クランプ装置
【課題】油圧の流量を容易且つ確実に調整可能で且つ流量調整の為の構成を簡単化したクランプ装置を提供する。
【解決手段】クランプ装置1のクランプ本体2に、油圧シリンダ5の油室に供給する油圧の流量を調節可能な流量調整弁42が設けられ、この流量調整弁42は、油路40の途中部に形成された弁孔46と、この弁孔46に少なくとも部分的に挿入される弁体部47aを有し、この弁体部47aが弁孔46に接近/離隔する方向にクランプ本体2に相対移動可能に設けられ弁体部47aと弁孔46との間の隙間を調節可能な弁部材47とを備えている。流量調整弁42は、油圧シリンダ5から排出される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有する。
【解決手段】クランプ装置1のクランプ本体2に、油圧シリンダ5の油室に供給する油圧の流量を調節可能な流量調整弁42が設けられ、この流量調整弁42は、油路40の途中部に形成された弁孔46と、この弁孔46に少なくとも部分的に挿入される弁体部47aを有し、この弁体部47aが弁孔46に接近/離隔する方向にクランプ本体2に相対移動可能に設けられ弁体部47aと弁孔46との間の隙間を調節可能な弁部材47とを備えている。流量調整弁42は、油圧シリンダ5から排出される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ装置に関し、特に、出力ロッドを進退駆動する油圧シリンダに給排する油圧の流量を調節可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機械加工に供するワーク等のクランプ対象物を固定するクランプ装置としては、種々の型式のものが提案され、あるいは実用化されている。その中でも、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドを有し、クランプ本体内に配設された油圧シリンダにより出力ロッドを進退駆動することにより、ワーク等のクランプ対象物をクランプし、また、そのクランプ状態を解除するように構成されたものがある。
【0003】
ところで、サイズの大きなワーク等のクランプ対象物を固定する場合には、前述のクランプ装置が複数個同時に使用されて、複数箇所でクランプ対象物を固定するのが一般的である。しかし、このような場合に、例えば、複数のクランプ装置間で油圧シリンダへの油圧の供給速度(供給流量)が異なっていると、夫々のクランプ装置によりクランプ対象物をクランプするタイミングにばらつきが生じ、その間にクランプ対象物が外部からの衝撃等により所定の位置からずれたりして、サイズの大きなクランプ対象物を確実にその所定の位置に固定できなくなる虞がある。
【0004】
そこで、油圧の供給流量あるいは排出流量を調整可能なクランプ装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載のクランプ装置は、出力ロッドを所定角度回転させてこの出力ロッドの先端部に固定されたクランプアームを旋回させてから、クランプアームでクランプ対象物をクランプする、いわゆる、スイング式のクランプ装置であるが、クランプ本体にニードルバルブが上下方向に移動可能に装着されており、このニードルバルブの先端部をクランプ本体内で水平に延びる油路内に突入させることにより、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【0005】
特許文献2に記載のクランプ装置においては、油圧供給用の油路及び油圧排出用の油路に夫々流量調整弁が設けられており、各流量調整弁は、クランプ本体内の油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に水平方向に対向して設けられ弁座と協働して油路を開閉する弁体としての鋼球と、クランプ本体に螺着され鋼球を下方へ押圧可能な調整スロットルとを備えている。前記調整スロットルを操作して鋼球を所定量下方へ押し下げることにより、鋼球と弁座との間の隙間を調整して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5695177号公報(第4−5頁、図3)
【特許文献2】特開2000−145724号公報(第5−6頁、図6−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載のクランプ装置においては、水平に延びる油路に対して垂直方向にニードルバルブを突入させるために、出力ロッドの近傍部にニードルバルブが上方から装着されている関係上、油圧の流量を調整する際にニードルバルブを操作しにくいという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載のクランプ装置においては、弁体としての鋼球を別部材の調整スロットルで下方へ押圧して、鋼球を弁座から水平方向に離隔させて流量を調整するため、必然的に部品数が多くなって油圧の流量調整の為の構成が複雑になるし、このような構成を含むクランプ本体のサイズをコンパクトにすることが困難な場合もある。また、鋼球を、弁座に接近/離隔する方向と交差する方向へ押圧して、鋼球と弁座との間の隙間を調整するように構成されているが、このような構成では、鋼球を弁座側へ直接移動させる場合に比べて油圧の流量の微調整が困難である。さらに、この調整スロットルは出力ロッドの近傍部に上方から装着されるため、特許文献1のクランプ装置と同様に操作性の面で不利な場合がある。
【0009】
本発明の目的は、油圧の流量を容易且つ確実に微調整可能に構成すること、流量調整の為の構成を簡単化してその構成を含むクランプ本体をコンパクトにすること、油圧の流量を調整するために操作される部材の操作性を向上させること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のクランプ装置は、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、この出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、前記油圧シリンダに供給又は油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節可能な流量調整弁を有し、前記流量調整弁は、クランプ本体の上部の側壁部に横向きに形成されたネジ孔に挿入螺合された弁ケースと、この弁ケースに進退可能に装着され且つ外部から操作可能な操作部を有する弁部材とを備え、前記弁ケースに対して弁部材を進退位置調節することで、前記流量を調節可能に構成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項2のクランプ装置は、請求項1において、前記クランプ本体は、その上部に据付け用フランジ部を有し、この据付け用フランジ部の外周部の下端の水平な据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、前記ネジ孔は前記据付け用フランジ部に形成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項3のクランプ装置は、請求項2において、前記油圧シリンダに油圧を給排するポートは前記据付け面に形成されたことを特徴としている。
【0013】
請求項4のクランプ装置は、請求項1〜3の何れか1項において、前記流量調整弁は、前記油圧シリンダに供給される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダから排出される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴としている。
【0014】
請求項5のクランプ装置は、請求項1〜3の何れか1項において、前記流量調整弁は、前記油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダに供給される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、横向きのネジ孔に挿入螺合された弁ケースと、この弁ケースに進退可能に装着され且つ外部から操作可能な操作部を有する弁部材とを備え、前記弁ケースに対して弁部材を進退位置調節することで、前記流量を調節可能に構成されたため、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、クランプ本体をその据付け用フランジ部を介してベース部材に固定することができ、ネジ孔は据付け用フランジ部の操作し易い部位に形成することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、油圧シリンダに油圧を給排するポートを据付け面に形成するため、1次ポートへの油路を簡単な構造にすることができる。
