説明

スタイラス及び接触式変位センサ

【課題】被検物の表面付近まで安全に接近させることができるスタイラスを提供する。
【解決手段】先端部12を被検物Sに接触させて被検物Sの表面を追従させることにより、被検物Sの表面形状を測定するためのスタイラス10は、先端部12の先端12Aよりも前方の所定位置Pを通るように光Lを照射する発光部13と、発光部13から照射された光Lが反射された反射光L1を検知する受光部14とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式表面形状測定に用いるスタイラス及び接触式変位センサ、より詳しくは、先端と被検物との間の距離を検知可能なスタイラス及び接触式変位センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズや金型等の光学関連素子の表面形状評価を行う装置として、スタイラス(触針子)を光学関連素子等の被検物の面上に接触させて追従させる接触走査式の測定方法を採用した接触式変位センサ(以下、単に「変位センサ」と称することがある。)が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
接触式変位センサを用いた表面形状測定においては、被検物の表面にスタイラスを接触させる必要があるが、両者を勢いよく接触させると、被検物の表面やスタイラスの先端を傷める恐れがある。このため、スタイラスを低速で静かに被検物に接触させることが好ましい。
特許文献1に記載の変位センサにおいては、バネで吊るされたスタイラスの後端部をレーザ変位計で測長し、変位量が変化するタイミングを接触とみなすことによってスタイラスと被検物との接触を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−97938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の変位センサにおいては、スタイラスと被検物とが接触するまで低速でスタイラスと被検物とを相対移動させる(低速アプローチ)と、接触まで長い時間を要し、測定効率が悪いという問題がある。
【0006】
接触までの時間を短縮するためには、被検物とスタイラスとの間の距離が一定の値以下に近づくまで高速で両者を接近させてから低速アプローチに切り替える方法が考えられる。しかし、特許文献1の変位センサにおいては、スタイラスと被検物との接触は検知できるものの、スタイラスと被検物との間の距離を検知する機能はないので、無理に高速で両者を接近させると両者が勢いよく衝突してしまう恐れがある。
特に、被検物の表面の一部が凹面形状である場合は、スタイラスと被検物との間の距離を側方から視認することが困難であるため、安全に高速で両者を接近させることがさらに困難となり、測定効率の向上が更に難しいという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、被検物の表面付近まで安全に接近させることができるスタイラスを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、スタイラスを被検物の表面付近まで安全に接近させ、効率よく被検物の表面形状を測定することができる接触式変位センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、先端部を被検物に接触させて前記被検物の表面を追従させることにより、前記被検物の表面形状を測定するためのスタイラスであって、前記先端部の先端よりも前方の所定位置を通るように光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光が反射された反射光を検知する受光部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、スタイラスを被検物に接触させて前記被検物の表面を追従させることにより、前記被検物の表面形状を測定するための接触式変位センサであって、前記被検物に対して進退可能に配置され、前記被検物に接触させる先端部を有するスタイラスと、前記先端部との相対位置関係を保持しつつ前記スタイラスとともに前記被検物に対して進退可能に配置され、前記先端部の先端よりも前方の所定位置を通るように光を照射する発光部と、前記先端部との相対位置関係を保持しつつ前記スタイラスとともに前記被検物に対して進退可能に配置され、前記発光部から照射された光が反射された反射光を検知する受光部と、前記受光部が検知した前記反射光にもとづいて、前記先端部と前記被検物との距離が所定値以下であるかどうかを判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【0010】
