説明

シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の洗浄方法

【課題】シリコンウエハや熱処理炉内のシリコン系部材における汚染金属の濃度を十分に低減できる洗浄方法及びそれを用いたシリコンウエハの製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンウエハ61やシリコンダミーウエハ65、熱処理炉6の内部に配置されるシリコンウエハボート62等のシリコン系部材の洗浄方法であって、シリコンウエハ61及びシリコン系部材を、1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程中に、シリコンウエハ及びシリコン系部材に対して塩化水素ガスを接触させる洗浄工程を行う。これにより、鉄等の汚染金属濃度を充分に低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温で熱処理されるシリコンウエハの洗浄方法、当該シリコンウエハを高温で熱処理するための熱処理炉におけるシリコン系部材の洗浄方法、当該洗浄方法を用いたシリコンウエハの製造方法、及び、当該洗浄方法を用いて洗浄されたシリコンウエハに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハの製造において、シリコンウエハ中にナトリウムや鉄等の汚染金属が含まれていると、シリコンウエハに形成されるデバイスの歩留まりに悪影響を与える。これを改善する方法として、シリコンウエハの熱処理炉内に塩化水素ガスを供給することで上記汚染金属を洗浄除去することが行われている。
【0003】
また、上記の塩化水素ガスを流す際の流路の腐食を防止すべく、1,1,1−トリクロロエタン(TCA)等の有機塩素化合物を酸素ガスとともに熱処理炉内に供給し、TCAを熱酸化させることによって、熱処理炉内のみで塩化水素ガスを発生させることも知られている。
【0004】
さらに、上記の有機塩素化合物からの塩化水素の発生をより低温で行うことを可能とし、加えてオゾン層破壊を起こし難い有機塩素化合物として、トランス1,2−ジクロロエチレン(TLC)等の有機塩素化合物を用いることも開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平7−99743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来の汚染金属の洗浄方法においては、その洗浄温度が800℃程度と低いため、洗浄効果が不十分であるという問題点があった。近年のデバイスの高精度化と歩留り向上を達成するためには許容する汚染金属の濃度を著しく低くする必要がある。具体的には例えばFe濃度の場合で1×1012cm/cc以下程度が目標とされるが、上記の洗浄方法では安定的に達成することができなかった。
【0006】
また、このような低い金属濃度を目標とした場合には、たとえ洗浄工程を行っても、その後にシリコンウエハに熱処理炉内のシリコン系部材から金属が拡散し、シリコンウエハを再汚染することも問題となる。これは、洗浄後の熱処理炉内品の表面は活性であるため、表面に金属元素が付着しやすく、長期間洗浄の効果を維持することができないことに由来する。
【0007】
さらに、上記の洗浄方法を製造工程中に別工程として設けることは工程が複雑になるとともに、更なる金属汚染の可能性を引き起こす要因にもなる。
【0008】
本発明は、シリコンウエハや熱処理炉内のシリコン系部材における汚染金属の濃度を十分に低減できること、それによって製品であるシリコンウエハが、洗浄後に再汚染された炉内のシリコン系部材の影響を受けることを防ぎ、結果として長期間洗浄の効果を維持すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、通常行われる酸化性雰囲気下での1000℃以上の高温処理中に塩化水素ガスによる処理を併用することで、シリコンウエハ及び熱処理炉内のシリコン系部材を同時に洗浄でき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的に本発明は以下のようなものを提供する。
【0010】
(1) シリコンウエハ及び/又は当該シリコンウエハを熱処理するための熱処理炉内部にあるシリコン系部材の洗浄方法であって、前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を、1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程を含み、前記酸化熱処理工程中に、前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材に対して塩化水素ガスを接触させる洗浄工程を行う洗浄方法。
【0011】
(2) 前記酸化熱処理工程を1000℃以上1350℃以下の範囲で行なう(1)記載の洗浄方法。
【0012】
本発明の特徴は、シリコンウエハの製造において通常行われている、酸化性雰囲気下で1000℃以上の熱処理中に塩化水素ガスを併用することにより、汚染金属の洗浄効果を著しく高めることができる点にある。この発明によれば、シリコンウエハのみならずシリコン系部材も同時に洗浄可能であるので、上記のようなシリコン系部材からの再汚染が起きることがなく、シリコンウエハが金属で汚染されることを長期間に渡り防ぐことができる。
