説明

コンクリート成形体の製造方法及びコンクリート成形体

【課題】ポゾランを用いたフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造するときに、得られるコンクリート成形体の打ち肌面の黒色化や肌荒れを充分に防止することができるコンクリート成形体の製造方法及びこの製造方法により得られるコンクリート成形体を提供する。
【解決手段】下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とするコンクリート成形体の製造方法。
第1工程:セメント、ポゾラン、細骨材、水及び高性能AE減水剤を混合して、フレッシュモルタルを調製する工程
第2工程:第1工程で調製したフレッシュモルタルに、別に作製しておいた液状泡沫体を混合した後、更に粗骨材を混合して、フレッシュコンクリートを調製する工程
第3工程:第2工程で調製したフレッシュコンクリートを、予め離型剤を塗布しておいた型枠に打設した後、蒸気養生してコンクリート成形体を得る工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート成形体の製造方法及びコンクリート成形体に関し、なかでもポゾランを用いたフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造する方法及びこの方法により得られるコンクリート成形体に関する。ポゾランとは、シリカ質の微粉末やシリカ質及びアルミナ質の微粉末であって、それ自体に水硬性はないが、セメントの水和で生じる水酸化カルシウムと水が存在すると、常温で珪酸カルシウム塩やアルミン酸カルシウム塩等の不溶性化合物をつくるものをいう。かかるポゾランには、火山灰のような天然ポゾランと、シリカフュームやフライアッシュのような人工ポゾランとがある。ポゾランは、これを用いてフレッシュコンクリートを調製すると、フレッシュコンクリートの流動性を向上し、したがってそのワーカビリティーを改善すると共に、得られるコンクリート成形体に優れた耐久性や長期強度を与える。そのため、ポゾランを用いてフレッシュコンクリートを調製し、かかるフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造することが広く行なわれている。しかし、程度の差はあるが、前記のようなポゾラン、なかでも人工ポゾランには、炭素粒子が含まれている。炭素粒子は、疎水性であるうえ、フレッシュコンクリートを構成する他の材料成分と比重差が大きいため、フレッシュコンクリート中の液相を移動して、施工時に上面に浮き出て凝集したり、型枠と接する面で捕捉されて凝集する。その結果、得られるコンクリート成形体の打ち肌面に不規則な斑状や縞状の黒色模様となって表れ、打ち肌面それ自体も荒れたものとなって、いずれにしても外観を著しく損なう。本発明は、ポゾランを用いたフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造する場合であっても、得られるコンクリート成形体の打ち肌面の黒色化や肌荒れを充分に防止することができるコンクリート成形体の製造方法及びこの製造方法により得られるコンクリート成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポゾランを用いたフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造するとき、得られるコンクリート成形体の打ち肌面の黒色化を防止する方法として、フレッシュコンクリートの調製時に各種混和剤を用いる方法が知られている。これには例えば、1)アミン化合物を用いる例(例えば特許文献1参照)、2)セメント用分散剤と、炭素粒子用分散剤と、消泡剤とを用いる例(例えば特許文献2参照)、3)特定のHLB及びエチレンオキサイド基数を有する非イオン界面活性剤と、特定のエチレンオキサイド基数を有する陰イオン界面活性剤とを用いる例(例えば特許文献3参照)、4)ポリビニル化合物を用いる例(例えば特許文献4参照)、5)陽イオン界面活性剤や非イオン界面活性剤を用いる例(例えば特許文献5参照)等が挙げられる。
【0003】
ところが、これらの混和剤を用いる従来の方法には、得られるコンクリート成形体の打ち肌面の黒色化や肌荒れを充分に防止することができないという問題がある。
【特許文献1】特開平5−132347号公報
【特許文献2】特開2002−3264号公報
【特許文献3】特開2002−234763号公報
【特許文献4】特開2003−286060号公報
【特許文献5】特開2000−86311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ポゾランを用いたフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造するときに、得られるコンクリート成形体の打ち肌面の黒色化や肌荒れを充分に防止することができるコンクリート成形体の製造方法及びこの製造方法により得られるコンクリート成形体を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定の三つの工程を経てコンクリート成形体を製造する方法が正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とするコンクリート成形体の製造方法に係る。
第1工程:セメント、ポゾラン、細骨材、水及び高性能AE減水剤を混合して、フレッシュモルタルを調製する工程
【0007】
第2工程:第1工程で調製したフレッシュモルタルに、別に作製しておいた液状泡沫体を混合した後、更に粗骨材を混合して、フレッシュコンクリートを調製する工程
【0008】
第3工程:第2工程で調製したフレッシュコンクリートを、予め離型剤を塗布しておいた型枠に打設した後、蒸気養生してコンクリート成形体を得る工程
【0009】
また本発明は、以上のような本発明に係るコンクリート成形体の製造方法によって得られるコンクリート成形体に係る。
【0010】
先ず、本発明に係るコンクリート成形体の製造方法(以下単に本発明の製造方法という)について説明する。本発明の製造方法は、第1工程、第2工程及び第3工程を経るものである。第1工程では、セメント、ポゾラン、細骨材、水及び高性能AE減水剤を混合して、フレッシュモルタルを調製する。
【0011】
第1工程で混合するセメントとしては、普通セメント、中庸熱セメント、低熱セメント、早強セメント、超早強セメント、耐硫酸塩セメント等の各種ポルトランドセメントの他に、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメント、更には超速硬セメント、アルミナセメント、白色セメント、油井セメント等が挙げられる。
【0012】
第1工程で混合するポゾランとしては、火山灰のような天然ポゾラン、シリカフューム、ボトムアッシュ、シンダーアッシュ、フライアッシュのような人工ポゾランが挙げられる。これらはいずれも、程度の差はあるが、炭素粒子を含んでいる。なかでも本発明の製造方法は、ポゾランとして、非晶質の二酸化珪素を主成分とする粒子径が1μm以下のシリカヒューム、JIS−A6201に規定されている品質を有し且つ未燃カーボン粒子による強熱減量が5以下のフライアッシュを混合する場合に効果の発現が高い。
