説明

スピンドルの制動装置および測定器

【課題】スピンドルの操作性および耐久性を向上させることのできるスピンドルの制動装置および測定器を提供すること。
【解決手段】制動装置600は、スピンドル300が移動するシリンダ610と、このシリンダ610内を2つに区画するピストン620と、スピンドル300とピストン620とを、軸方向および軸直交方向に対し一定のクリアランス633を介して連結する連動手段660と備え、連動手段660は、ピストン620に形成された中空室623と、スピンドル300の他端に設けられ、他端側が中空室623内に係合収納される係合部630とを含み構成され、スピンドル300が一端側へ移動する際には、係合部630が中空室623の一端側内壁に当接し、かつ、他端側へ移動する際には、係合部630が中空室623の他端側内壁に当接するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルの制動装置および測定器に関し、例えば、ダイヤルゲージ、および、ダイヤルゲージに備えられるスピンドルの制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体ケースを貫通して上下動するスピンドルを有する測定器としてダイヤルゲージが知られ、スピンドルの先端に設けられる測定子が被測定物に強く激突することを回避するために、スピンドルの急激な落下を防止する制動装置(スピンドルの制動装置)を備えたダイヤルゲージが知られている(例えば、特許文献1)。
図10は、従来のダイヤルゲージ800の制動装置700を示す図である。
図10において、ダイヤルゲージ800は、本体ケース200を貫通して上下動可能に設けられたスピンドル300と、スピンドル300の上端側をガイドするガイド手段としてのブッシュ212と、スピンドル300を制動する制動装置700とを備えている。
スピンドル300は、図示しない付勢手段により下方へ向けて付勢されている。
制動装置700は、ブッシュ212の上端側に外嵌する長筒状のシリンダ610と、シリンダ610内を摺動可能に設けられた可動部材710とを備える。
【0003】
ブッシュ212は、シリンダ610に対して気密性を保持するように圧入されている。
シリンダ610の上端側には、隔壁体740と、隔壁体740との間に弁室を区画形成するキャップ760とが設けられている。
隔壁体740はシリンダ610内部を弁室に連通する貫通孔742を有し、隔壁体740は、貫通孔742の上端側開口において径大するテーパ状の弁座741を有する。弁座741にはボール750が着座して、貫通孔742が閉塞される。
キャップ760は、弁室と外部とを連通する通気孔761を有する。
【0004】
可動部材710は、シリンダ610内においてブッシュ212との間に第1区画室616を区画形成し、シリンダ610内において隔壁体740との間に第2区画室617を区画形成する。可動部材710の外径はシリンダ610の内径よりも僅かに小さく、可動部材710とシリンダ610の内壁との間には所定の隙間が存在する。可動部材710には貫通孔711が形成されている。さらに、スピンドル300の上端にストップねじ720と取付ねじ730とが順に螺合され、取付ねじ730の頭部731が可動部材710の貫通孔711の内壁面に係合することにより、可動部材710とスピンドル300とが一体化されている。なお、可動部材710の貫通孔711はキャップ712により封止されている。
【0005】
このような構成において、スピンドル300が上端側へ移動すると、ストップねじ720の上面が可動部材710の下端面を押し上げるので、可動部材710はスピンドル720とともに上昇する。スピンドル300が下端側へ移動すると、取付ねじ730の頭部731の下面が貫通孔711の内壁底面を引下げるので、可動部材710はスピンドル300とともに降下する。
【0006】
また、第1区画室616および第2区画室617は、可動部材710とシリンダ610の内壁との隙間を除いて略気密室となる。そして、可動部材710が下端側に降下する際には第1区画室616の圧力が増大し、第2区画室617の圧力が減少する。これにより、可動部材710はシリンダ610内においてある程度重力に抗してフロートする構成(フローティング構造)となり、可動部材710に働く浮力によってスピンドル300の制動が実現される。
【0007】
ちなみに、隔壁体740の弁座741に着座したボール750は、ダイヤルゲージ800を横に倒したときにスピンドル300および可動部材710に作用する(軸方向の)重力が小さくなるのに対応して、ダイヤルゲージ800が横に倒れたときには貫通孔742を開放して制動力を小さくするために設けられている。
【0008】
【特許文献1】特公平3−70761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、図10に示す制動装置700において、可動部材710は、スピンドルとともにシリンダ610内を上下動し、この可動部材710の上下動は、スピンドル300の上下動に応じて、ストップねじ720の上面が可動部材710の下端面を押し上げ、また、取付ねじ730の頭部731の下面が貫通孔711の内壁底面を引下げることで行われる。つまり、可動部材710の上下動は、可動部材710の下端部に加えられる力によって行われている。
しかし、上端側へ移動する際に、可動部材710は、移動する方向とは反対側端部に加えられた力によって移動させられていることから、可動部材710のフローティングが安定しにくい。例えば、可動部材710が傾いて、可動部材710の上端部外面がシリンダ610の内壁に衝突したり引っ掛かったりするなどの恐れがある。このように、可動部材710の不安定な移動によって、スピンドル300の操作に不具合が生じたり、ダイヤルゲージ800の耐久性が低下したりするなどの課題がある。
【0010】