【0013】
また、熱処理と洗浄を同時に行うことができるので新たに洗浄工程を設ける必要がなく、シリコンウエハの生産効率は従来のまま維持することができる。
【0014】
なお、本発明における「シリコン系部材」とは、シリコンウエハを熱処理する熱処理炉内に備えられた、シリコン元素を含む部材を主とするものであれば特に限定されない。例えば、シリコンボート、シリコン板、シリコンダミーウエハが挙げられる。
【0015】
「洗浄」とは、シリコンウエハ、シリコン系部材の表面又はバルクの汚染金属を低減することをいう。表面やバルクにナトリウムや鉄等の金属が存在すると、シリコンウエハに形成するデバイスの歩留まりに悪影響を与えるため、これら金属を除去することが求められる。塩化水素ガスによる洗浄プロセスは、先ず、塩化水素ガスが、表面の移動性金属と反応し、これが除去される。次いで、バルク内から表面に金属が拡散により移動し、これが塩化水素ガスによって同様に除去される。この繰り返しにより、シリコンウエハ等から金属は除去される。
【0016】
「酸化性雰囲気」とは、ウエハ面上に酸化膜を形成できる程度の酸素を含む雰囲気であり、その酸素濃度は0.2体積%以上であることが好ましく、より好ましくは、1体積%〜10体積%である。酸素濃度が0.2体積%未満であると表面荒れ等を起こす可能性があり好ましくない。酸素と混合する気体は、特に限定されず、例えば、窒素、Ar、He等を用いることができる。
【0017】
また、洗浄工程を行う酸化熱処理工程の温度は1000℃以上であり、好ましくは1000℃以上1350℃以下である。1000℃未満では金属濃度の低減効果が小さいので好ましくなく、また、シリコンウエハの製造方法で通常行われる熱処理工程を利用するという観点から1350℃以下であることが好ましい。
【0018】
(3) 前記洗浄工程において、有機塩素化合物を系内に供給することにより前記塩化水素ガスを発生させる(1)又は(2)に記載の洗浄方法。
【0019】
(3)の発明によれば、熱処理炉内又は熱処理炉直前で酸素と反応して塩化水素ガスを発生させるので、塩化水素ガスを直接用いた場合に比べて配管の腐食を防ぐことができる。また、有機塩素化合物は低温では安定なので取り扱いも容易である。すなわち、本発明における系内とは、熱処理炉内に直接有機塩素化合物を供給することはもちろんのこと、熱処理炉直前で酸素と反応させて塩化水素の状態で熱処理炉内に供給することも含む意味である。
【0020】
なお、本発明に使用可能な有機塩素化合物は特に限定されないが、上記のTCAやTLC、なかでもTLCが好ましく用いられる。
【0021】
(4) 前記シリコン系部材は、シリコンカーバイド製又は石英製である(1)から(3)いずれかに記載の洗浄方法。
【0022】
本発明の適用対象はシリコンウエハのみならず、シリコン系部材にも及ぶ。ここで、シリコン系部材の材料としては純粋シリコンの他、シリコン元素を含む他の材料にも適用可能であり、なかでも、シリコンカーバイト又は石英が熱処理炉内に配置される冶具等の構成材料として好適である。
【0023】
(5) 前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材は、シリコンダミーウエハ、シリコン板、シリコンウエハボートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む(1)から(3)いずれかに記載の洗浄方法。
【0024】
(5)の発明は、本発明の洗浄対象をより具体的に特定したものである。本発明におけるシリコンウエハには、製品となるシリコンウエハはもちろんのこと、この製品を保護する目的で製品シリコンウエハの最上部と最下部にそれぞれ配置されるシリコンダミーウエハを含むものである。このシリコンダミーウエハは繰り返し使用されるので累積的に金属汚染程度が高くなりやすく、このため通常は所定の回数使用後に交換されるものである。しかしながら、本発明の洗浄方法によれば、このシリコンダミーウエハも洗浄可能であり、洗浄工程毎に洗浄されることになるので、繰り返し長期間の使用が可能となり交換頻度減らすことができる。
【0025】
また、「シリコン板」とは、主にシリコンからなる板状の部材の総称であり、より具体的にはガスの整流板、スリット板、輻射熱遮蔽板等が挙げられる。また、「シリコンウエハボート」とは、通常複数枚のシリコンウエハを熱処理炉内で支持するための冶具であり、例えば天板及び底板の間に複数の支柱を設け、この支柱に上下方向に形成された溝にシリコンウエハの周縁を挿入して保持するように構成されているものをいう。これらはいずれも本発明によって再生可能となる。よって、(5)の発明はシリコン系部材の再生方法でもある。
【0026】
(6) シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程を含み、前記酸化熱処理工程中に、前記シリコンウエハ及び当該シリコンウエハを熱処理するための熱処理炉内部にあるシリコン系部材に対して同時に塩化水素ガスを接触させる洗浄工程を行うシリコンウエハの製造方法。
【0027】
(6)の発明は、(1)の洗浄方法をシリコンウエハの製造方法の面から規定したものであり(1)と同じ効果が得られる。
【0028】
(7) 前記洗浄工程の前に、あらかじめ前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に酸化膜を形成する(6)に記載のシリコンウエハの製造方法。
