説明

カーナビゲーションシステム

【課題】カーナビゲーションシステムの信頼性を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】同じ場所について時刻によって異なる複数の情報を含む描画用地図情報101と、時間と地図の関係情報102と、描画用地図情報101に対応する経路探索用リンク情報103とを記憶する記憶媒体100と、時間と地図の関係情報102と現在時刻に基づいて、描画用地図情報101と経路探索用リンク情報103とを選別する地図情報選別部201と、経路探索等を行う演算部204とを有するカーナビゲーションシステムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーションシステムに関し、特に、目的地までの経路探索技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討した技術として、カーナビゲーションシステムにおいては、例えば、ユーザからの目的地入力により、地図情報の記憶部から必要な地図情報を抽出して、抽出された地図情報に基づいて目的地までの経路を探索して表示する技術が考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記のようなカーナビゲーションシステムの技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0004】
例えば、道路では、バスレーンやスクールゾーン等、時間帯によって通行が不可になったり、また上下線が逆になったりするものがある。
【0005】
カーナビゲーションシステムの道路データ(地図情報)は、一方通行には近年対応してきているが、時間的変化にはCD/DVD/HDDなどを媒体とするものでは対応していない。
【0006】
実際の道路は時間によって通行の可、不可が変わることがあるが、カーナビゲーションのデータが対応していないために通過可能だと考えていた道路が通れないことがある。そのため、カーナビゲーションシステムの信頼性が低下している。
【0007】
そこで、本発明の目的は、カーナビゲーションシステムの信頼性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
すなわち、本発明によるカーナビゲーションシステムは、道路標識によって規定されている、時間帯による通行可否の変化に対応するため、道路に対する時間(時刻)的情報を持ち、時間帯によって探索・表示に使用する地図情報を差し替えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カーナビゲーションシステムの信頼性が増す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1によるカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図、図2はその動作を示すフローチャートである。
【0014】
まず、図1により、本実施の形態1によるカーナビゲーションシステムの構成の一例を説明する。本実施の形態1のカーナビゲーションシステムは、例えば、記憶媒体100、カーナビゲーション本体200、VICS(登録商標,Vehicle Information and Communication System,道路交通情報通信システム)300などから構成されている。通常は、記憶媒体100及びカーナビゲーション本体200は、自動車等に搭載される。
【0015】
記憶媒体100は、描画用地図情報101、時間と地図の関係情報102、経路探索用リンク情報103を格納するためのものであり、CD/DVD/HDD等が利用される。
【0016】
描画用地図情報101は、異なる場所についての複数の地図情報を持つ。また、同じ場所で時間(時刻)によって異なる道路事情となる場合、地図A,地図A’といったように複数の地図情報を持つ。
【0017】
時間と地図の関係情報102は、複数の地図情報を持つ部分が時間(時刻)によってどちらを使用するのかの情報である。例えば「場所Aにおいて、午前は地図A、午後は地図A’を採用する」といった情報を持つ。
【0018】
経路探索用リンク情報103は、各道路のリンク情報(接続情報)である。各地図情報に応じたリンク情報を持つ。描画用地図情報101に対応して、同じ場所で時間(時刻)によって異なる道路事情となる場合、地図Aのリンク情報,地図A’のリンク情報といったように複数のリンク情報を持つ。
【0019】
カーナビゲーション本体200は、地図情報選別部201、タイマ202、受信部203、経路探索等の演算部204などから構成される。
【0020】
地図情報選別部201は、記憶媒体100に格納されている描画用地図情報101と、時間と地図の関係情報102、経路探索用リンク情報103から、その時間帯に合致した地図情報及び経路探索用情報を選別する部分である。
【0021】
タイマ202は、現在の時刻情報をカウントするものである。受信部203は、VICS情報を受信する部分である。演算部204は、ユーザからの目的地等の入力に基づき各種情報から経路探索等を行う部分である。
【0022】
次に図2により、本実施の形態1のカーナビゲーションシステムの動作を説明する。図2に示すように、以下のステップで道路検索を実行する。
【0023】
まず、ステップS501で、カーナビゲーションシステムを起動する。
【0024】
次に、ステップS502で、演算部204は、ユーザからの目的地等の入力に基づき、表示する地図情報を地図情報選別部201に要求する。
【0025】
次に、ステップS503で、地図情報選別部201は、記憶媒体100から、表示する地図情報と、それに対応する時間情報、経路探索用リンク情報を取得する。
【0026】
次に、ステップS504で、地図情報選別部201は、タイマ202から現在時刻を取得する。
【0027】
次に、ステップS505で、地図情報選別部201は、所得した時間と地図の関係情報と現在時刻より、表示する地図情報、経路探索用リンク情報を選別する。
【0028】
次に、ステップS506で、地図情報選別部201は、演算部204へ選別した地図情報と経路探索用リンク情報を送信する。
【0029】
次に、ステップS507で、受信部203は、VICS300よりVICS情報を取得する。
【0030】
次に、ステップS508で、演算部204は、選別した地図情報、経路探索用リンク情報、取得したVICS情報(渋滞情報等)をもとに道路検索を行う。そして、カーナビゲーション本体200の表示部に検索結果を表示する。
【0031】
したがって、本実施の形態1のカーナビゲーションシステムによれば、道路に対する時間(時刻)的情報を持ち、時間帯によって探索・表示に使用する地図情報が差し替えられるので、従来と比較し、カーナビゲーションシステムの信頼性が増す。