請求項4の発明によれば、油圧シリンダへ供給される油圧の流量を流量調整弁で調整しつつも、バイパス通路及び逆止弁を介して油圧シリンダから油圧を円滑に排出することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、油圧シリンダから排出される油圧の流量を流量調整弁で調整しつつも、バイパス通路及び逆止弁を介して油圧シリンダへを円滑に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るクランプ装置(クランプ解除状態)の縦断面図である。
【図2】クランプ装置(クランプ状態)の縦断面図である。
【図3】図2のIII-III 線断面図である。
【図4】出力ロッドの斜視図である。
【図5】図2のV-V 線断面図である。
【図6】流量調整弁(全開状態)の断面図である。
【図7】流量調整弁(全閉状態)の断面図である。
【図8】図7のXIII-XIII 線断面図である。
【図9】弁部材の正面図である。
【図10】変更形態の図7相当図である。
【図11】別の変更形態の図7相当図である。
【図12】さらに別の変更形態の図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、機械加工に供するワークをクランプする複数のクランプ装置のうちの1つに本発明を適用した一例である。
図1、図2に示すように、クランプ装置1は、クランプ本体2と、このクランプ本体2に進退可能に装着された出力ロッド3と、この出力ロッド3の先端部に連結されワークWにクランプ力を出力するクランプアーム4と、出力ロッド3を退入側へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5と、出力ロッド3を進出側へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6と、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換する変換機構7とを備えている。そして、複数のクランプ装置1によりワークWを固定するように構成されている。
【0022】
まず、クランプ本体2について説明する。
クランプ本体2は、その上部に据付け用フランジ部2fを有し、この据付け用フランジ部2fの外周部の下面には水平な据付け面2bが形成されている。クランプ本体2は、据付け用フランジ部2fから下方へ延びる下半部がベース10の収容穴に収容され、据付け面2bをベース10を上面に当接させた状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。
【0023】
クランプ本体2の内部には、出力ロッド3のロッド部3aが挿通されるロッド挿通孔11と、2つのシリンダ穴12,13とが上から順に直列的に形成されている。ロッド挿通孔11の上端付近部には、切削屑等の異物がクランプ本体2内に侵入するのを防ぐダストシール14が装着されている。クランプ本体2の下端部には、シリンダ穴13を下方から塞ぐキャップ部材15が装着されている。
【0024】
図1〜図3に示すように、クランプ本体2の内部には、油圧シリンダ5,6の油室20,22に接続された油路40,41が設けられ、クランプ本体2の後端部には、図示外の油圧供給源から油路40,41に油圧を供給する油圧ポート21,23が設けられている。さらに、クランプ本体2には、これら油路40,41を流れる油圧の流量を夫々調節可能な後述の流量調整弁42,43が左右に並べて設けられている。
【0025】
次に、出力ロッド3について説明する。
図1〜図5に示すように、出力ロッド3は、上側2/3部分のロッド部3aと、このロッド部3aの下端に連なりロッド部3aよりもやや大径の筒部3bと、筒部3bの下端に連なる環状のピストン部3cとを一体形成したものである。ロッド部3aはロッド挿通孔11に摺動自在に挿通されており、ロッド部3aとロッド挿通孔11との間にはシール部材16が装着されている。ロッド部3aの上端部にはクランプアーム4が装着されナット17で固定されている。筒部3bは、シリンダ穴12に摺動自在に内嵌され、一方、ピストン部3cは、シリンダ穴13に摺動自在に内嵌されている。
【0026】
クランプアーム4は、出力ロッド3の回転動作に連動して旋回し、出力ロッド3の退入動作の際にワークWに当接してワークWをクランプする。図2に示すように、クランプアーム4の先端部の下面部には、クランプ状態でワークWに当接してワークWにクランプ力を出力する出力部4aが設けられている。
【0027】
次に、油圧シリンダ5,6について説明する。
出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5は、シリンダ穴12,13と、出力ロッド3のピストン部3cと、ピストン部3cの上側に形成された油室20とを備えている。前記油室20は、クランプ本体2に形成された油路40及び油圧ポート21に接続されており、図示外の油圧供給源から、据付け面2bに形成された油圧ポート21、油路40を介して油室20に油圧が供給されると、油室20に出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ力が発生する。
【0028】
一方、出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6は、シリンダ穴13と、出力ロッド3のピストン部3cと、筒部3bの内側及びピストン部3cの下側に形成された油室22とを備えている。油室22は、クランプ本体2に形成された油路41及び据付け面2bに形成された油圧ポート23に接続されており、図示外の油圧供給源から油圧ポート23、油路41を介して油室22に油圧が供給されると、油室22に出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除力が発生する。
【0029】
ところで、図1〜図3に示すように、クランプ本体2内に設けられた油路40,41には、夫々油路40,41を流れる油圧の流量を調整可能な流量調整弁42,43が設けられている。複数のクランプ装置1でワークWを固定する場合に、複数のクランプ装置1の出力ロッド3の退入速度をほぼ等しくして、複数のクランプ装置1によりほぼ同時にワークWをクランプすることができるように、流量調整弁42,43により油圧シリンダ5,6に供給される油圧の流量を調整するようになっている。
【0030】
2つの流量調整弁42,43は夫々同じ構成を有するため、クランプ用の油圧シリンダ5の油圧系に設けられた流量調整弁42について以下説明する。
図6〜図9に示すように、流量調整弁42は、クランプ本体2の据付け用フランジ部2fの側壁部に横向き水平に形成された装着穴48(ネジ孔に相当する)に螺着された筒状の弁ケース45と、油路40の途中部に形成され装着穴48の前端に連なる弁孔46と、弁ケース45に前後方向(出力ロッド3の長手方向と交差する方向)に移動可能に螺着された弁部材47とを備えている。
【0031】
弁ケース45は、前側の小径部45aと後側の断面六角形状の基部45bとを有し、小径部45aが装着穴48に内嵌状に螺合されるとともに、小径部45aと基部45bとの間の段部がクランプ本体2の後面部に当接している。装着穴48は油圧ポート21と第1油路40aにより接続され、一方、弁孔46は、その穴径が装着穴48よりも小さく形成され、この弁孔46に油圧シリンダ5の油室20に連なる第2油路40bが接続されている。
【0032】
弁部材47は、先端部に形成された筒状の弁体部47aと、この弁体部47aの基端に連なり弁体部47aよりもやや大径の軸部47bとを有する。軸部47bの基端側部分の外周部にはネジ部が形成されており、軸部47bが弁ケース45に内嵌状に螺合されて、弁部材47は、クランプ本体2に固定された弁ケース45に対して前後に相対移動可能に装着されている。図6〜図8に示すように、軸部47bの基端側部分には、前方へ延びる六角穴47c(操作部に相当する)が形成されており、この六角穴47cに六角レンチ等の工具を係合させて軸部47bを回転させて、弁部材47を前後に移動させることができる。尚、基部45bの基端には抜け止め用のロックナット49も装着されている。
【0033】
弁体部47aは、弁孔46に前後摺動自在に挿入可能であり、弁体部47aには、装着穴48と弁孔46との間の段部に係合してそれ以上の弁体部47aの前方への移動を係止する係止部50が形成されている。