【0029】
(7)の発明によれば、シリコンウエハの表面は洗浄工程前に酸化膜で保護される。このため、塩化水素ガスによって、シリコンウエハ表面がエッチングされ、シリコンウエハの表面が面荒れすることを防ぐことができる。また、シリコン系部材についても、塩化水素ガスによるエッチングに耐えられない場合には、この処理によってシリコンウエハの場合と同様の効果がある。さらに、塩化水素ガス源としてTCL等の有機塩素化合物を用いる場合には、酸化膜を形成するためにあらかじめ酸素雰囲気下にしておくことでTCLの不完全燃焼による炭素残渣(煤)の発生を防止することができる。なお、本明細書において、この工程を以下「前処理工程」という場合がある。
【0030】
(8) 前記洗浄工程の後に、前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に酸化膜を形成する(6)又は(7)に記載のシリコンウエハの製造方法。
【0031】
(9) 前記酸化熱処理工程後の前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に形成される酸化膜の膜厚が80Å以上である(6)から(8)のいずれかに記載のシリコンウエハの製造方法。
【0032】
(8)の発明によれば、洗浄後の再汚染が防止できるという効果が得られ、(9)の発明によれば、洗浄後の輸送等長時間の汚染リスク環境の下でも汚染の影響を受けづらくなるという効果が得られる。なお、本明細書において、(8)の酸化膜の形成工程を以下「後処理工程」という場合がある。
【0033】
(10) (6)から(9)いずれか記載の製造方法によって得られたシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を前記酸化膜が形成された状態で出荷し、受け入れ先まで輸送するシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の輸送保管方法。
【0034】
(11) 前記受け入れ先にて前記酸化膜を除去する(10)記載のシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の輸送保管方法。
【0035】
(10)の発明は、シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に形成された酸化膜を、出荷から輸送時を経て受け入れ先に至るまでの間残すことにより、保護膜として利用するものである。この場合(11)の発明のように半導体メーカー等のシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の受け入れ先にて、酸化膜をHF等により除去すればよい。このような態様の輸送保管方法により、輸送中も含めて長期間シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の金属汚染を防ぐことができる。
【0036】
(12) 前記シリコンウエハの内部のFe濃度を1×1013(atoms/cm)以下に維持する(10)又は(11)に記載のシリコンウエハの輸送保管方法。
【0037】
(12)の発明によれば、輸送中にシリコンウエハが汚染することを防ぎ、シリコンウエハの内部のFe濃度を1×1013(atoms/cm)以下に維持できるので、受け入れ先での再洗浄が不要になる。
【0038】
(13) (1)から(5)いずれか記載の洗浄方法によって洗浄されたシリコンウエハであって、前記シリコンウエハの内部のFe濃度が1×1013(atoms/cm)以下であるシリコンウエハ。
【0039】
(13)の発明によれば、洗浄処理したシリコンウエハの内部のFe濃度が1×1013(atoms/cm)以下であることにより、金属汚染レベルが低く、高品質なシリコンウエハを加工等することができる。このため、最終的に出来上がる製品の品質を向上することができる。なお、本発明を行う前のFe濃度は1×1013(atoms/cm)を超える汚染レベルであれば好ましく、本発明の好適な洗浄対象となる。この結果、室温保管であれば1年間以上の保管が可能なシリコンウエハを提供できる。
【0040】
(14) (1)から(5)いずれか記載の洗浄方法によって洗浄されたシリコンダミーウエハであって、前記シリコンダミーウエハの内部のFe濃度が1×1013(atoms/cm)以下であるシリコンダミーウエハ。
【0041】
(14)の発明によれば、洗浄後のシリコンダミーウエハの内部のFeの濃度が1×1013(atoms/cm)以下であることにより、シリコンダミーウエハが、その直下に位置するシリコンウエハに与える汚染を十分に防ぐことができる。このため、処理したシリコンウエハ全てを利用することができる。また、シリコンダミーウエハが洗浄されることにより、従来のものよりも、シリコンダミーウエハは汚染されにくいのでダミーウエハの交換回数を減らすことができる。このため、作業効率を向上しダミーウエハにかかるコストを低減することができる。なお、本発明を行う前のFe濃度は1×1013(atoms/cm)を超える汚染レベルであれば好ましく、本発明の好適な洗浄対象となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、高温で熱処理炉内のシリコン系部材、及びシリコンウエハを塩化水素ガス洗浄することにより、熱処理炉内のシリコンウエハのみならず、シリコン系部材も十分に洗浄され、洗浄が不十分なシリコン系部材がシリコンウエハを汚染することを防ぐことができる。