説明

エリア入退管理装置、表示装置、無線装置及びエリア入退管理方法

【課題】進入する権限の無い対象が特定エリアに進入又は接近した場合に、どのような行動をとればよいかを的確に示すこと。
【解決手段】対象OB1の位置と速度ベクトルとに基づいて設定した影響エリアAR1と、対象OB1の属性に応じて対象OB1の進入の権限が設定された領域である入退エリアαと、の重畳領域に基づいて、警報レベルを決定し、対象OB1が携帯又は付帯する無線装置120によって、前記決定された警報レベルの警報を出力するようにした。これにより、対象OB1は無線装置120から出力される警報の警報レベルに基づいて、自身がどの方向に進めば入退エリアαに進入せずに済むか、及び進入した場合にはどの方向に進めば入退エリアαから退出できるかを判断できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のエリアへの対象(主に人物)の進入や接近を検知し、検知結果に基づいて無線装置に警報出力を指示するエリア入退管理装置及びエリア入退管理方法、並びにそれに用いられる表示装置及び無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば入退ゲートや出入口のドア錠装置が無い特定エリア(以下このようなエリアをオープンな特定エリアと呼ぶことがある)への人物の入退を管理する方法として、無線タグを用いた方法が提案されている。
【0003】
特許文献1には、人物が付帯する無線タグからの信号に基づいて人物の位置を検知し、立入制限エリアである特定エリアに人物が侵入したと判断した場合に、無線タグに警報情報を送信するといったものである。これにより、立入制限エリアに進入した人物に、無線タグからの警告音や振動によって、立入制限エリアに進入してしまったことを認識させることができる。
【特許文献1】特開2004−5511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、オープンな特定エリアにおいて、アクセス権限(入エリア権限)に応じた入退管理をする場合、意図せずにオープンな特定エリアに進入した、アクセス権限の無い人物(不許可対象)への、回避行動の指示については十分に検討されていない。このため、意図せずにオープンな特定エリアに進入した人物は、どの方向に進めば特定エリアから離れることができるかが分からないので、戸惑ってしまう。
【0005】
また、オープンな特定エリア内にいるアクセス権限のある人物に、進入発生の状況(特定エリアのどの方向に不許可対象が進入したか)を適切に知らせることについては十分に検討されていない。
【0006】
本発明は、かかる点を考慮してなされたものであり、進入する権限の無い対象が特定エリアに進入又は接近した場合に、どのような行動をとればよいかを的確に示すことができるエリア入退管理装置、表示装置、無線装置及びエリア入退管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエリア入退管理装置の一つの態様は、対象の位置と速度ベクトルとに基づいて、影響エリアを設定する影響エリア設定手段と、入退エリアへの前記対象の進入の権限に関する情報と、前記入退エリアの位置に関する情報とを格納した格納手段と、前記入退エリアへの前記対象の進入の権限と、前記影響エリアと前記入退エリアとの重畳領域と、に基づいて、警報レベルを決定する警報レベル決定手段と、決定された前記警報レベルの情報を、前記対象が携帯又は付帯する無線装置に送信する警報出力手段と、を具備する構成を採る。
【0008】
本発明のエリア入退管理装置の一つの態様は、対象の位置と速度ベクトルとに基づいて、警戒エリアを設定する警戒エリア設定手段を、さらに具備し、前記警報レベル決定手段は、前記入退エリアに進入する権限がありかつ前記入退エリア内に位置する対象の警戒エリアと、前記入退エリアに進入する権限がない対象の影響エリアとの重畳領域に基づいて、前記警報レベルを決定し、前記警報出力手段は、決定された前記警報レベルの情報を、前記入退エリアに進入する権限がありかつ前記入退エリア内に位置する前記対象が携帯又は付帯された無線装置に送信する、構成を採る。
【0009】
本発明の表示装置の一つの態様は、対象の位置と速度ベクトルとに基づいて設定された影響エリアと、前記入退エリアと、前記入退エリアへの前記対象の進入の権限と前記影響エリア及び前記入退エリアの重畳領域とに基づいて決定された警報と、を表示する構成を採る。
【0010】
本発明の無線装置の一つの態様は、進入する権限のない前記入退エリアと前記影響エリアとの重畳領域の面積が増加傾向にあるとき、警報レベルが増加傾向となるように警報を出力し、進入する権限のない前記入退エリアと前記影響エリアとの重畳領域の面積が減少傾向にあるとき、警報レベルが減少傾向となるように警報を出力する、構成を採る。
【0011】
本発明の無線装置の一つの態様は、前記入退エリアに進入する権限がありかつ前記入退エリア内に位置する対象の警戒エリアと、前記入退エリアに進入する権限がない対象の影響エリアとの重畳領域の面積が増加傾向にあるとき、警報レベルが増加傾向となるように警報を出力する、構成を採る。
【0012】
本発明のエリア入退管理方法の一つの態様は、対象の位置と速度ベクトルとに基づいて設定した影響エリアと、前記対象毎に進入の権限が設定された領域である入退エリアと、の重畳領域に基づいて、警報レベルを決定し、前記対象が携帯又は付帯する無線装置によって、前記決定された警報レベルの警報を出力する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象の位置と速度ベクトルとに基づいて設定した影響エリアと、前記対象毎に進入の権限が設定された領域である入退エリアと、の重畳領域に基づいて、警報レベルを決定し、前記対象が携帯又は付帯する無線装置によって、前記決定された警報レベルの警報を出力するようにしたので、入退エリアに進入する権限の無い対象が入退エリアに進入又は接近した場合に、どのような行動をとればよいかを的確に示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
[1]全体構成
図1は、本発明の実施の形態1に係るエリア入退管理システムの全体構成を示す。
【0016】
エリア入退管理システム100は、撮像部101と、位置検出部102と、顔向き検出部103と、速度ベクトル算出部104と、影響エリア設定部105と、入退エリア格納部106と、対象属性格納部107と、接近検出部108と、警報レベル決定部109と、警報出力部110と、表示部111とを有する。
【0017】
撮像部101は、対象OB1が移動する領域を撮像する。撮像部101は、例えばビデオカメラ又はスティルカメラである。光学構成的には単眼ステレオカメラ、複眼ステレオカメラ、魚眼ステレオカメラ、又は全方位ステレオカメラ等、いずれの構成であってもよい。撮像部101によって得られた画像情報(動画、静止画又はその両方)S1は、顔向き検出部103、位置検出部102及び表示部111に出力される。
【0018】
位置検出部102は、対象OB1の位置を検出する。また位置検出部102は、対象OB1を識別することで、対象OB1のIDを取得する。なお、対象OB1のIDは、取得すれば好ましいが、取得しなくてもよい。
【0019】
本実施の形態の位置検出部102は、タグリーダと画像処理部とを有する。位置検出部102は、タグリーダによって、対象OB1が付帯する無線タグからの無線信号を受信し、この受信信号に基づいて、対象OB1の位置及びIDを取得する。また位置検出部102は、撮像部101から入力された画像情報S1がステレオ画像である場合には、画像処理部によって、対象OB1の位置及びIDを取得する。この場合、画像処理部は、ステレオ画像から対象OB1を抽出し、その位置を検出する。また画像処理部は、ステレオ画像から対象OB1の顔画像を抽出し、この顔画像と予めIDと関連付けて登録した複数の顔画像とを照合する顔認識処理を行うことで、対象OB1のIDを取得する。
【0020】
本実施の形態では、位置検出部102によって対象OB1の位置及びIDを取得する方法として、次の場合を想定している。
【0021】
