説明

クレードル、ナビゲーション装置及びナビゲーションシステム

【課題】本発明は、クレードルやビーコンスタンドの電源端子が剥き出し状態のままであっても、ショートによる破壊の危険性を予め防止できるようにする。
【解決手段】本発明は、PND2を保持すると共に電気的に接続するクレードル3であって、当該クレードル3と電気的に接続されたビーコンスタンド4に対してVICS用ビーコンユニット5が電気的に接続され、かつPND2がクレードル3に対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電源電圧BEをクレードル3の電源端子VT1へ供給するスイッチング回路10を設けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレードル、ナビゲーション装置及びナビゲーションシステムに関し、例えば持ち運び自在なポータブルナビゲーションデバイスに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーションシステムにおいては、クレードルを介して車両のダッシュボードにポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)を容易に装着し得、かつPNDを容易に取り外しできるようになされており、当該PNDをカーナビゲーションとして用いたり、パーソナルナビゲーションとして用い得るようになされている。
【0003】
またナビゲーションシステムでは、道路上に設置されたVICS(Vehicle Information and Communication System)のビーコン発信機から送信された交通情報を、車両に設置されたVICS用ビーコンユニットにより受信し、その受信した交通情報をPNDへ供給することにより、PNDの液晶ディスプレイ等に交通情報を表示するようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006-3292公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでかかる構成のナビゲーションシステムにおいては、クレードルにビーコンスタンドが装着されていない場合や、ビーコンスタンドにVICS用ビーコンユニットが装着されていない場合、当該ビーコンスタンドと電気的に接続されるクレードルの電源端子や、VICS用ビーコンユニットと電気的に接続されるビーコンスタンドの電源端子が一般的には剥き出し状態にある。
【0005】
このためナビゲーションシステムでは、これらの電源端子に対して何らかの導電体が接触したときにはショートするおそれがあり、その場合クレードル、PND、ビーコンスタンド等が破壊されてしまう危険性があるという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、クレードルやビーコンスタンドの電源端子が剥き出し状態のままであっても、ショートによる破壊の危険性を予め防止し得るクレードル、ナビゲーション装置及びナビゲーションシステムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、ナビゲーションユニットを保持すると共に電気的に接続するクレードルであって、当該クレードルと電気的に接続されたビーコンスタンドに対してビーコンユニットが電気的に接続され、かつナビゲーションユニットがクレードルに対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電力をクレードルの電源端子へ供給する電力供給制御手段を設けるようにする。
【0008】
これによりクレードルは、ナビゲーションユニット及びビーコンユニットの双方が電気的に正常に接続された使用状態ときのみ、車両からの電力をクレードルの電源端子へ供給することになるので、それ以外の使用状態では仮にクレードルの電源端子やビーコンスタンドの電源端子に導電体が接触したときでも電力供給が行われていないためショートすることがなく破壊に至ることを防止することができる。
【0009】
また本発明においては、ナビゲーションユニットと、当該ナビゲーションユニットを保持すると共に電気的に接続するクレードルとからなるナビゲーション装置であって、クレードルは、当該クレードルと電気的に接続されたビーコンスタンドに対してビーコンユニットが電気的に接続され、かつナビゲーションユニットがクレードルに対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電力をクレードルの電源端子へ供給する電力供給制御手段を設けるようにする。
【0010】
