説明

オフラインティーチング方法

【課題】溶接システムにおけるオフラインティーチングを、操作の熟練を要することなく、高精度で、実施することができるオフラインティーチング方法を提供する。
【解決手段】
溶接線方向をY方向、被溶接材1の面に垂直の方向をZ方向、Y方向及びZ方向に垂直の方向をX方向とする3次元直交座標系を設定する。そして、前回のステップから現ステップを向く前段座標系として、Xの座標系Aを設定し、現ステップから次順のステップを向く後段座標系として、Xの座標系Bを設定する。よって、前回のステップから現ステップまでの溶接線セグメントはY方向となり、現ステップから次順のステップまでの溶接線セグメントはY方向となる。このワークを基準とする座標係で溶接線を規定し、オペレータがこのワーク座標上で、トーチ移動量を指定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ロボットを使用してワークを自動溶接する際に、溶接ロボットに作業の対象となる溶接線を記憶させるためのオフラインティーチング方法に関し、溶接ロボットを使用したティーチングを安全かつ正確にすることができるオフラインティーチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図23に示すように、溶接対象のワーク1は、ポジショナ2に設置されて、このポジショナ2により、その姿勢を調節される。このポジショナ2に設置されたワーク1の近傍には、溶接トーチをもつ溶接ロボット3が配置されており、この溶接ロボット3は、スライダ4上に設置されていて、スライダ4の移動により溶接ロボット3はワーク1の近傍でワークに並進移動できるようになっている。溶接ロボット3のリーチが足りない(溶接トーチが溶接箇所まで届かない)場合に、溶接ロボット3自体がワーク1に対して相対的に移動して、溶接トーチが溶接線に沿う移動を完結できるようになっている。
【0003】
スライダ4は、図23に示すように、直交するXYZ軸の3自由度の並進可能な軸を持つものと、図24に示すように、並進軸に加えてロボットを回転させる旋回軸を持つものがある。スライダ4は、溶接ロボット3自体を移動させる補助軸となる。
【0004】
一方、ポジショナ2は、ワークを搭載し、溶接時の溶接線の姿勢を溶接に適した角度にするものである。最も一般的なポジショナは、図25に示すように、回転軸が一つで両側からワークを支える両持ち1軸ポジショナである。
【0005】
また、図26に示すように、溶接線の姿勢を任意の角度にするため、回転軸が2軸ある2軸ポジショナ2aもある。更に、近時、ポジショナが高度化し、図27に示すように、回転軸が5軸の5軸ポジショナ2bもある。この場合、中心に垂直の第1軸2cがあり、一方に第2軸と第3軸から構成される第1のポジショナ2dと、他方に第4軸と第5軸から構成される第2のポジショナ2eとがあり、第1のポジショナ2dと第2のポジショナ2eとが1軸の周りに回転することができる。そして、一方のポジショナに対してワークをセットしているときに、反対側のポジショナにセットされているワークに対して、溶接ロボットが自動溶接するようになっている。そして、両方の作業が済んだときに、土台にある旋回軸(第1軸)が回転し、新たにセットしたワークを溶接ロボット側に位置させると同時に、溶接が終わったワークを搬出位置(ワークセット位置)側に移動させる。このとき、溶接終了後のワークを把持しているポジショナは、その2つの軸を駆動して、ワークを搬送装置に設置する。この5軸ポジショナにおいては、例えば、第2軸及び第3軸の第1のポジショナでロボットによる自動溶接を実施し、同時に第4軸及び第5軸の第2のポジショナで手溶接による修正溶接を行うことができる。また、図示しないが、ワークを搬送させる並進軸を持ったポジショナもある。このように、ポジショナは、ワークを動かすものと定義できる。
【0006】
溶接対象のワーク1は、例えば、建機部品であり、通常、この建機部品は、図28に示すように、複雑な形状をしたものである。そして、上板と側板との結合部又は下板と側板との結合部が溶接線となり、建機部品では、上板、下板及び側板が湾曲しているため、溶接線は平面視で屈曲すると共に、側面視でも屈曲する。そして、このワークをクランプ治具に固定してポジショナに搭載し、溶接ロボットで自動溶接する。
【0007】
溶接ロボットで自動溶接するときは、図29に示すように、被溶接材5,6間の開先が上を向き、溶接ロボットのトーチ7が下向き姿勢となるようにポジショナを回転させ、ワーク(被溶接材5,6)に対し、下向き溶接を実施する。
【0008】
また、溶接線に対して、水平隅肉溶接を実施する場合には、同様にポジショナを回転させ、ワークを図30に示す溶接姿勢になるように、ポジショナを回転させて、水平隅肉溶接を実施する。水平隅肉溶接の場合は、高電流で高速で行う場合には、ビードが垂れ流れ、ビード形状を整えるのが難しくなるために、ポジショナを回転させて可能であれば下向き溶接を実施する。
【0009】
そして、溶接対象ワークが図28に示すように曲げ板であれば、溶接ロボットにて下向き溶接を連続で行うためには、開先での溶接線の傾きを一定に保つ必要があり、変曲部の前後でロボットとポジショナが連動して動く必要がある。また、溶接線が長く、ロボットのリーチを超えた場合には、スライダも連動して動作する必要がある。
【0010】
さて、これらのロボットの動作を行うためには、ティーチングが必要である。実機におけるロボットのティーチングは、ロボットのコントローラに取り付けられたティーチングペンダントを使い、ロボットを誘導し、ロボットに作業線である溶接線を教えることで行う。ロボットに作業線を教えるときは、ロボットが通過する点にロボットを順番に誘導し、その位置でオペレータが位置記憶ボタンを押す。そして、その位置をコントローラのメモリが記憶し、プログラムが作成される。