【0034】
図6、図7、図9に示すように、弁体部47aの外周部の上端部には、先端側ほど溝の深さが深い切欠状(正面視V字状)の溝部47dが形成されている。弁体部47aが最も後側の位置にある全開状態(図6参照)と、弁体部47aが最も前側の位置にある全閉状態(図7参照)の間で、弁体部47aを前後に移動させると、弁体部47aと弁孔46との間の隙間が変化してその間を流れる油圧の流量が調整される。さらに、弁体部47aの溝部47dにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間、つまり、油圧の流路面積を細かく調節することができるため、その隙間を流れる油圧の流量の微調整を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、弁部材47には、前記の弁体部47aと弁孔46との隙間をバイパスするバイパス流路51,52と、バイパス流路51を油室20に油圧を供給する方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられている。バイパス流路51は、弁体部47aの内側に前後に延びるように形成され、バイパス通路52は、バイパス通路51の基端から放射状に径方向外側へ延びるように形成されている。
【0036】
逆止弁53は、バイパス流路51の基端部に形成された弁座55と、この弁座55と協働してバイパス流路51を閉止する鋼球56と、この鋼球56を前方へ付勢するコイルバネ57とを有する。軸部47bには、バイパス流路51,52に連通して後方へ延びる鋼球収容孔58が形成されており、鋼球56は鋼球収容孔58と弁座55とに亙って前後方向へ移動可能に構成されている。鋼球収容孔58にはコイルバネ57も配設されており、鋼球56はコイルバネ57により弁座55側へ付勢されている。
【0037】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、鋼球56が弁座55に密着してバイパス流路51が閉止されているため、油圧は弁体部47aと弁孔46との隙間のみを流れることになる。一方、油室20から油圧を排出する場合には、図7の鎖線で示すように、油圧により鋼球56が後方へ押圧されてバイパス流路51が開放されるため、前記隙間に加えてバイパス流路51,52からも油圧が油圧ポート21へ流れることになる。
【0038】
尚、弁ケース45及び弁部材47の基端側部分はクランプ本体2から外側へ露出しているが、外部から切削切粉等の異物が流量調整弁42の内部に侵入するのを防止するために、クランプ装置1には、これらの露出した部分を覆う半球状の防塵カバー60が着脱可能に設けられている。
【0039】
次に、変換機構7について説明する。
変換機構7は、クランプアーム4を水平面内で旋回させるために、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換するものであり、この変換機構7は、クランプ本体2の保持溝2aに保持された3つのボール30と、出力ロッド3の外周部に形成され前記3つのボール30が夫々部分的に係合する3本のカム溝31とを有する。
【0040】
図1、図2に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の、シリンダ穴13との境界の段部よりもやや上の位置に形成された保持溝2aにおいて、その位置が変わらないように保持されている。さらに、図5に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の周方向3等分位置に夫々配設されている。
【0041】
図1、図2、図4、図5に示すように、3本のカム溝31は、出力ロッド3の筒部3bの外周部において、周方向3等分位置に夫々形成されている。図4に示すように、各カム溝31は、筒部3bの上端の外周部から上下に延びる縦溝31aと、この縦溝31aの下端から図4における右下の方向へ90度の螺旋状に筒部3bの下端まで延びる螺旋溝31bとを有する。
【0042】
図1のクランプ解除状態においては、クランプ本体2側に保持された3つのボール30が、夫々対応する3本のカム溝31の螺旋溝31bの下端部に部分的に係合した状態である。この状態から、油圧シリンダ5により出力ロッド3が下方へ駆動されると、ボール30が出力ロッド3に対してその周りを螺旋溝31bに沿って転動することになる。その際、ボール30はクランプ本体2の保持溝2aに保持されていることから、出力ロッド3の退入動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で時計回りの方向に回転しつつ退入する。
【0043】
出力ロッド3が90度回転してボール30が螺旋溝31bの上端の位置に到達すると、出力ロッド3の回転動作が完了してボール30は縦溝31aに続いて係合し、出力ロッド3は、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接するまで直線的に下方へ退入する。
【0044】
一方、図2のクランプ状態から、逆に油圧シリンダ6により出力ロッド3が上方へ駆動されると、まず、出力ロッド3が、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて直線的に進出する。そして、ボール30が縦溝31aの下端の位置に到達すると、ボール30が続いて螺旋溝31bに係合して螺旋溝31bに沿って転動するため、出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、図1に示すように、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で反時計回りの方向に90度回転しつつ上方へ進出する。
【0045】
次に、クランプ装置1の作用について説明する。
ワークWをクランプする場合には、図1のクランプ解除状態から、図示外の油圧供給源から油圧ポート21を介して油圧を供給する。その際、油圧は流量調整弁42を通って油路40を流れ油室20へ供給されることになる。このとき、流量調整弁42において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになる。ここで、弁部材47を前後方向に移動させて前記隙間を適切に調整しておくことで、油路40を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0046】
油路40を介してクランプ用の油圧シリンダ5の油室20に油圧が供給されると、油室20に発生したクランプ力により出力ロッド3のピストン部3cが下方へ駆動される。このとき、変換機構7により出力ロッド3の進退動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ下方へ退入する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で時計回りの方向に90度旋回して、クランプアーム4の出力部4aがワークWの上側に位置する。
【0047】
クランプアーム4が所定位置まで旋回した後は、出力ロッド3が直線的に退入し、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接して、出力部4aからクランプ力がワークWに出力されてワークWがクランプされる。
ここで、複数のクランプ装置1によりワークWが固定されるが、各々の油圧シリンダ5の油室20に供給される油圧を流量調整弁42により適切な流量に調整することができるため、ワークWをクランプする際に、複数のクランプ装置1において、ほぼ同時にクランプアーム4を旋回させ、続けて、同時に出力部4aをワークWに当接させることができ、ワークWを所定の位置に確実にクランプできるようになる。
【0048】
一方、図2のクランプ状態を解除する場合には、クランプ用の油圧シリンダ5の油室20から油圧を排出するとともに、クランプ解除用の油圧シリンダ6の油室22に油圧を供給する。まず、クランプ用の油室20から排出される油圧は、油路40及び流量調整弁42を介して油圧ポート21へ流れるが、流量調整弁42において、第1油路40aの油圧により鋼球56が後方へ移動して逆止弁53がバイパス流路51を開放するため、油圧がバイパス流路51,52を通って迅速に油圧ポート21へ排出される。
【0049】
