説明

エポキシ樹脂成形材料の製造方法及び半導体装置

【課題】ハロゲン系難燃剤、及びアンチモン化合物を含まず、成形性、難燃性、高温保管特性、耐湿信頼性及び半田クラック性に半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を提供すること。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、(E)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、金属水酸化物固溶体又はほう酸亜鉛から選ばれる1種以上を、チタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤により表面処理し、該カップリング剤表面処理物を前記エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の全部又は一部と予め溶融混練した後、前記残余の成分と混合して溶融混練することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物を含まず、難燃性、高温保管特性に優れた特性を有する半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の製造方法及び半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子部品は、主にエポキシ樹脂成形材料で封止されている。これらのエポキシ樹脂成形材料中には、難燃性を付与するためにハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物が配合されている。ところが、環境・衛生の点からハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を使用しないで、難燃性に優れたエポキシ樹脂成形材料の開発が要求されている。又ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を含むエポキシ樹脂成形材料で封止された半導体装置を高温下で保管した場合、これらの難燃剤成分から熱分解したハロゲン化物が遊離し、半導体素子の接合部を腐食し、半導体装置の信頼性を損なうことが知られており、難燃剤としてハロゲン系難燃剤とアンチモン化合物を使用しなくても難燃グレードV−0を達成できるエポキシ樹脂成形材料が要求されている。このように、半導体装置を高温下(例えば185℃等)に保管した後の半導体素子の接合部(ボンディングパッド部)の耐腐食性のことを高温保管特性といい、この高温保管特性を改善する手法としては、五酸化二アンチモンを使用する方法(特開昭55−146950号公報)や、酸化アンチモンと有機ホスフィンとを組み合わせる方法(特開昭61−53321号公報)等が提案され、効果が確認されているが、最近の半導体装置に対する高温保管特性の高い要求レベルに対して、エポキシ樹脂成形材料の種類によっては不満足なものもある。
【0003】又難燃剤として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、ほう酸亜鉛が提案されており、これらを多量に添加することにより難燃グレードV−0を達成でき、高温保管特性も問題ないが、添加量が多いことにより耐湿信頼性、成形性、耐半田クラック性が低下するという問題がある。前記欠点を改良した技術として、特定の金属水酸化物と特定の金属酸化物の併用、或いは特定の金属水酸化物固溶体を用いることにより、難燃性と耐湿信頼性を解決する提案がされているが(例えば特開平10−251486号公報、特開平11−11945号公報等)、十分な難燃性を発現させるためには、多量の添加を必要とし、そのため成形性、耐半田クラック性の低下を引きおこす問題がある。即ち、難燃性を維持し、成形性、高温保管特性、耐湿信頼性及び耐半田クラック性に優れ、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を使用しないエポキシ樹脂成形材料が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を含まず成形性、難燃性、高温保管特性、耐湿信頼性及び耐半田クラック性に優れた特性を有する半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の製造方法及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、(E)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体又は一般式(2)で示されるほう酸亜鉛から選ばれる1種以上を、一般式(3)で示されるチタネート系カップリング剤又は一般式(4)で示されるアルミニウム系カップリング剤により表面処理し、該カップリング剤表面処理物を前記エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の全部又は一部と予め溶融混練した後、前記残余の成分と混合して溶融混練することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の製造方法、Mg1-y2+y (OH)2 (1)
(式中M2+は、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+及びZn2+の群から選ばれた少なくとも1種の二価金属イオンを示し、yは0.01≦y≦0.5である。)
pZnO・qB23・rH2O (2)
(式中p、q、rは正数。)
【0006】
【化3】


(式中R1は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。XはC、N、P、S、O、Hからなる有機基の中から選択される基である。式中R2、R3は、炭素数1〜20の有機基であり、酸素原子を含んでいてもよく、これらは互いに結合してもよい。式中R4は炭素数1〜20の有機基であり、酸素原子を含んでいてもよい。式中R5は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
【0007】
【化4】