(i)対象OB1が無線タグを装着していることを想定した場合。この場合、位置検出部102にタグリーダ部を設けることで、位置検出部102は、無線タグからの無線信号に基づいて、対象OB1の位置を取得できると共にIDを取得できる。
【0022】
(ii)対象OB1が無線タグを装着していないことを想定した場合。この場合、位置検出部102は、撮像部101から入力されたステレオ画像に基づいて、対象OB1の位置及びIDを取得する。
【0023】
なお、本実施の形態の位置検出部102は、タグリーダと画像処理部とを相補的に用いて、対象OB1の位置及びIDを取得することが可能な構成となっているが、タグリーダのみ、又は画像処理部のみを用いて、これらを取得するようにしてもよい。さらには、タグリーダ及び画像処理以外の例えばレーダやセンサを用いた方法によって、対象OB1の位置及びIDを取得してもよい。
【0024】
また撮像部101は、ステレオカメラである必要はなく、レンジファインダや距離センサ等による測位機能を有するカメラであってもよい。
【0025】
位置検出部102によって検出された対象OB1の位置及びIDは、位置情報S2として速度ベクトル算出部104に送出される。なお、IDが不明の場合は、IDが不明であることを示す情報が送出される。
【0026】
速度ベクトル算出部104は、位置検出部102から出力された、対象OB1のIDと位置情報とその受信時刻とを所定時間分保持する。そして速度ベクトル算出部104は、位置検出部102からの出力を受信した際に、同じIDの対象OB1についての今回受信した位置情報と直前に受信した位置情報との差分に基づいて、当該IDの対象OB1の速度ベクトルを算出する。
【0027】
顔向き検出部103は、撮像部101から入力された画像を用いて、対象OB1の顔の向きを検出し、顔向きを示すベクトル(顔向ベクトル)を影響エリア設定部105に出力する。また、顔向き検出部103は、顔認識機能を有し、対象OB1の顔画像と予め登録した顔画像とを照合することで、対象OB1のIDを取得するようにしてもよい。
【0028】
影響エリア設定部105は、対象属性格納部107から、位置検出部102から出力された対象OB1のIDに対応する属性情報を取得する。また、影響エリア設定部105は、速度ベクトル算出部104から対象OB1の速度ベクトルを取得する。また、影響エリア設定部105は、顔向き検出部103から対象OB1の顔向きベクトルを取得する。そして、影響エリア設定部105は、影響エリア設定基準を参照して、属性情報と速度ベクトルと顔向きベクトルとから、影響エリアAR1の位置・形状情報及び対象OB1のIDを含む影響エリア情報S3を生成し、これを接近検出部108及び表示部111に出力する。
【0029】
入退エリア格納部106は、入退管理を行いたい領域が入退エリアαとして設定されている。具体的には、入退エリアαを示す座標情報と入退エリアID(入退エリア情報)とが保存されている。設定の方法としては、領域を示す座標値を直接入力するようにしてもよいし、また画面表示した地図(屋内・屋外)上で、マウス等を用いて領域の輪郭を入力することで設定してもよい。入退エリアαが設定されると、入退エリア情報S4が対象属性格納部107、接近検出部108及び表示部111に出力される。
【0030】
対象属性格納部107は、対象OB1のIDと、対象OB1の属性とを関連付けて記憶したデータベースであり、影響エリア設定部105から対象OB1のIDが入力されると、そのIDに対応する属性情報を出力する。属性情報には、入退エリアαへのアクセス権限情報が含まれる。アクセス権限情報とは、対象OB1がアクセス許可(又は不許可)された入退エリアIDである。因みに、入退エリア格納部106から新たに入退エリア情報S4が出力された場合には、データベースのアクセス権限情報を更新する必要がある。なお、属性情報に、オフィス内であれば企業における役職や、重要顧客か一般来客か等の顧客重要度等を含めてもよい。
【0031】
接近検出部108は、影響エリア設定部105から影響エリア情報S3を入力したとき、影響エリアAR1の位置情報(影響エリア情報S3に含まれる)に基づいて、入退エリア格納部106から、影響エリアAR1近傍の入退エリア情報S4を取得する。そして、接近検出部108は、影響エリアAR1と入退エリアαの重畳領域を幾何学的計算によって求め、これを重畳領域情報S5として警報レベル決定部109に出力する。重畳領域情報S5には、影響エリアAR1の対象ID、入退エリアID及び重畳領域面積が含まれる。
【0032】
警報レベル決定部109は、接近検出部108から重畳領域情報S5を入力すると、対象属性格納部107から、重畳領域情報S5に含まれる影響エリアAR1の対象IDに対応した対象OB1の属性情報を取得する。そして、警報レベル決定部109は、重畳領域情報S5に含まれる入退エリアIDが示す入退エリアαへのアクセスの許否(許可又は不許可)を、属性情報を用いて判定する。警報レベル決定部109は、アクセス許可と判定した場合には、警報は不要のため、警報出力部110への出力は行わない。これに対して、警報レベル決定部109は、アクセス不許可と判定した場合には、重畳面積に基づいた警報レベル(音量や振動強度、発光強度、画面表示文字の大きさ等)を決定し、警報出力部110に警報レベル情報S6を出力する。警報レベル情報S6には、対象IDも含まれる。
【0033】
警報出力部110は、警報レベル決定部109から入力した警報レベル情報S6に基づいて、固定的に設置されたパトライト、スピーカ、ディスプレイ等から、光、音声、テキスト表示等で警報を出力する。また、警報出力部110は、無線装置120に、警報レベル情報S6を含む警報指示信号S7を無線送信する。また、警報出力部110は、表示部111に、警報レベルと対象IDとを含む警報指示信号S8を出力する。なお、影響エリアの設定を警報出力の有無に基づいて行う仕様にする場合には、警報出力部110から、影響エリア設定部105に、警報出力完了通知S9を出力すればよい。これにより、対象の無線装置120に対する警報出力が行われたか否かに基づいて、影響エリア設定部105による影響エリアの設定方法を切り替えることが可能となる。具体的な切り替えの仕方については後述する。
【0034】
表示部111は、撮像部101から出力された対象OB1の画像を画面に出力する。また、表示部111は、影響エリア設定部105及び入退エリア設定部106から出力された各エリア情報S3、S4を撮像部101の座標系に変換し、各エリア(影響エリアAR1、入退エリアα)の形状を示す図形を対象OB1の画像に合成して表示する。あるいは、表示部111は、対象OB1が移動する領域の平面図上に、各エリアの形状を示す図形を表示する。さらに、表示部111は、警報出力部110から出力された警報レベルと対象IDとに基づいて、警報を出力する。
【0035】
無線装置120は、対象OB1に携帯又は付帯された、無線通信機能を有する端末やタグである。無線装置120は、位置検出部102からの問い合わせに応答して、または自発的に(定期的に)、装置自身のIDを送信する。また、無線装置120は、警報通知機能(発光、音声発生、振動発生、画面表示等)を有し、警報出力部110からの警報指示信号S7を受信した際、警報レベルに応じた光、音響、振動、文字情報等の警報を出力することにより、対象OB1に警報を通知する。
【0036】
なお、本実施の形態では、入退エリア格納部106に入退エリアαの座標情報を格納した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、入退エリアαの位置を示す情報を格納すればよい。入退エリアαの位置を示す情報としては、例えば、ある基準位置に対する各入退エリアの相対位置関係を示す情報等であってもよい。
【0037】
また、図1の例では、説明を分かり易くするために、入退エリア格納部106と対象属性格納部107とを別々に設けた形態を示したが、当然、入退エリア格納部106に格納された入退エリア情報S4と、対象属性格納部107に格納された属性情報とを1つの格納部に格納した形態を採ることもできる。
【0038】
[2]影響エリア
次に、影響エリア設定部105によって設定される影響エリアAR1について、詳細に説明する。
【0039】
先ず、影響エリアAR1の形状を説明する。図2、図3及び図4に、影響エリアAR1の例を示す。
【0040】
