説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷機における半田検査方法

【課題】カラーカメラを用いることなく低コストでスクリーン印刷後の半田検査を行うことができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機における半田検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】モノクロカメラであるカメラ部7a、検査対象領域Rgを垂直上方から照明する第1照明41、検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jを取り囲む方向から照明する第2照明42を備え、検査対象領域Rgを第1照明41により照明しながらカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2aが映し出された第1の画像を得るとともに、検査対象領域Rgを第2照明42により照明しながらカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2a及び半田Sdが映し出された第2の画像を得た後、第2の画像のランド2a及び半田Sdの部分から第1の画像のランド2aの部分を差し引いて半田Sdのみが映し出された画像を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクの開口部を介して基板上のランドに半田を転写するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機における半田検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、搬送コンベア上で基板の両側部を挟んでクランプするクランプ部材等から成る基板保持部、基板保持部により保持された基板上のランドに開口部を合致させて基板の上面に接触されるマスク、基板の上面に接触されたマスク上を摺動してマスク上に供給された半田を掻き寄せることによりマスクの開口部を介して基板上のランドに半田を転写させるスキージ等を備えて成る。
【0003】
このようなスクリーン印刷機では、スクリーン印刷後の基板(すなわち半田が転写された後の基板)上の半田の転写状態を検査する半田検査が行われる(特許文献1)。この場合、カラー撮像タイプの撮像手段(カラーカメラ)によって基板を上方から撮像すれば、半田を基板の表面(レジスト)やランドと区別して画像認識することができるので半田のみが映し出された画像を取得でき、スクリーン印刷後の半田検査を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3665495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラーカメラは高価であるため、スクリーン印刷機にカラーカメラを備えることはスクリーン印刷機自体のコストアップに繋がってしまう。ここで、スクリーン印刷機には、基板上のランドとマスクの開口部とが合致した状態で接触されるようにマスク及び基板それぞれに設けられたマークを落射照明(撮像対象領域を撮像手段の撮像光軸に沿った垂直上方から照明するタイプの照明)によって上方から撮像するマーク認識用のモノクローム撮像タイプの撮像手段(モノクロカメラ)が備えられているが、このモノクロカメラによって基板上の検査対象領域を撮像すると、平坦なランドのみが明るい領域として明瞭に映し出され、表面で照明光を乱反射させる半田は光を吸収するレジストとともに暗く映し出されてその輪郭(すなわち転写状態)を明瞭に認識することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、カラーカメラを用いることなく低コストでスクリーン印刷後の半田検査を行うことができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機における半田検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板上のランドに開口部を合致させて基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスク上を摺動してマスク上に供給された半田を掻き寄せることによりマスクの開口部を介して基板上のランドに半田を転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、半田が転写された後の基板上の検査対象領域を垂直上方から撮像するモノクローム撮像タイプの撮像手段と、前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸に沿った垂直上方から照明する第1の照明手段と、前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸を取り