説明

コンテナ車両危険度検査装置

【課題】通路に設置されたカメラによりコンテナ車両を撮影した画像から、コンテナ車両が走行する際の危険度を検査する、コンテナ車両危険度検査装置を提供することである。
【解決手段】コンテナ挙動データ作成部32がコンテナ画像解析部31で解析されたデータであるコンテナの傾き角度の時系列データを作り、コンテナ挙動データとしてまとめ、コンテナ挙動データベース36が様々な状態のコンテナ挙動データを予め保管しており、コンテナ挙動照合部33がコンテナ挙動データ作成部32によりまとめられたコンテナ挙動データとコンテナ挙動データベース36に保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べ、走行危険度判断部34がコンテナ挙動照合部33よる照合結果からコンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ車両を走行する際の積荷状態による危険度を検査する装置に関する。特に通路に設置されたカメラによりコンテナ車両を撮影した画像から、コンテナ車両が走行する際の危険度を検査する、コンテナ車両危険度検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナ車両の積荷状態を検査する代表的な方法として、コンテナ車両の重量を計測する台貫という技術がある(非特許文献1等)。
これはコンテナ車両を直接乗せる大きな秤であり、コンテナ車両を台貫に乗せることにより、コンテナ車両全体の重量を計測し、その重量を目安にコンテナ車両走行時の危険度を推定する。
また、加速度センサ等のセンサ情報から危険度を計測する装置をコンテナ車両に搭載する方法がある(特許文献1,日野自動車ホームページ)。
【0003】
これは加速度センサ等の物理量計測センサから構成する装置をコンテナ車両に搭載し、コンテナ車両走行時の状態をセンサにより検出して、そのセンサ情報から現在の走行状態に関する危険度を検知するものである。
【特許文献1】特開平11−258260
【非特許文献1】http://www.h3.dion.ne.jp/~sds/daikam.html,(株)クワカド社ホームページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台貫による方法ではコンテナ車両全体の重量は計測でき、これにより走行時の重量制限を満たしているかどうかは判断できるが、コンテナ車両を走行する際の危険度を検出するものではない。
また、台貫による方法ではコンテナ車両が台貫に乗って停止する必要があり、多数のコンテナ車両を計測する場合は効率的でない。センサから構成する装置をコンテナ車両に搭載する方法では、センサを含めた装置を車両毎に搭載する必要がある。
【0005】
このため、不特定多数のコンテナ車両が走行する港湾施設や工場内で、それぞれのコンテナ車両について走行時の危険度を検査しようとした場合、センサを搭載していないコンテナ車両に対する危険度の検出は不可能である。
また、多くのコンテナ車両について走行時の危険度を検査する場合は、施設内を走行する全てのコンテナ車両にセンサを搭載する必要がありコスト高となってしまう。
【0006】
本発明の目的は、通路に設置されたカメラによりコンテナ車両を撮影した画像から、コンテナ車両が走行する際の危険度を検査する、コンテナ車両危険度検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係るコンテナ車両危険度検査装置は、コンテナ車両を撮影するカメラ等の画像撮影部、前記画像撮影部で撮影されたコンテナ車両を含む画像を解析するコンテナ画像解析部、前記コンテナ画像解析部で解析して得られたデータから前記コンテナ車両の時系列な挙動データを作成するコンテナ挙動データ作成部、様々な状態によるコンテナ挙動データを予め保管しておくコンテナ挙動データベース、前記コンテナ挙動データ作成部で作成したコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行うコンテナ挙動照合部、前記コンテナ挙動照合部による照合結果よりコンテナ車両走行時の危険度を判断する走行危険度判断部及び前記走行危険度判断部で判断されたコンテナ車両走行時の危険度を出力する走行危険度出力部からなるコンテナ車両危険度検査装置において、前記画像撮影部は、コンテナ車両を撮影して画像データを作成し、また、コンテナ画像解析部は、前記画像撮影部で撮影した画像データを解析してコンテナの傾き角度を検出し、また、前記コンテナ挙動データ作成部は、前記コンテナ画像解析部で解析されたデータであるコンテナの傾き角度の時系列データを作り、コンテナ挙動データとしてまとめ、また、前記コンテナ挙動データベースは、様々な状