これによりナビゲーション装置は、ナビゲーションユニット及びビーコンユニットの双方が電気的に正常に接続された使用状態ときのみ、車両からの電力を当該クレードルの電源端子へ供給することになるので、それ以外の使用状態では仮にクレードルの電源端子やビーコンスタンドの電源端子に導電体が接触したときでも電力供給が行われていないためショートすることがなく破壊に至ることを防止することができる。
【0011】
さらに本発明においては、ナビゲーションユニットと、当該ナビゲーションユニットを保持すると共に電気的に接続するクレードルと、当該クレードルを介して車両からの電力をビーコンユニットへ供給するビーコンスタンドとからなるナビゲーションシステムであって、クレードルは、当該クレードルと電気的に接続されたビーコンスタンドに対してビーコンユニットが電気的に接続され、かつナビゲーションユニットがクレードルに対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電力を上記クレードルの電源端子へ供給する電力供給制御手段を設けるようにする。
【0012】
これによりナビゲーションシステムは、ナビゲーションユニット及びビーコンユニットの双方が電気的に正常に接続された使用状態ときのみ、車両からの電力を当該クレードルの電源端子へ供給することになるので、それ以外の使用状態では仮にクレードルの電源端子やビーコンスタンドの電源端子に導電体が接触したときでも電力供給が行われていないためショートすることがなく破壊に至ることを防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ナビゲーションユニット及びビーコンユニットの双方が電気的に正常に接続された使用状態のときのみ、車両からの電力を当該クレードルの電源端子へ供給することになるので、それ以外の使用状態では仮にクレードルの電源端子やビーコンスタンドの電源端子に導電体が接触したときでも電力供給が行われていないためショートすることがなく破壊に至ることを防止することができ、かくしてクレードルやビーコンスタンドの電源端子が剥き出し状態のままであっても、ショートによる破壊の危険性を予め防止し得るクレードル、ナビゲーション装置及びナビゲーションシステムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0015】
(1)ナビゲーションシステムの全体外観構成
図1において、1は全体として本発明のナビゲーションシステムを示し、ポータブルナビゲーションデバイス(以下、これをPNDと呼ぶ。)2と、当該PND2を保持すると共に電気的に接続するクレードル3と、当該クレードル3に対して電気的に接続されるビーコンスタンド4とによって構成され、当該ビーコンスタンド4にはVICSVICS(Vehicle Information and Communication System)用ビーコンユニット5が機械的に装着され、かつ電気的に接続されるようになされている。
【0016】
PND2は、4.8型の液晶ディスプレイが搭載された表示部2Aを有し、当該表示部2Aに地図、現在位置アイコン及び目的地までの走行経路等を提示するようになされている。また、クレードル3は、吸盤3Aを介して車両のダッシュボードに対して容易に装着し得、かつ容易に取り外しできるようになされている。
【0017】
実際上ナビゲーションシステム1では、通常、クレードル3を車両のダッシュボードに装着したまま、PND2をクレードル3から取り外すことにより、当該PND2を自在に持ち運びながら使用させ得るようになされている。
【0018】
またナビゲーションシステム1では、クレードル3に対してビーコンスタンド4がビーコンスタンドケーブル4Aを介して電気的に接続され、当該ビーコンスタンド4についてもダッシュボード上の任意の位置に取り付けられるようになされている。
【0019】
即ちナビゲーションシステム1では、クレードル3の装着位置に制限されることのない任意の位置にビーコンスタンド4を取り付けることができるため、VICSのビーコン発信機(図示せず)から送信される交通情報を感度良く受信できることを考慮した位置に設置し得るようになされている。
【0020】
なおナビゲーションシステム1は、車両のシガーソケットに装着されたシガーケーブル(図示せず)とクレードル3とを接続し、当該クレードル3に設置されたPND2へシガーケーブル経由で電力を供給し得ると共に、シガーケーブル及びクレードル3経由でビーコンスタンドからVICS用ビーコンユニット5へ電力を供給し得るようになされている。
【0021】
(2)PNDの外観構成
図2に示すようにPND2は、その背面2Bのほぼ中央に、クレードル3に対して機械的に保持されるための当接部2Cが水平に突出しており、その当接部2Cが収納されるべき凹部空間2Dの下方に複数端子の集合でなるメインユニットコネクタ2Eが設けられている。
