説明

サンドイッチ構造の複合材料要素を製造するためのデバイスおよび方法

【課題】表面に発泡性の反応混合物を同時的におよび均等に適用するためのアプリケーションデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、基材上においてフォーム生成混合物を均等に発泡させるように、基材上にフォーム生成混合物を適用するデバイスであって、(a)混合ヘッド、(b)前記混合ヘッドに取り付けられているディストリビュータヘッド、(c)前記ディストリビュータヘッドに取り付けられている少なくとも3つのディスチャージライン、および(d)前記ディスチャージラインが取り付けられている固定フレームを有してなり、フォーム生成混合物をディスチャージする方向を横断するフレームにディスチャージラインが取り付けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に発泡性の反応混合物を同時的におよび均等に適用するためのアプリケーションデバイス(又は適用デバイス(application device))、サンドイッチ構造の複合材料要素を製造するためのデバイス、サンドイッチ構造の複合材料要素、特に硬質でおよび可撓性を有する外側層を有するフォーム(又は発泡)複合材料要素を連続的もしくは不連続的に製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サンドイッチ構造の複合材料要素を連続的に製造するためのデバイスであって、15m/分以上、好ましくは60m/分までの速度へ生産率(又は生産性(production rate))を向上させることができるデバイスに対する必要性は長年存在していた。
【0003】
今日まで、サンドイッチ構造の複合材料要素を連続的に製造するために、振動式(又は首振り式(oscillating))の混合ヘッドが用いられてきた。既知の方法では、混合ヘッドは、底部側外側層(bottom outer layer)の幅を横切って振動(oscillating)する動作を行い、およびまだ液状の反応混合物を底部側外側層に適用する。その適用は、混合ヘッドに対して垂直に取り付けられており、底部側外側層に対して平行に取り付けられている、キャスティング・レーキ(casting rake)もしくはファンもしくはスプーンノズルによって行われる。
【0004】
混合ヘッドは、底部側外側層の上方において、ガイドレール、いわゆるポータル(または門型(portal))に取り付けられており、
電気モータによって、加速させられたり、反転ポイントの手前で減速させられたりする。フォーム生成のための原料は、可撓性チューブを通して混合ヘッドに供給される。更に、場合によっては、水圧方式又は空気圧方式のホースが混合ヘッドに連絡している。フォーム生成(foaming)のための原料は、ノズルを通して混合ヘッドへ導入されて、混合される。
【0005】
反応混合物は、それからキャスティング・レーキの中へ入り、一定間隔で設けられている孔を通って排出される。移送方向に対して斜め方向への反応混合物の均一なディストリビューション(分配(distribution))は、キャスティング・レーキの長さおよびその孔によって、および混合ヘッドの振動式の動きによって達成される。
【0006】
適用後、反応混合物は発泡(foam up)して、頂部側外側層まで隆起する。発泡プロセスの間、反応混合物は2つの外側層に結合し、その後、固化および硬化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような製造方法は、生産率に関して、物理的に制限を受ける。たとえ十分に強力な電気モータ、ガイドレール、ホース、混合ヘッドおよびキャスティング・レーキもしくはファンもしくはスプーンノズルを用いたとしても、反転ポイントにおける非常に大きな遠心力のために、反応混合物は外側層の側方を越えて振りまかれることになり得る。そのような従来技術によれば、このようなアプリケーション技術を用いて、サンドイッチ構造の複合材料要素を連続的に生産する場合に、15m/分を越える生産速度は達成することができない。
【0008】
