カーナビゲーションシステム及びプログラム
【課題】 カーナビゲーションシステムに係り、運転者を判定し、誘導した到着地と到着時刻などの情報と当該運転者の情報を対応付ける運転者別運転履歴を収集する。運転者を単位とした運転履歴の分析を支援し、運転者の嗜好や行動パターンに適したリコメンドなどの運転者別のサービスに役立てることを課題とする。
【解決手段】 運転誘導部21は、運転の誘導処理を行い、目的地設定時刻と到着時刻と到着地特定情報を対応付ける運転履歴を蓄える。運転者判定部22は、車両制御系から車両制御情報(例えば、速度)を取得し、運転者別の特徴に適合するか判定し、適合した特徴による運転者特定情報と判定時刻を対応付ける運転者判定を蓄える。運転者別運転履歴抽出部23は、判定時刻が目的地設定時刻と到着時刻の間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と到着地特定情報と到着日時を対応付けて、運転者別運転履歴とする。
【解決手段】 運転誘導部21は、運転の誘導処理を行い、目的地設定時刻と到着時刻と到着地特定情報を対応付ける運転履歴を蓄える。運転者判定部22は、車両制御系から車両制御情報(例えば、速度)を取得し、運転者別の特徴に適合するか判定し、適合した特徴による運転者特定情報と判定時刻を対応付ける運転者判定を蓄える。運転者別運転履歴抽出部23は、判定時刻が目的地設定時刻と到着時刻の間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と到着地特定情報と到着日時を対応付けて、運転者別運転履歴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムに係り、運転者別の運転履歴を収集し、運転履歴分析装置に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−247834号「運転者走行支援情報提供システム」には、運転者が必要とする走行支援情報を、インターネットを介してカーナビゲーションシステムに提供する技術が開示されている。
【0003】
このように、カーナビゲーションシステムとサーバをインターネットを介して接続させ、サーバで車両側からの情報を収集し、車両側への情報を提供するシステムが発案されている。
【0004】
このようなシステムでは、車両単位をユーザの単位と介してサービスを行なっている。しかし、現実には車両を複数の運転者で共用することが多く、運転者を単位とするサービスが望まれている。また、サーバ側で運転者の別を判定することは困難である。
【特許文献1】特開2003−247834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決することを主な目的とし、カーナビゲーションシステムで運転者を判定し、当該運転者を誘導した到着地の情報と当該運転者の情報を対応付ける運転者別運転履歴を収集することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカーナビゲーションシステムは、車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムであって、以下の要素を有することを特徴とする
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導部
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定部
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出部
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信部。
【0007】
更に、運転者判定部は、特徴学習段階において、車両制御系から車両制御情報を取得し、運転者別の車両制御情報に係る特徴を抽出し、学習結果として運転者別の特徴情報を記憶し、特徴判定段階で取得した車両制御情報が、前記運転者別の特徴情報に適合するか判定することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムとなるコンピュータに、以下の手順を実行させることを特徴とする
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導処理手順
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定処理手順
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出処理手順
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信処理手順。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カーナビゲーションシステムで運転者を判定し、当該運転者を誘導した到着地の情報と当該運転者の情報を対応付ける運転者別運転履歴を収集し、これを運転履歴分析装置に送信するので、運転者を単位とした分析が可能となり、運転者の嗜好や行動パターンに適したリコメンドなどの運転者別のサービスの提供が期待できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、運転履歴利用システムの構成を示す図である。カーナビゲーションシステム1は、自動車に搭載された車載装置である。このカーナビゲーションシステム1は、必要に応じて運転履歴分析装置3と接続可能な通信インターフェースを有している。カーナビゲーションシステム1と中継局2の間は、無線通信により、中継局2と運転履歴分析装置3の間は、インターネットを介して通信する。
【0011】
カーナビゲーションシステム1は、運転履歴分析装置3へ運転者別の運転履歴情報を送信し、運転履歴分析装置3は、複数のカーナビゲーションシステム1から収集した運転履歴情報を分析した、各運転者の運転行動に基づいた提案等を行なうように構成されている。本発明では、そのうちカーナビゲーションシステム1の構成に特徴がある。
【0012】
図2は、カーナビゲーションシステムの構成を示す図である。カーナビゲーションシステム1は、運転誘導部21、運転者判定部22、運転者別運転履歴抽出部23、運転者別運転履歴記憶部24、及び運転者別運転履歴送信部25の各要素を有している。運転誘導部21は、通常の運転誘導を行なうとともに、運転履歴を蓄積するように構成されている。運転者判定部22は、車両の制御系から車両制御情報(例えば、車両の移動速度、ABS駆動回数、ふらつき、路面μ、走行距離)を取得し、その車両取得情報に基づいて運転者を判定するように構成されている。運転者別運転履歴抽出部23は、運転誘導部21で蓄積した運転履歴と運転者判定部22で判定した運転者特定情報に基づいて、運転者別の運転履歴を抽出するように構成されている。運転者別の運転履歴は、一旦運転者別運転履歴記憶部24に蓄積される。運転者別運転履歴送信部25は、上述の通信媒体を介して運転履歴分析装置3に運転者別の運転履歴送信するように構成されている。
【0013】
まず、カーナビゲーションシステム1の構成要素のうち、運転誘導部21について詳述
する。図3は、運転誘導部の構成を示す図である。運転誘導部21は、目的地設定部31、目的位置記憶部32、誘導データ生成部33、現在位置取得部34、地図データベース35、誘導画面出力部36、誘導音声出力部37、運転履歴登録部38、及び運転履歴記憶部39の各要素を有している。本発明では、特に運転履歴登録部38と運転履歴記憶部39を有している。
【0014】
運転誘導部21による処理について説明する。図4は、運転誘導処理フローを示す図である。目的地設定部31による目的地設定処理(S401)を行なう。この処理では、カーナビゲーションシステム1のディスプレイに、目的地入力画面を出力して、目的地の特定を促す。運転者は、これに応じて目的地を特定する操作を行なう。この例では、目的地の住所を入力する。文字列として住所を入力してもよいし、地図上でのポインティング操作をタッチセンサにより検知してその位置から目的地を特定してもよい。そして、目的地の住所から目的位置(緯度経度)を求める。住所を緯度経度に変換する際には、例えば、住所と緯度経度を対応付けた住所データベースを用いる。また、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得し、目的地設定日時とする。そして、目的位置記憶部32に目的位置と目的地設定日時を対応付けて記憶させる。この処理により、運転誘導の準備が整う。
【0015】
次に、誘導データ生成部33による誘導データ生成処理(図4のS402)を行なう。この処理では、運転操作中に誘導データを生成し、ディスプレイ及び音声出力装置より誘導情報を出力する。
【0016】
図5は、誘導データ生成処理フローを示す図である。誘導データ生成部33は、まず目的位置記憶部32から目的位置を読み取る(S501)。また、現在位置取得部34より現在位置を取得する(S502)。現在位置取得部34は、例えばGPS(Global