【0022】
このPND2では、底面のほぼ中央に設けられたオープン/リリースボタン2Fが押下操作されたときに当接部2Cが背面2Bから約90度回転しながら飛び出すことにより水平に突出する一方、その当接部2Cが凹部空間2Dに押し込まれた際には背面2Bと面一体化した状態に収納し得るようになされている。
【0023】
従ってPND2は、クレードル3から取り外されたときには、当接部2Cが凹部空間2Dに押し込まれることにより、当接部2Cが背面2Bから突出することのないスマートな形態のパーソナルナビゲーションとして持ち運び容易な状態で用いられるようになされている。
【0024】
(3)クレードルの外観構成
図3に示すようにクレードル3は、吸盤3A上にユニット装着部3Bが設けられており、そのユニット装着部3Bの平坦な保持部3Cに対して、PND2(図2)の背面2Bから突出する当接部2Cが押し当てられた状態で当該PND2が取り付けられるようになされている。
【0025】
そしてクレードル3は、ユニット装着部3Bの保持部3CにPND2の当接部2Cが押し当てられた状態で取り付けられた後、ユニット装着部3Bの背後に設けられているロックレバー3D(図6)が所定角度まで回転されることにより、PND2をユニット装着部3Bに取り付けた状態のまま強固に保持し得るようになされている。
【0026】
また、ユニット設置部3Bの保持部3Cには、当該ユニット装着部3Bの正面側端面3Eよりも僅かに突出した矩形状の凸部分3CAが形成されており、その凸部分3CAの下方にクレードルコネクタ3Gが設けられている。
【0027】
従ってクレードル3は、ユニット装着部3Bの保持部3CにPND2の当接部2Cが押し当てられた状態で取り付けられたとき、PND2のメインユニットコネクタ2Eと凸部3CAの下方に設けられたクレードルコネクタ3Gとが電気的に接続されるようになされている。
【0028】
またクレードル3は、ユニット装着部3Bを正面とした場合の右側面にビーコンスタンド4のビーコンスタンドケーブル4Aと電気的に接続するためのジャック3Hが形成されていると共に、その左側面には車両のシガーソケットに装着されたシガーケーブルと接続するためのピンジャック3Jが形成されている。
【0029】
(4)ビーコンスタンドの外観構成
図4に示すようにビーコンスタンド4は、ビーコンスタンドケーブル4Aの一方の端部に断面略L字状でなり、VICS用ビーコンユニット5(図1)と同一長さ及び同一幅を有するビーコン取付部4Bが設けられており、そのビーコン取付部4Bの底面ほぼ中央にビーコンスタンド接続コネクタ4Cが設けられている。
【0030】
またビーコンスタンド4は、ビーコンスタンドケーブル4Aの他方の端部にクレードル3(図3)のジャック3Hと電気的に接続するためのプラグ4Dが設けられている。
【0031】
このビーコンスタンド4は、ビーコン取付部4Bの底面裏側にダッシュボード上に取付固定するための接着部(図示せず)が貼り付けられており、その接着部を介してダッシュボード上で受信感度の良いと思われる任意の位置に取り付けられるようになされている。
【0032】
(5)VICS用ビーコンユニットの外観構成
図5に示すようにVICS用ビーコンユニット5は、略直方体形状でなり、その底面5Bのほぼ中央で、ビーコンスタンド4(図4)におけるビーコン取付部4Bのビーコンスタンド接続コネクタ4Cと対抗する位置に、ビーコン接続コネクタ5Cが設けられている。
【0033】
従ってVICS用ビーコンユニット5は、ビーコンスタンド4のビーコン取付部4Bに位置合わせされた状態で装着された際、当該ビーコン接続コネクタ5Cと、ビーコンスタンド4のビーコン取付部4Bに設けられたビーコンスタンド接続コネクタ4Cとが電気的かつ機械的に接続される。
【0034】
これによりVICS用ビーコンユニット5は、ビーコンスタンド4のビーコン取付部4Bに取り付けられたとき、当該VICS用ビーコンユニット5とビーコンスタンド4とが一体化するようになされている。
【0035】
(6)各接続状態における電力供給パターン
このナビゲーションシステム1においては、PND2、クレードル3、ビーコンスタンド4及びVICS用ビーコンユニット5の接続状態に応じて、当該VICS用ビーコンユニット5への電力供給を制御するようになされており、ここでは、接続状態毎の電力供給パターンをそれぞれ説明する。
【0036】
図6に示すように、ナビゲーションシステム1では、車両のシガーソケットSGSに装着されたシガーケーブル7のピン7Aがクレードル3のピンジャック3Jに接続され、車両から12[V]の電源電圧がクレードル3へ供給されるものの、PND2が非装着状態であり、かつビーコンスタンド4が非装着状態の場合(ケース1−1)、クレードル3のジャック3Hへは車両からの電源電圧を供給しないようになされている。
