説明

エリア情報取得装置、エリア情報取得装置のエリア情報取得方法、エリア情報取得プログラム、エリア情報サーバ装置、エリア情報サーバ装置のエリア情報配信方法およびエリア情報配信プログラム

【課題】通信ナビゲーションシステムにおいて、途中で経路を変更されても、効率よくエリア情報をダウンロードして利用者に提供できるようにすることを目的とする。
【解決手段】近似曲線算出部330は現在地と所定の目的地とを結ぶ近似曲線393を算出する。乖離率算出部340は現在地から目的地までの複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、近似曲線393から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率として算出する。ダウンロード優先度算出部350は乖離率に基づいて優先地点を決定する。エリア情報ダウンロード部360は優先地点のエリア情報をサーバ装置からダウンロードする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ナビゲーションシステムにおいて複数経路のデータを取得するエリア情報取得装置、エリア情報取得装置のエリア情報取得方法、エリア情報取得プログラム、エリア情報サーバ装置、エリア情報サーバ装置のエリア情報配信方法およびエリア情報配信プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーションシステムでは、あらかじめ装置に内蔵されたHDD(ハードディスクドライブ)などの補助記憶装置またはDVD−ROMなどの外部記憶媒体から地図の情報、施設や店舗などのPOI(Point Of Interest)情報などのエリア情報を読み出し、読み出したエリア情報を画面に表示あるいは音声出力してユーザの行動を支援する。
【0003】
また、通信ナビゲーションシステムは、携帯電話や無線LANなどの通信手段を利用して上記エリア情報をダウンロードし、ダウンロードしたエリア情報を画面に表示あるいは音声出力する。
【0004】
通信ナビゲーションシステムにおいて、前述のエリア情報をナビゲーションに活用するためには、自車があるエリアに到達する時点までにそのエリアのエリア情報を先行取得する必要がある。
たとえば、ユーザがある目的地を設定しており、その目的地に対する経路に沿って運転を行うと仮定すると、今後走行する先行経路に対して付随しているエリア情報を先行取得する手法が考えられる。ただし、この手法の場合、ユーザがその経路を変更した時点で再び経路計算を行う必要があり、決定した経路に対して再びエリア情報の先行取得を行う必要がある。この場合、迂回した直後の周辺のエリア情報を取得できない可能性がある。
一方で、上記課題を解決するために、事前に自車の周囲のセルの情報をダウンロードする方法も考えられるが、自車後方や行く予定のないエリアのエリア情報まで取得してしまう。冗長なデータを取得して保存することになるため、メモリ効率や通信コストの悪化が課題となる。このことは、目的地に対して複数の経路が算出できるビル街や住宅地などの環境で大きな課題となる。
【0005】
特許文献1では、通信ナビゲーションシステムにおいて、進行方向および進行経路に属するセルの地図データを先行取得することにより地図データの取得の途切れを防止する手法が述べられている。
【0006】
特許文献2では、初期の静的な経路探索後に動的情報を取得した場合の迂回路の再探索を短縮する手法であって探索領域を自車の進行方向から半円形のエリアを優先的に取得する手法が述べられている。
【0007】
特許文献3では、渋滞情報による迂回ルートの探索において道路コスト予測関数を評価して迂回ルートを選択する手法が述べられている。
【0008】
特許文献4では、複数の経路の分岐点と合流点とのリンクから概略地図を導出する手法が述べられている。
【0009】
特許文献5では、現在地と目的地を結んだ経路上において地図データのダウンロード優先度を算出し、その優先度に従い地図データをダウンロードする手法が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−121153号公報
【特許文献2】特開平9−35183号公報
【特許文献3】特開平11−325937号公報
【特許文献4】特開2008−215858号公報
【特許文献5】特開2005−10060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
地図データやその地図に属する施設情報(これらをエリア情報と呼ぶ)などを通信によって取得する通信ナビでは、自車の進行方向および自車の進路の先行地点のエリア情報を先行取得することによって地図表示を途切れさせない工夫が行われている。
しかし、ユーザが進路を変更したり迂回したりした場合、その迂回路に対して再びエリア情報を取得する必要がある。そのため、迂回直後の経路に対するエリア情報を取得できない可能性がある。
【0012】
本発明は、例えば、途中で経路を変更されても、効率よくエリア情報をダウンロードして利用者に提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のエリア情報取得装置は、現在地と所定の目的地とを結ぶ線を近似曲線として所定のアルゴリズムによりCPU(Central Processing Unit)を用いて算出する近似曲線算出部と、前記現在地から前記目的地までの複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、前記近似曲線算出部により算出された近似曲線から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率としてCPUを用いて算出する乖離率算出部と、前記乖離率算出部により算出された複数の乖離率を比較し、比較した結果に基づいて複数の経路から少なくとも一つの経路地点を優先地点としてCPUを用いて決定する優先地点決定部と、前記優先地点決定部により決定された優先地点を含む複数の地点それぞれのエリア情報を提供するエリア情報サーバ装置から、前記優先地点のエリア情報を取得する優先地点情報取得部と、前記優先地点情報取得部により取得された優先地点のエリア情報を出力装置を用いて出力する優先地点情報出力部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、例えば、途中で経路を変更されても、効率よくエリア情報をダウンロードして利用者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態1における通信ナビゲーションシステム100の機器構成図。
【図2】実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200およびナビゲーションクライアント300のハードウェア資源の一例を示す図。
