シート搬送装置、従動ローラの成形用型及び画像記録装置
【課題】駆動ローラと従動ローラとで用紙が挟持されたとき、圧痕を発生させず、且つ従動ローラの一体成形を容易にする。
【解決手段】樹脂製の2個の従動ローラ100を支持する1本の回転支軸46は、弾性支持部73における付勢力によって従動ローラ100を駆動ローラ35に付勢するように支持され、従動ローラ100における一端面側に円筒面状の第1ローラ面70を形成し、他端面に近い側に小径部を有し、第1ローラ面70側に連続形成される大径部となる截頭円錐状の第2ローラ面71を形成し、第1ローラ面70の半径R1と大径部の半径R2とが等しい。第2ローラ面71の従動ローラにおける中心軸に平行な距離をL23とするとき、角度θ1(=tan-1[(R2−R3)/L23])が、回転支軸と駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角θ2よりも大きく設定され、各従動ローラは、半径R1と半径R3との間のローラ面が駆動ローラと接触している。
【解決手段】樹脂製の2個の従動ローラ100を支持する1本の回転支軸46は、弾性支持部73における付勢力によって従動ローラ100を駆動ローラ35に付勢するように支持され、従動ローラ100における一端面側に円筒面状の第1ローラ面70を形成し、他端面に近い側に小径部を有し、第1ローラ面70側に連続形成される大径部となる截頭円錐状の第2ローラ面71を形成し、第1ローラ面70の半径R1と大径部の半径R2とが等しい。第2ローラ面71の従動ローラにおける中心軸に平行な距離をL23とするとき、角度θ1(=tan-1[(R2−R3)/L23])が、回転支軸と駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角θ2よりも大きく設定され、各従動ローラは、半径R1と半径R3との間のローラ面が駆動ローラと接触している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被記録媒体を搬送するシート搬送装置に関し、特に、駆動ローラと該駆動ローラに圧接する従動ローラとを有して被記録媒体が搬送されるよう構成されたシート搬送装置、従動ローラの成形用型及びシート搬送装置を備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式等の画像記録装置において、プラテンへ向けて記録用紙(被記録媒体、以下単に用紙という)を搬送するシート搬送装置は、一般に、モータ等の駆動力により回動する駆動ローラと、この駆動ローラに対向して配置されて駆動ローラに追随して回動する従動ローラとから構成されている。
【0003】
ところで、用紙の幅方向に長い駆動ローラに対して、従動ローラは、駆動ローラの外周面に当該駆動ローラの軸線方向に適宜間隔にて配置される。そして、従来の従動ローラのローラ面(外周面)は回転中心軸線と同心の円筒面に形成されており、この円筒面の軸線方向の両端は成形用型の設計上、角張っている、つまり従動ローラのローラ面(円筒面)に対してローラの端面は軸線と直交する面であるため、上記従動ローラの両端が実質上90度の鋭い角部(エッジ)となることが多い。
【0004】
この円筒面の角部(エッジ)が駆動ローラの周面に当接するような配置であると、従動ローラと駆動ローラとでニップされた用紙に、上記鋭い角度のエッジによる筋状の圧痕が残り、画像記録の品質が悪化する原因となっていた。
【0005】
上記の問題を解消するため、特許文献1では、従動ローラの軸方向中央部の外径が大きい、いわゆる樽型の従動ローラとすることが提案されている。その場合、これに対するローラ成形用金型のキャビティ部(空間部)も樽型となり、溶融樹脂の冷却固化後に軸方向に無理抜きしなければならない。従って、従動ローラの外周面に抜き操作に伴う傷が付く等の困難を伴う。
【0006】
この不都合を無くする構成として、特許文献1では、従動ローラの樹脂の冷却収縮後におけるローラ面の軸方向中央部の外径が、そのローラ面の軸方向の両側端を含む軸方向両端部の外径より大きく設定され、且つローラ面の軸方向中央部は軸心と同心の円柱面として形成され、さらに、樹脂の冷却収縮後におけるローラ面の軸方向中央部の内径が、軸方向両端部における内径よりも大きく設定し、しかも、軸方向両端部における内径が樹脂の冷却収縮後におけるローラ面の軸方向中央部の外径より大きく形成されている。これにより、成形用型から軸方向に従動ローラを抜き出すとき、ローラ面の軸方向中央部の外径部分が成形用型の側端に引っ掛かることなく通過させるとある。
【特許文献1】特開2001−97593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この程度のローラ面中央部の外径と軸方向の両端部の外径との差異である、ローラ面中央部の外径における樽型の膨らみは、事実上樹脂材料の収縮程度しか付与できない。このため、実際には、ローラ面中央部のヒケを相殺して、外径が一定直径の円筒状の従動ローラを得るのが精一杯となる。そうすると、ローラ面の一端部(または両端部)における鋭い角部(エッジ)のために用紙に圧痕が発生するという問題を解消することができないのであった。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂材にて一体成形された従動ローラであって、用紙(被記録媒体)に対する圧痕が発生しないようにし、且つ成形用型からの取り出しも円滑に行える従動ローラを備えたシート搬送装置、従動ローラ用成形型及びこのシート搬送装置を備えた画像記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記従動ローラにおける一端面に近い位置であって、従動ローラの中心軸に垂直な断面における半径R1、前記従動ローラにおける他端面に近い位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R3、前記従動ローラにおける前記一端面と他端面との間の位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R2とするとき、R1≧R2>R3に設定され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との距離をL23とするとき、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定され、前記駆動ローラと接触している前記2つの従動ローラは、それぞれ前記半径R3を有する断面に近い側の端面が、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置されているものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート搬送装置において、前記各従動ローラにおける前記半径R1を含む断面と前記半径R2を含む断面との間の第1ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の円筒面状に形成され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との間の第2ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状に形成されているものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の前記従動ローラの成形用型であって、キャビティ型とコア型との分割面は、前記半径R1の位置もしくは前記半径R1の位置を挟んで前記半径R3の位置と反対側に位置することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記駆動ローラと接触している前記従動ローラにおける外周面の一端部にのみ鋭い角度の角部が形成され、前記角部は、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置されるものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2または4のいずれかに記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式に基づく画像記録を行う記録ヘッドとを具備する画像記録装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のシート搬送装置では、駆動ローラ及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持されている。そして、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記従動ローラにおける一端面に近い位置であって、従動ローラの中心軸に垂直な断面における半径R1、前記従動ローラにおける他端面に近い位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R3、前記従動ローラにおける前記一端面と他端面との間の位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R2とするとき、R1≧R2>R3に設定され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との距離をL23とするとき、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定され、前記駆動ローラと接触している前記2つの従動ローラは、それぞれ前記半径R3を有する断面に近い側の端面が、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置されているものである。
【0015】
このように構成することにより、前記R1≧R2>R3という第1条件と、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定されているという第2条件とを加味すると、従動ローラにおけるローラ面のうち半径R3を有する断面に近い側の端面部分を、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置することにより、このローラ面の小径側(前記半径R3を有する断面側)の角部が駆動ローラのローラ面(外周面)と接触しないことになる。その結果、この従動ローラと駆動ローラとで挟持される被記録媒体には、前記角部による圧痕が発生しないのである。
【0016】
そして、上述のような形状の従動ローラを樹脂により多数同時に射出成形にて形成するとき、多数個取りのための各キャビティ部分の精度のバラツキを少なくするため、その成形用型は、前記半径R1から半径R3までのローラ面を有するキャビティ部分を備えた第1の金型と、前記半径R1から従動ローラの一端面までのキャビティ部分を備えた第2の金型と、前記半径R3から従動ローラの他端面までのキャビティ部分を備えた第3の金型との3つの金型(ブロック)に分割することが一般的であり、且つ現実的である。
【0017】
このような3つ金型により形成された従動ローラでは、通常、ローラ面の両端部に鋭い角度の角部(エッジ部)が形成される。このような両端部に角部が形成された従動ローラでも、駆動ローラとで挟持される被記録媒体には、前記角部による圧痕が発生しないのである。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記各従動ローラにおける前記半径R1を含む断面と前記半径R2を含む断面との間の第1ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の円筒面状に形成され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との間の第2ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状に形成されているものである。
【0019】
換言すると、前記各従動ローラのローラ面は、実質的に中心軸と同心の円筒面状の第1ローラ面と、この第1ローラ面と同心状にて連続し且つ前記円筒面の半径と等しい半径R2を含む断面よりも半径が小さい前記半径R3を含む断面(小径部)とからなる截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状の第2ローラ面とを有していることになる。
【0020】
従って、駆動ローラのローラ面と接触する従動ローラのローラ面の個所は、前記半径R2を含む断面を挟む前記第1ローラ面及び第2ローラ面の適宜範囲だけとなる。その結果、前記第1ローラ面及び第2ローラ面の端部である角部が被記録媒体と接触しないので、それによる圧痕が発生しないのである。そして、第2ローラ面が截頭円錐面状である従動ローラは加工・測定が行い易い。他方、第2ローラ面が截頭凸曲面回転体の周面状である従動ローラでは、第1ローラ面から第2ローラ面への遷移点(接点)での前記中心軸線を含む面における接線の変化が連続的である。換言すると、第1ローラ面から第2ローラ面へ極めて滑らかに前記接線が変化するという形状となる。従って、被印字媒体に圧痕が発生する事を確実に防止できるという効果を奏する。
【0021】
請求項3に記載の発明による、従動ローラの成形用型は、キャビティ型とコア型との分割面は、前記半径R1を含む断面の位置もしくは前記半径R1を含む断面の位置を挟んで前記半径R3を含む断面の位置と反対側に位置することを特徴とするものである。
【0022】
従って、コア型から樹脂が固化した従動ローラ押し出す方向は、小径部側から大径側方向となり、いわゆる抜き勾配をコア型に形成したときと同じ作用・効果を有して、従動ローラを成形用型から至極容易に取り出すことができるという効果を奏する。
【0023】
請求項4に記載の発明は、画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記駆動ローラと接触している前記従動ローラにおける外周面の一端部にのみ鋭い角度の角部が形成され、前記角部は、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置されるものである。
【0024】
そして、樹脂による従動ローラの成形用型では、少なくとも2つの金型の合わせ面から分離して、成形空間の内部の固化した製品を取り出す。この分離面は、従動ローラのローラ面の一端部に形成されるのが一般的である。その場合、前記角部を、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置することで、駆動ローラに対する回転支軸の撓み量が大きい弾性支持部から遠い側に前記角部が位置することになり、従動ローラと駆動ローラとの挟持部に被記録媒体に対する圧痕が発生しないのである。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2または4のいずれかに記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式に基づく画像記録を行う記録ヘッドとを具備する画像記録装置である。