本発明の目的は、スピンドルの操作性および耐久性を向上させることのできるスピンドルの制動装置および測定器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のスピンドルの制動装置は、筒形状のブッシュに挿通された状態で軸方向に往復移動可能に設けられたスピンドルの移動速度を制動する制動装置であって、一端がブッシュに取付けられるとともにスピンドルが往復移動する空間を有するシリンダと、このシリンダ内を、軸方向に移動可能に収納され、シリンダ内を第1シリンダ室および第2シリンダ室に区画するピストンと、スピンドルに対しピストンを、軸方向および軸直交方向に対し一定のクリアランスを介して連結する連動手段と備え、連動手段は、ピストンの両端面側壁部を残してピストンの内部に形成された係合穴と、スピンドルの他端に設けられ、係合穴内に係合収納される係合部とを含み構成され、スピンドルが一端側へ移動する際には、係合部が係合穴の一端側内壁に当接し、かつ、スピンドルが他端側へ移動する際には、係合部が係合穴の他端側内壁に当接するように、係合穴と係合部とが形成されていることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、ピストンは、シリンダ内を軸方向に移動可能であり、ピストンとスピンドルとが軸方向に対して一定のクリアランスを介して連結されていることから、スピンドルが他端側へ移動すると、スピンドルの他端に設けられた係合部が、係合穴の他端側内壁に当接する。そして、ピストンは、他端側内壁に当接した係合部に押されることで、他端側へ移動される。一方、スピンドルが一端側へ移動すると、係合部が係合穴の一端側内壁に当接する。そして、ピストンは、一端面側壁部に当接した係合部に引かれることで、一端側へ移動される。
このように、スピンドルの移動に応じて、ピストンは、移動する方向側端部に力を加えられて移動されることから、ピストンのフローティングのぶれが小さくなり、ピストン外面がシリンダ内壁に引っ掛かるなどの恐れが小さくなる。このことから、スピンドルの操作性が良くなり、また、制動装置の耐久性が向上する。
【0013】
ピストンは、シリンダ内において、軸方向に移動可能であり、かつ、シリンダ内を第1シリンダ室および第2シリンダ室に区画する。このことから、ピストン外面とシリンダ内壁との間には、第1シリンダ室および第2シリンダ室を連通させる隙間が存在し、シリンダ内の流体は、この隙間を通って、第1シリンダ室および第2シリンダ室間を移動することができる。このことから、シリンダ内の流体は、ピストンおよびスピンドルの移動に応じて、第1シリンダ室および第2シリンダ室間を移動することができるので、スピンドルは、制動された状態で移動することができる。
【0014】
本発明のスピンドルの制動装置において、係合穴は、ピストンに形成された中空室と、ピストンの他端面側壁部に形成され中空室と第1シリンダ室内とを連通させる第1連通路とから構成され、係合部は、中空室に収納され、外形寸法が中空室の内形よりも小さく、かつ、第1連通路よりも大きい弁頭と、第1連通路に挿通された状態で弁頭およびスピンドルを接続する弁棒とから構成され、弁棒は、弁頭が中空室の他端側内壁に当接している状態で、スピンドルとピストンとの間に所定クリアランスを確保する長さを有することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、中空室に収納された弁頭は、寸法外形が中空室の内形より小さく、弁棒は、弁頭およびスピンドルを接続することから、連動手段は、比較的簡単な構成によって、スピンドルとピストンとを、軸方向および軸直交方向に対し一定のクリアランスを介した状態で連結させることができる。
【0016】
弁棒は、弁頭が中空室の他端側内壁に当接している状態で、スピンドルとピストンとの間に所定クリアランスを確保する長さを有することから、スピンドルがどちらの方向に移動しても、ピストン一端側外面にスピンドルが接触することはない。つまり、ピストンが移動する際には、ピストンは、弁頭から中空室の両端内壁のいずれか一方に力を受け、他の部分に移動のための力を受けることはない。これより、ピストンのフローティングを妨げることはない。
【0017】
本発明のスピンドルの制動装置において、第1シリンダ室と第2シリンダ室とを連通して流体が流通可能に設けられた主流路と、第1シリンダ室と第2シリンダ室とを連通し比較的微量の流体が流通可能に設けられた微流路と、スピンドルが一端側へ移動する際に主流路を閉塞し、かつ、スピンドルが他端側へ移動する際に主流路を開放する開閉手段とを備え、係合部には、ピストンの一端面側側壁部に形成され中空室と第2シリンダ室とを連通させる第2連通路が設けられ、主流路は、中空室と、第1、第2連通路とから構成され、開閉手段は、係合穴に設けられた弁座と、係合部に設けられるとともに、弁座を間にしてスピンドルとは反対側から弁座に接離する弁頭とから構成されていることが好ましい。
【0018】
このような構成において、スピンドルが他端側へ移動すると、弁棒によりスピンドルの移動が弁頭に伝えられ、弁頭が弁座から離間する。すると、主流路が開放されるので、第2シリンダ室は微流路に加えて主流路によっても第1シリンダ室に連通する。すると、第2シリンダ室からは微流路および主流路から流体が流出する。その結果、第2シリンダ室の正圧が抑制されるので、スピンドルが他端側へ向けて移動する際は制動効果が小さくなる。
スピンドルが一端側へ移動すると、弁棒によりスピンドルの移動が弁頭に伝えられ、弁頭がスピンドルとともに一端側に移動して弁座に当接する。すると、主流路が閉塞されるので、第2シリンダ室には微流路のみから流体が微量ずつ流入することになる。すると、ピストンが一端側へ移動することにより第2シリンダ室に負圧が生じる。その結果、スピンドルが一端側へ向けて移動する際には第2シリンダ室の内圧(負圧)により大きな制動効果が得られる。