態のコンテナ挙動データを予め保管しており、また、前記コンテナ挙動照合部は、前記コンテナ挙動データ作成部によりまとめられたコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べ、また、前記走行危険度判断部は、前記コンテナ挙動照合部よる照合結果から前記コンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断し、また、前記走行危険度出力部は、前記走行危険度判断部で判断した危険度を出力することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係るコンテナ車両危険度検査装置は、請求項1において、前記コンテナ挙動データベースヘ外部からコンテナ挙動データを入力するコンテナ挙動データ入力部を加えたことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係るコンテナ車両危険度検査装置は、コンテナ車両を撮影するカメラ等の画像撮影部、前記画像撮影部で撮影されたコンテナ車両を含む画像を解析するコンテナ画像解析部、前記コンテナ画像解析部で解析して得られたデータから前記コンテナ車両の時系列な挙動データを作成するコンテナ挙動データ作成部、様々な状態によるコンテナ挙動データを予め保管しておくコンテナ挙動データベース、前記コンテナ挙動データ作成部で作成したコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行うコンテナ挙動照合部、前記コンテナ挙動照合部による照合結果よりコンテナ車両走行時の危険度を判断する走行危険度判断部及び前記走行危険度判断部で判断されたコンテナ車両走行時の危険度を出力する走行危険度出力部からなるコンテナ車両危険度検査装置において、前記画像撮影部は、コンテナ車両を撮影し画像データを作成し、また、前記コンテナ画像解析部は、撮影した画像データを解析してコンテナの傾き角度を検出することに加え、撮影した画像データを解析してコンテナの位置を射影変換により検出し、また、前記コンテナ挙動データ作成部は、前記コンテナ画像解析部で解析することにより検出されたコンテナ傾き角度及びコンテナ位置から、コンテナ傾き角度及びコンテナ位置の時系列データを作り、更にコンテナ位置の時系列データを差分することにより、コンテナ速度の時系列データ及びコンテナ加速度の時系列データを作成し、コンテナ挙動データとしてまとめ、また、前記コンテナ挙動データベースは、様々な状態のコンテナ挙動データを予め保管し、また、前記コンテナ挙動照合部は、前記コンテナ挙動データ作成部でまとめられたコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べ、また、前記走行危険度判断部は、前記コンテナ挙動照合部よる照合結果から、前記コンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断し、また、前記走行危険度出力部では、前記走行危険度判断部で判断した危険度を出力し、更に、前記コンテナ挙動データベースヘ外部からコンテナ挙動データを入力するコンテナ挙動データ入力部を加えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(1)通路に設置したカメラの画像からコンテナ車両の走行時の危険度を検査することができる。
(2)コンテナ車両を走行させたままの状態で検査することができるため、多数のコンテナ車両の検査を効率良く行うことができる。
(3)コンテナ車両の走行時の危険度を検査するために、特別な装置を車両に搭載する必要がない。
(4)コンテナ車両の走行字の危険度を検査する装置をコンテナ外部に設置するため、コンテナ車両の画像が撮影できるならば不特定多数のコンテナ車両の走行時の危険度の検査に対応できる。
(5)コンテナ車両毎に特別な装置を搭載する必要がないため、計測対象となるコンテナ車両が多数になった場合でもコストを小さく抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に実施例として説明する態様が本発明を実施するための最良の形態である。
【実施例1】
【0012】
(1)基本的な考え方
本発明の第1実施例に係るコンテナ車両危険度検査装置を図1に示す。
【0013】
