説明

コンパレータ

【課題】 電源電圧VDDが低い状態においても、正確に入力電圧の比較を行うことができるコンパレータを提供する。
【解決手段】 差動増幅回路10の後段のソース接地増幅回路20Aにおいて、差動増幅回路10の出力信号V2がゲートに与えられるNチャネル電界効果トランジスタ21と、その定電流負荷としてのPチャネル電界効果トランジスタ22との間にはPチャネル電界効果トランジスタ23が介挿されている。Pチャネル電界効果トランジスタ23のゲートには、電圧B=VDD/2が与えられる。Pチャネル電界効果トランジスタ23は、電源電圧VDDが低い状態において、差動増幅回路10に対する入力電圧VrefおよびVinが一致したときに、Pチャネル電界効果トランジスタ22の動作点を差動増幅回路10のPチャネル電界効果トランジスタ13の動作点に近づける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの入力電圧の比較を行うコンパレータに係り、特に電界効果トランジスタにより構成されたコンパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のコンパレータの一例であるコンパレータ1の構成を示す回路図である。図示の例において、コンパレータ1は、入力電圧Vinと、抵抗31および32からなる分圧回路30から与えられる比較用電圧Vrefとを比較し、比較結果を示す信号Voutを出力するものである。図3に示すように、コンパレータ1は、大別して、差動増幅回路10と、ソース接地増幅回路20とにより構成されている。
【0003】
差動増幅回路10において、Pチャネル電界効果トランジスタ11および12は、各々のソースが共通接続され、各々のゲートに比較対象である電圧VrefおよびVinが与えられ、差動トランジスタペアを構成している。このPチャネル電界効果トランジスタ11および12は、同じトランジスタサイズ(チャネル幅)を有している。Pチャネル電界効果トランジスタ11および12のソースの共通接続点と電源電圧VDDを発生する電源との間には、定電圧V0がゲートに与えられ、定電流源として働くPチャネル電界効果トランジスタ13が介挿されている。このPチャネル電解効果トランジスタ13のドレイン電流I0は、Pチャネル電界効果トランジスタ11および12に分流する。Nチャネル電界効果トランジスタ15および16は、各々のソースが接地され、各々のドレインがPチャネル電界効果トランジスタ11および12の各ドレインに接続され、各々のゲートにPチャネル電界効果トランジスタ11のドレイン電圧V1がゲート電圧として与えられる。これらのNチャネル電界効果トランジスタ15および16は、同じトランジスタサイズを有しており、カレントミラー回路を構成している。
【0004】
ソース接地増幅回路20は、Nチャネル電界効果トランジスタ21と、Pチャネル電界効果トランジスタ22とにより構成されている。ここで、Nチャネル電界効果トランジスタ21は、ソースが接地され、差動増幅回路10におけるPチャネル電界効果トランジスタ12のドレイン電圧V2がゲートに与えられる。Pチャネル電界効果トランジスタ22は、Pチャネル電解効果トランジスタ13と同じトランジスタサイズを有しており、Nチャネル電界効果トランジスタ21のドレインと電源(電源電圧VDD)との間に介挿されている。このPチャネル電界効果トランジスタ22は、定電圧V0がゲートに与えられ、ドレイン電流I0をNチャネル電界効果トランジスタ21に供給する定電流源として働く。そして、ソース接地増幅回路20では、Nチャネル電界効果トランジスタ21のドレイン電圧が、電圧VrefおよびVinの比較結果を示す信号Voutとして後段の回路に出力される。
【0005】
図4は、以上説明したコンパレータ1において、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefを横切って変化する場合におけるPチャネル電界効果トランジスタ11および12の各ドレイン電流I1およびI2の変化の様子を示すものである。図4において、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefより低いときは、Pチャネル電界効果トランジスタ12に与えられるゲート−ソース間電圧がPチャネル電界効果トランジスタ11に与えられるゲート−ソース間電圧よりも大きくなるため、定電流源たるPチャネル電界効果トランジスタ13が出力するドレイン電流I0の殆どがドレイン電流I2となってPチャネル電界効果トランジスタ12に流れる。この状態では、Nチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2は高くなり、Nチャネル電界効果トランジスタ15のドレイン電圧V1は低くなり、Nチャネル電界効果トランジスタ21はON状態、出力信号VoutはLレベルとなる。
