説明

ガラス組成物

【課題】
実質的に鉛とビスマスを含まず、環境,安全,コストを配慮した上で、耐湿性が良く、しかも銀,銅,アルミニウム等の電極配線を腐食しない低温で軟化させることの可能なガラス組成物を提供する。また、そのガラス組成物を用いた封着材料,配線材料,構造材料,光学材料を提供する。さらに、これら材料を用いたプラズマディスプレイパネル等の画像表示装置,シーズヒータ,太陽電池素子等の電子デバイスを提供する。
【解決手段】
ガラス組成物が実質的に鉛とビスマスを含まず、少なくとも酸化バナジウムと酸化リンを主成分として含み、25℃での比抵抗を109Ωcm以上、軟化点を500℃以下とする。さらに成分として、酸化マンガンと酸化バリウムとを含む。また、アルカリ金属,アンチモン,テルル,亜鉛,ケイ素,アルミニウム,ニオブ,希土類元素,鉄,タングステン,モリブデンの酸化物のいずれかを含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温で接着等に使用可能な鉛を含まないガラス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(PDP)等の前面板と背面板を気密封着される画像表示装置では、気密封着に低温で軟化するガラス組成物を使用する。従来、このようなガラス組成物として、酸化鉛を主成分とするガラスにフィラーが混合された封着材料が使用されていた。
【0003】
昨今、環境や安全の規制により、鉛を含む材料の使用が回避されている。鉛を含まない封着用のガラス組成物として、特開平10−139478号公報(特許文献1)では酸化ビスマスを主成分とするガラス組成物、特開平7−69672号公報(特許文献2)では酸化スズを主成分とするガラス組成物、特開2004−250276号公報(特許文献3),特開2006−342044号公報(特許文献4)では酸化バナジウムを主成分とするガラス組成物が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平10−139478号公報
【特許文献2】特開平7−69672号公報
【特許文献3】特開2004−250276号公報
【特許文献4】特開2006−342044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉛を含むガラスは、低温で軟化させることができるため、広く使用されている。また、鉛を含むガラスの代替品として、ビスマスを含むガラスの実用化もされている。しかし、ビスマスの採取には多量の鉛が生成するため、鉛と同様に環境や安全に好ましくない。そこで、本発明の目的は、鉛やビスマスを使用せず、低温で軟化させることが可能なガラス組成物を提供することにある。
【0006】
また、画像表示装置を製造する際の封着用のガラス組成物として、ビスマスを主成分とするものを使用すると、軟化温度が高く、封着時に高温が必要であるため、封着部以外の部分について高温による影響を回避する必要が生じる。また、ビスマスを主成分とするガラス組成物では、ビスマスが還元されやすいため、画像表示装置を製造する際の雰囲気により還元され、封着部の電気抵抗が変化しやすく、製品のばらつきが生じる。
【0007】
スズを主成分とするガラス組成物は、封着部に使用すると水分と反応し劣化しやすい。
例えば、プラズマディスプレイのような画像表示装置を製造する際の封着用のガラス組成物としてスズを主成分とするガラスを使用すると、蛍光体材料の焼結により生じる水分で封着部が腐食し、気密性が低下しやすい。バナジウム,リンを主成分とするガラス組成物は、表示装置に用いられる銀配線,銅配線と接触させると、配線を腐食し、配線の抵抗値を高くしたり、気泡が生じる問題がある。
【0008】
従って、他の本願発明の目的は、画像表示装置の封着に好適なガラス組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本願発明の特徴は、実質的に鉛とビスマスを含まず、バナジウムとリンを主成分として含むガラスであって、25℃での比抵抗が109Ωcm以上であるガラス組成物にある。ガラス組成物の成分としては、マンガンとバリウムを含む。さらに、アルカリ金属や、アンチモン,テルル,亜鉛,ケイ素,アルミニウム,ニオブ,希土類元素のうち一種以上を含むことが望ましい。
【0010】
また、アルカリ金属,アンチモン,テルル,亜鉛,ケイ素,アルミニウム,ニオブ,希土類元素,鉄,タングステン,モリブデンのうち一種以上を含むことが望ましい。
【0011】
上記のガラス組成物は、封着材料や、配線形成用のガラス,構造材用の材料として広く使用できる。好ましいガラス組成物の成分は、各成分の酸化物換算で、酸化バナジウム(V25)が33〜45重量%、酸化リン(P25)が22〜30重量%、酸化マンガン(MnO)が5〜15重量%、酸化バリウム(BaO)が10〜20重量%である。アルカリ金属は、Li(リチウム),Na(ナトリウム),K(カリウム),Rb(ルビジウム),Cs(セシウム)が例示され、R2O換算で0〜8重量%(Rはアルカリ金属元素)を含むことが好ましい。また、Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23(Laは希土類元素)は、合計0〜10重量%で含むことが好ましい。
【0012】
また、好ましいガラス組成物の成分は、各成分の酸化物換算で、酸化バナジウム(V25)が30〜45重量%、酸化リン(P25)が22〜30重量%、酸化マンガン(MnO)が5〜15重量%、酸化バリウム(BaO)が5〜20重量%である。アルカリ金属は、Li(リチウム),Na(ナトリウム),K(カリウム),Rb(ルビジウム),Cs(セシウム)が例示され、R2O換算で0〜8重量%(Rはアルカリ金属元素)を含むことが好ましい。また、Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23(Laは希土類元素),Fe23,WO3,MoO3は、合計0〜25重量%で含むことが好ましい。
【0013】
上記のガラス組成物を封着材料として使用する場合には、所望の特性を得るためにフィラー粉末等を混合できる。フィラー粉末の混合量は封着材料全体の0〜40体積%、ガラス組成物の割合を60〜100体積%とすることが好ましい。フィラー粉末は平均粒径を12〜40μmとすることが好ましい。画像表示装置の封着材料として使用する場合には、封着材料を焼成した後の25℃での比抵抗は1010Ωcm以上がよく、軟化点は500℃以下であることが好ましい。そのため、ガラス組成物の比抵抗は1010Ωcm以上がよく、軟化点は500℃以下であることが好ましい。上記のガラス組成物を封着に用いた本発明の画像表示装置は、電極配線が形成された前面板及び背面板とを有し、前面板と背面板とが周縁部で気密封着されている画像表示装置であって、気密封着に上記のガラス組成物が使用されていることを特徴とする。特に、気密封着には、ガラス組成物60〜85体積%、フィラー粉末15〜40体積%からなる封着材料を用いることが好ましい。また、電極配線として銀を含む配線材料を使用した場合、その配線材料と本発明の封着材料とを直接接触させる部分を設けることができる。表示装置に本発明のガラス組成物を使用する場合には、表示装置の気密封着の他、電極配線,隔壁,隔壁上部の黒色層,前面板に形成される黒帯にも用いることができる。