Positioning System)を用いて現在位置(緯度経度)を算出するものである。そして、目的位置と現在位置の2点間の距離を算出し、その距離を所定基準(目的地に到着したとする距離基準、例えば5m)と比較する。2点間の距離が所定基準より大きい場合には、誘導を継続するために以下の処理(S504〜S511)を行なう。誘導の為に、まず目的位置と現在位置に基づいて、経路を設定する(S504)。例えば、目的位置と現在位置の2点間をつなぐ経路候補を地図データベース35から複数取得し、そのうち経路の総距離が最短のものを選択する。次に、地図データベース35から現在位置を含む地図を取得し(S505)、地図上の現在位置に移動向きを示すマークを配置し、マークを配置した地図画面を誘導画面出力部36より出力させる(S506)。移動向きは、現在位置の変化から求めることができる。そして、経路の所定範囲(現在位置から前方の所定距離までの間)内に、分岐点があるかを判定する(S507)。分岐点が無い場合には、誘導データを生成することなく、S501の処理に戻る。分岐点が有る場合には、分岐点での進行を指示しなければならないので、経路に従って、分岐点における進行向き(例えば、右折、直進、左折など)を判定する(S508)。そして、地図上の分岐点に、進行向きを示すマークを配置し(S509)、マークを配置した地図データを誘導画面データとして、誘導画面出力部36より誘導画面を出力させる(S510)。これにより、誘導画面がディスプレイに表示される。次に、分岐点における進行向きを誘導音声データとして、誘導音声出力部37より出力する(S511)。これにより、音声出力装置より、誘導音声が出音される。そして、S501に戻る。上述のループ処理を繰り返し、S503で目的位置と現在位置の2点間の距離が、所定基準以下となった時点で、到着と判定して終了する。
【0017】
次に、運転履歴登録部38による運転履歴登録処理(図4のS403)を行なう。この処理では、当該誘導に係る運転履歴を登録する。
【0018】
図6は、運転履歴登録処理フローを示す図である。運転履歴登録部38は、まず目的位置記憶部32から目的地設定日時を読み取る(S601)。また、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得して、到着日時とする(S602)。更に、誘導データ生成部33から到着地特定情報を取得する(S603)。到着地特定情報は、到着地を特定できる情報であれば足りる。到着時点で、現在位置取得部34で算出した現在位置(緯度経度)を取得して到着地特定情報としてもよいし、目的位置記憶部32で記憶している目的位置(緯度経度)を到着地特定情報としてもよい。また、目的地設定部31で入力した目的地住所を到着地特定情報としてもよい。運転履歴登録部38は、これらの目的地設定日時と到着日時と到着地特定情報を対応付けて、運転履歴として運転履歴記憶部39に記憶させる(S604)。
【0019】
図7は、運転履歴記憶部の例を示す図である。運転誘導により目的地に到着する都度、運転履歴レコードを設け、目的地設定日時701と、到着日時702と、到着地特定情報703との項目を対応付けて記憶するように構成されている。この例では、カーナビゲーションシステム1の運転誘導により、1月1日にはA神社に行き、1月2日にはBスキー場に行き、1月3日にはC空港に行ったことがわかる。
【0020】
上述のように、運転誘導部21により運転中に誘導する一方、図2の運転者判定部22では運転中の運転者の別を判定する。運転者判定部22による運転者の判定は、初期処理として運転者の特徴を学習する必要があり(特徴学習段階という。)、運転者の特徴の学習が完了した状態で、初めて運転中の運転者を判定できるようになる(特徴判定段階という。)。
【0021】
まず、運転者判定部22による運転者の特徴の学習について説明する。図8は、運転者判定部のうち特徴学習に係る構成部分を示す図である。運転者判定部22は、特徴学習のために、運転者リスト記憶部81、運転者入力部82、車両制御情報取得部83、車両制御情報記憶部84、判定領域抽出部85、判定領域記憶部86、運転者別特徴抽出部87、及び運転者別特徴記憶部88を有している。
【0022】
運転者の特徴学習は、車両制御系から取得した車両制御情報(この例では、速度)から、運転者の特徴を示す判定領域を抽出し、その判定領域のデータを予め特定されている運転者のものとして蓄積する前段処理と、運転者別に蓄積された運転制御情報の判定領域のデータ群から運転者別の特徴を抽出する後段処理とからなる。運転者リスト記憶部81、運転者入力部82、車両制御情報取得部83、車両制御情報記憶部84、判定領域抽出部85、及び判定領域記憶部86が、前段処理に用いられ、運転者別特徴抽出部87及び運転者別特徴記憶部88が後段処理に用いられる。
【0023】
まず、判定領域のデータを収集するまでの前段処理について説明する。図9は、運転者判定処理のうち特徴学習の前段処理フローを示す図である。自らの運転の特徴を学習させようとする運転者は、運転前に運転者入力部82に促され、運転者自身を特定する情報を入力する操作を行なう。その為、運転者入力部82による運転者入力処理(S901)を行なう。この処理では、運転者リスト記憶部81から運転者名と運転者IDを対応付けたリストを取得し、リストに含まれる運転者名を列挙して選択を促す運転者選択画面を生成し、ディスプレイに表示させる。運転者リスト記憶部81には、当該車両を運転する可能性がある運転者候補群について、予めその氏名とIDを対応付けて記憶してある。自家用車であれば、家族のうち運転することがある者を予め登録しておく。業務用の車両であれば、当該車両を運転し得る従業員(運転手)を予め登録しておく。運転者が、運転者選択画面中から自身の指名を選択する操作を行なうと、その運転者名に対応する運転者IDが、以降の運転に係る運転者を特定する情報となる。
【0024】
次に、車両制御情報取得部83による車両制御情報取得処理を起動する(S902)。当該処理は、停止の指示を受けるまでループ処理を繰り返す独立したタスクである。車両制御系から現在の車両制御情報(例えば、速度などの計測値)を取得し、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得して、計測日時とする。そして、車両制御情報と計測日時を対応付けて車両制御情報記憶部84に記憶させる。この処理を繰り返すことにより、連続した車両制御情報を収集する。計測の間隔を広げる場合には、ループの最初に戻る前に所定間隔の待機処理を行なう。このようにして、収集された車両制御情報は、例えば図10に示すように時間的に連続するデータとなる。計測日時は、車両制御系から車両制御情報とともに取得するようにしてもよい。
【0025】
次に、判定領域抽出部85による判定領域抽出処理を起動する(S903)。当該処理も、停止の指示を受けるまでループ処理を繰り返す独立したタスクである。上述の車両制御情報取得処理により逐次蓄積される車両制御情報から、運転者の操作上の特徴を示す部分として適した判定領域を抽出する。この例では、所定速度V(例えば、時速60Km)の状態から停車するまでの速度の変化を判定領域として用いる。ある程度自由に速度を出せる状態から前方の停止位置(例えば、信号待ち車列の最後尾)を認識して、その位置に停車させる場合の挙動を特徴として用いることを想定している。但し、所定速度Vの状態から停車するまでに所定時間Tmax(判定領域最大時間)以上かかった場合を除いている。所定時間以上かかる場合は、渋滞時のように走行中の前方車両の速度に合わせて制動していると想定されるので、運転者の特徴が現れ難いからである。
【0026】
具体的な処理例を示す。図11は、判定領域抽出処理フローを示す図である。図10に示す車両制御情報の例を用いて説明する。順次、計測日時tに対応する速度vを読み込む(S1101)。計測日時は、単位時間間隔(例えば、0.1秒)で設定されるので、その間を隔てて計測された速度vを順に読み込むことになる。速度vが0の場合には(S1102)、以下の処理を行なう。この判定は、図10のT2の点(停車した時点)を特定する処理である。その為、速度vが0でない場合には、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。当該計測日時tから順次単位時間遡る毎の計測日時t´に対応する速度v´を読み込む(S1103)。図10の例では、T2からT1の方へ遡って、順に速度v´を読み込むことになる。速度v´=0の場合には(S1104)、停車中(速度0が継続している状態)であるので、判定領域には適さない。従って、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。次に、速度v´が所定速度V(制動開始速度)以上であるかを判定する(S1105)。所定速度Vより小さい場合には、判定領域中(図10のT1とT2の中間)であるので遡って速度v´を読み込む処理(S1103)に移行する。所定速度V以上である場合には、その点が判定領域の始点(図10のT1)となる。速度vの計測日時tと、速度v´の計測日時t´の間の差分時間δtを求め(S1106)、この差分時間δtが所定時間Tmax(判定領域最大時間)以下であるかを判定する(S1107)。所定時間Tmaxを越えている場合には、判定領域には適さないので、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。所定時間Tmax以下の場合には、判定領域に適するので、基準の計測日時tと遡った計測日時t´の間の速度をそれぞれの計測日時と対応付けて、判定領域データとして判定領域記憶部86に記憶させる(S1108)。このとき、予め運転者入力部82で特定している運転者IDと対応付けて、判定領域データを記憶させる。このように判定領域を抽出すると、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。そして、このループ処理を、停止の指示があるまで繰り返す。
