説明

ズームレンズ及び撮像装置

【課題】 デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のデジタル入出力機器の撮影光学系に好適なコンパクトで10倍程度の高変倍比のズームレンズ及び該ズームレンズを使用した撮像装置を提供することを課題とする。
【解決手段】複数のレンズ群GR1、GR2、GR3、GR4、GR5から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズ1であって、前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群(第5レンズ群GR5)が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子L14を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なズームレンズ及び撮像装置に関する。詳しくは、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のデジタル入出力機器の撮影光学系に好適なコンパクトで高変倍比を有するズームレンズ及びこれを用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置が普及しつつある。このようなデジタルスチルカメラの普及に伴い一層の高画質化が求められており、特に画素数の多いデジタルスチルカメラ等においては、画素数の多い固体撮像素子に対応した結像性能に優れた撮影用レンズ、特にズームレンズが求められている。また、その上で、小型化とズームの高変倍比化への要求も強く、コンパクトで変倍比の大きいズームレンズが求められている。
【0003】
小型化を実現するために、レンズ間にプリズムを挿入することで光学系を折り曲げ、入射光軸方向での小型化を図ることが行われている。例えば、特許文献1に記載の光学系では、正負正正、4群ズーム構成においてプリズムを用いて光軸を折り曲げることで、入射光軸方向での小型化を図ったズームレンズが提案されている。
【0004】
また、一方では、レンズ群中の一部の光学素子を光軸に垂直に移動させることで、手ブレなどの撮像装置の振動に起因する撮影画像の像ブレを光学的に補正する方法が提案されている。例えば、特許文献2には、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群で構成されるズームレンズにおいて、第5レンズ群中の正レンズを光軸と垂直な方向に移動させることで、手ブレの補正を行うズームレンズが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−248318号公報
【特許文献2】特開2006−71993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のズームレンズでは、前玉径及び反射部材が大きく小型化が十分ではない。また、特許文献2に記載のズームレンズでは、光軸上を移動するレンズ群の変倍作用が小さいためズーム変倍比が小さい。また、特許文献2に記載のズームレンズでは、最も像側に配置したレンズをブレ補正レンズとしてあり、ズーム比が大きくなるに従い、望遠端において光軸と垂直な方向に移動させるブレ補正レンズの移動量が大きくなり、径方向への光学系の大型化を招く。これは、光軸を折り曲げることによって、入射光軸方向での小型化、いわゆる薄型化を図りながら、ブレ補正レンズの駆動部の部分で径が大きくなって、結局、薄型化を阻害することになる。
【0007】
本発明は、上記した問題に鑑みなされたものであり、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のデジタル入出力機器の撮影光学系に好適なコンパクトで10倍程度の高変倍比のズームレンズ及び該ズームレンズを使用した撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるズームレンズは、複数のレンズ群から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する。
【0009】
また、本発明の一実施形態による撮像装置は、ズームレンズと、該ズームレンズで形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子を有し、前記ズームレンズは、複数のレンズ群から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、コンパクトに構成することができ、10倍程度の高変倍比を達成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明ズームレンズ及び撮像装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
先ず、ズームレンズについて説明する。
【0013】
本発明ズームレンズは、複数のレンズ群から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する。
【0014】
これによって、全体を小型に構成できると共に、10倍程度の高変倍比を達成する。すなわち、最終レンズ群に含まれる屈折力可変光学素子の屈折力が、複数のレンズ群の光軸上の移動だけでは担いきれない変倍作用を発生させて、高変倍比化を可能にする。さらに、最終レンズ群での変倍は、光学性能への影響が小さく、変倍による収差変動が少ない。