【0013】
第1工程で混合する細骨材としては、川砂、山砂、海砂、砕砂等が挙げられる。
【0014】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としては、それ自体は公知のものが挙げられる。これには例えば、1)ポリカルボン酸系ビニル共重合体、2)ポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物、3)ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とリグニンスルホン酸塩変性物との混合物、4)ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と架橋ポリマーとの混合物、5)メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とオキシカルボン酸又はその塩との混合物、6)メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と糖類との混合物、7)アミノベンゼンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。なかでもポリカルボン酸系ビニル共重合体、ポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とリグニンスルホン酸塩変性物との混合物、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と架橋ポリマーとの混合物が好ましく、ポリカルボン酸系ビニル共重合体、ポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物がより好ましい。
【0015】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのポリカルボン酸系ビニル共重合体としては、それ自体は公知のものが挙げられるが、なかでもα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩とこれと共重合可能な単量体とを共重合した水溶性ビニル共重合体が好ましい。かかるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩としては、1)(メタ)アクリル酸、2)(メタ)アクリル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩、3)(メタ)アクリル酸のカルシウム塩、マグネシウム塩等の(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩、4)(メタ)アクリル酸のジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の(メタ)アクリル酸有機アミン塩、5)イタコン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のイタコン酸アルカリ金属塩等が挙げられるが、なかでも(メタ)アクリル酸ナトリウム塩が好ましい。
【0016】
またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩と共重合可能な単量体としては、それ自体は公知のラジカル重合性単量体が挙げられる。これには例えば、1)アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等、以上のようなエチレン性不飽和モノカルボン酸、2)マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等、以上のようなエチレン性不飽和ジカルボン酸、3)マレイン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のマレイン酸アルカリ金属塩、マレイン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩等のマレイン酸アルカリ土類金属塩、マレイン酸のジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のマレイン酸有機アミン塩、フマル酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のフマル酸アルカリ金属塩、フマル酸のカルシウム塩、マグネシウム塩等のフマル酸アルカリ土類金属塩、フマル酸のジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のフマル酸有機アミン塩、シトラコン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のシトラコン酸アルカリ金属塩、シトラコン酸のカルシウム塩、マグネシウム塩等のシトラコン酸アルカリ土類金属塩、シトラコン酸のジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のシトラコン酸有機アミン塩等、以上のようなエチレン性不飽和ジカルボン酸塩、4)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メチルクロトナート、エチルクロトナート、ブチルクロトナート、ステアリルクロトナート等、以上のようなエチレン性不飽和モノカルボン酸エステル、5)マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル等、以上のようなエチレン性不飽和ジカルボン酸エステル、6)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等、以上のような水酸基を有する不飽和カルボン酸エステル、7)スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等、以上のような芳香族ビニル単量体、8)ポリエチレングリコール(メタ)アリルエーテル、(メトキシ)ポリエチレングリコールイソプロペニルエーテル等、以上のような不飽和エーテル化合物、9)モノメトキシポリエチレングリコール、モノエトキシポリエチレングリコール、モノ(イソ)プロポキシポリエチレングリコール、モノブトキシポリエチレングリコール、モノペントキシポリエチレングリコール等の炭素数1〜5のアルコキシ基を有するモノアルコキシポリエチレングリコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、10)ポリエチレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールと、(メタ)アクリル酸とのモノエステル化合物、11)ポリエチレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールと、エチレン性不飽和ジカルボン酸とのモノエステル化合物、12)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、2−スルホエチル(メタ)アクリレート(塩)、ビニルスルホン酸(塩)、ヒドロキシアリルオキシプロパンスルホン酸(塩)、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸(塩)、スチレンスルホン酸(塩)等、以上のようなスルホン酸基含有ビニル単量体等が挙げられる。