【0027】
上述のように車両制御情報取得処理と判定領域抽出処理を起動し終えると、終了指示を受け付けるまで待機する(図9のS904)。カーナビゲーションシステム1のユーザインターフェースを介して運転者から終了の指示を受け付けた場合の他、車両制御系からエンジン停止の通知を受けた場合にも、終了指示を受け付けたものとして動作する。終了指
示を受け付けると、車両制御情報取得処理の停止(S905)と、判定領域抽出処理の停止(S906)を指示する。停止の指示によりこれらのタスクは終了する。
【0028】
続いて、運転者の特徴学習のうち後段の処理、つまり運転者別に蓄積された運転制御情報の判定領域のデータ群から運転者別の特徴を抽出する運転者別特徴抽出処理について説明する。この処理は、図8の運転者別特徴抽出部87により行なわれる。
【0029】
図12は、運転者別特徴抽出処理フローを示す図である。上述のように判定領域のデータは、所定時間間隔で測定した測定値であって、時間の経過に従って変化する値である時系列データといえる。以下の処理では、これをサンプルとする。特異値分解処理(S1201)では、複数の運転者による判定領域データ群を母集団として特異値分解を行なう。これにより、特異値とスコアを得る。そして、主成分データ抽出処理(S1202)で、特異値に基づいて圧縮する次元を決定し、その次元にスコアを圧縮し、主成分データを得る。
【0030】
図13は、主成分データ分布の例を示す図である。運転者毎にサンプルを区別して、2次元に圧縮した主成分データの分布を示すものである。「×」は、運転者ID=D001のサンプルの主成分データを示し、「△」は、運転者ID=D002のサンプルの主成分データを示している。このように、運転者の運転操作の特性に起因して主成分データに偏りが現れる。
【0031】
運転者別特徴算出処理(S1203)では、運転者毎に固有の主成分データ分布領域の境界を算出する。例えば、運転者別に、当該運転者のサンプルに係る主成分データ群の重心を算出し、その重心を中心とする円を設定し、当該円内に同主成分データ群が所定割合以上含まれるような半径を選択することにより、境界となる円を決定する。そしてこの境界円の内側を、当該運転者の分布領域とする。図13で、1301は、運転者ID=D001のサンプルの主成分データに関する分布領域の境界円を示している。1302は、運転者ID=D002のサンプルの主成分データに関する分布領域の境界円を示している。ここで示した境界円(中心と半径)は、主成分データ分布領域の境界を特定する特徴情報の例である。
【0032】
上述のように、初期処理として運転者毎の特徴の学習が行なわれると、以後は自動的に運転中の運転者をその特徴により判定できるようになる。次に、運転者判定部22による運転者の特徴判定について説明する。
【0033】
図14は、運転者判定部のうち特徴判定に係る構成部分を示す図である。運転者別特徴判定部141と運転者判定記憶部142が、新たに加えられている。
【0034】
図15は、運転者判定処理のうち特徴判定処理フローを示す図である。最初に、前述の車両制御情報取得処理と判定領域抽出処理を起動する(S1501,S1502)。そし
て、終了指示がない限り(S1503)、判定領域抽出処理で判定領域を抽出するまで待機する(S1504)。そして、判定領域を抽出すると、当該運転者を特定するための運転者別特徴判定処理(S1505)を行なう。
【0035】
運転者別特徴判定処理(S1505)について説明する。判定領域記憶部86に記憶している複数の運転者による判定領域データ群に、判定領域抽出処理で抽出した判定領域データ(判定対象のサンプル)を加えた母集団に対して特異値分解を行なう。これにより、特異値とスコアを得る。そして、主成分データ抽出処理(S1202)のときと同じ次元にスコアを圧縮し、主成分データを得る。そして、当該判定対象のサンプルの主成分データを特定する。この主成分データが、運転者別特徴記憶部88に記憶している特徴情報に
適合するか判定する。この例では、主成分データの分布領域の境界円内に位置するか否かを判定する。境界円内に位置する場合には、当該特徴情報に適合するものとして、当該特徴情報に対応する運転者IDを読み出し、このIDにより現在の運転者を特定する。そして、判定領域抽出部85から得られる計測日時(t´からtのいずれか)を判定日時として、判定日時と対応付けてこの運転者IDを運転者判定記憶部142に記憶させる。この例によらず、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得して判定日時としてもよい。
【0036】
カーナビゲーションシステム1のユーザインターフェースを介して運転者から終了の指示を受け付けた場合の他、車両制御系からエンジン停止の通知を受けた場合などには、図15に示すように終了指示を受け付けたものとして(S1503)、車両制御情報取得処理の停止(S1506)と、判定領域抽出処理の停止(S1507)を指示する。停止の指示によりこれらのタスクは終了する。
【0037】
図16は、運転者判定記憶部の例を示す図である。運転者の判定の毎に運転者判定レコードを設け、判定日時1601と、運転者ID1602との項目を対応付けて記憶するように構成されている。
【0038】
ここまで説明したように、図2に示す運転誘導部21で運転履歴を蓄積し、運転者判定部22で運転者判定を蓄積すると、次に運転者別運転履歴抽出部23で運転者別の運転履歴を抽出する。運転者別運転履歴抽出部23による運転者別運転履歴抽出処理について処理する。
【0039】
図17は、運転者別運転履歴抽出処理フローを示す図である。運転誘導部21の運転履歴記憶部39で記憶している運転履歴レコード(図7参照)毎にループ処理を繰り返す(S1701)。その為、先頭から1レコードずつ運転履歴レコードを読み込み、運転者判定部22の運転者判定記憶部142に記憶している運転者判定レコード(図16参照)毎のループ処理を繰り返す(S1702〜S1705)。その為、先頭から1レコードずつ運転者判定レコードを読み込む。そして、運転者判定レコードの判定日時は、運転履歴レコードの目的地設定日時と到着日時の間に含まれるか判定し(S1703)、含まれない場合には、当該運転履歴に係る運転者を特定できないので、次の運転者判定レコードを読み込む処理(S1702)に移行する。判定日時が目的地設定日時と到着日時の間に含まれる場合には、当該運転履歴に係る運転者を特定できると考えられるので、運転者判定レコードの運転者IDに対応付けて、運転履歴レコードの到着地特定情報と到着日時を、運転者別運転履歴として記憶する(S1704)。但し、同じ運転者別運転履歴が既に記憶されている場合には、重複するレコードは設けない。そして、運転者判定レコードの判定日時は、運転履歴レコードの到着日時を越えた時点で(S1705)、当該運転履歴レコードに対する処理を終了し、次の運転履歴レコードに対する処理(S1701)に移行する。すべての運転履歴レコードについて処理した時点で処理を終了する(S1706)。
【0040】
図18は、タイムチャートの例を示す図である。このタイムチャートは、図7の運転履歴記憶の例を上側に示し、図16の運転者判定記憶部の例を下側に示して、時間の前後関係を見やすくしたものである。
【0041】
図19は、運転者別運転履歴記憶部の例を示す図である。運転者ID毎にテーブルを設け、各テーブルのヘッダに当該運転者IDを記憶している。そして、そのテーブルは、運転者を特定できた運転履歴毎にレコードを設け、到着日時と到着地特定情報の項目を対応付けて記憶するように構成されている。
【0042】
この例で、図18に示す1月1日のA神社への運転履歴と、1月2日のBスキー場への
運転履歴と、1月3日のC空港への運転履歴を、図19のように運転者別に整理することができる。運転者ID=D001のテーブルから、この運転者は、1月1日にA神社への運転を行い、更に1月3日のC空港への運転を行なっていることがわかる。また、運転者ID=D002のテーブルから、この運転者は、1月2日にBスキー場への運転を行い、更に1月3日のC空港への運転を行なっていることがわかる。
【0043】
運転者別運転履歴送信部25は、運転者別の運転履歴を、運転履歴分析装置3に送信する。このとき、すべての運転者の運転履歴を送信してもよいし、一部の運転者の運転履歴を送信してもよい。
【0044】
実施の形態2.