【0026】
このような画像記録装置であれば、画像記録中に、被記録媒体が従動ローラのローラ面と駆動ローラとで挟持されたときの圧痕が発生せず、この圧痕のために画像の記録品質が悪化することがないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは勿論である。
【0028】
図1は本発明の実施形態に係る多機能装置1の外観構成を示す斜視図である。図2は多機能装置1の内部構成の概略を示す模式断面図である。図3は記録部10の主要構成を示す平面図である。図4は搬送ローラ対27の周辺の構成を示す部分断面図である。
【0029】
[多機能装置1の基本構造]
図1に示すように、多機能装置1におけるハウジング2(合成樹脂製の筺体)の前側(図1において手前側)には開口部2aが開口されており、その開口部2aには被記録媒体としての用紙を堆積状態で収容する上面開放状の給紙トレイ3がX軸線方向に沿って挿抜可能に装着されている。その給紙トレイ3の上面には、小サイズ用紙を給紙するための補助給紙トレイ33が装着され、その後部上面は排紙トレイ部33aが形成されている。なお、この「挿抜」とは、給紙トレイ3がハウジング2に対して着脱可能なもののみならず、ハウジング2から給紙トレイ3の大部分を引出した状態でも、ハウジング2に対して給紙トレイ3が外れない(着脱不能)ものも含む趣旨である。
【0030】
合成樹脂製のハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための自動原稿送り機構付きの画像読取装置5が配置されている。画像読取装置5は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成されている。また、画像読取装置5の上面は原稿載置用のガラス板(図示せず)で構成されており、このガラス板は、画像読取装置5の後端に対して枢軸を中心に上下回動可能な原稿カバー体6で覆われている。原稿カバー体6を上側に開けてガラス板の上に原稿を載置し、ガラス板の下方において主走査方向に往復移動する原稿読取り用のスキャナ(例えばCIS:Contact Image Sensor)によって原稿の画像が読取られる。
【0031】
プリンタ機能は、不図示のコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録部10が用紙に画像や文書を記録する機能である。また、スキャナ機能は、スキャナ部により読み取られた原稿の画像データを当該装置と有線或いは無線で接続されたコンピュータに転送する機能である。なお、読み取られた画像データをメモリカード等の各種記憶媒体に転送して記憶させることもできる。コピー機能は、スキャナ部によって読み取られた画像データを記録部10が用紙Pに記録する機能である。ファクシミリ機能は、スキャナ部により読み取られた画像データを電話回線などを通じてファクシミリ送信する機能である。なお、受信されたファクシミリデータは、記録部10によって用紙Pに記録される。
【0032】
ハウジング2の上面であって原稿カバー体6の前方には、各種操作ボタンを備えた操作パネル部7と、操作手順や実行中の処理の状態を表示するための液晶等による表示装置8とが設けられている。各種操作ボタンとしては、スタートボタンや、ストップボタンなどを含み、これらの操作ボタンを押下することにより、各種の操作が行われる。また、多機能装置1の設定状態や各種の操作メッセージなどが必要に応じて表示される。
【0033】
また、ハウジング2の前面であって、開口部2aの上方には、外部メモリを挿入するための外部メモリ挿入部11が備えられている。外部メモリとは、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、SDカード(登録商標)、xD(登録商標)等が該当する。この外部メモリ挿入部11へ挿入された外部メモリに記憶されたデータは、多機能装置1の内部メモリ読み込まれ、記録装置によって用紙Pに記録される。
【0034】
次に、図2、図3を参照して記録部10及び給紙装置12について説明する。図2は記録部10及び給紙装置12の側断面図、図3は記録部10の概略平面図である。
[記録部10の概略構成]
記録部10は、インクジェット記録方式にしたがって用紙Pに画像を記録する。本実施形態の記録部10は、4色のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色インクを用いてカラー画像或いはモノクロ画像を用紙Pに記録する。記録ヘッド14には、ハウジング2の内部に設けられたインクカートリッジ19からインクチューブ20(図4参照)を通じてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色インクが供給され、各色インクを微小なインク滴として選択的に吐出する。キャリッジ13が往復動される間に、記録ヘッド14からインク滴が選択的に吐出されることにより、プラテン26(本発明における支持台)上を搬送される用紙Pに対して画像記録が行われる。
【0035】
記録部10は、上面が開放された筺型の金属板製のメインフレーム(図示せず)とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1及び第2ガイド部材22、23との間に形成されている(図2、図3参照)。記録部10における記録ヘッド14が下面側に搭載されたキャリッジ13は、用紙搬送方向の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
【0036】
キャリッジ13を往復移動させるために、用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト25がプーリに巻回されており、そのタイミングベルト25を駆動するCR(キャリッジ)モータ24は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
【0037】
キャリッジ13における記録ヘッド14の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレームの底板の上方に固定されている。
【0038】
[給紙装置]
給紙装置12は、給紙トレイ3または補助給紙トレイ33と、給送手段20と、キャリッジ13の搬送方向上流側及び下流側に配置されたシート搬送装置とを備えている。給紙トレイ3または補助給紙トレイ33に収容される被記録媒体は、以下便宜上用紙と述べることとするが、被記録媒体は普通紙のみならず、はがきや封筒等の厚紙や光沢紙等の特殊紙、さらには樹脂フィルム等も含む概念である。なお、給紙トレイ3の上には必ずしも補助給紙トレイ33を備える必要がなく、排紙トレイ部33aのみであっても良い。
【0039】
[給送手段]
実施形態では、振り子式の給送手段20における合成樹脂製のアーム体20cは駆動軸29を中心にして上下回動可能であり、アーム体20cは傾斜分離板21に近づくように延び、アーム体20cの先端部に給送ローラ20aが配置されている。駆動軸29からアーム体20cに設けられた歯車伝動機構(図示せず)を介して給送ローラ20aを回転駆動する(図2参照)。歯車伝動機構は複数個の伝動用の歯車及び遊星歯車を備えている。なお、実施形態における一対の給送ローラ20aは、Y方向の中心線を挟んで左右対称位置に設けられている。
【0040】
給紙トレイ3または補助給紙トレイ33内の用紙Pは、給送手段20における給送ローラ20aと給紙トレイ3の奥側(図2の左端側)に配置された傾斜分離板21における分離爪との協働作用にて1枚ずつに分離されて、Uターン状の搬送路9に給送される。そして、後述する本発明のシート搬送装置を介して1枚ずつ記録部10に給送され、記録ヘッド14により画像記録された後、排紙ローラ対28を介して排紙トレイ部33aに排出される。なお、図2は、補助給紙トレイ33を給紙トレイ3に対して後退させた位置を示し、給紙トレイ3に堆積収容された用紙を給送することができる。補助給紙トレイ33を奥側に押し込めば、この補助給紙トレイ33上の用紙に給送ローラ20aが当接できる構成である。
【0041】
[シート搬送装置]
プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙Pを記録ヘッド14の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙Pを、給紙トレイ3の上面に設けられた排紙トレイ部33a上に搬送するための排紙ローラ対28が配置されている。プラテン26は、レジストローラ(搬送ローラ)対27によって搬送されてきた用紙Pを、記録ヘッドとの間隙を一定にするように支持するのである。
【0042】
排紙ローラ対28は、駆動ローラ28aと拍車ローラ28bとからなる。拍車ローラ28bは、該駆動ローラ28aの上方に対向するように設けられている。拍車ローラ28bは、駆動ローラ28aに圧接されている。駆動ローラ28a及び拍車ローラ28bによって、記録済みの用紙Pが挟持されて、更に下流側へ搬送される。拍車ローラ28bも駆動ローラ28aに対して圧接可能に付勢されたものであるが、拍車ローラ28bは記録済みの用紙Pと圧接されるため、用紙Pに記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に凹凸に形成されている。
【0043】
図4に、搬送ローラ対27の周辺の断面構造が示されている。なお、図4では、キャリッジ13や第1及び第2ガイド部材22、23、排出ローラ対28などの図示が省略されている。
【0044】
本発明のシート搬送装置としてのレジストローラ(搬送ローラ)対27は、駆動ローラ35と、該駆動ローラ35に対向するように配置された従動ローラ36(ピンチローラともいう)とからなる。本実施形態では、駆動ローラ35は、セラミックス製であって、Y軸方向に沿って長く一体的に形成されている。複数の従動ローラ36が1つの駆動ローラ35の下方に適宜間隔にて配置されている。
【0045】
図4〜図6に示されるように、2個一対の従動ローラ36は1本の回転支軸46に回転可能に支持され、この1本の回転支軸46はローラホルダ37及び補助ホルダ38によって回転可能に支持されている。本実施形態では、4つのホルダ支持部材39が、駆動ローラ35の軸方向へ横並びに一直線上に配置されており、各ホルダ支持部材39それぞれに、ローラホルダ37や補助ホルダ38、従動ローラ36などの部材が支持されている。したがって、ホルダ支持部材39ひいてはローラホルダ37及び補助ホルダ38は、駆動ローラ35の軸線(Y軸と平行)に沿って所定間隔にて配置されている。なお、以下においては、説明の便宜上、1つのホルダ支持部材39及びこのホルダ支持部材39に支持される各部材の構成について説明する。
【0046】
なお、各ホルダ支持部材39は装置の筐体を形成するメインフレームに取り付けられている。ローラホルダ37及び補助ホルダ38は、ホルダ支持部材39によって用紙Pの搬送方向に転動可能に支持されている。
【0047】
このような転動支持機構が採用されることにより、搬送ローラ対27の挟持部に用紙Pの先端が進入すると、ローラホルダ37は、従動ローラ36とともに、上流側の後退位置から下流側の搬送位置まで転動する。また、搬送ローラ対27の挟持部から用紙Pの後端が抜け出ると、ローラホルダ37は、従動ローラ36とともに、下流側の前記搬送位置から上流側の前記後退位置まで転動する。なお、このような転動支持機構は、画質向上のために設けられるが、本発明に関しての必須の要件ではない。
【0048】
[従動ローラ36の支持機構の構成]
従動ローラ36の支持機構は、ホルダ支持部材39、転がり軸受け40、ローラホルダ37、補助ホルダ38、コイルバネ41(本発明の付勢部材に相当)、及び従動ローラ36によって構成されている。
【0049】
図5及び図6に示されるように、ホルダ支持部材39は長尺状に形成されている。ホルダ支持部材39は、ポリスチレン樹脂(PS)に代表される合成樹脂で構成されている。このホルダ支持部材39は、転がり軸受け40、ホルダ支持部材39、補助ホルダ38、コイルバネ41、及び従動ローラ36を支持する土台の役割を果たす。
【0050】
ホルダ支持部材39は、記録部10を構成するメインフレームに固定される。具体的には、ホルダ支持部材39の一側面に設けられた突出状の2つの爪42が前記フレームの図示しない係合溝に嵌め入れられることにより、ホルダ支持部材39が位置決めされる。他側面には、その下端から下流側へ延びる取付座43が設けられている。ホルダ支持部材39がフレームに対して位置決めされた状態で、取付座43に設けられた貫通孔44にネジがねじ込まれると、取付座43がフレームに螺着される。これにより、ホルダ支持部材39がフレームに固定される。
【0051】
ホルダ支持部材39の上面に上向き開放状に形成された凹陥部には、側断面円弧状の支持底面45にローラ40aを備えた転がり軸受け40を介してローラホルダ37が転動可能に支持される。
【0052】
図5及び図6に示されるように、ローラホルダ37は、ホルダ支持部材39と同様に、長尺状に形成されている。ローラホルダ37は、ポリアセタール樹脂(POM)などの合成樹脂で構成されている。本実施形態では、補助ホルダ38、コイルバネ41、従動ローラ36、及びその回転支軸46がローラホルダ37に組み付けられて、一つのアッセンブリ(組立体)を構成し、このアッセンブリがホルダ支持部材39の凹陥部内で支持される。
【0053】
ローラホルダ37は、凹陥部内において、その長手方向(Y軸方向)が駆動ローラ35の軸方向に一致し、その短手方向が用紙Pの搬送方向(X軸方向)に一致するように配置される。
【0054】
ローラホルダ37の長手方向の両端それぞれには、切り欠き47が形成されている。切り欠き47は、平面視で略矩形状に形成されている。これら切り欠き47に、補助ホルダ38の支持アーム48が上方から挿入される。切り欠き47の短手方向の両側には、掛止リブ49が設けられており、支持アーム48が挿通された際に支持アーム48のフック48aが掛止リブ49に掛止される。
【0055】
補助ホルダ38の長手方向の両端それぞれに、支持アーム48が設けられている。各支持アーム48は、ローラホルダ37において補助ホルダ38を上下方向、つまり、駆動ローラ35に接離する方向へ移動可能に支持する部材である。
【0056】