【0011】
しかし、前述のように、建機部品は大型のものが多く、スライダ及びポジショナ等が付属される場合が多<、操作する軸が多<、操作の熟練が必要である。また、大きなワークの場合、ポジショナは大型化し、ワークがオペレータの頭より高い位置にくることは珍しくない。そして、ティーチングのために、オペレータがワークの高い位置に上がったり、下がったりする必要があるが、これは楽な作業ではない。また、高い位置から、オペレータが落下する危険性もある。
【0012】
このため、この実機におけるティーチング作業に代わって、パソコン上でティーチンクを行うオフラインティーチングが有効なものとして注目されている。図31に示すように、オフラインティーチングは、パソコン11の画面上に映し出された3Dモデルのロボットシステムとワークを使ってティーチングを行う。そして、オフラインティーチングで作成されたプログラムは、例えば、パソコン11とコントローラ12に接続されている通信ケーブルを介して、ロボット13に転送される。その後、ロボット13を使って、そのプログラムに従って実際のワークに対してアークを出さずにトーチを動かし、作成されたティーチングが正しいものか否かを確認する。
【0013】
オフラインティーチングは、ロボット及びポジショナを短時間で移動させることができるので、極めて効率が良い機能である。これは、例えば、実際の大型ワークのポジショナの回転速度は3rpmであり、実機にて1回転の誘導をするためには20秒間かかるが、オフラインの場合は、一瞬での回転が可能である。また、ロボットを溶接線に誘導する場合も、実機におけるティーチングにおいては、ワークに近づけば、干渉しないように、速度を落として正確に位置決めする必要があり、これには時間がかかるが、オフラインティーチングであれば、パソコン上でワークモデル表面をクリックするだけで、その位置にロボットが移動するために、極めて短時間で済むという利点がある。
【0014】
しかし、オフラインの場合、溶接に適切な溶接線の姿勢及び適切なトーチ角度を得ること、及び確認することが難しいという問題点があった。
【0015】
オフラインティーチングの場合は、ワークを任意の視点から見ることができるが、2次元のディスプレイを通して、それを見たときに、地面に対して、溶接線がどういう角度になっているかを感覚的には分かりにくいとういう問題点がある。つまり、図29のような単純なワークであれば、溶接姿勢が下向きとなっていることがわかるが、図28のような曲げ板が溶接線となる場合の溶接姿勢を下向きにするには、画面を通した目視では、事実上不可能であり、定量的な姿勢の指標が必要とされている。
【0016】
定量的な姿勢が必要な理由としては、図29のワークにおいて、下向き溶接を行う場合には、ただ単に溶接線の勾配を地面に対して平行にするだけでなく、ビードの形状をコントロールするために、前方に向けて下り方向に1〜3°、あえて勾配をつける必要がある。
【0017】
このため、本願出願人は、既に、特許文献1に記載の発明を提案した。即ち、この公報に記載された溶接ロボットのポジショナ設定方法は、溶接ロボットのポジショナに溶接対象のワークを設置し、ワークが溶接トーチに対して所望の配置になるようにポジショナの位置を決めるための溶接ロボットのポジショナの設定方法において、コンピュータにポジショナの機構情報と共にワークの3次元モデルを読み込む工程と、この3次元モデルの溶接対象部材の少なくとも一方の溶接面か線のいずれかを指示する工程と、指示した溶接面又は線情報から溶接部位の傾斜を定める基準線を演算により定める工程と、相互に直交する2方向について基準線が鉛直方向から傾斜する角度をα及びβとして、これらのα及びβの目標角度を設定する工程と、ポジショナの機構から許容される範囲でワークモデルを動かして、α及びβが目標角度の所定の範囲になる1又は複数の組み合わせのポジショナ位置を演算により求める工程と、を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−72673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、この従来技術においては、溶接の重要なパラメータである開先に対するトーチ角度の指定方法については、言及されていない。仮に、図28のようなワークにおいて、開先の姿勢が定量的に適切に設定されたとして、その開先に対して、適切なトーチ角度を設定できるようにしたものでない。また、ロボットの狙い位置は、マウスで画面をクリックして、その位置にロボットの先端のトーチを移動させるが、溶接線を正確にクリックするためには、画面を拡大し、適切なサイズにする必要があり、操作の熟練と手間がある程度必要である。この従来技術において、ロボットには円弧で補間する機能があるが、曲げ板の場合は、その曲率が刻々変化する場合があり、その曲率の変化に対応するため、曲率が変化したタイミングで点を追加するときには、曲線の途中に適切にポイントを追加する必要がある。また、周辺軸付きのシステムでは、追加した途中点に対して、ロボットシステム全体が滑らかに動作するよう、追加した前後の点のスライダ及びポジショナ位置を按分した適切な位置に設定する必要がある。そして、この作業にもある程度の熟練が必要である。
【0020】
また、溶接開始点及び終了点においては、図32に示すように、バックステップの点を追加する。例えば、図32に示すように、溶接開始点においては、S1位置でアーク発生を開始し、L1の距離(例えば,30mm)だけ、S2位置まで移動した後、反転し、L2の距離(同様に、例えば30mm)だけ戻り、その後、S3の位置から本溶接の区間S4に入る。一方、図33に示すように、コーナー部においては、溶接のアークで溶接線のコーナー部が溶け落ちてしまわないように、生産性を落とすことにはなるが、S11の位置でアークを弱くし、その後、L1の距離だけ進んだコーナー部のS12の位置で溶接線を屈曲させ、更に、L2の距離だけ進んだS13の位置で、溶接条件をもとに戻すことが必要である。これらの場合に、オフラインティーチングにおいて、S1、S2、S3、S11、S12、S13の各点を追加する必要がある。