【0014】
表示装置の他、ガラスによる接着の必要な用途に上記ガラス組成物を使用できる。例えば上記のガラス組成物をターミナルとパイプとを気密封着するシーズヒータの封着材料として使用することができる。シーズヒータの封着材料にはフィラー粉末を混合することも可能であり、ガラス組成物75〜100体積%、フィラー粉末が0〜25体積%とすることが好ましい。
【0015】
上記ガラス組成物に金属粉末を混合し、配線材料として使用する場合には、金属粉末としては銀或いは銅を使用できる。また、アルミニウムも使用できる。さらに配線材料には、フィラー粉末を混合することができ、ガラス組成物粉末を10〜40体積%、金属粉末を60〜90体積%、フィラー粉末を0〜20体積%の比率で混合することが好ましい。上記の配線材料を用い、プラズマディスプレイパネルなどの画像表示装置の電極配線を形成できる。表示装置の他、太陽電池素子等のガラスを含む電極にも適用可能である。
【0016】
本発明のガラス組成物にフィラー粉末を混合し、各種ガラス部材等、構造材として使用することも可能である。構造材は、ガラス組成物粉末30〜60体積%、フィラー粉末40〜70体積%の比率で混合することが好ましい。上記の構造材料を用い、画像表示装置の隔壁を形成できる。
【0017】
本発明のガラス組成物を可視光の透過率,反射率を制御するための黒色光学材料として使用することが可能である。また、黒色光学材料として使用する場合には、フィラー粉末,黒色顔料粉末を混合することができる。その場合の成分比率は、ガラス組成物の粉末が60〜100体積%、フィラー粉末が0〜40体積%、及び黒色顔料粉末が0〜30体積%とすることが好ましい。この黒色材料を用い、画像表示装置の黒帯を形成する場合には、黒色材料を用いた黒色層を画像表示装置の前面板上、または、隔壁の上部に設ける。
【0018】
封着材料,配線材料,構造材料,黒色材料には、ガラス組成物等を含む粉末を樹脂のバインダーおよび溶剤と混合したペースト材料として使用すると取り扱いが簡便である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のガラス組成物によれば、鉛とビスマスを使用せずとも、実用性の高い低温で軟化させることが可能なガラス組成物を提供できる。また、各種製品に応用でき、環境・安全規制に好適な製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記本発明をさらに詳細に説明する。従来、画像表示装置には、酸化鉛を主成分とする低温で軟化するガラスにフィラーを混合した封着材料が適用されていた。昨今、環境や安全の規制により、鉛を含む材料が使用できなくなりつつある。
【0021】
また、鉛を含む低温で軟化するガラス(低温軟化ガラス)は、気密封着以外にも電子デバイスの封着等、広く応用展開されていた。鉛を含まない低温で軟化するガラス組成物は、広い製品分野で求められている。
【0022】
鉛を含まない無鉛低温軟化ガラスは、現状、実用上の課題を有する。ビスマスを主成分とする無鉛低温軟化ガラスは、鉛を主成分とするガラスに比べて封着温度が高い。従って、電子デバイスなどの耐熱性が低い部材を有する製品に使用することが困難である。また、ビスマスは鉛の副産物として微量に採掘される。従ってビスマスは、鉛に比べると埋蔵量が少なく高価である。また、ビスマス原料を採取するためには多くの鉛を世の中に放出するため、間接的に環境や安全に対して影響が生じる。さらにビスマスを主成分とする低温軟化ガラスは還元されやすく、酸素量が少ない雰囲気での加熱では、電気抵抗が変わってしまう恐れがあるため使用しにくい。
【0023】
鉛やビスマスを含まず、スズを主成分とするガラスでは、耐湿性等が不十分である。画像表示装置等の電子デバイスの封着では、水分を含む部分(蛍光体等)と同時焼成されることがある。その際に蛍光体材料に含まれる水分が蒸発し、酸化スズを主成分とする低温軟化ガラスが腐食するので、信頼性の高い封着部が得られない。原因は、スズを主成分とする低温軟化ガラスを大気中等の酸化雰囲気で熱処理を行うと、ガラス骨格を形成しているSnOが酸化されSnO2が生成するためと言われている。
【0024】
鉛やビスマスを含まず、バナジウムを主成分とするガラスでは、封着等の熱処理時に、金属とガラスとの反応により、銀配線や銅配線が腐食される問題がある。このような銀配線や銅配線との相互作用に関しては、十分な配慮が施されていなかった。配線が腐食されると、高抵抗化したり、気泡が発生したり等の問題が発生する。また、プラズマディスプレイパネル等の電子デバイスで使用されている銀や銅の厚膜配線は、焼結助剤としてガラスを使用する。バナジウムを含有するガラスは、同様の問題が生じるので配線用の焼結助剤として使用できなかった。
【0025】
プラズマディスプレイパネル(PDP)等の前面板と背面板を気密封着される画像表示装置では、気密封着に低温で軟化するガラス組成物を使用する。画像表示装置では、気密封着のほかにも、部材の封着,電極材料,隔壁材料としてガラス組成物を使用する。
【0026】
そこで本願発明者らは、鉛とビスマスを使用せずとも、実用性が高く、低温で軟化させることが可能なガラス組成物を検討した。その結果、環境,安全の配慮,耐湿性,量産性の改善が可能な、実質的に鉛とビスマスを含まないガラス組成物を得ることができた。このようなガラス組成物は、封着材料,構造材料,光学材料として有効である。低温で軟化するガラス組成物による封着は、上述のような画像表示装置に限らず、シーズヒータ等の各種電子部品でも必要とされる。さらに、このガラスは、銀,銅,アルミニウム等の配線を腐食しない効果を有するので、厚膜配線の焼結助剤に使用し、配線材料とすることがで
きる。
【0027】
画像表示装置には、封着,電極,隔壁等多様な部位で低温で軟化するガラス組成物を必要とする。プラズマディスプレイパネル等の画像表示装置は、前面板,背面板を対向させて配置し、周縁部を気密封止して内部を真空にしたり、放電ガスを封入して形成されている表示パネルを有する。気密封止には、500℃以下の低温で軟化させることが可能なガラスよりなる封着材料が用いられている。封着の工程では、前面板或いは背面板の封着部分にガラスペーストを塗布し、乾燥させた後、大気中で仮焼成し、前面板と背面板を所定の位置合わせを行いクリップ等で固定し、加熱する。ガラスペーストの塗布は、印刷法或いはディスペンサー法で行われる。プラズマディスプレイパネルでは、封着後に、もしくは封着と同時に、表示パネルの内部を排気し、放電ガスをパネル内部に導入する。また、電界放出型画像表示装置や電子放出型画像表示装置では、気密封着中、もしくは封着後にパネル内部を高真空状態とする。
【0028】
バナジウム,リン,マンガン,バリウムを含み、鉛とビスマスを含有しないガラスは、耐湿性が高く、金属材料との相性がよい。従って、このようなガラス組成物を用いて画像表示装置を作成すれば、耐久性に優れ、搭載される電子デバイスに使用されている銀や銅等の配線を腐食しないため、長期の信頼性を確保できる。また、鉛と高価なビスマスを使用しないため、環境,安全性能を備えるとともに安価な表示装置とすることができる。
【0029】