【0032】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2によるカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図、図4はその動作を示すフローチャートである。
【0033】
前記実施の形態1によるカーナビゲーションシステムは、CD/DVD/HDD等の記憶媒体100などを車内に所有し、車載のカーナビゲーション本体200で経路探索するのに対し、本実施の形態2によるカーナビゲーションシステムは、遠隔地に設置したサーバ400内に記憶媒体409等を設け、サーバ400内で経路探索まで行った後、その情報を自動車内のカーナビゲーション本体200で受信するようにしたものである。
【0034】
まず、図3により、本実施の形態2によるカーナビゲーションシステムの構成の一例を説明する。本実施の形態2のカーナビゲーションシステムは、例えば、サーバ400、カーナビゲーション本体200、VICS300などから構成されている。サーバ400はは、記憶媒体409、地図情報選別部404、タイマ405、受信部406、演算部407、送受信部408などから構成される。カーナビゲーション本体200には、送受信部205などが含まれている。
【0035】
サーバ400は、通常は、カーナビゲーションメーカ、自動車メーカ等のセンターに設置される。カーナビゲーション本体200は、自動車等に搭載されるが、携帯電話等を利用してもよい。
【0036】
本実施の形態2において、記憶媒体409は記憶媒体100に、描画用地図情報401は描画用地図情報101に、時間と地図の関係情報402は時間と地図の関係情報102に、経路探索用リンク情報403は経路探索用リンク情報103に、地図情報選別部404は地図情報選別部201に、タイマ405はタイマ202に、受信部406は受信部203に、演算部407は演算部204に、それぞれ対応するので、詳細説明は省略する。
【0037】
次に図4により、本実施の形態2のカーナビゲーションシステムの動作を説明する。図4に示すように、以下のステップで道路検索を実行する。
【0038】
まず、ステップS601で、カーナビゲーションシステムを起動する。
【0039】
次に、ステップS602で、送受信部205は、表示する地図情報をサーバ400に要求する。
【0040】
次に、ステップS603で、送受信部408は、カーナビゲーション本体200からの要求を演算部407に送る。
【0041】
次に、ステップS604で、演算部407は、表示する地図情報を地図情報選別部404に要求する。
【0042】
次に、ステップS605で、地図情報選別部404は、記憶媒体409から、表示する地図情報と、それに対応する時間情報、経路探索用リンク情報を取得する。
【0043】
次に、ステップS606で、地図情報選別部404は、タイマ405から現在時刻を取得する。
【0044】
次に、ステップS607で、地図情報選別部404は、取得した時間と地図の関係情報と現在時刻より、表示する地図情報、経路探索用リンク情報を選別する。
【0045】
次に、ステップS608で、地図情報選別部404は、演算部407へ選別した地図情報と経路探索用リンク情報を送信する。
【0046】
次に、ステップS609で、受信部406はVICS300よりVICS情報を取得する。
【0047】
次に、ステップS610で、演算部407は、選別した地図情報、経路探索用リンク情報、取得したVICS情報をもとに道路検索を行い、送受信部408を通してカーナビゲーション本体200に情報を無線送信する。
【0048】
そして、カーナビゲーション本体200は、送受信部205を通して情報を無線受信し、カーナビゲーション本体200の表示部に検索結果を表示する。
【0049】
したがって、本実施の形態2のカーナビゲーションシステムによれば、前記実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、カーナビゲーション本体200の機能を簡略化することができる。
【0050】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、半導体装置、電子機器、自動車等の製造業において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1によるカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のカーナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態2によるカーナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図4】図3のカーナビゲーションシステムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
100,409 記憶媒体
101,401 描画用地図情報
102,402 時間と地図の関係情報
103,403 経路探索用リンク情報
200 カーナビゲーション本体
201,404 地図情報選別部
202,405 タイマ
203,406 受信部
204,407 演算部
205,408 送受信部
300 VICS
400 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報と、前記地図情報に対応するリンク情報と、前記地図情報と時刻との関係情報とを記憶する記憶部と、
前記関係情報と現在時刻に基づいて、前記地図情報と前記リンク情報とを選別する選別部とを有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1記載のカーナビゲーションシステムにおいて、
前記地図情報及び前記リンク情報は、同じ場所について複数の情報を含み、前記選別は、同じ場所についての前記複数の情報のうち、いずれかが選択されるものであることを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のカーナビゲーションシステムにおいて、
前記選別部における選別結果に基づいて経路探索を行う演算部を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーナビゲーションシステムにおいて、
現在時刻をカウントするタイマを有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーナビゲーションシステムにおいて、
前記演算部における経路探索結果を送信する手段を有することを特徴とするカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−147531(P2007−147531A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344942(P2005−344942)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】