説明

グアニジン誘導体

【目的】本発明は、疼痛および痛覚過敏の治療、アルコール、向精神薬またはニコチン依存症の離脱症候群の治療、およびこれらの依存症の予防または回復における神経ペプチドFF受容体拮抗物質としての使用、インスリン分泌、食物摂食、記憶機能、血圧、電解質およびエネルギー収支の調節・制御、尿失禁の治療のためのグアニジン誘導体、それらの水和物または溶媒和物の提供。
【構成】下記一般式(I)で表されるグアニジン誘導体、それらの水和物または溶媒和物を使用することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)のグアニジン誘導体に関する。
【化8】

式中、
Aは、CHまたはNを表し;
Bは、Rで置換されたNまたはC原子を表し;
Qは、任意に置換された炭素原子数3〜6の鎖を表し、炭素原子の一つまたは一つ以上は-N(R’)-、-O-または-S(O)で置換されていてもよく、このような原子または基が多数の場合、これらは同一でも異なっていてもよく;
、R’は、水素または置換基を表し;および
mは、0、1または2を表し;
式Iの塩基性化合物の医薬として許容できる酸付加塩類、式Iの酸基含有化合物の医薬として許容できる塩基との塩類、式Iのヒドロキシ基またはカルボキシ基含有化合物の医薬として許容できるエステル類、並びにその水和物または溶媒和物。
【0002】
これらの化合物は新規であり、これらは価値ある薬理学的性質によって特徴づけられる。これらは神経ペプチドFF受容体拮抗物質として作用し、疼痛の治療や疼痛に対する過敏症(痛覚過敏)、慢性、急性、長期持続性または一時的な疼痛の調節に適し、これらの疼痛は、手術によるもの、外傷性によるもの、または病的な原因によるものであってもよく、オピオイド耐性および/またはオピオイド依存性の予防または治療に利点を有する。本発明の物質は、また、アルコール、向精神薬およびニコチン依存症の場合の離脱症候群の処置・治療、およびこれらの依存症の改善または除去に適している。当該化合物はインスリン分泌、食物摂食、記憶機能、血圧、電解質およびエネルギー収支の調節・制御のために、尿失禁の治療のために使用できる。
【0003】
1個または1個以上の不斉中心をもつ式Iのグアニジン誘導体は、光学的に純粋なエナンチオマーとして、例えばラセミ体のようなエナンチオマー混合物として、または任意に光学的に純粋なジアステレオマーとして、ジアステレオマー混合物として、ジアステレオマーラセミ体として、またはジアステレオマーラセミ体の混合物として存在することができる。
【背景技術】
【0004】
FF(NPFF)、AF(NPAF)、SF(NPSF)およびVF(NPVF)神経ペプチドは疼痛を軽減する性質をもつ神経伝達物質である。最近発見されたG-蛋白質結合受容体、NPFF1およびNPFF2に加えて、これらが内因性系の大部分を形成し、ヒト、ラット、マウスおよびウシなどの各種の哺乳動物の疼痛に対する感覚を調節する。前記神経ペプチドはオピオイド依存性痛覚脱失症とオピオイド耐性発現の両方に重要な役割を果たすようである(例えば、非特許文献1および非特許文献2参照。)。その他の報告によれば、NPFFは、またインスリン分泌、食物摂食調節、記憶機能、血圧および電解質平衡の調節のような生理学的諸過程において役割を演じているようにも思われる(例えば、非特許文献3参照。)。
【0005】
機能性NPFF1およびNPFF2受容体の脂肪細胞における発生率と脂肪代謝におけるシグナル伝達の主要部位へのNPFFおよびNPAFの作用は、それら2種のペプチドが、それらのもともとの疼痛緩和作用に加えて、身体エネルギーの蓄積と利用に対しても影響しうることを示唆している(例えば、非特許文献4参照。)。
【0006】
慢性的疼痛の治療のための現行の選択肢は、NSAID(非ステロイド抗炎症薬)、カンナビノイドおよびオピオイドを基礎とするものである。たとえば、モルヒネ誘導体はμオピオイド受容体に結合して、それによって鎮痛効果を示す。μオピオイド受容体に結合するオピオイドは、神経ペプチドFFの放出を伴う。動物実験に基づいて、放出されたNPFFが投与されたオピオイドの鎮痛作用を低減させ、オピオイド耐性に導くと推定される。より長期の処置によって定常的な鎮痛効果を得るためには、この耐性の結果として、ますます高用量のオピオイドを投与しなければならないが、それは最終的には重篤な副作用をもたらす可能性がある。既に最初に述べた通り、今日、2種の神経ペプチドFF受容体が知られており、NPFF1受容体は主として中枢神経系に、NPFF2受容体はとくに脊髄に存在している。NPFF2受容体の活性化はオピオイド様鎮痛作用を示す。拮抗物質によるNPPF1の阻害は、オピオイド類に対する耐性の発現を阻止し、またそれらの作用を増大させる。
【0007】
J.K.カワカミらは、NPFF-受容体リガンドとしてキナゾリングアニジンおよびキノリングアニジン誘導体を記載している(特許文献1参照。)。
【0008】
【非特許文献1】RoumyおよびZajac, Europ. J. Pharm. 1998年, 345, 1-11頁
【非特許文献2】Panulaら, Prog. Neurobiol. 1996年, 48, 461-487頁
【非特許文献3】Panulaら, Prog. Neurobiol. 1996年, 48, 461-487頁
【非特許文献4】Lefrereら J. Biol. Chem. 2002年, 277 (42), 39169
【特許文献1】国際公開第03/026667号, 2003年4月3日公開
【発明の開示】
【0009】
最初に述べた通り、本発明の物質は新規であり、価値ある薬理学的性質によって特徴づけられる。神経ペプチドFFの神経ペプチドFF1受容体亜類型との相互作用を阻害する性質のために、本発明の式Iの化合物およびこれらの医薬として許容できる塩類は、医薬製品としての使用、とりわけ、疼痛および痛覚過敏の治療に適し、本発明の物質は慢性の疼痛に対する現在の治療法を補い、望ましくないオピオイド耐性および/またはオピオイド依存性の予防または治療に有効である。本発明の物質はまたアルコール、向精神薬およびニコチン依存症の場合の離脱症候群の治療のための、およびこれらの依存症の改善または除去のためにも適している。これらは、加えて、インスリン分泌、食物摂食、記憶機能、血圧、電解質およびエネルギー収支の調節・制御のため、尿失禁の治療のためにも使用できる。
【0010】
本発明の対象は、それ自体が治療活性成分として新規物質;製造方法およびこのような物質を製造するための中間体;上記新規物質の1つを含む医薬;このような医薬の製造;疼痛(疼痛過敏)に対する過敏症、慢性、急性、長期持続性または一時的な疼痛、手術、外傷性または病的な原因による疼痛、アルコール、向精神薬およびニコチン依存症の場合の離脱症候群の予防および治療のための、およびこれらの依存症の改善または除去のための、インスリン分泌、食物摂食、記憶機能、血圧および電解質およびエネルギー収支の調節・制御のための、尿失禁の治療のための、または対応する医薬製品の製造のための上記物質の使用にある。
【0011】
式IのBがRで置換された炭素原子の場合は、置換基Rは、水素または低級アルキル、ハロアルキル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシもしくはアルキルチオ基であることができる。Rの好ましく可能な意味はメチル、エチル、トリフルオロメチル、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロプロピルアミノ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メチルスルファニルおよびエチルスルファニルであり、特に好ましいのはメチルおよびトリフルオロメチルである。
【0012】
式Iの鎖Qの炭素原子の1個または複数が置換されている場合は、
- 炭素原子の一つは1個または2個(すなわち、1対)は同一または異なる置換基を有することができるか;あるいは
- 炭素原子の数個はそれぞれ1個または2個(すなわち、1対)は同一または異なる置換基を有することができる。
【0013】
式Iにおいて、Qは、ピリミジン環と共に、キナゾリン、シクロペンタピリミジン、シクロヘプタピリミジン、ピリドピリミジン、ピラノピリミジン、チオピラノピリミジン、ピリミドアゼピンまたはシクロオクタピリミジン骨格を形成することができ、該骨格は、例えば、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピリミジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタピリミジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタピリミジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロピリミジンまたは5,6,7,8-テトラヒドロ-ピリドピリミジン骨格などのピリミジン成分の3個の二重結合を含むのみである。
【0014】
式Iにおいて、Qはまたピリジン環と共にピリジン、キノリン、シクロヘプタピリジン、シクロオクタピリジン、ピロロピリジン、ナフチリジン、ピリドアゼピン、フロピリジン、ピラノピリジン、チエノピリジンまたはチオピラノピリジン骨格を形成することもでき、該骨格は、例えば、6,7-ジヒドロ-5H-[1]ピリジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタ[b]ピリジン、ジヒドロ-ピロロピリジン、ジヒドロフロピリジン、ジヒドロチエノピリジンまたは1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフチリジン骨格などのピリジン成分の3個の二重結合を含むのみである。
【0015】
式Iにおいて、Qは、ピラジン環と共に、さらにシクロペンタピラジン、ピロロピラジン、フロピラジン、チエノピラジン、キノキサリン、ピリドピラジン、ピラノピラジン、チアジアザナフタレン、シクロヘプタピラジン、トリアザベンゾシクロヘプテン、オキサジアザベンゾシクロヘプテン、またはチアジアザベンゾシクロヘプテン骨格を形成することができ、該骨格は例えば、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタピラジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタピラジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロピラジンまたは5,6,7,8-テトラヒドロ-ピリドピラジン骨格などのピラジン成分の3個の二重結合を含むのみである。
【0016】
式Iにおいて、Qは、さらにトリアジン環と共にジヒドロシクロペンタトリアジン、テトラヒドロ-ベンゾトリアジン、テトラヒドロシクロヘプタトリアジン、ジヒドロ-ピロロトリアジンまたはテトラヒドロ-ピリドトリアジン骨格を形成することができ、該骨格は例えば、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[1,2,4]トリアジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[1,2,4]トリアジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-1,2,4-トリアザ-ベンゾシクロオクテン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-e][1,2,4]トリアジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-ピリド[4,3-e][1,2,4]トリアジンまたは5,6,7,8-テトラヒドロ-ピリド[3,4-e][1,2,4]トリアジン骨格などのトリアジン成分の3個の二重結合を含むのみである。
【0017】
本発明の化合物の下位グループは、下記一般式(II)で表すことができる。
【化9】

