説明

キサンチンオキシダーゼ阻害剤

【課題】高尿酸血症等の生活習慣病に有効な新規なキサンチンオキシダーゼ阻害剤を提供する。
【解決手段】次の一般式(I)


(式中、RはOR他を表し、ここで、Rはハロゲン原子等の置換基を有していても良い炭素数6〜10のアリール基を表し、Rはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、又はカルボキシル基他を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、又はカルボキシル基他を表し、XはNR11、酸素原子、又は硫黄原子を表し、ここで、R11は水素原子又は置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、そして、Y及びZはCR12又は窒素原子を表し、ここで、R12は上記のRと同じものを表す。)で表される化合物及びこれを有効成分として含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高尿酸血症は通風、腎不全をきたし、また冠動脈疾患の危険因子とも考えられ、高血圧症をはじめとする生活習慣病の発症進展とも密接な関わりが指摘されている。従って、高尿酸血症の治療は単に痛風の治療ばかりでなく、高齢化に伴う種々の生活習慣病の予防につながる。
現在、高尿酸血症の治療には、アロプリノールに代表される尿酸生成抑制剤とベンズブロマロンに代表される尿酸排泄促進剤が用いられている。ところで、アロプリノールは皮疹、肝障害、骨髄抑制等の副作用を有することが広く知られており、またアロプリノールとその代謝産物(オキシプリノール)は腎から排泄されるが、尿酸の排泄低下があると、これらの排泄も遅延して血中濃度が上昇しやすく、副作用の発現可能性が高まることが指摘されている。
一方、ベンズブロマロンについても、最近肝障害が報告されており、この分野では薬剤の選択枝を広げる意味からも新薬の開発が望まれている。
最近、プリン骨格を有さないキサンチンオキシダーゼ阻害剤としてTMX−67(帝人)、Y−700(三菱ウエルファーマ)、KT651(寿)などが報告されている。
【0003】
【化1】

【0004】
【化2】

【0005】


本発明者らはこれらとは構造の異なる二環性のヘテロ縮合環を特徴とした下記一般式(I)で表される化合物がキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有することを見いだし、本発明を完成した。
尚、本発明化合物と構造類似した化合物として、特表平11−501024号公報には2−フェニルベンゾアゾール化合物が、特開昭56−5465には2−フェニルベンズイミダゾール化合物が記載されているが、前者はベンゼン環の4位にアミノ基があり、抗腫瘍作用を有し、後者はベンゼン環の4位に2−ヒドロキシ−3−N−置換アミノプロポキシ基があり、血圧降下作用を有することから構造上も薬理作用も本発明化合物とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平11−501024号公報
【特許文献2】特開昭56−5465
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的はキサンチンオキシダーゼ(XOD)阻害作用を有する下記一般式(I)で表される化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明は、次の一般式(I)、
【0009】
【化3】



【0010】
(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、OR、CO、又はS(O)を表し、ここで、Rは水素原子、又は置換基としてハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、若しくはシアノ基から選ばれる基若しくは原子を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキル部分の炭素数1〜4)、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基(アリール部分の炭素数は6〜10)、アラルキルカルボニル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキルカルボニル部分の炭素数は2〜5)若しくは炭素数6〜10のアリール基を表し、R及びRは水素原子又は置換基としてハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基から選ばれる基若しくは原子を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基、アラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキル部分の炭素数1〜4)、若しくは炭素数6〜10のアリール基を表し、nは0〜2の整数を表し、
は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、炭素数1〜8のアルキル基、1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基、又はCOを表し、ここでRは上記のRと同じものを表し、
は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、CO、POH、PO(OH)(OR)、S(O)10、又は置換基としてハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基から選ばれる基若しくは原子を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基若しくはアルキルアミノカルボニル基、(アルキル基の炭素数は1〜8)を表し、ここでR、R、R10は上記のRと同じものを表し、mは上記nと同じものを表し、
XはNR11、酸素原子、又は硫黄原子を表し、ここで、R11は水素原子又は置換基としてハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基から選ばれる基若しくは原子を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、そして、Y及びZはCR12又は窒素原子を表し、ここで、R12は上記のRと同じものを表す。)
で表される化合物又はその塩に関する。
また本発明は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤に関する。
さらにまた本発明は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分として含有する高尿酸血症治療剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を詳細に説明する。
上記一般式(I)において、R、R、R、R、R、R及びR11の炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はペンチル基等が挙げられる。
及びRの炭素数1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基としては、1〜3個のフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等を置換基として有するメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はペンチル基等が挙げられる。
、R及びRのアラルキル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキル部分の炭素数1〜4)としては、ベンジル基又はフェネチル基等が挙げられる。
の炭素数2〜9のアルキルカルボニル基としては、アセチル基又はプロピオニル基等が挙げられる。
のアリールカルボニル基(アリール部分の炭素数は6〜10)としては、ベンゾイル基等が挙げられる。
のアラルキルカルボニル基(アリール部分の炭素数は6〜10で、アルキルカルボニル部分の炭素数は2〜5)としては、ベンジルカルボニル基等が挙げられる。
、R及びRの炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
若しくはR、又はR、R、R、R若しくはR11の置換基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子若しくは臭素原子等が挙げられる。
のアルキルアミノカルボニル基(アルキル基の炭素数1〜8)としては、メチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
(1)本発明化合物としては、RがORである上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(2)本発明化合物としては、Rが炭素数1〜5のアルコキシ基である上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(3)本発明化合物としては、Rがイソブトキシ基である上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(4)本発明化合物としては、Rがニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、又はカルボキシル基である上記(1)〜(3)又は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(5)本発明化合物としては、Rがニトロ基又はシアノ基である上記(1)〜(3)又は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(6)本発明化合物としては、Rが水素原子、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、又はカルボキシル基である上記(1)〜(5)又は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(7)本発明化合物としては、XがNH又は酸素原子で、Y及びZが共に窒素原子である上記(1)〜(6)又は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(8)本発明化合物としては、Xが硫黄原子、酸素原子又はNHで、YがCH、C−OH又はC−COHで、ZがCHである上記(1)〜(6)又は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
(9)本発明化合物としては、XがNHで、Y及びZの何れか1つが窒素原子で、残りがCHである上記(1)〜(6)又は上記一般式(I)で表される化合物又はその塩が好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物は、薬理学的に許容される塩であってもよく、R、R又はRが例えばナトリウム、カリウム、又はリチウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
次に上記一般式(I)で表される化合物の合成方法を示す。
(合成方法1)
X=NH、Oの場合
【0012】
【化4】