【0021】
実際のロボットシステムでは、ロボットは6自由度以上を持ち、更に、スライダ及びポジショナを持っていることから、溶接線上のトーチの位置を変更する場合にも、極めて多くの操作をする必要があった。
【0022】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、溶接システムにおけるオフラインティーチングを、操作の熟練を要することなく、高精度で、実施することができるオフラインティーチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本願第1発明に係るオフラインティーチング方法は、
1つのセグメントからなる溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングするオフラインティーチング方法において、
コンピュータが現在のロボットのトーチのステップ位置と次順又は前回のステップの位置を取得する取得工程と、
溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXYZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系又は現在のステップから次順のステップを向く後段座標系の一つを、コンピュータが設定する座標系設定工程と、
その設定された座標系において、オペレータが移動量を入力する移動量入力工程と、
コンピュータが、前記後段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるか、又は前段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるトーチ移動工程と、
を有し、これにより、ロボットを誘導することを特徴とする。
【0024】
本願第2発明に係るオフラインティーチング方法は、
ステップにより、複数のセグメントに分割された溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングするオフラインティーチング方法において、
ロボットのトーチが一のセグメントから次順のセグメントに移行するために、コンピュータがロボットのトーチの現在のステップ位置と次順及び前回のステップの位置を取得する取得工程と、
溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXYZ座標系、溶接線セグメントが円弧の場合は円弧の半径方向をX方向、円弧の周方向をC方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXCZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系及び現在のステップから次順のステップを向く後段座標系を、コンピュータが設定する座標系設定工程と、
その設定された座標系において、オペレータが移動量を入力する移動量入力工程と、
コンピュータが、前記後段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるか、又は前段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるトーチ移動工程と、
を有し、これにより、ロボットを誘導することを特徴とする。
【0025】
本願第3発明に係るオフラインティーチング方法は、
ステップにより、複数のセグメントに分割された溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングするオフラインティーチング方法において、
ロボットのトーチが一のセグメントから次順のセグメントに移行するために、コンピュータがロボットのトーチの現在のステップ位置と次順及び前回のステップの位置を取得する取得工程と、
溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXYZ座標系、溶接線セグメントが円弧の場合は円弧の半径方向をX方向、円弧の周方向をC方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXCZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系及び現在のステップから次順のステップを向く後段座標系を、コンピュータが設定する座標系設定工程と、
その設定された座標系において、オペレータが移動量を入力する移動量入力工程と、
コンピュータが、オペレータの指示によって選択された座標によって、前記後段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるか、又は前段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるトーチ移動工程と、
を有し、これにより、ロボットを誘導することを特徴とする。
【0026】
この第3発明において、オペレータが入力した移動量がマイナスの場合は、コンピュータが自動的に前段座標系を選択し、前記移動量がプラスの場合には、コンピュータが自動的に前記後段座標系を選択するように構成することができる。
【0027】
これらの第1乃至第3発明のオフラインティーチング方法において、
前記取得工程の前に、周辺連動させたいスライダ及びポジショナの夫々軸を選択する工程を有し、
前記移動量入力工程においては、オペレータが周辺軸連動の有無も入力し、
