説明

カーナビゲーション装置

【課題】指定された出発点から到着点までの各ルートの走行について見込まれる燃料使用量に関して、信頼性の高い情報を示すことが可能となるカーナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】燃料使用量を検出する検出部と、該検出の結果を用いて、車両の走行ごとに、走行ルートと燃料使用量実績を含む走行データを生成して蓄積する、走行データ蓄積部と、発着点の指定を受付ける発着点指定受付部と、走行ルートのうち、発着点が該指定のなされた発着点と略一致するものを選出する選出部と、走行データの各々を用いて、該選出された走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報を表示する燃料情報表示部と、該選出された走行ルートのうちの何れかの指定を受付ける、ルート指定受付部と、を備え、該指定のなされた走行ルートを案内するカーナビゲーション装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者等にルートを案内する、カーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者等にルートを案内する、カーナビゲーション装置(以下、「カーナビ装置」と略記することがある)が広く使用されている。カーナビ装置によれば、ある出発点から到着点までの各ルートのうちの何れかを、例えばユーザの指定に従って特定し、このルートを地図表示などによって案内する。これにより運転者は、目的地まで極力迷わずに車両を運転することが可能となるため、非常に便利である。
【0003】
また車両の使用に関して、走行に使用されるガソリン等の燃料の量(燃料使用量)は、経済的或いは環境的な観点から、極力抑えられることが望ましい。このような事情から、燃料使用量の削減に貢献するための技術が、種々提案されている。
【0004】
例えば特許文献1によれば、燃料使用量を監視して、急激な加速や減速を警告したり採点したりする技術が開示されている。また特許文献2によれば、燃料使用量を道路情報や渋滞情報などから予測し、ルート探索に反映する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−22505号公報
【特許文献2】特開2006−58085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ある出発点から到着点まで車両が走行する場合、どのようなルートが選択されるかによって、燃料使用量は変動するといえる。例えば、距離の短い(迂回などが少ない)ルート、良く整備されているルート、或いは渋滞の起こりにくいルート等が選択されれば、燃料使用量は比較的少なくなるが、そうでない場合には、燃料使用量は比較的多くなってしまう。
【0006】
そのためカーナビ装置においては、予め指定された出発点から到着点までの各ルートのうちの何れかをユーザに指定させるにあたって、各ルートの走行について見込まれる燃料使用量の情報が、ユーザに示されることが望まれる。これによりユーザは、燃料使用量を考慮したルートの指定が容易となり、ひいては、燃料使用量の低減を図ることが可能となる。
【0007】
なお特許文献1に開示された技術は、燃料の使用量に応じて警告や採点を行うものであるが、各ルートの走行における燃料使用量の情報を提供するものではない。また特許文献2に開示された技術によれば、燃料使用量を道路情報等に基づいて予測することから、過去に走行したことのないルートについても、燃料使用量の情報を提供することが可能である。しかしこの予測された燃料使用量は、予測精度が十分でないと、車両の実際の走行における燃料使用量とは大きく異なるおそれがある。
【0008】
本発明は上述した問題点に鑑み、指定された出発点から到着点までの各ルートの走行について見込まれる燃料使用量に関して、信頼性の高い情報を示すことが可能となる、カーナビゲーション装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るカーナビゲーション装置は、車両の走行に用いられた燃料使用量を検出する検出部と、該検出の結果を用いて、車両の走行ごとに、その走行ルートと燃料使用量実績を含む走行データを生成して蓄積する、走行データ蓄積部と、発着点の指定を受付ける発着点指定受付部と、前記走行ルートのうち、発着点が該指定のなされた発着点と略一致するものを選出する選出部と、前記走行データの各々を用いて、該選出された走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報を表示する燃料情報表示部と、該選出された走行ルートのうちの何れかの指定を受付ける、ルート指定受付部と、を備え、該指定のなされた走行ルートを案内する構成とする。