【0006】
しかし、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefを横切って上昇すると、Pチャネル電界効果トランジスタ12に与えられるゲート−ソース間電圧とPチャネル電界効果トランジスタ11に与えられるゲート−ソース間電圧との大小関係が逆転し、Pチャネル電界効果トランジスタ13が出力するドレイン電流I0のうち、Pチャネル電界効果トランジスタ12に流れる電流I2が減り、その一方、Pチャネル電界効果トランジスタ11に流れる電流I1が増加する。
【0007】
そして、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefより高い状態では、定電流源たるPチャネル電界効果トランジスタ13が出力するドレイン電流I0の殆どがドレイン電流I1となってPチャネル電界効果トランジスタ11に流れる。この状態では、Nチャネル電界効果トランジスタ15のドレイン電圧V1が高くなり、Nチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2が低くなり、Nチャネル電界効果トランジスタ21はOFF状態、出力信号VoutはHレベルとなる。
【0008】
以上のように、コンパレータ1では、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefより低いときには出力信号VoutがLレベルとなり、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefより高いときには出力信号VoutがHレベルとなる。
【特許文献1】特許第3549302号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した従来のコンパレータ1において、理想的には、入力電圧Vinと比較用電圧Vrefとが一致したときに、Pチャネル電界効果トランジスタ11および12を介してNチャネル電界効果トランジスタ15および16に流れ込むドレイン電流I1およびI2がいずれもI0/2になる。そして、ソース接地増幅回路20は、このドレイン電流I2=I0/2が流れているときのNチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2が、出力信号Voutのレベル反転を生じさせる論理スレッショルドとなるように、Nチャネル電界効果トランジスタ21およびPチャネル電界効果トランジスタ22のトランジスタサイズの比等が設計されている。しかし、電源電圧VDDが低くなると、コンパレータ1の差動増幅回路10では、この低い電源電圧VDDからPチャネル電界効果トランジスタ11および12からなる差動トランジスタペアとNチャネル電界効果トランジスタ15および16からなるカレントミラー回路の電圧降下を差し引いた低い電圧しかPチャネル電界効果トランジスタ13のソース−ドレイン間に与えられなくなる。このため、Pチャネル電界効果トランジスタ13が非飽和領域で動作し、Pチャネル電界効果トランジスタ13から出力されるドレイン電流I0が低下する。このようにPチャネル電界効果トランジスタ13のドレイン電流I0が低下すると、入力電圧Vinと比較用電圧Vrefとが一致したときのNチャネル電界効果トランジスタ16に流れるドレイン電流I2が低下し、Nチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2も低下する。一方、ソース接地増幅回路20は、Pチャネル電界効果トランジスタ22のドレインと接地との間には1個のNチャネル電界効果トランジスタ21が介挿されているのみなので、電源電圧VDDが低くなっても、Pチャネル電界効果トランジスタ22は飽和領域で動作し、ソース接地増幅回路20の論理スレッショルドは変わらない。このため、従来のコンパレータ1では、電源電圧VDDが低くなると、出力信号Voutのレベル反転が生じる入力電圧Vinの電圧値が比較用電圧Vrefからずれるという問題が発生する。
