説明

セレクチンリガンド活性を有する新規なフロログルシノール誘導体

E−セレクチン、P−セレクチン若しくはL−セレクチン結合によって媒介されるインビトロ及びインビボ結合プロセスを調節するように適用され得る、式(I):
【化1】


(式中、−X−は例えば
【化2】


であり、そしてYは例えば
【化3】


である)の少なくとも1つの化合物又は薬学的に受容可能な塩、エステル若しくはアミド及びプロドラッグ及び医薬に有用な薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞接着分子によって媒介されるインビトロ及びインビボのプロセスを調節するための化合物、組成物及び方法に関する。開示される小分子は、2,4,6−トリヒドロキシフェニルサブユニットを含み、そして細胞接着分子に媒介される機能を強力に調節する。
【背景技術】
【0002】
細胞接着分子に媒介される機能は、白血球が血流から周囲の組織へと循環する遊走(遊出)を導く複雑なカスケードの一部である。生理学的に、白血球の遊出は、ヒトを含む生物のホメオスタシス及び免疫学的監視に極めて重要である。例えばリンパ球は、有害な抗原を巡視するために、恒常的に血流をリンパ組織に残している。しかし病的状態下、例えば局所性若しくは全身性の炎症及び/又は脈管系の傷害においては、この基本的なプロセスは、E−セレクチン及びP−セレクチンの表面発現が増大するために、少なくとも部分的に調節不全となっている。その結果、過剰な白血球の遊出が、病的な細胞浸潤物を導くことになり、いくつかの臨床的に関連した背景においてその後組織が損傷される。疾患状態、例えば急性肺障害(ALI)、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、気管支喘息(喘息)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬、慢性関節リウマチ及び敗血症はすべて、それぞれの組織を浸潤する病的に活性化された白血球によって誘導及び永続化された組織炎症に関連している。さらに、悪化した白血球の浸潤物は、器官移植、心肺バイパス又は経皮経管的血管形成術に関連した虚血−再灌流障害(IRI)の病因となっている。
【0003】
遊出するために、白血球は必ず血管内皮の壁に結合して、毛細血管の細胞壁を通じて周囲の組織に拡散している。従って白血球は、内皮細胞壁上を転がり、次いでこの内皮細胞壁に接着する必要がある(最初のローリング又は「係留」)。遊出のこの最初の事象は、細胞接着分子のセレクチンファミリーによって媒介される。内皮への直接結合に加えて、白血球は、すでに内皮に結合している他の白血球、白血球粒子、血小板又は血小板由来粒子に接着し得る。
【0004】
接着分子のセレクチンファミリーは、3つの構造的に関連したカルシウム依存性の糖質結合性細胞表面タンパク質であるE−セレクチン、P−セレクチン及びL−セレクチンからなっている。E−セレクチンは、炎症性内皮上にのみ発現しており、P−セレクチンは、炎症性内皮及び血小板上に発現しており、そしてL−セレクチンは、白血球上に発現している。セレクチンは、アミノ末端レクチンドメイン、上皮増殖因子(EGF)様ドメイン、様々な長さの補体受容体関連リピート、疎水性の膜貫通ドメイン及びC末端細胞質ドメインからなっている。白血球の接着を導くこの結合相互作用は、セレクチンのレクチンドメインと白血球表面上の種々の糖質リガンドとの接触によって媒介されると考えられている。すべての3つのセレクチンは、大半の白血球表面上に存在するグリコシル部分である糖質シアリルルイスx(sLex)に低い親和性で結合し得る。構造的に関連したグリコシル部分であるシアリルルイスa(sLea)は、主に癌細胞表面上に見出されている[K.Okazakiら、J.Surg.Res.、1998、78(1).78−84;R.P.McEverら、Glycoconjugate Journal、1997、14(5)、585−591]。P−セレクチンの場合、異なる高親和性の糖タンパク質リガンドが記載されており[R.P.McEver、R.D.Cummings、J.Clin.Invest.、1997、100、485−492]、これは、いわゆるP−セレクチン糖タンパク質リガンド−1(PSGL−1)であり、そのsLex部分及びそのペプチド成分の一部、特に硫酸化チロシン残基により高親和性のセレクチン結合に寄与している[R.P.McEver、Ernst Schering Res.Found.Workshop、2004、44、137−147]。PSGL−1は、最も高い親和性でP−セレクチンに結合する最も重要なセレクチンリガンドのうちの1つであるが、E−セレクチン及びL−セレクチンにもまた結合する[G.Constantin;Drug News Perspect;2004;17(9);579−586]。これは、主に白血球上で発現されるホモ二量体のシアロムチンである。
【0005】
炎症性疾患において、調節不全性の遊出は、E−セレクチン及びP−セレクチンの細胞表面発現の増大に起因して少なくとも部分的に媒介されている。その低い基本的発現とは対照的に、E−セレクチン発現及びP−セレクチン発現は、炎症の間にアップレギュレートされており、これは、炎症性組織への白血球の実質的な動員を導いている。セレクチン媒介性の細胞接着は、感染と戦うために必要であるが、このような細胞接着が望ましくないか又は過剰であり、修復の代わりに重篤な組織損傷をもたらす種々の状況が存在している。多くの急性及び慢性の炎症性疾患の場合(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、乾癬など]、対応する接着分子、特にE−セレクチン及びP−セレクチンの組織発現が顕著に上昇すると同時に組織への活性化白血球が浸潤することとの間の関連が実証されている[Mullerら、J.Pathol.、2002、198(2)、270−275;Di Stefanoら、Am.J.Respir.Crit.Care.Med.、1994、149(3)803−810;Terajimaら、Arch.Dermatol.Res.、1998、290、246−252]。
【0006】
白血球の浸潤はまた、移植及び移植片拒絶の過程での炎症症状に影響を及ぼし得るものである。また血液凝固のプロセスは、白血球−白血球及び白血球−血小板の結合によってさらに促進され、これは、白血球がL−セレクチン及びその対応するリガンドであるPSGL−1の両方を有しており、従ってPSGL−1を介して白血球自身と相互作用し得ることになり、そしてまたP−セレクチンを保有する血小板に結合し得ることが原因で生じるのである。
【0007】
従って、セレクチン媒介性の細胞接着及び他のセレクチン媒介性機能、例えば白血球活性化の調節は、極めて早い段階で炎症カスケードを妨害し、そしてこれを停止させるという有望な可能性を提供するものである。小分子のセレクチンアンタゴニストは、全セレクチン−アンタゴニストのようにすべての3つのセレクチンを同時に調節して、セレクチン間の可能性のある冗長性を回避するはずである[M.Sperandioら、Vascular Disease Prevention、2004、1、185−195]。
【0008】
sLex/sLeaに加えて、天然の高親和性リガンドであるPSGL−1は、小分子のセレクチンアンタゴニストの設計としての別の鋳型構造である。sLex/sLeaと比較して、PSGL−1は、すべての3つのセレクチンに対して親和性が高いことを示している。セレクチン結合に関してPSGL−1及びPSGL−1様リガンドと競合する新規な小分子の薬物を発見及び検出することが、すなわち炎症性疾患を処置するために有効な全セレクチンアンタゴニストの新規なクラスを開発するための有望な戦略なのである。セレクチンアンタゴニストは、セレクチンとPSGL−1又は類似の結合モチーフを有する他のリガンドとの間の結合を調節することが意図されるので、セレクチン及びPSGL−1のようなリガンドを鋳型構造として用いて設計され得る。
【0009】
新規な小分子のセレクチンアンタゴニストは、薬らしいものであり、そして潜在的な経口バイオアベイラビリティを有するという一定の必要性を満たし得るものである。用語、薬らしさとは、文献[Lipinski;Adv.Drug Dev.Rev.、1997、23、3−25]に記載されている。他の分子特性に加えて、受動的に輸送される分子は、薬らしくあるために平均して500未満の相対分子量を有すると考えられている。これらのルールに従って、500未満又は小分子のように500を少し超える相対分子量の化合物を定義することは一般的である。500を超える相対分子量の化合物は、経口で体内に吸収され利用されないようである。また、高極性の糖質部分又はペプチド性成分の存在は、薬らしさの概念に合致しない[H.Ulbrichら、Trends Pharmacol.Sci.、2003、24(12)、640−647;D.Sleeら、J.Med.Chem.、2001、44、2094−2107]。抗体ベースの薬物開発も説明は同じであり、これはなぜなら、この薬物はポリペプチドであるため、経口投与が問題となるからである。さらに、所望の化合物は、小腸細胞によって最後に摂取/吸収され得るように、胃腸管を通過する間に安定でなければならない。大半のグリコシド分子及びペプチド性構造は、そうではない。
【0010】
セレクチン媒介性プロセスに対して調節効果を有する低分子量の化合物を開発する種々の研究が存在している。これらの化合物としては、ジサリチレート及びジサリチレートベースのC−グリコシド[WO 99/29706]、ベンジルアミノスルホン酸[WO 03/097658]、ジグリコシル化1,2−ジオール[WO 97/01569]、置換5員複素環[WO 00/33836]、マンノピラノシルオキシ−フェニル−安息香酸[EP0758243 B1]、ピペラジンベースの化合物[US6432957B1]、ペプチドの没食子酸誘導体[WO 2004/018502]、没食子酸[C.C.M.Appeldoornら、Circulation 2005、111、106−112;EP 1481669A1]及びキナ酸誘導体[N.Kailaら、J.Med.Chem.2005、48、4346−4357]が挙げられる。しかし、これらのセレクチン拮抗性化合物はどれも、これまで臨床試験を首尾良く通過してこなかった[S.J.Romano、Treat.Respir Med 2005、4(2)、85−94;M.P.Schoen、Therapeutics and Clinical Risk Management、2005、1(3)、201−208]。これは、これらの構造の多くが、効果の弱い鋳型sLexに基づいて設計されているという事実に起因している。従って、sLexを模倣する構造は、効果が弱いことを恐らく示すであろう。他の化合物は、セレクチンファミリーの異なるメンバーに対して特異性を示すが、選択されたセレクチンのみを拮抗することは、他のセレクチンによって回避され得るのである[M.P.Schoen、Therapeutics and Clinical Risk Management、2005、1(3)、201−208]。さらに、従来開発された大半の化合物は、高分子量を有しており、そしてしばしば、ペプチダーゼ及び/又はグリコシダーゼによって分解及び修飾を起こしやすい糖質及び/又はペプチドを有している。糖質を有する構造は、例えば高いキラリティー、アノマー性(anomericity)、及び脂質二重層を通じた輸送の確率が低いことといったさらなる不都合な点を有している。同様の不都合な点は、ペプチドを有する化合物で知られている。セレクチン媒介性プロセスを拮抗するように開発されたいくつかの他の化合物は、ピロガロール−及びカテコール−下部構造を含んでいる。これらのモチーフは、酸化プロセスを起こしやすく[Kumamoto M.ら、Biosci.Biotechnol.Biochem.、2001、65(1)、126−132]、これらの化合物の製薬開発を困難にしている。さらに、ピロガロール下部構造を有する化合物、例えば没食子酸は、細胞傷害性であることが公知であり[E.Sergedieneら、FEBS Letters、1999、462、392−396]、そしてアポトーシスを誘導する[K.Satohら、Anticancer Research、1997、17、2487−2490;N.Sakaguchiら、Biochemical Pharmacology、1998、55、1973−1981]。
【0011】
セレクチンアンタゴニストの分野の主要な化合物は、bimosiamoseである[S.J.Romano、Treat.Respir Med 2005、4(2)、85−94]。現在bimosiamoseは、臨床研究において最も進んだ化合物である[D.Bockら、New Drugs、2003、D04、28、28頁;EP 0 840 606 B1]。最近の研究は、bimosiamoseがPSGL−1模倣物とみなされ得るという仮説を支持している[E.Aydt、G.Wolff;Pathobiology;2002−2003;70;297−301]。このことは、bimosiamoseと他のセレクチンアンタゴニストとを区別している。しかしこれは、糖質構造を有する高分子量化合物である。全セレクチンアンタゴニストであるbimosiamoseは、経口バイオアベイラビリティを欠いているようである。いくつかの観察により、bimosiamoseは、P−セレクチンとの良好な親和性を示しており、そしてE−セレクチン及びL−セレクチンとの親和性を緩和することが示されている。
【0012】
セレクチン媒介性機能、例えばセレクチン依存性の細胞接着を調節する新規な極めて強力な全セレクチンアンタゴニスト、及びセレクチン−リガンド相互作用に関連した状態を調節するためにこのような化合物を利用する方法の開発に対する強い医学的必要性が存在している。市販されている大半の入手可能な抗炎症性製薬治療法は、いくつかの重篤な欠点/副作用を有する副腎皮質ステロイド又はNSAID(非ステロイド性抗炎症薬)を大部分含んでおり、そして炎症カスケードの異なる段階を標的する。これとは異なり、セレクチン機能の調節は、極めて早い段階で炎症カスケードに介入する治療概念である。ほとんどすべての有望なセレクチンアンタゴニストは、今まで市販薬となることができなかったが、これは主に、慢性関節リウマチ、敗血症性ショック、アテローム性動脈硬化症、再灌流障害などのような大半の炎症性疾患の処置に必要とされるその吸収・分布・代謝・排泄(ADME)挙動、すなわち経口バイオアベイラビリティの問題を引き起こす弱い効果及び/又は高分子量のためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、セレクチン媒介性プロセスを強力に拮抗することができ、そして適用の間に従来技術の化合物よりも負の副作用が少ない新規な小分子、特に非グリコシル化/非グリコシド化合物及び非ペプチド性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この分野で開発された大半のsLex模倣化合物とは異なり、本発明の化合物は、グリコシダーゼ又はペプチダーゼの影響を受けにくい。今まで開発された大半のセレクチンアンタゴニストは、構造的及び生物学的にsLex又はsLeaの特性に基づいている。従って、これらの得られる化合物は、これらの鋳型構造のように低い生物活性を示した。しかし本発明は、PSGL−1及びPSGL−1様リガンド又はsLex若しくはsLea及びチロシンスルフェートモチーフを有するすべてのリガンドを模倣する生物学的なインビトロアッセイに基づいて発明された新規な強力で小さくかつ薬らしい全セレクチンアンタゴニストを提供する[N.V.Bovin;Biochem Soc Symp.;2002;(69):143−60.N.V.Bovin;Glycoconj.J.;1998;15(5);431−46.T.V.Pochechuevaら;Bioorg Med Chem Lett.;2003;13(10);1709−12.G.Weitz−Schmidtら;Anal.Biochem.;1996;238;184−190]。
【0015】
本発明は、次の式(I)の一般構造を有する少なくとも1つの化合物及び医薬に有用な薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物又は次で同定される式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩、エステル若しくはアミド及びプロドラッグを提供するものであり、
【化1】