このようなガラス組成物は、封着部分に限らず、プラズマディスプレイパネル等の画像表示装置用の配線材料,構造材料,黒色材料としても使用できる。使用する際は、ペースト状にして用いることが簡便である。本発明のガラス組成物よりなる電極,隔壁,黒帯は、封着材料の場合と同様に、耐久性に優れ、環境,安全性能を備えるとともに安価であるので好ましい。ガラス組成物に混合されるフィラーは、用途に応じて熱膨張係数の調整,加熱時の流動性の調整等を目的に混合される。
【0030】
本発明のガラス組成物は、表示装置以外の各種電子デバイスへ幅広く応用展開可能である。例えば、シーズヒータの封着に応用できる。
【0031】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0032】
まず、各種の本発明の低温で軟化させることの可能なガラス組成物を作製した。表1,表2に、作製したガラス組成物の配合組成と特性を示す。いずれの成分も酸化物換算の重量比で表示した。これらのガラス組成物は鉛とビスマスを含まず、バナジウムとリンを主成分とした組成を有する。その他の成分として各種の成分を混合した。アルカリ金属,アルカリ土類金属(バリウム,リチウム,ナトリウム,セシウム)を混合した。酸化バナジウムと酸化リンを原料として用い、バリウム,リチウム,ナトリウム,セシウムの原料としては炭酸塩を用いた。BaOは原料としてBaPO3を用いてもよい。その際には、P25原料量を少なくして換算する必要がある。マンガンは、原料としてMnOを使用しても、またMnO2を使用してもよい。上記成分以外は、表1,表2に示した酸化物を原料として用い配合した。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
ガラス組成物の作製は、下記の方法で行った。原料となる各化合物を配合・混合した原料300gをルツボに入れ、電気炉で5〜10℃/分の昇温速度で1100℃まで加熱し、2時間保持した。保持中は均一なガラスとするために攪拌した。ルツボを電気炉から取り出し、予め200〜300℃に加熱しておいたステンレス板上に流し込んだ。その後、粉砕した。ガラス組成物の示差熱分析(DTA)を行い、軟化点を測定した。軟化点はDTAカーブの第二吸熱ピークとした。
【0036】
粉砕したフリット状のガラス組成物は、樹脂バインダーと溶剤を加えることによってガラスペーストとした。樹脂バインダーにはエチルセルロース、溶剤にはブチルカルビトールアセテートを用いた。
【0037】
次に、ペーストを用いて厚膜状のガラス組成物を作成した。図1に示すように、ガラス基板1の上面に厚膜銀配線2,3,4を焼成して形成した。厚膜銀配線のサイズは、厚み5μm,幅100μm,長さ50mmとし、5mm間隔となるように焼成,形成した。その際の厚膜銀配線の比抵抗は25℃にて電圧100Vで約10-5Ωcmであった。厚膜銀配線2,3,4上とこれら厚膜銀配線の並びにガラスペーストを塗布し、約150℃で2時間乾燥した。その後、電気炉にて5℃/分の昇温速度で軟化点より30〜50℃高い温度まで加熱し、30分保持した後、炉冷した。これにより、塗布したガラスペーストを焼成し、ガラス厚膜5,6,7,8を形成した。ガラス厚膜5,6,7のサイズは、厚み10μm,幅100μm,長さ50mmとし、5mm間隔とした。ガラス厚膜8は、厚み30μmで、幅,長さとも25mmとし、厚膜銀配線2,3,4を覆った。
【0038】
厚膜銀配線2,3,4とガラス厚膜5,6,7の電気抵抗を25℃にて電圧100Vでそれぞれ測定し、平均比抵抗を求めた。比抵抗値は、簡易的な抵抗測定機であるロウテスターを用い測定した。ガラス厚膜8を覆った厚膜銀配線2,3,4の平均比抵抗が10-5Ωcmオーダ(1〜9.9…×10-5Ωcm)である場合には◎、10-4Ωcmオーダ(1〜9.9…×10-4Ωcm)である場合には○、10-3Ωcmオーダ(1〜9.9…×10-3Ωcm)である場合には△、10-2Ωcm以上である場合には配線として使用することが難しいため×と評価した。
【0039】
図2に、表1,表2で作製した厚膜状のガラス組成物の25℃での比抵抗と、それに覆われた厚膜銀配線の比抵抗の相関を示す。バナジウムとリンを主成分とするガラス組成物の比抵抗が109Ωcm以上であると、厚膜銀配線の比抵抗が良好だった。特にガラス組成物の比抵抗が1010Ωcm以上であると厚膜銀配線の比抵抗はほとんど増加しなかった。一方、ガラスの比抵抗が108Ωcm以下であると厚膜銀配線の比抵抗は著しく増加した。この原因を究明した結果、銀とガラスが反応して、バナジン酸銀が生成していた。比抵抗の高いガラスを用いた場合には、バナジン酸銀の生成はあまり認められなかった。バナジン酸銀の増加が厚膜銀配線の比抵抗が変化した理由と考えられる。ガラス組成物の比抵抗の高抵抗化のためには、主成分であるバナジウムとリンの他に、マンガンとバリウムを含むことが好ましい。さらにアルカリ金属酸化物を含有させることによって高抵抗化を達成できる。
【0040】
さらに、アンチモン,テルル,亜鉛,ケイ素,アルミニウム,ニオブ,希土類元素を含有させると、ガラス化安定性,化学的安定性等の向上が見られた。
【0041】
各種のガラス組成物を比較した結果、V25が33重量%未満であると、軟化点が高温化し、低温での封着に向かないものとなった。一方、V25が45重量%を超えると比抵抗が低くなり、銀配線と反応し、配線の比抵抗が増大した。P25が22重量%未満では、結晶化しやすく、30重量%を超えると、軟化点が高温化してしまった。MnOが5重量%以下では銀配線と反応しやすく、15重量%を超えると結晶化しやすくなってしまった。BaOが10重量%未満では、結晶化しやすく、20重量%を超えると軟化点が高温化してしまった。R2Oが8重量%を超えると化学的安定性が劣化し、また熱膨張係数が大きくなりすぎ、ガラスが剥離する問題が発生した。Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23の合計が10重量%を超えると、結晶化しやすくなったり、軟化点が高温化してしまった。
【0042】
従って、好ましいガラス組成物の組成範囲は、比抵抗が1010Ωcm以上、軟化点が500℃以下であること、さらに結晶化しにくいこと、化学的安定性が良好であることから、酸化物換算で、V25が33〜45重量%、P25が22〜30重量%、MnOが5〜15重量%、BaOが10〜20重量%である。また、R2Oを0〜8重量%(Rはアルカリ金属元素)、Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23のうち一種以上の合計が0〜10重量%であることがよい。
【実施例2】
【0043】
実施例1と同様にして、また実施例1の知見を活用して、表3のガラス組成物を作製し、評価した。表3に作製したガラス組成の他、評価した特性も示す。いずれのガラス組成物も鉛とビスマスを含まず、バナジウムとリンを主成分とした組成を有する。その他成分として、マンガン,バリウム,アルカリ金属を含有した。さらに、テルル,亜鉛,ニオブ,鉄,タングステン,モリブデンのうち2〜4つの成分を選出した。
【0044】
【表3】

【0045】
実施例1の知見を活用したため、表3のどのガラスも比抵抗が10-9Ωcm以上で銀配線との反応がほとんどなく、銀配線の比抵抗を増加させることもほとんどなかった。ただし、No.76のガラスは、V25が30重量%未満と少なく、またZnO,Fe23,WO3の合計が25重量%を超えるため、軟化点が高かった。それ以外のガラスは500℃以下と低かった。