【0015】
従って、性能が十分に評価されている既知のズームレンズの像側に屈折力可変光学素子を含む群を付加することによって、既存の性能をそのままに、変倍比のみを高くすることが可能になり、既得の技術資産(レンズ設計)を活用して容易に高変倍比のズームレンズを得ることが可能になる。
【0016】
前記屈折力可変光学素子としては、例えば、電気毛管現象(エレクトロウェッティング現象)を利用したものが適用可能である。例えば、屈折力が異なり互いに混合することのない導電性又は有極性の2つの液体を密閉容器内に密封し、前記液体間に電圧を印加し得るように構成し、該電圧の印加によって前記2つの液体の界面の曲率半径を変化させて、前記2つの液体の界面を横切って通過する光の屈折方向を変化させるように構成したものがある。
【0017】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1)1.0<βet/βew<2.0
但し、
βew:前記最終レンズ群の広角端での横倍率
βet:前記最終レンズ群の望遠端での横倍率
とする。
【0018】
条件式(1)は最終レンズ群の広角端での横倍率と望遠端での横倍率との比を規定するものである。条件式(1)の下限値を下回ると最終レンズ群での変倍作用が無くなり高倍率化が困難である。条件式(1)の上限値を上回ると、周辺コマ収差や倍率色収差の補正が困難となる。また、Fナンバーを規定する絞りが最終レンズ群よりも物体側に配置されている場合、条件式(1)の上限値を上回ると、望遠端でのFナンバーが大きく(暗く)なりすぎる。
【0019】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、前記複数のレンズ群のうち最も物体側のレンズ群が、変倍中に位置が固定であり、光軸を略90度折り曲げるための反射部材を有することが望ましい。これにより、入射光軸方向での小型化、すなわち、薄型化が可能になる。
【0020】
なお、光軸を折り曲げるための反射部材にプリズムを使用する場合は、屈折率が高い硝材を使うことが望ましい。これによって、反射部材を小型化することが可能になり、ズームレンズ全体の小型化に有利である。
【0021】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、前記最終レンズ群は光軸とほぼ直交する方向に移動することで像をシフトさせるシフトレンズ群を有し、前記屈折力可変光学素子は前記シフトレンズ群より像側に配置され、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)1.0<bbT/bbW<2.0
但し、
bbW:前記シフトレンズ群より像側にあるレンズ群の広角端での横倍率
bbT:前記シフトレンズ群より像側にあるレンズ群の望遠端での横倍率
とする。
【0022】
これによって、シフトレンズ群のシフトによる光学性能への影響を小さくできる。また、シフトレンズ群のシフト量を小さくでき、これによって、シフトレンズ群をシフトさせるための駆動部の外径が小さくなり、小型化に寄与する。特に、光軸をほぼ90度折り曲げるための反射部材を備える場合、入射光軸方向での小型化、すなわち、薄型化が可能であるが、かかる構成において、シフトレンズ群のシフト量が大きくなると、入射光軸方向での大きさが大きくなってしまい、薄型化に反することになる。そのため、特に反射部材を備える光学系において、本実施形態による効果が大きい。
【0023】
シフトレンズ群を光軸に垂直な方向にシフトさせて手ブレによる像のシフトを補正する場合、一般的に、変倍率が上がるとシフトレンズ群のシフト量も大きくなる。ところが、シフトレンズ群より像側で倍率を変化させる場合は、変倍率の変化がシフトレンズ群のシフト量に影響を与えず、シフトレンズ群より物体側での変倍のみがシフトレンズ群のシフト量に影響を与える。そのため、本実施の形態のように、屈折力可変光学素子をシフトレンズ群より像側に配置することによって、変倍率の割に、シフトレンズ群のシフト量を小さくすることができる。
【0024】
条件式(2)はシフトレンズ群より像側にあるレンズ群の広角端での横倍率と望遠端での横倍率との比を規定するものである。条件式(2)を満足することで、像ブレ量の大きい望遠端において、像ブレを補正するためのシフトレンズ群のシフト量を小さくすることができ、シフトレンズ群のシフトのための駆動装置を小型化することができる。
【0025】
条件式(2)の下限値を下回ると、シフトレンズ群のシフト量が大きくなり小型化及び薄型化が困難となる。条件式(2)の上限値を上回ると、シフトレンズ群のシフト時の収差補正が困難となる。
【0026】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、前記複数のレンズ群が、物体側から順に配列された、光軸を略90度折り曲げるための反射部材を含み、正の屈折力を有し変倍中その位置が固定である第1レンズ群と、負の屈折力を有し変倍時に光軸に沿って移動する第2レンズ群と、正の屈折力を有し変倍中その位置が固定である第3レンズ群と、正の屈折力を有し光軸方向に移動して変倍時の像面の位置の変化を補正すると共に合焦を行う第4レンズ群と、負の屈折力を有し変倍時にその位置が固定である第5レンズ群(最終レンズ群)であることが望ましい。これによって、より小型化が可能になる。