【0010】
本構成によれば、燃料使用量実績を含む走行データが用いられて、指定された出発点から到着点までの各ルートの燃料使用量実績に基づいた情報が表示される。そのため、当該各ルートの走行について見込まれる燃料使用量に関して、信頼性が高い情報を示すことが可能となる。
【0011】
また上記構成において、前記燃料情報表示部は、前記選出された各走行ルート同士における、燃料使用量実績の平均値の順位を判定し、該判定の結果を反映させた態様によって、前記表示を行う構成としても良い。
【0012】
本構成によれば、ユーザは、各走行ルート同士における、燃料使用量実績の平均値(通常、必要と見込まれる燃料使用量を表す)の順位を把握することが可能となる。そのためユーザにとっては、燃料使用量が小さくなると見込まれる走行ルートを指定することが容易となる。
【0013】
また上記構成において、前記燃料情報表示部は、前記選出された各走行ルートに対して、走行回数が所定の閾値を超えているか否かを判定し、該判定の結果を反映させた態様によって、前記表示を行う構成としても良い。
【0014】
本構成によれば、ユーザは、各走行ルートのうち、走行回数が所定の閾値を下回っているもの(燃料使用量に関する情報の信頼性が、比較的低くなりやすい)を把握することが可能となる。
【0015】
また上記構成において、前記走行データ蓄積部は、前記走行データの生成にあたって、該走行データに、車両の走行ごとにおける所定の走行条件をも含ませるものであり、前記燃料情報表示部は、前記走行データの各々のうち、指定された走行条件と合致するもののみを用いて、前記選出された走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報を表示する構成としても良い。
【0016】
本構成によれば、ユーザは、指定された走行条件下での、各ルートの走行について見込まれる燃料使用量に関する情報を把握することが可能となる。
【0017】
また上記構成としてより具体的には、前記走行条件は、曜日、季節、および天候のうちの何れかである構成としても良い。
【0018】
また上記構成としてより具体的には、前記検出部は、エンジンへの燃料噴射量、走行時のエンジン回転数、走行時のアクセル開度、および走行速度のうちの何れかの測定結果に基づいて、前記燃料使用量を検出する構成としても良い。
【発明の効果】
【0019】
上述の通り、本発明に係るカーナビゲーション装置によれば、燃料使用量実績を含む走行データが用いられて、指定された出発点から到着点までの各ルートの燃料使用量実績に基づいた情報が表示される。そのため、当該各ルートの走行について見込まれる燃料使用量に関して、信頼性が高い情報を示すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施形態について、車両に搭載されるカーナビゲーション装置(カーナビ装置)を例に挙げて、以下に説明する。当該カーナビ装置の構成概略を表すブロック図を、図1に示す。本図に示すように、カーナビ装置9は、演算制御部1、位置検出部2、燃料使用量検出部3、地図データ記憶部4、操作入力部5、表示部6、およびメモリ7などを備えている。
【0021】
演算制御部1は、CPU[Central Processing Unit]等から構成されており、カーナビ装置9において必要となる演算処理や制御処理を実行する。なお演算制御部1は、時計機能を有しており、現在の月日、時刻、および曜日などを認識可能となっている。またカーナビ装置9において実行される主な処理の内容については、改めて説明する。
【0022】
位置検出部2は、GPS[Global Positioning System]や地磁気センサ等を有しており、現在地(つまり、カーナビ装置9を搭載している車両の位置)を検出する。検出された位置の情報は、適宜、演算制御部1に伝送される。
【0023】
燃料使用量検出部3は、車両の走行時におけるエンジンへの燃料噴射量を測定することにより、車両の走行に用いられる燃料使用量を検出する。検出された燃料使用量の情報は、適宜、演算制御部1に伝送される。
【0024】
また燃料使用量検出部3は、上述したものの他、車両の走行時のエンジン回転数、走行時のアクセル開度、および走行速度のうちの何れかの測定結果に基づいて、同様に燃料使用量を検出するものであっても構わない。なお、このようにして燃料使用量を検出する手法自体については公知であるため、その詳細な説明は省略する。
【0025】
地図データ記憶部4は、例えばDVDやハードディスクなどによって構成されており、地図を表す地図データを記憶する。この地図データは、適宜、演算制御部1に伝送される。