【0010】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、電源電圧VDDが低い状態においても、正確に入力電圧の比較を行うことができるコンパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、各々のソースが共通接続され、比較対象である第1および第2の入力電圧が各々のゲートに与えられる第1および第2の電界効果トランジスタと、定電圧がゲートに与えられ、ドレイン電流を前記第1および第2の電界効果トランジスタの各ソースの共通接続点に供給する第3の電界効果トランジスタと、前記第1および第2の電界効果トランジスタの各ドレイン電流の電流路となり、カレントミラー回路を構成する第4および第5の電界効果トランジスタを含む差動増幅回路と、前記差動増幅回路における前記第1または第2の電界効果トランジスタの一方のドレイン電圧がゲートに与えられる第6の電界効果トランジスタと、相互に直列に接続され、前記第6の電界効果トランジスタのドレイン電流の電流路となる第7および第8の電界効果トランジスタとを具備し、前記第7の電界効果トランジスタのゲートには前記第3の電界効果トランジスタのゲートに与えられるものと同じ定電圧が与えられ、前記第8の電界効果トランジスタのゲートには、前記第8の電界効果トランジスタをON状態とする定電圧が与えられ、前記第6の電界効果トランジスタのドレインから前記第1および第2の入力電圧に関する比較結果を示す信号を出力するソース接地増幅回路とを具備することを特徴とするコンパレータを提供する。
【0012】
かかる発明によれば、電源電圧が低くなり、第3の電界効果トランジスタに十分な大きさのソース−ドレイン間電圧が与えられなくなると、第3の電界効果トランジスタから第1および第2の電界効果トランジスタに与えられる電流が低下する。このため、第1および第2の入力電圧が一致したときに第6の電界効果トランジスタに与えられるゲート電圧が低下する。しかし、第8の電界効果トランジスタに生じる電圧降下により、第7の電界効果トランジスタは第3の電界効果トランジスタと同じ非飽和領域において動作し、第3の電界効果トランジスタと同じ電流を流す。このため、電源電圧が低くなる場合でも、第1および第2の入力電圧が互いに横切るときに第1および第2の入力電圧に関する比較結果を示す信号のレベル反転を生じさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態であるコンパレータ1Aの構成を示す回路図である。なお、この図において、上述した図3に示す各部と対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。本実施形態によるコンパレータ1Aの改良点はソース接地増幅回路20Aにある。このソース接地増幅回路20Aは、従来のコンパレータ1のソース接地増幅回路20(図3参照)に対し、Pチャネル電界効果トランジスタ23を追加した構成となっている。このPチャネル電界効果トランジスタ23は、差動増幅回路10におけるPチャネル電界効果トランジスタ11および12の2倍のトランジスタサイズを有しており、ソースがPチャネル電界効果トランジスタ22のドレインに接続され、ドレインがNチャネル電界効果トランジスタ21のドレインに接続されている。そして、このPチャネル電界効果トランジスタ23のドレインとNチャネル電界効果トランジスタ21のドレインとの接続点が、電圧VrefおよびVinの比較結果を示す信号Voutを出力する出力端子となっている。
【0014】
Pチャネル電界効果トランジスタ23のゲートには、Pチャネル電界効果トランジスタ23をON状態とする電圧Bが与えられる。このPチャネル電界効果トランジスタ23を設けた目的は、ソース接地増幅回路20AのPチャネル電界効果トランジスタ22のソース−ドレイン間電圧を、入力電圧Vinと比較用電圧Vrefとが一致した状態における差動増幅回路10のPチャネル電界効果トランジスタ13のソース−ドレイン間電圧に近づけることにある。そのためにも、Pチャネル電界効果トランジスタ23に対するゲート電圧Bは、Pチャネル電界効果トランジスタ23のON抵抗を、並列接続され、同じゲート電圧が与えられた状態のPチャネル電界効果トランジスタ11および12のON抵抗(すなわち、Pチャネル電界効果トランジスタ11のON抵抗の1/2)と同程度にする電圧であることが好ましい。そこで、本実施形態では、電源電圧VDDの1/2に相当するゲート電圧BをPチャネル電界効果トランジスタ23に与えている。なお、比較用電圧Vrefを固定した状態でコンパレータ1Aを動作させる場合には、比較用電圧Vrefと同じ電圧をゲート電圧BとしてPチャネル電界効果トランジスタ23に与えてもよい。
【0015】