【0027】
第1レンズ群は、光軸を90度折り曲げるための反射部材を含み、また、その位置を固定とすることで、奥行き方向、すなわち、ズームレンズへの入射光軸方向での小型化が可能になる。さらに好ましくは、反射部材よりも物体側に負レンズを配置すること、又は、反射部材をプリズムにより構成することで光軸を折り曲げるためのスペースを小さくすることができ奥行き方向の小型化に適する構成となる。
【0028】
第1レンズ群と第3レンズ群を正レンズ群として、負の第2レンズ群を変倍時に光軸に沿って移動させることにより小型でありながら高変倍に適したズームレンズの構成となる。
【0029】
第5レンズ群を負レンズ群とすることで、第1レンズ群から第4レンズ群までの合成焦点距離を短くすることができ、全長の小型化、つまり高さ方向の小型化に適する構成となる。
【0030】
さらに、このような構成のズームレンズでは、像ブレを補正するシフトレンズ群を、光軸方向に固定である第5レンズ群中に配置すると、シフトのための駆動機構と可動レンズ群の光軸方向への移動のための駆動機構との干渉を避けることができ、奥行き方向の小型化に好ましい構成となる。
【0031】
このような構成の5群ズームレンズにおいて、屈折力可変光学素子を第5レンズ群中に配置すると、移動レンズ群である第2レンズ群及び第4レンズ群の移動量を増大させること無く焦点距離を変化させることができるため、ズームレンズの全長、つまり高さ方向(光軸を90゜折り曲げる反射部材により光軸を上又は下へ折り曲げた場合に)に大型化させることなく高変倍化することが可能となる。また、高変倍化した際のシフトレンズ群のシフト量の増大を低減でき、奥行き方向の小型化(光軸を90゜折り曲げる反射部材を有する場合に)に適した構成となる。
【0032】
さらに、屈折力可変光学素子を有する第5レンズ群が光軸方向に固定のレンズ群であるため、可動レンズ群の光軸方向への移動のための駆動機構と屈折力可変のための機構との干渉を避けることができ、奥行き方向の小型化に好ましい構成となる。
【0033】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、近距離撮影時のフォーカシングは、屈折力可変光学素子の屈折力を変化させることで行ってもよい。これによりフォーカシングレンズを駆動させるための消費電力を削減することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、光量の調整のために絞り径を変化させる代わりに、NDフィルターや、液晶調光素子を用いることが小型化のためにはさらに好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態によるズームレンズにあっては、手ブレ補正時に生じる色ずれを、電気的な信号処理で補正することが望ましい。これによって、色収差の補正に関するレンズ負荷が減少し、レンズ枚数の削減が可能になると共にレンズ設計が容易になる。
【0036】
次に、本発明ズームレンズの具体的な実施の形態及び該実施の形態に具体的な数値を適用した数値実施例について図面及び表を参照して説明する。
【0037】
なお、各実施の形態において非球面が導入されており、該非球面形状は、次の数1式によって定義されるものとする。
【0038】
【数1】

【0039】
ここで、「Z」は非球面頂点における接平面と球面との光軸からの高さ「H」(=√(X2+Y2))の時における光軸方向の距離、「C」は非球面頂点の曲率(1/r)、「K」は円錐定数、「A2i」は第2i次の非球面係数、をそれぞれ示すものとする。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるズームレンズ1のレンズ構成を示す図である。図1において、上段に広角端における、下段に望遠端における各レンズ群の光軸上における位置を示す。
【0041】
ズームレンズ1は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群GR1、負の屈折力を有する第2レンズ群GR2、正の屈折力を有する第3レンズ群GR3、正の屈折力を有する第4レンズ群GR4、負の屈折力を有する第5レンズ群GR5が配列されて成る。
【0042】
第1レンズ群GR1は、物体側から順に位置した、負の屈折力を有する第1レンズL1、光軸を90度折り曲げるための反射部材としてのプリズムL2、正の屈折力を有する第3レンズL3、正の屈折力を有し両面が非球面で構成された第4レンズL4から成り、変倍中に光軸上の位置が固定である。プリズムL2により光軸を90度折り曲げることで入射光軸方向の効率的な小型化を行うことができる。第2レンズ群GR2は、物体側から順に位置した、負の屈折力を有する第5レンズL5、負レンズL6と正レンズL7との接合レンズ、負の屈折力を有する第8レンズL8から成り、広角端から望遠端への変倍中に光軸上を物体側から像側へと移動する。第3レンズ群GR3は両面が非球面で構成された正レンズL9から成り、変倍中に光軸上の位置が固定である。第4レンズ群GR4は、物体側面が非球面で構成された正レンズL10と負レンズL11との接合レンズから成り、変倍中に光軸上を移動して変倍時の像面位置の変動の補正と近距離撮影時のフォーカシングを行う。