カーボンナノチューブと金属炭酸塩とを具備する複合材料
本発明は、カーボンナノチューブ複合材料、それの生成の方法、そして、そのような複合材料の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ(carbon nanotube)複合材料と、それの製造の方法と、そのような複合材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)の潜在的な利用性は、(1)良好な面内電気伝導率、(2)高いアスペクト比、(3)高い化学的安定性、そして、(4)高い機械的強度などのように、優れた特性のために、非常に大きい。これらの特性は、複合材料における利用のために、CNTを魅力的にしており、CNT成分が、引っ張り強度および電気伝導率などの材料特性を改良している。調査された複合材料の多くは、CNTと有機ポリマーとの混合である。無機材料(セラミック)を含むCNTの複合材料のわずかな例が、報告されている。これらの例における無機成分は、金属の炭化物、窒化物、ケイ酸塩、リン酸塩、または、酸化物であり、アルミナ、シリカ、チタニア、そして、ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite)を含んでいる。
【0003】
炭酸カルシウムを含むセラミック複合材料は、特に、バイオ材料として広く知られている。たとえば、真珠層(mother−of−pearl)として知られているナクレ(Nacre)は、天然の複合材料であり、95wt%以上の炭酸カルシウムと、1〜5%の有機物とを含んでいる。ナクレは、優れた機械的特性を有し、破壊靱性が炭酸カルシウム成分のみよりも多い、3000回である。ナクレの成長と、その結果で生ずる構造的および機械的な特性は、無機および有機成分の間の相互作用に大きく依存する。
【0004】
新しい複合材料を作るために、相当な努力が、生物学的過程を再現することに費やされている。そのような実験のための有機成分は、しばしは、極性基を含むポリマーである。通常、使用される極性基は、一般にカルボン酸(−COOH)であって、カルシウムイオンに連携することによって炭酸カルシウムに結合できる。炭酸カルシウムのカルボン酸塩の酸素原子と、アミドを含んでいるポリマーの−NH基との間の水素結合は、合成的に生成された炭酸カルシウムの結晶性複合材料において、既成なものでない結合機構として示されている。炭酸カルシウムの結晶を、選択的に、成長または堆積することは、炭酸カルシウムの結晶化を促進または禁止する官能基を持った基板の表面をパターニングすることによって可能になる。生態模倣の複合材料は、多くの用途があり、特に、医療分野において、たとえば、骨または歯の置換や、それらを生態適合(biocompatible)させるように医療移植片(medical implant)の表面処理のためなどがある。
【0005】
生物医学的応用に加えて、CNTを含んでいる複合材料の新しいタイプは、電界放出ディスプレー(FED)と、電界効果型トランジスタ(FET)とのような、電子機器の発展において、重要になるものと、期待されている。
【0006】
CNTは、利用可能である最良な電界放出材料のひとつであり、FEDの次世代における理想的な候補であると、考えられている。FEDのカソードを加工するための2つの一般的アプローチは、化学気相堆積(CVD)によってCNTの直接的な成長を介することと、プレ合成されたCNTの堆積である。CVDは、一般に反応性な環境と温度(典型的には、>800°C)とが必要であり、それゆえ、低融点(〜650°C)なガラス基板とポリマー系とを用いている、FEDの加工のために使用することから、本方法を抑制している。プレ合成されたCNTを含むペーストのスラリースクイーズ(Slurry−squeeze)、または、スクリーン印刷(screen−printing)は、相対的に、大きなエリアでの電界放出の用途にとって、低コストプロセスではあるが、公になったプロセスは、一般に、そのペーストをポストアニーリング(post−annealing)するためには、>300°Cの温度が必要である。他のプロセスは、CNTポリマーフィルムを堆積するために吸引鋳造法を使用するが、このプロセスは、残留溶媒を除去するためと、そのフィルムにおけるボイドを抑制するために、ホットプレスを必要とする。電界放出のためのCNTフィルムは、また、電気泳動析出を用いて加工されているが、800°Cの加熱が、残留溶媒を除去するために必要とされていた。CNT電界放出カソードを加工するために、今までのところ、報告された唯一の室温技術は、自己組織化(self−assembly)ディップ・コーティング・プロセス(dip−coating process)によって基板上にCNTの自己組織化を利用するが、このアプローチは、水−基板−空気の三重線での表面相互作用に依存し、それ故に、加工条件に敏感で、制御することが困難である。
【0007】
従来方法を用いてCNTベースのFEDを加工する主な障害は、基板とCNTとの間に良好な電気接点を実現することである。プアな電気接点は、CNT−基板界面で抵抗加熱をもたらし、放出において恒久的な劣化に導く(Nilsson et al.,Applied Physics Letters 79,1036 (2001))。本発明の実施形態によれば、導電性基板のさまざまな種類にて堆積されたCNTの走査型電子顕微鏡(SEM)測定は、CNTが、その基板と良好な電気接点を形成していることを示している。
【0008】
CNTの最も有望な用途のひとつは、FETのチャネルとしてのそれらの用途を含む。特に、ランダムなアレイ、または、ランダムなネットワーク、単層CNT(SWNT)の低密度に基づいているトランジスタは、アモルファスシリコンまたはペンタセンに基づいているものに優れたデバイス性能を有することが示されている(Shiraishi et al.,Chemical Physics Letters 394,110(2004);Meitl et al.,Nano Letters 4,1643(2004);Zhou et al.,Nano Letters 4,2031(2004);Hu et al.,Nano Letters 4,2513(2004);Snow et al.,Applied Physics Letters 86,033105(2005))。ゲート材料として、液体または固体の電解質の使用することは、バックゲートデバイスに比較して、改良されたデバイス特性を与えることができる(Kruger et al.,Applied Physics Letters 78,1291(2001);Rosenblatt et al.,Nano Letters 2,869(2002);Lu et al.,Nano Letters 4,623(2004))。さらに、CNTベースのFETの性能は、金属性の経路が電気的輸送に占めるよりも、むしろ、半導電性になるように、そのアンサンブルにおいて金属性のナノチューブに変更し(Avouris,Chemical Physics 281,429(2002);Joselevich,Angewandte Chemie International Edition 43,2992(2004);Balasubramanian et al.,Nano Letters 4,827(2004); Seidel et al.,Nano Letters 4,831(2004);Meitl et al.,Nano Letters 4,1643(2004);Snow et al.,Applied Physics Letters 86,033105(2005);Li and Zhang,Carbon 43,651(2005))、および/または、ドーピングすることによって(Takenobu et al.,Nature Materials 2,683(2003);Lu et al.,Nano Letters 4,623(2004);Zhou et al.,Nano Letters 4,2031(2004))、電気的または化学的プロセスを通じて改良される。しかしながら、いくつかの課題は、CNTのランダムなネットワークに基づいているトランジスタが現行のCMOSベースのトランジスタに競合できるようになる前に、克服されなければならない。これらは、その位置と、そのネットワークにおけるCNTの密度とを制御する能力を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、有機セラミック複合材料を必然的に生ずる構造を、準備および再現することが容易なカーボンナノチューブ複合材料を与えることにある。また、本発明の目的は、先行技術において一般に利用されるように、特に、高温にすることなく、カーボンナノチューブを基板上に堆積させることによって、カーボンナノチューブ複合材料を製造する方法を与えることにある。さらに、本発明の目的は、基板とカーボンナノチューブとの間において良好な電気接点を、また、与える間に、位置と密度との両者を制御して、カーボンナノチューブを基板上に堆積することを許容するカーボンナノチューブ複合材料を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これら全ての目的は、複合材料が、
カーボンナノチューブと、
Me−炭酸塩とを有し、Meが金属カチオン、好ましくは、2価の金属カチオンであることによって解決される。
【0011】
一の実施形態においては、Meは、異なる金属カチオンの混合であり、ここでは、好ましくは、MeがCa2+または、Mg2+またはCa2+とMg2+との組み合わせである。
【0012】
一の実施形態においては、前記Me−炭酸塩は、極性溶媒において、不溶性、または、ごく僅かな範囲で可溶性であり、好ましくは、前記極性溶媒は水であり、前記Me−炭酸塩は、2価のカチオンの炭酸塩であり、好ましくは、CaCO3であり、好ましくは、前記Me−炭酸塩は、25℃での溶解度積定数Kspを有し、前記Kspは、−log Kspが+3から+33までの範囲であるような値を選ぶ。その溶解度積定数Kspは、難溶性の塩の溶解度を示すエンティティ(entity)であり、たとえば、Atkins “Physical Chemistry”,3rd edition,Oxford University Press, Reprinted 1988,chapter 12.4において示され、定義されており、その内容は、参照することにより、それの全体において含まれている。
【0013】
一の実施形態においては、カーボンナノチューブは、単層、二層、または、多層のカーボンナノチューブ、または、前述のナノチューブのいずれかの組み合わせである。
【0014】
好ましくは、−COOH、−OH、−CONH2および/または−CONHCONH2などの酸素原子を含む官能基は、前記カーボンナノチューブに取り付けられており、その官能基が、水のような、極性溶媒中にて、カーボンナノチューブを溶解させるか、または、分散させる。ここで使用されているように、用語「複合材料(composite)」は、成分を分離する明瞭な界面によって、形態または組成が異なる、少なくとも2つの材料の3次元的な組合せに言及するものである。本発明の特殊な複合材料は、また、成分の一体化が分子のスケールに近づいているので、有機−無機「ハイブリッド」材料であるとみなされる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態においては、少なくとも2つの成分のうちのひとつにおいて、言及は、「複合材料」に合わしており、さらに進行するステップによって、除去または可能ならば置換されている。
【0015】
用語「機能的な(functional)」は、ここでは、極性特性を伝えるために、言及しているところであり、そして、「官能基(functional group)」は、ここでは、それらと関連している分子または材料に対する極性特性を伝える、原子または原子のグループを言及している。本発明による複合材料において、そのような官能基によってカーボンナノチューブに与えられた極性特性は、ナノチューブと、極性溶媒,そのMe−炭酸塩と、基板との間の相互作用を、より強くしている。官能基は、その官能基における原子(または複数の原子)と、そのカーボンナノチューブにおける原子(または複数の原子)との間の直接的な共有結合によって、カーボンナノチューブと関連している。あるいは、官能基は、非直接的にカーボンナノチューブに関連しており、その官能基における原子(または複数の原子)と、非共有的にカーボンナノチューブに結合した原子(または、複数の原子)との間の直接的な共有結合がある。
【0016】
用語「溶解(soluble)」と「分散(dispersible)」は、「solution」/「dispersion」と「dissolved」/「dispersed」との一組についても関係するものであり、溶媒中においてカーボンナノチューブに言及するときに、相互に交換可能に使用されている。しかしながら、溶解度は、本文においては、真実の分子分散を必ずしも意味しないが、むしろ、コロイド分散または懸濁液に言及しており、ここでは、いくつかの、または、たくさんの個々のカーボンナノチューブが、「束(bundle)」または、「ロープ(rope)」として言及されているものに関連している。これらのアセンブリは、2次元(2D)の「フィルム(film)」と、ランダムに相互接続した3次元(3D)の「マット(mat)」とへからませる。乾燥する際には、そのようなランダムな相互接続した構造は、ときどき「bucky paper」として言及されている、フレキシブルなメンブレンのような材料を形成する。
【0017】
用語「極性溶媒(polar solvent)」は、ここでは、本発明による複合材料を生成するために、適合している溶媒に言及するときに、使用されている。そのような溶媒にとって必要な特殊な特徴は、カーボンナノチューブ成分を溶解する能力と、複合材料のMe−炭酸塩成分を溶解する能力がないことである。その好ましい極性溶媒は、水であるが、水と混和性のある極性有機溶媒は、また、一般に適する。適する極性有機溶媒は、ホルムアミド(HCONH2)、N,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3)2)、1−メチル−2−ピロリドン(−(CH2)3CON(CH3)−)、ジメチルスルホキシド(CH3)2SO、そして、C1−C3アルコールを含む。ここでは、後者の用語が、1,2,そして、3の炭素原子を含む有機アルコール)を含み、より具体的には、メタノール(CH3OH)、エタノール(CH3CH2OH)、プロパノール(CH3CH2CH2OH)、イソプロパノール(CH3)2CH2OH)、エチレングリコール(HOCH2CH2OH)、1,3−プロパングリコール(HOCH2CH2CH2OH)、1,2−プロパングリコール(CH3CHOHCH2OH)、そして、グリセロール(HOCH2CHOHCH2OH)である。
【0018】
一の実施形態においては、極性溶媒に溶解する前記カーボンナノチューブを作る前記酸素含有の官能基は、ナノチューブの末端に位置する。このシナリオは、それが複合材料内においてチューブの端と端またはコ・リニア(co−linear)な配置を好む利点を有する。「コ・リニア」は、ここでは、同じ長手方向軸に位置合わせするシーンにおいて使用される。
【0019】
一の実施形態においては、前記官能基は、前記カーボンナノチューブの壁の上に位置する。このシナリオは、平行またはチューブの並んだ配置にとって適している。
【0020】
一の実施形態においては、前記官能基は、前記カーボンナノチューブの端の上と壁の上とに位置する。
【0021】
一の実施形態においては、前記カーボンナノチューブは、束またはロープへ集められる。
【0022】
好ましくは、酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素の融点より高い温度、好ましくは、約140〜160°C、より好ましくは、約150°Cに加熱される。
【0023】
好適な実施形態においては、酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素、または、その分解生成物が、前記酸素を含有する官能基を変更するように反応し、および/または、重合して、−水またはC1−C3アルコールのような極性溶媒中においてカーボンナノチューブを溶解させる、CONH2と−CONHCONH2とのような、新しい官能基を生成し、
【0024】
好適な実施形態においては、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのような、ベンズアルデヒドアルデヒドは、前記変更および/または重合反応を調節するように、その尿素に加えられる。
【0025】
好ましくは、前記金属カチオンMeは、Ag1+,Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Sn2+,Pb2+,Eu2+,Sc3+,Y3+,La3+,Ce3+,Pr3+,Nd3+,Pm3+,Sm3+,Eu3+,Gd3+,Tb3+,Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Yb3+,そして、Lu3+そして、Bi3+からなる金属イオンのグループから選ばれる。これらの金属カチオンは、上記のように定義されているように、極性溶媒において不溶またはごく僅かな範囲のみ可溶なMe−炭酸塩を形成することが知られている。
【0026】
一の実施形態においては、前記Me−炭酸塩は、実験式(Me)x(CO3)y(OH)zを有し、Meは、2価の金属カチオン、好ましくはCa2+またはMg2+またはCa2+とMg2+の組合せであり、そして、x,y,zは、式x=y+z/2を満足し、z=0を含む整数値であり、好ましくは、前記Me−炭酸塩は、CaCO3であり、好ましくは、前記CaCO3は、CaCO3のアモルファスまたは結晶の相、または、それらの組合せである。
【0027】
一の実施形態においては、前記金属カチオンMeは、一般式MOnm+を有するシンプルな単量のオキソカチオンを含むグループから選ばれる。ここでは、n=1または2,そしてm=1,2または3でありOは、酸素を示し、そして、Mは、V(バナジウム)とU(ウラン)とから選ばれる金属を示している。好ましくは、M=Vのとき、前記オキソカチオンは、VO2+(バナディルイオン)であり、そして、M=Uのとき、前記オキソカチオンは、UO22+(ウラニルイオン)である。これらのイオンは、MO単位を含む。ここでは、金属−酸素結合は、本質的に二重結合(すなわち、M=O)であり、そして、それは、さまざまな化学反応を解して存続する。その金属−酸素結合の両性な本質は、酸素原子上にて部分的に負な電荷を生成し、そして、金属オキソカチオンの酸素原子とグループを提供する水素結合との間での水素結合の可能性を促進する(Franczyk et al.,Journal of the American Chemical Society 114,8138(1992))。さらに、ウラニルイオンは、炭酸塩イオン(CO32-)をカルボン酸塩の基(−COO-)として伴った、安定な錯体を形成することが知られている(Franczyk et al.,Journal of the American Chemical Society 114,8138(1992))。そのバナジルイオンは、また、カルボン酸塩の基を含むさまざまな化合物を伴った安定な錯体を形成する(Selbin,Chemical Reviews 65,153(1965);Garribba et al.,Inorganic Chemistry 42,3981(2003))。これらの事項は、VO2+そして、UO22+、Ca2+などの金属カチオンのような、シンプルな単量のオキソカチオンの炭酸塩化合物が、−COOH,−OH,−CONH2、および/または−CONHCONH2のように、酸素原子を含む結合された官能基を持つカーボンナノチューブを伴った複合材料を形成することができる期待を導く。
【0028】
一の実施形態においては、複合材料における前記カーボンナノチューブは、複合材料における固体の全重量において、0.01〜10%であり、好ましくは、0.2〜5%である。
好ましくは、本発明における複合材料は、基板上にある。
【0029】
好ましい実施形態においては、本発明における複合材料は、溶液からの析出物によって生成され、ここでは、好ましくは、それは、溶液から析出され、そして、収集され、好ましくは、遠心分離による。一の実施形態においては、前記複合材料、収集後のもの、は、そのとき、基板上に堆積される。
【0030】
一の実施形態において、前記複合材料は、乾燥され、そして、パウダーの形態中にある。そのパウダーは、それが注がれることが可能な感じにフリーに流れる。好ましくは、前記パウダーは、0.1μmから100μmまでの一次粒子のサイズを有し、ここでは、用語「一次粒子」は、顕微鏡によって識別できる、複合材料の最も小さな粒子を言及している。その一次粒子は、より大きな集合を形成する。
【0031】
好ましくは、遠心分離の間、前記複合材料に加えられた向心力は、0.1Nから1000Nまでの範囲であり、好ましくは、0.1Nから100Nであり、より好ましくは、0.5Nから50Nであり、そして、最も好ましくは、1Nから40Nである。一の実施形態においては、遠心分離の間、前記複合材料に加えられる求力圧は、求心圧0.01MPaから5MPaまでの範囲であり、好ましくは、0.01MPaから4MPaであり、より好ましくは0.02MPaから3MPaまでであり、そして、最も好ましくは、0.06MPaから2MPaである。
【0032】
一の実施形態においては、前記複合材料は、溶液からの析出によって生成されており、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を極性溶媒中においてMeの非炭酸塩と炭酸イオンのソースとに結合するステップを含み、ここでは、前記極性溶媒は、好ましくは、水または、C1−C3アルコールである。
【0033】
好ましくは、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を、第1の極性溶媒中において、Me−炭酸塩のパウダーで、またはMe−炭酸塩の分散で、第2の極性溶媒において結合するステップを含み、ここでは前記第1と前記第2の極性溶媒は、好ましくは、水とC1−C3アルコールとから選ばれ、そして、ここでは、さらに好ましくは、前記第1と前記第2の極性溶媒は、同じである。
【0034】
一の実施形態においては、前記複合材料は、懸濁液として基板上に堆積される。
【0035】
一の実施形態においては、それは、溶液から基板上に直接的に析出される。
【0036】
好ましくは、前記複合材料は、懸濁液の形成中においては、0.1μmから100μmの範囲において、一次粒子のサイズを有し、ここでは、用語「一次粒子」は、顕微鏡によって識別できる複合材料の最も小さい粒子を言及している。一次粒子は、集合(2次粒子)より大きくなるように形成される。
【0037】
好ましくは、前記基板は、ガラス、シリコン、半導体、金属、セミ金属(semi−metal)、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、骨から選ばれる材料によって作られている。
【0038】
好ましくは、前記基板は、パターン化された基板(a patterned substrate)である。
【0039】
一の実施形態においては、前記複合材料における前記Me−炭酸塩は、,複合材料を酸に曝すことにより、別のMe−塩に、一部または完全に変換することによって処理され、すなわち、前記Me−塩を生成し、ここでは、好ましくは、前記Me−炭酸塩を別のMe−塩に変形した後に、前記複合材料は、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールなどの極性溶媒でリンスされ、別の塩を除く。好ましくは、前記酸は、水溶液であり、より好ましくは、鉱酸であり、さらに好ましくは、塩酸または硫酸である。他の実施形態においては、しかしながら、前記酸は、高濃度な鉱酸であり、たとえば、高濃度な塩酸または硫酸であり、そして酸への曝露は、酸性の蒸気に曝露することによって生ずる。
【0040】
一の実施形態においては、前記酸への曝露を受けた前記複合材料は、カーボンナノチューブシェルを含み、それは、好ましくは、1μmから100μmまでの範囲において3次元全体にて平均長さを有し、より好ましくは、5μmから30μmまでである。そのようなシェルは、主に、カーボンナノチューブからなる外側部分と、そして、主に、塩,溶媒,そして、他のナノチューブ以外の成分からなる内部体積とを含む。これらのシェルは、一般に、Me−炭酸塩または別のMe−塩(酸曝露後)の結晶の全体的な形に適合するように現れる。本発明は、そのようなシェルが、それらの内部体積において物質を移動するために小胞として使用されると、予想する。
【0041】
一の実施形態において、前記複合材料は、乾燥され、好ましくは、Me−炭酸塩を別のMe−塩へ変換後に、基板上においてなされる。好ましくは、そのように乾燥された複合材料は、少なくとも一つのカーボンナノチューブ層を含み、好ましくは、基板上においてなされる。そのようなカーボンナノチューブ層は、また、ときどき、カーボンナノチューブ「マット」として言及される。それは、前記シェル基板上にて乾燥したもの、は、崩壊し、そして、それゆえ、「マット」を、平らにする
【0042】
一の実施形態において、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、加熱することにより金属または金属酸化物にそれを一部または全部変形することによって、処理する。
【0043】
一の実施形態において、前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、還元することにより金属または金属酸化物にそれを一部または全部変形することによって、処理される。これは、直接または金属酸化物を介して生ずる。
【0044】
本発明の目的は、また、以下のステップを具備するカーボンナノチューブ複合材料を形成する方法により解決される。
a)カーボンナノチューブを与え、
b)そのカーボンナノチューブを極性溶媒、好ましくは、水または、C1−C3アルコールにおいて分散し、
c)金属カチオンと炭酸塩アニオンとをカーボンナノチューブが分散された前記極性溶媒に導入し、そして、
d)Me−炭酸塩と前記カーボンナノチューブとを共に析出することを含み、ここでは、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、異なる金属カチオンの混合、最も好ましくは、Ca2+、または、Mg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり、それによって、前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料を形成する。
【0045】
一の実施形態において、ステップb)は、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒においてカーボンナノチューブを分散させ、その官能性のカーボンナノチューブを、その極性溶媒において分散させる、COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2などのような、官能基を持った前記カーボンナノチューブを与えることによって、起こる。
【0046】
好ましくは、ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素に混合し、そして、尿素を溶融することによって生じ、前記溶融が、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのようなベンズアルデヒドアルデヒドの存在において任意に生じ、そして、その後、そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノール、または、エタノールのような、極性溶媒中において分散することによって起こる。
【0047】
一の実施形態において、ステップc)とd)は、Meの非炭酸塩を、前記官能性のカーボンナノチューブを含む前記極性溶媒中において溶解し、そして、気体の炭酸アンモニア、または、気体アンモニアとカーボン二酸化物との混合に前記溶液を露出することによって起こり、前記カーボンナノチューブと、前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0048】
好ましくは、前記Meの非炭酸塩は、1価,2価、または、3価の金属カチオンを含み、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せであり、ここでは、好ましくは、前記Meの非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である。
【0049】
一の実施形態においては、ステップc)とd)は、第1に、一価のカチオンの炭酸塩、または、それの溶液を、第2に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液を、極性溶媒においてカーボンナノチューブの分散と結合させ、または、カーボンナノチューブの分散を、極性溶媒中において、第1に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液と、そして、第2に、一価の金属カチオンの炭酸塩、または、それの溶液に結合させることによって起こり、ここでは、Meは、カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0050】
好ましくは、一価のカチオンの前記炭酸塩は、Na2CO3であり、そして、前記Meの非炭酸塩は、CaCl2である。
【0051】
別の実施形態においては、ステップc)とd)は、前記カーボンナノチューブの分散を極性溶媒において任意の順序で尿素、または、それの溶液と、Meの非炭酸塩、または、それの溶液に結合させることによって生じ、ここでは、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオンであり、より好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せであり、そして、その後、前記溶液または分散を加熱し、結果としてそのような結合をし、尿素の分解を促進させて前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0052】
一の実施形態においては、ステップc)とd)は、カーボンナノチューブの分散に、極性溶媒において、任意の順序で、尿素、または、その溶液、そして、Meの非炭酸塩、または、その溶液に結合することによって起こり、ここでは、Meは、金属カチオン、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり,そして、ウレアーゼ(urease)、または、その溶液であり、、尿素の分解をし、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0053】
好ましくは、前記Me−炭酸塩は、CaCO3であり、Meの非炭酸塩は、CaCl2である。
【0054】
一の実施形態において、前記Me−炭酸塩と前記カーボンナノチューブとの前記共析は、基板の存在において生ずる。
【0055】
本発明の目的は、また、以下のステップを具備する、カーボンナノチューブ複合材料を形成する方法によって解決されるものである。
a)カーボンナノチューブを与え、
b)極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコール中において、そのカーボンナノチューブを分散し、
c)Me−炭酸塩粒子、好ましくは、微細に分配されたMe−炭酸塩粒子の分散を、極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコールにおいて備え、
d)Me−炭酸塩粒子の前記分散をカーボンナノチューブの前記分散に組み合わせ、それにより、前記Me−炭酸塩粒子の表面に吸着した前記カーボンナノチューブを具備する前記カーボンナノチューブ複合材料を形成する。
【0056】
一の実施形態においては、ステップb)は、−COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2などのような、官能基を含む前記カーボンナノチューブを与え、そのカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールなどの極性溶媒において分散させ、そして、そのような官能性のカーボンナノチューブを、そのような極性溶媒において分散させることによって起こる。
【0057】
好ましくは、ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素と混合し、そして、その尿素を溶融することよって起こり、前記溶融が、任意にアルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドのようなベンズアルデヒドの存在にて生じ、そして、その後そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒において分散する。
【0058】
一の実施形態においては、ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、溶性なMeの非炭酸塩の溶液を一価のカチオンの溶性な炭酸塩の溶液に混合することによって、新たに準備され、ここでは、両方の溶液の溶媒が、好ましくは、水である。
【0059】
好ましくは、Meの前記溶性な非炭酸塩は、好ましくは、1価、2価、または、3価の金属カチオンであり、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せである。
【0060】
一の実施形態においては、Meの前記溶性な非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である。
【0061】
好ましくは、一価のカチオンの前記溶性な炭酸塩は、Na2CO3である。
【0062】
一の実施形態において、ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーを前記極性溶媒、好ましくは、水において分散することによって新たに準備される。
【0063】
一の実施形態において、前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料は、溶液から析出し、そして、好ましくは、遠心分離によって収集される。一の実施形態においては、収集後、その複合材料は、そのとき基板上に堆積される。
【0064】
好ましい実施形態においては、その複合材料に加えられた向心力および/または求心圧は、上記した通りである。
【0065】
好ましくは、前記金属炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、基板上に懸濁液として堆積され、そして、乾燥される。
【0066】
一の実施形態においては、ステップd)でのMe−炭酸塩粒子へのカーボンナノチューブの前記吸着は、基板上にて起こる。
【0067】
一の実施形態においては、前記基板は、ガラス、シリコン、半導体、金属、セミ金属、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、そして、骨とを具備するグループから選択される材料によって作られている。
【0068】
好ましくは、前記基板の表面は、官能基、好ましくは、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、−COOH基を受けている。
【0069】
より好ましくは、前記基板は、パターン化された基板であり、ここでは、好ましくは、前記基板は、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、官能基、好ましくは、−COOH基と、そして、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合されない、官能基、好ましくは、−CH3基と共にパターン化されている。
【0070】
一の実施形態においては、Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、割れ目へ前記材料をもたらすような力、好ましくは、研磨によるもの、圧力または超音波の使用によるもの、または、熱衝撃によるものにさらされ、ここでは、好ましくは、基板上のMe−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、圧力にされされ、前記圧力が前記カーボンナノチューブ複合材料を破片に破壊するに十分なものである。
【0071】
その複合材料を破壊するために与える圧力の量は、過度な実験なしに、その技術に精通した者によって、容易に決定できる。たいてい、手動で加えられる強度を持った圧力で十分である。
【0072】
一の実施形態においては、Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料において前記Me−炭酸塩は、一価のカチオンのリン酸塩、好ましくは、二塩基性のアンモニアリン酸塩((NH4)2HPO4)の溶液での水温処理により、さらに炭酸塩ヒドロキシアパタイトへそれを部分的または完全に変形することによって処理される。
【0073】
一の実施形態においては、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、加熱により、金属または金属酸化物にそれを部分的または完全に変形することによって処理される。一般に、Me−炭酸塩は、金属酸化物とカーボン二酸化物とに分解されるが知られている。たとえば、Ag2CO3は、約220°Cにて、Ag2OとCO2とに分解され、そして、より高い温度にて、金属のAgが、形成される(Merck Index 12thed.,#8650)。そのような金属酸化物または金属は、触媒、センサ、光学デバイスなどにおいて利用され、それは、熱処理された複合材料においてカーボンナノチューブの優れた特性に組み合わされている。
【0074】
一の実施形態においては、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、還元により、金属または金属水素化物にそれを部分的または完全に変形することによって処理される。還元は、直接的または金属酸化物を介して生ずる。還元による変形の反応性生物は、触媒、または、バッテリ、燃料電池、キャパシタのような、電気化学デバイスのアノードまたはカソード材料として利用されている。還元は、高温および/または高圧下における水素を、たとえば、用いることで実現される。そのような還元は、一般に、その技術を精通した者により知られている。
【0075】
一の実施形態においては、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、前記複合材料を酸に曝すことにより、別のMe塩にそれを部分的または完全に変形することによって処理され、それ故に、前記Me塩を生成し、ここでは、好ましくは、前記酸が塩酸、硫酸、硝酸、または、過塩素酸、または、トリフルオロ酢酸またはトルエンスルホン酸などの2未満のpKaである有機酸のような、鉱酸であり、前記Me−炭酸塩成分の全部または一部を分解する。ここでは、好ましくは、前記カーボンナノチューブ複合材料は、酸に曝露された後に、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールでリンスされる。いくつかの実施形態においては、前記酸は、高濃度な酸であり、曝露は、それに加えて酸性の蒸気への曝露によって生じている。別の実施形態においては、前記酸は、水溶液である。
【0076】
一の実施形態においては、前記複合材料は、Me−炭酸塩を別のMe−塩中へ変化した後、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような、極性溶媒でリンスされ、そして、任意に、乾燥され、または、乾燥および処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような極性溶媒でリンスされ、それにより、前記別のMe塩を除去する。
【0077】
好ましくは、その酸への曝露は、0.1〜60分、好ましくは、1〜10分の間隔を超えて生ずる。