本実施例は、コンテナ車両を撮影するカメラ等の画像撮影部10、画像撮影部10で撮影されたコンテナ車両を含む画像(以下、コンテナ画像と言う)を解析するコンテナ画像解析部31、コンテナ画像解析部31で解析して得られたデータからコンテナ車両の時系列な挙動データを作成するコンテナ挙動データ作成部32、様々な状態によるコンテナ挙動データを予め保管しておくコンテナ挙動データベース36、コンテナ挙動データ作成部32で作成したコンテナ挙動データとコンテナ挙動データベース36に保管されているコンテナ挙動データとの照合を行うコンテナ挙動照合部33、コンテナ挙動照合部33による照合結果よりコンテナ車両走行時の危険度を判断する走行危険度判断部34、走行危険度判断部34で判断されたコンテナ車両走行時の危険度を出力する走行危険度出力部35から構成する。
【0014】
画像撮影部10は、通路に設置され、通路を走行するコンテナ車両を真後ろから撮影して画像データを作成する。コンテナ車両は、「積荷を積載するコンテナ」と「コンテナを牽引するトレーラ」から構成される。
コンテナ画像解析部31は、撮影した画像データを解析しコンテナの傾き角度を検出する。
【0015】
コンテナ画像解析部31は、例えば、図8に示すように、画像撮影部10で撮影された画像をメモリ25ヘ入力する画像入力部21、入力画像中からコンテナ車両の位置やコンテナ車両が存在する領域を特定する車両抽出部22、入力画像からコンテナ車両の傾き角度を検出する傾き角度検出部23、検出した傾き角度を出力する傾き角度出力部24、および、各種データを保存しておくメモリ25から構成する。
【0016】
画像入力部21は、画像撮影部10が作成した画像データをメモリ25ヘ入力する。
車両抽出部22は、予め作成しておいた車両の映っていない背景画像と入力画像の差分をとり、入力画像中でのコンテナ車両の存在する領域(車両領域)を抽出し、車両領域を囲む画像軸に平行な矩形枠を計算すると共に、車両領域の重心位置を計算し、車両領域に関する各種データをメモリ25ヘ保存する。
【0017】
車両抽出部22による画像処理の例を図4、図5及び図6に示す。図4は、コンテナ車両の写っていない背景画像であり、図5は、コンテナ車両の写っている入力画像であり、何れも同一位置の画像撮影部10から撮影されたものである。図6は、背景画像と入力画像との差分により、車両位置及び車両領域を抽出した画像である。
【0018】
傾き角度検出部23は、予め作成しておいたコンテナ四隅の部分画像(コンテナ角テンプレート画像)を用い、入力画像の車両領域から画像のテンプレートマッチングによりコンテナ四隅の位置を検出し、コンテナ四隅の位置関係からコンテナ車両の傾き角度を計算し、計算した傾き角度データをメモリ25ヘ保存する。
コンテナ角テンプレート画像の例を図7に示す。コンテナ角テンプレート画像1,2,3,4は、図7に示すように、コンテナ車両のうちコンテナにおける上左、上右、下左、下右の4隅をそれぞれ含む。
【0019】
傾き角検出部23は、コンテナ四隅の位置関係から次のようにコンテナ車両の傾き角度を計算する。
まず、コンテナ四隅の位置が次のように検出されたとする。
左上隅の位置:p1(u1,v1
左下隅の位置:p2(u2,v2
右下隅の位置:p3(u3,v3
右上隅の位置:p4(u4,v4
【0020】
コンテナの4辺の水平方向又は鉛直方向に対する傾き角度は、以下の通りに求められる。
12=atan((u2−u1)/(v2−v1))
23=atan((v3−v2)/(u3−u2))
34=atan((u4−u3)/(v4−v3))
41=atan((v1−v4)/(ul−u4))
上記各位置の組み合わせから計算された傾き角度を平均して、コンテナ傾き角度tを求める。
t=(t12+t23+t34+t41)/4
傾き角度出力部24では、メモリ25に保存されたコンテナ車両の傾き角度データを取り出して出力する。
【0021】
コンテナ挙動データ作成部32は、コンテナ画像解析部31で解析されたデータであるコンテナの傾き角度の時系列データを作り、コンテナ挙動データとしてまとめる。つまり、コンテナ車両走行時の連続画像データから解析したコンテナ傾き角度に基づいて傾き角度の時系列データを作るのである。
コンテナ挙動データベース36は、様々な状態のコンテナ挙動データが予め保管されている。
【0022】
コンテナ挙動データベース36の作成手段としては、コンテナ車両状態の分かっているコンテナ車両が走行した際に、コンテナ挙動データ作成部32でコンテナ挙動データを作成し、コンテナ車両状態を含むコンテナ挙動データをコンテナ挙動データベース36へ入力する。
【0023】
ここで、「コンテナ車両状態」とは、この荷の積載状態を指すものである。即ち、コンテナ車両は、「積荷を積載するコンテナ」と「コンテナを牽引するトレーラ」から構成されるため、一般的にコンテナ車両は外観形状としては変わらないが、コンテナ内部の積荷の状態はまちまちである。軽い荷が積載されている、重い荷が積載されている、コンテナ中央に荷が固定されている、コンテナ端に偏って荷が固定されている等、様々な積載状態が荷によって存在する。このような荷の積載状態を「コンテナ車両状態」と呼ぶ。
【0024】