【0046】
実施例1の結果を含め、各種のガラス組成物を比較した結果、V25が30重量%未満であると、軟化点が高温化し、低温での封着に向かないことが分かった。一方、V25が45重量%を超えると比抵抗が低くなり、銀配線と反応し、配線の比抵抗が増大した。P25が22重量%未満では、結晶化しやすく、30重量%を超えると、軟化点が高温化してしまった。MnOが5重量%以下では銀配線と反応しやすく、15重量%を超えると結晶化しやすくなってしまった。BaOが5重量%未満では、結晶化しやすく、20重量%を超えると軟化点が高温化してしまった。R2Oが8重量%を超えると化学的安定性が劣化し、また熱膨張係数が大きくなりすぎ、ガラスが剥離する問題が発生した。Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23,Fe23,WO3,MoO3の合計が25重量%を超えると、結晶化しやすくなったり、軟化点が高温化してしまった。
【0047】
従って、好ましいガラス組成物の組成範囲は、比抵抗が109Ωcm以上、軟化点が500℃以下であること、さらに結晶化しにくいこと、化学的安定性が良好であることから、酸化物換算で、V25が30〜45重量%、P25が22〜30重量%、MnOが5〜15重量%、BaOが5〜20重量%である。また、R2Oを0〜8重量%(Rはアルカリ金属元素)、Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23,Fe23,WO3,MoO3のうち一種以上の合計が0〜25重量%であることがよい。
【実施例3】
【0048】
実施例1と同様にして、銅配線,アルミニウム配線と実施例1のガラス組成物との相性を検討した。使用したガラスは表1のNo.16,20,21,30,表2の42,50である。厚膜の銅配線,アルミニウムスパッタ配線を実施例1と同様に基板上に形成し、その上にガラス組成物の厚膜を形成した。本実施例では、配線の酸化を防止するために、ガラスの焼成は窒素雰囲気で行った。ガラスペーストの樹脂バインダーは、窒素雰囲気でも揮発するようにニトロセルロースを用いた。
【0049】
厚膜銅配線の場合には、実施例1の厚膜銀配線と同様な結果となった。ガラスの比抵抗が108Ωcm以下であると、厚膜銅配線の比抵抗は著しく増加した。この原因を究明した結果、銅とガラスが反応して、バナジン酸銅が生成していた。一方、ガラスの比抵抗が109Ωcm以上であると厚膜銅配線の比抵抗が良好であり、特にガラスの比抵抗が1010Ωcm以上であると厚膜銀配線の比抵抗がほとんど増加することがなかった。また、バナジン酸銅の生成はあまり認められなかった。
【0050】
アルミニウムスパッタ配線の場合には、酸化バナジウムと酸化リンを主成分とするガラスの比抵抗によらず、アルミニウムとガラスとが反応することがなく、良好な配線抵抗が得られた。
【実施例4】
【0051】
実施例4として、ガラス組成物に混合するフィラーの種類と含有量について検討した。
フィラーとして、β−ユークリプタイト,ムライト,非晶質シリカ,アルミナ,ケイ酸ジルコニウム,リン酸ジルコニウムの粉末を用いた。フィラーの平均粒径は20〜30μmとした。ガラス組成物としては、表1のNo.21,表2の42,50のガラス組成物の粉末を用いた。ガラス粉末の平均粒径は5〜10μmとした。
【0052】
ガラス組成物とフィラーとを混合し、実施例1と同様にペーストとし、ガラス基板上に塗布,乾燥して、大気中480℃で30分加熱して、ガラス組成物の厚膜を形成した。そして、その間の流動性や失透性を評価した。各種フィラーの含有量を10,20,30,40,50体積%と振って検討を行ったところ、どのフィラーにおいても、フィラー含有量40体積%までは失透せず、適度な流動性を示した。フィラー含有量50体積%とすると、失透が発生し、気密な封着が可能とは言えなかった。従って、本発明のガラス組成物には、40体積%まではフィラーを混合して封着材料として適用することができる。
【0053】
各厚膜についての比抵抗を確認したところ、本実施例で用いたフィラーはすべて絶縁体であったため、ガラス組成物に混合しても封着材料の比抵抗は低下しなかった。
【0054】
それぞれの例についての厚膜の作製時の観察では、ガラス組成物の違いによる差は大きく認められなかった。フィラーの違いでは、比重が大きいムライト,アルミナ,リン酸ジルコニウムを用いた場合に特に良好な流動性を示すことが分かった。その中でもリン酸ジルコニウムが最も流動性が良好であった。本発明のガラス組成物はバナジウムとリンを主成分とするため、リン酸系のフィラーとのぬれ性が良好であると推測される。
【0055】
次に、フィラーを混合した場合の銀配線との相性について検討した。表1のNo.21,表2の42,50のガラス組成物と、フィラーを30体積%含有させたガラスペーストを作製し、図1で示した厚膜銀配線上に塗布,乾燥して、大気中480℃で30分加熱した。フィラーとしては、ムライト,アルミナ,リン酸ジルコニウムを使用した。
【0056】
実施例1と同様に厚膜銀配線の電気抵抗を測定し、比抵抗を求めた。その結果、どのペーストにおいても実施例1のガラス単体と同様に厚膜銀配線の比抵抗をほとんど増加させることはなかった。すなわち、ガラス組成物にフィラーを混合した封着材料であっても、配線をまたがるような封着に適用できることが確認できた。
【0057】
また、フィラー粉末を多く混合したガラス組成物について検討した。上述の通り、焼成等の工程では一部が失透しやすい。フィラー粉末が40〜70体積%(ガラス組成物の粉末が30〜60体積%)であれば、機密な封着は難しいものの、しっかりとした焼結が可能であった。従って、封着用途ではなく、プラズマディスプレイパネルの隔壁等の構造材料として使用が可能である。
【0058】
表1,表2のガラス組成物は黒色をしている。従って、黒色材料として光学的な黒色部材に使用することができる。さらに黒色化するためにガラス組成物に黒色顔料を混合してもよい。黒色顔料の含有量は、流動性を高く、かつ失透を防止するために30体積%以下が好ましい。黒色部材としては、プラズマディスプレイパネルのブラックマトリックス,黒帯等がある。
【実施例5】
【0059】
実施例5として、ガラス組成物に混合するフィラーの粒径について検討した。ガラス組成物としては、表2のNo.42のガラス粉末を用いた。No.42ガラスの熱膨張係数は30℃から250℃の温度範囲で119×10-7/℃であった。No.42ガラス粉末の平均粒径は7μmとした。フィラー含有量は30体積%と一定とした。フィラーとして、平均粒径が1,3,7,12,25,40,50μmのリン酸ジルコニウム粉末を用いた。No.42ガラス組成物の粉末と、リン酸ジルコニウムフィラー粉末30体積%を混合し、プ
レス成形体を作製した。成形体を大気中460℃で30分加熱し、焼成体を作製した。
【0060】
フィラーの粒径が熱膨張係数に及ぼす影響について検討した。焼成体から機械加工により4×4×20mmサンプルを作製し、熱膨張測定サンプルとした。熱膨張計を用い、昇温速度5℃/分で熱膨張曲線を測定した。熱膨張係数は30℃から250℃の温度範囲から求めた。図3にフィラーの平均粒径と、フィラー含有後の熱膨張係数の関係を示す。粒径の増加とともに、熱膨張係数は減少した。その減少の仕方は、12μmまで急激に減少し、それ以上で徐々に減少した。ただし、50μmでガラスにクラックが発生した。従って、フィラーの混合により熱膨張係数を効率的に低減するには、好ましいフィラー平均粒径