式中、R-Rは、水素、アルキル、アルカノイル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルカノイル、アルコキシアルキルカルバモイル、アルコキシアルキルチオカルバモイル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルカノイル、アルキルアミド、アルキルアミノカルボニル、アルキルアリールアミノ、アルキルカルバモイル、アルキル-チオカルバモイル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキルスルホンアミド、アルキルチオアルキル、アルキニル、アミノ、アミノアルキル、アミノアルカノイル、アミノアシル、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルカノイル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルカノイル、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、アリールアルキルアミド、アリールアルカノイル、アリールアミド、アリールアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルバモイル、アリールチオカルバモイル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアルカノイル、アリールオキシアルキルアミノ、アリールオキシアルキルカルバモイル、アリールオキシアルキルチオカルバモイル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシカルボニルアルカノイル、アリールオキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニルアルキルカルバモイル、アリールオキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルカノイル、アリールスルホンアミド、アリールチオ、アリールチオアルキル、アリールチオアルカノイル、カルボキシ、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミド、シアノ、シアノアルキル、シアノアルキルアミド、シアノアルカノイル、シクロアルキル、シクロアルキルアミド、シクロアルカノイル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキル、シクロアルキルオキシ-カルボニルアルキルアミド、シクロアルキルオキシカルボニルアルカノイル、ジアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキルアミド、ジアルキルアミノアルカノイル、ジアリールアミノ、ホルミル、ホルミルアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルアミド、ハロアルカノイル、ハロアルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアミド、ヘテロシクリルアルキルアミド、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキルアミド、ヘテロアリールオキシカルボニルアルカノイル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアミド、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミド、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルカノイル、ヘテロアリールアルキルアミノ、ヘテロアリールアルキルアミド、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ-カルボニルアルカノイル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルアミノ、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルアミド、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルカノイル、メルカプトまたはニトロを意味する。
【0018】
は、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、第三級ブチル、1,1-ジメチルプロピル、またはフェニルを意味する。R〜Rが水素と異なる場合は、これらは好ましくはメチルまたは別の低級アルキル基を意味する。
【0019】
本発明の化合物の別の下位グループは、式(III)で表すことができる。
【0020】
【化10】