式中、記号及び置換基は、次の意味を有するものとし、すなわち
−X−は、
(a)
【化2】

であって、ここでmは、0、1であり;nは、1〜3の整数であり、
(b)
【化3】

であって、ここで「環」は、
【化4】

であり、そしてここでR1は、H、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、NH2、NHアルキル、NHアリール、NHアシルであり、そしてkは0、1であり、
(c)
【化5】

であって、Tは、O、S又は[H,H]であり;pは、0、1、2であり、
(d)
【化6】

であって、二重結合は、E−又はZ−配置のいずれかであり、
(e)
【化7】

であって、
(f)
【化8】

であって、ここで−E−は、−(CH2−)qNH−であり、そしてqは、0、1、2、3であり、
【0016】
−Yは、
(a)
【化9】

であって、sは、0又は1であり、
2は、CO2H、CO2アルキル、CO2アリール、CO2NH2、CO2アラルキル、SO3H、SO2NH2、PO(OH)2、1−H−テトラゾリル−、CHO、COCH3、CH2OH、NH2、NHアルキル、N(アルキル)アルキル’、OCH3、CH2OCH3、SH、F、Cl、Br、I、CH3、CH2CH3、CN、CF3であり、
3は、R2から独立してH、CH3、CH2CH3、CF3、F、Cl、Br、I、CN、NO2であり、そしてR4は、R2及びR3から独立してH、CH3、CH2CH3、CF3、F、Cl、Br、I、CN、NO2、R2であり、
5は、H、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、OCH3、SH、NH2であり、
そして−W−は、−(CH2−)v、シス−CH=CH−又はトランス−CH=CH−であり、そしてvは、0、1、2であり;
−W−が、シス−CH=CH−又はトランス−CH=CH−である場合には、R2は、NH2又はSHであってはならず;
(b)
【化10】

であって、R6は、R2から独立してH、F、Cl、Me、tert−Bu、CN、NH2であり、
(c)
【化11】

であって、
(d)
【化12】

であって、
(e)
【化13】

であって、ここでtは、0、1、2であり、
(f)
【化14】

であって、
(g)
【化15】

であり、
【0017】
−Zは、
(i)
【化16】

であって、R7は、R2から独立してH、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、OCH3、SH、NH2であり、
(ii)
【化17】

であって、R8は、R2から独立してH、F、Cl、Me、tert−Bu、CN、NH2であり、
(iii)
【化18】

であって、
(iv)
【化19】

であって、ここでKは、NH、NMe、O、Sであり、
(v)
【化20】

であって、
(vi)
【化21】

であって、
(vii)
−W−R2である。
【0018】
さらなる実施態様において、本発明は、次の式(I)の少なくとも1つの化合物及び医薬に有用な薬学的に受容可能な担体、又は次で同定される式(I)の化合物の薬学的に受容可能な塩、エステル若しくはアミド及びプロドラッグを含む薬学的組成物に関し、
【0019】
【化22】

式中、記号及び置換基は、次の意味を有するものとし、すなわち
−X−は、
(a)
【化23】

であって、ここでmは、0、1であり;nは、1〜3の整数であり、
(b)
【化24】

であって、ここで「環」は、
【化25】

であり、そしてここでR1は、H、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、NH2、NHアルキル、NHアリール、NHアシルであり、そしてkは0、1であり、
(c)
【化26】

であって、Tは、O、S又は[H,H]であり;pは、0、1、2であり、
【0020】
−Yは、
(a)
【化27】

であって、sは、0又は1であり、
2は、CO2H、CO2アルキル、CO2アリール、CO2NH2、CO2アラルキル、SO3H、SO2NH2、PO(OH)2、1−H−テトラゾリル−、CHO、COCH3、CH2OH、NH2、NHアルキル、N(アルキル)アルキル’、OCH3、CH2OCH3、SH、F、Cl、Br、I、CH3、CH2CH3、CN、CF3であり、
3は、R2から独立してH、CH3、CH2CH3、CF3、F、Cl、Br、I、CN、NO2であり、そしてR4は、R2及びR3から独立してH、CH3、CH2CH3、CF3、F、Cl、Br、I、CN、NO2、R2であり、
5は、H、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、OCH3、SH、NH2であり、
そして−W−は、−(CH2−)v、シス−CH=CH−又はトランス−CH=CH−であり、そしてvは、0、1、2であり;
−W−が、シス−CH=CH−又はトランス−CH=CH−である場合には、R2は、NH2又はSHであってはならず;
(b)
【化28】

であって、R6は、R2から独立してH、F、Cl、Me、tert−Bu、CN、NH2であり、
(c)
【化29】

であり、
(e)
【化30】

であって、ここでtは、0、1、2であり、
【0021】
−Zは、
(i)
【化31】

であって、R7は、R2から独立してH、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、OCH3、SH、NH2であり、
(iv)
【化32】

であって、ここでKは、NH、NMe、O、Sであり、
(v)
【化33】

であるものとする。
【0022】
好ましい薬学的組成物は、次の式(II)の化合物を含むものであり、
【化34】

式中−Yは、上記で定義される通りであり、そして式中−X’−は、上記で定義されるX(a)、X(b)、X(c)及びX(d)である。好ましくは、−X’−がX(a)又はX(b)である式(II)の化合物である。
【0023】
さらに好ましい薬学的組成物は、式(A)又は式(B)の化合物を含むものであり、
【化35】

式中−X’−及び−Yは、上記で定義される通りであり、そして式中−X’’−は、
【化36】

であり、そして式中−Y’は、
【化37】

であり、ここですべての指標、記号及び置換基は、上記で定義される通りである。
【0024】
さらなる実施態様において、本発明は、化合物が式(A)又は式(B)によって定義される薬学的組成物に関し、
【化38】

式中、−X’−及び−Yは、上記で定義される通りであり、そして式中−X’’−は、
【化39】

であり、そして式中−Y’は、
【化40】

であり、ここですべての他の指標、記号及び置換基は、上記で定義される通りである。
【0025】
特に好ましい薬学的組成物は、次の式(C)の化合物を含むものであり、
【化41】