は12〜40μmであることが分かった。
【実施例6】
【0061】
実施例6では、本発明のガラス組成物を金属の厚膜配線を形成する配線材料に適用した例について検討した。配線は、ガラス組成物粉末と、配線を形成する金属粉末と、樹脂バインダーと、溶剤よりなる配線材料を焼成することに形成される。本実施例では、ガラス組成物として表2のNo.42ガラスを用いた。表より明らかな通り、No.42ガラスは銀の比抵抗を増加させにくい。バインダーにはエチルセルロース、溶剤にはブチルカルビトールアセテートを用いた。
【0062】
ガラス組成物粉末を銀の粉末と混合し、樹脂バインダー,溶剤を加えることによって配線用ペーストを作製した。
【0063】
同様に、ガラス組成物粉末と銀の粉末の体積比率を適宜変えた配線用ペーストを作製した。作製した配線用ペーストを用い、印刷法によりガラス基板上にペーストを塗布し、大気中480℃で30分加熱して配線を形成した。
【0064】
作製した配線の抵抗値を測定し、比抵抗を求めた。図4に銀の含有量と配線の比抵抗の関係を示す。銀の含有量が60体積%以上(ガラス組成物の含有量が40体積%以下)の配線では、配線の比抵抗が充分に低くなっている。従って、ガラス組成物の含有量を40体積%以下とすることにより、本発明のガラス組成物を配線材料として使用できる。
【0065】
配線中のガラスの含有量を少なくすると、銀配線が基板から剥離しやすくなる。ガラス組成物の含有量が10体積%以上であれば、銀配線をガラス基板へ強固に形成できた。また、配線材料に実施例3で検討した各種フィラーを混合すると、銀配線が剥離しにくくなった。フィラーを混合すると比抵抗が増加するため、適切な混合量は20体積%以下である。すなわち、ガラス組成物の含有量を10〜40体積%、銀粉末の含有量を60〜90体積%、フィラーの含有量を0〜20体積%とすることにより、配線材料として有効に使用できる。
【0066】
同様に、銅の厚膜配線について検討した。ガラス組成物としては、表2のNo.55のガラスを用い、ガラス粉末と銅の粉末とを混合し、バインダー,溶剤を加えることによって配線用ペーストを作製した。樹脂バインダーにはニトロセルロース、溶剤にはブチルカルビトールアセテートを用いた。作製した配線用ペーストを印刷法にてガラス基板に塗布し、窒素中600℃で30分加熱し、配線形成した。形成した配線の抵抗値を測定した結果、上記の銀配線材料と同様な結果が得られた。従って、銀配線材料以外にも本発明のガラス組成物を適用できる。
【0067】
ただし、比抵抗が109Ωcm未満のガラスでは、配線との反応により、実施例1と同様に配線の比抵抗が著しく増加する。
【実施例7】
【0068】
表3のNo.68,71及び73のガラスを用いて、実施例6と同様にして、銀,銅及びアルミニウムの厚膜電極配線について検討した。それぞれのガラス粉末10体積%と、銀,銅,アルミニウムの粉末90体積%とをそれぞれ混合し、バインダー,溶剤を加えることによって電極配線用ペーストを作製した。銀,銅及びアルミニウムの粉末は、約1μm径の球状粉とそれをつぶした板状粉を1:1に混合したものを用いた。樹脂バインダーには銀とアルミニウムはエチルセルロース、銅はニトロセルロースを用いた。溶剤にはブチルカルビトールアセテートを用いた。作製した電極配線用ペーストを印刷法にてガラス基板に塗布し、銀とアルミニウムは大気中、銅は窒素中において500℃で30分加熱し、配線形成した。形成した配線の抵抗値を測定した結果、実施例6と同様な結果が得られた。従って、本発明のガラス組成物は、銀,銅,アルミニウムの厚膜電極配線に有効に適用できる。
【実施例8】
【0069】
実施例8として、本発明のガラス組成物をプラズマディスプレイパネルに適用した例を説明する。プラズマディスプレイパネルの断面図の概要を図5に示す。
【0070】
プラズマディスプレイパネルでは、前面板10,背面板11が100〜150μmの間隙をもって対向させて配置され、各基板の間隙は隔壁12で維持されている。前面板10と背面板11の周縁部は封着材料13で気密に封止され、パネル内部に希ガスが充填されている。隔壁12により区切られた微小空間(セル14)には、赤色,緑色,青色の蛍光体15,16,17がそれぞれ充填され、3色のセルで1画素を構成する。各画素は信号に応じ各色の光を発光する。
【0071】
前面板10,背面板11には、ガラス基板上に規則的に配列した電極が設けられている。前面板10の表示電極18と背面板11のアドレス電極19が対となり、この間に表示信号に応じて選択的に100〜200Vの電圧が印加され、電極間の放電により紫外線20を発生させて蛍光体15,16,17を発光させ、画像情報を表示する。表示電極18,アドレス電極19は、これら電極の保護と、放電時の壁電荷の制御等のために、誘電体層22,23で被覆される。
【0072】
背面板11には、セル14を形成するために、アドレス電極19の誘電体層23の上に隔壁12が設けられる。この隔壁12はストライプ状或いはボックス状の構造体である。また、コントラストを向上するために、隣接するセルの表示電極間にブラックマトリックス(黒帯)21が形成されることもある。
【0073】
表示電極18,アドレス電極19としては、現在一般的には銀厚膜配線が使用されている。なお、銀のマイグレーション対策のために、銀厚膜配線から銅厚膜配線への変更が検討されている。そのためには、銅の酸化防止対策が必要となる。表示電極18,アドレス電極19、及びブラックマトリックス21の形成は、スパッタリング法によっても可能であるが、価格低減のためには印刷法が有利である。誘電体層22,23は、一般的には印刷法で形成される。
【0074】
前面板10では、背面板11のアドレス電極19に直交するように、表示電極18やブラックマトリックス21を形成した後に、誘電体層22を全面に形成する。その誘電体層22の上には、放電より表示電極18等を保護するために、保護層24が形成される。一般的には、その保護層24には、MgOの蒸着膜が使用される。背面板11には、アドレス電極19,誘電体層23の上に隔壁12が設けられる。ガラス構造体よりなる隔壁は、少なくともガラス組成物とフィラーを含む構造材料よりなり、その構造材料を焼結した焼成体から構成される。隔壁12は、隔壁部に溝が切られた揮発性シートを貼り付け、その溝に隔壁用のペーストを流し込み、500〜600℃で焼成することによって、シートを揮発させるとともに隔壁12を形成することができる。また、印刷法にて隔壁用ペーストを全面に塗布し、乾燥後にマスクして、サンドブラストや化学エッチングによって、不要な部分を除去し、500〜600℃で焼成することにより隔壁12を形成することもできる。隔壁12で区切られたセル14内には、各色の蛍光体15,16,17のペーストをそれぞれ充填し、450〜500℃で焼成することによって、蛍光体15,16,17をそれぞれ形成する。
【0075】