ローラホルダ37には、その長手方向(Y軸方向)の両端部に上向き開放状のバネ収容室50が設けられている。各バネ収容室50は、各切り欠き47よりも長手方向の内側に隣接して設けられている。バネ収容室50にコイルバネ41が収容される。このコイルバネ41は、所謂圧縮バネとして用いられ、従動ローラ36の回転支軸46を駆動ローラ35側へ押圧可能なバネ長さ及びバネ力を備える。なお、コイルバネ41に代えて板バネやゴムなどの弾性部材を付勢手段として用いてもかまわない。
【0057】
ローラホルダ37の上側、つまり、駆動ローラ35と対向する側には、コイルバネ41を介して後述する補助ホルダ38が支持される。
【0058】
バネ収容室50よりも長手方向(Y軸方向)の内側には、上端に溝52を有する位置決めリブ51が設けられている。位置決めリブ51は、ローラホルダ37の上面に立設されている。溝52は、位置決めリブ51の上端から上下方向に深く切り込まれて形成されており、側面視で略U字状に形成されている。位置決めリブ51は、従動ローラ36を短手方向(X軸方向)に位置決めするためのものである。具体的には、補助ホルダ38がローラホルダ37に取り付けられ、更に補助ホルダ38に従動ローラ36の回転支軸46が支持された状態で、回転支軸46が位置決めリブ51の溝52に挿通されることで、該回転支軸46が短手方向に位置決めされる(図5参照)。位置決めリブ51による回転支軸46の位置決め精度は、溝52のサイズと回転支軸46のサイズとによって決定される。
【0059】
ローラホルダ37の底面の長手方向(Y軸方向)の中央に、突出片53が設けられている。突出片53は、ホルダ支持部材39の凹陥部の底面に形成された係合溝54(図6参照)に挿入されて係合する。突出片53は、ローラホルダ37の底面から下方に突出する細幅形状に形成されている。突出片53及び係合溝54は、短手方向(X軸方向)へ長い形状に形成されている。突出片53が係合溝54に挿入されることで、ホルダ支持部材39においてローラホルダ37が長手方向(Y軸方向)に位置決めされる。また、ローラホルダ37の移動範囲が用紙Pの搬送方向へ規制される。
【0060】
ローラホルダ37の下流側の側面55には、該側面55に対して略垂直方向に突出する第1ガイドリブ56が設けられている。詳細には、第1ガイドリブ56は、図5に示されるように、ローラホルダ37の下流側に設けられたプラテン26へ向けて突出するように側面55に設けられている。第1ガイドリブ56はローラホルダ37と一体に成形されている。また、第1ガイドリブ56は、従動ローラ36の軸方向、即ち、ローラホルダ37の長手方向に複数設けられている。
【0061】
第1ガイドリブ56の上面は、該第1ガイドリブ56に向けて用紙Pが搬送された場合にその先端をプラテン26側へ向ける役割を果たすガイド面を構成する。
【0062】
補助ホルダ38は、ローラホルダ37及びホルダ支持部材39と同様に、長尺状に形成されている。補助ホルダ38は、ポリアセタール樹脂(POM)などの合成樹脂で構成されている。補助ホルダ38は、その長手方向が駆動ローラ35の軸方向に一致するようにしてローラホルダ37の上側に取り付けられる。
【0063】
補助ホルダ38がローラホルダ37に取り付けられた状態で、補助ホルダ38の移動範囲は、フック48aと掛止リブ49の下端との間隔によって定まる。つまり、ローラホルダ37に補助ホルダ38が取り付けられた状態で補助ホルダ38が下方へ押圧された姿勢では、フック48aが掛止リブ49の下端から離間する。一方、補助ホルダ38が上方へ持ち上げられると、フック48aが掛止リブ49の下端に掛止される。
【0064】
補助ホルダ38は、バネ収容室50にコイルバネ41が収容された状態で、コイルバネ41の上からローラホルダ37に取り付けられる。したがって、補助ホルダ38に外力が加えられていない状態では、補助ホルダ38はコイルバネ41の付勢力によって常に上方へ持ち上げられている。逆に、補助ホルダ38に下方への外力が加えられると、コイルバネ41が圧縮されて補助ホルダ38はローラホルダ37に近づく方向へ変位する。なお、本実施形態では、図5に示されるように各部材が組み立てられた状態で記録部10の内部に組み込まれた場合は、従動ローラ36は駆動ローラ35に押しつけられるため、補助ホルダ38も、従動ローラ36を介して下方へ押しつけられている。したがって、記録部10の内部に組み込まれた状態では、補助ホルダ38は上述した移動範囲内で上下方向へ移動可能な状態で保持されている。
【0065】
補助ホルダ38の上面には、複数の第2ガイドリブ66及び1つの第3ガイドリブ64が設けられている。これら第2ガイドリブ66は、上流側から搬送されてきた用紙Pの先端を搬送ローラ対27の挟持部へ円滑に案内するために設けられている。第3ガイドリブ64は補助ホルダ38の上面のうち、長手方向の中央部に設けられている。
【0066】
補助ホルダ38の長手方向の両端それぞれに、軸受け63Aが設けられている。また、第3ガイドリブ64にも軸受け63Bが設けられている。軸受け63A,63Bに従動ローラ36の回転支軸46が支持される。軸受け63Aは、端部60から下流側へ突出している。回転支軸46の両端が軸受け63Aに支持される。一方、回転支軸46の中央部が軸受け63Bに支持される。軸受け63Bは、第3ガイドリブ64の端部60側に設けられた溝状のものであり、回転支軸46に対して下方へ荷重がかけられた際に該回転支軸46を補助的に支持するものである。
[従動ローラ36]
従動ローラ36は、耐摩耗性の高い硬質の樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂等の合成樹脂や、セルロイド等の天然樹脂)などによって実質上截頭円錐状または実質上砲弾筒状などの截頭凸湾曲回転体の周面に形成されている。ここで、本発明において想定する硬質の樹脂とは、荷重あたりの従動ローラ36の表面(ローラ面)の変形量が回転支軸46の荷重あたりの撓み量よりも小さくなるような物質を指す。また、実質上砲弾筒状については後に詳細に説明する。また、従動ローラ36の内径には、回転支軸46が貫通する軸孔36dが形成されている。この軸孔36dの軸線と従動ローラ36の中心軸36cとは同軸である。
【0067】
本発明では、従動ローラ36は少なくとも2個で対となして1本の回転支軸46を介して回転可能に支持され、この回転支軸46は、少なくともその一個所を上述のようなコイルバネ41にて弾性支持する回転支持部73にて回転可能に支持されている(図8(A)参照)。なお、本発明における回転支持部73の構成は、上述の実施形態の構造に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0068】
第1実施形態では、各従動ローラ36における一端面36aに近い位置であって、従動ローラ36の中心軸36cに垂直な断面70aにおける半径R1、従動ローラ36における他端面36bに近い位置であって、中心軸36cに垂直な断面71aにおける半径R3、従動ローラ36における前記一端面36aと他端面36bとの間の位置であって、中心軸36cに垂直な断面71bにおける半径R2とするとき、
R1≧R2>R3に設定されている(図7参照)。
【0069】
半径R2の断面71bの位置から半径R3の断面71aの位置までの中心軸36cに平行な距離をL23とするとき、角度θ1=tan -1[(R2−R3)/L23]が、回転支軸46と駆動ローラ35の軸線とのなす最大撓み角θ2よりも大きく設定されている。そして、各従動ローラ36は、半径R1と半径R3との間のローラ面が駆動ローラ36と接触しているものである。なお、図8(A)、図8(B)、図9、図10(A)及び図1接触しているものである。なお、図8(A)、図8(B)、図9、図10(A)及び図10(B)では、作用効果を明確にするため、回転支軸46の撓み角度等を実際よりも誇張して描いている。また、図9、図10(A)及び図10(B)では、従動ローラ36の形状も誇張して描いている。
【0070】
実施形態では、各従動ローラ36のローラ面は、実質的に中心軸36cと同軸の円筒面状の第1ローラ面70と、半径R2の断面71b(大径部)とそれよりも半径R3が小さい断面71a(小径部)とからなる截頭円錐面状の第2ローラ面71とからなり、大径部71bの半径R2は第1ローラ面70(円筒面)の半径R1と実質的に等しく且つ連続状に一体形成されている(図7参照)。
【0071】
なお、第1ローラ面70の断面70aにおける半径R1と、第2ローラ面71における断面71bの半径R2とが実質的に等しい(R2≦R1)との意味は、後述するように、成形型から従動ローラ36を軸線に沿って引き抜くときのθ1より小さな抜き勾配が第1ローラ面70に設けられていても良いとの意味である。
【0072】
図8(A)に示すように、コイルバネ41等にて弾性付勢力を備えた2つの回転支持部73にて両端支持された1本の回転支軸46に2個一対の従動ローラ36を支持するときには、各従動ローラ36における第2ローラ面71を有する部位であって、断面71aを有する小径側が各回転支持部73に近い側に位置するように、各従動ローラ36を配置する。換言すると、従動ローラ36における大径側である円筒面状の第1ローラ面70が1本の回転支軸46の中央側に位置するように配置するのである。
【0073】
上述のように、1本の回転支軸46に2つの従動ローラ36を、その第1ローラ面70が回転支軸46の長手方向の中央側に位置するように回転可能に支持し、この対の従動ローラ36のローラ面を、1本の回転支軸46の両端をコイルバネ41等にて弾性付勢力により駆動ローラ35の周面(ローラ面)に押圧すると、回転支軸46の両端の回転支持部73の間に、従動ローラ36と駆動ローラ35との接触部があるため、回転支軸46にはその長手方向の中央側が駆動ローラ35の周面から離間するような曲げモーメントが作用し、回転支軸46の中央部が駆動ローラ35の周面から離間するように撓む。しかして、その場合の最大撓み角θ2は、回転支軸46の両端の回転支持部73の個所に発生することになる。
【0074】
第1実施形態においては、第2ローラ面71を截頭円錐面状とするとき、その第2ローラ面71の直線状の母線(ここでは第2ローラ面71を作る線分を、母線という)が中心軸となす角度θ1とする(図7、図8(A)参照)と、この角度θ1は最大撓み角θ2よりも大きく設定されているのである。
【0075】
上述のように設定すると、回転支軸46の長手方向の中央側に位置する第1ローラ面70は回転支軸46の中心軸線と実質的に同軸の円筒面であり、且つ回転支軸46の長手方向の中央側の撓み角は零もしくは零に近く、且つ撓み量は最大になるので、第1ローラ面70における断面70aの個所側は、駆動ローラ35の周面より若干離れることになる。他方、第2ローラ面71における断面71bの個所側が駆動ローラ35の周面に接する。また、截頭円錐形の第2ローラ面71の母線が中心軸となす角度θ1は、駆動ローラ35に対する回転支軸46の最大撓み角θ2よりも大きく設定されているので、第2ローラ面71における半径R3の断面71aは駆動ローラ35の周面に接触することがない(図8(A)参照)。従って、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pは第1ローラ面70と第2ローラ面71との連続部(遷移部)である断面71bを含む適宜範囲のローラ面領域で圧接されることになる。しかも、この半径R2の断面71bを挟む第1ローラ面70と第2ローラ面71との遷移部の周面は、段差がなく、且つ第2ローラ面71の小径側である断面71aの個所や、第1ローラ面70の断面70a側の個所のように、角張っていないので、筋状の圧痕が発生しないのである。
【0076】
図14に示す従動ローラ36の第2実施形態では、半径R1の断面70aの位置から半径R2の断面71bの位置までの第1ローラ面70は、回転支軸46の中心軸線(中心軸36c)と実質的に同軸の円筒面であり、半径R2の断面71bの位置から半径R3の断面71aの位置までの第2ローラ面71は、截頭凸湾曲線回転体の周面(いわゆる、弾頭型または実質上砲弾筒状であっても良いし、凸湾曲線回転体の母線が放物線、楕円、懸垂曲線、サイクロイド曲線等の凸湾曲線の一部であって良い。この実施形態では、半径R2の断面71bの位置から半径R3の断面71aの位置までの中心軸36cに平行な距離をL23とするとき、半径R2の断面71bの位置の外周と半径R3の断面71aの位置の外周とを結ぶ線と中心軸36cとの成す角度θ1=tan -1[(R2−R3)/L23]となる。なお、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同じ構成については同じ符号を付す。
【0077】
このように、第2ローラ面71が截頭凸湾曲線回転体の周面であることが最も好ましい。この実施形態においては、第1ローラ面70と第2ローラ面71との遷移部分に段差が全く生じず、滑らかであるので、上述のように筋状の圧痕が全く発生しないのである。
【0078】
他方、従来技術のように、両端支持される1本の回転支軸46に挿通支持される2個一対の従動ローラ100が、全周にわたって円筒面状のローラ面100aを有するときには、以下のようになる。即ち、図8(B)に示すように、回転支持部73の個所における回転支軸46の最大撓み角θ2とするとき、この回転支軸46に挿通支持される従動ローラ100のローラ面100aは、回転支軸46の最大撓み角θ2と平行状に傾き、回転支軸46の長手方向の中央側で駆動ローラ35の周面から離間する。換言すると、2個一対の従動ローラ100のローラ面100aのうち回転支軸46の端部に近い側(回転支持部73に近い側)の端部100bのみが駆動ローラ35の周面に接触することになり、駆動ローラ35と従動ローラ100とに挟持される用紙Pには、ローラ面100aのうちの前記端部100bにおける鋭い角度の角部(エッジ)による圧痕が発生するのである。
【0079】
本発明の他の実施形態であって、3つ以上の従動ローラ36が、弾性支持する回転支持部73にて両端部のみを支持された回転支軸46に支持されている場合には、回転支軸46の両端部(回転支持部73)に最も近い位置に配置される従動ローラ36は、その第2ローラ面71における小径である半径R3の断面71aを有する側が回転支軸46の端部(回転支持部73)寄りに位置するように配置されていれば良い(図9参照)。
【0080】
本発明の第3実施形態としては、図10(A)に示すように、1本の回転支軸46を、その両端の補助回転支持部75と、中央部の主回転支持部74とで3点支持されるものであって、主回転支持部74における主バネ76の付勢力が補助回転支持部73における補助バネ77の付勢力よりも大きく設定されている。そして、中央部の主回転支持部74を挟んで両端の補助回転支持部75との間の回転支軸46にそれぞれ、図7に示す形態の従動ローラ100を回転可能に支持するものである。その場合、各従動ローラ36は、その小径部71bが主バネ76を有する主回転支持部74に近い側になるように配置されるのである。