コンテナ挙動照合部33は、コンテナ挙動データ作成部32でまとめられたコンテナ挙動データとコンテナ挙動データベース36に保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べる。
走行危険度判断部34は、コンテナ挙動照合部33よる照合結果から、カメラで撮影されたコンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断する。
【0025】
コンテナ車両は、走行する通路のカーブの度合い(曲率)とその時の走行速度の大きさにより転倒を発生する場合がある。コンテナ車両の危険度とは、あるカーブに対して転倒が発生する走行速度であり、小さい方がそのコンテナ車両走行中に危険度が大きい。
走行危険度出力部35では、走行危険度判断部34で判断した危険度を出力する。
【0026】
本実施例の効果としては、通路に設置したカメラ等の画像撮影部10の画像からコンテナ車両の走行時の危険度を検査することができるので、台貫のように検査のため車両を特定の位置に設置された台貫上へ停止させる必要が無く、コンテナ車両を走行させたままの状態で検査することができるため、多数のコンテナ車両の検査を効率良く行うことができる。
また、センサ装置を搭載する必要が無いため、不特定多数のコンテナ車両を検査する場合でも各車両毎に装置を設置するコストを省くことができ、検査に要する費用を低く抑えることができる。
【0027】
カメラ等の画像撮影部10を通路に設置するほか、コンテナ画像解析部31、コンテナ挙動データ作成部32、コンテナ挙動照合部33、走行危険度判断部34、走行危険度出力部35、コンテナ挙動データベース36については、ソフトウェアで実現し、コンピュータ30にインストールすることにより、本実施例のコンテナ車両危険度検査装置を実現するようにしても良い。
【実施例2】
【0028】
(2)コンテナ挙動データ入力部を持つ装置
本発明の第2実施例に係るコンテナ車両危険度検査装置を図2に示す。
【0029】
本実施例では、実施例1に示したコンテナ車両危険度検査装置にコンテナ挙動データ入力部37を加えたものである。その他の構成は前述した実施例1と同様であるので同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
即ち、コンテナ挙動データ入力部37は、コンテナ挙動データとコンテナ車両状態を外部からコンテナ挙動データベース36ヘ入力するものである。
【0030】
本実施例の効果としては、実施例1の効果に加え、コンテナ挙動データベース36ヘの保管するための様々な条件によるコンテナ挙動データを外部からコンテナ挙動データ入力部37により入力することができるため、例えば計算機シミュレーション等で計算したコンテナ挙動データについてもコンテナ挙動データベース36に保管することができ、より多くの条件によるコンテナ車両のコンテナ挙動データを容易にコンテナ挙動データベース36内に保持しておくことができる。
このため、走行危険度の判断をより多くの条件によるコンテナ挙動データから求めることができ、走行危険度の判断精度が向上する。
【実施例3】
【0031】
(3)コンテナ車両位置データをコンテナ挙動データに加えた方法
本発明の第3実施例に係るコンテナ車両危険度検査装置を図3に示す。
本実施例では、コンテナ挙動データに、コンテナの位置データを追加して走行危険度を検査するものである。
【0032】
このため、実施例2,3においてコンテナ挙動データとしてコンテナの角度を扱う「コンテナ画像解析部31」、「コンテナ挙動データ作成部32」、「コンテナ挙動照合部33」、「走行危険度判断部34」、「コンテナ挙動データ入力部37」に代えて、コンテナの位置データの取り扱いを加えた「コンテナ画像解析部312」、「コンテナ挙動データ作成部322」、「コンテナ挙動照合部332」、「走行危険度判断部342」、「コンテナ挙動データ入力部372」から構成する。
【0033】
画像撮影部10は、通路に設置され、通路を走行するコンテナ車両を真後ろから撮影して画像データを作成する。
コンテナ画像解析部312では、画像撮影部10で撮影した画像データを解析しコンテナの傾き角度を検出するというコンテナ画像解析部31と同様な機能を備えるほか、更に、撮影した画像データを解析しコンテナの位置を射影変換により検出する。
【0034】
コンテナ挙動データ作成部322では、コンテナ画像解析部31で解析されたデータであるコンテナの傾き角度及びコンテナの位置の時系列データを作り、更に、コンテナ位置時系列データを差分することにより、コンテナ速度時系列データおよび、コンテナ加速度時系列データを作成し、コンテナ挙動データとしてまとめる。つまり、コンテナ車両走行時の連続画像データから解析したコンテナ傾き角度とコンテナ位置から、コンテナ傾き角度及びコンテナ位置の時系列データ等を作るのである。