【0019】
すなわち、スピンドルが一端側に移動するときにのみ制動効果が得られ、スピンドルが他端側へ移動する際には制動効果が生じないようにできる。これより、例えば、スピンドルの一端に測定子が設けられている場合、スピンドルが一端側へ急激に移動(例えば落下)した際に被測定物に測定子が激突するなどの不都合を防止できる一方、スピンドルを他端側へ移動させる(例えば持ち上げる)ことが容易に行えるので、スピンドルの操作性が向上される。
また、このような構成によれば、第2シリンダ室の内圧によって制動効果が得られるので、第1シリンダ室は開放されていてもよい。その結果、従来に比べて第1シリンダ室を封止する工程が必要なくなる。
また、弁棒によってスピンドルと弁頭とが一体的に移動するので、開閉手段の開閉動作がスピンドルの移動に連動される。
【0020】
また、スピンドルが一端側へ移動されると、弁座を間にしてスピンドルとは反対側から弁頭を着座させたうえで、この弁頭が弁棒を介してスピンドルで引っ張られるので、スピンドルが一端側へ移動するときに弁頭がより強く弁座に着座して主流路がより確実に閉じられる。すなわち、スピンドルが一端側へ移動する際には主流路が完全に閉じられて第2シリンダ室の(微流路を除いた)気密性が高められる。これより、スピンドルが下端側に移動する際に、スピンドルに制動力を確実に作用させることができる。
さらに、弁頭が弁棒を介してスピンドルとともに一端側に移動されると、弁座と弁頭との当接により、ピストンも一体的にスピンドルとともに一端側に引かれる。これより、スピンドルとピストンとを係合させる手段を別途設ける必要がないので、簡便な構成とすることができる。
【0021】
本発明のスピンドルの制動装置において、弁座に配設され、弁頭が弁座に当接した際に弁座および弁頭に挟持されて弁座と弁頭との間を封止する弾性部材とを備えていることが好ましい。
この構成によれば、弁頭が弁座に着座したときに弾性部材の弾性変形により弁座と弁頭との隙間が完全に封止されて、第2シリンダ室の(微流路を除いた)気密性が高められる。
【0022】
本発明の測定器は、本体ケースと、本体ケースを貫通して軸方向に移動自在に設けられたスピンドルと、本体ケースに設けられスピンドルをガイドするブッシュと、スピンドルの変位量を表示する表示手段と、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスピンドルの制動装置とを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上記に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。
なお、スピンドルの変位を表示する表示手段は、例えば、スピンドルの変位量をエンコーダ(例えば、光電式、静電容量式、磁気式のエンコーダ)で検出して、この検出値を表示してもよく、あるいは、スピンドルの変位量を歯車機構により拡大して表示してもよい。
【0023】
本発明の測定器は、本体ケースと、本体ケースを貫通して軸方向に移動自在に設けられたスピンドルと、本体ケースに設けられスピンドルをガイドするブッシュと、スピンドルの変位量を表示する表示手段と、請求項3または請求項4に記載のスピンドルの制動装置と、一端が弁頭に取付けられるとともにシリンダの他端側開口から他端が突出する状態に設けられたリフター部とを備えていることを特徴とする。
このような構成によれば、上記に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる。さらに、例えば、穴の深さ等を測定するにあたってはスピンドルの下端側を手で持つことができないが、スピンドルの上端側にスピンドルを持ち上げる手段としてリフター部が設けられているので、このリフター部によりスピンドルを持ち上げる操作を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の説明にあたって、同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
<第1実施形態>
図1〜図4には、本発明の第1実施形態が示されている。図1は、第1実施形態の測定器を示す正面図、図2は、測定器の内部構造を示す断面図、図3は、スピンドルが上端側(他端側)へ移動するときの制動装置を示す断面図、図4は、スピンドルが下端側(一端側)へ移動するときの制動装置を示す断面図である。
これらの図に示すように、第1実施形態の測定器は、ダイヤルゲージ(インジケータ)100であって、内部に収納空間を有する本体ケース200と、本体ケース200を貫通して軸方向に往復移動可能に設けられたスピンドル300と、スピンドル300を軸方向の下端側に付勢する付勢手段400(図2参照)と、スピンドル300の変位量を検出する変位検出手段500と、スピンドル300の降下速度を制動する制動装置600とを備える。
【0025】
図1に示すように、本体ケース200は、スピンドル300の移動方向を案内するガイド手段210と、スピンドル300の変位量を表示する出力手段としての表示部220とを備える。
ガイド手段210は、図2に示すように、スピンドル300の下端側をガイドするステム211と、スピンドル300の上端側をガイドするブッシュ212とを備える。ステム211およびブッシュ212は、対向位置において互いの軸線を一致させて本体ケース200の側壁に取付けられた筒状部材であり、ステム211およびブッシュ212の筒孔にスピンドル300が摺動可能に摺嵌されている。
【0026】