(式中R6は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。)
【0008】[2]第1項記載のエポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0010】本発明に用いるフェノール樹脂としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。特に、フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等が好ましい。これらの配合量としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基数の比が0.8〜1.3が好ましい。
【0011】本発明に用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0012】本発明に用いる無機充填材としては、一般に封止材料に使用されているものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。無機充填材の配合量としては、本発明で言う難燃剤と前記無機充填材との合計量が、成形性と耐半田クラック性のバランスから、全エポキシ樹脂成形材料中に60〜95重量%含有することが好ましい。60重量%未満だと、吸水率の上昇に伴う耐半田クラック性が低下し、95重量%を越えると、ワイヤースィープ及びパッドシフト等の成形性の問題が生じ、好ましくない。
【0013】本発明に用いる水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体又は一般式(2)で示されるほう酸亜鉛は、いずれも難燃剤として作用するものである。水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体の難燃機構としては、燃焼時に金属水酸化物が脱水を開始し、吸熱することによって燃焼反応を阻害するものである。又エポキシ樹脂成形材料の硬化物の炭化を促進することが知られており、硬化物表面に酸素を遮断する難燃層を形成すると考えられる。水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの平均粒径としては、0.5〜30μmで、より好ましくは0.5〜10μmである。更に一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体は、吸熱開始温度を適度に下げ、難燃性能を向上する効果がある。吸熱開始温度が低いと成形性、信頼性に悪影響を及ぼし、又吸熱開始温度がエポキシ樹脂成形材料の硬化物の分解温度より高いと難燃性が低下するが、本発明に用いる金属水酸化物固溶体の吸熱開始温度は、300〜350℃近辺で適正な値である。一般式(1)の内で特に好ましいM2+としては、Ni2+、Zn2+である。一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体の平均粒径としては、0.5〜30μmで、より好ましくは0.5〜10μmである。
【0014】本発明に用いる一般式(2)で示されるほう酸亜鉛は、難燃性と耐湿信頼性とのバランスから2ZnO・3B23・3.5H2Oや4ZnO・B23・H2O等が挙げられ、特に、2ZnO・3B23・3.5H2Oが高い難燃性を示す。平均粒径としては、1〜30μmで、より好ましくは5〜20μmである。
【0015】本発明に用いるモリブデン酸亜鉛は、従来塩化ビニル樹脂の発煙抑制剤、難燃剤として有効であることが知られている。その難燃機構については、燃焼時にモリブデン酸亜鉛が、エポキシ樹脂成形材料の硬化物の炭化を促進することが知られており、これにより空気中の酸素との遮断が起こり、燃焼が止まり難燃化が達成されると考えられる。又モリブデン酸亜鉛は単独で用いてもよいが、吸水し易い傾向があり、配合量が多くなると半導体装置の吸水率が高くなり、耐湿信頼性が低下するおそれがあり、更に成形性も低下する。従って溶融球状シリカ、タルク等の無機系物質をコア材としてモリブデン酸亜鉛で被覆することにより、難燃剤として表面のモリブデン酸亜鉛のみが作用することとなり、モリブデン酸亜鉛単独配合による吸水率の上昇を抑え、成形性も改良することができる。溶融球状シリカ、タルク等をモリブデン酸亜鉛で被覆したものの平均粒径としては、0.5〜30μmが好ましい。
【0016】水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体又は一般式(2)で示されるほう酸亜鉛は、各々単独でも難燃性を付与する性質があるが、十分な難燃性を発現させるには、多量の配合量が必要となる。多量に配合することにより成形性及び強度の低下、吸水率の増加を引き起こす傾向にあり、耐半田クラック性が低下する。これらの諸特性の低下を防ぐためにも配合量は極力少なくする必要がある。各々の難燃剤を併用することにより、その相乗効果として更に難燃性が向上し、配合量を低減させることが可能となる。各々の難燃剤とも燃焼時の吸熱を発生させると共に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体又はモリブデン酸亜鉛は、エポキシ樹脂成形材料の硬化物の炭化を促進させ、一般式(2)のほう酸亜鉛は、ガラス状被膜形成による炭化層の強度向上の作用がある。理由は定かでないが、これらを併用することにより互いの能力を補い合い、その相乗効果として高い難燃性を得ることができる。その結果として配合量を少なくしても難燃性を維持し、成形性及び強度の低下、吸水率の増加等を防ぐことができる。本発明に用いる難燃剤は、単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0017】本発明に用いる一般式(3)で示されるチタネート系カップリング剤又は一般式(4)で示されるアルミニウム系カップリング剤は、1分子中に無機物と結合する部分と有機物に親和する部分を有している。前記難燃剤をチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面処理することにより、カップリング剤が難燃剤表面に化学的に結合し、有機物と親和し易い被膜を形成するため、樹脂との相溶性に優れ樹脂中へ難燃剤を分散しやすくなる。チタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で難燃剤の表面を処理する手法としては、常温で難燃剤をミキサーにて予備混合した後、カップリング剤をそのまま、或いは適当な溶剤に希釈して滴下し、更に攪拌を行って処理した難燃剤を得る方法等が挙げられる。本発明で用いられるチタネート系カップリング剤及びアルミニウム系カップリング剤の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【化5】


