説明

ソレノイド型アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置

【課題】 コイルへの通電によって加振力を発生するソレノイド型アクチュエータにおいて、可動子の偏磨耗を軽減することによって、目的とする作動特性が長期に亘って安定して発揮され得る、改良された構造のソレノイド型アクチュエータを提供すること。
【解決手段】 コイル部材104への通電によって生ぜしめられる磁界の作用で可動子140を駆動せしめるようにする一方、該可動子140の外周面を該コイル部材104の軸方向に案内する筒状のガイド内面128を有する案内筒部材126を該コイル部材104に対して傾動可能に支持せしめる傾動支持手段148,150を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルへの通電によって生ぜしめられる磁界の作用で可動子を駆動せしめるソレノイド型アクチュエータと、それを用いた能動型防振装置に係り、特に自動車のエンジンマウントやボデーマウント,制振器などの防振装置において好適に採用されるソレノイド型アクチュエータおよびそれを用いた能動型防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振支持体や防振連結体、或いは防振すべき振動部材に対して装着される制振装置などの防振装置の一種として、防振対象部材や防振装置に加振力を及ぼすことにより、防振すべき振動を積極的乃至は相殺的に低減せしめるようにした能動型防振装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のものが、それである。
【0003】
このような能動型防振装置では、加振力を発生するアクチュエータが必要であり、かかるアクチュエータにおいては、発生加振力に関して周波数や位相の高度の制御性が要求される。
【0004】
そこで、能動型防振装置に採用される防振用アクチュエータとしては、上述の特許文献1や、特許文献2にも記載されているように、一般に、コイルの周囲にヨーク部材を組み付けた固定子によって磁路を形成する一方、コイルへの通電によって生ぜしめられる磁界の作用で駆動力が及ぼされる可動子を設けることによって、コイルへの通電によって可動子を軸方向に駆動するソレノイドを用いた電磁式のソレノイド型アクチュエータが、好適に採用される。このようなソレノイド型アクチュエータは、コイルへの通電を制御することによって、発生加振力を高度に制御することが可能となる。
【0005】
ところで、このようなソレノイド型アクチュエータは、例えば防振用アクチュエータとして防振装置に適用される際には、可動子を1mm以下の振幅をもって数十Hz以上の高周波数域において加振駆動せしめるという、高精度な加振駆動が要求される。このような高精度な加振駆動を安定して実現するために、ガイド内面を有する案内筒部材をコイルの中心孔に配設すると共に、かかる案内筒部材に可動子を挿入配置して、ガイド内面によって可動子を駆動方向に案内するガイド機構が、好適に採用される。
【0006】
ところが、このようなソレノイド型アクチュエータにおいては、製造上の部品公差や組み付け誤差、或いは可動子が連結された防振対象部材のアクチュエータ作動時における不規則な変位が伝達されることによって、可動子が駆動方向に対して傾けられるおそれがあった。ここにおいて、案内筒部材は可動子の目的とする駆動方向に延び出して形成されていると共に、可動子と案内筒部材との隙間は非常に小さいことから、可動子が僅かに傾けられることによって、案内筒部材に対する片当たり状態が生じて、可動子が案内筒部材に対してこじりながら摺動するおそれがあった。
【0007】
このような片あたり状態での摺動は、可動子の案内筒部に対する接触部位の接触面圧を高くしてしまい、接触部位の磨耗を早めることとなる。一般的に、可動子の表面にはフッ素樹脂等を用いた摺動用表面処理や、メッキ処理等による防錆用表面処理等各種の表面処理が施されており、このような局所的な偏磨耗が生じると、かかる接触部位における表面処理層が剥がされてしまい、これらの表面処理による摺動特性や防錆特性を長期に亘って維持することが出来なくなる。また、偏磨耗によって可動子の重量バランスを損なうこととなって、ソレノイドの作動安定性を阻害するおそれがあった。
【0008】
このような問題に対処するために、例えば特許文献3には、可動子に設けた係合突部をガイド内面に設けたスリットに係合せしめて軸方向に案内することによって、可動子の傾きを抑えるソレノイド型アクチュエータが開示されている。しかし、このようなソレノイド型アクチュエータにおいては、傾きの生じた可動子を目的とする駆動方向に矯正しようとすることから、係合部位における接触面圧をより高めてしまい、可動子の耐久性をより低下せしめるおそれがある。
【0009】
また、例えば特許文献4には、複数の剛球と弾性部材からなる軸受部材をガイド内面の軸方向端部に設けることによって、可動子の偏りを軽減するソレノイド型アクチュエータが開示されている。しかし、このようなソレノイド型アクチュエータにおいては、ソレノイドの端部で可動子を軸支するのみであり、軸方向に所定の寸法を有する可動子の傾きを防止するには不十分であって、未だ有効な解決策ではなかった。加えて、軸受部材の組付精度上の問題があり、軸受部材の組付誤差の更なる重畳によって中心軸合わせが一層難しくなることも懸念される。
【0010】
【特許文献1】特開2004−76819号公報
【特許文献2】特開2004−153063号公報
【特許文献3】特開平11−74118号公報
【特許文献4】特開2002−25820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、コイルへの通電によって加振力を発生するソレノイド型アクチュエータにおいて、可動子の偏磨耗を軽減することによって、目的とする作動特性が長期に亘って安定して発揮され得る、改良された構造のソレノイド型アクチュエータを提供することにある。
【0012】
また、本発明は、そのようなソレノイド型アクチュエータを用いて構成された、改良された構造を有する防振用アクチュエータ、能動型防振装置、および能動型防振用制振器を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面の記載、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0014】
(ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様1)
ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様1は、コイル部材の周囲にヨーク部材を組み付けて固定側磁路を形成すると共に、該コイル部材の中心孔に可動子を配設し、該コイル部材への通電によって生ぜしめられる磁界の作用で該可動子を駆動せしめるようにする一方、該可動子の外周面を該コイル部材の軸方向に案内する筒状のガイド内面を有する案内筒部材を組み付けたソレノイド型アクチュエータにおいて、前記案内筒部材を前記コイル部材に対して傾動可能に支持せしめる傾動支持手段を設けたことを、特徴とする。
【0015】
本態様に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、案内筒部材がコイル部材に対して傾動可能とされていることから、組み付け誤差やアクチュエータの作動等に起因して可動子が傾けられた場合でも、可動子の傾きに追従するように案内筒部材が傾動せしめられることによって、可動子と案内筒部材との相対的な傾きを小さく抑えて、可動子の案内筒部材に対する接触面圧を小さく抑えることが出来る。これにより、可動子が案内筒部材に対して片当たり状態で駆動変位せしめられることを可及的に回避して、可動子の偏磨耗を軽減することが出来る。
