説明

ショベル

【課題】電動発電機の異常をより柔軟に検出可能なショベルを提供すること。
【解決手段】本発明に係るハイブリッド式ショベルは、エンジン11により発電機として駆動される電動発電機12を備えるショベルであって、電動機として機能する電動発電機12の入力を表す入力物理量を取得する入力物理量取得部300と、入力物理量取得部300が取得する入力物理量に対応する、電動機として機能する電動発電機12の出力を表す出力物理量を取得する出力物理量取得部301と、出力物理量に対する入力物理量の割合に基づいて電動発電機12の異常を検出する電動発電機異常検出部302とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンにより発電機として駆動される電動発電機を備えたショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械式駆動部としてのエンジンと、エンジンの回転をアシストするアシスト駆動部としての電動発電機とを備えたハイブリッド式ショベルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このハイブリッド式ショベルは、エンジンの始動時にエンジンによって回転駆動される電動発電機(IPMモータ)が発生させる誘起電圧と、所定の基準誘起電圧とを比較し、その誘起電圧が基準誘起電圧より小さい場合に、電動発電機の回転子に埋め込まれた永久磁石に減磁が生じていることを検出する。
【0004】
なお、IPMモータは、コイルが設けられた固定子の内側に、永久磁石が埋め込まれた回転子を有し、固定子のコイルに電流を流して発生させた磁界と永久磁石で形成される磁界との相互作用により回転子を回転させる。したがって、回転子の回転力、すなわちIPMモータの出力は、回転子に埋め込まれた永久磁石が形成する磁界の強さに比例する。IPMモータの回転子に埋め込まれた永久磁石は強力な磁石であるが、高温になると磁力が減少(減磁)する傾向があり、また、経年変化によって徐々に磁力が減少する傾向がある。回転子に埋め込まれた永久磁石の磁力が減少すると、IPMモータの出力が低下する。そのため、永久磁石の減磁を含め、永久磁石の異常を早期に検出することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第10/095639号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の電動発電機の減磁検出は、電動発電機が発電機として機能したときに発生させる誘起電圧であり、エンジン及び電動発電機の回転数が安定した後で安定的に検出される誘起電圧に基づいて行われる必要がある。そのため、減磁検出を実行する時期がショベル非作動時に限定され、また、減磁検出のためだけの特別な時間が必要とされる。
【0007】
上述の点に鑑み、本発明は、電動発電機の異常をより柔軟に検出可能なショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の実施例に係るショベルは、エンジンにより発電機として駆動される電動発電機を備えるショベルであって、電動機として機能する前記電動発電機の入力を表す入力物理量を取得する入力物理量取得部と、前記入力物理量取得部が取得する入力物理量に対応する、電動機として機能する前記電動発電機の出力を表す出力物理量を取得する出力物理量取得部と、出力物理量に対する入力物理量の割合に基づいて前記電動発電機の異常を検出する電動発電機異常検出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述の手段により、本発明は、電動発電機の異常をより柔軟に検出可能なショベルを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施例に係るハイブリッド式ショベルの側面図である。
【図2】第一実施例に係るハイブリッド式ショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【図3】第一実施例に係るハイブリッド式ショベルの蓄電系の構成例を示すブロック図である。
【図4】第一実施例に係るハイブリッド式ショベルの蓄電系の回路図である。
【図5】第一実施例に係るハイブリッド式ショベルが実行する旋回用電動機異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第五実施例に係るハイブリッド式ショベルが実行する旋回用電動機異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】判定値とレゾルバの電気角オフセットとの関係を示す図(その1)である。
【図8】判定値とレゾルバの電気角オフセットとの関係を示す図(その2)である。
【図9】第二実施例に係るハイブリッド式ショベルの駆動系の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明の第一実施例に係るハイブリッド式ショベルを示す側面図である。
【0012】
ハイブリッド式ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、キャビン10が設けられ、且つエンジン等の動力源が搭載される。
【0013】
図2は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド式ショベルの駆動系の構成を示すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは実線(太線)、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は実線(細線)でそれぞれ示されている。