前記周辺軸連動する場合に、前記スライダ及び/又は前記ポジショナを、次順のステップの位置に対して、前記トーチの移動量に比例した量だけ、移動させる周辺軸連動工程を有することが好ましい。
【0028】
この場合に、例えば、トーチを固定する場合は、前記座標系において、トーチ角度として前記ポジショナの回転量を差し引いた角度に設定して、ポジショナ設置面に対してトーチ角度を一定にし、トーチを固定しない場合は、前記座標系において、トーチ角度を変化させないように構成することができる。
【0029】
前記第3発明のオフラインティーチング方法は、
例えば、オペレータが前段座標系又は後段座標系においてトーチ角度を変更するトーチ角度変更工程を有する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、オペレータは、溶接線上の位置を指定するだけで、トーチ、スライダ及びポジショナが移動するため、オペレータの操作の数及び種類が少なくなり、操作が簡単になる。また、溶接線以外の位置に誤って移動してしまうことが回避されるため、正確な操作が可能となる。オペレータにとっては、ロボットシステムの構造をあまり意識しないで、オフラインティーチングすることができるため、本発明のオフラインティーチング装置は、ロボットに不慣れなオペレータにとって便利なツールとなる。トーチ角度の設定は、溶接位置のワークからの基準面と鉛直方向からなす角度で定量的に指定できるため、トーチ角度の設定を容易にかつ能率的に行うことができる。
【0031】
このように、本発明は、前段座標系又は後段座標系という溶接線上の位置を指定することにより、ティーチングすることができるため、溶接線の特徴に着目した誘導機能として、操作性が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態のオフラインティーチング方法を示すフローチャート図である。
【図2】(a)、(b)、(c)は座標系を示す図である。
【図3】図1の次の工程を示すフローチャート図である。
【図4】図3の次の工程を示すフローチャート図である。
【図5】本実施形態のブロック図である。
【図6】溶接線が直線の場合の前段座標係及び後段座標係を示す模式図である。
【図7】溶接線が円弧の場合の前段座標係及び後段座標係を示す模式図である。
【図8】溶接線が直線と円弧との混合の場合を示す模式図である。
【図9】直線補間を示す図である。
【図10】円弧補間を示す図である。
【図11】入力画面を示す模式図である。
【図12】ワークとポジショナとの関係を示すワーク座標の図である。
【図13】ポジショナと連動した場合の中間点Nを追加する方法を示す模式図である。
【図14】スライダと連動した場合の中間点Nを追加する方法を示す模式図である。
【図15】トーチ姿勢の設定方法を示す模式図である。
【図16】トーチ非固定の場合のポジショナの回転との関係を示す図である。
【図17】トーチ固定の場合のポジショナの回転との関係を示す図である。
【図18】トーチ角度αの指定方法を示す図である。
【図19】トーチ角度βの指定方法を示す図である。
【図20】トーチ角度の指定画面の例を示す図である。
【図21】溶接線モデルを示す図である。
【図22】溶接線モデルを示す図である。
【図23】溶接システムを示す斜視図である。
【図24】従来の旋回軸付きスライダを示す斜視図である。
【図25】両持ち1軸ポジショナを示す斜視図である。
【図26】2軸ポジショナを示す斜視図である。
【図27】5軸ポジショナを示す斜視図である。
【図28】建機部品の一例を示す斜視図である。
【図29】下向き溶接を示す図である。
【図30】水平すみ肉溶接を示す図である。
【図31】溶接ロボットとオフラインティーチングシステムを示す模式図である。
【図32】バックステップの方法を示す図である。
【図33】途中点の概念を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1、図3及び図4は、本発明の実施形態のオフラインティーチング方法を示すフローチャート図、図2は座標系を示す図、図5は同じくそのブロック図、図6乃至図7は前段座標系及び後段座標系を示す模式図、図9は直線補間の方法を示す図、図10は円弧補間の方法を示す図である。本実施形態のオフラインティーチング方法は、図31に示すパソコン上でティーチングプログラムを作成するものである。
【0034】
図5は、パソコンにおいて、ロボットプログラムを作成するための制御方法を示すブロック図である。先ず、本実施形態のオフラインティーチングシステムにおいては、図5に示すように、予め、溶接線モデル11、ロボットプログラム12、ワークモデルデータ13を、前段座標系及び後段座標系設定部14に読み込む。ロボットシステム機構データ18は、ロボット、スライダ、ポジショナの機構モデル、軸のストロークを含むロボットシステムモデルである。ロボットプログラム12は、ロボットシステム機構データ18のロボットシステムで作成した溶接線に対する作業データとなるステップ等を含む。なお、ワークモデル及びプログラムは、読み込まなくても、オフラインシステム上で新規に作成したものであっても良い。ロボットプログラム12が今回の作成過程で修正対象となるものであり、ロボットプログラム24は、今回の作成過程で、修正された後のロボットプログラムである。前回の作成過程で作成されたロボットプログラム24はロボットプログラム12として保存されている。
【0035】
前段座標系及び後段座標系設定部14は、ロボットプログラム12とワークデータ13に基づいて、ロボットの移動の基準となる後段座標系及び前段座標系を定義する。但し、鉄骨柱のように、セグメントが一つの場合もあり、その場合には、前段、後段の区別がなく、一つの座標系がセットされる。その座標系は、プログラムのステップの補間モードによって異なる。なお、補間モードとは、図9に示す直線補間の場合、ロボットトーチはステップ間を直線で移動するものであり、図10に示す円弧補間の場合は、ロボットトーチが円弧で移動するものである。