式中、R’は、アルキル、アルカノイル、アルケニル、アルキニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルカノイル、アルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、モノ-またはジ置換アミノアルカノイル、アリール、アリールアルキル、アリールアルコキシカルボニル、アリールアルカノイル、アリールカルバモイル、アルコキシアルカノイル、アルキルスルホニル、アリールチオカルバモイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシカルボニルアルカノイル、アリールオキシカルボニルアルキルカルバモイル、アリールオキシカルボニルアルキルチオ-カルバモイル、アリールスルホニル、シクロアルキル、シクロアルカノイル、シクロアルキルカルバモイル、シクロアルキルチオカルバモイル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキル、シクロアルキルオキシカルボニルアルカノイル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキルカルバモイル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルカノイル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルカルバモイル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキルカルバモイルまたはヘテロアリールオキシカルボニルアルキルチオカルバモイルを意味する。
【0021】
R’は、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、2,2-ジメチルプロピオニル、シクロプロピルメチル、2-シクロヘキシルエチル、プロピニル、エチルオキシカルボニルエチル、ベンジル、n-ブチルオキシカルボニル、第三級ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3-メチルブチリル、ペンタノイル、フェニルアセチル、2-プロピルペンタノイル、シクロプロパンカルボニル、イソブチリル、3-ブテノイル、2-メトキシアセチル、プロパン-2-スルホニル、ブタン-1-スルホニル、メタンスルホニル、第三級ブチルオキシカルボニルアミノプロピオニルまたは4-ジメチルアミノブチリルを意味する。
【0022】
式Iの実際に特に好ましいものは、次の化合物である。
rac-N-(4-メチル-6-プロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-イソプロピル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジンおよび
rac-N-(6-第三級ブチル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン
【0023】
式Iの特に好ましいその他の化合物は、次の化合物である。
rac-N-(4-メチル-8-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-[6-(1,1-ジメチル-プロピル)-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル]-グアニジン;
rac-N-(8-第三級ブチル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4,6-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタピリミジン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタピリミジン-2-イル)-グアニジンおよび
rac-N-(8-第二級ブチル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン
【0024】
一般式Iの化合物でまた好ましいものは、次の化合物である。
rac-N-(4,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(8-アリル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピリミジン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(8-シクロ-1-ヘキセニル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-イソプロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-第三級ブチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-プロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;および
rac-N-(6-第三級ブチル-4-トリフルオロメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン。
【0025】
式Iのその他の代表的な化合物は、また、次の化合物である。
rac-N-[8-(2-シアノ-エチル)-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル]-グアニジン;
rac-2-グアニジノ-4-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-6-カルボン酸第三級ブチルエステル;
rac-N-(6-フェニル-4-トリフルオロメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-イソプロピル-4-トリフルオロメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(7-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-グアニジン;
rac-6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-グアニジン;
rac-N-(7-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-グアニジンおよび
N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-グアニジン
【0026】
「アルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、1〜8個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式炭化水素基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル(または2-メチルプロピル)、シクロプロピルメチル、n-ペンチル、i-ペンチル、i-アミル、n-アミル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等である。該アルキル基は、1個または1個以上の置換基を有することができ、これらの置換基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルチオ、アルキニル、アミノ、アミノカルボニル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アリールチオ、カルボキシ、シアノ、ホルミル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ等からそれぞれ独立に選ばれ、アルキル基の任意の炭素原子を通して結合される。
【0027】
「低級アルキル」なるなる用語はは、単独でまたは組み合わせて、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。代表的な、しかし限定されない、低級アルキルの例はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル等である。
【0028】
「アルケニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、該炭化水素基中に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合(RabC=CRcd)が存在する。Ra〜Rdは、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル等から互いに独立に選ばれる置換基を表す。代表的な、しかし限定されない、アルケニルの例は、エテニル、2-プロペニル,2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル等である。
【0029】
「アルキレンジオキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-O(CH)O基を表し、この基のnは、1または2を表し、酸素原子は主分子の骨格の隣接する2個の炭素原子に結合している。代表的な、しかし限定されない、アルキレンジオキシの例はメチレンジオキシ、エチレンジオキシ等である。
【0030】
「アルキニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、2〜8個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を表し、該炭化水素基中に少なくとも1個の炭素-炭素三重結合(Ra-CC-Rb)が存在する。RaおよびRbは、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル等からそれぞれ独立に選ばれる置換基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキニルの例は、アセチレニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、3-ブチニル、2-ペンチニル等である。
【0031】
「アルコキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、酸素ブリッジを通して主骨格に結合しているアルキル基を表す。代表的な、しかし限定されない、アルコキシの例はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、t-ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシである。
【0032】
「アルコキシアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアルコキシ基を表す。代表的な、しかし限定されないアルコキシアルキルの例は、t-ブトキシメチル、2-エトキシエチル、2-メトキシエチルおよびメトキシメチルである。
【0033】
「アルコキシカルボニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、カルボニル基を通して結合しているアルコキシ基を表す。代表的な、しかし限定されないアルコキシカルボニルの例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル等である。
【0034】
「アルコキシカルボニルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアルコキシカルボニル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルコキシカルボニルアルキルの例は、メトキシカルボニルプロピル、エトキシカルボニルブチル、2-t-ブトキシカルボニルエチル等である。
【0035】
「アルキルカルボニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、カルボニル基を通して結合しているアルキル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルカルボニルの例は、アセチル、1-オキソプロピル、2,2-ジメチル-1-オキソプロピル、1-オキソブチル、1-オキソペンチルなどである。
【0036】
「アルキルカルボニルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアルキルカルボニル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルカルボニルアルキルの例は、2-オキソプロピル、3,3-ジメチル-2-オキソプロピル、3-オキソブチル、3-オキソペンチルなどである。
【0037】
「アルキルカルボニルオキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、酸素ブリッジを通して結合しているアルキルカルボニル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルカルボニルオキシの例はアセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ、第三級ブチルカルボニルオキシなどである。
【0038】
「アルキルスルフィニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、スルフィニル基を通して結合しているアルキル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルスルフィニルの例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなどである。
【0039】
「アルキルスルフィニルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアルキルスルフィニル基を表す。代表的な、しかし限定されないのアルキルスルフィニルアルキルの例は、メチルスルフィニルメチル、エチルスルフィニルメチルなどである。
【0040】
「アルキルスルホニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、スルホニル基を通して結合しているアルキル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルスルホニルの例は、メチルスルホニル、エチルスルホニルなどである。
【0041】
「アルキルスルホニルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアルキルスルホニル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルスルホニルアルキルの例は、メチルスルホニルメチル、エチルスルホニルメチルなどである。
【0042】
「アルキルチオ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、チオ基を通して結合しているアルキル基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルチオの例は、メチルスルファニル、エチルスルファニル、第三級ブチルスルファニル、ヘキシルスルファニルなどである。
【0043】
「アルキルチオアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアルキルチオ基を表す。代表的な、しかし限定されないアルキルチオアルキルの例は、メチルスルファニルメチル、2-(エチルスルファニル)エチルなどである。
【0044】
「アミノ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-NRf基を表し、この基のRおよびRfは、互いに、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、カルバモイル、尿素、ホルミル、アルキルスルホニル、アリールスルホニルなどから互いに独立して選ばれる。
【0045】
「アミノアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通じて結合しているアミノ基を表す。代表的な、しかし限定されないアミノアルキルの例は、アミノメチル、2-(アミノ)エチル、ベンジル-(メチル)アミノメチル、ジメチルアミノメチルなどである。
【0046】
「アミノカルボニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、カルボニル基を通して結合しているアミノ基を表す。代表的な、しかし限定されないアミノカルボニルの例は、ジメチルアミノカルボニル、ベンジルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニルなどである。
【0047】
「アミノカルボニルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアミノカルボニル基を表す。代表的な、しかし限定されないアミノカルボニルアルキルの例は、2-アミノ-2-オキソエチル、2-(ベンジルアミノ)-2-オキソエチル、2-(メチルアミノ)-2-オキソエチル、4-アミノ-4-オキソブチル、4-(ジメチルアミノ)-4-オキソブチルなどである。
【0048】
