ベリリウム(Be)、Mg(および他のIIA族)、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、O、S、SeおよびTeを含み得る。例えば、エピ層106は、Be等のドーパントでスタックの各物質が軽くドープされた、InGaAs/InPまたはInGaAs/InP/InGaAsスタックを含み得る。
【0055】
成長用基板102はどのような数の材料を含んでもよく、それらには単結晶ウエハー材料が含まれる。いくつかの実施形態では、成長用基板102は、これらに限定はされないが、ゲルマニウム(Ge)、Si、GaAs、InP、GaN、AlN、SiC、CdTe、サファイヤおよびこれらの組み合わせから選択された材料を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102はGaAsを含む。いくつかの実施形態では、成長用基板102はInPを含む。いくつかの実施形態では、成長用基板102を含む材料はドープされていてもよい。好ましいドーパントとしては、これに限定はされないが、亜鉛(Zn)、Mg(および他のIIA族化合物)、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、O、S、Se、Te、FeおよびCrを含み得る。例えば、成長用基板102は、Znおよび/またはSでドープされたInPを含み得る。特に指摘しない限りは、例えばInPを含む層を参照したときは、ドープされていない形態およびドープされた形態(例えば、p−InP、n−InP)のInPを含むことが理解されなければならない。好ましいドーパントは、例えば、基板の半絶縁性の性質またはその中に存在する欠陥に応じて選択すればよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、遊離層104はエッチング停止層を含み得る。いくつかの実施形態では、遊離層104は、これらに限定はされないが、AlGaAs、InGaAs/InAlAsおよびInGaAs、AlAs、InGaP、InAlP、InGaAlAsおよびInP等の、エピタキシャルリフト工程で使用するのに好適などのような材料からも選択し得る。
【0057】
ある遊離層(例えば、エッチング停止層)および/または遊離物質は、エッチング停止層を参照する別個の表示がなくとも、エピ層106に組み込まれ得ることが理解されるべきである。例えば、「GaAs/AlGaAs」構造を有するデバイスは、単一のGaAs/AlGaAsエピ層スタックとして参照され得る。そうでなければ、そのような構造は、一層以上(例えば、GaAsエピ層およびAlGaAsエッチング停止層)を有すると記載され得る。同様に、「InGaAs/InP/InGaAs」構造は、InGaAs/InP/InGaAsエピ層スタック、またはInGaAs/InPエピ層スタックおよびInGaAsエッチング停止層として記載され得る。
【0058】
図1に示される具体的な層の配列および材料は、例示に過ぎず、これに限定することを意図するものではない。例えば、いくつかの層(例えば遊離層104)は省略してもよい。他の層(例えばポリマー層、接合および活性層)を追加してもよい。層の順序も入れ替え得る。具体的に記載した以外の配置も使用し得る。
【0059】
図1に示す方法の第一の段階では、接触層がデバイス100のエピ層106の表面上に堆積される。好ましい接触層は、これらに限定はされないが、金(Au)、チタン(Ti)、白金(Pt)およびゲルマニウム(Ge)等の材料を含む。いくつかの実施形態では、接触層はAuである。他の好ましい接触層は、合金およびこれらの材料のスタックを含み得る。例えば、エピ層106上の接触層は、Ti/Pt/AuまたはGe/Auスタックを含み得る。接触層は、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、化学気相成長法(CVD)、パルスレーザー堆積法(PLD)および、スパッタリング法、熱蒸発またはEビーム蒸発法等の他の物理蒸着法を含む、この分野で適用される好ましい方法のいずれを用いても、エピ層106上に堆積される。
【0060】
エピ層106への接触層の堆積においては、エピ層106はホスト基板110に接合され、中間構造108を形成する。いくつかの実施形態では、ホスト基板110は、エピ層106上に堆積される接触層として選択されるものと同様の物質で被覆され得る。そのような被覆は、ホスト基板110へのエピ層106の接合を補助するために有効である場合がある。例えば、エピ層106の接触層は、ホスト基板110がAuで被覆される一方で、Auを含み得る。いくつかの実施形態では、好ましい接合方法は、冷間接合(cold bonding)、多種の接着方法、ワックス(例えばブラックワックス)、フォトレジスト、シルバーペイント(silver paint)、陽極接合、およびこの分野で知られる他の接合方法を含み得る。一実施形態では、冷間接合は、冷間圧接を含み得る。冷間圧接では、二層の金属層の間に形成される接触に、単に軽い圧力をかけることにより、最終的に接合する。本開示に関連する冷間圧接の技術に関しては、参照によりここに組み入れる、米国特許第6、895、667号明細書で議論されている。
【0061】
フレキシブルPV製品を作製する努力において、エピ層106を薄膜のかつ/またはフレキシブルなホスト基板に移動することが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、ホスト基板110は少なくとも一のポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエステルおよびポリイミドから選択され得る。いくつかの実施形態では、好適なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが含まれ得る。使用し得る市販のポリエステルの非制限的な例としては、Mylar(登録商標)が挙げられる。使用し得る市販のポリイミドの非制限的な例としては、Kapton(登録商標)が挙げられる。
【0062】
一旦中間構造108が形成されれば、エピ層106は成長用基板102から移動し得る。いくつかの実施形態では、中間構造108から成長用基板102を除去するには、HF等のエッチング液を用いることにより行われ得る。他の好ましいエッチング液としては、リン酸(H3PO4)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、過酸化水素(H2O2)およびこれらの組み合わせが含まれ得る。例えば、好ましいエッチング液の組み合わせとしては、H3PO4:HClおよびH2SO4:H2O2:H2O、およびHF:H2O2:H2Oが含まれ得る。いくつかの実施形態では、中間構造はさらに遊離層104を含み得る。遊離層104は、適当なエッチング停止材料を含み、これによりエピ層106が遊離層104の水平なエッチングにより成長用基板102から分離され得る。
【0063】
成長用基板102の除去により、デバイス112が得られる。成長用基板102の除去の際には、エピ層106の露出した表面上に、最上部接触がバターン化されてもよい。好ましい最上部接触は、これらに限定はされないが、酸化スズ(TO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、酸化亜鉛(ZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO)およびアルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)、酸化ニッケル(NiO)等の酸化物、およびカーボンナノチューブ(CNT)を含み得る。いくつかの実施形態では、酸化物はドープされていてもよい。いくつかの実施形態では、市販のITO(接触)上に堆積されるガラスまたはプラスチック等の、透明基板および抵抗電極(resistive electrode)の組み合わせが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、接触はITOである。
【0064】
ポリエステル(例えば、Mylar(登録商標)およびポリイミド(例えばKapton(登録商標))等の材料がホスト基板110として選択されるときは、得られるデバイス112は、保管、輸送および配置の簡便な方法に適した、軽量でフレキシブルなPVセルを提供し得る。この様な材料の使用は、得られる電池の重量を減少させ、ワット/グラム比の大きいPVデバイスを作製を可能にし、それらは、宇宙応用および無人航空機(UAV)等の重量制限される技術に有用であり得る。
【0065】
上述のように、別の実施形態では、本明細書に記載するフレキシブルPVデバイスは、最初にエピ層および成長用基板を有する既存の構造を提供することにより、または、最初に成長用基板上にエピ層を成長させることにより、製造し得る。その際、フレキシブルPVデバイスは、
前記エピ層上に少なくとも一の最上部接触をパターニングする工程;
前記エピ層をキャリア基板に取り付ける工程;
前記エピ層を前記成長用基板から遊離する工程;
少なくとも一部のエピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積し、接触層を形成する工程;
前記エピ層を金属または合金被覆されたホスト基板に接合する工程;および
前記エピ層からキャリア基板を除去する工程、によって製造し得る。
【0066】
他の選択的な実施形態では、パターニング工程は、このプロセスの最初の工程がエピ層 をキャリア基板に固定する工程を含むように、代わりに最後に(例えば除去工程の後)行われてもよい。
【0067】
図1と同様に、図2はあるPVデバイス製造の概略図を示している。図2の方法は、概略的に「二回反転(double flip)」法と称されるものである。図1と同様に、デバイス100は、成長用基板102およびエピ層106を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス100はさらに遊離層104を含み得る。特に指摘しない限りは、図2に概略を示す方法の好ましい材料は、図1についての上記の説明に含まれ得る。
【0068】
図2の最初の工程では、デバイス100が提供される。デバイス100は既存の光電デバイスであり得る。選択的に、デバイス100は、エピ層を成長用基板102上に成長させることにより準備することができ、これは、上記での議論に含まれる任意の好ましい方法によって実施され得る。
【0069】
次に、デバイス100のエピ層106上に、最上部接触をパターニングし得る。エピ層106は、その後キャリア基板204に固定し、中間構造202を形成し得る。いくつかの実施形態では、キャリア基板204は、単結晶ウエハー等のウエハー材料を含み得る。いくつかの実施形態では、キャリア基板204は非ウエハー基板を含み得る。例えば、キャリア基板204は、ブラックワックス等のロウ引き基板を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス100は少なくとも一の結合剤を用いてキャリア基板204に固定し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一の結合剤は、これらに限定はされないが、多種のフォトレジスト、ブラックワックス、およびパラフィン等の好ましいワックスおよび溶解し得る接着剤から選択され得る。
【0070】
一旦中間構造202が形成されれば、エピ層106は成長用基板102から移動でき、中間構造206を形成する。いくつかの実施形態では、成長用基板102の除去は、図1について上記したものと同様の方法で行われ得る。中間206の形成により、パターニングされた最上部接触はエピ層106およびキャリア基板204の間に位置し得る。接触層はエピ層106の露出表面上に堆積され得る。
【0071】
次の工程では、中間構造206のエピ層106は、ホスト基板110に接合し、中間構造208を形成し得る。図1において開示した方法と同様に、図2のホスト基板110は、エピ層106上に堆積される接触層と同様の材料を含む被覆を含み得る。これは、ホスト基板110をエピ層106に接合する際に助けとなり、接合は、冷間接合、多種の接着技術、ワックス(例えばブラックワックス)、フォトレジスト、シルバーペイント、陽極接合、およびこの技術分野で公知の他の接合技術等の公知の方法によって達成され得る。
【0072】
中間構造208の形成の際、キャリア基板204は加熱(ワックス溶融のための)または溶媒(例えばアセトン)へのワックス溶解等の公知の方法により除去され、デバイス112を得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、図1および2に示される方法を通して作製されたデバイスに追加層を加えることが好ましい場合がある。例えば、デバイス112のエピ層106に追加層を追加することが好ましい場合がある。図3は、層302をエピ層106に追加し、デバイス304を形成する様子を表している。いくつかの実施形態では、層302は、ホスト基板110によって提供される構造的な支持を補強するフレキシブル材料を表し得る。したがって、いくつかの実施形態では、層302はポリマーを表し得る。いくつかの実施形態では、層302およびホスト基板110の両方は重合性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエステルおよびポリイミドから独立に選択し得る。いくつかの実施形態では、好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリエステルはMylar(登録商標)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリイミドはKapton(登録商標)を含み得る。
【0074】
さらに別の実施形態では、エピタキシャルリフトオフによりエピ層を遊離した後、成長用基板の平滑性を維持する方法が開示される。例示的な方法は、図22および23で概略が示されるものを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、例えば犠牲層および成長用基板等の少なくとも三の積層を有する構造からのエピ層の移動を含み、この方法において、第一の犠牲層はエピ層を構造から遊離するためにエッチングされ、第二および第三の層は、平滑な成長用基板を得るためにエッチングされる。いくつかの実施形態では、第二の犠牲層は、「ダミー」層として参照され得る。他の実施形態では、三以上の犠牲層を有する構造からエピ層を除去することが好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、その構造は最初のエッチング工程で除去され、それにより最終的にエピ層を除去することになる複数の犠牲層を有する超格子を含み得る。続くエッチング工程は、第一のエッチング工程で除去されなかった追加の犠牲層(例えばダミー層)を除去するために使用することができ、保持された平滑性および再利用に好適な成長用基板を得ることができる。ここで用いられるように、「犠牲層」の語は、一以上の遊離、ダミーおよび/または保護層を記載するかまたは参照するために用い得る。
【0075】
上述のように、フレキシブルPVデバイスおよび本明細書に記載する成長方法は、最初にエピ層および成長用基板を有する既存の構造を提供するか、または、最初に成長用基板上にエピ層を成長させることにより達成し得る。このようにすると、本方法の目的である、遊離のプロセスが下地の基板を非破壊とすることにより、成長用基板は多数回の再利用のために遊離される。いくつかの実施形態では、この方法は、以下:
少なくとも一の成長用表面のある成長用基板;電池;犠牲層;第一の保護層;および第二の保護層、を有する構造を提供する工程、ここで、犠牲層および第一の保護層および第二の保護層は前記成長用基板および前記電池の間に配置され;
エッチング液で犠牲層をエッチングすることにより電池を遊離する工程;
エッチング液で第二の保護層をエッチングすることにより第二の保護層を除去する工程;および
エッチング液で第一の保護層をエッチングすることにより第一の保護層を除去する工程、を含む。
【0076】
図20は、エピ層/電池構造の積層からの成長用基板の除去を含む、あるPVデバイスの作製の概略を示す。図20の方法は、構造400の選択で開始され得る。構造400は成長用基板102および電池404を含み得る。電池404は、いくつかの異なる半導体合金等のエピ層、接触層、基板および中間層の多層膜を含む、成長後の完全に開発された電池を表し得ることを理解すべきである。また、エピ層106について上記した一以上の好ましい材料を含む単一のエピ層等の一以上の成長層を単に含む場合もあることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、電池404は、光を電気に変換するのに必要とされる、光学的および電気的に活性な半導体層を含むPVセル構造である。
【0077】
成長用基板102は、単結晶ウエハー材料を含む、任意の数の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102は、上記の材料から選択し得る。
【0078】
構造400は、さらに犠牲層405、第一の保護層408および第二の保護層406を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102および第二の保護層406は同様の材料を含み得る。これらの材料は、例えば、GaAsおよびInPから選択され得る。いくつかの実施形態では、その材料がGaAsであるとき、第一の保護層408は、InGaPおよびAlGaAsから選択され得る。いくつかの実施形態では、その材料がInPであるとき、第一の保護層408はInGaAsを含み得る。いくつかの実施形態では、全てのエピ層が基板と格子整合しているか、または、多数の転位(dislocation)または他のモルフォロジー欠陥をもたらす臨界の厚さ未満であると推測される。
【0079】
いくつかの実施形態では、構造400はさらに第一の保護層408および成長用基板102の間に配置される少なくとも一のバッファ層を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102、第二の保護層406およびバッファ層はInP等の同様の材料を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載する層はドープされていてもよい。例えば、InPを含む層を参照するときは、ドープされていない形態およびドープされた(例えばp−InP、n−InP)形態のInPを包含することが推測されるべきである。好ましいドーパントは、これらに限定はされないが、ベリリウム(Be)、Mg(および他のIIA族)、Zn、Cdのp型ドーパント、C、Si、Geの二極性ドーパント並びにSn、S、SeおよびTeのn型ドーパントが含まれ得る。
【0081】
図20に示される具体的な層の配置および材料は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。例えば、いくつかの層(少なくとも一のバッファ層等)はなくてもよい。他の層(ポリマー層、接合および活性層等)が追加されてもよい。層の順序は入れ替えてもよい。具体的に記載された以外の配置を使用してもよい。
【0082】
図20の最初の工程では、構造400、犠牲層405はエッチング液にさらし、それによりエッチングが開始され、部分的にエッチングされた犠牲層405を有する中間構造412が得られる。いくつかの実施形態では、犠牲層405はAlAsを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、図21に例示されるように、構造500はInAs/AlAs等の「超格子」を表す犠牲層405を含むことができ、犠牲層405の初期のエッチングは、超格子のAlAs層の部分的なエッチングをもたらし、構造502の部分的にエッチングされた犠牲層405が得られる。中間構造412および502のエッチングの完了により、電池204は遊離され構造414が得られる。いくつかの実施形態では、中間構造412または502からの成長用基板102の除去は、HF等のエッチング液を用いることにより達成される。他の好ましいエッチング液は、リン酸(H3PO4)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、過酸化水素(H2O2)、硝酸(HNO3)、クエン酸(C6H8O7)およびそれらの組み合わせを含み得る。例えば、好ましいエッチング液の組み合わせは、H3PO4:HCl、H2SO4:H2O2:H2OおよびHF:H2O2:H2Oを含み得る。