ブッシュ212は、短めの筒状部材であり、軸線方向の略中央において外周面からフランジ状に張り出したフランジ部213を有する。そして、図3に示すように、ブッシュ212の外周面には、下端側おいてフランジ部213との間に縮径部216を挟んで径大する下端側径大部217が形成されている。また、ブッシュ212の外周には、上端側においてフランジ部213との間に縮径部214を挟んで径大する上端側径大部215が形成されている。フランジ部213よりも下端側(縮径部216、下端側径大部217)が本体ケース200の側壁に圧入されることによりブッシュ212が本体ケース200に取付けられている。
【0027】
スピンドル300は、下端に所定の剛性を有する測定子310を備え、上端に雌ねじ部320を有する。
付勢手段400は、本体ケース200の収納空間内において、スピンドル300と平行に固設されたガイドロッド410と、一端がガイドロッド410に沿ってスライド可能であり他端がスピンドル300に固定されたガイド片420と、ガイドロッド410に外挿して設けられガイド片420の一端を下端側に向けて付勢するコイルバネ440と、を備える。
【0028】
変位検出手段500は、スピンドル300に取付部材520を介して平行に設けられたインデックススケール510と、本体ケース200に固設されインデックススケール510の変位量を検出する検出部530とを備える。検出部530で検出された検出値は、表示部220に表示される。
【0029】
制動装置600は、図3および図4に示すように、下端がブッシュ212に取付けられるとともにスピンドル300が往復移動する空間を有するシリンダ610と、このシリンダ610内を、軸方向に移動可能に収納され、シリンダ内を第1シリンダ室611および第2シリンダ室612に区画するピストン620と、スピンドル300の上端部に設けられ、スピンドル300の移動に応じてピストン620を連動させる係合部630と、第1シリンダ室611と第2シリンダ室612とを連通して流体が流通可能に設けられた主流路640と、第1シリンダ室611と第2シリンダ室612とを連通し比較的微量の流体が流通可能に設けられた微流路650とから構成されている。
【0030】
シリンダ610は、内壁が高精度に滑らかに仕上げられており、その下端がブッシュ212に螺合されている。すなわち、ブッシュ212の上端側径大部215に形成された押雄ねじと、シリンダ610の下端側開口に形成された雌ねじとが螺合されている。また、シリンダ610の上端にはシリンダキャップ613が嵌められ、シリンダ610の上端側開口が液密に封止されている。
【0031】
ピストン620は、その下端側においてブッシュ212およびスピンドル300との間に第1シリンダ室611を区画形成し、また、ピストン620の上端側においてシリンダキャップ613との間に第2シリンダ室612を区画形成する。
ピストン620は、金属製部材であり、外径がシリンダ610の内径に略等しい円柱形状を有するピストン本体621と、ピストン本体621の上端に設けられた蓋体622とから構成されている。ピストン本体621には、係合穴として、内部に形成された円柱形状の中空室623と、下端面側壁において軸方向に貫通形成され、中空室623および第1シリンダ室611を連通させる第1連通路624と、中空室623の下端側内壁に設けられた弁座625とから構成される。蓋体622は、中空室623の開口を覆って嵌められており、中央において軸方向に貫通され、中空室623および第2シリンダ室612を連通させる第2連通路626が形成されている。
【0032】
係合部630は、中空室623に収納される弁頭631と、第1連通路624に挿通された状態で弁頭631およびスピンドル300上端部を接続する弁棒632とから構成され、軸方向および軸直交方向において中空室623の内壁と弁頭631との間に確保される寸法クリアランス633が設けられている。
弁頭631は、外形寸法が中空室623の内形よりも小さく、かつ、第1、第2連通路624,626よりも大きい円柱形状であり、上端面には、下端側へ向かって切込まれたクロス状の切込溝634が形成されている。切込溝634は、軸中心をクロスの交差点として先端が外周縁に伸び、先端は、側面をも切込んで形成されている。切込溝634の交差点は、ピストン620の第2連通路626に対向するので、弁頭631の上端面が中空室623上端側内壁に当接している状態においても、第2シリンダ室612と中空室623とは連通されている。
【0033】
弁棒632は、弁頭631の上端面が中空室623の上端側内壁に当接している状態で、スピンドル300およびピストン620の間に確保された所定クリアランス635を有する軸方向寸法を持つ。弁棒632には、下端部において刻設された雄ねじ部が形成されており、この雄ねじ部がスピンドル300の雌ねじ部に螺合されることで、係合部630がスピンドル300の上端部に固定される。これより、係合部630は、シリンダ610内を、スピンドル300と一体的に移動する。
寸法クリアランス633は、上記のように、弁頭631が中空室623より小さい外形寸法を有することから確保される。
【0034】
主流路640は、第2シリンダ室612側から、ピストン620の第2連通路626と、弁頭631の切込溝634と、中空室623と、第1連通路624とにより構成されている。
微流路650は、シリンダ610の内壁、および、ピストン620の外周面の間の隙間により構成される。
【0035】
ピストン620および係合部630は、互いの構成が関わり合うことによって、連動手段660と、開閉手段670とを構成している。連動手段660は、スピンドル300に対しピストン620を、スピンドル300の軸方向および軸直交方向に対して寸法クリアランス633を介して連結するとともに、スピンドル300の移動に応じてピストン620を軸方向に往復移動させる。開閉手段670は、スピンドル300の軸方向の往復移動に応じて主流路640を開放・閉塞させる。
【0036】
連動手段660は、ピストン620の中空室623および第1連通路624と、中空室623に収納される弁頭631を有する係合部630とから構成される。