式中−X’’−及び−Y’は、上記で定義される通りである。
【0026】
極めて特に好ましい薬学的組成物は、次の式(D)の化合物を含むものであり、
【化42】

式中−X’’−は、上記で定義される通りであり、そして−Y’’は、
【化43】

であり、ここでR9は、CO2H、CO2アルキル、CO2アリール、CO2NH2、CO2アラルキル、CH2SO3H、CH2SO2NH2、CH2PO(OH)2、1−H−テトラゾリル、CHO、COCH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHアルキル、CH2N(アルキル)アルキル’、CH2OCH3、CH2SHであるものとする。
【0027】
さらなる実施態様において、本発明は、化合物が、次の式(D)によって定義される薬学的組成物に関し、
【化44】

式中−X’’−は、上記で定義される通りであり、そして−Y’’は、
【化45】

であり、ここでR9は、CO2H、CO2アルキル、CO2アリール、CO2NH2、CO2アラルキル、CH2SO3H、CH2SO2NH2、CH2PO(OH)2、1−H−テトラゾリル、CHO、COCH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHアルキル、CH2N(アルキル)アルキル’、CH2OCH3、CH2SHであり、
ここですべての他の指標、記号及び置換基は、上記で定義される通りである。
【0028】
これらの化学物質(C)及び(D)はまた、これ自身新規な化合物である。
【0029】
上記のすべての化合物は、細胞接着を調節する能力を示しており、そしてセレクチン媒介性結合及びPSGL−1様媒介性結合を調節している。この化合物は、セレクチンとsLex/sLeaとの相互作用、及びまたセレクチンとチロシンスルフェート残基との間の相互作用を調節する能力を有している。従ってこの化合物は、急性及び慢性の炎症性疾患、並びにセレクチン媒介性プロセスが役割を果たしている他の病状の処置に有用である。
【0030】
用語「薬学的(pharmaceutical)」はまた、診断的適用を含むものである。
【0031】
用語「薬学的」はまた、セレクチン媒介性プロセスが役割を果たしている病状を予防するための予防的適用を含むものである。
【0032】
用語「薬学的」はまた、本発明の化合物が、診断又は治療の薬剤標的のためのビヒクルとして使用され得る適用を含むものである。
【0033】
本発明は、式(I)の化合物を含む薬学的組成物を提供し、そして好ましい変形において、式(II)の化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0034】
さらに好ましい変形において、本発明は、式(A)又は式(B)の少なくとも1つの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0035】
特に好ましい変形において、本発明は、式(C)の少なくとも1つの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0036】
極めて特に好ましい変形において、本発明は、式(D)の少なくとも1つの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
【0037】
本発明はさらに、sLex又はsLea及びチロシンスルフェート残基とのP−セレクチン、L−セレクチン又はE−セレクチンの結合を調節する方法を提供し、この方法は、式(I)の構造を有する少なくとも1つの化合物の有効量を患者に投与して、sLex又はsLea及びチロシンスルフェートとのP−セレクチン、E−セレクチン又はL−セレクチンの結合を調節する工程を含むものである。上記で示される式(I)を有する化合物は、E−セレクチン、P−セレクチン又はL−セレクチン結合を調節するように作用することが見出されている。
【0038】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12の炭素原子の一価の直鎖又は分枝鎖基を意味するべきであり、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられるがこれらに限定されない。「アルキル」は互いに独立しており、そして異なっていてもよいし、同一であってもよい。
【0039】
用語「アリール」は、炭素環式及び複素環式の芳香族基を意味するべきであり、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、フルオレニル、(1,2)−ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、チエニル、ベンゾチエニル、チエノピリジルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
用語「アラルキル」(また、アリールアルキルとも呼ばれる)は、アルキル基に付加されたアリール基を意味するべきであり、ベンジル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、フルオロベンジル、クロロベンジル、ブロモベンジル、ヨードベンジル、アルコキシベンジル(ここで「アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどを意味する)、ヒドロキシベンジル、アミノベンジル、ニトロベンジル、グアニジノベンジル、フルオレニルメチル、フェニルメチル(ベンジル)、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−ナフチルエチルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
用語「アシル」は、−(CHO)又は−(C=O)−アルキル又は−(C=O)−アリール又は−(C=O)−アラルキルを意味するべきであり、ホルミル、アセチル、n−プロピオニル、イソプロピオニル、n−ブチリル、イソブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、4−ニトロベンゾイルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される用語「薬学的に受容可能な塩、エステル、アミド及びプロドラッグ」は、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などを伴わずに患者の組織と接触して使用するに適当であり、妥当なベネフィット/リスク比に釣り合い、そして意図される使用に有効な正しい医学判断の範囲内の本発明の化合物のカルボン酸塩、アミノ酸付加塩、エステル、アミド及びプロドラッグ、並びに可能であれば、本発明の化合物の両性イオン形態をいう。用語「塩」は、本発明の化合物の相対的に無毒性の無機酸付加塩及び有機酸付加塩をいう。これらの塩は、化合物の最終単離及び精製の間にインシトゥで調製され得るか、又は精製されたその遊離型の化合物を好適な無機又は有機の酸又は塩基と別々に反応させ、そしてこのように形成された塩を単離することによって製造され得る。本発明の化合物の代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフトエ酸塩、メタンスルホン酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩(lactiobionate)、ラウリルスルホン酸塩などが挙げられる。これらは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属に基づく陽イオン、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、並びに無毒性アンモニウム、第四級アンモニウム及びアミン陽イオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられるがこれらに限定されない)を含み得る。
【0043】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な無毒性エステルの例としては、C1、C2、C3、C4、C5及びC6アルキルエステルが挙げられ、ここでこのアルキル基は、直鎖又は分枝鎖である。受容可能なエステルとしてはまた、C5、C6及びC7シクロアルキルエステル並びにアリールアルキルエステル、例えば限定されないがベンジルが挙げられる。C1、C2、C3、C4、C5及びC6アルキルエステルが好ましい。本発明の化合物のエステルは、慣用の方法に従って製造し得る。
【0044】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な無毒性アミドの例としては、アンモニア、第一級のC1、C2、C3、C4、C5及びC6アルキルアミン並びに第二級のC1、C2、C3、C4、C5及びC6ジアルキルアミン由来のアミドが挙げられ、ここでこのアルキル基は、直鎖又は分枝鎖である。第二級アミンの場合、このアミンはまた、1つの窒素原子を含む5員又は6員の複素環の形態にあり得る。アンモニア由来のアミド、C1、C2及びC3アルキル第一級アミド並びにC1〜C2ジアルキル第二級アミドが好ましい。本発明の化合物のアミドは、慣用の方法に従って調製され得る。
【0045】
用語「プロドラッグ」は、インビトロで迅速に転換され、そして例えば血液中での加水分解又はインビボ代謝によってインビボで非活性状態から活性状態に転換されて上記の式(I)の親化合物を得る1つ又はそれ以上の化合物をいう。
【0046】
薬学的に活性な組成物は、本発明の化合物又はE−セレクチン若しくはP−セレクチン若しくはL−セレクチン結合を調節するか若しくはこの結合と競合する他の化合物を含み得ることがまた意図される。
【0047】
本発明の薬学的に活性な組成物は、薬学的に受容可能な担体及び式(I)の化合物を含むものであり、それによって薬学的に受容可能な担体はまた、医学的に適切なナノ粒子、デンドリマー、リポソーム、微小気泡又はポリエチレングリコール(PEG)であり得る。本発明の薬学的組成物は、非経口注射、固体若しくは液体形態での経口投与、直腸投与又は局所投与などのための1つ又はそれ以上の生理学的に受容可能な担体、佐剤又はビヒクル(これらは本明細書でまとめて担体という)と一緒に処方される上記の構造(I)を有する1つ又はそれ以上の化合物を含み得るものである。
【0048】
この組成物は、経口、直腸、非経口(静脈内、筋肉内、皮内又は皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉末薬、軟膏若しくは点滴薬)又は舌下錠として、又は吸入(噴霧若しくは点鼻薬として)によってのいずれかによってヒト及び動物に投与され得る。
【0049】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に受容可能な滅菌水溶液若しくは非水溶液、安定剤、抗酸化剤、防腐剤(例えばアスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ベンジルアルコール、EDTA)、分散液、懸濁液又はエマルション及び滅菌注射可能溶液又は分散液への再構成のための滅菌粉末薬を含み得るものである。適当な水性及び非水性の担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの適当な混合物、植物油(例えばオリーブ油又はカノーラ油)及び注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。適切な流動性は、例えばレシチンのようなコーティングを使用すること、分散液の場合には必要とされる粒子サイズを維持すること、そして界面活性剤を使用することによって維持され得る。
【0050】
これらの組成物はまた、佐剤、例えば防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含み得る。微生物の働きを防止することは、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にされ得る。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを含むことがまた望ましい。注射可能な薬学的形態の吸収持続は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0051】
所望であれば、そしてより有効な分布のために、この化合物は、徐放又は持続放出又は標的化送達系、例えばポリマーマトリックス、リポソーム及びミクロスフェアに組み入れられ得る。これらは、例えば細菌保持フィルターを通じて濾過するか、又は使用直前に滅菌水若しくはいくつかの他の滅菌注射可能媒体の形態の滅菌剤を加えることによって滅菌され得る。
【0052】
経口投与のための固形剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤が挙げられる。このような固形剤形において、活性化合物又はプロドラッグは、少なくとも1つの不活性な慣用の賦形剤(若しくは担体)、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム又は(i)充填剤若しくは増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸、(ii)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアラビアゴム、(iii)湿潤剤、例えばグリセロール(多様な(div)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、バレイショ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸(aliginic acid)、ある錯体ケイ酸塩(certain complex silicates)及び炭酸ナトリウム、(v)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(vi)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、(vii)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート、(viii)吸着剤、例えばカオリン及びベントナイト、並びに(ix)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム並びにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、この剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0053】