【0018】
【化6】


【0019】
【化7】


【0020】
【化8】


【0021】本発明に用いるチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面を処理された難燃剤を、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の全部又は一部と予め溶融混練することにより、樹脂中への難燃剤の分散性を更に向上させることができる。このため少量の添加で十分な難燃性を発現させることができ、難燃剤添加による硬化性低下、吸水率増大、強度低下、流動性低下を抑えることができる。予め溶融混練する組み合わせとしては、エポキシ樹脂の全部又は一部とチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面を処理された難燃剤、フェノール樹脂の全部又は一部とチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面を処理された難燃剤、エポキシ樹脂の全部又は一部とフェノール樹脂の全部又は一部とチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面を処理された難燃剤のいずれの組み合わせでもよいが、特に難燃剤をエポキシ樹脂成形材料中に均一分散させるという点から全エポキシ樹脂及び全フェノール樹脂とチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面を処理された難燃剤を溶融混練することが好ましい。本発明のチタネート系カップリング剤又はアルミニウム系カップリング剤で表面処理された難燃剤を、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の全部又は一部と予め溶融混練、及び残余の成分を混合して溶融混練しエポキシ樹脂成形材料を製造するのに用いる混練機は、混練時に発熱溶融させる機構を有する一般的な混練機であればよいが、例えば一軸式混練機、同方向回転二軸式混練機、異方向回転二軸式混練機等の容器固定型の水平軸形式の混練機等が挙げられる。
【0022】本発明のエポキシ樹脂成形材料は、(A)〜(E)成分を必須成分とするが、これ以外に必要に応じてシランカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤等の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。又本発明のエポキシ樹脂成形材料は、カップリング剤表面処理物をエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の全部又は一部と予め溶融混練した後、残余の成分と必要により添加するその他の添加剤等をミキサー等を用いて常温混合した後、二軸式混練機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。本発明のエポキシ樹脂成形材料を用いて、半導体等の各種の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。なお、実施例及び比較例で用いたエポキシ樹脂、フェノール樹脂、カップリング剤にて処理を行った難燃剤及び溶融混練物の詳細を以下にまとめて示す。
エポキシ樹脂A:ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量190g/eq)
エポキシ樹脂B:ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量265g/eq)
フェノール樹脂A:フェノールアラルキル樹脂(水酸基当量165g/eq)
フェノール樹脂B:フェノールノボラック樹脂(水酸基当量104g/eq)
【0024】カップリング剤処理した難燃剤の製造例難燃剤A:金属水酸化物固溶体(Mg0.8Zn0.2(OH)2、平均粒径1μm)50重量部とほう酸亜鉛(2ZnO・3B23・3.5H2O、平均粒径10μm)50重量部を常温でミキサーを用いて攪拌しながら、式(5)で示されるチタネート系カップリング剤1重量部を滴下して加え、そのまま攪拌を5分間継続した後、室温で4時間放置し難燃剤Aを得た。
【0025】
【化9】