【0078】
一の実施形態においては、前記酸は、水溶液であり、好ましくは、塩酸または硫酸の水溶液である。一実施形態においては、前記酸は、気体状であり、好ましくは、気体状の塩酸である。
【0079】
一の実施形態においては、前記複合材料は、基板上に堆積され、ここでは、好ましくは、基板上での前記複合材料の堆積後、接着テープは、前記複合材料に適用され、そして、再び除去され、それによりいくつかの複合材料をリフトオフ(lift off)する。好ましくは、接着テープの適用を受けた前記複合材料とその後のリフトするものは、前記基板上の少なくとも一部を残し、そして、垂直に配向されたカーボンナノチューブ束を含み、基板に対して垂直に配向されている。好ましい実施形態においては、垂直に配向されたナノチューブ束の密度は、垂直に配向されたナノチューブ束の間の平均距離が、それらの平均長さとしてほぼ同じサイズになるようにする。
【0080】
より好ましくは、酸への曝露後、接着テープは、前記カーボンナノチューブ複合材料に適用され、再び除去され、それにより、いくつかの材料をリフトオフする。
【0081】
本発明の目的は、本発明による方法、好ましくは、基板を含む方法、または、割れ目へ材料をもたらす力を適用することを含む方法、または、Me−炭酸塩のその後の変形を含む方法、または、酸処理を含む方法、または、前述のステップのいずれかの組合せを含む方法によって、生成されたカーボンナノチューブ複合材料により解決される。
【0082】
好ましい実施形態においては、本発明によるカーボンナノチューブ複合材料は、結晶性のMe−炭酸塩成分を含む。
【発明の効果】
【0083】
本発明の目的は、また、本発明によるカーボンナノチューブ複合材料を、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、平行電子ビーム顕微鏡、ナノリソグラフィ、ガス電離センサ、携帯可能なX線管、コンパクトなマイクロ波増幅器のような用途における、電子源として利用することで解決される。さらに、本発明の目的は、本発明によるカーボンナノチューブ複合材料を、導電層、照明要素として、または、マイクロ電子機器にて、バッテリ、燃料電池またはキャパシタのような電気化学デバイスにて、センサ、好ましくは、化学的または電気化学的センサまたは、タッチセンサにて、アクチュエータにて、生物医学にて、デバイス、硬いまたは柔らかい、組織置換(tissue replacement) 、および/または、生物学的細胞成長のサポートとして、好ましくは、骨または歯の置換のため、ニューロン成長のため、または、人工筋肉において、導電性層において、電気泳動のインクにおいて、骨、歯または軟骨の再生またはインプラントされた生医科学的材料またはデバイスの表面処理のために、骨格として使用することで解決される。
【0084】
発明者らは、驚いたことに、共析(co−precipitation)プロセスを用いることで、それを見出し、カーボンナノチューブの複合材料を形成することを可能とし、その複合材料は、付加的に金属炭酸塩を含む。また、発明者らは、驚いたことに、吸着プロセスを用いることで、それを見出し、カーボンナノチューブの複合材料を形成することを可能とし、その複合材料は、付加的に、金属炭酸塩を含む。そのような共析のための一の必要条件は、カーボンナノチューブが、前もって、水溶液のような極性溶媒にて溶性として作られ、その可溶化は、極性な官能基を持ったカーボンナノチューブを与えることによって達成できる。そのような機能化を達成する方法は、尿素−溶融プロセスであり、たとえば、欧州特許出願EP02 027 863.6と、PCT出願番号PCT/EP03/10600とにおいて、示されている。これらの出願の内容は、参照により、それらの全体に含まれている。
【0085】
カーボンナノチューブを溶解するための尿素−溶融プロセスは、アミド尿素、および/または、カルバミン酸基を含む、酸素と窒素原子とを有する極性有機官能基が結合され、ナノチューブを生成する。これらの基は、水そしてメタノールのような、極性溶媒においてナノチューブを可溶とし、ウエヤマら(Macromolecules 34,2607(2001))により調査されたポリマーに類似の方法において、炭酸カルシウムのカルボン酸酸素原子とアミドのNH基および/または尿素官能基との間の水素結合を介して炭酸カルシウムと相互作用できる。その結果、以下に示す例では、尿素−溶融プロセスによるCNTと炭酸カルシウムとの結晶性の複合材料とが、シンプルな共析、または、吸着プロセスによって、容易に得られる。CNT−CaCO3結晶複合材料の形成は、濃縮、および/または、自己組織化(self−assembly)を介して、CNTをガニジング(ganizing)する新しい方法を示す。個々の粒子が析出により得られたパウダーを具備するので、それらは、たとえば、機械的または電気泳動的な手段によって、単独に操作と位置付けがなされる。本発明者らは、アイゼンベルグら(Nature 398,495(1999) Journal of the American Chemical Society 121,4500(1999);Science 299,1205(2003))と、ハンら(Langmuir 18,182(2002))との実験にて示されたものと同様に、そのような複合材料が、また、パターン化された基板上にて選択された位置で成長または堆積することができると期待している。そのような複合材料は、たとえば、再生医療または生物学的な細胞成長のためのサポートのように、医学または生物医学的応用にて使用されている。そのCaCO3成分は、たとえば、酸を持つ複合材料を処理することによって、部分的または完全に、用意に除去することができる。さらに、本発明者らは、残留しているCNTアセンブリまたは、組織化された構造を保持するネットワークが、薄膜トランジスタ、センサ、そして、燃料電池における電極、バッテリ、そして、キャパシタを含む、多様な用途にて有用であることを期待している。ここでは、本発明者らは、ガラスとポリマー基板とに適合する低温プロセスを介して電界放出デバイスのためのカソードを製造するために、CNT−CaCO3結晶複合材料の使用を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
好ましい実施形態によれば、カーボノチューブ(CNT)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む結晶性の複合材料は、3つの方法により準備される。
1.塩化カルシウムとCNTとの水分散が、気体状のアンモニア炭酸塩に曝露される。その析出された複合材料は、遠心分離によって収集され、結晶性の炭酸カルシウムとCNTとを具備する。
2.ナトリウム炭酸塩の水溶液は、塩化カルシウム水溶液に混合されて、アモルファスの炭酸カルシウムを具備するマイクロ粒子が形成され、CNTの水分散が加えられる。その析出された複合材料は、遠心分離によって収集され、結晶性の炭酸カルシウムとCNTとを具備する。
3.CNTの水分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーの水の懸濁液と混合される。その複合材料は、遠心分離によって収集され、結晶性の炭酸カルシウムとCNTとを具備する。
【0087】
カーボンナノチューブのそのような結晶性の複合材料は、前に示したものでなく、多様な技術用途を有し、それは、その複合材料を、準備されたもの、または、化学変化後のものとして活用する。特に、電界放出を示すカソードは、1)溶液からのCNT−CaCO3複合材料の析出、2)導電性基板上での析出物の堆積、そして、3)複合材料の接着部分を大まかに除くためと、基板表面に結着された残りのCNTをリフトするために、接着テープを有する基板表面を処理する。その析出ステップ1)は、遠心分離を含む。さらに、そのプロセスは、ステップ3)の接着テープ処理の前に複合材料を酸へ曝露し、CaCO3成分の全部または全部を分解する付加ステップを含む。さらに、基板は、乾燥プロセス(たとえば、加熱および/または減圧)を、酸処理後であって、ステップ3)における接着テープ処理前に受ける。
【0088】
用語「カーボンナノチューブ(CNT)」は、ここで使用されているように、一般には、中空黒鉛カーボンチューブを意味し、それは、好ましくは、半球状のキャップによって末端のそれぞれで終端処理されている。その次元は、さまざまである。単層カーボンナノチューブ(Single−walled carbon nanotube)(SWNT)は、4オングストローム(Å)から数ナノメーター(nm)の直径を有し、マイクロメーター(μm)長またはそれ以上である。SWNTは、典型的には、「ロープ」または「束」として言及されているロープのような構造に並んだ集合である。多層カーボンナノチューブ(Multi−walled carbon nanotube)(MWNT)は、そのチューブを形成するカーボンの一つ以上の同心な層を具備する。本発明によるカーボンナノチューブは、SWNT,MWNT,二層カーボンナノチューブ(DWNT),フューウォールドカーボンナノチューブ(few−walled carbon nanotube)(FWNT),バッキーチューブ(bucky tube),カーボンフィラメント,そして、それらの組合せとすることができる。そのようなカーボンナノチューブは、その技術に精通した者によって知られている技術により作ることができ、そして、それらは、さらに、任意に、精製される。そのようなカーボンナノチューブは、電気的特性(そのチューブの周りでグラファイト構造がスパイラルする方法と、他の手法に依存する)を変えることができ、そして、絶縁性、半導電性または導電性(金属またはセミ金属(semi−metallic))にできる。いくつかの実施形態においては、カーボンナノチューブは、化学的に変更および/または官能化される。
【0089】
略称SWNTは、ここで使用されているように、単層カーボンナノチューブを意味する。略称U−SWNTは、ここで使用されているように、尿素溶融を受け、それゆえに、溶解された単層カーボンナノチューブを意味する。用語UA−SWNTは、ここで使用されているように、ベンズアルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドが尿素溶融において存在する、尿素−溶融を受けた単層カーボンナノチューブを意味する。
【0090】
一般に、用語「複合材料」は、ここで使用されているように、いくつかの成分を具備する材料を意味し、しかしながら、それは、また、さらなるイベントまたは反応が原因で、一つ、または、いくつかの成分が別の物質に変化されるか、または、消失して、その結果、一成分のみ残った、材料を含むことを意味する。たとえば、本発明による複合材料は、また、カーボンナノチューブのみを具備する材料であり、ここでは、Me−炭酸塩成分が、初期、または、同時期に存在しているが、たとえば、蒸発または燃焼または、酸による処理のために、消滅されている。
【0091】
本発明によれば、好ましくは、酸素原子を含有する官能基、たとえば、カルボン酸(−COOH)、そして、アルコール/フェノール(−OH)基は、カーボンナノチューブに結合されている。還流する硝酸または空気中での加熱のような、カーボンナノチューブを精製するために一般に使用されている方法は、ナノチューブの化学修飾、特に、末端と、そのサイドウォールにおける欠陥とによって、そのような酸素含有の官能基の生成をもたらす。これらのような官能基は、また、カーボンナノチューブに、間接的に、すなわち、官能基を含む化合物の非共有な吸着によって、結合される。カーボンナノチューブのサイドウォールへ吸着するとして知られている化合物は、平面な芳香族分子(ピリン誘導体、ポルフィリン誘導体など)、ポリマー(ポリフェニレンビニレン、ポリビニルアルコールなど)、そして、界面活性剤(ナトリウムドデシルサルフェート(sodium dodecylsulfate)、両親媒性ペプチド(Dieckmann et al.,Journal of the American Chemical Society 125,1770(2003))など)を含む。酸素含有の官能基をカーボンナノチューブ上へ導入する第3の方法は、ナイトレンまたはジアゾニウム誘導体のような試薬を使用する共有結合によるものである。カーボンナノチューブへ官能基を結合する、さまざまな方法をまとめている、いくつかの総論が、利用可能である(Sun et al.,Accounts of Chemical Research 35, 1096(2002);Niyogi et al.,Accounts of Chemical Research 35,1105(2002);Hirsch,Angewandte Chemie International Edition 41,1853(2002);Bahr and Tour, Journal of Materials Chemistry 12,1952(2002))。
【0092】
−COOHと−OHとのような官能基は、本発明の実施にとって、2つの理由で望ましい。そのような基が望ましい一つの理由は、それらが、水または有機溶媒における、カーボンナノチューブの溶解度を改良することである。溶解度は、本文において、真な分子分散を意味する必要がないと理解されるが、むしろ、コロイド分散を言及しており、ここでは、いくつかまたは多くの個々のカーボンナノチューブが「束」または「ロープ」として言及されていることに関連されている。それにも関わらず、少なくとも、そのような束の外側の表面上のカーボンナノチューブの官能基は、イオンと他の分子とに接近しやすい。
【0093】
酸素原子を含む官能基が本発明の実施にとって望まれる、他の理由は、それらが、複合材料中においてナノチューブを金属炭酸塩へ結合する橋(bridge)としての役目をすることである。いかなる理論によって結合されることを願うことなしに、2つのシナリオ、独立に、または、同時に起こるものは、金属炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料が生成されている時に、生ずるものと考えられている。一方のシナリオにおいては、ナノチューブによる金属イオンの吸着は、ナノチューブ表面にて金属イオンの高い局所的な濃度へ導き、それにより、金属炭酸塩の局所的な表面堆積を促進する。他方のシナリオにおいては、そのナノチューブは、その溶媒中の大部分にて既に核になっている金属炭酸塩の粒子または結晶へ吸着する。別のケースにおいては、そのナノチューブは、それが、成長を続けるときに金属炭酸塩マトリクスへ内蔵され、複合材料を生成する。最終的には、複合材料を具備する粒子のサイズが十分に大きいときに、その粒子は、析出する。本発明者らは、全体のプロセス、すなわち、カーボンナノチューブ上での金属炭酸塩の表面堆積、および/または、金属炭酸塩の粒子または結晶上へのカーボンナノチューブの吸着、それに続き、金属炭酸塩マトリクスへのナノチューブの混和、それに続き、「共析」のような、複合材料の析出を言及する。それは、金属炭酸塩成分が、それの最も熱力学的に好適な相にて初期に共析の間に形成されないことが認識されるが、その後、時間、または、熱または圧力、たとえば、遠心分離の間での向心力どの外力の結果として、より安定な相へ変化する。
【0094】
本発明の第3の実施形態においては、そのカーボンナノチューブは、熱力学的に安定な相において、金属炭酸塩の粒子を具備する懸濁液に加えられる。そのカーボンナノチューブは、ナノチューブ上にて酸素原子を含む官能基と、金属炭酸塩表面との相互作用のために、金属炭酸塩粒子へ吸着し、金属炭酸塩とナノチューブとを具備する複合材料を形成する。
【0095】
安定な炭酸塩化合物を形成する金属イオンは、一般に、それらの最も安定な、酸素リッチな配位子を持つ化合物を形成する傾向にある。「硬く、そして、軟らかい、酸と塩基」(HSAB)則(Pearson,Journal of the American Chemical Society 85,3533(1963))は、金属イオンと配位子が、それらの分極率によって、「硬い」または「軟らかい」として分類でき、硬い(無極性)金属イオンが硬い配位子に強固に結合し、そして、逆もまた同様であることを提示する。硬い金属イオンは、比較的小さく、正の電荷の密集した核を有し、これらは、Ca2+とMg2+とを含む。硬い配位子は、比較的小さく、負に高く帯電したドナー原子(金属イオンへ結合されたもの)を有し、これらは、OとNとを含む。Ca2+とMg2+イオンとの酸素を含む配位子への親和力は、−COOHと−OHとのように酸素を含む基とを機能的にするカーボンナノチューブによって、これらのイオンが吸着されることを理由にしている。同様に、それは、官能性のナノチューブが、表面がMeの格子と炭酸塩イオンを含む金属炭酸塩の粒子または結晶上へ吸着されることを理由としている。そのような金属−配位子の配位結合の相互作用に加えて、水素結合は、また、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩とを具備する複合材料の共析の間に含まれる力へ寄与するようである。どのように酸素原子を含む官能基がカーボンナノチューブと炭酸カルシウムとの間の橋渡しとして、本発明の実施形態に従って生成された複合材料において、役割をするかを示す概念図は、図1に示されている。
【0096】
図1に示した水素結合に加えて、静電的(クーロン的)相互作用は、また、複合材料内において、カーボンナノチューブと炭酸カルシウム成分との間での結合の一因となる。一方、カーボンナノチューブは、中性な、ソルトフリーな水溶液において、負に帯電する傾向にあり(Nagahara et al.,Applied Physics Letters 80,3826(2002))、おそらく、電荷移動相互作用、または、−OH・・・π水素結合の形成を介した水分子の極性が、フラーレンクラスターのケースと同様に、原因である(Andrievsky et al.,Chemical Physics Letters 364,8(2002);Chaplin,“Water Structure and Behavior”,http://www.lsbu.ac.uk/water/)。一方、多結晶の炭酸カルシウム(カルサイト)の水中での表面電荷は、そのpHがゼロ電荷位置よりも下である、pHpzc〜8.2であるときには、(Salinas−Nolasco et al.,Journal of Colloid and Interface Science 274,16(2004))正に帯電する傾向にある。それゆえ、カーボンナノチューブと炭酸カルシウムとの間での、引力のある静電相互作用は、中性に近い水の懸濁液中において発生しそうであり、そして、CNT−CaCO3複合材料の形成のためには、有利である。
【0097】
本発明の一の実施形態においては、酸素原子を含む官能基が結合されたカーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素の融点より高い温度、好ましくは、〜150°Cへ加熱され、ここでは、尿素の分解性生物が、前記酸素含有の官能基へ変更するように反応し、および/または、−CONH2と−CONHCONH2のような、新しい官能基を導入するように重合する。このプロセスは、カーボンナノチューブを、水のような極性溶媒中にて、より溶性にし、そして、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩との間での橋渡しの役割をする付加的な官能基を生じる。任意に、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドのようなベンズアルデヒドは、前記変更、および/または、重合反応を調整するように、その融解された尿素へ加えられる。
【0098】
好ましくは、Me−炭酸塩は、炭酸カルシウム(CaCO3)である。
【0099】
無水CaCO3の3つの結晶性形状は、アモルファス形状と同様に、水和されて、自然に生ずる。その3つの結晶性の多形体は、カルサイト、アラゴナイト、そして、バテライトである。その特殊な多形体と、炭酸カルシウムが溶液から析出されたときに生成されたモフォロジー(mophology)は、多くの因子に依存し、その溶液中において有機分子と他の金属イオンの存在を含む(Review:Coelfen,Current Opinion in Colloid and Interface Science 8,23(2003))。一般に、アモルファス炭酸カルシウム(ACC)は、CaCO3が、Ca2+とCO32−との反応によって準備された、過飽和な溶液から析出されたとき、より安定な結晶性形状の形成への前駆体である(Pontoni et al.,Journal of Physical Chemistry B 107,5123(2003))。カルサイト、菱面体晶な結晶のよって区別されたものは、熱力学的に、アラゴナイトとバテライトより、周囲条件の下で好まれている。Mg2+の存在は、アラゴナイト多形体の成長を有利にし(Raz et al.,Advanced Materials 12,38(2000);Meldrum and Hyde,Journal of Crystal Growth 231,544(2001))、その上、水−混和性のアルコール(エタノール、イソプロパノール、ジエチレングルコール)の存在は、カルサイトへのそれの変形を妨げることによって、バテライト多形体を有利にする(Manoli and Dalas,Journal of Crystal Growth 218,359(2000))。
【0100】
さまざまな方法は、溶液からの析出によって、CaCO3を生成するために存在している。一般に、概して、それぞれは、Ca2+の水溶性の塩の水溶液を、炭酸塩イオン(CO32−)の源と混合することを含む。また、一般に、概して、上記に示したように、特定の有機アニオンが、その析出された炭酸カルシウムの結晶形状に影響を及ぼすが、そのCa2+塩の本質は、重要な要素ではない。
【0101】
水溶液からの析出により、CaCO3を生成するために、適切なCa2+塩は、塩化物(CaCl2または、その水和物)、窒化物(Ca(NO3)2、または、その水和物)、アセテート(Ca(CH3COO)2、または、その水和物)、そして、過塩素酸塩(Ca(ClO4)2、または、その水和物)を含む。塩化物、窒化物、そして、過塩素酸塩は、また、C1−C3アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなど)において、かなり溶性であるので、これらのアルコール、または、アルコール−水混合物は、また、本発明によれば、CaCO3の析出のために、水に変わる溶媒として使用される。しかしながら、上記に示したように、C1−C3アルコールの存在は、その析出された炭酸カルシウムの結晶形状に影響を与える。
【0102】
炭酸塩イオンのいくつかのソースは、Ca2+の水溶性な塩の水溶液からの析出によってCaCO3を生成するために、使用されており、そして、また、本発明の目的のために使用される。一般に、概して、これらは、炭酸イオンの水溶性の塩、または、CO2と塩基の組合せのいずれか一方である。適切な水溶性の炭酸塩は、アルカリ金属イオン(たとえば、Na2CO3(Kawano et al.,Journal of Crystal Growth 237−239,419(2002)))、または、アンモニアイオン((NH4)2CO3(Dickinson et al.,Journal of Crystal Growth 244,369(2002))を持つものを含む。重炭酸イオン(HCO3−)に対応する塩は、また、使用されている。CaCO3は、消石灰(Ca(OH)2)の水のスラリーを介して泡立つCO2によって、商業的に準備されている。
【0103】
炭酸イオンを与える別の方法は、固体の炭酸アンモニア((NH4)2CO3)から蒸気拡散によるものである(Raz et al.,Advanced Materials 12,38(2000))。それを気化するとき、炭酸アンモニアは、CO2とアンモニアとへ分離できる。それが水中にて溶解したときに、NH3が、炭酸を、炭酸、および/または、重炭酸イオンへ脱プロトン化するための塩基として役目を果たす間に、そのCO2は、炭酸(H2CO3)へ水和する。
【0104】
球面な多孔性のマイクロ粒子(4〜6μm)は、アモルファスのCaCO3ナノ粒子からなり、0.33M Na2CO3溶液を、0.33M CaCl2溶液の等しい容積へ室温にて急速に注入することによって準備され、それらが、一晩中、水中において室温にて保存されるときに、>80%のマイクロ粒子は、菱面体晶なカルサイトのマイクロ結晶へ変化する(Volodkin et al.,Biomacromolecules 5,1962(2004))。アモルファスの炭酸カルシウム球体は、また、塩化カルシウム水溶液中における炭酸ジメチルの塩基触媒加水分解を介するカーボン二酸化物の放出によって、炭酸カルシウムが、ゆっくりと、数分から数時間のうちに、析出されたときに得られる(Faatz et al.,Advanced Materials 16,996(2004))。
【0105】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブの溶液は、アモルファスのCaCO3ナノ粒子を具備する球面な多孔性のマイクロ粒子の、新たに形成された懸濁液へ加えられる。どのようなメカニズムによって結合されることを願うことなしに、発明者らは、上記したように、CNT上において酸素原子を含む官能基と、そのCaCO3粒子表面との間の相互作用の結果として、そのCNTがマイクロ粒子へ速やかに吸着すると考える。そのアモルファスのCaCO3マイクロ粒子は、自発的に、菱面体晶に形づくられた結晶性のCaCO3粒子へ変化し、そして、そのCNTは、同時に、結晶性のCNT−CaCO3複合材料を形成する合成粒子へ組み込まれる。アモルファスから結晶性相へのCaCO3の変化は、結晶性相が、熱力学的に、より安定であるために、自発的に、生ずるが、遠心分離の間における向心力のような外力は、変化の速さを加速できる。複合材料におけるCNTとCaCO3成分との間の比は、すぐに、懸濁液におけるアモルファスのCaCO3マイクロ粒子と、懸濁液へ加えられた溶液中におけるCNTとの相対的な量によって、コントロールされる。本実施形態によるCNT−CaCO3複合材料を準備するプロセスは、図式的に、図2中に図解されている。
【0106】
CaCO3の析出のための炭酸塩のソースを与える別の方法は、尿素(NH2CONH2)の分解によるものである。CaCO3のアラゴナイト形状の均一な針状の結晶は、90°Cでの尿素の存在におけるカルシウム塩水溶液のエージング(2.5〜72時間)によって、得られる(Wang et al.,Journal of Colloid and Interface Science 218,545(1999))。尿素は、CO2とアンモニアとを与える条件下にて分解し、それは、上記したように、炭酸、および/または、重炭酸イオンのソースを与える。熱分解の代替として、尿素の分解は、酵素触媒による反応によって、室温にて達成される。すなわち、炭酸カルシウム析出物は、CaCl2(0.25〜0.50M)、尿素(0.25〜0.75M)、そして、ウレアーゼ(0.2〜0.2mg/mL)を含む溶液から、5〜10分において得られる(Sondi and Matijevich,Journal of Colloid and Interface Science 238,208(2001))。
【0107】
本発明による一の実施形態においては、Mg2+イオンは、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩とを具備する複合材料の共析の間に、その溶液へ加えられる。上記したように、炭酸カルシウムの析出の間における、Mg2+の存在は、その結晶形状とモフォロジーを調製する。そのようにして得られた炭酸塩は、主に、バルク中において、CaCO3であるが、局所的には、それは、ドロマイトとして知られるミネラルであるCaMg(CO3)2に似た配合を有する。
【0108】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブの分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーの新たに準備された懸濁液を組み合わせて、CNT−CaCO3複合材料を形成する。CNTは、CNT上における極性官能基と、粒子表面との間の相互作用の結果として、上記したように、CaCO3粒子に吸着する。さまざまな形状とサイズとのCaCO3粒子を含む、人工的に析出された炭酸カルシウム(PCC)は、たとえば、Merck KGaAからの紡錘状で、1〜2μm長の粒子(製品番号102069)、または、NanoMaterials Technology Pte Ltd (NPCC)からの立方体形状で、15〜40nmサイズの粒子などのように、商業的に、利用可能である。複合材料におけるCNTとCaCO3成分との比は、複合材料が準備されたときに、析出された炭酸カルシウムと、CNTとの懸濁液中における相対的な量によって、すぐに、コントロールされる。
【0109】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくはCaCO3とを含む複合材料は、カーボンナノチューブと、ヒドロキシ炭酸アパタイト(HCA)とを具備する複合材料を生成するために、リン酸塩を含む水溶液へ曝露される。複合材料を具備するCaCO3の変化は、もし、前記変化が、部分的に生じ、そして、そのように生成された材料が、カーボンナノチューブと、CaCO3およびHCAとの混合とを具備する複合材料であるならば、部分的、または、完全である。ヒドロキシ炭酸アパタイト、炭酸ヒドロキシアパタイトとして知られるものは、理想的な形状Ca10(PO4)3(CO3)3(OH)2を持つ。最近、HCAは、それが、それの化学的な配合と構造とにおいて、生きている骨に近似しており、そして、細胞接着、拡散、そして、区別をサポートすることに効果的な適合性を示すので、インプラントにおいて生物活性な材料として、たくさんの注目を受けている(Kasuga et al.,Biomaterials 24,3247(2003))。炭酸カルシウム(バテライト形状)とポリ乳酸とからなる複合材料が、擬似体液(2.5mM Ca2+,142mM Na+,1.5mM Mg2+,5.0mM K+,149mM Cl−,4.2mM HCO3−,1.0mM HPO42−,そして、0.5mM SO42−,50mM トリス(ヒドロキシ)メチルアミン,そして、45mM HClを具備する)において、pH7.4、そして、37°C、3時間、浸されたときには、骨類似なHCAは、複合材料の表面上にて形成する(Kasuga et al.,Biomaterials 24,3247(2003))。したがって、そのような使用および用途は、本発明による複合材料についても、予想されており、それにより、優れた機械的強度と化学的不活性、そして、場合によっては、カーボンナノチューブ内での電気的な、および/または、熱的な導電性を活用する。
【0110】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを含む複合材料は、リン酸塩を含む水溶液に曝露され、カーボンナノチューブとヒドロキシアパタイトとを含む複合材料を生成する。複合材料を含むCaCO3の変化は、もし、前記変化が完全に生じ、そのとき、そのように生成された材料が、カーボンナノチューブと、CaCO3、および、ヒドロキシアパタイトの混合とを含む複合材料であるならば、部分的、または、完全である。擬似HCA(ヒドロキシ炭酸アパタイト),ヒドロキシアパタイトは、それの優れた生体適合性と生物活性のために、生物医学的応用にとって、非常に関心がある別の材料である。ヒドロキシアパタイト、それは、理想的な式Ca10(PO4)6(OH)2を持つものであり、リン酸塩による炭酸カルシウムにおける炭酸イオンの完全な置換に由来する。CaCO3のアラゴナイト多形体のヒドロキシアパタイトへの変化は、たとえば、それを、水のリン酸塩溶液へ、熱水条件(160〜200°C,4〜7時間)の下、分解−再結晶メカニズムによって、曝露すること(Jinawath et al.,Materials Science and Engineering C 22,35(2002))、また、室温(7〜14日間)で、リン酸塩緩衝溶液中にて、表面反応(Ni and Ratner,Biomaterials 24,4323(2003))を介することで達成される。CaCO3のカルサイト多形体のヒドロキシアパタイトへの変化は、たとえば、カルサイト結晶をH3PO4懸濁液中にて、120〜160°C、6〜30時間、水温処理することによって、達成される(Yoshimura et al.,Materials Science and Engineering C 24,521(2004))。新しい生物医学的な使用および用途は、本発明による複合材料にとって、予想されており、優れた機械的強度と化学的不活性、そして、場合によっては、カーボンナノチューブ内の、電気、および/または、熱の導電性を利用する。
【0111】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、酸に曝露され、式:2H++CaCO3→Ca2++CO2+H2Oに従った分解によって、CaCO3成分の全部、または、一部を除去する。その複合材料は、懸濁液として、または、基板上のように、固体として存在しており、そして、その酸は、溶液として、または、気体、または、エアロゾルとして存在している。もし、酸分解反応によって生成されたカルシウム塩が、溶性であるならば、それは、たとえば、水またはメタノールでの洗浄によって除去される。CaCO3成分の除去は、形状が、斜方六面体のような、複合材料自身のそれに似ている織り交ぜられたCNTのフレキシブルな、繊維状なシェルを残すが、そのシェルは、乾燥にて崩壊する傾向にある。もし、酸分解反応の間でのCO2の進化が十分に速いならば、その織り交ぜられたCNTのシェルは、押し開ける。そのシェルの決裂は、pH2を有する緩衝酸性溶液を用いることによって、避けられる。
【0112】
本発明による一の実施形態においては、CaCO3成分の全部、または、一部は、テトラ酢酸エチレンジアミン(EDTA)、または、乳酸のような、Ca2+に対するキレート試薬の水溶液へ、それを曝露することによって、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料から除去される。高分子電解質がコートされた多孔性のマイクロ粒子のCaCO3コアは、EDTA(ジナトリウム塩)水溶液をpH7〜7.5で処理するときに、溶解する(Volodkin et al.,Langmuir 20,3398(2004),Biomacromolecules 5,1962(2004))。CNT−CaCO3複合材料からCaCO3成分を除去する本方法を使用することは、織り交ぜられたCNTのシェルが押し開けないように、速いCO2進化を避けることができる。
【0113】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、CaCO3成分が化学的に変化する前に、基板上に堆積する。その複合材料粒子が水の懸濁液、または、スラリーから堆積するときは、基板表面と、その複合材料粒子との間での接着は、十分に強くでき、以下のいくつかの実施例にて示すとおり、その粒子を、乾燥上で固定させる。一の実施形態においては、その複合材料の懸濁液、または、スラリーは、たとえば、ガラス毛細管、または、製図用ペンの先が持つ毛細管力を用いて、操作され、基板上にて堆積される。
【0114】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとCaCO3とを具備する複合材料内の粒子は、基板上での堆積の前に、より小さな片へ破壊される。
【0115】
本発明による一の実施形態においては、その乾燥複合材料粒子、パウダー内におけるものは、たとえば、堅いナイロンフィラメントを用いることによって、操作され、または、基板上にて、単独に、または、小さなクラスタにおいて、位置される。溶液の形態中よりもひとつの粒子複合材料の形態にて基板上に位置するCNTの利点は、含まれる堆積から明らかである。10μm辺を持つ、ほぼ立方体形状の粒子は、そのような小さな体積を有する、ほぼ10−3μL溶液の体積を持ち、それらは、本質的に、エアロゾル滴であり、基板上にて明確に、移動および設置することが非常に困難である。その代わり、外部電界は、電気泳動、または、誘電泳動のような、界面動電現象によって、懸濁液、または、スラリーにおいて、その粒子を、置くこと、または、操作することに用いられる。たとえば、スズキら(Langmuir 20, 11005(2004))は、負な誘電泳動の反発力を用いて、マイクロ粒子の2次元な線とグリッドパターンを、ガラス基板上にて加工した。水溶媒が誘電泳動の間に使用されることができる間には、非−水溶媒、たとえば、エタノールは、粒子の懸濁液、または、スラリーが、電気泳動の力を用いて、位置され、または、操作されるならば、代わって準備される。
【0116】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩、好ましくは、CaCO3を具備する複合材料は、別の材料にコートされる。カルサイト(CaCO3)コアと、シリカ(SiO2)シェルとを具備する複合材料粒子は、Na2SiO3溶液を、CaCO3粒子のスラリーへ添加することによって準備されることができ、そして、その混合物を、それを、気体状のCO2を持って、pH7へ中性にする間に、80°Cへ加熱する(Zhang and Li,Powder Technology 141,75(2004))。その結果として得られるシリカシェルの厚さは、CaCO3粒子のサイズと、Na2SiO3/CaCO3モル比とに依存する。そのシェルは、十分に多孔性であり、CaCO3コアを、、HClでのコア/シェル複合材料粒子の酸性化によって、除去する(Zhang and Li, Powder Technology 141,75(2004))。また、シェルのためのシリカのソースは、シリコンの有機エステル、たとえば、テトラエトキシシラン(また、テトラエチル−オルトシリケートとして知られている)である。エタノール−水−アンモニア混合物におけるテトラエトキシシランの加水分解は、Stoeber プロセスとして知られており、シリカシェルを持って、広いさまざまな粒子をコートするのに使用され(Hardikar and Matijevich, Journal of Colloid and Interface Science 221, 133(2000))、そして、そのStoeberプロセスは、さらに、シランカップリング剤と、触媒としてアンモニア以外のアミンとを含むように、修正される(Kobayashi et al.,Colloids and Surfaces A 251,197(2004))。シリカシェルが、カーボンナノチューブとCaCO3とを具備する複合材料上に成長される第3の方法は、複合材料を100〜200°Cの温度にて、テトラメトキシシラン、または、テトラエトキシシランの気体へ曝露することによる(Tanaka et al., Langmuir 20,3780(2004))。
【0117】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩とを具備する複合材料、好ましくは、CaCO3は、基板上に堆積され、そして、そのとき、それらが、基板の表面から垂直に突き出るように、ナノチューブをリフトする処理をする。ナノチューブをリフトする表面処理のいくつかは、しばしば、「活性化」として言及され、先行技術において、プリントされたCNTからの電界放出特性を改良するものとして知られている。活性化のためのさまざまな技術は、ビニルテープを用いたラビングおよび剥離(Kim et al., Journal of Vacuum Science and Technology B 22,1331)、多重な電界放出サイクル(Kim et al.,Applied Physics Letters 84,5350(2004)、アルゴンイオン放射(Kim et al.,Carbon 42,1807(2004))、UVレーザ放射(Zhou et al.,Japanese Journal of Applied Physics, Part 1 41,4314(2002))、そして、接着テープの使用(Vink et al.,Applied Physics Letters 83,3552(2003))を含む。