第5レンズ群GR5は、物体側から順に位置した、負レンズL12、光軸方向に垂直に移動することで像ブレを補正するためのシフトレンズ群である正レンズL13、透明平行平板により密閉された液室に充填された屈折率の異なる2種類の液体の境界屈折面VSの形状が、電圧を印加することにより変化する液体型屈折力可変光学素子L14により構成されている。広角端においては、前記液体の境界屈折面VSは物体側に凸面を向けた形状にしてあり、変倍時においては印加電圧を制御することで前記境界屈折面VSの形状を連続的に変化させ、望遠端においては物体側に凹面を向けた形状とする。すなわち、液体型屈折力可変光学素子L14の屈折力は広角端においては正の屈折力を有し、望遠端においては負の屈折力を有し、従って、変倍において光学系の変倍作用に寄与する。また、第3レンズ群GR3の像面IMG側には、光量を調整するアイリスIRが配置され、第5レンズ群GR5のさらに像面IMG側には、赤外カットフィルタやローパスフィルタ等からなるフィルタFLが配置されている。像面IMGは、例えばCCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子の受光面とされる。
【0043】
表1に第1の実施の形態に係るズームレンズ1に具体的数値を適用した数値実施例1のレンズデータを示す。なお、表1及び他のレンズデータを示す表において、「si」は物体側から数えてi番目の面の面番号を示し、「ri」は物体側から数えて第i番目の面の曲率半径を示し、「di」は物体側から数えて第i番目の面と第i+1番目の面との間の軸上面間隔を示し、「ni」は物体側から数えて第i番目の面のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、「νi」は物体側から数えて第i番目の面のd線に対するアッベ数を示す。そして、「ri」に関し「INF」は当該面が平面であることを示し、同じく「ri」に関し「ASP」は当該面が非球面であることを示し、同じく「ri」に関し「variable」は当該面の曲率が可変であることを示し、「di」に関し「variable」は当該面間隔が可変間隔であることを示す。
【0044】
【表1】

【0045】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群GR1と第2レンズ群GR2との間の間隔d8、第2レンズ群GR2と第3レンズ群GR3との間の間隔d15、第3レンズ群GR3(開口絞りIR)と第4レンズ群GR4との間の間隔d18及び第4レンズ群GR4と第5レンズ群GR5との間の間隔d21が変化する。そこで、数値実施例1における前記各間隔の広角端状態(f=5.00)、中間焦点距離状態(f=15.83)、望遠端状態(f=47.41)での値を焦点距離「f」、Fナンバー「Fno」、半画角「ω(度)」と共に表2に示す。なお、屈折力可変光学素子L14の境界屈折面VSの前後の間隔の変化については、境界屈折面VSの曲率半径(r28)を示してこれに替える。
【0046】
【表2】

【0047】
正レンズL4の両面(r7、r8)、正レンズL9の両面(r16、r17)及び正レンズL10の物体側面(r19)は非球面で構成されている。そこで、数値実施例1における前記各面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数εと共に表3に示す。なお、表3及び以下の非球面係数を示す表において「E−i」は10を底とする指数表現、すなわち、「10−i」を表しており、例えば、「0.12345E-05」は「0.12345×10−5」を表している。
【0048】
【表3】

【0049】
図2乃至図4は数値実施例1の球面収差、非点収差及び歪曲収差の各収差図を示し、図2は広角端状態における、図3は中間焦点距離状態における、図4は望遠端状態における、各収差図を示す。図2乃至図4の各収差図の球面収差においては実線はd線に対する、破線はC線(波長656.3nm)に対する、一点鎖線はg線(波長435.8nm)に対する各値を示し、非点収差図及び歪曲収差図においてはd線に対する値を示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0050】
数値実施例1は、各収差図から優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0051】
図5は本発明の第2の実施の形態にかかるズームレンズ2のレンズ構成を示す図である。図2において、上段に広角端における、下段に望遠端における各レンズ群の光軸上における位置を示す。
【0052】
ズームレンズ2は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群GR1、負の屈折力を有する第2レンズ群GR2、正の屈折力を有する第3レンズ群GR3、正の屈折力を有する第4レンズ群GR4、負の屈折力を有する第5レンズ群GR5が配列されて成る。
【0053】