【0016】
さらに、可動子の傾きに併せて案内筒部材が傾動せしめられることから、案内筒部材による案内作用も有効に維持され得て、可動子の加振駆動もより円滑に行なわれるのである。
【0017】
即ち、従来は可動子を軸方向に案内するためにコイル部材に対して固定的に配設されていた案内筒部材を傾動可能としたことによって、可動子を駆動方向に案内するという案内筒部材の案内機能を維持しつつ、偏磨耗を軽減することが可能となるのである。なお、本態様における「傾動」とは、こじり方向の相対変位、即ち、例えば案内筒部材の中心軸がコイル部材およびヨーク部材の中心軸に対して相対的に傾く(相対角度で傾斜する)ことをいう。
【0018】
ここにおいて、案内筒部材をコイル部材に対して傾動可能に支持する傾動支持手段は、各種の構造をもって実現することが可能である。例えば、案内筒部材をコイル部材に対して弾性支持することによって傾動可能に支持したり、案内筒部材をコイル部材に対して傾き可能に案内する摺動案内面をコイル部材乃至は案内筒部材に形成することによって実現することが可能である。即ち、以下に傾動支持手段としての好適な態様を幾つか例示するが、傾動支持手段の具体的な構造は、以下に示す構造に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0019】
(ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様2)
ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様2は、前記態様1に係るソレノイド型アクチュエータであって、前記案内筒部材を前記コイル部材の中心孔に対して径方向に所定の隙間を隔てて内挿配置すると共に、該案内筒部材の軸方向両端部において該案内筒部材と該コイル部材及び/又は前記ヨーク部材との間に弾性支持部材を配設して、該弾性支持部材を介して、該案内筒部材を該コイル部材に対して軸方向および軸直角方向で弾性的に位置決め支持することにより、前記傾動支持手段を構成したことを、特徴とする。
【0020】
本態様に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、弾性支持部材の弾性変形によって、案内筒部材がコイル部材に対して傾動可能とされており、軸方向に加えて軸直方向に対しても弾性的な位置決めが可能とされている。これにより、可動子の案内筒部材に対する軸直方向の相対的な変位が生じた場合にも、案内筒部材が可動子に併せて軸直方向に変位することによって、可動子と案内筒部材との接触面圧を軽減することが出来る。また、コイル部材及び/又はヨーク部材と案内筒部材との間に弾性支持部材が介在せしめられていることによって、案内筒部材の傾斜角度が緩衝的に制限されるようになっており、可動子の加振駆動による振動や異音が案内筒部材を通じてコイル部材やヨーク部材に伝達されることも軽減されている。
【0021】
(ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様3)
ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様3は、前記態様1又は2に係るソレノイド型アクチュエータにおいて、前記案内筒部材を前記コイル部材の中心孔に対して径方向に所定の隙間を隔てて内挿配置すると共に、該案内筒部材の軸方向中央部分において外周面上に突出する支持突部を設けると共に、該支持突部の突出先端部を該コイル部材の内周面に当接させて、該支持突部の該コイル部材への当接点を支点として該案内筒部材の傾動を許容することにより、前記傾動支持手段を構成したことを、特徴とする。
【0022】
本態様に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、傾動の支点となる支持突部を設けたことによって、案内筒部材の傾動をより容易に行わしめることが出来る。これにより、可動子の傾き変位に対して案内筒部材の傾動を速やかに行なうことが出来て、可動子の案内筒部材に対する片当たり状態をより速やかに解消乃至は軽減することが出来る。なお、支持突部は案内筒部材と一体的に形成されていても良いし、別体として設けられても良い。また、支持突部は案内筒部材の全周に亘って連続して設けられていても良いし、周方向に所定間隔をもってそれぞれ離隔して設けられても良い。
【0023】
さらに、本態様に従う構造を備えたソレノイド型アクチュエータは、前記態様2の如き弾性支持部材と組み合わせて用いられることがより好ましい。このような態様によれば、支持突部によって案内筒部材の傾動を容易に許容しつつ、案内筒部材が最大許容量まで傾いた際には、弾性支持部材によって傾動を緩衝的に制限することが出来る。
【0024】
(ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様4)
ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係るソレノイド型アクチュエータにおいて、前記案内筒部材と前記コイル部材の中心孔との径方向対向面間に緩衝ゴムスリーブを配設して、該緩衝ゴムスリーブを介して該案内筒部材を弾性支持せしめることにより、前記傾動支持手段を構成したことを、特徴とする。
【0025】
本態様に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、案内筒部材の外周面の広い範囲に亘って緩衝ゴムスリーブを配設することが可能となって、案内筒部材をコイル部材及び/又はヨーク部材に対して安定して支持することが出来る。
【0026】
なお、本態様における緩衝ゴムスリーブは、必ずしも案内筒部材の外周面の全体を覆って配設される必要は無く、案内筒部材の周方向において不連続であっても良い。例えば前記態様3の如き支持突部を備えた案内筒部材に対して本態様における緩衝ゴムスリーブを用いる場合には、支持突部が形成されている部位のみを避ける形状を有する緩衝ゴムスリーブを用いることも可能である。
【0027】
(ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様5)
ソレノイド型アクチュエータに関する本発明の態様5は、前記態様1又は2に係るソレノイド型アクチュエータにおいて、前記コイル部材の中心孔の軸方向両端部分において該中心孔の略中央部分を曲率中心とする球状の支持凹面を形成する一方、前記案内筒部材の外周面の軸方向両端部分において該コイル部材の該支持凹面に対応した球状の嵌合凸面を形成し、該嵌合凸面を該支持凹面に対して球面摺動可能に嵌め合わせることにより、前記傾動支持手段を構成したことを、特徴とする。本態様に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、支持凹面と嵌合凸面による案内作用によって、案内筒部材の傾動を安定して行なうことが出来る。
【0028】
(防振用アクチュエータに関する本発明)
防振用アクチュエータに関する本発明は、軸方向に往復変位可能に離隔配置された出力部材を、防振すべき振動に対応して加振駆動せしめる防振用アクチュエータであって、前記態様1乃至5の何れかの態様に係るソレノイド型アクチュエータを用い、該ソレノイド型アクチュエータの前記可動子に対して前記出力部材を連結すると共に、前記コイル部材に設けられたコイルに対して目的とする振動に対応した周波数成分を有する駆動電圧を印加して該可動子を軸方向に加振駆動せしめることによって、該出力部材を加振駆動するようにしたことを、特徴とする。