【0013】
(式中XはNH又はOを表し、そしてR、R、R、Y及びZは前記と同じ)
一般式(c)で表される安息香酸アミドは、一般式(a)で表される安息香酸誘導体と一般式(b)で表されるアニリン誘導体を反応させることにより得ることができる。
反応としては通常のアミド形成反応を用いることができ、例えば一般式(a)で表される安息香酸誘導体を塩化チオニル若しくは塩化オキサリルを用いて酸クロライド体にした後、水、THF等の溶媒の存在下、炭酸水素ナトリウム、トリエチルアミン等の塩基の存在下、若しくは無存在下、一般式(b)で表されるアニリン誘導体と反応させることにより、又は一般式(a)で表される安息香酸誘導体と一般式(b)で表されるアニリン誘導体とをDCCやWSC・HCl等の縮合剤の存在下、反応させることにより得ることができる。
次いで、一般式(c)で表される安息香酸アミドをオキシ塩化リンと反応させるか、若しくは加熱することにより一般式(d)で表される本発明化合物を得ることができる。
(合成方法2)
X=Sの場合
【0014】
【化5】

【0015】
(式中Rは水素原子又は塩素原子等のハロゲン原子を表し、そしてR、R、R、Y及びZは前記と同じ)
一般式(f)で表される安息香酸アミドは、一般式(a)で表される安息香酸誘導体と一般式(e)で表されるアニリン誘導体を反応させることにより得ることができる。
このアミド形成反応も上記合成方法1で述べた方法と同様な方法を用いることができる。
一般式(g)で表される安息香酸チオアミド誘導体は一般式(f)で表される安息香酸アミドにローソン試薬(lawesson’s reagent)を作用させることで得ることができる。
次いで、一般式(g)で表される安息香酸チオアミド誘導体にフェリシアン化カリウム、水素化ナトリウムを作用させることにより一般式(h)で表される本発明化合物を得ることができる。
その他の上記一般式(I)で表される化合物も同様な方法により得ることができる。
斯くして得られた本発明化合物例を表1〜19に示す。
(1)本発明化合物で、X=NR11の代表化合物例を表1〜7に示す。
【0016】
【化6】