【0026】
操作入力部5は、例えばユーザによって操作される押しボタンスイッチ等を有しており、操作の内容を演算制御部1に伝送する。これにより演算制御部1は、ユーザの意図を反映させた処理を行うことが可能となっている。
【0027】
表示部6は、ディスプレイを備えており、演算制御部1の指示に応じて各種の表示を行う。またメモリ7は、例えば書換え可能である不揮発性のメモリによって形成されており、種々の情報を記憶する。特にメモリ7によって記憶される情報には、走行データテーブルやルートデータテーブルが含まれる。
【0028】
ここで走行データテーブルとは、図2に示すように、メモリ7に登録済みであるルート(登録済みルート)の車両の走行ごとに生成される走行データを、1個または複数個有するものである。各走行データは、走行ナンバー(整理番号)、そのときの走行条件(走行日、曜日、および天候)、燃料使用量実績(燃料使用量検出部3によって検出された燃料使用量)、および走行時間などから形成されている。
【0029】
なお図2によれば、走行ナンバーが1から4までの各走行データは、何れも「通勤ルート1」というルートの走行によって生成されたもの(つまり、同一ルートの走行によって生成されたもの)であり、走行ナンバー5の走行データは、「通勤ルート2」というルートの走行によって生成されたものである。
【0030】
またルートデータテーブルとは、図3に示すように、登録済みルートごとに生成されるルートデータを、1個または複数個有するものである。各ルートデータは、ルート名、当該ルートの過去の走行回数(当該ルートに係る走行データの総数と見ることもできる)、燃料使用量実績に基づいた値(各走行データにおける燃料使用量実績の平均値、最大値、および最小値)、および平均走行時間などから形成されている。なお図3に示すように、「通勤ルート1」、「通勤ルート2」、および「通勤ルート3」の各ルートは、「通勤用」というルートカテゴリに属している。ルートカテゴリが同一であるルート同士は、発着点(出発点と到着点)が同一である。
【0031】
上述した走行データテーブルやルートデータテーブルの内容は、後述する、新規ルート登録処理やルート案内処理を通じて、逐次更新されることになる。またメモリ7は、各登録済みルートの地図上の経路や、各ルートカテゴリの発着点の地図上の位置などの情報も記憶している。
【0032】
カーナビ装置9は、上述した通りの構成となっており、車両の運転者に対して、予め指定されたルートを案内する処理(ルート案内処理)を実行する。また、未登録のルートを新たに登録するための処理(新規ルート登録処理)を実行する。ここで先ず、新規ルート登録処理の内容について、図4のフローチャートを参照しながら、詳細に説明する。
【0033】
演算制御部1は、ユーザによる新規ルート登録処理の実行指示が有った場合、新規ルート登録処理を開始する。そして先ず、演算制御部1は、ルートカテゴリ名、およびルート名の入力を受付ける(ステップS1)。
【0034】
なおステップ1の処理においては、入力されたルート名が、登録済みルートのルート名の何れかと同じである場合、ユーザにルート名の再入力が要求される。これにより、異なるルート同士に同一のルート名が付与されることが、未然に防止されるようになっている。
【0035】
そして演算制御部1は、入力されたルートカテゴリ名が未登録であるか否か(ルートデータテーブルに存在するルートカテゴリ名と一致するか否か)を判断する(ステップS2)。そして未登録であった場合には(ステップS2のY)、ユーザによる発着点の入力を受付ける(ステップS3)。この処理は、例えば、表示部6に地図を表示させ、ユーザに地図上の2点を指定させることにより実現される。
【0036】
ステップS1からステップS3までの処理により、これから登録しようとする新規ルートの、ルートカテゴリ名、ルート名、および発着点が決定される。なお、入力されたルートカテゴリ名が登録済みであった場合は(ステップS2のN)、過去の登録時において既に記録されている発着点の情報が読み出され、新規ルートの発着点とみなされる。
【0037】
その後、演算制御部1は、出発点の情報と位置検出部2による検出情報に基づいて、現在地が出発点に一致しているか否かを監視する(ステップS4)。このような監視は、現在地が出発点に一致していない場合、車両が出発点に移動させられるまで、継続されることになる。
【0038】
そして一致していると判断されたら(ステップS4のY)、演算制御部1は、表示部6に地図を表示させるとともに、この地図上に、出発点からの走行経路の履歴を表示する(ステップS5)。また燃料使用量検出部3は、出発点を出発してからの燃料使用量を検出する(ステップS6)。
【0039】