「アリール」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも1個の芳香族環を含む芳香族炭素環式基、例えば、フェニルまたはビフェニル、または縮合環系で、少なくとも1個の環は芳香族であるものを表し、例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、フルオレニルなどである。該アリール基は、1個または1個以上の置換基を有していてもよく、該置換基は、互いに、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールチオアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、シアノアルキル、ホルミル、ホルミルアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロなどから互いに独立して選ばれる。
【0049】
「アリールアルケニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルケニル基を通して結合しているアリール基を表す。代表的な、しかし限定されないアリールアルケニルの例は、2-フェニルエテニル、3-フェニル-プロペン-2-イル、2-ナフチ-2-イルエテニルなどである。
【0050】
「アリールアルコキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルコキシ基を通して結合しているアリール基を表す。代表的な、しかし限定されないの例は、アリールアルコキシの例は、2-フェニルエトキシ、5-フェニルペンチルオキシ、3-ナフチ-2-イルプロポキシなどである。
【0051】
「アリールアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているアリール基を表す。該アリール基は非置換でも置換されていてもよい。代表的な、しかし限定されないアリールアルキルの例は、ベンジル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-ナフチ-2-イルエチルなどである。
【0052】
「アリールオキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、オキシ基を通して結合しているアリール基を表す。アリール基は非置換でも置換されていてもよい。代表的な、しかし限定されないアリールオキシの例は、フェノキシ、ナフチルオキシ、3-ブロモフェノキシ、4-クロロフェノキシ、4-メチルフェノキシ、3,4-ジメトキシフェノキシなどである。
【0053】
「カルバモイル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-C(O)NRf基を表す。
【0054】
「チオカルバモイル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-C(S)NRf基を表す。
【0055】
「カルボニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-C(O)基を表す。
【0056】
「カルボキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-COH基を表す。
【0057】
「カルボキシアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているカルボキシ基を表す。代表的な、しかし限定されないカルボキシアルキルの例はカルボキシメチル、2-カルボキシエチル、3-カルボキシプロピルなどである。
【0058】
「シアノ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-CN基を表す。
【0059】
「シアノアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているシアノ基を表す。代表的な、しかし限定されないシアノアルキルの例は、シアノメチル、2-シアノエチル、3-シアノプロピルなどである。
【0060】
「シクロアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、1個または1個以上の置換基を有することができる3〜15個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素基を表す。該置換基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールチオアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、シアノアルキル、ホルミル、ホルミルアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロなどから独立して選ばれる。代表的な、しかし限定されないシクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。多環式シクロアルキル基では、縮合環の一つは芳香族であることができ、例えば、1-インダニル、2-インダニル、テトラヒドロナフチルなどである。
【0061】
用語「シクロアルケニル」および「シクロアルキニル」は、環式炭化水素基を表し、該基は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合か三重結合を有している。これらの基は、シクロアルキル基のように、1個または1個以上の置換基を有している。
【0062】
「ホルミル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-C(O)H基を表す。
【0063】
「ホルミルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基を通して結合しているホルミル基を表す。代表的な、しかし限定されないホルミルアルキルの例は、ホルミルメチル、2-ホルミルエチルなどである。
【0064】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、単独でまたは組み合わせて、フッ素、臭素、塩素、または沃素を表す。
【0065】
「ハロアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基で、該アルキル基の少なくとも1個の水素原子がハロゲンによって置き換えられているものを表す。代表的な、しかし限定されないハロアルキルの例は、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-クロロ-3-フルオロペンチルなどである。
【0066】
「ハロアルコキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルコキシ基で該アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子がハロゲンによって置き換えられているものを表す。代表的な、しかし限定されないハロアルコキシは、クロロメトキシ、2-フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシなどである。
【0067】
「ヘテロシクリル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、窒素、酸素、または硫黄から独立に選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を有する15環原子までの単環、二環、または多環系を表し、この(これらの)環は、飽和でも、一部が不飽和でも、もしくは不飽和でも、または芳香族であることができる。代表的なしかし限定されない、ヘテロシクリルの例は、フリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チエニル、チオモルホリニル、1、1-ジオキソチオモルホリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、インドリニル、イソベンゾフラニル、イソベンゾチエニル、イソインドリル、イソインドリニル、イソキノリニル、キノリニルなどである。このヘテロシクリル基は、1個まはた1個以上の置換基を有することができ、このような置換基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルキルカルボニルオキシ、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキルチオアルキル、アルキニル、アミノ、アミノアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルアルキル、アリールチオ、アリールチオアルキル、カルボキシ、カルボキシアルキル、シアノ、シアノアルキル、シクロアルキル、ホルミル、ホルミルアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、メルカプト、ニトロなどから独立して選ばれる。
【0068】
「ヘテロアリール」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、ヘテロシクリルの特別の場合であり、単環、二環または多環系で、少なくとも1個の環がヘテロ芳香族を表す。
【0069】
「ヘテロシクリルアルケニル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルケニル基を通して結合しているヘテロシクリル基を表す。代表的なしかし限定されない、ヘテロシクリルアルケニルの例は、2-ピリド-3-イルエチニル、3-キノリン-3-イルプロペン-2-イル、5-ピリド-4-イルペンチレン-4-イルなどである。
【0070】
「ヘテロシクリルアルコキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、ヘテロシクリル基がアルコキシ基を通して結合しているものを表す。代表的なしかし限定されないヘテロシクリルアルコキシの例は、2-ピリジ-3-イルエトキシ、3-キノリン-3-イルプロポキシ、5-ピリジ-4-イルペンチルオキシなどである。
【0071】
「ヘテロシクリルアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、ヘテロシクリル基がアルキル基を通して結合しているものを表す。代表的な、しかし限定されないヘテロシクリルアルキルの例は、2-ピリジ-3-イルメチル、2-ピリミジン-2-イルプロピルなどである。
【0072】
「ヘテロシクリルオキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、ヘテロシクリル基が、酸素ブリッジを通して結合しているものを表す。代表的な、しかし限定されないヘテロシクリルオキシの例はピリジ-3-イルオキシ、キノリン-3-イルオキシなどである。
【0073】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-OH基を表す。
【0074】
「ヒドロキシアルキル」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、アルキル基で、該アルキル基の少なくとも1個の水素原子がヒドロキシル基で置き換えられているものを表す。代表的な、しかし限定されないヒドロキシアルキルの例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-エチル-4-ヒドロキシヘプチルなどである。
【0075】
「ニトロ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-NO基を表す。
【0076】
「オキソ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、=O基を表す。
【0077】
「オキシ」なる用語は、単独でまたは組み合わせて、-O-基を表す。
【0078】
「メルカプト」および「チオール」なる用語は-SH基を表す。
【0079】
「チオ」、「スルフィニル」および「スルホニル」なる用語はn=0、1または2の-S(O)基を表す。
【0080】
本発明の式Iの化合物は、医薬として許容できる酸付加塩類として、式Iの酸化合物の医薬として許容できる塩基との塩類として、式Iのヒドロキシまたはカルボキシ基含有化合物の医薬として許容できるエステル類として、およびこれらの水和物または溶媒和として、遊離の形で存在することができる。用語「医薬として許容できる塩類」とは、生物学的効果や遊離塩基の性質を減少させず、しかも、生物学的に、不都合でない塩類を言う。
【0081】
この酸付加塩類は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、好ましくは塩酸または臭化水素酸を用いて、または酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など有機酸を用いて、遊離塩基から形成される。式Iのある種の化合物が、以下に記載する炭酸ビスグアニジンの環化付加反応によって調製される場合は、これらは炭酸塩類として形成できる。
【0082】
酸基を有する式Iの化合物は、無機塩基または有機塩基と塩類を形成できる。無機塩基との好ましい塩類は、しかし他の塩類を排除するものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩類等である。有機塩基との好ましい塩類は、しかし他を排除するものではないが、自然に生じるすべての置換アミンを含む任意に置換された第一、第二、および第三アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などとの塩類である。酸基を有する式Iの化合物は、双性イオン化合物としても存在できる。
【0083】
本発明は、式Iのヒドロキシまたはカルボキシ基含有化合物の医薬として許容できるエステルも包含する。「医薬として許容できるエステル」とは、式Iの化合物において、対応する官能基が生体内で再びその活性形に逆戻りに転換するような方法でエステル基に誘導されることを意味する。一方、COOH基はエステル化されうる。この型の適当なエステルの例は、アルキルエステル類およびアルアルキルエステル類である。この型の好ましいエステル類は、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびベンジルエステル類、および(R/S)-1-[(イソプロポキシカルボニル)オキシ]エチルエステル類である。エチルエステル類および異性体ブチルエステル類が特に好ましい。他方、OH基はエステル化されうる。このような化合物の例には、生理的に許容でき代謝不安定なエステル基、例えば、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステルおよび同類エステル基が含まれる。
【0084】
式Iの化合物のNPFF受容体に対するこれらの親和性試験を下記の方法で測定した。
【0085】
各場合にNPFF1またはNPFF2受容体を産生し、神経ペプチドFF受容体結合試験に適したハムスター細胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞、CHOSP10)を、標準的な細胞培養条件下で増殖させた。細胞培養培地を吸引除去し、17cmのペトリ皿当り5mlの緩衝液A(5mMトリス、pH=7.4、1mM MgCl)を加えた。細胞培養プレートから細胞をかきとり、50mlのファルコン容器に移した。つぎに、細胞を450gで5分間遠心分離し、緩衝液Aに再度懸濁させ、ポリトロンボルテックス上で30秒間混合した。30,000gで20分間の遠心分離ののち、上澄みを捨て、膜ペレットを500μlの緩衝液C(75mMトリス、pH=7.4、25mM MgCl、250mMスクロース、0.1mM PMSF、0.1mMフェナントロリン)にとった。膜−緩衝液混合物をつぎにアリコートに分割し、急速冷凍した。各アリコートのタンパク質含量をラウリー(Lowry)法によって求めた。
【0086】
結合試験は、最終体積250μlで実施した。タンパク質含量35μgに相当する膜−緩衝液混合物100μlを95μlの結合緩衝液(50mMトリス、pH7.4、60mM
NaCl、0.1%プロテアーゼ不含BSA、0.01%NaN)と混合した。各測定点当り5μlの各濃度の試験物質を加えたのち、各測定点当り0.2nMの125I−Tyr1−NPFF(NEN、NEX381)を50μl加えた。室温で90分間のインキュベーションののち、各試料をGF/Cフィルター(ミリポア(MAHFC1H60))を通して吸引し、氷冷結合緩衝液300μl(パッカード・フィルターメイト)で3回洗った。マイクロシント40(パッカード6013641)シンチレーション液55μlを加えたのち、測定点をガンマカウンター(パッカード、トップカウントNXT)で定量した。
【0087】
1μMの無標識神経ペプチドFFの存在下に、非特異的結合を求めた。全結合と非特異的結合との差を特異的結合であると定義する。125I標識神経ペプチドFFの50%に置き換わる拮抗物質濃度をIC50値と定義する。この濃度は、結合値のlogit/log変換ののち、線形回帰分析によって求める。
【0088】
好ましい本発明の化合物は、上記受容体結合試験において、1000nM未満のIC50値を示し、とくに好ましい化合物は100nM未満のIC50値、とりわけ好ましい化合物は10nM未満のIC50値を示す。
【0089】
上記生物学的試験で測定した式Iの代表的な化合物の結果を下記表1に要約する。