図2は、影響エリアAR1を楕円形状とし、かつ対象OB1の速度ベクトルV1が変化した場合の、影響エリアAR1の様子を示すものである。図2Aは対象OB1の速度が小さい場合に設定される影響エリアAR1を示し、図2Bは影響対象OB1の速度が大きい場合に設定される影響エリアAR1を示す。
【0041】
図3は、対象OB1の顔向きと影響エリアAR1との関係を示す図である。
【0042】
図4は、楕円形状以外の影響エリアAR1の形状の例を示すものである。影響エリアAR1の形状としては、円形状(図4A)、扇形状(図4B)、三角形状(図4C)、矩形形状(図4D)、台形形状(図4E)、等を用いることができる。また、影響エリアAR1は、単純形状に限定されず、単純形状を複合した形状としてもよい。例えば、影響エリアAR1は、円と台形とを複合した形状(図4F)、三角と楕円とを複合した形状(図4G)等としてもよい。
【0043】
本実施の形態で設定する影響エリアAR1の特徴は、次の通りである。
【0044】
(i)エリア形状の主軸が対象OB1の進行方向(速度ベクトルV1の方向)に一致する(図2、図4)。エリア形状の主軸とは、楕円の場合は長径である。
【0045】
(ii)エリア形状が進行方向の後方よりも前方に大きな広がりをもつ(図2、図4)。
【0046】
(iii)エリア形状の広がりが、対象OB1の速度が大きくなるほど、進行方向の前方で拡大する(図2)。
【0047】
(iv)進行方向に垂直な方向の広がりが、対象OB1の速度に反比例して減少する(図2)。
【0048】
(v)顔向きと速度ベクトルとに基づいて、エリア形状の主軸が決定される(図3)。例えば、速度ベクトルが所定位置以上なら主軸を速度ベクトルに一致させ、所定値未満なら主軸を顔向きに一致させる。また、例えば、警報が出力されていない場合は、主軸を速度ベクトルに一致させ、警報が出力された場合は、主軸を顔向きに一致させてもよい。なお、この場合は前述のように、警報出力部110から影響エリア設定部105に警報出力完了通知S9を出力することが必要となる。さらに、例えば、速度ベクトルに基づくエリア形状と、顔向きに基づくエリア形状との平均形状を、エリア形状としてもよい。
【0049】
但し、(i)〜(v)の特徴は、速度と顔向きに着目した場合の影響エリアAR1の好ましい形状を示したものであって、本発明の影響エリアAR1の形状は、(i)〜(v)の特徴に限定されるものではない。影響エリアAR1の形状は、速度及び顔向き以外の要素によっても柔軟に変更させてよい。
【0050】
図5に、影響エリア設定部105から出力される影響エリア情報S3の例を示す。図における1つの行は1つの影響エリア情報に対応する。
【0051】
「エリアID」とは各影響エリア情報を識別するためのIDであり、「時刻」とは対象OB1の位置を取得した、あるいは影響エリアAR1を設定した時刻である。「対象ID」とは対象OB1のIDのことであり、「対象位置」とは対象OB1の位置のことである。「形状タイプ」、「基準点」及び「形状パラメータ」は、影響エリアAR1の位置・形状を規定する位置・形状情報である。図6に示すように、基準点及び形状パラメータは、形状タイプ毎に異なる。例えば、形状タイプが円の場合、基準点は円の中心であり、形状パラメータは円の半径である(図6A)。形状タイプが楕円の場合、基準点は楕円の中心であり、形状パラメータは長径ベクトル及び短径長である(図6B)。形状タイプが扇形の場合、基準点は扇形の頂点であり、形状パラメータは径ベクトル及び中心角である(図6C)。形状タイプが三角形、矩形、台形の場合のそれぞれの基準点及び形状パラメータは、図6D、図6E、図6Fに示した通りである。
【0052】
[3]入退エリア
図7を用いて、入退エリア格納部106に設定されている入退エリアについて説明する。
【0053】
入退エリアは、立ち入りが制限されており、アクセス権限のある対象(人物)のみが立ち入りを許可されている領域を意味する。典型的には、出入口に入退ゲートや鍵付きドア等が設置されていない領域である。但し、入退ゲートや鍵付きドア等が設置されている領域であっても、立ち入りが制限された領域であれば、入退エリアと呼ぶことができる。
【0054】
図7Aは、物理的な仕切が無い建物のフロアにおいて、従業員のみが立ち入りを許可されている領域を入退エリアαに設定した例を示すものである。図7Bは、鍵の無い部屋を入退エリアαに設定した例を示すものである。
【0055】
[4]対象属性管理テーブル
図8に、対象属性格納部107に設定された対象属性管理テーブルの例を示す。図において、「対象ID」とは対象OB1のIDであり、対象属性格納部107は、この対象IDを読み出しアドレスとして、それに対応した「属性ID」及び又は「属性」と、「アクセス権限」とを属性情報として出力する。図8の例では、「アクセス権限」は、アクセス許可された入退エリアIDである。但し、「アクセス権限」は、これに限らず、アクセス不許可の入退エリアID、又は、アクセス許可の入退エリアIDとアクセス不許可の入退エリアIDとの両方であってもよい。
【0056】
図の例では、「属性有効期間」が設定されている。「属性有効期間」を過ぎてのアクセスに対しては、「属性有効期間」が過ぎていることを示す信号を出力すればよい。また図のデータは、必要に応じて、オペレータによって追加・変更される。この追加・変更は、後述する他のテーブルも可能とされている。
【0057】
[5]影響エリアの設定基準
図9に、影響エリア設定部105における、影響エリアAR1の設定基準の例を示す。図9における「属性」は「属性ID」(図8参照)でもよい。
【0058】
影響エリア設定部105は、図9に示したように、各「属性」に対応して、「形状タイプ」、「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」の情報を保持している。なお、図9では、説明を簡単にするために、「形状タイプ」を全て楕円にしているが、「属性」に応じて「形状タイプ」及び「基準形状パラメータ」を変えてもよい。
【0059】
影響エリア設定部105は、先ず、対象属性格納部107から取得した「属性」に対応する「形状タイプ」、「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」を選択する。
【0060】
次に、影響エリア設定部105は、選択した「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」と、対象OB1の位置及び速度とを用いて、式(1)により基準点位置を算出すると共に式(2)により形状パラメータを算出する。なお、式(1)、式(2)においては、対象OB1の位置を(x,y)、速度ベクトルV1を(v,v)、速度をV=√(v+v)とする。
【0061】
基準点の位置 = (x,y)−(オフセット/V)×(v,v)………(1)
形状パラメータ = (基準形状パラメータ)×(V/基準速度) ………(2)
【0062】
ところで、図9に示すように、影響エリアAR1の設定基準は、「属性」である役職(権限)が低いほど、「基準形状パラメータ」の値が大きくされており、このことは、式(2)により、役職(権限)が低いほど広い面積の影響エリアAR1が設定されることを意味している。これは、役職の高い人物はアクセス権限も多く有しており、セキュリティ上問題がないと考えられるからである。また、「属性」である役職(権限)が低いほど、「オフセット」の絶対値が大きくされており、このことは、役職(権限)が低いほど進行方向に大きな面積の影響エリアAR1が設定されることを意味している。これは役職の低い人は、アクセス権限も限定的であるため、より早く入退エリアαへの接近を検出する必要があることを反映している。またID不明者については、不審者である可能性があるために、影響エリアは最大の大きさが設定されている。なお、この設定はオペレータによって更新することが可能であり、本発明を適用する分野やアプリケーションの必要に応じて、最適な設定を行うことが可能である。
【0063】
また、図9の影響エリア設定基準における「オフセット」は、基準点と対象位置との距離、すなわち検出された対象OB1の位置からどれだけずれた位置に基準点を配置すればよいかを示すものである。図10A〜図10Cに、対象OB1の速度V=1であった場合の、各「属性」に対する、オフセットと、対象位置と、基準点と、の関係を示す。図10A〜図10Cからも分かるように、オフセットがマイナスであることは、対象OB1が基準点から見て、進行方向とは逆方向に位置することを示す。