【0014】
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、変速機13の二つの入力軸にそれぞれ接続されている。変速機13の出力軸には、油圧ポンプとしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。また、電動発電機12の回転軸には、回転数検出器の一例であるレゾルバ12Aが接続され、電動発電機12の回転速度は、レゾルバ12Aにより検出される。なお、電動発電機12は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータ等の永久磁石モータで構成される。
【0015】
コントロールバルブ17は、ハイブリッド式ショベルにおける油圧系の制御を行う制御装置である。下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、並びにバケットシリンダ9は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。
【0016】
電動発電機12には、インバータ18を介して、蓄電器としてのキャパシタ を含む蓄電系120が接続される。蓄電系120には、インバータ20を介して電動作業要素としての旋回用電動機21が接続されている。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回変速機24が接続される。また、パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。旋回用電動機21と、インバータ20と、レゾルバ22と、メカニカルブレーキ23と、旋回変速機24とで負荷駆動系が構成される。なお、旋回用電動機21は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータ等の永久磁石モータで構成される。
【0017】
操作装置26は、レバー26A、レバー26B、ペダル26Cを含む。レバー26A、レバー26B、及びペダル26Cは、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。圧力センサ29は、油圧アクチュエータのそれぞれの作動状態を検出する作動状態検出部として機能し、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
【0018】
電力検出部S1は、インバータ18と電動発電機12との間でやり取りされる電力を検出する検出手段であり、電圧検出部S11及び電流検出部S12を含む。すなわち、電力検出部S1は、電動発電機12がアシスト運転により消費する電力の値(電圧値及び電流値)、又は、電動発電機12が発電運転により生成する電力の値(電圧値及び電流値)を検出する。
【0019】
電力検出部S2は、インバータ20と旋回用電動機21との間でやり取りされる電力を検出する検出手段であり、電圧検出部S21及び電流検出部S22を含む。すなわち、電力検出部S2は、旋回用電動機21が力行運転により消費する電力の値(電圧値及び電流値)、又は、旋回用電動機21が回生運転により生成する電力の値(電圧値及び電流値)を検出する。
【0020】
図3は蓄電系120の構成を示すブロック図である。蓄電系120は、第1の蓄電器としてのキャパシタ19、昇降圧コンバータ100、第2の蓄電器としてのDCバス110を含む。第2の蓄電器としてのDCバス110は、第1の蓄電器としてのキャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ電圧値を検出するためのキャパシタ電圧検出部112と、キャパシタ電流値を検出するためのキャパシタ電流検出部113とが設けられている。キャパシタ電圧検出部112及びキャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電圧値及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
【0021】
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値が一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える制御を行う。DCバス110は、インバータ18、インバータ20、及び昇降圧コンバータ100との間に配設されており、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を行う。
【0022】
ここで再び図2を参照してコントローラ30の詳細について説明する。コントローラ30は、ハイブリッド式ショベルの駆動制御を行う主制御部としての制御装置である。コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)及び内部メモリを含む演算処理装置で構成され、CPUが内部メモリに格納された駆動制御用のプログラムを実行することにより実現される装置である。
【0023】
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される信号を旋回速度指令に変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。この場合、圧力センサ29から供給される信号は、旋回機構2を旋回させるために操作装置26(旋回操作レバー)を操作した場合の操作量を表す信号に相当する。
【0024】