【0118】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、基板上に堆積され、そして、接着層の手段によって感圧接着テープへ結合され、そして、そのとき、その接着テープは、それらが、その基板の表面から垂直に突き出るように、そのナノチューブをリフトして、剥離される。好ましくは、その感圧接着テープは、半導体ウエハのダイシングのためのダイシングテープのように、少し残るか、または、除去で残渣がないように設計される。より好ましくは、感圧接着テープは、硬化性の接着層を有し、テープが剥離される前に、それが硬化される。その接着は、熱、または、光、たとえば、Lintec Corporation (Tokyo,Japan)と、Semiconductor Equipment Corporation(Moorpark,California)とから商業的に利用可能な、UV−硬化型ダイシングテープのような、外部摂動に曝露されたときに、それがそれの接着特性(「粘着性」)を無くす意味では硬化される。
【0119】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、基板上に堆積された、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、それらが、基板の表面から突き出るように、ナノチューブをリフトする処理をする前に、最初に、CaCO3成分を、部分的に、または、完全に除去するように処理される。
【0120】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、堅い導電性基板上に、たとえば、シリコン、または、多孔性のシリコン、好ましくは、n−またはp−型ドープのシリコン、金属フィルム、たとえば、アルミニウム、または、金コートのガラス、または、シリコン、または、導電性金属酸化物フィルム、たとえば、インジウム鉛酸化物(ITO)、フッ素ドープ鉛酸化物(FTO)、または、ガリウム−、または、アルミニウム−ドープの亜鉛酸化物を、ガラス、または、シリコン上において、堆積される。
【0121】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、フレキシブルな導電性基板、たとえば、金属フィルム、たとえば、アルミニウム−、または、金コートされたポリエステル、または、ポリイミド、または、導電性金属酸化物フィルム、たとえば、インジウム鉛酸化物(ITO)、フッ素ドープ鉛酸化物(FTO)、または、ガリウム−、または、アルミニウム−ドープの亜鉛酸化物を、ポリマー、たとえば、ポリエステル、または、ポリイミド上において、堆積される。
【0122】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、それの表面に絶縁層、好ましくは、シリコン二酸化物を有する、導電性基板、好ましくは、n−またはp−ドープのシリコン上に堆積される。
【0123】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、堅い、または、フレキシブルな基板上における電極の間および/または上に堆積され、電極を有する電気接点において、カーボンナノチューブのネットワークを生成する。
【0124】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、カーボンナノチューブが電極を有する電気接点を形成するように、堅い、または、フレキシブルな基板上における電極の間および/または上に堆積される。図3において図式的に示すとおり、複合材料中のカーボンナノチューブは、バックゲート(図3A)、または、イオン導電性の電解質を介したゲート、(図3B)の一方である電界効果型トランジスタデバイス内の導電性チャネルを与える。
【0125】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、堅い、または、フレキシブルな透明な電気的に絶縁である基板、たとえば、ガラス、または、プラスティック、または、GaNのような半導体上へ、堆積され、そして、その後、Me−炭酸塩成分が、カーボンナノチューブのネットワークを具備する導電性フィルム、好ましくは、透明な導電性フィルムを生成するように、たとえば、酸、または、Meイオンのためのキレート試薬へ複合材料を曝露することによって、除去される。
【0126】
言及は、今、図になされており、ここでは、略称TEMは、透過型電子顕微鏡を言及し、略称SEMは、走査型電子顕微鏡を言及している。
【0127】
(実施例)
以下の実施例について言及すると、それらは、図解することで与えられ、本発明を制限しない。これらの実施例は、水溶性のSWNTを、酸−精製されたSWNTから、融解された尿素を用いて準備すること(実施例1〜3)、CaCl2水溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によってSWNT−CaCO3複合材料を準備すること(実施例4)、Na2CO3とCaCl2の水の溶液を混合することによってSWNT−CaCO3複合材料を準備すること(実施例5)、CaCO3パウダーへの吸着によってSWNT−CaCO3複合材料を準備すること(実施例6)、酸を用いて、SWNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分を除去すること(実施例7〜9)、接着テープを用いてマットからSWNTのリフトをすること(実施例10)、接着テープを用いて複合材料からSWNTのリフトをすること(実施例11)、上記の手順に従って準備されたサンプルからの、電界放出のデモンストレーション(実施例12)、Na2CO3とMnCl2との水の溶液を混合させることによって、SWNT−MnCO3複合材料を準備すること(実施例13)、そして、Na2CO3とVOSO4との水の溶液の混合によって、SWNT−VOCO3複合材料を準備すること(実施例14)のための方法を与える。これらの実施例において使用されるカーボンナノチューブは、カーボンソリューションInc.(Carbon Solutions,Inc.),リバーサイドCA(Riverside,CA)(バッチナンバー03−101aまたはバッチナンバー03−102のいずれか)によって得られた、プレ精製されたSWNTの実験的なサンプルであり、それらは、修正されたアーク法、そして、付加的な精製ステップが続けられた、酸−精製された.ものによって、精製された。酸性サイトの結果としてもたらされた濃度は、4〜6atomic%の範囲内であった。溶融された尿素を用いた可溶化後において、電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)とによって得られたSWNTのイメージは、それらが、アモルファスのカーボンと他のカーボン室の不純物の相当量を含むことを示す。SWNTの濃度(mg/L)は、その因子0.019(Bahr et al.,Chemical Communications 2001,193)による800nmでの吸光度(希釈後、1cm光学パス長)を分割することによって述べられていた。実施例は、ここでは、炭酸カルシウム(CaCO3)を持ったカーボンナノチューブ複合材料上に焦点を与えていたが、そこで与えられて教示が、すぐに、他の不溶、または、難溶なMe−炭酸塩へ拡張され、さらに、上記と、実施例13においてMnCO3により、また、実施例14においてVOCO3により例示されるものと同様なものとを挙げることは、その技術に精通している者に対して明確である。
【実施例1】
【0128】
実施例1:U−SWNTの準備
本手順は、溶融された尿素において、反応種を用い、酸−精製されたSWNT上にて、官能基を反応させることによって、水溶性のSWNTを与えた。
【0129】
プレ精製されたSWNT(バッチナンバー03−101a))(3.3mg)は、尿素(130mg)を用いて混合され、〜150°Cで、7分間、加熱された。室温へ冷却した後、その結果としての大半は、水(1mL)を用いて抽出され、黒茶の溶液を得た。ナトリウム過塩素酸塩一水和物(25mg)は、その抽出物へ加えられ、そして、渦巻き混合(vortex−mixed)されて、容易に、それを、完全に溶解した。その混合物は、一晩中、室温で放置され、そして、翌日、遠心分離された(5000rpm,10分間)。その上澄み液を除去後、その結果として得た固体は、遠心分離(5000rpm,10分間)に続いて、浴での超音波処理(1分)を介して、メタノール(1mL)において、それを懸濁することによって、洗浄された。メタノール(1mL)を用いて2度目にその固体を洗浄する試みは、それのほとんどを溶解させた。その結果、得られたU−SWNTの溶液は、無制限に、析出へ安定であり、ほぼ、310mg/Lの濃度に相当するSWNT含有量を有した。その抽出物の体積と、それの推定される濃度とに基づいて、本手順の間に可溶化されたSWNTのパーセンテージは、13%であった。そのU−SWNTは、水(3g/L)とメタノール(1g/L)とにおいて優れた溶解度を有する。TEM(たとえば、図4A)によって得られた、そのU−SWNTの材料のイメージは、封入された金属触媒粒子を有する、または有しない、アモルファスのカーボンとカーボンアニオンと同様に、SWNTの束を含むことを示した。その束は、直径(10〜20nm)内で極めて均一であり、そして、典型的には、長さにおいて、≧1μmであった。赤外吸収スペクトル(たとえば、図5A)は、尿素のような官能基の存在をU−SWNT上に示した。水の溶液の紫外・可視吸収スペクトルは、235nmにて最大値を有した(たとえば、図6A)。
【実施例2】
【0130】
実施例2:UA−SWNTの準備
本手順は、p−アニスアルデヒドを加えた、溶融された尿素において、反応種を用いて、酸−精製されたSWNT上にて、官能基を反応することによって、水溶性のSWNTを与えた。
【0131】
プレ精製された(pre−purified)SWNT(バッチナンバー03−101a)(15.6mg)と尿素(629mg)の混合は、初めに、完全に、溶融されるまで、〜150°Cで、2.5分間、加熱された。加熱は、p−アニスアルデヒド(114μL)が加えられる間、停止され、そして、6分間、続けた。室温へ冷却した後に、溶性の材料は、その結果として得られた大半から、初めに、水(それぞれ1mL)で11回、そして、メタノール(それぞれ1mL)で6回抽出された。UA−SWNTは、ナトリウム過塩素酸塩一水和物を用いた析出の3サイクルと、エタノール中での分散と、メタノール中での溶解を続けたことによって、メタノール抽出物から分離された。その抽出物の体積と、それらの推定濃度とに基づいて、本手順の間に可溶化されたナノチューブのパーセンテージは、50%であった。UA−SWNTの溶解度は、U−SWNTのそれと類似であった。TEMとSEM(たとえば、図4B)によって得られたイメージは、そのU−SWNT材料に類似の寸法を有するナノチューブの束をそれが含むことを示した。赤外吸収スペクトル(たとえば、図5B)は、尿素ライクな官能基の存在を、UA−SWNT上において示した。UA−SWNT水溶液の紫外・可視吸収スペクトルは、残余のp−アニスアルデヒド、および/または、関連した種(たとえば、図6B)に起因して、224nmと276nmとに最大値を有した。これらの残余を除去するゲルろ過後、そのスペクトルは、約270nmにショルダーを有する最大値を246nmに有した。
【実施例3】
【0132】
実施例3:UA−SWNTの準備
本手順は、実施例2におけるものと類似しているが、尿素とp−アニスアルデヒドとのSWNTに対する相対的な量を減らした(1/2にすることによって)。
【0133】
プレ精製されたSWNT(バッチナンバー03−102)(3.5mg)と尿素(70mg)との混合は、初めに、〜150°Cで2分間、完全に溶融されるまで加熱された。加熱は、p−アニスアルデヒド(12.6μL)が加えられた間、停止され、そして、6分間、続けられた。室温へ冷却後、溶性の材料は、結果として得られた大半から、初めに、水(1mL)で、そして、エタノール(1mLそれぞれ)で、2回、抽出された。UA−SWNTは、ナトリウム過塩素酸塩一水和物を用いた析出の2または3サイクル、それぞれ、水における溶解を続けることによって、そのエタノール抽出物から分離された。その抽出物と、それらの推定濃度とに基づいて、本手順の間に可溶化されたナノチューブのパーセンテージは、50%であった。
【実施例4】
【0134】
実施例4:CaCl2の水溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によるCNT−CaCO3複合材料の準備
本手順は、溶性の非炭酸塩のカルシウムイオンのソースとしてCaCl2を、そして、炭酸塩イオンの溶性のソースとして、固体アンモニア炭酸塩からの蒸気を用いて、U−SWNT、または、UA−SWNTと、結晶性の炭酸カルシウムとを含む複合材料を与える。
【0135】
水中における塩化カルシウム(30mM,0.3mL)の溶液は、2mLポリプロピレン瓶において、水(0.7mL)におけるU−SWNTまたはUA−SWNTの溶液を用いて混合される。塩化カルシウム溶液を用いて混合する前の、そのおおよそなナノチューブの濃度は、4〜5mg/L(たとえば、図6に示すように)であった。アンモニア炭酸塩パウダー(〜25mg)は、25mLガラスビーカーの底部にその溶液を含んだ開放瓶と共に置かれ、そして、そのビーカーは、パラフィン“M”の層を用いて堅くシールされ、そして、室温で放置された。その瓶内での沈殿物の形態は、30分以内に明確となった。1.5〜2.5時間後、その瓶は、ビーカーから除去され、キャップされ(capped)、そして、室温で彫像(stored)された。その沈殿物をコンパクトにするために、そのサンプルは、遠心分離され(5000rpm、5分間)、黒い固体と、無色な上澄みとが得られた。遠心分離の間に複合材料に加えられる向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、40Nと2MPaである。
【0136】
過剰な塩を除去するために、その無色な上澄みは、除去され、そして、その固体は、渦状に混合することによって、水(1mL)中において懸濁され、そして、再び、遠心分離によってコンパクト化された。この洗浄ステップは、一度、繰り返された。
【0137】
上記の手順によって得られた複合材料は、導電性基板上へそれらを堆積した後に、SEMによって調べられた。もし、その固体が過剰な塩を除去するように、その前に、洗浄されていなかったときには、それらは、イメージされる前に基板上の間にて、10μLの等量な水で、2回洗浄された。準備されたU−SWNT−CaCO3複合材料と、シリコン基板上へピペットを介して堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、図7Aと、図7Bとのそれぞれにおいて示されている。
【0138】
準備されたU−SWNT−CaCO3複合材料は、主に菱面体晶な結晶を含み、それの最も大きな面(カルサイトの{1014}成長面に相当する)は、典型的には、20〜60μm幅(図7A)である。U−SWNT−CaCO3と比較すると、そのUA−SWNT−CaCO3の結晶性複合材料は、サイズと形状とにおいて、よりコンパクトで、より多分散系であり、より大きな粒子(サイズにおいて100μmに対して上)は、より小さな菱面体晶なユニット(サイズにおいて5μmに対して下)(図7B)のアセンブリを具備するように見える。その準備において使用された試薬の量に基づいて、そのカーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.35%を具備することが概算される。
【0139】
図7における基板表面上の暗いパッチは、その複合材料粒子に関係するものであって、絡み合ったナノチューブのマットである。これらのマットは、その表面へ、その粒子を固定すると思われる。
【0140】
場合によっては、その複合材料は、それらが、基板上へ堆積され、乾燥された後に、機械的に、破壊された。図8におけるそのSEMイメージは、本方法にて破壊されたU−SWNT−CaCO3複合材料粒子のエッジを示す。その材料の複合材料の本質は、左側での角のエッジ、結晶性のCaCO3成分の影響を反映すること、そして、複合材料のナノチューブ成分に起因している、その砕かれた粒子から、および、その間にて広がったその繊維により、明らかにされた。
【0141】
場合によっては、複合材料は、数分間、撹拌棒で水の小さな容積において懸濁されたパウダーを研磨することによって、機械的に、破壊された。レタリングセット(K+E Leroy)のナンバー“0”ペンを用いて、シリコン基板へスポットされた、その破壊された複合材料のSEMイメージは、それぞれ、図9Aと図9Bとに示された。これらのイメージは、本手順によって破壊された、その複合材料が、広い範囲のサイズと、形状とを有する片へ砕かれたことを、示した。その破壊された複合材料が堆積されたスポットは、大体、#0ペン(0.35mm)のオリフィスと同様な直径である円形であった。
【実施例5】
【0142】
実施例5:Na2CO3とCaCl2の水の溶液を混合することによる、CNT−CaCO3複合材料の準備
本手順は、カルシウムイオンの溶性な非炭酸塩ソースとして塩化カルシウムと、炭酸イオンの溶性なソースとしての炭酸ナトリウムを用いて、U−SWNTまたはUA−SWNT、および、結晶性の炭酸カルシウムを含む複合材料を与えた。
【0143】
水における炭酸ナトリウムの溶液(0.33M,100μL)は、2mLポリプロピレン瓶において、ボルテックスミキサー(vortex mixer)で撹拌する間に、水における塩化カルシウムの溶液(0.33M,100μL)へ加えられ、乳状な懸濁液をした。1分後、水(6μL)におけるU−SWNT、または、UA−SWNTの溶液は、ボルテックスミキサーで撹拌する間に、その結果として生じた乳状な懸濁液へ加えられた。混合前での、その水の溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、1700〜1800mg/Lであった。10〜20分後、その懸濁液は、遠心分離(5000rpm,10分間)によって、コンパクト化され、黒い固体と、無色な上澄みとを得た。遠心分離の間に複合材料上へ加えられた向心力および圧力は、それぞれ、ほぼ8Nと、0.4MPaであった。UA−SWNT−CaCO3複合材料の準備における上澄みが、8〜9のpH値を有する間、U−SWNT−CaCO3複合材料の準備における上澄みは、6〜7のpH値を有した。
【0144】
また、カーボンナノチューブと結晶性の炭酸カルシウムとを含む複合材料は、炭酸ナトリウムと塩化カルシウム溶液の混合の順序が、上記、すなわち、そのCaCl2の溶液が、そのNa2CO3の溶液へ加えられたことから逆にされたときに、得られた。そのU−SWNT−CaCO3複合材料の準備における遠心分離後の上澄みは、そのUA−SWNT−CaCO3複合材料の準備における上澄みが6〜7のpH値を有する間に、7〜8のpH値を有した。
【0145】
上記の複合材料から過剰な塩を除去するために、その上澄みは、除去され、そして、その固体は、わずかに(ほぼ2秒)超音波処理槽を用いて水(200μL)中で懸濁され、遠心分離(5000rpm、10分間)によって収集された。遠心分離の間に複合材料上に加えられた向心力および圧力は、それぞれ、ほぼ8Nと、0.4MPaであった。
【0146】
上記の手順によって得られた複合材料は、ガラス基板(PilkingtonPLC,TEC−15)上のフッ素ドープされた錫二酸化物(FTO)上へ、それらを堆積した後に、電子顕微鏡によって調べられた。その複合材料は、0.6mmの内部直径を持つガラスキャピラリ管(Marienfeld GmbH,カタログナンバー2930203)を用いて、ドットとして堆積された。U−SWNT−CaCO3複合材料とUA−SWNT−CaCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、それぞれ、図10と図11とにおいて示されている。
【0147】
SEMによって得られたイメージは、その複合材料が、キャピラリ管と同様な直径を持つ、ほぼ円形なスポットにおいて、堆積されたことを示した。それぞれの準備における複合材料粒子のサイズは、極めて均一であって、たとえば、4〜7μm(図10A)、20〜30μm(図10B)、15〜25μm(図11A)、そして、8〜12μm(図11B)であり、そして、その形状は、概ね、ツイストされ、または、巻き付いた斜方六面体であった。その準備の間でのサイズにおける変動は、上澄みのpH値に関連付けられて現れており、すなわち、より小さな粒子(4〜12μm)は、わずかな酸性で得られ、中性(pH6〜7)な状態になり、他方、より大きな粒子(15〜30μm)は、中性で得られ、僅かに塩基性(pH7〜9)な状態になる。その準備において使用された試薬の量に基づいて、カーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.32%を具備すると推定される。
【実施例6】
【0148】
実施例6:CaCO3パウダー上への吸着による、CNT−CaCO3複合材料の準備
本手順は、U−SWNTまたはUA−SWNTと、結晶性の炭酸カルシウムとを含む複合材料を、析出されたCaCO3パウダーを、炭酸カルシウムのソースとして用いて、与える。
【0149】
析出されたCaCO3(0.55mg)(Merck KGaA,プロダクトナンバー102069)のパウダーは、2mLポリプロピレン瓶内に収容され、そこへ、水(10μL)におけるU−SWNTの溶液が、純水(20μL)と同様に、加えられる。その瓶へ加えられた溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、ほぼ、1800mg/Lであった。その混合物は、機械的に混合され、そして、撹拌棒で、よく砕けられ、そして、その結果として得られる懸濁液は、遠心分離(5000rpm、10分間)されて、黒い沈殿物と、クリアで黒茶の上澄みとを与えた。遠心分離の間に複合材料へ加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、1Nと、0.06MPaであった。その上澄みは、UV−可視吸収によって、それのナノチューブ内容物を概算するために、除去および水を用いて希釈された。その上澄みは、元のCNTのほぼ15%、を含むと概算され、すなわち、ナノチューブの85%が、U−SWNT−CaCO3複合材料において存在していた。その複合材料は、その上澄みを除去後、水(50μL)において研磨でそれを再懸濁することによって、洗浄され、そして、それは、遠心分離によって高濃度にされた。洗浄ステップ後の上澄みは、無色であり、ナノチューブと、CaCO3との間で強い吸着を、その複合材料において示した。
【0150】
U−SWNTと結晶性の炭酸カルシウムとを含む、別の複合材料は、コートされていない、析出された炭酸カルシウム(NanoMaterials Technology Pte Ltd, product NPCC−UNC)を用いて、同様に、準備された。U−SWNTの懸濁液と0.66mgの炭酸カルシウムパウダーとから得られる上澄みは、もとのCNTのほぼ16%を含むと概算され、すなわち、ナノチューブの84%が、そのU−SWNT−CaCO3複合材料中に存在した。
【0151】
本実施例のおいて得られたU−SWNT−CaCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、図12と図13とにおいて、示されている。超音波処理槽を僅かに(ほぼ5秒)用いて分散させた後に、その複合材料は、水の懸濁液とともに、FTO基板上へガラスキャピラリ管(Marienfeld GmbH,カタログナンバー2930203)を用いて、堆積された。2つの場合においては、複合材料は、CaCO3結晶に吸着され、連結したカーボンナノチューブのルーズなネットワークを含み、それは、概ね、紡錘状であって、Merck(図12)からの析出された炭酸カルシウムの場合において1〜2μm長であり、そして、概ね、NanoMaterials Technology(図13)からの析出された炭酸カルシウムの場合において、ほぼ100nmのエッジ長を持った立方体形状である。その複合材料内におけるナノチューブは、また、そのFTO表面(図12と図13)へ吸着された。その準備において使用された試薬の量に基づいて、そのカーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の2.8%を具備するものと概算される。
【0152】
Merckからの析出された炭酸カルシウムパウダーと、UA−SWNTとを用いる複合材料の準備は、U−SWNTを有するものと同様な結果を与えた。
【実施例7】
【0153】
実施例7:酸性な水の溶液の浴を用いる、CNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分の除去
本手順は、鉱酸浴を用いて基板上でCNT−CaCO3複合材料から炭酸カルシウム成分を除去し、ナノチューブの接着性のフィルムを残す手段を与えた。
【0154】
炭酸アンモニア拡散方法によって準備され、そして、実施例4において示した手順に従って、基板上へ堆積されたCNT−CaCO3複合材料は、硫酸(0.25M)、または、塩酸(1M)の一方の水の溶液(〜2mL)を含む、5mLガラスビーカーの底部に、表を上にして置かれ、そして、10〜30分間、平静に放置した。その基板は、そのとき、水を含む10mLガラスビーカーへ移され、そして、0.5〜2分間、平静に放置し、残った塩を除去した。この水−リンスステップは、一度、繰り返され、そして、そのとき、その基板は、空気で乾燥された。SEMによって得たイメージは、本手順による酸処理が、そのCaCO3成分を、完全に除去したことを示しており、その結果、その形状が、一般的に、CNT−CaCO3複合材料粒子の前駆体のそれに類似しており、しかし、それら自身の上へ、または、基板の上へ、倒れて折り重なり、そして、しばしば、CaCO3成分(たとえば、図14〜16)の分解の間でのCO2の放出が原因で押し開ける、絡み合ったナノチューブのマットを残すことを示す。硫酸溶液での処理後に残った残渣は、また、ときどき、角張ったブレードライクな結晶を含み、それは、たいてい、結晶性の硫酸カルシウム水和物(gypsum)を含む。
【0155】
上記したように、酸浴が複合材料からCaCO3成分を除去するために使用されたときには、そのナノチューブ成分は、その基板から分離される傾向にあり、その浴内にて無くなる。以下の2つの実施例は、CNT−CaCO3複合材料を、ナノチューブのロスを減少するHClへ曝露するための別の手順を与える。
【実施例8】
【0156】
実施例8:酸性な水の溶液の小さな体積での滴定によるCNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分の除去
本手順は、酸溶液のコントロールされた量を用い、ナノチューブの接着性フィルムを残して、炭酸カルシウム成分を、部分的に、または、完全に、CNT−CaCO3複合材料から、基板上で、除去する手段を与える。カーボンナノチューブを具備する中空シェルの懸濁液は、本手順の間、乾燥ステップの前に、中間体として得られる。
【0157】
CNT−CaCO3複合材料は、実施例5において示した手順に従って、炭酸ナトリウムと、塩化カルシウムとの水の溶液を用いて、準備され、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積される。
【0158】
塩酸の水溶液(1M HCl)の小さな(1〜2μL)等量は、配置された複合材料粒子が、液体によって僅かにカバーされた領域まで、その基板へ注がれた。ほぼ2時間後、その基板は、オーブン内において、80°Cで、閉鎖されたコンテナにて、CaCl2パウダーを乾燥剤として用いて、15分間、乾燥された。塩は、その基板を、水浴へ30分間、置き、続いて、第2の水浴へ僅かに浸すことによって、除去された。
【0159】
CaCO3成分が除去された範囲は、反応:2HCl+CaCO3→CaCl2+CO2+H2Oの化学量論に依存した。本実施例において使用された条件の下では、そのCaCO3成分は、HClの部分的な減少が原因で、CaCO3成分が部分的に溶解された、その溶液の境界付近を除いて、完全に溶解された。
【0160】
本実施例に従って、1M HClの等量を用いて処理されたU−SWNT−CaCO3複合材料結晶の代表的なSEMイメージは、図17〜19において示されている。CaCO3成分が部分的に溶解された複合材料粒子は、しばしば、そのエッチングされた複合材料(たとえば、図19)の周囲に、影のような(shadow−like)外観を有する。これらの影のような外観は、絡み合ったナノチューブのマットであり、それは、結晶から分離され、そして、堆積と酸エッチングプロセスとの間に基板表面へ付着された。
【0161】
CaCO3成分をU−SWNT−CaCO3複合材料結晶から除去した後であって、それを乾燥する前に得られる水の懸濁液の光学顕微鏡は、全体的な形状とサイズが結晶性の複合材料のそれに一致されたカーボンナノチューブを具備するシェルを、明らかにした。実施例は、図29において示され、そこでは、菱面体晶形状なシェルサー(shellsare)が可視化され、その壁がナノチューブからなる。本実施例における、そのシェルの多くは、CaCO3成分が分解したとき、CO2の急速な放出が原因で充満するようである。この急速な放出と、それに続くシェルの決裂は、さらに希釈し、そして、場合によっては、緩衝された酸性溶液を用いること、および/または、概略された上記のように、Ca2+のためのキレート試薬溶液を使用することによって、避けられる。
【実施例9】
【0162】
実施例9:酸性の蒸気を用いることによるCNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分の除去
本手順は、酸蒸気のコントロールされた量を用い、ナノチューブの接着性フィルムを残すことによって、炭酸カルシウム成分をCNT−CaCO3複合材料から基板上にて除去する手段を与えた。
【0163】
実施例5に従って準備され、FTO基板上へ堆積されたCNT−CaCO3複合材料は、35x10mmパトリ(Petri)皿に、ポリプロピレンキャップにおいて含まれる、20μLの37%HClと共に置かた。そのCaCO3成分は、約1分以内に分解が開始され、そして、約10分以内に完全に分解され、その複合材料が設置されたところのCaCl2水溶液によって囲まれたCNTマットを残す。そのCaCl2は、その基板を水浴中へ浸すことによって除去できたが、弱く接着するCNTマットは、同様に、除去される傾向であった。そのCNTマットのロスを小さくするために、そのサンプルを、水浴中へ浸す前に、乾燥することが適していた。乾燥は、たとえば、そのサンプルを80°Cに閉鎖されたコンテナ内にてCaCl2パウダーを乾燥剤として15分間、保つことによって、成し遂げることができた。
【実施例10】
【0164】
実施例10:接着テープを用いることによるCNTのマットからのリフト
これらの手順は、そのフィルムのルーズに接着する部分を除去するように、接着テープを用い、酸処理を続ける手段を与え、そして、CNTを、それらが基板表面から垂直に突き出るようにリフトする。
【0165】
実施例7からのサンプルは、硬い表面上に表を上にして置かれ、スコッチマジックテープ(登録商標)(Scotch Magic Tape)810(3M,Inc.)の片で接触され、そして、静かに、〜10秒間指でプレスされた。そのテープは、それを剥がすことによって、除去された。SEMによって得られたイメージは、その接着テープ処理が、ナノチューブを含むマットの多くを除去し、そして、いくつかの層を露出させたことを示した。これらの層内におけるCNTは、より高い倍率で、マット(たとえば、図20)の破れたエッジから突き出たナノチューブの束を指した所で、より明らかになった。その束は、大体、直径において、およそ、10〜20nmであり、そして、それらの露出された長さは、およそ、0.1〜1μmであった。その結果は、基板(シリコン、または、金)の本質、または、酸(硫黄の、または、塩化水素の)のタイプと、概ね、無関係であった。
【0166】
スコッチマジックテープ(Scotch Magic Tape)810を用いて活性化されたサンプルのSEMイメージは、その表面上の有機残留物の矩形形状なパッチを露出させ、それは、おそらく、接着剤の残留物であった。そのような残留物を避けるために、UV−硬化型ダイシングテープが、代わって使用された。
【0167】
実施例8〜9からのサンプルは、硬い表面上に表を上にして置かれ、UV−硬化型ダイシングテープで接触され、そして、間において均一な圧力にするように硬いプラスティックの平らな片を用いて、1分間、手でプレスされた。そのテープは、それが剥離される前に、5分間、ポータブルなランプからの366nm光に曝された。高い倍率で得られたイメージは、ダイシングテープは、また、垂直に基板表面から突き出るように(たとえば、図21)、CNTをリフトするのに、効果的であることを示した。その単層CNTは、大体、直径において、ほぼ10〜20nmであって、ほぼ0.1〜1μmの長さである束内にあった。複合材料が堆積されたエリアにおける、垂直に配向されたナノチューブ束の密度は、ほぼ、10/μm2(たとえば、図21)に概算された。
【実施例11】
【0168】
実施例11:接着テープ用いた、CaCO3パウダーへの吸着により、得られた複合材料からCNTをリフトすること
本手順は、基板表面から垂直に突き出るように、基板上にてCaCO3パウダーを伴う複合材料のCNTをリフトするために、接着テープを用いる手段を与えた。
【0169】
実施例6からのサンプルは、硬い表面表面上にて上を表にするように置かれ、UV−硬化型ダイシングテープの片で接触され、そして、硬いプラスティックの平坦な片を、間において、均一な圧力として用いて、1分間、手でプレスされた。そのテープは、それが、剥離される前に、366nm光に、ポータブルなランプから、5分間、曝された。SEMによる試験は、その接着テープ処理が、そのCaCO3粒子のほとんどを、その複合材料から除去したことを示した(図22と、図23)。そのCNTは、その粒子が残ったか残らないかのいずれにせよ、それらが、垂直に基板から突き出るようにリフトされた。その粒子がその表面上に残った場所においては、それらが、それらを、そのFTO表面へ接続したCNTとの相互作用が原因で、そこに保持されたことが明確であった。(たとえば、図22)。その単層CNTは、大体、直径において、ほぼ、10〜20nmであり、ほぼ、0.1〜1μmの長さである束内にあった。その複合材料が堆積されたエリアにおいて、垂直に配向されたナノチューブ束の密度は、ほぼ10/μm2であると概算された。
【実施例12】
【0170】
実施例12:電界放出測定
これらの測定は、前記の実施例において示した手順が、電界放出のためのカソードを生成する手段を与えることを示した。
【0171】
プローブ(probe)−サンプル(sample)配置の概略図と電界放出測定システムの回路は、図24において示されている。負なDC電圧、または、トライアングルウェーブ(triangle−wave)電圧パルスの一方は、その接地されたプローブ電極に対して相対的に、そのベース電極へ適用された。そのパルスモード操作は、4マイクロ秒のパルス幅、そして、100Hzのパルス周波数(40%duty)であった。その測定は、7x10−6torrの真空レベルで、10kΩの電流測定抵抗で実行された。9kVのピーク電圧で得られた2つのサンプルで得られた結果は、図25において示しており、そこでは、それらが、類似な電界放出特性を示したことを示す。そのサンプルは、シリコン基板、炭酸アンモニア拡散方法(実施例4)によって準備されたU−SWNT−CaCO3複合材料、0.25M硫酸の浴でのCaCO3成分の除去(実施例7)、そして、スコッチ接着テープでの酸処理後における、マットからのナノチューブのリフト(実施例10)を用いて、準備された。
【0172】
図26と27は、実施例1〜11において示したプロセスに基づいた電界放出のためのカソードの生成におけるステップの概略図である。
【実施例13】
【0173】
実施例13:Na2CO3とMnCl2の水の溶液を混合することによるCNT−MnCO3複合材料の準備
本手順は、マンガンイオンの溶性の非炭酸塩ソースとしての塩化マンガンと、炭酸イオンの溶性なソースとしての炭酸ナトリウムとを用いて、UA−SWNTと炭酸マンガンを含む複合材料を与えた。
【0174】
水における塩化マンガン溶液(0.33M,100μL)は、ボルテックスミキサーで、2mLポリプロピレン瓶において撹拌されて、乳状な懸濁液を生成する間に水における炭酸ナトリウム溶液(0.33M,100μL)へ加えられた。1分後、水(11μL)におけるUA−SWNT溶液は、ボルテックスミキサーで撹拌されている間に、懸濁液へ加えられた。混合前の、その水の溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、470mg/Lであった。20分後、その懸濁液は、遠心分離(5000rpm、10分間)によってコンパクトにされ、明るい灰色な固体と無色な上澄みを生じ、そのナノチューブが、本質的に、定量的に、その得られた固体複合材料と結合されたことを示した。遠心分離の間に複合材料上に加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、8Nと0.4MPaであった。その上澄みは、ほぼ、7のpH値を有した。
【0175】
過剰な塩をUA−SWNT−MnCO3複合材料から除去するために、その上澄みは、除去され、そして、その固体は、水(200μL)内において、超音波処理槽を、僅かに(ほぼ2〜3秒)用いて、懸濁され、そして、遠心分離(5000rpm、10分間)によって収集された。遠心分離の間に複合材料に加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、8Nと0.4MPaであった。この洗浄プロセスは、もう一度、繰り返された。その複合材料は、マイクトピペットを介したガラス基板(Pilkington PLC,TEC−15)上にて、フッ素ドープした錫二酸化物(FTO)上へ懸濁液のいくつかを、堆積した後に、電子顕微鏡によって試験された。
【0176】
このサンプルにおいて得られたUA−SWNT−MnCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、図28において示されている。その複合材料は、MnCO3の粒子に吸着され、そして、連結されたカーボンナノチューブのルーズなネットワークを具備する。その粒子は、サイズと形状とにおいて、極めて均一であり、ほぼ0.5μmの直径を有するラフな球面であった。その準備において使用された試薬の量に基づいて、そのカーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.14%を具備することが概算された。
【実施例14】
【0177】
実施例14:Na2CO3とVOSO4との水の溶液を混合することによるCNT−VOCO3複合材料の準備
本手順は、バナジルイオンの溶性な非炭酸塩ソースとしての硫酸バナジルと、炭酸イオンの溶性なソースとしての炭酸ナトリウムとを用いることで、UA−SWNTと炭酸バナジルとを含む複合材料を与えた。
【0178】
水における硫酸バナジル溶液(0.33M,100μL)は、ボルテックスミキサーで、2mLポリプロピレン瓶において撹拌して、茶色な懸濁液を生成する間に、水における炭酸ナトリウム溶液(0.33M,100μL)へ加えられた。1分後、水(11μL)におけるUA−SWNT溶液は、ボルテックスミキサーで撹拌する間に、懸濁液へ加えられた。混合前での、その水の溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、470mg/Lであった。10分後、その懸濁液は、遠心分離(5000rpm、10分間)によってコンパクト化され、茶黒い固体と、ほぼ7のpH値を有する青黒い上澄みを生じた。任意のバナジウム(+5)をバナジウム(+4)の酸化状態へ戻す還元をするための、上澄みへのアスコビン酸の添加は、その色を淡緑色にし、そのナノチューブが、本質的に、定量的に、その得られた固体複合材料に結合されたことを示す。遠心分離の間にその複合材料に加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、8Nと0.4MPaであった。その準備において用いられた試薬の量に基づいて、カーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.12%を具備すると概算された。