一方、クランプ解除用の油圧ポート23からは、油路41及び流量調整弁43を介してクランプ解除用の油室22へ油圧が供給される。この場合は、前述のクランプ時と同様に、流量調整弁43において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになり、油路41を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0050】
そして、油室22に発生したクランプ解除力によりピストン部3cが上方へ駆動される。このとき、出力ロッド3が直線的に所定量進出した後、変換機構7により出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ上方へ進出する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で反時計回りの方向に90度旋回して、図1に示すクランプ解除状態となる。
【0051】
以上説明したクランプ装置1によれば、次のような効果が得られる。
1)流量調整弁42,43において、弁部材47を弁孔46に対して接近/離隔する方向に移動させて、弁体部47aを弁孔46内に突入させることにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間を調節して、油路40を流れる油圧の流量を調整することができる。つまり、弁体部47aを有する弁部材47を直接弁孔46に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易に且つ確実に調整できるし、流量調整弁42,43の部品数を少なくしてその構成を簡単化することも可能である。
【0052】
2)弁体部47aには、油圧を微調整するための切欠状の溝部47dが設けられ、この溝部47dは先端側ほど溝の深さが深く形成されているため、弁体部47aを弁孔46に挿入したときの弁体部47aの突入量を調整することで、油路40を流れる油圧の流量を微調整することができる。
【0053】
3)弁部材47の内部に、隙間をバイパスするバイパス流路51を一方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられているため、油圧シリンダ5,6に油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に油室20,22から排出するように構成できる。さらに、逆止弁53を流量調整弁42,43とは別に設ける場合に比べてクランプ装置1をコンパクトにすることができる。
【0054】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。 1]弁孔46の形状としては、前記実施形態のような、穴径の変化しない弁孔46の他、例えば、前端側ほど穴径が小さいテーパー穴形状などの、種々の形状を採用できる。
【0055】
2]図10に示すように、油路40の途中部に形成された弁座70に対して、弁部材71を接近/離隔する方向に移動させて、弁体部71aと弁座70との間の隙間を調節することにより、油圧の流量を調整するように構成された流量調整弁42Aに本発明を適用することもできる。
【0056】
3]図11に示すように、油圧を排出する場合の流量のみを調整する流量調整弁42Bに本発明を適用することもできる。この流量調整弁42Bにおいては、弁部材81の内部に、油室20から油圧ポート21へ油圧を排出する方向にのみバイパス流路51を閉止する逆止弁82が設けられている。
【0057】
逆止弁82は、バイパス流路83のうちの放射状に延びるバイパス流路84との接続部よりもやや前側の部分に形成された弁座85と、この弁座85と協働してバイパス流路83を閉止する鋼球86と、この鋼球86を後方へ付勢するコイルバネ87とを有する。
【0058】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、油圧により鋼球86が後方へ押圧されてバイパス流路83が開放されるため、油圧は、弁体部81aと弁孔46との隙間に加えてバイパス流路83,84からも油室20へ流れ、流量が調整されることなく迅速に油室20に流れ込む。一方、油室20から油圧を排出する場合には、鋼球86が弁座85に密着してバイパス流路83が閉止されているため、油圧は弁体部81aと弁孔46との隙間のみを流れることになり、油圧が所定の流量に調整される。
【0059】
4]図12に示すように、流量調整弁42Cに、油圧を油室20や油路40に充填した後に、油圧中に混入したエアを排出するためのエア抜き弁90を設けてもよい。エア抜き弁90は、弁部材91の軸部91b内に形成され油路40に連通するエア抜き孔92を閉止可能な鋼球93(エア抜き用弁体)と、弁部材91の基端側部分に螺着され鋼球93を前方(エア抜き孔92を閉止する方向)に押圧可能なネジ部材94とを備えている。
【0060】
弁部材91の後半部は、弁ケース45から後方へ突出しており、後端部には断面六角形の操作部91cが形成され、この操作部91cをボックスレンチ等の工具により操作して弁部材91を弁ケース45に対して前後に移動させることができるように構成されている。弁部材91の後半部の内部には、エア抜き孔92に連通する鋼球収容孔95が形成されており、鋼球収容孔95には、鋼球93がコイルバネ96により後方に付勢された状態で前後に移動可能に収容されている。また、エア抜き孔92と鋼球収容孔95との間には弁座97が形成され、鋼球93がこの弁座97に当接することで、エア抜き孔92が閉止される。
【0061】
鋼球収容孔95には、左方からネジ部材94が螺着されており、ネジ部材94の先端は鋼球93に当接している。そして、ネジ部材94の内部には、エア抜き孔92から排出されたエアを外部へ放出する為のエア通路94aが形成されている。また、このネジ部材94の抜け止め用のロックナット98も装着されている。
【0062】
この流量調整弁42Cにおいて、弁体部91aと弁孔46の間における油圧の流量調整に関しては、前記実施形態と同様の作用を奏するためその説明は省略し、以下、エア抜き弁90の作用について説明する。
【0063】
油圧を油室20や油路40内に充填した後、まず、鋼球93を前方へ押圧しているネジ部材94を緩めて少し後方へ移動させると、コイルバネ96の付勢力により鋼球93が弁座97から離間する。そして、油路40からエア抜き孔92、鋼球収容孔95及びネジ部材94内のエア通路94aを通って、油圧中に混入したエアが外部へ排出されることになる。エアを排出した後には、再びネジ部材94を締めて前方へ移動させ、鋼球93を弁座97に押し付けてエア抜き孔92を閉止する。
【0064】
5]出力ロッド3の進出駆動と退入駆動の何れか一方を、コイルバネや皿バネ等、油圧シリンダ以外の駆動手段で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
W ワーク
1 クランプ装置
2 クランプ本体
2b 据付け面
2f 据付け用フランジ部
3 出力ロッド
5,6 油圧シリンダ
40,41 油路
42,43 流量調整弁
42A,42B,42C 流量調整弁
45 弁ケース
46 弁孔
47 弁部材
47a 弁体部
47c 六角穴
47d 溝部
51,52 バイパス流路
53,82 逆止弁
83,84 バイパス流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ装置に関し、特に、出力ロッドを進退駆動する油圧シリンダに給排する油圧の流量を調節可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機械加工に供するワーク等のクランプ対象物を固定するクランプ装置としては、種々の型式のものが提案され、あるいは実用化されている。その中でも、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドを有し、クランプ本体内に配設された油圧シリンダにより出力ロッドを進退駆動することにより、ワーク等のクランプ対象物をクランプし、また、そのクランプ状態を解除するように構成されたものがある。
【0003】
ところで、サイズの大きなワーク等のクランプ対象物を固定する場合には、前述のクランプ装置が複数個同時に使用されて、複数箇所でクランプ対象物を固定するのが一般的である。しかし、このような場合に、例えば、複数のクランプ装置間で油圧シリンダへの油圧の供給速度(供給流量)が異なっていると、夫々のクランプ装置によりクランプ対象物をクランプするタイミングにばらつきが生じ、その間にクランプ対象物が外部からの衝撃等により所定の位置からずれたりして、サイズの大きなクランプ対象物を確実にその所定の位置に固定できなくなる虞がある。
【0004】