表1:NPFF1受容体の結合
【表1】

【0090】
最初に述べたように、本発明の化合物は、神経ペプチドFF受容体を阻害する能力があるために、疼痛、疼痛(痛覚過敏)に対する過敏症、慢性、急性、長期持続性または一時的な疼痛、手術、外傷性、または病的な原因による疼痛の治療に有効である。とりわけ、これらの物質は、望ましくないオピオイド耐性や/またはオピオイド依存性の予防または治療に有効な慢性の疼痛に対する現在の治療法を補うものである。本発明の物質は、また、アルコール、向精神薬およびニコチン依存症の場合の離脱症候群の治療、およびこれらの依存症の改善または除去にも適している。本発明の物質は、さらに、インスリン分泌、食物摂取、記憶機能、血圧、さらには電解質およびエネルギー収支の調節・制御のため、さらに尿失禁の治療のためにも使用できる。
【0091】
本発明の化合物は、一般に知られており当業者によく知られている方法を用いて適当なガレニク投薬形に変えることができる。このような投薬形には、例えば、錠剤、コーテ
ィング剤、糖衣剤、カプセル剤、注射液などである。このようなガレニク投薬形を調製するための適当な賦形剤および補助剤もまた、一般に知られており、その分野の当業者によく知られている。本発明の化合物の一種または一種以上に加えて、これらの投薬形にはさらに薬学的に活性な化合物をさらに含むことができる。
【0092】
本発明の化合物の投薬またはこれらの化合物を含んでいる投薬形は、患者の個々の必要に応じて医師によって調合されるべきである。一般に本発明の化合物の1日当りの投与量は、患者の体重1kgにつき、0.1〜20mg、好ましくは、0.5〜5mgが適当であろう。
【0093】
本発明の一般式Iのグアニジン誘導体、および対応する出発物質、中間体生成物は、有機合成において知られている方法を用いて生成でき、また沈殿、クロマトグラフィー、結晶化、分取逆相HPLCなど既知の技術を用いて分離、精製できる。得ることが可能な立体異性体混合物、例えばラセミ体は、一般的な通常の方法、好ましくは、キラル相クロマトグラフィーによって分離できる。
【0094】
一般法において、一般式Iの化合物を含む二環グアニジングループは、下記の図式1に従って調製できる。
図式1
【化11】

Qに存在している窒素原子を保護するか、あるいはR'基放出剤で対応置換されている式1の化合物は、カルボニル基を形成するために、既知の方法、例えば、アシル化、ホルミル化、アルキル化、アミノアルキル化、ハロゲン化、あるいは酸化により、官能基Wでα-位を活性化し、その結果として得られる式2の化合物を、式3のビスグアニジン、セミカルバジド、アミノグアニジン、グアニジン、グリシンアミド、ピリジニルアセトアミドまたはヒドロキシアミンなどの含窒素試薬を用いて環縮合し、得られた式4の化合物を、所望により、既知の方法を用いて式Iの目標化合物に変換し、存在している窒素原子の保護基を、所望により、得られた化合物から脱離させるか、この(これらの)窒素原子を、所望により、R’基放出剤で対応置換し、得られた塩基化合物を、所望により、医薬として許容できる酸との塩に変換するか、あるいは得られた酸含有塩基化合物を医薬として許容できる塩基との塩に、あるいは得られたヒドロキシまたはカルボキシ基含有化合物を医薬として許容できるエステルに、さらに得られた生成物を、所望により、水和物または溶媒和物に変換する。
【0095】
しかして、式IVの二環式ピリミジン誘導体(これは式Iの化合物の下位グループを表す)は、下記図式に基づいて調製できる:
図式2
【化12】

式1のシクロアルカノン類は、カルボニル基を形成するために既知の方法によりα-位がアシル化され(J.Med.Chem.1989年,32(2),351-357頁)、あるいはホルミル化される(例えば、J.Org.Chem.2000年,65,7145-7150頁)。次に、既知の方法で、1,3-ジオキソ化合物(5)をビス-グアニジン(3)で用いて環縮合して、式IVの所望の2-グアニジン誘導体に導く(Org.Lett.2001,3(24),3887-3889)。一般に、式1のヘテロ環オキソ化合物は、また式IVの対応する目標化合物に類似転換することもできる。出発生成物のQに存在する-NH-基は通常の保護基を用いるべきであることを心に留めるべきである。
【0096】
式Vの二環ピリジン誘導体(これはまた式Iの化合物の下位グループを表す)は、下記図式3にしたがって調製できる。
図式3
【化13】

式9の化合物は、式1の環式ケトンから出発して各種の多段階合成A(J.Chem.Soc.Perkin.Trans.I,1984年,1173頁)、B(Chem.Ber.1957年,90,711-20頁)、またはC(J.Org.Chem.1993年,58(4),887-891頁)により得ることができる。このものは例えばシアナミド(NHCN)を用い、例えば塩酸または硝酸などの存在下で式Vの所望のグアニジノピリジンに変換することができる。
【0097】
式VIの二環式ピラジン誘導体、-これは式Iの化合物の別の下位グループを表す-は、既知の方法にもとづき図式4に従って調製できる。
図式4
【化14】

式1の環式ケトン類は、式15の対応ジケトン類に変換され、これは、次いで適当な塩基の存在下で式16のグリシンアミドと反応させる(米国特許3,505,327;1970年4月7日)。このようにして得られた式17の化合物は、次いで、適当なハロゲン化剤を用いて対応するハロゲン誘導体、好ましくは、式18の塩素化合物に変換される(Heterocycles1989年,28(2),783-789頁)。適当な塩基の存在下でグアニジンを置換すると式VIの所望の最終生成物を生成する。
【0098】
式VIIの二環式トリアジン誘導体、-これは式Iの化合物の別の下位グループを表す-は、下記図式5に従って、式15の環式ジケトンから出発して調製できる。
図式5
【化15】

式15のジケトンは、既知の方法に従い、セミカルバジドで式19のモノセミカルバゾンに転換され、これは適当な塩基の存在下で環化後、式20の対応ヒドロキシトリアジンを生成する。適当なハロゲン化剤によるハロゲン化、好ましくは塩素化は、式21のハロゲン化合物を生成し、これはグアニジンと適当な塩基を用いて式VIIの所望のグアニジノトリアジンを形成する。あるいは、アミノグアニジンを用いて環式ジケトン15を2-アミノトリアジン誘導体に変換し、次いでこれを既知のグアニル化法によって、好ましくはシアナミドとの反応によって所望の最終生成物VIIを生成する。式22の2-アミノ-トリアジン誘導体は、また、式21のハロ化合物をカリウムアミドまたはアンモニアで変換することにより得られる。
【0099】
本発明の式IIIの化合物の調製は、下記図式6に従って好ましくは行なわれる。
図式6
【化16】