【0017】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としては、前記のようなα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩とこれと共重合可能なビニル単量体とを共重合した水溶性ビニル共重合体が好ましいが、なかでも、α、β−エチレン性不飽和モノカルボン酸叉はその塩/これと共重合可能なビニル単量体=50/50〜90/10(モル比)の割合で共重合した水溶性ビニル共重合体がより好ましい。とりわけ、共重合可能なビニル単量体として、(メタ)アリルスルホン酸塩及びモノアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートを用いたものが好ましく、なかでも、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸叉はその塩/(メタ)アリルスルホン酸塩/モノアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート=50〜90/5〜25/5〜40(モル比)の割合で共重合した水溶性ビニル共重合体がより好ましい。かかる水溶性ビニル共重合体は、数平均分子量が通常は1000〜50000(GPC法、プルラン換算、以下同じ)のものとするが、好ましくは2000〜20000のものとする。以上説明した水溶性ビニル共重合体それ自体は、公知の方法、例えば特開平1−226757号公報や特開平3−28149号公報に記載された方法で合成できる。
【0018】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物としては、それ自体は公知のものが挙げられる。架橋ポリマーと混合するポリカルボン酸系ビニル共重合体については前記したことと同じである。架橋ポリマーとしては、1)(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸(塩)系単量体及び/又は(メタ)アクリル酸アルキル系単量体と、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体とを反応させて得られる架橋ポリマー、2)(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と(メタ)アクリル酸(塩)系単量体との反応物である水溶性プレポリマーと、多価グリシジル化合物とを反応させて得られる架橋ポリマー、3)(ポリ)アルキレングリコールジカルボン酸モノエステル系単量体と(メタ)アクリル酸(塩)系単量体との反応物である水溶性プレポリマーと、多価グリシジル化合物とを反応させて得られる架橋ポリマー等が挙げられる。かかる架橋ポリマーの質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリスチレン換算)は特に制限されないが、1000〜500000の範囲とするのが好ましい。以上説明した架橋ポリマーは、公知の方法、例えば特開平2−281014号公報、特開平3−75252号公報、特開平6−157100号公報に記載された方法で合成できる。ポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物における双方の割合は特に制限されないが、ポリカルボン酸系ビニル共重合体/架橋ポリマー=70/30〜99/1(質量比)とするのが好ましい。
【0019】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とリグニンスルホン酸塩変性物との混合物としては、それ自体は公知のものが挙げられる。ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物としては、1)ナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩のホルマリン縮合物、2)ナフタレンスルホン酸のアルカリ土類金属塩のホルマリン縮合物、3)アルキル基の炭素数が1〜14であるアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩のホルマリン縮合物、4)アルキル基の炭素数が1〜14であるアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ土類金属塩のホルマリン縮合物、5)ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン・ナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩のホルマリン縮合物、6)ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン・ナフタレンスルホン酸のアルカリ土類金属塩のホルマリン縮合物、7)前記1)〜6)の二つ以上の混合物等が挙げられるが、なかでもナフタレンスルホン酸のアルカリ金属塩のホルマリン縮合物が好ましい。かかるナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物の平均重合度は通常は2〜15とするが、3〜8とするのが好ましい。またリグニンスルホン酸塩変性物としては、1)リグニンスルホン酸又はその塩と、官能基を有するアクリル系モノマーとをグラフト共重合したリグニンスルホン酸塩変性物、2)リグニンスルホン酸又はその塩と、官能基を有するビニル系モノマーとをグラフト共重合したリグニンスルホン酸塩変性物、3)リグニンスルホン酸又はその塩にナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物を付加したリグニンスルホン酸塩変性物等が挙げられる。かかるリグニンスルホン酸塩変性物の質量平均分子量は特に制限されないが、1000〜500000の範囲とするのが好ましい。以上説明したリグニンスルホン酸塩変性物としては、例えば特開昭56−164051号公報に記載されたものが挙げられる。ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とリグニンスルホン酸塩変性物との混合物における双方の割合は特に制限されないが、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物/リグニンスルホン酸塩変性物=50/50〜90/10(質量比)とするのが好ましい。