そこで、油圧の供給流量あるいは排出流量を調整可能なクランプ装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載のクランプ装置は、出力ロッドを所定角度回転させてこの出力ロッドの先端部に固定されたクランプアームを旋回させてから、クランプアームでクランプ対象物をクランプする、いわゆる、スイング式のクランプ装置であるが、クランプ本体にニードルバルブが上下方向に移動可能に装着されており、このニードルバルブの先端部をクランプ本体内で水平に延びる油路内に突入させることにより、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【0005】
特許文献2に記載のクランプ装置においては、油圧供給用の油路及び油圧排出用の油路に夫々流量調整弁が設けられており、各流量調整弁は、クランプ本体内の油路の途中部に形成された弁座と、この弁座に水平方向に対向して設けられ弁座と協働して油路を開閉する弁体としての鋼球と、クランプ本体に螺着され鋼球を下方へ押圧可能な調整スロットルとを備えている。前記調整スロットルを操作して鋼球を所定量下方へ押し下げることにより、鋼球と弁座との間の隙間を調整して、油路を流れる油圧の流量を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5695177号公報(第4−5頁、図3)
【特許文献2】特開2000−145724号公報(第5−6頁、図6−7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載のクランプ装置においては、水平に延びる油路に対して垂直方向にニードルバルブを突入させるために、出力ロッドの近傍部にニードルバルブが上方から装着されている関係上、油圧の流量を調整する際にニードルバルブを操作しにくいという欠点がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載のクランプ装置においては、弁体としての鋼球を別部材の調整スロットルで下方へ押圧して、鋼球を弁座から水平方向に離隔させて流量を調整するため、必然的に部品数が多くなって油圧の流量調整の為の構成が複雑になるし、このような構成を含むクランプ本体のサイズをコンパクトにすることが困難な場合もある。また、鋼球を、弁座に接近/離隔する方向と交差する方向へ押圧して、鋼球と弁座との間の隙間を調整するように構成されているが、このような構成では、鋼球を弁座側へ直接移動させる場合に比べて油圧の流量の微調整が困難である。さらに、この調整スロットルは出力ロッドの近傍部に上方から装着されるため、特許文献1のクランプ装置と同様に操作性の面で不利な場合がある。
【0009】
本発明の目的は、油圧の流量を容易且つ確実に微調整可能に構成すること、流量調整の為の構成を簡単化してその構成を含むクランプ本体をコンパクトにすること、油圧の流量を調整するために操作される部材の操作性を向上させること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のクランプ装置は、クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、この出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、前記クランプ本体は、前記油圧シリンダに供給又は油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節可能な流量調整弁を有し、前記流量調整弁は、クランプ本体の上部の側壁部に横向きに形成されたネジ孔に挿入螺合された弁ケースと、この弁ケースに進退可能に装着され且つ外部から操作可能な操作部を有する弁部材とを備え、前記弁ケースに対して弁部材を進退位置調節することで、前記流量を調節可能に構成されたことを特徴としている。
【0011】
請求項2のクランプ装置は、請求項1において、前記クランプ本体は、その上部に据付け用フランジ部を有し、この据付け用フランジ部の外周部の下端の水平な据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、前記ネジ孔は前記据付け用フランジ部に形成されたことを特徴としている。
【0012】
請求項3のクランプ装置は、請求項2において、前記油圧シリンダに油圧を給排するポートは前記据付け面に形成されたことを特徴としている。
【0013】
請求項4のクランプ装置は、請求項1〜3の何れか1項において、前記流量調整弁は、前記油圧シリンダに供給される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダから排出される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴としている。
【0014】
請求項5のクランプ装置は、請求項1〜3の何れか1項において、前記流量調整弁は、前記油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダに供給される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、横向きのネジ孔に挿入螺合された弁ケースと、この弁ケースに進退可能に装着され且つ外部から操作可能な操作部を有する弁部材とを備え、前記弁ケースに対して弁部材を進退位置調節することで、前記流量を調節可能に構成されたため、油圧の流量を容易且つ確実に調整できるし、流量調整弁の部品数を少なくしてその構成を簡単化することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、クランプ本体をその据付け用フランジ部を介してベース部材に固定することができ、ネジ孔は据付け用フランジ部の操作し易い部位に形成することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、油圧シリンダに油圧を給排するポートを据付け面に形成するため、1次ポートへの油路を簡単な構造にすることができる。
請求項4の発明によれば、油圧シリンダへ供給される油圧の流量を流量調整弁で調整しつつも、バイパス通路及び逆止弁を介して油圧シリンダから油圧を円滑に排出することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、油圧シリンダから排出される油圧の流量を流量調整弁で調整しつつも、バイパス通路及び逆止弁を介して油圧シリンダへを円滑に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係るクランプ装置(クランプ解除状態)の縦断面図である。
【図2】クランプ装置(クランプ状態)の縦断面図である。
【図3】図2のIII-III 線断面図である。
【図4】出力ロッドの斜視図である。
【図5】図2のV-V 線断面図である。
【図6】流量調整弁(全開状態)の断面図である。
【図7】流量調整弁(全閉状態)の断面図である。
【図8】図7のXIII-XIII 線断面図である。
【図9】弁部材の正面図である。
【図10】変更形態の図7相当図である。
【図11】別の変更形態の図7相当図である。
【図12】さらに別の変更形態の図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、機械加工に供するワークをクランプする複数のクランプ装置のうちの1つに本発明を適用した一例である。
図1、図2に示すように、クランプ装置1は、クランプ本体2と、このクランプ本体2に進退可能に装着された出力ロッド3と、この出力ロッド3の先端部に連結されワークWにクランプ力を出力するクランプアーム4と、出力ロッド3を退入側へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5と、出力ロッド3を進出側へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6と、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換する変換機構7とを備えている。そして、複数のクランプ装置1によりワークWを固定するように構成されている。
【0022】
まず、クランプ本体2について説明する。
クランプ本体2は、その上部に据付け用フランジ部2fを有し、この据付け用フランジ部2fの外周部の下面には水平な据付け面2bが形成されている。クランプ本体2は、据付け用フランジ部2fから下方へ延びる下半部がベース10の収容穴に収容され、据付け面2bをベース10を上面に当接させた状態で、図示しない複数のボルトによりベース10に固定されている。