【0084】
構造414は、第一の保護層408、第二の保護層406、成長用基板102および選択的に少なくとも一のバッファ層を含む。図20の次の工程では、第二の保護層406はエッチング液を用いてエッチングすることにより除去される。好ましいエッチング液は、上記で議論したものを含み得る。例えば、GaAs第二の保護層はH2SO4:H2O2エッチング液で除去し得る。InP第二の保護層は、例えば、H3PO4:HClエッチング液で除去し得る。第二の保護層406の移動により構造416が得られる。いくつかの実施形態では、構造416から第一の保護層408をエッチングし、成長用基板102を得ることが望ましい場合がある。例えば、InGaP第一の保護層はH3PO4:HClエッチング液を用いてGaAs成長用基板からエッチングし除き得る。
【0085】
上述のように、いくつかの実施形態では、構造400はさらに犠牲層405および成長用基板102の間に位置する少なくとも一のバッファ層を含み得る。いくつかの実施形態では、バッファ層は成長用基板102および第一の保護層408の間に配置し得る。いくつかの実施形態では、バッファ層は成長用基板の成長用表面上に直接堆積させ、第一の保護層はバッファ層の成長用表面上に直接堆積させる。第一の保護層および成長用基板が同じ材料を含む場合には、少なくとも一の追加層を単に移動し「バッファされた(buffered)」成長用構造を得ることが望ましい場合がある。例えば、InGaAs追加層は、構造416からエッチングされ、InPバッファ層およびInP成長用基板を含むバッファされた成長用基板を得ることができる。
【0086】
成長用基板/バッファされた成長用基板を遊離することは、ウエハーの連続する再利用を可能にする非常に平滑な表面をもたらし得る。いくつかの実施形態では、第一の保護層408の除去後のバッファ層は、構造400の作製中の第一の保護層の堆積に先立つ成長用基板102の成長用表面よりも平滑である。いくつかの実施形態では、成長用基板の成長用表面は、第一の保護層の堆積に先立ち、RMS(粗さ測定システム(Roughness Measurement System))が、約0.32nm等、約0.25〜約0.35nmの値を示す。いくつかの実施形態では、バッファ層の成長用表面が、第一の保護層の除去後に、RMSが0.16nm等の約0.10〜約0.20nmの値を示す。いくつかの実施形態では、バッファされた成長用基板が、研磨剤による研磨の必要なしに多数回再利用し得る。
【0087】
しかしながら、いくつかの実施形態では、バッファされた成長用基板をさらに超音波処理することが好ましい場合がある。超音波処理は、残留している表面のどのような特徴および/または欠陥も取り除くために実施し得る。例えば、いくつかの実施形態では、エッチング後に残っているどのような残留InGaAsもバッファされたInP成長用基板から除去することが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、超音波処理は、クエン酸:H2O2等の適当な酸溶液と共に行われ得る。
【0088】
図28は、あるPVデバイス、フレキシブルPVセル等の作製の概略を示している。図28の方法は、「一回反転」法として参照され得るが、成長用基板102の選択から開始することができる。最初の工程では、第一の保護層408、第二の保護層406、犠牲層405およびエピ層404が順に堆積され、構造400が得られ得る。好ましい成長方法は、例えば、ガスソース分子線エピタキシー、MOCVD(有機金属化学気相成長)/MOVPE(有機金属気相エピタキシー)、HVPE(ハイドライド気相エピタキシー)、固体ソースMBEおよび化学ビームエピタキシーを含み得る。いくつかの実施形態では、エピ層404はPVデバイス中での使用に好適な任意の活性材料を含み得る。材料の性質に応じて、PV活性層は異なる特性および/または性能レベルを示し得る。表1(上記)は異なる活性層を含むPVセルの出力および効率を比較している。
【0089】
いくつかの実施形態では、電池(エピ層)404はエピ層106として上記で説明した少なくとも一の材料から選択し得る。
【0090】
ある遊離層(例えばエッチング停止層)および/または遊離物質は、エッチング停止層への参照が別途明記されていなくとも、エピ層404に組み込まれることを理解するべきである。例えば、「GaAs/AlGaAs」構造を有するデバイスは、単一のGaAs/AlGaAsエピ層スタックを参照し得る。そうでなければ、一以上の層(例えば、GaAsエピ層およびAlGaAsエッチング停止層)を有するそのような構造として記載され得る。同様に、「InGaAs/InP/InGaAs」構造は、InGaAs/InP/InGaAsエピ層スタックとして記載され、または、InGaAs/InPエピ層スタックおよびInGaAsエッチング停止層として記載され得る。
【0091】
図28に示される本方法の次の工程は、構造600を、接触層をエピ層404の表面上に堆積することにより作製する。好ましい接触層およびそれらの作製は、図1について上記したものを含み得る。
【0092】
エピ層404への接触層602の堆積に際して、エピ層404はホスト基板604に接合され中間構造606を形成する。いくつかの実施形態では、ホスト基板604は、エピ層404上に堆積される接触層として選択されるものと同様の、金属または合金等の材料で被覆されていてもよい。そのような被覆は、エピ層404をホスト基板604に接合する補助として効果的であり得る。例えば、エピ層404の接触層は、Au、Ag、PtまたはPdを含み得る一方で、ホスト基板604は同じ金属で被覆される。いくつかの実施形態では、好ましい接合技術としては、エピ層106およびホスト基板110の接合について上記したものを含み得る。しかしながら、ある背景では、成長用基板を遊離した後に、ホスト基板604をエピ層404に接合することが好適である場合がある。
【0093】
フレキシブルPV製品を開発する努力において、エピ層404を薄いかつ/またはフレキシブルホスト基板に移動することが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ホスト基板604は少なくとも一のポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエステルおよびポリイミドから選択され得る。いくつかの実施形態では、好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含み得る。使用し得る、市販のポリエステルの非制限的な例としてはMylar(登録商標)が含まれる。使用し得る、市販のポリイミドの非制限的な例としてはKapton(登録商標)が含まれる。
【0094】
一旦中間構造606が形成されれば、エピ層404は成長用基板102から移動し得る。いくつかの実施形態では、中間構造606からの成長用基板102の除去は、HF等のエッチング液を用いた犠牲層404の選択的エッチングによって達成し得る。他の好ましいエッチング液は上記で議論した通りである。犠牲層404の部分的エッチングにより中間構造608が得られ、次いで完全な水平方向のエッチングが行われる。
【0095】
保護層を伴う成長用基板102の除去によりデバイス610が得られる。最上部接触がデバイス610のエピ層404の露出表面上にパターニングされ得る。好ましい最上部接触はデバイス112について上記したものを含み得る。
【0096】
ポリエステル(例えばMylar(登録商標))およびポリイミド(例えばKapton(登録商標))等の材料がホスト基板604として選択されたときは、ホスト基板110について上記したもの等の、得られるデバイス610が保管、輸送および配備の簡便な方法に好適な、軽く、フレキシブルなPVセルを呈し得る。このような材料を使用することで、得られる電池の重量を減少させ、ワット/グラム比の大きいPVデバイスの作製を可能にし、それらは、宇宙応用および無人航空機(UAV)等の重量制限される技術に有用であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、残っている成長用基板は第二の保護層406および第一の保護層408を選択的エッチングで除くことにより、再利用のために準備し得る。いくつかの実施形態では、構造400は、成長用基板102および第一の保護層408の間に配置されるバッファ層をさらに含み得る。再利用のための成長用基板の準備は、ここに記載する実施形態に一致する方法で達成し得る。
【0098】
本発明は、純粋に本発明の例示として意図される、以下の比制限的例により、より明確にされる。
【実施例】
【0099】
実施例
図4Aは、InP/InPスタックエピ層およびInP成長用基板を有する例示的なコントロールデバイスの構造を示す。このデバイスは、ITO最上部接触およびZn/Au接触層と共にInAlAsエッチング層をも有している。図4Bは図1に概略を示す方法により作製されたデバイスを表している。図4Bのデバイスは、エピ層としてInP/InGaAs/InGaAsスタックおよびKapton(登録商標)ホスト基板を有するデバイスを表している。このデバイスは、ITO最上部接触および接触層としてTi/Pt/Auスタックをも有している。
【0100】
図5Aは、図5Bに示す図4Bのデバイスについての結果と比較した、図4Aのコントロールデバイスについて、光強度(sun)に対する電力効率(%)を表している。図6Aは、図6Bに示す図4Bのデバイスについての結果との比較として、図4Aのコントロールデバイスについて、光強度(sun)に対する開回路電圧(VOC)を示している。図7Aは、図7Bに示す図4Bのデバイスについての結果の比較として、図4Aのコントロールデバイスについて光強度(sun)に対する曲線因子(%)を表している。
【0101】
図8Aは、それぞれBeがドープされた、InGaAs/InPスタックエピ層およびInGaAsエッチング停止層を有する例示的なコントロールウエハーの構造を描いている。このウエハーは、ZnでドープされたInP基板をも有している。このウエハーはガスソース分子線エピタキシーによってInP基板上に成長させることにより製造された。エピ層スタックのベース層となっているのはpがドープされた3.0μm厚さのInP層である。エピ層の最上部側は、得られるフレキシブルPVデバイスのp型ohmic接触の場所を提供する多量にBeがドープされた格子整合InGaAs層を含む。
【0102】
図8Bの例示的なフレキシブルPVデバイスは、図8Aに示すウエハーのエピ層の上面(InGaAs)および125μm厚さのKapton(登録商標)シート両方の上に、p金属(Ti/Pt/Au)を電子線蒸着させることから開始される、「一回反転」法によって作製した。図8Aのウエハーを350°Cで90秒間アニーリングした後、InGaAs層の最上部を反転させ、ウエハーをシルバーペーストを介して被覆Kapton(登録商標)上に載置した。InP基板およびInGaAsエッチング停止層は、それぞれ、リン酸/塩酸(H3PO4:HCl=1:3)、および硫酸/過酸化水素(H2SO4:H2O2:H2O=1:1:10)溶液を用いて除去した。150nm厚さのITO接触層および約0.00785cm2の面積をシャドーマスクを通してスパッタリングし、その結果図8BのフレキシブルPVデバイスを得た。
【0103】
図8Cは、Znドープされたp型(100)InP基板上にガスソース分子線エピタキシーによって成長させた例示的なコントロールウエハーを表している。この構造は、0.375μm厚さのp型(5x1016cm−3)InPバッファ層、0.25μm厚さの格子整合したBeドープ(5x1016cm−3)p型In0.53Ga0.47Asエッチング停止層、2.0μm厚さの少量でpドープされた(5x1016cm−3)InP吸収層、および最後に0.3μm厚さの格子整合したBeドープ(1x1019cm−3)p型InP Ohmic接触層、からなる。
【0104】
図8Dの例示的なフレキシブルPVデバイスは、図8Cに示すウエハーのエピ層の最上部InP接触および25μm厚さのKapton(登録商標)シートの両方に(各厚さ300Å)、p金属接触(Pt−Au)を電子線蒸着することから開始する、「一回反転」法によって作製した。電子線蒸着後、ウエハーはp接触側を下にして、Pt/Au被覆Kapton(登録商標)シートに、50MPaの圧力を60秒間印加するMTS Alliance RT/100 Testing Systemを用いた冷間圧接により載置した。InP基板および連続するIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層は、その後H3PO4:HCl=1:3溶液を用いて、次にH2SO4:H2O2:H2O=1:1:10を用いて除去した。これらの溶液を用いたエッチング速度は、それぞれ、InPに対しては約3μm/minおよびIn0.53Ga0.47Asに対しては約0.2μm/minである。最後に、シャドーマスクによって決められた0.785mm2の面積の150nm厚さのインジウムスズ酸化物(ITO)Schottkyダイオード接触が基本圧力2x10−6torr、RF出力40W、および堆積速度0.2Å/secでスパッタリングされ、その結果図8DのフレキシブルPVデバイスを得る。
【0105】
図9Aは、図8Aのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での電流密度/電圧 特性を表している。図9Bは、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での、図8Cのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8DのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電流密度/電圧 特性を表している。図10Aは、波長650nmおよび1100nmの間の、図8Aのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス両方のEQE特性を表している。図10Bは、AM1.5太陽スペクトル全体に亘る、図8Cのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8DのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のEQE特性を表している。図11A〜Dは、図8Aのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の、多様な太陽強度下での曲線因子、VOC、電流密度および電力効率を示している。図11Eおよび11Fは、図8DのフレキシブルPVデバイスおよび図8Cのコントロールウエハーの、曲線因子、VOC、電流密度および電力効率、をそれぞれ表している。
【0106】
図12AおよびBは、圧縮および引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対曲げ半径を示している。図12CおよびDは、圧縮および引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電流密度対曲げ半径を示している。図13AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対太陽光強度を示している。図14AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスのVOC対太陽光強度を示している。図15AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスの曲線因子対太陽光強度を示している。図16AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスの応答性対太陽光強度を示している。
【0107】
図17AおよびBは、図13〜16に示した応力のすべてを印加した後の図8BのフレキシブルPVデバイスの画像を示している。
【0108】
図18は、引張および圧縮応力を印加した後の、図8Dで示されるフレキシブルPVデバイスの性能を示している。
【0109】
図19では、図8Dで表されるフレキシブルPVデバイスの性能を、異なるデバイスと比較している。
【0110】
図20は、AlAs犠牲層を用いたエピタキシャルリフトオフ後に、GaAs基板の平滑性を保持する例示的な方法を表している。
【0111】
図21は、犠牲層としてInAs/AlAs超格子を用いたエピタキシャルリフトオフ後に、InP基板の平滑性を保持する例示的な方法を表している。
【0112】
図24は、以下の方法で作製された、例示的な成長用構造の断面を表している。エピタキシャル層はガスソース分子線エピタキシー(GSMBE)により、Sドープされた(100)InP基板上に、0.2μm厚さのInPバッファ層から始めて、成長させた。その後、0.1μm厚さの格子整合したIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層、続いて、1.5μm厚さのInP保護層を成長させた。ここで、親のウエハーから後に活性層を分離するために、エッチングにより除かれる、10nm厚さのAlAs犠牲層を成長させる。次に、第二の1.5μm厚さのInP保護層を成長させ、続いて0.1μm厚さの格子整合したIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層を成長させ、その後、0.1μm厚さの少量のBeがドープされた(3x1018cm−3)InP Ohmic接触層を伴う3.0μm厚さの少量Beがドープされた(3x1016cm−3)InPベース層からなる活性領域を成長させる。第二の成長では、InPバッファ層の厚さは、表面を平滑にするため、0.2μmから2μmに増加させた。他のあらゆる点において、第一および第二の再成長させたエピタキシャル構造は実質的に同様である。
【0113】
成長の直後に、100Å厚さのCr接着層、続いて600ÅのAu接触層が50μm厚さのKapton(登録商標)シート上にスパッタリングされ、600ÅのAu層が、多量にpドープされたInPエピタキシャル層上に電子線蒸着により堆積された。
【0114】
金属堆積の後、ウエハーはAu側を下にしてプラスチックシートに載置し、10MPaの圧力を60秒間MTS Alliance RT/100 Testing systemを用いて印加することにより冷間圧接を行う。この方法は、あるゆる目的のために全体を参照により本明細書に組み入れる、PlosslらによりMat.Sci.Eng.R. 25、1(1999)に記載された方法と一致する。その後、Kapton(登録商標)シートは、回転可能な直径7.5cmのテフロン(登録商標)ロッドにKapton(登録商標)テープで取り付け、HF:H2O(1:10)のエッチング溶液に浸漬した。ELOプロセスを促進するため、13gの重りをプラスチック基板上に載置し、テフロン(登録商標)ロッドをウエハーにかかる外力を一定にするために回転させ、一方でエピタキシャル層および基板の間のギャップがエッチングが進行するにつれて増加する。このことは、プロセスを通して、エピ層/基板界面を常に新しいエッチング液に接触させることになる。
【0115】
ELO完了後、最初のInP基板上のAu残留物は、エッチング(エッチング液タイプTFA、Transene社製)により除去される。基板および太陽電池双方の上のInP保護およびIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層はそれぞれ、H3PO4:HCl(1:3)およびH2SO4:H2O2:H2O(1:1:10)中のエッチングにより、選択的に除去された。続いて、クエン酸:H2O2(20:1)を残っているIn0.53Ga0.47Asを完全に除去するために用いた。新しく露出したInP基板表面は、加熱したトリクロロエチレン、アセトン、および加熱したイソプロパノールに順次浸漬して脱脂し、UV/オゾンに10分間曝すことにより意図的に酸化物を生成させた。この基板は、GSMBEチャンバー内に戻し、脱気した。二番目の太陽電池を最初の親基板上に上記と同様の手順を用いて成長させ、冷間圧接およびELOの二回目を行った。