中空室623の内壁と弁頭631との間には寸法クリアランス633が確保され、弁頭631の外形が第1、第2連通路624,626よりも大きいことから、弁頭631は、中空室623に収納された状態で、ピストン620に対し軸方向および軸直交方向に移動することが可能である。つまり、このような構成によって、ピストン620は、スピンドル300に対し、軸方向および軸直交方向に移動可能に連結されている。
また、中空室623の内壁と弁頭631との間には寸法クリアランス633が確保され、かつ、弁棒632の軸方向寸法によって、弁頭631の上端面が中空室623の上端側内壁に当接している状態で、スピンドル300およびピストン620の間に所定クリアランス635が確保されることから、連動手段660は、スピンドル300の軸方向の往復移動に応じて、ピストン620を連動させる。
【0037】
開閉手段670は、係合部630の弁頭631と、ピストン620の中空室623に設けられた弁座625とから構成される。
前述のように、係合部630はスピンドル300と一体的に移動し、また、弁頭631は、中空室623に収納された状態で、ピストン620に対し軸方向および軸直交方向に移動することができる。この弁頭631の軸方向の往復移動によって、弁頭631の下端面は、中空室623の弁座625に対し離間・当接する。
【0038】
このような構成を備える第1実施形態の動作について説明する。まず、図3に示すように、スピンドル300が上端側に移動する場合について説明する。
スピンドル300が上端側に移動すると、まず、開閉手段670において、弁頭631も中空室623に対し上端側へ移動するので、弁頭631の下端面は弁座625から離間する。このとき、中空室623と第1連通路624は連通しており、また、弁頭631の上端面が中空室623の上端側内壁に当接している状態でも、弁頭631の切込溝634によって、中空室623と第2連通路626は連通している。つまり、スピンドル300が上端側へ移動すると、開閉手段670によって主流路640は開放される。
同時に、連動手段660において、弁頭631の上端面が中空室623の上端側内壁に当接する。このとき、寸法クリアランス633によって、中空室623の下端側内壁には、弁頭631は接触していない。また、所定クリアランス635によって、ピストン620の下端側外壁に、スピンドル300の上端部は接触していない。ピストン620は、中空室623の上端側内壁に当接した弁頭631に押上げられることで、スピンドル300とともに上端側へ移動される。
【0039】
このとき、第2シリンダ室612には正の圧力が生じる(なお、第1シリンダ室611には負の圧力が生じる)。このとき、第1シリンダ室611と第2シリンダ室612とは、微流路650に加えて主流路640により連通されているので、微流路650および主流路640を通って第2シリンダ室612から第1シリンダ室611に向けて空気(流体)が流入する。すると、第2シリンダ室612の正圧の発生(および第1シリンダ室611の負圧の発生)が所定のレベル以下に抑えられる。
これにより、スピンドル300とともにピストン620が大きな抵抗を受けずにシリンダ610内を上端側に移動する。
【0040】
次に、図4に示すように、スピンドル300が降下する場合について説明する。
例えばコイルバネ440(図2参照)の付勢力およびスピンドル300の自重によってスピンドル300が下端側に移動すると、まず、開閉手段670において、弁頭631も中空室623に対し下端側へ移動するので、弁頭631の下端面が弁座625に当接する。弁頭631が弁座625に当接することによって、中空室623と第1連通路624が遮断される。つまり、スピンドル300が下端側へ移動すると、開閉手段670によって主流路640は閉塞される。
同時に、連動手段660において、弁頭631の下端面が中空室623の弁座625に当接する。このとき、寸法クリアランス633によって、中空室623の上端側内壁には、弁頭631は接触していない。ピストン620は、中空室623の弁座625に当接した弁頭631に引下げられることで、スピンドル300とともに下端側へ移動される。
【0041】
このとき、第2シリンダ室612には負の圧力が生じる(なお、第1シリンダ室611には正の圧力が生じる)。
第1シリンダ室611と第2シリンダ室612とは微流路650により連通されているので、微流路650を通って気体(流体)が第1シリンダ室611から第2シリンダ室612に流入する。
ここで、微流路650による流量が微小であるので、第2シリンダ室612の負圧はわずかずつしか緩衝されず、その結果、第2シリンダ室612の負圧によってピストン620の降下速度が減速(制動)される。そして、ピストン620の降下速度が制動されることによりスピンドル300の降下速度が制動される。
【0042】
第1実施形態によれば、次のような効果を期待することができる。
(1)ピストン620は、シリンダ610内を軸方向に移動可能であり、ピストン620とスピンドル300とが、軸方向に対して寸法クリアランス633を介して連結されていることから、スピンドル300が上端側へ移動すると、係合部630の弁頭631が、中空室623の上端側内壁に当接する。そして、ピストン300は、上端側内壁に当接した弁頭631に押し上げられることで、上端側へ移動される。一方、スピンドル300が下端側へ移動すると、弁頭631が中空室623の下端側内壁に当接する。そして、ピストン620は、下端面側壁部に当接した弁頭631に引下げられることで、下端側へ移動される。
このように、スピンドル300の移動に応じて、ピストン620は、移動する方向側端部に力を加えられて移動されることから、ピストン620のフローティングのぶれが小さくなり、ピストン620の上端部外面がシリンダ610の内壁に引っ掛かるなどの恐れが小さくなる。このことから、スピンドル300の操作性が良くなり、また、制動装置の耐久性が向上する。