【0023】
クランプ本体2の内部には、出力ロッド3のロッド部3aが挿通されるロッド挿通孔11と、2つのシリンダ穴12,13とが上から順に直列的に形成されている。ロッド挿通孔11の上端付近部には、切削屑等の異物がクランプ本体2内に侵入するのを防ぐダストシール14が装着されている。クランプ本体2の下端部には、シリンダ穴13を下方から塞ぐキャップ部材15が装着されている。
【0024】
図1〜図3に示すように、クランプ本体2の内部には、油圧シリンダ5,6の油室20,22に接続された油路40,41が設けられ、クランプ本体2の後端部には、図示外の油圧供給源から油路40,41に油圧を供給する油圧ポート21,23が設けられている。さらに、クランプ本体2には、これら油路40,41を流れる油圧の流量を夫々調節可能な後述の流量調整弁42,43が左右に並べて設けられている。
【0025】
次に、出力ロッド3について説明する。
図1〜図5に示すように、出力ロッド3は、上側2/3部分のロッド部3aと、このロッド部3aの下端に連なりロッド部3aよりもやや大径の筒部3bと、筒部3bの下端に連なる環状のピストン部3cとを一体形成したものである。ロッド部3aはロッド挿通孔11に摺動自在に挿通されており、ロッド部3aとロッド挿通孔11との間にはシール部材16が装着されている。ロッド部3aの上端部にはクランプアーム4が装着されナット17で固定されている。筒部3bは、シリンダ穴12に摺動自在に内嵌され、一方、ピストン部3cは、シリンダ穴13に摺動自在に内嵌されている。
【0026】
クランプアーム4は、出力ロッド3の回転動作に連動して旋回し、出力ロッド3の退入動作の際にワークWに当接してワークWをクランプする。図2に示すように、クランプアーム4の先端部の下面部には、クランプ状態でワークWに当接してワークWにクランプ力を出力する出力部4aが設けられている。
【0027】
次に、油圧シリンダ5,6について説明する。
出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ用の油圧シリンダ5は、シリンダ穴12,13と、出力ロッド3のピストン部3cと、ピストン部3cの上側に形成された油室20とを備えている。前記油室20は、クランプ本体2に形成された油路40及び油圧ポート21に接続されており、図示外の油圧供給源から、据付け面2bに形成された油圧ポート21、油路40を介して油室20に油圧が供給されると、油室20に出力ロッド3を下方へ駆動するクランプ力が発生する。
【0028】
一方、出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除用の油圧シリンダ6は、シリンダ穴13と、出力ロッド3のピストン部3cと、筒部3bの内側及びピストン部3cの下側に形成された油室22とを備えている。油室22は、クランプ本体2に形成された油路41及び据付け面2bに形成された油圧ポート23に接続されており、図示外の油圧供給源から油圧ポート23、油路41を介して油室22に油圧が供給されると、油室22に出力ロッド3を上方へ駆動するクランプ解除力が発生する。
【0029】
ところで、図1〜図3に示すように、クランプ本体2内に設けられた油路40,41には、夫々油路40,41を流れる油圧の流量を調整可能な流量調整弁42,43が設けられている。複数のクランプ装置1でワークWを固定する場合に、複数のクランプ装置1の出力ロッド3の退入速度をほぼ等しくして、複数のクランプ装置1によりほぼ同時にワークWをクランプすることができるように、流量調整弁42,43により油圧シリンダ5,6に供給される油圧の流量を調整するようになっている。
【0030】
2つの流量調整弁42,43は夫々同じ構成を有するため、クランプ用の油圧シリンダ5の油圧系に設けられた流量調整弁42について以下説明する。
図6〜図9に示すように、流量調整弁42は、クランプ本体2の据付け用フランジ部2fの側壁部に横向き水平に形成された装着穴48(ネジ孔に相当する)に螺着された筒状の弁ケース45と、油路40の途中部に形成され装着穴48の前端に連なる弁孔46と、弁ケース45に前後方向(出力ロッド3の長手方向と交差する方向)に移動可能に螺着された弁部材47とを備えている。
【0031】
弁ケース45は、前側の小径部45aと後側の断面六角形状の基部45bとを有し、小径部45aが装着穴48に内嵌状に螺合されるとともに、小径部45aと基部45bとの間の段部がクランプ本体2の後面部に当接している。装着穴48は油圧ポート21と第1油路40aにより接続され、一方、弁孔46は、その穴径が装着穴48よりも小さく形成され、この弁孔46に油圧シリンダ5の油室20に連なる第2油路40bが接続されている。
【0032】
弁部材47は、先端部に形成された筒状の弁体部47aと、この弁体部47aの基端に連なり弁体部47aよりもやや大径の軸部47bとを有する。軸部47bの基端側部分の外周部にはネジ部が形成されており、軸部47bが弁ケース45に内嵌状に螺合されて、弁部材47は、クランプ本体2に固定された弁ケース45に対して前後に相対移動可能に装着されている。図6〜図8に示すように、軸部47bの基端側部分には、前方へ延びる六角穴47c(操作部に相当する)が形成されており、この六角穴47cに六角レンチ等の工具を係合させて軸部47bを回転させて、弁部材47を前後に移動させることができる。尚、基部45bの基端には抜け止め用のロックナット49も装着されている。
【0033】
弁体部47aは、弁孔46に前後摺動自在に挿入可能であり、弁体部47aには、装着穴48と弁孔46との間の段部に係合してそれ以上の弁体部47aの前方への移動を係止する係止部50が形成されている。
【0034】
図6、図7、図9に示すように、弁体部47aの外周部の上端部には、先端側ほど溝の深さが深い切欠状(正面視V字状)の溝部47dが形成されている。弁体部47aが最も後側の位置にある全開状態(図6参照)と、弁体部47aが最も前側の位置にある全閉状態(図7参照)の間で、弁体部47aを前後に移動させると、弁体部47aと弁孔46との間の隙間が変化してその間を流れる油圧の流量が調整される。さらに、弁体部47aの溝部47dにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間、つまり、油圧の流路面積を細かく調節することができるため、その隙間を流れる油圧の流量の微調整を容易に行うことができる。
【0035】
さらに、弁部材47には、前記の弁体部47aと弁孔46との隙間をバイパスするバイパス流路51,52と、バイパス流路51を油室20に油圧を供給する方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられている。バイパス流路51は、弁体部47aの内側に前後に延びるように形成され、バイパス通路52は、バイパス通路51の基端から放射状に径方向外側へ延びるように形成されている。
【0036】
逆止弁53は、バイパス流路51の基端部に形成された弁座55と、この弁座55と協働してバイパス流路51を閉止する鋼球56と、この鋼球56を前方へ付勢するコイルバネ57とを有する。軸部47bには、バイパス流路51,52に連通して後方へ延びる鋼球収容孔58が形成されており、鋼球56は鋼球収容孔58と弁座55とに亙って前後方向へ移動可能に構成されている。鋼球収容孔58にはコイルバネ57も配設されており、鋼球56はコイルバネ57により弁座55側へ付勢されている。
【0037】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、鋼球56が弁座55に密着してバイパス流路51が閉止されているため、油圧は弁体部47aと弁孔46との隙間のみを流れることになる。一方、油室20から油圧を排出する場合には、図7の鎖線で示すように、油圧により鋼球56が後方へ押圧されてバイパス流路51が開放されるため、前記隙間に加えてバイパス流路51,52からも油圧が油圧ポート21へ流れることになる。
【0038】
尚、弁ケース45及び弁部材47の基端側部分はクランプ本体2から外側へ露出しているが、外部から切削切粉等の異物が流量調整弁42の内部に侵入するのを防止するために、クランプ装置1には、これらの露出した部分を覆う半球状の防塵カバー60が着脱可能に設けられている。
【0039】
次に、変換機構7について説明する。
変換機構7は、クランプアーム4を水平面内で旋回させるために、出力ロッド3の進退動作の一部をクランプ本体2に対する回転動作に変換するものであり、この変換機構7は、クランプ本体2の保持溝2aに保持された3つのボール30と、出力ロッド3の外周部に形成され前記3つのボール30が夫々部分的に係合する3本のカム溝31とを有する。