【図3】実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200の機能構成図。
【図4】実施の形態1におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図。
【図5】実施の形態1におけるナビゲーションクライアント300のナビゲーション方法およびエリア情報取得方法を示すフローチャート。
【図6】実施の形態1における近似曲線算出処理(S230)のフローチャート。
【図7】実施の形態1における複数の経路と近似曲線との関係図。
【図8】実施の形態1における乖離率テーブル394の構造を示す図。
【図9】実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200のエリア情報配信方法を示すフローチャート。
【図10】実施の形態2におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図。
【図11】実施の形態2における乖離率テーブル394と距離重み変数397aとの関係図。
【図12】実施の形態3におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図。
【図13】実施の形態3における乖離率テーブル394と経路重み変数397bとの関係図。
【図14】実施の形態4におけるナビゲーションサーバ200の機能構成図。
【図15】実施の形態4におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図。
【図16】実施の形態4におけるナビゲーションクライアント300のナビゲーション方法およびエリア情報取得方法を示すフローチャート。
【図17】実施の形態4におけるエリア情報配信方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
ナビゲーション端末装置が、現在地と目的地とを結ぶ複数の経路それぞれの周辺地域の情報のうち利用者が通る可能性の高い地点を含んだ地域の情報をサーバ装置から取得し、取得した地域情報を目的地までの経路情報と共に利用者に提供するナビゲーションシステムについて説明する。
【0017】
図1は、実施の形態1における通信ナビゲーションシステム100の機器構成図である。
実施の形態1における通信ナビゲーションシステム100の機器構成について、図1に基づいて以下に説明する。
【0018】
通信ナビゲーションシステム100は、複数の地域それぞれのエリア情報を提供するナビゲーションサーバ200(エリア情報サーバ装置の一例)と、エリア情報をナビゲーションサーバ200から取得して利用者に提供する複数のナビゲーションクライアント300(エリア情報取得装置、クライアント端末装置の一例)と、複数の場所に設置された通信基地局102と、ナビゲーションサーバ200と各通信基地局102とを接続するネットワーク101とを備える。
各ナビゲーションクライアント300は、近くの通信基地局102を介してナビゲーションサーバ200からエリア情報を取得する。ナビゲーションクライアント300と通信基地局102とは無線通信を行う。カーナビゲーションシステム端末(カーナビ)や携帯電話端末(携帯電話)はナビゲーションクライアント300の一例である。
各通信基地局102とナビゲーションサーバ200とはネットワーク101を介して有線通信または無線通信を行う。ネットワーク101は既存の通信網であり、インターネットや独自の通信網はネットワーク101の一例である。
ナビゲーションサーバ200は、通信基地局102を介して各ナビゲーションクライアント300にエリア情報を配信する。
【0019】
図2は、実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200およびナビゲーションクライアント300のハードウェア資源の一例を示す図である。
図2において、ナビゲーションサーバ200およびナビゲーションクライアント300は、CPU911(Central・Processing・Unit)(マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード入力装置902、ドライブ装置904、スピーカー909、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。ドライブ装置904は、FD(Flexible・Disk・Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital・Versatile・Disc)などの記憶媒体を読み書きする装置である。
【0020】
通信ボード915は、有線または無線で、LAN(Local Area Network)、インターネット、電話回線などの通信網に接続している。
【0021】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
【0022】
プログラム群923には、実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれる。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。すなわち、プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものであり、また「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0023】
ファイル群924には、実施の形態において説明する「〜部」で使用される各種データ(入力、出力、判定結果、計算結果、処理結果など)が含まれる。
【0024】
実施の形態において構成図およびフローチャートに含まれている矢印は主としてデータや信号の入出力を示す。
【0025】
実施の形態において「〜部」として説明するものは「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実装されても構わない。
【0026】
図3は、実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200の機能構成図である。
実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200の機能構成について、図3に基づいて以下に説明する。
【0027】
ナビゲーションサーバ200は、エリア情報リクエスト受信部210、エリア情報配信部220およびサーバ情報格納部290を備える。
【0028】
サーバ情報格納部290には、国、地方、都道府県などの特定の領域に含まれる複数の地域それぞれについて施設や店舗などの地域情報がPOI情報291(POI:Point Of Interest)として予め記憶されている。例えば、特定の領域をメッシュ状に区切った各領域が一つの地域となる。