【0026】難燃剤B:平均粒径18μm、比表面積2.0m2/gの溶融球状シリカ8重量部当たりモリブデン酸亜鉛2重量部で被覆した難燃剤(平均粒径24μm)50重量部とほう酸亜鉛(2ZnO・3B23・3.5H2O、平均粒径10μm)50重量部を常温でミキサーを用いて攪拌しながら、式(5)で示されるチタネート系カップリング剤1重量部を滴下して加え、そのまま攪拌を5分間継続した後、室温で4時間放置し難燃剤Bを得た。
【0027】難燃剤C:水酸化マグネシウム(平均粒径3μm)50重量部と水酸化アルミニウム(平均粒径5μm)50重量部を常温でミキサーを用いて攪拌しながら、式(5)で示されるチタネート系カップリング剤1重量部を滴下して加え、そのまま攪拌を5分間継続した後、室温で4時間放置し難燃剤Cを得た。
【0028】溶融混練物の製造例溶融混練物A:難燃剤A40重量部とエポキシ樹脂A77重量部とフェノール樹脂A68重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混練し、冷却後粉砕して溶融混練物Aとした。
溶融混練物B:難燃剤B40重量部とエポキシ樹脂A77重量部とフェノール樹脂A68重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混練し、冷却後粉砕して溶融混練物Bとした。
溶融混練物C:難燃剤C40重量部とエポキシ樹脂A77重量部とフェノール樹脂A68重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混練し、冷却後粉砕して溶融混練物Cとした。
溶融混練物D:難燃剤A25重量部とエポキシ樹脂A57重量部とフェノール樹脂A48重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混練し、冷却後粉砕して溶融混練物Dとした。
溶融混練物E:難燃剤A80重量部とエポキシ樹脂B133重量部とフェノール樹脂B52重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混練し、冷却後粉砕して溶融混練物Eとした。
【0029】
実施例1 溶融混練物A 185重量部 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという) 2重量部 溶融球状シリカ 800重量部 エポキシシランカップリング剤 5重量部 カーボンブラック 3重量部 カルナバワックス 5重量部各成分をミキサーを用いて常温で混合した後、二軸混練機にて溶融混練を行い、冷却後粉砕して、エポキシ樹脂成形材料を得た。得られた樹脂成形材料を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0030】評価方法スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。硬化性:(株)オリエンテック・製、JSRキュラストメーターIVPSを用いて、ダイスの直径35mm、振幅角1度、成形温度175℃、成形開始90秒後のトルク値を測定した。数値が小さいものは硬化が遅い。単位はN・m。難燃性:低圧トランスファー成形機を用いて成形温度175℃、圧力8.3MPa、硬化時間120秒で試験片(127mm×12.7mm×3.2mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間処理した後、UL−94垂直法に準じてΣF、Fmaxを測定し、難燃性の判定をした。熱時強度:低圧トランスファー成形機を用いて成形温度175℃、圧力9.8MPa、硬化時間120秒で試験片(80mm×10mm×4mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間処理した後、240℃での曲げ強度をJIS K 6911に準じて測定した。単位はN/mm2。吸水率:低圧トランスファー成形機を用いて成形温度175℃、圧力9.8MPa、硬化時間120秒で試験円盤(直径50mm、厚さ4mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間処理した後、150℃で16時間乾燥処理を行い、85℃、相対湿度85%で168時間処理を行ったものについて、初期重量に対する増加重量の百分率を求めた。単位は%。耐半田クラック性:低圧トランスファー成形機を用い、成形温度175℃、圧力8.3MPa、硬化時間120秒で、80pQFP(2mm厚、チップサイズ9.0mmラ9.0mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間処理した後、85℃、相対湿度85%で96時間の処理を行い、IRリフロー処理(240℃、10秒)を行った。処理済みのパッケージを超音波探傷機を用いて観察し、パッケージ内部の剥離、クラック等の不良を観察。10個のパッケージ中の不良パッケージ数を示す。高温保管特性:低圧トランスファー成形機を用いて成形温度175℃、圧力9.8MPa、硬化時間120秒で16pDIP(チップサイズ3.0mm×3.5mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間処理した後、高温保管試験(185℃、1000時間)を行い、配線間の電気抵抗値が初期値に対し20%増加したパッケージを不良と判定した。15パッケージ中の不良率を百分率で示した。単位は%。
【0031】実施例2〜5、比較例1〜8表1の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂成形材料を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。比較例1に用いる臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、365g/eq.。
【0032】
【表1】


【0033】
【発明の効果】本発明に従うと、ハロゲン系難燃剤及びアンチモン化合物を含まず、成形性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂成形材料が得られ、これを用いた半導体装置は難燃性、高温保管特性、耐湿信頼性及び半田クラック性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)無機充填材、(E)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、一般式(1)で示される金属水酸化物固溶体又は一般式(2)で示されるほう酸亜鉛から選ばれる1種以上を、一般式(3)で示されるチタネート系カップリング剤又は一般式(4)で示されるアルミニウム系カップリング剤により表面処理し、該カップリング剤表面処理物を前記エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の全部又は一部と予め溶融混練した後、前記残余の成分と混合して溶融混練することを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂成形材料の製造方法。
Mg1-y2+y (OH)2 (1)
(式中M2+は、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+及びZn2+の群から選ばれた少なくとも1種の二価金属イオンを示し、yは0.01≦y≦0.5である。)
pZnO・qB23・rH2O (2)
(式中p、q、rは正数。)
【化1】


(式中R1は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。XはC、N、P、S、O、Hからなる有機基の中から選択される基である。式中R2、R3は、炭素数1〜20の有機基であり、酸素原子を含んでいてもよく、これらは互いに結合してもよい。式中R4は炭素数1〜20の有機基であり、酸素原子を含んでいてもよい。式中R5は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)
【化2】


(式中R6は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。)
【請求項2】 請求項1記載のエポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2003−64185(P2003−64185A)
【公開日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−255771(P2001−255771)
【出願日】平成13年8月27日(2001.8.27)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】