【0020】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と架橋ポリマーとの混合物としては、それ自体は公知のものが挙げられる。ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物や架橋ポリマーについては前記したことと同じである。ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と架橋ポリマーとの混合物における双方の割合は特に制限されないが、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物/架橋ポリマー=80/20〜99/1(質量比)とするのが好ましい。
【0021】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とオキシカルボン酸又はその塩との混合物としては、それ自体は公知のものが挙げられる。メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物としては、1)メラミンとホルマリンと亜硫酸塩類とを重合したメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物、2)メラミンと尿素とホルマリンと亜硫酸塩類とを重合したメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。ここで用いる亜硫酸塩類としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物は、その20質量%水溶液の20℃における粘度が5×10−3〜40×10−3Pa・sの範囲となるものが好ましい。またオキシカルボン酸としては、グルコヘプトン酸、グルコン酸、ガラクトン酸、粘液酸、クエン酸、アラボン酸、エリスロン酸、酒石酸、リンゴ酸、アミノ酸、グリセリン酸、グルコール酸等が挙げられる。更にオキシカルボン酸の塩としては、前記したオキシカルボン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩が挙げられる。メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とオキシカルボン酸(塩)との混合物における双方の割合は特に制限されないが、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物100質量部当たりオキシカルボン酸又はその塩を5〜50質量部とするのが好ましい。
【0022】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と糖類との混合物としては、それ自体は公知のものが挙げられる。メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物については前記したことと同じである。糖類としては、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビトース、リボース、異性化糖等の単糖類、マルトース、シュークロース、ラクトース等の二糖類、ラフィノース等の三糖類、デキストリン等のオリゴ糖類等が挙げられる。メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と糖類との混合物における双方の割合は特に制限されないが、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物100質量部当たり糖類を5〜50質量部とするのが好ましい。
【0023】
第1工程で混合する高性能AE減水剤としてのアミノベンゼンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物としては、アミノベンゼンスルホン酸塩とフェノールとアルキル基置換フェノールとのホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。ここで用いるアミノベンゼンスルホン酸塩としては、アミノベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、アミノベンゼンスルホン酸アルカリ土類金属塩が挙げられる。アミノベンゼンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物の平均重合度は通常2〜15とするが、3〜8とするのが好ましい。
【0024】
本発明の製造方法の第1工程では、セメント、ポゾラン、細骨材、水及び高性能AE減水剤を混合して、フレッシュモルタルを調製する。第1工程で調製するフレッシュモルタルは、セメントの単位量が通常は300〜450kg/m、好ましくは330〜400kg/m、ポゾランの単位量が通常は50〜300kg/m、好ましくは70〜200kg/m、細骨材の単位量が通常は600〜900kg/m、好ましくは700〜850kg/m、水の単位量が通常は150〜220kg/m、好ましくは160〜180kg/mのものとし、且つ高性能AE減水剤をセメント100重量部当たり通常は0.2〜4重量部、好ましくは0.3〜2.5重量部の割合となるように混合したものとする。
【0025】
本発明の製造方法の第1工程では、以上説明したように、セメント、ポゾラン、細骨材、水及び高性能AE減水剤を混合して、フレッシュモルタルを調製する。調製方法それ自体は公知の方法を適用できる。これには例えば、1)セメント、ポゾラン、細骨材、高性能AE減水剤及び水をミキサーに投入し、30秒〜2分間練り混ぜる方法、2)セメント、ポゾラン及び細骨材をミキサーに投入して空練りした後、高性能AE減水剤及び水を投入し、30秒〜2分間練り混ぜる方法等が挙げられる。この場合、ミキサーとしては、パン型強制ミキサー、2軸強制ミキサー、可傾式ミキサー等を使用できる。
【0026】
本発明の製造方法の第2工程では、第1工程で調製したフレッシュモルタルに、別に作製しておいた液状泡沫体を混合した後、更に粗骨材を混合して、フレッシュコンクリートを調製する。
【0027】
第2工程で混合する液状泡沫体としては、空気、水、空気連行剤及びカプセル基剤から作製したもの、空気、水、空気連行剤、カプセル基剤及び抑泡剤から作製したもの等が挙げられる。これらの各成分をそれ自体は公知の例えば起泡・発泡装置へ供することにより、多数の微細気泡を含有する液状体すなわち液状泡沫体とすることができる。
【0028】