【0029】
本態様に従う構造とされた防振用アクチュエータにおいては、ソレノイド型アクチュエータが発揮する前述の如き効果に基づいて、可動子の偏磨耗を軽減して、安定した作動特性を長期に亘って得ることが出来る。このような防振用アクチュエータは、例えば自動車用のエンジンマウントやボデーマウント、能動型防振用制振器など、各種の防振装置に適用することが可能である。なお、周波数成分を有する駆動電圧としては、交流のみならず脈流等でも良いし、アナログ的なもののみならずデジタル的に制御されたものでも良い。
【0030】
(能動型防振装置に関する本発明の態様1)
能動型防振装置に関する本発明の態様1は、相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振装置において、前記アクチュエータとして前記防振用アクチュエータを用い、前記コイル部材を略収容状態で固定的に支持せしめるハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記加振部材を該防振用アクチュエータにおける前記出力部材として前記可動子と連結することによって、該防振用アクチュエータで該加振部材を加振駆動するようにしたことを、特徴とする。本態様に従う構造とされた能動型防振装置においては、防振用アクチュエータが発揮する前述の如き効果に基づいて、可動子の偏磨耗を軽減して、安定した作動特性を長期に亘って得ることが出来る。更に、コイル部材やヨーク部材自体を傾動可能に取り付けると、マスが大きくなって可動子との位置合わせが困難となるが、本発明によれば案内筒部材のみを傾動可能としたことによって、可動子とコイル部材やヨーク部材との位置決めを高精度に維持することが出来る。
【0031】
(能動型防振装置に関する本発明の態様2)
能動型防振装置に関する本発明の態様2は、前記態様1に係る能動型防振装置において、前記可動子に軸方向に貫通する貫通孔を設けて、前記加振部材から突設したインナロッドを該貫通孔に挿通せしめると共に、該可動子に設けた連結部と該インナロッドを軸直方向の相対変位を可能に連結する相対変位許容連結手段を設けたことを、特徴とする。本態様に従う構造とされた能動型防振装置においては、加振部材の一時的な傾き変位や組み付け誤差などによって可動子が軸直方向に変位せしめられた場合でも、相対変位許容連結手段によって可動子とインナロッドとの軸直角方向(変位方向に直交する方向)での相対的な位置ずれが許容されていることから、可動子及び加振部材の何れか一方に生じた傾き変位の影響が他方に及ぼされることが回避されて、より安定した作動を実現することが出来る。
【0032】
また、各部材の寸法誤差や組付上の位置のバラツキ等の重畳によって加振部材と可動子との間に相対的な位置ずれが比較的に大きく発生した場合でも、これら両部材間における軸直角方向での相対的な位置ずれが相対変位許容連結手段によって吸収されることで、加振部材と可動子に無理な力を及ぼすことなくそれら両部材を相互に連結して容易に組み付けることが出来る。
【0033】
なお、相対変位許容連結手段の具体的構造としては各種の構造が採用可能である。例えば、可動子の貫通孔内において内方へ突出する突出部を形成して、かかる突出部の底面をインナロッドに設けた支持部材によって軸直方向の滑り変位可能に支持せしめたり、或いは、突出部を形成することなく、インナロッドを可動子の底面よりも下方に突出せしめて、可動子の底面を支持部材によって支持すること等も可能である。
【0034】
(能動型防振用制振器に関する本発明)
能動型防振用制振器に関する本発明は、防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、前記防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記コイル部材と前記可動子の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設けると共に、それらコイル部材と可動子の他方にマス部を設けたことを、特徴とする。本態様に従う構造とされた能動型防振用制振器においては、防振用アクチュエータが発揮する前述の如き効果に基づいて、可動子の偏磨耗を軽減して、安定した作動特性を長期に亘って得ることが出来る。
【発明の効果】
【0035】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたソレノイド型アクチュエータにおいては、案内筒部材がコイル部材に対して傾動可能に支持されていることによって、可動子に傾き変位が生じた際には、案内筒部材が可動子に合わせて傾動せしめられて、可動子の案内筒部材に対する接触面圧を小さくすることが出来る。これにより、可動子の案内筒部材に対する片当たり状態を軽減乃至は回避して、可動子の偏磨耗を軽減することによって、目的とする作動特性を長期に亘って得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0037】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての能動型防振装置としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が、互いに離隔して対向配置されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されたマウント本体18が、ストッパ金具20に嵌め込まれて構成されている。そして、エンジンマウント10は、第一の取付金具12が図示しないパワーユニットに取り付けられる一方、第二の取付金具14が図示しない自動車ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっている。また、そのような装着状態下、かかるエンジンマウント10には、図1中の上下方向となるマウント中心軸方向で第一の取付金具12と第二の取付金具14の間にパワーユニットの分担荷重が及ぼされることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が相互に接近する方向に本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられるようになっている。更に、それら第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、両取付金具12,14が相互に接近/離隔する方向に、防振すべき主たる振動が入力されるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として図1中の上下方向を言うものとする。
【0038】
より詳細には、第一の取付金具12は、逆向きの円錐台形状を有している。また、第一の取付金具12の大径側端部には、外周面上に突出する円環板状のストッパ部22が一体形成されている。更に、大径側端部から軸方向上方に向かって固定軸24が一体的に突設されており、この固定軸24には、上端面に開口する固定用ねじ穴26が形成されている。そして、この固定用ねじ穴26に螺着される図示しない固定ボルトによって、第一の取付金具12が、図示しない自動車のパワーユニットに取り付けられるようになっている。
【0039】