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧制御部としての昇降圧コンバータ100を駆動制御することによるキャパシタ19の充放電制御を行う。具体的には、コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づいて、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切り替え制御を行い、これによりキャパシタ19の充放電制御を行う。
【0025】
この昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切り替え制御は、DCバス電圧検出部111によって検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112によって検出されるキャパシタ電圧値、キャパシタ電流検出部113によって検出されるキャパシタ電流値、及びDCバス電流検出部114によって検出されるDCバス電流値に基づいて行われる。
【0026】
以上のような構成において、アシストモータである電動発電機12が発電した電力は、インバータ18を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。また、旋回用電動機21が回生運転して生成した回生電力は、インバータ20を介して蓄電系120のDCバス110に供給され、昇降圧コンバータ100を介してキャパシタ19に供給される。
【0027】
旋回用電動機21の回転速度は、回転数検出器の一例であるレゾルバ22により検出される。コントローラ30は、旋回用電動機21の角速度ωに基づいて推定旋回回生電力(エネルギ)を演算で求める。そして、コントローラ30は、演算で求めた推定旋回回生電力に基づいて、キャパシタ19の充電状態SOC(State Of Charge)の回生見込み目標値を演算により求める。コントローラ30は、キャパシタ19のSOCを、求めた回生見込み目標値に近づけるようにハイブリッド式ショベルの各部を制御する。
【0028】
図4は、蓄電系120の回路図である。昇降圧コンバータ100は、リアクトル101、昇圧用IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)102A、降圧用IGBT102B、キャパシタ19を接続するための一対の電源接続端子104、インバータ18、20を接続するための一対の出力端子106、及び、一対の出力端子106に並列に挿入される平滑用のコンデンサ107を備える。昇降圧コンバータ100の出力端子106とインバータ18、20との間は、DCバス110によって接続される。
【0029】
リアクトル101の一端は昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bの中間点に接続され、他端は電源接続端子104に接続される。リアクトル101は、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴って生じる誘導起電力をDCバス110に供給するために設けられている。
【0030】
昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)をゲート部に組み込んだバイポーラトランジスタで構成され、大電力の高速スイッチングが可能な半導体素子である。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bは、コントローラ30により、ゲート端子にPWM(Pulse Width Modulation)電圧が印加されることによって駆動される。昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bには、整流素子であるダイオード102a及び102bが並列接続される。
【0031】
キャパシタ19は、昇降圧コンバータ100を介してDCバス110との間で電力の授受が行えるように、充放電可能な蓄電器であればよい。なお、図4には、蓄電器としてキャパシタ19を示すが、キャパシタ19の代わりに、リチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池、リチウムイオンキャパシタ、又は、電力の授受が可能なその他の形態の電源を蓄電器として用いてもよい。
【0032】
電源接続端子104及び出力端子106は、キャパシタ19及びインバータ18、20が接続可能な端子であればよい。一対の電源接続端子104の間には、キャパシタ電圧を検出するキャパシタ電圧検出部112が接続される。一対の出力端子106の間には、DCバス電圧を検出するDCバス電圧検出部111が接続される。
【0033】
DCバス電圧検出部111は、DCバス110の電圧値を検出する。キャパシタ電圧検出部112は、キャパシタ19の電圧値を検出する。平滑用のコンデンサ107は、出力端子106の正極端子と負極端子との間に挿入され、DCバス電圧を平滑化するための蓄電素子である。この平滑用のコンデンサ107によって、DCバス110の電圧は予め定められた電圧に維持されている。キャパシタ電流検出部113は、キャパシタ19を流れる電流の値を検出する検出手段であり、電流検出用の抵抗器を含む。DC電流検出部114は、DCバス110を流れる電流の値を検出する検出手段であり、電流検出用の抵抗器を含む。
【0034】