液状泡沫体の成分である空気連行剤としては、1)脂肪酸石鹸、アルケニルコハク酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、天然油脂の硫酸化物の塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸エステル塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩等、以上のようなアニオン界面活性剤、2)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル等、以上のようなポリオキシアルキレン基を有する非イオン界面活性剤、3)ソルビタンモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート等、以上のような多価アルコール部分エステル型の非イオン界面活性剤、4)アルキルジメチルベタイン、アルキルイミダゾリンのベタイン化合物等、以上のような両性界面活性剤、5)アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩等、以上のようなカチオン界面活性剤等が挙げられるが、なかでもアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0029】
また液状泡沫体の成分であるカプセル基剤としては、1)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等、以上のような合成高分子、2)ゼラチン、カゼイン、でんぷん、グアーガム、キサンタンガム等、以上のような天然高分子、3)メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、可溶性でんぷん、アルギン酸塩等、以上のような半合成高分子等が挙げられるが、なかでもポリビニルアルコール、メチルセルロースが好ましい。
【0030】
更に液状泡沫体の成分である抑泡剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系抑泡剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系抑泡剤、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール系抑泡剤、シリコーン系抑泡剤等が挙げられるが、なかでもポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系抑泡剤が好ましい。
【0031】
第2工程で混合する液状泡沫体を、空気、水、空気連行剤及びカプセル基剤から作製する場合、水/空気連行剤/カプセル基剤=40〜95/0.2〜10/4〜50(重量%)となる割合で用いるのが好ましく、また空気、水、空気連行剤、カプセル基剤及び抑泡剤から作製する場合、水/空気連行剤/カプセル基剤/抑泡剤=40〜95/0.2〜10/3〜50/0.1〜5(重量%)となる割合で用いるのが好ましい。以上のような割合で各成分を起泡・発泡装置に供して、液状泡沫体を作製する。かかる液状泡沫体の泡径とその割合は特に制限されないが、泡径10〜50μmの部分を20〜60質量%、泡径10μm以下の部分を20〜60質量%、泡径50μm超の部分を20質量%未満(合計100質量%)の割合で有するものが好ましい。起泡・発泡装置それ自体は、公知のものを適用できる。これには例えば、特開昭63−156526号公報や特開平4−255303号公報に記載されている装置が挙げられるが、市販品としては明光油剤社製のマイクロエアーカプセル生成装置が挙げられる。
【0032】
本発明の製造方法の第2工程では、第1工程で調製したフレッシュモルタルに液状泡沫体を混合する。混合は通常、液状泡沫体の気泡がフレッシュモルタル中へ均一分散するまで行なう。液状泡沫体は、フレッシュモルタル1m当たり0.1〜20kgの割合となるよう混合するのが好ましく、1〜5kgの割合となるよう混合するのがより好ましい。
【0033】
本発明の製造方法の第2工程では、前記したように、第1工程で調製したフレッシュモルタルに別に作製しておいた液状泡沫体を混合した後、更に粗骨材を混合して、フレッシュコンクリートを調製する。ここで混合する粗骨材としては、川砂利、砕石、軽量骨材等が挙げられる。粗骨材を混合する時間は、通常は30秒〜2分間とする。
【0034】
第2工程で調製するフレッシュコンクリートは、粗骨材の単位量が通常は400〜1200kg/m、好ましくは500〜1000kg/mのものとし、またスランプフロー値が通常は40〜80cm、好ましくは65〜75cm、50cmフロー到達時間が通常は1〜10秒、好ましくは3〜6秒のものとする。
【0035】
本発明の製造方法の第3工程では、第2工程で調製したフレッシュコンクリートを、予め離型剤を塗布しておいた型枠に打設した後、蒸気養生してコンクリート成形体を得る。
【0036】
第3工程で型枠に塗布する離型剤としては、それ自体は公知のものを適用できるが、滴点が50〜120℃のワックスを乳化した水性液であって、且つ該水性液の平均粒子径が0.05〜5μmのものが好ましい。滴点が50〜120℃のワックスとしては、1)パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸メチル、ベヘニン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル、リグノセリン酸メチル、リグノセリン酸エチル、セロチン酸メチル、セロチン酸エチル、セロチン酸セリル、モンタン酸メチル、モンタン酸エチル、メリシン酸メチル、メリシン酸エチル等の、脂肪族モノカルボン酸と脂肪族1価アルコールとから得られるエステル化合物、2)モノミリスチングリセライド、モノパルミチングリセライド、モノステアリングリセライド、ジミリスチングリセライド、ジパルミチングリセライド、ジステアリングリセライド、モノステアリンモノパルミチングリセライド、トリパルミチングリセライド、トリステアリングリセライド、モノパルミチンジステアリングリセライド、ジパルミチンモノステアリングリセライド等のグリセライド、3)カルナバロウ、ミツロウ、虫白ロウ等の天然ロウ、4)鉱物系のモンタンワックス、石油系のパラフィンワックス等の天然ワックス、5)エチレン等を原料として合成されるポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等の合成ワックス等が挙げられる。なかでも炭素数16〜22の脂肪族1価アルコールと炭素数16〜22の脂肪族モノカルボン酸とから得られるエステル化合物、炭素数22〜30の脂肪族モノカルボン酸のメチルエステル、炭素数24〜30の脂肪族モノカルボン酸のエチルエステルが好ましく、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルがより好ましい。
【0037】
滴点が50〜120℃のワックスを乳化した水性液は、前記したように平均粒子径が0.05〜5μmのものが好ましいが、平均粒子径が0.1〜4μmのものがより好ましい。かかる平均粒子径の水性液それ自体は公知の方法で調製することができる。例えば、滴点が50〜120℃のワックスとアミノエーテル型非イオン界面活性剤とを溶融混合し、その溶融混合物を攪拌しながらこれに90℃以上の熱水を加えて高温分散液とした後、ホモジナイザー処理し、急冷して、ワックスを所望の平均粒子径で乳化した水性液を得ることができる。
【0038】