【0064】
なお、式(1)、式(2)で示した基準点の位置、形状パラメータの算出式は、速度に応じてオフセットや形状パラメータを変更する一例であり、例えば式(1)の代わりに以下の式(3)を、式(2)の代わりに以下の式(4)を用いてもよい。なお、α、βは係数とする。
【0065】
基準点の位置 = (x,y)−α×(オフセット/V)×(v,v)……(3)
形状パラメータ = β×(基準形状パラメータ)×(V/基準速度) ……(4)
ここでα、βとして、適用分野やアプリケーションに応じて最適な値を採用することにより、必要かつ十分な形状と大きさを有する影響エリアAR1を設定することが可能となる。さらに、式(4)においては、形状パラメータごとに異なる係数βを設定することにより、基準形状パラメータの拡大率を、進行方向とそれに垂直な方向とで異なる値に設定することも可能である。
【0066】
次に、顔向きベクトルを用いて、基準点及び形状パラメータを算出する方法について説明する。対象OB1の位置を(x,y)、顔向きベクトルを(f,f)、顔向きベクトルの大きさをF=√(f+f)とすと、影響エリア設定部105は、以下の式(5)により基準点位置を算出すると共に式(6)により形状パラメータを算出する。
【0067】
基準点の位置 = (x,y)−(オフセット/F)×(f,f)………(5)
形状パラメータ = 基準形状パラメータ ………(6)
【0068】
ここで、式(6)のように、形状パラメータとして基準パラメータをそのまま用いた理由は、形状パラメータは顔向きベクトルの大きさには依存しないためである。なお、顔向きベクトルを用いて、基準点及び形状パラメータを算出する場合においても、式(3)、式(4)のように、適用分野やアプリケーションに応じて最適な係数α、βを用いてもよい。
【0069】
なお、速度ベクトルと顔向きベクトルの両方を用いて影響エリアAR1を設定する場合には、両方の算出式で算出した、基準点の位置及び形状パラメータの平均値や重み付け平均値を用いるとよい。
【0070】
影響エリア設定部105は、このようにして算出した基準点位置及び形状パラメータを、図5に示したその他の情報と共に、影響エリア情報S3として出力する。
【0071】
[6]影響エリア設定部の動作
図11に、影響エリア設定部105の動作を示す。
【0072】
影響エリア設定部105は、ステップST10で影響エリア設定動作を開始すると、ステップST11で、速度ベクトル検出部104からの対象OB1の速度ベクトル及びIDの受信を待ち受け、当該速度ベクトル及びIDを受信すると(ステップST11;Yes)、ステップST12に進む。ステップST12では、対象属性格納部107から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。
【0073】
続くステップST13では、顔向き検出部103から同じ対象IDの顔向きベクトルを受信したか否か判断し、同じ対象IDの顔向きベクトルを受信した場合には(ステップST13;Yes)、ステップST14に移り、同じ対象IDの顔向きベクトルを受信しない場合には(ステップST13;No)、ステップST15に移る。
【0074】
ステップST14では、属性情報、対象の速度ベクトル、顔向きベクトルと、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報S3を生成する。一方、ステップST15では、属性情報、対象の速度ベクトルと、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報S3を生成する。
【0075】
続くステップST16では、影響エリア情報S3を接近検出部108及び表示部111に送出する。影響エリア設定部105は、ステップST16の処理が終了すると、ステップST11に戻る。なお、ステップST11の処理は、他の処理と独立して行い、ステップST12以降の処理は記憶された速度ベクトル・IDを用いて行ってもよい。
【0076】
[7]接近検出部の動作
図12に、接近検出部108の動作を示す。
【0077】
接近検出部108は、ステップST20で接近検出動作を開始すると、ステップST21で、影響エリア情報S3を受信したか否かを判断し、受信した場合には(ステップST21;Yes)、ステップST22に移る。
【0078】
ステップST22では、受信した影響エリア情報S3に基づいて、入退エリア格納部106から、影響エリアAR1の近傍に位置する入退エリアαについての入退エリア情報S4を取得する。
【0079】
続くステップST23では、影響エリアAR1と入退エリアαの重畳領域(例えば重畳面積や重畳位置)を算出する。続くステップST24では、重畳領域(例えば重畳面積や重畳位置)が所定条件を満たすか否か(例えば重畳面積が閾値以上か否か)判断し、所定条件を満たす場合には(ステップST24;Yes)、ステップST25に移る。
【0080】
ステップST25では、重畳した影響エリアID、入退エリアID及び重畳領域面積を含む重畳領域情報S5を警報レベル決定部109に送出する。
【0081】
接近検出部108は、ステップST25の処理終了後、又はステップST24で否定結果が得られた場合には、ステップST21に戻る。
【0082】
[8]警報レベル決定部の動作
図13に、警報レベル決定部109の動作を示す。
【0083】
警報レベル決定部109は、ステップST30で警報レベル決定動作を開始すると、ステップST31で、接近検出部108からの重畳領域情報S5の受信を待ち受け、当該重畳領域情報S5を受信すると(ステップST31;Yes)、ステップST32に進む。
【0084】
ステップST32では、対象属性格納部107から、重畳した影響エリアAR1の対象IDに対応する属性情報を取得する。
【0085】
続くステップST33では、入退エリアIDと、属性情報に含まれるアクセス権限とに基づいて、アクセスの許否を判定する。警報レベル決定部109は、アクセスが不許可であると判定した場合にはステップST34に移り、アクセスが許可であると判定した場合にはステップST31に戻る。
【0086】
ステップST34では、重畳領域情報S5に含まれる重畳領域面積やその増加率に基づいて、警報レベルを決定する。具体的には、重畳領域面積、面積の増加速度(つまり面積の1次微分)又は面積の増加加速度(つまり面積の2次微分)の3つのいずれかに比例した警報レベルを決定する。また、上記3つのパラメータのうち複数のパラメータに基づいて、警報レベルを決定してもよい。例えば、面積が所定の閾値以下のうちは面積に比例した警報レベルを決定し、面積が閾値を超えたら面積の増加速度や増加加速度に比例した警報レベルを決定してもよい。
【0087】
続くステップST35では、警報出力部110に警報レベル情報S6を送信することで、警報出力部110に警報出力を指示する。ステップST35の処理を終了すると、ステップST31に戻る。
【0088】
[9]表示部における表示
図14に、表示部111における表示例を示す。図14Aは、設定された影響エリアAR1を、対象OB1を含む領域の撮像画像に合成して表示した例を示すものである。図14Bは、対象OB1が移動する領域の平面図上に、設定された影響エリアAR1を示す図形を表示した例を示すものである。また、図14A及び図14Bの例では、警報出力部110から出力された警報指示信号S8に基づく警報130が表示されている。なお、図14Aのように、撮影画像に合成して影響エリアAR1を表示する場合には、図1で示した撮像部101が撮影画像を撮影した際の、視野情報(視線方向、視野角等)に基づいて、影響エリアAR1の影響エリア情報(基準点位置及び形状パラメータ)の座標を、撮像部101の座標系に座標変換する必要がある。
【0089】
図14A及び図14Bに示すような表示画像を見れば、入退エリアαへの対象OB1の接近の様子を容易に認識することができる。
【0090】
なお、表示部111には、以下の図15や図18に示すように、影響エリアAR1に加えて、入退エリアαも同時に表示してもよい。このようにすれば、表示画像から、影響エリアAR1と入退エリアαの関係をより明確に認識できるようになる。
【0091】
[10]無線装置における警告