【0029】
エリア情報リクエスト受信部210は、エリア情報を要求するエリア情報リクエストをナビゲーションクライアント300から通信機器を用いて受信する。エリア情報リクエストには特定の地点が設定される。
エリア情報配信部220は、エリア情報リクエストに設定された地点を含んだ地域のPOI情報291を含んだエリア情報をエリア情報リクエストを出したナビゲーションクライアント300に通信装置を用いて送信する。
【0030】
図4は、実施の形態1におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図である。
実施の形態1におけるナビゲーションクライアント300の機能構成について、図4に基づいて以下に説明する。
【0031】
ナビゲーションクライアント300は、ナビゲーション部310(優先地点情報出力部)、経路算出部320、近似曲線算出部330、乖離率算出部340、ダウンロード優先度算出部350(優先地点決定部)、エリア情報ダウンロード部360(優先地点情報取得部)およびクライアント情報格納部390を備える。
【0032】
ナビゲーション部310は、現在地を測位し、ナビゲーション端末の入力装置(例えば、タッチパネル)に入力された目的地(または経由地。以下同じ)までの最短経路を表示装置に表示し、目的地までのルート案内(音声案内)を行う。
さらに、ナビゲーション部310は、後述するエリア情報ダウンロード部360によりナビゲーションサーバ200からダウンロードされたエリア情報396をナビゲーション端末に画面表示またはナビゲーション端末から音声出力する。
例えば、現在地はGPS(Global Positioning System)受信機やジャイロを用いて測位される。
最短経路は、距離が最短の経路、時間が最短の経路またはその他の最短の経路いずれであっても構わない。
最短経路の探索に使用される地図情報399は予めクライアント情報格納部390に記憶されている。
最短経路の探索機能およびルート案内機能は従来のナビゲーション端末の機能で構わない。
【0033】
経路算出部320は、現在地から目的地までの主要な複数の経路(最短経路、迂回経路)を地図情報399に基づいてCPUを用いて算出する。
例えば、経路算出部320は、特許文献2や特許文献3を用いて迂回経路を算出する。
【0034】
近似曲線算出部330は、現在地と目的地とを結ぶ線を近似曲線として所定のアルゴリズムによりCPUを用いて算出する。
【0035】
乖離率算出部340は、経路算出部320により算出された複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、近似曲線算出部330により算出された近似曲線から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率としてCPUを用いて算出する。
【0036】
ダウンロード優先度算出部350は、乖離率算出部340により算出された複数の乖離率を比較し、比較した結果に基づいて複数の経路地点から少なくとも一つの経路地点を優先地点としてCPUを用いて決定する。
【0037】
エリア情報ダウンロード部360は、ダウンロード優先度算出部350により決定された優先地点を含む地域のエリア情報(以下、「優先地点のエリア情報」という)を通信装置を用いてナビゲーションサーバ200から取得する。
【0038】
クライアント情報格納部390は、目的地情報391a、現在地情報391b、経路情報392、近似曲線393、乖離率テーブル394、ダウンロード優先度395、エリア情報396および地図情報399を記憶する記憶装置である。
目的地情報391aは、ナビゲーション部310により入力された目的地を示すデータである。
現在地情報391bは、ナビゲーション部310により測位されたナビゲーションクライアント300の現在地を示すデータである。
経路情報392は、経路算出部320により算出された複数の経路を示すデータである。
近似曲線393は、近似曲線算出部330により算出された近似曲線を表すデータである。
乖離率テーブル394は、乖離率算出部340により算出された複数の乖離率を示すデータである。
ダウンロード優先度395は、ダウンロード優先度算出部350により決定された優先地点を示すデータである。
エリア情報396は、エリア情報ダウンロード部360により取得されたデータである。
地図情報399は、特定の領域を表す地図データである。
【0039】
図5は、実施の形態1におけるナビゲーションクライアント300のナビゲーション方法およびエリア情報取得方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるナビゲーションクライアント300のナビゲーション方法(S110〜S132)およびエリア情報取得方法(S210〜S260)について、図5に基づいて以下に説明する。
【0040】
まず、概要について説明する。
ナビゲーションサーバ200の各「〜部」は、以下に説明する各処理(S110〜S132、S210〜S260)をCPUを用いて実行する。
【0041】
ナビゲーション部310は利用者に指定された目的地を入力する(S110)。
ナビゲーション部310は現在地を測位し、現在地に応じてナビゲーション画面を更新する(S120)。
【0042】
ナビゲーション部310は現在地を含む地域のエリア情報396(以下、「現在値のエリア情報396」という)をナビゲーションサーバ200からダウンロード済みか判定する(S130)。
エリア情報396をダウンロードできていない場合(「無し」)、エリア情報ダウンロード部360はナビゲーションサーバ200から現在地のエリア情報396をダウンロードし(S131)、ナビゲーション部310は現在値のエリア情報396を画面表示または音声出力する(S132)。
【0043】
ナビゲーション部310は目的地方向のエリア情報396を予め先行取得するタイミングか判定する(S210)。
エリア情報396を先行取得するタイミングである場合(「要」)、経路算出部320は位置情報(目的地情報391a、現在地情報391b)と地図情報399とに基づいて現在地から目的地までの主要な経路を算出する(S220)。
【0044】
現在地から目的地までの主要な経路の数が「複数」である場合(S221)、近似曲線算出部330は各経路に基づいて近似曲線393を算出し(S230)、乖離率算出部340は近似曲線393と各経路との乖離率を算出し(S240)、ダウンロード優先度算出部350は乖離率に基づいて優先地点を決定する(S250)。
【0045】
現在地から目的地までの主要な経路の数が「一つ」である場合(S221)、ダウンロード優先度算出部350は現在地から近い順に優先地点を決定する(S251)。
【0046】