【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
【表4】

【0021】
【表5】

【0022】
【表6】

【0023】
【表7】

【0024】


(2)本発明化合物で、X=Oの代表化合物例を表8〜13に示す。
【0025】
【化7】

【0026】
【表8】

【0027】
【表9】

【0028】
【表10】

【0029】
【表11】

【0030】
【表12】

【0031】
【表13】

【0032】


(3)本発明化合物で、X=Sの代表化合物例を表14〜19に示す。
【0033】
【化8】

【0034】
【表14】

【0035】
【表15】

【0036】
【表16】

【0037】
【表17】

【0038】
【表18】

【0039】
【表19】

【0040】


次に本発明の薬理効果について述べる。
本発明化合物がキサンチンオキシダーゼ阻害作用(in vitro試験)を有することは、実施例13記載のようにキサンチンオキシダーゼがキサンチンを酸化するのを抑制する阻害活性を測定することにより確認した。表20から明らかなように本発明化合物は優れたキサンチンオキシダーゼ阻害作用を示した。
また、in vivoの試験としてマウスを用いた経口投与後の血漿中の尿酸値を求めた実験からも本発明化合物がキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有することが確認されている。(実施例14,表21参照)
従って、本発明の一般式(I)で表される化合物は高尿酸血症、痛風の予防、あるいは治療剤として期待される。
本発明化合物は、ヒトに対して一般的な経口投与又は非経口投与のような適当な投与方法によって投与することができる。
製剤化するためには、製剤の技術分野における通常の方法で錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐薬等の剤型に製造することができる。
これらの調製には、通常の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、色素、希釈剤などが用いられる。ここで、賦形剤としては、乳糖、D−マンニトール、結晶セルロース、ブドウ糖などが、崩壊剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Ca)などが、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどが、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
投与量は通常成人においては、注射剤で有効成分である本発明化合物を1日約0.1mg〜100mg,経口投与で1日1mg〜2000mgであるが、年齢、症状等により増減することができる。
次に、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0041】
8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−6−クロロプリン(A)及び6−アミノ−8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)オキサゾロ[4,5−d]ピリミジン(B)
(1)4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸(10.0g,54.6mmol)をメタノール(60mL)に懸濁し、濃硫酸(0.1mL)を加え、一晩加熱還流した。メタノールを減圧下留去し、残渣を酢酸エチル(40mL)に溶解後、5%重曹水(20mLx2)および飽和食塩水(20mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して6.27g(収率58%)の標題化合物を淡褐色結晶として得た。
Mp:72−73℃.
H NMR(CDCl,400MHz):δ=3.95(3H,s),7.22(1H,d,J=9Hz),8.24(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.83(1H,d,J=2Hz),10.89(1H,s).
(2)4−イソブチルオキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル
4−ヒドロキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル(6.26g,31.8mmol)および炭酸カリウム(13.2g,95.5mmol)の乾燥DMF(40mL)懸濁液に、イソブチルブロミド(10.5mL,95.8mmol)を加え、90℃で44時間撹拌し、室温まで冷却後、氷水(80mL)を加えた。析出した結晶を濾取し、水(50mL)で洗浄後、30分間風乾した。得られた結晶をヘキサン(40mL)で洗浄後、風乾して7.03g(収率87%)の標題化合物を淡橙色結晶として得た。
Mp:77−77℃.
H NMR(CDCl,400MHz):δ=1.07(6H,d,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.93(2H,d,J=7Hz),3.93(3H,s),7.09(1H,d,J=9Hz),8.18(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.50(1H,d,J=2Hz).
(3)4−イソブチルオキシ−3−ニトロ安息香酸
4−イソブチルオキシ−3−ニトロ安息香酸メチルエステル(2.50g,9.87mmol))をメタノール(10mL)とTHF(10mL)の混合溶媒に溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液(7.5mL,15.0mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣に水(20mL)を加え、3M塩酸水溶液をpH1になるまで加えた後、析出した結晶を濾取した。水(20mLx2)で洗浄後、減圧下、50℃で4時間乾燥して2.31g(収率98%)の標題化合物を白色結晶として得た。
Mp:184−186℃.
H NMR(CDCl,400MHz):δ=1.08(6H,d,J=6Hz),2.1−2.3(1H,m),3.95(2H,d,J=6Hz),7.13(1H,d,J=9Hz),8.24(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.56(1H,d,J=2Hz).
(4)4−アミノ−6−ヒドロキシ−5−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイル)アミノピリミジン
炭酸水素ナトリウム(3.15g,41.8mmol)と水(10mL)の懸濁液に氷冷下4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン(527mg,4.18mmol)を加え、次いで4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルクロリド(1.08g,4.18mmol)の酢酸エチル(10mL)溶液を加えた。氷冷下3時間撹拌後、6M塩酸で酸性とし減圧下室温で酢酸エチルを留去し、室温で30分撹拌した。析出した固形物を濾取し、水及びジエチルエーテルにて洗浄、風乾後減圧乾燥して963mg(収率69%)の標題化合物を白色粉末として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.00(6H,d,J=6Hz),2.0−2.1(1H,m),4.03(2H,d,J=6Hz),6.37(2H,broad s),7.45(1H,d,J=9Hz),7.78(1H,s),8.22(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.44(1H,d,J=2Hz),9.18(1H,s),11.70(1H,s)
(5)8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−6−クロロプリン(A)及び6−アミノ−8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)オキサゾロ[4,5−d]ピリミジン(B)
4−アミノ−6−ヒドロキシ−5−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイル)アミノピリミジン(354mg,1.07mmol)とオキシ塩化リン(6mL)の混合物を120℃で4.5時間加熱撹拌した。過剰のオキシ塩化リンを減圧下留去し得られる残渣に氷水を加え30分間撹拌後、不溶物(1)を濾別し0.5M水酸化ナトリウム水溶液(24mL)を加え更に30分間撹拌した。不溶物(2)を濾別後、水層を酢酸酸性とし析出した固形物を濾取した。この固形物と不溶物(2)を合わせシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1の溶出部より45mg(収率13%)の標題化合物(A)および60mg(収率17%)の標題化合物(B)をそれぞれ淡黄色粉末として得た。
(A)
H NMR(CDCl−CDOD,400MHz):δ=1.10(6H,d,J=7Hz),2.2−2.3(1H,m),3.98(2H,d,J=7Hz),7.23(1H,d,J=9Hz),8.48(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.64(1H,d,J=2Hz),8.74(1H,s).
(B)
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.01(6H,d,J=7Hz),2.1−2.2(1H,m),4.07(2H,d,J=7Hz),7.60(1H,d,J=9Hz),7.77(2H,broad s),8.25(1H,s),8.32(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.55(1H,d,J=2Hz).
FAB−MS(m/e):330(M+1).
【実施例2】
【0042】
8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシプリン
8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−6−クロロプリン(30mg,0.086mmol)と2M塩酸水溶液(4.5mL)の懸濁液を120℃で3時間加熱撹拌した。室温まで冷却後析出した固形物を濾取、水にて洗浄し風乾して得られる固形物に2M塩酸水溶液(27mL)を加え100に加熱した。熱時不溶物を濾別し、室温にて一夜撹拌した。析出した固形物を濾取し水洗後、風乾して12mg(収率43%)の標題化合物を黄色粉末として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.00(6H,d,J=7Hz),2.0−2.2(1H,m),4.03(2H,d,J=6Hz),7.55(1H,d,J=9Hz),8.02(1H,s),8.39(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.65(1H,d,J=2Hz),12.28(1H,s).