囲む方向から照明する第2の照明手段と、前記検査対象領域を第1の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランドが映し出された第1の画像を得るとともに、前記検査対象領域を第2の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランド及び半田が映し出された第2の画像を得る撮像制御手段と、撮像手段の撮像によって得られた第2の画像のランド及び半田の部分から第2の画像のランドの部分を差し引いて半田のみが映し出された画像を得る画像処理手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載のスクリーン印刷機は、請求項1に記載のスクリーン印刷機であって、撮像手段は、基板とマスクが基板上のランドとマスクの開口部とが合致した状態で接触されるように基板及びマスクそれぞれに設けられたマークを撮像するマーク認識用にも用いられる。
【0009】
請求項3に記載のスクリーン印刷機は、請求項1又は2に記載のスクリーン印刷機であって、第1の照明手段及び第2の照明手段はそれぞれ光源がLEDから成る。
【0010】
請求項4に記載のスクリーン印刷機における半田検査方法は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板上のランドに開口部を合致させて基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスク上を摺動してマスク上に供給された半田を掻き寄せることによりマスクの開口部を介して基板上のランドに半田を転写させるスキージと、半田が転写された後の基板上の検査対象領域を垂直上方から撮像するモノクローム撮像タイプの撮像手段と、前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸に沿った垂直上方から照明する第1の照明手段と、前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸を取り囲む方向から照明する第2の照明手段とを備えたスクリーン印刷機における半田検査方法であって、前記検査対象領域を第1の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランドが映し出された第1の画像を得る工程と、前記検査対象領域を第2の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランド及び半田が映し出された第2の画像を得る工程と、撮像手段の撮像によって得られた第2の画像のランド及び半田の部分から第1の画像のランドの部分を差し引いて半田のみが映し出された画像を得る工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、基板上の検査対象領域を垂直上方から撮像するモノクローム撮像タイプの撮像手段のほか、検査対象領域を撮像手段の撮像光軸に沿った垂直上方から照明する第1の照明手段と、検査対象領域をカメラの撮像光軸を取り囲む方向から照明する第2の照明手段を備えており、検査対象領域を第1の照明手段により照明しながら検査対象領域を撮像手段により撮像して検査対象領域内のランドが映し出された第1の画像を得るとともに、検査対象領域を第2の照明手段により照明しながら検査対象領域を撮像手段により撮像して検査対象領域内のランド及び半田が映し出された第2の画像を得た後、第2の画像のランド及び半田の部分から第1の画像のランドの部分を差し引いて半田のみが映し出された画像を得るようになっており、高価なカラーカメラを用いることなく、安価なモノクロカメラを用いて半田のみが映し出された画像を得ることができるようになっている。このため低コストでスクリーン印刷後の半田検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の全体構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の正面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の一部の平面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるカメラユニットの構成図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるカメラユニットにより基板上の検査対象領域の撮像を行う手順を示す図
【図7】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるカメラユニットにより基板上の検査対象領域を撮像して得られる画像(c)これら2つの画像から画像処理を行って得られる画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1、図2及び図3においてスクリーン印刷機1は、基板2の搬入及び保持動作、保持した基板2への半田Sdの転写動作及び半田Sdを転写した基板2の搬出動作等から成る一連の工程を繰り返し実行する装置である。基板2の表面には複数のランド2aが設けられており(図4)、半田Sdは各ランド2aの上面に転写される。基板2の表面には膜状のレジスト(図示せず)が形成されている。
