説明

スラブの表面欠陥検出方法およびスラブ表面欠陥検出装置

【課題】スラブに発生したブローホールや割れ等の表面欠陥を精度よく検出することのできるスラブ表面欠陥検出方法を提供する。
【解決手段】スラブ6の表面にレーザ光8を照射して計測したスラブ表面の凹凸状態のデータとスラブ6の表面輝度分布とからスラブ6に発生した表面欠陥を検出するスラブ表面欠陥検出方法であって、凹凸状態のデータが欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置を抽出すると共に、表面輝度分布の中で欠陥と判断されるスラブの低輝度表面部の位置と大きさを算出し、レーザ光非反射位置のうちスラブ6の幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置とスラブ6の低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、スラブ6の低輝度表面部の大きさを欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブの表面欠陥を検出する方法およびその装置に関し、特に、溶鋼を連続鋳造して得られたスラブに手入れを要する表面欠陥が発生しているか否かを検査するときに好適に用いられるスラブ表面欠陥検出方法およびスラブ表面欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、転炉などで精錬された溶鋼は、図4に示されるように、取鍋(レードル)1を経てダンディッシュ2からモールド(鋳型)3に鋳込まれる。そして、モールド3に鋳込まれた溶鋼はモールド3の下方に配置された多数のピンチローラ4の間を通過する間に表層部のみが凝固した連鋳材となり、さらに不図示の冷却水散水装置から散水される冷却水により冷却されて内部まで固化した後、切断装置5により所定の長さに切断されてスラブ6となる。
【0003】
上記のようにして得られるスラブには、種々の表面欠陥が発生する。たとえば、溶鋼の鋳込み時に気泡が巻き込まれると、直径が0.3〜4mm程度のブローホールと称される表面欠陥がスラブ表面に発生する。また、溶鋼の凝固時に大きな曲げ応力が加わると、割れと称される表面欠陥がスラブ表面に発生する。さらに、溶鋼の鋳込み時に連続鋳造用パウダーが塊となって巻き込まれると、ブローホールや割れよりも面積の大きいノロ噛みと称される表面欠陥がスラブ表面に発生する。これらの表面欠陥はいずれもスラブの表面品質を低下させる要因となるため、溶鋼を連続鋳造して得られたスラブに手入れを要する表面欠陥が生じているか否かを検査する必要がある。
【0004】
溶鋼を連続鋳造して得られたスラブに表面欠陥が生じているか否かを検査する方法としては、スラブ表面上の所定領域を双方向から照射する一対の照明装置をスラブ移動方向に沿って互いに対向する如く配置すると共に、照明装置からの入射によりスラブ表面で反射する照明光をスラブ表面に対しほぼ垂直方向に受光してスラブ表面を撮像する撮像装置を上記一対の照明装置の間に配置して表面欠陥の有無を検出する方法(特許文献1参照)や、一対の冷却ドラムの間に形成された湯溜り部に供給された溶鋼を冷却ドラムを介して抜熱することによってスラブを製造する際、冷却ドラムを通過した直後のスラブ表面の凹み深さをレーザ距離計によって検出して割れの有無を検出する方法(特許文献2参照)などが知られている。
【特許文献1】特開2004−219358号公報
【特許文献2】特開平2−224851号公報(第2頁左下欄2行目〜第2頁右下欄13行目)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、撮像装置で得られたスラブ表面画像の濃淡からスラブに発生した表面欠陥を検出しているため、検出した表面欠陥がノロ噛みであるのか、それともノロ噛み以外の表面欠陥(例えばブローホール、割れ等)であるのかを判別することができないという問題点がある。
一方、特許文献2に開示された方法は、レーザ距離計により計測された表面凹みの深さから表面欠陥の有無を検査しているため、特許文献1に開示された方法と同様に、スラブに発生した表面欠陥がブローホールや割れであるのか、それともノロ噛みであるのかを判別することができないという問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、スラブに発生したブローホールや割れ等の表面欠陥を精度よく検出することのできるスラブ表面欠陥検出方法およびスラブ表面欠陥検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、スラブの表面にレーザ光を照射して計測したスラブ表面の凹凸状態のデータと前記スラブの表面輝度分布とから前記スラブに発生した表面欠陥を検出するスラブ表面欠陥検出方法であって、前記凹凸状態のデータが欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置を抽出すると共に、前記表面輝度分布の中で欠陥と判断されるスラブの低輝度表面部の位置と大きさを算出し、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置と前記スラブの低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、前記スラブの低輝度表面部の大きさを前記欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