また、酸化膜が保護膜を形成することから、長期間洗浄の効果を維持することができる。そして、この酸化膜が形成された状態で出荷まで行った場合には、輸送時にも洗浄効果を維持できる。さらに、シリコンダミーウエハの繰り返し使用における金属汚染の蓄積を防止できコスト低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、以下の説明において、同一の構成要素については同一の番号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0044】
[洗浄装置]
図1は本発明の洗浄方法を実施するための装置の全体を説明する図であり、図2は本発明の洗浄方法に用いられる熱処理炉の分解斜視図である。図1に示すように、本発明の洗浄方法を行うための装置1は、酸素供給源2と、不活性ガス供給源3と、恒温槽に設けられたTLCガス供給源4と、プロセスチューブ5と、シリコンウエハの熱処理炉6と、から構成されている。
【0045】
不活性ガス供給源3から供給される不活性ガスが流れる配管と、TLCガス供給源から供給されるTLCガスが流れる配管とが合流し、その後、合流後の配管は、酸素供給源から供給された酸素を供給する配管と再度合流する。さらに、再度合流後の配管はプロセスチューブ5に混合ガスを供給し、プロセスチューブ5で発生した塩化水素ガス及び/又は酸素ガスは配管を経てシリコンウエハ熱処理炉6に供給されるように連結されている。酸素供給源2、不活性ガス供給源3、TLCガス供給源4からの配管には、それぞれ開閉バルブ2a、3a、4a及びマスフローコントローラー(図示せず)が設けられている。熱処理炉6内の製品であるシリコンウエハ、及び熱処理炉6内のシリコン系部材を洗浄した後、排気口から洗浄後のガスが排気される構成となっている。
【0046】
プロセスチューブ5は加熱部5aを備え、この加熱によって酸素ガスとTLCガスとが反応して塩化水素ガスが発生し、配管を経て熱処理炉6内に流入する。この反応においては酸素を過剰に流入することが好ましい。なお、本発明を実施するためにはプロセスチューブ5は必ずしも熱処理炉6と別体である必要はなく、熱処理炉6と一体になっていてもよい。
【0047】
図2に示すように、熱処理炉6内には、複数枚のシリコンウエハ61と、このシリコンウエハ61を保持するための冶具であるシリコンウエハボート62と、熱処理のための加熱部(図示ぜす)と、熱処理炉カバー64と、シリコンダミーウエハ65と、を備える。
【0048】
シリコンウエハボート62は、例えば天板及び底板の間に複数の支柱を設け、この支柱に上下方向に形成された溝にシリコンウエハの周縁を挿入して保持するように構成されている。シリコンウエハボート62に設けられた最上部の保持部及び最下部の保持部にはシリコンダミーウエハ65が挿入される。熱処理炉カバー64には、プロセスチューブ5から伸びる配管と接合するガス供給口と、ガスを排気する排気口とを備える。
【0049】
[洗浄方法/製造方法]
本発明の一つである洗浄方法は、シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を、1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程を含み、前記酸化熱処理工程において、前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材に対して塩化水素ガスを接触させる方法である。また、本発明の他の一つであるシリコンウエハの製造方法は、シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程を含み、前記酸化熱処理工程中に、前記シリコンウエハ及び当該シリコンウエハを熱処理するための熱処理炉内部にあるシリコン系部材に対して同時に塩化水素ガスを接触させる洗浄工程を行う製造方法である。
【0050】
まず、本発明における酸化熱処理工程は、1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する工程であり、具体的には、図2における熱処理炉6の内部を1000℃以上の酸化性雰囲気下としてシリコンウエハ61を熱処理する工程である。この工程は、図1の酸素供給源2からの配管に設けられた開閉バルブ2aとマスフローコントローラー、不活性ガス供給源3からの配管に設けられた開閉バルブ3aとマスフローコントローラーをそれぞれ制御して所望の酸素濃度の酸素含有ガスを得て、これを熱処理炉6に送り込むことにより行うことができる。このとき、TLCガス供給源4からの配管に設けられた開閉バルブ4aは閉じている。
【0051】
このときの熱処理炉6内の加熱条件は1000℃以上である。1000℃以上であればシリコンウエハ、及びシリコン系部材から不純物である汚染金属を十分に取り除くことができるので好ましく、好ましくは1000℃以上1350℃以下であり、より好ましくは1175℃〜1350℃である。加熱方法も特に限定されない。
【0052】