昇降圧コンバータ100において、DCバス110を昇圧する際には、昇圧用IGBT102Aのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102Bに並列に接続されたダイオード102bを介して、昇圧用IGBT102Aのオン/オフに伴ってリアクトル101に発生する誘導起電力がDCバス110に供給される。これにより、DCバス110が昇圧される。
【0035】
DCバス110を降圧する際には、降圧用IGBT102Bのゲート端子にPWM電圧が印加され、降圧用IGBT102Bを介して供給される回生電力がDCバス110からキャパシタ19に供給される。これにより、DCバス110に蓄積された電力がキャパシタ19に充電され、DCバス110が降圧される。
【0036】
なお、実際には、コントローラ30と昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bとの間には、昇圧用IGBT102A及び降圧用IGBT102Bを駆動するPWM信号を生成する駆動部が存在するが、図4では省略する。このような駆動部は、電子回路又は演算処理装置のいずれでも実現することができる。
【0037】
上述のような構成のハイブリッド式ショベルにおいて、キャパシタ19のSOCを常に高い状態に維持することで、キャパシタ19からの電力で電気負荷をエネルギ効率の良い状態で駆動することができる。
【0038】
次に、電動発電機12の異常発生を検出するための検出原理について説明する。磁束の中を横断する導体に生じる電圧と導体の横断速度との関係で、e=B×l×vの式が知られている。なお、eは電圧(V)を表し、Bは磁束(Wb/m)を表し、lは導体長さ(m)を表し、vは横断速度(m/s)を表す。
【0039】
ここで、電動発電機12に減磁が生じると、磁束Bが小さくなる。このため、電動発電機12が一定の回転数で回転している場合、すなわち、一定の回転速度vで回転している場合には、減磁前と比べ、磁束Bの減少に比例して電圧eも小さくなる。
【0040】
つまり、減磁前の電圧と回転速度の比(電圧/回転速度)を値「1」とすると、減磁後の電圧と回転速度の比(電圧/回転速度)は値「1」より小さい値になる。このように、電動発電機12の異常判定は、回転速度(出力物理量)に対する電圧(入力物理量)の比の変化に基づいて行われる。
【0041】
ここで、再び図2を参照しながらコントローラ30の詳細を説明する。
【0042】
コントローラ30は、入力物理量取得部300、出力物理量取得部301、及び電動発電機異異常検出部302を備え、上述の制御に加え、電動発電機12の異常を検出する処理(以下、「電動発電機異常検出処理」とする。)を実行する。
【0043】
入力物理量取得部300は、電動発電機12に対する入力を表す入力物理量を取得する機能要素である。入力物理量取得部300は、例えば、下記の数式(1)で示すように、電力検出部S1が検出した、電動発電機12に供給される入力電圧値[V]と入力電流値[A]との乗算値を入力物理量[W]として取得する。
【0044】
【数1】

出力物理量取得部301は、入力物理量取得部300が取得する入力物理量に対応する、電動発電機12の出力を表す出力物理量を取得する機能要素である。出力物理量取得部301は、例えば、下記の数式(2)で示すように、電力検出部S1が検出した電動発電機12に供給される入力電流値[A]を所定の定格電流値[A]で除した値をトルクモニタ値[%]として算出する。
【0045】
【数2】

そして、出力物理量取得部301は、下記の数式(3)で示すように、電動発電機12の所定の定格トルク[N・m]とトルクモニタ値[%]とを乗算して入力電流値[A]のトルク換算値[N・m]を算出する。
【0046】
【数3】

そして、出力物理量取得部301は、下記の数式(4)で示すように、レゾルバ12Aが検出した電動発電機12の回転速度[rad/s]とトルク換算値[N・m]との乗算値を出力物理量[W]として取得する。
【0047】
【数4】

電動発電機異常検出部302は、出力物理量に対する入力物理量の割合に基づいて電動発電機12の異常を検出する機能要素である。電動発電機異常検出部302は、例えば、下記の数式(5)で示すように、出力物理量取得部301が取得した出力物理量[W]を入力物理量取得部300が取得した入力物理量[W]で除した値を判定値として取得する。なお、判定値は、基本的には値「1」以下の値となり、判定値が値「1」に近いほど、すなわち、出力物理量の大きさが入力物理量の大きさに近いほど、電動発電機12の動きは、理想的な状態に近い。
【0048】
【数5】

そして、電動発電機異常検出部302は、取得した判定値と所定の閾値とを比較し、判定値が閾値を下回る場合に、出力物理量の大きさが入力物理量の大きさにそぐわないとして、電動発電機12の異常を検出する。この異常は、電動発電機12における永久磁石の減磁、電動発電機12の故障等に起因する。
【0049】
電動発電機12の異常を検出した場合、電動発電機異常検出部302は、キャビン10内に設置されたディスプレイ、LEDインジケータ、ブザー、スピーカ等の出力装置(図示せず。)に対して制御信号を出力し、電動発電機12の異常が検出されたことをハイブリッド式ショベルの操作者に伝えるようにする。
【0050】
また、電動発電機異常検出部302は、取得した判定値を内部メモリに記憶し、判定値の推移を事後的に解析できるようにしてもよい。これにより、電動発電機異常検出部302は、判定値が閾値を下回った原因をより厳密に特定することができる。具体的には、電動発電機異常検出部302は、それまでの所定期間における判定値の平均減少率が所定値以上であれば(急激な減少であれば)、電動発電機12の故障が原因であると判断し、所定値未満であれば(緩やかな減少であれば)、減磁が原因であると判断する。
【0051】