【0036】
図6のように、溶接線が直線の場合には、XYZ座標系を設定する。被溶接材1上に被溶接材2が設置され、前回のステップから現ステップまでの被溶接材2の側面2aと被溶接材1とが接する溶接線3aと、現ステップから次順のステップまでの被溶接材2の側面2bと被溶接材1とが接する溶接線3bとを、すみ肉溶接する場合を考える。自動溶接における溶接線は、溶接線3a及び溶接線3bを含むものであり、溶接線3aが溶接線の一セグメントであり、溶接線3bがこの溶接線3aに続くセグメントである。これらの溶接線セグメント3a、3bは直線である。
【0037】
このとき、溶接線方向をY方向、被溶接材1の面に垂直の方向をZ方向、Y方向及びZ方向に垂直の方向をX方向とする3次元直交座標系を設定する。そして、前回のステップから現ステップを向く前段座標系として、Xの座標系Aを設定し、現ステップから次順のステップを向く後段座標系として、Xの座標系Bを設定する。よって、前回のステップから現ステップまでの溶接線セグメントはY方向となり、現ステップから次順のステップまでの溶接線セグメントはY方向となる。座標系を決めるためには、Y方向以外にもう一つの軸の方向を定める必要があるが、この方向として、ワークモデルの面に垂直の方向、即ち、被溶接材1の面に垂直の方向(Z方向)を採用する。このようにして、前回のステップから現ステップまでの溶接線セグメントについては、Xの座標系Aで溶接線がティーチングされ、現ステップから次順のステップまでの溶接線セグメントについては、Xの座標系Bで溶接線がティーチングされる。なお、X、Z座標は、例えば、多層盛りの場合に、2パス目以上の狙い位置を設定するときに使用される。但し、セグメントが一つの場合もある。この場合は、直線しかあり得ないので、X が選択される(図2(b))。
【0038】
図7に示すように、溶接線が円弧の場合は、被溶接材の面に垂直の方向をZ方向、円弧の接線方向に対して垂直の方向(円弧の半径方向)をX方向、円弧の周方向をC方向とする座標系を設定する。この溶接線が円弧の場合も、前回のステップから現ステップを向くX座標系と、現ステップから次順のステップを向くX座標系とを設定する。
【0039】
また、図8に示すように、溶接線が、直線セグメントと、円弧セグメントとの連続である場合は、前回のステップから現ステップを向く直線セグメントのXの座標系Aと、現ステップから次順のステップを向く円弧セグメントのXの座標系Bとの組み合わせを設定する。前セグメントが円弧で、次セグメントが直線の場合も同様である。
【0040】
図5に示すように、オペレータは、ソフトウエア上のユーザーインターフェースである溶接線上移動量入力部19を介して、溶接線に沿うトーチの移動量をワーク座標上のトーチ移動位置計算部15に入力する。また、前段座標系及び後段座標系設定部14で得た座標系がトーチ移動位置計算部15に入力される。そして、トーチ移動位置計算部15から座標系と移動量が周辺軸位置計算部16に入力される。また、予めオペレータによって作成されたロボットシステム機構データ18の中から、オペレータがこれからティーチングを行うシステムに対応したロボットシステム機構データ18を選択すると、パソコンに設定されたソフトウエアにより、この選択されたロボットシステム機構データ18が周辺軸位置計算部16に読み込まれる。一方、オペレータは、周辺軸連動あり入力部20から周辺軸の連動がある場合にこれを周辺軸位置計算部16に入力する。更に、オペレータは、トーチの固定の有無をトーチ固定入力部21に入力し、トーチの回転量をトーチ角度回転量入力部22に入力する。これらのトーチ固定入力部21及びトーチ角度回転量入力部22から、トーチの固定の有無及びトーチ角度回転量がトーチ角度計算部17に入力される。そして、プログラム編集及び作成部23に対しては、ワーク座標上のトーチ移動位置計算部15からトーチ移動量が入力され、周辺軸位置計算部16から周辺軸移動量が入力され、トーチ角度計算部17からトーチ回転量が入力される。プログラム編集及び作成部23はトーチ移動量、周辺軸移動量及びトーチ角度回転量から、ロボットトーチ及び周辺機器を移動させるためのティーチング結果であるロボットプログラム24を作成する。
【0041】
次に、図1乃至図4を参照して、本実施形態のオフラインティーチング方法について説明する。このオフラインティーチング方法は、ステップにより複数のセグメントに分割された溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングする。このオフラインティーチング方法は、先ず、コンピュータが、一のセグメントから次順のセグメントに移行する際に、現在のロボットのトーチのステップ位置を得る(S1)。その後、周辺連動させたいスライダ及びポジショナの夫々最大第100軸の軸を選択する(S2)。次いで、コンピュータが現在のステップと次順及び/又は前回のステップの位置を取得する(取得工程S3)。
【0042】
そして、溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向、Y方向及びZ方向に垂直の方向をX方向とするXYZ座標系、溶接線セグメントが円弧の場合は円弧の半径方向をX方向、円弧の周方向をC方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXCZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系と、現在のステップから次順のステップを向く後段座標系とをコンピュータが設定する(座標系設定工程S4)。但し、セグメントが一つの場合もあるので、その場合は、現在のステップにXYZ座標系を設定する。その後、オペレータが前記後段座標系において移動量を入力する(移動量入力工程S5)。また、オペレータが周辺軸連動の有無及びトーチ固定の有無も入力する(移動量入力工程S5)。