型枠への離型剤の塗布量は、塗布により型枠表面に形成される離型剤の乾燥皮膜の厚みが0.5〜4μmとなるようにするのが好ましい。また型枠への離型剤の塗布法は、それ自体は公知の刷毛塗布法、モップ塗布法、スプレー塗布法等、いずれでもよい。
【0039】
第3工程では、第2工程で調製したフレッシュコンクリートを、予め離型剤を塗布しておいた型枠に打設する。打設方法は、それ自体は公知の振動締固め、加圧締固め、振動・加圧締固め、遠心力締固め、ロール転圧締固め等、いずれでもよい。
【0040】
型枠に打設したフレッシュコンクリートは蒸気養生する。通常は、常温及び常圧下で1〜5時間の前養生を行った後、蒸気養生する。蒸気養生は通常、10〜20℃/時間の昇温速度で50〜65℃まで昇温し、0〜4時間の保温後、室温まで徐冷することで行なう。かくして蒸気養生した後、脱型して、コンクリート成形体を得る。かかるコンクリート成形体は、黒色化が殆どなく、また凹凸の殆どない滑らかな打ち肌面を有している。
【0041】
次に、本発明に係るコンクリート成形体(以下単に本発明の成形体という)について説明する。本発明の成形体は、以上説明した本発明の製造方法によって得られるコンクリート成形体である。本発明の成形体は、前記したように、黒色化が殆どなく、また凹凸の殆どない滑らかな打ち肌面を有しており、しかも8〜20Nの強度を有している。かかる本発明の成形体は、JIS−A5361に記載されているプレキャストコンクリート製品として、具体的には、1)無筋コンクリート管、鉄筋コンクリート管等の暗渠類、2)平板、境界ブロック等の舗装・境界ブロック類、3)L形側溝、U形側溝等の路面排水溝類、4)積みブロック、鉄筋コンクリート矢板、L形擁壁等の擁壁類、5)鉄筋コンクリートくい、プレストレストコンクリートくい等のくい類、6)マンホール側塊、組み立てマンホール等のマンホール類、7)矢板、フリューム等の用排水路類、8)ケーブルトラフ、共同溝等の共同溝類等として利用できる。
【0042】
以上、本発明の製造方法及び本発明の成形体について説明したが、本発明の製造方法でも、フレッシュコンクリートを調製するときに通常用いられる混和材等を使用することができる。これには例えば、促進剤、遅延剤、防錆剤、収縮低減剤、水和熱低減剤等の混和剤、高炉スラグ微粉末、石灰石微粉末、膨張材等の混和材、高炉スラグ骨材、溶融スラグ骨材、人工軽量骨材、重量骨材、プラスチック骨材等の人工骨材、鋼繊維、ガラス繊維、プラスチック繊維、炭素繊維等の繊維補強材が挙げられる。これらの混和材等は通常、第1工程でフレッシュモルタルを調製するときに使用する。
【発明の効果】
【0043】
本発明の製造方法によると、ポゾランを用いたフレッシュコンクリートからコンクリート成形体を製造するときに、得られるコンクリート成形体の打ち肌面の黒色化や肌荒れを充分に防止することができる。
【0044】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は重量部を、また%は重量%を意味する。
【実施例】
【0045】
試験区分1(フレッシュコンクリートの調製)
・フレッシュコンクリート(P−1)〜(P−12)の調製
表1に記載の調合条件となるよう、50Lのパン型強制ミキサーに、セメント、ポゾラン及び細骨材を順次投入し、更に高性能AE減水剤及び水を投入して、20℃で2分間練り混ぜ、フレッシュモルタルを調製した(第1工程)。次に、表3に記載の調合条件となるよう、調製したフレッシュモルタルに表2に記載の組成を有する液状泡沫体を混合した後、粗骨材を投入して2分間練り混ぜ、フレッシュコンクリートを調製した(第2工程)。ここで調製したフレッシュコンクリート(P−1)〜(P−12)の内容を表4にまとめて示した。
【0046】
【表1】

【0047】
表1において、
セメント:普通ポルトランドセメント(比重3.16、ブレーン値3400)
細骨材:飛騨川水系産砂(比重2.55)
A−1:シリカヒューム(密度2.2g/cm、炭素含有量1.5重量%)
A−2:フライアッシュ(密度2.1g/cm、炭素含有量3.5重量%)
A−3:フライアッシュ(密度2.21g/cm、比表面積3150cm/g、強熱減量4.1%)/石灰石微粉末(密度2.71g/cm、比表面積3100cm/g、炭酸カルシウム分96.5%)=37/63(重量比)の混合物
B−1:メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位/メトキシポリエチレングリコール(オキシエチレン単位の数が9、以下n=9という)メタクリル酸エステルから形成された構成単位=70/10/20(モル比)の割合から成る質量平均分子量7000のポリカルボン酸系ビニル共重合体
B−2:メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位/メトキシポリエチレングリコール(n=23)メタクリル酸エステルから形成された構成単位=65/15/20(モル比)の割合から成る質量平均分子量9000のポリカルボン酸系ビニル共重合体
B−3:{メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/メタリルスルホン酸ナトリウムから形成された構成単位/メトキシポリエチレングリコール(n=50)メタクリル酸エステルから形成された構成単位=85/10/5(モル比)の割合から成る質量平均分子量12000のポリカルボン酸系ビニル共重合体}/{メトキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリル酸エステルから形成された構成単位/メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルから形成された構成単位=40/50/10(質量比)の割合から成る質量平均分子量51000の架橋ポリマー}=85/15(質量比)の混合物
B−4:平均重合度4のナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物/質量平均分子量20000のリグニンスルホン酸カルシウム−アクリルアミド変性物=80/20(質量比)の混合物
B−5:平均重合度6のナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物/{メトキシポリエチレングリコール(n=30)メタクリル酸エステルから形成された構成単位/メタクリル酸ナトリウムから形成された構成単位/1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルから形成された構成単位=60/30/10(質量比)の割合から成る質量平均分子量36000の架橋ポリマー}=90/10(質量比)の混合物
B−6:20質量%水溶液の20℃における粘度が15×10−3Pa・sのメラミンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物とグルコン酸との混合物であって、該メラミンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物100質量部当たりグルコン酸が25質量部の割合の混合物