同様のタイプの固形組成物はまた、ラクトース又は乳糖、並びに高分子ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて、軟ゼラチンカプセル剤及び硬ゼラチンカプセル剤の充填剤として利用され得る。固形剤形、例えば錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤は、コーティング及びシェル、例えば腸溶コーティング及び当該分野で周知の他のものを用いて調製され得る。これらは、乳白剤を含むことがあり、そしてまた、遅延様式で腸管の特定の部分で活性化合物を放出するような組成物であり得る。使用され得る包埋組成物の例は、高分子物質及び蝋である。この活性化合物はまた、適切な場合には1つ又はそれ以上の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル形態であり得る。
【0054】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に受容可能な乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、この液体剤形は、当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、カノーラ(cannola)油、ヒマシ(caster)油及びゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタン脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物などを含み得る。このような不活性希釈剤に加えて、この組成物はまた、佐剤、例えば湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、着香剤及び香料を含み得る。
【0055】
活性化合物に加えて懸濁液は、懸濁剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガント又はこれらの物質の混合物などを含み得る。
【0056】
直腸投与のための組成物は、好ましくは、常温では固体であるが体温では液体であり、従って直腸又は膣腔で融解し、そして活性成分を放出する適当な非刺激性賦形剤又は担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール若しくは坐剤用蝋と本発明の化合物とを混合することによって調製され得る坐剤である。本発明の化合物の局所投与のための剤形としては、軟膏、粉末薬、スプレー及び吸入剤が挙げられる。
【0057】
この活性成分は、生理学的に受容可能な担体及び必要とされる任意の防腐剤、緩衝液又は必要とされ得る場合には噴霧剤と滅菌条件下で混合される。眼科用処方物、眼軟膏、懸濁液、粉末薬及び液剤がまた、本発明の範囲内であると意図される。
【0058】
本発明の化合物はまた、リポソームに組み入れられ得るか若しくは結合され得、すなわちリポソームの形態で投与され得る。当該分野で公知のように、リポソームは、一般にリン脂質又は他の脂質物質に由来している。リポソームは、水性媒体に分散される単層又は多重膜の水和した液体結晶によって形成される。リポソームを形成し得るすべての無毒性の生理学的に受容可能な代謝性脂質が使用され得る。リポソーム形態の本発明の組成物は、本発明のセレクチン結合性アンタゴニストに加えて、安定剤、防腐剤、賦形剤などを含み得る。好ましい脂質は、天然及び合成の両方のリン脂質及びホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームの形成方法は、当該分野で周知である。
【0059】
経口投薬形態はまた、化合物を分解から保護するに適切なバイオアベイラビリティ増強剤(例えば、酵素モジュレーター、抗酸化剤)を含み得る。本発明の組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、特定の組成物及び投与方法に対して所望の治療応答を得るのに有効な活性成分量を得るように変化され得るものである。従って、選択される投薬レベルは、所望の治療効果、投与経路、所望の治療継続期間及び他の因子に左右される。単一用量又は分割用量でホストに投与される本発明の化合物の1日当たりの総投与量は、体重1キログラム当たり50mgまでの範囲であり得る。投薬単位の組成物は、1日投与量を構成するように使用され得るときには、このようなその分量単位を含み得ることになる。しかし、ヒト又は他の動物にかかわらず、すべての特定の患者に対する明確な用量レベルは、体重、総体的な健康状態、性別、食餌、投与時間及び投与経路、吸収及び排泄の速度、他の薬物との併用、並びに治療されている特定の疾患の重症度を含む種々の因子に左右されることは理解されるべきである。
【0060】
特に、本発明の化合物は、炎症及び細胞−細胞認識及び接着に関連する種々の疾患を処置するために使用され得る。例えば、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺障害(ALI)、心肺バイパス、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、クローン病、敗血症性ショック、敗血症、慢性炎症性疾患、例えば乾癬、アトピー性皮膚炎及び慢性関節リウマチ、並びに心臓発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化症及び器官移植後に生じる再灌流障害、外傷性ショック、多臓器不全、多発性硬化症のような自己免疫疾患、経皮経管的血管形成術、喘息並びに炎症性腸疾患を処置するために患者に投与され得る。各場合において、本発明の化合物の有効量は、単独又は薬学的に活性な組成物の一部としてのいずれかで、このような処置を必要とする患者に投与される。化合物の併用物が、このような投与を必要とする患者に投与され得ることがまた認識されている。本発明の化合物はまた、細胞−細胞接着に関連した他の疾患を処置するために投与され得る。本発明の化合物は、E−セレクチン又はP−セレクチン又はL−セレクチンの結合を調節するので、この相互作用に関連するすべての疾患は、この結合相互作用を調節することによって潜在的に処置され得るのである。
【0061】
いくつかの白血球上に見出されていることに加えて、sLeaは、肺癌細胞及び大腸癌細胞を含む種々の癌細胞上で見出されている。sLeaが関与する細胞接着は、ある種の癌の転移に関与しているようであり、そしてsLea結合のアンタゴニストは、いくつかの癌形態の治療に有用であり得ることが示唆されている。
【0062】
本発明の活性成分、すなわち本発明の活性成分の有効量を含む化粧用若しくは局所用の皮膚科学的組成物を使用すると、驚くべきことに効果的な処置が可能になるが、外因性及び内因性の因子によって引き起こされる皮膚の老化の予防もまた可能となる。
【0063】
本発明は特に、化粧用組成物又は皮膚科学的組成物の調製のために、式(I)の化合物又はその立体異性体形態を使用することに関する。
【0064】
活性化合物又はその立体異性体形態の使用量は、化粧用組成物又は皮膚科学的組成物を使用して所望の結果を得るのに必要な量に相当する。当業者は、この有効量を評価することができ、これは、使用される誘導体、適用される個体及びこの適用時間に左右される。本発明の化粧用組成物又は皮膚科学的組成物のオーダーを提供するために、式(I)の化合物又はその立体異性体形態は、0.001〜40質量%、好ましくは0.005〜30質量%及びより好ましくは0.01〜20質量%で表される量で投与され得る。
【0065】
さらなる局面は、式(I)の化合物又はその立体異性体形態及び少なくとも1つの化粧用に許容される成分、例えば皮膚適用に関して化粧用に許容される成分を含む化粧用組成物を包含している。
【0066】
本発明の化粧用組成物の生理学的媒体の種々の成分量は、一般に考察中の分野に包含されるものである。化粧用組成物がエマルションであるとき、脂肪相の比率は、化粧用組成物の総質量に対して2〜80質量%及び好ましくは5〜50質量%に及び得る。
【0067】
従って、この化粧用組成物は、ヒトの皮膚に適用され得る無毒性の生理学的に受容可能な媒体を含むべきである。皮膚への局所適用に関して、この化粧用組成物は、脂肪相を水相に分散させるか(O/W)又はその逆(W/O)あるいはゲルに分散させることによって得られる多かれ少なかれ流体の稠度であり、そして特に流動体又は半流動体の稠度である溶液、懸濁液、エマルション又は分散液の形態にあり得る。次いで、加圧噴射剤を含むムース形態又はスプレー若しくはエーロゾルの形態の化粧用組成物がまた提供され得る。また、この組成物は、ヘアケアローション、シャンプー若しくはヘアコンディショナー、液体若しくは固形石鹸、トリーティングマスク(treating mask)又は毛髪を洗浄するための発泡クリーム若しくはジェルの形態であり得る。これらはまた、染毛剤又はヘアマスカラの形態であり得る。
【0068】
本発明の化粧用組成物はまた、製剤補助剤、例えば水相又は油相の増粘剤又はゲル化剤、化粧用組成物の媒体に可溶性の染料、固体粒子、例えば微小粒子又はナノ粒子の形態の無機又は有機の充填剤又は顔料、防腐剤、芳香剤、ヒドロトロープ(hydrotope)又は電解質、中和剤(酸性化剤又は塩基性化剤)、噴霧剤、陰イオン性、陽イオン性又は両性の界面活性剤、ポリマー、特に水溶性又は水分散性の陰イオン性、非イオン性、陽イオン性又は両性の皮膜形成ポリマー、無機塩又は有機塩、キレート剤;それらの混合物の中から選択される、考察中の分野で通常利用される1つ又はそれ以上の他の成分を含み得る。
【0069】
この化粧用組成物は、わずかな炎症サイクルを阻害するために使用され得る。従って本発明はまた、わずかな炎症状態の化粧的な処置又は化粧的な予防のために使用される式(I)の化合物又はその立体異性体形態を含む化粧用組成物に関する。
【0070】
内因性因子によって引き起こされる皮膚の老化の化粧的処置又は化粧的予防のために使用される式(I)の化合物又はその立体異性体形態を含む化粧用組成物はまた、本発明の目的である。皮膚の老化の原因となる内因性因子は、遺伝子にプログラムされた決定因子であり、年齢、ホルモン状態及び心理的要因を含んでいる。
【0071】
化粧上不活性な成分に加えて、本発明の化粧用組成物はまた、皮膚に有益な作用を有する1つ又はそれ以上の化粧上活性な成分を含み得る。従って本発明は、式(I)の化合物又はその立体異性体形態、及び少なくとも1つのさらなる化粧上活性な成分、例えばUVブロッカー又はタンパク質を含む化粧用組成物に関する。
【0072】
式(I)の化合物又はその立体異性体形態、及び少なくとも1つの皮膚科学的に許容される成分、例えば皮膚適用に関して皮膚科学的に許容される成分を含む皮膚科学的組成物がまた、本発明の目的である。
【0073】
本明細書に記載される皮膚科学的組成物に使用され得る皮膚科学的に許容される成分は、本発明で定義される化粧用に許容される成分と同じである。
【0074】
本発明のさらなる実施態様は、わずかな炎症状態の皮膚科学的処置、皮膚科学的診断又は皮膚科学的予防のために使用される式(I)の化合物又はその立体異性体形態を含む皮膚科学的組成物である。
【0075】
特に本発明は、外因性因子によって引き起こされるそう痒及び皮膚の老化の皮膚科学的処置、皮膚科学的診断又は皮膚科学的予防のために使用される式(I)の化合物又はその立体異性体形態を含む皮膚科学的組成物を包含する。外因性因子としては、一般に環境因子;より具体的には、太陽、光線又はすべての他の放射線への曝露に起因した光老化、大気汚染、創傷、感染、外傷性傷害、酸素欠乏症、タバコの煙、外因に応答したホルモン状態、神経ペプチド、電磁場、重力、ライフスタイル(例えば、過剰なアルコール摂取)、反復性表情、寝るときの体勢及び心理的ストレッサーが挙げられる。
【0076】
皮膚科学的に不活性な成分に加えて、この皮膚科学的組成物はまた、皮膚科学的又は薬学的に活性な成分を含み得る。従って本発明はまた、式(I)の化合物又はその立体異性体形態及び少なくとも1つのさらなる皮膚科学的若しくは薬学的に活性な成分を含む皮膚科学的組成物に関する。本明細書に記載される皮膚科学的組成物に使用され得る皮膚科学的又は薬学的に活性な成分は、上記で定義される化粧上活性な成分として定義される。皮膚科学的又は薬学的に活性な成分は、本発明で定義される化粧上活性な成分と同じであり得る。
【0077】
本発明の別の目的は、わずかな炎症状態の皮膚科学的処置、皮膚科学的診断又は皮膚科学的予防のために使用されることを特徴とする、式(I)の化合物又はその立体異性体形態及び少なくとも1つのさらなる皮膚科学的若しくは薬学的に活性な成分を含む皮膚科学的組成物である。
【0078】
特に本発明は、外因性因子によって引き起こされるそう痒及び皮膚の老化の皮膚科学的処置、皮膚科学的診断又は皮膚科学的予防のために使用されることを特徴とする、式(I)の化合物又はその立体異性体形態及び少なくとも1つのさらなる皮膚科学的若しくは薬学的に活性な成分を含む皮膚科学的組成物に関する。
【0079】
皮膚の老化はまた、内因性因子及び外因性因子が組み合わさって引き起こされ得るものである。従って本発明はまた、内因性因子及び外因性因子との組み合わせによって引き起こされる皮膚の老化の化粧的及び皮膚科学的処置、並びに化粧的及び皮膚科学的予防のために使用されることを特徴とする、式(I)の化合物又はその立体異性体形態及び少なくとも1つのさらなる薬学的又は化粧上活性な成分を含む皮膚科学的組成物に関する。
【0080】
本発明の別の実施態様は、式(I)の化合物又はその立体異性体形態、少なくとも1つの化粧用に許容される成分及び最終的にはさらなる化粧上活性な成分を混合することによる化粧用組成物の製造方法である。
【0081】
特に、組成物が、組成物の総質量に基づいて式(I)の化合物又はその立体異性体形態を0.01〜20質量%含むものである、式(I)の化合物又はその立体異性体形態、少なくとも1つの化粧用に許容される成分及び最終的にはさらなる化粧上活性な成分を混合することによる化粧用組成物の製造方法が本発明の目的である。
【0082】
さらなる局面は、式(I)の化合物又はその立体異性体形態、少なくとも1つの皮膚科学的に許容される成分及び最終的にはさらなる薬学的に活性な成分を混合することによる皮膚科学的組成物の製造方法を扱っている。
【0083】
本発明の化合物の多くは、次の一般合成スキームに従って合成され得る。
【0084】
【化46】