【0116】
ITO/InP Schottky接合を製造するために、UV/オゾンに7分間曝すことで表面汚染物質を除去し、薄い不動態化された自然の酸化物を形成する。ITOは直径1mmの開口列を有するシャドーマスクを通して、速度0.3A/sのスパッタリングにより堆積する。コントロールの、同様のエピタキシャル構造を有する、Kapton(登録商標)シート上に冷間圧接された薄膜ITO/InP太陽電池が、あるゆる目的のために全体を参照により本明細書に組み入れる、ShiuらによりAppl.Phys.Lett.95、223503(2009)に以前記載されたように、完全な基板除去を介して、製造された。太陽電池の特性化は、AM1.5Gでのシミュレーション照射下で行われた。
【0117】
図25Aは、図24の成長用構造の作製前のInPウエハー表面の原子間力顕微鏡像である。
【0118】
図25Bは、上記したように、図24の構造のエピタキシャルリフトオフ(ELO)およびエッチング後の、InPウエハー表面の原子間力顕微鏡像である。
【0119】
図26Aは、新しいInPウエハー上に成長させた一回目のデバイスおよびここに記載する実施形態に一致する方法で製造された、再利用のInPウエハー上に成長させた二回目のデバイスのIVプロットを示している。
【0120】
図26Bは図26Aのデバイスに対応する電気的量子効率(EQE)を示している。
【0121】
図27Aは図26Aのデバイスに対応する短絡回路電流(ISC)を示している。
【0122】
図27Bは図26Aのデバイスに対応する開回路電圧(VOC)を示している。
【0123】
図27Cは、図26Aのデバイスに対応する曲線因子(FF)を示している。
【0124】
図27D図26Aのデバイスに対応する電力変換効率を示している。
【0125】
図29Aは、新しいInP基板のRMS値、続いて図26Aに示す第一および第二のデバイスのELOリフトオフ後のRMS値、および保護バッファ層を使用しないELO後のデバイスのRMS値を示す顕微鏡像を表している。
【0126】
図29Bは、ELOおよび50μm厚さのKapton(登録商標)シートへの冷間圧接接合の組み合わせによって製造されたITO/lnP薄膜太陽電池の配列を含む直径2インチのリフトオフされたエピタキシャル層の画像である。
【0127】
図30は、製造およびELO後のInPウエハーと比較した、図24の成長用構造製造前の新しいInPウエハーの強度(k counts)対結合エネルギー(eV)を示している。
【0128】
図31は、1sun強度、AM1.5Gの太陽光シミュレーションで測定した、第一および第二のELO工程を経た、並びにコントロールの、ITO/lnPおよびKapton(登録商標)シートに接合した太陽電池の電流密度対電圧特性を示している。
【0129】
挿入:(a)ELOおよび保護層除去後、並びに(b)保護層なしのELO後、の最初の基板の表面モルフォロジー。
【0130】
ここに記載するコントロールは、図31に示すデータを含むが、リフトオフを使用する代わりにウエハー全体のエッチングにより製造された。この工程は、参照によりここに組み入れる、K.T.Shiu、J.Zimmerman、H.Y.WangおよびS.R.Forrestによる論文、”Ultrathin film、 high specific power InP solar cells on flexible plastic substrates”、Applied Physics Letters 95、 223503、(2009)に記載されている。
【0131】
コントロール電池と比較した、図7Aに示す第一および第二デバイスのELO後の、AM1.5Gでの太陽スペクトルシミュレーション下でのデバイス性能、−1V(JD)での暗電流、理想係数(n)および暗所での直列抵抗率(Rs)、の比較を表2に示す。
【0132】
【表2】
【0133】
実施例以外にも、特に指摘しない限りは、明細書および特許請求の範囲で使用した配合量、反応条件、分析測定等を示すすべての数値は、すべての場合に、「約」の語によって、変更し得ることが理解される。したがって、逆の指摘をしない限りは、本明細書および添付の特許請求の範囲に規定する数値パラメータは、本開示によって得られる所望の特性に応じて変化させ得る概算である。最低限でも、特許請求の範囲の範囲と同等の規定に本発明を制限することを意図しないものとして、各数値パラメータは、有効数字および通常の四捨五入方法に照らして解釈すべきである。
【0134】
広い範囲の開示である数値範囲およびパラメータは概算ではあるものの、特に指摘しない限りは、特定の実施例で規定した数値はできる限り正確に報告される。いかなる数値も、しかしながら、各試験測定での標準偏差の不可避の結果、本質的にある誤差を含んでいる。
【0135】
ここに記載する他のデバイスの実施形態および方法は、当業者には明細書および実践を考慮することから明らかとなろう。特許請求の範囲に規定され記載されるデバイスおよび方法の真の範囲と共に、明細書および実施例は例示のみとして考慮すべきものとして意図されている。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年9月10日提出の米国仮出願番号第61/241、373号、2009年9月10日提出の米国仮出願番号第61/241、374号および2010年6月24日提出の米国仮出願番号第61/358、298号の利益を享受する。これらの出願の内容全体は参照によってここに組み入れる。
【0002】
連邦支援研究に関する声明
本発明は、米国陸軍研究所により授与された授与番号W911NF−08−2−0004および米国エネルギー省により授与された授与番号DE−SC0001013に基づく合衆国政府の支援でなされた。合衆国政府は本発明について一定の権利を有する。
【0003】
共同研究の合意
本開示の発明は、大学−企業間協力研究の合意による以下の一以上の団体の協力により、および/またはこれに関連してなされた:ユニヴァシティ オブ ミシガンおよびグローバル フォトニック エネルギー コーポレーション。この合意はクレームした発明のなされる前およびなされた日に有効であり、クレームした発明はこの合意の範囲の活動の結果なされたものである。
【0004】
開示の分野
本開示は全般に、エピタキシャルリフトオフを用いた、フレキシブル光起電力デバイス等の感光性デバイスの製造方法に関する。特に、本開示は、エピタキシャル成長を用いてフレキシブル光起電力デバイスを準備する方法および再利用のために成長用基板を保持する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
光電子(optoelectronic)デバイスは物質の光学的および電子的性質によっており、電子的に電磁波放射を発生するか検出する、または、周囲の電磁波放射から電気を発生させるものである。
【0006】
感光性光電デバイスは電磁波放射を電気に変換する。太陽電池は、光起電力(Photovoltaic 「PV」)デバイスとも称され、電力を発生させるために特別に使用される感光性光電デバイスの一種である。太陽光以外の光源から電気的エネルギーを発生させるPVデバイスは、例えば、照明、加熱、または、電気回路、計算機、ラジオ、コンピュータ等のデバイスへの電力供給、または、遠隔モニター、通信装置のため、電力を消費する負荷体を駆動するために使用され得る。これらの電力発生への応用はしばしば、太陽や他の光源からの直接照射が使用できないときに連続運転をするため、または、特定の用途に要求されるPVデバイスの出力を一定にするために、バッテリーの充電を伴う。ここで使用される「負荷抵抗」は、電力を消費または貯蔵するあらゆる回路、デバイス、装置またはシステムを参照する。
【0007】
別の種類の感光性高電子デバイスは光伝導セルである。この機能においては、検出回路が、光吸収による変化を検出するためにデバイスの抵抗をモニターする。
【0008】
別の種類の感光性光電デバイスは、光検出器である。操作において、光検出器は光検出器は、印加されたバイアス電圧を受け、光検出器が電磁波放射に照射されたときに発生する電流を測定する電流検出回路と連結して使用される。ここで記載する検出回路は、光検出器にバイアス電圧を供給する、および電磁波放射に対する光検出器の電気的応答を測定する能力がある。
【0009】
これら三種類の感光性光電デバイスは、下記で定義する整流接合が存在するかどうかによって、また、デバイスがバイアスまたはバイアス電圧として知られる外部からの印加電圧で動作するかどうかによっても特徴づけることができる。光伝導セルは整流接合を有しておらず、通常はバイアスによって動作する。PVデバイスは、少なくとも一の整流接合を有し、バイアスなしで動作する。通常は、太陽電池は回路、デバイスまたは設備に電力を供給する。光検出器または光伝導体は、検出回路を制御するための信号もしくは電流、または検出回路からの情報の出力を供給するが、回路、デバイスまたは設備には電力を供給しない。
【0010】
従来、感光性光電デバイスは、多数の無機半導体、例えば、結晶性、多結晶性および非晶質ケイ素、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム並びにその他で構築されてきた。ここでは、「半導体」の語は、電荷キャリアが熱的または電磁的励起により誘起されるときに電気を通すことのできる物質を指す。「光伝導性(photoconductive)」の語は、一般的に、キャリアが物質中の電荷を伝導する、すなわち輸送するために、電磁放射エネルギーが吸収され、それにより電荷キャリアの励起エネルギーに変換されるプロセスに関連する。「光伝導体」および「光伝導性物質」は、ここでは、電荷キャリアを生成する、電磁放射を吸収する性質のために選択された半導体物質を参照するために用いられる。
【0011】
PVデバイスは、入射する太陽エネルギーを有用な電力に変換し得る効率によって特徴づけることができる。結晶質または非晶質ケイ素を用いるデバイスは、商業的応用において重要であり、23%以上の高効率を達成するものもある。しかしながら、効率的な結晶性ベースのデバイス、特に大きな表面積のものは、効率を損なう重大な欠陥なしに大きな結晶を製造することに本質的な問題があるため、製造が困難であり高価である。一方、高効率の非晶質ケイ素デバイスは、まだ安定性の問題を有している。現状で市販されている非晶質ケイ素の電池は、4〜8%の間の効率で安定となっている。
【0012】
PVデバイスは、標準的な照明条件下で(すなわち、1000W/m2、AM1.5スペクトルの照明下での標準試験条件(Standard Test Condition))、電力発生を最大にするため、光電流と光電圧との最大積にするために最適化され得る。標準的な照明条件下のこのような電池の電力変換効率は以下の3つのパラメータに依存する:(1)ゼロバイアスでの電流、すなわちアンペア単位の短絡回路電流ISC、(2)開回路条件下の光起電力、すなわちボルト単位での開回路電圧VOC、および(3)曲線因子ff。
【0013】
PVデバイスは、負荷に接続され光に照射されたときに光生成(photo-generated)電流を生じる。無限負荷(infinite load)下で照射されたときは、PVデバイスは可能な最大電圧、V開回路またはVOCを発生する。電気的接続が短絡した状態で照射されたときは、PVデバイスは、可能な最大電流、I短絡回路またはISCを生じる。実際に電力を発生させるために使用するときは、PVデバイスは有限の負荷抵抗に接続され、電力出力は電流および電圧の積、I×Vで与えられる。PVデバイスにより発生する全体の最大電力は、本質的に積、ISC×VOCを超過することはできない。負荷の値が最大電力を引き出すために最適化されたとき、電流および電圧はそれぞれLmaxおよびVmaxの値を取る。
【0014】
PVデバイスの性能を数値化したものは、曲線因子ffであり、以下のように定義される:
ff={ImaxVmax}/{ISCVOC} (1)
ここで、実際の使用においてISCおよびVOCが同時に得られることはないため、ffは常に1より小さい。にもかかわらず、ffが1に近づくにつれて、デバイスは直列または内部抵抗がより小さくなり、したがって最適条件下では、ISCおよびVOCの積のより大きなパーセンテージを負荷に運搬する。ここで、Pincはデバイスに入射する電力であり、デバイスの電力効率ηPは、以下で計算し得る:
ηP=ff*(ISC*IOC)/Pinc
半導体の実質的な容積を占める内部形成電場を生成するためには、通常、特に分子の量子エネルギー状態の分布に関連する導電特性を適当に選択した材料の二層を並置する方法が取られる。これら二つの材料の界面は光起電性接合(photovoltaic junction)と呼ばれている。従来の半導体理論では、PV接合を形成する物質は、一般的にnまたはp型のどちらかを意味してきた。ここで、n型は大部分のキャリアの種類が電子であることを意味する。これは、相対的な自由エネルギー状態で多数の電子を有する物質とみなすこともできる。p型は大部分のキャリアが正孔であることを意味する。このような物質は相対的な自由エネルギー状態で多数の正孔を有する。型の背景としては、光生成ではなく、大部分のキャリア濃度は第一に意図的でない欠陥または不純物に依存する。不純物の種類および濃度は、価電子帯の最大エネルギーと伝導帯の最小エネルギーとの間のギャップ中の、Fermiエネルギーまたはレベルの値を決定する。Fermiエネルギーは、占有確率が1/2に等しいエネルギーの値で示される、統計的な分子の量子エネルギー状態の占有を特徴づける。伝導帯の最小エネルギー準位付近のFermiエネルギーは、電子が優勢なキャリアであることを示している。価電子帯の最大エネルギー付近のFermiエネルギーは、正孔が優勢なキャリアであることを示す。したがって、Fermiエネルギーは従来の半導体の第一の特徴的性質であり、プロトタイプのPV接合はこれまでp−n界面であった。
【0015】
「整流」の語は、とりわけ接合部分が非対称な導電特性を有する、すなわち界面は好ましくは一方向の電荷輸送を行うことを意味する。整流は通常、適当に選択された物質の間の接合において生じる内部(built−in)電場を伴う。
【0016】
従来の無機半導体PVセルは、内部電場を形成するためにp−n接合を用いていた。高効率PVデバイスは、典型的には、高価な単結晶成長用基板上に製造される。これらの成長用基板は単結晶ウエハーを含む場合が多く、これは、「エピ層(epilayer)(エピタキシャル層)」として知られる活性層のエピタキシャル成長のための構造的支持体および完全な格子を形成するために用いられうる。これらエピ層は、無傷の最初の成長用基板とともにPVデバイス中に一体化し得る。そうでなければ、それらのエピ層は移動されて、ホスト基板に再接合され得る。
【0017】
いくつかの例では、所望の光学的、機械的または熱的性質を示すホスト基板にエピ層を移動することが望ましい場合がある。例えば、ガリウムヒ素(GaAs)エピ層はシリコン(Si)基板上で成長させ得る。しかしながら、得られた物質の電子的な品質は、特定のエレクトロニクス分野への応用には不十分な場合がある。したがって、他の基板中でこれらのエピ層の一体性(integration)を保ちながら、格子整合したエピ層の高品質な物性を維持することが望ましい。このことは、エピタキシャルリフトオフとして知られる方法により実現され得る。エピタキシャルリフトオフ工程においては、エピ層は成長基板から持ち上げられ(lifted off)(例えば、接合または接着により)新しいホスト基板に再接合され得る。
【0018】
典型的な成長用基板は厚く余分な重量があり、それらは所望のエピタキシャル成長特性を提供し得るが、その結果得られるデバイスは脆弱なため分厚い支持システムを必要とする場合が多い。エピタキシャルリフトオフはエピ層を、それらの成長用基板からより効果的で軽量かつ柔軟なホスト基板に移動するための好適な方法となり得る。典型的な成長用基板の相対的な不足およびそれらが最終的なセル構造に与える望ましい特性のため、連続するエピタキシャル成長において成長用基板をリサイクルおよび/または再利用することが望ましい。しかしながら、成長用ウエハーを再利用する従来の試みは、効率を低下させる結果となるか、ウエハーの上から物質を数μm取り除くことにより、ウエハーを「研磨」することが要求されていた。
【0019】
米国特許出願公開第2010/0047959号明細書は、単結晶基板からエピタキシャル層を選択的に遊離する方法を記載している。記載されている方法は、第一のバッファ層、エッチング停止層、第二のバッファ層および分離層の堆積を含む。分離層上に、電池を形成する一連の半導体層が堆積される。この方法は分離層のエッチングを含み、それにより半導体層は、基板並びにそれに伴うバッファ層およびエッチング停止層から引きはがされる。しかしながら、その明細書は、例えば、バッファ層および/またはエッチング停止層を選択的にエッチングして除く等の、遊離した基板を再利用のために準備する方法は記載していない。したがって、成長用基板の一体性(integrity)を再利用のために保持する方法を開発する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0020】
概要
本開示は、より効率的、軽量、かつフレキシブルなPVデバイスをさらに開発する要求に取り組んだものである。本開示は、加えてエピタキシャル成長層を成長用基板から非破壊的に取り除き、研磨または次の使用に先立って表面を破壊的な方法で準備する必要なしに、再利用のために成長用基板の一体性を保持する方法を開発する要求に取り組んだものである。ある場合には、この目的は、成長用基板を含む構造から、活性エピ層をより軽いフレキシブルなホスト基板に移動することにより達成される。場合によっては、エピ層移動のためのエッチング方法は、犠牲層の選択的エッチング、それに続く二以上の保護層の選択的エッチングを含むエピタキシャルリフトオフ法の使用を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ここで記載するフレキシブルPVデバイス等の光電デバイスは、成長用基板を有する既存の(pre−existing)構造からエピ層を移動することにより製造され得る。いくつかの実施形態では、ここに記載するデバイスは、成長用基板上に最初に成長するエピ層により製造され得る。
【0022】
したがって、ここに開示する方法は、
成長用基板およびエピ層を有する構造を提供する工程;
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積して接触層を形成する工程;
前記接触層を金属または合金被覆したホスト基板に接合する工程;および
前記構造から前記エピ層を遊離する工程、を含む方法である。
【0023】
一実施形態では、
成長用基板上にエピ層を成長させる工程;
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積して接触層を形成する工程;
金属または合金被覆したホスト基板に前記接触層を接合する工程;および
前記構造から前記エピ層を遊離する工程、を含む方法である。
【0024】
一実施形態では、成長用基板およびエピ層を有する構造を提供する工程;
前記エピ層上の少なくとも一の最上部接触(top contact)をパターニングする工程;
キャリア基板に前記エピ層を取り付ける工程;
前記成長用基板から前記エピ層を遊離する工程;
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積し、接触層を形成する工程;
金または合金被覆したホスト基板に前記エピ層を接合する工程;および
前記エピ層から前記キャリア基板を除去する工程、を含む方法である。
【0025】
他の実施形態では、
成長用基板上にエピ層を成長させる工程;
前記エピ層上に少なくとも一の最上部接触をパターニングする工程;
キャリア基板に前記エピ層を取り付ける工程;
前記成長用基板から前記エピ層を遊離する工程;
少なくとも一の金属または合金を少なくとも一部の前記エピ層上に堆積し、接触層を形成する工程;
金属または合金被覆されたホスト基板に前記エピ層を接合する工程;および
前記エピ層から前記キャリア基板を除去する工程、を含む方法である。
【0026】