目的地設定日時、到着日時、判定日時は、いずれも日付を含むものであるが、24時間以内に処理が完了する場合には、時間のみを用いてもよい。つまり、少なくとも目的地設定時刻、到着時刻、判定時刻を特定できればよい。
【0045】
実施の形態3.
目的地が特定のスポット(施設など)である場合の形態について述べる。カーナビゲーションシステム1は、スポット毎に、スポットIDとスポットの位置(緯度経度)とスポット名を対応付けるスポットレコードを複数記憶するスポットテーブルを有している。そして、目的地設定部31でスポットテーブルからスポットレコードを読み出し、スポット名のリストから目的地となるスポットの選択を運転者に促し、選択されたスポットの位置を目的位置として、目的位置記憶部32に記憶させる。また、運転履歴登録部38では、到着地特定情報として、目的地設定部31で選択されたスポットのIDを用いる。その結果、例えば図19の運転者別運転履歴中の到着地特定情報は緯度経度ではなく、A神社、Bスキー場、及びC空港の各スポットIDとなる。
【0046】
実施の形態4.
上述の実施の形態では、運転者別の運転履歴として到着日時と到着地特定情報を記憶しているが、到着地特定情報のみであってもよい。その場合には、図17のS1704の処理で、運転者判定レコードの運転者IDに対応付けて、運転履歴レコードの到着地特定情報のみを、運転者別運転履歴として記憶する。また、到着日時の代わりに、到着日付のみを運転履歴として記憶してもよい。
【0047】
実施の形態5.
運転履歴に加えて、車両制御情報も併せて記憶して、運転履歴分析装置3に送信するようにしてもよい。この場合は、車両制御情報を車両制御系から取得して、計測日時と対応付けて一旦記憶する車両制御情報登録部を有し、運転者別運転履歴抽出部23で運転履歴の目的地設定日時と到着日時の間の計測日時に対応する車両制御情報を車両制御情報登録部から抽出し、運転者別運転履歴記憶部24のレコードにこの抽出した車両制御情報を記憶させる。
【0048】
実施の形態6.
上述の運転者判定部22では、時系列データをサンプルとして特異値分解と主成分抽出により主成分データを求め、その主成分データの分布により特徴情報を求めたが、他の方法により特徴情報を抽出してもよい。例えば、時間当たりABS駆動回数の分布から特徴情報を抽出する場合には、ABS駆動回数を時間で割った値をサンプルとするので、特異値分解と主成分抽出の必要はない。例えば、サンプルの分布の平均と偏差を求め、特定の偏差値に対応する値を境界とする。
【0049】
カーナビゲーションシステム1は、コンピュータであり、各要素はプログラムにより処
理を実行することができる。また、プログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からコンピュータに読み取られるようにすることができる。
【0050】
図20は、カーナビゲーションシステムのハードウェア構成例を示す図である。バスに、演算装置2001、データ記憶装置2002、メモリ2003、通信インターフェース2004、ディスプレイ2005、タッチセンサ2006、カレンダー・時計部2007、音声出力部2008が接続されている。データ記憶装置2002は、例えばROM(Read Only Memory)やハードディスクである。メモリ2003は、通常RAM(Random Access Memory)である。
【0051】
プログラムは、通常データ記憶装置2002に記憶されており、メモリ2003にロードされた状態で、順次演算装置2001に読み込まれ処理を行う。また、上述の算出過程で用いるパラメータを記憶するパラメータ記憶領域をメモリ2003に確保する。通信インターフェース2004は、運転履歴分析装置3との通信を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】運転履歴利用システムの構成を示す図である。
【図2】カーナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図3】運転誘導部の構成を示す図である。
【図4】運転誘導処理フローを示す図である。
【図5】誘導データ生成処理フローを示す図である。
【図6】運転履歴登録処理フローを示す図である。
【図7】運転履歴記憶部の例を示す図である。
【図8】運転者判定部のうち特徴学習に係る構成部分を示す図である。
【図9】運転者判定処理のうち特徴学習の前段処理フローを示す図である。
【図10】車両制御情報の例を示す図である。
【図11】判定領域抽出処理フローを示す図である。
【図12】運転者別特徴抽出処理フローを示す図である。
【図13】主成分データ分布の例を示す図である。
【図14】運転者判定部のうち特徴判定に係る構成部分を示す図である。
【図15】運転者判定処理のうち特徴判定処理フローを示す図である。
【図16】運転者判定記憶部の例を示す図である。
【図17】運転者別運転履歴抽出処理フローを示す図である。
【図18】タイムチャートの例を示す図である。
【図19】運転者別運転履歴記憶部の例を示す図である。
【図20】カーナビゲーションシステムのハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1 カーナビゲーションシステム、2 中継局、3 運転履歴分析装置、21 運転誘導部、22 運転者判定部、23 運転者別運転履歴抽出部、24 運転者別運転履歴記憶部、25 運転者別運転履歴送信部、31 目的地設定部、32 目的位置記憶部、33 誘導データ生成部、34 現在位置取得部、35 地図データベース、36 誘導画面出力部、37 誘導音声出力部、38 運転履歴登録部、39 運転履歴記憶部、81
運転者リスト記憶部、82 運転者入力部、83 車両制御情報取得部、84 車両制御情報記憶部、85 判定領域抽出部、86 判定領域記憶部、87 運転者別特徴抽出部、88 運転者別特徴記憶部、141 運転者別特徴判定部、142 運転者判定記憶部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムに係り、運転者別の運転履歴を収集し、運転履歴分析装置に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−247834号「運転者走行支援情報提供システム」には、運転者が必要とする走行支援情報を、インターネットを介してカーナビゲーションシステムに提供する技術が開示されている。
【0003】
このように、カーナビゲーションシステムとサーバをインターネットを介して接続させ、サーバで車両側からの情報を収集し、車両側への情報を提供するシステムが発案されている。
【0004】
このようなシステムでは、車両単位をユーザの単位と介してサービスを行なっている。しかし、現実には車両を複数の運転者で共用することが多く、運転者を単位とするサービスが望まれている。また、サーバ側で運転者の別を判定することは困難である。
【特許文献1】特開2003−247834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決することを主な目的とし、カーナビゲーションシステムで運転者を判定し、当該運転者を誘導した到着地の情報と当該運転者の情報を対応付ける運転者別運転履歴を収集することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカーナビゲーションシステムは、車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムであって、以下の要素を有することを特徴とする
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導部
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定部
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出部