また演算制御部1は、到着点の情報と位置検出部2による検出情報に基づいて、現在地が到着点に一致しているか否か、つまり、車両が到着点に到着したか否かを監視する(ステップS7)。車両が未だ到着点に到着していない間は(ステップS7のN)、ステップS5およびS6の処理が、継続的に実行される。
【0040】
これによりユーザは、出発点から現在地までどのような経路を辿ってきたかを、随時確認することが可能となっている。また燃料使用量検出部3は、車両が出発点から到着点まで走行する間の燃料使用量を、検出することが可能となっている。なお演算制御部1は、出発点から到着点までの走行時間を監視している。
【0041】
そして運転者が車両を運転してきた結果、車両が到着点に到着した場合は(ステップS7のY)、これまで走行してきた出発点から到着点までのルートを新規ルートとして登録するか否かについて、ユーザの指示が受付けられる(ステップS8)。その結果、登録する旨の指示がなされた場合には(ステップS8のY)、今回の走行に関する各種情報が、メモリ7に記録される(ステップS9)
より具体的には、現時点の走行日と曜日、および天候(予めユーザによって入力済み)が、走行条件とみなされ、出発点から到着点までの走行における燃料使用量の検出結果が、燃料使用量実績とみなされ、出発点から到着点までの走行に要した時間が、走行時間とみなされて、今回の走行に対応した走行データが作成される。当該走行データは、走行データテーブルに追加される。またこれに伴い、ルートデータテーブルの内容も更新される。また今回の走行における地図上の経路や発着点の情報なども、メモリ7に記録される。なお今回の走行による記録内容は表示部6に表示され(ステップS10)、ユーザによって確認可能となる。
【0042】
一方、ステップS8の処理において、登録しない旨の指示がなされた場合には(ステップS8のN)、ステップS9およびステップS10の処理は省略される。
【0043】
次に、ルート案内処理の内容について、図5に示すフローチャートを参照しながら、詳細に説明する。
【0044】
演算制御部1は、ユーザによるルート案内処理の実行指示が有った場合、ルート案内処理を開始する。このとき先ず、演算制御部1は、ユーザによるルートカテゴリの指定を受付ける(ステップS11)。なお、ルートカテゴリは発着点を定めるものであるから、ルートカテゴリが指定されることにより、発着点が指定されたことになる。
【0045】
当該指定がなされたら、演算制御部1は、指定されたルートカテゴリに属している各登録済みルート(つまり、各登録済みルートのうち、発着点が指定された発着点と一致するもの)を選出する。そして更に、メモリ7に記憶されているルートデータテーブルや走行データテーブル等を用いて、選出された登録済みルートごとの各種データを、表示部6に表示させる(ステップS12)。
【0046】
ここで、「通勤用」のルートカテゴリが選択された場合における、ステップS12の処理による表示の一例を、図6に示す。当該表示によれば、「通勤用」のルートカテゴリに属している「通勤ルート1」、「通勤ルート2」、および「通勤ルート3」の各登録済みルートについて、地図上の経路が、表示窓6aに表示されている。また同じく、各登録済みルートについて、走行回数、平均走行時間、および燃料使用量実績に基づいた値(各走行データにおける燃料使用量実績の平均値、最大値、および最小値)の各々が、各表示窓(6b〜6d)に表示されている。
【0047】
このような表示がなされることにより、ユーザにとっては、同一のルートカテゴリに属する各登録済みルートについて、これまでの燃料使用量や走行時間の実績を比較検討することができ、どのルートを指定すれば良いかの判断が容易となっている。
【0048】
なお当該表示において、各ルートのデータを示す表示窓(6b〜6d)は、燃料使用量実績の平均値が少ないルートのものから順に(ここでは、「通勤ルート3」、「通勤ルート1」、「通勤ルート2」の順に)、優先的に(上側から並べて)表示されている。このことは、選出された各ルート同士における、燃料使用量実績の平均値の順位が予め判定され、この判定結果を反映させた態様にて、各データが表示されていると見ることができる。このように、燃料使用量実績の平均値が少ないルートが推奨された表示態様となっていることにより、ユーザは、燃料使用量が小さくなると見込まれるルートを指定することが容易となっている。
【0049】
また当該表示において、走行回数が所定の閾値を下回っているルートのデータを示す表示窓(6b〜6d)は、優先順位を下げて(つまり、他のルートに係る表示窓よりも下側に)表示されるようにしても良い。この場合、例えば当該閾値が3回であるとすると、走行回数が2回である「通勤ルート3」のデータの表示窓は、「通勤ルート1」や「通勤ルート2」のデータの表示窓よりも下側に表示されることになる。このことは、選出された各ルートに対して、走行回数が所定の閾値を超えているか否かが予め判定され、この判定結果を反映させた態様にて、各データが表示されていると見ることができる。