図15〜図17を用いて、影響エリアAR1と入退エリアαの関係がどのようなときに、無線装置120にどのような警告が出力されるかについて説明する。
【0092】
図15は、無線装置(図の例では、音声・振動出力機能を有する無線タグ)120への警告出力制御のイメージを示す。図15Aに示すように、対象OB1の影響エリアAR1が、対象OB1にとってアクセス権限のない入退エリアαに重複すると、無線タグ120が鳴動する。無線タグ120の音量や振動は、重複領域面積に比例して増加される。
【0093】
図15Bは、対象OB1が同じ場所で歩く方向、又は顔向きを変更した場合の状態を示すものである。影響エリアAR1は、歩く方向及び顔向きの方向に拡がるので、影響エリアAR1と入退エリアαとが重畳しなくなる。この結果、無線タグ120の鳴動が停止する。これにより、対象OB1は、現在歩いている方向又は現在顔を向けている方向に歩けば、アクセス権限のない入退エリアαから回避できることを認識できる。つまり、無線タグ120の鳴動停止によって、回避方向が間接的に提示される。
【0094】
図16は、対象OB1がアクセス権限のない入退エリアαに進入しようとするときの、警報出力例を示す。この例では無線装置120が、画面表示と音声出力、LED等の発光出力を有している。
【0095】
図16B−1に示すように影響エリアAR1が入退エリアαに重複していない状態では、図16A−1に示すように無線装置120には警告を示す表示、光、音が出力されない。図16B−2に示すように影響エリアAR1が入退エリアαに一部重複した状態では、図16A−2に示すように無線装置120には警告レベルの低い表示、光、音が出力される。図16B−3に示すように影響エリアAR1が入退エリアαにほとんど重複した状態では、図16A−3に示すように無線装置120には警告レベルの高い表示、光、音が出力される。これにより、対象OB1は、アクセス権限のない入退エリアαへの接近及び進入を認識できる。また、エリア入退エリア管理システム100は、アクセス権限のない対象OB1が意図せずに入退エリアαに進入することを回避できる。
【0096】
なお図16では、光による警報出力に関して警報レベルの違いを色で表現する例を示しているが、LED等の発光部を複数設けて、発光するLED等の個数で警報レベルを示してもよい。すなわち、警報レベルが高いほど発光するLED等の個数を多くするようにしてもよい。
【0097】
図17は、対象OB1がアクセス権限のない入退エリアαに進入してしまった場合において、対象OB1を入退エリアαから回避させるための、警報出力例を示す。
【0098】
図17B−1に示すように影響エリアAR1が入退エリアαにほとんど重複した状態では、図17A−1に示すように無線装置120に警告レベルの高い表示、光、音を出力することで、対象OB1に回避行動を促す。図17B−2に示すように、対象OB1が歩く方向又は顔向き方向を変更することで、影響エリアAR1と入退エリアαとの重複面積が小さくなった状態では、図17A−2に示すように無線装置120に警告レベルの低い表示、光、音が出力される。これにより、対象OB1は、現在歩いている方向又は現在顔を向けている方向に歩けば、アクセス権限のない入退エリアαから回避できることを認識できる。やがて、図17B−3のように影響エリアAR1が入退エリアαに重複しなくなると、図17A−3に示すように無線装置120には警告を示す表示、光、音が出力されなくなる。このようにして、エリア入退エリア管理システム100は、アクセス権限のない対象OB1が意図せずに入退エリアαに進入してしまった場合でも、対象OB1を速やかに入退エリアα外へ誘導することができる。
【0099】
[11]効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、対象OB1の位置と速度ベクトルとに基づいて、影響エリアAR1を設定する影響エリア設定部105と、入退エリア情報S4を格納した入退エリア格納部106と、入退エリアαへの対象OB1の進入の権限と、影響エリアAR1と入退エリアαとの重畳領域と、に基づいて、警報レベルを決定する警報レベル決定部109と、決定された警報レベルの情報を、対象OB1が携帯又は付帯する無線装置120に送信する警報出力部110と、を設けた。
【0100】
これにより、入退エリアαに進入する権限の無い又は低い対象OB1の影響エリアAR1と、入退エリアαと、の重畳領域が大きくなるほど、警報レベルを大きくすることができる。また、影響エリアAR1は、対象OB1の速度ベクトルを加味して設定されるので、警報レベルも対象OB1の速度ベクトルに応じたものなる。この結果、対象OB1は無線装置120から出力される警報の警報レベルに基づいて、自身がどの方向に進めば入退エリアαに進入せずに済むか、及び進入した場合にはどの方向に進めば入退エリアαから退出できるかを判断できるようになる。
【0101】
また、対象OB1の顔向きに基づいて影響エリアAR1を設定したので、例えば、対象OB1は実際に歩いてみなくても、顔向きを変えるだけで、自身が進むべき方向を警報レベルから知ることができるようになる。
【0102】
また、無線装置120は、進入する権限のない入退エリアαと影響エリアAR1との重畳領域の面積が増加傾向にあるとき、警報レベルが増加傾向となるように警報を出力するので、無線装置120を携帯又は付帯する対象OB1は、警報レベルから、現在進んでいる方向又は現在顔を向けた方向には、進入する権限のない入退エリアαが存在することを認識できる。この結果、対象OB1は、入退エリアαへの進入を未然に回避できる。
【0103】
また、無線装置120は、進入する権限のない入退エリアαと影響エリアAR1との重畳領域の面積が減少傾向にあるとき、警報レベルが減少傾向となるように警報を出力するので、無線装置120を携帯又は付帯する対象OB1は、進入する権限のない入退エリアαに進入してしまった場合でも、警報レベルから、現在進んでいる方向又は現在顔を向けた方向に進めば、入退エリアαから退出できることを認識できる。この結果、対象OB1は、戸惑うことなく入退エリアαから退出できる。
【0104】
なお、本実施の形態では、対象OB1が人物である場合について説明したが、対象OB1は人物に限らず、例えば物品等であってもよい。この場合、対象OB1である物品を保持又は搬送している人物が、物品に付帯された無線装置120からの警報出力に基づいて、その物品を入退エリアαに持ち込んで良いか否か、及び持ち込んでしまった場合にどのような回避行動を取れば良いかを判断できるので、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0105】
対象OB1は例えば車両等であってもよい。この場合、対象OB1である車両を運転又は車両に乗車している人物が、車両に付帯された無線装置120からの警報出力に基づいて、その車両が入退エリアαに進入して良いか否か、及び進入してしまった場合にどのような回避行動を取れば良いかを判断できる。
【0106】
対象OB1が物品、車両等の場合については、以下に説明する実施の形態2、3でも同様に適用できる。
【0107】
(実施の形態2)
図1との対応部分に同一符号を付して示す図18に、本実施の形態のエリア入退管理システムの構成を示す。エリア入退管理システム200は、実施の形態1のエリア入退管理システム100(図1)の構成に加えて、時間属性格納部202と、空間属性格納部203とを有する。またエリア入退管理システム200は、エリア入退管理システム100と比較して、影響エリア設定部201での処理内容が異なる。
【0108】
時間属性格納部202は、曜日及び時間帯等に応じて、影響エリアAR1の大きさを変えるために、現在時刻がどの時間区分に属するかを示す時間区分情報を、影響エリア設定部201に出力する。
【0109】
空間属性格納部203は、壁や仕切り等の空間の構造情報を保持し、影響エリア設定部201からの、対象OB1の現在位置を示す問い合わせに応答して、現在位置に応じた壁や仕切り等の構造情報を、影響エリア設定部201に出力する。
【0110】
図19に、時間属性格納部202に設けられる時間属性管理テーブルの例を示す。現在時刻を基に「該当する日付・曜日・時間帯」が決定され、「該当する日付・曜日・時間帯」に対応する「時間属性」が時間区分情報として出力される。