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信部。
【0007】
更に、運転者判定部は、特徴学習段階において、車両制御系から車両制御情報を取得し、運転者別の車両制御情報に係る特徴を抽出し、学習結果として運転者別の特徴情報を記憶し、特徴判定段階で取得した車両制御情報が、前記運転者別の特徴情報に適合するか判定することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムとなるコンピュータに、以下の手順を実行させることを特徴とする
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導処理手順
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定処理手順
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出処理手順
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信処理手順。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カーナビゲーションシステムで運転者を判定し、当該運転者を誘導した到着地の情報と当該運転者の情報を対応付ける運転者別運転履歴を収集し、これを運転履歴分析装置に送信するので、運転者を単位とした分析が可能となり、運転者の嗜好や行動パターンに適したリコメンドなどの運転者別のサービスの提供が期待できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、運転履歴利用システムの構成を示す図である。カーナビゲーションシステム1は、自動車に搭載された車載装置である。このカーナビゲーションシステム1は、必要に応じて運転履歴分析装置3と接続可能な通信インターフェースを有している。カーナビゲーションシステム1と中継局2の間は、無線通信により、中継局2と運転履歴分析装置3の間は、インターネットを介して通信する。
【0011】
カーナビゲーションシステム1は、運転履歴分析装置3へ運転者別の運転履歴情報を送信し、運転履歴分析装置3は、複数のカーナビゲーションシステム1から収集した運転履歴情報を分析した、各運転者の運転行動に基づいた提案等を行なうように構成されている。本発明では、そのうちカーナビゲーションシステム1の構成に特徴がある。
【0012】
図2は、カーナビゲーションシステムの構成を示す図である。カーナビゲーションシステム1は、運転誘導部21、運転者判定部22、運転者別運転履歴抽出部23、運転者別運転履歴記憶部24、及び運転者別運転履歴送信部25の各要素を有している。運転誘導部21は、通常の運転誘導を行なうとともに、運転履歴を蓄積するように構成されている。運転者判定部22は、車両の制御系から車両制御情報(例えば、車両の移動速度、ABS駆動回数、ふらつき、路面μ、走行距離)を取得し、その車両取得情報に基づいて運転者を判定するように構成されている。運転者別運転履歴抽出部23は、運転誘導部21で蓄積した運転履歴と運転者判定部22で判定した運転者特定情報に基づいて、運転者別の運転履歴を抽出するように構成されている。運転者別の運転履歴は、一旦運転者別運転履歴記憶部24に蓄積される。運転者別運転履歴送信部25は、上述の通信媒体を介して運転履歴分析装置3に運転者別の運転履歴送信するように構成されている。
【0013】
まず、カーナビゲーションシステム1の構成要素のうち、運転誘導部21について詳述
する。図3は、運転誘導部の構成を示す図である。運転誘導部21は、目的地設定部31、目的位置記憶部32、誘導データ生成部33、現在位置取得部34、地図データベース35、誘導画面出力部36、誘導音声出力部37、運転履歴登録部38、及び運転履歴記憶部39の各要素を有している。本発明では、特に運転履歴登録部38と運転履歴記憶部39を有している。
【0014】
運転誘導部21による処理について説明する。図4は、運転誘導処理フローを示す図である。目的地設定部31による目的地設定処理(S401)を行なう。この処理では、カーナビゲーションシステム1のディスプレイに、目的地入力画面を出力して、目的地の特定を促す。運転者は、これに応じて目的地を特定する操作を行なう。この例では、目的地の住所を入力する。文字列として住所を入力してもよいし、地図上でのポインティング操作をタッチセンサにより検知してその位置から目的地を特定してもよい。そして、目的地の住所から目的位置(緯度経度)を求める。住所を緯度経度に変換する際には、例えば、住所と緯度経度を対応付けた住所データベースを用いる。また、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得し、目的地設定日時とする。そして、目的位置記憶部32に目的位置と目的地設定日時を対応付けて記憶させる。この処理により、運転誘導の準備が整う。
【0015】
次に、誘導データ生成部33による誘導データ生成処理(図4のS402)を行なう。この処理では、運転操作中に誘導データを生成し、ディスプレイ及び音声出力装置より誘導情報を出力する。
【0016】
図5は、誘導データ生成処理フローを示す図である。誘導データ生成部33は、まず目的位置記憶部32から目的位置を読み取る(S501)。また、現在位置取得部34より現在位置を取得する(S502)。現在位置取得部34は、例えばGPS(Global
Positioning System)を用いて現在位置(緯度経度)を算出するものである。そして、目的位置と現在位置の2点間の距離を算出し、その距離を所定基準(目的地に到着したとする距離基準、例えば5m)と比較する。2点間の距離が所定基準より大きい場合には、誘導を継続するために以下の処理(S504〜S511)を行なう。誘導の為に、まず目的位置と現在位置に基づいて、経路を設定する(S504)。例えば、目的位置と現在位置の2点間をつなぐ経路候補を地図データベース35から複数取得し、そのうち経路の総距離が最短のものを選択する。次に、地図データベース35から現在位置を含む地図を取得し(S505)、地図上の現在位置に移動向きを示すマークを配置し、マークを配置した地図画面を誘導画面出力部36より出力させる(S506)。移動向きは、現在位置の変化から求めることができる。そして、経路の所定範囲(現在位置から前方の所定距離までの間)内に、分岐点があるかを判定する(S507)。分岐点が無い場合には、誘導データを生成することなく、S501の処理に戻る。分岐点が有る場合には、分岐点での進行を指示しなければならないので、経路に従って、分岐点における進行向き(例えば、右折、直進、左折など)を判定する(S508)。そして、地図上の分岐点に、進行向きを示すマークを配置し(S509)、マークを配置した地図データを誘導画面データとして、誘導画面出力部36より誘導画面を出力させる(S510)。これにより、誘導画面がディスプレイに表示される。次に、分岐点における進行向きを誘導音声データとして、誘導音声出力部37より出力する(S511)。これにより、音声出力装置より、誘導音声が出音される。そして、S501に戻る。上述のループ処理を繰り返し、S503で目的位置と現在位置の2点間の距離が、所定基準以下となった時点で、到着と判定して終了する。
【0017】
次に、運転履歴登録部38による運転履歴登録処理(図4のS403)を行なう。この処理では、当該誘導に係る運転履歴を登録する。
【0018】
図6は、運転履歴登録処理フローを示す図である。運転履歴登録部38は、まず目的位置記憶部32から目的地設定日時を読み取る(S601)。また、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得して、到着日時とする(S602)。更に、誘導データ生成部33から到着地特定情報を取得する(S603)。到着地特定情報は、到着地を特定できる情報であれば足りる。到着時点で、現在位置取得部34で算出した現在位置(緯度経度)を取得して到着地特定情報としてもよいし、目的位置記憶部32で記憶している目的位置(緯度経度)を到着地特定情報としてもよい。また、目的地設定部31で入力した目的地住所を到着地特定情報としてもよい。運転履歴登録部38は、これらの目的地設定日時と到着日時と到着地特定情報を対応付けて、運転履歴として運転履歴記憶部39に記憶させる(S604)。