通常、別々に作製した前面板10と背面板11を対向させ、正確に位置合わせし、周縁部を420〜500℃でガラス封着する。封着材料13は、事前に前面板10或いは背面板11のどちらか一方の周縁部にディスペンサー法或いは印刷法により形成される。一般的には、封着材料13は背面板11の方に形成される。また、封着材料13は蛍光体15,16,17の焼成と同時に事前に仮焼成されることもある。この方法を取ることによって、ガラス封着部の気泡を著しく低減でき、気密性の高い、すなわち信頼性の高いガラス封着部が得られる。ガラス封着は、加熱しながらセル14内部のガスを排気し、希ガスを封入し、パネルが完成する。封着材料13の仮焼成時やガラス封着時に、封着材料13が表示電極18やアドレス電極19と直接的に接触することがあり、電極を形成する、銀等の配線材料と封着材料13が反応して、配線材料の電気抵抗を増加させることは好ましくなく、この反応を防止する必要がある。そのためには、封着材料13に含有されるガラス組成物を、配線材料と反応させないようにする必要がある。
【0076】
完成したパネルを点灯するには、表示電極18とアドレス電極19の交差する部位で電圧を印加して、セル14内の希ガスを放電させ、プラズマ状態とする。そして、セル14内の希ガスがプラズマ状態から元の状態に戻る際に発生する紫外線20を利用して、蛍光体15,16,17を発光させて、パネルを点灯させ、画像情報を表示する。各色を点灯させるときには、点灯させたいセル14の表示電極18とアドレス電極19との間でアドレス放電を行い、セル内に壁電荷を蓄積する。次に表示電極対に一定の電圧を印加することで、アドレス放電で壁電荷が蓄積されたセルのみ表示放電が起こり、紫外線20を発生させることによって、蛍光体を発光させる仕組みで画像情報の表示が行われる。
【0077】
実施例4で検討したフィラーとガラス組成物の混合物を封着材料とし、図5で示したプラズマディスプレイパネルへ適用した。封着材料の熱膨張係数は、フィラーの混合比を調整して70〜75×10-7/℃とした。なお、前面板10と背面板11に使用されるガラス基板に熱膨張係数が80〜85×10-7/℃のガラスを使用したため、ガラス基板よりも封着材料の熱膨張係数を10〜15%程度小さいものとし、封着材料13に圧縮応力をかけるためである。
【0078】
まず、表2のNo.42のガラス粉末とリン酸ジルコニウムのフィラー粉末を混合した。
混合比は、No.42ガラス粉末を70体積%、フィラー粉末を30体積%とした。粒径は、No.42のガラス粉末の平均粒径7μm、リン酸ジルコニウムのフィラー粉末の平均粒径30μmとした。これらの粉末に、樹脂バインダー(エチルセルロース),溶剤(ブチルカルビトールアセテート)を混合し、封着用ペーストを作製した。このペーストの焼成後の熱膨張係数は、72×10-7/℃であった。
【0079】
このペーストを背面板11の周縁部にディスペンサー法にて塗布した。200℃で乾燥後、大気中480℃で30分仮焼成した。この背面板11と前面板10と正確に対向させ、クリップで固定し、排気しながら450℃まで加熱し、3時間保持した後に希ガスを充填し、冷却した。問題なく、気密に封着できた。パネル点灯試験においても問題の発生はなかった。
【0080】
No.42のガラスと同様に、表1のNo.16,20,21,30,表2の50のガラス粉末を用い、プラズマディスプレイパネルを試作した。フィラーとしてβ−ユークリプタイト,ムライト,非晶質シリカ,アルミナ,ケイ酸ジルコニウム,リン酸ジルコニウムの粉末を用い、フィラーの含有量を変えて封着を行った。いずれの封着材料も熱膨張係数は70〜75×10-7/℃になるようにフィラーを調整した。
【0081】
その結果、フィラーの種類によらず、封着部のフィラーの適切な含有量は15〜40体積%(ガラス組成物の含有量は60〜85体積%)であった。フィラー含有量が15体積%未満であると、封着排気時に、封着材料がパネル内部に吸い込まれ、気密を維持できなかったり、不均一な封着となった。また、フィラー含有量が40体積%を超えると、減圧によっても封着材料が適切につぶれず、さらに接着力の不足が発生することがあった。
【0082】
次に前面板10の表示電極18と背面板11のアドレス電極19に、表2のNo.42のガラス粉末を使用した。No.42のガラス粉末を15体積%、リン酸ジルコニウムのフィラー粉末を5体積%、及び銀粉末が80%体積からなる配線材料を用い、ペースト化して配線を作製し、上記同様にパネル試作した。特に問題が発生することなく、配線としてパネルに搭載できた。また、パネル点灯試験においても支障なかった。従って、上記のガラス組成物をプラズマディスプレイパネルの表示電極18やアドレス電極に使用できる。
【0083】
次に、表2のNo.42のガラス粉末を隔壁12に使用した。No.42のガラス粉末を40体積%、ムライトのフィラー粉末を30体積%、アルミナのフィラー粉末を30体積%、の比率で混合して隔壁の構造材料とし、上記同様にパネル試作した。隔壁に使用した場合にも、特にパネル製造時に問題が発生することなく、パネル点灯試験においても支障なかった。従って、プラズマディスプレイパネルの隔壁12にも使用できる。
【0084】
次に、表2のNo.42のガラス粉末をブラックマトリックス21に使用した。No.42のガラス粉末を60体積%、非晶質シリカのフィラー粉末を30体積%、黒色顔料粉末を10体積%混合して黒色材料とし、上記同様にパネル試作した。ブラックマトリクスに使用した場合にも、特にパネル製造時に問題が発生することなく、パネル点灯試験においても支障なかった。
【実施例9】
【0085】
本実施例は、シーズヒータの気密封着にガラス組成物を適用した例について説明する。
図6に代表的なシーズヒータの構造概略を示す。シーズヒータは、一般的には、ステンレス製U字型パイプ30に、酸化マグネシウム粉末31と、ヒータ32を接続したステンレス製ターミナル33を入れ、両端を封着材料34からなるペレットで気密封着した構造を有する。
【0086】
まず、ステンレス製U字型パイプに酸化マグネシウム粉末31とステンレス製ターミナル33を入れ、還元雰囲気において酸化マグネシウム粉末を加熱脱水処理した。封着材料からなるペレットを両端に設置し、加熱して両端部を気密封着した。封着材料の熱膨張係数は、ステンレスに合わせて110〜130×10-7/℃程度とすることが好ましい。従って、熱膨張係数を調整するためのフィラー含有量は25体積%以下とした。25体積%よりも多くフィラーを混合すると、熱膨張係数が低くなりすぎ、気密に封着しにくくなった。
【0087】
表2のNo.42のガラス粉末を80体積%、アルミナのフィラー粉末20体積%からなる封着材料をペレットとし、シーズヒータ端部に設置し、窒素雰囲気中480℃で10分間加熱した。特に問題が発生することなく、気密な封着が可能であった。また、50日間の連続加熱試験(100℃)においても、パイプとターミナルが電気的に短絡したり、封着部分が破損することなく、好適であった。
【実施例10】
【0088】
実施例7で検討した銀の電極配線用ペースト3種類を用いて、実施例9と同様に図5のプラズマディスプレイパネルを作製した。使用した銀の電極配線用ペースト3種類は、球状と板状の混合銀粉末を90体積%、表3のNo.68,71及び73のガラス粉末をそれぞれ10体積%含有されている。また、樹脂バインダーにはエチルセルロース、溶剤はブチルカルビトールアセテートが使用されている。さらに本実施例では、ペーストには感光剤を含有した。