前記受光部は、前記反射光の光量を検知可能であり、前記判定部は、前記光量が所定値以上となったときに前記先端部と前記被検物との距離が所定値以下であると判定するように構成されてもよい。
【0011】
また、本発明のスタイラス及び接触式変位センサにおいては、前記発光部が前記所定位置と前記先端との距離を変更可能に取り付けられてもよいし、前記所定位置は、前記先端部の軸上に設定されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスタイラスによれば、発光部の照射した光の反射光を受光部で検知することによって、被検物の表面付近まで安全に接近させることができる。
また、本発明の接触式変位センサによれば、スタイラスを被検物の表面付近まで安全に接近させ、効率よく被検物の表面形状を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の接触式変位センサの概略構成を示す図である。
【図2】同接触式変位センサのスタイラスの先端部付近を示す拡大図である。
【図3】同接触式変位センサの使用時におけるスタイラスの先端部付近を示す図である。
【図4】同接触式変位センサの使用時におけるスタイラスの先端部付近を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の接触式変位センサにおけるスタイラス及び軸受部を示す平面図である。
【図6】本発明の変形例の接触式変位センサにおけるスタイラス先端部付近を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態について、図1から図4を参照して説明する。なお、特に説明のない限り、「前方」および「後方」とは、それぞれ図1に示すZ軸の負方向及び正方向を指すものとする。
【0015】
図1は、本実施形態の変位センサ1の概略構成を示す図である。変位センサ1は、本発明のスタイラスを備えるものであり、図1に示すように、スタイラス10と、スタイラスが取り付けられた軸受部20と、被検物Sが設置される被検物取付部30と、スタイラスと被検物との距離を判定するパソコン(判定部)40とを備えている。
【0016】
スタイラス10は、本体部11と、それぞれ本体部11の一方の端部に取り付けられた先端部12、発光部13、及び受光部14とを備えている。
本体部11は細長の棒状に形成されており、軸受部20の後述する軸受21に、軸受21内を滑らかに摺動可能に配置されている。
【0017】
先端部12は、形状測定時に被検物Sの表面に接触する部位であり、先端がとがった針状に形成されている。本実施形態において、先端部12はダイヤモンドからなり、先端12Aの曲率半径Rが2マイクロメートル(μm)程度に形成されたものが採用されているが、先端部の材質や形状は、これには限定されない。
【0018】
図2は、スタイラス10の先端部12付近の拡大図である。図2に示すように、発光部13及び受光部14は、先端部12の後端付近に位置するように、本体部11の一方の端部に取り付けられている。
発光部13は、レーザーダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)等の光源を有して構成されており、先端部12の先端12Aよりも所定距離D1だけ前方かつ先端部12の軸線X上の所定位置Pを通る光Lを照射できるように本体部11に配置されている。光Lの種類には特に制限はないが、LED等を用いて白色光等を照射する場合は、光学系等を用いて所定位置Pに光を集光させるのが好ましい。
受光部14は、発光部13の照射した光Lが所定位置Pにおいて軸線Xに垂直(略垂直を含む)な被検物面で反射された反射光を受光して検知できるように本体部11に配置されている。受光部14としては、フォトディテクタ(PD)やCCD等の固体撮像素子等を好適に採用することができる。また、発光部13及び受光部14として公知の反射型フォトセンサ等が採用されてもよい。
【0019】
軸受部20は、基台2上に設置されており、スタイラス10が取り付けられる軸受21と、軸受をZ軸方向に進退させる第1駆動機構22と、スタイラス10の変位量を検出する変位計23とを備えている。
【0020】
軸受21には、上述のように、スタイラス10の本体部11が摺動可能に挿通される。
第1駆動機構22は、モータ等の公知の機構を有し、軸受21及び軸受21に取り付けられたスタイラス10を、被検物取付部30に取り付けられた被検物Sに対して進退させる。第1駆動機構22は、スタイラス10と被検物Sとの接触時に先端部12の先端12A及び被検物Sの表面が損傷されない程度の速度(例えば、秒速0.01〜0.05ミリメートル(mm/s))で両者を相対的に接近させる低速アプローチと、低速アプローチよりも早い速度(例えば、5〜15mm/s)で両者を相対的に接近させる高速アプローチとの2種類のアプローチが可能に構成されている。