【0081】
この構成では、駆動ローラ35に接触する一対の従動ローラ36のそれぞれの接触点の間に位置する主回転支持部74における主バネ76力が駆動ローラ35に向かうことになり、この主回転支持部74の個所の回転支軸46が駆動ローラ35に接近する方向に撓む。従って、各従動ローラ36の第2ローラ面71における断面71b(大径部)の個所(駆動ローラ35に接触する個所)に対応する回転支軸46の撓み角度が最大撓み角となる。そして、截頭円錐形等の第2ローラ面71の母線が中心軸となす角度θ1(=tan -1[(R2−R3)/L23])が上記最大撓み角よりも大きくなるように設定されているので、各従動ローラ36の第2ローラ面71における断面71bの個所(またはその個所を挟んだ部位)のみが駆動ローラ35に接触し、従動ローラ36の両端部である鋭い角度を有する角部(断面71b側及び第1ローラ面70の断面70a側)は駆動ローラ35に接触しない。従って、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pは第1ローラ面70と第2ローラ面71との連続部(遷移部)である断面71bを含む適宜範囲のローラ面領域で圧接されることになる。しかも、この断面71bの個所の周面は、第2ローラ面71における端部(断面71aを有する個所の角部)や、第1ローラ面70の端部(断面70aを有する個所の角部)のように、角張っていないので、筋状の圧痕が発生しないのである。
【0082】
なお、この実施形態では、1つの主回転支持部74とこの個所を挟んで両側に配置される対の従動ローラ36とが必須の要件であり、両端の回転支持部73は、1本の回転支軸46の姿勢を安定させるために備えるもので、必須の要件ではない。
【0083】
図10(B)は、第3実施形態の変形例であり、回転支軸46の中央部である主回転支持部74の個所を挟んで両側に2つずつの従動ローラ36(図7と同じ形態)が配置されたものである。この場合も、主バネ76を有する主回転支持部74に対して最も近い側に配置される各従動ローラ36は、その断面71aの個所が主回転支持部74に近い側となるような向きで配置される。これにより、図10(A)の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。図9、図10(A)及び図10(B)に示す実施形態において、従動ローラ36の第2ローラ面71が、図14に示すごとくの截頭凸湾曲線回転体の周面であるときにも、同様の作用効果を奏する。
【0084】
上記のような形態の従動ローラ36を射出成形にて形成する成形用型の第1実施形態は図11に示す。この成形用型は、金型ブロックが3つからなる多数個取り用のものである。円筒面状の第1ローラ面70及び截頭円錐形等の第2ローラ面71とに対応する成形空間(キャビティ空間)を有する第1型(コア型)80と、第1ローラ面70のうちの断面70aを有する個所に隣接する小径の段付き部位82(従動ローラ36の一端面36a側に対応)に相当する空間を有する第2型(キャビティ型)81と、第2ローラ面71における断面71aを有する個所に隣接する小径の段付き部位84(従動ローラ36の他端面36b側に対応)に相当する空間を有する第3型83とを備えている。しかして、上記3つの型80、81、83を合わせた内部には、従動ローラ36の外周形状に等しい成形空間(キャビティ空間)87が形成されることになる。第2型81側には、溶融樹脂を成形空間82内に注入するための注入部(スプール)88が設けられている。
【0085】
従動ローラ36の軸孔36dを成形するためのコアピン85は、第3型(キャビティ型)83に摺動可能に挿通支持されている。このコアピン85が第1型(コア型)80等の成形空間87内を貫通し、コアピン85の先端部が第3型83の支持凹部に支持されている。第3型83に設けられ、コアピン85の外周に配置された突き出しロッド86にて、固化した従動ローラ36の断面71a側に近い他端面36bを成形空間87内に押出すものである。
【0086】
図11に示す成形用型では、第1型80と第2型81との合わせ面は、固化した従動ローラ36の押出のための分割面(PL)となる。この第2型81と第2型81との合わせ面の個所には、従動ローラ36における第1ローラ面70と一端面36aとの間の鋭い角度(例えば90度程度であり、それ以下の角度)の角部(エッジ)89が形成される。第2型81と第3型83との合わせ面の個所には、従動ローラ36における第2ローラ面71と他端面36bとの間の鋭い角部(エッジ)90が形成されることになる。
【0087】
成形空間87内で固化した従動ローラ36を成形用型から取り出すには、まず第1型80と第2型81とを分割面PLにて分離し、次いで、コアピン85を成形空間87から後退させた後、コアピン85の外周に配置された突き出しロッド86にて他端面36bを成形空間87内に押出すことにより、従動ローラ36を第1型(コア型)80から外す。実質的に円筒面である第1ローラ面70に対して第2ローラ面71が截頭円錐形または砲弾筒形であり、且つ大径側に向かって従動ローラ36を押し出すので、樹脂の収縮に頼ることなく円滑に抜き出すことができる。通常、1つの成形用型内に20〜30個分の従動ローラ36が一度に成形(多数個取り)できる成形空間87が設けられているので多数個取りを実行でき、製作コストを低減することができる。
【0088】
図12の第2実施形態で示す成形用型では、従動ローラ36の他端面36bと外周面である第1ローラ面70と第2ローラ面71とに対応する空間を有する第1型(コア型)80と、第1ローラ面70のうちの断面70aを有する個所に隣接する段付き小径部位82(従動ローラ36の一端面36a側に対応)に相当する空間を有する第2型(キャビティ型)81との2つの金型を備える。第1型80と第2型81とを合わせて従動ローラ36の外周形状を有する成形空間91が形成される。なお、断面71aを有する個所から従動ローラ36の他端面36bまでの間には、鋭い角部は形成されておらず、アール部である。そして、従動ローラ36の軸孔36dを成形するためのコアピン85は、第1型80に対して成形空間91を貫通するように軸方向に進退動可能に設けられている。成形用型のうち、第1型(コア型)80と第2型(キャビティ型)81との分割面PLは、前記半径R1を含む断面の位置もしくは前記半径R1を含む断面の位置を挟んで前記半径R3を含む断面の位置と反対側に位置とする。従って、上記分割面PLの個所に相当する第1ローラ面70の端部にのみ鋭い角部93が形成されることになる。成形空間91のうち前記分割面PLから遠い側には、第2ローラ面71の断面71aを有する個所(小径部側)が設けられていることになる。さらに、第2型81側には、溶融樹脂を成形空間91内に注入するための注入部(スプール)88が設けられている。
【0089】
上記の成形空間91内で固化した従動ローラ36を成形用型から取り出すには、まず第1型80と第2型81とを分割面PLにて分離し、次いで、コアピン85を成形空間91から後退させた後、コアピン85の外周に配置された突き出しロッド86にて他端面36bを成形空間91内に押出すことにより、従動ローラ36を第1型(コア型)80から外す。実質的に円筒面である第1ローラ面70に対して第2ローラ面71が截頭円錐形または砲弾筒形であり、且つ大径側に向かって従動ローラ36を押し出すので、樹脂の収縮に頼ることなく円滑に抜き出すことができる。通常、1つの成形用型内に20〜30個分の従動ローラ36が一度に成形(多数個取り)できる成形空間91が設けられている。図12の成形用型で成形される従動ローラ36はローラ面全体が円筒面であっても良い。
【0090】
図12の成形用型を用いて成形した従動ローラ36は、その外周面の一端にのみ鋭い角度(例えば90度以下)の角部93が形成され、他端は角部がなくアール部であるので、このような一対の従動ローラ36を両端が弾性支持部73にて支持された回転支軸46に回転可能に軸支される場合は、図13に示すように、上記角部93は、その従動ローラ36に対して最寄りの位置(より近い側)の弾性支持部73から遠い側に配置される。言い換えると、外周面(ローラ面)の他端であって、アール部が最寄りの位置(より近い側)の弾性支持部73に対して近い位置にあるように、従動ローラ36の向きを設定するのである。このように、一対の従動ローラ36を配置すれば、駆動ローラ35に対して回転支軸46の最も大きい撓み量の発生する個所の近くに、鋭い角度の角部93が位置することになり、この角部93は駆動ローラ35の外周面に対して大きく離間しているから、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pには圧痕が発生しないのである。
【0091】
また、成形された従動ローラ36には、上記分割面PLの個所に樹脂のバリができることがある。しかし、このバリのできる個所が円筒面である第1ローラ面70のうち従動ローラ36の一端面36aに近い側に形成されるので、上述のように、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pが第1ローラ面70と第2ローラ面71との連続部である断面71bを有する個所を含む適宜範囲のローラ面領域で圧接される場合には、当該用紙Pに前記バリによる圧痕が発生しないのである。
【0092】
なお、上述した実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る多機能装置1の斜視図である。
【図2】多機能装置1の内部構成の概略を示す模式断面図である。
【図3】記録部10の主要構成を示す平面図である。
【図4】搬送ローラ対27の周辺の構成を示す部分断面図である。
【図5】ローラホルダ37がホルダ支持部材39によって支持された状態を示す斜視図である。
【図6】ホルダ支持部材39及びローラホルダ37の分解図である。
【図7】本発明の1実施形態の従動ローラ36の軸線に沿った断面図である。
【図8】(A)は両端のみ弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る一対の従動ローラ36を配置した状態を示す断面図であり、(B)は参考例としての全体が円筒状の従動ローラ36を配置した状態の断面図である。
【図9】両端のみ弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る3つの従動ローラ36を配置した状態を示す断面図である。
【図10】(A)は3点弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る一対の従動ローラ36を配置した状態を示す断面図であり、(B)は3点弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る二対の従動ローラ36を配置した状態を示す断面図である。
【図11】従動ローラ36を成形するための第1実施形態の成形用型を示す断面図である。
【図12】従動ローラ36を成形するための第2実施形態の成形用型を示す断面図である。
【図13】第2実施形態の成形用型により形成された従動ローラ36を両端のみ弾性支持された1本の回転支軸46に配置する場合の説明図である。
【図14】本発明の2実施形態の従動ローラ36の断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1‥‥多機能装置
10‥‥記録部
13‥‥キャリッジ
14‥‥記録ヘッド
26‥‥プラテン
35‥‥駆動ローラ
36‥‥従動ローラ
36a‥‥一端面
36b‥‥他端面
36c‥‥中心軸
36d‥‥軸孔
41‥‥コイルバネ
70‥‥第1ローラ面
71‥‥第2ローラ面
73‥‥回転支持支部
74‥‥主回転支持支部
75‥‥補助回転支持支部
76‥‥主バネ
77‥‥補助バネ
80‥‥第1型
81‥‥第2型
83‥‥第3型
87‥‥成形空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被記録媒体を搬送するシート搬送装置に関し、特に、駆動ローラと該駆動ローラに圧接する従動ローラとを有して被記録媒体が搬送されるよう構成されたシート搬送装置、従動ローラの成形用型及びシート搬送装置を備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェット方式等の画像記録装置において、プラテンへ向けて記録用紙(被記録媒体、以下単に用紙という)を搬送するシート搬送装置は、一般に、モータ等の駆動力により回動する駆動ローラと、この駆動ローラに対向して配置されて駆動ローラに追随して回動する従動ローラとから構成されている。
【0003】
ところで、用紙の幅方向に長い駆動ローラに対して、従動ローラは、駆動ローラの外周面に当該駆動ローラの軸線方向に適宜間隔にて配置される。そして、従来の従動ローラのローラ面(外周面)は回転中心軸線と同心の円筒面に形成されており、この円筒面の軸線方向の両端は成形用型の設計上、角張っている、つまり従動ローラのローラ面(円筒面)に対してローラの端面は軸線と直交する面であるため、上記従動ローラの両端が実質上90度の鋭い角部(エッジ)となることが多い。
【0004】
この円筒面の角部(エッジ)が駆動ローラの周面に当接するような配置であると、従動ローラと駆動ローラとでニップされた用紙に、上記鋭い角度のエッジによる筋状の圧痕が残り、画像記録の品質が悪化する原因となっていた。
【0005】
上記の問題を解消するため、特許文献1では、従動ローラの軸方向中央部の外径が大きい、いわゆる樽型の従動ローラとすることが提案されている。その場合、これに対するローラ成形用金型のキャビティ部(空間部)も樽型となり、溶融樹脂の冷却固化後に軸方向に無理抜きしなければならない。従って、従動ローラの外周面に抜き操作に伴う傷が付く等の困難を伴う。
【0006】
この不都合を無くする構成として、特許文献1では、従動ローラの樹脂の冷却収縮後におけるローラ面の軸方向中央部の外径が、そのローラ面の軸方向の両側端を含む軸方向両端部の外径より大きく設定され、且つローラ面の軸方向中央部は軸心と同心の円柱面として形成され、さらに、樹脂の冷却収縮後におけるローラ面の軸方向中央部の内径が、軸方向両端部における内径よりも大きく設定し、しかも、軸方向両端部における内径が樹脂の冷却収縮後におけるローラ面の軸方向中央部の外径より大きく形成されている。これにより、成形用型から軸方向に従動ローラを抜き出すとき、ローラ面の軸方向中央部の外径部分が成形用型の側端に引っ掛かることなく通過させるとある。