他の実施形態では、エピタキシャルリフトオフによりエピ層を遊離した後、成長用基板の平滑性を維持し、したがって基板を複数回使用できるようにする方法が開示される。いくつかの実施形態では、当該方法は(例えば少なくとも三の)多層膜の犠牲層および成長用基板を有する構造からのエピ層の移動を含み、その際、第一犠牲層はその構造からエピ層を遊離するためにエッチングされ、第二および第三の層は平滑な成長用基板を得るためにエッチングされる。いくつかの実施形態では、成長用基板は再利用に適したものであり得る。
【0027】
一実施形態では、多層膜は、当初の基板からGaAs太陽電池を移動するためにエッチングされる通常の犠牲層(例えばAlAs)と共に、GaAs等の基板と同様の材料を含む「ダミー層」およびInGaP等のバッファ層を含む。
【0028】
基板がInPである時は、ダミー層は、InP基板の前にInPおよびInGaAsバッファ層を含む。両方の場合に、基板から太陽電池を移動するために使用されるエッチング液は、ダミー層のみに損傷を与えるのみならず、バッファ層と共にダミー層に損傷を与え、双方は最初の基板から容易にエッチングによって除去される。したがって、最初の基板は再利用し得る。
【0029】
一実施形態では、
少なくとも一の成長用表面を有する成長用基板;電池;犠牲層;第一の保護層;および第二の保護層を有する構造を提供する工程、ただし、前記犠牲層、第一の保護層および第二の保護層は前記成長用基板および電池の間に位置する;
前記犠牲層をエッチング液でエッチングすることにより電池を遊離する工程;
第二の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程;および
第一の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第一の保護層を除去する工程を含む、成長用基板の一体性を保持する方法が開示される。
【0030】
一実施形態では、前記構造はさらに成長用基板および第一の保護層の間にバッファ層を含む。
【0031】
一実施形態では、
少なくとも一の成長用表面を有する成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および電池を成長用基板上に堆積する工程、その際前記犠牲層、第一の保護層および第二の保護層は成長用基板および電池の間に配置される;
前記犠牲層をエッチング液でエッチングすることにより前記電池を遊離する工程;
第二の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程;および
第一の保護層をエッチング液でエッチングすることにより、第一の保護層を除去する工程、を含む、成長用基板の一体性を保持する方法が開示される。
【0032】
一実施形態では、前記方法はさらにバッファ層を堆積する工程を含み、バッファ層は前記成長用基板および第一の保護層の間に配置される。
【0033】
一実施形態では、
成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および少なくとも一のエピ層を前記成長用基板上に堆積し、前記犠牲層、第一の保護層および第二の保護層は成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、前記犠牲層は成長用基板および前記エピ層の間に配置される;
少なくとも一の金属または合金を少なくとも一部の前記エピ層上に堆積し、接触層を形成する工程;
接触層を金属または合金被覆したホスト基板に接合する工程;および
前記少なくとも一のエピ層を、犠牲層をエッチング液でエッチングすることにより遊離する工程、を含む、PVデバイスを製造する方法が開示される。
【0034】
一実施形態では、前記方法はさらにバッファ層を堆積する工程を含み、前記バッファ層は前記成長用基板および第一の保護層の間に配置される。
【0035】
一実施形態では、
成長用基板、犠牲層、バッファ層、第一の保護層、第二の保護層、第三の保護層、第四の保護層、少なくとも一のエピ層、少なくとも一の接触および金属または合金被覆されたホスト基板、を含み
前記犠牲層が前記成長用基板および前記少なくとも一のエピ層の間に配置され、第一の保護層および第二の保護層が前記成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、第三の保護層および第四の保護層が前記犠牲層および前記エピ層の間に配置される、成長用構造が開示される。
【0036】
本開示の前述のおよび他の特徴は、添付の図面を組み合わせた、以下の例示的な実施形態の詳細な説明から容易により明らかになるであろう。なお、便宜上すべてのデバイスの図面の高さ方向の寸法は、幅方向の寸法よりも誇張されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本明細書に記載する実施形態によるフレキシブルPVデバイスを製造する異なる方法を示す、デバイスの概略断面図である。
【図2】図2は、本明細書に記載する実施形態によるフレキシブルPVデバイスを製造する、本明細書に従う追加の方法を示す、デバイスの概略断面図である。
【図3】図3は、本明細書に記載する実施形態によるフレキシブルPVデバイスを製造する、本明細書に従う追加の方法を示す、デバイスの概略断面図である。
【図4A】図4Aは、例示的なコントロールデバイスの概略断面図である。
【図4B】図4Bは、本明細書に記載する方法に一致する方法で製造された、フレキシブルPVデバイスの概略断面図である。
【図5A】図5Aは、図4Aのコントロールデバイスの、光強度(sun)に対する電力効率(%)を表している。
【図5B】図5Bは、図4BのフレキシブルPVデバイスの光強度(sun)に対する電力効率(%)を表している。
【図6A】図6Aは、図4Aのコントロールデバイスの、光強度(sun)に対する開回路電圧(VOC)を表している。
【図6B】図6Bは、図4BのフレキシブルPVデバイスの、光強度(sun)に対する開回路電圧(VOC)を表している。
【図7A】図7Aは、図4Aのコントロールデバイスの、光強度(sun)に対する曲線因子(%)を表している。
【図7B】図7Bは、図4BのフレキシブルPVデバイスの光強度(sun)に対する曲線因子(%)を表している。
【図8A】図8Aは、例示的なコントロールウエハーを示す概略断面図である。
【図8B】図8Bは、本明細書に記載する方法と一致する方法で製造されたフレキシブルPVデバイスの概略断面図である。
【図8C】図8Cは、コントロールウエハーの例を示す概略断面図である。
【図8D】図8Dは、ここに記載する方法と一致する方法で製造されたフレキシブルPVデバイスの概略断面図である。
【図9A】図9Aは、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)の両方の電流密度/電圧 特性を示す。
【図9B】図9Bは、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での、図8Cのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8DのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電流密度/電圧 特性を示す。
【図10A】図10は、波長650nmおよび1100nmの間の、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のEQE特性を示す。
【図10B】図10は、波長650nmおよび1100nmの間の、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のEQE特性を示す。
【図11A】図11Aは、多様な太陽光強度下での図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の曲線因子を示す。
【図11B】図11Bは、多様な太陽光強度下での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のVOCを示す。
【図11C】図11Cは、多様な太陽光強度下での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電流密度を示す。
【図11D】図11Dは、多様な太陽光強度下での、図8Aのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電力効率を示す。
【図11E】図11Eは、図8DのフレキシブルPVデバイスの曲線因子、VOC、電流密度、および電力効率を示す。
【図11F】図11Fは、図8Cのコントロールウエハーの曲線因子、VOC、電流密度および電力効率を示す。
【図12A】図12Aは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対曲げ半径を示す。
【図12B】図12Bは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対曲げ半径を示す。
【図12C】図12Cは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電流密度対曲げ半径を示す。
【図12D】図12Dは、引張応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスの電流密度対曲げ半径を示す。
【図13A】図13Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対太陽光強度を示す。
【図13B】図13Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対太陽光強度を示す。
【図14A】図14Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスのVOC対太陽光強度を示す。
【図14B】図14Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスのVOC対太陽光強度を示す。
【図15A】図15Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの曲線因子対太陽光強度を示す。
【図15B】図15Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの曲線因子対太陽光強度を示す。
【図16A】図16Aは、引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの応答性対太陽光強度を示す。
【図16B】図16Bは、圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの応答性対太陽光強度を示す。
【図17A】図17Aは、図13〜16で示される引張応力すべてを印加した後の図8BのフレキシブルPVデバイスの画像である。
【図17B】図17Bは、図13〜16で示される圧縮応力すべてを印加した後の図8BフレキシブルPVデバイスの画像である。
【図18】図18は、引張および圧縮応力を印加した後の、図8Dで表されるフレキシブルPVデバイスの性能を示す。
【図19】図19は、図8Dで表されるフレキシブルPVデバイスの、他のデバイスとの性能の比較である。
【図20】図20は、構造の概略断面図であり、本明細書に記載する実施形態による、成長用基板から電池を除去する方法を示す。
【図21】図21は、構造の概略断面図であり、本明細書に記載する実施形態による、成長用基板から電池を除去する方法を示す。
【図22】図22は、AlAs犠牲層を用いたエピタキシャルリフトオフ後のGaAs基板の一体性を保持する方法の例を示す。
【図23】図23は、犠牲層としてのInAs/AlAs超格子を用いたエピタキシャルリフトオフ後のInP基板の一体性を保持する方法の例を示す。
【図24】図24は、本明細書に記載する実施形態による、成長用構造の例および層構成の断面を示す。
【図25A】図25Aは、図24の成長用構造の製造前の、InPウエハー表面の原子間力顕微鏡像である。
【図25B】図25Bは、本明細書に記載する実施形態による方法で図24の構造をエピタキシャルリフトオフ(ELO)およびエッチングした後の表面の原子間力顕微鏡像である。
【図26A】図26Aは、新しいInPウエハー上に成長させた第一のデバイスおよび本明細書に記載する実施形態による方法で再利用したInPウエハー上に成長させた第二のデバイスのIVプロットを示す。
【図26B】図26Bは、図26Aのデバイスに対応する電気的量子効率(EQE)プロットを示す。
【図27A】図27Aは、図26Aのデバイスに対応する短絡回路電流(ISC)を示す。
【図27B】図27Bは、図26Aのデバイスに対応する開回路電圧(VOC)を示す。
【図27C】図27Cは、図26Aのデバイスに対応する曲線因子(FF)を示す。
【図27D】図27Dは、図26Aのデバイスに対応する電力変換効率を示す。
【図28】図28は構造の概略断面図であり、本明細書に記載する実施形態によるPVデバイスの製造方法を示す。
【図29A】図29Aは、新しいInP基板のRMS値、続いて図26Aの第一および第二のデバイスのELOリフトオフ後のRMS値、保護バッファ層を使用しないELO後のデバイスのRMS値を報告する原子間力顕微鏡像を示す。
【図29B】図29Bは、50μm厚さのKapton(登録商標)シートとして冷間溶接およびELOの組み合わせにより製造したITO/InP薄膜太陽電池の配列を含む、リフトオフされた2inch直径のエピタキシャル層のイメージである。
【図30】図30は、その後の製造およびELOのInPウエハーと比較した、図24の成長用構造の製造前の新しいInPウエハーのX線電子スペクトル強度(kcounts)対接合エネルギー(eV)を示す。
【0038】
挿入:反射光エネルギー電子線回折により得られた、酸化物層を除いた、新しい基板およびELO工程後の基板の2xおよび4x表面復元パターン。
【図31】図31は、Kapton(登録商標)シートに接合されたコントロール電池と比較したときの、1sun、AM1.5Gでの太陽放射シミュレーションで測定された図7Aの第一および第二のデバイスのELO後の電流密度(A/cm2)対バイアス(V)を示す。
【0039】
挿入:当初の基板ELOおよび保護層除去後の原料基板(a)および保護層なしのELO後の基板(b)の表面モルフォロジー。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
本明細書に記載する感光性デバイスは、これに限定されないが、太陽電池、光検出器、光センサー、光伝導体、化学センサーおよび生物学的センサーが含まれる。感光性デバイスの例には、PVセルおよび/またはデバイスが含まれる。本明細書にはそれらの製造方法もまた記載されるが、その製造方法は、成長用基板上のエピタキシャル層成長および得られた電池の成長用基板からの移動が含まれ、前記基板の一体性は続けて再利用するために保持される。
【0041】
本明細書で用いられる、「層」の語は、主要な寸法がX−Yすなわち長さおよび幅であり、通常は照明の入射の面に対して垂直である、感光性デバイスの部材または要素を参照する。「層」の語は、必ずしも単一の層または材料のシートに限定されないことに留意すべきである。層は積層物または材料シートの組み合わせを含みうる。加えて、ある層の表面は、そのような層と他の材料または層との界面を含み、不完全であってもよく、その際その層は他の材料または層と互いに貫通し合い、もつれ、入り組んだネットワークを呈していてもよいことに留意すべきである。同様に、その層のX−Y方向に沿う連続性が、他の層または材料に遮られるか割り込まれるように、層は不連続であってもよいことを理解すべきである。
【0042】
本明細書では、「III−V材料」の語は、周期律表IIIA族およびVA族の元素を含む化合物結晶を参照し得る。より詳細には「III−V材料」の語は本明細書でガリウム(Ga)、インジウム(In)およびアルミニウム(Al)の族、並びにヒ素(As)、リン(P)、窒素(N)およびアンチモン(Sb)の族の組み合わせの化合物を参照する。代表的な材料は、GaAs、InP、InGaAs、AlAs、AlGaAs、InGaAsP、InGaAsPN、GaN、InGaN、InGaP、GaSb、GaAlSb、InGaTePおよびInSb並びに関連するすべての化合物が含まれ得る。「IV族」の語は、周期律表のIV欄のSiおよびGe等の半導体を含む。II−VI族は、例えば、周期律表のII族およびVI族に属するCdSおよびCdTe等の半導体を含む。ここに開示する方法は、これらの半導体の共通の集合のすべてに適用できることを理解すべきである。
【0043】
上述のように、本明細書に開示するフレキシブル光起電力デバイスは、エピ層および成長用基板を有する既存の構造を最初に提供し、または、成長用基板上にエピ層を最初に成長させることにより、製造し得る。そうすると、フレキシブルPVデバイスは以下の方法で製造され得る:
少なくとも一部の前記エピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積し、接触層を形成する工程;
金属または合金被覆されたホスト基板に接触層を接合する工程;および
前記構造からエピ層を遊離する工程。
【0044】
図1はフレキシブルPVセル等のPVデバイスの製造の概略を示している。図面、並びに、ある材料および層の相対的な大きさ/深さは、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図1の方法は、「一回反転(single flip)」法とも称され、デバイス100の選択で開始される。デバイス100は成長用基板102およびエピ層106を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス100はさらに遊離層104を含み得る。選択的に、デバイス100は成長用基板102上にエピ層106を成長させることにより準備してもよい。好適な成長法としては、例えば、ガスソース分子線エピタキシー、MOCVD(有機金属化学気相成長)/MOVPE(有機金属気相エピタキシー)、HVPE(ハイドライド気相エピタキシー)、固体ソースMBEおよび化学ビームエピタキシーを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、エピ層106は、PVデバイスに使用されるのに望ましいいかなる活性物質を含んでもよい。物質の性質に応じて、PV活性層が異なる特性および/または異なる性能レベルを示してもよい。表1は、異なる活性層を含むPVセルの出力および効率を比較するものである。
【0046】
【表1】
【0047】
いくつかの実施形態では、エピ層106は少なくとも一のIII−V材料から選択し得る。GaAs、InPおよび他のIII−V化合物はPVデバイスを含む多様な種類の光電デバイスに好適な電子材料であり得る。一般的に、あるIII−V化合物は、望ましい圧電特性および光電子光学特性、高い圧電定数および広い電子バンドギャップ(Siに対して)を有し得る。いくつかの実施形態では、あるエピ層の好ましい特性は、薄く、軽量なPVデバイスの製造を可能にし得る。いくつかの実施形態では、得られるPVデバイスは、ほんの数μmの厚さから数百μmの厚さを示し得る。例示的なデバイスでは、これらに限定はされないが、約10〜約150μm、約25〜約30μm、約10〜約25μm、および、いくつかの例では、10μm未満の最終的な厚さを示し得る。加えて、III−V材料のいくつかは、それらが誘導された二元化合物(例えば、AlxGa1−xAsおよびGaAs)と厳密に一致した格子定数を有する三元または四元の「整合した(matched)合金」として堆積され得るが、これは、デバイス性能を向上させる広範なヘテロ構造の製造を可能にする。InPの整合した合金は、InGaAs、InAlAs、InGaAsPおよびInGaAlAs等の化合物を含む。
【0048】
格子整合したGaAs化合物の非制限的な例としては、以下:In0.5Ga0.5P;In0.5Al0.5P;並びに、しばしばInGaAsP、InGaPAs、GaInAsPと略記される、(In0.5Ga0.5P)X(In0.5Al0.5P)1−Xおよび(In0.5Ga0.5P)X(GaAs)1−X等のGaAsを含む、これらの任意の組み合わせ、が含まれる。同様の名称が以下の二つの化合物:(In0.5Al0.5P)X(GaAs)1−Xおよび(In0.5Ga0.5P)Y(In0.5Al0.5P)X(GaAs)1−X−Y、にも用いられる。