【0035】
コンテナ挙動データベース36では、様々な状態のコンテナ挙動データが予め保管されている。
コンテナ挙動データベース36の作成手段としては、コンテナ車両状態の分かっているコンテナ車両が走行した際に、コンテナ挙動データ作成部322でコンテナ挙動データを作成し、コンテナ車両状態を含むコンテナ挙動データを入力する。
【0036】
また、コンテナ挙動データ入力部372から、外部にて作成したコンテナ車両状態を含むコンテナ挙動データを入力することも可能である。
コンテナ挙動照合部332は、コンテナ挙動データ作成部322でまとめられたコンテナ挙動データとコンテナ挙動データベース36に保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べる。
【0037】
本実施例においては、コンテナ挙動データとは、あるコンテナ車両状態で走行した際の「コンテナ傾きの時系列データ」、「コンテナ位置の時系列データ(軌跡)」、「コンテナ速度の時系列データ」、「コンテナ加速度の時系列」を含むものである
コンテナ挙動照合部332では、コンテナ挙動データ作成部322でまとめられた、これら時系列データとデータベース36に予め保管されている時系列データを比較して、コンテナ挙動データ作成部322でまとめられた時系列データがデータベース36に予め保管されている時系列データのどれに類似しているかを調べる。
【0038】
この際、データベース36に保管してある時系列データとして、より多くのコンテナ車両状態でのコンテナ走行時の時系列データがある方が、照合結果から得られるコンテナ車両状態として選択枝が多く、そのため結果として得られる走行危険度の判断精度が向上する。
走行危険度判断部342は、コンテナ挙動照合部332による照合結果から、コンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断する。
【0039】
走行危険度出力部35では、走行危険度判断部342で判断した危険度を出力する。
コンテナ挙動データ入力部372は、コンテナ挙動データとコンテナ車両状態を外部から入力しコンテナ挙動データベース36ヘ保管する。
【0040】
本実施例の効果としては、実施例2の効果に加え、コンテナ挙動データとして、コンテナ傾き角度、コンテナ位置、コンテナ速度、コンテナ加速度により、コンテナ車両の走行時の危険度を検査するため、より精度の良い危険度の検査結果を得ることができる。
【0041】
即ち、実施例1,2ではコンテナ車両の走行時の危険度を「コンテナ傾きの時系列データ」から推定したが、実施例3では「コンテナ位置の時系列データ(軌跡)」、「コンテナ速度の時系列データ」、「コンテナ加速度の時系列」データでの推定結果と統合して判断することで、コンテナ車両の走行時の危険度を推定する精度を向上させるのである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、通路に設置されたカメラによりコンテナ車両を撮影した画像から、コンテナ車両が走行する際の危険度を検査するコンテナ車両危険度検査装置として広く利用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例に係るコンテナ車両危険度検査装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2実施例に係るコンテナ車両危険度検査装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3実施例に係るコンテナ車両危険度検査装置を示すブロック図である。
【図4】コンテナ車両の写っていない背景画像である。
【図5】コンテナ車両の写っている入力画像である。
【図6】背景画像と入力画像との差分により、車両位置及び車両領域を抽出した画像である。
【図7】コンテナ角テンプレート画像である。
【図8】本発明の第1実施例におけるコンテナ画像解析部を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 コンテナ角テンプレート画像
10 カメラ等の画像撮影部
20 コンピュータ
21 画像入力部
22 車両抽出部
23,232,233 傾き角度検出部
24 傾き角度出力部
25 メモリ
30 コンピュータ
31 コンテナ画像解析部
32,322 コンテナ挙動データ作成部
33,332 コンテナ挙動照合部
34,342 走行危険度判断部
35 走行危険度出力部
36 コンテナ挙動データベース