【特許文献1】特開2001−97593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この程度のローラ面中央部の外径と軸方向の両端部の外径との差異である、ローラ面中央部の外径における樽型の膨らみは、事実上樹脂材料の収縮程度しか付与できない。このため、実際には、ローラ面中央部のヒケを相殺して、外径が一定直径の円筒状の従動ローラを得るのが精一杯となる。そうすると、ローラ面の一端部(または両端部)における鋭い角部(エッジ)のために用紙に圧痕が発生するという問題を解消することができないのであった。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、樹脂材にて一体成形された従動ローラであって、用紙(被記録媒体)に対する圧痕が発生しないようにし、且つ成形用型からの取り出しも円滑に行える従動ローラを備えたシート搬送装置、従動ローラ用成形型及びこのシート搬送装置を備えた画像記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記従動ローラにおける一端面に近い位置であって、従動ローラの中心軸に垂直な断面における半径R1、前記従動ローラにおける他端面に近い位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R3、前記従動ローラにおける前記一端面と他端面との間の位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R2とするとき、R1≧R2>R3に設定され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との距離をL23とするとき、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定され、前記駆動ローラと接触している前記2つの従動ローラは、それぞれ前記半径R3を有する断面に近い側の端面が、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置されているものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート搬送装置において、前記各従動ローラにおける前記半径R1を含む断面と前記半径R2を含む断面との間の第1ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の円筒面状に形成され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との間の第2ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状に形成されているものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の前記従動ローラの成形用型であって、キャビティ型とコア型との分割面は、前記半径R1の位置もしくは前記半径R1の位置を挟んで前記半径R3の位置と反対側に位置することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記駆動ローラと接触している前記従動ローラにおける外周面の一端部にのみ鋭い角度の角部が形成され、前記角部は、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置されるものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2または4のいずれかに記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式に基づく画像記録を行う記録ヘッドとを具備する画像記録装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のシート搬送装置では、駆動ローラ及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持されている。そして、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記従動ローラにおける一端面に近い位置であって、従動ローラの中心軸に垂直な断面における半径R1、前記従動ローラにおける他端面に近い位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R3、前記従動ローラにおける前記一端面と他端面との間の位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R2とするとき、R1≧R2>R3に設定され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との距離をL23とするとき、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定され、前記駆動ローラと接触している前記2つの従動ローラは、それぞれ前記半径R3を有する断面に近い側の端面が、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置されているものである。
【0015】
このように構成することにより、前記R1≧R2>R3という第1条件と、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定されているという第2条件とを加味すると、従動ローラにおけるローラ面のうち半径R3を有する断面に近い側の端面部分を、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置することにより、このローラ面の小径側(前記半径R3を有する断面側)の角部が駆動ローラのローラ面(外周面)と接触しないことになる。その結果、この従動ローラと駆動ローラとで挟持される被記録媒体には、前記角部による圧痕が発生しないのである。
【0016】
そして、上述のような形状の従動ローラを樹脂により多数同時に射出成形にて形成するとき、多数個取りのための各キャビティ部分の精度のバラツキを少なくするため、その成形用型は、前記半径R1から半径R3までのローラ面を有するキャビティ部分を備えた第1の金型と、前記半径R1から従動ローラの一端面までのキャビティ部分を備えた第2の金型と、前記半径R3から従動ローラの他端面までのキャビティ部分を備えた第3の金型との3つの金型(ブロック)に分割することが一般的であり、且つ現実的である。
【0017】
このような3つ金型により形成された従動ローラでは、通常、ローラ面の両端部に鋭い角度の角部(エッジ部)が形成される。このような両端部に角部が形成された従動ローラでも、駆動ローラとで挟持される被記録媒体には、前記角部による圧痕が発生しないのである。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、前記各従動ローラにおける前記半径R1を含む断面と前記半径R2を含む断面との間の第1ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の円筒面状に形成され、前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との間の第2ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状に形成されているものである。
【0019】
換言すると、前記各従動ローラのローラ面は、実質的に中心軸と同心の円筒面状の第1ローラ面と、この第1ローラ面と同心状にて連続し且つ前記円筒面の半径と等しい半径R2を含む断面よりも半径が小さい前記半径R3を含む断面(小径部)とからなる截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状の第2ローラ面とを有していることになる。
【0020】
従って、駆動ローラのローラ面と接触する従動ローラのローラ面の個所は、前記半径R2を含む断面を挟む前記第1ローラ面及び第2ローラ面の適宜範囲だけとなる。その結果、前記第1ローラ面及び第2ローラ面の端部である角部が被記録媒体と接触しないので、それによる圧痕が発生しないのである。そして、第2ローラ面が截頭円錐面状である従動ローラは加工・測定が行い易い。他方、第2ローラ面が截頭凸曲面回転体の周面状である従動ローラでは、第1ローラ面から第2ローラ面への遷移点(接点)での前記中心軸線を含む面における接線の変化が連続的である。換言すると、第1ローラ面から第2ローラ面へ極めて滑らかに前記接線が変化するという形状となる。従って、被印字媒体に圧痕が発生する事を確実に防止できるという効果を奏する。
【0021】
請求項3に記載の発明による、従動ローラの成形用型は、キャビティ型とコア型との分割面は、前記半径R1を含む断面の位置もしくは前記半径R1を含む断面の位置を挟んで前記半径R3を含む断面の位置と反対側に位置することを特徴とするものである。
【0022】
従って、コア型から樹脂が固化した従動ローラ押し出す方向は、小径部側から大径側方向となり、いわゆる抜き勾配をコア型に形成したときと同じ作用・効果を有して、従動ローラを成形用型から至極容易に取り出すことができるという効果を奏する。
【0023】
請求項4に記載の発明は、画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、前記従動ローラは樹脂製であって、前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、前記駆動ローラと接触している前記従動ローラにおける外周面の一端部にのみ鋭い角度の角部が形成され、前記角部は、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置されるものである。
【0024】
そして、樹脂による従動ローラの成形用型では、少なくとも2つの金型の合わせ面から分離して、成形空間の内部の固化した製品を取り出す。この分離面は、従動ローラのローラ面の一端部に形成されるのが一般的である。その場合、前記角部を、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置することで、駆動ローラに対する回転支軸の撓み量が大きい弾性支持部から遠い側に前記角部が位置することになり、従動ローラと駆動ローラとの挟持部に被記録媒体に対する圧痕が発生しないのである。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2または4のいずれかに記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式に基づく画像記録を行う記録ヘッドとを具備する画像記録装置である。
【0026】
このような画像記録装置であれば、画像記録中に、被記録媒体が従動ローラのローラ面と駆動ローラとで挟持されたときの圧痕が発生せず、この圧痕のために画像の記録品質が悪化することがないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは勿論である。
【0028】
図1は本発明の実施形態に係る多機能装置1の外観構成を示す斜視図である。図2は多機能装置1の内部構成の概略を示す模式断面図である。図3は記録部10の主要構成を示す平面図である。図4は搬送ローラ対27の周辺の構成を示す部分断面図である。
【0029】
[多機能装置1の基本構造]
図1に示すように、多機能装置1におけるハウジング2(合成樹脂製の筺体)の前側(図1において手前側)には開口部2aが開口されており、その開口部2aには被記録媒体としての用紙を堆積状態で収容する上面開放状の給紙トレイ3がX軸線方向に沿って挿抜可能に装着されている。その給紙トレイ3の上面には、小サイズ用紙を給紙するための補助給紙トレイ33が装着され、その後部上面は排紙トレイ部33aが形成されている。なお、この「挿抜」とは、給紙トレイ3がハウジング2に対して着脱可能なもののみならず、ハウジング2から給紙トレイ3の大部分を引出した状態でも、ハウジング2に対して給紙トレイ3が外れない(着脱不能)ものも含む趣旨である。
【0030】
合成樹脂製のハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための自動原稿送り機構付きの画像読取装置5が配置されている。画像読取装置5は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成されている。また、画像読取装置5の上面は原稿載置用のガラス板(図示せず)で構成されており、このガラス板は、画像読取装置5の後端に対して枢軸を中心に上下回動可能な原稿カバー体6で覆われている。原稿カバー体6を上側に開けてガラス板の上に原稿を載置し、ガラス板の下方において主走査方向に往復移動する原稿読取り用のスキャナ(例えばCIS:Contact Image Sensor)によって原稿の画像が読取られる。
【0031】
プリンタ機能は、不図示のコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録部10が用紙に画像や文書を記録する機能である。また、スキャナ機能は、スキャナ部により読み取られた原稿の画像データを当該装置と有線或いは無線で接続されたコンピュータに転送する機能である。なお、読み取られた画像データをメモリカード等の各種記憶媒体に転送して記憶させることもできる。コピー機能は、スキャナ部によって読み取られた画像データを記録部10が用紙Pに記録する機能である。ファクシミリ機能は、スキャナ部により読み取られた画像データを電話回線などを通じてファクシミリ送信する機能である。なお、受信されたファクシミリデータは、記録部10によって用紙Pに記録される。
【0032】
ハウジング2の上面であって原稿カバー体6の前方には、各種操作ボタンを備えた操作パネル部7と、操作手順や実行中の処理の状態を表示するための液晶等による表示装置8とが設けられている。各種操作ボタンとしては、スタートボタンや、ストップボタンなどを含み、これらの操作ボタンを押下することにより、各種の操作が行われる。また、多機能装置1の設定状態や各種の操作メッセージなどが必要に応じて表示される。
【0033】
また、ハウジング2の前面であって、開口部2aの上方には、外部メモリを挿入するための外部メモリ挿入部11が備えられている。外部メモリとは、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、SDカード(登録商標)、xD(登録商標)等が該当する。この外部メモリ挿入部11へ挿入された外部メモリに記憶されたデータは、多機能装置1の内部メモリ読み込まれ、記録装置によって用紙Pに記録される。
【0034】
次に、図2、図3を参照して記録部10及び給紙装置12について説明する。図2は記録部10及び給紙装置12の側断面図、図3は記録部10の概略平面図である。