【0014】
図1において、スクリーン印刷機1は基台3上に設けられて基板2の搬送、位置決めと保持を行う基板保持部及び保持した基板2の移動を行う基板移動部としての基板保持移動ユニット4、基板保持移動ユニット4に保持された基板2上のランド2aに開口部5a(図4)を合致させて基板2の上面に接触されるマスク5、基板2の上面に接触されたマスク5上を摺動してマスク5上に供給された半田Sdを掻き寄せることによりマスク5の開口部5aを介して基板2上のランド2aに半田Sdを転写させるスキージユニット6、撮像動作を行うカメラユニット7及び各部の作動制御を行う制御装置8を備えている。
【0015】
以下、説明の便宜上、スクリーン印刷機1において基板2を搬送する水平面内方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向、上下方向をZ軸とする。更に、Y軸方向をスクリーン印刷機1の前後方向、X軸方向を横(左右)方向とし、前後方向のうち、スクリーン印刷機1に対してオペレータ(図示せず)が作業を行う側(図1及び図2の紙面右方)をスクリーン印刷機1の前方、その反対側(図1及び図2の紙面左方)を後方とする。
【0016】
図2及び図3において、基板保持移動ユニット4は、Yテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13から成る水平面内移動機構によって水平面内での移動が自在であるとともにθテーブル13に対して昇降自在に設けられたベース部14、ベース部14の上面に設けられてY軸方向に対向する一対の支柱15、一対の支柱15に支持された一対の搬送コンベア16、一対の支柱15の上部にY軸方向に開閉自在に設けられた一対のクランプ部材17(図4も参照)及びベース部14の中央部をベース部14に対して昇降自在に設けられた下受け部材18を有して成る。
【0017】
図2及び図3において、一対の搬送コンベア16は制御装置8に制御されて作動し、基板2の両端を下方から支持してX軸方向に搬送し、位置決めする。一対のクランプ部材17は制御装置8に制御されてY軸方向に開閉作動し、搬送コンベア16上で位置決めされた基板2の両端部をクランプする。下受け部材18は制御装置8により制御されてベース部14に対して昇降作動し、クランプ部材17によってクランプされた基板2の中央部を下方から支持する。
【0018】
図4において、マスク5は平面視において矩形の枠状部材から成るマスク枠5Wによって四辺が支持されており、開口部5aはマスク枠5Wによって囲まれた矩形の領域内に多数設けられている。
【0019】
図4において、基板2の対角位置には2つ一組の基板側マーク2mが設けられており、マスク5には基板側マーク2mに対応して配置された2つ一組のマスク側マーク5mが設けられている。これら基板側マーク2mとマスク側マーク5mとが平面視において一致する状態で基板2をマスク5に接触させると、基板2のランド2aとマスク5の開口部5aが合致した状態となる。
【0020】
図2及び図3において、スキージユニット6は図示しないアクチュエータ等から成るスキージ移動機構21(図1)によってY軸方向に移動されるスキージベース22と、スキージベース22の上面側に取り付けられた一対のスキージ昇降シリンダ23によってスキージベース22の下方で昇降自在な一対のスキージ24から成る。
【0021】
図2及び図3において、カメラユニット7は図示しないアクチュエータ等から成るカメラ移動機構30(図1)によって水平面内で移動される。図5において、カメラユニット7は撮像視野を下方に向けたモノクローム撮像タイプの(すなわちモノクロカメラである)カメラ部7a及び照明部7bを筐体7c内に有して成り、カメラ部7aはハーフミラー31a、プリズム31b、複数のレンズ31c等から成る光学系31と光学系31を通して結像する基板2上の検査対象領域Rg(図5ではランド2a及びランド2a上に転写された半田Sdを含む基板2の上面の一部の領域)の撮像を行うCCD撮像素子32を備えている。
【0022】
一方、照明部7bは、光学系31のハーフミラー31aを介して基板2上の検査対象領域Rgに上方から照明光を照射して検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jに沿った垂直上方から照明(すなわち落射照明)する第1照明41(第1の照明手段)及び検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jを取り囲む方向から照明する第2照明42(第2の照明手段)から成る。第2照明42は平面視においてカメラ部7aの撮像光軸7Jを中心とする同心円上に配置された複数の光源42Lから構成されている。カメラユニット7では検査対象領域Rgを照明する照明手段として、第1照明41と第2照明42を選択的に切り替えて用いることができる。