このような酸化熱処理工程は、シリコンウエハの製造工程においては、いわゆるIG処理等として通常行われている工程である。しかし、本発明においては、この酸化熱処理工程中に熱処理炉6内に塩化水素ガスを供給し、これによって汚染金属を除去する洗浄工程を熱処理と同時に行う点に特徴がある。
【0053】
この洗浄工程は、図1の酸化熱処理工程の状態から、TLCガス供給源4からの配管に設けられた開閉バルブ4aを開けてマスフローコントローラーを制御して所定濃度のTLCガスを上記の酸素含有ガスと混合する。このTLC/酸素/不活性ガスの混合ガスをプロセスチューブ5に送り、併せてプロセスチューブ5の加熱部5aによってプロセスチューブ5内を加熱する。これにより、TLCは酸素によって酸化されて塩化水素と二酸化炭素を発生して残る酸素とともに熱処理炉6に送られる。これにより、熱処理炉6内では上記の酸化熱処理に加えて洗浄工程が開始される。
【0054】
熱処理炉内に供給されるガス中の塩化水素ガスの比率は特に限定されないが、全体に対して0.5%以上3%以下であることが好ましい。0.5%以上であれば、塩化水素ガスによる不純物除去効果が発揮されるため好ましく、3%以下であれば、塩化水素ガスがシリコンウエハ等に与える面あれ等を防ぐことができるので好ましい。より好ましくは、ガス全体に対して1%以上2%以下である。なお、塩化水素ガス源としてTLC等の有機塩素化合物を用いる場合には、上記の数値範囲が塩化水素ガスとして得られる濃度に調整すればよい。
【0055】
熱処理炉内に供給する混合ガスの流量は特に限定されない。
【0056】
洗浄時間は、特に限定されないが、塩化水素ガスの供給量が、熱処理炉内に供給されるガスに対して、0.5%以上3%以下である場合には、1時間以上24時間以下であることが好ましい。1時間以上であれば不純物である重金属を除去する効果を発揮することができるので好ましく、24時間以下であれば、不純物の除去効果が十分に発揮されるので好ましい。より好ましくは4時間以上20時間以下である。
【0057】
洗浄工程においては、TLCの酸化後に残存した酸素によって、シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に酸化膜が形成される。この膜厚は特に限定されないが、80Å〜15000Åであることが好ましい。形成される酸化膜の膜厚が80Å以上であると、塩化水素ガスによるエッチングからシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面を保護できるので好ましく、15000Å以下であれば、その後の洗浄処理で表面に汚染金属が拡散できるので好ましい。
【0058】
そして、この酸化膜は洗浄工程直後に除去してもいいが、これをこのまま保護膜として利用することも好ましく行われる。すなわち、シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に形成された酸化膜を、出荷から輸送時を経て受け入れ先に至るまでの間、意図的に残すことにより、輸送中も含めて長期間シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の金属汚染を防ぐことができるので産業上極めて有効である。この場合の必要な酸化膜の厚さは輸送期間や使用までの保管期間を考慮して適宜設定可能である。このようにシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材上の酸化膜を使ってシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の品質保証期間を延ばすことができるということは従来商業的に行われておらず新規なことである。
【0059】
[前処理工程]
シリコンウエハ等の洗浄工程の前に、さらに、熱処理炉内に酸素ガスを供給する工程を有することが好ましい。このような前処理工程を有することで、シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材にあらかじめ酸化膜を形成することができるので、これが塩化水素ガスによるシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面のエッチングを防ぐことができる。この前処理工程は上記の酸化熱処理工程と基本的に同様の工程であるので、酸化熱処理工程を所定の時間行った後に洗浄工程を開始すればよい。なお、前処理工程における処理温度は必ずしも1000℃以上にする必要はなく適宜設定可能である。また、前処理工程に要する時間も適宜設定可能である。
【0060】
前処理工程でシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材上に形成される膜厚は特に限定されないが、80Å〜15000Åであることが好ましい。形成される酸化膜の膜厚が80Å以上であると、塩化水素ガスによるエッチングからシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面を保護できるので好ましく、15000Å以下であれば、その後の洗浄処理で表面に汚染金属が拡散できるので好ましい。
【0061】
[後処理工程]
シリコンウエハ等の洗浄工程の後に、さらに、熱処理炉内に酸素ガスを供給する工程を有することも好ましい。後処理工程を有することで、洗浄後のシリコンウエハ等にさらに酸化膜を形成し、炉外でも洗浄された状態を維持することが可能になり、さらに所定の膜厚にすることで、安全に輸送できるようになる。