スキーム1において、タイプ(1)のアニリンを、ジクロロメタン中のN’−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDC)、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノ−ピリジン(DMAP)及びタイプ(2)のカルボン酸と不活性雰囲気条件下で反応させて、タイプ(3)のアミドを得る。タイプ(3)のアミドを、−78℃でジクロロメタン中の三臭化ホウ素とさらに反応させて、対応するタイプ(4)の2,4,6−トリヒドロキシフェニルを得る。(4)のような化合物を導くスキーム1に示される合成順序は、(1)のようなY−Hビルディングブロックに減縮されるだけではなく、一般にすべての他のY−Hタイプのビルディングブロックに適用され得る。
【0085】
【化47】

スキーム2において、一般タイプ(5)のブロム化芳香族又は複素芳香族エステルを、Suzuki型塩基性条件下(ジメトキシエタン中のPd(PPh34及び水性炭酸水素ナトリウム)で、2,4,6−トリメトキシフェニルボロン酸(6)と不活性条件下で反応させてタイプ(7)のビアリールとし、これを、アセトニトリル中の水性水酸化リチウムで加水分解し、対応するカルボン酸(8)を得て、これを、無水ジクロロメタン中の塩化オキサリルとの反応によって、タイプ(9)のビルディングブロックに転換する。
【0086】
【化48】

【0087】
スキーム3において、(9)のような酸塩化物を、塩基性条件下(ジクロロメタン中のピリジン)で一般タイプ(10)のアニリンと反応させて、対応するアニリド(11)を形成させる。あるいは、トリエチルアミンを、この反応工程に使用し得る。エステル(11)を、MeCN中のLiOH又はTHF/MeOHと加水分解して、(12)のようなカルボン酸を得て、これを、−78℃でジクロロメタン中の三臭化ホウ素とさらに反応させ、続く水での後処理後に、対応するタイプ(13)の脱メチル化酸を得る。(13)のような化合物を導くスキーム3に示される合成順序は、(10)のようなY−Hビルディングブロックを減縮させるだけではなく、一般にすべての他のY−Hタイプのビルディングブロックに適用され得る。
【0088】
本発明を、次の代表的な実施例によってさらに例示する。
【0089】
実施例1
3−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−安息香酸(18)
【化49】

【0090】
工程1:(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)EDC塩酸塩(122mg、0.64mmol)及びトリエチルアミン(89μL、0.64mmol)を、無水ジクロロメタン(3.2mL)に溶解し、そして室温で5分間攪拌した。2−(2,4,6−トリメトキシフェニル)−酢酸(14)(101mg、0.45mmol)及びDMAP(8mg、0.06mmol)を添加し、そして10分間攪拌した。エチルエステル(15)(70mg、0.42mmol)を添加し、そしてこの反応溶液を、室温で一晩攪拌した。この反応溶液を、飽和水性NH4Cl、その後水で加水分解し、層を分離し、水層をジクロロメタンで3回抽出し、そして合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去した。分取円形クロマトグラフィー(シリカゲル 60PF、EtOAc/CyH 1+1)により粗生成物を精製して、白色固体として3−[2−(2,4,6−トリメトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−安息香酸メチルエステル(16)を得た(145mg、95%)。[K.C.Nicolaou;P.S.Baran;Y.−L.Zhong;K.Sugita;J.Am.Chem.Soc.;2002;124;10;2212−2220]。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.68(s,2H);3.83(s,3H);3.84(s,6H);3.87(s,3H);6.18(s,2H);7.33(t,1H,J=8.0Hz);7.56(br.s,1H);7.69(br.dd,1H,J=7.8Hz);7.78(t,1H,J=1.8Hz);7.90(dd,1H,J1=8.1Hz,J2=1.3Hz)。
【0091】
工程2:3−[2−(2,4,6−トリメトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−安息香酸メチルエステル(16)(140mg、0.39mmol)を、室温でTHF(25.0mL)に溶解し、そして1M水性LiOH(2.0mL、2.0mmol)を添加した。反応混合物を、室温で40時間攪拌した。反応混合物(冷却槽)を、2M水性HClでクエンチした。この混合物を、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させて、ベージュ色の固体として3−[2−(2,4,6−トリメトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−安息香酸(17)(134mg、99%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):3.71(s,2H);3.84(s,3H);3.85(s,6H);6.29(s,2H);7.43(t,1H,J=7.8Hz);7.76(d,1H,J=7.8Hz);7.83(d,1H,J=8.1Hz);8.19(br.s,1H)。
【0092】
工程3(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)3−[2−(2,4,6−トリメトキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−安息香酸(17)(134mg、0.39mmol)を、無水DCM(5.3mL)に溶解し、この溶液を−78℃に冷却し、そしてBBr3(240μL、2.55mmol)を一滴ずつ添加した。反応混合物を、−78℃で30分間攪拌し、そして徐々に暖めた後、室温でさらに2時間攪拌した。氷水を一滴ずつ添加し、層を分離し、そして水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取RP HPLC(勾配、水/CH3CN 95:5から5:95)により粗生成物を精製して、黄色がかった固体として3−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−安息香酸(18)(29mg、22%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):3.69(s,2H);5.97(s,2H);7.43(t,1H,J=8.0Hz);7.76(br.dd,1H,J1=7.6Hz);7.84(br.dd,1H,J1=8.1Hz);8.17(t,1H,J=1.8Hz)。
【0093】
実施例2
2−メチル−5−{4−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−フェニル}−フラン−3−カルボン酸(19)
【化50】

実施例1に記載の方法に従って、2−メチル−5−{4−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−フェニル}−フラン−3−カルボン酸(19)を、ベージュ色の固体として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):2.66(s,3H);3.68(s,2H);5.97(s,2H);6.89(s,1H);7.60(dd,2H,J1=9.1Hz,J2=2.3Hz);7.64(dd,2H,J1=9.1Hz,J2=2.3Hz)。
【0094】
以下に、中間体の製造を記載した:
[5−(2−アミノ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−酢酸メチルエステル(44)
【化51】

【0095】
工程1:(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)チオフェン−2−イル−酢酸メチルエステル(42)(2.0g、12.8mmol)を、無水クロロホルム(9.0mL)及び氷酢酸(9.0mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(2.3g、13.0mmol)を分けて添加し、そしてこの混合物を、室温で3日間攪拌した。水を反応混合物に添加し、層を分離し、そして水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を、1M水性NaOH及び水で数回、そしてブラインで一回洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取円形クロマトグラフィー(CyH/EtOAc 5+1]により粗生成物を精製し、黄色油として(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−酢酸メチルエステル(43)を得て(2.46g、81%)、これ以上精製せずに使用した。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.71(s,3H);3.75(s,2H);6.67(d,1H,J=3.8Hz);6.88(d,1H,J=3.8Hz)。
【0096】
工程2:(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)水(5.2mL)に溶解したエタノール(3.7mL)、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(289mg、0.25mmol)及びNa2CO3十水化物(4.0g、14.0mmol)を、引き続いてトルエン(52mL)中の2−アミノ−ベンゼンボロン酸塩酸塩(910mg、5.25mmol)の溶液に添加した。この反応混合物を、慎重に5回脱気し、そして再びN2を流した。トルエン(4.5mL)中の(5−ブロモ−チオフェン−2−イル)−酢酸メチルエステル(43)溶液(1.17g、5.0mmol)を添加した。この混合物を、再び5回脱気し、そして100℃で22時間攪拌した。反応溶液を、EtOAcとブラインとの間で分配し、そして分離された水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取円形クロマトグラフィー(CyH/EtOAc 5+1]により粗生成物を精製して、褐色油として[5−(2−アミノ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−酢酸メチルエステル(44)を得た(634mg、51%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.73(s,3H);3.83(s,2H);3.92−4.07(br.s,2H);6.74(d,1H);6.76(td,1H,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz);6.92(d,1H,J=3.5Hz);7.02(d,1H,J=3.5Hz);7.11(td,1H,J1=7.6Hz,J2=1.5Hz);7.23(dd,14H,J1=7.6Hz,J2=1.5Hz)。
【0097】
5−(2−アミノ−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(47)
【化52】