載のスラブの表面欠陥検出方法であって、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が予め定めた閾値より小さい場合に表面欠陥をブローホールと認定し、前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が前記閾値以上の場合に表面欠陥を割れと認定することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、スラブの表面にレーザ光を照射して計測したスラブ表面の凹凸状態のデータと前記スラブの表面輝度分布とから前記スラブに発生した表面欠陥を検出するスラブ表面欠陥検出装置であって、前記スラブの表面で反射したレーザ光を受光するレーザ光受光手段と、該レーザ光受光手段で受光したレーザ光を基に前記スラブ表面の凹凸状態のデータを計測する表面凹凸状態計測手段と、該表面凹凸状態計測手段により計測された凹凸状態のデータが欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置を抽出するレーザ光非反射位置抽出手段と、前記スラブの表面を撮像して前記スラブの表面輝度情報を得る撮像手段と、該撮像手段から出力された画像信号を処理して前記スラブの表面輝度分布を取得する画像信号処理手段と、該画像信号処理手段により取得された表面輝度分布のうち欠陥と判断されるスラブの低輝度表面部を検出する低輝度表面部検出手段と、前記レーザ光非反射位置抽出手段により抽出されたレーザ光非反射位置と前記低輝度表面部検出手段により検出された低輝度表面部とから前記表面欠陥の有無を判定する表面欠陥判定手段とを備え、前記表面欠陥判定手段は、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置と前記低輝度表面部検出手段により検出された低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、前記スラブの低輝度表面部の大きさを前記欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3記載のスラブの表面欠陥検出装置であって、前記表面欠陥判定手段が、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が予め定めた閾値より小さい場合に表面欠陥をブローホールと認定し、前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が前記閾値以上の場合に表面欠陥を割れと認定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項3の発明によると、レーザ光受光手段から出力された信号のみを基に表面欠陥の有無や種類を特定した場合や、撮像装置から出力された画像信号のみを基に表面欠陥の有無や種類を特定した場合のように、スラブの表面にブローホールや割れ等の表面欠陥が発生していると誤って判定してしまう可能性が少なくなり、表面欠陥の検出精度が向上するので、スラブに発生したブローホールや割れ等の表面欠陥を精度よく検出することができる。
【0011】
請求項2及び請求項4の発明によると、表面欠陥の発生位置と判定されたレーザ光非反射位置の連続する数を予め定めた閾値と比較し、表面欠陥の発生位置と判定されたレーザ光非反射位置の連続する数が閾値より小さい場合には表面欠陥をブローホールと認定し、表面欠陥の発生位置と判定されたレーザ光非反射位置の連続する数が閾値以上の場合には表面欠陥を割れと認定することで、スラブに発生したブローホールや割れをより高い精度で検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図1〜図3を参照して、本発明に係るスラブ表面欠陥検出方法とスラブ表面欠陥検出装置について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るスラブ表面欠陥検出装置の概略構成を示す図であり、図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るスラブ表面欠陥検出装置は、レーザ投光器7a,7b、レーザ光受光手段としてのレーザ受光器9、表面凹凸状態計測手段としての表面凹凸状態計測回路10、レーザ光非反射位置抽出手段としてのレーザ光非反射位置抽出回路11、スラブ表面照明手段としての照明装置12a,12b、撮像手段としてのCCDカメラ13a,13b、画像信号処理手段としての画像信号処理装置14、低輝度表面部検出手段としての低輝度表面部検出回路15、および表面欠陥判定手段としての判定装置16を備えている。
【0013】
レーザ投光器7a,7bは検査対象物であるスラブ6の表面に例えば0.1〜0.2mmのビーム幅を有するスリット状のレーザ光8を投光するものであり、これらのレーザ投光器7a,7bはスラブ6の幅方向に一定間隔で配列されている。また、レーザ投光器7a,7bはスラブ6からの輻射熱が届かない位置(例えば、スラブ表面から上方に2500mm以上離れた位置)に配置されており、従って、スラブ6の表面にはレーザ投光器7a,7bからのレーザ光8がほぼ真上から投光されるようになっている。なお、レーザ投光器7a,7bからスラブ6の表面に投光されたレーザ光はスラブ6の表面で反射した後、レーザ受光器9に入射するようになっている。