変位計23は公知の構成を有し、スタイラス10の後端側に配置されている。
【0021】
被検物取付部30は、基台2上であって軸受部20の前方に設けられており、被検物Sを保持する保持部材31と、保持部材31をX軸及びY軸方向に移動させる第2駆動機構32と、保持部材31に取り付けられた被検物Sの変位量を検出する変位計33とを備えている。
【0022】
保持部材31は公知の構成を有し、形状測定を行う測定面S1がスタイラス10の先端部12側に向くように被検物Sが取り付けられて支持固定される。図1では、被検物の例として、凹面状の測定面S1を有する被検物Sが示されているが、被検物の形状はこれには限定されず、後述する一定の条件を満たせば、スタイラスと被検物との距離を好適に検知することができる。
【0023】
第2駆動機構32は、例えばモータや圧電アクチュエータ等の公知の各種駆動機構を有して構成され、保持部材31に取り付けられている。第2駆動機構32が駆動することにより、保持部材14に支持固定された被検物Sは、X軸方向(図1における紙面に垂直な方向)及びY軸方向に移動可能である。
変位計33は公知の構成を有し、第2駆動機構32の前方に配置されている。変位計33として、変位計23と同一の構成のものが採用されてもよい。
【0024】
パソコン40は、各種演算を行う演算部41と、本体41に接続された表示部42とを備えている。
演算部41には、スタイラス10の発光部13及び受光部14が接続されており、受光部14の反射光の検知状況にもとづいて、スタイラス10の先端12Aと被検物Sの被検面S1との距離が予め設定した所定値(例えば、1mm)以下であるか否かを判定する。また、演算部41は、軸受部20の第1駆動機構22及び変位計23、並びに被検物保持部30の第2駆動機構32及び変位計33と接続されており、上記判定の結果を参照しつつ変位センサ1全体の動作制御を行う。
表示部42は公知のディスプレイ等からなり、演算部41の演算結果の一部や、変位センサ1の設定パラメータ等の各種情報が、必要に応じて表示される。
【0025】
上記の構成を備えた変位センサ1の使用時の動作について、以下に説明する。
まず使用者は、測定面S1がスタイラス10の先端部12に対向するように、被検物Sを保持部材31に支持固定する。次に、パソコン40を操作して第1駆動機構22を作動させ、高速アプローチで軸受部20及び軸受21に取り付けられたスタイラス10を被検物Sに向かって接近させる。
【0026】
高速アプローチが開始されると、演算部41は、発光部13から光Lを照射させる。光Lは、スタイラス10の先端12Aから所定距離D1だけ前方の所定位置Pに向かって照射される。本実施形態では、パソコン40に設定された上述の所定値が1mmであり、所定距離D1は1mmに設定されている。
【0027】
図2に示すように、先端12Aと測定面S1との距離が所定距離D1より大であるときは、光Lが測定面S1で反射された反射光L1は、受光部14に入射せず、検知されない。演算部41は、受光部14が反射光L1を受光していないときは、先端12Aと測定面S1との距離が所定値以下でないと判定し、高速アプローチを継続させる。
【0028】
スタイラス10が被検物Sにさらに接近して、先端12Aと測定面S1との距離が所定値である1mmとなると、図3に示すように、光Lは所定位置Pに位置する被測定面S1で反射され、反射光L1が受光部14に入射して検知される。演算部41は、受光部14が受光したときに先端12Aと測定面S1との距離が所定値以下であると判定し、第1駆動機構22を制御して、高速アプローチから低速アプローチに切り替える。その結果、スタイラス10は、先端12A及び被測定面S1を傷めない程度のスピードでゆっくりと被検物Sに接近する。
【0029】
演算部41は、低速アプローチの速度からスタイラス10が所定距離D1進むために必要な時間を算出し、当該時間経過後に第1駆動機構22を停止させる。その結果、図4に示すように先端12Aが被測定面S1に安全に接触して停止する。
上述のような第1駆動機構22の動作時間制御に代えて、公知の接触検知機構によりスタイラス10と被検物Sとの接触を検知し、接触検知時に第1駆動機構22を停止させてもよい。
【0030】
スタイラス10の先端部12と被検物Sとが接触した後、使用者は被検物Sの表面形状測定を開始する。演算部41は、被検物取付部30の第2駆動機構32を駆動し、被検物Sとスタイラス10とを相対的に動かすことにより、被検物Sの表面をスタイラス10によって追従走査させる。スタイラス10の走査中の各変位計23、33の検出値は演算部41に入力され、図示しないメモリ等の記憶媒体に記憶される。スタイラス10の走査終了後、当該検出値は、演算部41によって解析、再構成されて被検物Sの表面形状が評価可能となる。
【0031】