【0019】
図7は、運転履歴記憶部の例を示す図である。運転誘導により目的地に到着する都度、運転履歴レコードを設け、目的地設定日時701と、到着日時702と、到着地特定情報703との項目を対応付けて記憶するように構成されている。この例では、カーナビゲーションシステム1の運転誘導により、1月1日にはA神社に行き、1月2日にはBスキー場に行き、1月3日にはC空港に行ったことがわかる。
【0020】
上述のように、運転誘導部21により運転中に誘導する一方、図2の運転者判定部22では運転中の運転者の別を判定する。運転者判定部22による運転者の判定は、初期処理として運転者の特徴を学習する必要があり(特徴学習段階という。)、運転者の特徴の学習が完了した状態で、初めて運転中の運転者を判定できるようになる(特徴判定段階という。)。
【0021】
まず、運転者判定部22による運転者の特徴の学習について説明する。図8は、運転者判定部のうち特徴学習に係る構成部分を示す図である。運転者判定部22は、特徴学習のために、運転者リスト記憶部81、運転者入力部82、車両制御情報取得部83、車両制御情報記憶部84、判定領域抽出部85、判定領域記憶部86、運転者別特徴抽出部87、及び運転者別特徴記憶部88を有している。
【0022】
運転者の特徴学習は、車両制御系から取得した車両制御情報(この例では、速度)から、運転者の特徴を示す判定領域を抽出し、その判定領域のデータを予め特定されている運転者のものとして蓄積する前段処理と、運転者別に蓄積された運転制御情報の判定領域のデータ群から運転者別の特徴を抽出する後段処理とからなる。運転者リスト記憶部81、運転者入力部82、車両制御情報取得部83、車両制御情報記憶部84、判定領域抽出部85、及び判定領域記憶部86が、前段処理に用いられ、運転者別特徴抽出部87及び運転者別特徴記憶部88が後段処理に用いられる。
【0023】
まず、判定領域のデータを収集するまでの前段処理について説明する。図9は、運転者判定処理のうち特徴学習の前段処理フローを示す図である。自らの運転の特徴を学習させようとする運転者は、運転前に運転者入力部82に促され、運転者自身を特定する情報を入力する操作を行なう。その為、運転者入力部82による運転者入力処理(S901)を行なう。この処理では、運転者リスト記憶部81から運転者名と運転者IDを対応付けたリストを取得し、リストに含まれる運転者名を列挙して選択を促す運転者選択画面を生成し、ディスプレイに表示させる。運転者リスト記憶部81には、当該車両を運転する可能性がある運転者候補群について、予めその氏名とIDを対応付けて記憶してある。自家用車であれば、家族のうち運転することがある者を予め登録しておく。業務用の車両であれば、当該車両を運転し得る従業員(運転手)を予め登録しておく。運転者が、運転者選択画面中から自身の指名を選択する操作を行なうと、その運転者名に対応する運転者IDが、以降の運転に係る運転者を特定する情報となる。
【0024】
次に、車両制御情報取得部83による車両制御情報取得処理を起動する(S902)。当該処理は、停止の指示を受けるまでループ処理を繰り返す独立したタスクである。車両制御系から現在の車両制御情報(例えば、速度などの計測値)を取得し、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得して、計測日時とする。そして、車両制御情報と計測日時を対応付けて車両制御情報記憶部84に記憶させる。この処理を繰り返すことにより、連続した車両制御情報を収集する。計測の間隔を広げる場合には、ループの最初に戻る前に所定間隔の待機処理を行なう。このようにして、収集された車両制御情報は、例えば図10に示すように時間的に連続するデータとなる。計測日時は、車両制御系から車両制御情報とともに取得するようにしてもよい。
【0025】
次に、判定領域抽出部85による判定領域抽出処理を起動する(S903)。当該処理も、停止の指示を受けるまでループ処理を繰り返す独立したタスクである。上述の車両制御情報取得処理により逐次蓄積される車両制御情報から、運転者の操作上の特徴を示す部分として適した判定領域を抽出する。この例では、所定速度V(例えば、時速60Km)の状態から停車するまでの速度の変化を判定領域として用いる。ある程度自由に速度を出せる状態から前方の停止位置(例えば、信号待ち車列の最後尾)を認識して、その位置に停車させる場合の挙動を特徴として用いることを想定している。但し、所定速度Vの状態から停車するまでに所定時間Tmax(判定領域最大時間)以上かかった場合を除いている。所定時間以上かかる場合は、渋滞時のように走行中の前方車両の速度に合わせて制動していると想定されるので、運転者の特徴が現れ難いからである。
【0026】
具体的な処理例を示す。図11は、判定領域抽出処理フローを示す図である。図10に示す車両制御情報の例を用いて説明する。順次、計測日時tに対応する速度vを読み込む(S1101)。計測日時は、単位時間間隔(例えば、0.1秒)で設定されるので、その間を隔てて計測された速度vを順に読み込むことになる。速度vが0の場合には(S1102)、以下の処理を行なう。この判定は、図10のT2の点(停車した時点)を特定する処理である。その為、速度vが0でない場合には、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。当該計測日時tから順次単位時間遡る毎の計測日時t´に対応する速度v´を読み込む(S1103)。図10の例では、T2からT1の方へ遡って、順に速度v´を読み込むことになる。速度v´=0の場合には(S1104)、停車中(速度0が継続している状態)であるので、判定領域には適さない。従って、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。次に、速度v´が所定速度V(制動開始速度)以上であるかを判定する(S1105)。所定速度Vより小さい場合には、判定領域中(図10のT1とT2の中間)であるので遡って速度v´を読み込む処理(S1103)に移行する。所定速度V以上である場合には、その点が判定領域の始点(図10のT1)となる。速度vの計測日時tと、速度v´の計測日時t´の間の差分時間δtを求め(S1106)、この差分時間δtが所定時間Tmax(判定領域最大時間)以下であるかを判定する(S1107)。所定時間Tmaxを越えている場合には、判定領域には適さないので、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。所定時間Tmax以下の場合には、判定領域に適するので、基準の計測日時tと遡った計測日時t´の間の速度をそれぞれの計測日時と対応付けて、判定領域データとして判定領域記憶部86に記憶させる(S1108)。このとき、予め運転者入力部82で特定している運転者IDと対応付けて、判定領域データを記憶させる。このように判定領域を抽出すると、次の速度vを読み込む処理(S1101)に移行する。そして、このループ処理を、停止の指示があるまで繰り返す。
【0027】
上述のように車両制御情報取得処理と判定領域抽出処理を起動し終えると、終了指示を受け付けるまで待機する(図9のS904)。カーナビゲーションシステム1のユーザインターフェースを介して運転者から終了の指示を受け付けた場合の他、車両制御系からエンジン停止の通知を受けた場合にも、終了指示を受け付けたものとして動作する。終了指
示を受け付けると、車両制御情報取得処理の停止(S905)と、判定領域抽出処理の停止(S906)を指示する。停止の指示によりこれらのタスクは終了する。
【0028】