【0014】
レーザ受光器9はスラブ6の表面で反射したレーザ光8を受光するものであり、このレーザ受光器9から出力された信号は、スラブ6の表面凹凸情報として表面凹凸状態計測回路10に供給されるようになっている。また、レーザ受光器9はレーザ投光器7a,7bからスラブ6の表面に投光されたレーザ光8と所定の角度(例えば30度)となるように配置されている。
【0015】
表面凹凸状態計測回路10はレーザ受光器9で受光したレーザ光8を基にスラブ表面の凹凸状態のデータを計測するものであり、この表面凹凸状態計測回路10から出力された信号は、スラブ表面の凹凸状態のデータとしてレーザ光非反射位置抽出回路11に供給されるようになっている。
レーザ光非反射位置抽出回路11は表面凹凸状態計測回路10により計測されたスラブ表面の凹凸状態のデータの中でレーザ光8の反射光量が欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置を抽出するものであり、このレーザ光非反射位置抽出回路11から出力された信号は、スラブ表面の欠陥位置情報として判定装置16に供給されるようになっている。
【0016】
照明装置12a,12bはスラブ6の表面に照明光をスラブ6の全幅に亘って照射するものであり、これらの照明装置12a,12bは例えばスラブ6の幅方向に一定間隔で配列された複数個のハロゲンランプから構成されている。また、照明装置12a,12bはスラブ6の長手方向に間隔をおいて配置されており、照明装置12aと照明装置12bとの間には、後述するCCDカメラ13a,13bを配置するための空間部が形成されている。
【0017】
CCDカメラ13a,13bは照明装置12a,12bからスラブ表面に照射された照明光の照射領域をスラブ6の表面に対してほぼ垂直な方向から撮像するものである。これらのCCDカメラ13a,13bとして例えばラインCCDカメラを用いることで、スラブ表面の凹凸状態を計測するときよりも長手方向の分解能が5〜10倍程度細かくなる。
画像信号処理装置14はCCDカメラ13a,13bから出力された画像信号を処理してスラブ6の表面輝度分布を取得するものであり、この画像信号処理装置14から出力された信号は低輝度表面部検出回路15に供給されるようになっている。
【0018】
低輝度表面部検出回路15は画像信号処理装置14により得られた表面輝度分布のうち予め設定した閾値より低いスラブ6の低輝度表面部(欠陥と判断される低輝度表面部)を検出するものであり、この低輝度表面部検出回路15から出力された信号は判定装置16に供給されるようになっている。
判定装置16はレーザ光非反射位置抽出回路11により抽出されたレーザ光非反射位置と低輝度表面部検出回路15により検出されたスラブ6の低輝度表面部に基づいて表面欠陥の有無、発生位置、種類、大きさ等を判定するものであり、比較部18および判定部19を有している。
【0019】
比較部18はレーザ光非反射位置抽出回路11により抽出されたレーザ光非反射位置のうちスラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置と低輝度表面部検出回路15により検出された低輝度表面部の位置とを比較するものであり、この比較部18の比較結果は判定部19に供給されるようになっている。
判定部19は比較部18の比較結果を基に表面欠陥の有無、発生位置、種類、大きさ等を判定するものであり、レーザ光非反射位置抽出回路11により抽出されたレーザ光非反射位置のうちスラブ6の幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置と低輝度表面部検出回路15により検出された低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、欠陥位置と判定された低輝度表面部の大きさを欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定するように構成されている。
【0020】
また、判定部19はレーザ光非反射位置抽出回路11により抽出されたレーザ光非反射位置のうちスラブ6の幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が予め定めた閾値より小さい場合に表面欠陥をブローホールと認定し、スラブ6の幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が閾値以上の場合に表面欠陥を割れと認定するように構成されている。
【0021】
レーザ投光器7aからのレーザ光8がスラブ6の表面で反射したときの状態とスラブ6の表面に発生したブローホールや割れで反射したときの状態を図2に示す。図2(a)に示されるように、レーザ投光器7aからのレーザ光8がスラブ6の表面で反射すると、スラブ6の表面で反射したレーザ光8はレーザ受光器9に入射する。一方、レーザ投光器7aからのレーザ光8がスラブ6の表面に発生したブローホールや割れで反射すると、図2(b)に示されるように、ブローホールや割れで反射したレーザ光8はレーザ受光器9に入射しなくなり、これにより、レーザ受光器9の出力レベルは欠値となる。
【0022】