【0049】
また、Geは近接して整合しており、基板としてしばしば用いられるが、その層は通常GaAsウエハー上には成長させない。
【0050】
InPの格子整合した化合物の比制限的な例としては、以下:In0.53Ga0.47As;In0.52Al0.48As;GaAs0.5Sb0.5;AlAs0.5Sb0.5 および(In0.53Ga0.47As)X(In0.52Al0.48As)1−X等のInPを含む上記の他の任意の組み合わせ;(In0.53Ga0.47As)X(In0.52Al0.48As)Y(InP)1−X−Y;(In0.53Ga0.47As)W(In0.52Al0.48As)X(GaAs0.5Sb0.5)Y(AlAs0.5Sb0.5)Z(InP)1−W−X−Y−Z、が含まれる。
【0051】
一実施形態では、低濃度の窒化物を化合物に少量の窒素(0〜5%)を添加することにより用いることができる。この実施形態では、InまたはSb等の他の物質を、格子整合を維持するために添加する必要がある。このことは、格子を整合させつつ、低いバンドギャップ材料を製造するのに有用な場合がある。
【0052】
エピ層106は、異なる材料の「スタック」を含むこともできる。例えば、いくつかの実施形態では、エピ層106は異なるIII−V材料のスタックを含み得る。スタックの例としては、InGaAs/InP、InGaAs/InP/InGaAs、GaAs/InGaP、InP/InGaAlAs、GaAs/InGaAs、AlGaAs/GaAs、InP/InGaAs/InGaAs、InP/InP/InAlAsおよびInP/GaAs/InGaAsを含み得る。例示的なスタックは、交互層の「超格子」を含み得る。超格子の例は、InAs/AlAsの交互層を含み得る。
【0053】
さらに、エピ層106は、「歪み層」として知られる格子不整合層として堆積し得る。格子不整合材料はGaAs/AlGaAs等の格子整合材料と比較して異なる成長モードを示し得る。例示的な格子不整合層は、GaAs上のInAsを含み得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、エピ層106はドープされていてもよい。好適なドーパントとしては、ベリリウム(Be)、Mg(および他のIIA族)、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、O、S、SeおよびTeを含み得る。例えば、エピ層106は、Be等のドーパントでスタックの各物質が軽くドープされた、InGaAs/InPまたはInGaAs/InP/InGaAsスタックを含み得る。
【0055】
成長用基板102はどのような数の材料を含んでもよく、それらには単結晶ウエハー材料が含まれる。いくつかの実施形態では、成長用基板102は、これらに限定はされないが、ゲルマニウム(Ge)、Si、GaAs、InP、GaN、AlN、SiC、CdTe、サファイヤおよびこれらの組み合わせから選択された材料を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102はGaAsを含む。いくつかの実施形態では、成長用基板102はInPを含む。いくつかの実施形態では、成長用基板102を含む材料はドープされていてもよい。好ましいドーパントとしては、これに限定はされないが、亜鉛(Zn)、Mg(および他のIIA族化合物)、Zn、Cd、Hg、C、Si、Ge、Sn、O、S、Se、Te、FeおよびCrを含み得る。例えば、成長用基板102は、Znおよび/またはSでドープされたInPを含み得る。特に指摘しない限りは、例えばInPを含む層を参照したときは、ドープされていない形態およびドープされた形態(例えば、p−InP、n−InP)のInPを含むことが理解されなければならない。好ましいドーパントは、例えば、基板の半絶縁性の性質またはその中に存在する欠陥に応じて選択すればよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、遊離層104はエッチング停止層を含み得る。いくつかの実施形態では、遊離層104は、これらに限定はされないが、AlGaAs、InGaAs/InAlAsおよびInGaAs、AlAs、InGaP、InAlP、InGaAlAsおよびInP等の、エピタキシャルリフト工程で使用するのに好適などのような材料からも選択し得る。
【0057】
ある遊離層(例えば、エッチング停止層)および/または遊離物質は、エッチング停止層を参照する別個の表示がなくとも、エピ層106に組み込まれ得ることが理解されるべきである。例えば、「GaAs/AlGaAs」構造を有するデバイスは、単一のGaAs/AlGaAsエピ層スタックとして参照され得る。そうでなければ、そのような構造は、一層以上(例えば、GaAsエピ層およびAlGaAsエッチング停止層)を有すると記載され得る。同様に、「InGaAs/InP/InGaAs」構造は、InGaAs/InP/InGaAsエピ層スタック、またはInGaAs/InPエピ層スタックおよびInGaAsエッチング停止層として記載され得る。
【0058】
図1に示される具体的な層の配列および材料は、例示に過ぎず、これに限定することを意図するものではない。例えば、いくつかの層(例えば遊離層104)は省略してもよい。他の層(例えばポリマー層、接合および活性層)を追加してもよい。層の順序も入れ替え得る。具体的に記載した以外の配置も使用し得る。
【0059】
図1に示す方法の第一の段階では、接触層がデバイス100のエピ層106の表面上に堆積される。好ましい接触層は、これらに限定はされないが、金(Au)、チタン(Ti)、白金(Pt)およびゲルマニウム(Ge)等の材料を含む。いくつかの実施形態では、接触層はAuである。他の好ましい接触層は、合金およびこれらの材料のスタックを含み得る。例えば、エピ層106上の接触層は、Ti/Pt/AuまたはGe/Auスタックを含み得る。接触層は、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、化学気相成長法(CVD)、パルスレーザー堆積法(PLD)および、スパッタリング法、熱蒸発またはEビーム蒸発法等の他の物理蒸着法を含む、この分野で適用される好ましい方法のいずれを用いても、エピ層106上に堆積される。
【0060】
エピ層106への接触層の堆積においては、エピ層106はホスト基板110に接合され、中間構造108を形成する。いくつかの実施形態では、ホスト基板110は、エピ層106上に堆積される接触層として選択されるものと同様の物質で被覆され得る。そのような被覆は、ホスト基板110へのエピ層106の接合を補助するために有効である場合がある。例えば、エピ層106の接触層は、ホスト基板110がAuで被覆される一方で、Auを含み得る。いくつかの実施形態では、好ましい接合方法は、冷間接合(cold bonding)、多種の接着方法、ワックス(例えばブラックワックス)、フォトレジスト、シルバーペイント(silver paint)、陽極接合、およびこの分野で知られる他の接合方法を含み得る。一実施形態では、冷間接合は、冷間圧接を含み得る。冷間圧接では、二層の金属層の間に形成される接触に、単に軽い圧力をかけることにより、最終的に接合する。本開示に関連する冷間圧接の技術に関しては、参照によりここに組み入れる、米国特許第6、895、667号明細書で議論されている。
【0061】
フレキシブルPV製品を作製する努力において、エピ層106を薄膜のかつ/またはフレキシブルなホスト基板に移動することが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、ホスト基板110は少なくとも一のポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエステルおよびポリイミドから選択され得る。いくつかの実施形態では、好適なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートが含まれ得る。使用し得る市販のポリエステルの非制限的な例としては、Mylar(登録商標)が挙げられる。使用し得る市販のポリイミドの非制限的な例としては、Kapton(登録商標)が挙げられる。
【0062】
一旦中間構造108が形成されれば、エピ層106は成長用基板102から移動し得る。いくつかの実施形態では、中間構造108から成長用基板102を除去するには、HF等のエッチング液を用いることにより行われ得る。他の好ましいエッチング液としては、リン酸(H3PO4)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、過酸化水素(H2O2)およびこれらの組み合わせが含まれ得る。例えば、好ましいエッチング液の組み合わせとしては、H3PO4:HClおよびH2SO4:H2O2:H2O、およびHF:H2O2:H2Oが含まれ得る。いくつかの実施形態では、中間構造はさらに遊離層104を含み得る。遊離層104は、適当なエッチング停止材料を含み、これによりエピ層106が遊離層104の水平なエッチングにより成長用基板102から分離され得る。
【0063】
成長用基板102の除去により、デバイス112が得られる。成長用基板102の除去の際には、エピ層106の露出した表面上に、最上部接触がバターン化されてもよい。好ましい最上部接触は、これらに限定はされないが、酸化スズ(TO)、ガリウムインジウムスズ酸化物(GITO)、酸化亜鉛(ZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛インジウムスズ酸化物(ZITO)およびアルミニウム亜鉛酸化物(AlZnO)、酸化ニッケル(NiO)等の酸化物、およびカーボンナノチューブ(CNT)を含み得る。いくつかの実施形態では、酸化物はドープされていてもよい。いくつかの実施形態では、市販のITO(接触)上に堆積されるガラスまたはプラスチック等の、透明基板および抵抗電極(resistive electrode)の組み合わせが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、接触はITOである。
【0064】
ポリエステル(例えば、Mylar(登録商標)およびポリイミド(例えばKapton(登録商標))等の材料がホスト基板110として選択されるときは、得られるデバイス112は、保管、輸送および配置の簡便な方法に適した、軽量でフレキシブルなPVセルを提供し得る。この様な材料の使用は、得られる電池の重量を減少させ、ワット/グラム比の大きいPVデバイスを作製を可能にし、それらは、宇宙応用および無人航空機(UAV)等の重量制限される技術に有用であり得る。
【0065】
上述のように、別の実施形態では、本明細書に記載するフレキシブルPVデバイスは、最初にエピ層および成長用基板を有する既存の構造を提供することにより、または、最初に成長用基板上にエピ層を成長させることにより、製造し得る。その際、フレキシブルPVデバイスは、
前記エピ層上に少なくとも一の最上部接触をパターニングする工程;
前記エピ層をキャリア基板に取り付ける工程;
前記エピ層を前記成長用基板から遊離する工程;
少なくとも一部のエピ層上に少なくとも一の金属または合金を堆積し、接触層を形成する工程;
前記エピ層を金属または合金被覆されたホスト基板に接合する工程;および
前記エピ層からキャリア基板を除去する工程、によって製造し得る。
【0066】
他の選択的な実施形態では、パターニング工程は、このプロセスの最初の工程がエピ層 をキャリア基板に固定する工程を含むように、代わりに最後に(例えば除去工程の後)行われてもよい。
【0067】
図1と同様に、図2はあるPVデバイス製造の概略図を示している。図2の方法は、概略的に「二回反転(double flip)」法と称されるものである。図1と同様に、デバイス100は、成長用基板102およびエピ層106を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス100はさらに遊離層104を含み得る。特に指摘しない限りは、図2に概略を示す方法の好ましい材料は、図1についての上記の説明に含まれ得る。
【0068】
図2の最初の工程では、デバイス100が提供される。デバイス100は既存の光電デバイスであり得る。選択的に、デバイス100は、エピ層を成長用基板102上に成長させることにより準備することができ、これは、上記での議論に含まれる任意の好ましい方法によって実施され得る。
【0069】
次に、デバイス100のエピ層106上に、最上部接触をパターニングし得る。エピ層106は、その後キャリア基板204に固定し、中間構造202を形成し得る。いくつかの実施形態では、キャリア基板204は、単結晶ウエハー等のウエハー材料を含み得る。いくつかの実施形態では、キャリア基板204は非ウエハー基板を含み得る。例えば、キャリア基板204は、ブラックワックス等のロウ引き基板を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイス100は少なくとも一の結合剤を用いてキャリア基板204に固定し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも一の結合剤は、これらに限定はされないが、多種のフォトレジスト、ブラックワックス、およびパラフィン等の好ましいワックスおよび溶解し得る接着剤から選択され得る。
【0070】
一旦中間構造202が形成されれば、エピ層106は成長用基板102から移動でき、中間構造206を形成する。いくつかの実施形態では、成長用基板102の除去は、図1について上記したものと同様の方法で行われ得る。中間206の形成により、パターニングされた最上部接触はエピ層106およびキャリア基板204の間に位置し得る。接触層はエピ層106の露出表面上に堆積され得る。
【0071】
次の工程では、中間構造206のエピ層106は、ホスト基板110に接合し、中間構造208を形成し得る。図1において開示した方法と同様に、図2のホスト基板110は、エピ層106上に堆積される接触層と同様の材料を含む被覆を含み得る。これは、ホスト基板110をエピ層106に接合する際に助けとなり、接合は、冷間接合、多種の接着技術、ワックス(例えばブラックワックス)、フォトレジスト、シルバーペイント、陽極接合、およびこの技術分野で公知の他の接合技術等の公知の方法によって達成され得る。
【0072】
中間構造208の形成の際、キャリア基板204は加熱(ワックス溶融のための)または溶媒(例えばアセトン)へのワックス溶解等の公知の方法により除去され、デバイス112を得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、図1および2に示される方法を通して作製されたデバイスに追加層を加えることが好ましい場合がある。例えば、デバイス112のエピ層106に追加層を追加することが好ましい場合がある。図3は、層302をエピ層106に追加し、デバイス304を形成する様子を表している。いくつかの実施形態では、層302は、ホスト基板110によって提供される構造的な支持を補強するフレキシブル材料を表し得る。したがって、いくつかの実施形態では、層302はポリマーを表し得る。いくつかの実施形態では、層302およびホスト基板110の両方は重合性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエステルおよびポリイミドから独立に選択し得る。いくつかの実施形態では、好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリエステルはMylar(登録商標)を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリイミドはKapton(登録商標)を含み得る。
【0074】
さらに別の実施形態では、エピタキシャルリフトオフによりエピ層を遊離した後、成長用基板の平滑性を維持する方法が開示される。例示的な方法は、図22および23で概略が示されるものを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、例えば犠牲層および成長用基板等の少なくとも三の積層を有する構造からのエピ層の移動を含み、この方法において、第一の犠牲層はエピ層を構造から遊離するためにエッチングされ、第二および第三の層は、平滑な成長用基板を得るためにエッチングされる。いくつかの実施形態では、第二の犠牲層は、「ダミー」層として参照され得る。他の実施形態では、三以上の犠牲層を有する構造からエピ層を除去することが好ましい。例えば、いくつかの実施形態では、その構造は最初のエッチング工程で除去され、それにより最終的にエピ層を除去することになる複数の犠牲層を有する超格子を含み得る。続くエッチング工程は、第一のエッチング工程で除去されなかった追加の犠牲層(例えばダミー層)を除去するために使用することができ、保持された平滑性および再利用に好適な成長用基板を得ることができる。ここで用いられるように、「犠牲層」の語は、一以上の遊離、ダミーおよび/または保護層を記載するかまたは参照するために用い得る。
【0075】
上述のように、フレキシブルPVデバイスおよび本明細書に記載する成長方法は、最初にエピ層および成長用基板を有する既存の構造を提供するか、または、最初に成長用基板上にエピ層を成長させることにより達成し得る。このようにすると、本方法の目的である、遊離のプロセスが下地の基板を非破壊とすることにより、成長用基板は多数回の再利用のために遊離される。いくつかの実施形態では、この方法は、以下:
少なくとも一の成長用表面のある成長用基板;電池;犠牲層;第一の保護層;および第二の保護層、を有する構造を提供する工程、ここで、犠牲層および第一の保護層および第二の保護層は前記成長用基板および前記電池の間に配置され;
エッチング液で犠牲層をエッチングすることにより電池を遊離する工程;
エッチング液で第二の保護層をエッチングすることにより第二の保護層を除去する工程;および
エッチング液で第一の保護層をエッチングすることにより第一の保護層を除去する工程、を含む。
【0076】
図20は、エピ層/電池構造の積層からの成長用基板の除去を含む、あるPVデバイスの作製の概略を示す。図20の方法は、構造400の選択で開始され得る。構造400は成長用基板102および電池404を含み得る。電池404は、いくつかの異なる半導体合金等のエピ層、接触層、基板および中間層の多層膜を含む、成長後の完全に開発された電池を表し得ることを理解すべきである。また、エピ層106について上記した一以上の好ましい材料を含む単一のエピ層等の一以上の成長層を単に含む場合もあることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、電池404は、光を電気に変換するのに必要とされる、光学的および電気的に活性な半導体層を含むPVセル構造である。
【0077】
成長用基板102は、単結晶ウエハー材料を含む、任意の数の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102は、上記の材料から選択し得る。
【0078】
構造400は、さらに犠牲層405、第一の保護層408および第二の保護層406を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102および第二の保護層406は同様の材料を含み得る。これらの材料は、例えば、GaAsおよびInPから選択され得る。いくつかの実施形態では、その材料がGaAsであるとき、第一の保護層408は、InGaPおよびAlGaAsから選択され得る。いくつかの実施形態では、その材料がInPであるとき、第一の保護層408はInGaAsを含み得る。いくつかの実施形態では、全てのエピ層が基板と格子整合しているか、または、多数の転位(dislocation)または他のモルフォロジー欠陥をもたらす臨界の厚さ未満であると推測される。
【0079】