本実施形態によれば、このようなPチャネル電界効果トランジスタ23を追加したため、電源電圧VDDが低く、差動増幅回路10のPチャネル電界効果トランジスタ13が非飽和領域において動作するとき、ソース接地増幅回路20AのPチャネル電界効果トランジスタ22もPチャネル電界効果トランジスタ13の動作点と近い動作点において動作する。このため、電源電圧VDDが低くなることにより、入力電圧Vinと比較用電圧Vrefとが一致したときにNチャネル電界効果トランジスタ16に流れるドレイン電流I2が低下し、Nチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2が低下した場合に、ソース接地増幅回路20Aの論理スレッショルドも低下する。従って、本実施形態によれば、電源電圧VDDが低い状態においても、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefを横切るときに出力信号Voutのレベル反転を生じさせることができ、入力電圧Vinと比較用電圧Vrefとの比較を正確に行うことができる。
【0016】
<第2実施形態>
図2は、この発明の第2実施形態であるコンパレータ1Bの構成を示す回路図である。なお、この図2において、上述した図3および図1に示す各部と対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0017】
図2において、抵抗33〜35からなる分圧回路30Bは、比較用電圧Vref1およびVref2(Vref1>Vref2)を出力する。コンパレータ1Bは、入力電圧Vin1およびVin2を受け、入力電圧の電圧差Vin1−Vin2と比較用電圧の電圧差Vref1−Vref2とを比較し、比較結果を示す信号Voutを出力する回路である。なお、この種の電圧差の比較を行うコンパレータに関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【0018】
図2に示すように、コンパレータ1Bは、差動増幅回路10Bと、上記第1実施形態のものと同様なソース接地増幅回路20Aとにより構成されている。差動増幅回路10Bは、上記第1実施形態における差動増幅回路10において、Pチャネル電界効果トランジスタ11、12および13からなる部分を、Pチャネル電界効果トランジスタ11a、12aおよび13aからなる部分と、Pチャネル電界効果トランジスタ11b、12bおよび13bからなる部分とに分け、電源(電源電圧VDD)とNチャネル電界効果トランジスタ15および16からなるカレントミラー回路との間に並列に介挿した構成となっている。ここで、Pチャネル電界効果トランジスタ11a、12aおよび13aの各トランジスタサイズと、Pチャネル電界効果トランジスタ11b、12bおよび13bの各トランジスタサイズは、Pチャネル電界効果トランジスタ11、12および13の各トランジスタサイズの1/2である。そして、Pチャネル電界効果トランジスタ11aおよび12aの各ゲートには入力電圧Vin2およびVin1が各々与えられ、Pチャネル電界効果トランジスタ11bおよび12bの各ゲートには比較用電圧Vref1およびVref2が各々与えられる。
【0019】
このような構成によれば、Pチャネル電界効果トランジスタ11bおよび12bにゲート電圧Vref1およびVref2(Vref1>Vref2)が各々与えられているため、Vin1−Vin2=Vref1−Vref2なる関係を満たす入力電圧Vin2およびVin1がPチャネル電界効果トランジスタ11aおよび12aの各ゲートに与えられるときに、Nチャネル電界効果トランジスタ15および16に流れる各ドレイン電流が等しくなり、Pチャネル電界効果トランジスタ11aおよび12aからなる差動トランジスタペアが平衡した状態となる。
【0020】
さらに詳述すると、この状態では、Pチャネル電界効果トランジスタ11bおよび12bにゲート電圧Vref1およびVref2(Vref1>Vref2)が各々与えられているため、Pチャネル電界効果トランジスタ13bのドレイン電流が例えばI0/2である場合、Pチャネル電界効果トランジスタ11bおよび12bに流れるドレイン電流I1bおよびI2bは、例えばI0/4−ΔIおよびI0/4+ΔIとなり、前者がPチャネル電界効果トランジスタ13bのドレイン電流の1/2より小さくなり、その分だけ後者がPチャネル電界効果トランジスタ13bのドレイン電流の1/2より大きくなる。そして、Pチャネル電界効果トランジスタ11bおよび12bの各ドレイン電流I1b=I0/4−ΔIおよびI2b=I0/4+ΔIは、Nチャネル電界効果トランジスタ15および16に流れ込む。しかし、Vin1−Vin2=Vref1−Vref2なる関係を満たす入力電圧Vin2およびVin1がPチャネル電界効果トランジスタ11aおよび12aの各ゲートに与えられる場合には、Pチャネル電界効果トランジスタ13aのドレイン電流が例えばI0/2であると、Pチャネル電界効果トランジスタ11aおよび12aにドレイン電流I1a=I0/4+ΔIおよびI2a=I0/4−ΔIが流れ、Nチャネル電界効果トランジスタ15および16に流れる各ドレイン電流はいずれもI0/2となるのである。