【0179】
本明細書、請求の範囲において、および/または、添付した図面において、開示した本発明の特徴は、独立に、そして、それらの組合せにて、さまざまな形態における本発明を理解するための材料となる。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、カーボンナノチューブが本発明による複合材料(図示なし)において、炭酸カルシウム(CaCO3)に相互に作用することにより、潜在的なメカニズムを図解している。CaCO3成分は、それの固体状態相(アモルファス、バテライト、アラゴナイト、カルサイト)のいずれかに、または、それの混合にある。 図1Aは、どのような理論により結合されることを望むことなしに、炭酸カルシウム成分の表面上における炭酸イオンと、尿素−溶融で変更されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)の末端のアミド基との間における水素結合を図解している。 図1Bは、炭酸カルシウム成分の表面上における炭酸イオンと、尿素−溶融で変更されたカーボンナノチューブ(エンド変化)の末端のアミド基との間における水素結合を図解している。 図1Cは、炭酸カルシウム成分の表面上における炭酸イオンと、酸精製されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)のカルボン酸基との間における水素結合を図解している。類似の構造は、ナノチューブの末端に位置するカルボン酸基として描かれている。 図1Dは、炭酸カルシウム成分の表面上におけるカルシウムイオンと、酸精製されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)のカルボン酸基との間における配位結合を図解している。類似の構造は、ナノチューブの末端に位置するカルボン酸基として描かれている。 図1Eは、炭酸カルシウム成分の表面と、尿素−溶融で変更されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)との間における水素結合を図解している。その2つの相互作用は、(a)水和したカルシウムイオンとカルボニル基、そして、(b)炭酸イオンと末端のアミド基の間に示した。
【0181】
【図2】図2は、実施例5(図示なし)に従って、アモルファスのCNT−CaCO3複合材料の変化を介する、結晶性のCNT−CaCO3複合材料の準備におけるステップの概略図である。1:アモルファスのCaCO3を具備する多孔性のマイクロ粒子,2:アモルファスのCaCO3を具備する多孔性のマイクロ粒子へ吸着したCNT,3:結晶性のCaCO3を具備するマイクロ粒子、4:結晶性のCaCO3を具備するマイクロ粒子内に埋め込まれたCNT
【0182】
【図3】図3は、電界効果型トランジスタデバイスの概略断面図であり、ここでは、本発明において示されるCNT−CaCO3複合材料のフィルムが、チャネル(図示なし)として役割を果たしている。5:導電体(バルク基板、ゲート電極),6:非導電体(フィルム、または、基板),7:導電体(ソース電極),8:導電体(ドレイン電極),9:CNT−CaCO3複合材料(チャネル),10:イオン導電体(電解質),11:導電体(ゲート電極)
【0183】
【図4】図4Aは、実施例1に従って準備された水溶性のU−SWNTの束のTEMイメージであり、倍率:15000xである。 図4Bは、実施例2に従って準備された水溶性のUA−SWNTの束のSEMイメージであり、倍率:20200xである。
【0184】
【図5】図5Aは、実施例1に従って準備された水溶性のU−SWNTの赤外吸収スペクトルである。サンプルは、CaF2上のその材料の乾燥フィルムからなる。 図5Bは、実施例1に従って準備された水溶性のUA−SWNTの赤外吸収スペクトルである。サンプルは、CaF2上のその材料の乾燥フィルムからなる。
【0185】
【図6】図6Aは、実施例1に従って準備された水溶性のU−SWNTの紫外線吸収スペクトルである。800nmでの吸光度を基準に、この溶液中でのSWNTのおおよその濃度が、5mg/Lである。 図6Bは、実施例2に従って準備された水溶性のUA−SWNTの紫外線吸収スペクトルである。800nmでの吸光度を基準に、この溶液中でのSWNTのおおよその濃度が、4mg/Lである。
【0186】
【図7】図7Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3気体の拡散によって準備され、そして、シリコン基板に堆積された、U−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:70xである。 図7Bは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3気体の拡散によって準備され、そして、シリコン基板に堆積された、UA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:200xである。
【0187】
【図8】図8は、機械的に破壊されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージである。その乾燥結晶性複合材料粒子、実施例4に従ったものは、シリコン基板と鉗子の先との間で機械的に破壊された。
【0188】
【図9】図9Aは、実施例4に従ってシリコン基板上に堆積される前に、機械的に破壊されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:100xである。 図9Bは、実施例4に従ってシリコン基板上に堆積される前に、機械的に破壊されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:100xである。
【0189】
【図10】図10Aは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:3000xである。 図10Bは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。
【0190】
【図11】図11Aは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。 図11Bは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。
【0191】
【図12】図12は、実施例6に従って、メルク(Merck)から、析出された炭酸カルシウムパウダー上へ吸着することによって得られ、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積された、U−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:30000xと、50x(差込)である。
【0192】
【図13】図13は、実施例6に従って、ナノマテリアルテクノロジー(NanoMaterials Technology)から、析出された炭酸カルシウムパウダー上へ吸着することによって得られ、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積された、U−SWNT−CaCO3複合材料SEMイメージであり、倍率:30000xと500x(差込)である。
【0193】
【図14】図14Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備され、金基板上へ堆積されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1500xである。 図14Bは、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられた図12Aにて示されるサンプルのSEMイメージであり、倍率:1400xである。本イメージにおける視野は、ほぼ、図14Aにおけるものと同じである。
【0194】
【図15】図15Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備され、シリコン基板上へ堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:400xである。 図15Bは、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられた図14Aにて示したサンプルのSEMイメージであり、倍率:400xである。本イメージにおける視野は、ほぼ、図15Aにおけるものと同じである。
【0195】
【図16】図16Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備されてシリコン基板上へ堆積され、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:3000xである。 図16Bは、より高い倍率で得られた図16Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:10000xである。
【0196】
【図17】図17Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例8に従って、CaCO3成分を溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:100xである。 図17Bは、より高い倍率で得られた図17Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:1000xである。
【0197】
【図18】図18Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例8に従って、CaCO3成分を溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。 図18Bは、より高い倍率で得られた図18Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:9000xである。
【0198】
【図19】図19Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例8に従って、CaCO3成分を部分的に溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。 図19Bは、より高い倍率で得られた図19Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:2500xである。
【0199】
【図20】図20Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備されてシリコン基板上へ堆積され、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、スコッチマジック(Scotch Magic)810接着テープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:13000xである。 図20Bは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備されてシリコン基板上へ堆積され、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、スコッチマジック(Scotch Magic)810接着テープでの処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:15000xである。
【0200】
【図21】図21Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例9に従って、CaCO3成分を溶解するように、HCl蒸気での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:20000xである。 図21Bは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例9に従って、CaCO3成分を溶解するように、1M HCl溶液での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:20000xである。
【0201】
【図22】図22は、Merckからの析出された炭酸カルシウムパウダー上への吸着と、実施例6に従って、FTO−ガラス基板上へ体積されたことによって得られ、実施例11に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:30000xと50x(inset)である。
【0202】
【図23】図23は、実施例6に従って、ナノマテリアルテクノロジー(NanoMaterials Technology)から、析出された炭酸カルシウムパウダー上へ吸着することによって得られ、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積され、実施例11に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:40000xである。
【0203】
【図24】図24Aは、電界放出測定システムにおけるサンプルとプローブの配置の概念図である。 図24Bは、電界放出測定システムにおける電子回路の概念図であり、ここでは、Vsは、供給電圧を示し、Vcは、電流測定レジスタ(10kΩ)を横断する電圧を示す。
【0204】
【図25】図25Aは、9kV(パルス電圧モード)のピーク電圧での2つのサンプルから得られた、巨視的な電界(electric field)に対する電流(current)のプロットである。そのサンプルは、実施例4(アンモニア炭酸塩蒸気の拡散を介したSWNT−CaCO3複合材料の準備)、実施例7(CaCO3成分を除くための、0.25M硫酸浴での処理)、そして、実施例10(スコッチ接着テープを用いた活性化)において示されたプロセスに従って、シリコン基板を含んで準備されている。 図25Bは、図25Aにおいて示したデータのFowler−Nordheimプロットである。
【0205】
【図26】図26は、実施例4〜5(共析を介したCNT−CaCO3複合材料の準備),実施例7〜9(CaCO3成分を取り除く酸処理)、そして、実施例10(接着テープを用いた活性化)(図示なし)において示したプロセスに基づく電界放出のためのカソードの生成におけるステップの概略図である。12:CaCO3相,13:CNT相,14:CNTシェル,15:CNTマット,16:導電性基板,17:CNT電界放出サイト
【0206】
【図27】図27は、実施例6(吸着を介したCNT−CaCO3複合材料の準備)、そして、実施例11(接着テープを用いた活性化)(図示なし)において示したプロセスに基づく電界放出のためのカソードの生成におけるステップの概略図である。16:導電性基板,12:CaCO3相,13:CNT相,17:CNT電界放出サイト
【0207】
【図28】図28は、実施例13に従って、MnCl2溶液をNa2CO3溶液へ加えることによって準備され、FTO基板上に堆積されたUA−SWNT−MnCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:5000x(A)と60000x(B)である。
【0208】
【図29】図29は、実施例8に従って、水のHCl溶液を用いて、U−SWNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分を溶解することによって得たカーボンナノチューブシェルの懸濁液を示す、光学顕微鏡によって得られたイメージである。 使用された複合材料は、図10Bにおいて示したものと同じであり、倍率:500xである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ(carbon nanotube)複合材料と、それの製造の方法と、そのような複合材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)の潜在的な利用性は、(1)良好な面内電気伝導率、(2)高いアスペクト比、(3)高い化学的安定性、そして、(4)高い機械的強度などのように、優れた特性のために、非常に大きい。これらの特性は、複合材料における利用のために、CNTを魅力的にしており、CNT成分が、引っ張り強度および電気伝導率などの材料特性を改良している。調査された複合材料の多くは、CNTと有機ポリマーとの混合である。無機材料(セラミック)を含むCNTの複合材料のわずかな例が、報告されている。これらの例における無機成分は、金属の炭化物、窒化物、ケイ酸塩、リン酸塩、または、酸化物であり、アルミナ、シリカ、チタニア、そして、ヒドロキシアパタイト(hydroxyapatite)を含んでいる。
【0003】
炭酸カルシウムを含むセラミック複合材料は、特に、バイオ材料として広く知られている。たとえば、真珠層(mother−of−pearl)として知られているナクレ(Nacre)は、天然の複合材料であり、95wt%以上の炭酸カルシウムと、1〜5%の有機物とを含んでいる。ナクレは、優れた機械的特性を有し、破壊靱性が炭酸カルシウム成分のみよりも多い、3000回である。ナクレの成長と、その結果で生ずる構造的および機械的な特性は、無機および有機成分の間の相互作用に大きく依存する。
【0004】
新しい複合材料を作るために、相当な努力が、生物学的過程を再現することに費やされている。そのような実験のための有機成分は、しばしは、極性基を含むポリマーである。通常、使用される極性基は、一般にカルボン酸(−COOH)であって、カルシウムイオンに連携することによって炭酸カルシウムに結合できる。炭酸カルシウムのカルボン酸塩の酸素原子と、アミドを含んでいるポリマーの−NH基との間の水素結合は、合成的に生成された炭酸カルシウムの結晶性複合材料において、既成なものでない結合機構として示されている。炭酸カルシウムの結晶を、選択的に、成長または堆積することは、炭酸カルシウムの結晶化を促進または禁止する官能基を持った基板の表面をパターニングすることによって可能になる。生態模倣の複合材料は、多くの用途があり、特に、医療分野において、たとえば、骨または歯の置換や、それらを生態適合(biocompatible)させるように医療移植片(medical implant)の表面処理のためなどがある。
【0005】
生物医学的応用に加えて、CNTを含んでいる複合材料の新しいタイプは、電界放出ディスプレー(FED)と、電界効果型トランジスタ(FET)とのような、電子機器の発展において、重要になるものと、期待されている。
【0006】
CNTは、利用可能である最良な電界放出材料のひとつであり、FEDの次世代における理想的な候補であると、考えられている。FEDのカソードを加工するための2つの一般的アプローチは、化学気相堆積(CVD)によってCNTの直接的な成長を介することと、プレ合成されたCNTの堆積である。CVDは、一般に反応性な環境と温度(典型的には、>800°C)とが必要であり、それゆえ、低融点(〜650°C)なガラス基板とポリマー系とを用いている、FEDの加工のために使用することから、本方法を抑制している。プレ合成されたCNTを含むペーストのスラリースクイーズ(Slurry−squeeze)、または、スクリーン印刷(screen−printing)は、相対的に、大きなエリアでの電界放出の用途にとって、低コストプロセスではあるが、公になったプロセスは、一般に、そのペーストをポストアニーリング(post−annealing)するためには、>300°Cの温度が必要である。他のプロセスは、CNTポリマーフィルムを堆積するために吸引鋳造法を使用するが、このプロセスは、残留溶媒を除去するためと、そのフィルムにおけるボイドを抑制するために、ホットプレスを必要とする。電界放出のためのCNTフィルムは、また、電気泳動析出を用いて加工されているが、800°Cの加熱が、残留溶媒を除去するために必要とされていた。CNT電界放出カソードを加工するために、今までのところ、報告された唯一の室温技術は、自己組織化(self−assembly)ディップ・コーティング・プロセス(dip−coating process)によって基板上にCNTの自己組織化を利用するが、このアプローチは、水−基板−空気の三重線での表面相互作用に依存し、それ故に、加工条件に敏感で、制御することが困難である。
【0007】
従来方法を用いてCNTベースのFEDを加工する主な障害は、基板とCNTとの間に良好な電気接点を実現することである。プアな電気接点は、CNT−基板界面で抵抗加熱をもたらし、放出において恒久的な劣化に導く(Nilsson et al.,Applied Physics Letters 79,1036 (2001))。本発明の実施形態によれば、導電性基板のさまざまな種類にて堆積されたCNTの走査型電子顕微鏡(SEM)測定は、CNTが、その基板と良好な電気接点を形成していることを示している。
【0008】
CNTの最も有望な用途のひとつは、FETのチャネルとしてのそれらの用途を含む。特に、ランダムなアレイ、または、ランダムなネットワーク、単層CNT(SWNT)の低密度に基づいているトランジスタは、アモルファスシリコンまたはペンタセンに基づいているものに優れたデバイス性能を有することが示されている(Shiraishi et al.,Chemical Physics Letters 394,110(2004);Meitl et al.,Nano Letters 4,1643(2004);Zhou et al.,Nano Letters 4,2031(2004);Hu et al.,Nano Letters 4,2513(2004);Snow et al.,Applied Physics Letters 86,033105(2005))。ゲート材料として、液体または固体の電解質の使用することは、バックゲートデバイスに比較して、改良されたデバイス特性を与えることができる(Kruger et al.,Applied Physics Letters 78,1291(2001);Rosenblatt et al.,Nano Letters 2,869(2002);Lu et al.,Nano Letters 4,623(2004))。さらに、CNTベースのFETの性能は、金属性の経路が電気的輸送に占めるよりも、むしろ、半導電性になるように、そのアンサンブルにおいて金属性のナノチューブに変更し(Avouris,Chemical Physics 281,429(2002);Joselevich,Angewandte Chemie International Edition 43,2992(2004);Balasubramanian et al.,Nano Letters 4,827(2004); Seidel et al.,Nano Letters 4,831(2004);Meitl et al.,Nano Letters 4,1643(2004);Snow et al.,Applied Physics Letters 86,033105(2005);Li and Zhang,Carbon 43,651(2005))、および/または、ドーピングすることによって(Takenobu et al.,Nature Materials 2,683(2003);Lu et al.,Nano Letters 4,623(2004);Zhou et al.,Nano Letters 4,2031(2004))、電気的または化学的プロセスを通じて改良される。しかしながら、いくつかの課題は、CNTのランダムなネットワークに基づいているトランジスタが現行のCMOSベースのトランジスタに競合できるようになる前に、克服されなければならない。これらは、その位置と、そのネットワークにおけるCNTの密度とを制御する能力を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、有機セラミック複合材料を必然的に生ずる構造を、準備および再現することが容易なカーボンナノチューブ複合材料を与えることにある。また、本発明の目的は、先行技術において一般に利用されるように、特に、高温にすることなく、カーボンナノチューブを基板上に堆積させることによって、カーボンナノチューブ複合材料を製造する方法を与えることにある。さらに、本発明の目的は、基板とカーボンナノチューブとの間において良好な電気接点を、また、与える間に、位置と密度との両者を制御して、カーボンナノチューブを基板上に堆積することを許容するカーボンナノチューブ複合材料を与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これら全ての目的は、複合材料が、
カーボンナノチューブと、
Me−炭酸塩とを有し、Meが金属カチオン、好ましくは、2価の金属カチオンであることによって解決される。
【0011】
一の実施形態においては、Meは、異なる金属カチオンの混合であり、ここでは、好ましくは、MeがCa2+または、Mg2+またはCa2+とMg2+との組み合わせである。
【0012】
一の実施形態においては、前記Me−炭酸塩は、極性溶媒において、不溶性、または、ごく僅かな範囲で可溶性であり、好ましくは、前記極性溶媒は水であり、前記Me−炭酸塩は、2価のカチオンの炭酸塩であり、好ましくは、CaCO3であり、好ましくは、前記Me−炭酸塩は、25℃での溶解度積定数Kspを有し、前記Kspは、−log Kspが+3から+33までの範囲であるような値を選ぶ。その溶解度積定数Kspは、難溶性の塩の溶解度を示すエンティティ(entity)であり、たとえば、Atkins “Physical Chemistry”,3rd edition,Oxford University Press, Reprinted 1988,chapter 12.4において示され、定義されており、その内容は、参照することにより、それの全体において含まれている。
【0013】
一の実施形態においては、カーボンナノチューブは、単層、二層、または、多層のカーボンナノチューブ、または、前述のナノチューブのいずれかの組み合わせである。
【0014】
好ましくは、−COOH、−OH、−CONH2および/または−CONHCONH2などの酸素原子を含む官能基は、前記カーボンナノチューブに取り付けられており、その官能基が、水のような、極性溶媒中にて、カーボンナノチューブを溶解させるか、または、分散させる。ここで使用されているように、用語「複合材料(composite)」は、成分を分離する明瞭な界面によって、形態または組成が異なる、少なくとも2つの材料の3次元的な組合せに言及するものである。本発明の特殊な複合材料は、また、成分の一体化が分子のスケールに近づいているので、有機−無機「ハイブリッド」材料であるとみなされる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態においては、少なくとも2つの成分のうちのひとつにおいて、言及は、「複合材料」に合わしており、さらに進行するステップによって、除去または可能ならば置換されている。
【0015】
用語「機能的な(functional)」は、ここでは、極性特性を伝えるために、言及しているところであり、そして、「官能基(functional group)」は、ここでは、それらと関連している分子または材料に対する極性特性を伝える、原子または原子のグループを言及している。本発明による複合材料において、そのような官能基によってカーボンナノチューブに与えられた極性特性は、ナノチューブと、極性溶媒,そのMe−炭酸塩と、基板との間の相互作用を、より強くしている。官能基は、その官能基における原子(または複数の原子)と、そのカーボンナノチューブにおける原子(または複数の原子)との間の直接的な共有結合によって、カーボンナノチューブと関連している。あるいは、官能基は、非直接的にカーボンナノチューブに関連しており、その官能基における原子(または複数の原子)と、非共有的にカーボンナノチューブに結合した原子(または、複数の原子)との間の直接的な共有結合がある。
【0016】
用語「溶解(soluble)」と「分散(dispersible)」は、「solution」/「dispersion」と「dissolved」/「dispersed」との一組についても関係するものであり、溶媒中においてカーボンナノチューブに言及するときに、相互に交換可能に使用されている。しかしながら、溶解度は、本文においては、真実の分子分散を必ずしも意味しないが、むしろ、コロイド分散または懸濁液に言及しており、ここでは、いくつかの、または、たくさんの個々のカーボンナノチューブが、「束(bundle)」または、「ロープ(rope)」として言及されているものに関連している。これらのアセンブリは、2次元(2D)の「フィルム(film)」と、ランダムに相互接続した3次元(3D)の「マット(mat)」とへからませる。乾燥する際には、そのようなランダムな相互接続した構造は、ときどき「bucky paper」として言及されている、フレキシブルなメンブレンのような材料を形成する。
【0017】
用語「極性溶媒(polar solvent)」は、ここでは、本発明による複合材料を生成するために、適合している溶媒に言及するときに、使用されている。そのような溶媒にとって必要な特殊な特徴は、カーボンナノチューブ成分を溶解する能力と、複合材料のMe−炭酸塩成分を溶解する能力がないことである。その好ましい極性溶媒は、水であるが、水と混和性のある極性有機溶媒は、また、一般に適する。適する極性有機溶媒は、ホルムアミド(HCONH2)、N,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3)2)、1−メチル−2−ピロリドン(−(CH2)3CON(CH3)−)、ジメチルスルホキシド(CH3)2SO、そして、C1−C3アルコールを含む。ここでは、後者の用語が、1,2,そして、3の炭素原子を含む有機アルコール)を含み、より具体的には、メタノール(CH3OH)、エタノール(CH3CH2OH)、プロパノール(CH3CH2CH2OH)、イソプロパノール(CH3)2CH2OH)、エチレングリコール(HOCH2CH2OH)、1,3−プロパングリコール(HOCH2CH2CH2OH)、1,2−プロパングリコール(CH3CHOHCH2OH)、そして、グリセロール(HOCH2CHOHCH2OH)である。
【0018】
一の実施形態においては、極性溶媒に溶解する前記カーボンナノチューブを作る前記酸素含有の官能基は、ナノチューブの末端に位置する。このシナリオは、それが複合材料内においてチューブの端と端またはコ・リニア(co−linear)な配置を好む利点を有する。「コ・リニア」は、ここでは、同じ長手方向軸に位置合わせするシーンにおいて使用される。
【0019】
一の実施形態においては、前記官能基は、前記カーボンナノチューブの壁の上に位置する。このシナリオは、平行またはチューブの並んだ配置にとって適している。
【0020】
一の実施形態においては、前記官能基は、前記カーボンナノチューブの端の上と壁の上とに位置する。
【0021】
一の実施形態においては、前記カーボンナノチューブは、束またはロープへ集められる。
【0022】
好ましくは、酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素の融点より高い温度、好ましくは、約140〜160°C、より好ましくは、約150°Cに加熱される。
【0023】
好適な実施形態においては、酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素、または、その分解生成物が、前記酸素を含有する官能基を変更するように反応し、および/または、重合して、−水またはC1−C3アルコールのような極性溶媒中においてカーボンナノチューブを溶解させる、CONH2と−CONHCONH2とのような、新しい官能基を生成し、
【0024】
好適な実施形態においては、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのような、ベンズアルデヒドアルデヒドは、前記変更および/または重合反応を調節するように、その尿素に加えられる。
【0025】
好ましくは、前記金属カチオンMeは、Ag1+,Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Sn2+,Pb2+,Eu2+,Sc3+,Y3+,La3+,Ce3+,Pr3+,Nd3+,Pm3+,Sm3+,Eu3+,Gd3+,Tb3+,Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Yb3+,そして、Lu3+そして、Bi3+からなる金属イオンのグループから選ばれる。これらの金属カチオンは、上記のように定義されているように、極性溶媒において不溶またはごく僅かな範囲のみ可溶なMe−炭酸塩を形成することが知られている。
【0026】
一の実施形態においては、前記Me−炭酸塩は、実験式(Me)x(CO3)y(OH)zを有し、Meは、2価の金属カチオン、好ましくはCa2+またはMg2+またはCa2+とMg2+の組合せであり、そして、x,y,zは、式x=y+z/2を満足し、z=0を含む整数値であり、好ましくは、前記Me−炭酸塩は、CaCO3であり、好ましくは、前記CaCO3は、CaCO3のアモルファスまたは結晶の相、または、それらの組合せである。
【0027】
一の実施形態においては、前記金属カチオンMeは、一般式MOnm+を有するシンプルな単量のオキソカチオンを含むグループから選ばれる。ここでは、n=1または2,そしてm=1,2または3でありOは、酸素を示し、そして、Mは、V(バナジウム)とU(ウラン)とから選ばれる金属を示している。好ましくは、M=Vのとき、前記オキソカチオンは、VO2+(バナディルイオン)であり、そして、M=Uのとき、前記オキソカチオンは、UO22+(ウラニルイオン)である。これらのイオンは、MO単位を含む。ここでは、金属−酸素結合は、本質的に二重結合(すなわち、M=O)であり、そして、それは、さまざまな化学反応を解して存続する。その金属−酸素結合の両性な本質は、酸素原子上にて部分的に負な電荷を生成し、そして、金属オキソカチオンの酸素原子とグループを提供する水素結合との間での水素結合の可能性を促進する(Franczyk et al.,Journal of the American Chemical Society 114,8138(1992))。さらに、ウラニルイオンは、炭酸塩イオン(CO32-)をカルボン酸塩の基(−COO-)として伴った、安定な錯体を形成することが知られている(Franczyk et al.,Journal of the American Chemical Society 114,8138(1992))。そのバナジルイオンは、また、カルボン酸塩の基を含むさまざまな化合物を伴った安定な錯体を形成する(Selbin,Chemical Reviews 65,153(1965);Garribba et al.,Inorganic Chemistry 42,3981(2003))。これらの事項は、VO2+そして、UO22+、Ca2+などの金属カチオンのような、シンプルな単量のオキソカチオンの炭酸塩化合物が、−COOH,−OH,−CONH2、および/または−CONHCONH2のように、酸素原子を含む結合された官能基を持つカーボンナノチューブを伴った複合材料を形成することができる期待を導く。
【0028】
一の実施形態においては、複合材料における前記カーボンナノチューブは、複合材料における固体の全重量において、0.01〜10%であり、好ましくは、0.2〜5%である。
好ましくは、本発明における複合材料は、基板上にある。
【0029】
好ましい実施形態においては、本発明における複合材料は、溶液からの析出物によって生成され、ここでは、好ましくは、それは、溶液から析出され、そして、収集され、好ましくは、遠心分離による。一の実施形態においては、前記複合材料、収集後のもの、は、そのとき、基板上に堆積される。
【0030】
一の実施形態において、前記複合材料は、乾燥され、そして、パウダーの形態中にある。そのパウダーは、それが注がれることが可能な感じにフリーに流れる。好ましくは、前記パウダーは、0.1μmから100μmまでの一次粒子のサイズを有し、ここでは、用語「一次粒子」は、顕微鏡によって識別できる、複合材料の最も小さな粒子を言及している。その一次粒子は、より大きな集合を形成する。
【0031】
好ましくは、遠心分離の間、前記複合材料に加えられた向心力は、0.1Nから1000Nまでの範囲であり、好ましくは、0.1Nから100Nであり、より好ましくは、0.5Nから50Nであり、そして、最も好ましくは、1Nから40Nである。一の実施形態においては、遠心分離の間、前記複合材料に加えられる求力圧は、求心圧0.01MPaから5MPaまでの範囲であり、好ましくは、0.01MPaから4MPaであり、より好ましくは0.02MPaから3MPaまでであり、そして、最も好ましくは、0.06MPaから2MPaである。
【0032】
一の実施形態においては、前記複合材料は、溶液からの析出によって生成されており、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を極性溶媒中においてMeの非炭酸塩と炭酸イオンのソースとに結合するステップを含み、ここでは、前記極性溶媒は、好ましくは、水または、C1−C3アルコールである。
【0033】
好ましくは、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を、第1の極性溶媒中において、Me−炭酸塩のパウダーで、またはMe−炭酸塩の分散で、第2の極性溶媒において結合するステップを含み、ここでは前記第1と前記第2の極性溶媒は、好ましくは、水とC1−C3アルコールとから選ばれ、そして、ここでは、さらに好ましくは、前記第1と前記第2の極性溶媒は、同じである。
【0034】
一の実施形態においては、前記複合材料は、懸濁液として基板上に堆積される。
【0035】
一の実施形態においては、それは、溶液から基板上に直接的に析出される。
【0036】
好ましくは、前記複合材料は、懸濁液の形成中においては、0.1μmから100μmの範囲において、一次粒子のサイズを有し、ここでは、用語「一次粒子」は、顕微鏡によって識別できる複合材料の最も小さい粒子を言及している。一次粒子は、集合(2次粒子)より大きくなるように形成される。
【0037】
好ましくは、前記基板は、ガラス、シリコン、半導体、金属、セミ金属(semi−metal)、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、骨から選ばれる材料によって作られている。
【0038】
好ましくは、前記基板は、パターン化された基板(a patterned substrate)である。
【0039】
一の実施形態においては、前記複合材料における前記Me−炭酸塩は、,複合材料を酸に曝すことにより、別のMe−塩に、一部または完全に変換することによって処理され、すなわち、前記Me−塩を生成し、ここでは、好ましくは、前記Me−炭酸塩を別のMe−塩に変形した後に、前記複合材料は、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールなどの極性溶媒でリンスされ、別の塩を除く。好ましくは、前記酸は、水溶液であり、より好ましくは、鉱酸であり、さらに好ましくは、塩酸または硫酸である。他の実施形態においては、しかしながら、前記酸は、高濃度な鉱酸であり、たとえば、高濃度な塩酸または硫酸であり、そして酸への曝露は、酸性の蒸気に曝露することによって生ずる。
【0040】
一の実施形態においては、前記酸への曝露を受けた前記複合材料は、カーボンナノチューブシェルを含み、それは、好ましくは、1μmから100μmまでの範囲において3次元全体にて平均長さを有し、より好ましくは、5μmから30μmまでである。そのようなシェルは、主に、カーボンナノチューブからなる外側部分と、そして、主に、塩,溶媒,そして、他のナノチューブ以外の成分からなる内部体積とを含む。これらのシェルは、一般に、Me−炭酸塩または別のMe−塩(酸曝露後)の結晶の全体的な形に適合するように現れる。本発明は、そのようなシェルが、それらの内部体積において物質を移動するために小胞として使用されると、予想する。
【0041】