FAB−MS(m/e):330(M+1).
【実施例3】
【0043】
2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−1H−ベンズイミダゾール
1,2−フェニレンジアミン1.09g(10.1mmol)をTHF(20ml)に溶解後、氷冷下、4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルクロリド(1.00mmol)のTHF(3ml)溶液を30分以上かけて滴下し、氷冷下、3時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、得られた残渣を水(20ml)に懸濁させ、室温で30分間攪拌した。結晶を濾過後、水(5mlx3)で洗浄し、減圧下、室温で乾燥することにより、アミド体291mg(収率88%)を淡黄色結晶として得た。
次に、上述で得たアミド体165mg(0.50mmol)及び塩化ホスホリル(3.0ml)を3時間加熱還流後、室温まで放冷した。反応溶液を氷水(50ml)に注ぎ込み30分間攪拌した。得られた結晶を濾過後、水(5mlx5)で洗浄し、減圧下、室温で乾燥することにより、142mg(収率91%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
Mp 235−240℃(分解).
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.02(6H,d,J=6Hz),2.0−2.2(1H,m),4.07(2H,d,J=6Hz),7.3−7.4(2H,m),7.63(1H,d,J=9Hz),7.7−7.8(2H,m),8.50(1H,dd,J=2,9Hz),8.75(1H,d,J=2Hz).
【実施例4】
【0044】
2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)イミダゾロ[4,5−b]ピリジン
(1)2−アミノ−3−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイル)アミノピリジン
2,3−ジアミノピリジン(228mg,2.09mmol)と水(2mL)の溶液に、氷冷下炭酸水素ナトリウム(350mg,4.17mmol)を加えた。次いで4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルクロリド(108mg,2.09mmol)の酢酸エチル(2mL)溶液を加え氷冷下2時間撹拌した。減圧下酢酸エチルを留去し残渣に水を加え得られた固形物を濾取、風乾後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム/メタノール=30/1の溶出部より54mg(収率41%)の標題化合物を黄色粉末として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.00(6H,d,J=7Hz),2.0−2.1(1H,m),4.04(2H,d,J=6Hz),5.83(2H,s),6.60(1H,dd,J=5 and 7Hz),7.48(1H,J=9Hz),7.50(1H,d,J=5Hz),7.81(1H,broad d,J=5Hz),8.25(1H,broad d,J=9Hz),8.52(1H,broad s),9.72(1H,s).
(2)2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)イミダゾロ[4,5−b]ピリジン
2−アミノ−3−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイル)アミノピリジン(40mg)とオキシ塩化リン(2mL)の混合物を120℃で8時間加熱撹拌した。過剰のオキシ塩化リンを減圧下留去し残渣に氷水を加え析出した固形物を濾取、水洗後風乾し更に減圧下60℃で乾燥し標題化合物42mg(収率100%)を白色粉末として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.01(6H,d,J=7Hz),2.1−2.2(1H,m),4.06(2H,d,J=6Hz),7.3−7.35(1H,m),7.60(1H,d,J=9Hz),8.10(1H,broad s),8.40(1H,broad s),8.48(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.73(1H,d,J=2Hz).
【実施例5】
【0045】
4−ヒドロキシ−2−(4−イソブチルオキシ−3−ニトロフェニル)−1,3−ベンゾキサゾール
(1)2−アミノレゾルシノール
2−ニトロレゾルシノール(1.00g,6.45mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、10%Pd/C(340mg,0.32mmol)を加え、水素ガス雰囲気下、室温で6時間撹拌した。不溶物を濾過により除去し、減圧下溶媒を留去して779mg(収率97%)の標題化合物を褐色結晶として得た。
Mp:153−155℃(分解).
H NMR(CDOD/CDCl=1/20,400MHz):δ=6.37(2H,d,J=8Hz),6.54(1H,t,J=8Hz).
(2)4−ヒドロキシ−2−(4−イソブチルオキシ−3−ニトロフェニル)−1,3−ベンゾキサゾール
4−イソブチルオキシ−3−ニトロ安息香酸(480mg,2.01mmol)と2−アミノレゾルシノール(250mg,2.00mmol)を乾燥ジクロロメタン(12mL)に懸濁し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)(420mg,2.19mmol)、乾燥THF(6mL)および乾燥DMF(6mL)を加え、室温で19時間撹拌した。水(40mL)およびクロロホルム(20mL)を加え、有機層を分液し、水(20mLx2)および飽和食塩水(20mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/100)で精製後、クロロホルム/ヘキサン=1/3(1.6mL)から結晶化させ、97mg(収率14%)のN−(2,6−ジヒドロキシフェニル)−4−イソブチルオキシ−3−ニトロベンズアミドを褐色結晶として得た。
このうち、40mg(0.12mmol)を225−227℃で1時間加熱し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製して13.6mg(収率36%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.05(6H,d,J=6Hz),2.0−2.2(1H,m),4.07(2H,d,J=7Hz),6.79(1H,dd,J=1Hz,7Hz),7.1−7.3(2H,m),7.59(1H,d,J=9Hz),8.37(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.58(1H,d,J=2Hz).
IR(KBr)cm−1:2962,2933,1624,1527,1506,1489,1470,1350,1273,1244,1169,1007
FAB−MS(m/e):329(M+1).
【実施例6】
【0046】
6−アミノ−8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)プリン
(1)4,6−ジアミノ−5−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイル)アミノピリミジン
4,5,6−トリアミノピリミジン硫酸塩(466mg,2.09mmol)と1M水酸化ナトリウム水溶液(4.18mL)の懸濁液に、氷冷下4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルクロリド(538mg,2.09mmol)の1,4−ジオキサン(2mL)溶液を滴下し、同温にて4時間撹拌した。反応液に水(12mL)を加え析出した固形物を濾取、風乾後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム/メタノール=10/1の溶出部より144mg(収率20%)の標題化合物を黄色粉末として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.00(6H,d,J=7Hz),2.0−2.1(1H,m),4.03(2H,d,J=7Hz),5.99(4H,s),7.45(1H,d,J=9Hz),7.76(1H,s),8.23(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.49(1H,d,J=2Hz),9.26(1H,s).
(2)6−アミノ−8−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)プリン
4,6−ジアミノ−5−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイル)アミノピリミジン(40mg,0.115mmol)とオキシ塩化リン(2mL)の混合物を120℃で8時間加熱撹拌した。過剰のオキシ塩化リンを減圧下留去し、残渣に氷水を加え析出した固形物を濾取、水洗後、風乾して得られた固形物にメタノール(1.5mL)を加え室温で2時間撹拌した。沈殿した固形物を濾取、風乾して20mg(収率74%)の標題化合物を黄色粉末として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.00(6H,d,J=6Hz),2.0−2.1(1H,m),4.08(2H,d,J=6Hz),7.63(1H,d,J=9Hz),8.38(1H,dd,J=2 and 9Hz),8.58(1H,s),8.64(1H,d,J=2Hz).
【実施例7】
【0047】
4−ヒドロキシ−2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−1H−ベンズイミダゾール