続いて、運転者の特徴学習のうち後段の処理、つまり運転者別に蓄積された運転制御情報の判定領域のデータ群から運転者別の特徴を抽出する運転者別特徴抽出処理について説明する。この処理は、図8の運転者別特徴抽出部87により行なわれる。
【0029】
図12は、運転者別特徴抽出処理フローを示す図である。上述のように判定領域のデータは、所定時間間隔で測定した測定値であって、時間の経過に従って変化する値である時系列データといえる。以下の処理では、これをサンプルとする。特異値分解処理(S1201)では、複数の運転者による判定領域データ群を母集団として特異値分解を行なう。これにより、特異値とスコアを得る。そして、主成分データ抽出処理(S1202)で、特異値に基づいて圧縮する次元を決定し、その次元にスコアを圧縮し、主成分データを得る。
【0030】
図13は、主成分データ分布の例を示す図である。運転者毎にサンプルを区別して、2次元に圧縮した主成分データの分布を示すものである。「×」は、運転者ID=D001のサンプルの主成分データを示し、「△」は、運転者ID=D002のサンプルの主成分データを示している。このように、運転者の運転操作の特性に起因して主成分データに偏りが現れる。
【0031】
運転者別特徴算出処理(S1203)では、運転者毎に固有の主成分データ分布領域の境界を算出する。例えば、運転者別に、当該運転者のサンプルに係る主成分データ群の重心を算出し、その重心を中心とする円を設定し、当該円内に同主成分データ群が所定割合以上含まれるような半径を選択することにより、境界となる円を決定する。そしてこの境界円の内側を、当該運転者の分布領域とする。図13で、1301は、運転者ID=D001のサンプルの主成分データに関する分布領域の境界円を示している。1302は、運転者ID=D002のサンプルの主成分データに関する分布領域の境界円を示している。ここで示した境界円(中心と半径)は、主成分データ分布領域の境界を特定する特徴情報の例である。
【0032】
上述のように、初期処理として運転者毎の特徴の学習が行なわれると、以後は自動的に運転中の運転者をその特徴により判定できるようになる。次に、運転者判定部22による運転者の特徴判定について説明する。
【0033】
図14は、運転者判定部のうち特徴判定に係る構成部分を示す図である。運転者別特徴判定部141と運転者判定記憶部142が、新たに加えられている。
【0034】
図15は、運転者判定処理のうち特徴判定処理フローを示す図である。最初に、前述の車両制御情報取得処理と判定領域抽出処理を起動する(S1501,S1502)。そし
て、終了指示がない限り(S1503)、判定領域抽出処理で判定領域を抽出するまで待機する(S1504)。そして、判定領域を抽出すると、当該運転者を特定するための運転者別特徴判定処理(S1505)を行なう。
【0035】
運転者別特徴判定処理(S1505)について説明する。判定領域記憶部86に記憶している複数の運転者による判定領域データ群に、判定領域抽出処理で抽出した判定領域データ(判定対象のサンプル)を加えた母集団に対して特異値分解を行なう。これにより、特異値とスコアを得る。そして、主成分データ抽出処理(S1202)のときと同じ次元にスコアを圧縮し、主成分データを得る。そして、当該判定対象のサンプルの主成分データを特定する。この主成分データが、運転者別特徴記憶部88に記憶している特徴情報に
適合するか判定する。この例では、主成分データの分布領域の境界円内に位置するか否かを判定する。境界円内に位置する場合には、当該特徴情報に適合するものとして、当該特徴情報に対応する運転者IDを読み出し、このIDにより現在の運転者を特定する。そして、判定領域抽出部85から得られる計測日時(t´からtのいずれか)を判定日時として、判定日時と対応付けてこの運転者IDを運転者判定記憶部142に記憶させる。この例によらず、カーナビゲーションシステム1に内蔵するカレンダー・時計部より、当日日付と現在時刻を取得して判定日時としてもよい。
【0036】
カーナビゲーションシステム1のユーザインターフェースを介して運転者から終了の指示を受け付けた場合の他、車両制御系からエンジン停止の通知を受けた場合などには、図15に示すように終了指示を受け付けたものとして(S1503)、車両制御情報取得処理の停止(S1506)と、判定領域抽出処理の停止(S1507)を指示する。停止の指示によりこれらのタスクは終了する。
【0037】
図16は、運転者判定記憶部の例を示す図である。運転者の判定の毎に運転者判定レコードを設け、判定日時1601と、運転者ID1602との項目を対応付けて記憶するように構成されている。
【0038】
ここまで説明したように、図2に示す運転誘導部21で運転履歴を蓄積し、運転者判定部22で運転者判定を蓄積すると、次に運転者別運転履歴抽出部23で運転者別の運転履歴を抽出する。運転者別運転履歴抽出部23による運転者別運転履歴抽出処理について処理する。
【0039】
図17は、運転者別運転履歴抽出処理フローを示す図である。運転誘導部21の運転履歴記憶部39で記憶している運転履歴レコード(図7参照)毎にループ処理を繰り返す(S1701)。その為、先頭から1レコードずつ運転履歴レコードを読み込み、運転者判定部22の運転者判定記憶部142に記憶している運転者判定レコード(図16参照)毎のループ処理を繰り返す(S1702〜S1705)。その為、先頭から1レコードずつ運転者判定レコードを読み込む。そして、運転者判定レコードの判定日時は、運転履歴レコードの目的地設定日時と到着日時の間に含まれるか判定し(S1703)、含まれない場合には、当該運転履歴に係る運転者を特定できないので、次の運転者判定レコードを読み込む処理(S1702)に移行する。判定日時が目的地設定日時と到着日時の間に含まれる場合には、当該運転履歴に係る運転者を特定できると考えられるので、運転者判定レコードの運転者IDに対応付けて、運転履歴レコードの到着地特定情報と到着日時を、運転者別運転履歴として記憶する(S1704)。但し、同じ運転者別運転履歴が既に記憶されている場合には、重複するレコードは設けない。そして、運転者判定レコードの判定日時は、運転履歴レコードの到着日時を越えた時点で(S1705)、当該運転履歴レコードに対する処理を終了し、次の運転履歴レコードに対する処理(S1701)に移行する。すべての運転履歴レコードについて処理した時点で処理を終了する(S1706)。
【0040】
図18は、タイムチャートの例を示す図である。このタイムチャートは、図7の運転履歴記憶の例を上側に示し、図16の運転者判定記憶部の例を下側に示して、時間の前後関係を見やすくしたものである。
【0041】
図19は、運転者別運転履歴記憶部の例を示す図である。運転者ID毎にテーブルを設け、各テーブルのヘッダに当該運転者IDを記憶している。そして、そのテーブルは、運転者を特定できた運転履歴毎にレコードを設け、到着日時と到着地特定情報の項目を対応付けて記憶するように構成されている。
【0042】
この例で、図18に示す1月1日のA神社への運転履歴と、1月2日のBスキー場への
運転履歴と、1月3日のC空港への運転履歴を、図19のように運転者別に整理することができる。運転者ID=D001のテーブルから、この運転者は、1月1日にA神社への運転を行い、更に1月3日のC空港への運転を行なっていることがわかる。また、運転者ID=D002のテーブルから、この運転者は、1月2日にBスキー場への運転を行い、更に1月3日のC空港への運転を行なっていることがわかる。
【0043】
運転者別運転履歴送信部25は、運転者別の運転履歴を、運転履歴分析装置3に送信する。このとき、すべての運転者の運転履歴を送信してもよいし、一部の運転者の運転履歴を送信してもよい。
【0044】
実施の形態2.
目的地設定日時、到着日時、判定日時は、いずれも日付を含むものであるが、24時間以内に処理が完了する場合には、時間のみを用いてもよい。つまり、少なくとも目的地設定時刻、到着時刻、判定時刻を特定できればよい。
【0045】
実施の形態3.