【0023】
ここで、第1照明41の光源41L及び第2照明42の複数の光源42Lの種類は特に限定されるものではないが、これらの光源41L,42Lには、点灯開始から照明光度が安定するまでの時間が短く、発熱量が極めて小さいLEDを用いることが好ましい。
【0024】
基板保持移動ユニット4が備えるベース部14の水平面内での移動動作は、制御装置8が水平面内移動機構(Yテーブル11、Xテーブル12及びθテーブル13)の作動制御を行うことによってなされ、ベース部14のθテーブル13に対する昇降動作は、制御装置8が図示しない昇降機構(図示せず)の作動制御を行うことによってなされる。
【0025】
スキージユニット6が備えるスキージベース22のY軸方向への移動は制御装置8が前述のスキージ移動機構21の作動制御を行うことによってなされ、スキージベース22に対する各スキージ24の昇降動作は、制御装置8が各スキージ24に対応するスキージ昇降シリンダ23の作動制御を行うことによってなされる。
【0026】
カメラユニット7の移動動作は制御装置8が前述のカメラ移動機構30の作動制御を行うことによってなされ、カメラユニット7が備える第1照明41と第2照明42の点灯・消灯制御及びCCD撮像素子32による撮像動作制御は制御装置8によってなされる。CCD撮像素子32の撮像動作によって得られた画像データは制御装置8に入力される(図1)。
【0027】
カメラユニット7は、基板2とマスク5が基板2上のランド2aとマスク5の開口部5aとが合致した状態で接触されるように基板2及びマスク5それぞれに設けられたマーク(基板側マーク2m及びマスク側マーク5m)を撮像するマーク認識用のカメラとして用いられるほか、半田Sdが転写された後の基板2上の検査対象領域Rgを垂直上方から撮像して半田Sdの転写状態を検査する検査用のカメラとして用いられる。
【0028】
先ず、スクリーン印刷機1によるスクリーン印刷工程の手順を説明する。スクリーン印刷工程では、制御装置8は先ず、基板保持移動ユニット4の作動制御を行い、搬送コンベア16によって上流側工程の装置から送られてきた基板2を受け取って搬入し、所定の作業位置に位置決めする。そして、基板2を作業位置に位置決めしたら、一対のクランプ部材17によって基板2の両側部を挟んでクランプするとともに、下受け部材18を上昇させて基板2の下面に接触させて、基板2を保持する。なお、基板2を搬入、位置決め及び保持するときの基板保持移動ユニット4の位置は、マスク5の直下の前方位置(図1の実線で示す基板保持移動ユニット4参照)である。
【0029】
制御装置8は基板2を保持したら、基板保持移動ユニット4を前方位置からマスク5の直下の位置から後方に外れる後方位置(図1の一点鎖線で示す基板保持移動ユニット4参照)に移動させた後、カメラユニット7を基板保持移動ユニット4に保持されている基板2の上方に移動させる(図1の一点鎖線で示すカメラユニット7参照)。そして、基板2上に設けられた基板側マーク2mを上方から撮像し、画像認識を行って基板2の位置を算出し(基板位置算出工程)、次いでカメラユニット7をマスク5の上方に移動させ(図1の実線で示すカメラユニット7参照)、マスク5上に設けられたマスク側マーク5mを上方から撮像し、画像認識を行ってマスク5の位置を算出する(マスク位置算出工程)。
【0030】
制御装置8は、基板2の位置とマスク5の位置を算出したら、基板保持移動ユニット4を前方位置に戻し、算出した基板2の位置とマスク5の位置とから、基板側マーク2mがマスク側マーク5mの直下に位置するように基板保持移動ユニット4を移動させる。これにより基板2とマスク5が位置合わせされる(位置合わせ工程)。
【0031】
制御装置8は、基板2とマスク5の位置合わせを行ったら、基板保持移動ユニット4の作動制御を行ってベース部14を上昇させ、基板2の上面をマスク5の下面に接触させる。これにより基板2上のランド2aとマスク5の開口部5aが合致して接触された状態となる(接触工程)。
【0032】
このように本実施の形態では、マスク5は、基板保持部である基板保持移動ユニット4に保持された基板2上のランド2aに開口部5aを合致させて基板2の上面に接触されるものとなっている。
【0033】
制御装置8は、基板2の上面をマスク5の下面に接触させたらオペレータによるマスク5上への半田Sdの供給待ちの状態に入り、オペレータがマスク5上に半田Sdの供給を行って所定の操作を行うと、制御装置8はスキージユニット6による半田Sdのスキージング作業を行う(スキージング工程)。このスキージユニット6による半田Sdのスキージング作業は、一方のスキージ24をスキージベース22に対して下降させてその下端部をマスク5上に当接させ、スキージベース22を水平方向(Y軸方向)に移動させてスキージ24をマスク5上で摺動させることによって行う。これによりマスク5上の半田Sdはスキージ24によって掻き寄せられ、マスク5の開口部5aを介して基板2上のランド2aに転写される。