【0111】
図20Aに、空間属性格納部203に設けられる空間属性管理テーブルの例を示す。図20Bは、図20Aにおける「空間属性ID」と「空間属性」と「該当する空間領域」と「出入口の位置」との対応関係を示す平面図である。図20Bにおける番号は、図20Aにおける「空間属性ID」を示すものである。空間属性格納部203は、対象OB1の現在位置の周辺の、「該当する空間領域」及び「出入口の位置」が構造情報として影響エリア設定部201に出力する。
【0112】
ここで、図20には示していないが、「出入口の位置」の情報には、それぞれの部屋・空間の出入口の位置情報に加えて、各出入口にドア錠やゲート等の物理的アクセス制限手段が設けられているか否かの情報が含まれる。
【0113】
影響エリア設定部201は、影響エリア設定基準(図9)の基準形状パラメータに、時間属性に応じた拡大率を乗じることで、影響エリアAR1を設定する。
【0114】
図21は、影響エリア設定部201が、時間属性に応じて影響エリアAR1の拡大率を変更した様子を示したものである。影響エリアAR1の拡大率は、図21Aに示す平日の勤務時間、図21Bに示す平日の勤務時間外、図21Cに示す休日の順に順次大きくされている。影響エリアAR1を大きくするということは、警報の感度を大きくすることに相当する。つまり、本実施の形態によれば、時間に応じて警報感度を柔軟に変更することができる。
【0115】
図22は、影響エリア設定部201が、空間属性(空間構造)に応じた影響エリアを設定する様子を示したものである。
【0116】
影響エリア設定部201は、空間構造に基づいて、実際上不要な影響エリアを削除する。実際上不要な影響エリアとは、対象OB1が直接移動できない領域、すなわち対象OB1の現在位置を含む領域(部屋、廊下等)以外の領域である。これにより、例えば対象OB1と入退エリアαが壁に仕切られていたり、入退エリアαのドアに錠がかかっているといった、警報が不要な位置関係にある場合に、不必要な警報を出力することを回避できる。
【0117】
図22Aは、対象OB1が壁や仕切りによって移動不可能な領域を影響エリアAR1から除外した例を示す。図22Bは、錠無しドアの場合は、影響エリアAR1を入退エリアα内に延ばし(すなわち錠無しドアの向こうの領域を影響エリアAR1から除外せず)、錠有りドアの場合は、錠有りドアの向こうの領域を影響エリアAR1から除外した様子を示す。
【0118】
次に、図23を用いて、本実施の形態の影響エリア設定部201の動作について説明する。
【0119】
影響エリア設定部201は、ステップST40で影響エリア設定動作を開始すると、ステップST41で、速度ベクトル算出部104からの対象OB1の速度ベクトル及びIDの受信を待ち受け、当該速度ベクトル及びIDを受信すると(ステップST41;Yes)、ステップST42に進む。
【0120】
ステップST42では、対象属性格納部107から、受信したIDに対応する属性情報を取得する。
【0121】
続くステップST43では、時間属性格納部202から現在時刻に対応した時間属性情報を取得し、ステップST44では、空間属性格納部203から対象OB1の周辺の空間属性情報(空間構造情報)を取得する。なお、当然、ステップST43とステップST44の手順は逆でもよく、並列して行ってもよい。
【0122】
続くステップST45では、顔向き検出部103から同じ対象IDの顔向きベクトルを受信したか否か判断し、同じ対象IDの顔向きベクトルを受信した場合には(ステップST45;Yes)、ステップST46に移り、同じ対象IDの顔向きベクトルを受信しない場合には(ステップST45;No)、ステップST47に移る。
【0123】
ステップST46では、対象属性情報、対象の速度ベクトル、顔向きベクトルと、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報S3を生成する。一方、ステップST47では、対象属性情報、対象の速度ベクトルと、影響エリア設定基準とに基づいて、影響エリア情報S3を生成する。
【0124】
続くステップST48では、ステップST46又はST47で生成した影響エリア情報に、ステップST43で取得した時間属性に応じた拡大率を乗じることで、影響エリア情報を更新する。
【0125】
続くステップST49では、ステップST44で取得した空間属性(空間構造)に基づいて、影響エリアから対象OB1が直接移動できない領域を削除する(図22参照)ことで、影響エリア情報を更新する。
【0126】
続くステップST50では、影響エリア情報S3を接近検出部108及び表示部111に送出する。影響エリア設定部201は、ステップST50の処理が終了すると、ステップST41に戻る。
【0127】
以上説明したように、本実施の形態によれば、実施の形態1の構成に加えて、影響エリアAR1の形状又は大きさを、対象OB1の時間属性、空間属性に基づいて変更したことにより、実施の形態1の効果に加えて、対象OB1の状況に応じた、一段と柔軟なエリア入退管理及び警告出力を行うことができ、実用上一段と優れたエリア入退管理システム200を実現できる。
【0128】
(実施の形態3)
図1との対応部分に同一符号を付して示す図24に、本実施の形態のエリア入退管理システムの構成を示す。エリア入退管理システム300は、実施の形態1のエリア入退管理システム100(図1)の構成に加えて、警戒エリア設定部301を有する。またエリア入退管理システム300は、エリア入退管理システム100と比較して、接近検出部302、警報レベル決定部303及び警報出力部304での処理内容が異なる。
【0129】
警戒エリア設定部301は、速度ベクトル算出部104から対象の速度ベクトルを取得する。また、警戒エリア設定部301は、位置検出部102から出力された対象のIDに対応する属性情報を、対象属性格納部107から取得する。警戒エリア設定部301は、警戒エリア設定基準を参照して、速度ベクトルから、警戒エリアの位置・形状情報及び対象のIDを含む警戒エリア情報S10を生成し、これを接近検出部302及び表示部111に出力する。警戒エリア設定基準は、図9に示した影響エリア設定基準と同様に、対象の「属性」に対応して、「形状タイプ」、「基準形状パラメータ」、「基準速度」及び「オフセット」の情報を保持している。警戒エリア設定部301は、対象の属性情報と速度ベクトルに基づき警戒エリア設定基準を参照して、警戒エリア情報S10を生成する。
【0130】
警戒エリアのエリア形状の設定の仕方は、図2及び図4に示した影響エリアAR1とほぼ同様でよいが、次のような特徴がある。
【0131】
(i)エリア形状の主軸が対象の進行方向(速度ベクトルの方向)に一致する。エリア形状の主軸とは、楕円の場合は長径である。
【0132】
(ii)エリア形状の広がりが、対象の速度が大きくなるほど、進行方向の前方で拡大する。
【0133】
(iii)進行方向に垂直な方向の広がりが、対象の速度に反比例して減少する。
【0134】
但し、(i)〜(iii)の特徴は、速度に着目した場合の警戒エリアの好ましい形状を示したものであって、本発明の警戒エリアの形状は、(i)〜(iii)の特徴に限定されるものではない。
【0135】
接近検出部302は、影響エリア設定部105及び警戒エリア設定部301から、影響エリア情報S3及び警戒エリア情報S10が同一時刻又は短い時間内に前後して出力されると、影響エリアと、警戒エリアと、入退エリアとから、重畳領域情報S5生成する。
【0136】
具体的には、接近検出部302は、先ず、対象IDとエリアIDとに基づいて、影響エリア設定部105によって設定された影響エリアのうち、入退エリアαへのアクセス権限の無い対象OB1の影響エリアAR1を求める。また、接近検出部302は、対象IDとエリアIDとに基づいて、警戒エリア設定部301によって設定された警戒エリアのうち、入退エリアαへのアクセス権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2−1、OB2−2の警戒エリアAR2−1、AR2−2を求める。
【0137】
次に、接近検出部302は、実施の形態1と同様に、影響エリアAR1と入退エリアαとの重畳領域の面積を求める。
【0138】