また一方、第二の取付金具14は、大径の略円筒形状を有している。また、第二の取付金具14の軸方向中間部分には、段部28が形成されており、この段部28を挟んで軸方向上側が大径部30とされている一方、軸方向下側が小径部32とされている。なお、大径部30の内周面には、薄肉のシールゴム層34が被着形成されている。更に、小径部32の下側開口端部付近には、可撓性膜としての薄肉のゴム膜からなるダイヤフラム36が配設されており、かかるダイヤフラム36の外周縁部が第二の取付金具14の小径部32の内周面に加硫接着されることで、第二の取付金具14の軸方向下側開口部が流体密に覆蓋されている。また、ダイヤフラム36の中央部分には、連結金具38が加硫接着されている。
【0040】
そして、第二の取付金具14の軸方向上方に離隔して、第一の取付金具12が位置せしめられており、これら第一の取付金具12と第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16で弾性的に連結されている。
【0041】
本体ゴム弾性体16は、全体として略円錐台形状を有しており、大径側端面にはすり鉢状の凹状面40が形成されている。また、本体ゴム弾性体16の小径側端面には、第一の取付金具12が、軸方向に差し入れられた状態で加硫接着されている。なお、第一の取付金具12のストッパ部22は、本体ゴム弾性体16の小径側端面に重ね合わされて、本体ゴム弾性体16に覆われるようにして加硫接着されていると共に、ストッパ部22から上方に突出する当接ゴム42が、本体ゴム弾性体16と一体的に形成されており、当接ゴム42の内方には凹溝44が形成されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側外周面には、連結スリーブ46が加硫接着されている。
【0042】
かかる本体ゴム弾性体16の大径側外周面に加硫接着された連結スリーブ46が、第二の取付金具14の大径部30に嵌め込まれて、大径部30が縮径加工されることにより、本体ゴム弾性体16が第二の取付金具14に対して流体密に嵌着固定される。これにより、第二の取付金具14の軸方向上側開口部が、本体ゴム弾性体16によって流体密に覆蓋されることとなり、以て、第二の取付金具14の内部には、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36との対向面間において、外部空間から流体密に遮断された封入領域としての液室48が形成されて、その液室48に非圧縮性流体が封入されている。
【0043】
なお、封入される非圧縮性流体としては、例えば、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が何れも採用可能であり、特に、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るために、粘度が0.1Pa.s以下の低粘性流体が好適に採用される。
【0044】
さらに、第二の取付金具14には、仕切部材50とオリフィス部材52が組み込まれており、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36との対向面間に配設されている。
【0045】
仕切部材50は、所定厚さをもって広がる支持ゴム弾性体54を有しており、この支持ゴム弾性体54の中央部分に加振部材としての加振板56が加硫接着されている。加振板56は、浅底の略逆カップ形状を有しており、その外周縁部が、支持ゴム弾性体54の内周縁部に加硫接着されている。なお、加振板56の上部には、支持ゴム弾性体54が回り込んで肉厚とされた緩衝部58が形成されている。
【0046】
また、支持ゴム弾性体54の外周縁部には、円環形状の外周金具60が加硫接着されており、かかる外周金具60には、周方向に所定長さで延びる周溝62が形成されている。そして、この外周金具60の軸方向上側開口部が、径方向外方に広がるフランジ状部64とされて、フランジ状部64が第二の取付金具14の段部28に重ね合わされて、段部28と連結スリーブ46の間で挟圧固定されている。これにより、仕切部材50は、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36の対向面間の中間部分で軸直角方向に広がって配設されており、第二の取付金具14の内部を軸方向両側に二分せしめている。以て、仕切部材50を挟んで、上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づく圧力変動が生ぜしめられる振動作用室としての作用流体室66が形成されている。一方、仕切部材50の下側には、壁部の一部がダイヤフラム36で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室68が形成されている。
【0047】
また、オリフィス部材52は、上下の薄肉プレート53a,53bが互いに重ね合わされることによって構成されており、その外周縁部が、外周金具60のフランジ状部64に重ね合わされて、フランジ状部64と本体ゴム弾性体16の大径側端部内周縁部との間で挟持されることにより、外周金具60を介して第二の取付金具14によって固定的に支持されている。これにより、オリフィス部材52は、本体ゴム弾性体16と仕切部材50との対向面間の中間部分で軸直角方向に広がって配設されており、作用流体室66を軸方向両側に二分せしめている。以て、オリフィス部材52を挟んで、上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された受圧室70が形成されている。一方、オリフィス部材52の下側には、壁部の一部が加振板56で構成された加振室72が形成されている。
【0048】
また、オリフィス部材52の外周縁部には、上下の薄肉プレート53a,53bの重ね合わせ面間を周方向に連続して延びる周方向通路74が形成されている。この周方向通路74の一方の端部が受圧室70に接続されていると共に、他方の端部が加振室72に接続されている。これにより、受圧室70と加振室72を相互に連通せしめる第一のオリフィス通路76が形成されている。なお、第一のオリフィス通路76は、例えば、30〜40Hz程度のアイドリング振動等の中周波数域にチューニングされる。
【0049】
更にまた、オリフィス部材52の外周縁部は、仕切部材50の外周縁部に重ね合わせられており、外周金具60の外周縁部に形成された周溝62が覆蓋されることによって第二のオリフィス通路78が形成されている。この第二のオリフィス通路78は、一方の端部が加振室72と第一のオリフィス通路76を通じて受圧室70に接続されていると共に、他方の端部が平衡室68に接続されている。これにより、受圧室70と平衡室68を相互に連通せしめる第二のオリフィス通路78が形成されている。なお、第二のオリフィス通路78は、例えば10Hz前後のエンジンシェイク等の低周波数域にチューニングされる。
【0050】
なお、オリフィス通路の具体的形態やチューニングは何等限定されるものでなく、上述のような態様の他、例えば、オリフィス部材52の中央部分を貫通して受圧室70と加振室72を直接に連通せしめる透孔形態の第一のオリフィス通路を形成して、該第一のオリフィス通路を50〜150Hz程度のこもり音等の高周波数域にチューニングする一方、オリフィス部材52の周方向通路74と外周金具60の周溝62を直接に直列的に接続することによって第二のオリフィス通路を形成するようにしても良い。
【0051】
さらに、上述の如き構造とされたマウント本体18は、第二の取付金具14がストッパ金具20に嵌め込まれており、このストッパ金具20を介して、図示しない自動車のボデーに取り付けられるようになっている。
【0052】