エリア情報ダウンロード部360は優先地点のエリア情報396をナビゲーションサーバ200からダウンロードする(S260)。
【0047】
以下に、各処理(S110〜S132、S210〜S260)の詳細について説明する。
【0048】
まず、ナビゲーション方法(S110〜S132)の詳細について説明する。
【0049】
<S110>
ナビゲーション部310は、利用者によりナビゲーション端末に入力された目的地を入力し、入力した目的地を目的地情報391aとしてクライアント情報格納部390に記憶する。
S110の後、処理はS120に進む。
【0050】
<S120>
ナビゲーション部310は、GPSやジャイロなどを用いてナビゲーションクライアント300の現在地を測位し、測位した現在値を現在地情報391bとしてクライアント情報格納部390に記憶する。
ナビゲーション部310は、目的地情報391aを参照し、現在地から目的地までの最短経路を案内する従来のナビゲーション画面をナビゲーション端末に表示する。
S120の後、処理はS130に進む。
【0051】
<S130>
ナビゲーション部310は、クライアント情報格納部390から現在地のエリア情報396を検索する。
現在地のエリア情報396が有る場合、処理はS132に進む。
現在地のエリア情報396が無い場合、処理はS131に進む。
【0052】
<S131>
エリア情報ダウンロード部360は、現在地情報391bを参照し、現在地を要求地点として設定したエリア情報リクエストを生成し、生成したエリア情報リクエストをナビゲーションサーバ200へ送信する。
エリア情報ダウンロード部360は、ナビゲーションサーバ200から送信された現在値のエリア情報396を受信し、受信した現在値のエリア情報396をクライアント情報格納部390に記憶する。
エリア情報リクエストを送信してエリア情報396を受信することを「エリア情報396のダウンロード」という。
S131の後、処理はS132に進む。
【0053】
<S132>
ナビゲーション部310は、クライアント情報格納部390から現在地のエリア情報396を取得し、現在地のエリア情報396を画面表示または音声出力して利用者に提供する。
S132の後、処理はエリア情報取得方法(S210〜S260)に進む。
【0054】
次に、エリア情報取得方法(S210〜S260)の詳細について説明する。
【0055】
<S210>
ナビゲーション部310は、エリア情報396を先行取得する必要があるか否かを判定する。
ナビゲーションクライアント300がある地点を通過する前にその地点のエリア情報396を先行取得するため、エリア情報396の先行取得タイミングが予め定められているものとする。
例えば、先行取得タイミングは、所定の周期(所定の経過時間毎、所定の移動距離毎)や特定の地点(施設、交差点など)を通過した時点として定められる。
ナビゲーション部310は、先行取得タイミングであればエリア情報396を先行取得する必要があると判定し、先行取得タイミングでなければエリア情報396を先行取得する必要がないと判定する。
エリア情報396を先行取得する必要がある場合(「要」)、処理はS220に進む。
エリア情報396を先行取得する必要がない場合(「否」)、処理はS120に戻る。
【0056】
<S220>
経路算出部320は、目的地情報391aと現在地情報391bとを参照して目的地と現在地とを特定する。
経路算出部320は、クライアント情報格納部390から地図情報399を取得し、現在地から目的地までの主要な経路を地図情報399に基づいて算出し、算出した経路を経路情報392としてクライアント情報格納部390に記憶する。
経路算出部320は、従来のナビゲーションシステムの方法を用いて経路を算出すればよい。
例えば、経路算出部320は、特許文献2や特許文献3に開示されている技術を用いて経路を算出する。
S220の後、処理はS221に進む。
【0057】
<S221>
経路算出部320は、S220において算出した経路の数が「一つ」と「複数」とのいずれであるかを判定する。
経路の数が「一つ」である場合、処理はS251に進む。
経路の数が「複数」である場合、処理はS230に進む。
【0058】
<S230:近似曲線算出処理>
S221において経路の数が「複数」である場合、近似曲線算出部330は、各経路に基づいて近似曲線393を算出する。
【0059】
図6は、実施の形態1における近似曲線算出処理(S230)のフローチャートである。
図7は、実施の形態1における複数の経路と近似曲線との関係図である。
実施の形態1における近似曲線算出処理(S230)について、図6および図7に基づいて以下に説明する。
【0060】
図6において、近似曲線算出処理(S230)の流れを説明する。
【0061】
<S231>
近似曲線算出部330は、現在地と目的地とを結んだ直線を算出する。以下、S231において算出された直線を「連結直線」という。
図7において、第1〜第3の経路を実線で示し、「R」(x:1〜3)と記す。
また、現在地を大きな黒丸、目的地を大きな黒三角、連結直線を一点鎖線で示す。
また、現在地を「NP」、目的地を「DP」、連結直線を「LS」と記す。
S231の後、処理はS232に進む。
【0062】
<S232>
近似曲線算出部330は、連結直線から特定の地点を算出する。以下、S232において選択された地点を「直線地点」という。
例えば、近似曲線算出部330は、連結直線から所定の間隔で複数の直線地点を算出する。
図7において、直線地点を小さな白三角で示し、「LS」(y:1〜5)と記す。
S232の後、処理はS233に進む。
【0063】
<S233>
近似曲線算出部330は、直線地点を通り連結直線と直交する直線を算出する。以下、S233において算出された直線を「連結垂線」という。
図7において、連結垂線を二点鎖線で示し、「LP」と記す。
S233の後、処理はS234に進む。
【0064】
<S234>
近似曲線算出部330は、各経路と連結垂線との交点を算出する。以下、S234において算出された交点を「経路地点」という。
図7において、経路地点を小さい白丸で示し、「Rx_y」と記す。
S234の後、処理はS235に進む。
【0065】
<S235>
近似曲線算出部330は、経路地点毎に経路地点(Rx_y)と直線地点(LS)との距離を算出する。
以下、S235において算出された距離を、経路を識別する変数xと直線地点を識別する変数yとを用いて、「垂線距離DPx_y」という。
例えば、垂線距離DP1_1は経路地点R1_1と直線地点LSとの距離であり、垂線距離DP1_2は経路地点R1_2と直線地点LSとの距離である。
S235の後、処理はS236に進む。
【0066】
<S236>
近似曲線算出部330は、連結垂線毎に垂線距離DPx_yの平均値を算出する。
以下、S236において算出された平均値を「距離平均値DA」という。