【0089】
これら電極配線用ペーストを用いて、前面板10と背面板11の全面に塗布,乾燥し、マスクを付け、紫外線を照射することによって、余分な箇所を除去し、表示電極18,背面板11を形成した。その後、500℃で30分焼成した。次にブラックマトリックス21や誘電体層22,23をそれぞれ500〜600℃で形成し、実施例9と同様にしてプラズマディスプレイパネルを作製した。なお、前面板10と背面板11の封着には、表3のNo.71のガラス粉末を70重量%、フィラーとしてコージェライトを20体積%、アルミナを10体積%含有した封着材料を用い、それにエチルセルロースとブチルカルビトールアセテートを入れて、封着用ペーストとし、実施例9と同様に封着した。
【0090】
上記銀電極配線用ペースト3種類を用いて作製した3種類のプラズマディスプレイパネルは、どのパネルにおいても特に工程上問題なく、作製することができた。また、パネル点灯試験においても、問題の発生は認められなかった。従って、上記銀厚膜電極配線はプラズマディスプレイパネルの表示電極18やアドレス電極19に適用できるものであり、本発明のガラス組成物は、銀の厚膜配線にも有効である。
【実施例11】
【0091】
実施例11では、本発明のガラス組成物を含有した配線材料を太陽電池素子の電極へ適用した例について説明する。代表的な太陽電池素子の断面図、受光面及び裏面の概要を図7,図8及び図9に示す。通常、太陽電池素子の半導体基板40には、単結晶または多結晶シリコンなどが使用される。この半導体基板40は、ホウ素などを含有し、p形半導体とする。受光面側は、太陽光の反射を抑制するために、エッチングにより凹凸を形成する。その受光面にリンなどをドーピングし、n型半導体の拡散層41をサブミクロンオーダーの厚みで生成させるとともに、p形バルク部分との境界にpn接合部を形成する。さらに受光面に窒化シリコンなどの反射防止層42を蒸着法などによって膜厚100nm前後で形成する。
【0092】
次に受光面に形成される受光面電極43と、裏面に形成される集電電極44及び出力取出し電極45の形成について説明する。通常、受光面電極43と出力取出し電極45にはガラス組成物の粉末を含む銀電極ペースト、集電電極44にはガラス組成物の粉末を含むアルミニウム電極ペーストが使われ、スクリーン印刷にて塗布される。乾燥後、500〜800℃程度で焼成され、電極形成される。その際に、受光面では、受光面電極43に含まれるガラス組成物と反射防止層42とが反応して、受光面電極43と拡散層41が電気的に接続される。また、裏面では、集電電極44中のアルミニウムが半導体基板40の裏面に拡散して、電極成分拡散層46を形成することによって、半導体基板40と集電電極44,電力取出し電極45との間にオーミックコンタクを得ることができる。
【0093】
表3のNo.71ガラス組成物の粉末を用いて、受光面電極43用と電力取出し電極45用の銀電極ペースト、及び集電電極44用のアルミニウム電極ペーストを作製した。No.71ガラス組成物の粉末の含有量を10体積%、銀及びアルミニウムの粉末をそれぞれ90体積%となるように配合,混合した。No.71ガラス組成物の粉末の平均粒径は約1μmとした。また、銀とアルミニウムの粉末は、1〜3μm程度の球状粉を機械的につぶし、板状粉としたものを用いた。樹脂バインダーにはエチルセルロース、溶剤にはブチルカルビトールアセテートを使用し、スクリーン印刷に適した粘度を有するペーストとした。
【0094】
先ず、上記集電電極44用アルミニウム電極ペーストを図7及び図9に示すように半導体基板40の裏面にスクリーン印刷で塗布し、乾燥後、赤外線炉にて550℃で急速加熱冷却した。550℃での保持時間は3分とした。これにより、先ずは半導体基板40の裏面に集電電極44を形成した。
【0095】
次に、拡散層41と反射防止層42を形成してある半導体基板40の受光面と、既に集電電極44が形成してある半導体基板40の裏面に、スクリーン印刷で、図7,図8及び図9に示すように塗布し、乾燥した後に赤外線炉にて700℃で急速加熱冷却した。保持時間は1分とした。
【0096】
作製した太陽電池素子は、受光面では受光面電極43と拡散層41が形成された半導体基板40が電気的に接続されていた。また、裏面では電極成分拡散層46が形成され、半導体基板40と集電電極44,電力取出し電極45との間にオーミックコンタクを得ることができた。さらに、85℃、85%の高温高湿試験を100時間実施し、電極の配線抵抗や接触抵抗がほとんど大きくなるようなことはなかった。
【0097】
表3のNo.62,67,73及び75のガラス組成物についても、上記同様に太陽電池素子の銀厚膜電極やアルミニウム厚膜電極に組み込み、評価した。それらの評価結果は、上記No.71のガラス組成物と同等であった。従って、本発明のガラス組成物は、太陽電池素子の電極へ有効に展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】電気抵抗の評価のためのサンプルの形状を示す図である。
【図2】ガラスの比抵抗が及ぼす銀配線の比抵抗変化を示す図である。
【図3】フィラー平均粒径と封着材料の熱膨張係数の関係を示す図である。
【図4】銀粉末の含有量とその配線材料の比抵抗変化を示す図である。
【図5】代表的なプラズマディスプレイパネルの構成を示す断面図である。
【図6】代表的なシーズヒータの構成を示す断面図である。
【図7】代表的な太陽電池素子の構成を示す断面図である。
【図8】代表的な太陽電池素子の構成を示す受光面図である。
【図9】代表的な太陽電池素子の構成を示す裏面図である。
【符号の説明】
【0099】
1 ガラス基板
2,3,4 厚膜銀配線
5,6,7,8 ガラス厚膜
10 前面板
11 背面板
12 隔壁
13,34 封着材料
14 セル
15,16,17 赤色,緑色,青色蛍光体
18 表示電極
19 アドレス電極
20 紫外線
21 ブラックマトリックス
22,23 誘電体層
24 保護層
30 U型パイプ
31 酸化マグネシウム粉末
32 ヒータ
33 ターミナル
40 半導体基板
41 拡散層
42 反射防止層
43 受光面電極
44 集電電極
45 出力取出し電極
46 電極成分拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に鉛とビスマスを含まず、バナジウムとリンを主成分として含み、25℃での比抵抗が109Ωcm以上であることを特徴とするガラス組成物。
【請求項2】
実質的に鉛とビスマスを含まず、バナジウムとリンを主成分として含み、マンガンとバリウムを含むことを特徴とするガラス組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたガラス組成物であって、
さらにアルカリ金属,アンチモン,テルル,亜鉛,ケイ素,アルミニウム,ニオブ,希土類元素の少なくともいずれかを含むことを特徴とするガラス組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたガラス組成物であって、
