説明

カメラ付きインターフォンシステム

【課題】不対応とする訪問者の画像をブラックリストに登録しておき、該訪問者に対しては不対応として処理効率を向上させたカメラ付きインターフォンシステムを提供する。
【解決手段】画像取得手段で得た訪問者の画像データとブラックリストを含むデータベースに登録されている画像データとを照合して個人認証を行い、照合結果に基づき登録の有無を判定する登録判定手段(S3)と、登録判定手段で未登録の場合にのみ、画像取得手段で得た画像データを親機に送ると共に通話手段と親機との間のインターフォン通話を行う画像付インターフォン通話制御手段(S5)と、データベースのブラックリスト以外の領域に画像データが登録されている場合には外部セキュリティ機能機器にセキュリティ機能解除信号を送り、ブラックリストに画像データが登録されている場合には不対応とするセキュリティ制御手段(S8,S10)を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、セキュリティシステムのうちの1つであるカメラ付きインターフォンシステム、特に訪問者に関するブラックリストのデータを有効に利用したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティシステムである画像照合装置において、被照合者がキーボードから入力した暗証番号を内蔵の暗証番号と照合し、照合一致が得られると、指画像取込みモードにして、被照合者がプリズム上に指を当接すると、その画像がカメラによって撮像され、指画像と内蔵の指画像データとを照合し、照合一致が得られると、ドアの解錠操作を行ない、照合不一致が得られると、被照合者の画像取込みモードとし、被照合者の画像を監視窓を介してカメラで撮像して画像メモリに記憶し、指令等に従って監視センタのホストコンピュータに送る、というものがあった(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−93548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の装置では、例えば強引なセールスマンや不審者等が含まれる対応不要な訪問者である上記被照合者の画像は画像メモリに記憶され、指令等に従って監視センタに送られるだけなので、画像照合装置で該被照合者がその後再び認証処理を行う度に、同様の暗証番号及び指画像の照合等の認証処理が行われることになり、処理効率が悪いという問題があった。
【0005】
この発明は、セキュリティシステムのうちのインターフォンシステム、特に、子機側のカメラで撮った訪問者の画像をインターフォン通話の際に親機に送って親機側で確認できるカメラ付きインターフォンシステムにおいて、不対応とする訪問者の画像をブラックリストに登録しておき、該訪問者に対しては画像付インターフォン通話及びセキュリティ機能解除等を一切行わない不対応とすることで、処理効率を向上させたものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、画像データによる訪問者の個人認証を行う子機が親機と通信可能に接続されたカメラ付きインターフォンシステムであって、上記子機が、訪問者の画像データを取得するカメラを含む画像取得手段と、訪問者が親機とのインターフォン通話を行うインターフォン通話手段と、訪問者の画像データが予め登録されると共に応答を拒否し不対応とする訪問者の画像データが登録されたブラックリストを含むデータベースと、これらに接続された制御部と、を備え、上記制御部が、上記画像取得手段で得た訪問者の画像データと上記ブラックリストを含む上記データベースに登録されている画像データとを照合して個人認証を行い、照合結果に基づき登録の有無を判定する登録判定手段と、上記登録判定手段で未登録の場合にのみ、上記画像取得手段で得た画像データを上記親機に送ると共に上記通話手段と親機との間のインターフォン通話を行う画像付インターフォン通話制御手段と、を備えたことを特徴とするカメラ付きインターフォンシステムにある。
【発明の効果】
【0007】
この発明では、ブラックリストに登録された訪問者に対しては画像付インターフォン通話及びセキュリティ機能解除等を一切行わない不対応とすることで、処理効率の向上を図ったカメラ付きインターフォンシステムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明では、カメラ付きインターフォンシステムの子機に、個人認証のためのデータ照合結果が不照合で未登録あった訪問者のブラックリストを持たせ、ブラックリストに登録されているときは画像付インターフォン通話が行われない。
顔画像データがデータベースに未登録の場合、顔画像データ記録を行い、画像付インターフォン通話を行う。画像付インターフォン通話により、顔画像データが未登録の人と直接話ができ、その人の画像を見ることができる。
上記通話の結果、再度通話する必要がない場合に、顔画像データをブラックリストに登録することができる。
一方、データベースに顔画像データが登録されている場合で、ブラックリストに登録してある場合には、画像付インターフォン通話、解錠制御等、何の制御も行わない(不対応)。これにより通話する必要がない訪問者をブラックリストに登録しておけば、再度対応する必要がなくなる。これにより通信が従量制課金の場合、発信側で抑制するので、不要な通信をなくし、通信費を節約することができる。なお、親機及び子機は複数あってもよい。
【0009】