例えば、距離平均値DAは、垂線距離DP1_1と垂線距離DP2_1と垂線距離DP3_1との平均値である(「x:1〜3」の場合)。
S236の後、処理はS237に進む。
【0067】
<S237>
近似曲線算出部330は、直線地点LSから距離平均値DAだけ離れた連結垂線LP上の地点(近似曲線地点の一例)を算出する。
以下、S237において算出された地点を「平均地点AP」という。
例えば、平均地点APは、直線地点LSから距離平均値DAだけ離れた地点である。
図7において、平均地点APを小さい黒丸で示す。
S237の後、処理はS238に進む。
【0068】
<S238>
近似曲線算出部330は、現在地(NP)と平均地点APと目的地(DP)とを結んだ折れ線を近似曲線(平均ルート)として算出する。
図7において、近似曲線を破線で示し、「LA」と記す。
近似曲線LAは、各経路の中間地点を通る線である。利用者は近似曲線LAの近くを通る可能性が高いと考えられる。
S238の後、近似曲線算出処理(S230)は終了する。
【0069】
図6で説明したアルゴリズム(平均値プロット法)は、近似曲線を算出するアルゴリズムの一例である。
例えば、近似曲線算出部330は、「Simulated Annealing(SA法)」や「Genetic Algorithm(GA法)」など既存のアルゴリズムにより近似曲線を算出してもよい。
【0070】
図5に戻り、エリア情報取得方法の説明を続ける。
【0071】
S230の後、処理はS240に進む。
【0072】
<S240>
乖離率算出部340は、経路情報392と近似曲線393とを参照し、複数の経路それぞれから特定の地点を選択し、選択した各地点と近似曲線393との距離を乖離率として算出する。
乖離率算出部340は、算出した各乖離率を示す乖離率テーブル394を生成し、生成した乖離率テーブル394をクライアント情報格納部390に記憶する。
【0073】
例えば、乖離率算出部340は、前記経路地点Rx_yを選択し、前記経路地点Rx_yと前記平均地点APとの距離を乖離率として算出する(図6、7参照)。
【0074】
また例えば、乖離率算出部340は、各経路から所定の間隔(または所定の等分数)で複数の地点を選択し、選択地点毎に選択地点から近似曲線までの垂線の距離を乖離率として算出する。
【0075】
図8は、実施の形態1における乖離率テーブル394の構造を示す図である。
図8において、経路地点Rx_yと平均地点APとの乖離率(距離)を「DRx_y」と記す。
図8に示すように、乖離率テーブル394は、経路毎(例えば、R〜R)に、経路上の地点と近似曲線上の地点との距離(例えば、DRx_y)を示すテーブルである。
【0076】
図5に戻り、エリア情報取得方法の説明を続ける。
【0077】
S240の後、処理はS250に進む。
【0078】
<S250>
乖離率算出部340は、乖離率テーブル394を参照し、エリア情報を先行取得する優先地点を乖離率に基づいて決定する。
乖離率算出部340は、決定した優先地点をダウンロード優先度395としてクライアント情報格納部390に記憶する。
【0079】
例えば、乖離率算出部340は、乖離率テーブル394の乖離率を昇順にソートし、乖離率の小さい順に所定数の地点を優先地点に決定する。
乖離率テーブル394が図8の値を示し、優先地点の数を「4つ」とした場合、優先地点は、経路地点R2_1(乖離率DR2_1「5m」)、経路地点R2_5(乖離率DR2_5「10m」)、経路地点R2_2(乖離率DR2_2「15m」)、経路地点R3_5(乖離率DR3_5「15m」)となる。
【0080】
また例えば、乖離率算出部340は、経路上の並び順が対応する各経路上の地点の乖離率を比較し、比較した地点のうち最も乖離率の小さい地点を優先地点に決定する。
乖離率テーブル394が図8の値を示す場合の優先地点は、乖離率DRx_1の中で最も値が小さい経路地点R2_1、乖離率DRx_2の中で最も値が小さい経路地点R2_2、・・・、乖離率DRx_5の中で最も値が小さい経路地点R2_5となる。
【0081】
また例えば、乖離率算出部340は、経路上の並び順が対応する各経路上の地点の乖離率を比較し、乖離率の割合が所定値以下である地点を優先地点に決定する。
乖離率テーブル394が図8の値を示し、割合の所定値が「20%」である場合の優先地点は、経路地点R2_1(6%[=5m/(60m+5m+20m)])、経路地点R2_2(9%[=15m/(80m+15m+70m)])、経路地点R2_5(18%[=10m/(30m+10m+15m)])となる。
【0082】
図5に戻り、エリア情報取得方法の説明を続ける。
【0083】
S250の後、処理はS260に進む。
【0084】
S260の前に、S251について説明する。
【0085】
<S251>
S221において経路の数が「一つ」である場合、ダウンロード優先度算出部350は、経路情報392を参照し、現在地から近い順に当該経路上の地点を優先地点に決定する。
ダウンロード優先度算出部350は、決定した優先地点をダウンロード優先度395としてクライアント情報格納部390に記憶する。
例えば、当該経路から所定の間隔で複数の地点を算出し、現在地から近い順に所定数の地点を優先地点に決定する。
S251の後、処理はS260に進む。
【0086】
<S260>
エリア情報ダウンロード部360は、ダウンロード優先度395を参照し、優先地点を要求地点として設定したエリア情報リクエストを生成し、生成したエリア情報リクエストをナビゲーションサーバ200に送信する。
エリア情報ダウンロード部360は、ナビゲーションサーバ200から送信される優先地点のエリア情報396を受信し、受信した優先地点のエリア情報396をクライアント情報格納部390に記憶する。
S260の後、処理はS120に戻る。
【0087】
S120〜S260は、目的地に到着するまで所定の周期で繰り返される。
【0088】
図9は、実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200のエリア情報配信方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるナビゲーションサーバ200のエリア情報配信方法について、図9に基づいて以下に説明する。
【0089】
<S310>
エリア情報リクエスト受信部210は、ナビゲーションクライアント300により送信されたエリア情報リクエストを受信する。
エリア情報リクエストには要求地点が設定されている。
S310の後、処理はS320に進む。
【0090】
<S320>
エリア情報配信部220は、S310において受信されたエリア情報リクエストに設定されている要求地点を含んだ地域のPOI情報291をサーバ情報格納部290から取得する。
S320の後、処理はS330に進む。
【0091】
<S330>
エリア情報配信部220は、S320で取得したPOI情報291を含んだエリア情報をナビゲーションクライアント300に送信する。
