説明

タンク防災システム

【課題】 複数のタンクに対して、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行うことを可能とするタンク防災システムの提供を目的とする。
【解決手段】 タンク防災システム1は、地震に対する浮屋根式タンク200の防災システムであって、地震監視手段130,タンク運転手段120,地震対策処理手段10,表示手段41,消火手段7,監視カメラ4,スピーカ5及び連絡手段6を備え、地震対策処理手段10が、地震データ,タンクの運用情報及びタンクの構造情報にもとづいて、タンクの地震による被害予測を行い、被害予測の解析結果にもとづいて、表示手段41,消火手段7,監視カメラ4,スピーカ5及び連絡手段6等を自動的に制御する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク防災システムに関し、特に、原油,ガソリン,ナフサ等の石油製品が貯蔵されるタンクの地震に対する防災システムであって、地震対策処理手段が、地震データ,タンクの運用情報及びタンクの構造情報にもとづいて被害予測を行い、この被害予測の解析結果にもとづいて防災処理手段を自動又は半自動で制御することにより、複数のタンクに対して、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行なうことを可能とし、一次被害が発生した場合であっても、深刻な二次被害の発生を未然に防ぐことができるタンク防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、多数の石油タンクを有する備蓄基地等においては、地震前の予防対策が重要であることから、様々な予防対策が実施されている。ただし、予防対策にも限界があり、たとえば、想定した地震より大きな地震が発生すると、無災害に留めることができず、一次被害が発生する。このような一次被害が発生した場合、この一次被害が重大な二次被害に拡大しないように、地震発生直後における適切な防災処理を迅速に行う必要がある。
【0003】
ところが、実際に大きな地震が発生すると、様々な状況から地震発生直後における適切な防災処理を迅速に行うことは、極めて困難であった。従来、所定規模以上の地震が発生すると、地震後、全タンクを点検していた。この点検は、地震やタンクの特徴・被害時の状況想定に応じた点検ではなく、全タンクを網羅的に点検していたため、効率よく対応することができなかった。すなわち、多数の石油タンクのなかから、一次被害が発生している可能性のあるタンクを推測し、このようなタンクから優先的に点検する必要があった。
【0004】
(従来例)
上記課題を解決する技術として、たとえば、タンクの地震被害評価システムに関する論文「石油備蓄タンクのリアルタイム地震被害評価システムの構築」が発表されている(非特許文献1参照)。
図7は、従来例にかかる地震被害評価システムの概略ブロック図を示している。
同図において、地震被害評価システム100は、地震監視手段130及び地震波解析手段110を備えた構成としてある。
【0005】
<地震監視手段>
地震監視手段130は、地震波を測定するとともに、地震の発生の有無及び地震の大きさ等を監視する機能を備えている。この地震監視手段130は、常時作動しており、複数の浮屋根式タンク200が建設された現場に設けられた地震計131から測定信号を入力し、所定値以上の地震波を検出すると、地震データを記憶する。
【0006】
<地震波解析手段>
地震波解析手段110は、パーソナルコンピュータであり、地震波解析プログラムがインストールされている。
この地震波解析手段110は、地震が発生すると作業者によって起動され、さらに、手動にて地震監視手段130から地震データを記憶手段(ハードディスク)に記録され、上記地震波解析プログラムが起動される。
地震波解析手段110は、タンク液位と貯蔵油密度を一定とし、さらに、各浮屋根式タンク200の浮屋根201の構造を同じものとして、浮屋根式タンク200のスロッシングモード解析及びバルジングモード解析を行い、円周方向応力,軸方向応力及び保有水平耐力を算出し、これらの算出値に対して、安全,警告及び危険の判断を行うことができる。
【0007】
上記地震被害評価システム100は、地震動によるタンク設備の被害情報に着目し、現場内の内面的な地震分布と石油タンク毎の地震時安全性をリアルタイムで推定することができ、効果的な緊急・応急活動を支援することができる。また、上記論文には、今後の課題として、たとえば、大きな地震を受けた後の点検、巡回の優先度を決めることができ、効率的な地震直後対応ができる可能性がある旨が記載されている。
【非特許文献1】圧力技術 VOL.40 NO.3 138〜149ページ 2002/05/25発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記論文の地震被害評価システム100は、地震被害の評価システムとしては優れた技術ではあるが、あくまでも地震被害の評価システムであって、石油備蓄基地等を安全に稼働させ、地震発生時においても安全性に対する責任を負う者にとっては、上記評価システムだけでは全く不十分であるといった問題があった。すなわち、大きな地震が発生した際、数十基あるタンクに対して、一次被害の発生の有無を確認し、さらに、発生した一次被害が二次被害に拡大しないように、地震発生直後における適切な防災処理を、迅速,適切かつ効率よく行うことが実際に可能な防災システムが必要であった。
【0009】