また、第一実施例において、入力物理量[W]及び出力物理量[W]はともにその算出過程で入力電流値[A]を用いているが、入力電流値[A]を用いずに算出されてもよい。この場合、入力物理量及び出力物理量はともに、下記の数式(6)及び(7)で示すように、電圧値[V]として算出される。その結果、電動発電機異常検出部302は、より簡易に判定値を取得することが可能となる。
【0052】
【数6】

【0053】
【数7】

ここで、図5を参照しながら、コントローラ30が電動発電機12の異常を検出する処理(以下、「電動発電機異常検出処理」とする。)の流れについて説明する。なお、図5は、電動発電機異常検出処理の流れを示すフローチャートであり、コントローラ30は、ハイブリッド式ショベルの運転中、所定の制御周期で繰り返しこの電動発電機異常検出処理を実行する。
【0054】
最初に、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、入力物理量取得部300が取得した入力物理量と、出力物理量取得部301が取得した出力物理量とに基づいて判定値を取得する(ステップST1)。
【0055】
その後、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、取得した判定値と所定の閾値とを比較し、判定値が閾値を下回るか否かを判定する(ステップST2)。
【0056】
判定値が閾値を下回ると判定した場合(ステップST2のYES)、コントローラ30は、電動発電機12に異常があると判断し、出力装置に対して制御信号を出力してその旨をハイブリッド式ショベルの操作者に伝えるようにする(ステップST3)。
【0057】
一方、判定値が閾値以上であると判定した場合(ステップST2のNO)、コントローラ30は、電動発電機12が正常であると判断し、出力装置に対して制御信号を出力することなく今回の電動発電機異常検出処理を終了させる。
【0058】
以上の構成により、第一実施例に係るハイブリッド式ショベルは、電動発電機12の動作不良や性能低下を招く電動発電機12の異常を早期に検出することができる。
【実施例2】
【0059】
第二実施例に係るハイブリッド式ショベルは、入力物理量取得部300が、キャパシタ電圧検出部112の出力と、キャパシタ電流検出部113の出力とに基づいて入力物理量を取得する点において第一実施例に係るハイブリッド式ショベルと異なるが、その他の点において共通する。
【0060】
具体的には、入力物理量取得部300は、例えば、下記の数式(8)で示すように、キャパシタ電圧検出部112が検出したキャパシタ電圧値[V]と、キャパシタ電流検出部113が検出したキャパシタ電流値[A]との乗算値を入力物理量[W]として取得する。
【0061】
【数8】

出力物理量取得部301による出力物理量の取得方法、及び、電動発電機異常検出部302による判定値の取得方法は第一実施例と同様である。
【0062】
なお、第二実施例において、コントローラ30は、電動発電機異常検出処理を実行する前に、蓄電系120に接続された、電動発電機12以外の電気負荷を停止させるようにする。第二実施例は、電動発電機12のみが蓄電系120と電力のやり取りを行う状態を前提としているためである。
【0063】
具体的には、コントローラ30は、旋回用電動機21の運転(力行運転及び回生運転)を停止させるようにする。また、リフティングマグネット等の電気負荷を搭載する場合、コントローラ30は、それら電気負荷の運転も停止させるようにする。電動発電機12のみが蓄電系120と電力のやり取りを行う状態(検出モード)を創出し、電動発電機異常検出部302が算出する判定値の信頼度を高めるためである。
【0064】
なお、コントローラ30は、電動発電機12以外の電気負荷を積極的に停止させるのではなく、電動発電機12以外の電気負荷が停止していることを確認した上で、電動発電機異常検出処理を実行するようにしてもよい。この場合、コントローラ30は、電動発電機12以外の電気負荷が動作している場合には、電動発電機異常検出処理の実行を中止する。
【0065】
以上の構成により、第二実施例に係るハイブリッド式ショベルは、電動発電機12の動作不良や性能低下を招く電動発電機12の異常を早期に検出することができる。
【実施例3】
【0066】
第三実施例に係るハイブリッド式ショベルは、入力物理量取得部300が、キャパシタ電圧検出部112の出力と、キャパシタ電流検出部113の出力と、インバータ20と旋回用電動機21の間でやり取りされる電力を検出する電力検出部S2の出力とに基づいて入力物理量を取得する点において第一及び第二実施例に係るハイブリッド式ショベルと異なる。
【0067】
また、第三実施例に係るハイブリッド式ショベルは、旋回用電動機21を停止させずに電動発電機異常検出処理を実行する点において第二実施例に係るハイブリッド式ショベルと異なる。
【0068】
なお、その他の点においては、第一及び第二実施例に係るハイブリッド式ショベルと共通する。
【0069】
具体的には、入力物理量取得部300は、例えば、下記の数式(9)で示すように、キャパシタ電圧検出部112が検出したキャパシタ電圧値[V]と、キャパシタ電流検出部113が検出したキャパシタ電流値[A]との乗算値であるキャパシタ出力[W]から、電力検出部S2における電圧検出部S21及び電流検出部S22のそれぞれが検出した旋回用電動機電圧値[V]と旋回用電動機電流値[A]の乗算値である旋回用電動機出力[W]を差し引いた値を入力物理量[W]として取得する。なお、旋回用電動機出力[W]は、旋回用電動機21が力行運転を行っている場合に正値となり、旋回用電動機21が回生運転を行っている場合に負値となる。
【0070】
【数9】