加えて、接近検出部302は、影響エリアAR1と警戒エリアAR2−1、AR2−2との重畳領域の面積を求める。図24の例では、影響エリアAR1と警戒エリアAR2−1とが重畳しているので、その重畳領域の面積を求める。そして、接近検出部302は、求めた重畳領域面積と、影響エリアAR1の対象IDと、警戒エリアAR2−1、AR2−2の対象IDとを含む重畳領域情報S5を警報レベル決定部303に出力する。
【0139】
さらに接近検出部302は、影響エリアAR1の対象OB1が警戒エリアAR2−1、AR2−2の対象OB2−1、OB2−2にどの方向から接近するかも検出し、この接近方向も重畳領域情報S5に含める。さらに接近検出部302は、対象OB1が入退エリアαに進入したかどうか(対象OB1の位置が入退エリアαに含まれるか否か)も検出し、その結果に関する情報を重畳領域情報S5に含めてもよい。
【0140】
警報レベル決定部303は、実施の形態1で説明したのと同様に、アクセス権限の無い対象OB1のために、影響エリアAR1と入退エリアαとの重畳領域の面積に基づく警報レベルを決定する。
【0141】
加えて、警報レベル決定部303は、アクセス権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2−1、OB2−2のために、影響エリアAR1と警戒エリアAR2−1、AR2−2との重畳領域の面積に基づく警報レベルを決定する。
【0142】
このようにして決定された警報レベル情報S6は、警報出力部304に出力される。警報レベル情報S6には、対象IDも含まれる。
【0143】
警報出力部304は、実施の形態1で説明したのと同様に、無線装置120−1に、影響エリアAR1と入退エリアαとの重畳領域の面積に基づいて決定された警報レベル情報を含む警報指示信号S7を無線送信する。
【0144】
加えて、警報出力部304は、無線装置120−2−1に、影響エリアAR1と警戒エリアAR2−1との重畳領域の面積に基づいて決定された警報レベル情報を含む警報指示信号S11を無線送信する。また、警報指示信号S11には、影響エリアAR1の対象OB1が警戒エリアAR2−1の対象OB2−1にどの方向から接近するかを示す情報が含まれる。
【0145】
なお図24に示しているケースでは、影響エリアAR1と警戒エリアAR2−2とは重畳していないため、対象OB2−2の無線装置120−2−2に対しては、警報出力部304は警報指示信号を送信していないが、影響エリアAR1と警戒エリアAR2−2が重畳していない場合にも、無線装置120−2−2に対して警報指示信号を送信し、対象OB2−2に対する警報を出力するようにしてもよい。その際の警報レベルは対象OB2−1に対する警報レベルより小さいことが望ましい。
【0146】
図25に、入退エリアαにアクセス権限の無い対象OB1が接近及び進入した場合の、警報出力の様子を示す。
【0147】
図25Aは、対象OB1が入退エリアαに接近し、影響エリアAR1が対象OB2−1の警戒エリアAR2−1に重畳した状態を示す。この場合、警報出力部304から対象OB2−1の無線装置(例えば無線タグ)120−2−1に警報を出力する旨が指示される。一方、影響エリアAR1は対象OB2−2の警戒エリアAR2−2とは重畳していないので、対象OB2−2の無線装置120−2−2からは警報が出力されない。
【0148】
図25Bは、対象OB1が入退エリアαに進入した状態を示す。この場合、入退エリアαへのアクセス権限がありかつ入退エリアα内に位置する全ての対象OB2−1、OB2−2の無線装置120−2−1、120−2−2から警報が出力される。なお、対象OB1が入退エリアαに進入した場合に、全ての対象OB2−1、OB2−2の無線装置120−2−1、120−2−2から警報を出力するのではなく、対象OB1からの距離に応じて、又は、影響エリアAR1と警戒エリア2−1、AR20−2との重畳領域面積に応じて、警報レベルを選択してもよい。
【0149】
図26は、アクセス権限のない対象OB1が入退エリアαに接近及び進入したときの、入退エリアαへのアクセス権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2の無線装置120−2における警報出力例を示す。
【0150】
図26B−1に示すように影響エリアAR1が入退エリアαに重複していない状態では、図26A−1に示すように無線装置120−2には警告を示す表示、光、音が出力されない。
【0151】
図26B−2に示すように影響エリアAR1が警戒エリアAR2に重複した状態(対象OB1は入退エリアαに進入していない状態)では、図16A−2に示すように無線装置120−2には不審者(すなわちアクセス権限のない対象OB1)が接近中であることを示す警報が出力される。また、どの方向から不審者が接近してくるかが表示される。
【0152】
図26B−3に示すように対象OB1が入退エリアαに進入する直前又は進入後には、図26A−3に示すように無線装置120−2からはそのことを知らせる警告レベルの高い表示、光、音が出力される。
【0153】
これにより、入退エリアα内に位置するアクセス権限のある対象OB2は、無線装置120−2から出力される警報により、不審者が接近中又は進入したこと、及び、不審者がどの方向にいるかを認識できるので、不審者からの回避行動を適切に行うことができる。
【0154】
以上説明したように、本実施の形態によれば、実施の形態1の構成に加えて、対象OB2の位置と速度ベクトルとに基づいて、警戒エリアを設定する警戒エリア設定部301を設け、入退エリアαに進入する権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2の警戒エリアAR2と、入退エリアαに進入する権限がない対象OB1の影響エリアAR1との重畳領域に基づいて警報レベルを決定し、決定された警報レベルの情報を、入退エリアαに進入する権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2が携帯又は付帯された無線装置120−2に送信するようにした。
【0155】
これにより、入退エリアαに進入する権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2は、不審者からの回避行動を適切に行うことができる。
【0156】
なお、本実施の形態では、入退エリアαに進入する権限がありかつ入退エリアα内に位置する対象OB2の警戒エリアAR2と、入退エリアαに進入する権限がない対象OB1の影響エリアAR1と、の重畳領域の面積に基づいて警報レベルを決定した場合について説明したが、警報レベルの決定の仕方はこれに限らない。
【0157】
例えば、対象OB1の影響エリアAR1から、閾値以下の距離に存在する対象OB2の無線装置120−2において警報を出力するようにしてもよい。このとき、距離に応じて(例えば距離に比例して)、警報レベルを変更してもよい。この場合、位置検出部102で検出された対象OB2の位置と、影響エリアAR1との距離の情報を、接近検出部108によって算出し、警報レベル決定部109がその算出結果に従って対象OB2への警報レベルを決定すればよい。
【0158】
なお、距離とは、直線距離であってもよいし、対象OB1と対象OB2との間に障害物が存在する場合には、障害物を回避する移動可能な経路の距離(道なり距離)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明は、アクセス権限の無い人物が特定エリアに進入又は接近した場合に、どのような行動をとればよいかを的確に示すことができる効果を有し、例えば入退ゲートや出入口のドア錠装置が無い特定エリアへの人物の進入を管理するエリア入退管理システムに適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の実施の形態1に係るエリア入退管理システムの構成を示すブロック図
【図2】影響エリアが速度に応じて変化する様子を示す図であり、図2Aは対象の速度が小さい場合の影響エリアを示す図、図2Bは対象の速度が大きい場合の影響エリアを示す図
【図3】対象の顔向きと影響エリアとの関係を示す図
【図4】影響エリアの形状の例を示す図であり、図4Aは円形状、図4Bは扇形状、図4Cは三角形状、図4Dは矩形形状、図4Eは台形形状、図4Fは台形と円とを複合した形状、図4Gは三角と楕円とを複合した形状を示す図