【0062】
この後処理工程も上記の酸化熱処理工程と基本的に同様の工程であるので、洗浄工程を所定の時間行った後に開始すればよい。なお、後処理工程における処理温度も必ずしも1000℃以上にする必要はなく適宜設定可能である。また、後処理工程に要する時間も適宜設定可能である。
【0063】
以上の全工程終了後にシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材に形成された酸化膜の膜厚は特に限定されないが80Å以上であることが好ましい。80Å以上であれば、酸化膜による保護効果により、シリコンウエハは洗浄された状態を長期間維持でき製品の保存可能期間を大幅に延長できるという利点がある。
【0064】
[洗浄工程の繰り返し]
上記の全工程終了後、シリコンウエハ等の表面に形成された酸化膜を除去し、さらにもう一度、シリコンウエハ等の表面に酸化膜を形成して、洗浄することが好ましい。汚染金属を含まない新しい酸化膜を再度シリコンウエハ等の表面に形成することで、シリコンウエハ内部から汚染金属が表面に移動し、結果として汚染金属を除去しやすくなる。
【0065】
この酸化膜を除去、形成の繰り返しが多ければ、より不純物である重金属を除去することができるが、回数が多くなれば、処理にかかる時間も多くなるため、より高い不純物除去の観点と作業を効率的に進める観点から、その繰り返しは2回〜5回であることが好ましく、より好ましくは2回〜3回である。繰り返し行うことの効果は、使用を重ねることにより内部まで金属汚染が蓄積した、例えば中古のシリコンウエハボート等に対して特に顕著に現れる。
【0066】
[シリコンダミーウエハとシリコン系部材]
「シリコンダミーウエハ」とは、シリコンウエハボート内でシリコンウエハが上下方向に複数枚保持できるが、その最上部及び最下部に保持されるシリコンウエハのことをいう。シリコンダミーウエハの材質は一般にシリコンであるが、その他の材質としては、石英やSiC(シリコンカーバイド)のものも従来から用いられている。これらのシリコンダミーウエハは処理温度や炉内の雰囲気によって使い分けられる。
【0067】
シリコンダミーウエハを繰り返し使用した場合には、シリコンダミーウエハには鉄やナトリウム等の汚染金属が蓄積され、このシリコンダミーウエハ自体がシリコンウエハに金属汚染を及ぼしてしまう。このため、シリコンダミーウエハの交換を頻繁にしなければならずコストの負担が大きく、また、連続使用できないために作業効率が悪化していた。本発明の洗浄方法ではシリコンウエハのみならず、シリコンダミーウエハ等の熱処理炉内のシリコン系部材も重金属を除去することが可能であるため、上記課題を解決することができる。
【0068】
シリコンダミーウエハを洗浄する際の温度、加熱時間、加熱方法等は全てシリコンウエハ等と同じ範囲、方法等が好ましいのでその詳細な説明を省略する。すなわち、本発明の洗浄工程は通常のシリコンウエハの製造工程中に行うことができるので、シリコンウエハとシリコン系部材を同時に1000℃以上の高温で洗浄処理できる。なお、本発明においてはシリコン系部材であるシリコン板やシリコンウエハボート等の洗浄も同様に行うことができるのでその詳細説明を省略する。
【0069】
[シリコンウエハの汚染金属の低減レベル]
シリコンウエハとは、一般的なシリコンウエハをいう。例えば、エッチド・ウエハ、ポリッシュド・ウエハ、アニール・ウエハ、モニター・ウエハ、Epiウエハ等が挙げられる。
【0070】
シリコンウエハの表面やバルクに汚染金属が存在すると、シリコンウエハに形成するデバイスの歩留まりに悪影響を与える。したがって、本発明の洗浄方法又は製造方法を利用することで、シリコンウエハに形成するデバイスの歩留まりを改善することができる。
【0071】
本発明の洗浄工程を経たシリコンウエハの内部の汚染レベルが汚染金属の濃度(原子数/cm)で特定できる。例えばFeの場合、Fe濃度は1×1013(atoms/cm)以下であることが好ましい。1×1013(atoms/cm)以下であればシリコンウエハの表面又は内部のFe元素がシリコンウエハに形成するデバイスの歩留まりに与える影響を十分抑えることができるので好ましい。より好ましくは、Fe濃度は1×1011(atoms/cm)以下であり、最も好ましくは1×1010(atoms/cm)以下である。そして、この濃度はシリコン系部材においても同様である。
【0072】
なお、本発明においては、Fe以外にCrにおいても汚染金属濃度の減少効果が認められている。この点については後述する実施例において詳細に説明する。
【0073】
[シリコンダミーウエハの汚染金属の低減レベル]
洗浄後のダミーウエハの内部のFe濃度は1×1013(atoms/cm)以下であることが好ましい。1×1013(atoms/cm)以下であれば、シリコンダミーウエハが、シリコンウエハに金属汚染を及ぼすことを防ぐことができるので好ましい。より好ましくは、Fe濃度は1×1011(atoms/cm)以下であり、最も好ましくは1×1010(atoms/cm)以下である。
【0074】
これにより、従来1回〜5回(バッチ単位)程度の使用で交換する必要があったものを、今まで以上に連続して、同じシリコンダミーウエハを使用することができる。連続使用可能な回数は、使用条件によって異なるが、熱変形や物理的な破損が生じるまでは使用可能である。
【実施例】
【0075】