2,3−ジアミノフェノール1.86g(15.0mmol)を乾燥THF(150ml)に懸濁後、氷令下、4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルクロリド(2.50mmol)のTHF(10ml)溶液を30分以上かけて滴下し、氷冷下、3.5時間攪拌した。溶媒を減圧留去後、得られた残渣を水(150ml)に懸濁させ、室温で1時間攪拌した。結晶を濾過後、水(20mlx5)で洗浄し、減圧下、室温で乾燥した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/25)で精製することにより、アミド体250mg(収率29%)を褐色結晶として得た。
次に、上述の方法で得られたアミド体225mgを185℃で15分間加熱した。室温まで放冷後、得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製することにより、83mg(収率39%)の標題化合物を褐色結晶として得た。
Mp:244−249℃(分解).
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.01(6H,d,J=6Hz),2.0−2.2(1H,m),4.03(2H,d,J=6Hz),6.58(1H,bs),6.9−7.1(2H,m),7.54(1H,d,J=9Hz),8.42(1H,bs),8.69(1H,bs),9.76(1H,bs),12.86(1H,bs).
【実施例8】
【0048】
2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)ベンゾキサゾール−7−カルボン酸
(1)3−アミノサリチル酸メチルエステル
3−アミノサリチル酸(690mg,4.51mmol)、メタノール(45mL)、及び濃硫酸(0.9mL)を混合し、55時間加熱還流した。メタノールを減圧下留去し、残渣に冷水を加え、氷冷攪拌下、飽和重曹水を加えてアルカリ性とした。析出結晶を濾取し、水で2回洗い、40℃で40分間真空乾燥して淡紅色結晶710mgを得た。これをクロロホルム(35mL)に懸濁し、不溶物を濾別した。濾液を硫酸ナトリウム上乾燥し、減圧下濃縮して181mg(収率25.9%)の標題化合物を褐色結晶として得た。
H−NMR(CDCl):δ=3.88(2H,broad s),3.94(3H,s),6.71(1H,dd,J=8Hz,8Hz),6.87(1H,d,J=8Hz),7.24(1H,m),10.88(1H,s).
(2)3−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルアミノ)サリチル酸メチルエステル
4−イソブトキシ−3−ニトロ安息香酸(259mg,1.08mmol)、及び3−アミノサリチル酸メチルエステル(181mg,1.08mmol)を乾燥ジクロロメタン(25mL)に溶解し、WSC・HCl(207mg,1.08mmol)を加え、室温で14時間攪拌した。減圧下室温で溶媒を留去し、残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を2M塩酸、水、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して褐色油状物320mgを得、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに処した。酢酸エチル/ヘキサン=1/4の混合溶媒で洗い流し、酢酸エチル/ヘキサン=1/2の混合溶媒で溶出して115mg(収率27.4%)の標題化合物を白色結晶として得た。
Mp:142−144℃
H−NMR(CDCl):δ=1.08(6H,d,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.95(2H,d,J=6Hz),3.99(3H,s),6.96(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.16(1H,d,J=9Hz),7.61(1H,dd,J=2Hz,8Hz),8.09(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.40(1H,d,J=2Hz),8.51(1H,broad s),8.67(1H,dd,J=2Hz,8Hz),11.40(1H,s).
IR(KBr,cm−1);3320,1700,1645,1620,1545,1530,1435,1340,1270.
(3)2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)ベンゾキサゾール−7−カルボン酸メチルエステル
3−(4−イソブトキシ−3−ニトロベンゾイルアミノ)サリチル酸メチルエステル(115mg,0.3mmol)、及びオキシ塩化リン(1.1mL)を混合し、110℃で4時間攪拌した。室温まで冷却後、氷片に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、飽和重曹水、次いで飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウム上乾燥した。溶媒を減圧下留去して淡黄色結晶97mgを得、酢酸エチル(2mL)より再結晶し、40mgの標題化合物を白色結晶として得た。母液を濃縮し、残渣を酢酸エチル−ヘキサンより再結晶して42mgの標題化合物を白色結晶として得た。合計82mg(収率73%)
Mp:128−129℃
H−NMR(CDCl):δ=1.09(6H,d,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.98(2H,d,J=6Hz),4.07(3H,s),7.22(1H,d,J=9Hz),7.44(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.95(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.01(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.45(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.75(1H,d,J=2Hz).
IR(KBr,cm−1);1720,1625,1520,1345,1315,1300,1285.
(4)2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)ベンゾキサゾール−7−カルボン酸
2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)ベンゾキサゾール−7−カルボン酸メチルエステル(22mg,0.06mmol)をメタノール(1.8mL)に懸濁し、テトラヒドロフラン(2.4mL)、次いで1MNaOH(0.6mL)を加え、50℃で2時間攪拌した。微量の不溶物を濾別し、濾液を減圧下濃縮した。残渣を水に懸濁し、2M塩酸(0.6mL)で酸性とし、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水、次いで飽和食塩水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して淡黄色結晶21mgを得、酢酸エチル(4mL)−ヘキサン(8mL)より再結晶し、15mg(収率70%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
Mp:258−260℃
H−NMR(CDCl):δ=1.10(6H,d,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.99(2H,d,J=6Hz),7.25(1H,d,J=9Hz),7.48(1H,dd,J=8Hz,8Hz),8.01(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.07(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.47(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.78(1H,d,J=2Hz).
【実施例9】
【0049】
2−(4−イソブトキシ−3−ニトロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン
4−イソブトキシ−3−ニトロ安息香酸240mg(1.00mmol)及び3,4−ジアミノピリジン153mg(1.40mmol)を乾燥DMF(10ml)に溶解後、氷冷下、DCC227mg(1.10mmol)を添加し、室温で3日間攪拌した。氷水(30ml)を加え、析出した結晶を濾過後、水(3mlx3)で洗浄した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/15)で精製することにより、アミド体13mg(収率4%)を淡褐色結晶として得た。
次に、上述で得たアミド体8mg(0.024mmol)を190℃で15分間加熱した。室温まで放冷後、得られた粗体を薄層クロマトグラフィー(メタノール/クロロホルム=1/10)により分離し、5mg(収率66%)の標題化合物を黄色結晶として得た。
H NMR(CDCl/CDOD=20/1,400MHz):δ=1.09(6H,d,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.97(2H,d,J=7Hz),7.25(1H,d,J=9Hz),7.64(1H,d,J=6Hz),8.30(1H,d,J=6Hz),8.44(1H,dd,J=2,9Hz),8.66(1H,d,J=2Hz),8.93(1H,s).
【実施例10】
【0050】
2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸
(1)3−シアノ−4−イソブチルオキシ安息香酸エチルエステル
4−ニトロ安息香酸エチルエステル(50.0g,256mmol)およびシアン化カリウム(51.2g,786mmol)をDMSO(380mL)に加え、100℃で4時間撹拌後、室温まで冷却した。DMSOを蒸留により除去し、残渣に氷水(200mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で洗浄した。濃塩酸をpH1になるまで加え、酢酸エチル(200mL)で抽出し、飽和食塩水(50mL)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して51.4gの3−シアノ−4−ヒドロキシ安息香酸エチルエステルの粗体を得た。3−シアノ−4−ヒドロキシ安息香酸エチルエステルの粗体(51.4g)および炭酸カリウム(70.8g,512mmol)の乾燥DMF(200)懸濁液に、イソブチルブロミド(56.1mL,512mmol)を加え、100℃で10時間撹拌し、室温まで冷却後、氷水(500mL)を加えた。酢酸エチル(200mLx2)で抽出し、水(500mLx2)および飽和食塩水(200mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/4)で精製後、得られた結晶を酢酸エチル(50mL)に加熱しながら溶解した。熱いうちにヘキサン(100mL)を加え、撹拌しながら室温まで放冷し、氷冷下10分撹拌した後、析出した結晶を濾取した。酢酸エチル/ヘキサン=1/5混合溶媒(60mL)およびヘキサン(50mL)で洗浄後、風乾して20.8g(収率33%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