出力物理量取得部301による出力物理量の取得方法、及び、電動発電機異常検出部302による判定値の取得方法は第一実施例と同様である。
【0071】
なお、第三実施例に係るハイブリッド式ショベルがリフティングマグネットを搭載する場合、コントローラ30は、蓄電系120とリフティングマグネットの間でやり取りされる電力を検出する電力検出部(図示せず。)の出力を追加的に考慮した上で、入力物理量[W]を取得する。具体的には、コントローラ30は、キャパシタ出力[W]から旋回用電動機出力[W]及びリフティングマグネット出力[W]を差し引いた値を入力物理量[W]として取得する。リフティングマグネット以外の電気負荷が搭載される場合も同様である。
【0072】
以上の構成により、第三実施例に係るハイブリッド式ショベルは、電動発電機12の動作不良や性能低下を招く電動発電機12の異常を早期に検出することができる。
【実施例4】
【0073】
第四実施例に係るハイブリッド式ショベルは、入力物理量取得部300が、DCバス電圧検出部111の出力と、DCバス電流検出部114の出力とに基づいて入力物理量を取得する点において第一〜第三実施例に係るハイブリッド式ショベルと異なるが、その他の点において共通する。
【0074】
具体的には、入力物理量取得部300は、例えば、下記の数式(10)で示すように、DCバス電圧検出部111が検出したDCバス電圧値[V]と、DCバス電流検出部114が検出したDCバス電流値[A]との乗算値を入力物理量[W]として取得する。
【0075】
【数10】

出力物理量取得部301による出力物理量の取得方法、及び、電動発電機異常検出部302による判定値の取得方法は第一実施例と同様である。
【0076】
以上の構成により、第四実施例に係るハイブリッド式ショベルは、電動発電機12の動作不良や性能低下を招く電動発電機12の異常を早期に検出することができる。
【実施例5】
【0077】
次に、図6〜図8を参照しながら、本発明の第五実施例に係るハイブリッド式ショベルで実行される電動発電機異常検出処理について説明する。
【0078】
第五実施例に係るハイブリッド式ショベルは、判定値が所定の閾値を下回った原因をより厳密に特定できる点において第一〜第四実施例に係るハイブリッド式ショベルと異なるが、その他の点において共通する。なお、入力物理量取得部300が入力物理量を取得する方法は、第一〜第四実施例のそれぞれで説明された方法のうちの何れの方法が採用されてもよい。
【0079】
図6は、第五実施例に係るハイブリッド式ショベルが実行する電動発電機異常検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0080】
最初に、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、入力物理量取得部300が取得した入力物理量と、出力物理量取得部301が取得した出力物理量とに基づいて判定値を算出する(ステップST11)。
【0081】
その後、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、算出した判定値と所定の閾値とを比較し、判定値が閾値を下回るか否かを判定する(ステップST12)。
【0082】
判定値が閾値以上であると判定した場合(ステップST12のNO)、コントローラ30は、電動発電機12が正常であると判断し、出力装置に対して制御信号を出力することなく今回の電動発電機異常検出処理を終了させる。
【0083】
一方、判定値が閾値を下回ると判定した場合(ステップST12のYES)、コントローラ30は、レゾルバ12Aの原点値(ゼロ点を表す値)を変更する(ステップST13)。
【0084】
具体的には、コントローラ30は、現在の原点値(以下、「基準原点値」とする。)から所定値を減じた値を新たな原点値として自動的に採用する。なお、コントローラ30は、出力装置に対して制御信号を送信し、レゾルバ12Aの原点値の変更(低減)を促すメッセージを表示或いは音声出力して操作者にレゾルバ12Aの原点値を手動で変更(低減)させるようにしてもよい。
【0085】
その後、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、入力物理量取得部300が新たに取得した入力物理量と、出力物理量取得部301が新たに取得した出力物理量とに基づいて判定値を再度算出する(ステップST14)。
【0086】
その後、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、判定値の算出回数が設定値(例えば、初回の算出を含めて3回である。)に達したか否かを判定する(ステップST15)。
【0087】
判定値の算出回数が未だ設定値に達していない場合(ステップST15のNO)、コントローラ30は、ステップST13及びST14の処理を再度実行する。
【0088】
具体的には、コントローラ30は、基準原点値に所定値を加えた値を新たな原点値として自動的に採用した上で、入力物理量取得部300が新たに取得した入力物理量と、出力物理量取得部301が新たに取得した出力物理量とに基づいて判定値を再度算出する。ここでも、コントローラ30は、出力装置に対して制御信号を送信し、レゾルバ12Aの原点値の変更(増大)を促すメッセージを表示或いは音声出力して操作者にレゾルバ12Aの原点値を手動で変更(増大)させるようにしてもよい。
【0089】
判定値の算出回数が設定値に達した場合(ステップST15のYES)、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、これまでに算出した全ての判定値が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップST16)。