【0043】
オペレータがトーチ位置を変更するときの座標系を選択した(S9B,S9C)後、ロボットを溶接方向に移動させたい場合、即ち、オペレータにより例えば前記移動量に正の値が入力された場合は、コンピュータが、前記移動量が正の場合に、オペレータにより選択された座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを溶接方向に移動させる。また、前記移動量が負の場合には、オペレータにより選択された座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを溶接方向とは逆方向に移動させる。周辺軸連動する場合に(S11)、スライダ及び/又はポジショナを、オペレータが既に設定した座標に対する前記トーチの移動量に比例した量だけ、移動させる(周辺軸連動工程S12)。但し、オペレータの座標系選択の入力の手間を少なくするため、入力値が−(負)の場合には座標系A、入力値が+(正)の場合には座標系Bをコンピュータが自動的に選択するようにしても良い(S9A)。なお、上記説明から明らかなように、ステップS9Aと、ステップS9B及びS9Cとは、オペレータの座標系の選択の有無の設定の相違により、いずれか一方が設定される。
【0044】
そして、トーチを固定しない場合(S14)は、オペレータによって指示された座標系において、トーチ角度として前記ポジショナの回転量を考慮した角度に設定し(トーチ角度設定工程S16)、トーチを固定する場合は、前記後段座標系において、トーチ角度は回転せずに、地面に対して同じ角度とする(トーチ角度設定工程S15)。
【0045】
また、必要に応じて、オペレータがトーチ角度を変更することを入力した場合は(S17)、オペレータによって指示された任意の座標系において、トーチ角度を変更する(S18)。
【0046】
そして、変更したトーチ位置、角度、周辺位置を追加するか、現在のステップをそれに変更するかどうかを設定し(S19)、追加が設定されていれば、オペレータの指示により、現ステップと前ステップ、又は、現ステップと後ステップとの間に、ステップを追加する(S20)。追加しない場合は、現在のステップを変更する(S21)。
【0047】
以上のように、オペレータは、前段座標系又は後段座標係において、必要な量を設定し、トーチの移動等を規定するから、コンピュータは、前記トーチの移動軌跡を、溶接ロボットを基準とするロボット座標系に変換演算し、この溶接ロボットを基準とするロボット座標系で、溶接ロボットの移動を認識する。
【0048】
次に、本実施形態のオフラインティーチング方法について、より具体的に説明する。例えば、図11に示すように、コンピュータの画面上で、例えば、画面に表示された座標をオペレータがマウスでクリックし、座標系をA又はBから選択した後、移動量を入力する。移動量としては、溶接方向移動量(Y)、溶接左右方向移動量(X)、溶接上下方向移動量(Z)を入力する。先ず、溶接方向については、現ステップの補間モードが直線の場合で移動量がマイナスの場合、図6の選択された座標上の移動距離分、トーチ位置を溶接方向とは逆方向に移動させる。また、移動量が逆にプラスの場合、選択された座標上を、その移動距離分、トーチ位置を溶接方向に移動させる。移動量を入力するのにわざわざ座標を定義したのは、ロボットがワークの表面を検出するワイヤタッチセンシング動作を作成するときに、溶接線から例えば、10mm離れた位置のワークの表面を正確に入力できるようにするためである。その具体的な操作は、溶接左右方向移動量(X)に10mmを入力する。但し、オペレータの座標系選択の入力の手間を少なくするため、移動量の入力値が−の場合には、座標系A、+の場合には、座標系Bを自動的に選択させても良い。
【0049】
また、現ステップの補間モードが円弧の場合は、図7の円周上を移動距離分移動する。そして、移動距離として、負の値が入力された場合には、トーチが手前に移動する。また、正の値が入力された場合には、トーチが溶接方向に移動する。
【0050】
移動位置は、ワーク座標上で計算される。即ち、図12に示すように、ワークが取り付けられているポジショナの回転位置によらず、ワークに設定した原点基準の距離で設定する。
【0051】
このワーク座標を使用した場合、図13に示すように、現在のステップnと次のステップn+1との間に、途中点Nを追加するときは、周辺軸連動が指定され、かつ、システムにポジショナがついている場合に、例えば、ポジショナの角度がステップnのときに−45°でステップn+1のときに45°の場合は、中間点Nでは、ポジショナの角度は0°となる。また、逆に、周辺軸連動が指定されていない場合は、ポジショナは現在のステップnの値を保持したままとなる。なお、ポジショナがないシステムでは、ワークの位置を固定したままで、中間点を得る。
【0052】
また、ロボットのトーチの位置は、トーチ移動位置計算部15により、ステップnからワーク座標上で距離L離れた位置に移動する。途中点Nのポジショナ位置は、ステップnとステップn+1とを滑らかに移動するために、両者の位置を按分した位置とする。即ち、途中点Nでのホジショナ角度は、下記数式1にて表される。
【0053】
【数1】

【0054】
ここで、Pmn+1、Pmnは夫々ステップn+1とステップnでのポジショナ角度である。これは、周辺軸位置計算部16で算出され、システムがm軸ある場合は、1軸目から、m軸目まで同じ処理を繰り返す。なお、周辺軸連動がない場合は、途中点Nでのホジショナ角度は、下記数式2にて表される。
【0055】
【数2】

【0056】