Mp:105.6−106.4℃.
H NMR(CDCl,400MHz):=1.09(6H,d,J=7Hz),1.39(3H,t,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.90(2H,d,J=7Hz),4.37(2H,q,J=7Hz),6.98(1H,d,J=9Hz),8.19(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.25(1H,d,J=2Hz).
(2)3−シアノ−4−イソブチルオキシ安息香酸
3−シアノ−4−イソブチルオキシ安息香酸エチルエステル(20.0g,80.9mmol))をエタノール(100mL)とTHF(100mL)の混合溶媒に溶解し、2M水酸化ナトリウム水溶液(45mL,90.0mmol)を加え、30で4時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣に水(100mL)を加え、2M塩酸水溶液をpH1になるまで加えた後、析出した結晶を濾取した。水(200mLx2)で洗浄後、風燥して17.5g(収率99%)の標題化合物を白色結晶として得た。
Mp:220.4−221.6℃.
H NMR(CDCl,400MHz):δ=1.09(6H,d,J=6Hz),2.1−2.3(1H,m),3.91(2H,d,J=6Hz),7.00(1H,d,J=9Hz),8.21(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.27(1H,d,J=2Hz).
(3)3−アミノ−2−クロロ安息香酸メチルエステル
3−アミノ−2−クロロ安息香酸(500mg,2.91mmol)および濃硫酸(6mL)をメタノール(150mL)中で24時間加熱還流し、減圧下溶媒を留去後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。トルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去して、497mg(収率92%)の標題化合物を淡褐色油状物として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=3.91(3H,s),4.23(2H,broad s),6.89(1H,dd,J=1Hz,8Hz),7.10(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.16(1H,dd,J=1Hz,8Hz).
(4)2−クロロ−3−(3−シアノ−4−イソブチルオキシベンゾイルアミノ)安息香酸メチルエステル
3−シアノ−4−イソブチルオキシ安息香酸(767mg,3.5mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、氷冷下、塩化オキサリル(889mg,7.0mmol)を滴下し、触媒量のDMFを加えて室温で1時間撹拌後、3時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し、残渣にトルエンを加え、再び減圧下溶媒を留去した。残渣にTHF(10mL)を加え、3−アミノ−2−クロロ安息香酸メチルエステル(497mg,2.68mmol)およびトリエチルアミン(1.39mL,10mmol)のTHF(10mL)溶液を加えて、室温で14時間撹拌した。トルエンおよび1M塩酸水溶液を加え、有機層を分液し、1M塩酸水溶液、および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/トルエン=1/20)で精製して900mg(純度82%,収率71%)の標題化合物を油状物として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=1.06(6H,d,J=6Hz),2.1−2.4(1H,m),3.87(2H,d,J=6Hz),3.95(3H,s),6.93(1H,d,J=9Hz),7.1−7.3(2H,m),7.83(1H,dd,J=2Hz,8Hz),7.89(1H,dd,J=2Hz,9Hz),7.98(1H,d,J=2Hz).
(5)2−クロロ−3−(3−シアノ−4−イソブチルオキシチオベンゾイルアミノ)安息香酸メチルエステル
2−クロロ−3−(3−シアノ−4−イソブチルオキシベンゾイルアミノ)安息香酸メチルエステル(1.07g,純度82%,2.27mmol)およびローソン試薬(1.23g,2.77mmol)のトルエン(20mL)溶液を5時間加熱還流し、減圧下溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/トルエン=1/40)で精製して670mg(収率73%)の標題化合物を油状物として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=1.09(6H,d,J=7Hz),2.2−2.3(1H,m),3.92(2H,d,J=7Hz),3.96(3H,s),7.01(1H,d,J=9Hz),7.1−7.3(1H,m),7.43(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.78(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.10(1H,d,J=9Hz),8.15(1H,d,J=1Hz).
(6)2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸メチルエステル
氷冷下、水素化ナトリウム(200mg,4.98mmol)のTHF(5mL)懸濁液に2−クロロ−3−(3−シアノ−4−イソブチルオキシチオベンゾイルアミノ)安息香酸メチルエステル(670mg,1.66mmol)のTHF(5mL)溶液を滴下し、室温で2時間撹拌後、反応溶液を氷水に注ぎトルエンで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去後、得られた結晶をヘキサンから再結晶して288mg(収率47%)の標題化合物を結晶として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=1.11(6H,d,J=6Hz),2.1−2.3(1H,m),3.93(2H,d,J=6Hz),4.05(3H,s),7.08(1H,d,J=9Hz),7.59(1H,dd,J=8Hz,8Hz),8.13(1H,dd,J=2Hz,8Hz),8.24(1H,dd,J=2Hz,8Hz),8.27(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.39(1H,d,J=2Hz).
(7)2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−1,3−ベンゾチアゾール−7−カルボン酸
2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−1,3−ベンゾチアゾールカルボン酸メチルエステル(288mg,0.786mmol)をメタノール/エタノール/THF=2/1/2混合溶媒(50mL)に溶解し、水酸化カリウム(281mg,5mmol)の水(10mL)溶液を加え、室温で1時間撹拌した。1M塩酸水溶液で酸性とし、減圧下溶媒を留去し、残渣をクロロホルムで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた結晶をトルエンから再結晶して230mg(収率83%)の標題化合物を白色結晶として得た。
Mp:268−270℃.
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.04(6H,d,J=7Hz),2.0−2.2(1H,m),4.05(2H,d,J=7Hz),7.44(1H,d,J=9Hz),7.69(1H,dd,J=8Hz,8Hz),8.10(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.30(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.41(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.47(1H,d,J=2Hz).
IR(KBr,cm−1):2966,2875,1608,1518,1477,1471,1396,1306,1282,1240,1238,1211,1155,1009.
【実施例11】
【0051】
2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)ベンズイミダゾール−7−カルボン酸
(1)3−ニトロフタラミン酸
氷冷下、3−ニトロ無水フタル酸(9.65g,50mmol)をアンモニア水(28%)の中に3回にわけて加え、60℃で12時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣に12M塩酸水溶液を加えて酸性とし、析出した結晶を濾取後、水で洗浄、風乾して9.86g(収率94%)の標題化合物を白色結晶として得た。
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=7.65(1H,broad s),7.78(1H,dd,J=8Hz,8Hz),8.06(1H,broad s),8.18(1H,dd,J=1Hz,8Hz),8.24(1H,dd,J=1Hz,8Hz).
(2)3−ニトロアントラニル酸
氷冷下、臭素(2.56mL,48mmol)を水酸化カリウム(24.1g,430mmol)の水(110mL)溶液に滴下し、この溶液を3−ニトロフタラミン酸(9.86g,47mmol)に加え、60℃で3時間、次いで室温で12時間撹拌した。オレンジ色の結晶を濾取し、水(50mL)に溶解後、6M塩酸水溶液で酸性とした。析出した結晶を濾取し、水で数回洗浄後、風乾して6.0g(収率70%)の標題化合物を黄色結晶として得た。
(3)3−ニトロアントラニル酸メチルエステル