【0098】
工程1:LE23 5−ブロモ−チオフェン−2−カルボン酸(45)(1.50g、7.24mmol)を、メタノール(10mL)に溶解し、そして濃硫酸(0.39mL、7.24mmol)を添加した。この反応混合物を、75℃で20時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去し、そして残留物をEtOAcに溶解した。この有機層を、5%水性Na2CO3で3回洗浄し、そして合わせた水層を、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、そしてさらに精製せずに残留物をオイルポンプ真空下で乾燥させて、白色固体としてエステル(46)を得た(1.48g、92%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.85(s,3H);7.05(d,1H,J=4.0Hz);7.53(d,1H,J=4.0Hz)。
【0099】
工程2:LE29(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(510mg、0.45mmol)及びエステル(46)(1.97g、8.91mmol)を、DME(16mL)に溶解し、この反応混合物を、慎重に5回脱気し、そしてN2を流した。2−(4,4,5,5−テトラメチル−[l,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(2.15g、9.80mmol)及び1M水性NaHCO3溶液(27.0mL、27.0mmol)を添加し、この反応混合物を、再び慎重に5回脱気し、そしてN2を流した。混合物を、95℃で18時間攪拌した。この反応溶液を、EtOAcと水との間で分配し、そして分離された水層を、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CyH/EtOAc 5+1]により粗生成物を精製して、黄色固体として5−(2−アミノ−フェニル)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(47)を得た(1.41g、67%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.88(s,3H);4.00(s,2H);6.73−6.82(m,2H);7.13−7.21(m,2H);7.26(dd,1H,J1=7.6Hz,J2=1.0Hz);7.78(d,1H,J=3.8Hz)。
【0100】
2’,4’,6’−トリメトキシ−ビフェニル−3−カルボニルクロリド(51)
【化53】

【0101】
工程1:KM03 1,3,5−トリメトキシベンゼン(10.0g、59.46mmol)を、無水ジクロロメタン(100mL)に溶解し、反応混合物を−78℃まで冷却し、臭素(3.0mL、59.44mmol)を一滴ずつ添加し、この混合物を、−70℃と−40℃との間で1時間攪拌した。この溶液を0℃まで温め、そして水を添加した。層を分離し、そして水層を、EtAOcで3回抽出した。合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。溶媒を除去し、そして熱いEtOAc及びシクロヘキサンからの再結晶により粗生成物を精製して、白色固体として2−ブロモ−l,3,5−トリメトキシ−ベンゼン(48)を得た(8.84g、60%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.80(s,3H);3.86(s,6H);6.15(s,2H)。
【0102】
工程2:FR542(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)Pd(PPh34(342mg、0.30mmol)及び2−ブロモ−l,3,5−トリメトキシ−ベンゼン(48)(2.44g、9.87mmol)を、DME(20mL)に溶解し、そして室温で15分間攪拌した。3−(4,4,5,5−テトラメチル−[l,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸エチルエステル(3.16g、11.45mmol)、その後水性1M炭酸水素ナトリウム溶液(29.6mL、29.6mmol)を添加した。この反応混合物を慎重に脱気し、N2を流し(5回)、そして100℃で20時間撹拌した(還流)。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で有機溶媒を除去し、そして残留物を、水とEtOAcとの間で分配した。水層を、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取円形クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/CyH 1+3)により、得られる粗生成物を精製して、褐色油としてビフェニル(49)(2.41g、77%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):1.35(t,3H,J=7.1Hz);3.70(s,6H);3.85(s,3H);4.35(q,2H,J=7.8Hz);6.21(s,2H);7,42(t,1H,J=7.6Hz);7.95(br.d,1H,J=7.8Hz);7.99(br.s,1H)。
【0103】
工程3:FR543 ビフェニル(49)(2.41g、7.62mmol)を、MeCN(76mL)に溶解し、そして1M水性LiOH(38.0mL、38.0mmol)を添加した。反応混合物を、還流下で4時間攪拌した。冷却した反応混合物(冷却槽)を、1M水性HClでクエンチした(およそ3のpHを得るため)。この混合物を、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。溶媒を除去し、そしてさらに精製せずに残留物をオイルポンプ真空下で乾燥させて、黄色固体としてカルボン酸(50)を得た(2.25g、定量的(quant.))。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.71(s,6H);3.85(s,3H);6.21(s,2H);7.45(t,1H,J=7.7Hz);7.56(br.d,1H,J=7.8Hz);8.00(br.d,1H,J=7.6Hz);8.06(br.s,1H)。
【0104】
工程4:DU011(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)カルボン酸(50)(1.00g、3.50mmol)を、無水ジクロロメタン(23mL)に溶解し、そして無水DMFを5滴添加した。水浴を用いておよそ20℃に温度を保つことによって、塩化オキサリル(460μL、5.25mmol)を徐々に添加し、そして室温でさらに2時間攪拌した。溶媒を除去し、そして残留物を真空中で乾燥させて、黄色固体として粗原料2’,4’,6’−トリメトキシ−ビフェニル−3−カルボニルクロリド(51)を得た(1.10g、定量的)。さらに精製しなかった。
【0105】
5−(4−アミノ−フェニル)−2−メチル−フラン−3−カルボン酸メチルエステル(54)
【化54】

【0106】
工程1:DK001(以下の反応を、遮光下で行った。)2−メチル−フラン−3−カルボン酸メチルエステル(52)(3.60mL、28.5mmol)を、クロロホルム(20mL)及び氷酢酸(20mL)に溶解し、そしてNBS(6.90g、38.8mmol)を、95分間の間に一部分ずつ添加した。反応懸濁液を、室温でさらに19時間攪拌した。水を反応混合物に添加し、そして水層を、ジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機層を、2M水性NaOH、水(3回)及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させて、赤褐色油として5−ブロモ−2−メチル−フラン−3−カルボン酸メチルエステル(53)(4.90g、78%)を得た。さらに精製しなかった。1H NMR(400MHz,CDCl3):2.54(s,3H);3.80(s,3H);6.53(s,1H)。
【0107】
工程2:DK002+003(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)Pd(PPh34(1.26g、1.09mmol)及び5−ブロモ−2−メチル−フラン−3−カルボン酸メチルエステル(53)(4.77g、21.77mmol)を、DME(116mL)に溶解し、そして室温で15分間攪拌した。4−(4,4,5,5−テトラメチル−[l,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(5.25g、23.96mmol)、その後1M炭酸水素ナトリウム水溶液(65.4mL、65.3mmol)を添加した。この反応混合物を慎重に脱気し、N2を流し(5回)、そして95℃で4時間攪拌した(還流)。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で有機溶媒を除去し、そして残留物を、水とEtOAcとの間で分配した。水層を、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/CyH 1+2)により、得られる粗生成物を精製して、黄褐色固体として5−(4−アミノ−フェニル)−2−メチル−フラン−3−カルボン酸メチルエステル(54)を得た(2.35g、46%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):2.60(s,3H);3.74(br.s,2H);3.82(s,3H);6.64(s,1H);6.67(dt,1H,J1=8.6Hz,J2=2.3Hz);7.42(dt,2H,J1=8.8Hz,J2=2.3Hz)。
【0108】
2−チオフェン−2−イル−フェニルアミン(55)
【化55】

工程1:AB427(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(297mg、0.26mmol)及び2−ブロモ−チオフェン(837mg、5.13mmol)を、DME(42mL)に溶解し、この反応混合物を、慎重に5回脱気し、そしてN2を流した。10分間の攪拌後、2−(4,4,5,5−テトラメチル−[l,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニルアミン(1.24g、5.64mmol)及び1M NaHCO3水溶液(15.4mL、15.4mmol)を添加し、この反応混合物を、再び慎重に5回脱気し、そしてN2を流した。この混合物を、95℃で3時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去し、そして残留物を、EtOAcと水との間で分配した。分離された水層を、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル 60、CyH/EtOAc 15+1]により粗生成物を精製して、褐色固体として2−チオフェン−2−イル−フェニルアミン(55)を得た(825mg、92%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):4.40−6.00(m,2H);6.88(td,1H,J1=7.6Hz,J2=1.0Hz);6.93(dd,1H,J1=8.0Hz,J2=1.0Hz);7.07(dd,1H,J1=5.3Hz,J2=3.5Hz);7.17(td,1H,J1=8.0Hz,J2=1.5Hz)7.22(dd,1H,J1=3.5Hz,J2=1.3Hz);7.30(dd,1H,J1=7.6Hz,J2=1.5Hz);7.33(dd,1H,J1=5.3Hz,J2=1.3Hz)。
【0109】
[5−(3−アミノ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−酢酸メチルエステル(57)
【化56】

【0110】
工程1:FR544(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)テトラキス−(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(1.12g、0.97mmol)及びエステル(43)(4.57g、19.44mmol)を、トルエン(200mL)及びEtOH(20.0mL)に溶解し、この反応混合物を、慎重に5回脱気し、そしてN2を流した。3−ニトロフェニルボロン酸(3.57g、21.38mmol)及び3M Na2CO3水溶液(18.1mL、54.3mmol)を添加し、この反応混合物を、再び慎重に5回脱気し、そしてN2を流した。この混合物を、100℃で18時間攪拌した。反応溶液を、EtOAcと水との間で分配し、そして分離された水層を、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取円形クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/CyH 1+5)により、得られる粗生成物を精製して、黄色固体として[5−(3−ニトロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−酢酸メチルエステル(56)を得た(3.15g、58%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.75(s,3H);3.85(s,2H);6.94(br.d,1H,J=3.8Hz);7.27(d,1H,J=3.8Hz);7.51(t,1H,J=8.0Hz);7.84(ddd,1H,J1=7.8Hz,J2=1.5Hz,J3=0.8Hz);8.08(ddd,1H,J1=8.3Hz,J2=2.1Hz,J3=1.0Hz);8.39(t,1H,J=1.9Hz)。
【0111】
工程2:(以下の反応を、N2雰囲気で行った。)[5−(3−ニトロ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−酢酸メチルエステル(56)(3.15mg、11.35mmol)を、MeOH(225mL)に溶解し、そして炭素上のPd(10%(w/w)Pd含量、1.20g、1.13mmol)、その後NH4CO2H(7.15g、113.4mmol)を室温で添加した。この反応混合物を慎重に脱気し(N2を流した)、そして室温で22時間攪拌した。短いセライトパッドを通じて反応混合物を濾過し、そして溶媒を除去した。分取円形クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/CyH 1+3)により、得られる粗生成物を精製して、黄色固体として[5−(3−アミノ−フェニル)−チオフェン−2−イル]−酢酸メチルエステル(57)を得た(2.08g、74%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.73(s,3H);3.81(s,2H);6.59(dd,1H,J1=7.8Hz,J2=2.0Hz);6.86(br.d,1H,J=3.5Hz);6.88(t,1H,J=1.9Hz);6.97(br.d,1H,J=7.6Hz);7.09(d,1H,J=3.5Hz);7.13(t,1H,J=7.7Hz)。
【0112】
実施例3
2−メチル5−{4−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−フラン−3−カルボン酸(60) REV968
【化57】