【0037】
また図7に示すように、ナビゲーションシステム1では、図6のケース1−1と同様に、車両から12[V]の電源電圧がクレードル3へ供給されるものの、クレードル3のジャック3H(図示せず)にビーコンスタンドケーブル4Aのプラグ4Dが電気的に接続されたビーコンスタンド4のみ装着状態(PND2が非装着状態)の場合(ケース1−2)についても、クレードル3のジャック3Hへは車両からの電源電圧を供給しないようになされている。
【0038】
さらに図8に示すように、ナビゲーションシステム1では、図6のケース1−1及び図7のケース1−2と同様に、車両から12[V]の電源電圧がクレードル3へ供給されるものの、クレードル3に接続されたビーコンスタンド4にVICS用ビーコンユニット5が装着状態であり、PND2が非装着状態の場合(ケース2)、クレードル3のジャック3Hへは車両からの電源電圧を供給しないようになされている。
【0039】
さらに図9に示すように、ナビゲーションシステム1では、図6のケース1−1、図7のケース1−2及び図8のケース2と同様に、車両から12[V]の電源電圧がクレードル3へ供給されるものの、クレードル3に接続されたビーコンスタンド4にVICS用ビーコンユニット5が非装着状態であるが、PND2が装着状態の場合(ケース3)、クレードル3のジャック3Hへは車両からの電源電圧を供給しないようになされている。
【0040】
因みに、ナビゲーションシステム1では、図9のようなPND2が装着状態ではあるが、ビーコンスタンド4が非装着状態の場合でも、クレードル3のジャック3Hへは車両からの電源電圧を供給しないようになされている。
【0041】
最後に、図10に示すように、ナビゲーションシステム1では、図6のケース1−1、図7のケース1−2、図8のケース2及び図9のケース3と同様に、車両から12[V]の電源電圧がクレードル3へ供給されている状態で、クレードル3に接続されたビーコンスタンド4にVICS用ビーコンユニット5が装着状態であり、かつPND2がクレードル3に装着状態である場合に限って(ケース4)、クレードル3のジャック3Hへ車両からの電源電圧を供給するようになされている。
【0042】
従って、この場合のナビゲーションシステム1は、クレードル3のジャック3Hを介して接続されたビーコンスタンド4におけるビーコン取付部4Bのビーコンスタンド接続コネクタ4C(図示せず)に対しても電源電圧が供給されることになり、当該ビーコンビーコン接続コネクタ4Cを介してVICS用ビーコンユニット5へ車両からの電力を供給し得るようになされている。
【0043】
(7)電力供給パターンを実現するためのハードウェア構成
上述したケース1−1、ケース1−2、ケース2、ケース3及びケース4における電力供給パターンを実現するナビゲーションシステム1のハードウェア構成について、次に説明する。
【0044】
図11に示すようにナビゲーションシステム1では、クレードル3のピンジャック3Jに対してシガーケーブル7のピン7Aが接続されることにより、車両のバッテリーBATTからDC12[V]の電源電圧VVをクレードル3内部のトランジスタ構成でなるスイッチング回路10へ供給するようになされている。
【0045】
クレードル3は、PND2のメインユニットコネクタ2Eが当該クレードル3のクレードルコネクタ3Gに装着されたとき、当該クレードルコネクタ3Gにおける接続端子ST1及びグランド端子GT1と、PND2のメインユニットコネクタにおける接続端子ST2及びグランド端子GT2とがそれぞれ電気的に接続される。
【0046】
このときクレードル3では、PND2の接続前に比べて当該PND2からスイッチング回路10へ与えられる電位TUが変化し、当該スイッチング回路10内部の第1トランジスタ(図示せず)をオンさせるようになされている。
【0047】
またクレードル3は、ビーコンスタンド4のプラグ4Dが当該クレードル3のジャック3Hに装着されたとき、当該ジャック3Hの電源端子VT1、グランド端子GT3及び接続端子ST3と、ビーコンスタンド4のプラグ4Dにおける電源端子VT2、グランド端子GT4及び接続端子ST4とがそれぞれ電気的に接続される。
【0048】
しかしながら、このときビーコンスタンド4では、その内部でグランド線GNDのグランド端子GT4と接続端子ST4とが短絡することがないため、スイッチング回路10に与えられる電位XBEが変化することもなく、当該スイッチング回路10内部の第2トランジスタ(図示せず)をオンさせることはない。
【0049】