S330の後、エリア情報配信方法は終了する。
【0092】
実施の形態1において、例えば、以下のような通信ナビゲーションシステム100について説明した。
自車位置から経由地あるいは目的地までの最短経路および迂回経路を含む複数の経路を算出する手段(経路算出部320)を有することを前提とする。
その複数の経路から近似曲線を算出し、その近似曲線と経路との乖離率が小さい地点をユーザが通行する可能性の高いエリアと仮定する。
そして、そのエリア情報を優先的に取得する手段(ダウンロード優先度算出部350、エリア情報ダウンロード部360)を有する。
これにより、ユーザが途中で経路を変更したとしても効率よくエリア情報をダウンロードして提示することが可能である。
また、複数の経路が存在しない場合は先行する経路に属するエリア情報を優先的に取得することにより、冗長なエリア情報の取得を防止する。
【0093】
具体的には、通信ナビゲーションシステム100は以下の手段を有する。
(1)複数の経路の近似曲線あるいは平均ルートを算出する近似曲線算出手段。
(2)その近似曲線と各経路との乖離率を求める乖離率算出手段。
(3)その乖離率からエリア情報のダウンロード優先度(例えば、昇順にソートした乖離率)を算出するダウンロード優先度算出手段。
(4)上記ダウンロード優先度を利用してエリア情報のダウンロードを実行するエリア情報ダウンロード手段。
【0094】
実施の形態1における通信ナビゲーションシステム100は、例えば、以下のような効果を奏する。
ナビゲーションクライアント300は、利用者が通行する可能性が高いと思われる地点(前記優先地点)のエリア情報のみナビゲーションサーバ200から先行取得する。
これにより、不要なエリア情報の受信量を少なくすると共に、通行地のエリア情報を遅延無く提供する確率を高めることができる。
【0095】
通信ナビゲーションシステム100の実施例として、走行地点の先に配置された地点カメラの撮影画像あるいは動画をダウンロードしてカーナビあるいは携帯電話に転送するサービスが考えられる。
【0096】
上記のサービスでは先行する交差点の状況をカーナビ上で把握することを目的としている。そのため、カメラが設置されている箇所を通過する以前に地点カメラの撮影画像あるいは動画(地点カメラコンテンツ情報と呼ぶ)をダウンロードする必要がある。
先行経路に対してのみ地点カメラコンテンツ情報を受信した場合、先行経路を迂回した場合に迂回先の地点カメラコンテンツ情報を受信できない可能性も生じる。また、迂回する可能性のある経路全てに対して地点カメラコンテンツ情報をダウンロードする方法も考えられるが、情報量が膨大であり、地点を通過する以前に必要なコンテンツ情報がダウンロードできていない場合がある。また、走行する経路以外の経路に対する地点カメラコンテンツ情報も満遍なく取得するため、冗長なデータを受信する可能性が生じる。
実施の形態1は、上記の課題を解決するために利用可能である。あらかじめ複数経路を算出しておき、その複数経路から近似曲線を算出することによって、あらかじめユーザがどの方向に進む可能性があるかを推測することが可能である。そして、その複数の経路全てから地点カメラ情報を受信するのではなく、その近似曲線の乖離率が少ない地点から順にダウンロードを行うことによって冗長データのダウンロードを防ぐ。また、経路が確定次第、先行経路に対するダウンロード手法に切り替えることによりさらに冗長なコンテンツ情報をダウンロードせずにすむ。
【0097】
これによって、情報量が大きいリアルタイム性を考慮したコンテンツ情報を効率よく先行取得することができ、通信ナビゲーションシステムのメモリ効率を向上させるだけでなく、通信帯域を効率よく利用することが可能である。
【0098】
また別の実施例として、インターネット上の膨大な数のコンテンツ情報の地図マッピングサービスが考えられる。
【0099】
施設や飲食店のクーポン情報だけでなく、ブログ(Web Log)の口コミ情報などインターネット上の膨大なコンテンツをカーナビゲーションシステムの地図画面の関連する場所に対してマッピング(表示)するサービスが考えられる。
インターネット上の情報はリアルタイムで変化するため、通信ナビゲーションシステムによる実装が好ましい。本サービスを走行中に活用するためには、対象となるエリアを通過する以前にコンテンツ情報を取得する必要がある。このとき、人気のある施設や店舗が密集している地域ではエリアあたりのコンテンツ情報が膨大であり、迂回する時点でコンテンツ情報を取得しなおすと迂回路直後のエリアのコンテンツが取得できない可能性が生じる。
実施の形態1は、上記課題を解決するために利用可能である。ユーザの行く可能性がある経路を複数経路算出しておき、その複数経路に対する近似曲線への乖離率が小さい地点から順にコンテンツ情報を受信することにより、ユーザが迂回したとしてもコンテンツ情報を効率よく先行取得することが可能である。
【0100】
これによって、都心部などのエリアあたりのコンテンツ数が膨大な場合においても効率よくコンテンツを先行取得することが可能である。
【0101】
実施の形態2.
現在地から近い地点のエリア情報を優先的に先行取得する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0102】
図10は、実施の形態2におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図である。
図10に示すように、実施の形態2におけるナビゲーションクライアント300のクライアント情報格納部390は、距離重み変数397aを記憶している。その他の構成は、実施の形態1(図4参照)と同じである。
【0103】
距離重み変数397aは、現在地から近い地点ほど優先地点に選ばれ易くさせる所定の重み付け情報である。
例えば、距離重み変数397aは、経路地点毎に現在地から近い順に小さい値を示す係数(乗算値)または加算値である。
【0104】
ダウンロード優先度算出部350は、乖離率テーブル394と距離重み変数397aとに基づいて優先地点を決定する。
【0105】
図11は、実施の形態2における乖離率テーブル394と距離重み変数397aとの関係図である。
ダウンロード優先度算出部350は、図11に示すように、各経路地点の距離重み変数397aを当該経路地点の乖離率DRx_yに乗じて乖離率テーブル394を更新し、更新後の乖離率テーブル394(比較値の一例)に基づいて実施の形態1(S250)と同じく優先地点を決定する。
【0106】
距離重み変数397aに基づいて優先地点を決定することにより、目的地に近い地点よりも現在地に近い地点を優先してエリア情報を先行取得できる。
これにより、目的地が変更されたときに無駄になってしまう旧目的地に近い地点のエリア情報の先行取得を少なくすることができる。
【0107】
実施の形態3.