【0113】
工程1:AB438(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)アニリン(54)(150mg、0.65mmol)を、無水ジクロロメタン(10.0mL)に溶解し、無水ピリジン(1.7mL)及びカルボン酸塩化物(51)(218mg、0.71mmol)を添加した。反応混合物を、室温で20時間攪拌した。反応混合物を、氷冷1M水性HClに注ぎ、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取円形クロマトグラフィー(シリカゲル、EtOAc/CyH 1+5、その後1+3、その後1+1)により、得られる粗生成物を精製して、黄色固体としてアミド(58)を得た(95mg、29%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):2.63(s,3H);3.72(s,6H);3.83(s,3H);3.86(s,3H);6.23(s,2H);6.81(s,1H);7.46−7.53(m,2H);7.61(d,2H,J=8.5Hz);7.66(d,2H,J=8.6Hz);7.76−7.82(m,3H)。
【0114】
工程2:AB439 エステル(58)(71mg、0.14mmol)を、THF(2.4mL)及びMeOH(0.6mL)に溶解し、そして1M水性LiOH(710μL、0.71mmol)を添加した。反応混合物を、室温で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、そして残留物を、EtOAcと1M HClとの間で分配した。水層を分離し、そしてEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層を、水及びブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、そしてさらに精製せずに残留物をオイルポンプ真空下で乾燥させて、ベージュ色の固体として粗生成物(59)を得た(68mg、99%)。1H NMR(400MHz,DMSO−d6):2.59(s,3H);3.67(s,6H);3.83(s,3H);6.34(s,2H);6.99(s,1H);7.38(br.d,1H,J=7.6Hz);7.48(t,1H,7.7Hz);7.67(d,2H,J=8.8Hz);7.77(br.s,1H);7.81−7.87(m,3H);10.29(s,1H);12.60(br.s,1H)。
【0115】
工程3:AB440(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)カルボン酸(59)(65mg、0.13mmol)を、無水ジクロロメタン(2.7mL)及び無水1,2−ジクロロエタン(2.0mL)に懸濁し、この溶液を、−78℃まで冷却し、そしてジクロロメタン(800μL、0.80mmol)中の1M BBr3溶液を一滴ずつ添加した。反応混合物を、−78℃で10分間攪拌し、そして徐々に暖めた後、室温でさらに4時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、水及びジクロロメタン、その後EtOAcを一滴ずつ添加した。水層を分離し、そしてEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、そして分取RP HPLC(勾配、水/CH3CN 95:5から5:95)により粗生成物を精製して、黄色固体として2−メチル5−{4−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−フラン−3−カルボン酸(60)(11mg、19%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):2.68(s,3H);6.03(s,2H);6.95(s,1H);7.52(t,1H,J=7.7Hz);7.61(dt,1H,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz)7.71(d,2H,J=8.8Hz);7.81(d,2H,J=8.8Hz);7.83(dt,1H,J1=8.1Hz,J2=1.4Hz),7.95(t,1H,J=1.5Hz)。
【0116】
実施例4
(5−{2−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(63) REV974
【化58】

【0117】
工程1:FR600(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)アニリン(44)(823mg、3.33mmol)を、無水ジクロロメタン(17.0mL)に溶解し、無水ピリジン(680μL、8.33mmol)及びカルボン酸塩化物(51)(1.67g、4.32mmol)を添加した。反応混合物を、室温で20時間攪拌した。反応混合物を、氷冷1M水性HClに注ぎ、EtOAcで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。分取円形クロマトグラフィー(シリカゲル
60PF、CyH/EtOAc 3+1)により粗生成物を精製して、黄色固体としてアミド(61)を得た(722mg、41%)。1H NMR(400MHz,CDCl3):3.69(s,6H);3.72(s,3H);3.80(s,2H);3.86(s,3H);6.21(s,2H);6.92(d,1H,J=3.5Hz);7.01(d,1H,J=3.5Hz);7.14(t,1H,J=7.3Hz);7.36−7.42(m,2H);7.44(d,1H,J=7.8Hz);7.48(br.d,1H,J=7.6Hz);7.61(br.d,1H,7.3Hz);7.78(br.s,1H);8.35(br.s,1H);8.50(d,1H,J=8.3Hz)。
【0118】
工程2:FR601 エステル(61)(722mg、1.39mmol)を、MeCN(14.0mL)に溶解し、そして1M水性LiOH(7.0mL、7.00mmol)を添加した。反応混合物を、室温で20時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、そして残留物を、EtOAcと1M HCl(1+1)との間で分配した。水層を分離し、そしてEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、そしてさらに精製せずに残留物をオイルポンプ真空下で乾燥させて、黄色固体として粗生成物(62)を得た(714mg、定量的)。1H NMR(400MHz,CD3CN):3.69(s,6H);3.80(s,2H);3.85(s,3H);6.30(s,2H);6.92(d,1H,J=3.5Hz);7.14(d,1H,J=3.8Hz);7.28(td,1H,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz);7.39(td,1H,J1=7.8Hz,J2=1.3Hz);7.42−7.49(m,2H);7.54(dd,1H,J1=7.8Hz,J2=1.3Hz);7.69(br.s,1H);7.73(dt,1H,J1=7.3Hz,J2=1.8Hz);7.89(d,1H,J=7.6Hz);8.53(br.s,1H)。
【0119】
工程3:FR602(以下の反応を、無水N2雰囲気で行った。)カルボン酸(62)(700mg、1.39mmol)を、無水ジクロロメタン(28.0mL)に溶解し、この溶液を−78℃まで冷却し、そしてジクロロメタン中の1M BBr3溶液(8.5mL、8.50mmol)を一滴ずつ添加した。この反応混合物を、−78℃で10分間攪拌し、そして徐々に暖めた後、室温でさらに4時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、水及びジクロロメタン、その後EtOAcを一滴ずつ添加した。水層を分離し、そしてEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、そしてNa2SO4で乾燥させた。減圧下で溶媒を除去し、そして分取RP HPLC(勾配、水/CH3CN 95:5から5:95)により粗生成物を精製して、ベージュ色の固体として(5−{2−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(63)(146mg、22%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD)3.85(s,2H);6.02(s,2H);6.97(d,1H,J=3.5Hz);7.18(d,1H,J=3.5Hz);7.35(td,1H,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz);7.42(td,1H,J1=7.6Hz,J2=1.5Hz);7.50(t,1H,J=7.7Hz);7.61(br.d,2H,J=7.6Hz);7.79(br.d,2H,J=7.6Hz);7.93(br.s,1H)。
【0120】
実施例5
(5−{2−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(25) REV989、DU27
【化59】

(5−{2−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(25)を、実施例1の工程1〜3に記載される方法に従って、アミン(44)及びカルボン酸塩化物(14)から出発して製造して、褐色固体として(5−{2−[2−(2,4,6−トリヒドロキシ−フェニル)−アセチルアミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(25)(3工程にわたって25mg、16%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):3.58(s,2H);3.88(s,2H);5.88(s,2H);6.67(d,1H,J=3.3Hz);6.84(d,1H,J=3.3Hz);7.14(t,1H,J=7.3Hz);7.31−7.37(m,2H);8.26(d,1H,J=8.6Hz)。
【0121】
実施例6
5−{2−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−カルボン酸(26) REV971、LE37
【化60】

5−{2−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−カルボン酸(26)を、上記の実施例4の工程1〜3の方法に従って、アミン(47)及びカルボン酸塩化物(51)から出発して製造して、白色固体として5−{2−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−カルボン酸(26)(3工程にわたって44mg、22%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):6.02(s,2H);7.32−7.36(m,1H);7.41(t,1H,J=7.6Hz);7.46−7.53(m,2H);7.62(dt,1H,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz);7.65−7.73(m,3H);7.80(dt,1H,J1=8.1Hz,J2=1.4Hz);7.96(br.s,1H)。
【0122】
実施例7
(5−{3−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(64) REV996、KM7
【化61】

(5−{3−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(64)を、上記の実施例4の工程1〜3の方法に従って、アミン(57)及びカルボン酸塩化物(51)から出発して製造して、褐色固体として(5−{3−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−フェニル}−チオフェン−2−イル)−酢酸(64)(3工程にわたって3mg、4%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):3.88(s,2H);6.03(s,2H);6.97(d,1H,J=3.5Hz);7.29(d,1H,J=3.8Hz);7.36−7.44(m,2H)7.53(t,1H,J=7.7Hz);7.61(dt,1H,J1=7.6Hz,J2=1.4Hz);7.66(dt,1H,J1=7.3Hz,J2=1.8Hz),7.85(dt,1H,J1=7.8Hz,J2=1.5Hz);7.96(t,1H,J=1.5Hz);8.05(br.s,1H)。
【0123】
実施例8
2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−チオフェン−2−イル−フェニル)−アミド(65) REV965、AB437
【化62】

2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−チオフェン−2−イル−フェニル)−アミド(65)を、上記の実施例4の工程1及び3の方法に従って、アミン(55)及びカルボン酸塩化物(51)から出発して製造して、ベージュ色の固体として2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(2−チオフェン−2−イル−フェニル)−アミド(65)(2工程にわたって12mg、9%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):6.02(s,2H);7.13(dd,1H,J1=5.1Hz,J2=3.8Hz);7.35(dd,1H,J1=3.5Hz,J2=1.0Hz);7.38(dd,1H,J1=7.6Hz,J2=1.3Hz);7.41−7.48(m,2H);7.50(d,1H,J=7.6Hz);7.61(dt,1H,J1=7.8Hz,J2=1.4Hz);7.64(dd,1H,J1=7.6Hz,J2=1.5Hz);7.73(dd,1H,J1=7.8Hz,J2=1.3Hz);7.77(dt,1H,J1=8.1Hz,J2=1.4Hz);7.92(t,1H,J=1.5Hz)。
【0124】
実施例9
2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド(66) REV961、DU15
【化63】

2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド(66)を、上記の実施例4の工程1及び3の方法に従って、3−トリフルオロメチル−フェニルアミン及びカルボン酸塩化物(51)から出発して製造して、ベージュ色の固体として2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボン酸(3−トリフルオロメチル−フェニル)−アミド(66)(2工程にわたって54mg、54%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):6.02(s,2H);7.45(br.d,1H,J=7.6Hz);7.53(t,1H,J=7.7Hz);7.58(t,1H,J=8.0Hz);7.62(dt,1H,J1=7.8Hz,J2=1.4Hz);7.85(ddd,1H,J1=7.8Hz,J2=1.8Hz,J3=1.3Hz);7.95−7.99(m,2H);8.21(br.s,1H)。
【0125】
実施例10
3−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−安息香酸(67) REV1007、LE80
【化64】