いくつかの実施形態では、構造400はさらに第一の保護層408および成長用基板102の間に配置される少なくとも一のバッファ層を含み得る。いくつかの実施形態では、成長用基板102、第二の保護層406およびバッファ層はInP等の同様の材料を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載する層はドープされていてもよい。例えば、InPを含む層を参照するときは、ドープされていない形態およびドープされた(例えばp−InP、n−InP)形態のInPを包含することが推測されるべきである。好ましいドーパントは、これらに限定はされないが、ベリリウム(Be)、Mg(および他のIIA族)、Zn、Cdのp型ドーパント、C、Si、Geの二極性ドーパント並びにSn、S、SeおよびTeのn型ドーパントが含まれ得る。
【0081】
図20に示される具体的な層の配置および材料は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。例えば、いくつかの層(少なくとも一のバッファ層等)はなくてもよい。他の層(ポリマー層、接合および活性層等)が追加されてもよい。層の順序は入れ替えてもよい。具体的に記載された以外の配置を使用してもよい。
【0082】
図20の最初の工程では、構造400、犠牲層405はエッチング液にさらし、それによりエッチングが開始され、部分的にエッチングされた犠牲層405を有する中間構造412が得られる。いくつかの実施形態では、犠牲層405はAlAsを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、図21に例示されるように、構造500はInAs/AlAs等の「超格子」を表す犠牲層405を含むことができ、犠牲層405の初期のエッチングは、超格子のAlAs層の部分的なエッチングをもたらし、構造502の部分的にエッチングされた犠牲層405が得られる。中間構造412および502のエッチングの完了により、電池204は遊離され構造414が得られる。いくつかの実施形態では、中間構造412または502からの成長用基板102の除去は、HF等のエッチング液を用いることにより達成される。他の好ましいエッチング液は、リン酸(H3PO4)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、過酸化水素(H2O2)、硝酸(HNO3)、クエン酸(C6H8O7)およびそれらの組み合わせを含み得る。例えば、好ましいエッチング液の組み合わせは、H3PO4:HCl、H2SO4:H2O2:H2OおよびHF:H2O2:H2Oを含み得る。
【0084】
構造414は、第一の保護層408、第二の保護層406、成長用基板102および選択的に少なくとも一のバッファ層を含む。図20の次の工程では、第二の保護層406はエッチング液を用いてエッチングすることにより除去される。好ましいエッチング液は、上記で議論したものを含み得る。例えば、GaAs第二の保護層はH2SO4:H2O2エッチング液で除去し得る。InP第二の保護層は、例えば、H3PO4:HClエッチング液で除去し得る。第二の保護層406の移動により構造416が得られる。いくつかの実施形態では、構造416から第一の保護層408をエッチングし、成長用基板102を得ることが望ましい場合がある。例えば、InGaP第一の保護層はH3PO4:HClエッチング液を用いてGaAs成長用基板からエッチングし除き得る。
【0085】
上述のように、いくつかの実施形態では、構造400はさらに犠牲層405および成長用基板102の間に位置する少なくとも一のバッファ層を含み得る。いくつかの実施形態では、バッファ層は成長用基板102および第一の保護層408の間に配置し得る。いくつかの実施形態では、バッファ層は成長用基板の成長用表面上に直接堆積させ、第一の保護層はバッファ層の成長用表面上に直接堆積させる。第一の保護層および成長用基板が同じ材料を含む場合には、少なくとも一の追加層を単に移動し「バッファされた(buffered)」成長用構造を得ることが望ましい場合がある。例えば、InGaAs追加層は、構造416からエッチングされ、InPバッファ層およびInP成長用基板を含むバッファされた成長用基板を得ることができる。
【0086】
成長用基板/バッファされた成長用基板を遊離することは、ウエハーの連続する再利用を可能にする非常に平滑な表面をもたらし得る。いくつかの実施形態では、第一の保護層408の除去後のバッファ層は、構造400の作製中の第一の保護層の堆積に先立つ成長用基板102の成長用表面よりも平滑である。いくつかの実施形態では、成長用基板の成長用表面は、第一の保護層の堆積に先立ち、RMS(粗さ測定システム(Roughness Measurement System))が、約0.32nm等、約0.25〜約0.35nmの値を示す。いくつかの実施形態では、バッファ層の成長用表面が、第一の保護層の除去後に、RMSが0.16nm等の約0.10〜約0.20nmの値を示す。いくつかの実施形態では、バッファされた成長用基板が、研磨剤による研磨の必要なしに多数回再利用し得る。
【0087】
しかしながら、いくつかの実施形態では、バッファされた成長用基板をさらに超音波処理することが好ましい場合がある。超音波処理は、残留している表面のどのような特徴および/または欠陥も取り除くために実施し得る。例えば、いくつかの実施形態では、エッチング後に残っているどのような残留InGaAsもバッファされたInP成長用基板から除去することが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、超音波処理は、クエン酸:H2O2等の適当な酸溶液と共に行われ得る。
【0088】
図28は、あるPVデバイス、フレキシブルPVセル等の作製の概略を示している。図28の方法は、「一回反転」法として参照され得るが、成長用基板102の選択から開始することができる。最初の工程では、第一の保護層408、第二の保護層406、犠牲層405およびエピ層404が順に堆積され、構造400が得られ得る。好ましい成長方法は、例えば、ガスソース分子線エピタキシー、MOCVD(有機金属化学気相成長)/MOVPE(有機金属気相エピタキシー)、HVPE(ハイドライド気相エピタキシー)、固体ソースMBEおよび化学ビームエピタキシーを含み得る。いくつかの実施形態では、エピ層404はPVデバイス中での使用に好適な任意の活性材料を含み得る。材料の性質に応じて、PV活性層は異なる特性および/または性能レベルを示し得る。表1(上記)は異なる活性層を含むPVセルの出力および効率を比較している。
【0089】
いくつかの実施形態では、電池(エピ層)404はエピ層106として上記で説明した少なくとも一の材料から選択し得る。
【0090】
ある遊離層(例えばエッチング停止層)および/または遊離物質は、エッチング停止層への参照が別途明記されていなくとも、エピ層404に組み込まれることを理解するべきである。例えば、「GaAs/AlGaAs」構造を有するデバイスは、単一のGaAs/AlGaAsエピ層スタックを参照し得る。そうでなければ、一以上の層(例えば、GaAsエピ層およびAlGaAsエッチング停止層)を有するそのような構造として記載され得る。同様に、「InGaAs/InP/InGaAs」構造は、InGaAs/InP/InGaAsエピ層スタックとして記載され、または、InGaAs/InPエピ層スタックおよびInGaAsエッチング停止層として記載され得る。
【0091】
図28に示される本方法の次の工程は、構造600を、接触層をエピ層404の表面上に堆積することにより作製する。好ましい接触層およびそれらの作製は、図1について上記したものを含み得る。
【0092】
エピ層404への接触層602の堆積に際して、エピ層404はホスト基板604に接合され中間構造606を形成する。いくつかの実施形態では、ホスト基板604は、エピ層404上に堆積される接触層として選択されるものと同様の、金属または合金等の材料で被覆されていてもよい。そのような被覆は、エピ層404をホスト基板604に接合する補助として効果的であり得る。例えば、エピ層404の接触層は、Au、Ag、PtまたはPdを含み得る一方で、ホスト基板604は同じ金属で被覆される。いくつかの実施形態では、好ましい接合技術としては、エピ層106およびホスト基板110の接合について上記したものを含み得る。しかしながら、ある背景では、成長用基板を遊離した後に、ホスト基板604をエピ層404に接合することが好適である場合がある。
【0093】
フレキシブルPV製品を開発する努力において、エピ層404を薄いかつ/またはフレキシブルホスト基板に移動することが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ホスト基板604は少なくとも一のポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエステルおよびポリイミドから選択され得る。いくつかの実施形態では、好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートを含み得る。使用し得る、市販のポリエステルの非制限的な例としてはMylar(登録商標)が含まれる。使用し得る、市販のポリイミドの非制限的な例としてはKapton(登録商標)が含まれる。
【0094】
一旦中間構造606が形成されれば、エピ層404は成長用基板102から移動し得る。いくつかの実施形態では、中間構造606からの成長用基板102の除去は、HF等のエッチング液を用いた犠牲層404の選択的エッチングによって達成し得る。他の好ましいエッチング液は上記で議論した通りである。犠牲層404の部分的エッチングにより中間構造608が得られ、次いで完全な水平方向のエッチングが行われる。
【0095】
保護層を伴う成長用基板102の除去によりデバイス610が得られる。最上部接触がデバイス610のエピ層404の露出表面上にパターニングされ得る。好ましい最上部接触はデバイス112について上記したものを含み得る。
【0096】
ポリエステル(例えばMylar(登録商標))およびポリイミド(例えばKapton(登録商標))等の材料がホスト基板604として選択されたときは、ホスト基板110について上記したもの等の、得られるデバイス610が保管、輸送および配備の簡便な方法に好適な、軽く、フレキシブルなPVセルを呈し得る。このような材料を使用することで、得られる電池の重量を減少させ、ワット/グラム比の大きいPVデバイスの作製を可能にし、それらは、宇宙応用および無人航空機(UAV)等の重量制限される技術に有用であり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、残っている成長用基板は第二の保護層406および第一の保護層408を選択的エッチングで除くことにより、再利用のために準備し得る。いくつかの実施形態では、構造400は、成長用基板102および第一の保護層408の間に配置されるバッファ層をさらに含み得る。再利用のための成長用基板の準備は、ここに記載する実施形態に一致する方法で達成し得る。
【0098】
本発明は、純粋に本発明の例示として意図される、以下の比制限的例により、より明確にされる。
【実施例】
【0099】
実施例
図4Aは、InP/InPスタックエピ層およびInP成長用基板を有する例示的なコントロールデバイスの構造を示す。このデバイスは、ITO最上部接触およびZn/Au接触層と共にInAlAsエッチング層をも有している。図4Bは図1に概略を示す方法により作製されたデバイスを表している。図4Bのデバイスは、エピ層としてInP/InGaAs/InGaAsスタックおよびKapton(登録商標)ホスト基板を有するデバイスを表している。このデバイスは、ITO最上部接触および接触層としてTi/Pt/Auスタックをも有している。
【0100】
図5Aは、図5Bに示す図4Bのデバイスについての結果と比較した、図4Aのコントロールデバイスについて、光強度(sun)に対する電力効率(%)を表している。図6Aは、図6Bに示す図4Bのデバイスについての結果との比較として、図4Aのコントロールデバイスについて、光強度(sun)に対する開回路電圧(VOC)を示している。図7Aは、図7Bに示す図4Bのデバイスについての結果の比較として、図4Aのコントロールデバイスについて光強度(sun)に対する曲線因子(%)を表している。
【0101】
図8Aは、それぞれBeがドープされた、InGaAs/InPスタックエピ層およびInGaAsエッチング停止層を有する例示的なコントロールウエハーの構造を描いている。このウエハーは、ZnでドープされたInP基板をも有している。このウエハーはガスソース分子線エピタキシーによってInP基板上に成長させることにより製造された。エピ層スタックのベース層となっているのはpがドープされた3.0μm厚さのInP層である。エピ層の最上部側は、得られるフレキシブルPVデバイスのp型ohmic接触の場所を提供する多量にBeがドープされた格子整合InGaAs層を含む。
【0102】
図8Bの例示的なフレキシブルPVデバイスは、図8Aに示すウエハーのエピ層の上面(InGaAs)および125μm厚さのKapton(登録商標)シート両方の上に、p金属(Ti/Pt/Au)を電子線蒸着させることから開始される、「一回反転」法によって作製した。図8Aのウエハーを350°Cで90秒間アニーリングした後、InGaAs層の最上部を反転させ、ウエハーをシルバーペーストを介して被覆Kapton(登録商標)上に載置した。InP基板およびInGaAsエッチング停止層は、それぞれ、リン酸/塩酸(H3PO4:HCl=1:3)、および硫酸/過酸化水素(H2SO4:H2O2:H2O=1:1:10)溶液を用いて除去した。150nm厚さのITO接触層および約0.00785cm2の面積をシャドーマスクを通してスパッタリングし、その結果図8BのフレキシブルPVデバイスを得た。
【0103】
図8Cは、Znドープされたp型(100)InP基板上にガスソース分子線エピタキシーによって成長させた例示的なコントロールウエハーを表している。この構造は、0.375μm厚さのp型(5x1016cm−3)InPバッファ層、0.25μm厚さの格子整合したBeドープ(5x1016cm−3)p型In0.53Ga0.47Asエッチング停止層、2.0μm厚さの少量でpドープされた(5x1016cm−3)InP吸収層、および最後に0.3μm厚さの格子整合したBeドープ(1x1019cm−3)p型InP Ohmic接触層、からなる。
【0104】
図8Dの例示的なフレキシブルPVデバイスは、図8Cに示すウエハーのエピ層の最上部InP接触および25μm厚さのKapton(登録商標)シートの両方に(各厚さ300Å)、p金属接触(Pt−Au)を電子線蒸着することから開始する、「一回反転」法によって作製した。電子線蒸着後、ウエハーはp接触側を下にして、Pt/Au被覆Kapton(登録商標)シートに、50MPaの圧力を60秒間印加するMTS Alliance RT/100 Testing Systemを用いた冷間圧接により載置した。InP基板および連続するIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層は、その後H3PO4:HCl=1:3溶液を用いて、次にH2SO4:H2O2:H2O=1:1:10を用いて除去した。これらの溶液を用いたエッチング速度は、それぞれ、InPに対しては約3μm/minおよびIn0.53Ga0.47Asに対しては約0.2μm/minである。最後に、シャドーマスクによって決められた0.785mm2の面積の150nm厚さのインジウムスズ酸化物(ITO)Schottkyダイオード接触が基本圧力2x10−6torr、RF出力40W、および堆積速度0.2Å/secでスパッタリングされ、その結果図8DのフレキシブルPVデバイスを得る。
【0105】
図9Aは、図8Aのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での電流密度/電圧 特性を表している。図9Bは、室温下、AM1.5Gの太陽スペクトルのシミュレーション1sun強度(100mW/cm2)での、図8Cのコントロールウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8DのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の電流密度/電圧 特性を表している。図10Aは、波長650nmおよび1100nmの間の、図8Aのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス両方のEQE特性を表している。図10Bは、AM1.5太陽スペクトル全体に亘る、図8Cのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8DのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方のEQE特性を表している。図11A〜Dは、図8Aのウエハー(ITO/InP コントロールPV)および図8BのフレキシブルPVデバイス(ITO/InP 薄膜PV)両方の、多様な太陽強度下での曲線因子、VOC、電流密度および電力効率を示している。図11Eおよび11Fは、図8DのフレキシブルPVデバイスおよび図8Cのコントロールウエハーの、曲線因子、VOC、電流密度および電力効率、をそれぞれ表している。
【0106】
図12AおよびBは、圧縮および引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対曲げ半径を示している。図12CおよびDは、圧縮および引張応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電流密度対曲げ半径を示している。図13AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BのフレキシブルPVデバイスの電力効率対太陽光強度を示している。図14AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスのVOC対太陽光強度を示している。図15AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスの曲線因子対太陽光強度を示している。図16AおよびBは、引張および圧縮応力下での、図8BフレキシブルPVデバイスの応答性対太陽光強度を示している。
【0107】
図17AおよびBは、図13〜16に示した応力のすべてを印加した後の図8BのフレキシブルPVデバイスの画像を示している。
【0108】
図18は、引張および圧縮応力を印加した後の、図8Dで示されるフレキシブルPVデバイスの性能を示している。
【0109】
図19では、図8Dで表されるフレキシブルPVデバイスの性能を、異なるデバイスと比較している。
【0110】
図20は、AlAs犠牲層を用いたエピタキシャルリフトオフ後に、GaAs基板の平滑性を保持する例示的な方法を表している。
【0111】
図21は、犠牲層としてInAs/AlAs超格子を用いたエピタキシャルリフトオフ後に、InP基板の平滑性を保持する例示的な方法を表している。
【0112】
図24は、以下の方法で作製された、例示的な成長用構造の断面を表している。エピタキシャル層はガスソース分子線エピタキシー(GSMBE)により、Sドープされた(100)InP基板上に、0.2μm厚さのInPバッファ層から始めて、成長させた。その後、0.1μm厚さの格子整合したIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層、続いて、1.5μm厚さのInP保護層を成長させた。ここで、親のウエハーから後に活性層を分離するために、エッチングにより除かれる、10nm厚さのAlAs犠牲層を成長させる。次に、第二の1.5μm厚さのInP保護層を成長させ、続いて0.1μm厚さの格子整合したIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層を成長させ、その後、0.1μm厚さの少量のBeがドープされた(3x1018cm−3)InP Ohmic接触層を伴う3.0μm厚さの少量Beがドープされた(3x1016cm−3)InPベース層からなる活性領域を成長させる。第二の成長では、InPバッファ層の厚さは、表面を平滑にするため、0.2μmから2μmに増加させた。他のあらゆる点において、第一および第二の再成長させたエピタキシャル構造は実質的に同様である。
【0113】