システムにスライダがついている場合も、同様の処理が行われる。即ち、図14に示すように、途中点Nでのスライダ位置は、周辺軸連動が選択されている場合は、下記数式3で表される。
【0057】
【数3】

【0058】
ここで、スライダにはm軸あり、第1軸目からm軸まで同じ処理を繰り返す。また、周辺軸連動がない場合は、下記数式4で表される。
【0059】
【数4】

【0060】
周辺軸の位置の決定方法は、一例であって、ステップnとステップn+1との間、速度が変化している場合は、その速度の中間点に作成しても良い。
【0061】
次に、トーチ姿勢の設定方法について説明する。トーチの姿勢は、ロボット座標の各軸XYZに対するトーチの回転角度αβγによって定義される(図15)。
【0062】
そして、途中点を追加したときのトーチ角度を、その時のポジショナの角度に対して、連動するかどうかを選択することができる。先ず、トーチ固定の設定において、トーチ固定を選択しなかった場合、トーチ7はポジショナの回転と一致して連動して回転する。つまり、トーチ姿勢はワーク座標上で固定となる(図16)。
【0063】
また、トーチ固定を選択した場合には、ポジショナが回転した場合に、ワーク座標系において、トーチ角度として前記ポジショナの回転量を差し引いた角度に設定する。これにより、ポジショナ設置面に対してトーチ角度が一定になる(図17)。即ち、この場合は、トーチ姿勢を地面に対して固定するものであり、これは、多少の開先の姿勢に変化があっても、トーチ7を地面の方向に向けたいときに利用する。
【0064】
以上の工程を得て、トーチの位置、トーチ姿勢、ポジショナ、スライダ位置が決められたので、プログラム編集及び作成部23により、ロボットの位置命令を変更する。ロボットの位置命令は、例えば、図23のシステムの場合、特定のステップ(X,Y,Z、α、β、γ、Sx、Sy、Sz、P1、P2)で、トーチの位置、トーチ姿勢、ポジショナ、スライダ位置を含むものであり、これを前回のステップに変更したり、特定のステップの前後のステップに追加することができる。
【0065】
そして、このステップの変更及び追加は、現在のステップNから移動したステップMに対しても実施し、これらを繰り返し行うことで、プログラムを完成する。すなわち、オペレータの指示で現在のステップがかわるときに、自動的に現在のステップ座標を設定する。また、ステップ座標の変更は、プログラムが読み込まれたときに、全てのステップを設定しても良い。
【0066】
なお、トーチ角度は、必要に応じて、オペレータが角度の数値を入れて、変更することができる。図18に示すように、角度αは、溶接線方向とは直交する面におけるトーチ角度で、基準面(ステップ座標軸)からの角度αで指定するか、鉛直方向からの角度α'で指定する。同様に、図19に示すように、角度βは、溶接線を含む面におけるトーチのなす角度で、ステップ座標軸からの角度βか又は鉛直方向からの角度β´で指定する。また、図示しないが、溶接材料の周りの回転角度があり、それをγとして入力する。図20はそのときの入力画面である。図示例は鉛直方向に対する相対値(鉛直相対値)にチェックが入れられていて、鉛直相対値α´、β´が入力されている。
【0067】
なお、溶接上、溶接線の傾斜を微調整するため、そのステップポジショナ角度を手動で修正する場合がある。この場合、図11のユーザーインターフェースにて、リモート同期を選択した場合には、トーチはポジショナの回転に同期して、移動する。そして、このときのトーチの姿勢は、トーチ角度固定が選択されているかどうかによって決定される。
【0068】
また、溶接線の傾斜角度を定量的に指示するためには、特許文献1の発明を利用して得られたポジショナの角度を、本発明に入力して、ステップデータを変更することも可能である。
【0069】
なお、本発明は、溶接線上の誘導のためのものであり、ロボット退避位置からの溶接開始位置への移動のためのエアカット軌跡については、トーチ先端の移動量をXYZで指示する従来の誘導方法に切り替えて行う。
【0070】
完成したプログラムは、オフラインティーチングシステムのシミュレーション機能によって動作の確認及びワークとの干渉チェックを行い、検査を行う。そして、検査の結果、問題がなければ、図31のLANケーブルを通してパソコン11からコントローラ12へプログラムを送信する。また、実機ロボット13では、作成されたプログラムを実際のワークで確認し、問題がなければ、実際にアークを出して溶接を確認する。
【0071】
なお、上記実施形態では、読み込まれたプログラムのステップを溶接線と見なしたロボットの誘導方法であったが、図28のように、ワークモデル上の溶接線に対しても、溶接線上の点をステップと見なし、同じ操作をすることが可能である。ワークモデルは、面を含むモデルであるが、溶接線モデルは、線分と溶接方向を持ったモデルである。
【0072】
上記実施形態は、アーク溶接でのロボットシステムであったが、作業線が線であるシーリングロボットにも適用できる。また、上記実施形態は、パソコン11を使用したオフラインティーチングに関するものであるが、ロボットコントローラ12内に同様の機能をもたせた装置によっても実施することができる。また、ワークモデルがない時は、座標A、Bにおいて、溶接線方向の座標軸を固定し、それ以外の座標軸の一つがXY平面に平行で、Zが鉛直方向を示す擬似的な座標A'、B'を用いて誘導を行うことがある。また、今回、溶接線として、直線、円弧を想定したが、ステップ間をスフライン曲線とした溶接線でも、その曲線方向をCとした円弧と同様の座標を定義して使用できる。
【符号の説明】
【0073】
1、2:被溶接材
2a、2b:側面
3a、3b:溶接線(セグメント)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのセグメントからなる溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングするオフラインティーチング方法において、