本実施形態の変位センサ1によれば、スタイラス10の先端12Aと被検物Sとの距離が所定値以下となるまでは、高速アプローチで両者間の距離が迅速に詰められる。そして、スタイラス10の先端12Aと被検物Sとの距離が所定値以下となると、反射光L1が受光部14で受光されて検知され、これにもとづいてパソコン40の演算部41が両者間の距離が所定値以下であると判定し、第1駆動機構22を制御して低速アプローチに切り替える。
したがって、被検物Sのように、凹面の被測定面S1を有し、側方からスタイラスと被検物との間隙を視認することが困難な被検物の形状測定を行う場合であっても、迅速かつ安全にスタイラス10を被検物Sに接触させることができる。その結果、測定効率を著しく向上させることができる。
【0032】
また、スタイラス10の先端12Aと被検物Sとの距離を検知するための発光部13及び受光部14が本体部11に取り付けられてスタイラス10と一体となっているので、スタイラス10が移動しても先端部12と発光部13及び受光部14との相対位置関係が変化せずに保持され、光Lは、常に所定位置Pを通るように照射される。したがって、先端12Aと被検物Sとの距離を安定して検知することができる。
【0033】
本発明の変位センサにおいては、被検物Sが所定位置Pに達した時に軸線Xに垂直(略垂直を含む)な被検物面で光L1を反射するようにすると、受光部14で反射光L1を受光させることが容易であり、好ましい。したがって、凸面あるいは凹面の光学面を有するような光学素子や光学素子成形用金型等が被検物である場合は、当該被検物の光軸を軸線Xと一致するように保持部材31に取り付けると、面頂あるいは面頂近傍の部位が軸線Xに略垂直な状態で所定位置Pに達するため、スタイラスと被検物との距離を好適に検知することができる。ただし、受光部の配置態様はこれには限定されず、反射光を受光できるようにその位置や面積等が適宜設定されればよい。
【0034】
一方、粗い表面を有する被検物は、光L1を乱反射するために受光部での反射光の受光が困難であり、本発明の変位センサの被検物としては適さない。また、鏡面状の表面を有するが、自身の光軸に対して傾斜した光学面を有するような被検物では、光学面に光Lを照射しても受光部に反射光L1が戻りにくい。このような場合は、被検物の光軸と軸線Xとが平行になるように配置したときに軸線Xと垂直をなす接触部位を被検物のどこか一箇所に形成し、この接触部位が軸線X上に位置するように被検物を配置してからスタイラスと被検物とを接近させてもよい。この場合は、スタイラスが被検物の接触部位に接触した後に、スタイラスの先端を光学面上に移動させて走査を行えばよい。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について図5を参照して説明する。本実施形態の変位センサ51と第1実施形態の変位センサ1との異なる点は、発光部および受光部の設置位置である。なお、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
図5は、変位センサ51のスタイラス52及び軸受部53を、上方(図1におけるY軸の正側)から見た図である。発光部13及び受光部14は、スタイラス52の本体部54には取り付けられておらず、軸受部53上に配置されている。発光部13及び受光部14は、それぞれ先端部12の軸線Xと平行に形成されたレール55上を進退可能である。
【0037】
また、発光部13及び受光部14は、スタイラス52の進退と連動してレール55上を進退するように演算部41によって動作制御されており、進退にともなってスタイラス52の先端部12との相対位置関係は変化しない。したがって、発光部13から照射される光Lは、常に先端12Aから所定距離D1だけ前方の所定位置Pを通るように照射される。
【0038】
本実施形態の変位センサ51においても、第1実施形態の変位センサ1同様、迅速かつ安全にスタイラス10を被検物Sに接触させることができ、測定効率を著しく向上させることができる。
【0039】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した各実施形態においては、スタイラスが針状にとがった先端部を有する例を説明したが、これに代えて、図6に示す変形例のように、先端にルビー球61等の球体が取り付けられた先端部60を有しても良い。この場合は、図6に示すように、光L及び反射光L1がルビー球61に当たらないように発光部13及び受光部14の位置や光Lの光束等を設定すればよい。
【0040】
また、本発明のスタイラス及び変位センサにおいては、所定位置Pを規定する所定距離D1は、ワークの種類や第1駆動機構の性能等に応じて適宜設定されてよい。このとき、所定距離D1を適宜変更して所定位置Pを変化させることができるように、光Lの照射方向を調節可能に発光部を配置してもよい。なお、この場合、受光部も受光領域の向きを調節可能に配置することが好ましいが、これは必須ではなく、受光部の配置位置や受光領域の面積を適宜設定することによって、一定範囲の所定位置における反射光を受光できるように受光部を構成してもよい。