【図5】影響エリア設定部から出力される影響エリア情報の例を示す図
【図6】形状タイプ毎の、基準点及び形状パラメータの説明に供する図であり、図6Aは形状タイプが円の場合、図6Bは形状タイプが楕円の場合、図6Cは形状タイプが扇形の場合、図6Dは形状タイプが三角形の場合、図6Eは形状タイプが矩形の場合、図6Fは形状タイプが台形の場合の基準点及び形状パラメータを示す図
【図7】入退エリア格納部に設定されている入退エリアの説明に供する図であり、図7Aは、物理的な仕切が無い建物のフロアにおいて、従業員のみが立ち入りを許可されている領域を入退エリアに設定した例を示す図、図7Bは、鍵の無い部屋を入退エリアに設定した例を示す図
【図8】対象属性格納部に設定された対象属性管理テーブルの例を示す図
【図9】影響エリア設定部による影響エリアの設定基準の例を示す図
【図10】図10A〜図10Cは、各「属性」に対する、オフセットと、対象位置と、基準点と、の関係を示す図
【図11】影響エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図12】接近検出部の動作を示すフローチャート
【図13】警報レベル決定部の動作を示すフローチャート
【図14】表示部における表示例を示す図であり、図14Aは、設定された影響エリアを、対象を含む領域の撮像画像に合成して表示した例を示す図、図14Bは、対象が移動する領域の平面図上に、設定された影響エリアを示す図形を表示した例を示す図
【図15】無線タグへの警告出力制御のイメージを示す図であり、図15Aは、対象の影響エリアが入退エリアに重複したときの状態を示す図、図15Bは、対象が同じ場所で歩く方向又は顔向きを変更した場合の状態を示す図
【図16】対象がアクセス権限のない入退エリアに進入しようとするときの警報出力例を示す図であり、図16A−1、図16A−2、図16A−3は警報出力を示す図、図16B−1、図16B−2、図16B−3は影響エリアと入退エリアとの関係を示す図
【図17】対象がアクセス権限のない入退エリアに進入してしまった場合において、対象を入退エリアから回避させるための警報出力例を示す図であり、図17A−1、図17A−2、図17A−3は警報出力を示す図、図17B−1、図17B−2、図17B−3は影響エリアと入退エリアとの関係を示す図
【図18】実施の形態2のエリア入退管理システムの構成を示すブロック図
【図19】時間属性格納部に格納される時間属性管理テーブルの例を示す図
【図20】図20Aは、空間属性格納部に格納される空間属性管理テーブルの例を示す図、図20Bは、「空間属性ID」と「空間属性」と「該当する空間領域」と「出入口の位置」との対応関係を示す平面図
【図21】影響エリア設定部が、時間属性に応じて影響エリアの拡大率を変化させる様子を示す図であり、図21Aは平日の勤務時間の設定エリアを示す図、図21Bは平日の勤務時間外の設定エリアを示す図、図21Cは休日の設定エリアを示す図
【図22】影響エリア設定部が空間属性(空間構造)に応じた影響エリアを設定する様子を示す図であり、図22Aは、対象が壁や仕切りによって移動不可能な領域を影響エリアから除外した例を示す図、図22Bは、錠無しドアの場合は、錠無しドアの向こうの領域を影響エリアから除外せず、錠有りドアの場合は、錠有りドアの向こうの領域を影響エリアから除外した例を示す図
【図23】影響エリア設定部の動作を示すフローチャート
【図24】実施の形態3のエリア入退管理システムの構成を示すブロック図
【図25】入退エリアに進入非許可者が接近及び進入した場合の、警報出力の様子を示す図であり、図25Aは、入退エリアに進入許可された一部の対象にのみ警報を出力する様子を示す図、図25Bは、入退エリアに進入許可された全ての対象に警報を出力する様子を示す図
【図26】入退エリアに進入許可された対象への警報出力例を示す図であり、図26A−1、図26A−2、図26A−3は警報出力を示す図、図26B−1、図26B−2、図26B−3は影響エリアと警戒エリアとの関係を示す図
【符号の説明】
【0161】
100、200、300 エリア入退管理システム
101 撮像部
102 位置検出部
103 顔向き検出部
104 速度ベクトル算出部
105、201 影響エリア設定部
106 入退エリア格納部
107 対象属性格納部
108 接近検出部
109 警報レベル決定部
110 警報出力部
111 表示部
120 無線装置
202 時間属性格納部
203 空間属性格納部
301 警戒エリア設定部
AR1 影響エリア
AR2 警戒エリア
OB1、OB2 対象
α 入退エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の位置と速度ベクトルとに基づいて、影響エリアを設定する影響エリア設定手段と、
入退エリアへの前記対象の進入の権限に関する情報と、前記入退エリアの位置に関する情報とを格納した格納手段と、
前記入退エリアへの前記対象の進入の権限と、前記影響エリアと前記入退エリアとの重畳領域と、に基づいて、警報レベルを決定する警報レベル決定手段と、
決定された前記警報レベルの情報を、前記対象が携帯又は付帯する無線装置に送信する警報出力手段と、
を具備するエリア入退管理装置。
【請求項2】
前記影響エリア設定手段は、前記対象の顔向きに基づいて、前記影響エリアを設定する、
請求項1に記載のエリア入退管理装置。
【請求項3】
対象の位置と速度ベクトルとに基づいて、警戒エリアを設定する警戒エリア設定手段を、さらに具備し、
前記警報レベル決定手段は、前記入退エリアに進入する権限がありかつ前記入退エリア内に位置する対象の警戒エリアと、前記入退エリアに進入する権限がない対象の影響エリアとの重畳領域に基づいて、前記警報レベルを決定し、
前記警報出力手段は、決定された前記警報レベルの情報を、前記入退エリアに進入する権限がありかつ前記入退エリア内に位置する前記対象が携帯又は付帯された無線装置に送信する、
請求項1又は請求項2に記載のエリア入退管理装置。
【請求項4】
請求項1に記載のエリア入退管理装置と、前記入退エリアへの前記対象の接近及び/又は進入を表示する表示装置と、を有するエリア入退管理システムに用いられる表示装置であって、
対象の位置と速度ベクトルとに基づいて設定された影響エリアと、
前記入退エリアと、
前記入退エリアへの前記対象の進入の権限と、前記影響エリアと前記入退エリアとの重畳領域と、に基づいて決定された警報と、
を表示する表示装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のエリア入退管理装置と、前記無線装置と、を有するエリア入退管理システムに用いられる前記無線装置であって、
進入する権限のない前記入退エリアと、前記影響エリアとの重畳領域の面積が増加傾向にあるとき、警報レベルが増加傾向となるように警報を出力し、
進入する権限のない前記入退エリアと、前記影響エリアとの重畳領域の面積が減少傾向にあるとき、警報レベルが減少傾向となるように警報を出力する、
無線装置。
【請求項6】
請求項3に記載のエリア入退管理装置と、前記無線装置と、を有するエリア入退管理システムに用いられる前記無線装置であって、
前記入退エリアに進入する権限がありかつ前記入退エリア内に位置する対象の警戒エリアと、前記入退エリアに進入する権限がない対象の影響エリアとの重畳領域の面積が増加傾向にあるとき、警報レベルが増加傾向となるように警報を出力する、
無線装置。
【請求項7】
対象の位置と速度ベクトルとに基づいて設定した影響エリアと、前記対象毎に進入の権限が設定された領域である入退エリアと、の重畳領域に基づいて、警報レベルを決定し、
前記対象が携帯又は付帯する無線装置によって、前記決定された警報レベルの警報を出力する、
エリア入退管理方法。
【請求項8】
前記影響エリアを、前記対象の顔向きに基づいて設定する、
請求項7に記載のエリア入退管理方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2010−122978(P2010−122978A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297056(P2008−297056)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】