【0043】
(2)ピストン620は、シリンダ610内において、軸方向に移動可能であり、かつ、シリンダ610内を第1シリンダ室611および第2シリンダ室612に区画する。このことから、ピストン620外面とシリンダ610の内壁との間には、第1シリンダ室611および第2シリンダ室612を連通させる隙間が存在し、シリンダ610内の空気は、この隙間を通って、第1シリンダ室611および第2シリンダ室612を移動することができる。このことから、シリンダ610内の空気は、ピストン620およびスピンドル300の移動に応じて、第1シリンダ室611と第2シリンダ室612とを移動することができるので、スピンドル300は、制動された状態で移動することができる。
【0044】
(3)中空室623に収納された弁頭631は、寸法外形が中空室623の内形より小さく、弁棒632は、弁頭631およびスピンドル300を接続することから、連動手段660は、比較的簡単な構成によって、スピンドル300とピストン620とを、軸方向および軸直交方向に対し寸法クリアランス633を介した状態で連結させることができる。
(4)弁棒632は、弁頭631が中空室623の上端側内壁に当接している状態で、スピンドル300とピストン620との間に所定クリアランス635を確保する長さを有することから、スピンドル300がどちらの方向に移動しても、ピストン620の下端側外面にスピンドル300が接触することはない。つまり、ピストン620が移動する際には、ピストン620は、弁頭631から中空室623の両端内壁のいずれか一方に力が加えられ、他の部分に移動のための力を加えられることはない。これより、ピストン620のフローティングを妨げることはない。
【0045】
(5)スピンドル300が上端側へ移動する際には主流路640が開放され、スピンドル300が下端側へ移動するときには、弁頭631により主流路640が閉塞される。従って、スピンドル300が下端側に移動するときにのみ制動効果が得られ、スピンドル300が上端側へ移動する際には制動効果が生じないようにできる。これより、スピンドル300が下端側へ急激に落下して被測定物(不図示)に測定子310が激突するなどの不都合を防止できる一方、スピンドル300を上端側へ容易に持ち上げることができる。
【0046】
(6)第2シリンダ室612のみがピストン620により略液密に区画されればよいので、第1シリンダ室611は開放されていてもよい。従って、従来に比べて第1シリンダ室611を封止する工程も必要ない。その結果、組み立て工程が簡略化されて、製造効率を向上させることができる。
(7)弁座625に当接した弁頭631が、弁棒632を介してスピンドル300とともに下端側へ移動すると、弁頭631と弁座625の当接により主流路640が強く閉塞される。従って、スピンドル300が下端側へ移動する際には主流路640が完全に閉じられ、第2シリンダ室612の(微流路650を除いた)気密性が高められる。これより、スピンドル300が下端側に移動する際に、スピンドル300に制動力を確実に作用させることができる。
【0047】
(8)弁頭631は、弁棒632を介してスピンドル300とともに下端側に移動される。このとき、弁頭631と弁座625との当接によりピストン620もスピンドル300とともに下端側に引下げられる。よって、スピンドル300とピストン620とを係合させる手段を別途設ける必要がないので、構成を簡弁にできる。
(9)弁棒632によってスピンドル300と弁頭631とが一体的に移動するので、開閉手段670の開閉動作をスピンドル300の移動に連動させることができる。
【0048】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態のダイヤルゲージ100は、図5に示すような構成を備えていてもよい。
図5に示すダイヤルゲージ100は、第1実施形態に同様であるが、リフター部900が付設されている点に特徴を有する。
リフター部900は、軸体910と、外筒部920とを備えている。軸体910は、シリンダ610の上端に形成された開口からシリンダ610内に挿通された状態で、下端が弁頭631に螺合され、上端はシリンダ610の外部に突き出ている。
外筒部920は、軸体910の上端に取付けられるとともにシリンダ610の外側を覆うようにシリンダ610に被せられている。また、シリンダキャップ613は外されている。
【0049】
このような構成において、リフター部900の外筒部920を上端側へ引き上げると、軸体910とともに弁頭631が上端側へ引き上げられる。さらに、弁頭631とともに弁棒632が引き上げられると、弁棒632を介してスピンドル300が引き上げられ、スピンドル300の上端によりピストン620が押し上げられる。
一方、コイルバネ440(図2参照)によりスピンドル300は下端側に向けて付勢されているところ、スピンドル300が下端側へ移動する際の動作については第1実施形態と同様である。
【0050】
このような構成によれば、リフター部900によりスピンドル300を上端側に引き上げる操作を行うことができる。例えば、穴の深さを測定する場合などにスピンドル300の下端側を手で持つことが不可能な場合でもリフター部900によりスピンドル300を上端側に引き上げることができる。また、リフター部900を設けるにあって、第1実施形態の構成からシリンダキャップ613を外してリフター部900を弁頭631に取付けるだけでよいので、リフター部900の取付けが非常に簡便である。
【0051】
なお、リフター部900の外筒部920とシリンダ610との隙間Dは特に限定されないが、外筒部920とシリンダ610との隙間Dは狭くすることが望ましい。外筒部920とシリンダ610との隙間Dが小さければ、第2シリンダ室612の気密性が高まり、第2シリンダ室612によってスピンドル300の制動効果が得られる。