静置式の混合ヘッド技術および固定ディスチャージシステムを用いて生産率を60m/分とする技術は、十分に知られている。USテクノロジー(US technology)(高速機械(high-speed machine))として知られているこの方法は、独立したフィードおよび独立した混合ヘッドを有する3つの計量ライン(metering line)およびディスチャージシステムを実質的に有してなる。しかしながら、この技術は、本願発明に用いられるようなディストリビュータヘッドを有していない。この従来技術の方法は、各混合ヘッドから出る反応混合物が圧力および温度に関する種々の物理的条件にさらされて、ポイントごとに異なる反応動力学によって、不均一な表面、より小さいセル、および異なる熱伝導値などの生成物の品質の低下が、得られたフォームに見出されるに至るという問題点を有している。
本発明の目的は、限られた生産率の問題点を克服するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、フォーム生成のための本発明のアプリケーションデバイスを用いて、反応領域に、フォーム生成混合物を同時に適用し、均等に発泡させることによって、達成することができる。本発明のアプリケーションデバイスは、混合ヘッド、ディストリビュータヘッド、前記ディストリビュータヘッドに取り付けられた少なくとも3つもしくはそれ以上の可撓性ディスチャージラインであって、ディスチャージする向きを横断する向きのフレームに取り付けられたディスチャージラインを有してなる。
【0010】
(詳細な説明)
この発明は、本発明のデバイスを用いて、ポリウレタンフォームを生成する反応混合物を適用する方法であって、反応領域に、フォーム生成混合物を同時に適用して、均等に発泡させることを含む方法にも関する。本発明のアプリケーションデバイスは、混合ヘッド、ディストリビュータヘッド、前記ディストリビュータヘッドに取り付けられた少なくとも3つもしくはそれ以上の可撓性ディスチャージラインであって、ディスチャージの向きを横断するフレームに取り付けられたディスチャージラインを有してなる。
【0011】
本発明のアプリケーションデバイスは、同等の長さ、同等の断面(または断面積)および同じ材料で形成されており、ディストリビュータヘッドに取り付けられている少なくとも3つのディスチャージラインを有している場合に、有利である。
【0012】
本発明のアプリケーションデバイスは、ディスチャージラインの位置決めがパネルの幾何学的形状に適合しており、ディスチャージされる反応混合物が反応領域の底部側外側層(又は面)の全幅を一様に横切ってディストリビュート(または分配)される場合に、特に有利である。
【0013】
本発明のアプリケーションデバイスは、反応混合物が底部側外側層上において反応ベルトの移送方向に適用されるように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられる場合に、有利である。
【0014】
本発明のアプリケーションデバイスは、反応混合物が底部側外側層上において反応ベルトの移送方向と反対方向に適用されるように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられる場合に、有利である。
【0015】
本発明のもう1つの形態は、サンドイッチ構造の複合材料要素を製造するためのデバイスであって、頂部側外側層および底部側外側層のためのまたは材料に面する少なくとも2つのフィードデバイス、頂部側外側層を案内する上側の回転ベルト、底部側外側層を案内する下側の回転ベルト、発泡するコア層のための本発明のアプリケーションデバイス、ならびに、成形領域および切断デバイスが連続して接続されているデバイスに関する。
【0016】
サンドイッチ構造の複合材料要素を製造するための本発明のデバイスは、発泡ポリウレタン(PU)コア層が用いられる場合に、有利である。
【0017】
本発明のもう1つの形態は、発泡したサンドイッチ構造の複合材料要素を製造する方法であって、本発明のサンドイッチ構造の複合材料要素を製造するためのデバイスが使用され、ならびに、混合ヘッド内で混合させた1つまたは2つの成分が、前もってもしくは混合ヘッド内で、不活性ガスと混合される方法に関する。
【0018】
本発明の方法は、化学的不活性ガスが、空気、窒素、二酸化炭素および希ガス、例えば、アルゴンおよびヘリウムなどから選ばれる場合に、有利である。空気を化学的不活性ガスとして用いることが好ましい。
【0019】