【0041】
さらに、上述の各実施形態においては、判定部であるパソコン40の演算部41が、受光部の反射光受光の有無にもとづいてスタイラスと被検物との距離が所定値以下であるか否かを判定する例を説明したが、これに代えて、受光部として反射光を定量的に検知することができるものを採用し、受光部の反射光の受光量にもとづいて判定部が当該判定を行うように構成されてもよい。
この場合は、まず被検物を用いた予備実験等により、スタイラス−被検物間距離の変化にともなう受光部の反射光受光量の推移を示す曲線を取得する。次に、高速アプローチから低速アプローチに安全に切り替えるために必要なスタイラス−被検物間距離に安全係数を乗ずる等により所定距離D1を決定し、所定距離D1における反射光L1の受光量を判定閾値に設定する。そして、受光部の受光量と当該判定閾値とにもとづいて判定部がスタイラスと被検物との距離が所定値以下であるか否かを判定するように設定すればよい。
【0042】
加えて、上述の各実施形態では、所定位置Pが先端部の軸線X上に設定されている例を説明したが、所定位置Pを軸線Xからわずかに離間するように設定しても、スタイラスと被検物との距離を検知することは可能である。ただし、所定位置Pを軸線X上に設定した方が、受光部の配置が容易であり、距離の検知もより好適に行えることは言うまでもない。
また、上述の各実施形態では、スタイラスと被検物との距離を光を用いて検知する例を説明したが、これに代えて、超音波を用いて当該距離が検知されてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1、51 接触式変位センサ
10、52 スタイラス
12 先端部
12A 先端
13 発光部
14 受光部
40 パソコン(判定部)
P 所定位置
S 被検物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を被検物に接触させて前記被検物の表面を追従させることにより、前記被検物の表面形状を測定するためのスタイラスであって、
前記先端部の先端よりも前方の所定位置を通るように光を照射する発光部と、
前記発光部から照射された光が反射された反射光を検知する受光部と、
を備えることを特徴とするスタイラス。
【請求項2】
前記発光部は、前記所定位置と前記先端との距離を変更可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のスタイラス。
【請求項3】
前記所定位置は、前記先端部の軸上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスタイラス。
【請求項4】
スタイラスを被検物に接触させて前記被検物の表面を追従させることにより、前記被検物の表面形状を測定するための接触式変位センサであって、
前記被検物に対して進退可能に配置され、前記被検物に接触させる先端部を有するスタイラスと、
前記先端部との相対位置関係を保持しつつ前記スタイラスとともに前記被検物に対して進退可能に配置され、前記先端部の先端よりも前方の所定位置を通るように光を照射する発光部と、
前記先端部との相対位置関係を保持しつつ前記スタイラスとともに前記被検物に対して進退可能に配置され、前記発光部から照射された光が反射された反射光を検知する受光部と、
前記受光部が検知した前記反射光にもとづいて、前記先端部と前記被検物との距離が所定値以下であるかどうかを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする接触式変位センサ。
【請求項5】
前記受光部は、前記反射光の光量を検知可能であり、
前記判定部は、前記光量が所定値以上となったときに前記先端部と前記被検物との距離が所定値以下であると判定することを特徴とする請求項4に記載の接触式変位センサ。
【請求項6】
前記発光部は、前記所定位置と前記先端との距離を変更可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の接触式変位センサ。
【請求項7】
前記所定位置は、前記先端部の軸上に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の接触式変位センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107095(P2011−107095A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265336(P2009−265336)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】