リフター部900を付設するにあたっては、例えば、図6に示すように、シリンダ610を外してからリフター部900を設けてもよい。また、リフター部900の形状は特に限定されず、外筒部920を有することなく軸体910のみで構成されていてもよい。
【0052】
<第2実施形態>
図7および図8に、本発明の第2実施形態を示す。図7は、第2実施形態の測定器において、スピンドルが上端側(他端側)へ移動するときの制動装置を示す断面図、図8は、スピンドルが下端側(他端側)へ移動するときの制動装置を示す断面図である。
第2実施形態の測定器は、第1実施形態と同様にダイヤルゲージ100である。第2実施形態の制動装置690は、図7および図8に示すように、第1実施形態の制動装置690に対して、ピストン620の蓋体622に第2連通路626が形成されていない点、係合部630の弁頭631に切込溝が形成されていない点、これら2点より主流路が設けられていない点、主流路が設けられていないことから開閉手段が構成されていない点、さらに、シリンダ610の上端において、シリンダキャップではなくシリンダ開閉手段730が設けられている点が異なる。つまり、第1シリンダ室611と第2シリンダ室612は、微流路650のみによって連通されている。
【0053】
シリンダ開閉手段730は、ダイヤルゲージ100の向きに応じて、第2シリンダ室612を外部と連通させることによって、制動装置690の行う制動力を調節する。シリンダ開閉手段730は、隔壁体740と、隔壁体740との間に弁室を区画形成するキャップ760とが設けられている。
隔壁体740はシリンダ610内部を弁室に連通する貫通孔742を有し、隔壁体740は、貫通孔742の上端側開口において径大するテーパ状の弁座741を有する。弁座741にはボール750が着座して、貫通孔742が閉塞される。キャップ760は、弁室と外部とを連通する通気孔761を有する。
【0054】
図7および図8に示すように、ダイヤルゲージ100を横に倒すと、スピンドル300に対して軸方向に働く重力は小さくなり、また、シリンダ開閉手段730のボールは、重力に従って弁座741の内側面側に転がるので、貫通孔742が開放される。すると、貫通孔742および通気孔761によって、第2シリンダ室612と外部とが連通される。
このように、ダイヤルゲージ100を横に倒した状態で測定を行う場合、スピンドル300が上端側へ移動すると、第2シリンダ室612内の空気が、開放された貫通孔742および通気孔761を通って外部に放出されるので、第2シリンダ室612内の圧力増加を抑えることができる。
【0055】
第2実施形態によれば、第1実施形態で期待できる効果に加え、次のような効果を期待することができる。
(10)ダイヤルゲージ100を横に倒しながら測定を行う場合、シリンダ開閉手段730によって、貫通孔742が開放されるので、第1シリンダ室611と外部とが連通する。このことから、第2シリンダ室612内の圧力の増加を抑えることができるので、スピンドル300をスムーズに移動させることができる。つまり、スピンドル300およびピストン620に働く重力が小さくなるのに応じて、貫通孔742を開放してスピンドル300に対する制動力を小さくすることができる。
【0056】
<変形例>
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
図9に示すように、中空室623の下端側内壁の弁座741に沿って、弾性を有するOリング627が配設されていてもよい。このような構成によれば、スピンドル300が下端側へ移動すると、弁頭631の下端面および弁座625がOリング627を挟持することから、主流路640をより確実に封止することができ、空気の漏れを少なくすることができる。これより、第2シリンダ室612の(微流路650を除いた)気密性を高めることができる。
【0057】
また、図9に示すように、ピストン620の第1連通路624において下端へ向かうにつれて外側へ広がるテーパ部628を形成されていてもよい。このような構成によれば、第1連通路624の下端側断面積が大きくなるので、空気が第1連通路624を通過しやすくなる。
シリンダ610内には空気が入っていればよいが、シリンダ610内にオイル等の流体(例えば、粘性流体)を充填してもよい。
ピストン620の材質は、金属に限定されず、例えば、摺動性が高く軽量であるプラスチック等を用いてもよい。
【0058】
主流路640および微流路650としてはどこに形成されていてもよい。
微流路650は、シリンダ610の内壁、および、ピストン620の外周面の間の隙間かにより構成されるとしたが、微流路650としてピストン620を貫通する細孔が形成されてもよく、あるいは、微流路650は、ピストン620の外周面において軸線方向に沿って刻設された数条の溝条により構成されていてもよい。
さらに、シリンダ610の外側に第1シリンダ室611と第2シリンダ室612とを繋ぐ流路(例えば、チューブなど)が付設されていてもよい。そして、主流路には逆止弁が設けられてもよい。
あるいは、弁頭631が弁座625に当接したときに微流路650の隙間が残されることにより微流路650が確保されてもよい。
なお、微流路650と主流路640との面積比は、特に限定されないが、主流路640の方を大きくしておくことが例示される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、ダイヤルゲージ等のスピンドルを備えた測定器において、スピンドルの制動装置として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるダイヤルゲージを示す正面図。
【図2】同上の実施形態においてダイヤルゲージの内部構造を示す図。
【図3】同上の実施形態にかかるスピンドルの制動装置を示す断面図。