氷冷下、メタノール(150mL)に塩化チオニル(14.6mL,200mmol)を滴下し、個の溶液を3−ニトロアントラニル酸(3.65g,20mmol)に加え、23時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し、残渣にトルエンおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分液した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去して2.68g(収率68%)の標題化合物を黄色結晶として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=3.92(3H,s),6.66(1H,dd,J=8Hz,8Hz),8.24(1H,dd,J=2Hz,8Hz),8.38(1H,dd,J=2Hz,8Hz).
(4)3−アミノアントラニル酸メチルエステル
3−ニトロアントラニル酸メチルエステル(1.44g,7.34mmol)のメタノール(50mL)溶液に10%Pd/C(300mg)を加え、水素雰囲気下、室温で12時間撹拌した。10%Pd/Cを除去し、減圧下溶媒を留去して1.22g(定量的収率)の標題化合物を褐色結晶として得た。
(5)3−(3−シアノ−4−イソブチルオキシベンゾイルアミノ)アントラニル酸メチルエステル
3−シアノ−4−イソブチルオキシ安息香酸(1.53g,7.0mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に塩化チオニル(3.06mL,42mmol)を加え、さらに触媒量のDMFを加えて4時間加熱還流し、減圧下溶媒を留去した。氷冷下、残渣にTHF(20mL)を加え、3−アミノアントラニル酸メチルエステル(1.22g,7.34mmol)およびトリエチルアミン(2mL)のTHF(20mL)溶液に滴下し、45℃で5時間半撹拌した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで数回洗浄して2.11g(収率82%)の標題化合物を淡緑色結晶として得た。
H NMR(DMSO−d,500MHz):δ=1.03(6H,d,J=7Hz),2.0−2.2(1H,m),3.82(3H,s),4.02(2H,d,J=7Hz),6.5−6.7(3H,m),7.35(1H,dd,J=2Hz,8Hz),7.39(1H,d,J=9Hz),7.72(1H,dd,J=2Hz,8Hz),8.25(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.41(1H,d,J=2Hz),9.74(1H,s).
(6)2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)ベンズイミダゾール−7−カルボン酸
3−(3−シアノ−4−イソブチルオキシベンゾイルアミノ)アントラニル酸メチルエステル(341mg,0.93mmol)の氷酢酸(10mL)溶液を2時間加熱還流し、冷却後、減圧下溶媒を留去した。残渣に水酸化ナトリウム(240mg,10mmol)のメタノール(20mL)溶液を加え、室温で5時間撹拌した。1M塩酸水溶液を加えて酸性とし、減圧下溶媒を留去し、残渣に酢酸エチルおよび水を加え、有機層を分液後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣を熱いトルエンで洗浄して300mg(収率96%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
Mp:299−302℃.
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.04(6H,d,J=7Hz),2.0−2.2(1H,m),4.03(2H,d,J=7Hz),7.32(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.42(1H,d,J=9Hz),7.82(1H,d,J=8Hz),7.91(1H,d,J=8Hz),8.58(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.79(1H,broad s),12.46(1H,broad s),13.48(1H,broad s)
IR(KBr,cm−1):3319,1500,1498,1433,1302,1281,1238,1209,1147,762.
【実施例12】
【0052】
2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1,3−ベンゾチアゾール
(1)3−シアノ−4−イソブチルオキシ−N−(3−メトキシフェニル)ベンズアミド
3−シアノ−4−イソブチルオキシ安息香酸(2.19g,10mmol)、m−アニシジン(1.85g,15mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)(3.83g,20mmol)、および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(244mg,2.0mmol)の混合物にジクロロメタン(20mL)を加え、室温で21時間撹拌した。1M塩酸水溶液(30mL)を加え、酢酸エチル(40mL)で抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をトルエンから再結晶して2.87g(収率89%)の標題化合物を結晶として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=1.09(6H,d,J=6Hz),2.1−2.3(1H,m),3.83(3H,s),3.90(2H,d,J=6Hz),6.72(1H,dd,J=1Hz,8Hz),7.03(1H,d,J=8Hz),7.12(1H,dd,J=1Hz,8Hz),7.2−7.3(1H,m),7.40(1H,dd,J=2Hz,2Hz),7.92(1H,broad s),8.0−8.2(1H,m).
(2)3−シアノ−4−イソブチルオキシ−N−(3−メトキシフェニル)チオベンズアミド
3−シアノ−4−イソブチルオキシ−N−(3−メトキシフェニル)ベンズアミド(972mg,3.0mmol)およびローソン試薬(808mg,2.0mmol)のトルエン(5mL)溶液を3時間半加熱還流し、トルエン(約20mL)を加え、室温で一晩放置した後、析出した結晶を濾取して900mg(収率88%)の標題化合物を黄色結晶として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=1.08(6H,d,J=7Hz),2.1−2.3(1H,m),3.83(3H,s),3.89(2H,d,J=7Hz),6.8−7.0(2H,m),7.0−7.8(2H,m),7.8−8.2(2H,m),8.8−8.6(1H,m).
(3)2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾチアゾール
3−シアノ−4−イソブチルオキシ−N−(3−メトキシフェニル)チオベンズアミド(900mg,2.64mmol)、フェリシアン化カリウム(2.61g,7.93mmol)および水酸化カリウム(892mg,15.9mmol)の混合物にジオキサン(70mL)および水(70mL)を加え、室温で20時間撹拌した。減圧下溶媒を留去し、酢酸エチル(50mL)抽出後、水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/トルエン=1/20−1/10)で精製して322mg(収率36%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
H NMR(CDCl,500MHz):δ=1.10(6H,d,J=6Hz),2.1−2.3(1H,m),3.92(2H,d,J=6Hz),4.02(3H,s),6.85(1H,d,J=8Hz),7.06(1H,d,J=9Hz),7.45(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.68(1H,d,J=8Hz),8.23(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.30(1H,d,J=2Hz).
(4)2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1,3−ベンゾチアゾール
金属リチウム(14mg,2.02mmol)にエタンチオール(0.45mL,6.08mmol)を加え、室温で1時間撹拌した後、乾燥DMF(5mL)および2−(3−シアノ−4−イソブチルオキシフェニル)−7−メトキシ−1,3−ベンゾチアゾール(150mg,0.44mmol)を加えて、80℃で8時間半撹拌した。室温まで冷却し、氷水(10mL)を加え、1M塩酸水溶液をpH7になるまで加えた。酢酸エチル(20mL)で抽出し、水(10mL)および飽和食塩水(10mL)で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製後、ヘキサンに懸濁した。結晶を濾取し、ヘキサンで洗浄後、風乾して17mg(収率12%)の標題化合物を淡黄色結晶として得た。
Mp:200−202℃.
H NMR(DMSO−d,400MHz):δ=1.04(6H,d,J=6Hz),2.0−2.2(1H,m),4.03(2H,d,J=6Hz),6.87(1H,d,J=8Hz),7.36(1H,dd,J=8Hz,8Hz),7.42(1H,d,J=9Hz),7.51(1H,d,J=8Hz),8.33(1H,dd,J=2Hz,9Hz),8.38(1H,d,J=2Hz).
IR(KBr,cm−1):3319,2960,2873,2231,1579,1470,1392,1281,1022,787.
【実施例13】
【0053】
薬理実験1(in vitro試験)
1.試験化合物の調製
試験化合物をジメチルスルホキサイドに溶解後、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)で希釈し、所定濃度の溶液を調製した。
2.測定方法
50mMリン酸緩衝液(p.H.7.5)で調製した300μM Xanthine(SIGMA)溶液1mLに種々の濃度に調製した試験化合物250μLを添加し、37℃で10分間プレインキュベート(Pre incubate)した。その後50mMリン酸緩衝液(pH7.5)で30mUに希釈した牛乳キサンチンオキシダーゼ(Cow milk Xanthine Oxidase)(Roche)250mLを加え、37℃で15分間反応させた後、1N塩酸を加えて反応を停止させた。その後、分光光度計(HITACHI U−2000)を用いOD290nmにおける吸光度を測定し、阻害率を算出した。
なお、阻害率は下記の式より算出した。
阻害率(%)=[1−(B−C)/(A−C)]x100
A:対照の吸光度
B:試験物質を加えた場合の吸光度
C:Blankの吸光度
3.試験結果
試験結果を表20に示す。
【0054】
【表20】