ストッパ金具20は大径の段付円筒形状とされて、その下側の方が上側よりも大径とされており、マウント本体18が下側開口部から挿し入れられて、係止段差部80で係止されて圧入固定されている。一方、上側開口部には内方に延び出す当接部82が形成されており、かかる当接部82に第一の取付金具12のストッパ部22が当接ゴム42を介して当接することで、リバウンド方向のストッパ機能が発揮される。なお、当接部82には挿通孔84が貫設されて、第一の取付金具12の固定軸24との間に適当な間隙が保たれており、第一の取付金具12の軸直角方向の相対変位が許容されている。また、第一の取付金具12の固定軸24には、ストッパ金具20の挿通孔84を覆うように広がる傘上の庇部材86が装着せしめられている。
【0053】
そして、ストッパ金具20に嵌め込まれた第二の取付金具14は、ストッパ金具20の係止段差部80で係止されて圧入固定されることで、抜け出し不能に固定されている。また、ストッパ金具20には、外周面上に突出して下方に延び出す複数の脚部88が固着されており、これら脚部88が図示しない自動車のボデーに載置され、固定ボルトで固定されることによってエンジンマウント10が自動車のボデーに装着される。
【0054】
また、マウント本体18においては、仕切部材50に設けられた加振板56がダイヤフラム36に設けられた連結金具38に対して密着状態で重ね合わされて固定されている。そして、これら加振板56と連結金具38に対してインナロッドとしての駆動ロッド90が固着されて、かかる駆動ロッド90が加振板56および連結金具38から軸方向下方に突出せしめられている。
【0055】
なお、連結金具38には、ダイヤフラム36と一体形成された挟圧ゴム層92が、略全周に亘って被着せしめられており、これによって、加振板56との重ね合わせ面間が流体密にシールされている。また、加振板56と連結金具38は、それぞれ中央の各上底部において重ね合わせられており、それら中央部分において、駆動ロッド90の上端部に一体形成されたかしめ部94が挿通されている。かかるかしめ部94によって、加振板56と連結金具38は密着状態でかしめ固定されており、駆動ロッド90が、加振板56から連結金具38を貫通して外方に向かって軸方向下方に突出せしめられていると共に、加振板56と連結金具38が一体とされて、後述するアーマチャ140に向かって開口する凹所96が形成されている。また、凹所96の周壁部98付近には、周壁部98を覆う形で緩衝ゴム部100がダイヤフラム36と一体形成されている。
【0056】
さらに、駆動ロッド90が突出せしめられた第二の取付金具14の軸方向下方、即ち、加振板56と連結金具38を挟んで作用流体室66と反対側には、防振用アクチュエータとしての電磁加振器102が配設されており、第二の取付金具14に支持せしめられている。
【0057】
図2に、電磁加振器102の断面図を示し、平面図を図3に示す。電磁加振器102は、コイル部材としてのソレノイドコイル104と、ソレノイドコイル104の外周面と上下両端面を囲むようにしてコ字状断面で略全周に亘って延びる強磁性材からなるヨーク部材としてのヨーク106を含んで構成されている。そして、ソレノイドコイル104とヨーク106によって、コイル通電磁に固定側磁路が形成される固定子が構成されており、固定子と後述するアーマチャ140によってソレノイド型アクチュエータが構成されている。
【0058】
より詳細には、ソレノイドコイル104は、非磁性材料からなるボビン108に巻回されたコイル110に対して、非磁性材料からなるカバー部材112がコイル110の外周を覆うようにして設けられている。ボビン108は軸方向両端部付近がフランジ状に広がる略円筒形状とされており、その中央において軸方向に貫通する貫通孔がソレノイドコイル104の中心孔114とされている。なお、カバー部材112は例えば、ボビン108にコイル110を巻回した後に、樹脂成形される。また、カバー部材112にはヨーク106に貫設された開口部から外部に突出する給電口116が一体形成されており、かかる給電口116の内部に設けられた端子を通じてコイル110に対して電源が供給されるようになっている。
【0059】
一方、ヨーク部材106は、ソレノイドコイル104の上部を覆うように配設された上ヨーク106aと、ソレノイドコイル104の外周面と下端面を囲むようにして略全周に亘ってL字状断面で延びる下ヨーク106bから構成されている。そして、上ヨーク106aの外周側端部と下ヨーク106bの上端部が接触した状態でソレノイドコイル104を覆うように配設されており、これら上ヨーク106aと下ヨーク106bによってソレノイドコイル104への通電によって生じる磁束が流れる固定側磁路が構成されている。これにより、上ヨーク106aと下ヨーク106bそれぞれの中央部分に貫設された上透孔118及び下透孔120の内周側端縁部がそれぞれ上側磁極122及び下側磁極124とされて、コイル110への通電磁に磁極が形成されるようになっている。なお、上透孔118及び下透孔120の内径寸法はソレノイドコイル104の中心孔114の内径寸法よりもやや小さくされており、上側磁極122及び下側磁極124が中心孔114からやや内方に突出するようにされている。
【0060】
そして、ソレノイドコイル104の中心孔114内には、上ヨーク106a及び下ヨーク106bによって形成される上下の内周端縁部の開口を覆蓋するようにして、案内筒部材としての案内スリーブ126が配設されている。案内スリーブ126は、ソレノイドコイル104の中心孔114の内径寸法よりもやや小さな外径寸法を有すると共に、下透孔120の磁極内面より僅かに突出する内径寸法の滑らかなガイド内面としての筒状案内面128を有する円筒形状とされている。
【0061】
なお、案内スリーブ126の材料としては、非磁性材であれば何等限定されることはないが、円滑な案内作用を得るために低摩擦性材料が好適に採用される。更に、ソレノイドコイル104の中心孔114内はコイル110への通電等による発熱によって高温状態となり易いことから、高温状態に晒されても歪などの変形が生じ難い耐熱性に優れた材料がより好適に用いられる。例えば、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、ニッケル等の非磁性の金属材料や、ポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン、ナイロン66やフェノール樹脂等の樹脂材料等が好適に採用され得る。
【0062】
一方、ソレノイドコイル104を覆うように配設されたヨーク106(下ヨーク106b)の外周縁部には、係合溝130が刻設されており、係合溝130に対して第二の取付金具14の下端縁部に形成された係止片132が嵌め入れられて係止されることで、電磁加振器102が第二の取付金具14の下端開口部を覆蓋するようにして取り付けられている。このように、本実施形態においては、ヨーク106がソレノイドコイル104を収容状態で固定的に支持するハウジング134とされており、電磁加振器102は、ブラケット等の別体を介することなく、第二の取付金具14に直接に固定されていることから、加振板56とコイル110の中心軸との組付け時の位置ずれが軽減されている。なお、電磁加振器102のヨーク106と第二の取付金具14との間には、ダイヤフラム36が下方に延び出して形成された挟圧ゴム136が挟圧されていることで、電磁加振器102のガタツキが防止されている。これにより、コイル110の中心軸が、マウント本体18の中心軸と略一致せしめられて、第二の取付金具14や加振板56の中心軸と位置合わせされる。また、ハウジング134の下方には蓋部材138がボルト固定されており、下透孔120に粉塵等が侵入するのを防止している。なお、かかる蓋部材138とアーマチャ140の下端面との対向部位に緩衝ゴムを設けて、アーマチャ140を蓋部材138と緩衝的に当接せしめる等しても良い。