第1レンズ群GR1は、物体側から順に位置した、負の屈折力を有する第1レンズL1、光軸を90度折り曲げるための反射部材としてのプリズムL2、正の屈折力を有し両面が非球面で構成された第3レンズL3から成り、変倍中に光軸上の位置が固定である。プリズムにより光軸を90度折り曲げることで入射光軸方向の効率的な小型化を行っている。第2レンズ群GR2は、物体側から順に位置した、負の屈折力を有する第4レンズL4、負レンズL5と正レンズL6との接合レンズ、負の屈折力を有する第7レンズL7から成り、広角端から望遠端への変倍中に光軸上を物体側から像側へと移動する。第3レンズ群GR3は両面が非球面で構成された正レンズL8から成り、変倍中に光軸上の位置が固定である。第4レンズ群GR4は物体側面が非球面で構成された正レンズL9と負レンズL10との接合レンズから成り、変倍中に光軸上を移動して変倍時の像面位置の変動の補正と近距離撮影時のフォーカシングを行う。第5レンズ群GR5は、物体側から順に位置した、負レンズL11、光軸方向に垂直に移動することで像ブレを補正するためのシフトレンズ群である正レンズL12、透明平行平板により密閉された液室に充填された屈折率の異なる2種類の液体の境界屈折面VSの形状が、電圧を印加することにより変化する液体型屈折力可変光学素子L13により構成されている。広角端においては、前記液体の境界屈折面VSは物体側に凸面を向けた形状にしてあり、変倍時においては印加電圧を制御することで前記境界屈折面VSの形状を連続的に変化させ、望遠端においては物体側に凹面を向けた形状とする。すなわち、液体型屈折力可変光学素子L13の屈折力は広角端においては正の屈折力を有し、望遠端においては負の屈折力を有し、従って、変倍において光学系の変倍作用に寄与する。また、第3レンズ群GR3の像面IMG側には、光量を調整するアイリスIRが配置され、第5レンズ群GR5のさらに像面IMG側には、赤外カットフィルタやローパスフィルタ等からなるフィルタFLが配置されている。像面IMGは、例えばCCD等の撮像素子の受光面とされる。
【0054】
表4に第2の実施の形態に係るズームレンズ2に具体的数値を適用した数値実施例2のレンズデータを示す。
【0055】
【表4】

【0056】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群GR1と第2レンズ群GR2との間の間隔d6、第2レンズ群GR2と第3レンズ群GR3との間の間隔d13、第3レンズ群GR3(開口絞りIR)と第4レンズ群GR4との間の間隔d16及び第4レンズ群GR4と第5レンズ群GR5との間の間隔d19が変化する。そこで、数値実施例2における前記各間隔の広角端状態(f=6.10)、中間焦点距離状態(f=15.70)、望遠端状態(f=40.60)での値を焦点距離「f」、Fナンバー「Fno」、半画角「ω(度)」と共に表5に示す。なお、屈折力可変光学素子L13の境界屈折面VSの前後の間隔の変化については、境界屈折面VSの曲率半径(r26)を示してこれに替える。
【0057】
【表5】

【0058】
正レンズL3の両面(r5、r6)、正レンズL8の両面(r14、r15)及び正レンズL9の物体側面(r17)は非球面で構成されている。そこで、数値実施例2における前記各面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数εと共に表6に示す。
【0059】
【表6】

【0060】
図6乃至図8は数値実施例2の球面収差、非点収差及び歪曲収差の各収差図を示し、図6は広角端状態における、図7は中間焦点距離状態における、図8は望遠端状態における、各収差図を示す。図6乃至図8の各収差図の球面収差においては実線はd線に対する、破線はC線に対する、一点鎖線はg線に対する各値を示し、非点収差図及び歪曲収差図においてはd線に対する値を示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0061】
数値実施例2は、各収差図から優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0062】
図9は本発明の第3の実施の形態にかかるズームレンズ3のレンズ構成を示す図である。図3において、上段に広角端における、下段に望遠端における各レンズ群の光軸上における位置を示す。
【0063】
ズームレンズ3は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群GR1、負の屈折力を有する第2レンズ群GR2、正の屈折力を有する第3レンズ群GR3、正の屈折力を有する第4レンズ群GR4、負の屈折力を有する第5レンズ群GR5が配列されて成る。
【0064】
第1レンズ群GR1は、物体側から順に位置した、負の屈折力を有する第1レンズL1、光軸を90度折り曲げるための反射部材としてのプリズムL2、正の屈折力を有し両面が非球面で構成された第3レンズL3から成り、変倍中に光軸上の位置が固定である。プリズムにより光軸を90度折り曲げることで入射光軸方向の効率的な小型化を行っている。第2レンズ群GR2は、物体側から順に位置した、負の屈折力を有する第4レンズL4、負レンズL5と正レンズL6との接合レンズ、負の屈折力を有する第7レンズL7から成り、広角端から望遠端への変倍中に光軸上を物体側から像側へと移動する。第3レンズ群GR3は両面が非球面で構成された正レンズL8から成り、変倍中に光軸上の位置が固定である。第4レンズ群GR4は物体側面が非球面で構成された正レンズL9と負レンズL10との接合レンズから成り、変倍中に光軸上を移動して変倍時の像面位置の変動の補正と近距離撮影時のフォーカシングを行う。第5レンズ群GR5は、物体側から順に位置した、負レンズL11、光軸方向に垂直に移動することで像ブレを補正するためのシフトレンズ群である正レンズL12、透明平行平板により密閉された液室に充填された屈折率の異なる2種類の液体の境界屈折面VSの形状が、電圧を印加することにより変化する液体型屈折力可変光学素子L13と、正レンズL14から構成されている。広角端においては、前記液体の境界屈折面VSは物体側に凸面を向けた形状にしてあり、変倍時においては印加電圧を制御することで前記境界屈折面VSの形状を連続的に変化させ、望遠端においては物体側に凹面を向けた形状とする。すなわち、液体型屈折力可変光学素子L13の屈折力は広角端においては正の屈折力を有し、望遠端においては負の屈折力を有し、従って、変倍において光学系の変倍作用に寄与する。また、第3レンズ群GR3の像面IMG側には、光量を調整するアイリスIRが配置され、第5レンズ群GR5のさらに像面IMG側には、赤外カットフィルタやローパスフィルタ等からなるフィルタFLが配置されている。像面IMGは、例えばCCD等の撮像素子の受光面とされる。