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
図1、図2に示すような装置を用いた。なお、シリコンボートは材質SiCでありシリコンウエハを収容な熱処理炉、シリコンダミーウエハは材質シリコンのものを用いた。また、全ての実施例においてTLCを塩化水素源とし、酸素ベースの濃度1%のTLC、TLCはアルゴンバブラーで、バブル温度20℃にて実施した。
【0077】
[洗浄の評価]
シリコンウエハ、シリコン系部材に関して、洗浄の前後での汚染金属(Fe)の濃度を測定し、金属除去の程度を評価した。金属濃度の測定はSPV法(表面起電力法)で行った。
【0078】
<シリコンウエハの試験例>
洗浄温度1175℃、洗浄時間4時間の洗浄の場合、及び加熱温度1175℃、加熱時間20時間(4時間×5回)の場合の洗浄を示す。以下のaからdの鉄の濃度を測定した。a:TLC洗浄なし(4時間の酸化熱処理工程のみ、bの対照)、b:TLC洗浄4時間、c:TLC洗浄なし(20時間の酸化熱処理工程のみ、dの対照)、d:TLC洗浄20時間を表す。平均値の結果はa:1.03×1011(atoms/cm)、b:1.34×1010(atoms/cm)、c:9.75×1010(atoms/cm)、d:2.76×10(atoms/cm)であった。
【0079】
以上の結果から、4時間、20時間の洗浄で、いずれもTLC未処理に対してFe汚染が抑えられており洗浄効果を確認できた。また、20時間の方がよりFeの除去効果が高いことが確認できた。
【0080】
<シリコンボートの試験例>
図3はシリコンボートについての評価結果であり、洗浄温度1175℃、洗浄時間が0時間(処理なし)、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間におけるFe濃度の経時変化を示す。
【0081】
図3から、洗浄時間に応じてシリコンボートの金属汚染の程度が改善されており、クリーニング前の2.83×1012(atoms/cm)から、1.83×10(atoms/cm)まで順次減少していることが確認できた。
【0082】
<シリコンダミーウエハの試験例>
図4はシリコンダミーウエハについての評価結果であり、洗浄温度1175℃、洗浄時間が0時間(処理なし)、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、24時間におけるFe濃度の経時変化を示す。
【0083】
図4から、洗浄時間に応じてシリコンボートの金属汚染の程度が改善されており、クリーニング前の4.0×1011(atoms/cm)から、1.83×10(atoms/cm)まで順次減少していることが確認できた。
【0084】
[洗浄温度の影響]
まず、縦40mm×横40mm×高さ1mmのシリコンテストピースを作製した。作製したテストピースを、シリコンウエハの中央にセットして洗浄工程を行い、洗浄温度が金属汚染除去効果に与える影響、及び金属の種類が金属汚染除去効果に与える影響をテストピースの全溶解分析により評価した。
【0085】
洗浄温度1100℃、1200℃のそれぞれで、加熱時間0時間、4時間、16時間、24時間での、バルク中のFe濃度を測定した。結果を図5に示す。
【0086】
図5から、1100℃、1200℃ともに金属汚染除去効果は確認できたが、1200℃の方が1100℃の場合と比較してFe汚染除去効果が高いことが確認できた。
【0087】
[900℃での洗浄]
900℃で20分間の洗浄工程を行った、次いで同じ洗浄を2回行い(計3回)、それぞれの洗浄後に、シリコンボートの平均金属イオン濃度を測定した。最後に1175℃で20分洗浄し(4回目)同様の測定を行った。その結果を下記に示す。
【0088】
TLC洗浄前:3.21×1012(atoms/cm
900℃洗浄(1回目):1.12×1012(atoms/cm
900℃洗浄(2回目):8.21×1011(atoms/cm
900℃洗浄(3回目):7.58×1011(atoms/cm
1175℃洗浄(4回目):4.95×1011(atoms/cm
【0089】
この結果、900℃、20分の条件では、2回目の洗浄と3回目の洗浄とでほとんど変化がないことからFe除去効果が飽和していることが確認された。また、1175℃で処理すればさらに良好なFe除去効果が得られることを確認した。したがって、900℃に比べて1175℃のほうが、Fe除去効果が高いことが解かる。
【0090】
[金属の種類の影響]
汚染金属であるFe、Crの濃度を、洗浄温度1200℃で、洗浄時間0時間、4時間、16時間、24時間で測定した。その結果を図6に示した。
【0091】
図6から、FeとCrで、長時間処理することで大きな金属汚染除去効果があることが確認できた。
【0092】
[繰り返し洗浄の効果]
新品のシリコンウエハボート、中古のシリコンウエハボートをテストピースとして使用し、TLC処理(1200℃、24時間)、酸化膜除去の工程を1回から3回繰り返し、繰り返しによるFe濃度低減の効果(TLC処理前からの低減率%)を測定した。測定結果を表1に示す。なお、新品のウエハボートはあらかじめSPM洗浄を行った。表1に示すように、新品のシリコンウエハボートにおいては洗浄回数による効果がほとんど変らないのに対し、中古のシリコンウエハボートでは、繰り返し洗浄によるFe濃度低減効果が確認できた。
