説明

エンターテイメントにおけるロボットのリモコン装置、制御方法及び制御プログラム

【課題】 演劇、ミュージカル、漫才、コントなどのエンターテイメントにロボットを用いる場合、ロボットと人(役者)との演技のタイミングを合わせることができるリモコン装置、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】 ロボットが次の演技を行うための待機状態において、異なるID番号を付加されたリモコン装置より送信される制御信号の有無を判断し、次の動作(演技)を実行する。所定時間内に制御信号が無ければ予め定められた行動パターンを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演劇、ミュージカル、漫才、コントなどのエンターテイメントに使用するロボットを制御するリモコン装置と、ロボットの制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、演劇、ミュージカル、漫才、コントなどのエンターテイメントでは、人が役を演じており、ロボットが役者として人と共演し、人に代わって役を演じることは無かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロボットには使用者からの命令を入力するための入力手段として、音声認識機能や画像認識機能が具備されているものがあり、簡単な単語の音声(セリフ)や単純な動きに応答することは可能であるが、使用者である人(役者)から発せられる長文の音声(セリフ)や相手役者の激しい動きに対し、正しく認識できない場合があり、演劇など音声(セリフ)が重要であるエンターテイメントの場合、シナリオに大きな影響を与える恐れがあった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するために、ロボットと人(役者)が会話や演技などを行う場面において、ロボットが人(役者)から発せられる音声(セリフ)や動きを正しく認識できない場合、リモコン制御により、恰も音声(セリフ)や動きを認識しているように見せることができるロボットのリモコン装置及び制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本考案に係るリモコン装置は、ロボット本体とその制御方法、リモコン装置からなる以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ) ロボット本体には、少なくともネットワークに接続可能な前記リモコン装置か ら送信される制御信号を受信する受信手段と自立行動するための移動手段と使 用者からの命令を入力するための入力手段と周囲の状況を検知するためのセン サと入力されたセンサの情報を記憶する手段と入力されたセンサ情報を比較演 算処理する装置とを備えている。
(ロ) 前記ロボットには、所定の音声データと上記作動機能の動作パターンデータと を記憶した記憶手段が配置され、上記制御手段は上記受信手段が受信した信号 に基づいて上記記憶手段から所定の音声データと動作パターンデータとを読み 出し、上記音声出力手段に音声を出力させるとともに上記作動機能を制御して ロボットを動作させている。
(ハ) 前記リモコン装置は、それぞれ異なるID番号を有しており、複数体のロボッ トを複数のリモコン装置で制御すること。
【0006】
なお、前記リモコン装置は、外部から操作可能な操作ボタンを備え、前記送信手段は 前記操作ボタンの押圧操作に対応し、予め設定された制御信号を送信し、ロボットをマ ニュアル操作で動作させるようにしても構わない。
【0007】
また、前記リモコン装置はその用途性から、手掌面に装着するように形成され、存在 感を無くすようにすることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図3は、本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
リモコン装置1とロボット6とがネットワーク7を介して接続されるネットワークシステムにおいて、リモコン装置1の操作ボタンa2或いは操作ボタンb3の押圧操作により送信された制御信号AST04或いは制御信号BST03を、ロボット6はネットワーク7を経由して受信し、制御信号に基づいてロボット6は制御される。
【0009】
図1は、リモコン装置1の斜視図であり、把持に際して手掌面に裏側5が当接する。図2はリモコン装置1を手に装着した図であり、手掌面に収まる大きさに設計されている。
【0010】
図5は、リモコン装置1からの作動態様の一例についてフローチャート図で示し、図6はロボット6が次の動作(演技)を行うため、使用者からの命令或いは、リモコン装置1から送信される制御信号Aの受信待ち状態についてフローチャート図で示す。
【0011】
ロボット6が、次の動作(演技)を行うため、リモコン装置1から送信される制御信号Aの受信待ち状態ST13において、所定時間内に操作ボタンa2が押された場合送信される制御信号AST04を認識すると、次の動作(演技)ST17に進んで動作(演技)を実行する。
【0012】