【0063】
そして、ソレノイドコイル104が組み付けられたハウジング134の上下透孔118、120内には、可動子としてのアーマチャ140が組み付けられている。アーマチャ140は全体として略円形ブロック形状の強磁性体によって形成されており、案内スリーブ126の内径寸法よりも僅かに小さい外径寸法とされて、案内スリーブ126に差し入れられるようにして、コイル110と略同一中心軸上で軸方向に相対変位可能に組み付けられている。
【0064】
より詳細には、アーマチャ140は、上下側磁極122,124に跨る軸方向長さ寸法を有していると共に、その上側磁極122の近くには、外周面上に開口する周溝142が形成されている。そして、アーマチャ140における軸方向上端部と下端部が磁力作用部位とされており、例えば、図示されている如き、アーマチャ140の周溝142の上側端縁部と上ヨーク106aの上側磁極122との間、およびアーマチャ140の軸方向下端縁部と下ヨーク106bの下側磁極124との間に、それぞれ有効な磁気吸引力が作用せしめられる磁気ギャップが位置調節されて形成されるようになっている。また、アーマチャ140の外周面には、各種公知の表面処理剤による低摩擦処理や防錆処理が施されている。
【0065】
そして、図4に示すように、アーマチャ140が差し入れられた案内スリーブ126には、軸方向両端部の外周縁部に対してそれぞれ全周に亘って切欠き144,146が形成されており、かかる切欠き144,146と上ヨーク106a、下ヨーク106bとの間には弾性支持部材としてのOリング148,150が介在せしめられている。これにより、案内スリーブ126は、ソレノイドコイル104の中心孔114に対する径方向及び上ヨーク106a,下ヨーク106bに対する軸方向の何れにおいても所定の隙間を隔てた状態で、ソレノイドコイル104及びヨーク106に対して弾性的に位置決め支持されている。そして、Oリング148、150が弾性変形せしめられることによって案内スリーブ126はかかる隙間の範囲内でソレノイドコイル104及びヨーク106に対する相対変位が可能とされており、案内スリーブ126の中心軸がソレノイドコイル104の中心孔114の軸方向に対して相対的に傾き変位可能とされている。このことから明らかなように、これらOリング148、150によって案内スリーブ126をソレノイドコイル104に対して傾動可能に支持する傾動支持手段が構成されており、部品公差や組み付け誤差、或いは支持ゴム弾性体54の不規則な弾性変形等に起因してアーマチャ140が傾けられた場合にも、アーマチャ140の傾きに併せて案内スリーブ126が傾き変位可能とされている。
【0066】
なお、かかる案内スリーブ126の傾動角度:αの許容値はソレノイドコイル104や案内スリーブ126、アーマチャ140等の具体的な形状、案内スリーブ126とソレノイドコイル104との径方向隙間寸法やソレノイドコイル104やアーマチャ140の大きさ(特に軸方向寸法)等に応じて適宜に設定し得るものであるが、アーマチャ140の傾きに可及的に追従せしめるために、例えば本実施形態の如き自動車用エンジンマウントとして採用される一般的構造のものである場合には、ソレノイドコイル104の中心軸に対して0.05度以上の傾動が許容されることが望ましく、より好適には0.1度以上許容されることが好ましい。一方、傾動角度:αの許容量としては、アーマチャ140がソレノイドコイル104やヨーク106に対して干渉しない程度とされることが望ましく、ソレノイドコイル104の中心軸に対して0.3度以下、より好適には0.15度以下に設定されることが好ましい。
【0067】
さらに、アーマチャ140には、中心軸上を貫通する貫通孔としての挿通孔152が形成されている。そして、挿通孔152の軸方向中央部分よりやや上方には、内方に突出する連結部としての内方突出部154が形成されており、この内方突出部154を挟んで軸方向上側が小径部156とされると共に、軸方向下側が大径部158とされている。
【0068】
そして、アーマチャ140の挿通孔152には、駆動ロッド90が隙間を持った遊挿状態で挿し入れられており、その下端部がアーマチャ140の内方突出部154よりも下方に突出せしめられている。かかる駆動ロッド90の突出した下端部には、内方突出部154の内径寸法よりやや大きな外径寸法を有する円環状の支持部材160が外挿されており、駆動ロッド90の先端に螺着されたボルト162によって駆動ロッド90から抜け出し不能に支持されている。この支持部材160がアーマチャ140の内方突出部154に対して下面から係止されることによって、アーマチャ140が支持部材160から軸方向下方に抜け出し不能に係止されている。
【0069】
また、駆動ロッド90における内方突出部154を挟んで支持部材160の反対側には、内方突出部154の内径寸法よりも大きな外径寸法を有する円環状の押さえ部材164が外挿されており、押さえ部材164が内方突出部154の上面に重ね合わされている。更に、押さえ部材164は、駆動ロッド90の軸方向中間部分に形成された段差面166と押さえ部材164の上面との間に挟圧状態で駆動ロッド90に外挿されたゴム輪168の弾性によって軸方向下方への付勢力が及ぼされている。
【0070】
このように、アーマチャ140の内方突出部154に対して押さえ部材164と支持部材160が上下から重ね合わされて当接状態に保持されており、アーマチャ140が軸方向で固定的に位置決めされている。而して、駆動ロッド90とアーマチャ140はゴム輪168の弾性によって実質的に固着状態で連結されて、コイル110への通電によってアーマチャ140に作用せしめられる駆動力が駆動ロッド90に及ぼされるようになっている。そして、アーマチャ140と加振板56が駆動ロッド90を介して連結されることによって、加振板56が、防振用アクチュエータとしての電磁加振器102の出力部材とされている。
【0071】
また、これら支持部材160、押さえ部材164及び駆動ロッド90とアーマチャ140の内周面との軸直方向対向面間には所定の空隙が形成されている。そして、ゴム輪168による内方突出部154に対する締め付け力を調節することによって、これら支持部材160及び押さえ部材164と内方突出部154との間に生ずる静止摩擦力を超える軸直方向の外力がアーマチャ140に及ぼされた場合には、駆動ロッド90に対するアーマチャ140の軸直角方向の相対的な滑り変位が許容されるようになっており、これら内方突出部154、支持部材160、押さえ部材164及びゴム輪168によってアーマチャ140と駆動ロッド90の軸直方向相対変位を可能に連結する相対変位許容連結手段が構成されている。これにより、各部材の製造上の寸法誤差や組み付け時の位置決め誤差等に起因する駆動ロッド90とアーマチャ140との相対的な位置ずれを有利に吸収することが出来て、アーマチャ140をコイル110に対して軸直方向にも安定して位置決めすることが出来ると共に、アクチュエータ作動時における一時的な軸ずれも有利に吸収されることとなって、安定した作動特性を得ることが出来る。
【0072】
なお、駆動ロッド90に対するアーマチャ140の軸直方向の相対変位量は、支持部材160、押さえ部材164乃至は駆動ロッド90の外周端縁部とアーマチャ140の内周面との軸直方向対向面間距離によって規定されるが、許容変位量としては、0.2mm〜3mmの範囲が好適に採用される。また、アーマチャ140の滑り変位をより良好に実現するために、例えばポリエチレンやポリテトラフルオロエチレン等の低摩擦性材料による摺動部材をこれらの摺動面に組み込んだり、低摩擦処理を施す等しても良い。
【0073】