その後、VICS用ビーコンユニット5のビーコン接続コネクタ5Cがビーコンスタンド4のビーコンスタンド接続コネクタ4Cに装着されたとき、当該VICS用ビーコンユニット5におけるビーコン接続コネクタ5Cの電源端子VT4、グランド端子GT6及び接続端子ST6と、当該ビーコンスタンド4におけるビーコンスタンド接続コネクタ4Cの電源端子VT3、グランド端子GT5及び接続端子ST5とがそれぞれ電気的に接続される。
【0050】
このときVICS用ビーコンユニット5では、その内部でグランド線GNDのグランド端子GT6と接続端子ST6とが短絡し、グランドレベルまで電位XBEが変化することになる。
【0051】
その結果、クレードル3のスイッチング回路10は、ビーコンスタンド4を介してVICS用ビーコンユニット5が接続されたことによる電位XBEの変化に基づき、内部の第2トランジスタ(図示せず)をオンさせるようになされている。
【0052】
従ってクレードル3のスイッチング回路10は、図12に示すように、クレードル3とPND2とが接続されたことにより電位TUが変化して第1トランジスタをオン(○)させ、クレードル3とビーコンスタンド4及びVICS用ビーコンユニット5とが接続されたことにより電位XBEが変化して第2トランジスタをオン(○)させたときのみ、すなわち上述した図10のケース4に相当する場合に、車両のバッテリーBATTから供給されるDC12[V]の電源電圧VVに相当する電源電圧BEをジャック3Hの電源端子VT1から出力するようになされている。
【0053】
この結果、ナビゲーションシステム1は、クレードル3のジャック3Hにおける電源端子VT1から、ビーコンスタンド4のプラグ4Dにおける電源端子VT2、ビーコンスタンド接続コネクタ4Cにおける電源端子VT3及びビーコン接続コネクタ5Cにおける電源端子VT4を順次介して、VICS用ビーコンユニット5へ電源電圧BEを供給し始めるようになされている。
【0054】
すなわちクレードル3のスイッチング回路10は、図13に示す論理回路のように、あくまでPND2がクレードル3に対して電気的に接続されたことにより電位TUが変化し、かつ、ビーコンスタンド4を介してVICS用ビーコンユニット5がクレードル3に対して電気的に接続されたことにより電位XBEが変化したというアンド条件(ケース4)を満たしたときに限って、電源電圧BEを出力し始めるようになされている。
【0055】
(8)動作及び効果
以上の構成において、ナビゲーションシステム1では、クレードル3に対してPND2及びVICS用ビーコンユニット5の双方が同時に接続された場合に限り、スイッチング回路10からジャック3Hの電源端子VT1を介して電源電圧BEを出力することにより、ビーコンスタンド4を介してVICS用ビーコンユニット5に対して電力を供給することが出来る。
【0056】
言い換えればナビゲーションシステム1では、クレードル3に対してPND2及びVICS用ビーコンユニット5の双方が同時にかつ正常に接続されない場合(ケース1、ケPス2及びケース3)、スイッチング回路10からジャック3Hの電源端子VT1を介して電源電圧BEを出力することはない。
【0057】
このためナビゲーションシステム1では、図14に示すように、クレードル3のジャック3Hにおける剥き出し状態の電源端子VT1(図11)に、ビーコンスタンドケーブル4Aのプラグ4D以外の導電体(図示せず)が接触したときであっても、ショートさせることを回避することができる。
【0058】
これに対して、従来であれば、クレードル3(図11)のジャック3Hにおける剥き出し状態の電源端子VT1に電源電圧BEが供給されていることになるため、当該電源端子VT1に何らかの導電体が接触したときには、瞬時にショートが起きてクレードル3及びPND2が破壊されてしまう危険性を解消することが出来ない。
【0059】
このようにナビゲーションシステム1は、あくまでクレードル3のジャック3Hにおける剥き出し状態の電源端子VT1に何らかの導電体(図示せず)が接触しただけではショートすることがなく、電源端子VT1に加えてグランド端子GT3及び接続端子ST3の全て同時に導電体が接触するという偶然では想定し難い状況でしかショートすることのない構造とした。
【0060】
従ってクレードル3のスイッチング回路10は、クレードル3のジャック3Hにおけるグランド端子GT3及び接続端子ST3に導電体が接触された後、電源端子VT1についても同時に導電体が接触されない限り電源電圧BEを出力することがないため、ショートに対する2段階の保護を実現することができる。
【0061】
同様に、ナビゲーションシステム1では、図15に示すように、ビーコンスタンド4のビーコンスタンド接続コネクタ4Cにおける剥き出し状態の電源端子VT3(図11)にVICS用ビーコンユニット5のビーコン接続コネクタ5C(図11)以外の導電体(図示せず)が接触したときであっても、ショートさせることを回避することができる。
【0062】