【0050】
走行回数の少ないルートのデータにおいては、燃料使用量の平均値が比較的大きくばらついていることも考えられ、データの信憑性がやや劣るおそれがある。そこで、このようなデータについては表示の優先順位を下げることにより、ユーザは、信憑性の高いデータを主に考慮して、ルートを選択することが容易となる。
【0051】
またステップS12の処理に係る表示がなされた状態にて、演算制御部1は、ユーザによるルートの指定を受付ける(ステップS13)。例えば図6の表示において、ユーザが表示窓(6b〜6d)の何れかを選べるようにしておき、表示窓6bが選ばれたときは「通勤ルート3」のルートが指定されたとみなし、表示窓6cが選ばれたときは「通勤ルート1」のルートが指定されたとみなし、表示窓6dが選ばれたときは「通勤ルート2」のルートが指定されたとみなすようにする。またこのとき、表示窓6eが選ばれたときは、先述した新規ルート登録処理が実行されるようにしても構わない。
【0052】
その後、演算制御部1は、位置検出部2による検出情報に基づいて、現在地が指定されたルートの出発点に一致しているか否かを監視する(ステップS14)。このような監視は、現在地が出発点に一致していない場合、車両が出発点に移動させられるまで、継続されることになる。
【0053】
そして一致していると判断されたら(ステップS14のY)、演算制御部1は、表示部6に地図を表示させるとともに、この地図上に、指定されたルートの経路および出発点からの走行経路の履歴を表示する(ステップS15)。これにより、運転者に対する、指定されたルートの案内が実現されることになる。また燃料使用量検出部3は、出発点を出発してからの燃料使用量を検出する(ステップS16)。
【0054】
車両が未だ到着点に到着していない間は(ステップS17のN)、ステップS15およびS16の処理が、継続的に実行される。これによりユーザは、到着点までの残りの経路を確認しながら運転することが可能であるとともに、出発点から現在地までどのような経路を辿ってきたかを、随時確認することが可能となっている。また燃料使用量検出部3は、車両が出発点から到着点まで走行する間の燃料使用量を、検出することが可能となっている。なお演算制御部1は、出発点から到着点までの走行時間を監視している。
【0055】
そして運転者が車両を運転してきた結果、車両が到着点に到着した場合は(ステップS17のY)、演算制御部1は、今回の走行経路が、登録済みルートの何れかに一致しているか否かを判断する(ステップS18)。そして一致している場合は(ステップS18のY)、今回の走行に関する各種情報が、メモリ7に記録される(ステップS19)。
【0056】
より具体的には、今回の走行による走行データが、一致している登録済みルートの走行データの一つとして、ステップS9の処理と同様にして作成され、走行データテーブルに追加される。またこれに伴って、ルートデータテーブル(当該登録済みルートのルートデータの部分)が更新される。
【0057】
そしてステップS19の処理による記録内容(更新内容)が、表示部6に表示される(ステップS20)。これによりユーザは、今回の走行によって記録された各情報の内容を確認することが可能となっている。
【0058】
一方、今回の走行経路が、登録済みルートの何れとも一致していない場合には(ステップS18のN)、演算制御部1は、今回の走行経路を新規ルートとして新たに登録するか否かの指示を、ユーザに求める(ステップS22)。そして登録する旨の指示がなされた場合は(ステップS22のY)、ルート名の入力を受付ける(ステップS23)。なおこの場合も、ステップS1の処理と同様に、入力されたルート名が、登録済みルートのルート名の何れかと同じである場合は、ユーザにルート名の再入力が要求される。
【0059】
その後、今回の走行に関する各種情報が、メモリ7に記録される(ステップS24)。より具体的には、入力されたルート名にて、今回の走行による走行データがステップS9の処理と同様にして作成され、走行データテーブルに追加される。またこれに伴って、ルートデータテーブル(ステップS11の処理において指定されたルートカテゴリに関する部分)が更新される。また今回の走行における地図上の経路が、メモリ7に記録される。
【0060】
そしてステップS24の処理による記録内容(更新内容)が、表示部6に表示される(ステップS25)。これにより、記録内容がユーザによって確認可能となっている。なおステップS20またはS25の処理が完了した場合、或いは、ステップS22の処理において、登録しない旨の指示がなされた場合(ステップS22のN)には、ルート案内処理は終了される。