図1はこの発明によるカメラ付きインターフォンシステムの構成の一例を示す図である。インターフォンシステムの子機3は通信線1により親機2と通信可能に接続されている。子機3はこれが設置されている例えば機密エリアへ入退室するためのドア4のセキュリティ機能機器である電気錠4aの施解錠制御を行う。
【0010】
子機3は、訪問者が呼出操作等を行うための呼出釦等を含む入力手段34、訪問者の画像データである例えば顔画像を撮るためのカメラ36及びこのカメラ36で得た顔画像の画像処理を行い顔画像データを生成する画像処理部32、訪問者が子機3から通信線1を介して親機2との間でインターフォン通話を行うためのマイク37、スピーカ38及びこれらのための音声コーデック部33、予め承認(例えば子機3が設置されている機密エリア内への入室許可の承認)された各訪問者の顔画像データ301及び不対応とする訪問者の顔画像データを格納する顔画像データのブラックリスト303が登録されているデータベースDB、及びこれらから得られる信号や情報に従って各種制御を行うコンピュータからなる制御部31、を備える。
【0011】
カメラ36,画像処理部32が画像取得手段を構成し、音声コーデック部33,マイク37,スピーカ38がインターフォン通話手段を構成する。
【0012】
なお親機2は、子機3に対しての指令等を操作者が入力するための例えば複数の入力キー等からなる入力手段24、通信線1を介して子機3を操作する訪問者との間でインターフォン通話を行うためのマイク27、スピーカ28及びこれらのための音声コーデック部23、子機3から送られてくる訪問者の顔画像データをモニタするためのモニタ26と顔画像データからモニタ画像を生成してモニタに表示するモニタ制御部22、及びこれらから得られる信号や情報に従って各種制御を行うコンピュータからなる制御部21、を備える。
【0013】
図2には図1のカメラ付きインターフォンシステムの動作の一例を示す概略的なフローチャートを示し、以下動作を説明する。このフローチャートは制御部31の動作を基に示されている。訪問者の操作により呼出釦等を含む入力手段34から呼出要求があると(ステップS1)、カメラ36で該訪問者の例えば顔を撮像し画像処理部32で顔画像データを得る(ステップS2)。取得された顔画像データはデータベースDB内のブラックリスト303も含む顔画像データと照合されて個人認証が行われ、照合結果に基づき登録の有無が判定される(ステップS3)。
【0014】
登録が無い場合には、該顔画像データを制御部31内のメモリ31aに一時的に記録する(ステップS4)。そして該顔画像データを親機2に送ると共に、マイク37,スピーカ38,音声コーデック部33からなる子機側の通話手段と、マイク27,スピーカ28,音声コーデック部23からなる親機側の通話手段との間でインターフォン通話を行う画像付インターフォン通話を可能にその制御を行う(ステップS5)。
【0015】
親機2側では、操作者はモニタ26で顔画像データを見ながら、上記親機側の通話手段で訪問者と通話を行うことができる。そして通話の結果、操作者が入力キー等からなる入力手段24を操作して、該訪問者の顔画像データをブラックリスト303に登録するか否かが入力される。また本実施の形態のように、ドア4の電気錠4aの施解錠制御と組み合わされている場合には、該訪問者に対してドア4の電気錠4aの解錠を認め機密エリア内への入室を許可するか否か、が入力される。
【0016】
子機側の制御部31は上記入力に従い、ブラックリスト登録指令、遠隔解錠指令を受ける。そしてブラックリスト登録指令を受けた場合には(ステップS6)、メモリ31aに記録されている顔画像データをデータベースDBのブラックリスト303に登録する(ステップS7)。一方、ブラックリスト登録をせず、例えば上記遠隔解錠指令を受けた場合には(ステップS9)、外部セキュリティ機能機器であるドア4の電気錠4aにセキュリティ機能解除信号である解錠信号を送り、解錠制御を行う(ステップS10)。
【0017】
ステップS3に戻り、取得された顔画像データが照合の結果、データベースDB内に登録されており(ステップS3)、さらにブラックリスト303内に登録済みの場合には(ステップS8)、該訪問者に対しては不対応とする。これにより該訪問者に対しては、上述の画像付インターフォン通話及びセキュリティ機能解除等の対応が一切行われないことになる。また、取得された顔画像データがデータベースDB内の通常の領域(301)に登録されており、ブラックリスト303には未登録の場合には、外部セキュリティ機能機器であるドア4の電気錠4aにセキュリティ機能解除信号である解錠信号を送り、解錠制御を行う(ステップS10)。
【0018】
なお、ステップS3が登録判定手段、ステップS5が画像付インターフォン通話制御手段、ステップS6〜S7がブラックリスト登録手段、ステップS8,S10がセキュリティ制御手段をそれぞれ構成する。
【0019】
なお上記説明では、本カメラ付きインターフォンシステムがドアの電気錠と組み合わされているが、この発明はこれに限定されず、種々の外部セキュリティ機能機器と組合せ可能であり、さらに、必ずしも外部セキュリティ機能機器と組み合わされる必要はない。
【0020】
また、訪問者の画像は顔画像に限定されず、カメラで撮像された指紋画像等を使用してもよい。
【0021】
さらに上記説明では、1つの子機3と1つの親機2が通信線1により接続されている構成であったが、例えば図3に示すように、複数の子機3と複数の親機2が通信網10により接続されている構成であってもよく、すなわち、親機2及び子機3の少なくとも一方が複数設けられ通信網10で接続されている構成としてもよい。この場合には、例えば各親機2及び子機3にIP(Internet Protocol)アドレスを割り当て、IPベースで通信を行うIPインターフォン等で実施することができる。