本発明のアプリケーションデバイスでは、底部側外側層の上方のフレームに混合ヘッドも取り付けられ、このフレームは非可動性であって、種々の厚さの生成物を製造するために、種々の反応プロファイルが可能である。各発泡成分が一緒に混合される混合ヘッドには、ディストリビュータヘッドが取り付けられている。このディストリビュータヘッドは、少なくとも3つ、最大で8つのディスチャージラインを有しており、それらの長さ、断面および材料はすべて同じであることが好ましい。このことは、底部側外側層に接触する際に、接触するいずれのポイントにおいても、まだ液状の反応混合物の発泡挙動が同じ程度であって、生成物の特に均等な発泡が導かれるという利点を有する。この利点は、ディスチャージラインの長さ、断面および材料が同じであることによってのみではなく、適用される混合物の全体が1つのおよび同じ混合ヘッドから出ることによっても、もたらされるものである。
【0020】
ディスチャージラインには、発泡させる反応混合物と反応することがなく、反応混合物が通常はほとんど付着しないような材料であれば、当業者に知られているいずれの材料であっても用いることができる。ディスチャージラインに好ましい材料の例には、スチール、アルミニウム、ステンレススチール、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、およびポリウレタン(PU)などがある。ゴムは、フィードラインに加工することができ、当業者に知られているいずれの可撓性ゴムであってもよいと理解されたい。ニトリルブタジエンゴム(NBR)が好ましい。
特に好ましいものは、PE、PP、PETおよびPVCなどの可撓性材料である。ディスチャージラインは、パネルの幾何学的形状に適合し、底部側外側層の幅にわたって均等なアプリケーションが確保されるように、頂部側外側層の上方に配置された硬質の(または固定)フレームに、コンベヤ・ベルトの移送方向を横切る向きに取り付けられおよび配置されている。
【0021】
ディスチャージラインは、底部側外側層上に反応混合物が適用されて、底部側外側層上の適用の個々の領域の間における湿潤化されていない(non-wetted)領域が同等の寸法となるように、底部側外側層の上方に配置されることが有利である。発泡の間に、ギャップは閉じられ(またはギャップはなくなり)、複合材料の均等な発泡が確保される。細かい調整のために、ディスチャージラインは、コンベヤ・ベルトの移送方向を横切る向きに、固定(または硬質)フレーム上を動くことができる。
【0022】
更に、反応混合物がコンベヤ・ベルトの移送方向にまたはその反対方向に底部側外側層と接触するように、ディスチャージラインはフレームに取り付けられる。反応混合物が底部側外側層と、コンベヤ・ベルトの移送方向に接触するかまたはその反対方向に接触するかは、ディスチャージラインからのディスチャージの速度およびコンベヤ・ベルトの移送速度に依存し、ならびに反応混合物の粘度にも依存し得る。1.2〜2m/分のディスチャージの速度および20〜60m/分の移送速度にて、コンベヤ・ベルトの移送の反対方向に反応混合物が適用される場合が、有利である(または好ましい)。1.2〜2m/分のディスチャージの速度および20m/分までの移送速度にて、コンベヤ・ベルトの移送方向に反応混合物が適用される場合も有利である(または好ましい)。
【0023】
本発明の特に好ましい態様において、コンベヤ・ベルトの移送方向を横切る向きに厚みが減少する生成物、または厚さの割合が定常的に変化する生成物が生成するように、混合ヘッドおよびディストリビュータヘッドの両者をディスチャージラインと共に配置および固定することができる。底部側外側層上の適用の個々の領域の間における湿潤化されていない領域は、直線的な様式でまたは寸法が定常的に変化するようにして、減少させることができる。発泡の間、これらのギャップは閉ざされ、生成物の高さにおける望ましい不均一な発泡を行うことができる。
【0024】
このタイプの配置によって、振動式のキャスティング・レーキもしくはファンもしくはスプーンノズルに本質的なポータル(portal)を排除するができるようになる。更に、この配置によって、生産率(または生産性)は、発泡装置の供給性能(delivery performance)またはコンベヤ・ベルトの速度に依存することになる。この配置によって、15m/分以上であって、最大で60m/分の生産率を達成することができる。本発明のデバイスのもう1つの利点は、複数の混合ヘッドを使用する必要がある方法と対比した場合に、本発明のデバイスが混合ヘッドを1つだけ使用するため、製造の安全性および生成物品質の問題をまねき得る、処理圧力、温度または同様の処理パラメータの差による変動が生じることを防止できることである。