目的地が特定のスポット(施設など)である場合の形態について述べる。カーナビゲーションシステム1は、スポット毎に、スポットIDとスポットの位置(緯度経度)とスポット名を対応付けるスポットレコードを複数記憶するスポットテーブルを有している。そして、目的地設定部31でスポットテーブルからスポットレコードを読み出し、スポット名のリストから目的地となるスポットの選択を運転者に促し、選択されたスポットの位置を目的位置として、目的位置記憶部32に記憶させる。また、運転履歴登録部38では、到着地特定情報として、目的地設定部31で選択されたスポットのIDを用いる。その結果、例えば図19の運転者別運転履歴中の到着地特定情報は緯度経度ではなく、A神社、Bスキー場、及びC空港の各スポットIDとなる。
【0046】
実施の形態4.
上述の実施の形態では、運転者別の運転履歴として到着日時と到着地特定情報を記憶しているが、到着地特定情報のみであってもよい。その場合には、図17のS1704の処理で、運転者判定レコードの運転者IDに対応付けて、運転履歴レコードの到着地特定情報のみを、運転者別運転履歴として記憶する。また、到着日時の代わりに、到着日付のみを運転履歴として記憶してもよい。
【0047】
実施の形態5.
運転履歴に加えて、車両制御情報も併せて記憶して、運転履歴分析装置3に送信するようにしてもよい。この場合は、車両制御情報を車両制御系から取得して、計測日時と対応付けて一旦記憶する車両制御情報登録部を有し、運転者別運転履歴抽出部23で運転履歴の目的地設定日時と到着日時の間の計測日時に対応する車両制御情報を車両制御情報登録部から抽出し、運転者別運転履歴記憶部24のレコードにこの抽出した車両制御情報を記憶させる。
【0048】
実施の形態6.
上述の運転者判定部22では、時系列データをサンプルとして特異値分解と主成分抽出により主成分データを求め、その主成分データの分布により特徴情報を求めたが、他の方法により特徴情報を抽出してもよい。例えば、時間当たりABS駆動回数の分布から特徴情報を抽出する場合には、ABS駆動回数を時間で割った値をサンプルとするので、特異値分解と主成分抽出の必要はない。例えば、サンプルの分布の平均と偏差を求め、特定の偏差値に対応する値を境界とする。
【0049】
カーナビゲーションシステム1は、コンピュータであり、各要素はプログラムにより処
理を実行することができる。また、プログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からコンピュータに読み取られるようにすることができる。
【0050】
図20は、カーナビゲーションシステムのハードウェア構成例を示す図である。バスに、演算装置2001、データ記憶装置2002、メモリ2003、通信インターフェース2004、ディスプレイ2005、タッチセンサ2006、カレンダー・時計部2007、音声出力部2008が接続されている。データ記憶装置2002は、例えばROM(Read Only Memory)やハードディスクである。メモリ2003は、通常RAM(Random Access Memory)である。
【0051】
プログラムは、通常データ記憶装置2002に記憶されており、メモリ2003にロードされた状態で、順次演算装置2001に読み込まれ処理を行う。また、上述の算出過程で用いるパラメータを記憶するパラメータ記憶領域をメモリ2003に確保する。通信インターフェース2004は、運転履歴分析装置3との通信を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】運転履歴利用システムの構成を示す図である。
【図2】カーナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図3】運転誘導部の構成を示す図である。
【図4】運転誘導処理フローを示す図である。
【図5】誘導データ生成処理フローを示す図である。
【図6】運転履歴登録処理フローを示す図である。
【図7】運転履歴記憶部の例を示す図である。
【図8】運転者判定部のうち特徴学習に係る構成部分を示す図である。
【図9】運転者判定処理のうち特徴学習の前段処理フローを示す図である。
【図10】車両制御情報の例を示す図である。
【図11】判定領域抽出処理フローを示す図である。
【図12】運転者別特徴抽出処理フローを示す図である。
【図13】主成分データ分布の例を示す図である。
【図14】運転者判定部のうち特徴判定に係る構成部分を示す図である。
【図15】運転者判定処理のうち特徴判定処理フローを示す図である。
【図16】運転者判定記憶部の例を示す図である。
【図17】運転者別運転履歴抽出処理フローを示す図である。
【図18】タイムチャートの例を示す図である。
【図19】運転者別運転履歴記憶部の例を示す図である。
【図20】カーナビゲーションシステムのハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1 カーナビゲーションシステム、2 中継局、3 運転履歴分析装置、21 運転誘導部、22 運転者判定部、23 運転者別運転履歴抽出部、24 運転者別運転履歴記憶部、25 運転者別運転履歴送信部、31 目的地設定部、32 目的位置記憶部、33 誘導データ生成部、34 現在位置取得部、35 地図データベース、36 誘導画面出力部、37 誘導音声出力部、38 運転履歴登録部、39 運転履歴記憶部、81
運転者リスト記憶部、82 運転者入力部、83 車両制御情報取得部、84 車両制御情報記憶部、85 判定領域抽出部、86 判定領域記憶部、87 運転者別特徴抽出部、88 運転者別特徴記憶部、141 運転者別特徴判定部、142 運転者判定記憶部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムであって、以下の要素を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導部
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定部
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出部
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信部。
【請求項2】
運転者判定部は、特徴学習段階において、車両制御系から車両制御情報を取得し、運転者別の車両制御情報に係る特徴を抽出し、学習結果として運転者別の特徴情報を記憶し、特徴判定段階で取得した車両制御情報が、前記運転者別の特徴情報に適合するか判定することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムとなるコンピュータに、以下の手順を実行させるためのプログラム
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導処理手順
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定処理手順
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出処理手順
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信処理手順。
【請求項1】
車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムであって、以下の要素を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導部
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定部
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出部
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信部。
【請求項2】
運転者判定部は、特徴学習段階において、車両制御系から車両制御情報を取得し、運転者別の車両制御情報に係る特徴を抽出し、学習結果として運転者別の特徴情報を記憶し、特徴判定段階で取得した車両制御情報が、前記運転者別の特徴情報に適合するか判定することを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両に取り付けられ、車両制御系から車両制御情報を取得可能であり、更にネットワークを介して運転履歴分析装置に接続可能なカーナビゲーションシステムとなるコンピュータに、以下の手順を実行させるためのプログラム
(1)誘導の目的地が設定された場合に、目的地設定時刻を記憶し、当該目的地への誘導データを生成し、生成した誘導データを出力し、現在位置が当該目的地に接近し到着したと判定した場合に、到着時刻を前記目的地設定時刻と組として記憶し、更に到着地を特定する到着地特定情報を対応付けて記憶する運転誘導処理手順
(2)車両制御系から車両制御情報を取得し、取得した車両制御情報が運転者別の車両制御情報に係る特徴に適合するか判定し、適合する場合に当該特徴に対応する運転者を特定する運転者特定情報を記憶し、更に当該判定の判定時刻を対応付けて記憶する運転者判定処理手順
(3)前記判定時刻が、前記組の目的地設定時刻と到着時刻の間であるか判定し、当該間である場合に、当該判定時刻に対応する運転者特定情報と、当該組に対応する到着地特定情報を対応付けて、運転者別運転履歴として抽出する運転者別運転履歴抽出処理手順
(4)抽出した運転者別運転履歴を、ネットワークを介して運転履歴分析装置に送信する運転者別運転履歴送信処理手順。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−250879(P2006−250879A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71250(P2005−71250)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(394013002)三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】
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