一の実施形態において、前記複合材料は、乾燥され、好ましくは、Me−炭酸塩を別のMe−塩へ変換後に、基板上においてなされる。好ましくは、そのように乾燥された複合材料は、少なくとも一つのカーボンナノチューブ層を含み、好ましくは、基板上においてなされる。そのようなカーボンナノチューブ層は、また、ときどき、カーボンナノチューブ「マット」として言及される。それは、前記シェル基板上にて乾燥したもの、は、崩壊し、そして、それゆえ、「マット」を、平らにする
【0042】
一の実施形態において、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、加熱することにより金属または金属酸化物にそれを一部または全部変形することによって、処理する。
【0043】
一の実施形態において、前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、還元することにより金属または金属酸化物にそれを一部または全部変形することによって、処理される。これは、直接または金属酸化物を介して生ずる。
【0044】
本発明の目的は、また、以下のステップを具備するカーボンナノチューブ複合材料を形成する方法により解決される。
a)カーボンナノチューブを与え、
b)そのカーボンナノチューブを極性溶媒、好ましくは、水または、C1−C3アルコールにおいて分散し、
c)金属カチオンと炭酸塩アニオンとをカーボンナノチューブが分散された前記極性溶媒に導入し、そして、
d)Me−炭酸塩と前記カーボンナノチューブとを共に析出することを含み、ここでは、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、異なる金属カチオンの混合、最も好ましくは、Ca2+、または、Mg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり、それによって、前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料を形成する。
【0045】
一の実施形態において、ステップb)は、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒においてカーボンナノチューブを分散させ、その官能性のカーボンナノチューブを、その極性溶媒において分散させる、COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2などのような、官能基を持った前記カーボンナノチューブを与えることによって、起こる。
【0046】
好ましくは、ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素に混合し、そして、尿素を溶融することによって生じ、前記溶融が、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのようなベンズアルデヒドアルデヒドの存在において任意に生じ、そして、その後、そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノール、または、エタノールのような、極性溶媒中において分散することによって起こる。
【0047】
一の実施形態において、ステップc)とd)は、Meの非炭酸塩を、前記官能性のカーボンナノチューブを含む前記極性溶媒中において溶解し、そして、気体の炭酸アンモニア、または、気体アンモニアとカーボン二酸化物との混合に前記溶液を露出することによって起こり、前記カーボンナノチューブと、前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0048】
好ましくは、前記Meの非炭酸塩は、1価,2価、または、3価の金属カチオンを含み、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せであり、ここでは、好ましくは、前記Meの非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である。
【0049】
一の実施形態においては、ステップc)とd)は、第1に、一価のカチオンの炭酸塩、または、それの溶液を、第2に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液を、極性溶媒においてカーボンナノチューブの分散と結合させ、または、カーボンナノチューブの分散を、極性溶媒中において、第1に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液と、そして、第2に、一価の金属カチオンの炭酸塩、または、それの溶液に結合させることによって起こり、ここでは、Meは、カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0050】
好ましくは、一価のカチオンの前記炭酸塩は、Na2CO3であり、そして、前記Meの非炭酸塩は、CaCl2である。
【0051】
別の実施形態においては、ステップc)とd)は、前記カーボンナノチューブの分散を極性溶媒において任意の順序で尿素、または、それの溶液と、Meの非炭酸塩、または、それの溶液に結合させることによって生じ、ここでは、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオンであり、より好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せであり、そして、その後、前記溶液または分散を加熱し、結果としてそのような結合をし、尿素の分解を促進させて前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0052】
一の実施形態においては、ステップc)とd)は、カーボンナノチューブの分散に、極性溶媒において、任意の順序で、尿素、または、その溶液、そして、Meの非炭酸塩、または、その溶液に結合することによって起こり、ここでは、Meは、金属カチオン、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり,そして、ウレアーゼ(urease)、または、その溶液であり、、尿素の分解をし、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
【0053】
好ましくは、前記Me−炭酸塩は、CaCO3であり、Meの非炭酸塩は、CaCl2である。
【0054】
一の実施形態において、前記Me−炭酸塩と前記カーボンナノチューブとの前記共析は、基板の存在において生ずる。
【0055】
本発明の目的は、また、以下のステップを具備する、カーボンナノチューブ複合材料を形成する方法によって解決されるものである。
a)カーボンナノチューブを与え、
b)極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコール中において、そのカーボンナノチューブを分散し、
c)Me−炭酸塩粒子、好ましくは、微細に分配されたMe−炭酸塩粒子の分散を、極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコールにおいて備え、
d)Me−炭酸塩粒子の前記分散をカーボンナノチューブの前記分散に組み合わせ、それにより、前記Me−炭酸塩粒子の表面に吸着した前記カーボンナノチューブを具備する前記カーボンナノチューブ複合材料を形成する。
【0056】
一の実施形態においては、ステップb)は、−COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2などのような、官能基を含む前記カーボンナノチューブを与え、そのカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールなどの極性溶媒において分散させ、そして、そのような官能性のカーボンナノチューブを、そのような極性溶媒において分散させることによって起こる。
【0057】
好ましくは、ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素と混合し、そして、その尿素を溶融することよって起こり、前記溶融が、任意にアルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドのようなベンズアルデヒドの存在にて生じ、そして、その後そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒において分散する。
【0058】
一の実施形態においては、ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、溶性なMeの非炭酸塩の溶液を一価のカチオンの溶性な炭酸塩の溶液に混合することによって、新たに準備され、ここでは、両方の溶液の溶媒が、好ましくは、水である。
【0059】
好ましくは、Meの前記溶性な非炭酸塩は、好ましくは、1価、2価、または、3価の金属カチオンであり、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せである。
【0060】
一の実施形態においては、Meの前記溶性な非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である。
【0061】
好ましくは、一価のカチオンの前記溶性な炭酸塩は、Na2CO3である。
【0062】
一の実施形態において、ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーを前記極性溶媒、好ましくは、水において分散することによって新たに準備される。
【0063】
一の実施形態において、前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料は、溶液から析出し、そして、好ましくは、遠心分離によって収集される。一の実施形態においては、収集後、その複合材料は、そのとき基板上に堆積される。
【0064】
好ましい実施形態においては、その複合材料に加えられた向心力および/または求心圧は、上記した通りである。
【0065】
好ましくは、前記金属炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、基板上に懸濁液として堆積され、そして、乾燥される。
【0066】
一の実施形態においては、ステップd)でのMe−炭酸塩粒子へのカーボンナノチューブの前記吸着は、基板上にて起こる。
【0067】
一の実施形態においては、前記基板は、ガラス、シリコン、半導体、金属、セミ金属、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、そして、骨とを具備するグループから選択される材料によって作られている。
【0068】
好ましくは、前記基板の表面は、官能基、好ましくは、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、−COOH基を受けている。
【0069】
より好ましくは、前記基板は、パターン化された基板であり、ここでは、好ましくは、前記基板は、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、官能基、好ましくは、−COOH基と、そして、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合されない、官能基、好ましくは、−CH3基と共にパターン化されている。
【0070】
一の実施形態においては、Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、割れ目へ前記材料をもたらすような力、好ましくは、研磨によるもの、圧力または超音波の使用によるもの、または、熱衝撃によるものにさらされ、ここでは、好ましくは、基板上のMe−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、圧力にされされ、前記圧力が前記カーボンナノチューブ複合材料を破片に破壊するに十分なものである。
【0071】
その複合材料を破壊するために与える圧力の量は、過度な実験なしに、その技術に精通した者によって、容易に決定できる。たいてい、手動で加えられる強度を持った圧力で十分である。
【0072】
一の実施形態においては、Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料において前記Me−炭酸塩は、一価のカチオンのリン酸塩、好ましくは、二塩基性のアンモニアリン酸塩((NH4)2HPO4)の溶液での水温処理により、さらに炭酸塩ヒドロキシアパタイトへそれを部分的または完全に変形することによって処理される。
【0073】
一の実施形態においては、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、加熱により、金属または金属酸化物にそれを部分的または完全に変形することによって処理される。一般に、Me−炭酸塩は、金属酸化物とカーボン二酸化物とに分解されるが知られている。たとえば、Ag2CO3は、約220°Cにて、Ag2OとCO2とに分解され、そして、より高い温度にて、金属のAgが、形成される(Merck Index 12thed.,#8650)。そのような金属酸化物または金属は、触媒、センサ、光学デバイスなどにおいて利用され、それは、熱処理された複合材料においてカーボンナノチューブの優れた特性に組み合わされている。
【0074】
一の実施形態においては、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、還元により、金属または金属水素化物にそれを部分的または完全に変形することによって処理される。還元は、直接的または金属酸化物を介して生ずる。還元による変形の反応性生物は、触媒、または、バッテリ、燃料電池、キャパシタのような、電気化学デバイスのアノードまたはカソード材料として利用されている。還元は、高温および/または高圧下における水素を、たとえば、用いることで実現される。そのような還元は、一般に、その技術を精通した者により知られている。
【0075】
一の実施形態においては、前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、前記複合材料を酸に曝すことにより、別のMe塩にそれを部分的または完全に変形することによって処理され、それ故に、前記Me塩を生成し、ここでは、好ましくは、前記酸が塩酸、硫酸、硝酸、または、過塩素酸、または、トリフルオロ酢酸またはトルエンスルホン酸などの2未満のpKaである有機酸のような、鉱酸であり、前記Me−炭酸塩成分の全部または一部を分解する。ここでは、好ましくは、前記カーボンナノチューブ複合材料は、酸に曝露された後に、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールでリンスされる。いくつかの実施形態においては、前記酸は、高濃度な酸であり、曝露は、それに加えて酸性の蒸気への曝露によって生じている。別の実施形態においては、前記酸は、水溶液である。
【0076】
一の実施形態においては、前記複合材料は、Me−炭酸塩を別のMe−塩中へ変化した後、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような、極性溶媒でリンスされ、そして、任意に、乾燥され、または、乾燥および処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような極性溶媒でリンスされ、それにより、前記別のMe塩を除去する。
【0077】
好ましくは、その酸への曝露は、0.1〜60分、好ましくは、1〜10分の間隔を超えて生ずる。
【0078】
一の実施形態においては、前記酸は、水溶液であり、好ましくは、塩酸または硫酸の水溶液である。一実施形態においては、前記酸は、気体状であり、好ましくは、気体状の塩酸である。
【0079】
一の実施形態においては、前記複合材料は、基板上に堆積され、ここでは、好ましくは、基板上での前記複合材料の堆積後、接着テープは、前記複合材料に適用され、そして、再び除去され、それによりいくつかの複合材料をリフトオフ(lift off)する。好ましくは、接着テープの適用を受けた前記複合材料とその後のリフトするものは、前記基板上の少なくとも一部を残し、そして、垂直に配向されたカーボンナノチューブ束を含み、基板に対して垂直に配向されている。好ましい実施形態においては、垂直に配向されたナノチューブ束の密度は、垂直に配向されたナノチューブ束の間の平均距離が、それらの平均長さとしてほぼ同じサイズになるようにする。
【0080】
より好ましくは、酸への曝露後、接着テープは、前記カーボンナノチューブ複合材料に適用され、再び除去され、それにより、いくつかの材料をリフトオフする。
【0081】
本発明の目的は、本発明による方法、好ましくは、基板を含む方法、または、割れ目へ材料をもたらす力を適用することを含む方法、または、Me−炭酸塩のその後の変形を含む方法、または、酸処理を含む方法、または、前述のステップのいずれかの組合せを含む方法によって、生成されたカーボンナノチューブ複合材料により解決される。
【0082】
好ましい実施形態においては、本発明によるカーボンナノチューブ複合材料は、結晶性のMe−炭酸塩成分を含む。
【発明の効果】
【0083】
本発明の目的は、また、本発明によるカーボンナノチューブ複合材料を、フラットパネルディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、平行電子ビーム顕微鏡、ナノリソグラフィ、ガス電離センサ、携帯可能なX線管、コンパクトなマイクロ波増幅器のような用途における、電子源として利用することで解決される。さらに、本発明の目的は、本発明によるカーボンナノチューブ複合材料を、導電層、照明要素として、または、マイクロ電子機器にて、バッテリ、燃料電池またはキャパシタのような電気化学デバイスにて、センサ、好ましくは、化学的または電気化学的センサまたは、タッチセンサにて、アクチュエータにて、生物医学にて、デバイス、硬いまたは柔らかい、組織置換(tissue replacement) 、および/または、生物学的細胞成長のサポートとして、好ましくは、骨または歯の置換のため、ニューロン成長のため、または、人工筋肉において、導電性層において、電気泳動のインクにおいて、骨、歯または軟骨の再生またはインプラントされた生医科学的材料またはデバイスの表面処理のために、骨格として使用することで解決される。
【0084】
発明者らは、驚いたことに、共析(co−precipitation)プロセスを用いることで、それを見出し、カーボンナノチューブの複合材料を形成することを可能とし、その複合材料は、付加的に金属炭酸塩を含む。また、発明者らは、驚いたことに、吸着プロセスを用いることで、それを見出し、カーボンナノチューブの複合材料を形成することを可能とし、その複合材料は、付加的に、金属炭酸塩を含む。そのような共析のための一の必要条件は、カーボンナノチューブが、前もって、水溶液のような極性溶媒にて溶性として作られ、その可溶化は、極性な官能基を持ったカーボンナノチューブを与えることによって達成できる。そのような機能化を達成する方法は、尿素−溶融プロセスであり、たとえば、欧州特許出願EP02 027 863.6と、PCT出願番号PCT/EP03/10600とにおいて、示されている。これらの出願の内容は、参照により、それらの全体に含まれている。
【0085】
カーボンナノチューブを溶解するための尿素−溶融プロセスは、アミド尿素、および/または、カルバミン酸基を含む、酸素と窒素原子とを有する極性有機官能基が結合され、ナノチューブを生成する。これらの基は、水そしてメタノールのような、極性溶媒においてナノチューブを可溶とし、ウエヤマら(Macromolecules 34,2607(2001))により調査されたポリマーに類似の方法において、炭酸カルシウムのカルボン酸酸素原子とアミドのNH基および/または尿素官能基との間の水素結合を介して炭酸カルシウムと相互作用できる。その結果、以下に示す例では、尿素−溶融プロセスによるCNTと炭酸カルシウムとの結晶性の複合材料とが、シンプルな共析、または、吸着プロセスによって、容易に得られる。CNT−CaCO3結晶複合材料の形成は、濃縮、および/または、自己組織化(self−assembly)を介して、CNTをガニジング(ganizing)する新しい方法を示す。個々の粒子が析出により得られたパウダーを具備するので、それらは、たとえば、機械的または電気泳動的な手段によって、単独に操作と位置付けがなされる。本発明者らは、アイゼンベルグら(Nature 398,495(1999) Journal of the American Chemical Society 121,4500(1999);Science 299,1205(2003))と、ハンら(Langmuir 18,182(2002))との実験にて示されたものと同様に、そのような複合材料が、また、パターン化された基板上にて選択された位置で成長または堆積することができると期待している。そのような複合材料は、たとえば、再生医療または生物学的な細胞成長のためのサポートのように、医学または生物医学的応用にて使用されている。そのCaCO3成分は、たとえば、酸を持つ複合材料を処理することによって、部分的または完全に、用意に除去することができる。さらに、本発明者らは、残留しているCNTアセンブリまたは、組織化された構造を保持するネットワークが、薄膜トランジスタ、センサ、そして、燃料電池における電極、バッテリ、そして、キャパシタを含む、多様な用途にて有用であることを期待している。ここでは、本発明者らは、ガラスとポリマー基板とに適合する低温プロセスを介して電界放出デバイスのためのカソードを製造するために、CNT−CaCO3結晶複合材料の使用を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
好ましい実施形態によれば、カーボノチューブ(CNT)と炭酸カルシウム(CaCO3)とを含む結晶性の複合材料は、3つの方法により準備される。
1.塩化カルシウムとCNTとの水分散が、気体状のアンモニア炭酸塩に曝露される。その析出された複合材料は、遠心分離によって収集され、結晶性の炭酸カルシウムとCNTとを具備する。
2.ナトリウム炭酸塩の水溶液は、塩化カルシウム水溶液に混合されて、アモルファスの炭酸カルシウムを具備するマイクロ粒子が形成され、CNTの水分散が加えられる。その析出された複合材料は、遠心分離によって収集され、結晶性の炭酸カルシウムとCNTとを具備する。
3.CNTの水分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーの水の懸濁液と混合される。その複合材料は、遠心分離によって収集され、結晶性の炭酸カルシウムとCNTとを具備する。
【0087】
カーボンナノチューブのそのような結晶性の複合材料は、前に示したものでなく、多様な技術用途を有し、それは、その複合材料を、準備されたもの、または、化学変化後のものとして活用する。特に、電界放出を示すカソードは、1)溶液からのCNT−CaCO3複合材料の析出、2)導電性基板上での析出物の堆積、そして、3)複合材料の接着部分を大まかに除くためと、基板表面に結着された残りのCNTをリフトするために、接着テープを有する基板表面を処理する。その析出ステップ1)は、遠心分離を含む。さらに、そのプロセスは、ステップ3)の接着テープ処理の前に複合材料を酸へ曝露し、CaCO3成分の全部または全部を分解する付加ステップを含む。さらに、基板は、乾燥プロセス(たとえば、加熱および/または減圧)を、酸処理後であって、ステップ3)における接着テープ処理前に受ける。
【0088】
用語「カーボンナノチューブ(CNT)」は、ここで使用されているように、一般には、中空黒鉛カーボンチューブを意味し、それは、好ましくは、半球状のキャップによって末端のそれぞれで終端処理されている。その次元は、さまざまである。単層カーボンナノチューブ(Single−walled carbon nanotube)(SWNT)は、4オングストローム(Å)から数ナノメーター(nm)の直径を有し、マイクロメーター(μm)長またはそれ以上である。SWNTは、典型的には、「ロープ」または「束」として言及されているロープのような構造に並んだ集合である。多層カーボンナノチューブ(Multi−walled carbon nanotube)(MWNT)は、そのチューブを形成するカーボンの一つ以上の同心な層を具備する。本発明によるカーボンナノチューブは、SWNT,MWNT,二層カーボンナノチューブ(DWNT),フューウォールドカーボンナノチューブ(few−walled carbon nanotube)(FWNT),バッキーチューブ(bucky tube),カーボンフィラメント,そして、それらの組合せとすることができる。そのようなカーボンナノチューブは、その技術に精通した者によって知られている技術により作ることができ、そして、それらは、さらに、任意に、精製される。そのようなカーボンナノチューブは、電気的特性(そのチューブの周りでグラファイト構造がスパイラルする方法と、他の手法に依存する)を変えることができ、そして、絶縁性、半導電性または導電性(金属またはセミ金属(semi−metallic))にできる。いくつかの実施形態においては、カーボンナノチューブは、化学的に変更および/または官能化される。
【0089】
略称SWNTは、ここで使用されているように、単層カーボンナノチューブを意味する。略称U−SWNTは、ここで使用されているように、尿素溶融を受け、それゆえに、溶解された単層カーボンナノチューブを意味する。用語UA−SWNTは、ここで使用されているように、ベンズアルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドが尿素溶融において存在する、尿素−溶融を受けた単層カーボンナノチューブを意味する。
【0090】
一般に、用語「複合材料」は、ここで使用されているように、いくつかの成分を具備する材料を意味し、しかしながら、それは、また、さらなるイベントまたは反応が原因で、一つ、または、いくつかの成分が別の物質に変化されるか、または、消失して、その結果、一成分のみ残った、材料を含むことを意味する。たとえば、本発明による複合材料は、また、カーボンナノチューブのみを具備する材料であり、ここでは、Me−炭酸塩成分が、初期、または、同時期に存在しているが、たとえば、蒸発または燃焼または、酸による処理のために、消滅されている。
【0091】
本発明によれば、好ましくは、酸素原子を含有する官能基、たとえば、カルボン酸(−COOH)、そして、アルコール/フェノール(−OH)基は、カーボンナノチューブに結合されている。還流する硝酸または空気中での加熱のような、カーボンナノチューブを精製するために一般に使用されている方法は、ナノチューブの化学修飾、特に、末端と、そのサイドウォールにおける欠陥とによって、そのような酸素含有の官能基の生成をもたらす。これらのような官能基は、また、カーボンナノチューブに、間接的に、すなわち、官能基を含む化合物の非共有な吸着によって、結合される。カーボンナノチューブのサイドウォールへ吸着するとして知られている化合物は、平面な芳香族分子(ピリン誘導体、ポルフィリン誘導体など)、ポリマー(ポリフェニレンビニレン、ポリビニルアルコールなど)、そして、界面活性剤(ナトリウムドデシルサルフェート(sodium dodecylsulfate)、両親媒性ペプチド(Dieckmann et al.,Journal of the American Chemical Society 125,1770(2003))など)を含む。酸素含有の官能基をカーボンナノチューブ上へ導入する第3の方法は、ナイトレンまたはジアゾニウム誘導体のような試薬を使用する共有結合によるものである。カーボンナノチューブへ官能基を結合する、さまざまな方法をまとめている、いくつかの総論が、利用可能である(Sun et al.,Accounts of Chemical Research 35, 1096(2002);Niyogi et al.,Accounts of Chemical Research 35,1105(2002);Hirsch,Angewandte Chemie International Edition 41,1853(2002);Bahr and Tour, Journal of Materials Chemistry 12,1952(2002))。
【0092】
−COOHと−OHとのような官能基は、本発明の実施にとって、2つの理由で望ましい。そのような基が望ましい一つの理由は、それらが、水または有機溶媒における、カーボンナノチューブの溶解度を改良することである。溶解度は、本文において、真な分子分散を意味する必要がないと理解されるが、むしろ、コロイド分散を言及しており、ここでは、いくつかまたは多くの個々のカーボンナノチューブが「束」または「ロープ」として言及されていることに関連されている。それにも関わらず、少なくとも、そのような束の外側の表面上のカーボンナノチューブの官能基は、イオンと他の分子とに接近しやすい。
【0093】
酸素原子を含む官能基が本発明の実施にとって望まれる、他の理由は、それらが、複合材料中においてナノチューブを金属炭酸塩へ結合する橋(bridge)としての役目をすることである。いかなる理論によって結合されることを願うことなしに、2つのシナリオ、独立に、または、同時に起こるものは、金属炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料が生成されている時に、生ずるものと考えられている。一方のシナリオにおいては、ナノチューブによる金属イオンの吸着は、ナノチューブ表面にて金属イオンの高い局所的な濃度へ導き、それにより、金属炭酸塩の局所的な表面堆積を促進する。他方のシナリオにおいては、そのナノチューブは、その溶媒中の大部分にて既に核になっている金属炭酸塩の粒子または結晶へ吸着する。別のケースにおいては、そのナノチューブは、それが、成長を続けるときに金属炭酸塩マトリクスへ内蔵され、複合材料を生成する。最終的には、複合材料を具備する粒子のサイズが十分に大きいときに、その粒子は、析出する。本発明者らは、全体のプロセス、すなわち、カーボンナノチューブ上での金属炭酸塩の表面堆積、および/または、金属炭酸塩の粒子または結晶上へのカーボンナノチューブの吸着、それに続き、金属炭酸塩マトリクスへのナノチューブの混和、それに続き、「共析」のような、複合材料の析出を言及する。それは、金属炭酸塩成分が、それの最も熱力学的に好適な相にて初期に共析の間に形成されないことが認識されるが、その後、時間、または、熱または圧力、たとえば、遠心分離の間での向心力どの外力の結果として、より安定な相へ変化する。
【0094】
本発明の第3の実施形態においては、そのカーボンナノチューブは、熱力学的に安定な相において、金属炭酸塩の粒子を具備する懸濁液に加えられる。そのカーボンナノチューブは、ナノチューブ上にて酸素原子を含む官能基と、金属炭酸塩表面との相互作用のために、金属炭酸塩粒子へ吸着し、金属炭酸塩とナノチューブとを具備する複合材料を形成する。
【0095】
安定な炭酸塩化合物を形成する金属イオンは、一般に、それらの最も安定な、酸素リッチな配位子を持つ化合物を形成する傾向にある。「硬く、そして、軟らかい、酸と塩基」(HSAB)則(Pearson,Journal of the American Chemical Society 85,3533(1963))は、金属イオンと配位子が、それらの分極率によって、「硬い」または「軟らかい」として分類でき、硬い(無極性)金属イオンが硬い配位子に強固に結合し、そして、逆もまた同様であることを提示する。硬い金属イオンは、比較的小さく、正の電荷の密集した核を有し、これらは、Ca2+とMg2+とを含む。硬い配位子は、比較的小さく、負に高く帯電したドナー原子(金属イオンへ結合されたもの)を有し、これらは、OとNとを含む。Ca2+とMg2+イオンとの酸素を含む配位子への親和力は、−COOHと−OHとのように酸素を含む基とを機能的にするカーボンナノチューブによって、これらのイオンが吸着されることを理由にしている。同様に、それは、官能性のナノチューブが、表面がMeの格子と炭酸塩イオンを含む金属炭酸塩の粒子または結晶上へ吸着されることを理由としている。そのような金属−配位子の配位結合の相互作用に加えて、水素結合は、また、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩とを具備する複合材料の共析の間に含まれる力へ寄与するようである。どのように酸素原子を含む官能基がカーボンナノチューブと炭酸カルシウムとの間の橋渡しとして、本発明の実施形態に従って生成された複合材料において、役割をするかを示す概念図は、図1に示されている。
【0096】
図1に示した水素結合に加えて、静電的(クーロン的)相互作用は、また、複合材料内において、カーボンナノチューブと炭酸カルシウム成分との間での結合の一因となる。一方、カーボンナノチューブは、中性な、ソルトフリーな水溶液において、負に帯電する傾向にあり(Nagahara et al.,Applied Physics Letters 80,3826(2002))、おそらく、電荷移動相互作用、または、−OH・・・π水素結合の形成を介した水分子の極性が、フラーレンクラスターのケースと同様に、原因である(Andrievsky et al.,Chemical Physics Letters 364,8(2002);Chaplin,“Water Structure and Behavior”,http://www.lsbu.ac.uk/water/)。一方、多結晶の炭酸カルシウム(カルサイト)の水中での表面電荷は、そのpHがゼロ電荷位置よりも下である、pHpzc〜8.2であるときには、(Salinas−Nolasco et al.,Journal of Colloid and Interface Science 274,16(2004))正に帯電する傾向にある。それゆえ、カーボンナノチューブと炭酸カルシウムとの間での、引力のある静電相互作用は、中性に近い水の懸濁液中において発生しそうであり、そして、CNT−CaCO3複合材料の形成のためには、有利である。
【0097】
本発明の一の実施形態においては、酸素原子を含む官能基が結合されたカーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素の融点より高い温度、好ましくは、〜150°Cへ加熱され、ここでは、尿素の分解性生物が、前記酸素含有の官能基へ変更するように反応し、および/または、−CONH2と−CONHCONH2のような、新しい官能基を導入するように重合する。このプロセスは、カーボンナノチューブを、水のような極性溶媒中にて、より溶性にし、そして、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩との間での橋渡しの役割をする付加的な官能基を生じる。任意に、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドのようなベンズアルデヒドは、前記変更、および/または、重合反応を調整するように、その融解された尿素へ加えられる。
【0098】
好ましくは、Me−炭酸塩は、炭酸カルシウム(CaCO3)である。
【0099】
無水CaCO3の3つの結晶性形状は、アモルファス形状と同様に、水和されて、自然に生ずる。その3つの結晶性の多形体は、カルサイト、アラゴナイト、そして、バテライトである。その特殊な多形体と、炭酸カルシウムが溶液から析出されたときに生成されたモフォロジー(mophology)は、多くの因子に依存し、その溶液中において有機分子と他の金属イオンの存在を含む(Review:Coelfen,Current Opinion in Colloid and Interface Science 8,23(2003))。一般に、アモルファス炭酸カルシウム(ACC)は、CaCO3が、Ca2+とCO32−との反応によって準備された、過飽和な溶液から析出されたとき、より安定な結晶性形状の形成への前駆体である(Pontoni et al.,Journal of Physical Chemistry B 107,5123(2003))。カルサイト、菱面体晶な結晶のよって区別されたものは、熱力学的に、アラゴナイトとバテライトより、周囲条件の下で好まれている。Mg2+の存在は、アラゴナイト多形体の成長を有利にし(Raz et al.,Advanced Materials 12,38(2000);Meldrum and Hyde,Journal of Crystal Growth 231,544(2001))、その上、水−混和性のアルコール(エタノール、イソプロパノール、ジエチレングルコール)の存在は、カルサイトへのそれの変形を妨げることによって、バテライト多形体を有利にする(Manoli and Dalas,Journal of Crystal Growth 218,359(2000))。
【0100】
さまざまな方法は、溶液からの析出によって、CaCO3を生成するために存在している。一般に、概して、それぞれは、Ca2+の水溶性の塩の水溶液を、炭酸塩イオン(CO32−)の源と混合することを含む。また、一般に、概して、上記に示したように、特定の有機アニオンが、その析出された炭酸カルシウムの結晶形状に影響を及ぼすが、そのCa2+塩の本質は、重要な要素ではない。
【0101】
水溶液からの析出により、CaCO3を生成するために、適切なCa2+塩は、塩化物(CaCl2または、その水和物)、窒化物(Ca(NO3)2、または、その水和物)、アセテート(Ca(CH3COO)2、または、その水和物)、そして、過塩素酸塩(Ca(ClO4)2、または、その水和物)を含む。塩化物、窒化物、そして、過塩素酸塩は、また、C1−C3アルコール(メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノールなど)において、かなり溶性であるので、これらのアルコール、または、アルコール−水混合物は、また、本発明によれば、CaCO3の析出のために、水に変わる溶媒として使用される。しかしながら、上記に示したように、C1−C3アルコールの存在は、その析出された炭酸カルシウムの結晶形状に影響を与える。
【0102】
炭酸塩イオンのいくつかのソースは、Ca2+の水溶性な塩の水溶液からの析出によってCaCO3を生成するために、使用されており、そして、また、本発明の目的のために使用される。一般に、概して、これらは、炭酸イオンの水溶性の塩、または、CO2と塩基の組合せのいずれか一方である。適切な水溶性の炭酸塩は、アルカリ金属イオン(たとえば、Na2CO3(Kawano et al.,Journal of Crystal Growth 237−239,419(2002)))、または、アンモニアイオン((NH4)2CO3(Dickinson et al.,Journal of Crystal Growth 244,369(2002))を持つものを含む。重炭酸イオン(HCO3−)に対応する塩は、また、使用されている。CaCO3は、消石灰(Ca(OH)2)の水のスラリーを介して泡立つCO2によって、商業的に準備されている。
【0103】
炭酸イオンを与える別の方法は、固体の炭酸アンモニア((NH4)2CO3)から蒸気拡散によるものである(Raz et al.,Advanced Materials 12,38(2000))。それを気化するとき、炭酸アンモニアは、CO2とアンモニアとへ分離できる。それが水中にて溶解したときに、NH3が、炭酸を、炭酸、および/または、重炭酸イオンへ脱プロトン化するための塩基として役目を果たす間に、そのCO2は、炭酸(H2CO3)へ水和する。
【0104】
球面な多孔性のマイクロ粒子(4〜6μm)は、アモルファスのCaCO3ナノ粒子からなり、0.33M Na2CO3溶液を、0.33M CaCl2溶液の等しい容積へ室温にて急速に注入することによって準備され、それらが、一晩中、水中において室温にて保存されるときに、>80%のマイクロ粒子は、菱面体晶なカルサイトのマイクロ結晶へ変化する(Volodkin et al.,Biomacromolecules 5,1962(2004))。アモルファスの炭酸カルシウム球体は、また、塩化カルシウム水溶液中における炭酸ジメチルの塩基触媒加水分解を介するカーボン二酸化物の放出によって、炭酸カルシウムが、ゆっくりと、数分から数時間のうちに、析出されたときに得られる(Faatz et al.,Advanced Materials 16,996(2004))。