使用者からの命令ST11及びST12、或いはリモコン装置1から送信される制御信号Aの受信待ち状態ST13において、所定時間内ST14に前記命令及び前記信号が認識できなかった場合、回避処理(アドリブ)ST16の処理を行う。回避処理(アドリブ)ST16の処理は、シナリオに記載されている音声(セリフ)の認識ができなかったか、或いは演技のタイミングに何らかの異常事態があったものと判断し、通例的に舞台などで行われるアドリブの技法を用い、予め定められた行動パターンを実行する。
【0013】
制御信号B受信待ち状態ST21において、操作ボタンb3押下時、リモコン装置1より送信される制御信号BST03を認識ST21した場合、何らかの異常事態が生じたものと判断し、ロボット6を緊急避難処理ST22させる。
【0014】
リモコン装置1は固有のID番号ST05を有しており、ロボット6が舞台上で複数人の人(役者)と演技を行う場合、ロボット6はID番号を識別ST15し、人(役者)を特定することができる。ID番号を識別することにより、他の人(役者)が誤って操作ボタンの押下を行った場合でも、ロボット6は演技のタイミングを間違えることはない。
【0015】
また、複数体のロボットを使用する場合も、前記プログラミングを行うことにより、制御することが可能となる。
【0016】
また、本考案ではロボット6とリモコン装置1の制御信号の送受信はネットワーク7を介して行われるとしているが、限定されることはなく、通常の無線或いは赤外線であっても構わない。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の考案によれば、ロボットが次の動作(演技を行うため、音声認識機能や画像認識機能からの入力信号待ち状態において、所定時間内にリモコン装置からの制御信号があれば、恰も音声や動きを認識しているように見せることができるロボットのリモコン装置及び制御方法を提供することができる。
【0018】
請求項2の考案によれば、前記入力信号待ち状態の結果、所定時間内にリモコン装置からの制御信号も無かったと判定した場合、自立行動手段によって予め定められた回避処理(アドリブ)を行うことにより、舞台上での問題を解決することができる。
【0019】
請求項3の考案によれば、異なるリモコン装置に、異なるID番号を付加しておけば、複数のロボットを複数のリモコン装置で制御することができる。
【0020】
請求項4の考案によれば、外部から操作可能な操作ボタンを備えており、押圧操作に対応した制御信号を送信することにより、ロボットを簡単に制御することができる。
【0021】
請求項5の考案によれば、前記リモコン装置は、その用途性から目立たない様に手掌面に装着するように形成されており、シナリオに影響することはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明を手に装着した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るシステム構成図である。
【図4】リモコン装置のモジュールである。
【図5】リモコン装置の制御プログラムの流れ図である。
【図6】ロボットの制御プログラムの流れ図である。
【図7】ロボットの制御プログラム(緊急避難処理)の流れ図である。
【符号の説明】
【0023】
1 リモコン装置本体
2 操作ボタンa
3 操作ボタンb
4 本体装着フック
5 手掌面側
6 ロボット
7 ネットワーク
8 アンテナ部
9 無線モジュール
10 送信部
11 送信情報格納部
12 設定データ操作ボタン
13 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してリモコン装置から送信された制御信号を受信する手段と自立行動するための移動手段と使用者からの命令を入力するための入力手段と周囲の状況を検知するためのセンサと入力されたセンサの情報を記憶する手段と入力されたセンサ情報を比較演算処理する装置とを備えたロボットにおいて、
ロボットが次の動作(演技)を行うため、使用者からの命令或いは、リモコン装置から送信される制御信号の受信待ち状態において、所定時間内に使用者からの命令或いは、リモコン装置からの制御信号の有無を判定し、次の動作(演技)をさせるか否かの判断をすることを特徴とするロボットの制御方法。
【請求項2】
前記判断の結果、所定時間内に使用者からの命令或いは、リモコン装置からの制御信号が無かったと判定した場合、自立行動手段によって予め定められた行動をすることを特徴とするロボットの制御方法。
【請求項3】
前記リモコン装置は、それぞれ異なるID番号を有しており、複数体のロボットを複数のリモコン装置で制御することを特徴とするロボットのリモコン制御方法。
【請求項4】
前記リモコン装置は、外部から操作可能な操作ボタンを備え、前記送信手段は前記操作ボタンの押圧操作に対応し、前記ネットワークを介して、予め設定された制御信号を送信する手段を備え、前記ロボットを動作させる、請求項3記載のリモコン装置。
【請求項5】
前記リモコン装置は、その用途性から目立たない様に手掌面に装着するように形成されている、請求項3,4記載のリモコン装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−76086(P2010−76086A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272498(P2008−272498)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(594182834)株式会社イーガー (6)
【Fターム(参考)】