【0025】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを発泡させて、ポリウレタンのサンドイッチ構造の複合材料要素を製造することに好適であれば、この技術分野において当業者に知られているいずれの混合ヘッドでも、本発明のデバイスのための混合ヘッドとして用いることができる。ディスチャージラインが詰まることを防止するために、一方もしくは両方の反応成分に化学的に不活性なガスを前もって添加することもできるし、または混合ヘッド内で反応混合物に化学的に不活性なガスを添加したりすることもできる。化学的に不活性なガスの好適な例には、窒素、空気、二酸化炭素および希ガス、例えば、アルゴンおよびヘリウムなどが含まれる。ガスの代わりにまたはガスに加えて、反応成分の中にその他の成分を混合することもできる。混合ヘッド内で混合物または反応成分に添加することができるそのような追加の成分の例には、グラファイト、ポリウレタン粉体(flour)、メラミン、ケイ砂、Al、タルカムおよびナノコンポジット(nanocomposite)、例えば層状シリケート、ナノチューブ、ナノサンドなどが含まれる。
【0026】
ディストリビュータヘッドを構成するために好適な材料の例には、スチール、ステンレススチール、アルミニウムおよびプラスチックが含まれる。いずれにしても、選ばれた材料は、0.5〜3バールおよび20〜40℃の範囲の混合ヘッド内にかかる圧力および温度に耐えることが必要とされる。ディストリビュータヘッドの幾何学的形状は、ディストリビュータ入口からディスチャージラインへのそれぞれの出口への経路の長さが等しくなるように選択されることが好ましい。ディストリビュータヘッド出口の断面がディストリビュータヘッド出口の全体と同一である場合にも有利である。しかしながら、ディストリビュータヘッド入口の断面は、各ディストリビュータヘッド出口より大きくてもよい。
【0027】
本発明のアプリケーションデバイスは、サンドイッチ構造の複合材料要素を製造するために用いられるその他のデバイスを構成部分であってもよい。ポリウレタンのサンドイッチ構造要素(パネル)の製造は、連続プロセス(方法)で一般に行われる。この方法において、約20〜240mmの厚みの、いわゆるダブルコンベヤ・ベルト上でパネルは連続的に製造される。しかしながら、20mm未満の厚みおよび240mmを越える厚みとすることもできる。このタイプのダブルコンベヤ・ベルトは、頂部側外側層を案内する上側の回転ベルト、底部側外側層を案内する下側の回転ベルト、頂部側外側層のためのフィードデバイス、底部側外側層のためのフィードデバイス、ポリウレタン反応混合物を頂部側外側層と底部側外側層との間で十分に反応させおよび発泡させる成型領域(molding section)、生成したパネルのための切断デバイス、および底部側外側層の上にポリウレタン反応混合物を適用する混合ヘッドを有する計量ステーションを通常は有している。従来技術のダブルコンベヤ・ベルトを図3に示す。
【0028】
サンドイッチ構造の複合材料要素の連続的製造プロセスのための個々の要素の配置は、従来技術から、例えば、DE−A 1 247 612およびDE−A 1 609 668から知られている。
【0029】
本発明の構成に関して、サンドイッチ構造の複合材料要素とは、少なくとも2つの外側層を有し、それらの間にコア層を有して形成された複合材料要素を意味する。
【0030】
コア層としては、当業者に知られている種々の材料を用いることができる。無機繊維のファイバーボード、硬質フォームのボード、例えばポリウレタンもしくはポリイソシアヌレート(PIR)の硬質フォーム、ポリスチレンフォーム、フェノール樹脂フォームも好ましい。
【0031】
好ましいサンドイッチ構造複合材料要素は、硬質もしくは可撓性材料の少なくとも2つの外側層、およびフォーム、例えばPU硬質フォームのコア層を有する。本発明に用いるPU硬質フォームという用語は、ポリウレタン、ポリウレアおよびポリイソシアネート配合物をベースとする硬質フォームを意味する。ポリウレタンおよび/またはポリイソシアネートをベースとする硬質フォームをコア層として選択することが好ましい。ポリウレタンおよび/またはポリイソシアネート基を含む硬質フォームを製造するために、NCO含有化合物に関する技術分野において当業者に知られている種々の化合物であって、OH化合物と反応し得るものを用いることができる。