【0022】
図4には親機2が複数の場合のこの発明によるカメラ付きインターフォンシステムの構成の一例を示す図、図5には図4に示すカメラ付インターフォンシステムの動作の一例を示す概略的なフローチャートを示す。図4及び図5において、図1及び図2と同一もしくは相当部分は同一符号で示し説明は省略する。図4において、各親機2はそれぞれ同じ構造を有し、1つの子機3について説明すると、子機3のデータベースDBには、親機IPアドレスデータ304が格納され、親機名称とIPアドレスが登録されている。親機2が複数の場合、親機2にIPアドレスを割り付け、IPベースで通信を行う。
【0023】
次に動作を説明する。図5において、ステップS4までは図2と同じである。ステップS4で顔画像データを記録した後、登録された親機2が1台のみの場合は制御部31により自動的に当該親機2に接続される(ステップS41)。また、登録された親機2が複数の場合は、入力手段34からの入力に従って親機2を選択する(ステップS42)。親機2の選択は名称を選択してもIPアドレスを直接選択してもよい。そして入力手段34から入力信号に基づき制御部31がデータベースDBの親機IPアドレスデータ304からIPアドレスを呼び出し、当該親機2に接続する。ステップS5以降は図2と同じであり説明を省略する。
【0024】
また、子機3も複数の場合には、同様に子機3にも子機名称とIPアドレスを割り付け、親機2、子機3それぞれに子機IPアドレスデータ、親機IPアドレスデータを持たせて、通信信号に送信側と受信側のIPアドレスを付すことで、IPベースで通信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明によるカメラ付きインターフォンシステムの構成の一例を示す図である。
【図2】この発明によるカメラ付きインターフォンシステムの動作の一例を示す概略的なフローチャートである。
【図3】親機及び子機が複数の場合のこの発明によるカメラ付きインターフォンシステムの構成の別の例を示す図である。
【図4】親機が複数の場合のこの発明によるカメラ付きインターフォンシステムの構成の一例を示す図である。
【図5】親機が複数の場合のこの発明によるカメラ付きインターフォンシステムの動作の一例を示す概略的なフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1 通信線、2 親機、3 子機、4 ドア、4a 電気錠、10 通信網、21,31 制御部、22 モニタ制御部、23,33 音声コーデック部、24,34 入力手段、26 モニタ、27,37 マイク、28,38 スピーカ、31a メモリ、32 画像処理部、36 カメラ、301 顔画像データ、303 ブラックリスト、304 親機IPアドレスデータ、DB データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データによる訪問者の個人認証を行う子機が親機と通信可能に接続されたカメラ付きインターフォンシステムであって、
上記子機が、
訪問者の画像データを取得するカメラを含む画像取得手段と、
訪問者が親機とのインターフォン通話を行うインターフォン通話手段と、
訪問者の画像データが予め登録されると共に応答を拒否し不対応とする訪問者の画像データが登録されたブラックリストを含むデータベースと、
これらに接続された制御部と、
を備え、上記制御部が、
上記画像取得手段で得た訪問者の画像データと上記ブラックリストを含む上記データベースに登録されている画像データとを照合して個人認証を行い、照合結果に基づき登録の有無を判定する登録判定手段と、
上記登録判定手段で未登録の場合にのみ、上記画像取得手段で得た画像データを上記親機に送ると共に上記通話手段と親機との間のインターフォン通話を行う画像付インターフォン通話制御手段と、
を備えたことを特徴とするカメラ付きインターフォンシステム。
【請求項2】
上記制御部が、上記登録判定手段において、上記データベースのブラックリスト以外の領域に画像データが登録されている場合には外部セキュリティ機能機器にセキュリティ機能解除信号を送り、上記ブラックリストに画像データが登録されている場合には不対応とするセキュリティ制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ付きインターフォンシステム。
【請求項3】
上記制御部が、上記画像付インターフォン通話制御手段による画像付インターフォン通話後の上記親機からのブラックリスト登録指令に従って、該訪問者の画像データを上記データベースのブラックリストに登録するブラックリスト登録手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ付きインターフォンシステム。
【請求項4】
上記親機及び子機の少なくとも一方が複数設けられ、通信網で接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカメラ付きインターフォンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−295120(P2007−295120A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118403(P2006−118403)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】