コンピュータが現在のロボットのトーチのステップ位置と次順又は前回のステップの位置を取得する取得工程と、
溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXYZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系又は現在のステップから次順のステップを向く後段座標系の一つを、コンピュータが設定する座標系設定工程と、
その設定された座標系において、オペレータが移動量を入力する移動量入力工程と、
コンピュータが、前記後段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるか、又は前段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるトーチ移動工程と、
を有し、これにより、ロボットを誘導することを特徴とするオフラインティーチング方法。
【請求項2】
ステップにより、複数のセグメントに分割された溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングするオフラインティーチング方法において、
ロボットのトーチが一のセグメントから次順のセグメントに移行するために、コンピュータがロボットのトーチの現在のステップ位置と次順及び前回のステップの位置を取得する取得工程と、
溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXYZ座標系、溶接線セグメントが円弧の場合は円弧の半径方向をX方向、円弧の周方向をC方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXCZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系及び現在のステップから次順のステップを向く後段座標系を、コンピュータが設定する座標系設定工程と、
その設定された座標系において、オペレータが移動量を入力する移動量入力工程と、
コンピュータが、前記後段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるか、又は前段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるトーチ移動工程と、
を有し、これにより、ロボットを誘導することを特徴とするオフラインティーチング方法。
【請求項3】
ステップにより、複数のセグメントに分割された溶接線を溶接ロボットにオフラインティーチングするオフラインティーチング方法において、
ロボットのトーチが一のセグメントから次順のセグメントに移行するために、コンピュータがロボットのトーチの現在のステップ位置と次順及び前回のステップの位置を取得する取得工程と、
溶接線セグメントが直線の場合は溶接線方向をY方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXYZ座標系、溶接線セグメントが円弧の場合は円弧の半径方向をX方向、円弧の周方向をC方向、溶接母材の面に垂直の方向をZ方向とするXCZ座標系を使用して、前回のステップから現在のステップを向く前段座標系及び現在のステップから次順のステップを向く後段座標系を、コンピュータが設定する座標系設定工程と、
その設定された座標系において、オペレータが移動量を入力する移動量入力工程と、
コンピュータが、オペレータの指示によって選択された座標によって、前記後段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるか、又は前段座標系の溶接線に沿って前記移動量だけ溶接ロボットのトーチを移動させるトーチ移動工程と、
を有し、これにより、ロボットを誘導することを特徴とするオフラインティーチング方法。
【請求項4】
オペレータが入力した移動量がマイナスの場合は、コンピュータが自動的に前段座標系を選択し、前記移動量がプラスの場合には、コンピュータが自動的に前記後段座標系を選択することを特徴とする請求項3に記載のオフラインティーチング方法。
【請求項5】
前記取得工程の前に、周辺連動させたいスライダ及びポジショナの夫々軸を選択する工程を有し、
前記移動量入力工程においては、オペレータが周辺軸連動の有無も入力し、
前記周辺軸連動する場合に、前記スライダ及び/又は前記ポジショナを、次順のステップの位置に対して、前記トーチの移動量に比例した量だけ、移動させる周辺軸連動工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のオフラインティーチング方法。
【請求項6】
トーチを固定する場合は、前記座標系において、トーチ角度として前記ポジショナの回転量を差し引いた角度に設定して、ポジショナ設置面に対してトーチ角度を一定にし、トーチを固定しない場合は、前記座標系において、トーチ角度を変化させないことを特徴とする請求項5に記載のオフラインティーチング方法。
【請求項7】
オペレータが前段座標系又は後段座標系においてトーチ角度を変更するトーチ角度変更工程を有することを特徴とする請求項3に記載のオフラインティーチング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−35308(P2012−35308A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179052(P2010−179052)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】