好適なイソシアネートの例には、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香脂肪族(araliphatic)、芳香族化合物およびヘテロ環状のポリイソシアネート、好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)もしくはポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、カルボジイミド基、ウレタン基、アロファネート基、イソシアヌレート基、ウレア基またはビウレット基を含むポリイソシアネート、最も好ましくは、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート系のものが含まれる。400〜10000g/モルの分子量を有するイソシアネートとの反応性を有する少なくとも2つの水素原子を有する好適な化合物の例には、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する化合物が含まれる。更に、好適なNCOプレポリマー、例えば高分子量MDIと、脂肪族もしくは芳香族のポリエーテルポリオールもしくはポリエステルポリオール(例えば、1〜4個のヒドロキシル基を有し、60〜4000の数平均分子量を有するポリエーテルポリオールもしくはポリエステルポリオール)との反応によって生成するものを用いることもできる。
【0032】
フォームの製造は、この技術分野において当業者に知られている常套の助剤物質および添加剤、例えば、触媒、発泡剤、架橋剤、難燃剤、フォーム安定化剤、流動性向上剤、阻害剤、ならびに場合により、熱伝導性および燃焼保護を向上させるための固体助剤(solid additive)を用いて行うことができる。
【0033】
外側層のための材料として、この技術分野において当業者に知られているいずれの材料をも用いることができる。金属、例えば、スチール(亜鉛メッキしたものおよび/または塗装したもの)、アルミニウム(塗装したものおよび/または陽極酸化処理したもの)、銅、ステンレススチール、または、非金属、例えば、補強もしくは非補強および/もしくは充填プラスチック、例えばポリ塩化ビニルもしくはポリエステル系のもの、または、ガラス繊維、含浸板紙、紙、木材、ビチューメン含浸ガラス繊維フリースおよび鉱物性ガラス繊維フリースも好ましい。
【0034】
例えば、外側層を塗料によって被覆することもできる。
上述した材料から製造されるパネルのそれぞれの側に外側層を組み合せたものも、外側層として好適である。
【0035】
ポリウレタン硬質フォームのコア層と、異なる外側層(硬質もしくは可撓性のもの)によるこの種の複合材料要素は、従来技術から知られており、金属複合材料要素および絶縁ボードとも称されている。コア層と外側層との間に、その他の追加の層を設けることもできる。
【0036】
硬質の外側層を有するこれらの複合材料要素の適用例は、工業的なホール構造物および低温貯蔵用構造物のためのプロファイル化されたルーフパネルおよびシンプルなまたはライン入りのウォールパネルなどである。複合材料要素は、トラックボディ、ホールドアおよびゲートなど、ならびにコンテナ構造物などにも用いることができる。可撓性の外側層を有する複合材料要素の絶縁ボードは、ルーフ、外壁部およびフロアボードとしても用いることができる。
【0037】
連続的もしくは不連続的方法によってこれらの複合材料を製造することは知られている。この目的で、本発明のアプリケーションデバイスを用いて、底部側外側層の上にまだ液状の反応混合物が適用される。反応混合物は、徐々に発泡し、底部側外側層上で下側ベルトによって成型領域へ移送され、上側ベルトおよび下側ベルトによって保持される。発泡する反応混合物は頂部側外側層に達し、そして2つの外側層を相互に結合させる。上側ベルトおよび下側ベルトによって、生成物として形成される厚みが予め設定されている成型領域の中において、フォームは固化する。成型領域を通過した後、フォームは、このようにして得られるパネルが所望の長さになるように、切断デバイスによって切断される。
【0038】
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
図1は、まだ液状の反応混合物5を底部側外側層6に適用するためのデバイスを示している。液状の反応混合物5の適用は、底部側外側層6の上方において、ガイドレール、いわゆるポータル(portal)に取り付けられている混合ヘッド2、および該混合ヘッド2に連絡しているキャスティング・レーキ4によって行われる。混合ヘッド2は、複数の追加的な孔3を有しており、混合ヘッド2内で混合される成分のための供給アパーチャとしての機能を有する。空気圧シリンダ1によって十分なノズルテンションが確保される。キャスティング・レーキ4は、移送方向に沿って並んで配置された孔を有しており、そして混合ヘッド2に対して垂直におよび底部側外側層6に対して平行に取り付けられており、そこからまだ液状の反応混合物5が底部側外側層6に対して適用される。