【0065】
表7に第3の実施の形態に係るズームレンズ3に具体的数値を適用した数値実施例3のレンズデータを示す。
【0066】
【表7】

【0067】
広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群GR1と第2レンズ群GR2との間の間隔d6、第2レンズ群GR2と第3レンズ群GR3との間の間隔d13、第3レンズ群GR3(開口絞りIR)と第4レンズ群GR4との間の間隔d16及び第4レンズ群GR4と第5レンズ群GR5との間の間隔d19が変化する。そこで、数値実施例3における前記各間隔の広角端状態(f=6.10)、中間焦点距離状態(f=15.70)、望遠端状態(f=40.60)での値を焦点距離「f」、Fナンバー「Fno」、半画角「ω(度)」と共に表8に示す。なお、屈折力可変光学素子L13の境界屈折面VSの前後の間隔の変化については、境界屈折面VSの曲率半径(r26)を示してこれに替える。
【0068】
【表8】

【0069】
正レンズL3の両面(r5、r6)、正レンズL8の両面(r14、r15)及び正レンズL9の物体側面(r17)は非球面で構成されている。そこで、数値実施例3における前記各面の4次、6次、8次及び10次の非球面係数A4、A6、A8、A10を円錐定数εと共に表9に示す。
【0070】
【表9】

【0071】
図10乃至図12は数値実施例3の球面収差、非点収差及び歪曲収差の各収差図を示し、図10は広角端状態における、図11は中間焦点距離状態における、図12は望遠端状態における、各収差図を示す。図10乃至図12の各収差図の球面収差においては実線はd線に対する、破線はC線に対する、一点鎖線はg線に対する各値を示し、非点収差図及び歪曲収差図においてはd線に対する値を示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面における値を示すものである。
【0072】
数値実施例3は、各収差図から優れた結像性能を有していることが明らかである。
【0073】
表10に前記各数値実施例1〜3の前記条件式(1)、(2)対応値を示す。
【0074】
【表10】

【0075】
前記各数値実施例1〜3のズームレンズは、表10から明らかなように、条件式(1)及び(2)を満足し、また、前記各収差図に示すように、広角端、標準(中間焦点距離状態)時、望遠端において、各収差ともバランスよく補正されていることが分かる。
【0076】
次に、本発明撮像装置について説明する。
【0077】
本発明撮像装置は、ズームレンズと、該ズームレンズで形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子を有し、前記ズームレンズは、複数のレンズ群から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する。
【0078】
図13に前記した本発明に係るズームレンズを搭載することが可能なデジタルスチルカメラの構成例をブロック図で示す。
【0079】
デジタルスチルカメラ100は、撮像機能を担うレンズブロック10と、撮像された画像信号のアナログ−デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部20と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部30と、撮像された画像等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)40と、メモリカード51への書き込み/読み出しを行うR/W(リーダ/ライタ)50と、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)60と、ユーザによる操作入力のための入力部70と、レンズブロック10内のレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部80を具備する。
【0080】
レンズブロック10は、本発明が適用されるズームレンズ11を含む光学系や、CCD等の撮像素子12等により構成される。カメラ信号処理部20は、撮像素子12からの出力信号に対するデジタル信号への変換や、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の信号処理を行う。画像処理部30は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や、解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。なお、ズームレンズ11としては前記した本発明ズームレンズ1〜3及びその各数値実施例1〜3を使用することができ、また、前記した実施の形態や数値実施例以外の態様により実施された本発明ズームレンズを使用することもできる。