【0105】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブの溶液は、アモルファスのCaCO3ナノ粒子を具備する球面な多孔性のマイクロ粒子の、新たに形成された懸濁液へ加えられる。どのようなメカニズムによって結合されることを願うことなしに、発明者らは、上記したように、CNT上において酸素原子を含む官能基と、そのCaCO3粒子表面との間の相互作用の結果として、そのCNTがマイクロ粒子へ速やかに吸着すると考える。そのアモルファスのCaCO3マイクロ粒子は、自発的に、菱面体晶に形づくられた結晶性のCaCO3粒子へ変化し、そして、そのCNTは、同時に、結晶性のCNT−CaCO3複合材料を形成する合成粒子へ組み込まれる。アモルファスから結晶性相へのCaCO3の変化は、結晶性相が、熱力学的に、より安定であるために、自発的に、生ずるが、遠心分離の間における向心力のような外力は、変化の速さを加速できる。複合材料におけるCNTとCaCO3成分との間の比は、すぐに、懸濁液におけるアモルファスのCaCO3マイクロ粒子と、懸濁液へ加えられた溶液中におけるCNTとの相対的な量によって、コントロールされる。本実施形態によるCNT−CaCO3複合材料を準備するプロセスは、図式的に、図2中に図解されている。
【0106】
CaCO3の析出のための炭酸塩のソースを与える別の方法は、尿素(NH2CONH2)の分解によるものである。CaCO3のアラゴナイト形状の均一な針状の結晶は、90°Cでの尿素の存在におけるカルシウム塩水溶液のエージング(2.5〜72時間)によって、得られる(Wang et al.,Journal of Colloid and Interface Science 218,545(1999))。尿素は、CO2とアンモニアとを与える条件下にて分解し、それは、上記したように、炭酸、および/または、重炭酸イオンのソースを与える。熱分解の代替として、尿素の分解は、酵素触媒による反応によって、室温にて達成される。すなわち、炭酸カルシウム析出物は、CaCl2(0.25〜0.50M)、尿素(0.25〜0.75M)、そして、ウレアーゼ(0.2〜0.2mg/mL)を含む溶液から、5〜10分において得られる(Sondi and Matijevich,Journal of Colloid and Interface Science 238,208(2001))。
【0107】
本発明による一の実施形態においては、Mg2+イオンは、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩とを具備する複合材料の共析の間に、その溶液へ加えられる。上記したように、炭酸カルシウムの析出の間における、Mg2+の存在は、その結晶形状とモフォロジーを調製する。そのようにして得られた炭酸塩は、主に、バルク中において、CaCO3であるが、局所的には、それは、ドロマイトとして知られるミネラルであるCaMg(CO3)2に似た配合を有する。
【0108】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブの分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーの新たに準備された懸濁液を組み合わせて、CNT−CaCO3複合材料を形成する。CNTは、CNT上における極性官能基と、粒子表面との間の相互作用の結果として、上記したように、CaCO3粒子に吸着する。さまざまな形状とサイズとのCaCO3粒子を含む、人工的に析出された炭酸カルシウム(PCC)は、たとえば、Merck KGaAからの紡錘状で、1〜2μm長の粒子(製品番号102069)、または、NanoMaterials Technology Pte Ltd (NPCC)からの立方体形状で、15〜40nmサイズの粒子などのように、商業的に、利用可能である。複合材料におけるCNTとCaCO3成分との比は、複合材料が準備されたときに、析出された炭酸カルシウムと、CNTとの懸濁液中における相対的な量によって、すぐに、コントロールされる。
【0109】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくはCaCO3とを含む複合材料は、カーボンナノチューブと、ヒドロキシ炭酸アパタイト(HCA)とを具備する複合材料を生成するために、リン酸塩を含む水溶液へ曝露される。複合材料を具備するCaCO3の変化は、もし、前記変化が、部分的に生じ、そして、そのように生成された材料が、カーボンナノチューブと、CaCO3およびHCAとの混合とを具備する複合材料であるならば、部分的、または、完全である。ヒドロキシ炭酸アパタイト、炭酸ヒドロキシアパタイトとして知られるものは、理想的な形状Ca10(PO4)3(CO3)3(OH)2を持つ。最近、HCAは、それが、それの化学的な配合と構造とにおいて、生きている骨に近似しており、そして、細胞接着、拡散、そして、区別をサポートすることに効果的な適合性を示すので、インプラントにおいて生物活性な材料として、たくさんの注目を受けている(Kasuga et al.,Biomaterials 24,3247(2003))。炭酸カルシウム(バテライト形状)とポリ乳酸とからなる複合材料が、擬似体液(2.5mM Ca2+,142mM Na+,1.5mM Mg2+,5.0mM K+,149mM Cl−,4.2mM HCO3−,1.0mM HPO42−,そして、0.5mM SO42−,50mM トリス(ヒドロキシ)メチルアミン,そして、45mM HClを具備する)において、pH7.4、そして、37°C、3時間、浸されたときには、骨類似なHCAは、複合材料の表面上にて形成する(Kasuga et al.,Biomaterials 24,3247(2003))。したがって、そのような使用および用途は、本発明による複合材料についても、予想されており、それにより、優れた機械的強度と化学的不活性、そして、場合によっては、カーボンナノチューブ内での電気的な、および/または、熱的な導電性を活用する。
【0110】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを含む複合材料は、リン酸塩を含む水溶液に曝露され、カーボンナノチューブとヒドロキシアパタイトとを含む複合材料を生成する。複合材料を含むCaCO3の変化は、もし、前記変化が完全に生じ、そのとき、そのように生成された材料が、カーボンナノチューブと、CaCO3、および、ヒドロキシアパタイトの混合とを含む複合材料であるならば、部分的、または、完全である。擬似HCA(ヒドロキシ炭酸アパタイト),ヒドロキシアパタイトは、それの優れた生体適合性と生物活性のために、生物医学的応用にとって、非常に関心がある別の材料である。ヒドロキシアパタイト、それは、理想的な式Ca10(PO4)6(OH)2を持つものであり、リン酸塩による炭酸カルシウムにおける炭酸イオンの完全な置換に由来する。CaCO3のアラゴナイト多形体のヒドロキシアパタイトへの変化は、たとえば、それを、水のリン酸塩溶液へ、熱水条件(160〜200°C,4〜7時間)の下、分解−再結晶メカニズムによって、曝露すること(Jinawath et al.,Materials Science and Engineering C 22,35(2002))、また、室温(7〜14日間)で、リン酸塩緩衝溶液中にて、表面反応(Ni and Ratner,Biomaterials 24,4323(2003))を介することで達成される。CaCO3のカルサイト多形体のヒドロキシアパタイトへの変化は、たとえば、カルサイト結晶をH3PO4懸濁液中にて、120〜160°C、6〜30時間、水温処理することによって、達成される(Yoshimura et al.,Materials Science and Engineering C 24,521(2004))。新しい生物医学的な使用および用途は、本発明による複合材料にとって、予想されており、優れた機械的強度と化学的不活性、そして、場合によっては、カーボンナノチューブ内の、電気、および/または、熱の導電性を利用する。
【0111】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、酸に曝露され、式:2H++CaCO3→Ca2++CO2+H2Oに従った分解によって、CaCO3成分の全部、または、一部を除去する。その複合材料は、懸濁液として、または、基板上のように、固体として存在しており、そして、その酸は、溶液として、または、気体、または、エアロゾルとして存在している。もし、酸分解反応によって生成されたカルシウム塩が、溶性であるならば、それは、たとえば、水またはメタノールでの洗浄によって除去される。CaCO3成分の除去は、形状が、斜方六面体のような、複合材料自身のそれに似ている織り交ぜられたCNTのフレキシブルな、繊維状なシェルを残すが、そのシェルは、乾燥にて崩壊する傾向にある。もし、酸分解反応の間でのCO2の進化が十分に速いならば、その織り交ぜられたCNTのシェルは、押し開ける。そのシェルの決裂は、pH2を有する緩衝酸性溶液を用いることによって、避けられる。
【0112】
本発明による一の実施形態においては、CaCO3成分の全部、または、一部は、テトラ酢酸エチレンジアミン(EDTA)、または、乳酸のような、Ca2+に対するキレート試薬の水溶液へ、それを曝露することによって、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料から除去される。高分子電解質がコートされた多孔性のマイクロ粒子のCaCO3コアは、EDTA(ジナトリウム塩)水溶液をpH7〜7.5で処理するときに、溶解する(Volodkin et al.,Langmuir 20,3398(2004),Biomacromolecules 5,1962(2004))。CNT−CaCO3複合材料からCaCO3成分を除去する本方法を使用することは、織り交ぜられたCNTのシェルが押し開けないように、速いCO2進化を避けることができる。
【0113】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、CaCO3成分が化学的に変化する前に、基板上に堆積する。その複合材料粒子が水の懸濁液、または、スラリーから堆積するときは、基板表面と、その複合材料粒子との間での接着は、十分に強くでき、以下のいくつかの実施例にて示すとおり、その粒子を、乾燥上で固定させる。一の実施形態においては、その複合材料の懸濁液、または、スラリーは、たとえば、ガラス毛細管、または、製図用ペンの先が持つ毛細管力を用いて、操作され、基板上にて堆積される。
【0114】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとCaCO3とを具備する複合材料内の粒子は、基板上での堆積の前に、より小さな片へ破壊される。
【0115】
本発明による一の実施形態においては、その乾燥複合材料粒子、パウダー内におけるものは、たとえば、堅いナイロンフィラメントを用いることによって、操作され、または、基板上にて、単独に、または、小さなクラスタにおいて、位置される。溶液の形態中よりもひとつの粒子複合材料の形態にて基板上に位置するCNTの利点は、含まれる堆積から明らかである。10μm辺を持つ、ほぼ立方体形状の粒子は、そのような小さな体積を有する、ほぼ10−3μL溶液の体積を持ち、それらは、本質的に、エアロゾル滴であり、基板上にて明確に、移動および設置することが非常に困難である。その代わり、外部電界は、電気泳動、または、誘電泳動のような、界面動電現象によって、懸濁液、または、スラリーにおいて、その粒子を、置くこと、または、操作することに用いられる。たとえば、スズキら(Langmuir 20, 11005(2004))は、負な誘電泳動の反発力を用いて、マイクロ粒子の2次元な線とグリッドパターンを、ガラス基板上にて加工した。水溶媒が誘電泳動の間に使用されることができる間には、非−水溶媒、たとえば、エタノールは、粒子の懸濁液、または、スラリーが、電気泳動の力を用いて、位置され、または、操作されるならば、代わって準備される。
【0116】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩、好ましくは、CaCO3を具備する複合材料は、別の材料にコートされる。カルサイト(CaCO3)コアと、シリカ(SiO2)シェルとを具備する複合材料粒子は、Na2SiO3溶液を、CaCO3粒子のスラリーへ添加することによって準備されることができ、そして、その混合物を、それを、気体状のCO2を持って、pH7へ中性にする間に、80°Cへ加熱する(Zhang and Li,Powder Technology 141,75(2004))。その結果として得られるシリカシェルの厚さは、CaCO3粒子のサイズと、Na2SiO3/CaCO3モル比とに依存する。そのシェルは、十分に多孔性であり、CaCO3コアを、、HClでのコア/シェル複合材料粒子の酸性化によって、除去する(Zhang and Li, Powder Technology 141,75(2004))。また、シェルのためのシリカのソースは、シリコンの有機エステル、たとえば、テトラエトキシシラン(また、テトラエチル−オルトシリケートとして知られている)である。エタノール−水−アンモニア混合物におけるテトラエトキシシランの加水分解は、Stoeber プロセスとして知られており、シリカシェルを持って、広いさまざまな粒子をコートするのに使用され(Hardikar and Matijevich, Journal of Colloid and Interface Science 221, 133(2000))、そして、そのStoeberプロセスは、さらに、シランカップリング剤と、触媒としてアンモニア以外のアミンとを含むように、修正される(Kobayashi et al.,Colloids and Surfaces A 251,197(2004))。シリカシェルが、カーボンナノチューブとCaCO3とを具備する複合材料上に成長される第3の方法は、複合材料を100〜200°Cの温度にて、テトラメトキシシラン、または、テトラエトキシシランの気体へ曝露することによる(Tanaka et al., Langmuir 20,3780(2004))。
【0117】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩とを具備する複合材料、好ましくは、CaCO3は、基板上に堆積され、そして、そのとき、それらが、基板の表面から垂直に突き出るように、ナノチューブをリフトする処理をする。ナノチューブをリフトする表面処理のいくつかは、しばしば、「活性化」として言及され、先行技術において、プリントされたCNTからの電界放出特性を改良するものとして知られている。活性化のためのさまざまな技術は、ビニルテープを用いたラビングおよび剥離(Kim et al., Journal of Vacuum Science and Technology B 22,1331)、多重な電界放出サイクル(Kim et al.,Applied Physics Letters 84,5350(2004)、アルゴンイオン放射(Kim et al.,Carbon 42,1807(2004))、UVレーザ放射(Zhou et al.,Japanese Journal of Applied Physics, Part 1 41,4314(2002))、そして、接着テープの使用(Vink et al.,Applied Physics Letters 83,3552(2003))を含む。
【0118】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブとMe−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、基板上に堆積され、そして、接着層の手段によって感圧接着テープへ結合され、そして、そのとき、その接着テープは、それらが、その基板の表面から垂直に突き出るように、そのナノチューブをリフトして、剥離される。好ましくは、その感圧接着テープは、半導体ウエハのダイシングのためのダイシングテープのように、少し残るか、または、除去で残渣がないように設計される。より好ましくは、感圧接着テープは、硬化性の接着層を有し、テープが剥離される前に、それが硬化される。その接着は、熱、または、光、たとえば、Lintec Corporation (Tokyo,Japan)と、Semiconductor Equipment Corporation(Moorpark,California)とから商業的に利用可能な、UV−硬化型ダイシングテープのような、外部摂動に曝露されたときに、それがそれの接着特性(「粘着性」)を無くす意味では硬化される。
【0119】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、基板上に堆積された、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、それらが、基板の表面から突き出るように、ナノチューブをリフトする処理をする前に、最初に、CaCO3成分を、部分的に、または、完全に除去するように処理される。
【0120】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、堅い導電性基板上に、たとえば、シリコン、または、多孔性のシリコン、好ましくは、n−またはp−型ドープのシリコン、金属フィルム、たとえば、アルミニウム、または、金コートのガラス、または、シリコン、または、導電性金属酸化物フィルム、たとえば、インジウム鉛酸化物(ITO)、フッ素ドープ鉛酸化物(FTO)、または、ガリウム−、または、アルミニウム−ドープの亜鉛酸化物を、ガラス、または、シリコン上において、堆積される。
【0121】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、フレキシブルな導電性基板、たとえば、金属フィルム、たとえば、アルミニウム−、または、金コートされたポリエステル、または、ポリイミド、または、導電性金属酸化物フィルム、たとえば、インジウム鉛酸化物(ITO)、フッ素ドープ鉛酸化物(FTO)、または、ガリウム−、または、アルミニウム−ドープの亜鉛酸化物を、ポリマー、たとえば、ポリエステル、または、ポリイミド上において、堆積される。
【0122】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、それの表面に絶縁層、好ましくは、シリコン二酸化物を有する、導電性基板、好ましくは、n−またはp−ドープのシリコン上に堆積される。
【0123】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、堅い、または、フレキシブルな基板上における電極の間および/または上に堆積され、電極を有する電気接点において、カーボンナノチューブのネットワークを生成する。
【0124】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、カーボンナノチューブが電極を有する電気接点を形成するように、堅い、または、フレキシブルな基板上における電極の間および/または上に堆積される。図3において図式的に示すとおり、複合材料中のカーボンナノチューブは、バックゲート(図3A)、または、イオン導電性の電解質を介したゲート、(図3B)の一方である電界効果型トランジスタデバイス内の導電性チャネルを与える。
【0125】
本発明による一の実施形態においては、カーボンナノチューブと、Me−炭酸塩、好ましくは、CaCO3とを具備する複合材料は、堅い、または、フレキシブルな透明な電気的に絶縁である基板、たとえば、ガラス、または、プラスティック、または、GaNのような半導体上へ、堆積され、そして、その後、Me−炭酸塩成分が、カーボンナノチューブのネットワークを具備する導電性フィルム、好ましくは、透明な導電性フィルムを生成するように、たとえば、酸、または、Meイオンのためのキレート試薬へ複合材料を曝露することによって、除去される。
【0126】
言及は、今、図になされており、ここでは、略称TEMは、透過型電子顕微鏡を言及し、略称SEMは、走査型電子顕微鏡を言及している。
【0127】
(実施例)
以下の実施例について言及すると、それらは、図解することで与えられ、本発明を制限しない。これらの実施例は、水溶性のSWNTを、酸−精製されたSWNTから、融解された尿素を用いて準備すること(実施例1〜3)、CaCl2水溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によってSWNT−CaCO3複合材料を準備すること(実施例4)、Na2CO3とCaCl2の水の溶液を混合することによってSWNT−CaCO3複合材料を準備すること(実施例5)、CaCO3パウダーへの吸着によってSWNT−CaCO3複合材料を準備すること(実施例6)、酸を用いて、SWNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分を除去すること(実施例7〜9)、接着テープを用いてマットからSWNTのリフトをすること(実施例10)、接着テープを用いて複合材料からSWNTのリフトをすること(実施例11)、上記の手順に従って準備されたサンプルからの、電界放出のデモンストレーション(実施例12)、Na2CO3とMnCl2との水の溶液を混合させることによって、SWNT−MnCO3複合材料を準備すること(実施例13)、そして、Na2CO3とVOSO4との水の溶液の混合によって、SWNT−VOCO3複合材料を準備すること(実施例14)のための方法を与える。これらの実施例において使用されるカーボンナノチューブは、カーボンソリューションInc.(Carbon Solutions,Inc.),リバーサイドCA(Riverside,CA)(バッチナンバー03−101aまたはバッチナンバー03−102のいずれか)によって得られた、プレ精製されたSWNTの実験的なサンプルであり、それらは、修正されたアーク法、そして、付加的な精製ステップが続けられた、酸−精製された.ものによって、精製された。酸性サイトの結果としてもたらされた濃度は、4〜6atomic%の範囲内であった。溶融された尿素を用いた可溶化後において、電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)とによって得られたSWNTのイメージは、それらが、アモルファスのカーボンと他のカーボン室の不純物の相当量を含むことを示す。SWNTの濃度(mg/L)は、その因子0.019(Bahr et al.,Chemical Communications 2001,193)による800nmでの吸光度(希釈後、1cm光学パス長)を分割することによって述べられていた。実施例は、ここでは、炭酸カルシウム(CaCO3)を持ったカーボンナノチューブ複合材料上に焦点を与えていたが、そこで与えられて教示が、すぐに、他の不溶、または、難溶なMe−炭酸塩へ拡張され、さらに、上記と、実施例13においてMnCO3により、また、実施例14においてVOCO3により例示されるものと同様なものとを挙げることは、その技術に精通している者に対して明確である。
【実施例1】
【0128】
実施例1:U−SWNTの準備
本手順は、溶融された尿素において、反応種を用い、酸−精製されたSWNT上にて、官能基を反応させることによって、水溶性のSWNTを与えた。
【0129】
プレ精製されたSWNT(バッチナンバー03−101a))(3.3mg)は、尿素(130mg)を用いて混合され、〜150°Cで、7分間、加熱された。室温へ冷却した後、その結果としての大半は、水(1mL)を用いて抽出され、黒茶の溶液を得た。ナトリウム過塩素酸塩一水和物(25mg)は、その抽出物へ加えられ、そして、渦巻き混合(vortex−mixed)されて、容易に、それを、完全に溶解した。その混合物は、一晩中、室温で放置され、そして、翌日、遠心分離された(5000rpm,10分間)。その上澄み液を除去後、その結果として得た固体は、遠心分離(5000rpm,10分間)に続いて、浴での超音波処理(1分)を介して、メタノール(1mL)において、それを懸濁することによって、洗浄された。メタノール(1mL)を用いて2度目にその固体を洗浄する試みは、それのほとんどを溶解させた。その結果、得られたU−SWNTの溶液は、無制限に、析出へ安定であり、ほぼ、310mg/Lの濃度に相当するSWNT含有量を有した。その抽出物の体積と、それの推定される濃度とに基づいて、本手順の間に可溶化されたSWNTのパーセンテージは、13%であった。そのU−SWNTは、水(3g/L)とメタノール(1g/L)とにおいて優れた溶解度を有する。TEM(たとえば、図4A)によって得られた、そのU−SWNTの材料のイメージは、封入された金属触媒粒子を有する、または有しない、アモルファスのカーボンとカーボンアニオンと同様に、SWNTの束を含むことを示した。その束は、直径(10〜20nm)内で極めて均一であり、そして、典型的には、長さにおいて、≧1μmであった。赤外吸収スペクトル(たとえば、図5A)は、尿素のような官能基の存在をU−SWNT上に示した。水の溶液の紫外・可視吸収スペクトルは、235nmにて最大値を有した(たとえば、図6A)。
【実施例2】
【0130】
実施例2:UA−SWNTの準備
本手順は、p−アニスアルデヒドを加えた、溶融された尿素において、反応種を用いて、酸−精製されたSWNT上にて、官能基を反応することによって、水溶性のSWNTを与えた。
【0131】
プレ精製された(pre−purified)SWNT(バッチナンバー03−101a)(15.6mg)と尿素(629mg)の混合は、初めに、完全に、溶融されるまで、〜150°Cで、2.5分間、加熱された。加熱は、p−アニスアルデヒド(114μL)が加えられる間、停止され、そして、6分間、続けた。室温へ冷却した後に、溶性の材料は、その結果として得られた大半から、初めに、水(それぞれ1mL)で11回、そして、メタノール(それぞれ1mL)で6回抽出された。UA−SWNTは、ナトリウム過塩素酸塩一水和物を用いた析出の3サイクルと、エタノール中での分散と、メタノール中での溶解を続けたことによって、メタノール抽出物から分離された。その抽出物の体積と、それらの推定濃度とに基づいて、本手順の間に可溶化されたナノチューブのパーセンテージは、50%であった。UA−SWNTの溶解度は、U−SWNTのそれと類似であった。TEMとSEM(たとえば、図4B)によって得られたイメージは、そのU−SWNT材料に類似の寸法を有するナノチューブの束をそれが含むことを示した。赤外吸収スペクトル(たとえば、図5B)は、尿素ライクな官能基の存在を、UA−SWNT上において示した。UA−SWNT水溶液の紫外・可視吸収スペクトルは、残余のp−アニスアルデヒド、および/または、関連した種(たとえば、図6B)に起因して、224nmと276nmとに最大値を有した。これらの残余を除去するゲルろ過後、そのスペクトルは、約270nmにショルダーを有する最大値を246nmに有した。
【実施例3】
【0132】
実施例3:UA−SWNTの準備
本手順は、実施例2におけるものと類似しているが、尿素とp−アニスアルデヒドとのSWNTに対する相対的な量を減らした(1/2にすることによって)。
【0133】
プレ精製されたSWNT(バッチナンバー03−102)(3.5mg)と尿素(70mg)との混合は、初めに、〜150°Cで2分間、完全に溶融されるまで加熱された。加熱は、p−アニスアルデヒド(12.6μL)が加えられた間、停止され、そして、6分間、続けられた。室温へ冷却後、溶性の材料は、結果として得られた大半から、初めに、水(1mL)で、そして、エタノール(1mLそれぞれ)で、2回、抽出された。UA−SWNTは、ナトリウム過塩素酸塩一水和物を用いた析出の2または3サイクル、それぞれ、水における溶解を続けることによって、そのエタノール抽出物から分離された。その抽出物と、それらの推定濃度とに基づいて、本手順の間に可溶化されたナノチューブのパーセンテージは、50%であった。
【実施例4】
【0134】
実施例4:CaCl2の水溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によるCNT−CaCO3複合材料の準備
本手順は、溶性の非炭酸塩のカルシウムイオンのソースとしてCaCl2を、そして、炭酸塩イオンの溶性のソースとして、固体アンモニア炭酸塩からの蒸気を用いて、U−SWNT、または、UA−SWNTと、結晶性の炭酸カルシウムとを含む複合材料を与える。
【0135】
水中における塩化カルシウム(30mM,0.3mL)の溶液は、2mLポリプロピレン瓶において、水(0.7mL)におけるU−SWNTまたはUA−SWNTの溶液を用いて混合される。塩化カルシウム溶液を用いて混合する前の、そのおおよそなナノチューブの濃度は、4〜5mg/L(たとえば、図6に示すように)であった。アンモニア炭酸塩パウダー(〜25mg)は、25mLガラスビーカーの底部にその溶液を含んだ開放瓶と共に置かれ、そして、そのビーカーは、パラフィン“M”の層を用いて堅くシールされ、そして、室温で放置された。その瓶内での沈殿物の形態は、30分以内に明確となった。1.5〜2.5時間後、その瓶は、ビーカーから除去され、キャップされ(capped)、そして、室温で彫像(stored)された。その沈殿物をコンパクトにするために、そのサンプルは、遠心分離され(5000rpm、5分間)、黒い固体と、無色な上澄みとが得られた。遠心分離の間に複合材料に加えられる向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、40Nと2MPaである。
【0136】
過剰な塩を除去するために、その無色な上澄みは、除去され、そして、その固体は、渦状に混合することによって、水(1mL)中において懸濁され、そして、再び、遠心分離によってコンパクト化された。この洗浄ステップは、一度、繰り返された。
【0137】
上記の手順によって得られた複合材料は、導電性基板上へそれらを堆積した後に、SEMによって調べられた。もし、その固体が過剰な塩を除去するように、その前に、洗浄されていなかったときには、それらは、イメージされる前に基板上の間にて、10μLの等量な水で、2回洗浄された。準備されたU−SWNT−CaCO3複合材料と、シリコン基板上へピペットを介して堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、図7Aと、図7Bとのそれぞれにおいて示されている。
【0138】
準備されたU−SWNT−CaCO3複合材料は、主に菱面体晶な結晶を含み、それの最も大きな面(カルサイトの{1014}成長面に相当する)は、典型的には、20〜60μm幅(図7A)である。U−SWNT−CaCO3と比較すると、そのUA−SWNT−CaCO3の結晶性複合材料は、サイズと形状とにおいて、よりコンパクトで、より多分散系であり、より大きな粒子(サイズにおいて100μmに対して上)は、より小さな菱面体晶なユニット(サイズにおいて5μmに対して下)(図7B)のアセンブリを具備するように見える。その準備において使用された試薬の量に基づいて、そのカーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.35%を具備することが概算される。
【0139】
図7における基板表面上の暗いパッチは、その複合材料粒子に関係するものであって、絡み合ったナノチューブのマットである。これらのマットは、その表面へ、その粒子を固定すると思われる。
【0140】
場合によっては、その複合材料は、それらが、基板上へ堆積され、乾燥された後に、機械的に、破壊された。図8におけるそのSEMイメージは、本方法にて破壊されたU−SWNT−CaCO3複合材料粒子のエッジを示す。その材料の複合材料の本質は、左側での角のエッジ、結晶性のCaCO3成分の影響を反映すること、そして、複合材料のナノチューブ成分に起因している、その砕かれた粒子から、および、その間にて広がったその繊維により、明らかにされた。
【0141】
場合によっては、複合材料は、数分間、撹拌棒で水の小さな容積において懸濁されたパウダーを研磨することによって、機械的に、破壊された。レタリングセット(K+E Leroy)のナンバー“0”ペンを用いて、シリコン基板へスポットされた、その破壊された複合材料のSEMイメージは、それぞれ、図9Aと図9Bとに示された。これらのイメージは、本手順によって破壊された、その複合材料が、広い範囲のサイズと、形状とを有する片へ砕かれたことを、示した。その破壊された複合材料が堆積されたスポットは、大体、#0ペン(0.35mm)のオリフィスと同様な直径である円形であった。
【実施例5】
【0142】
実施例5:Na2CO3とCaCl2の水の溶液を混合することによる、CNT−CaCO3複合材料の準備
本手順は、カルシウムイオンの溶性な非炭酸塩ソースとして塩化カルシウムと、炭酸イオンの溶性なソースとしての炭酸ナトリウムを用いて、U−SWNTまたはUA−SWNT、および、結晶性の炭酸カルシウムを含む複合材料を与えた。
【0143】
水における炭酸ナトリウムの溶液(0.33M,100μL)は、2mLポリプロピレン瓶において、ボルテックスミキサー(vortex mixer)で撹拌する間に、水における塩化カルシウムの溶液(0.33M,100μL)へ加えられ、乳状な懸濁液をした。1分後、水(6μL)におけるU−SWNT、または、UA−SWNTの溶液は、ボルテックスミキサーで撹拌する間に、その結果として生じた乳状な懸濁液へ加えられた。混合前での、その水の溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、1700〜1800mg/Lであった。10〜20分後、その懸濁液は、遠心分離(5000rpm,10分間)によって、コンパクト化され、黒い固体と、無色な上澄みとを得た。遠心分離の間に複合材料上へ加えられた向心力および圧力は、それぞれ、ほぼ8Nと、0.4MPaであった。UA−SWNT−CaCO3複合材料の準備における上澄みが、8〜9のpH値を有する間、U−SWNT−CaCO3複合材料の準備における上澄みは、6〜7のpH値を有した。
【0144】
また、カーボンナノチューブと結晶性の炭酸カルシウムとを含む複合材料は、炭酸ナトリウムと塩化カルシウム溶液の混合の順序が、上記、すなわち、そのCaCl2の溶液が、そのNa2CO3の溶液へ加えられたことから逆にされたときに、得られた。そのU−SWNT−CaCO3複合材料の準備における遠心分離後の上澄みは、そのUA−SWNT−CaCO3複合材料の準備における上澄みが6〜7のpH値を有する間に、7〜8のpH値を有した。
【0145】
上記の複合材料から過剰な塩を除去するために、その上澄みは、除去され、そして、その固体は、わずかに(ほぼ2秒)超音波処理槽を用いて水(200μL)中で懸濁され、遠心分離(5000rpm、10分間)によって収集された。遠心分離の間に複合材料上に加えられた向心力および圧力は、それぞれ、ほぼ8Nと、0.4MPaであった。
【0146】
上記の手順によって得られた複合材料は、ガラス基板(PilkingtonPLC,TEC−15)上のフッ素ドープされた錫二酸化物(FTO)上へ、それらを堆積した後に、電子顕微鏡によって調べられた。その複合材料は、0.6mmの内部直径を持つガラスキャピラリ管(Marienfeld GmbH,カタログナンバー2930203)を用いて、ドットとして堆積された。U−SWNT−CaCO3複合材料とUA−SWNT−CaCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、それぞれ、図10と図11とにおいて示されている。
【0147】
SEMによって得られたイメージは、その複合材料が、キャピラリ管と同様な直径を持つ、ほぼ円形なスポットにおいて、堆積されたことを示した。それぞれの準備における複合材料粒子のサイズは、極めて均一であって、たとえば、4〜7μm(図10A)、20〜30μm(図10B)、15〜25μm(図11A)、そして、8〜12μm(図11B)であり、そして、その形状は、概ね、ツイストされ、または、巻き付いた斜方六面体であった。その準備の間でのサイズにおける変動は、上澄みのpH値に関連付けられて現れており、すなわち、より小さな粒子(4〜12μm)は、わずかな酸性で得られ、中性(pH6〜7)な状態になり、他方、より大きな粒子(15〜30μm)は、中性で得られ、僅かに塩基性(pH7〜9)な状態になる。その準備において使用された試薬の量に基づいて、カーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.32%を具備すると推定される。
【実施例6】
【0148】
実施例6:CaCO3パウダー上への吸着による、CNT−CaCO3複合材料の準備
本手順は、U−SWNTまたはUA−SWNTと、結晶性の炭酸カルシウムとを含む複合材料を、析出されたCaCO3パウダーを、炭酸カルシウムのソースとして用いて、与える。
【0149】
析出されたCaCO3(0.55mg)(Merck KGaA,プロダクトナンバー102069)のパウダーは、2mLポリプロピレン瓶内に収容され、そこへ、水(10μL)におけるU−SWNTの溶液が、純水(20μL)と同様に、加えられる。その瓶へ加えられた溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、ほぼ、1800mg/Lであった。その混合物は、機械的に混合され、そして、撹拌棒で、よく砕けられ、そして、その結果として得られる懸濁液は、遠心分離(5000rpm、10分間)されて、黒い沈殿物と、クリアで黒茶の上澄みとを与えた。遠心分離の間に複合材料へ加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、1Nと、0.06MPaであった。その上澄みは、UV−可視吸収によって、それのナノチューブ内容物を概算するために、除去および水を用いて希釈された。その上澄みは、元のCNTのほぼ15%、を含むと概算され、すなわち、ナノチューブの85%が、U−SWNT−CaCO3複合材料において存在していた。その複合材料は、その上澄みを除去後、水(50μL)において研磨でそれを再懸濁することによって、洗浄され、そして、それは、遠心分離によって高濃度にされた。洗浄ステップ後の上澄みは、無色であり、ナノチューブと、CaCO3との間で強い吸着を、その複合材料において示した。
【0150】
U−SWNTと結晶性の炭酸カルシウムとを含む、別の複合材料は、コートされていない、析出された炭酸カルシウム(NanoMaterials Technology Pte Ltd, product NPCC−UNC)を用いて、同様に、準備された。U−SWNTの懸濁液と0.66mgの炭酸カルシウムパウダーとから得られる上澄みは、もとのCNTのほぼ16%を含むと概算され、すなわち、ナノチューブの84%が、そのU−SWNT−CaCO3複合材料中に存在した。
【0151】
本実施例のおいて得られたU−SWNT−CaCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、図12と図13とにおいて、示されている。超音波処理槽を僅かに(ほぼ5秒)用いて分散させた後に、その複合材料は、水の懸濁液とともに、FTO基板上へガラスキャピラリ管(Marienfeld GmbH,カタログナンバー2930203)を用いて、堆積された。2つの場合においては、複合材料は、CaCO3結晶に吸着され、連結したカーボンナノチューブのルーズなネットワークを含み、それは、概ね、紡錘状であって、Merck(図12)からの析出された炭酸カルシウムの場合において1〜2μm長であり、そして、概ね、NanoMaterials Technology(図13)からの析出された炭酸カルシウムの場合において、ほぼ100nmのエッジ長を持った立方体形状である。その複合材料内におけるナノチューブは、また、そのFTO表面(図12と図13)へ吸着された。その準備において使用された試薬の量に基づいて、そのカーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の2.8%を具備するものと概算される。
【0152】
Merckからの析出された炭酸カルシウムパウダーと、UA−SWNTとを用いる複合材料の準備は、U−SWNTを有するものと同様な結果を与えた。
【実施例7】
【0153】