【0034】
ここで、スキージベース22をスクリーン印刷機1の前方から後方に(図1及び図2では紙面の右方から左方に)移動させるときには前方に位置するスキージ24をマスク5上に当接させてスキージングを行い、スキージベース22をスクリーン印刷機1の後方から前方に(図1及び図2では紙面の左方から右方に)移動させるときには後方に位置するスキージ24をマスク5上に当接させてスキージングを行う。
【0035】
すなわち本実施の形態において、スキージ24は、基板2の上面に接触されたマスク5上を摺動してマスク5上に供給された半田Sdを掻き寄せることによりマスク5の開口部5aを介して基板2上のランド2aに半田Sdを転写させるものとなっている。
【0036】
制御装置8は、スキージユニット6による半田Sdのスキージング作業が終了したら、ベース部14を下降させて、基板2をマスク5から離間させる。これによりいわゆる版離れが行われ、基板2上のランド2aに半田Sdが供給された状態となる(版離れ工程)。
【0037】
制御装置8は、版離れ工程が終了したら、基板保持移動ユニット4を後方位置に移動させて、カメラユニット7による半田Sdの検査作業を行う。カメラユニット7による半田Sdの検査作業では、先ず、制御装置8の撮像制御部8a(図1)が、スクリーン印刷後の(すなわち半田Sdが転写された後の)基板2上の検査対象領域Rgの直上にカメラユニット7を位置させてカメラ部7aの撮像光軸7Jが検査対象領域Rgを通過するようにし(図6(a))、次いで、第1照明41を点灯させて(第2照明42は消灯)、検査対象領域Rgをカメラ部7aによって撮像する(第1の撮像工程)。
【0038】
この第1の撮像工程では落射照明である第1照明41を用いており、検査対象領域Rg内で平坦なランド2aのみが明るい領域として明瞭に映し出され、表面で照明光を乱反射させる半田Sdは暗くなって明瞭に映し出されない(基板2の表面には光を吸収するレジストが形成されているので基板2の表面も暗く映る)。このため、検査対象領域Rgの撮像画像は、ランド2aのみが映し出されてそのランド2aの輪郭(但し半田Sdによって隠れなかった部分の輪郭)を明瞭に認識できる画像(第1の画像と称する)となる(図7(a))。
【0039】
制御装置8の撮像制御部8aは、上記第1の撮像工程が終了したら、今度は第1照明41を消灯させる一方、第2照明42を点灯させて、検査対象領域Rgをカメラ部7aによって撮像する(第2の撮像工程)。
【0040】
この第2の撮像工程では、検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jを取り囲む方向から照明する第2照明42を用いており、検査対象領域Rg内のランド2aと半田Sdのいずれもが明るい領域として明瞭に映し出される。このため検査対象領域Rgの撮像画像は、ランド2aと半田Sdが一体となった領域が映し出されてその領域(ランド2aと半田Sdが一体となった領域)の輪郭を明瞭に認識できる画像(第2の画像と称する)となる(図7(b))。
【0041】
上記第2の撮像工程が終了したら、制御装置8の画像処理部8b(図1)が、第2の撮像工程で得られた第2の画像のランド2a及び半田Sdの部分から、第1の画像のランド2aの部分を差し引く画像処理を行う(画像処理工程)。これにより、半田Sdのみが映し出された画像(図7(c))が得られる。
【0042】
このように、本実施の形態において、制御装置8の撮像制御部8aは、検査対象領域Rgを第1照明41により照明しながら検査対象領域Rgを撮像手段であるカメラユニット7のカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2aが映し出された第1の画像を得るとともに、検査対象領域Rgを第2照明42により照明しながら検査対象領域Rgをカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2a及び半田Sdが映し出された第2の画像を得る撮像制御手段として機能する。また、制御装置8の画像処理部8bは、カメラ部7aの撮像によって得られた第2の画像のランド2a及び半田Sdの部分から第1の画像のランド2aの部分を差し引いて半田Sdのみが映し出された画像を得る画像処理手段として機能する。
【0043】
制御装置8は、このような撮像及び処理の工程を基板2上の全検査対象領域について行い、その基板2に転写された半田Sdの転写状態を検査し、その基板2の良否を判断する。
【0044】
制御装置8は、基板2の良否を判断したら、クランプ部材17による基板2のクランプを解除したうえで下受け部材18を下降させることによって基板2の保持を解除する(基板保持解除工程)。そして、搬送コンベア16を作動させて、下流側の工程の装置(例えば基板2に部品を装着する部品装着機)に搬出する(基板搬出工程)。