【0040】
図1、図2に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の、シリンダ穴13との境界の段部よりもやや上の位置に形成された保持溝2aにおいて、その位置が変わらないように保持されている。さらに、図5に示すように、3つのボール30は、シリンダ穴12の周方向3等分位置に夫々配設されている。
【0041】
図1、図2、図4、図5に示すように、3本のカム溝31は、出力ロッド3の筒部3bの外周部において、周方向3等分位置に夫々形成されている。図4に示すように、各カム溝31は、筒部3bの上端の外周部から上下に延びる縦溝31aと、この縦溝31aの下端から図4における右下の方向へ90度の螺旋状に筒部3bの下端まで延びる螺旋溝31bとを有する。
【0042】
図1のクランプ解除状態においては、クランプ本体2側に保持された3つのボール30が、夫々対応する3本のカム溝31の螺旋溝31bの下端部に部分的に係合した状態である。この状態から、油圧シリンダ5により出力ロッド3が下方へ駆動されると、ボール30が出力ロッド3に対してその周りを螺旋溝31bに沿って転動することになる。その際、ボール30はクランプ本体2の保持溝2aに保持されていることから、出力ロッド3の退入動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で時計回りの方向に回転しつつ退入する。
【0043】
出力ロッド3が90度回転してボール30が螺旋溝31bの上端の位置に到達すると、出力ロッド3の回転動作が完了してボール30は縦溝31aに続いて係合し、出力ロッド3は、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接するまで直線的に下方へ退入する。
【0044】
一方、図2のクランプ状態から、逆に油圧シリンダ6により出力ロッド3が上方へ駆動されると、まず、出力ロッド3が、縦溝31aに係合したボール30により上下方向にガイドされて直線的に進出する。そして、ボール30が縦溝31aの下端の位置に到達すると、ボール30が続いて螺旋溝31bに係合して螺旋溝31bに沿って転動するため、出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換されて、図1に示すように、出力ロッド3がクランプ本体2に対して平面視で反時計回りの方向に90度回転しつつ上方へ進出する。
【0045】
次に、クランプ装置1の作用について説明する。
ワークWをクランプする場合には、図1のクランプ解除状態から、図示外の油圧供給源から油圧ポート21を介して油圧を供給する。その際、油圧は流量調整弁42を通って油路40を流れ油室20へ供給されることになる。このとき、流量調整弁42において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになる。ここで、弁部材47を前後方向に移動させて前記隙間を適切に調整しておくことで、油路40を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0046】
油路40を介してクランプ用の油圧シリンダ5の油室20に油圧が供給されると、油室20に発生したクランプ力により出力ロッド3のピストン部3cが下方へ駆動される。このとき、変換機構7により出力ロッド3の進退動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ下方へ退入する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で時計回りの方向に90度旋回して、クランプアーム4の出力部4aがワークWの上側に位置する。
【0047】
クランプアーム4が所定位置まで旋回した後は、出力ロッド3が直線的に退入し、図2に示すように、クランプアーム4の出力部4aがワークWに当接して、出力部4aからクランプ力がワークWに出力されてワークWがクランプされる。
ここで、複数のクランプ装置1によりワークWが固定されるが、各々の油圧シリンダ5の油室20に供給される油圧を流量調整弁42により適切な流量に調整することができるため、ワークWをクランプする際に、複数のクランプ装置1において、ほぼ同時にクランプアーム4を旋回させ、続けて、同時に出力部4aをワークWに当接させることができ、ワークWを所定の位置に確実にクランプできるようになる。
【0048】
一方、図2のクランプ状態を解除する場合には、クランプ用の油圧シリンダ5の油室20から油圧を排出するとともに、クランプ解除用の油圧シリンダ6の油室22に油圧を供給する。まず、クランプ用の油室20から排出される油圧は、油路40及び流量調整弁42を介して油圧ポート21へ流れるが、流量調整弁42において、第1油路40aの油圧により鋼球56が後方へ移動して逆止弁53がバイパス流路51を開放するため、油圧がバイパス流路51,52を通って迅速に油圧ポート21へ排出される。
【0049】
一方、クランプ解除用の油圧ポート23からは、油路41及び流量調整弁43を介してクランプ解除用の油室22へ油圧が供給される。この場合は、前述のクランプ時と同様に、流量調整弁43において、バイパス流路51は逆止弁53により閉止されるため、油圧は弁体部47aと弁孔46の間の隙間を流れることになり、油路41を流れる油圧が所定の流量に調整される。
【0050】
そして、油室22に発生したクランプ解除力によりピストン部3cが上方へ駆動される。このとき、出力ロッド3が直線的に所定量進出した後、変換機構7により出力ロッド3の進出動作の一部がクランプ本体2に対する回転動作に変換され、出力ロッド3がクランプ本体2に対して回転しつつ上方へ進出する。この出力ロッド3の回転動作に連動して、クランプアーム4も平面視で反時計回りの方向に90度旋回して、図1に示すクランプ解除状態となる。
【0051】
以上説明したクランプ装置1によれば、次のような効果が得られる。
1)流量調整弁42,43において、弁部材47を弁孔46に対して接近/離隔する方向に移動させて、弁体部47aを弁孔46内に突入させることにより、弁体部47aと弁孔46との間の隙間を調節して、油路40を流れる油圧の流量を調整することができる。つまり、弁体部47aを有する弁部材47を直接弁孔46に接近/離隔する方向に移動させることができ、油圧の流量を容易に且つ確実に調整できるし、流量調整弁42,43の部品数を少なくしてその構成を簡単化することも可能である。
【0052】
2)弁体部47aには、油圧を微調整するための切欠状の溝部47dが設けられ、この溝部47dは先端側ほど溝の深さが深く形成されているため、弁体部47aを弁孔46に挿入したときの弁体部47aの突入量を調整することで、油路40を流れる油圧の流量を微調整することができる。
【0053】
3)弁部材47の内部に、隙間をバイパスするバイパス流路51を一方向にのみ閉止する逆止弁53が設けられているため、油圧シリンダ5,6に油圧を供給する場合にはその流量を調整し、逆に油圧を排出する場合には、流量を調整することなく迅速に油室20,22から排出するように構成できる。さらに、逆止弁53を流量調整弁42,43とは別に設ける場合に比べてクランプ装置1をコンパクトにすることができる。
【0054】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。 1]弁孔46の形状としては、前記実施形態のような、穴径の変化しない弁孔46の他、例えば、前端側ほど穴径が小さいテーパー穴形状などの、種々の形状を採用できる。
【0055】
2]図10に示すように、油路40の途中部に形成された弁座70に対して、弁部材71を接近/離隔する方向に移動させて、弁体部71aと弁座70との間の隙間を調節することにより、油圧の流量を調整するように構成された流量調整弁42Aに本発明を適用することもできる。
【0056】
3]図11に示すように、油圧を排出する場合の流量のみを調整する流量調整弁42Bに本発明を適用することもできる。この流量調整弁42Bにおいては、弁部材81の内部に、油室20から油圧ポート21へ油圧を排出する方向にのみバイパス流路51を閉止する逆止弁82が設けられている。
【0057】
逆止弁82は、バイパス流路83のうちの放射状に延びるバイパス流路84との接続部よりもやや前側の部分に形成された弁座85と、この弁座85と協働してバイパス流路83を閉止する鋼球86と、この鋼球86を後方へ付勢するコイルバネ87とを有する。
【0058】