【0061】
以上に説明したルート案内処理によれば、ユーザによるルートの指定を受付けるにあたって、登録済みルートの各々についての燃料使用量実績に基づいた情報が表示される(ステップS12を参照)。そのためユーザは、これからの走行に要すると見込まれる燃料使用量を考慮しつつ、カーナビ装置9に案内させるルートを指定することが可能となっている。
【0062】
なお燃料使用量実績に基づいた情報は、車両が実際に走行したときの燃料使用量の検出結果(実績)に基づいたものであり、当該車両に固有の走行性能や特徴等をも反映しているといえる。そのため当該情報は、例えば一般的な道路情報等から推測された燃料使用量の情報などに比べて、当該車両の走行に要すると見込まれる燃料使用量をより的確に表しており、信頼性が高いといえる。その結果、ユーザとっては、カーナビ装置9に案内させるルートを適切に指定することが容易となっている。
【0063】
また先述したステップS12の処理については、上述したものの他、例えばユーザの要求に応じて、走行条件が考慮されたモード(条件考慮モード)によって実現されるようになっていても良い。この条件考慮モードによれば、メモリ7に記録されている各走行データのうち、指定された走行条件と合致するもののみが用いられて、選出されたルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報が表示される。
【0064】
通常のステップS12の処理では、例えば、走行データテーブルが図2に示す通りである場合、図6に示される「通勤ルート1」についての燃料使用量実績の各値(平均値、最大値、最小値)の算出には、走行ナンバーが1〜4の各走行データ(「通勤ルート1」に属する全ての走行データ)が用いられることになる。
【0065】
しかし、条件考慮モードによるステップS12の処理では、例えば「晴れ」という走行条件が指定された場合、同じく「通勤ルート1」についての燃料使用量実績の各値の算出には、「晴れ」という走行条件に合致している、走行ナンバーが1と2の走行データのみが用いられることになる。つまり、「雨」や「曇り」に係る走行データは、燃料使用量実績の平均値の算出などには勘案されないようになる。
【0066】
また、条件考慮モードによるステップS12の処理では、例えば「木曜日」という走行条件が指定された場合、同じく「通勤ルート1」についての燃料使用量実績の各値の算出には、「木曜日」という走行条件に合致している、走行ナンバーが1と4の走行データのみが用いられることになる。つまり、他の曜日に係る走行データは、燃料使用量実績の平均値の算出などには勘案されないようになる。
【0067】
また条件考慮モードでは、メモリ7に記録されている各走行データのうち、現時点の走行条件と合致するもののみが用いられて、走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報が表示されるようになっていても良い。
【0068】
この場合、ステップS12の処理では、例えば「曜日」という走行条件のカテゴリが指定された場合、先ず現時点が何曜日であるかが判別される。そして現時点が「木曜日」であるとすれば、図6に示される「通勤ルート1」についての燃料使用量実績の各値の算出には、「木曜日」という走行条件に合致している、走行ナンバーが1と4の走行データのみが用いられることになる。つまり、「木曜日」以外の曜日に係る走行データは、燃料使用量実績の平均値の算出などには勘案されないようになる。
【0069】
このように条件考慮モードが設けられていれば、ユーザは、例えば現時点の天候が雨であれば、雨の日に燃料使用量が少なくなると見込まれるルートを把握し、このルートを、カーナビ装置9に案内させるルートとして指定することが可能となる。なお道路によっては、例えば日曜日は渋滞し易い(燃料使用量が多くなる)が、他の曜日は比較的空いている(燃料使用量が少なくて済む)といったように、走行条件によって燃料使用量が変動することもあるため、条件考慮モードを設けることは有用であるといえる。
【0070】
なお条件考慮モードにおいて考慮される走行条件としては、走行時の曜日、季節(例えば、3〜5月は春、6〜8月は夏、9〜11月は秋、12月〜2月は冬とする)、および天候などが挙げられるが、他の条件が採用されても構わない。
【0071】