特定経路上の地点のエリア情報を優先的に先行取得する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0108】
図12は、実施の形態3におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図である。
図12に示すように、実施の形態3におけるナビゲーションクライアント300のクライアント情報格納部390は、経路重み変数397bを記憶している。その他の構成は、実施の形態1(図4参照)と同じである。
【0109】
経路重み変数397bは、特定経路上の地点ほど優先地点に選ばれ易くさせる所定の重み付け情報である。
例えば、経路重み変数397bは、経路毎に、特定経路ほど小さな値を示す係数または特定経路ほど大きな値を示す減算値である。
【0110】
ダウンロード優先度算出部350は、乖離率テーブル394と経路重み変数397bとに基づいて優先地点を決定する。
【0111】
図13は、実施の形態3における乖離率テーブル394と経路重み変数397bとの関係図である。
ダウンロード優先度算出部350は、図13に示すように、各経路の経路重み変数397bを当該経路上の各地点の乖離率DRx_yに乗じて乖離率テーブル394を更新し、更新後の乖離率テーブル394(比較値の一例)に基づいて実施の形態1(S250)と同じく優先地点を決定する。
図13では、第3経路R(特定経路)上の地点を優先地点に選ばれ易くするために、第3経路Rの経路重み変数397bだけ「1/5」に設定されている。
【0112】
経路重み変数397bに基づいて優先地点を決定することにより、特定経路上の地点のエリア情報を優先して先行取得できる。例えば、右折より左折の方がしやすいため、目的地に向かって左側にある経路(特定経路の一例)のエリア情報を優先して先行取得できる。また例えば、通行する可能性が高い最短経路(特定経路の一例)のエリア情報を迂回経路のエリア情報より優先して先行取得できる。
【0113】
ダウンロード優先度算出部350は、乖離率テーブル394と距離重み変数397a(実施の形態2参照)と経路重み変数397bとに基づいて優先地点を決定してもよい。
例えば、ダウンロード優先度算出部350は、距離重み変数397a(図11参照)と経路重み変数397b(図13参照)とを各乖離率に乗じて乖離率テーブル394を更新し、更新後の乖離率テーブル394に基づいて実施の形態1(S250)と同じく優先地点を決定する。
【0114】
実施の形態4.
ナビゲーションサーバ200が優先地点を決定してエリア情報をナビゲーションクライアント300に提供する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0115】
図14は、実施の形態4におけるナビゲーションサーバ200の機能構成図である。
実施の形態4におけるナビゲーションサーバ200の機能構成について、図14に基づいて以下に説明する。
【0116】
ナビゲーションサーバ200は、位置情報受信部230、エリア情報配信部220(優先地点情報配信部の一例)およびサーバ情報格納部290を備える。
さらに、ナビゲーションサーバ200は、実施の形態1のナビゲーションクライアント300(図4参照)と同じく、経路算出部320、近似曲線算出部330、乖離率算出部340およびダウンロード優先度算出部350(優先地点エリア決定部の一例)を備える。
【0117】
サーバ情報格納部290は、POI情報291を記憶する。
さらに、サーバ情報格納部290は、実施の形態1のクライアント情報格納部390(図4参照)と同じく、目的地情報391a、現在地情報391b、経路情報392、近似曲線393、乖離率テーブル394、ダウンロード優先度395および地図情報399を記憶する。
【0118】
図15は、実施の形態4におけるナビゲーションクライアント300の機能構成図である。
実施の形態4におけるナビゲーションクライアント300の機能構成について、図15に基づいて以下に説明する。
【0119】
ナビゲーションクライアント300は、ナビゲーション入出力部310a、位置情報送信部370、エリア情報ダウンロード部360およびクライアント情報格納部390を備える。
クライアント情報格納部390は、目的地情報391a、現在地情報391bおよびエリア情報396を記憶する。
【0120】
図16は、実施の形態4におけるナビゲーションクライアント300のナビゲーション方法およびエリア情報取得方法を示すフローチャートである。
実施の形態4におけるナビゲーションクライアント300のナビゲーション方法およびエリア情報取得方法について、図16に基づいて以下に説明する。
【0121】
ナビゲーション方法(S110〜S132)は、実施の形態1(図5参照)と同じである。
【0122】
ナビゲーション部310は目的地を入力し(S110)、現在地を測位してナビゲーション画面を更新する(S120)。
現在地のエリア情報396が無い場合(S130)、エリア情報ダウンロード部360は現在地のエリア情報396をナビゲーションサーバ200からダウンロードし(S131)、ナビゲーション部310は現在地のエリア情報396を画面表示または音声出力する(S132)。
【0123】
次に、S132後のエリア情報取得方法(S210〜S271)について説明する。
【0124】
ナビゲーション部310は、実施の形態1と同じく、エリア情報396の先行取得が必要であるか否かを判定する(S210)。
エリア情報396の先行取得が必要でない場合(「否」)、処理はS120に戻る。
エリア情報396の先行取得が必要である場合(「要」)、位置情報送信部370は目的地情報391aと現在地情報391bとを位置情報としてナビゲーションサーバ200に送信する(S270)。
エリア情報ダウンロード部360は、位置情報に基づいて決定される優先地点のエリア情報をナビゲーションサーバ200から受信する(S271)。
S271の後、処理はS120に戻る。
【0125】
図17は、実施の形態4におけるエリア情報配信方法を示すフローチャートである。
実施の形態4におけるエリア情報配信方法について、図17に基づいて以下に説明する。
【0126】
以下に説明するS420〜S451は、実施の形態1で説明したS220〜S251と同じである。
【0127】
位置情報受信部230は、ナビゲーションクライアント300により送信された位置情報を受信する(S410)。
経路算出部320は、位置情報に含まれる目的地情報391aと現在地情報391bとに基づいて現在地から目的地までの経路を算出する(S420)。
経路が「複数」である場合(S421)、近似曲線算出部330は各経路に基づいて近似曲線393を算出し(S430)、乖離率算出部340は近似曲線393と各経路との乖離率を算出し(S440)、ダウンロード優先度算出部350は乖離率に基づいて優先地点を決定する(S450)。
経路が「一つ」である場合(S421)、ダウンロード優先度算出部350は当該経路から現在地に近い順に優先地点を決定する(S451)。
エリア情報配信部220は、優先地点のPOI情報291および地図情報399をサーバ情報格納部290から取得し(S460)、位置情報を送信したナビゲーションクライアント300にPOI情報291および地図情報399を含んだエリア情報を送信する(S470)。
【0128】