[記録部10の概略構成]
記録部10は、インクジェット記録方式にしたがって用紙Pに画像を記録する。本実施形態の記録部10は、4色のインク、すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色インクを用いてカラー画像或いはモノクロ画像を用紙Pに記録する。記録ヘッド14には、ハウジング2の内部に設けられたインクカートリッジ19からインクチューブ20(図4参照)を通じてシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)の各色インクが供給され、各色インクを微小なインク滴として選択的に吐出する。キャリッジ13が往復動される間に、記録ヘッド14からインク滴が選択的に吐出されることにより、プラテン26(本発明における支持台)上を搬送される用紙Pに対して画像記録が行われる。
【0035】
記録部10は、上面が開放された筺型の金属板製のメインフレーム(図示せず)とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1及び第2ガイド部材22、23との間に形成されている(図2、図3参照)。記録部10における記録ヘッド14が下面側に搭載されたキャリッジ13は、用紙搬送方向の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
【0036】
キャリッジ13を往復移動させるために、用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルト25がプーリに巻回されており、そのタイミングベルト25を駆動するCR(キャリッジ)モータ24は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
【0037】
キャリッジ13における記録ヘッド14の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレームの底板の上方に固定されている。
【0038】
[給紙装置]
給紙装置12は、給紙トレイ3または補助給紙トレイ33と、給送手段20と、キャリッジ13の搬送方向上流側及び下流側に配置されたシート搬送装置とを備えている。給紙トレイ3または補助給紙トレイ33に収容される被記録媒体は、以下便宜上用紙と述べることとするが、被記録媒体は普通紙のみならず、はがきや封筒等の厚紙や光沢紙等の特殊紙、さらには樹脂フィルム等も含む概念である。なお、給紙トレイ3の上には必ずしも補助給紙トレイ33を備える必要がなく、排紙トレイ部33aのみであっても良い。
【0039】
[給送手段]
実施形態では、振り子式の給送手段20における合成樹脂製のアーム体20cは駆動軸29を中心にして上下回動可能であり、アーム体20cは傾斜分離板21に近づくように延び、アーム体20cの先端部に給送ローラ20aが配置されている。駆動軸29からアーム体20cに設けられた歯車伝動機構(図示せず)を介して給送ローラ20aを回転駆動する(図2参照)。歯車伝動機構は複数個の伝動用の歯車及び遊星歯車を備えている。なお、実施形態における一対の給送ローラ20aは、Y方向の中心線を挟んで左右対称位置に設けられている。
【0040】
給紙トレイ3または補助給紙トレイ33内の用紙Pは、給送手段20における給送ローラ20aと給紙トレイ3の奥側(図2の左端側)に配置された傾斜分離板21における分離爪との協働作用にて1枚ずつに分離されて、Uターン状の搬送路9に給送される。そして、後述する本発明のシート搬送装置を介して1枚ずつ記録部10に給送され、記録ヘッド14により画像記録された後、排紙ローラ対28を介して排紙トレイ部33aに排出される。なお、図2は、補助給紙トレイ33を給紙トレイ3に対して後退させた位置を示し、給紙トレイ3に堆積収容された用紙を給送することができる。補助給紙トレイ33を奥側に押し込めば、この補助給紙トレイ33上の用紙に給送ローラ20aが当接できる構成である。
【0041】
[シート搬送装置]
プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙Pを記録ヘッド14の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙Pを、給紙トレイ3の上面に設けられた排紙トレイ部33a上に搬送するための排紙ローラ対28が配置されている。プラテン26は、レジストローラ(搬送ローラ)対27によって搬送されてきた用紙Pを、記録ヘッドとの間隙を一定にするように支持するのである。
【0042】
排紙ローラ対28は、駆動ローラ28aと拍車ローラ28bとからなる。拍車ローラ28bは、該駆動ローラ28aの上方に対向するように設けられている。拍車ローラ28bは、駆動ローラ28aに圧接されている。駆動ローラ28a及び拍車ローラ28bによって、記録済みの用紙Pが挟持されて、更に下流側へ搬送される。拍車ローラ28bも駆動ローラ28aに対して圧接可能に付勢されたものであるが、拍車ローラ28bは記録済みの用紙Pと圧接されるため、用紙Pに記録された画像を劣化させないようにローラ面が拍車状に凹凸に形成されている。
【0043】
図4に、搬送ローラ対27の周辺の断面構造が示されている。なお、図4では、キャリッジ13や第1及び第2ガイド部材22、23、排出ローラ対28などの図示が省略されている。
【0044】
本発明のシート搬送装置としてのレジストローラ(搬送ローラ)対27は、駆動ローラ35と、該駆動ローラ35に対向するように配置された従動ローラ36(ピンチローラともいう)とからなる。本実施形態では、駆動ローラ35は、セラミックス製であって、Y軸方向に沿って長く一体的に形成されている。複数の従動ローラ36が1つの駆動ローラ35の下方に適宜間隔にて配置されている。
【0045】
図4〜図6に示されるように、2個一対の従動ローラ36は1本の回転支軸46に回転可能に支持され、この1本の回転支軸46はローラホルダ37及び補助ホルダ38によって回転可能に支持されている。本実施形態では、4つのホルダ支持部材39が、駆動ローラ35の軸方向へ横並びに一直線上に配置されており、各ホルダ支持部材39それぞれに、ローラホルダ37や補助ホルダ38、従動ローラ36などの部材が支持されている。したがって、ホルダ支持部材39ひいてはローラホルダ37及び補助ホルダ38は、駆動ローラ35の軸線(Y軸と平行)に沿って所定間隔にて配置されている。なお、以下においては、説明の便宜上、1つのホルダ支持部材39及びこのホルダ支持部材39に支持される各部材の構成について説明する。
【0046】
なお、各ホルダ支持部材39は装置の筐体を形成するメインフレームに取り付けられている。ローラホルダ37及び補助ホルダ38は、ホルダ支持部材39によって用紙Pの搬送方向に転動可能に支持されている。
【0047】
このような転動支持機構が採用されることにより、搬送ローラ対27の挟持部に用紙Pの先端が進入すると、ローラホルダ37は、従動ローラ36とともに、上流側の後退位置から下流側の搬送位置まで転動する。また、搬送ローラ対27の挟持部から用紙Pの後端が抜け出ると、ローラホルダ37は、従動ローラ36とともに、下流側の前記搬送位置から上流側の前記後退位置まで転動する。なお、このような転動支持機構は、画質向上のために設けられるが、本発明に関しての必須の要件ではない。
【0048】
[従動ローラ36の支持機構の構成]
従動ローラ36の支持機構は、ホルダ支持部材39、転がり軸受け40、ローラホルダ37、補助ホルダ38、コイルバネ41(本発明の付勢部材に相当)、及び従動ローラ36によって構成されている。
【0049】
図5及び図6に示されるように、ホルダ支持部材39は長尺状に形成されている。ホルダ支持部材39は、ポリスチレン樹脂(PS)に代表される合成樹脂で構成されている。このホルダ支持部材39は、転がり軸受け40、ホルダ支持部材39、補助ホルダ38、コイルバネ41、及び従動ローラ36を支持する土台の役割を果たす。
【0050】
ホルダ支持部材39は、記録部10を構成するメインフレームに固定される。具体的には、ホルダ支持部材39の一側面に設けられた突出状の2つの爪42が前記フレームの図示しない係合溝に嵌め入れられることにより、ホルダ支持部材39が位置決めされる。他側面には、その下端から下流側へ延びる取付座43が設けられている。ホルダ支持部材39がフレームに対して位置決めされた状態で、取付座43に設けられた貫通孔44にネジがねじ込まれると、取付座43がフレームに螺着される。これにより、ホルダ支持部材39がフレームに固定される。
【0051】
ホルダ支持部材39の上面に上向き開放状に形成された凹陥部には、側断面円弧状の支持底面45にローラ40aを備えた転がり軸受け40を介してローラホルダ37が転動可能に支持される。
【0052】
図5及び図6に示されるように、ローラホルダ37は、ホルダ支持部材39と同様に、長尺状に形成されている。ローラホルダ37は、ポリアセタール樹脂(POM)などの合成樹脂で構成されている。本実施形態では、補助ホルダ38、コイルバネ41、従動ローラ36、及びその回転支軸46がローラホルダ37に組み付けられて、一つのアッセンブリ(組立体)を構成し、このアッセンブリがホルダ支持部材39の凹陥部内で支持される。
【0053】
ローラホルダ37は、凹陥部内において、その長手方向(Y軸方向)が駆動ローラ35の軸方向に一致し、その短手方向が用紙Pの搬送方向(X軸方向)に一致するように配置される。
【0054】
ローラホルダ37の長手方向の両端それぞれには、切り欠き47が形成されている。切り欠き47は、平面視で略矩形状に形成されている。これら切り欠き47に、補助ホルダ38の支持アーム48が上方から挿入される。切り欠き47の短手方向の両側には、掛止リブ49が設けられており、支持アーム48が挿通された際に支持アーム48のフック48aが掛止リブ49に掛止される。
【0055】
補助ホルダ38の長手方向の両端それぞれに、支持アーム48が設けられている。各支持アーム48は、ローラホルダ37において補助ホルダ38を上下方向、つまり、駆動ローラ35に接離する方向へ移動可能に支持する部材である。
【0056】
ローラホルダ37には、その長手方向(Y軸方向)の両端部に上向き開放状のバネ収容室50が設けられている。各バネ収容室50は、各切り欠き47よりも長手方向の内側に隣接して設けられている。バネ収容室50にコイルバネ41が収容される。このコイルバネ41は、所謂圧縮バネとして用いられ、従動ローラ36の回転支軸46を駆動ローラ35側へ押圧可能なバネ長さ及びバネ力を備える。なお、コイルバネ41に代えて板バネやゴムなどの弾性部材を付勢手段として用いてもかまわない。
【0057】
ローラホルダ37の上側、つまり、駆動ローラ35と対向する側には、コイルバネ41を介して後述する補助ホルダ38が支持される。
【0058】
バネ収容室50よりも長手方向(Y軸方向)の内側には、上端に溝52を有する位置決めリブ51が設けられている。位置決めリブ51は、ローラホルダ37の上面に立設されている。溝52は、位置決めリブ51の上端から上下方向に深く切り込まれて形成されており、側面視で略U字状に形成されている。位置決めリブ51は、従動ローラ36を短手方向(X軸方向)に位置決めするためのものである。具体的には、補助ホルダ38がローラホルダ37に取り付けられ、更に補助ホルダ38に従動ローラ36の回転支軸46が支持された状態で、回転支軸46が位置決めリブ51の溝52に挿通されることで、該回転支軸46が短手方向に位置決めされる(図5参照)。位置決めリブ51による回転支軸46の位置決め精度は、溝52のサイズと回転支軸46のサイズとによって決定される。
【0059】
ローラホルダ37の底面の長手方向(Y軸方向)の中央に、突出片53が設けられている。突出片53は、ホルダ支持部材39の凹陥部の底面に形成された係合溝54(図6参照)に挿入されて係合する。突出片53は、ローラホルダ37の底面から下方に突出する細幅形状に形成されている。突出片53及び係合溝54は、短手方向(X軸方向)へ長い形状に形成されている。突出片53が係合溝54に挿入されることで、ホルダ支持部材39においてローラホルダ37が長手方向(Y軸方向)に位置決めされる。また、ローラホルダ37の移動範囲が用紙Pの搬送方向へ規制される。
【0060】
ローラホルダ37の下流側の側面55には、該側面55に対して略垂直方向に突出する第1ガイドリブ56が設けられている。詳細には、第1ガイドリブ56は、図5に示されるように、ローラホルダ37の下流側に設けられたプラテン26へ向けて突出するように側面55に設けられている。第1ガイドリブ56はローラホルダ37と一体に成形されている。また、第1ガイドリブ56は、従動ローラ36の軸方向、即ち、ローラホルダ37の長手方向に複数設けられている。
【0061】
第1ガイドリブ56の上面は、該第1ガイドリブ56に向けて用紙Pが搬送された場合にその先端をプラテン26側へ向ける役割を果たすガイド面を構成する。
【0062】
補助ホルダ38は、ローラホルダ37及びホルダ支持部材39と同様に、長尺状に形成されている。補助ホルダ38は、ポリアセタール樹脂(POM)などの合成樹脂で構成されている。補助ホルダ38は、その長手方向が駆動ローラ35の軸方向に一致するようにしてローラホルダ37の上側に取り付けられる。
【0063】
補助ホルダ38がローラホルダ37に取り付けられた状態で、補助ホルダ38の移動範囲は、フック48aと掛止リブ49の下端との間隔によって定まる。つまり、ローラホルダ37に補助ホルダ38が取り付けられた状態で補助ホルダ38が下方へ押圧された姿勢では、フック48aが掛止リブ49の下端から離間する。一方、補助ホルダ38が上方へ持ち上げられると、フック48aが掛止リブ49の下端に掛止される。
【0064】
補助ホルダ38は、バネ収容室50にコイルバネ41が収容された状態で、コイルバネ41の上からローラホルダ37に取り付けられる。したがって、補助ホルダ38に外力が加えられていない状態では、補助ホルダ38はコイルバネ41の付勢力によって常に上方へ持ち上げられている。逆に、補助ホルダ38に下方への外力が加えられると、コイルバネ41が圧縮されて補助ホルダ38はローラホルダ37に近づく方向へ変位する。なお、本実施形態では、図5に示されるように各部材が組み立てられた状態で記録部10の内部に組み込まれた場合は、従動ローラ36は駆動ローラ35に押しつけられるため、補助ホルダ38も、従動ローラ36を介して下方へ押しつけられている。したがって、記録部10の内部に組み込まれた状態では、補助ホルダ38は上述した移動範囲内で上下方向へ移動可能な状態で保持されている。
【0065】