3−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−安息香酸(67)を、上記の実施例3の工程1〜3の方法に従って、3−アミノ−安息香酸メチルエステル及びカルボン酸塩化物(51)から出発して製造して、オフホワイト固体として3−[(2’,4’,6’−トリヒドロキシ−ビフェニル−3−カルボニル)−アミノ]−安息香酸(67)(3工程にわたって22mg、14%)を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):6.02(s,2H);7.48(t,1H,J=8.0Hz);7.52(t,1H,J=7.8Hz);7.61(br.d,1H,J=7.8Hz);7.84(t,2H,J=7.2Hz);7.96(br.s,1H);8.01(br.d,1H,J=8.3Hz);8.34(br.s,1H)。
【0126】
以下のスキーム6で言及される化合物は、本明細書で特に好ましい化合物と呼ばれる化合物である。
【化65】

【0127】
シアリルルイスxチロシンスルフェートアッセイ(sLexTSA):
本発明の化合物を、PSGL−1代替物のようなポリマーマトリックスに連結されたsLex及びチロシンスルフェート残基とのP−セレクチン、L−セレクチン又はE−セレクチンキメラ分子の結合を阻害する能力について分子レベルでアッセイした。選択されたIC50値を測定した。
【0128】
マイクロタイタープレートを、ヤギ抗ヒトFc mAB(10μg/mL)を含むカーボネート緩衝液、pH9.6中で一晩コーティングした。アッセイ緩衝液(25mM 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、150mM NaCl、1mM CaCl2 pH7.4)での洗浄及びブロッキング(アッセイ緩衝液中の3%ウシ血清アルブミン(BSA))後、プレートを、ヒトP−セレクチン−IgG−キメラ(0.61nM、それぞれ150ng/mL)又はヒトL−セレクチン−IgG−キメラ(0.61nM、それぞれ89ng/mL)又はヒトE−セレクチン−IgG−キメラ(0.61nM、それぞれ131ng/mL)とともに、37℃で2時間インキュベートした。15% sLex、10%チロシンスルフェート及び5%ビオチンを保有するsLex−チロシンスルフェートポリアクリルアミド(lmg/ml)5μlを、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ溶液(lmg/ml)20μl及びCaCl2を含まないアッセイ緩衝液25μlとともに複合体化した。アッセイでの使用のために、このリガンド複合体を、アッセイ緩衝液で1:10000に希釈し、そして2% DMSOを含むアッセイ緩衝液中の様々な量の化合物とさらに1:1希釈した。この混合物を、E−セレクチン又はP−セレクチンであらかじめコーティングされたウェルに添加した。37℃で2時間のインキュベーション後、ウェルを、0.005%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN20)を含むアッセイ緩衝液で6回洗浄し、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)/H22基質溶液20μlで10〜15分間発色させ(develop)、そして1M H2SO4 20μlで停止させた。結合したsLex−チロシンスルフェートリガンド複合体を、Fusionα−FPリーダー(Packard Bioscience、Dreieich、Germanyから販売)において、450nm対620nmの吸光度を測定することによって定量した。
【0129】
sLexTSAの結果:E−/P−/L−セレクチンに対するIC50データ
【表1】

【0130】
流動チャンバーアッセイ/流動条件下での細胞接着及びローリング
血管での流動に似ている動力学的条件下で化合物が細胞結合を阻害する能力を評価するために、P−セレクチン、L−セレクチン及びE−セレクチンキメラ分子とのHL−60細胞/種々の細胞株の結合を検討/試験する流動チャンバーアッセイを行った。
【0131】
流動条件下での細胞結合を、パラレル流動チャンバー系を用いて測定した。35mmのポリスチレン培養皿を、ヒトE−セレクチン−IgGキメラ又はヒトP−セレクチン−IgGキメラをそれぞれ2.5μg/ml又は10μg/mlの濃度で含むコーティング緩衝液(50mMトリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液(トリス)、150mM NaCl、2mM CaCl2;pH7.4)を用いて、室温で1時間コーティングした。コーティング溶液を除去した後、非特異的な結合部位を、コーティング緩衝液中の1% BSAを用いて、室温でさらに1時間ブロックした。アッセイ緩衝液(「Roswell Park Memorial Institute 1640」(RPMI 1640)+10mM HEPES)での洗浄後、この皿を、パラレルプレートの層流チャンバー(Glycotech、Rockville、MDから販売)に装着し、そしてPCに接続されたCCDカメラ(JVC)を備えた倒立位相差顕微鏡(Olympus、Hamburg、Germanyから販売)にマウントした。蠕動ポンプ(Ismatec、Wertheim−Mondfeld、Germanyから販売)を利用して、再循環系を、化合物又は媒体のコントロール(DMSO)125μMを含むアッセイ緩衝液で平衡化した。細胞(100万個/ml)をチャンバーに添加し、そして速い流動速度で2分間分配させた。次いで流動速度を減少させ、1ダイン/cm2の計算流動剪断を生じさせた。10の低倍率視野の動画像列を、5分間の連続した流動の後にデジタルに記録した。阻害のパーセンテージを、独立した実験において、化合物の存在条件対非存在条件で、コーティングされた皿表面に結合した1視野当たりの平均細胞数から計算した。
【0132】
E−セレクチン及びP−セレクチンに関する流動チャンバーアッセイのデータ
値を、化合物xの%阻害をbimosiamoseの%阻害で割った正規化された比として与えた。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の少なくとも1つの化合物又は該化合物の薬学的に受容可能な塩、エステル若しくはアミド及びプロドラッグ及び医薬に有用な薬学的に受容可能な担体を含む薬学的組成物。
上記式中、
−X−は、
(a)
【化2】

であって、ここでmは、0、1であり;nは、1〜3の整数であり、
(b)
【化3】

であって、ここで「環」は、
【化4】

であり、そしてここでR1は、H、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、NH2、NHアルキル、NHアリール、NHアシルであり、そしてkは0、1であり、
(c)
【化5】

であって、Tは、O、S又は[H,H]であり;pは、0、1、2であり、
−Yは、
(a)
【化6】

であって、sは、0又は1であり、
2は、CO2H、CO2アルキル、CO2アリール、CO2NH2、CO2アラルキル、SO3H、SO2NH2、PO(OH)2、1−H−テトラゾリル−、CHO、COCH3、CH2OH、NH2、NHアルキル、N(アルキル)アルキル’、OCH3、CH2OCH3、SH、F、Cl、Br、I、CH3、CH2CH3、CN、CF3であり、
3は、R2から独立してH、CH3、CH2CH3、CF3、F、Cl、Br、I、CN、NO2であり、そしてR4は、R2及びR3から独立してH、CH3、CH2CH3、CF3、F、Cl、Br、I、CN、NO2、R2であり、
5は、H、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、OCH3、SH、NH2であり、
そして−W−は、−(CH2−)v、シス−CH=CH−又はトランス−CH=CH−であり、そしてvは、0、1、2であり;
−W−が、シス−CH=CH−又はトランス−CH=CH−である場合には、R2は、NH2又はSHであってはならず;
(b)
【化7】

であって、R6は、R2から独立してH、F、Cl、Me、tert−Bu、CN、NH2であり、
(c)
【化8】

であり、
(e)
【化9】

であって、ここでtは、0、1、2であり、
−Zは、
(i)
【化10】

であって、R7は、R2から独立してH、NO2、CF3、F、Cl、Br、I、CN、CH3、OCH3、SH、NH2であり、
(iv)
【化11】

であって、ここでKは、NH、NMe、O、Sであり、
(v)
【化12】

である。
【請求項2】
化合物が、式(II):
【化13】

(式中、−X’−は、X(a)又はX(b)であり、そして−Yは、請求項1で定義される通りである)
によって定義される、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
化合物が、式(A)又は式(B):
【化14】

(式中、−X’−及び−Yは、請求項2で定義される通りであり、そして−X’’−は、
【化15】

であり、そして−Y’は、
【化16】

であり、ここですべての指標、記号及び置換基は、請求項1で定義される通りである)
によって定義される、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
化合物が、式(C):
【化17】

(式中、−X’’−及び−Y’は、請求項3で定義される通りである)
で定義される、請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
化合物が、式(D):
【化18】

(式中、−X’’−は、請求項3で定義される通りであり、そして−Y’’は、
【化19】

であって、ここでR9は、CO2H、CO2アルキル、CO2アリール、CO2NH2、CO2アラルキル、CH2SO3H、CH2SO2NH2、CH2PO(OH)2、1−H−テトラゾリル、CHO、COCH3、CH2OH、CH2NH2、CH2NHアルキル、CH2N(アルキル)アルキル’、CH2OCH3、CH2SHであり、
ここですべての指標、記号及び置換基は、請求項1で定義される通りである)
で定義される、請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の式(C)又は式(D)の一般構造を有する化学物質。
【請求項7】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性肺障害(ALI)、心肺バイパス、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、クローン病、敗血症性ショック、敗血症、慢性炎症性疾患(例えば乾癬、アトピー性皮膚炎及び慢性関節リウマチ)、並びに心臓発作、脳卒中、アテローム性動脈硬化症及び器官移植後に生じる再灌流障害、外傷性ショック、多臓器不全、多発性硬化症のような自己免疫疾患、経皮経管的血管形成術、喘息並びに炎症性腸疾患を処置するための医薬の製造のための、請求項1で定義される式(I)の構造を有する化合物の使用。
【請求項8】
炎症性疾患を処置、診断又は予防するための医薬の製造のための、請求項1で定義される式(I)の構造を有する化合物の使用。
【請求項9】
診断又は治療の薬剤標的のためのビヒクルの製造のための、請求項1で定義される式(I)の構造を有する化合物の使用。
【請求項10】
化粧用組成物又は皮膚科学的組成物の製造のための、請求項1で定義される式(I)の構造を有する化合物の使用。
【請求項11】
請求項1に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物及び少なくとも1つの化粧用に許容される成分を含む化粧用組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)の少なくとも1つの化合物及び少なくとも1つの皮膚科学的に許容される成分を含む皮膚科学的組成物。

【公表番号】特表2009−508900(P2009−508900A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531607(P2008−531607)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009153
【国際公開番号】WO2007/039112
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508084917)レボタール・バイオファーマシューティカルズ・アーゲー (5)
【Fターム(参考)】