【0090】
全ての判定値が所定の閾値未満であると判定した場合(ステップST16のYES)、コントローラ30は、電動発電機12に異常がある(例えば、電動発電機12の故障、又は、電動発電機12における永久磁石の減磁が生じている)と判断し、出力装置に対して制御信号を出力してその旨をハイブリッド式ショベルの操作者に伝えるようにする(ステップST17)。
【0091】
図7は、判定値とレゾルバ12Aの電気角オフセットとの関係を示す図であり、3回算出される判定値の全てが所定の閾値TH未満となる場合の関係を示す。電気角オフセット値P0は基準原点値であり、電気角オフセット値P1は1回目の変更が行われた後の原点値であり、電気角オフセット値P2は2回目の変更が行われた後の原点値である。なお、図中の実線で表される推移は、仮に全ての電気角オフセット値で判定値が算出された場合の判定値の推移を示す。
【0092】
このように、コントローラ30は、レゾルバ12Aの原点値を基準原点値の上下に順番に設定しながら、少なくとも二つの追加的な判定値(基準原点値における判定値を除く。)を算出する。そして、コントローラ30は、3つ全ての判定値が閾値THを下回った場合に、その原因がレゾルバ12Aの位置ずれによるものではない、すなわち、その原因が電動発電機12の故障、又は、電動発電機12における永久磁石の減磁によるものであると判断する。
【0093】
一方、判定値のうちの少なくとも一つが所定の閾値以上であると判定した場合(ステップST16のNO)、コントローラ30は、レゾルバ12Aの位置ずれが生じていると判断し、出力装置に対して制御信号を出力してその旨をハイブリッド式ショベルの操作者に伝えるようにする(ステップST18)。
【0094】
図8は、図7と同様、判定値とレゾルバ12Aの電気角オフセットとの関係を示す図であり、3回算出される判定値のうちの一つが所定の閾値TH以上となる場合の関係を示す。
【0095】
このように、コントローラ30は、レゾルバ12Aの原点値を基準原点値の上下に順番に設定しながら、少なくとも二つの追加的な判定値(基準原点値における判定値を除く。)を算出する。そして、コントローラ30は、3つの判定値のうちの少なくとも一つが閾値TH以上となった場合に、レゾルバ12Aの位置ずれが生じていると判断する。
【0096】
この場合、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、3つの判定値のうちで最大となる判定値を算出したときの原点値(図8の電気角オフセット値P2)を新たな基準原点値として設定し、レゾルバ12Aの位置ずれを自動的に解消する。
【0097】
なお、コントローラ30は、1回目の原点値の変更後に算出した判定値が所定の閾値TH以上となった場合、2回目の原点値の変更を行うことなく、レゾルバ12Aの位置ずれが生じていると判断するようにしてもよい。この場合、コントローラ30は、電動発電機異常検出部302により、1回目の原点値の変更後に採用された原点値を新たな基準原点値として設定する。
【0098】
以上の構成により、第五実施例に係るハイブリッド式ショベルは、電動発電機12の動作不良や性能低下を招く電動発電機12の異常を早期に検出することができる。
【0099】
また、第五実施例に係るハイブリッド式ショベルは、レゾルバ12Aの位置ずれを検出することができ、レゾルバ12Aの位置ずれが誤って電動発電機12の異常として検出されるのを防止することができる。
【0100】
また、第五実施例に係るハイブリッド式ショベルは、レゾルバ12Aの位置ずれを自動的に解消し、電動発電機12の動作不良や性能低下を未然に防止し、或いは、電動発電機12の動作不良や性能低下を早期に解消することができる。
【0101】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0102】
例えば、第五実施例において、原点値の変更は2回とされているが、3回以上の変更が行われてもよい。
【0103】
また、第五実施例において、変更後の原点値は、基準原点値を挟むように設定されているが、基準原点値より大きい側又は小さい側の何れか一方に設定されてもよい。
【0104】
また、上述の実施例では、エンジン11と電動発電機12とを油圧ポンプであるメインポンプ14に接続してメインポンプ14を駆動する、いわゆるパラレル型のハイブリッド式ショベルに本発明を適用した例について説明した。しかしながら、本発明は、図9に示すようにエンジン11で電動発電機12を発電機として駆動し、電動発電機12が生成した電力を蓄電系120に蓄積してから、蓄積した電力によりインバータ18Aを通じてポンプ用電動機500を駆動してメインポンプ14を駆動する、いわゆるシリーズ型のハイブリッド式ショベルにも適用することができる。