補助ホルダ38の上面には、複数の第2ガイドリブ66及び1つの第3ガイドリブ64が設けられている。これら第2ガイドリブ66は、上流側から搬送されてきた用紙Pの先端を搬送ローラ対27の挟持部へ円滑に案内するために設けられている。第3ガイドリブ64は補助ホルダ38の上面のうち、長手方向の中央部に設けられている。
【0066】
補助ホルダ38の長手方向の両端それぞれに、軸受け63Aが設けられている。また、第3ガイドリブ64にも軸受け63Bが設けられている。軸受け63A,63Bに従動ローラ36の回転支軸46が支持される。軸受け63Aは、端部60から下流側へ突出している。回転支軸46の両端が軸受け63Aに支持される。一方、回転支軸46の中央部が軸受け63Bに支持される。軸受け63Bは、第3ガイドリブ64の端部60側に設けられた溝状のものであり、回転支軸46に対して下方へ荷重がかけられた際に該回転支軸46を補助的に支持するものである。
[従動ローラ36]
従動ローラ36は、耐摩耗性の高い硬質の樹脂(例えば、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂等の合成樹脂や、セルロイド等の天然樹脂)などによって実質上截頭円錐状または実質上砲弾筒状などの截頭凸湾曲回転体の周面に形成されている。ここで、本発明において想定する硬質の樹脂とは、荷重あたりの従動ローラ36の表面(ローラ面)の変形量が回転支軸46の荷重あたりの撓み量よりも小さくなるような物質を指す。また、実質上砲弾筒状については後に詳細に説明する。また、従動ローラ36の内径には、回転支軸46が貫通する軸孔36dが形成されている。この軸孔36dの軸線と従動ローラ36の中心軸36cとは同軸である。
【0067】
本発明では、従動ローラ36は少なくとも2個で対となして1本の回転支軸46を介して回転可能に支持され、この回転支軸46は、少なくともその一個所を上述のようなコイルバネ41にて弾性支持する回転支持部73にて回転可能に支持されている(図8(A)参照)。なお、本発明における回転支持部73の構成は、上述の実施形態の構造に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0068】
第1実施形態では、各従動ローラ36における一端面36aに近い位置であって、従動ローラ36の中心軸36cに垂直な断面70aにおける半径R1、従動ローラ36における他端面36bに近い位置であって、中心軸36cに垂直な断面71aにおける半径R3、従動ローラ36における前記一端面36aと他端面36bとの間の位置であって、中心軸36cに垂直な断面71bにおける半径R2とするとき、
R1≧R2>R3に設定されている(図7参照)。
【0069】
半径R2の断面71bの位置から半径R3の断面71aの位置までの中心軸36cに平行な距離をL23とするとき、角度θ1=tan -1[(R2−R3)/L23]が、回転支軸46と駆動ローラ35の軸線とのなす最大撓み角θ2よりも大きく設定されている。そして、各従動ローラ36は、半径R1と半径R3との間のローラ面が駆動ローラ36と接触しているものである。なお、図8(A)、図8(B)、図9、図10(A)及び図1接触しているものである。なお、図8(A)、図8(B)、図9、図10(A)及び図10(B)では、作用効果を明確にするため、回転支軸46の撓み角度等を実際よりも誇張して描いている。また、図9、図10(A)及び図10(B)では、従動ローラ36の形状も誇張して描いている。
【0070】
実施形態では、各従動ローラ36のローラ面は、実質的に中心軸36cと同軸の円筒面状の第1ローラ面70と、半径R2の断面71b(大径部)とそれよりも半径R3が小さい断面71a(小径部)とからなる截頭円錐面状の第2ローラ面71とからなり、大径部71bの半径R2は第1ローラ面70(円筒面)の半径R1と実質的に等しく且つ連続状に一体形成されている(図7参照)。
【0071】
なお、第1ローラ面70の断面70aにおける半径R1と、第2ローラ面71における断面71bの半径R2とが実質的に等しい(R2≦R1)との意味は、後述するように、成形型から従動ローラ36を軸線に沿って引き抜くときのθ1より小さな抜き勾配が第1ローラ面70に設けられていても良いとの意味である。
【0072】
図8(A)に示すように、コイルバネ41等にて弾性付勢力を備えた2つの回転支持部73にて両端支持された1本の回転支軸46に2個一対の従動ローラ36を支持するときには、各従動ローラ36における第2ローラ面71を有する部位であって、断面71aを有する小径側が各回転支持部73に近い側に位置するように、各従動ローラ36を配置する。換言すると、従動ローラ36における大径側である円筒面状の第1ローラ面70が1本の回転支軸46の中央側に位置するように配置するのである。
【0073】
上述のように、1本の回転支軸46に2つの従動ローラ36を、その第1ローラ面70が回転支軸46の長手方向の中央側に位置するように回転可能に支持し、この対の従動ローラ36のローラ面を、1本の回転支軸46の両端をコイルバネ41等にて弾性付勢力により駆動ローラ35の周面(ローラ面)に押圧すると、回転支軸46の両端の回転支持部73の間に、従動ローラ36と駆動ローラ35との接触部があるため、回転支軸46にはその長手方向の中央側が駆動ローラ35の周面から離間するような曲げモーメントが作用し、回転支軸46の中央部が駆動ローラ35の周面から離間するように撓む。しかして、その場合の最大撓み角θ2は、回転支軸46の両端の回転支持部73の個所に発生することになる。
【0074】
第1実施形態においては、第2ローラ面71を截頭円錐面状とするとき、その第2ローラ面71の直線状の母線(ここでは第2ローラ面71を作る線分を、母線という)が中心軸となす角度θ1とする(図7、図8(A)参照)と、この角度θ1は最大撓み角θ2よりも大きく設定されているのである。
【0075】
上述のように設定すると、回転支軸46の長手方向の中央側に位置する第1ローラ面70は回転支軸46の中心軸線と実質的に同軸の円筒面であり、且つ回転支軸46の長手方向の中央側の撓み角は零もしくは零に近く、且つ撓み量は最大になるので、第1ローラ面70における断面70aの個所側は、駆動ローラ35の周面より若干離れることになる。他方、第2ローラ面71における断面71bの個所側が駆動ローラ35の周面に接する。また、截頭円錐形の第2ローラ面71の母線が中心軸となす角度θ1は、駆動ローラ35に対する回転支軸46の最大撓み角θ2よりも大きく設定されているので、第2ローラ面71における半径R3の断面71aは駆動ローラ35の周面に接触することがない(図8(A)参照)。従って、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pは第1ローラ面70と第2ローラ面71との連続部(遷移部)である断面71bを含む適宜範囲のローラ面領域で圧接されることになる。しかも、この半径R2の断面71bを挟む第1ローラ面70と第2ローラ面71との遷移部の周面は、段差がなく、且つ第2ローラ面71の小径側である断面71aの個所や、第1ローラ面70の断面70a側の個所のように、角張っていないので、筋状の圧痕が発生しないのである。
【0076】
図14に示す従動ローラ36の第2実施形態では、半径R1の断面70aの位置から半径R2の断面71bの位置までの第1ローラ面70は、回転支軸46の中心軸線(中心軸36c)と実質的に同軸の円筒面であり、半径R2の断面71bの位置から半径R3の断面71aの位置までの第2ローラ面71は、截頭凸湾曲線回転体の周面(いわゆる、弾頭型または実質上砲弾筒状であっても良いし、凸湾曲線回転体の母線が放物線、楕円、懸垂曲線、サイクロイド曲線等の凸湾曲線の一部であって良い。この実施形態では、半径R2の断面71bの位置から半径R3の断面71aの位置までの中心軸36cに平行な距離をL23とするとき、半径R2の断面71bの位置の外周と半径R3の断面71aの位置の外周とを結ぶ線と中心軸36cとの成す角度θ1=tan -1[(R2−R3)/L23]となる。なお、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同じ構成については同じ符号を付す。
【0077】
このように、第2ローラ面71が截頭凸湾曲線回転体の周面であることが最も好ましい。この実施形態においては、第1ローラ面70と第2ローラ面71との遷移部分に段差が全く生じず、滑らかであるので、上述のように筋状の圧痕が全く発生しないのである。
【0078】
他方、従来技術のように、両端支持される1本の回転支軸46に挿通支持される2個一対の従動ローラ100が、全周にわたって円筒面状のローラ面100aを有するときには、以下のようになる。即ち、図8(B)に示すように、回転支持部73の個所における回転支軸46の最大撓み角θ2とするとき、この回転支軸46に挿通支持される従動ローラ100のローラ面100aは、回転支軸46の最大撓み角θ2と平行状に傾き、回転支軸46の長手方向の中央側で駆動ローラ35の周面から離間する。換言すると、2個一対の従動ローラ100のローラ面100aのうち回転支軸46の端部に近い側(回転支持部73に近い側)の端部100bのみが駆動ローラ35の周面に接触することになり、駆動ローラ35と従動ローラ100とに挟持される用紙Pには、ローラ面100aのうちの前記端部100bにおける鋭い角度の角部(エッジ)による圧痕が発生するのである。
【0079】
本発明の他の実施形態であって、3つ以上の従動ローラ36が、弾性支持する回転支持部73にて両端部のみを支持された回転支軸46に支持されている場合には、回転支軸46の両端部(回転支持部73)に最も近い位置に配置される従動ローラ36は、その第2ローラ面71における小径である半径R3の断面71aを有する側が回転支軸46の端部(回転支持部73)寄りに位置するように配置されていれば良い(図9参照)。
【0080】
本発明の第3実施形態としては、図10(A)に示すように、1本の回転支軸46を、その両端の補助回転支持部75と、中央部の主回転支持部74とで3点支持されるものであって、主回転支持部74における主バネ76の付勢力が補助回転支持部73における補助バネ77の付勢力よりも大きく設定されている。そして、中央部の主回転支持部74を挟んで両端の補助回転支持部75との間の回転支軸46にそれぞれ、図7に示す形態の従動ローラ100を回転可能に支持するものである。その場合、各従動ローラ36は、その小径部71bが主バネ76を有する主回転支持部74に近い側になるように配置されるのである。
【0081】
この構成では、駆動ローラ35に接触する一対の従動ローラ36のそれぞれの接触点の間に位置する主回転支持部74における主バネ76力が駆動ローラ35に向かうことになり、この主回転支持部74の個所の回転支軸46が駆動ローラ35に接近する方向に撓む。従って、各従動ローラ36の第2ローラ面71における断面71b(大径部)の個所(駆動ローラ35に接触する個所)に対応する回転支軸46の撓み角度が最大撓み角となる。そして、截頭円錐形等の第2ローラ面71の母線が中心軸となす角度θ1(=tan -1[(R2−R3)/L23])が上記最大撓み角よりも大きくなるように設定されているので、各従動ローラ36の第2ローラ面71における断面71bの個所(またはその個所を挟んだ部位)のみが駆動ローラ35に接触し、従動ローラ36の両端部である鋭い角度を有する角部(断面71b側及び第1ローラ面70の断面70a側)は駆動ローラ35に接触しない。従って、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pは第1ローラ面70と第2ローラ面71との連続部(遷移部)である断面71bを含む適宜範囲のローラ面領域で圧接されることになる。しかも、この断面71bの個所の周面は、第2ローラ面71における端部(断面71aを有する個所の角部)や、第1ローラ面70の端部(断面70aを有する個所の角部)のように、角張っていないので、筋状の圧痕が発生しないのである。
【0082】
なお、この実施形態では、1つの主回転支持部74とこの個所を挟んで両側に配置される対の従動ローラ36とが必須の要件であり、両端の回転支持部73は、1本の回転支軸46の姿勢を安定させるために備えるもので、必須の要件ではない。
【0083】
図10(B)は、第3実施形態の変形例であり、回転支軸46の中央部である主回転支持部74の個所を挟んで両側に2つずつの従動ローラ36(図7と同じ形態)が配置されたものである。この場合も、主バネ76を有する主回転支持部74に対して最も近い側に配置される各従動ローラ36は、その断面71aの個所が主回転支持部74に近い側となるような向きで配置される。これにより、図10(A)の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。図9、図10(A)及び図10(B)に示す実施形態において、従動ローラ36の第2ローラ面71が、図14に示すごとくの截頭凸湾曲線回転体の周面であるときにも、同様の作用効果を奏する。
【0084】
上記のような形態の従動ローラ36を射出成形にて形成する成形用型の第1実施形態は図11に示す。この成形用型は、金型ブロックが3つからなる多数個取り用のものである。円筒面状の第1ローラ面70及び截頭円錐形等の第2ローラ面71とに対応する成形空間(キャビティ空間)を有する第1型(コア型)80と、第1ローラ面70のうちの断面70aを有する個所に隣接する小径の段付き部位82(従動ローラ36の一端面36a側に対応)に相当する空間を有する第2型(キャビティ型)81と、第2ローラ面71における断面71aを有する個所に隣接する小径の段付き部位84(従動ローラ36の他端面36b側に対応)に相当する空間を有する第3型83とを備えている。しかして、上記3つの型80、81、83を合わせた内部には、従動ローラ36の外周形状に等しい成形空間(キャビティ空間)87が形成されることになる。第2型81側には、溶融樹脂を成形空間82内に注入するための注入部(スプール)88が設けられている。
【0085】
従動ローラ36の軸孔36dを成形するためのコアピン85は、第3型(キャビティ型)83に摺動可能に挿通支持されている。このコアピン85が第1型(コア型)80等の成形空間87内を貫通し、コアピン85の先端部が第3型83の支持凹部に支持されている。第3型83に設けられ、コアピン85の外周に配置された突き出しロッド86にて、固化した従動ローラ36の断面71a側に近い他端面36bを成形空間87内に押出すものである。
【0086】
図11に示す成形用型では、第1型80と第2型81との合わせ面は、固化した従動ローラ36の押出のための分割面(PL)となる。この第2型81と第2型81との合わせ面の個所には、従動ローラ36における第1ローラ面70と一端面36aとの間の鋭い角度(例えば90度程度であり、それ以下の角度)の角部(エッジ)89が形成される。第2型81と第3型83との合わせ面の個所には、従動ローラ36における第2ローラ面71と他端面36bとの間の鋭い角部(エッジ)90が形成されることになる。