以上に説明した通り、カーナビ装置9は、車両の走行に用いられた燃料使用量を検出する燃料使用量検出部3(検出部)を有している。また、この検出の結果を用いて、車両の走行ごとに、その走行ルートと燃料使用量実績を含む走行データを生成して蓄積する機能、発着点の指定を受付ける機能、および、当該走行ルートのうち、発着点が指定のなされた発着点と略一致するものを選出する機能、の各々を有している。また更に、走行データの各々を用いて、選出された走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報を表示する機能、および、選出された走行ルートのうちの何れかの指定を受付ける機能を備え、指定のなされた走行ルートを案内するものとなっている。
【0072】
そのため、指定された出発点から到着点までの各ルートの走行について見込まれる燃料使用量に関して、信頼性の高い情報を示すことが可能となっている。
【0073】
以上の通り、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えて実施され得る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、カーナビゲーション装置等の分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係るカーナビゲーション装置の構成図である。
【図2】走行データテーブルに関する説明図である。
【図3】ルートデータテーブルに関する説明図である。
【図4】新規ルート登録処理に関するフローチャートである。
【図5】ルート案内処理に関するフローチャートである。
【図6】ステップS12の処理に関する説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 演算制御部
2 位置検出部
3 燃料使用量検出部
4 地図データ記憶部
5 操作入力部
6 表示部
6a〜6e 表示窓
7 メモリ
9 カーナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に用いられた燃料使用量を検出する検出部と、
該検出の結果を用いて、車両の走行ごとに、その走行ルートと燃料使用量実績を含む走行データを生成して蓄積する、走行データ蓄積部と、
発着点の指定を受付ける発着点指定受付部と、
前記走行ルートのうち、発着点が該指定のなされた発着点と略一致するものを選出する選出部と、
前記走行データの各々を用いて、該選出された走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報を表示する燃料情報表示部と、
該選出された走行ルートのうちの何れかの指定を受付ける、ルート指定受付部と、
を備え、
該指定のなされた走行ルートを案内することを特徴とする、カーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記燃料情報表示部は、
前記選出された各走行ルート同士における、燃料使用量実績の平均値の順位を判定し、
該判定の結果を反映させた態様によって、前記表示を行うことを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記燃料情報表示部は、
前記選出された各走行ルートに対して、走行回数が所定の閾値を超えているか否かを判定し、
該判定の結果を反映させた態様によって、前記表示を行うことを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記走行データ蓄積部は、
前記走行データの生成にあたって、該走行データに、車両の走行ごとにおける所定の走行条件をも含ませるものであり、
前記燃料情報表示部は、
前記走行データの各々のうち、指定された走行条件と合致するもののみを用いて、前記選出された走行ルートごとの燃料使用量実績に基づいた情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記走行条件は、曜日、季節、および天候のうちの何れかであることを特徴とする請求項4に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記検出部は、
エンジンへの燃料噴射量、走行時のエンジン回転数、走行時のアクセル開度、および走行速度のうちの何れかの測定結果に基づいて、前記燃料使用量を検出することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のカーナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−78563(P2010−78563A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−250498(P2008−250498)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】