式23の環式アザケトンから出発し、例えば、ハロゲン化アルキル、カルボン酸ハロゲン化物または無水物などのそれぞれ対応するR’-放出試薬を用いるか、あるいはカップリング試薬の存在下、カルボン酸と補助試薬としてクロロギ酸塩、ハロゲン化スルホニル、イソシアネート、イソチオシアネートなどの塩基とによって、最初に定義したR’-基をいずれの場合も既知の条件下で式24の対応化合物に変換し、次いで、これを図式2〜5に記載した条件下で式IIIの目標化合物に変換する。
【0100】
出発生成物として必要とされる式23の環式アザケトンは、文献から知られている方法に従って調製できる(Yokooら, Bull. Chem. Soc. Japan 1959年, 29, 631頁; Grissら, DE2206385, 1972年2月10日公開)。
【0101】
本発明による一般式Iのグアニジン誘導体およびその対応する中間生成物の合成は、代表的には、有機溶媒を用いる溶液中で行なわれる。保護基の導入や除去は、当業者に既知の典型的な方法で行なわれる(T. W. Greene & P. G. M. Wuts 有機合成における保護基, 第3版, John Wiley & Sons, 1999)。
【0102】
適当な有機溶媒は、選ばれた反応条件下で不活性であるものである。このような溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはグリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;または例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールまたは第三級ブタノールなどのアルコール類;または例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油留分などの炭化水素類;または例えばジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレンまたはクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;または酢酸エチル、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホロアミド、アセトニトリル、アセトンまたはニトロメタンが好ましい。上記に述べた溶媒の混合物もまた用いることができる。
【0103】
本発明の方法に用いることのできる塩基類は、一般に、無機または有機塩類である。好ましい塩類は、水酸化アルカリ類、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルカリ土類金属、例えば水酸化バリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの炭酸アルカリ、アルカリ土類金属の炭酸塩、例えば炭酸カルシウム、またはアルカリ若しくはアルカリ土類金属のアルコキシド類、例えばナトリウム若しくはカリウムメトキシド、ナトリウム若しくはカリウムエトキシドまたはカリウム-第三級ブトキシド、または有機アミン類、例えばトリアルキル-(C-C)-アミン類、例えばトリエチルアミン、またはヘテロ環アミン類、例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン(DBU)、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N-メチル-ピペリジンまたはN-メチルモルホリンである。アルカリ金属、例えば、ナトリウム、またはその水素化物、例えば水素化ナトリウムを用いることも可能である。上記塩基類は、必要により適宜、酸結合補助剤として用いることも可能である。
【0104】
脱水剤、例えばジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド-塩酸などのカルボジイミド類、またはカルボニルジイミダゾールなどのカルボニル化合物類、または2-エチル-5-フェニル-イソキサゾリウム-3-スルホン酸塩などの1,2-オキサゾリウム化合物、またはプロパンホスホン酸無水物またはクロロギ酸イソブチルまたはベンゾトリアゾリルオキシ-トリス-(ジメチルアミノ)ホスホニウム-ヘキサフルオロリン酸塩(BOP)またはジフェニルホスホルアミデートまたはメタンスルホニルクロライドは、もし好都合なら、例えばトリエチルアミンまたはN-エチルモルホリンまたはN-メチルピペリジンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、カップリング試薬として役立つことができる。
【実施例】
【0105】
下記の実施例は本発明を説明するために役立つがしかしこれに限定されない。
【0106】
実施例1
N-(4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン-炭酸塩
2-アセチルシクロヘキサノン(500μmol,Aldrich)をビスグアニジン3(1mmol)および炭酸カリウム(2.5mmol)と一緒にEtOH(2ml)に導入し、a)電子レンジ(10分,120oC)で、またはb)80℃で一晩変換した。反応が完結したら、全部の炭酸塩が溶解するまで反応混合物を水と混合し、一晩かけて沈殿した生成物を濾過した。t1.39; MS (pos. Ion.) m/z206.37 [M+H]+
【0107】
ビス-グアニジン-炭酸塩3(実施例1の試薬)
ジシアンジアミド(476mmol)、塩化アンモニウム(12mol)およびフェノール(120g)の混合物を6時間120-140℃にまで加熱した。反応混合物を水(500ml)に導入する処理のためとフェノールを除去するために、これをジエチルエーテルで数回抽出した。この生成物を飽和炭酸カリウム溶液を添加することによって沈殿させ、濾過分離した。メタノール3からの再結晶後に、炭酸塩の形態のほとんど無色の固体を得た。(Org. Lett. 2001, 3(24), 3887-3889)。
【0108】
実施例1の調製と類似の方法で、表2の実施例2〜26の化合物を対応する環式α-アシルケトン類から出発して調製した。生成物が結晶化しなかった場合はクロマトグラフィーによる精製をシリカゲル(溶離液:酢酸エチル/アセトン/水/酢酸 16:2:1:1)で行ない、生成物をアセテートとして対応的に単離した。炭酸塩とアセテートは両方ともこれらをメタノール性HClに溶解させ、次いで真空中で溶媒を除去することによって対応するHCl塩に変換することができた。
【0109】
表2は、実施例1-26による生成物の構造式(但し、得られた塩のアニオンを生ずる酸を含む)、対応する化合物名およびそれらの実験式、分子量、調製に用いた出発物質並びに物理データを示す。生成物はすべてラセミ体である。
【0110】
用いた環式α-アシルケトン類は、市販されているものから入手するか、あるいは文献から知られている方法により対応するシクロアルカノンから出発してアシル化により生成する(J. Med. Chem. 1989, 32(2), 351-357; J. Org. Chem. 2000, 65(21), 7145-7150; J. Med. Chem. 1971, 14(10), 997-998)。 方法の実施例を各種の化合物について以下に記載する。
【0111】
rac-2-アセチル-4-フェニル-シクロヘキサノン(実施例3の出発生成物)
4-フェニルシクロヘキサノン(10mmol, Lancaster)をベンゼン(5 ml)に溶解させた溶液を、NaH(20 mmol)を無水酢酸エチル(20 mmol)に含む縣濁液に滴下し、気体が完全に放出した後、反応混合物を40℃で3時間撹拌した。次いで、これを水と混合し、反応混合物をエーテルで3回抽出し、有機相を一緒に合わせ、水および飽和塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去した。ヘキサン/EtOAcが15:1のシリカゲルをもつカラムクロマトグラフィーによる精製後に清浄な生成物を得た。t 2.14; MS (pos. Ion.) m/z217.26 [M+H]+。 (J. Med. Chem. 1989, 32(2), 351-357)。
【0112】
表2の実施例4〜18の出発生成物を類似の方法で生成した。但し、実施例1に記載した方法に従って生成物をクロマトグラフィーで精製せずに粗生成物のまま変換した。
【0113】
rac-3-アセチル-4-オキソ-ピペリジン-1-カルボン酸第三級ブチルエステル(実施例19の出発生成物)
4-オキソ-ピペリジン-1-カルボン酸第三級ブチルエステル(2.5 mmol)を無水THF (1 ml)に溶解した溶液をLDA(2.76 mmol)を無水THF (2 ml)に溶解させたできたての新鮮な溶液に-78℃で添加し、この温度で2時間撹拌した。次いで、THF(1.5 ml)に溶解したアセチルイミダゾール(2.76 mmol)を滴下し、反応混合物を室温に温めながら一晩中撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、その後エーテルで3回抽出し、有機相を合わせて水と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を真空中で除去した。ヘキサン/EtOAc 5:1をもつシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによる精製後に生成物を黄色の油状物として得た。t 2.09; MS (neg. Ion.) m/z240.41 [M−H]。 (J. Med. Chem. 1989, 32(2), 351-357)。
【0114】
グアニジン誘導体への変換を実施例1に記載したと同じ方法で行なった。
【0115】
rac-5-イソプロピル-2-オキソ-シクロヘキサンカルバルデヒド(実施例20の出発生成物)
ジエチルエーテル(2 ml)に溶解したギ酸エチル(6 mmol)の溶液を、ナトリウムメトキシド(6 mmol)および4-イソプロピル-シクロヘキサノン(3 mmol)を無水ジエチルエーテル(3 ml)中に縣濁した縣濁液に滴下し、気体が完全に放出したのち、反応混合物を室温で一晩撹拌した。形成した固体を濾過分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空中で乾燥させた。生成物を淡黄色固体として得た。t 2.26; MS (pos. Ion.) m/z169.32 [M+H]+。 (J. Org. Chem. 2000, 65(21), 7145-7150)。
【0116】
表2の実施例21〜23の出発物質も実施例1に記載した方法と類似の方法で調製し、変換した。
【0117】
rac-4-第三級ブチル-2-(2,2,2-トリフルオロ-アセチル)-シクロヘキサノン(実施例24の出発生成物)
トリフルオロ酢酸エチル(6 mmol)をジエチルエーテル(2 ml)中に溶解した溶液を、ナトリウムメトキシド(6 mmol)および4-第三級ブチル-シクロヘキサノン (3 mmol)を無水ジエチルエーテル(3 ml)中に縣濁した縣濁液に滴下し、気体が完全に放出した後、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。水と混合後、この反応混合物をエーテルで3回抽出し、一緒にした有機相を水、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を真空中で除去した。このようにして得られた黄色油状物をビスグアニジン炭酸塩を用いて実施例1に記載した方法に従ってさらに精製せずに粗生成物のまま変換した。(J. Med. Chem. 1971, 14(10), 997-998)。
【0118】
表2の実施例25および26の出発生成物を実施例1に記載した方法と類似の方法で調製し、クロマトグラフィーによる精製を行なわずに粗生成物のまま変換した。
【0119】
分析方法
生成した化合物を、MassLynx−NT質量分析計を備えたウォーターズ・アライアンスLC(Waters Alliance LC)を用い、逆相HPLC(保持時間t)によって、GROM−SIL 120 ODS−4 HE HPLCカラム(粒度3μm、カラム長さ30mm、直径2mm)、水/0.06%ギ酸(A)とアセトニトリル/0.06%ギ酸(B)との、3分間でBを5%から95%とする直線勾配、流量0.3ml/分で分析した。
【表2】