B−7:20質量%水溶液の20℃における粘度が23×10−3Pa・sのメラミンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物とグルコースとの混合物であって、該メラミンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物100質量部当たりグルコースが8質量部の割合の混合物
B−8:平均重合度6のアミノベンゼンスルホン酸ナトリウム/フェノール/プロピルフェノール/ホルムアルデヒド=1/1/1/3(モル比)の割合で反応させたアミノベンゼンスルホン酸ホルマリン縮合物
高性能AE減水剤の使用量:セメント100部当たりの高性能AE減水剤の使用部
【0048】
【表2】

【0049】
表2において、
使用量:単位kg
D−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
D−2:ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
D−3:ラウリル硫酸ナトリウム
E−1:ポリビニルアルコール(信越化学工業社製の商品名信越ポバールPA−05S、けん化度88モル%、4%水溶液の20℃における粘度5MPa・s)
E−2:メチルセルロース(信越化学工業社製の商品名メトローズHi90SH−4000)
F−1:ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系抑泡剤(竹本油脂社製の商品名OA−7−43PO)
F−2:ポリエチレンポリプロピレングリコール系抑泡剤(竹本油脂社製の商品名AFK−2)
【0050】
【表3】

【0051】
表3において、
粗骨材:飛騨川産砕石(比重2.75)
C−1〜C−3:表2に記載した組成の液状泡沫体
【0052】
【表4】

【0053】
表4において、
液状泡沫体の使用量:フレッシュモルタル1m当たりの液状泡沫体の使用量(kg)
【0054】
・フレッシュコンクリート(R−1)の調製
いずれも表1又は表2に記載のものを用い、100Lのパン型強制ミキサーに、セメント13.50部、ポゾラン(A−1)2.00部及び細骨材40.15部を順次投入し、更に高性能AE減水剤(B−1)0.20部及び水8.30部を投入してから、液状泡沫体(C−1)0.15部及び粗骨材50.50部を同時に投入して、20℃で3分間練り混ぜ、フレッシュコンクリート(R−1)を調製した。
【0055】
・フレッシュコンクリート(R−2)の調製
いずれも表1又は表2に記載のものを用い、100Lのパン型強制ミキサーに、セメント15.00部、ポゾラン(A−1)11.40部、細骨材40.45部及び粗骨材37.00部を順次投入し、更に高性能AE減水剤(B−1)0.3部、N,N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン0.0045部及び水8.50部を投入して、20℃で2分間練り混ぜ、フレッシュコンクリート(R−2)を調製した。
【0056】
・フレッシュコンクリート(R−3)の調製
N,N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン0.0045部に代えてセチルトリメチルアモニウムブロマイド0.45部及び消泡剤としてポリオキシエチレンメチルエーテル系消泡剤(数平均分子量3000)0.05部を用いたこと以外はフレッシュコンクリート(R−2)の場合と同様にして、フレッシュコンクリート(R−3)を調製した。
【0057】
・フレッシュコンクリート(R−4)の調製
N,N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン0.0045部に代えてポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸エステルナトリウム(オキシエチレン単位の数が3)0.00715部及び消泡剤としてポリオキシエチレンメチルエーテル系消泡剤0.011部を用いたこと以外はフレッシュコンクリート(R−2)の場合と同様にして、フレッシュコンクリート(R−4)を調製した。
【0058】
・フレッシュコンクリート(R−5)の調製
N,N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン0.0045部に代えてポリビニルアルコール(信越化学工業社製の商品名信越ポバールPA−05S、けん化度88モル%、4%水溶液の20℃における粘度5MPa・s)0.3部を用いたこと以外はフレッシュコンクリート(R−2)の場合と同様にして、フレッシュコンクリート(R−5)を調製した。
【0059】
・フレッシュコンクリート(R−6)の調製
N,N−(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン0.0045部に代えてポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(オキシエチレン単位の数が8)0.02部及び消泡剤としてポリオキシエチレンメチルエーテル系消泡剤0.1部を用いたこと以外はフレッシュコンクリート(R−2)の場合と同様にして、フレッシュコンクリート(R−6)を調製した。
【0060】
試験区分2(成形体の製造)
・実施例1〜34及び比較例1〜7
試験区分1で調製したフレッシュコンクリートを次のように型枠へ打設し、硬化させ、脱型して、成形体を製造した。型枠としては、直径15cm×高さ30cmの鉄製有底円筒型枠を使用した。型枠の内面に表6に記載の離型剤の水性液を、刷毛塗布法により乾燥後の厚みが表5に記載の厚みとなるよう塗布した後、風乾した。次いで型枠内へ試験区分1で調製したフレッシュコンクリートを投入した。2時間気中養生した後、蒸気養生室にて毎時20℃の温度上昇速度で60℃まで昇温し、60℃で3時間蒸気養生した(第3工程)。その後、放冷し、鉄製有底円筒型枠から外して、コンクリート成形体を得た。ここでフレッシュコンクリートの型枠への打設から脱型までの時間を24時間とした。各例の内容を表5にまとめて示した。






【0061】
【表5】

【0062】
表5において、
M−1〜M−6:表6に記載の離型剤






【0063】
【表6】

【0064】
表6において、
平均粒径:レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により測定した値
滴点:JIS−K2220に記載の滴点試験法により測定した値
【0065】
試験区分3(評価その1)
試験区分1で調製したフレッシュコンクリートについて、スランプフロー及び空気量を次のように測定し、結果を表7にまとめて示した。
・スランプフロー:JIS−A1150に準拠し、測定した。
・空気量:JIS−A1128に準拠し、測定した。
【0066】
【表7】

【0067】
試験区分4(評価その2)
試験区分2で得たコンクリート成形体について、圧縮強度、長さ安定性、骨材分離状況、打肌面の黒色化防止性及び打肌面の平滑性を次のように評価した。結果を表8にまとめて示した。