【0021】
そして、Vin1−Vin2<Vref1−Vref2になると、この平衡状態が崩れ、Nチャネル電界効果トランジスタ16に流れる電流がNチャネル電界効果トランジスタ15に流れる電流よりも大きくなり、Nチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2が高くなり、Nチャネル電界効果トランジスタ15のドレイン電圧V1が低くなる。この結果、Nチャネル電界効果トランジスタ21がON状態となり、比較結果を示す信号VoutがLレベルとなる。
【0022】
一方、Vin1−Vin2>Vref1−Vref2になると、Nチャネル電界効果トランジスタ15に流れる電流がNチャネル電界効果トランジスタ16に流れる電流よりも大きくなり、Nチャネル電界効果トランジスタ15のドレイン電圧V1が高くなり、Nチャネル電界効果トランジスタ16のドレイン電圧V2が低くなる。この結果、Nチャネル電界効果トランジスタ21がOFF状態となり、比較結果を示す信号VoutがHレベルとなる。
【0023】
このように、コンパレータ1Bの出力信号Voutは、Vin1−Vin2<Vref1−Vref2であるときにはLレベル、Vin1−Vin2>Vref1−Vref2であるときにはHレベルとなる。
【0024】
本実施形態においても、ソース接地増幅回路20Aは、上記第1実施形態と同様なPチャネル電界効果トランジスタ23を有している。このPチャネル電界効果トランジスタ23のトランジスタサイズは、差動増幅回路10BにおけるPチャネル電界効果トランジスタ11a、12a、11b、12bの各トランジスタサイズの4倍であり、ゲート電圧Bとして例えばB=VDD/2が与えられる。このPチャネル電界効果トランジスタ23は、上記第1実施形態と同様、ソース接地増幅回路20AのPチャネル電界効果トランジスタ22のソース−ドレイン間電圧を、入力電圧の電圧差Vin1−Vin2と比較用電圧の電圧差Vref1−Vref2とが一致した平衡状態における差動増幅回路10BのPチャネル電界効果トランジスタ13aおよび13bのソース−ドレイン間電圧に近づける役割を果たす。従って、本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。なお、比較用電圧Vref1およびVref2の一方またはそれに近い電圧をゲート電圧BとしてPチャネル電界効果トランジスタ23に与えてもよい。
【0025】
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明には、他にも各種の実施形態が考えられる。例えば上記各実施形態において、差動増幅回路は、Pチャネル電界効果トランジスタにより差動トランジスタペアが構成され、電源と差動トランジスタペアとの間に定電流源としてのPチャネル電界効果トランジスタが介挿され、差動トランジスタペアと接地との間にNチャネル電界効果トランジスタからなるカレントミラー回路が介挿された構成のものであった。また、後段のソース接地増幅回路は、ソースが接地され、差動増幅回路の出力信号がゲートに与えられるNチャネル電界効果トランジスタと、その負荷となる定電流源としてのPチャネル電界効果トランジスタにより構成されていた。しかし、差動増幅回路としては、このような構成のものの他に、Nチャネル電界効果トランジスタにより差動トランジスタペアが構成され、電源と差動トランジスタペアとの間にPチャネル電界効果トランジスタからなるカレントミラー回路が介挿され、差動トランジスタペアと接地の間に定電流源としてのNチャネル電界効果トランジスタが介挿された構成のものもある。また、その後段のソース接地増幅回路としては、ソースが電源に接続され、差動増幅回路の出力信号がゲートに与えられるPチャネル電界効果トランジスタと、その負荷となる定電流源としてのNチャネル電界効果トランジスタにより構成されたものが考えられる。このような差動増幅回路およびソース接地増幅回路からなるコンパレータを構成する場合において、ソース接地増幅回路におけるPチャネル電界効果トランジスタと定電流源としてのNチャネル電界効果トランジスタとの間にNチャネル電界効果トランジスタを介挿し、ソース接地増幅回路における定電流源としてのNチャネル電界効果トランジスタの動作点を差動増幅回路における定電流源としてのNチャネル電界効果トランジスタの動作点に近づけてもよい。