混合ヘッド2それ自体は、電気モータ(図示せず)によって外側層6の幅にわたって振動様式で移動して、外側層6の移送方向への連続的な動きのために、反応混合物5の適用は外側層6上に斜め方向に行われる。電気モータは、混合ヘッド2およびそれに接続されているキャスティング・レーキ4を一緒に、外側層6の幅方向のひろがりのそれぞれの端部に位置する反転ポイント7へ加速させ(反転ポイントのみを示す)、外側層6の幅全体にわたる均等な適用を達成することができるように、および、流れ力(flow forces)が生じる結果として外側層6の幅のオーバーショットを防止するように、反転ポイント7に達する直前で減速させる。
【0039】
図2は、まだ液状の反応混合物14を底部側外側層15の上に適用するための本発明のデバイスを示している。この例においても、アプリケーションデバイスは、底部側外側層15の上方に配置された混合ヘッド9を有しており、反応成分のためのフィード装置としての追加的な孔11を有している。一様な長さで、一様な直径に設けられ、同じ材料で形成されている複数のディスチャージライン12が取り付けられているディストリビュータヘッド10が、混合ヘッド9に設けられている。コンベヤ・ベルトの移送方向に外側層上への均等な適用が生じ得るように、移送方向を横切る向きに延びるフレーム13の底部において、底部側外側層15の幅全体にわたって、ディスチャージライン12が取り付けられている。空気圧シリンダ8によって十分なノズルテンションが確保される。フレーム13は、底部側外側層15の上方に固定して配置されている。細かい調整のため、ディスチャージライン12は、フレーム13上において移送方向を横切る向きにその位置を変化させることができる(図示せず)。図2に示す本発明のアプリケーションデバイスの態様例は、パネル幾何学的形状に適合するフレーム13上でのディスチャージライン12の配置を提供している。これによって、被覆された領域どうしの間の、底部側外側層15上における被覆されていない領域17が同じ寸法となって、外側層15の全幅にわたって均等な発泡をすることが確保されるように、まだ液状の反応混合物14を底部側外側層15に接触させることができるようになる。液状の反応混合物14が更に発泡する間に、ギャップ17は一様に閉ざされる(または、ギャップ17は一様になくなる)。本発明のもう1つの態様では、コンベヤ・ベルトの移送方向と反対方向に、底部側外側層15上への反応混合物14の適用を行うことができるように、ディスチャージライン12をフレーム13に取り付けることもできる。本発明のもう1つの態様では、それぞれのケースにおいて製造されるサンドイッチ構造の複合材料要素の厚みが、コンベヤ・ベルトの移送方向を横切る幅方向にわたって変動するように、ディスチャージライン12をフレーム13に取り付けることもできる。
【0040】
図3は、従来技術におけるポリウレタンサンドイッチ構造複合要素を製造するためのデバイス18を示している。底部側外側層19および頂部側外側層20が、好適なフィードデバイス(図示せず)によって、上側回転ベルト21と下側回転ベルト22との間に長手方向に延びるギャップ、いわゆる成形領域の中へ連続的に移送されており、そこへ案内される。
【0041】
ポリオール成分Aおよびイソシアネート成分Bはそれぞれ割り当てられた供給容器23および24から、それぞれ割り当てられたポンプおよびラインを通って混合ヘッド25へ送られ、そこで混合される。得られたポリウレタン反応混合物は、底部側外側層19の幅にわたって動く混合ヘッド25によって、移送方向を横切る向きに、底部側外側層19の上に適用される。
底部側外側層19の上に適用されたポリウレタン反応混合物は、発泡して、底部側外側層19の長手方向の動きによって、上側回転ベルト21および下側回転ベルト22によって保持される成形領域の中へ移送される。成形領域の中において、ポリウレタン反応混合物は発泡し、頂部側外側層20と底部側外側層19との間で反応して、成形領域を通過した後に、ポリウレタンサンドイッチ構造要素が得られる。ポリウレタンサンドイッチ構造要素は所定の長さに切断され、更にマシニングに付され得る。
【0042】