この場合も従来であれば、ビーコンスタンド4(図11)のビーコンスタンド接続コネクタ4Cにおける剥き出し状態の電源端子VT3に電源電圧BEが供給されることになるため、当該電源端子VT3に何らかの導電体が接触したときには、瞬時にショートが起きてビーコンスタンド4、クレードル3及びPND2が破壊されてしまう危険性を解消することが出来ない。
【0063】
このようにナビゲーションシステム1は、あくまでビーコンスタンド4のビーコンスタンド接続コネクタ4Cにおける剥き出し状態の電源端子VT3に何らかの導電体(図示せず)が接触しただけではショートすることがなく、電源端子VT3に加えてグランド端子GT5及び接続端子ST5の全て同時に導電体が接触するという偶然では想定し難い状況でしかショートすることのない構造とした。
【0064】
従ってクレードル3のスイッチング回路10は、ビーコンスタンド接続コネクタ4Cにおけるグランド端子GT5及び接続端子ST5に導電体が接触された後、電源端子VT3についても同時に導電体が接触されない限り電源電圧BEを出力することがないため、ショートに対する2段階の保護を実現することができる。
【0065】
以上の構成によれば、ナビゲーションシステム1では、クレードル3に対してPND2及びVICS用ビーコンユニット5の双方が同時にかつ正常に接続されたときのみ、当該クレードル3のスイッチング回路10におけるアンド条件(ケース4)を満たしてクレードル3のジャック3Hにおける電源端子VT1から電源電圧BEの出力を開始し、それ以外の条件(ケース1、ケース2及びケース3)では電源電圧BEの出力を行わないように制御することができる。
【0066】
これによりナビゲーションシステム1では、ビーコンスタンド4が装着されておらず、クレードル3の剥き出し状態にあるジャック3Hの電源端子VT1に対して何らかの導電体が接触してもショートすることを回避することができる。
【0067】
またナビゲーションシステム1では、ビーコンスタンド4が装着されていても、当該ビーコンスタンド4にVICS用ビーコンユニット5が装着されていなければ、ビーコンスタンド4の剥き出し状態にあるビーコンスタンド接続コネクタ4Cの電源端子VT3に対して何らかの導電体が接触してもショートすることを回避することができる。
【0068】
(9)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、ビーコンスタンド4がクレードル3とは別体であり、ビーコンスタンドケーブル4Aを介してクレードル3から離れたダッシュボード上に取り付けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ビーコンスタンド4がクレードル3のユニット装着部3Bの上面に設けられる等、ビーコンスタンド4とクレードル3とが一体化された構造を有するようにしても良い。
【0069】
また上述の実施の形態においては、クレードル3が車両のバッテリーBATTから電源電圧VVの供給を受けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、車両のバッテリーBATTではない他の電源を介して電源電圧VVの供給を受けるようにしても良い。
【0070】
さらに上述の実施の形態においては、アンド回路としてスイッチング回路10を動作させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、第1トランジスタ及び第2トランジスタに対する2つの入力が双方共に「L0w」レベルのとき、クレードル3のジャック3Hにおける電源端子VT1から電源電圧BEの出力を開始するようなNOR回路としてスイッチング回路10を動作させるようにしても良い。
【0071】
さらに上述の実施の形態においては、ナビゲーションユニットとしてのPND2、クレードルとしてのクレードル3、ビーコンスタンドとしてのビーコンスタンド4からなるナビゲーションシステムとしてのナビゲーションシステム1を構築し、クレードルが電力供給制御手段としてのスイッチング回路10を設けるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、その他種々の構成によるナビゲーションユニット、クレードル、ビーコンスタンドからなるナビゲーションシステムを構築するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のクレードル、ナビゲーション装置及びナビゲーションシステムは、例えばPND以外の固定式のナビゲーションユニットやナビゲーション機能を搭載した携帯電話機等を用いたナビゲーションシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】ナビゲーションシステムの全体外観構成を示す略線的斜視図である。