・圧縮強度:JIS−A1108に準拠して測定した値を下記の基準で評価した。
○:脱型できる強度を有しており、且つ材齢28日の設計基準強度を満足している。
△:脱型できる強度を有しているが、材齢28日の設計基準強度に達していない。
×:脱型ができる強度を有していない。
【0068】
・長さ安定性:JIS−R5201に準拠して測定し、測定値を下記の基準で評価した。
◎:ひずみが元の長さの0.06%未満
○:ひずみが元の長さの0.06%以上0.07%未満
△:ひずみが元の長さの0.07%以上0.08%未満
×:ひずみが元の長さの0.08%以上
【0069】
・骨材分離状況の評価:コンクリート成形体における骨材の状態を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
○:分離なし
×:分離あり
【0070】
・打肌面の黒色化防止性の評価:コンクリート成形体の打肌面(型枠剥離面)を肉眼観察し、下記の基準で評価した。
◎:色斑が無く、均質であり、外観が極めて良好。
○:色斑が無く、均質であり、外観が良好。
△:極く僅かに黒色の斑点があり、外観がやや汚い。
×:明らかに黒色の色斑模様があり、外観が汚い。
【0071】
・打肌面の平滑性の評価:コンクリート成形体の打肌面(型枠剥離面)の全面に存在する気泡径5mm以上の気泡数を数え、下記の基準で評価した。
◎:気泡径5mm以上の気泡数0〜1個(極めて美麗である)
○:気泡径5mm以上の気泡数2〜3個(美麗である)
△:気泡径5mm以上の気泡数4〜6個(少し荒れている)
×:気泡径5mm以上の気泡数7個以上(極めて荒れている)

















【0072】
【表8】

【0073】
表8において、
比較例2:フレッシュコンクリート(P−1)を型枠内へ打設し、蒸気養生することなく、3日間室温放置した後、脱型して、コンクリート成形体とした例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とするコンクリート成形体の製造方法。
第1工程:セメント、ポゾラン、細骨材、水及び高性能AE減水剤を混合して、フレッシュモルタルを調製する工程
第2工程:第1工程で調製したフレッシュモルタルに、別に作製しておいた液状泡沫体を混合した後、更に粗骨材を混合して、フレッシュコンクリートを調製する工程
第3工程:第2工程で調製したフレッシュコンクリートを、予め離型剤を塗布しておいた型枠に打設した後、蒸気養生してコンクリート成形体を得る工程
【請求項2】
第1工程で調製するフレッシュモルタルが、セメントの単位量300〜450kg/m、ポゾランの単位量50〜300kg/m、細骨材の単位量600〜900kg/m及び水の単位量150〜220kg/mのものであって、且つ高性能AE減水剤をセメント100重量部当たり0.2〜4重量部の割合となるよう混合したものである請求項1記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項3】
第1工程で混合する高性能AE減水剤が、ポリカルボン酸系ビニル共重合体、ポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物とリグニンスルホン酸塩変性物との混合物、及びナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物と架橋ポリマーとの混合物から選ばれるものである請求項1又は2記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項4】
第1工程で混合する高性能AE減水剤が、ポリカルボン酸系ビニル共重合体、及びポリカルボン酸系ビニル共重合体と架橋ポリマーとの混合物から選ばれるものである請求項1又は2記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項5】
ポリカルボン酸系ビニル共重合体が、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩とこれと共重合可能な単量体とを、前者/後者=50/50〜90/10(モル比)の割合で共重合した数平均分子量1000〜50000の水溶性ビニル共重合体である請求項3又は4記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項6】
第2工程で調製するフレッシュコンクリートが、液状泡沫体をフレッシュモルタル1m当たり0.1〜20kgの割合となるよう混合したものであって、且つ粗骨材の単位量500〜1000kg/mのものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項7】
第2工程で調製するフレッシュコンクリートが、スランプフロー40〜80cmのものである請求項1〜6のいずれか一つの項記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項8】
第2工程で混合する液状泡沫体が、空気、水、空気連行剤及びカプセル基剤、又は更に抑泡剤から作製した多数の微細気泡を含有する液状体である請求項1〜7のいずれか一つの項記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項9】
空気連行剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩及び(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩から選ばれるものであり、またカプセル基剤がポリビニルアルコール及びメチルセルロースから選ばれるものであって、更に用いる場合の抑泡剤がポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系抑泡剤である請求項8記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項10】
第3工程で塗布する離型剤が、滴点50〜120℃のワックスを乳化した水性液であって、且つ該水性液の平均粒子径が0.05〜5μmのものである請求項1〜9のいずれか一つの項記載のコンクリート成形体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つの項記載のコンクリート成形体の製造方法によって得られるコンクリート成形体。

【公開番号】特開2007−152929(P2007−152929A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80039(P2006−80039)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(593158179)株式会社ミルコン (18)
【出願人】(597103850)石川ミルコン株式会社 (5)
【出願人】(504342446)明光油剤株式会社 (8)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】