実施例7:酸性な水の溶液の浴を用いる、CNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分の除去
本手順は、鉱酸浴を用いて基板上でCNT−CaCO3複合材料から炭酸カルシウム成分を除去し、ナノチューブの接着性のフィルムを残す手段を与えた。
【0154】
炭酸アンモニア拡散方法によって準備され、そして、実施例4において示した手順に従って、基板上へ堆積されたCNT−CaCO3複合材料は、硫酸(0.25M)、または、塩酸(1M)の一方の水の溶液(〜2mL)を含む、5mLガラスビーカーの底部に、表を上にして置かれ、そして、10〜30分間、平静に放置した。その基板は、そのとき、水を含む10mLガラスビーカーへ移され、そして、0.5〜2分間、平静に放置し、残った塩を除去した。この水−リンスステップは、一度、繰り返され、そして、そのとき、その基板は、空気で乾燥された。SEMによって得たイメージは、本手順による酸処理が、そのCaCO3成分を、完全に除去したことを示しており、その結果、その形状が、一般的に、CNT−CaCO3複合材料粒子の前駆体のそれに類似しており、しかし、それら自身の上へ、または、基板の上へ、倒れて折り重なり、そして、しばしば、CaCO3成分(たとえば、図14〜16)の分解の間でのCO2の放出が原因で押し開ける、絡み合ったナノチューブのマットを残すことを示す。硫酸溶液での処理後に残った残渣は、また、ときどき、角張ったブレードライクな結晶を含み、それは、たいてい、結晶性の硫酸カルシウム水和物(gypsum)を含む。
【0155】
上記したように、酸浴が複合材料からCaCO3成分を除去するために使用されたときには、そのナノチューブ成分は、その基板から分離される傾向にあり、その浴内にて無くなる。以下の2つの実施例は、CNT−CaCO3複合材料を、ナノチューブのロスを減少するHClへ曝露するための別の手順を与える。
【実施例8】
【0156】
実施例8:酸性な水の溶液の小さな体積での滴定によるCNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分の除去
本手順は、酸溶液のコントロールされた量を用い、ナノチューブの接着性フィルムを残して、炭酸カルシウム成分を、部分的に、または、完全に、CNT−CaCO3複合材料から、基板上で、除去する手段を与える。カーボンナノチューブを具備する中空シェルの懸濁液は、本手順の間、乾燥ステップの前に、中間体として得られる。
【0157】
CNT−CaCO3複合材料は、実施例5において示した手順に従って、炭酸ナトリウムと、塩化カルシウムとの水の溶液を用いて、準備され、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積される。
【0158】
塩酸の水溶液(1M HCl)の小さな(1〜2μL)等量は、配置された複合材料粒子が、液体によって僅かにカバーされた領域まで、その基板へ注がれた。ほぼ2時間後、その基板は、オーブン内において、80°Cで、閉鎖されたコンテナにて、CaCl2パウダーを乾燥剤として用いて、15分間、乾燥された。塩は、その基板を、水浴へ30分間、置き、続いて、第2の水浴へ僅かに浸すことによって、除去された。
【0159】
CaCO3成分が除去された範囲は、反応:2HCl+CaCO3→CaCl2+CO2+H2Oの化学量論に依存した。本実施例において使用された条件の下では、そのCaCO3成分は、HClの部分的な減少が原因で、CaCO3成分が部分的に溶解された、その溶液の境界付近を除いて、完全に溶解された。
【0160】
本実施例に従って、1M HClの等量を用いて処理されたU−SWNT−CaCO3複合材料結晶の代表的なSEMイメージは、図17〜19において示されている。CaCO3成分が部分的に溶解された複合材料粒子は、しばしば、そのエッチングされた複合材料(たとえば、図19)の周囲に、影のような(shadow−like)外観を有する。これらの影のような外観は、絡み合ったナノチューブのマットであり、それは、結晶から分離され、そして、堆積と酸エッチングプロセスとの間に基板表面へ付着された。
【0161】
CaCO3成分をU−SWNT−CaCO3複合材料結晶から除去した後であって、それを乾燥する前に得られる水の懸濁液の光学顕微鏡は、全体的な形状とサイズが結晶性の複合材料のそれに一致されたカーボンナノチューブを具備するシェルを、明らかにした。実施例は、図29において示され、そこでは、菱面体晶形状なシェルサー(shellsare)が可視化され、その壁がナノチューブからなる。本実施例における、そのシェルの多くは、CaCO3成分が分解したとき、CO2の急速な放出が原因で充満するようである。この急速な放出と、それに続くシェルの決裂は、さらに希釈し、そして、場合によっては、緩衝された酸性溶液を用いること、および/または、概略された上記のように、Ca2+のためのキレート試薬溶液を使用することによって、避けられる。
【実施例9】
【0162】
実施例9:酸性の蒸気を用いることによるCNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分の除去
本手順は、酸蒸気のコントロールされた量を用い、ナノチューブの接着性フィルムを残すことによって、炭酸カルシウム成分をCNT−CaCO3複合材料から基板上にて除去する手段を与えた。
【0163】
実施例5に従って準備され、FTO基板上へ堆積されたCNT−CaCO3複合材料は、35x10mmパトリ(Petri)皿に、ポリプロピレンキャップにおいて含まれる、20μLの37%HClと共に置かた。そのCaCO3成分は、約1分以内に分解が開始され、そして、約10分以内に完全に分解され、その複合材料が設置されたところのCaCl2水溶液によって囲まれたCNTマットを残す。そのCaCl2は、その基板を水浴中へ浸すことによって除去できたが、弱く接着するCNTマットは、同様に、除去される傾向であった。そのCNTマットのロスを小さくするために、そのサンプルを、水浴中へ浸す前に、乾燥することが適していた。乾燥は、たとえば、そのサンプルを80°Cに閉鎖されたコンテナ内にてCaCl2パウダーを乾燥剤として15分間、保つことによって、成し遂げることができた。
【実施例10】
【0164】
実施例10:接着テープを用いることによるCNTのマットからのリフト
これらの手順は、そのフィルムのルーズに接着する部分を除去するように、接着テープを用い、酸処理を続ける手段を与え、そして、CNTを、それらが基板表面から垂直に突き出るようにリフトする。
【0165】
実施例7からのサンプルは、硬い表面上に表を上にして置かれ、スコッチマジックテープ(登録商標)(Scotch Magic Tape)810(3M,Inc.)の片で接触され、そして、静かに、〜10秒間指でプレスされた。そのテープは、それを剥がすことによって、除去された。SEMによって得られたイメージは、その接着テープ処理が、ナノチューブを含むマットの多くを除去し、そして、いくつかの層を露出させたことを示した。これらの層内におけるCNTは、より高い倍率で、マット(たとえば、図20)の破れたエッジから突き出たナノチューブの束を指した所で、より明らかになった。その束は、大体、直径において、およそ、10〜20nmであり、そして、それらの露出された長さは、およそ、0.1〜1μmであった。その結果は、基板(シリコン、または、金)の本質、または、酸(硫黄の、または、塩化水素の)のタイプと、概ね、無関係であった。
【0166】
スコッチマジックテープ(Scotch Magic Tape)810を用いて活性化されたサンプルのSEMイメージは、その表面上の有機残留物の矩形形状なパッチを露出させ、それは、おそらく、接着剤の残留物であった。そのような残留物を避けるために、UV−硬化型ダイシングテープが、代わって使用された。
【0167】
実施例8〜9からのサンプルは、硬い表面上に表を上にして置かれ、UV−硬化型ダイシングテープで接触され、そして、間において均一な圧力にするように硬いプラスティックの平らな片を用いて、1分間、手でプレスされた。そのテープは、それが剥離される前に、5分間、ポータブルなランプからの366nm光に曝された。高い倍率で得られたイメージは、ダイシングテープは、また、垂直に基板表面から突き出るように(たとえば、図21)、CNTをリフトするのに、効果的であることを示した。その単層CNTは、大体、直径において、ほぼ10〜20nmであって、ほぼ0.1〜1μmの長さである束内にあった。複合材料が堆積されたエリアにおける、垂直に配向されたナノチューブ束の密度は、ほぼ、10/μm2(たとえば、図21)に概算された。
【実施例11】
【0168】
実施例11:接着テープ用いた、CaCO3パウダーへの吸着により、得られた複合材料からCNTをリフトすること
本手順は、基板表面から垂直に突き出るように、基板上にてCaCO3パウダーを伴う複合材料のCNTをリフトするために、接着テープを用いる手段を与えた。
【0169】
実施例6からのサンプルは、硬い表面表面上にて上を表にするように置かれ、UV−硬化型ダイシングテープの片で接触され、そして、硬いプラスティックの平坦な片を、間において、均一な圧力として用いて、1分間、手でプレスされた。そのテープは、それが、剥離される前に、366nm光に、ポータブルなランプから、5分間、曝された。SEMによる試験は、その接着テープ処理が、そのCaCO3粒子のほとんどを、その複合材料から除去したことを示した(図22と、図23)。そのCNTは、その粒子が残ったか残らないかのいずれにせよ、それらが、垂直に基板から突き出るようにリフトされた。その粒子がその表面上に残った場所においては、それらが、それらを、そのFTO表面へ接続したCNTとの相互作用が原因で、そこに保持されたことが明確であった。(たとえば、図22)。その単層CNTは、大体、直径において、ほぼ、10〜20nmであり、ほぼ、0.1〜1μmの長さである束内にあった。その複合材料が堆積されたエリアにおいて、垂直に配向されたナノチューブ束の密度は、ほぼ10/μm2であると概算された。
【実施例12】
【0170】
実施例12:電界放出測定
これらの測定は、前記の実施例において示した手順が、電界放出のためのカソードを生成する手段を与えることを示した。
【0171】
プローブ(probe)−サンプル(sample)配置の概略図と電界放出測定システムの回路は、図24において示されている。負なDC電圧、または、トライアングルウェーブ(triangle−wave)電圧パルスの一方は、その接地されたプローブ電極に対して相対的に、そのベース電極へ適用された。そのパルスモード操作は、4マイクロ秒のパルス幅、そして、100Hzのパルス周波数(40%duty)であった。その測定は、7x10−6torrの真空レベルで、10kΩの電流測定抵抗で実行された。9kVのピーク電圧で得られた2つのサンプルで得られた結果は、図25において示しており、そこでは、それらが、類似な電界放出特性を示したことを示す。そのサンプルは、シリコン基板、炭酸アンモニア拡散方法(実施例4)によって準備されたU−SWNT−CaCO3複合材料、0.25M硫酸の浴でのCaCO3成分の除去(実施例7)、そして、スコッチ接着テープでの酸処理後における、マットからのナノチューブのリフト(実施例10)を用いて、準備された。
【0172】
図26と27は、実施例1〜11において示したプロセスに基づいた電界放出のためのカソードの生成におけるステップの概略図である。
【実施例13】
【0173】
実施例13:Na2CO3とMnCl2の水の溶液を混合することによるCNT−MnCO3複合材料の準備
本手順は、マンガンイオンの溶性の非炭酸塩ソースとしての塩化マンガンと、炭酸イオンの溶性なソースとしての炭酸ナトリウムとを用いて、UA−SWNTと炭酸マンガンを含む複合材料を与えた。
【0174】
水における塩化マンガン溶液(0.33M,100μL)は、ボルテックスミキサーで、2mLポリプロピレン瓶において撹拌されて、乳状な懸濁液を生成する間に水における炭酸ナトリウム溶液(0.33M,100μL)へ加えられた。1分後、水(11μL)におけるUA−SWNT溶液は、ボルテックスミキサーで撹拌されている間に、懸濁液へ加えられた。混合前の、その水の溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、470mg/Lであった。20分後、その懸濁液は、遠心分離(5000rpm、10分間)によってコンパクトにされ、明るい灰色な固体と無色な上澄みを生じ、そのナノチューブが、本質的に、定量的に、その得られた固体複合材料と結合されたことを示した。遠心分離の間に複合材料上に加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、8Nと0.4MPaであった。その上澄みは、ほぼ、7のpH値を有した。
【0175】
過剰な塩をUA−SWNT−MnCO3複合材料から除去するために、その上澄みは、除去され、そして、その固体は、水(200μL)内において、超音波処理槽を、僅かに(ほぼ2〜3秒)用いて、懸濁され、そして、遠心分離(5000rpm、10分間)によって収集された。遠心分離の間に複合材料に加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、8Nと0.4MPaであった。この洗浄プロセスは、もう一度、繰り返された。その複合材料は、マイクトピペットを介したガラス基板(Pilkington PLC,TEC−15)上にて、フッ素ドープした錫二酸化物(FTO)上へ懸濁液のいくつかを、堆積した後に、電子顕微鏡によって試験された。
【0176】
このサンプルにおいて得られたUA−SWNT−MnCO3複合材料の代表的なSEMイメージは、図28において示されている。その複合材料は、MnCO3の粒子に吸着され、そして、連結されたカーボンナノチューブのルーズなネットワークを具備する。その粒子は、サイズと形状とにおいて、極めて均一であり、ほぼ0.5μmの直径を有するラフな球面であった。その準備において使用された試薬の量に基づいて、そのカーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.14%を具備することが概算された。
【実施例14】
【0177】
実施例14:Na2CO3とVOSO4との水の溶液を混合することによるCNT−VOCO3複合材料の準備
本手順は、バナジルイオンの溶性な非炭酸塩ソースとしての硫酸バナジルと、炭酸イオンの溶性なソースとしての炭酸ナトリウムとを用いることで、UA−SWNTと炭酸バナジルとを含む複合材料を与えた。
【0178】
水における硫酸バナジル溶液(0.33M,100μL)は、ボルテックスミキサーで、2mLポリプロピレン瓶において撹拌して、茶色な懸濁液を生成する間に、水における炭酸ナトリウム溶液(0.33M,100μL)へ加えられた。1分後、水(11μL)におけるUA−SWNT溶液は、ボルテックスミキサーで撹拌する間に、懸濁液へ加えられた。混合前での、その水の溶液におけるナノチューブのおおよそな濃度は、470mg/Lであった。10分後、その懸濁液は、遠心分離(5000rpm、10分間)によってコンパクト化され、茶黒い固体と、ほぼ7のpH値を有する青黒い上澄みを生じた。任意のバナジウム(+5)をバナジウム(+4)の酸化状態へ戻す還元をするための、上澄みへのアスコビン酸の添加は、その色を淡緑色にし、そのナノチューブが、本質的に、定量的に、その得られた固体複合材料に結合されたことを示す。遠心分離の間にその複合材料に加えられた向心力と圧力は、それぞれ、ほぼ、8Nと0.4MPaであった。その準備において用いられた試薬の量に基づいて、カーボンナノチューブは、その複合材料における固体の全重量の0.12%を具備すると概算された。
【0179】
本明細書、請求の範囲において、および/または、添付した図面において、開示した本発明の特徴は、独立に、そして、それらの組合せにて、さまざまな形態における本発明を理解するための材料となる。
【図面の簡単な説明】
【0180】
【図1】図1は、カーボンナノチューブが本発明による複合材料(図示なし)において、炭酸カルシウム(CaCO3)に相互に作用することにより、潜在的なメカニズムを図解している。CaCO3成分は、それの固体状態相(アモルファス、バテライト、アラゴナイト、カルサイト)のいずれかに、または、それの混合にある。 図1Aは、どのような理論により結合されることを望むことなしに、炭酸カルシウム成分の表面上における炭酸イオンと、尿素−溶融で変更されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)の末端のアミド基との間における水素結合を図解している。 図1Bは、炭酸カルシウム成分の表面上における炭酸イオンと、尿素−溶融で変更されたカーボンナノチューブ(エンド変化)の末端のアミド基との間における水素結合を図解している。 図1Cは、炭酸カルシウム成分の表面上における炭酸イオンと、酸精製されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)のカルボン酸基との間における水素結合を図解している。類似の構造は、ナノチューブの末端に位置するカルボン酸基として描かれている。 図1Dは、炭酸カルシウム成分の表面上におけるカルシウムイオンと、酸精製されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)のカルボン酸基との間における配位結合を図解している。類似の構造は、ナノチューブの末端に位置するカルボン酸基として描かれている。 図1Eは、炭酸カルシウム成分の表面と、尿素−溶融で変更されたカーボンナノチューブ(サイドウォール変化)との間における水素結合を図解している。その2つの相互作用は、(a)水和したカルシウムイオンとカルボニル基、そして、(b)炭酸イオンと末端のアミド基の間に示した。
【0181】
【図2】図2は、実施例5(図示なし)に従って、アモルファスのCNT−CaCO3複合材料の変化を介する、結晶性のCNT−CaCO3複合材料の準備におけるステップの概略図である。1:アモルファスのCaCO3を具備する多孔性のマイクロ粒子,2:アモルファスのCaCO3を具備する多孔性のマイクロ粒子へ吸着したCNT,3:結晶性のCaCO3を具備するマイクロ粒子、4:結晶性のCaCO3を具備するマイクロ粒子内に埋め込まれたCNT
【0182】
【図3】図3は、電界効果型トランジスタデバイスの概略断面図であり、ここでは、本発明において示されるCNT−CaCO3複合材料のフィルムが、チャネル(図示なし)として役割を果たしている。5:導電体(バルク基板、ゲート電極),6:非導電体(フィルム、または、基板),7:導電体(ソース電極),8:導電体(ドレイン電極),9:CNT−CaCO3複合材料(チャネル),10:イオン導電体(電解質),11:導電体(ゲート電極)
【0183】
【図4】図4Aは、実施例1に従って準備された水溶性のU−SWNTの束のTEMイメージであり、倍率:15000xである。 図4Bは、実施例2に従って準備された水溶性のUA−SWNTの束のSEMイメージであり、倍率:20200xである。
【0184】
【図5】図5Aは、実施例1に従って準備された水溶性のU−SWNTの赤外吸収スペクトルである。サンプルは、CaF2上のその材料の乾燥フィルムからなる。 図5Bは、実施例1に従って準備された水溶性のUA−SWNTの赤外吸収スペクトルである。サンプルは、CaF2上のその材料の乾燥フィルムからなる。
【0185】
【図6】図6Aは、実施例1に従って準備された水溶性のU−SWNTの紫外線吸収スペクトルである。800nmでの吸光度を基準に、この溶液中でのSWNTのおおよその濃度が、5mg/Lである。 図6Bは、実施例2に従って準備された水溶性のUA−SWNTの紫外線吸収スペクトルである。800nmでの吸光度を基準に、この溶液中でのSWNTのおおよその濃度が、4mg/Lである。
【0186】
【図7】図7Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3気体の拡散によって準備され、そして、シリコン基板に堆積された、U−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:70xである。 図7Bは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3気体の拡散によって準備され、そして、シリコン基板に堆積された、UA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:200xである。
【0187】
【図8】図8は、機械的に破壊されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージである。その乾燥結晶性複合材料粒子、実施例4に従ったものは、シリコン基板と鉗子の先との間で機械的に破壊された。
【0188】
【図9】図9Aは、実施例4に従ってシリコン基板上に堆積される前に、機械的に破壊されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:100xである。 図9Bは、実施例4に従ってシリコン基板上に堆積される前に、機械的に破壊されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:100xである。
【0189】
【図10】図10Aは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:3000xである。 図10Bは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。
【0190】
【図11】図11Aは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。 図11Bは、実施例5に従って、CaCl2溶液へNa2CO3を加えることによって準備され、溶液FTO基板に堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。
【0191】
【図12】図12は、実施例6に従って、メルク(Merck)から、析出された炭酸カルシウムパウダー上へ吸着することによって得られ、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積された、U−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:30000xと、50x(差込)である。
【0192】
【図13】図13は、実施例6に従って、ナノマテリアルテクノロジー(NanoMaterials Technology)から、析出された炭酸カルシウムパウダー上へ吸着することによって得られ、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積された、U−SWNT−CaCO3複合材料SEMイメージであり、倍率:30000xと500x(差込)である。
【0193】
【図14】図14Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備され、金基板上へ堆積されたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1500xである。 図14Bは、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられた図12Aにて示されるサンプルのSEMイメージであり、倍率:1400xである。本イメージにおける視野は、ほぼ、図14Aにおけるものと同じである。
【0194】
【図15】図15Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備され、シリコン基板上へ堆積されたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:400xである。 図15Bは、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられた図14Aにて示したサンプルのSEMイメージであり、倍率:400xである。本イメージにおける視野は、ほぼ、図15Aにおけるものと同じである。
【0195】
【図16】図16Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備されてシリコン基板上へ堆積され、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:3000xである。 図16Bは、より高い倍率で得られた図16Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:10000xである。
【0196】
【図17】図17Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例8に従って、CaCO3成分を溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:100xである。 図17Bは、より高い倍率で得られた図17Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:1000xである。
【0197】
【図18】図18Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例8に従って、CaCO3成分を溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。 図18Bは、より高い倍率で得られた図18Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:9000xである。
【0198】
【図19】図19Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例8に従って、CaCO3成分を部分的に溶解する、1M HCl溶液での処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:1000xである。 図19Bは、より高い倍率で得られた図19Aと同様なサンプルのSEMイメージであり、倍率:2500xである。
【0199】
【図20】図20Aは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備されてシリコン基板上へ堆積され、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、スコッチマジック(Scotch Magic)810接着テープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:13000xである。 図20Bは、実施例4に従って、CaCl2溶液への(NH4)2CO3蒸気の拡散によって準備されてシリコン基板上へ堆積され、実施例7に従って、CaCO3成分を溶解する、0.25M H2SO4溶液での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、スコッチマジック(Scotch Magic)810接着テープでの処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:15000xである。
【0200】
【図21】図21Aは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例9に従って、CaCO3成分を溶解するように、HCl蒸気での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:20000xである。 図21Bは、実施例5に従って、Na2CO3溶液へCaCl2溶液を加えることによって準備されてFTO基板上へ堆積され、実施例9に従って、CaCO3成分を溶解するように、1M HCl溶液での処理が続けられ、実施例10に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたUA−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:20000xである。
【0201】
【図22】図22は、Merckからの析出された炭酸カルシウムパウダー上への吸着と、実施例6に従って、FTO−ガラス基板上へ体積されたことによって得られ、実施例11に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:30000xと50x(inset)である。
【0202】
【図23】図23は、実施例6に従って、ナノマテリアルテクノロジー(NanoMaterials Technology)から、析出された炭酸カルシウムパウダー上へ吸着することによって得られ、そして、FTO−ガラス基板上へ堆積され、実施例11に従って、SWNTをリフトするように、UV硬化可能なダイシングテープでの処理が続けられたU−SWNT−CaCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:40000xである。
【0203】
【図24】図24Aは、電界放出測定システムにおけるサンプルとプローブの配置の概念図である。 図24Bは、電界放出測定システムにおける電子回路の概念図であり、ここでは、Vsは、供給電圧を示し、Vcは、電流測定レジスタ(10kΩ)を横断する電圧を示す。
【0204】
【図25】図25Aは、9kV(パルス電圧モード)のピーク電圧での2つのサンプルから得られた、巨視的な電界(electric field)に対する電流(current)のプロットである。そのサンプルは、実施例4(アンモニア炭酸塩蒸気の拡散を介したSWNT−CaCO3複合材料の準備)、実施例7(CaCO3成分を除くための、0.25M硫酸浴での処理)、そして、実施例10(スコッチ接着テープを用いた活性化)において示されたプロセスに従って、シリコン基板を含んで準備されている。 図25Bは、図25Aにおいて示したデータのFowler−Nordheimプロットである。
【0205】
【図26】図26は、実施例4〜5(共析を介したCNT−CaCO3複合材料の準備),実施例7〜9(CaCO3成分を取り除く酸処理)、そして、実施例10(接着テープを用いた活性化)(図示なし)において示したプロセスに基づく電界放出のためのカソードの生成におけるステップの概略図である。12:CaCO3相,13:CNT相,14:CNTシェル,15:CNTマット,16:導電性基板,17:CNT電界放出サイト
【0206】
【図27】図27は、実施例6(吸着を介したCNT−CaCO3複合材料の準備)、そして、実施例11(接着テープを用いた活性化)(図示なし)において示したプロセスに基づく電界放出のためのカソードの生成におけるステップの概略図である。16:導電性基板,12:CaCO3相,13:CNT相,17:CNT電界放出サイト
【0207】
【図28】図28は、実施例13に従って、MnCl2溶液をNa2CO3溶液へ加えることによって準備され、FTO基板上に堆積されたUA−SWNT−MnCO3複合材料のSEMイメージであり、倍率:5000x(A)と60000x(B)である。
【0208】
【図29】図29は、実施例8に従って、水のHCl溶液を用いて、U−SWNT−CaCO3複合材料のCaCO3成分を溶解することによって得たカーボンナノチューブシェルの懸濁液を示す、光学顕微鏡によって得られたイメージである。 使用された複合材料は、図10Bにおいて示したものと同じであり、倍率:500xである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブと、
Me−炭酸塩と
を具備し、
Meが、金属カチオン、好ましくは、2価の金属カチオンを示す、
複合材料。
【請求項2】
Meが、異なった金属カチオンの混合物を示す、
請求項1に従った複合材料。
【請求項3】
Meが、Ca2+または、Mg2+、または、Ca2+とMg2+との組合せを示す、
先行の請求項に従った複合材料。
【請求項4】
カーボンナノチューブは、単層、二層、または、多層なカーボンナノチューブ、または、前記ナノチューブのいずれかの混合である、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項5】
−COOH,−OH,−CONH2,そして、−CONHCONH2のように酸素原子を含む官能基が、前記カーボンナノチューブに付着され、水、または、C1−C3アルコールのような極性溶媒において、そのカーボンナノチューブを分散させる
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項6】
前記官能基が、前記カーボンナノチューブの末端に位置している、
請求項5に従った複合材料。
【請求項7】
前記官能基が、前記カーボンナノチューブの壁上に位置している、
請求項5〜6のいずれかに従った複合材料。
【請求項8】
前記官能基が、前記カーボンナノチューブの末端と、壁上とに位置している、
請求項5〜7のいずれかに従った複合材料。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブが、束またはロープへ集められている、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項10】
酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素の融点より高い温度、好ましくは、約140〜160°C、より好ましくは、約150°Cに加熱される、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項11】
酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素、または、その分解生成物が、前記酸素を含有する官能基を変更するように反応し、または、重合して、水またはC1−C3アルコールのような極性溶媒中においてカーボンナノチューブを溶解させる、CONH2と−CONHCONH2とのような、新しい官能基を生成する、
請求項10に従った複合材料。
【請求項12】
アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのような、ベンズアルデヒドアルデヒドは、前記変更および/または重合反応を調節するように、その尿素に加えられる、
請求項10〜11のいずれかに従った複合材料。
【請求項13】
前記金属カチオンMeは、Ag1+,Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Sn2+,Pb2+,Eu2+,Sc3+,Y3+,La3+,Ce3+,Pr3+,Nd3+,Pm3+,Sm3+,Eu3+,Gd3+,Tb3+,Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Yb3+,そして、Lu3+そして、Bi3+具備する金属イオンのグループから選ばれ、または、前記金属カチオンMeは、VO2+とUO22+とを具備する金属オキソイオンのグループから選ばれる、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項14】
前記Me−炭酸塩は、実験式(Me)x(CO3)y(OH)zを有し、Meは、2価の金属カチオン、好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+の組合せであり、そして、x,y,zは、式x=y+z/2を満足し、z=0を含む整数値である、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項15】
前記Me−炭酸塩は、アモルファスまたは結晶のCaCO3の相、または、それらの組合せを具備するCaCO3である、
先行の請求項に従った複合材料。
【請求項16】
基板上にある、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項17】
溶液からの析出により生成された、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項18】
溶液からの析出により生成されたものであって、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を、極性溶媒中において、Meの非炭酸塩と炭酸イオンのソースとで結合するステップを含み、前記極性溶媒が、好ましくは、水または、C1−C3アルコールである、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項19】
溶液からの析出により生成されたものであって、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を、第1の極性溶媒中において、Me−炭酸塩のパウダーで、または、第2の極性溶媒においてMe−炭酸塩の分散で結合するステップを含み、前記第1と前記第2の極性溶媒は、好ましくは、水とC1−C3アルコールとから選ばれ、さらに好ましくは、前記第1と前記第2の極性溶媒は、同じである、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項20】
溶液からの析出により生成されたものであって、好ましくは、遠心分離によって収集された、
請求項17〜19のいずれかに従った複合材料。
【請求項21】
前記複合材料は、収集後、基板上に堆積された、
請求項20に従った複合材料。
【請求項22】
懸濁液として、基板上へ堆積された、
請求項21に従った複合材料。
【請求項23】
溶液から基板上へ直接的に析出された、
請求項17に従った複合材料。
【請求項24】
前記基板は、ガラス、シリコン、金属、セミ金属、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、骨を具備するグループから選ばれた材料によって作られている、
請求項16〜23のいずれかに従った複合材料。
【請求項25】
前記基板は、パターン化された基板である、
請求項16〜24のいずれかに従った複合材料。
【請求項26】
前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、金属または金属酸化物へ加熱によって一部または完全に変換することによって、さらに、処理される、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項27】
前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、金属または金属水素化物へ還元によって一部または完全に変換することによって、さらに、処理される、
請求項1〜25のいずれかに従った複合材料。
【請求項28】
前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、その複合材料を酸に曝すことにより、別のMe−塩へ一部または完全に変換することによって処理され、前記別のMe−塩を生成する、
請求項1〜25のいずれかに従った複合材料。
【請求項29】
前記Me−炭酸塩を別のMe−塩に変形した後に、前記複合材料は、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールなどの極性溶媒でリンスされ、前記別の塩を除いた、
請求項28に従った複合材料。
【請求項30】
好ましくは、1μmから100μmまでの範囲において3次元全体にて平均長さを有し、より好ましくは、5μmから30μmまでであるカーボンナノチューブシェルを具備する、
請求項28〜29のいずれかに従った複合材料。
【請求項31】
別のMe−塩へMe−炭酸塩を変換後に、好ましくは、基板上において乾燥されている、
請求項28〜30のいずれかに従った複合材料。
【請求項32】
基板上に少なくとも一つのカーボンナノチューブ層を具備する、
請求項31に従った複合材料。
【請求項33】
a)カーボンナノチューブを与え、
b)そのカーボンナノチューブを極性溶媒、好ましくは、水または、C1−C3アルコールにおいて分散し、
c)金属カチオンと炭酸塩アニオンとをカーボンナノチューブが分散された前記極性溶媒に導入し、そして、
d)Me−炭酸塩と前記カーボンナノチューブとを共に析出することを含み、
Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、異なる金属カチオンの混合、最も好ましくは、Ca2+、または、Mg2+または、Ca2+とMg2+との組合せとし、これによって、前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料を形成する、
カーボンナノチューブ複合材料の形成方法。
【請求項34】
ステップb)は、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒において、カーボンナノチューブを分散させ、その官能性のカーボンナノチューブを、その極性溶媒において分散させる、COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2などのような、官能基を含む前記カーボンナノチューブを与えることによって起こる、
請求項33に従った方法。
【請求項35】
ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素に混合し、そして、尿素を溶融することによって起こり、前記溶融が、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのようなベンズアルデヒドアルデヒドの存在において任意に起こり、そして、その後、そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒中において分散することによって起こる、
請求項33〜34のいずれかに従った方法。
【請求項36】
ステップc)とd)は、Meの非炭酸塩を、前記官能性のカーボンナノチューブを含む前記極性溶媒中において溶解し、そして、気体の炭酸アンモニア、または、気体アンモニアとカーボン二酸化物との混合に、前記溶液を露出することによって起こり、前記カーボンナノチューブと、前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
請求項33〜35のいずれかに従った方法。
【請求項37】
前記Meの非炭酸塩は、好ましくは、1価,2価、または、3価の金属カチオンを含み、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せである、
請求項36に従った方法。
【請求項38】
前記Meの非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2.である、
請求項37に従った方法。
【請求項39】
ステップc)とd)は、第1に、一価のカチオンの炭酸塩、または、それの溶液を、第2に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液を、極性溶媒においてカーボンナノチューブの分散と結合させ、または、カーボンナノチューブの分散を、極性溶媒中において、第1に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液と、そして、第2に、一価の金属カチオンの炭酸塩、または、それの溶液に、結合させることによって起こり、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する、
請求項33〜35のいずれかに従った方法。
【請求項40】
好ましくは、一価のカチオンの前記炭酸塩は、Na2CO3であり、そして、前記Meの非炭酸塩は、CaCl2である、
請求項39に従った方法。
【請求項41】
ステップc)とd)は、前記カーボンナノチューブの分散を極性溶媒において任意の順序で、尿素または、それの溶液と、Meの非炭酸塩、または、それの溶液に結合させることによって起こり、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオンであり、より好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せであり、そして、その後、前記溶液または分散を加熱し、結果としてそのような結合をし、尿素の分解を促進させて前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する、
請求項33〜35のいずれかに従った方法
【請求項42】
ステップc)とd)は、カーボンナノチューブの分散に、極性溶媒において、任意の順序で、尿素、または、その溶液、そして、Meの非炭酸塩、または、その溶液に結合することによって起こり、ここでは、Meは、金属カチオン、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり,そして、ウレアーゼ、または、その溶液であり、尿素の分解をし、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する、
請求項33〜35のいずれかに従った方法。
【請求項43】
前記Meの非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である、
請求項41〜42のいずれかに従った方法。
【請求項44】
前記Me−炭酸塩は、CaCO3である、
請求項41〜43のいずれかに従った方法。
【請求項45】
ステップd)における前記共析は、基板の存在において起こる、
請求項33〜44のいずれかに従った方法。
【請求項46】
a)カーボンナノチューブを与え、
b)極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコール中において、そのカーボンナノチューブを分散し、
c)Me−炭酸塩粒子、好ましくは、微細に分配されたMe−炭酸塩粒子の分散を、極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコールにおいて備え、
d)Me−炭酸塩粒子の前記分散をカーボンナノチューブの前記分散に組み合わせ、それにより、前記Me−炭酸塩粒子の表面に吸着した前記カーボンナノチューブを具備する前記カーボンナノチューブ複合材料を形成する、
ステップを具備する、
カーボンナノチューブ複合材料の形成方法。
【請求項47】
ステップb)は、−COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2のような、官能基を含む前記カーボンナノチューブを与え、そのカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールなどの極性溶媒において分散させ、そして、そのような官能性のカーボンナノチューブを、そのような極性溶媒において分散させることによって起こる、
請求項46に従った方法。
【請求項48】
ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素と混合し、そして、その尿素を溶融することによって起こり、前記溶融が、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドのようなベンズアルデヒドの存在にて任意に生じ、そして、その後、そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒において分散する、
請求項46〜47のいずれかに従った方法。
【請求項49】
ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、溶性なMeの非炭酸塩の溶液を、一価のカチオンの溶性な炭酸塩の溶液に混合することによって、新たに準備され、両方の溶液の溶媒が、好ましくは、水である、
請求項46〜48のいずれかに従った方法。
【請求項50】
Meの前記溶性な非炭酸塩は、好ましくは、1価、2価、または、3価の金属カチオンであり、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せである、
請求項49に従った方法。
【請求項51】
Meの前記溶性な非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である、
請求項50に従った方法。
【請求項52】
一価のカチオンの前記溶性な炭酸塩は、Na2CO3である、
請求項49に従った方法。
【請求項53】
ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーを前記極性溶媒、好ましくは、水において分散することによって新たに準備される、
請求項46〜48のいずれかに従った方法。
【請求項54】
前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料は、溶液から析出し、そして、好ましくは、遠心分離によって収集される、
請求項33〜53のいずれかに従った方法。
【請求項55】
前記カーボンナノチューブ複合材料は、収集後、基板上に堆積される、
請求項54に従った方法。
【請求項56】
前記金属炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、基板上に懸濁液として堆積され、そして、乾燥される、
請求項33〜55のいずれかに従った方法。
【請求項57】
ステップd)でのMe−炭酸塩粒子へのカーボンナノチューブの前記吸着は、基板上にて起こる、
請求項46〜53のいずれかに従った方法。
【請求項58】
前記基板は、ガラス、シリコン、金属、セミ金属、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、そして、骨を具備するグループから選択される材料によって作られている、
請求項33〜57のいずれかに従った方法。
【請求項59】
前記基板の表面は、官能基、好ましくは、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、−COOH基を受けている、
請求項58に従った方法。
【請求項60】
前記基板は、パターン化された基板である、
請求項54〜59のいずれかに従った方法。
【請求項61】
前記基板は、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、官能基、好ましくは、−COOH基と、そして、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合されない、官能基、好ましくは、−CH3基と共にパターン化されている。
請求項54〜60のいずれかに従った方法。
【請求項62】
Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、割れ目へ前記材料をもたらすような力、好ましくは、研磨によるもの、圧力または超音波の使用によるもの、または、熱衝撃によるものにさらされる、
請求項33〜61のいずれかに従った方法。
【請求項63】
基板上のMe−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、圧力にさらされ、前記圧力が前記カーボンナノチューブ複合材料を破片に破壊するに十分なものである、
請求項54〜62のいずれかに従った方法。
【請求項64】
Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料において前記Me−炭酸塩は、一価のカチオンのリン酸塩、好ましくは、二塩基性のアンモニアリン酸塩((NH4)2HPO4)の溶液での水温処理により、さらに炭酸塩ヒドロキシアパタイトへそれを部分的または完全に変形することによって処理される、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項65】
前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、加熱により、金属または金属酸化物にそれを部分的または完全に変形することによって処理される、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項66】
前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、還元により、金属または金属水素化物にそれを部分的または完全に変形することによって、さらに、処理される、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項67】
前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、前記複合材料を酸に曝すことにより、別のMe塩にそれを部分的または完全に変形することによって処理され、前記Me塩を生成する、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項68】
前記酸は、水溶液であり、好ましくは、鉱酸の水溶液、より好ましくは、塩酸、硫酸、硝酸である、
請求項67に従った方法。
【請求項69】
前記酸は、気体状であり、好ましくは、気体の塩酸である、
請求項67に従った方法。
【請求項70】
前記複合材料は、Me−炭酸塩を別のMe−塩中へ変化した後に、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような、極性溶媒でリンスされ、それにより、前記別のMe塩を除去し、そして、任意に、乾燥される、
請求項67に従った方法。
【請求項71】
前記複合材料は、Me−炭酸塩を別のMe−塩中へ変化した後に、乾燥され、そして、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような、極性溶媒でリンスされ、それにより、前記別のMe塩を除去する、
請求項67に従った方法。
【請求項72】
前記複合材料は、基板上に堆積される。
請求項67〜71のいずれかに従った方法。
【請求項73】
基板上での前記複合材料の堆積後、接着テープが前記複合材料に適用され、そして、再び除去され、それにより、いくつかの複合材料をリフトオフする、
請求項72に従った方法。
【請求項74】
請求項33〜73のいずれかに従った方法、好ましくは、請求項45〜61のいずれかに従った方法、または、請求項62〜64のいずれかに従った方法、または、請求項65〜66のいずれかに従った方法、または、請求項67〜73のいずれかに従った方法により生成された
カーボンナノチューブ複合材料。
【請求項75】
結晶のMe−炭酸塩成分を含んだ、
請求項1〜29と74とのいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料。
【請求項76】
電界放出材料、好ましくは、フラットパネルディスプレイ、陰極線管、真空蛍光ディスプレイ、マイクロ波管、光学部材としての請求項74〜75のいずれかに従った、カーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項77】
マイクロ電子工学デバイス、または、薄膜トランジスタにおいて、電気化学デバイス,好ましくは、バッテリ、燃料電池またはキャパシタにおいて、化学的または電気化学的センサまたは、タッチセンサにおいて、アクチュエータにて、人工筋肉において、導電性層において、電気泳動のインクにおいて、請求項74〜75のいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項78】
生物医学デバイスにおいて、生物学的細胞成長のサポートとして、好ましくは、ニューロン成長のため、骨、歯または軟骨の再生として、骨、歯または軟骨の置換として、インプラントされた生医科学的材料またはデバイスの表面処理のために、または、ドラッグデリバリのためのカプセルとして、好ましくは請求項74〜75のいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項79】
ガラス,プラスチック,または、半導体上での透明電極としての請求項74〜75のいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項1】
カーボンナノチューブと、
Me−炭酸塩と
を具備し、
Meが、金属カチオン、好ましくは、2価の金属カチオンを示す、
複合材料。
【請求項2】
Meが、異なった金属カチオンの混合物を示す、
請求項1に従った複合材料。
【請求項3】
Meが、Ca2+または、Mg2+、または、Ca2+とMg2+との組合せを示す、
先行の請求項に従った複合材料。
【請求項4】
カーボンナノチューブは、単層、二層、または、多層なカーボンナノチューブ、または、前記ナノチューブのいずれかの混合である、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項5】
−COOH,−OH,−CONH2,そして、−CONHCONH2のように酸素原子を含む官能基が、前記カーボンナノチューブに付着され、水、または、C1−C3アルコールのような極性溶媒において、そのカーボンナノチューブを分散させる
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項6】
前記官能基が、前記カーボンナノチューブの末端に位置している、
請求項5に従った複合材料。
【請求項7】
前記官能基が、前記カーボンナノチューブの壁上に位置している、
請求項5〜6のいずれかに従った複合材料。
【請求項8】
前記官能基が、前記カーボンナノチューブの末端と、壁上とに位置している、
請求項5〜7のいずれかに従った複合材料。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブが、束またはロープへ集められている、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項10】
酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素の融点より高い温度、好ましくは、約140〜160°C、より好ましくは、約150°Cに加熱される、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項11】
酸素原子を含む官能基が結合された前記カーボンナノチューブは、尿素と混合され、そして、そのとき、尿素、または、その分解生成物が、前記酸素を含有する官能基を変更するように反応し、または、重合して、水またはC1−C3アルコールのような極性溶媒中においてカーボンナノチューブを溶解させる、CONH2と−CONHCONH2とのような、新しい官能基を生成する、
請求項10に従った複合材料。
【請求項12】
アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのような、ベンズアルデヒドアルデヒドは、前記変更および/または重合反応を調節するように、その尿素に加えられる、
請求項10〜11のいずれかに従った複合材料。
【請求項13】
前記金属カチオンMeは、Ag1+,Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Sn2+,Pb2+,Eu2+,Sc3+,Y3+,La3+,Ce3+,Pr3+,Nd3+,Pm3+,Sm3+,Eu3+,Gd3+,Tb3+,Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Yb3+,そして、Lu3+そして、Bi3+具備する金属イオンのグループから選ばれ、または、前記金属カチオンMeは、VO2+とUO22+とを具備する金属オキソイオンのグループから選ばれる、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項14】
前記Me−炭酸塩は、実験式(Me)x(CO3)y(OH)zを有し、Meは、2価の金属カチオン、好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+の組合せであり、そして、x,y,zは、式x=y+z/2を満足し、z=0を含む整数値である、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項15】
前記Me−炭酸塩は、アモルファスまたは結晶のCaCO3の相、または、それらの組合せを具備するCaCO3である、
先行の請求項に従った複合材料。
【請求項16】
基板上にある、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項17】
溶液からの析出により生成された、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項18】
溶液からの析出により生成されたものであって、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を、極性溶媒中において、Meの非炭酸塩と炭酸イオンのソースとで結合するステップを含み、前記極性溶媒が、好ましくは、水または、C1−C3アルコールである、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項19】
溶液からの析出により生成されたものであって、前記析出は、カーボンナノチューブの分散を、第1の極性溶媒中において、Me−炭酸塩のパウダーで、または、第2の極性溶媒においてMe−炭酸塩の分散で結合するステップを含み、前記第1と前記第2の極性溶媒は、好ましくは、水とC1−C3アルコールとから選ばれ、さらに好ましくは、前記第1と前記第2の極性溶媒は、同じである、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項20】
溶液からの析出により生成されたものであって、好ましくは、遠心分離によって収集された、
請求項17〜19のいずれかに従った複合材料。
【請求項21】
前記複合材料は、収集後、基板上に堆積された、
請求項20に従った複合材料。
【請求項22】
懸濁液として、基板上へ堆積された、
請求項21に従った複合材料。
【請求項23】
溶液から基板上へ直接的に析出された、
請求項17に従った複合材料。
【請求項24】
前記基板は、ガラス、シリコン、金属、セミ金属、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、骨を具備するグループから選ばれた材料によって作られている、
請求項16〜23のいずれかに従った複合材料。
【請求項25】
前記基板は、パターン化された基板である、
請求項16〜24のいずれかに従った複合材料。
【請求項26】
前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、金属または金属酸化物へ加熱によって一部または完全に変換することによって、さらに、処理される、
先行の請求項のいずれかに従った複合材料。
【請求項27】
前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、金属または金属水素化物へ還元によって一部または完全に変換することによって、さらに、処理される、
請求項1〜25のいずれかに従った複合材料。
【請求項28】
前記複合材料におけるMe−炭酸塩は、その複合材料を酸に曝すことにより、別のMe−塩へ一部または完全に変換することによって処理され、前記別のMe−塩を生成する、
請求項1〜25のいずれかに従った複合材料。
【請求項29】
前記Me−炭酸塩を別のMe−塩に変形した後に、前記複合材料は、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールなどの極性溶媒でリンスされ、前記別の塩を除いた、
請求項28に従った複合材料。
【請求項30】
好ましくは、1μmから100μmまでの範囲において3次元全体にて平均長さを有し、より好ましくは、5μmから30μmまでであるカーボンナノチューブシェルを具備する、
請求項28〜29のいずれかに従った複合材料。
【請求項31】
別のMe−塩へMe−炭酸塩を変換後に、好ましくは、基板上において乾燥されている、
請求項28〜30のいずれかに従った複合材料。
【請求項32】
基板上に少なくとも一つのカーボンナノチューブ層を具備する、
請求項31に従った複合材料。
【請求項33】
a)カーボンナノチューブを与え、
b)そのカーボンナノチューブを極性溶媒、好ましくは、水または、C1−C3アルコールにおいて分散し、
c)金属カチオンと炭酸塩アニオンとをカーボンナノチューブが分散された前記極性溶媒に導入し、そして、
d)Me−炭酸塩と前記カーボンナノチューブとを共に析出することを含み、
Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、異なる金属カチオンの混合、最も好ましくは、Ca2+、または、Mg2+または、Ca2+とMg2+との組合せとし、これによって、前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料を形成する、
カーボンナノチューブ複合材料の形成方法。
【請求項34】
ステップb)は、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒において、カーボンナノチューブを分散させ、その官能性のカーボンナノチューブを、その極性溶媒において分散させる、COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2などのような、官能基を含む前記カーボンナノチューブを与えることによって起こる、
請求項33に従った方法。
【請求項35】
ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素に混合し、そして、尿素を溶融することによって起こり、前記溶融が、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドアルデヒドのようなベンズアルデヒドアルデヒドの存在において任意に起こり、そして、その後、そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒中において分散することによって起こる、
請求項33〜34のいずれかに従った方法。
【請求項36】
ステップc)とd)は、Meの非炭酸塩を、前記官能性のカーボンナノチューブを含む前記極性溶媒中において溶解し、そして、気体の炭酸アンモニア、または、気体アンモニアとカーボン二酸化物との混合に、前記溶液を露出することによって起こり、前記カーボンナノチューブと、前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する。
請求項33〜35のいずれかに従った方法。
【請求項37】
前記Meの非炭酸塩は、好ましくは、1価,2価、または、3価の金属カチオンを含み、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せである、
請求項36に従った方法。
【請求項38】
前記Meの非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2.である、
請求項37に従った方法。
【請求項39】
ステップc)とd)は、第1に、一価のカチオンの炭酸塩、または、それの溶液を、第2に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液を、極性溶媒においてカーボンナノチューブの分散と結合させ、または、カーボンナノチューブの分散を、極性溶媒中において、第1に、Meの非炭酸塩、または、それの溶液と、そして、第2に、一価の金属カチオンの炭酸塩、または、それの溶液に、結合させることによって起こり、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する、
請求項33〜35のいずれかに従った方法。
【請求項40】
好ましくは、一価のカチオンの前記炭酸塩は、Na2CO3であり、そして、前記Meの非炭酸塩は、CaCl2である、
請求項39に従った方法。
【請求項41】
ステップc)とd)は、前記カーボンナノチューブの分散を極性溶媒において任意の順序で、尿素または、それの溶液と、Meの非炭酸塩、または、それの溶液に結合させることによって起こり、Meは、金属カチオンを示し、好ましくは、2価のカチオンであり、より好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せであり、そして、その後、前記溶液または分散を加熱し、結果としてそのような結合をし、尿素の分解を促進させて前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する、
請求項33〜35のいずれかに従った方法
【請求項42】
ステップc)とd)は、カーボンナノチューブの分散に、極性溶媒において、任意の順序で、尿素、または、その溶液、そして、Meの非炭酸塩、または、その溶液に結合することによって起こり、ここでは、Meは、金属カチオン、好ましくは、2価のカチオン、より好ましくは、Ca2+またはMg2+または、Ca2+とMg2+との組合せであり,そして、ウレアーゼ、または、その溶液であり、尿素の分解をし、前記カーボンナノチューブと前記Me−炭酸塩とを具備する複合材料を共に析出する、
請求項33〜35のいずれかに従った方法。
【請求項43】
前記Meの非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である、
請求項41〜42のいずれかに従った方法。
【請求項44】
前記Me−炭酸塩は、CaCO3である、
請求項41〜43のいずれかに従った方法。
【請求項45】
ステップd)における前記共析は、基板の存在において起こる、
請求項33〜44のいずれかに従った方法。
【請求項46】
a)カーボンナノチューブを与え、
b)極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコール中において、そのカーボンナノチューブを分散し、
c)Me−炭酸塩粒子、好ましくは、微細に分配されたMe−炭酸塩粒子の分散を、極性溶媒、好ましくは、水またはC1−C3アルコールにおいて備え、
d)Me−炭酸塩粒子の前記分散をカーボンナノチューブの前記分散に組み合わせ、それにより、前記Me−炭酸塩粒子の表面に吸着した前記カーボンナノチューブを具備する前記カーボンナノチューブ複合材料を形成する、
ステップを具備する、
カーボンナノチューブ複合材料の形成方法。
【請求項47】
ステップb)は、−COOH,−OH,−CONH2および/または−CONHCONH2のような、官能基を含む前記カーボンナノチューブを与え、そのカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールなどの極性溶媒において分散させ、そして、そのような官能性のカーボンナノチューブを、そのような極性溶媒において分散させることによって起こる、
請求項46に従った方法。
【請求項48】
ステップb)は、前記カーボンナノチューブを尿素と混合し、そして、その尿素を溶融することによって起こり、前記溶融が、アルデヒド、好ましくは、p−アニスアルデヒドのようなベンズアルデヒドの存在にて任意に生じ、そして、その後、そのような官能性のカーボンナノチューブを、水またはC1−C3アルコール、好ましくは、メタノールまたはエタノールのような、極性溶媒において分散する、
請求項46〜47のいずれかに従った方法。
【請求項49】
ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、溶性なMeの非炭酸塩の溶液を、一価のカチオンの溶性な炭酸塩の溶液に混合することによって、新たに準備され、両方の溶液の溶媒が、好ましくは、水である、
請求項46〜48のいずれかに従った方法。
【請求項50】
Meの前記溶性な非炭酸塩は、好ましくは、1価、2価、または、3価の金属カチオンであり、より好ましくは、2価のカチオンであり、さらに好ましくは、Ca2+またはMg2+またはCa2+とMg2+との組合せである、
請求項49に従った方法。
【請求項51】
Meの前記溶性な非炭酸塩は、カルシウム塩であり、好ましくは、CaCl2である、
請求項50に従った方法。
【請求項52】
一価のカチオンの前記溶性な炭酸塩は、Na2CO3である、
請求項49に従った方法。
【請求項53】
ステップc)での極性溶媒中におけるMe−炭酸塩粒子の前記分散は、析出された炭酸カルシウムパウダーを前記極性溶媒、好ましくは、水において分散することによって新たに準備される、
請求項46〜48のいずれかに従った方法。
【請求項54】
前記Me−炭酸塩を具備するカーボンナノチューブ複合材料は、溶液から析出し、そして、好ましくは、遠心分離によって収集される、
請求項33〜53のいずれかに従った方法。
【請求項55】
前記カーボンナノチューブ複合材料は、収集後、基板上に堆積される、
請求項54に従った方法。
【請求項56】
前記金属炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、基板上に懸濁液として堆積され、そして、乾燥される、
請求項33〜55のいずれかに従った方法。
【請求項57】
ステップd)でのMe−炭酸塩粒子へのカーボンナノチューブの前記吸着は、基板上にて起こる、
請求項46〜53のいずれかに従った方法。
【請求項58】
前記基板は、ガラス、シリコン、金属、セミ金属、プラスティック、導電性ガラス、導電性ポリマー、セラミック、織物、セルロース、小麦、歯、軟骨、腱、そして、骨を具備するグループから選択される材料によって作られている、
請求項33〜57のいずれかに従った方法。
【請求項59】
前記基板の表面は、官能基、好ましくは、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、−COOH基を受けている、
請求項58に従った方法。
【請求項60】
前記基板は、パターン化された基板である、
請求項54〜59のいずれかに従った方法。
【請求項61】
前記基板は、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合される、官能基、好ましくは、−COOH基と、そして、配位結合および/または水素結合形成によってMe−炭酸塩に結合されない、官能基、好ましくは、−CH3基と共にパターン化されている。
請求項54〜60のいずれかに従った方法。
【請求項62】
Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、割れ目へ前記材料をもたらすような力、好ましくは、研磨によるもの、圧力または超音波の使用によるもの、または、熱衝撃によるものにさらされる、
請求項33〜61のいずれかに従った方法。
【請求項63】
基板上のMe−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料は、圧力にさらされ、前記圧力が前記カーボンナノチューブ複合材料を破片に破壊するに十分なものである、
請求項54〜62のいずれかに従った方法。
【請求項64】
Me−炭酸塩を具備する前記カーボンナノチューブ複合材料において前記Me−炭酸塩は、一価のカチオンのリン酸塩、好ましくは、二塩基性のアンモニアリン酸塩((NH4)2HPO4)の溶液での水温処理により、さらに炭酸塩ヒドロキシアパタイトへそれを部分的または完全に変形することによって処理される、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項65】
前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、加熱により、金属または金属酸化物にそれを部分的または完全に変形することによって処理される、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項66】
前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、還元により、金属または金属水素化物にそれを部分的または完全に変形することによって、さらに、処理される、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項67】
前記複合材料において前記Me−炭酸塩は、さらに、前記複合材料を酸に曝すことにより、別のMe塩にそれを部分的または完全に変形することによって処理され、前記Me塩を生成する、
請求項33〜63のいずれかに従った方法。
【請求項68】
前記酸は、水溶液であり、好ましくは、鉱酸の水溶液、より好ましくは、塩酸、硫酸、硝酸である、
請求項67に従った方法。
【請求項69】
前記酸は、気体状であり、好ましくは、気体の塩酸である、
請求項67に従った方法。
【請求項70】
前記複合材料は、Me−炭酸塩を別のMe−塩中へ変化した後に、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような、極性溶媒でリンスされ、それにより、前記別のMe塩を除去し、そして、任意に、乾燥される、
請求項67に従った方法。
【請求項71】
前記複合材料は、Me−炭酸塩を別のMe−塩中へ変化した後に、乾燥され、そして、処理され、好ましくは、水またはC1−C3アルコールのような、極性溶媒でリンスされ、それにより、前記別のMe塩を除去する、
請求項67に従った方法。
【請求項72】
前記複合材料は、基板上に堆積される。
請求項67〜71のいずれかに従った方法。
【請求項73】
基板上での前記複合材料の堆積後、接着テープが前記複合材料に適用され、そして、再び除去され、それにより、いくつかの複合材料をリフトオフする、
請求項72に従った方法。
【請求項74】
請求項33〜73のいずれかに従った方法、好ましくは、請求項45〜61のいずれかに従った方法、または、請求項62〜64のいずれかに従った方法、または、請求項65〜66のいずれかに従った方法、または、請求項67〜73のいずれかに従った方法により生成された
カーボンナノチューブ複合材料。
【請求項75】
結晶のMe−炭酸塩成分を含んだ、
請求項1〜29と74とのいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料。
【請求項76】
電界放出材料、好ましくは、フラットパネルディスプレイ、陰極線管、真空蛍光ディスプレイ、マイクロ波管、光学部材としての請求項74〜75のいずれかに従った、カーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項77】
マイクロ電子工学デバイス、または、薄膜トランジスタにおいて、電気化学デバイス,好ましくは、バッテリ、燃料電池またはキャパシタにおいて、化学的または電気化学的センサまたは、タッチセンサにおいて、アクチュエータにて、人工筋肉において、導電性層において、電気泳動のインクにおいて、請求項74〜75のいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項78】
生物医学デバイスにおいて、生物学的細胞成長のサポートとして、好ましくは、ニューロン成長のため、骨、歯または軟骨の再生として、骨、歯または軟骨の置換として、インプラントされた生医科学的材料またはデバイスの表面処理のために、または、ドラッグデリバリのためのカプセルとして、好ましくは請求項74〜75のいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料の使用。
【請求項79】
ガラス,プラスチック,または、半導体上での透明電極としての請求項74〜75のいずれかに従ったカーボンナノチューブ複合材料の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2008−500933(P2008−500933A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512121(P2007−512121)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005293
【国際公開番号】WO2005/113432
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005293
【国際公開番号】WO2005/113432
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(397051508)ソニー ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (140)
【Fターム(参考)】
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