成長の直後に、100Å厚さのCr接着層、続いて600ÅのAu接触層が50μm厚さのKapton(登録商標)シート上にスパッタリングされ、600ÅのAu層が、多量にpドープされたInPエピタキシャル層上に電子線蒸着により堆積された。
【0114】
金属堆積の後、ウエハーはAu側を下にしてプラスチックシートに載置し、10MPaの圧力を60秒間MTS Alliance RT/100 Testing systemを用いて印加することにより冷間圧接を行う。この方法は、あるゆる目的のために全体を参照により本明細書に組み入れる、PlosslらによりMat.Sci.Eng.R. 25、1(1999)に記載された方法と一致する。その後、Kapton(登録商標)シートは、回転可能な直径7.5cmのテフロン(登録商標)ロッドにKapton(登録商標)テープで取り付け、HF:H2O(1:10)のエッチング溶液に浸漬した。ELOプロセスを促進するため、13gの重りをプラスチック基板上に載置し、テフロン(登録商標)ロッドをウエハーにかかる外力を一定にするために回転させ、一方でエピタキシャル層および基板の間のギャップがエッチングが進行するにつれて増加する。このことは、プロセスを通して、エピ層/基板界面を常に新しいエッチング液に接触させることになる。
【0115】
ELO完了後、最初のInP基板上のAu残留物は、エッチング(エッチング液タイプTFA、Transene社製)により除去される。基板および太陽電池双方の上のInP保護およびIn0.53Ga0.47Asエッチング停止層はそれぞれ、H3PO4:HCl(1:3)およびH2SO4:H2O2:H2O(1:1:10)中のエッチングにより、選択的に除去された。続いて、クエン酸:H2O2(20:1)を残っているIn0.53Ga0.47Asを完全に除去するために用いた。新しく露出したInP基板表面は、加熱したトリクロロエチレン、アセトン、および加熱したイソプロパノールに順次浸漬して脱脂し、UV/オゾンに10分間曝すことにより意図的に酸化物を生成させた。この基板は、GSMBEチャンバー内に戻し、脱気した。二番目の太陽電池を最初の親基板上に上記と同様の手順を用いて成長させ、冷間圧接およびELOの二回目を行った。
【0116】
ITO/InP Schottky接合を製造するために、UV/オゾンに7分間曝すことで表面汚染物質を除去し、薄い不動態化された自然の酸化物を形成する。ITOは直径1mmの開口列を有するシャドーマスクを通して、速度0.3A/sのスパッタリングにより堆積する。コントロールの、同様のエピタキシャル構造を有する、Kapton(登録商標)シート上に冷間圧接された薄膜ITO/InP太陽電池が、あるゆる目的のために全体を参照により本明細書に組み入れる、ShiuらによりAppl.Phys.Lett.95、223503(2009)に以前記載されたように、完全な基板除去を介して、製造された。太陽電池の特性化は、AM1.5Gでのシミュレーション照射下で行われた。
【0117】
図25Aは、図24の成長用構造の作製前のInPウエハー表面の原子間力顕微鏡像である。
【0118】
図25Bは、上記したように、図24の構造のエピタキシャルリフトオフ(ELO)およびエッチング後の、InPウエハー表面の原子間力顕微鏡像である。
【0119】
図26Aは、新しいInPウエハー上に成長させた一回目のデバイスおよびここに記載する実施形態に一致する方法で製造された、再利用のInPウエハー上に成長させた二回目のデバイスのIVプロットを示している。
【0120】
図26Bは図26Aのデバイスに対応する電気的量子効率(EQE)を示している。
【0121】
図27Aは図26Aのデバイスに対応する短絡回路電流(ISC)を示している。
【0122】
図27Bは図26Aのデバイスに対応する開回路電圧(VOC)を示している。
【0123】
図27Cは、図26Aのデバイスに対応する曲線因子(FF)を示している。
【0124】
図27D図26Aのデバイスに対応する電力変換効率を示している。
【0125】
図29Aは、新しいInP基板のRMS値、続いて図26Aに示す第一および第二のデバイスのELOリフトオフ後のRMS値、および保護バッファ層を使用しないELO後のデバイスのRMS値を示す顕微鏡像を表している。
【0126】
図29Bは、ELOおよび50μm厚さのKapton(登録商標)シートへの冷間圧接接合の組み合わせによって製造されたITO/lnP薄膜太陽電池の配列を含む直径2インチのリフトオフされたエピタキシャル層の画像である。
【0127】
図30は、製造およびELO後のInPウエハーと比較した、図24の成長用構造製造前の新しいInPウエハーの強度(k counts)対結合エネルギー(eV)を示している。
【0128】
図31は、1sun強度、AM1.5Gの太陽光シミュレーションで測定した、第一および第二のELO工程を経た、並びにコントロールの、ITO/lnPおよびKapton(登録商標)シートに接合した太陽電池の電流密度対電圧特性を示している。
【0129】
挿入:(a)ELOおよび保護層除去後、並びに(b)保護層なしのELO後、の最初の基板の表面モルフォロジー。
【0130】
ここに記載するコントロールは、図31に示すデータを含むが、リフトオフを使用する代わりにウエハー全体のエッチングにより製造された。この工程は、参照によりここに組み入れる、K.T.Shiu、J.Zimmerman、H.Y.WangおよびS.R.Forrestによる論文、”Ultrathin film、 high specific power InP solar cells on flexible plastic substrates”、Applied Physics Letters 95、 223503、(2009)に記載されている。
【0131】
コントロール電池と比較した、図7Aに示す第一および第二デバイスのELO後の、AM1.5Gでの太陽スペクトルシミュレーション下でのデバイス性能、−1V(JD)での暗電流、理想係数(n)および暗所での直列抵抗率(Rs)、の比較を表2に示す。
【0132】
【表2】
【0133】
実施例以外にも、特に指摘しない限りは、明細書および特許請求の範囲で使用した配合量、反応条件、分析測定等を示すすべての数値は、すべての場合に、「約」の語によって、変更し得ることが理解される。したがって、逆の指摘をしない限りは、本明細書および添付の特許請求の範囲に規定する数値パラメータは、本開示によって得られる所望の特性に応じて変化させ得る概算である。最低限でも、特許請求の範囲の範囲と同等の規定に本発明を制限することを意図しないものとして、各数値パラメータは、有効数字および通常の四捨五入方法に照らして解釈すべきである。
【0134】
広い範囲の開示である数値範囲およびパラメータは概算ではあるものの、特に指摘しない限りは、特定の実施例で規定した数値はできる限り正確に報告される。いかなる数値も、しかしながら、各試験測定での標準偏差の不可避の結果、本質的にある誤差を含んでいる。
【0135】
ここに記載する他のデバイスの実施形態および方法は、当業者には明細書および実践を考慮することから明らかとなろう。特許請求の範囲に規定され記載されるデバイスおよび方法の真の範囲と共に、明細書および実施例は例示のみとして考慮すべきものとして意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長用基板の一体性を保持する方法であって、以下:
少なくとも一の成長用表面のある成長用基板;電池;犠牲層;第一の保護層;および第二の保護層を有する構造を提供する工程、ここで、前記犠牲層、前記第一の保護層および第二の保護層は前記成長用基板および前記電池の間に配置される;
エッチング液で前記犠牲層をエッチングすることにより前記電池を遊離する工程;
エッチング液で前記第二の保護層をエッチングすることにより前記第二の保護層を除去する工程;および
エッチング液で前記第一の保護層をエッチングすることにより、前記第一の保護層を除去する工程、を含む。
【請求項2】
前記第一の保護層が前記成長用基板上に配置され、前記第二の保護層が前記第一の保護層上に配置され、前記犠牲層が前記第二の保護層上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成長用基板および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記成長用基板が単結晶ウエハー材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成長用基板が、Ge、Si、GaAs、InP、GaSb、GaN、AlNおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記同じ材料がInPを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記同じ材料がGaAsを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の保護層が、InGaAs、InAlAs、(AlGa)AsSb、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の保護層が、InGaP、AlGaAs、InAlP、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記犠牲層がAIAsを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲層が超格子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記超格子がInAs/AlAsを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
各エッチング液が、それぞれ独立に、HF、H3PO4、HCl、H2SO4、HNO3、C6H8O7(クエン酸)、H2O2、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電池を遊離するための前記エッチング液がHFを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がHCl:H3PO4を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がH2SO4:H2O2を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の保護層を遊離するための前記エッチング液が、H2SO4:H2O2、C6H8O7:H2O2、H3PO4:H2O2、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の保護層を除去するための前記エッチング液が、HCl:H3PO4を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記構造が、前記電池および前記成長用基板の間に配置されるバッファ層をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記バッファ層が前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記成長用基板、前記バッファ層および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記同じ材料がInPを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の保護層を除去するためのエッチング液が、H2SO4:H2O2:H2Oおよび/またはクエン酸:H2Oを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも一の成長用表面を研磨せずに、エピタキシャル成長のための前記成長用基板を再利用する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
成長用基板の一体性を保持する方法であって、以下:
少なくとも一の成長用表面のある成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および電池を、前記成長用基板上に堆積する工程、ここで、前記犠牲層、前記第一の保護層および前記第二の保護層は前記成長用基板および前記電池の間に配置される;
エッチング液で前記犠牲層をエッチングすることにより、前記電池を遊離する工程;
エッチング液で前記第二の保護層をエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程;および
エッチング液で前記第一の保護層をエッチングすることにより、前記第一の保護層を除去する工程、を含む。
【請求項26】
成長用表面を有するバッファ層を堆積する工程をさらに含み、前記バッファ層は前記成長用基板および前記電池の間に配置される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記バッファ層が前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記バッファ層が前記成長用基板の前記少なくとも一の成長用表面上に直接配置される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記バッファ層の前記少なくとも一の成長用表面が、前記第一の保護層の除去後に、前記第一の保護層の堆積前の前記成長用基板の前記少なくとも一の成長用表面よりも平滑である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記成長用基板の前記少なくとも一の成長用表面が、前記第一の保護層の堆積前に、約0.25nm〜約0.35nmのRMS値を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記RMS値が約0.32nmである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記バッファ層の前記少なくとも一の成長用表面が、前記第一の保護層の除去後に、約0.10nm〜約0.20nmのRMS値を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記RMS値が約0.16nmである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第三の保護層および第四の保護層を堆積する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記第三の保護層および第四の保護層が、前記犠牲層および前記電池の間に堆積される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
PVデバイスを製造する方法であって、以下:
成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および少なくとも一のエピ層を前記成長用基板上に堆積する工程、ここで、前記犠牲層、前記第一の保護層および前記第二の保護層が前記成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、前記犠牲層が前記成長用基板および前記エピ層の間に配置される;
少なくとも一の金属または合金を少なくとも一部の前記エピ層上に堆積し、接触層を形成する工程;
前記接触層を金属または合金被覆したホスト基板に接合する工程;および
エッチング液で前記犠牲層をエッチングすることにより、前記少なくとも一のエピ層を遊離する工程、を含む。
【請求項37】
バッファ層を堆積する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記バッファ層が、前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
エッチング液で前記第二の保護層をエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
エッチング液で前記第一の保護層をエッチングすることにより、前記第一の保護層を除去する工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第三の保護層および第四の保護層を堆積する工程をさらに含み、ここで、前記第三の保護層および前記第四の保護層が前記犠牲層および前記少なくとも一のエピ層の間に配置される、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記成長用基板および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記成長用基板が単結晶ウエハー材料を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記成長用基板が、Ge、Si、GaAs、InP、GaN、AlN、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記同じ材料がInPである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記同じ材料がGaAsである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記第一の保護層が、InGaAs、InAlAs、(AlGa)AsSbおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記第一の保護層が、InGaP、AlGaAs、InAlP、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記犠牲層がAIAsを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記エッチング液が、それぞれ独立に、HF、H3PO4、HCl、H2SO4、HNO3、C6H8O7(クエン酸)、H2O2およびそれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
前記エピ層を遊離するための前記エッチング液がHFを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がHCl:H3PO4を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がH2SO4:H2O2を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記第一の保護層を除去するための前記エッチング液が、H2SO4:H2O2、C6H8O7:H2O2、H3PO4:H2O2およびそれらの組み合わせから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記第一の保護層を除去するための前記エッチング液が、HCl:H3PO4を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
バッファ層を堆積する工程をさらに含み、ここで、前記バッファ層が前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項36に記載の方法。
【請求項57】
前記成長用基板、前記バッファ層、および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記同じ材料がInPである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第一の保護層を除去するためのエッチング液が、H2SO4:H2O2:H2Oおよび/またはクエン酸:H2Oを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも一のエピ層が少なくとも一のIII−V材料を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項61】
前記接合が冷間圧接を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項62】
前記ホスト基板がポリエステルおよびポリイミドから選択される少なくとも一のポリマーを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項63】