【0120】
【表3】

【0121】
【表4】

【0122】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iのグアニジン誘導体
【化1】

[式中、Aは、CHまたはNを表し;
Bは、Rで置換されたNまたはC原子を表し;
Qは、置換されていてもよい炭素原子数3〜6の鎖を表し、炭素原子の一つまたは一つ以上は-N(R’)-、-O-または-S(O)で置換されていてもよく、このような原子または基が多数の場合、これらは同一でも異なっていてもよく;
、R’は、水素または置換基を表し;および
mは、0、1または2を表す]、
式Iの塩基性化合物の医薬として許容できる酸付加塩類、式Iの酸基含有化合物の医薬として許容できる塩基との塩類、式Iのヒドロキシ基またはカルボキシ基含有化合物の医薬として許容できるエステル類、並びにその水和物または溶媒和物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物、但し、Qは、ピリミジン環と共に、キナゾリン、シクロペンタピリミジン、シクロヘプタピリミジン、ピリドピリミジン、ピラノピリミジン、チオピラノピリミジン、ピリミドアゼピンまたはシクロオクタピリミジンの骨格を形成し、ピリミジン成分に3個の二重結合のみを含む。
【請求項3】
請求項1記載の化合物、但し、Qは、ピリジン環と共に、ピリジン、キノリン、シクロヘプタピリジン、シクロオクタピリジン、ピロロピリジン、ナフチリジン、ピリドアゼピン、フロピリジン、ピラノピリジン、チエノピリジンまたはチオピラノピリジンの骨格を形成し、ピリジン成分には3個の二重結合のみを含む。
【請求項4】
請求項1記載の化合物、但し、Qは、ピラジン環と共に、シクロペンタピラジン、ピロロピラジン、フロピラジン、チエノピラジン、キノキサリン、ピリドピラジン、ピラノピラジン、チアジアザナフタレン、シクロヘプタピラジン、トリアザベンゾシクロヘプタン、オキサジアザベンゾシクロヘプテン、またはチアジアザベンゾシクロヘプテンの骨格を形成し、ピラジン成分には3個の二重結合のみを含む。
【請求項5】
請求項1記載の化合物、但し、Qは、トリアジン環と共に、ジヒドロシクロペンタトリアジン、テトラヒドロベンゾトリアジン、テトラヒドロシクロヘプタトリアジン、ジヒドロピロロトリアジンまたはテトラヒドロピリドトリアジンの骨格を形成し、トリアジン成分には3個の二重結合のみを含む。
【請求項6】
請求項2記載の化合物、但し、Qは、ピリミジン環と共に、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピリミジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタピリミジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタピリミジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロピリミジンまたは5,6,7,8-テトラヒドロピリドピリミジンの骨格を形成する。
【請求項7】
請求項3記載の化合物、但し、Qは、ピリジン環と共に、6,7-ジヒドロ-5H-[1]ピリジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタ[b]ピリジン、ジヒドロピロロピリジン、ジヒドロフロピリジン、ジヒドロチエノピリジンまたは1,2,3,4-テトラヒドロナフチリジンの骨格を形成する。
【請求項8】
請求項4記載の化合物、但し、Qは、ピラジン環と共に、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピラジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタピラジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタピラジン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロピラジンまたは5,6,7,8-テトラヒドロピリドピラジンの骨格を形成する。
【請求項9】
請求項5記載の化合物、但し、Qは、トリアジン環と共に、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[1,2,4]トリアジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[1,2,4]トリアジン、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-1,2,4-トリアザベンゾシクロオクテン、6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-e][1,2,4]トリアジン、5,6,7,8-テトラヒドロ-ピリド[4,3-e][1,2,4]トリアジンまたは5,6,7,8-テトラヒドロ-ピリド[3,4-e][1,2,4]トリアジンの骨格を形成する。
【請求項10】
請求項1乃至3、6および7の一つに記載の化合物、但し、Bは、Rで置換された炭素原子である。
【請求項11】
請求項10記載の化合物、但し、Rは、水素、低級アルキル、ハロアルキル、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアルキルチオ基を表す。
【請求項12】
請求項11記載の化合物、但し、Rは、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロプロピルアミノ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、メチルスルファニルまたはエチルスルファニルを表す。
【請求項13】
請求項1乃至12の一つに記載の化合物、但し、Qにおいて、
- 炭素原子の一つが1個または2個の同一または異なる置換基を有している; または
- 炭素原子の数個がそれぞれ1個または2個の同一または異なる置換基を有している。
【請求項14】
一般式IIの請求項1乃至13の一つに記載の化合物。
【化2】

式中、R-Rは、水素、アルキル、アルカノイル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルカノイル、アルコキシアルキルカルバモイル、アルコキシアルキルチオカルバモイル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアルカノイル、アルキルアミド、アルキルアミノカルボニル、アルキルアリールアミノ、アルキルカルバモイル、アルキル-チオカルバモイル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキレンジオキシ、アルキルスルフィニル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アルキルチオ、アルキルスルホンアミド、アルキルチオアルキル、アルキニル、アミノ、アミノアルキル、アミノアルカノイル、アミノアシル、アルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、アルキルアミノアルカノイル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルカノイル、アルキルアミノカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキルオキシ、アリールアルキル、アリールアルキルアミド、アリールアルカノイル、アリールアミド、アリールアミノ、アリールアミノカルボニル、アリールカルバモイル、アリールチオカルバモイル、アリールオキシ、アリールオキシアルキル、アリールオキシアルカノイル、アリールオキシアルキルアミノ、アリールオキシアルキルカルバモイル、アリールオキシアルキルチオカルバモイル、アリールオキシカルボニル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシカルボニルアルカノイル、アリールオキシカルボニルアルキルアミノ、アリールオキシカルボニルアルキルカルバモイル、アリールオキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、アリールスルフィニル、アリールスルフィニルアルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルカノイル、アリールスルホンアミド、アリールチオ、アリールチオアルキル、アリールチオアルカノイル、カルボキシ、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミド、シアノ、シアノアルキル、シアノアルキルアミド、シアノアルカノイル、シクロアルキル、シクロアルキルアミド、シクロアルカノイル、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキル、シクロアルキルオキシ-カルボニルアルキルアミド、シクロアルキルオキシカルボニルアルカノイル、ジアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキルアミド、ジアルキルアミノアルカノイル、ジアリールアミノ、ホルミル、ホルミルアルキル、ハロゲン、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ハロアルキルアミド、ハロアルカノイル、ハロアルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアミド、ヘテロシクリルアルキルアミド、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキルアミド、ヘテロアリールオキシカルボニルアルカノイル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルアミド、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルカノイル、ヘテロシクリルアルキルアミノ、ヘテロシクリルアルキルアミド、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルカノイル、ヘテロアリールアルキルアミノ、ヘテロアリールアルキルアミド、ヘテロシクリルアルキルアミノカルボニル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシ-カルボニルアルカノイル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルアミノ、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルアミド、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルカノイル、メルカプトまたはニトロを意味する。
【請求項15】
請求項14記載の化合物、但し、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、第三ブチル、1,1-ジメチルプロピルまたはフェニルを意味する。
【請求項16】
請求項14または15記載の化合物、但し、R-Rは、もしこれらが水素と異なるならば、これらはメチルまたは別の低級アルキル基を意味する。
【請求項17】
一般式IIIの請求項1乃至13の一つに記載の化合物
【化3】