したがって、上述のように、レーザ投光器7a,7bからスラブ6の表面に照射されたレーザ光8の反射状態が欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置をレーザ光非反射位置抽出回路11により抽出し、抽出されたレーザ光非反射位置がスラブ6の幅方向または長手方向に複数連続して存在するときにレーザ光非反射位置を表面欠陥の発生位置であると判定装置16により判定することで、スラブ6の表面にノロ噛み以外の表面欠陥、つまりスラブ6の表面にブローホールや割れが発生したか否かを精度よく検出することができる。
【0023】
また、上述のように、表面凹凸状態計測回路10により計測されたスラブ表面の凹凸状態のデータの中でレーザ光8の反射光量が欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置をレーザ光非反射位置抽出回路11により抽出すると共に、画像信号処理装置14により得られたスラブ6の表面輝度分布の中で欠陥と判断される低輝度表面部の位置と大きさを算出し、抽出されたレーザ光非反射位置のうちスラブ6の幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置とスラブ6の低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、スラブ6の低輝度表面部の大きさを欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定することで、スラブ6に発生したブローホールや割れを精度よく検出することが可能となる。
【0024】
なお、レーザ光非反射位置が複数連続した場合のみを欠陥発生と判定し、一点のみ存在する場合は欠陥発生と判定しないのは、欠陥以外の何らかの理由、例えばレーザ光経路の途中の塵等でレーザ光が吸収された場合等の過検出を防止するためである。
よって、レーザ受光器9から出力された信号のみを基に表面欠陥の有無や種類、大きさ等を特定した場合や、CCDカメラ13a,13bから出力された画像信号のみを基に表面欠陥の有無や種類、大きさ等を特定した場合のように、スラブの表面にブローホールや割れ等の表面欠陥が発生していると誤って判定してしまう可能性が少なくなり、表面欠陥の検出精度が向上するので、スラブ6に発生したブローホールや割れ等の表面欠陥を精度よく検出することができる。
【0025】
また、上述のように、照明装置12a,12bからスラブ表面に照射された照明光の照射領域をCCDカメラ13a,13bによりスラブ6の表面に対してほぼ垂直な方向から撮像したことで、スラブ6の表面に発生した表面欠陥の大きさ(例えばブローホールの大きさ)を精度よく検出することができる。
さらに、上述のように、表面欠陥の発生位置と判定されたレーザ光非反射位置の連続する数を予め定めた閾値と比較し、表面欠陥の発生位置と判定されたレーザ光非反射位置の連続する数が閾値より小さい場合に表面欠陥をブローホールと認定し、表面欠陥の発生位置と判定されたレーザ光非反射位置の連続する数が閾値以上の場合に表面欠陥を割れと認定することで、スラブ6の表面に発生したブローホールや割れをより高い精度で検出することができる。
【0026】
上述した本発明の一実施形態では、レーザ投光器からのレーザ光をスラブの表面にほぼ真上から投光するようにしたが、これに限られるものではなく、レーザ投光器からのレーザ光をスラブの表面に斜め上方から投光するようにしてもよい。ただし、より高い精度で表面欠陥を検出するためには、レーザ投光器からのレーザ光をスラブの表面にほぼ真上から投光することが好ましい。
【0027】
また、上述した本発明の一実施形態では、スラブの幅方向に配列された二つのレーザ投光器からスラブの表面にレーザ光を投光するようにしたが、これに限られるものではなく、スラブの幅寸法に応じてレーザ投光器の個数を適宜設定すればよい。
また、上述した本発明の一実施形態では、スラブの表面で反射したレーザ光を1個のレーザ受光器で受光するようにしたが、これに限られるものではなく、レーザ光受光手段としてのレーザ受光器の個数は複数個であってもよい。
【0028】
また、上述した本発明の一実施形態では、レーザ投光器とレーザ受光器をスラブの表面に照射されたレーザ光に対し所定の角度となるように配置したが、レーザ投光器とレーザ受光器の角度は検出する必要のあるブローホールの直径や深さ、割れの深さに応じて適宜設定すればよい。
また、上述した本発明の一実施形態のように、スラブの幅方向に長いスリット状のレーザ光をスラブの表面に照射しながらスラブを長手方向に移動させてスラブ表面の凹凸状態のデータを計測してもよいし、スラブ表面に照射されたスリット状あるいはスポット状のレーザ光をスラブの幅方向や長手方向に走査してスラブ表面の凹凸状態のデータを計測してもよい。
【0029】
また、上述した本発明の一実施形態では、スラブの表面に照明光を二台の照明装置から照射したが、照明装置の台数は特に限定されるものではなく、例えば、一台の照明装置からスラブの表面に照明光を照射するようにしてもよいし、三台以上の照明装置からスラブの表面に照明光を照射するようにしてもよい。なお、照明装置の光源としてはハロゲンランプに限られず、通常用いられる光源であれば本発明に用いることができる。
【0030】
さらに、上述した本発明の一実施形態では、スラブの表面に照射された照明光の照射領域を二台のCCDカメラにより撮像したが、撮像手段としてのCCDカメラの台数は特に限定されるものではなく、例えば、照明光の照射領域を一台のCCDカメラにより撮像するようにしてもよいし、照明光の照射領域を三台以上のCCDカメラにより撮像するようにしてもよい。また、撮像手段もCCDカメラに限られず、スラブ表面の輝度分布を取得できるものであれば本発明に用いることができる。