【0055】

表20から明らかな様に本発明化合物はアロプリノールに比べ、すぐれたキサンチンオキシダーゼ阻害作用を示した。
【実施例14】
【0056】
薬理実験2(in vivo試験)
1.使用動物・群構成
動物は、ICR雄性マウス(日本チャールスリバー(株)),6Wを用いた。
群構成は1群5匹とし、各試験ごとにVehicle Control群を設けた。
2.試験化合物の調製・投与
試験化合物を0.5%メチルセルロース水溶液に懸濁したものを投与液とした。
投与量は対照薬、試験化合物全群3mg/10mL/kgとし、投与は単回経口投与で実施した。
3.試験方法
試験物質を単回経口投与し、1時間後にヘパリン存在下で後大静脈より全採血を行った。その後常法により血漿を分離し、自動分析装置(HITACHI 7060E)にて酵素法により血漿中尿酸値を測定した。
なお、阻害率は下記の式より算出した。
阻害率(%)=(100−A/B)x100
A:試験物質投与群の平均尿酸中血漿値
B:Vehicle Control群の平均血漿中尿酸値
4.試験結果
試験結果を表21に示す。
【0057】
【表21】

【0058】

表21から明らかな様に本発明化合物はin vivoにおいても有意にキサンチンオキシダーゼ阻害作用を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される化合物又はその塩。
【化1】



(式中、RはORを表し、ここで、Rは置換基としてハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、若しくはシアノ基から選ばれる基若しくは原子を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基を表し、
はニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又はカルボキシル基を表し、
は水素原子、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、又はカルボキシル基を表し、
XはNR11、酸素原子、又は硫黄原子を表し、ここで、R11は水素原子又は置換基としてハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、若しくはアミノ基から選ばれる基若しくは原子を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基を表し、そして、Y及びZはCR12又は窒素原子を表し、ここで、R12は上記のRと同じものを表す。)
【請求項2】
がフェニル基又はナフチル基である請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
がフェニル基である請求項1記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
がニトロ基又はシアノ基である請求項1〜3の何れかの項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
XがNH又は酸素原子で、Y及びZが共に窒素原子である請求項1〜4の何れかの項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
Xが硫黄原子、酸素原子又はNHで、YがCH、C−OH又はC−COHで、ZがCHである請求項1〜4の何れかの項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
XがNHで、Y及びZの何れか1つが窒素原子で、残りがCHである請求項1〜4の何れかの項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかの項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有するキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
【請求項9】
請求項1〜7の何れかの項に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する高尿酸血症治療剤。

【公開番号】特開2010−180232(P2010−180232A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88128(P2010−88128)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【分割の表示】特願2003−544021(P2003−544021)の分割
【原出願日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(000228590)日本ケミファ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】