【0093】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の洗浄方法を実施するための装置の全体を説明する図である。
【図2】本発明の洗浄方法に用いられる熱処理炉の分解斜視図である。
【図3】シリコンウエハボートにおける金属汚染除去効果を示す図である。
【図4】シリコンダミーウエハにおける金属汚染除去効果を示す図である。
【図5】加熱温度が金属汚染除去効果に与える影響を示す図である。
【図6】金属の種類が金属汚染除去効果に与える影響を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 洗浄装置
2 酸素供給源
3 不活性ガス供給源
4 TLCガス供給源
2a、3a、4a 開閉バルブ
5プロセスチューブ
5a 加熱部
6 熱処理炉
61 シリコンウエハ
62 シリコンウエハボート
64 熱処理炉カバー
65 シリコンダミーウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンウエハ及び/又は当該シリコンウエハを熱処理するための熱処理炉内部にあるシリコン系部材の洗浄方法であって、
前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を、1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程を含み、
前記酸化熱処理工程中に、前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材に対して塩化水素ガスを接触させる洗浄工程を行う洗浄方法。
【請求項2】
前記酸化熱処理工程を1000℃以上1350℃以下の範囲で行なう請求項1記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄工程において、有機塩素化合物を系内に供給することにより前記塩化水素ガスを発生させる請求項1又は2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記シリコン系部材は、シリコンカーバイド製又は石英製である請求項1から3いずれかに記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材は、シリコンダミーウエハ、シリコン板、シリコンウエハボートよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1から3いずれかに記載の洗浄方法。
【請求項6】
シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を1000℃以上の酸化性雰囲気下で熱処理する酸化熱処理工程を含み、前記酸化熱処理工程中に、前記シリコンウエハ及び当該シリコンウエハを熱処理するための熱処理炉内部にあるシリコン系部材に対して同時に塩化水素ガスを接触させる洗浄工程を行うシリコンウエハの製造方法。
【請求項7】
前記洗浄工程の前に、あらかじめ前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に酸化膜を形成する請求項6に記載のシリコンウエハの製造方法。
【請求項8】
前記洗浄工程の後に、前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に酸化膜を形成する請求項6又は7に記載のシリコンウエハの製造方法。
【請求項9】
前記酸化熱処理工程後の前記シリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の表面に形成される酸化膜の膜厚が80Å以上である請求項6から8のいずれかに記載のシリコンウエハの製造方法。
【請求項10】
請求項6から9いずれか記載の製造方法によって得られたシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材を前記酸化膜が形成された状態で出荷し、受け入れ先まで輸送するシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の輸送保管方法。
【請求項11】
前記受け入れ先にて前記酸化膜を除去する請求項10記載のシリコンウエハ及び/又はシリコン系部材の輸送保管方法。
【請求項12】
前記シリコンウエハの内部のFe濃度を1×1013(atoms/cm)以下に維持する請求項10又は11に記載のシリコンウエハの輸送保管方法。
【請求項13】
請求項1から5いずれか記載の洗浄方法によって洗浄されたシリコンウエハであって、前記シリコンウエハの内部のFe濃度が1×1013(atoms/cm)以下であるシリコンウエハ。
【請求項14】
請求項1から5いずれか記載の洗浄方法によって洗浄されたシリコンダミーウエハであって、前記シリコンダミーウエハの内部のFe濃度が1×1013(atoms/cm)以下であるシリコンダミーウエハ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−40550(P2010−40550A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198189(P2008−198189)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【Fターム(参考)】