【図4】同上の実施形態にかかるスピンドルの制動装置を示す断面図。
【図5】同上の実施形態にかかるスピンドルの制動装置の変形例を示す断面図。
【図6】同上の実施形態にかかるスピンドルの制動装置の変形例を示す断面図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかるスピンドルの制動装置を示す断面図。
【図8】同上の実施形態にかかるスピンドルの制動装置を示す断面図。
【図9】本発明の実施形態にかかるスピンドルの制動装置の変形例を示す断面図。
【図10】従来のスピンドルの制動装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0061】
100…ダイヤルゲージ、200…本体ケース、212…ブッシュ、220…表示部、300…スピンドル、310…測定子、600,690…制動装置、610…シリンダ、611…第1シリンダ室、612…第2シリンダ室、620…ピストン、623…中空室、624…連通路、625…弁座、626…連通路、627…リング、630…係合部、631…弁頭、632…弁棒、633…寸法クリアランス、635…所定クリアランス、640…主流路、650…微流路、660…連動手段、670…開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状のブッシュに挿通された状態で軸方向に往復移動可能に設けられたスピンドルの移動速度を制動する制動装置であって、
一端が前記ブッシュに取付けられるとともに前記スピンドルが往復移動する空間を有するシリンダと、
このシリンダ内を、軸方向に移動可能に収納され、シリンダ内を第1シリンダ室および第2シリンダ室に区画するピストンと、
前記スピンドルに対し前記ピストンを、軸方向および軸直交方向に対し一定のクリアランスを介して連結する連動手段と備え、
前記連動手段は、前記ピストンの両端面側壁部を残して前記ピストンの内部に形成された係合穴と、前記スピンドルの他端に設けられ、前記係合穴内に係合収納される係合部とを含み構成され、前記スピンドルが一端側へ移動する際には、前記係合部が前記係合穴の一端側内壁に当接し、かつ、前記スピンドルが他端側へ移動する際には、前記係合部が前記係合穴の他端側内壁に当接するように、前記係合穴と前記係合部とが形成されている
ことを特徴とするスピンドルの制動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスピンドルの制動装置であって、
前記係合穴は、前記ピストンに形成された中空室と、前記ピストンの他端面側壁部に形成され前記中空室と前記第1シリンダ室内とを連通させる第1連通路とを含み構成され、
前記係合部は、前記中空室に収納され、外形寸法が前記中空室の内形よりも小さく、かつ、前記第1連通路よりも大きい弁頭と、前記第1連通路に挿通された状態で前記弁頭および前記スピンドルを接続する弁棒とから構成され、
前記弁棒は、前記弁頭が前記中空室の他端側内壁に当接している状態で、前記スピンドルと前記ピストンとの間に所定クリアランスを確保する長さを有する
ことを特徴とするスピンドルの制動装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスピンドルの制御装置であって、
前記第1シリンダ室と前記第2シリンダ室とを連通して流体が流通可能に設けられた主
流路と、
前記第1シリンダ室と前記第2シリンダ室とを連通し比較的微量の流体が流通可能に設
けられた微流路と、
前記スピンドルが一端側へ移動する際に前記主流路を閉塞し、かつ、前記スピンドルが他端側へ移動する際に前記主流路を開放する開閉手段とを備え、
前記係合部には、前記ピストンの一端面側壁部に形成され前記中空室と前記第2シリンダ内とを連通させる第2連通路が設けられ、
前記主流路は、前記中空室と、前記第1、第2連通路とから構成され、
前記開閉手段は、前記係合穴に設けられた弁座と、前記係合部に設けられるとともに、前記弁座を間にして前記スピンドルとは反対側から前記弁座に接離する弁頭とから構成されている
ことを特徴とするスピンドルの制動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のスピンドルの制動装置において、
前記弁座に配設され、前記弁頭が前記弁座に当接した際に前記弁座および前記弁頭に挟
持されて前記弁座と前記弁頭との間を封止する弾性部材とを備えている
ことを特徴とするスピンドルの制動装置。
【請求項5】
本体ケースと、
前記本体ケースを貫通して軸方向に移動自在に設けられたスピンドルと、
前記本体ケースに設けられ前記スピンドルをガイドするブッシュと、
前記スピンドルの変位量を表示する表示手段と、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスピンドルの制動装置とを備えている
ことを特徴とする測定器。
【請求項6】
本体ケースと、
前記本体ケースを貫通して軸方向に移動自在に設けられたスピンドルと、
前記本体ケースに設けられ前記スピンドルをガイドするブッシュと、
前記スピンドルの変位量を表示する表示手段と、
請求項3または請求項4に記載のスピンドルの制動装置と、
一端が前記弁頭に取付けられるとともにシリンダの他端側開口から他端が突出する状
態に設けられたリフター部とを備えている
ことを特徴とする測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−177681(P2006−177681A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368443(P2004−368443)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】