また、上記第1実施形態では、Pチャネル電界効果トランジスタ13および22のトランジスタサイズを同じにしたが、これは一例であり、Pチャネル電界効果トランジスタ22のトランジスタサイズは、ソース接地増幅回路20Aが必要とする負荷駆動能力等に合わせて決定すればよい。例えばPチャネル電界効果トランジスタ22に流す電流をPチャネル電界効果トランジスタ13に流す電流のα倍とする場合には、Pチャネル電界効果トランジスタ22のトランジスタサイズをPチャネル電界効果トランジスタ13のトランジスタサイズのα倍とすればよい。また、これに合わせてPチャネル電界効果トランジスタ23およびNチャネル電界効果トランジスタ21のトランジスタサイズも、Pチャネル電界効果トランジスタ22に流す電流をPチャネル電界効果トランジスタ13に流す電流と同じにする場合のPチャネル電界効果トランジスタ23およびNチャネル電界効果トランジスタ21のトランジスタサイズの最適値に対して、αを乗じたトランジスタサイズとすればよい。上記第2実施形態の場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の第1実施形態であるコンパレータ1Aの構成を示す回路図である。
【図2】この発明の第2実施形態であるコンパレータ1Bの構成を示す回路図である。
【図3】従来のコンパレータの一例であるコンパレータ1の構成を示す回路図である。
【図4】同コンパレータ1において、入力電圧Vinが比較用電圧Vrefを横切って変化する場合におけるPチャネル電界効果トランジスタ11および12の各ドレイン電流I1およびI2の変化の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1A,1B……コンパレータ、10,10B……差動増幅回路、20A……ソース接地増幅回路、11,12,13,11a,12a,13a,11b,12b,13b,22,23……Pチャネル電界効果トランジスタ、15,16……Nチャネル電界効果トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々のソースが共通接続され、比較対象である第1および第2の入力電圧が各々のゲートに与えられる第1および第2の電界効果トランジスタと、定電圧がゲートに与えられ、ドレイン電流を前記第1および第2の電界効果トランジスタの各ソースの共通接続点に供給する第3の電界効果トランジスタと、前記第1および第2の電界効果トランジスタの各ドレイン電流の電流路となり、カレントミラー回路を構成する第4および第5の電界効果トランジスタを含む差動増幅回路と、
前記差動増幅回路における前記第1または第2の電界効果トランジスタの一方のドレイン電圧がゲートに与えられる第6の電界効果トランジスタと、相互に直列に接続され、前記第6の電界効果トランジスタのドレイン電流の電流路となる第7および第8の電界効果トランジスタとを具備し、前記第7の電界効果トランジスタのゲートには前記第3の電界効果トランジスタのゲートに与えられるものと同じ定電圧が与えられ、前記第8の電界効果トランジスタのゲートには、前記第8の電界効果トランジスタをON状態とする定電圧が与えられ、前記第6の電界効果トランジスタのドレインから前記第1および第2の入力電圧に関する比較結果を示す信号を出力するソース接地増幅回路と
を具備することを特徴とするコンパレータ。
【請求項2】
前記差動増幅回路は、各々のソースが共通接続され、第1および第2の比較用電圧が各々のゲートに与えられ、各々のドレイン電流を前記第4および第5の電界効果トランジスタに流す第9および第10の電界効果トランジスタと、前記第3の電界効果トランジスタのゲートに与えられるものと同じ定電圧がゲートに与えられ、ドレイン電流を前記第9および第10の電界効果トランジスタの各ソースの共通接続点に供給する第11の電界効果トランジスタとを具備し、
前記ソース接地増幅回路は、前記第6の電界効果トランジスタのドレインから前記第1および第2の入力電圧の電圧差と前記第1および第2の比較用入力電圧の電圧差との比較結果を示す信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のコンパレータ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−71653(P2009−71653A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238964(P2007−238964)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】