上述した本発明の一実施形態では、スラブの上面側における表面欠陥の検出について記載したが、本発明はスラブの下面側における表面欠陥の検出についても同様に適用することができる。さらに、本発明の構成を、スラブの上面側及び下面側に設けることで、スラブの上下面の欠陥の検出が同時に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係るスラブ表面欠陥検出装置の概略構成を示す図である。
【図2】レーザ投光器からのレーザ光がスラブの表面に発生したノロ噛みで反射したときの状態とスラブの表面に発生したブローホールや割れで反射したときの状態を模式的に示す図である。
【図3】溶鋼の連続鋳造設備の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 取鍋
2 ダンディッシュ
3 モールド(鋳型)
4 ピンチローラ
5 切断装置
6 スラブ
7a,7b レーザ投光器
8 レーザ光
9 レーザ受光器(レーザ光受光手段)
10 表面凹凸状態計測回路(表面凹凸状態計測手段)
11 レーザ光非反射位置抽出回路(レーザ光非反射位置抽出手段)
12a,12b 照明装置
13a,13b CCDカメラ(撮像手段)
14 画像信号処理装置(画像信号処理手段)
15 低輝度表面部検出回路(低輝度表面部検出手段)
16 判定装置(表面欠陥判定手段)
18 比較部
19 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブの表面にレーザ光を照射して計測したスラブ表面の凹凸状態のデータと前記スラブの表面輝度分布とから前記スラブに発生した表面欠陥を検出するスラブ表面欠陥検出方法であって、
前記凹凸状態のデータが欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置を抽出すると共に、前記表面輝度分布の中で欠陥と判断されるスラブの低輝度表面部の位置と大きさを算出し、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置と前記スラブの低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、前記スラブの低輝度表面部の大きさを前記欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定することを特徴とするスラブ表面欠陥検出方法。
【請求項2】
前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が予め定めた閾値より小さい場合に表面欠陥をブローホールと認定し、前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が前記閾値以上の場合に表面欠陥を割れと認定することを特徴とする請求項1記載のスラブの表面欠陥検出方法。
【請求項3】
スラブの表面にレーザ光を照射して計測したスラブ表面の凹凸状態のデータと前記スラブの表面輝度分布とから前記スラブに発生した表面欠陥を検出するスラブ表面欠陥検出装置であって、
前記スラブの表面で反射したレーザ光を受光するレーザ光受光手段と、
該レーザ光受光手段で受光したレーザ光を基に前記スラブ表面の凹凸状態のデータを計測する表面凹凸状態計測手段と、
該表面凹凸状態計測手段により計測された凹凸状態のデータが欠値となるスラブ表面のレーザ光非反射位置を抽出するレーザ光非反射位置抽出手段と、
前記スラブの表面を撮像して前記スラブの表面輝度情報を得る撮像手段と、
該撮像手段から出力された画像信号を処理して前記スラブの表面輝度分布を取得する画像信号処理手段と、
該画像信号処理手段により取得された表面輝度分布のうち欠陥と判断されるスラブの低輝度表面部を検出する低輝度表面部検出手段と、
前記レーザ光非反射位置抽出手段により抽出されたレーザ光非反射位置と前記低輝度表面部検出手段により検出された低輝度表面部とから前記表面欠陥の有無を判定する表面欠陥判定手段とを備え、
前記表面欠陥判定手段は、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置と前記低輝度表面部検出手段により検出された低輝度表面部の位置とが一致したときに当該位置を欠陥位置と判定すると共に、前記スラブの低輝度表面部の大きさを前記欠陥位置に発生した表面欠陥の大きさと判定することを特徴とするスラブ表面欠陥検出装置。
【請求項4】
前記表面欠陥判定手段は、前記レーザ光非反射位置のうち前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が予め定めた閾値より小さい場合に表面欠陥をブローホールと認定し、前記スラブの幅方向または長手方向に複数連続して存在するレーザ光非反射位置の連続する数が前記閾値以上の場合に表面欠陥を割れと認定することを特徴とする請求項3記載のスラブの表面欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−117282(P2010−117282A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291552(P2008−291552)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】