以上、本発明について、説明を目的として詳細に説明したが、そのような詳細な事項は単に説明を目的とするのであって、当業者であれば、特許請求の範囲の記載によって限定され得る事項を除いて、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、変更をなし得るということは、明らかに理解されるべきことである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、振動式混合ヘッドおよびキャスティング・レーキを用いて、ポリウレタンを生成する反応混合物を適用することを模式的に示す図である。
【図2】図2は、ディストリビュータヘッドが取り付けられた混合ヘッドを有する本発明のデバイスを用いて、ポリウレタンを生成する反応混合物を適用することを模式的に示す図である。
【図3】図3は、可撓性および硬質の外側層を有する複合材料要素を連続的に製造することを模式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上においてフォーム生成混合物を均等に発泡させるように、基材上にフォーム生成混合物を適用するデバイスであって、
(a)混合ヘッド、
(b)前記混合ヘッドに取り付けられているディストリビュータヘッド、
(c)前記ディストリビュータヘッドに取り付けられている少なくとも3つのディスチャージライン、および
(d)前記ディスチャージラインが取り付けられている固定のフレーム
を有してなり、
フォーム生成混合物をディスチャージする方向を横断するフレームにディスチャージラインが取り付けられていることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
同じ長さおよび同じ断面を有し、同じ材料で形成されており、ディストリビュータヘッドに取り付けられている少なくとも4つのディスチャージラインを有することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
ディスチャージされるフォーム生成混合物によって湿潤化されていない基材の領域が同等の寸法となるように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
ディスチャージラインがパネルの幾何学的形状に適合しており、ディスチャージされるフォーム生成混合物が基材の全幅を一様に横切ってディストリビュートされるように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
ディスチャージされる反応混合物が基材の全幅を一様に横切ってディストリビュートされないように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
フォーム生成混合物が基材上において移送方向に適用されるように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
フォーム生成混合物が基材上において、移送方向と反対に適用されるように、ディスチャージラインがフレームに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
サンドイッチ構造の複合材料要素を製造するためのデバイスであって、
(a)頂部側層、
(b)前記頂部側層のための少なくとも1つのフィードデバイス、
(c)底部側外側層、
(d)前記底部側外側層のための少なくとも1つのフィードデバイス、
(e)頂部側外側層を案内する上側の回転ベルト、
(f)底部側外側層を案内する下側の回転ベルト、
(g)請求項1に記載のデバイス、
(h)成形領域、および
(i)切断デバイス
を有してなり、前記部材(g)請求項1に記載のデバイス、(h)成形領域および(i)切断デバイスが連続して接続されていることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
ポリウレタン(PU)コア層を有してなる請求項8のデバイスによって製造されるサンドイッチ構造の複合材料。
【請求項10】
請求項8に記載のデバイスによって、不活性ガスが混合されたフォーム生成混合物を1つの層に適用することを含むことを特徴とする発泡したサンドイッチ構造の複合材料要素を製造するための方法。
【請求項11】
不活性ガスは、空気、二酸化炭素又は希ガスである請求項10に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−307901(P2007−307901A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−129330(P2007−129330)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】