上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、図示はされていないが、コイル110への通電を制御することが可能であり、例えば、パワーユニットのエンジン点火信号を参照信号とすると共に、防振すべき部材の振動検出信号をエラー信号として、適応制御等のフィードバック制御を行なうことによって、或いは予め設定された制御データに基づくマップ制御を利用すること等によって通電制御することが出来る。これにより、アーマチャ140に磁力を作用せしめて軸方向下方に加振駆動せしめると共に、コイル110への通電を停止して支持ゴム弾性体54の復元力を作用せしめることで、加振板56に対して、防振すべき振動に対応した駆動力を作用せしめ、以て作用流体室66の内圧制御による能動的防振効果を得ることが出来るのである。
【0074】
そこにおいて、本実施形態のエンジンマウント10では、部品公差や組み付け誤差、或いは支持ゴム弾性体54の不規則な弾性変形による加振板56の傾き等に起因して、アーマチャ140が傾けられた際には、Oリング148,150の弾性変形によって、アーマチャ140の傾き変位に併せて案内スリーブ126が傾動可能とされている。これにより、アーマチャ140の案内スリーブ126に対する接触面圧を軽減して、アーマチャ140の片当たり状態による偏磨耗を軽減することによって、アーマチャ140を所望する駆動方向に案内せしめつつ、アーマチャ140に施された表面処理による摺動特性や防錆特性を長期に亘って維持することが出来る。
【0075】
また、特に本実施形態においては、案内スリーブ126の筒状案内面128の軸方向両端部には、軸方向外方に向かって拡径する面取りが施されており、アーマチャ140と案内スリーブ126との間に相対的な傾き変位が生じている場合にも、カジリによる磨耗や異音の発生が軽減されている。更に、案内スリーブ126のOリング148,150と接する上切欠き144、下切欠き146には滑らかな面取りが施されており、Oリング148,150に食い込んでOリング148,150を傷つけることが軽減されている。
【0076】
加えて、本実施形態においては、相対変位許容連結手段としての支持部材160及び押さえ部材164によって駆動ロッド90とアーマチャ140との軸直角方向の相対変位が可能とされていることから、加振板56の一時的な傾きや組み付け誤差等によってアーマチャ140と駆動ロッド90との間に相対的な位置ズレが生じるような場合にも、相対変位許容連結手段によってかかる位置ズレが吸収されて、駆動ロッド90に影響を及ぼすことが回避乃至は軽減されており、より安定した軸方向加振駆動が可能とされているのである。
【0077】
以上、本発明の一実施形態を例示してきたが、傾動支持手段の具体的な態様としては各種の態様が採用可能である。以下に、傾動支持手段を備えたソレノイド型アクチュエータとしての幾つかの好ましい構造を例示するが、本発明における傾動支持手段が以下の態様に限定されるものではない。なお、以下に記載のソレノイド型アクチュエータにおいて、前述の第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0078】
先ず、図5に、第二の実施形態としての電磁加振器180を示す。本実施形態においては、案内スリーブ126の軸方向略中央部分に、全周に亘って延びる支持突部182が案内スリーブ126と一体的に形成されている。そして、かかる支持突部182がコイル部材の内周面であるボビン108の中心孔114に当接せしめられている。このような態様によれば、案内スリーブ126は支持突部182を支点として傾動せしめられることとなり、安定した傾き作動を行なうことが出来る。更に本実施形態においては、案内スリーブ126をOリング148、150を介して弾性支持していることから、ヨーク106への打ち当たり音や振動の伝達が軽減されている。なお、支持突部182は、必ずしも案内スリーブ126の全周に亘って連続している必要は無く、周方向に所定間隔をもってそれぞれ離隔して形成されていても良いし、案内スリーブ126と一体的に形成されることなく、別体として形成されていてもよい。
【0079】
次に、図6に、第三の実施形態としての電磁加振器190を示す。本実施形態においては、案内スリーブ126とボビン108の中心孔114との径方向対向面間に、緩衝ゴムスリーブとしての弾性スリーブ192が配設されている。弾性スリーブ192は、案内スリーブ126よりも僅かに大きな軸寸法を有する略円筒形状とされており、その軸方向両端部にはOリング194,196が一体形成されている。そして、弾性スリーブ192が、案内スリーブ126を包み込むようにしてボビン108の中心孔114に挿し入れられていることによって、案内スリーブ126は弾性スリーブ192を介してヨーク106及びコイル110に対して弾性的に支持されている。このような態様によれば、案内スリーブ126の外周面の略全面に亘って弾性スリーブ192が配設されていることから、案内スリーブ126を安定して支持することが出来ると共に、アーマチャ140の加振駆動による振動を有利に吸収することも出来る。
【0080】
また、図7に、第四の実施形態としての電磁加振器200を示す。電磁加振器200は、ボビン108の中心孔114の軸方向両端部分に形成された支持凹面202に対して、案内スリーブ126に形成された嵌合凸面204が嵌め合わされて、これら支持凹面202と嵌合凸面204が球面摺動可能とされている。支持凹面202は、ボビン108の中心孔114の中央部分を曲率中心とする球形状とされており、嵌合凸面204は、支持凹面202に対応する形状をもって案内スリーブ126の外周面上に一体的に形成されている。このような態様によれば、支持凹面202と嵌合凸面204による案内作用によって、より安定した傾き作動を行なうことが出来る。
【0081】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでない。
【0082】
例えば、弾性支持部材としてはOリングに限定されるものではなく、前述の弾性スリーブ192のようなゴム性のスリーブを用いても良いし、皿バネ等を用いても良い。更に、弾性支持部材は案内スリーブ126の全周に亘って配設されている必要はなく、所定間隔をもってそれぞれ離隔して設けられるなどしても良い。
【0083】
また、第二乃至第四の実施形態としての電磁加振器180,190,200のように、Oリング148,150、194,196の他にそれぞれ傾動支持手段として支持突部182、弾性スリーブ192、支持凹面202,嵌合凸面204を備えているような場合には、これらOリング148,150、194,196は必ずしも必要ではない。
【0084】
また、電磁加振器102におけるアーマチャ140や上下ヨーク106a,106bの具体的形状についても何等限定されるものではなく、例えば、前述の実施形態における下ヨーク106bの下端部を更に内方に延び出させることによって、かかる内方延長部に磁極を形成して、アーマチャ140の下端部との間で磁気ギャップを形成する等しても良い。
【0085】
また、アーマチャ140と駆動ロッド90との軸直方向の相対変位を許容する相対変位許容連結手段の具体的態様は、前述の態様に限定されるものではない。例えば、ゴム輪168の代わりにコイルスプリングを用いて、駆動ロッド90の段差面166と押さえ部材164の上端面との間に圧縮状態で配設することによって、アーマチャ140をより積極的に支持部材160側に付勢しても良いし、更に押さえ部材164を用いることなく、駆動ロッド90の段差面166とアーマチャ140の内方突出部154の上端面との間にコイルスプリングを圧縮状態で配設する等しても良い。また、アーマチャ140を駆動ロッド90から軸方向下方に抜け出し不可能に支持する手段としては例えば、駆動ロッド90の先端部分に雄ねじを形成して、支持部材160の代わりに支持部材160の如き外径寸法を有するナット部材を螺着することによって、アーマチャ140を支持すること等も可能である。