従って、油圧ポート21から油室20に油圧を供給する場合には、油圧により鋼球86が後方へ押圧されてバイパス流路83が開放されるため、油圧は、弁体部81aと弁孔46との隙間に加えてバイパス流路83,84からも油室20へ流れ、流量が調整されることなく迅速に油室20に流れ込む。一方、油室20から油圧を排出する場合には、鋼球86が弁座85に密着してバイパス流路83が閉止されているため、油圧は弁体部81aと弁孔46との隙間のみを流れることになり、油圧が所定の流量に調整される。
【0059】
4]図12に示すように、流量調整弁42Cに、油圧を油室20や油路40に充填した後に、油圧中に混入したエアを排出するためのエア抜き弁90を設けてもよい。エア抜き弁90は、弁部材91の軸部91b内に形成され油路40に連通するエア抜き孔92を閉止可能な鋼球93(エア抜き用弁体)と、弁部材91の基端側部分に螺着され鋼球93を前方(エア抜き孔92を閉止する方向)に押圧可能なネジ部材94とを備えている。
【0060】
弁部材91の後半部は、弁ケース45から後方へ突出しており、後端部には断面六角形の操作部91cが形成され、この操作部91cをボックスレンチ等の工具により操作して弁部材91を弁ケース45に対して前後に移動させることができるように構成されている。弁部材91の後半部の内部には、エア抜き孔92に連通する鋼球収容孔95が形成されており、鋼球収容孔95には、鋼球93がコイルバネ96により後方に付勢された状態で前後に移動可能に収容されている。また、エア抜き孔92と鋼球収容孔95との間には弁座97が形成され、鋼球93がこの弁座97に当接することで、エア抜き孔92が閉止される。
【0061】
鋼球収容孔95には、左方からネジ部材94が螺着されており、ネジ部材94の先端は鋼球93に当接している。そして、ネジ部材94の内部には、エア抜き孔92から排出されたエアを外部へ放出する為のエア通路94aが形成されている。また、このネジ部材94の抜け止め用のロックナット98も装着されている。
【0062】
この流量調整弁42Cにおいて、弁体部91aと弁孔46の間における油圧の流量調整に関しては、前記実施形態と同様の作用を奏するためその説明は省略し、以下、エア抜き弁90の作用について説明する。
【0063】
油圧を油室20や油路40内に充填した後、まず、鋼球93を前方へ押圧しているネジ部材94を緩めて少し後方へ移動させると、コイルバネ96の付勢力により鋼球93が弁座97から離間する。そして、油路40からエア抜き孔92、鋼球収容孔95及びネジ部材94内のエア通路94aを通って、油圧中に混入したエアが外部へ排出されることになる。エアを排出した後には、再びネジ部材94を締めて前方へ移動させ、鋼球93を弁座97に押し付けてエア抜き孔92を閉止する。
【0064】
5]出力ロッド3の進出駆動と退入駆動の何れか一方を、コイルバネや皿バネ等、油圧シリンダ以外の駆動手段で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
W ワーク
1 クランプ装置
2 クランプ本体
2b 据付け面
2f 据付け用フランジ部
3 出力ロッド
5,6 油圧シリンダ
40,41 油路
42,43 流量調整弁
42A,42B,42C 流量調整弁
45 弁ケース
46 弁孔
47 弁部材
47a 弁体部
47c 六角穴
47d 溝部
51,52 バイパス流路
53,82 逆止弁
83,84 バイパス流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、この出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、前記油圧シリンダに供給又は油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節可能な流量調整弁を有し、
前記流量調整弁は、クランプ本体の上部の側壁部に横向きに形成されたネジ孔に挿入螺合された弁ケースと、この弁ケースに進退可能に装着され且つ外部から操作可能な操作部を有する弁部材とを備え、
前記弁ケースに対して弁部材を進退位置調節することで、前記流量を調節可能に構成されたことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記クランプ本体は、その上部に据付け用フランジ部を有し、この据付け用フランジ部の外周部の下端の水平な据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、
前記ネジ孔は前記据付け用フランジ部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記油圧シリンダに油圧を給排するポートは前記据付け面に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記流量調整弁は、前記油圧シリンダに供給される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダから排出される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記流量調整弁は、前記油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダに供給される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のクランプ装置。
【請求項1】
クランプ本体と、このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと、この出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において、
前記クランプ本体は、前記油圧シリンダに供給又は油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節可能な流量調整弁を有し、
前記流量調整弁は、クランプ本体の上部の側壁部に横向きに形成されたネジ孔に挿入螺合された弁ケースと、この弁ケースに進退可能に装着され且つ外部から操作可能な操作部を有する弁部材とを備え、
前記弁ケースに対して弁部材を進退位置調節することで、前記流量を調節可能に構成されたことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
前記クランプ本体は、その上部に据付け用フランジ部を有し、この据付け用フランジ部の外周部の下端の水平な据付け面を外部のベース部材に当接させて固定され、
前記ネジ孔は前記据付け用フランジ部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記油圧シリンダに油圧を給排するポートは前記据付け面に形成されたことを特徴とする請求項2に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記流量調整弁は、前記油圧シリンダに供給される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダから排出される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記流量調整弁は、前記油圧シリンダから排出される油圧の流量を調節するように構成される共に、前記油圧シリンダに供給される油圧を通過させるバイパス通路及び逆止弁を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のクランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−51103(P2012−51103A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222200(P2011−222200)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2008−160212(P2008−160212)の分割
【原出願日】平成15年6月2日(2003.6.2)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【分割の表示】特願2008−160212(P2008−160212)の分割
【原出願日】平成15年6月2日(2003.6.2)
【出願人】(596037194)パスカルエンジニアリング株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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