成分の酸化物換算で、V25を33〜45重量%、P25を22〜30重量%、MnOを5〜15重量%、BaOを10〜20重量%、R2Oを0〜8重量%(Rはアルカリ金属元素)含み、Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23を合計で0〜10重量%含有することを特徴とするガラス組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載されたガラス組成物であって、
さらにアルカリ金属,アンチモン,テルル,亜鉛,ケイ素,アルミニウム,ニオブ,希土類元素,鉄,タングステン,モリブデンの少なくともいずれかを含むことを特徴とするガラス組成物。
【請求項6】
請求項1,2または5のいずれかに記載されたガラス組成物であって、
成分の酸化物換算で、V25を30〜45重量%、P25を22〜30重量%、MnOを5〜15重量%、BaOを5〜20重量%、R2Oを0〜8重量%(Rはアルカリ金属元素)含み、Sb23,TeO2,ZnO,SiO2,Al23,Nb25,La23,Fe23,WO3,MoO3を合計で0〜25重量%含有することを特徴とするガラス組成物。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載されたガラス組成物であって、
比抵抗が1010Ωcm以上であり、かつ軟化点が500℃以下であることを特徴とするガ
ラス組成物。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたガラス組成物を含有する封着材料。
【請求項9】
請求項8に記載された封着材料であって、
前記封着材料は粉末形状のガラス組成物と、粉末形状のフィラーとを含有し、
前記ガラス組成物の含有量が60体積%以上、前記フィラーの含有量が40体積%以下であることを特徴とする封着材料。
【請求項10】
請求項9に記載された封着材料であって、
前記フィラーの平均粒径が12〜40μmであることを特徴とする封着材料。
【請求項11】
請求項8ないし10のいずれかに記載された封着材料を焼結して形成され、25℃での比抵抗が1010Ωcm以上であることを特徴とする封着部材。
【請求項12】
金属粉末と、請求項1ないし7のいずれかに記載されたガラス組成物の粉末を含有する配線材料。
【請求項13】
請求項12に記載された配線材料であって、
ガラス組成物の粉末を10〜40体積%、金属粉末を60〜90体積%含有することを特徴とする配線材料。
【請求項14】
請求項12に記載された配線材料であって、
前記配線材料はさらにフィラー粉末を含有し、ガラス組成物の粉末を10〜40体積%、金属粉末を60〜90体積%、フィラー粉末を20体積%以下含有することを特徴とする配線材料。
【請求項15】
請求項12ないし14のいずれかに記載された配線材料であって、前記金属粉末は銀または銅であることを特徴とする配線材料。
【請求項16】
請求項12ないし14のいずれかに記載された配線材料であって、前記金属粉末は銀、銅またはアルミニウムであることを特徴とする配線材料。
【請求項17】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたガラス組成物の粉末と、フィラー粉末とを有する構造材料であって、ガラス組成物の粉末を30〜60体積%、フィラー粉末を40〜70体積%含有することを特徴とする構造材料。
【請求項18】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたガラス組成物を含有する黒色材料。
【請求項19】
請求項18に記載された黒色材料であって、
さらにフィラー粉末を含有し、前記フィラー粉末を40体積%以下含むことを特徴とする黒色材料。
【請求項20】
請求項18または19に記載された黒色材料であって、
さらに黒色顔料粉末を含有し、前記黒色顔料粉末を30体積%以下含むことを特徴とする黒色材料。
【請求項21】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたガラス組成物の粉末と、樹脂と、溶剤とを含有することを特徴とするガラスペースト。
【請求項22】
前面板と、背面板と、前記前面板及び背面板とを周縁部で気密封着する封着部を有し、
前記前面板及び背面板上にはそれぞれ銀を含有する電極配線が形成されており、少なくとも一部で前記封着部と前記電極配線とが接触する構造を有する画像表示装置であって、
前記封着部は、60〜85体積%のガラス組成物と、粉末形状の15〜40体積%のフィラーよりなり、
前記ガラス組成物は請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス組成物であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項23】
パイプと、パイプ内に入れられたターミナルと、ターミナルに接続されたヒータを有し、前記パイプが封着材により気密封着されているシーズヒータであって、
前記封着材は、請求項1ないし7に記載されたガラス組成物を含むことを特徴とするシ
ーズヒータ。
【請求項24】
請求項23に記載されたシーズヒータであって、前記封着材は粉末形状のフィラーを含
有し、前記封着材の前記ガラス組成物の含有量が75体積%以上、前記フィラーの含有量
が25体積%以下であることを特徴とするシーズヒータ。
【請求項25】
前面板と、背面板と、前記前面板及び背面板とを周縁部で気密封着する封着部を有し、前記前面板及び背面板上にはそれぞれ銀を含有する電極配線が形成されており、少なくとも一部で前記封着部と前記電極配線とが接触する構造を有する画像表示装置であって、
前記電極配線は、請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス組成物を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項26】
p形とn形を有する半導体基板と、前記半導体基板の受光面に形成された反射防止膜と受光面電極と、前記半導体基板の裏面一面に形成した裏面電極とからなる太陽電池素子であって、
前記受光面電極は、少なくとも銀とガラス組成物よりなり、前記ガラス組成物は請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス組成物であることを特徴とする太陽電池素子。
【請求項27】
p形とn形を有する半導体基板と、前記半導体基板の受光面に形成された反射防止膜と受光面電極と、前記半導体基板の裏面一面に形成した裏面電極とからなる太陽電池素子であって、
前記裏面電極は、集電電極と出力取出し電極から構成され、前記集電電極は少なくともアルミニウムと請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス組成物、前記出力取出し電極は少なくとも銀と請求項1ないし7のいずれかに記載のガラス組成物からなることを特徴とする太陽電池素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−209032(P2009−209032A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268074(P2008−268074)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000233572)日立粉末冶金株式会社 (272)
【Fターム(参考)】