式中、R’は、アルキル、アルカノイル、アルケニル、アルキニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルコキシカルボニルアミノアルカノイル、アルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアルキルカルバモイル、アルコキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、アルキルチオカルバモイル、モノ-またはジ置換アミノアルカノイル、アリール、アリールアルキル、アリールアルコキシカルボニル、アリールアルカノイル、アリールカルバモイル、アルコキシアルカノイル、アルキルスルホニル、アリールチオカルバモイル、アリールオキシカルボニルアルキル、アリールオキシカルボニルアルカノイル、アリールオキシカルボニルアルキルカルバモイル、アリールオキシカルボニルアルキルチオ-カルバモイル、アリールスルホニル、シクロアルキル、シクロアルカノイル、シクロアルキルカルバモイル、シクロアルキルチオカルバモイル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキル、シクロアルキルオキシカルボニルアルカノイル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキルカルバモイル、シクロアルキルオキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルカノイル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルカルバモイル、ヘテロシクリルアルコキシカルボニルアルキルチオカルバモイル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキル、ヘテロアリールオキシカルボニルアルキルカルバモイルまたはヘテロアリールオキシカルボニルアルキルチオカルバモイルを意味する.
【請求項18】
請求項17記載の化合物、但し、R’は、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、2,2-ジメチルプロピオニル、シクロプロピルメチル、2-シクロヘキシルエチル、プロピニル、エチルオキシカルボニルエチル、ベンジル、n-ブチルオキシカルボニル、第三ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、3-メチルブチリル、ペンタノイル、フェニルアセチル、2-プロピルペンタノイル、シクロプロパンカルボニル、イソブチリル、3-ブテノイル、2-メトキシアセチル、プロパン-2-スルホニル、ブタン-1-スルホニル、メタンスルホニル、第三ブチルオキシカルボニルアミノプロピオニルまたは4-ジメチルアミノブチリルを意味する。
【請求項19】
rac-N-(4-メチル-6-プロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-イソプロピル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4,5-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジンおよび
rac-N-(6-第三ブチル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン。
【請求項20】
rac-N-(4-メチル-8-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-[6-(1,1-ジメチル-プロピル)-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル]-グアニジン;
rac-N-(8-第三ブチル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4,6-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタピリミジン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロ-シクロオクタピリミジン-2-イル)-グアニジンおよび
rac-N-(8-第二級ブチル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン。
【請求項21】
rac-N-(4,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(8-アリル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-イソプロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-第三ブチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(4-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタピリミジン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-プロピル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(8-シクロヘキセン-1-イル-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジンおよび
rac-N-(6-第三ブチル-4-トリフルオロメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン。
【請求項22】
rac-N-(6-フェニル-4-トリフルオロメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-[8-(2-シアノ-エチル)-4-メチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル]-グアニジン;
rac-N-(6-イソプロピル-4-トリフルオロメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キナゾリン-2-イル)-グアニジン;
rac-2-グアニジノ-4-メチル-7,8-ジヒドロ-5H-ピリド[4,3-d]ピリミジン-6-カルボン酸第三ブチルエステル;
rac-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-グアニジン;
rac-N-(7-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノキサリン-2-イル)-グアニジン;
rac-6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-グアニジン;
rac-N-(7-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-グアニジンおよび
N-(6-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-ベンゾ[1,2,4]トリアジン-3-イル)-グアニジン。
【請求項23】
治療活性成分として使用するための請求項1乃至22の一項記載の化合物。
【請求項24】
請求項1乃至22の一つに記載の化合物と不活性担体を含む医薬製品。
【請求項25】
疼痛および痛覚過敏、アルコール、向精神薬およびニコチン依存症の場合の離脱症候群の処置・治療のための、およびこれらの依存症の改善または除去のための、インスリン分泌、食物摂食、記憶機能、血圧、電解質およびエネルギー収支の調節・制御のための、尿失禁の治療のための使用、または対応する医薬製品の製造のための神経ペプチドFF受容体拮抗物質としての請求項1乃至22の一つに記載の化合物の使用。
【請求項26】
請求項1乃至22の1つに記載の化合物の製造方法であって、該方法は、
a) 下記式1の化合物のQに存在できる窒素原子をR’で保護するか、または置換して,
【化4】

式1の化合物をα位でアシル化するか、またはホルミル化してカルボニル基を形成し、得られた上記式5の化合物を上記式3のビスグアニジンで環縮合させて、上記IVの化合物を形成するか;あるいは
b) 式1の化合物のQに存在する窒素原子をR’で保護するか、または置換して、
【化5】

A) 上記式6〜8の化合物; または
B) 上記式10および11の化合物;または
C) 上記式12〜14の化合物
経由で上記式1の化合物を上記式9の化合物に変換し、さらに、この化合物を酸の存在下でシアナミドを用いて上記式Vの化合物に変換するか、あるいは、
c) 下記式1の化合物のQに存在できる窒素原子をR’で保護するか、または置換して、
【化6】

式1の化合物を上記式15の対応ジケトンに変換し、これを塩基の存在下でグリシンアミドと反応させ、得られた上記式17の化合物をハロゲン化して上記式18の対応塩素化合物を形成させ、これを塩基の存在下グアニジンを用いて上記式VIの化合物に変換させるか、あるいは
d) 式15の化合物のQに存在できる窒素原子をR’で保護するか、または置換して、式15の化合物を、
【化7】

A) セミカルバジドを用いて上記19の化合物に変換し、これを塩基の存在下で環化して上記式20の化合物を形成し、これをハロゲン化して上記式21の対応塩素化合物を形成し、そして、これを、
Aa) 塩基の存在下グアニジンを用いるか、あるいは
Ab) カリウムアミドまたはアンモニアを用いて上記式22の化合物に変換し、その後得られた上記式22の化合物をシアナミドと反応させて、
上記式VIIの化合物に変換させるか、あるいは
B) アミノグアニジンを用いて上記式22の化合物に変換させ、さらにこれをシアナミドを用いて上記式VIIの化合物に変換させ;
次に、窒素原子が存在できる該窒素原子に任意にある保護基を得られた当該化合物から脱離させ、任意にあるこの/これらの窒素原子をR’基を放出する試薬で対応的に置換し、得られた塩基化合物を医薬として許容できる酸付加塩、あるいは酸基を含有する得られた化合物を医薬として許容できる塩基との塩、あるいは得られたヒドロキシまたはカルボキシ基含有化合物を医薬として許容できるエステルに任意に変換し、および得られた生成物を水和物または溶媒和物に任意に変換する。

【公表番号】特表2007−504176(P2007−504176A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525025(P2006−525025)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000556
【国際公開番号】WO2005/023781
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】