【0087】
成形空間87内で固化した従動ローラ36を成形用型から取り出すには、まず第1型80と第2型81とを分割面PLにて分離し、次いで、コアピン85を成形空間87から後退させた後、コアピン85の外周に配置された突き出しロッド86にて他端面36bを成形空間87内に押出すことにより、従動ローラ36を第1型(コア型)80から外す。実質的に円筒面である第1ローラ面70に対して第2ローラ面71が截頭円錐形または砲弾筒形であり、且つ大径側に向かって従動ローラ36を押し出すので、樹脂の収縮に頼ることなく円滑に抜き出すことができる。通常、1つの成形用型内に20〜30個分の従動ローラ36が一度に成形(多数個取り)できる成形空間87が設けられているので多数個取りを実行でき、製作コストを低減することができる。
【0088】
図12の第2実施形態で示す成形用型では、従動ローラ36の他端面36bと外周面である第1ローラ面70と第2ローラ面71とに対応する空間を有する第1型(コア型)80と、第1ローラ面70のうちの断面70aを有する個所に隣接する段付き小径部位82(従動ローラ36の一端面36a側に対応)に相当する空間を有する第2型(キャビティ型)81との2つの金型を備える。第1型80と第2型81とを合わせて従動ローラ36の外周形状を有する成形空間91が形成される。なお、断面71aを有する個所から従動ローラ36の他端面36bまでの間には、鋭い角部は形成されておらず、アール部である。そして、従動ローラ36の軸孔36dを成形するためのコアピン85は、第1型80に対して成形空間91を貫通するように軸方向に進退動可能に設けられている。成形用型のうち、第1型(コア型)80と第2型(キャビティ型)81との分割面PLは、前記半径R1を含む断面の位置もしくは前記半径R1を含む断面の位置を挟んで前記半径R3を含む断面の位置と反対側に位置とする。従って、上記分割面PLの個所に相当する第1ローラ面70の端部にのみ鋭い角部93が形成されることになる。成形空間91のうち前記分割面PLから遠い側には、第2ローラ面71の断面71aを有する個所(小径部側)が設けられていることになる。さらに、第2型81側には、溶融樹脂を成形空間91内に注入するための注入部(スプール)88が設けられている。
【0089】
上記の成形空間91内で固化した従動ローラ36を成形用型から取り出すには、まず第1型80と第2型81とを分割面PLにて分離し、次いで、コアピン85を成形空間91から後退させた後、コアピン85の外周に配置された突き出しロッド86にて他端面36bを成形空間91内に押出すことにより、従動ローラ36を第1型(コア型)80から外す。実質的に円筒面である第1ローラ面70に対して第2ローラ面71が截頭円錐形または砲弾筒形であり、且つ大径側に向かって従動ローラ36を押し出すので、樹脂の収縮に頼ることなく円滑に抜き出すことができる。通常、1つの成形用型内に20〜30個分の従動ローラ36が一度に成形(多数個取り)できる成形空間91が設けられている。図12の成形用型で成形される従動ローラ36はローラ面全体が円筒面であっても良い。
【0090】
図12の成形用型を用いて成形した従動ローラ36は、その外周面の一端にのみ鋭い角度(例えば90度以下)の角部93が形成され、他端は角部がなくアール部であるので、このような一対の従動ローラ36を両端が弾性支持部73にて支持された回転支軸46に回転可能に軸支される場合は、図13に示すように、上記角部93は、その従動ローラ36に対して最寄りの位置(より近い側)の弾性支持部73から遠い側に配置される。言い換えると、外周面(ローラ面)の他端であって、アール部が最寄りの位置(より近い側)の弾性支持部73に対して近い位置にあるように、従動ローラ36の向きを設定するのである。このように、一対の従動ローラ36を配置すれば、駆動ローラ35に対して回転支軸46の最も大きい撓み量の発生する個所の近くに、鋭い角度の角部93が位置することになり、この角部93は駆動ローラ35の外周面に対して大きく離間しているから、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pには圧痕が発生しないのである。
【0091】
また、成形された従動ローラ36には、上記分割面PLの個所に樹脂のバリができることがある。しかし、このバリのできる個所が円筒面である第1ローラ面70のうち従動ローラ36の一端面36aに近い側に形成されるので、上述のように、駆動ローラ35と従動ローラ36とに挟持される用紙Pが第1ローラ面70と第2ローラ面71との連続部である断面71bを有する個所を含む適宜範囲のローラ面領域で圧接される場合には、当該用紙Pに前記バリによる圧痕が発生しないのである。
【0092】
なお、上述した実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係る多機能装置1の斜視図である。
【図2】多機能装置1の内部構成の概略を示す模式断面図である。
【図3】記録部10の主要構成を示す平面図である。
【図4】搬送ローラ対27の周辺の構成を示す部分断面図である。
【図5】ローラホルダ37がホルダ支持部材39によって支持された状態を示す斜視図である。
【図6】ホルダ支持部材39及びローラホルダ37の分解図である。
【図7】本発明の1実施形態の従動ローラ36の軸線に沿った断面図である。
【図8】(A)は両端のみ弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る一対の従動ローラ36を配置した状態を示す断面図であり、(B)は参考例としての全体が円筒状の従動ローラ36を配置した状態の断面図である。
【図9】両端のみ弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る3つの従動ローラ36を配置した状態を示す断面図である。
【図10】(A)は3点弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る一対の従動ローラ36を配置した状態を示す断面図であり、(B)は3点弾性支持された1本の回転支軸46に本発明に係る二対の従動ローラ36を配置した状態を示す断面図である。
【図11】従動ローラ36を成形するための第1実施形態の成形用型を示す断面図である。
【図12】従動ローラ36を成形するための第2実施形態の成形用型を示す断面図である。
【図13】第2実施形態の成形用型により形成された従動ローラ36を両端のみ弾性支持された1本の回転支軸46に配置する場合の説明図である。
【図14】本発明の2実施形態の従動ローラ36の断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1‥‥多機能装置
10‥‥記録部
13‥‥キャリッジ
14‥‥記録ヘッド
26‥‥プラテン
35‥‥駆動ローラ
36‥‥従動ローラ
36a‥‥一端面
36b‥‥他端面
36c‥‥中心軸
36d‥‥軸孔
41‥‥コイルバネ
70‥‥第1ローラ面
71‥‥第2ローラ面
73‥‥回転支持支部
74‥‥主回転支持支部
75‥‥補助回転支持支部
76‥‥主バネ
77‥‥補助バネ
80‥‥第1型
81‥‥第2型
83‥‥第3型
87‥‥成形空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、
駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、
前記従動ローラは樹脂製であって、
前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、
前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、
前記従動ローラにおける一端面に近い位置であって、従動ローラの中心軸に垂直な断面における半径R1、
前記従動ローラにおける他端面に近い位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R3、
前記従動ローラにおける前記一端面と他端面との間の位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R2とするとき、
R1≧R2>R3に設定され、
前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との距離をL23とするとき、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定され、
前記駆動ローラと接触している前記2つの従動ローラは、それぞれ前記半径R3を有する断面に近い側の端面が、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記各従動ローラにおける前記半径R1を含む断面と前記半径R2を含む断面との間の第1ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の円筒面状に形成され、
前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との間の第2ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前記従動ローラの成形用型であって、キャビティ型とコア型との分割面は、前記半径R1の位置もしくは前記半径R1の位置を挟んで前記半径R3の位置と反対側に位置することを特徴とする従動ローラの成形用型。
【請求項4】
画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、
駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、
前記従動ローラは樹脂製であって、
前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、
前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、
前記駆動ローラと接触している前記従動ローラにおける外周面の一端部にのみ鋭い角度の角部が形成され、
前記角部は、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置されることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1または2または4のいずれかに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式に基づく画像記録を行う記録ヘッドとを具備する画像記録装置。
【請求項1】
画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、
駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、
前記従動ローラは樹脂製であって、
前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、
前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、
前記従動ローラにおける一端面に近い位置であって、従動ローラの中心軸に垂直な断面における半径R1、
前記従動ローラにおける他端面に近い位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R3、
前記従動ローラにおける前記一端面と他端面との間の位置であって、前記中心軸に垂直な断面における半径R2とするとき、
R1≧R2>R3に設定され、
前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との距離をL23とするとき、角度tan -1[(R2−R3)/L23]が、前記回転支軸と前記駆動ローラの軸線とのなす最大撓み角よりも大きく設定され、
前記駆動ローラと接触している前記2つの従動ローラは、それぞれ前記半径R3を有する断面に近い側の端面が、当該従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部に近い側に向かうように配置されていることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記各従動ローラにおける前記半径R1を含む断面と前記半径R2を含む断面との間の第1ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の円筒面状に形成され、
前記半径R2を含む断面と前記半径R3を含む断面との間の第2ローラ面は実質的に前記中心軸と同心の截頭円錐面状または截頭凸曲面回転体の周面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の前記従動ローラの成形用型であって、キャビティ型とコア型との分割面は、前記半径R1の位置もしくは前記半径R1の位置を挟んで前記半径R3の位置と反対側に位置することを特徴とする従動ローラの成形用型。
【請求項4】
画像記録時にシート状の被記録媒体が載置される支持台へ該被記録媒体を搬送するシート搬送装置であって、
駆動ローラ、及び該駆動ローラに対向するように配置された従動ローラを有し、
前記従動ローラは樹脂製であって、
前記従動ローラは少なくとも2個で対となして1本の回転支軸を介して回転可能に支持され、
前記回転支軸は、弾性支持部における付勢力によって前記従動ローラを前記駆動ローラに付勢するように支持され、
前記駆動ローラと接触している前記従動ローラにおける外周面の一端部にのみ鋭い角度の角部が形成され、
前記角部は、その従動ローラに対して最寄りの位置の前記弾性支持部から遠い側に配置されることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1または2または4のいずれかに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送される被記録媒体に対してインクジェット記録方式に基づく画像記録を行う記録ヘッドとを具備する画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−286616(P2009−286616A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143766(P2008−143766)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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