【0045】
このように本実施の形態におけるスクリーン印刷機1における半田検査方法は、検査対象領域Rgを第1照明41により照明しながら検査対象領域Rgをカメラユニット7のカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2aが映し出された第1の画像を得る工程(第1の撮像工程)、検査対象領域Rgを第2照明42により照明しながら検査対象領域Rgをカメラユニット7のカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2a及び半田Sdが映し出された第2の画像を得る工程(第2の撮像工程)及びカメラ部7aの撮像によって得られた第2の画像のランド2a及び半田Sdの部分から第1の画像のランド2aの部分を差し引いて半田Sdのみが映し出された画像を得る工程(画像処理工程)を含むものとなっている。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、半田Sdが転写された後の基板2上の検査対象領域Rgを垂直上方から撮像するモノクローム撮像タイプの撮像手段としてのカメラユニット7のカメラ部7a、検査対象領域Rgを垂直上方から照明する第1の照明手段としての第1照明41、検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jを取り囲む方向から照明する第2の照明手段としての第2照明42、検査対象領域Rgを第1照明41により照明しながら検査対象領域Rgをカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2aが映し出された第1の画像を得るとともに、検査対象領域Rgを第2照明42により照明しながら検査対象領域Rgをカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2a及び半田Sdが映し出された第2の画像を得る撮像制御手段としての制御装置8の撮像制御部8a及びカメラ部7aの撮像によって得られた第2の画像のランド2a及び半田Sdの部分から第1の画像のランド2aの部分を差し引いて半田Sdのみが映し出された画像を得る画像処理手段としての制御装置8の画像処理部8bを備えたものとなっている。
【0047】
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、基板2上の検査対象領域Rgを垂直上方から撮像するカメラユニット7のカメラ部7a(モノクローム撮像タイプの撮像手段)のほか、検査対象領域Rgを垂直上方から照明する第1照明41(第1の照明手段)と、検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jを取り囲む方向から照明する第2照明42(第2の照明手段)を備えており、検査対象領域Rgを第1照明41により照明しながら検査対象領域Rgをカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2aが映し出された第1の画像を得るとともに、検査対象領域Rgを第2照明42により照明しながら検査対象領域Rgをカメラ部7aにより撮像して検査対象領域Rg内のランド2a及び半田Sdが映し出された第2の画像を得た後、第2の画像のランド2a及び半田Sdの部分から第1の画像のランド2aの部分を差し引いて半田Sdのみが映し出された画像を得るようになっており、高価なカラーカメラを用いることなく、安価なモノクロカメラを用いて半田Sdのみが映し出された画像を得ることができるようになっている。このため低コストでスクリーン印刷後の半田検査を行うことができる。
【0048】
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、撮像手段であるカメラユニット7のカメラ部7aは、基板2とマスク5が基板2上のランド2aとマスク5の開口部5aとが合致した状態で接触されるように基板2及びマスク5それぞれに設けられたマーク(基板側マーク2m及びマスク側マーク5m)を撮像するマーク認識用にも用いられるようになっており、必要な撮像手段を複数備える必要がないのでコスト的にも有利である。
【0049】
また、第1照明41の光源41L及び第2照明42の複数の光源42Lに、点灯開始から照明光度が安定するまでの時間が短く、発熱量が極めて小さい特質を有するLEDを用いるようにすれば、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1のように、二度の撮像工程(第1の撮像工程及び第2の撮像工程)を続けて実行し、2つ照明(第1照明41及び第2照明42)の点灯と消灯の切り替えを連続して行う必要があるものでは、検査の実行時間の短縮の観点から非常に大きな効果が得られる。
【0050】