【0086】
加えて、本発明は、自動車用のボデーマウントやメンバマウント等、或いは自動車以外の各種装置におけるマウントや制振器などの防振装置や、そのような防振装置に用いられる防振用アクチュエータに対して、同様に適用可能である。
【0087】
例えば、本発明を適用した能動型制振器としては、具体的には、前述の実施形態に示された電磁加振器102におけるハウジング134の開口部側に金属板等からなる取付部としての加振板を弾性的に連結すると共に、かかる加振板とアーマチャ140を連結せしめる一方、加振板を取付部として制振すべき振動部材に対して固定的に取り付けて、コイル110を含むハウジング134を、振動部材に対して弾性的に連結支持せしめることにより、コイル110を含むハウジング134を、コイル110への通電によって振動部材に対して能動加振されるマスとして作用せしめることが出来るのである。
【0088】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図である。
【図2】図1に示したエンジンマウントに用いられる電磁加振器を示す縦断面図である。
【図3】図2に示した電磁加振器を示す平面図である。
【図4】図2に示した電磁加振器の要部拡大図である。
【図5】本発明における第二の実施形態としての電磁加振器を示す縦断面図である。
【図6】本発明における第三の実施形態としての電磁加振器を示す縦断面図である。
【図7】本発明における第四の実施形態としての電磁加振器を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0090】
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
56 加振板
68 平衡室
70 受圧室
72 加振室
90 駆動ロッド
102 電磁加振器
104 ソレノイドコイル
106 ヨーク
108 ボビン
110 コイル
114 中心孔
126 案内スリーブ
134 ハウジング
140 アーマチャ
148 Oリング
150 Oリング
152 挿通孔
160 支持部材
164 押さえ部材
180 電磁加振器
182 支持突部
190 電磁加振器
192 弾性スリーブ
194 Oリング
196 Oリング
200 電磁加振器
202 支持凹面
204 嵌合凸面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部材の周囲にヨーク部材を組み付けて固定側磁路を形成すると共に、該コイル部材の中心孔に可動子を配設し、該コイル部材への通電によって生ぜしめられる磁界の作用で該可動子を駆動せしめるようにする一方、該可動子の外周面を該コイル部材の軸方向に案内する筒状のガイド内面を有する案内筒部材を組み付けたソレノイド型アクチュエータにおいて、
前記案内筒部材を前記コイル部材に対して傾動可能に支持せしめる傾動支持手段を設けたことを特徴とするソレノイド型アクチュエータ。
【請求項2】
前記案内筒部材を前記コイル部材の中心孔に対して径方向に所定の隙間を隔てて内挿配置すると共に、該案内筒部材の軸方向両端部において該案内筒部材と該コイル部材及び/又は前記ヨーク部材との間に弾性支持部材を配設して、該弾性支持部材を介して、該案内筒部材を該コイル部材に対して軸方向および軸直角方向で弾性的に位置決め支持することにより、前記傾動支持手段を構成した請求項1に記載のソレノイド型アクチュエータ。
【請求項3】
前記案内筒部材を前記コイル部材の中心孔に対して径方向に所定の隙間を隔てて内挿配置すると共に、該案内筒部材の軸方向中央部分において外周面上に突出する支持突部を設けると共に、該支持突部の突出先端部を該コイル部材の内周面に当接させて、該支持突部の該コイル部材への当接点を支点として該案内筒部材の傾動を許容することにより、前記傾動支持手段を構成した請求項1又は2に記載のソレノイド型アクチュエータ。
【請求項4】
前記案内筒部材と前記コイル部材の中心孔との径方向対向面間に緩衝ゴムスリーブを配設して、該緩衝ゴムスリーブを介して該案内筒部材を弾性支持せしめることにより、前記傾動支持手段を構成した請求項1乃至3の何れかに記載のソレノイド型アクチュエータ。
【請求項5】
前記コイル部材の中心孔の軸方向両端部分において該中心孔の略中央部分を曲率中心とする球状の支持凹面を形成する一方、前記案内筒部材の外周面の軸方向両端部分において該コイル部材の該支持凹面に対応した球状の嵌合凸面を形成し、該嵌合凸面を該支持凹面に対して球面摺動可能に嵌め合わせることにより、前記傾動支持手段を構成した請求項1又は2に記載のソレノイド型アクチュエータ。
【請求項6】
軸方向に往復変位可能に離隔配置された出力部材を、防振すべき振動に対応して加振駆動せしめる防振用アクチュエータであって、
請求項1乃至5の何れかに記載のソレノイド型アクチュエータを用い、該ソレノイド型アクチュエータの前記可動子に対して前記出力部材を連結すると共に、前記コイル部材に設けられたコイルに対して目的とする振動に対応した周波数成分を有する駆動電圧を印加して該可動子を軸方向に加振駆動せしめることによって、該出力部材を加振駆動するようにしたことを特徴とする防振用アクチュエータ。
【請求項7】
相互に連結されることにより振動伝達系を構成する一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結する一方、該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて非圧縮性流体が封入された受圧室を形成すると共に、該受圧室の壁部の別の一部を加振部材で構成し、該加振部材に加振力を及ぼすアクチュエータを設けて、該アクチュエータで該加振部材を加振駆動することにより該受圧室の圧力を能動的に制御するようにした能動型防振装置において、
前記アクチュエータとして請求項6に記載の防振用アクチュエータを用い、前記コイル部材を略収容状態で固定的に支持せしめるハウジングを前記第二の取付部材に固定する一方、前記加振部材を該防振用アクチュエータにおける前記出力部材として前記可動子と連結することによって、該防振用アクチュエータで該加振部材を加振駆動するようにしたことを特徴とする能動型防振装置。
【請求項8】
前記可動子に軸方向に貫通する貫通孔を設けて、前記加振部材から突設したインナロッドを該貫通孔に挿通せしめると共に、該可動子に設けた連結部と該インナロッドを軸直方向の相対変位を可能に連結する相対変位許容連結手段を設けた請求項7に記載の能動型防振装置。
【請求項9】
防振対象部材に装着されることにより、該防振対象部材に加振力を及ぼして能動的な制振作用を発揮する能動型防振用制振器であって、
請求項6に記載の防振用アクチュエータを用い、該防振用アクチュエータにおける前記コイル部材と前記可動子の一方において前記防振対象部材に固定するための取付部を設けると共に、それらコイル部材と可動子の他方にマス部を設けたことを特徴とする能動型防振用制振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−66840(P2006−66840A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251003(P2004−251003)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】