【図2】PNDの外観構成を示す略線的斜視図である。
【図3】クレードルの外観構成を示す略線的斜視図である。
【図4】ビーコンスタンドの外観構成を示す略線的斜視図である。
【図5】VICS用ビーコンユニットの外観構成を示す略線的斜視図である。
【図6】PND及びビーコンスタンドの非装着状態(ケース 1−1)を示す略線的斜視図である。
【図7】ビーコンスタンドのみ装着状態(ケース1−2)を示す略線的斜視図である。
【図8】PND非装着状態及びVICS用ビーコンユニット装着状態(ケース 2)を示す略線的斜視図である。
【図9】PND装着状態及びVICS用ビーコンユニット非装着状態(ケース 3)を示す略線的斜視図である。
【図10】PND及びVICS用ビーコンユニット装着状態(ケース 4)を示す略線的斜視図である。自動登録結果画面を示す略線図である。
【図11】ナビゲーションシステムのハードウェア構成を示す略線図である。
【図12】スイッチング回路による接続状態に応じた真理値表である。
【図13】スイッチング回路の動作を示す論理回路の説明に供する略線図である。
【図14】クレードルのジャックが剥き出し状態のときの電源電圧の出力停止状態を示す略線図である。
【図15】ビーコンスタンド接続コネクタが剥き出し状態のときの電源電圧の出力停止状態を示す略線図である。
【符号の説明】
【0074】
1……ナビゲーションシステム、2……PND、2A……表示部、2B……背面、2C……当接部、2D……凹部空間、2E……メインユニットコネクタ、2F……オープン/リリースボタン、3……クレードル、3A……吸盤、3B……ユニット装着部、3C……保持部、3CA……凸部分、3E……正面側端面、3G……クレードルコネクタ、3H……ジャック、4……ビーコンスタンド、4A……ビーコンスタンドケーブル、4B……ビーコン取付部、4C……ビーコンスタンド接続コネクタ、4D……プラグ、5……VICS用ビーコンユニット、5B……底面、5C……ビーコン接続コネクタ、7……シガーケーブル、7A……ピン、10……スイッチング回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションユニットを保持すると共に電気的に接続するクレードルであって、
当該クレードルと電気的に接続されたビーコンスタンドに対してビーコンユニットが電気的に接続され、かつ上記ナビゲーションユニットが上記クレードルに対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電力を上記クレードルの電源端子へ供給する電力供給制御手段
を具えることを特徴とするクレードル。
【請求項2】
上記電力供給制御手段は、上記ビーコンユニットが上記ビーコンスタンドに対して電気的に接続され、かつ上記ナビゲーションユニットが上記クレードルに対して電気的に接続されたとき以外、上記車両からの電力を上記クレードルの電源端子へ供給しない
ことを特徴とする請求項1に記載のクレードル。
【請求項3】
ナビゲーションユニットと、当該ナビゲーションユニットを保持すると共に電気的に接続するクレードルとからなるナビゲーション装置であって、
上記クレードルは、
当該クレードルと電気的に接続されたビーコンスタンドに対してビーコンユニットが電気的に接続され、かつ上記ナビゲーションユニットが上記クレードルに対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電力を上記クレードルの電源端子へ供給する電力供給制御手段
を具えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
ナビゲーションユニットと、
当該ナビゲーションユニットを保持すると共に電気的に接続するクレードルと、
当該クレードルを介して車両からの電力をビーコンユニットへ供給するビーコンスタンドと
からなるナビゲーションシステムであって、
上記クレードルは、
当該クレードルと電気的に接続されたビーコンスタンドに対してビーコンユニットが電気的に接続され、かつ上記ナビゲーションユニットが上記クレードルに対して電気的に接続されたときのみ、車両からの電力を上記クレードルの電源端子へ供給する電力供給制御手段
を具えることを特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−116756(P2009−116756A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291369(P2007−291369)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】