なお、第2の照明手段(第2照明42)は、検査対象領域Rgをカメラ部7aの撮像光軸7Jを取り囲む方向から照明する構成となっていればよく、必ずしも本実施の形態に示した構成を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
カラーカメラを用いることなく低コストでスクリーン印刷後の半田検査を行うことができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷機における半田検査方法を提供する。
【符号の説明】
【0052】
1 スクリーン印刷機
2 基板
2a ランド
2m 基板側マーク(マーク)
4 基板保持移動ユニット(基板保持部)
5 マスク
5a 開口部
5m マスク側マーク(マーク)
7a カメラ部(撮像手段)
7J 撮像光軸
8a 撮像制御部(撮像制御手段)
8b 画像処理部(画像処理手段)
24 スキージ
41 第1照明(第1の照明手段)
41L 光源
42 第2照明(第2の照明手段)
42L 光源
Sd 半田
Rg 検査対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板上のランドに開口部を合致させて基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスク上を摺動してマスク上に供給された半田を掻き寄せることによりマスクの開口部を介して基板上のランドに半田を転写させるスキージとを備えたスクリーン印刷機であって、
半田が転写された後の基板上の検査対象領域を垂直上方から撮像するモノクローム撮像タイプの撮像手段と、
前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸に沿った垂直上方から照明する第1の照明手段と、
前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸を取り囲む方向から照明する第2の照明手段と、
前記検査対象領域を第1の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランドが映し出された第1の画像を得るとともに、前記検査対象領域を第2の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランド及び半田が映し出された第2の画像を得る撮像制御手段と、
撮像手段の撮像によって得られた第2の画像のランド及び半田の部分から第1の画像のランドの部分を差し引いて半田が映し出された画像を得る画像処理手段とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
撮像手段は、基板とマスクが基板上のランドとマスクの開口部とが合致した状態で接触されるように基板及びマスクそれぞれに設けられたマークを撮像するマーク認識用にも用いられることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
第1の照明手段及び第2の照明手段はそれぞれ光源がLEDから成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン印刷機。
【請求項4】
基板を保持する基板保持部と、基板保持部に保持された基板上のランドに開口部を合致させて基板の上面に接触されるマスクと、基板の上面に接触されたマスク上を摺動してマスク上に供給された半田を掻き寄せることによりマスクの開口部を介して基板上のランドに半田を転写させるスキージと、半田が転写された後の基板上の検査対象領域を垂直上方から撮像するモノクローム撮像タイプの撮像手段と、前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸に沿った垂直上方から照明する第1の照明手段と、前記検査対象領域を撮像手段の撮像光軸を取り囲む方向から照明する第2の照明手段とを備えたスクリーン印刷機における半田検査方法であって、
前記検査対象領域を第1の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランドが映し出された第1の画像を得る工程と、
前記検査対象領域を第2の照明手段により照明しながら前記検査対象領域を撮像手段により撮像して前記検査対象領域内のランド及び半田が映し出された第2の画像を得る工程と、
撮像手段の撮像によって得られた第2の画像のランド及び半田の部分から第1の画像のランドの部分を差し引いて半田のみが映し出された画像を得る工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷機における半田検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−124399(P2012−124399A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275331(P2010−275331)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】