優先地点を決定する機能をナビゲーションサーバ200に備えることにより、優先地点を決定する機能を備えないナビゲーションクライアント300を用いても無駄なエリア情報のダウンロードを少なくすることができる。
また、実施の形態1のように優先地点を決定する機能をナビゲーションクライアント300に備えることにより、ナビゲーションサーバ200の負荷を軽減することができる。
【0129】
ナビゲーションサーバ200は、実施の形態2や実施の形態3のように、乖離率、距離重み変数397a、経路重み変数397bとに基づいて優先地点を決定してもよい。
【符号の説明】
【0130】
100 通信ナビゲーションシステム、101 ネットワーク、102 通信基地局、200 ナビゲーションサーバ、210 エリア情報リクエスト受信部、220 エリア情報配信部、230 位置情報受信部、290 サーバ情報格納部、291 POI情報、292 地図情報、300 ナビゲーションクライアント、310 ナビゲーション部、310a ナビゲーション入出力部、320 経路算出部、330 近似曲線算出部、340 乖離率算出部、350 ダウンロード優先度算出部、360 エリア情報ダウンロード部、370 位置情報送信部、390 クライアント情報格納部、391a 目的地情報、391b 現在地情報、392 経路情報、393 近似曲線、394 乖離率テーブル、395 ダウンロード優先度、396 エリア情報、397a 距離重み変数、397b 経路重み変数、399 地図情報、901 表示装置、902 入力装置、904 ドライブ装置、909 スピーカー、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地と所定の目的地とを結ぶ線を近似曲線として所定のアルゴリズムによりCPU(Central Processing Unit)を用いて算出する近似曲線算出部と、
前記現在地から前記目的地までの複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、前記近似曲線算出部により算出された近似曲線から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率としてCPUを用いて算出する乖離率算出部と、
前記乖離率算出部により算出された複数の乖離率を比較し、比較した結果に基づいて複数の経路地点から少なくとも一つの経路地点を優先地点としてCPUを用いて決定する優先地点決定部と、
前記優先地点決定部により決定された優先地点を含む複数の地点それぞれのエリア情報を提供するエリア情報サーバ装置から、前記優先地点のエリア情報を取得する優先地点情報取得部と、
前記優先地点情報取得部により取得された優先地点のエリア情報を出力装置を用いて出力する優先地点情報出力部と
を備えたことを特徴とするエリア情報取得装置。
【請求項2】
前記優先地点決定部は、経路地点毎に定められた値である所定の重み変数と前記乖離率とに基づく値を比較値として経路地点毎に算出し、各経路地点の比較値を比較し、比較した結果に基づいて前記優先地点を決定する
ことを特徴とする請求項1記載のエリア情報取得装置。
【請求項3】
前記優先地点決定部は、経路毎に定められた値である所定の重み変数と前記乖離率とに基づく値を比較値として経路地点毎に算出し、各経路地点の比較値を比較し、比較した結果に基づいて前記優先地点を決定する
ことを特徴とする請求項1〜請求項2いずれかに記載のエリア情報取得装置。
【請求項4】
近似曲線算出部が、現在地と所定の目的地とを結ぶ線を近似曲線として所定のアルゴリズムによりCPU(Central Processing Unit)を用いて算出し、
乖離率算出部が、前記現在地から前記目的地までの複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、前記近似曲線算出部により算出された近似曲線から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率としてCPUを用いて算出し、
優先地点決定部が、前記乖離率算出部により算出された複数の乖離率を比較し、比較した結果に基づいて複数の経路から少なくとも一つの経路地点を優先地点としてCPUを用いて決定し、
優先地点情報取得部が、前記優先地点決定部により決定された優先地点を含む複数の地点それぞれのエリア情報を提供するエリア情報サーバ装置から、前記優先地点のエリア情報を取得し、
優先地点情報出力部が、前記優先地点情報取得部により取得された優先地点のエリア情報を出力装置を用いて出力する
ことを特徴とするエリア情報取得装置のエリア情報取得方法。
【請求項5】
請求項4記載のエリア情報取得方法をコンピュータに実行させるエリア情報取得プログラム。
【請求項6】
クライアント装置の現在地と前記クライアント装置の目的地とを結ぶ線を近似曲線として所定のアルゴリズムによりCPU(Central Processing Unit)を用いて算出する近似曲線算出部と、
前記現在地から前記目的地までの複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、前記近似曲線算出部により算出された近似曲線から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率としてCPUを用いて算出する乖離率算出部と、
前記乖離率算出部により算出された複数の乖離率を比較し、比較した結果に基づいて複数の経路地点から少なくとも一つの経路地点を優先地点としてCPUを用いて決定する優先地点決定部と、
前記優先地点決定部により決定された優先地点を含む複数の地点それぞれのエリア情報が予め記憶された記憶装置から、前記優先地点のエリア情報を取得し、取得した優先地点のエリア情報を前記クライアント装置に配信する優先地点情報配信部と
を備えたことを特徴とするエリア情報サーバ装置。
【請求項7】
近似曲線算出部が、クライアント装置の現在地と前記クライアント装置の目的地とを結ぶ線を近似曲線として所定のアルゴリズムによりCPU(Central Processing Unit)を用いて算出し、
乖離率算出部が、前記現在地から前記目的地までの複数の経路それぞれから経路上の地点を経路地点として選択し、前記近似曲線算出部により算出された近似曲線から各経路地点に対応する地点を近似曲線地点として特定し、経路地点毎に経路地点と当該経路地点に対応する近似曲線地点との距離を乖離率としてCPUを用いて算出し、
優先地点決定部が、前記乖離率算出部により算出された複数の乖離率を比較し、比較した結果に基づいて複数の経路地点から少なくとも一つの経路地点を優先地点としてCPUを用いて決定し、
優先地点情報配信部が、前記優先地点決定部により決定された優先地点を含む複数の地点それぞれのエリア情報が予め記憶された記憶装置から、前記優先地点のエリア情報を取得し、取得した優先地点のエリア情報を前記クライアント装置に配信する
ことを特徴とするエリア情報サーバ装置のエリア情報配信方法。
【請求項8】
請求項7記載のエリア情報配信方法をコンピュータに実行させるエリア情報配信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−210356(P2010−210356A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55791(P2009−55791)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】