37,372 コンテナ挙動入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ車両を撮影するカメラ等の画像撮影部、前記画像撮影部で撮影されたコンテナ車両を含む画像を解析するコンテナ画像解析部、前記コンテナ画像解析部で解析して得られたデータから前記コンテナ車両の時系列な挙動データを作成するコンテナ挙動データ作成部、様々な状態によるコンテナ挙動データを予め保管しておくコンテナ挙動データベース、前記コンテナ挙動データ作成部で作成したコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行うコンテナ挙動照合部、前記コンテナ挙動照合部による照合結果よりコンテナ車両走行時の危険度を判断する走行危険度判断部及び前記走行危険度判断部で判断されたコンテナ車両走行時の危険度を出力する走行危険度出力部からなるコンテナ車両危険度検査装置において、
前記画像撮影部は、コンテナ車両を撮影して画像データを作成し、また、
コンテナ画像解析部は、前記画像撮影部で撮影した画像データを解析してコンテナの傾き角度を検出し、また、
前記コンテナ挙動データ作成部は、前記コンテナ画像解析部で解析されたデータであるコンテナの傾き角度の時系列データを作り、コンテナ挙動データとしてまとめ、また、
前記コンテナ挙動データベースは、様々な状態のコンテナ挙動データを予め保管しており、また、
前記コンテナ挙動照合部は、前記コンテナ挙動データ作成部によりまとめられたコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べ、また、
前記走行危険度判断部は、前記コンテナ挙動照合部よる照合結果から前記コンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断し、また、
前記走行危険度出力部は、前記走行危険度判断部で判断した危険度を出力することを特徴とするコンテナ車両危険度検査装置。
【請求項2】
請求項1において、前記コンテナ挙動データベースヘ外部からコンテナ挙動データを入力するコンテナ挙動データ入力部を加えたことを特徴とするコンテナ車両危険度検査装置。
【請求項3】
コンテナ車両を撮影するカメラ等の画像撮影部、前記画像撮影部で撮影されたコンテナ車両を含む画像を解析するコンテナ画像解析部、前記コンテナ画像解析部で解析して得られたデータから前記コンテナ車両の時系列な挙動データを作成するコンテナ挙動データ作成部、様々な状態によるコンテナ挙動データを予め保管しておくコンテナ挙動データベース、前記コンテナ挙動データ作成部で作成したコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行うコンテナ挙動照合部、前記コンテナ挙動照合部による照合結果よりコンテナ車両走行時の危険度を判断する走行危険度判断部及び前記走行危険度判断部で判断されたコンテナ車両走行時の危険度を出力する走行危険度出力部からなるコンテナ車両危険度検査装置において、
前記画像撮影部は、コンテナ車両を撮影し画像データを作成し、また、
前記コンテナ画像解析部は、撮影した画像データを解析してコンテナの傾き角度を検出することに加え、撮影した画像データを解析してコンテナの位置を射影変換により検出し、また、
前記コンテナ挙動データ作成部は、前記コンテナ画像解析部で解析することにより検出されたコンテナ傾き角度及びコンテナ位置から、コンテナ傾き角度及びコンテナ位置の時系列データを作り、更にコンテナ位置の時系列データを差分することにより、コンテナ速度の時系列データ及びコンテナ加速度の時系列データを作成し、コンテナ挙動データとしてまとめ、また、
前記コンテナ挙動データベースは、様々な状態のコンテナ挙動データを予め保管し、また、
前記コンテナ挙動照合部は、前記コンテナ挙動データ作成部でまとめられたコンテナ挙動データと前記コンテナ挙動データベースに保管されているコンテナ挙動データとの照合を行い、どのコンテナ挙動データと類似しているかを調べ、また、
前記走行危険度判断部は、前記コンテナ挙動照合部よる照合結果から、前記コンテナ車両の状態を推測し、そのコンテナ車両の走行時の危険度を判断し、また、
前記走行危険度出力部では、前記走行危険度判断部で判断した危険度を出力し、
更に、前記コンテナ挙動データベースヘ外部からコンテナ挙動データを入力するコンテナ挙動データ入力部を加えたことを特徴とするコンテナ車両危険度検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−169716(P2009−169716A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7736(P2008−7736)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】