前記バッファされた成長用基板に少なくとも一の超音波処理工程を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
前記超音波処理工程は酸溶液中で行う、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記酸溶液はクエン酸:H2O2を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
成長用構造であって、以下:
成長用基板、犠牲層、バッファ層、第一の保護層、第二の保護層、第三の保護層、第四の保護層、少なくとも一のエピ層、少なくとも一の接触、および、金属または合金被覆したホスト基板を含み、
ここで、前記犠牲層が前記成長用基板および前記少なくとも一のエピ層の間に位置し、前記第一の保護層および前記第二の保護層が前記成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、かつ、前記第三の保護層および前記第四の保護層が前記犠牲層および前記エピ層の間に配置される。
【請求項67】
バッファ層をさらに含む、請求項66に記載の構造。
【請求項68】
前記バッファ層が前記第一の保護層および前記成長用基板の間に配置される、請求項67に記載の構造。
【請求項69】
前記成長用基板および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項70】
前記成長用基板が単結晶ウエハー材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項71】
前記成長用基板が、Ge、Si、GaAs、InP、GaN、AlN、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項70に記載の構造。
【請求項72】
前記同じ材料がInPである、請求項69に記載の構造。
【請求項73】
前記同じ材料がGaAsである、請求項69に記載の構造。
【請求項74】
前記第一の保護層がInGaAs、GaAsSb、InAlAs、AlAsSbおよびそれらの混合物から選択される、請求項72に記載の構造。
【請求項75】
前記第一の保護層が、InGaP、AlGaAs、InAlPおよびそれらの混合物から選択される、請求項70に記載の構造。
【請求項76】
前記成長用基板、前記バッファ層、および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項77】
前記同じ材料がInPを含む、請求項76に記載の構造。
【請求項78】
前記少なくとも一のエピ層が少なくとも一のIII−V材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項79】
前記ホスト基板が、ポリエステルおよびポリイミドから選択される少なくとも一のポリマーを含む、請求項66に記載の構造。
【請求項1】
成長用基板の一体性を保持する方法であって、以下:
少なくとも一の成長用表面のある成長用基板;電池;犠牲層;第一の保護層;および第二の保護層を有する構造を提供する工程、ここで、前記犠牲層、前記第一の保護層および第二の保護層は前記成長用基板および前記電池の間に配置される;
エッチング液で前記犠牲層をエッチングすることにより前記電池を遊離する工程;
エッチング液で前記第二の保護層をエッチングすることにより前記第二の保護層を除去する工程;および
エッチング液で前記第一の保護層をエッチングすることにより、前記第一の保護層を除去する工程、を含む。
【請求項2】
前記第一の保護層が前記成長用基板上に配置され、前記第二の保護層が前記第一の保護層上に配置され、前記犠牲層が前記第二の保護層上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成長用基板および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記成長用基板が単結晶ウエハー材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成長用基板が、Ge、Si、GaAs、InP、GaSb、GaN、AlNおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記同じ材料がInPを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記同じ材料がGaAsを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の保護層が、InGaAs、InAlAs、(AlGa)AsSb、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の保護層が、InGaP、AlGaAs、InAlP、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記犠牲層がAIAsを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲層が超格子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記超格子がInAs/AlAsを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
各エッチング液が、それぞれ独立に、HF、H3PO4、HCl、H2SO4、HNO3、C6H8O7(クエン酸)、H2O2、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電池を遊離するための前記エッチング液がHFを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がHCl:H3PO4を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がH2SO4:H2O2を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記第一の保護層を遊離するための前記エッチング液が、H2SO4:H2O2、C6H8O7:H2O2、H3PO4:H2O2、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記第一の保護層を除去するための前記エッチング液が、HCl:H3PO4を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記構造が、前記電池および前記成長用基板の間に配置されるバッファ層をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記バッファ層が前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記成長用基板、前記バッファ層および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記同じ材料がInPを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の保護層を除去するためのエッチング液が、H2SO4:H2O2:H2Oおよび/またはクエン酸:H2Oを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも一の成長用表面を研磨せずに、エピタキシャル成長のための前記成長用基板を再利用する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
成長用基板の一体性を保持する方法であって、以下:
少なくとも一の成長用表面のある成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および電池を、前記成長用基板上に堆積する工程、ここで、前記犠牲層、前記第一の保護層および前記第二の保護層は前記成長用基板および前記電池の間に配置される;
エッチング液で前記犠牲層をエッチングすることにより、前記電池を遊離する工程;
エッチング液で前記第二の保護層をエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程;および
エッチング液で前記第一の保護層をエッチングすることにより、前記第一の保護層を除去する工程、を含む。
【請求項26】
成長用表面を有するバッファ層を堆積する工程をさらに含み、前記バッファ層は前記成長用基板および前記電池の間に配置される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記バッファ層が前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記バッファ層が前記成長用基板の前記少なくとも一の成長用表面上に直接配置される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記バッファ層の前記少なくとも一の成長用表面が、前記第一の保護層の除去後に、前記第一の保護層の堆積前の前記成長用基板の前記少なくとも一の成長用表面よりも平滑である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記成長用基板の前記少なくとも一の成長用表面が、前記第一の保護層の堆積前に、約0.25nm〜約0.35nmのRMS値を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記RMS値が約0.32nmである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記バッファ層の前記少なくとも一の成長用表面が、前記第一の保護層の除去後に、約0.10nm〜約0.20nmのRMS値を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記RMS値が約0.16nmである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第三の保護層および第四の保護層を堆積する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記第三の保護層および第四の保護層が、前記犠牲層および前記電池の間に堆積される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
PVデバイスを製造する方法であって、以下:
成長用基板を提供する工程;
第一の保護層、第二の保護層、犠牲層および少なくとも一のエピ層を前記成長用基板上に堆積する工程、ここで、前記犠牲層、前記第一の保護層および前記第二の保護層が前記成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、前記犠牲層が前記成長用基板および前記エピ層の間に配置される;
少なくとも一の金属または合金を少なくとも一部の前記エピ層上に堆積し、接触層を形成する工程;
前記接触層を金属または合金被覆したホスト基板に接合する工程;および
エッチング液で前記犠牲層をエッチングすることにより、前記少なくとも一のエピ層を遊離する工程、を含む。
【請求項37】
バッファ層を堆積する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記バッファ層が、前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
エッチング液で前記第二の保護層をエッチングすることにより、第二の保護層を除去する工程をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
エッチング液で前記第一の保護層をエッチングすることにより、前記第一の保護層を除去する工程をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第三の保護層および第四の保護層を堆積する工程をさらに含み、ここで、前記第三の保護層および前記第四の保護層が前記犠牲層および前記少なくとも一のエピ層の間に配置される、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記成長用基板および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記成長用基板が単結晶ウエハー材料を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記成長用基板が、Ge、Si、GaAs、InP、GaN、AlN、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記同じ材料がInPである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記同じ材料がGaAsである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記第一の保護層が、InGaAs、InAlAs、(AlGa)AsSbおよびそれらの組み合わせから選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記第一の保護層が、InGaP、AlGaAs、InAlP、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記犠牲層がAIAsを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記エッチング液が、それぞれ独立に、HF、H3PO4、HCl、H2SO4、HNO3、C6H8O7(クエン酸)、H2O2およびそれらの組み合わせから選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項51】
前記エピ層を遊離するための前記エッチング液がHFを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がHCl:H3PO4を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
前記第二の保護層を除去するための前記エッチング液がH2SO4:H2O2を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記第一の保護層を除去するための前記エッチング液が、H2SO4:H2O2、C6H8O7:H2O2、H3PO4:H2O2およびそれらの組み合わせから選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記第一の保護層を除去するための前記エッチング液が、HCl:H3PO4を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
バッファ層を堆積する工程をさらに含み、ここで、前記バッファ層が前記成長用基板および前記第一の保護層の間に配置される、請求項36に記載の方法。
【請求項57】
前記成長用基板、前記バッファ層、および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記同じ材料がInPである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記第一の保護層を除去するためのエッチング液が、H2SO4:H2O2:H2Oおよび/またはクエン酸:H2Oを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも一のエピ層が少なくとも一のIII−V材料を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項61】
前記接合が冷間圧接を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項62】
前記ホスト基板がポリエステルおよびポリイミドから選択される少なくとも一のポリマーを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項63】
前記バッファされた成長用基板に少なくとも一の超音波処理工程を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
前記超音波処理工程は酸溶液中で行う、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記酸溶液はクエン酸:H2O2を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
成長用構造であって、以下:
成長用基板、犠牲層、バッファ層、第一の保護層、第二の保護層、第三の保護層、第四の保護層、少なくとも一のエピ層、少なくとも一の接触、および、金属または合金被覆したホスト基板を含み、
ここで、前記犠牲層が前記成長用基板および前記少なくとも一のエピ層の間に位置し、前記第一の保護層および前記第二の保護層が前記成長用基板および前記犠牲層の間に配置され、かつ、前記第三の保護層および前記第四の保護層が前記犠牲層および前記エピ層の間に配置される。
【請求項67】
バッファ層をさらに含む、請求項66に記載の構造。
【請求項68】
前記バッファ層が前記第一の保護層および前記成長用基板の間に配置される、請求項67に記載の構造。
【請求項69】
前記成長用基板および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項70】
前記成長用基板が単結晶ウエハー材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項71】
前記成長用基板が、Ge、Si、GaAs、InP、GaN、AlN、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項70に記載の構造。
【請求項72】
前記同じ材料がInPである、請求項69に記載の構造。
【請求項73】
前記同じ材料がGaAsである、請求項69に記載の構造。
【請求項74】
前記第一の保護層がInGaAs、GaAsSb、InAlAs、AlAsSbおよびそれらの混合物から選択される、請求項72に記載の構造。
【請求項75】
前記第一の保護層が、InGaP、AlGaAs、InAlPおよびそれらの混合物から選択される、請求項70に記載の構造。
【請求項76】
前記成長用基板、前記バッファ層、および前記第二の保護層が同じ材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項77】
前記同じ材料がInPを含む、請求項76に記載の構造。
【請求項78】
前記少なくとも一のエピ層が少なくとも一のIII−V材料を含む、請求項66に記載の構造。
【請求項79】
前記ホスト基板が、ポリエステルおよびポリイミドから選択される少なくとも一のポリマーを含む、請求項66に記載の構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図27D】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2013−504878(P2013−504878A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528887(P2012−528887)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/048213
【国際公開番号】WO2011/066029
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(509009692)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/048213
【国際公開番号】WO2011/066029
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(509009692)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]