【0081】
メモリカード51は、着脱可能な半導体メモリからなる。リーダ/ライタ50は、画像処理部30によって符号化された画像データをメモリカード51に書き込み、またメモリカード51に記録された画像データを読み出す。CPU60は、デジタルスチルカメラ内の各回路ブロックを制御する制御処理部であり、入力部70からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0082】
入力部70は、例えば、シャッタ操作を行うためのシャッタレリーズボタンや、動作モードを選択するためのモード選択スイッチ等により構成され、ユーザによる操作に応じた指示入力信号をCPU60に対して出力する。レンズ駆動制御部80は、CPU60からの制御信号に基づいて、ズームレンズ11内のレンズを駆動する図示しないモータ等を制御する。
【0083】
以下に、このデジタルスチルカメラ100の動作を簡単に説明する。
【0084】
撮影の待機状態では、CPU60による制御の下で、レンズブロック10において撮像された画像信号が、カメラ信号処理部20を介してLCD40に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、入力部70からのズーミングのための指示入力信号が入力されると、CPU60がレンズ駆動制御部80に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部80の制御に基づいて、ズームレンズ11内の所定のレンズが移動される。
【0085】
そして、入力部70からの指示入力信号によりレンズブロック10の図示しないシャッタが切られると、撮像された画像信号がカメラ信号処理部20から画像処理部30に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはリーダ/ライタ50に出力され、メモリカード51に書き込まれる。
【0086】
なお、フォーカシングは、例えば、シャッタレリーズボタンが半押しされた場合、あるいは記録のために全押しされた場合等に、CPU60からの制御信号に基づいてレンズ駆動制御部80がズームレンズ11内の所定のレンズを移動させることにより行われる。
【0087】
また、メモリカード51に記録された画像データを再生する場合は、入力部70による操作に応じて、リーダ/ライタ50によりメモリカード51から所定の画像データが読み出され、画像処理部30で伸張復号化処理された後、再生画像信号がLCD40に出力される。これにより再生画像が表示される。
【0088】
図14は、このデジタルスチルカメラ100における部品の配置例を示す概略断面図である。なお、図14では図中左側に被写体が存在する場合のデジタルスチルカメラの内部を示している。
【0089】
ズームレンズ11は、カメラ筐体90の内部に収納されており、その下部に撮像素子12が設けられる。また、LCD40は、被写体と対向する側のカメラ筐体90面に設けられ、撮影時の画角合わせや画像の再生、各種設定情報の確認等に使用される。
【0090】
本発明に係るズームレンズ11は、被写体からの光の光軸をプリズムによって折り曲げ、さらにその折り曲げた方向(図中の上下方向または左右方向)に沿って所定のレンズを移動させることでズーミングやフォーカシングを行うことが可能となっている。従って、ズームレンズ11をカメラ筐体90から突出させずに撮影を行うことが可能で、撮影時のカメラ本体の奥行きが短縮される。これに加えて、前記した条件を満足するようにズームレンズ11が設計されることにより、カメラ筐体90のさらなる小型化が可能となり、小型でありながら、8〜12倍程度のズーミングが可能で、かつ、各種焦点距離において収差の少ない高画質な撮像画像を得ることが可能である。
【0091】
なお、上記した実施の形態では、本発明撮像装置をデジタルスチルカメラに適用した場合について説明したが、例えば、ビデオカメラといった他の撮像装置等に適用することも可能である。
【0092】
また、前記各実施の形態や各数値実施例において示した各部の形状及び数値は、何れも本発明を実施するための具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明ズームレンズの第1の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図2】図3及び図4と共に第1の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例1の収差図を示し、本図は広角端状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図3】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図4】望遠端状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図5】本発明ズームレンズの第2の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図6】図7及び図8と共に第2の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例2の収差図を示し、本図は広角端状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図7】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図8】望遠端状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図9】本発明ズームレンズの第3の実施の形態のレンズ構成を示す図である。