この場合、電動発電機12は、メインポンプ14以外の負荷を駆動する電動機として機能してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1・・・下部走行体 1A、1B・・・走行用油圧モータ 2・・・旋回機構 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 6・・・バケット 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャビン 11・・・エンジン 12・・・電動発電機 12A・・・レゾルバ 13・・・変速機 14・・・メインポンプ 15・・・パイロットポンプ 16・・・高圧油圧ライン 17・・・コントロールバルブ 18、18A・・・インバータ 19・・・キャパシタ 20・・・インバータ 21・・・旋回用電動機 22・・・レゾルバ 23・・・メカニカルブレーキ 24・・・旋回変速機 25・・・パイロットライン 26・・・操作装置 26A、26B・・・レバー 26C・・・ペダル 27、28・・・油圧ライン 29・・・圧力センサ 30・・・コントローラ 100・・・昇降圧コンバータ 101・・・リアクトル 102A・・・昇圧用IGBT 102B・・・降圧用IGBT 102a、102b・・・ダイオード 104・・・電源接続端子 106・・・出力端子 107・・・平滑用コンデンサ 110・・・DCバス 111・・・DCバス電圧検出部 112・・・キャパシタ電圧検出部 113・・・キャパシタ電流検出部 114・・・DCバス電流検出部 120・・・蓄電系 300・・・入力物理量取得部 301・・・出力物理量取得部 302・・・旋回用電動機異常検出部 500・・・ポンプ用電動機 S1、S2・・・電力検出部S11、S21・・・電圧検出部 S21、S22・・・電流検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより発電機として駆動される電動発電機を備えるショベルであって、
電動機として機能する前記電動発電機の入力を表す入力物理量を取得する入力物理量取得部と、
前記入力物理量取得部が取得する入力物理量に対応する、電動機として機能する前記電動発電機の出力を表す出力物理量を取得する出力物理量取得部と、
出力物理量に対する入力物理量の割合に基づいて前記電動発電機の異常を検出する電動発電機異常検出部と、
を備えることを特徴とするショベル。
【請求項2】
前記入力物理量取得部は、前記電動発電機の入力電流と前記電動発電機の入力電圧との乗算値を入力物理量として取得し、
前記出力物理量取得部は、前記電動発電機の入力電流をトルクに換算した値と前記電動発電機の回転数との乗算値を出力物理量として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記電動発電機に電力を供給する蓄電器を更に備え、
前記入力物理量取得部は、前記蓄電器の出力電流と前記蓄電器の出力電圧との乗算値を入力物理量として取得し、
前記出力物理量取得部は、前記電動発電機の入力電流をトルクに換算した値と前記電動発電機の回転数との乗算値を出力物理量として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のショベル。
【請求項4】
前記電動発電機に電力を供給する蓄電器と、
前記蓄電器から入力される電力により電動機として機能し、一方で、回生した電力を前記蓄電器に出力する発電機として機能する旋回用電動機と、を更に備え、
前記入力物理量取得部は、前記蓄電器の出力電流と前記蓄電器の出力電圧との乗算値から、前記旋回用電動機の入力電流と前記旋回用電動機の入力電圧との乗算値、又は、前記旋回用電動機の出力電流と前記旋回用電動機の出力電圧との乗算値を差し引いた値を入力物理量として取得し、
前記出力物理量取得部は、前記電動発電機の入力電流をトルクに換算した値と前記電動発電機の回転数との乗算値を出力物理量として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のショベル。
【請求項5】
前記電動発電機は、インバータを介してDCバスに接続され、
前記入力物理量取得部は、前記DCバスの電流と前記DCバスの電圧との乗算値を入力物理量として取得し、
前記出力物理量取得部は、前記電動発電機の入力電流をトルクに換算した値と前記電動発電機の回転数との乗算値を出力物理量として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のショベル。
【請求項6】
前記入力物理量取得部は、前記電動発電機の入力電圧を入力物理量として取得し、
前記出力物理量取得部は、前記電動発電機の回転数を出力物理量として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載のショベル。
【請求項7】
前記電動発電機異常検出部は、前記電動発電機の回転数を検出する回転数検出器の原点値を変えながら、出力物理量に対する入力物理量の割合を判定値として複数回算出し、算出した複数の判定値の全てが所定の閾値を下回る場合に前記電動発電機の異常を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のショベル。
【請求項8】
前記電動発電機異常検出部は、最初に算出した判定値が前記所定の閾値を下回り、かつ、後に算出した判定値のうちの少なくとも一つが前記所定の閾値以上である場合に前記回転数検出器の位置ずれを検出する、
ことを特徴とする請求項7に記載のショベル。
【請求項9】
前記電動発電機異常検出部は、前記所定の閾値以上であるとされた判定値を算出したときの原点値を、次回の基準原点値として設定する、
ことを特徴とする請求項8に記載のショベル。
【請求項10】
前記電動発電機異常検出部は、前記所定の閾値以上であるとされた判定値のうちの最大の判定値を算出したときの原点値を、次回の基準原点値として設定する、
ことを特徴とする請求項8に記載のショベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−27170(P2013−27170A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160166(P2011−160166)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】