【図10】図11及び図12と共に第3の実施の形態に具体的数値を適用した数値実施例3の収差図を示し、本図は広角端状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図11】中間焦点距離状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図12】望遠端状態における球面収差、非点収差、歪曲収差を示すものである。
【図13】本発明撮像装置をデジタルスチルカメラに適用した実施形態の回路ブロック図である。
【図14】デジタルスチルカメラのカメラ筐体内における部品の配置例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0094】
1…ズームレンズ、GR1…第1レンズ群(最も物体側のレンズ群)、L2…直角プリズム(反射部材)、GR2…第2レンズ群、GR3…第3レンズ群、GR4…第4レンズ群、GR5…第5レンズ群(最終レンズ群)、L13…正レンズ(シフトレンズ群)、L14…屈折力可変光学素子、2…ズームレンズ、GR1…第1レンズ群(最も物体側のレンズ群)、L2…直角プリズム(反射部材)、GR2…第2レンズ群、GR3…第3レンズ群、GR4…第4レンズ群、GR5…第5レンズ群(最終レンズ群)、L12…正レンズ(シフトレンズ群)、L13…屈折力可変光学素子、3…ズームレンズ、GR1…第1レンズ群(最も物体側のレンズ群)、L2…直角プリズム(反射部材)、GR2…第2レンズ群、GR3…第3レンズ群、GR4…第4レンズ群、GR5…第5レンズ群(最終レンズ群)、L12…正レンズ(シフトレンズ群)、L13…屈折力可変光学素子、100…デジタルスチルカメラ(撮像装置)、11…ズームレンズ、12…撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズ群から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、
前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する
ことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
(1)1.0<βet/βew<2.0
但し、
βew:前記最終レンズ群の広角端での横倍率
βet:前記最終レンズ群の望遠端での横倍率
とする。
【請求項3】
前記複数のレンズ群のうち最も物体側のレンズ群が、変倍中に位置が固定であり、光軸を略90度折り曲げるための反射部材を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記最終レンズ群は光軸とほぼ直交する方向に移動することで像をシフトさせるシフトレンズ群を有し、
前記屈折力可変光学素子は前記シフトレンズ群より像側に配置され、
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のズームレンズ。
(2)1.0<bbT/bbW<2.0
但し、
bbW:前記シフトレンズ群より像側にあるレンズ群の広角端での横倍率
bbT:前記シフトレンズ群より像側にあるレンズ群の望遠端での横倍率
とする。
【請求項5】
前記複数のレンズ群が、物体側から順に配列された、光軸を略90度折り曲げるための反射部材を含み、正の屈折力を有し変倍中その位置が固定である第1レンズ群と、負の屈折力を有し変倍時に光軸に沿って移動する第2レンズ群と、正の屈折力を有し変倍中その位置が固定である第3レンズ群と、正の屈折力を有し光軸方向に移動して変倍時の像面の位置の変化を補正すると共に合焦を行う第4レンズ群と、負の屈折力を有し変倍時にその位置が固定である第5レンズ群(最終レンズ群)である
ことを特徴とする請求項4に記載のズームレンズ。
【請求項6】
ズームレンズと、該ズームレンズで形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子を有する撮像装置であって、
前記ズームレンズは、複数のレンズ群から成り群間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、前記複数のレンズ群のうち最も像側に配置された最終レンズ群が、変倍時に光軸方向に固定であると共に、屈折力可変光学素子を有し、変倍に際して前記屈折力可変光学素子の屈折力が変化する
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−170874(P2008−170874A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5975(P2007−5975)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】