たとえば、石油タンクが浮屋根式タンク200の場合、浮屋根201の雨水排水管の排水弁を遠隔閉止できないため、地震により浮屋根201上に石油が溢れ出ると、タンク外に油が流出する可能性があるといった問題があった。また、他の油受払い系統も同様に、遠隔制御できないため迅速な停止ができないといった問題があった。さらに、雨水排水管が損傷したり、浮屋根201が損傷して沈下した際に、閉止操作の遅れからタンク外への油流出規模が大きくなる可能性があるといった問題もあった。
【0010】
また、現場監視カメラによる自動監視システムがなく、作業者が現場確認を行わなければならず、効率が悪いとともに迅速に現場確認を行うことができないといった問題があった。
さらに、防災設備(泡消火剤による消火手段,被害状況の連絡手段,構内放送手段等)が自動化されていないため、作業者が効率よく防災処理を行うことができず、防げる二次被害も対応遅延のため、防ぐことができなくなるといった問題があった。
【0011】
また、上記地震被害評価システム100は、タンク液位と貯蔵油密度の違いによって、地震被害の発生状況も異なるが、タンク液位と貯蔵油密度は、常に一定としているので、解析精度が低いといった問題があった。
さらに、スロッシング高さと浮屋根201の構造の違いによって地震被害の発生状況も異なるが、スロッシング高さのみで評価しているので、精度よく被害予測を行うことができないといった問題があった。
【0012】
また、地震発生直後の時間(たとえば、数分なのか、数十分なのかは、その状況によって異なる。)は、一次被害が発生している場合、重大な二次被害に拡大しないように防災処理を行う作業者等に与えられた極めて貴重な時間である。すなわち、地震発生時に備蓄基地等内にいる作業者等だけで、地震発生直後における適切な防災処理を迅速に行い、防ぎ得る二次被害を確実かつ安全に防ぐことが要求されており、このような防災活動を行うには、地震対策処理システムの構築が要望されていた。特に、地震時のタンク被害予測及び迅速な実情把握ができないため、点検や緊急操作の迅速化が求められていた。
【0013】
本発明は、上記問題を解決するために提案されたものであり、地震対策処理手段が、地震データ,タンクの運用情報及びタンクの構造情報にもとづいて被害予測を行い、この被害予測の解析結果にもとづいて防災処理手段を自動又は半自動で制御することにより、複数のタンクに対して、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行うことを可能とするタンク防災システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明のタンク防災システムは、地震に対するタンク防災システムであって、地震波を測定する地震測定手段と、地震による被害を低減するとともに、地震発生直後の防災対策を円滑に行うための防災処理手段と、前記地震測定手段から測定された地震データを入力し、該地震データ,タンクの運用情報及び前記タンクの構造情報にもとづいて、前記タンクの地震による被害予測を行い、前記被害予測の解析結果にもとづいて、前記防災処理手段を自動又は半自動で制御する地震対策処理手段と、前記被害予測の解析結果を入力し、地震発生時のガイダンスとして、点検タンク及び点検箇所を表示する表示手段を備えた構成としてある。
このようにすると、地震が発生した際、地震対策処理手段が、タンクの被害予測にもとづいて、ほぼ自動的に防災処理手段を作動させることができるので、複数のタンクに対して、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行なうことができる。また、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行なうことにより、一次被害が発生した場合であっても、深刻な二次被害の発生を防ぐことができる。
【0015】
また、本発明のタンク防災システムは、前記タンクが浮屋根式タンクである場合に、前記地震対策処理手段が、前記被害予測として、前記タンクのスロッシングモード解析を行う構成としてある。
このようにすると、長周期地震に対する浮屋根式タンクの被害予測を、精度よく解析することができる。
【0016】
また、本発明のタンク防災システムは、前記防災処理手段が、前記浮屋根式タンクの雨水排水管を閉止する、遠隔制御可能な閉止手段を含む構成としてある。
このようにすると、浮屋根上に石油等の貯蔵物が溢出した場合であっても、溢出した貯蔵物が雨水排水管を通ってタンク外に流出するのを、迅速かつ適切に防止することができ、二次被害が発生する危険性を低減することができる。
【0017】
また、本発明のタンク防災システムは、前記防災処理手段が、前記タンクへ泡消火剤を散布する消火手段を含む構成としてある。
このようにすると、出火した場所又は出火するおそれがある場所に泡消火剤を散布することができ、消火活動又は出火を未然に防止するための防災活動を迅速かつ適切に行うことができる。
【0018】
また、本発明のタンク防災システムは、前記防災処理手段が、前記タンクの受払いバルブを閉止する閉止手段を含む構成としてある。
このようにすると、タンクに対する貯蔵物の受払いを迅速かつ適切に防止することができ、二次被害が発生する危険性を低減することができる。
【0019】
また、本発明のタンク防災システムは、前記防災処理手段が、監視カメラと、この監視カメラの画像を解析する画像解析手段を含む構成としてある。
このようにすると、タンクに対する監視を迅速かつ適切に行うことができ、かつ、自動監視を行うことができるので、多数のタンクを極めて効率よく監視することができる。また、実情把握を迅速かつ適切に行うことができるので、防災処理をより効果的に行うことができる。
【0020】
また、本発明のタンク防災システムは、前記地震対策処理手段が、フィード・バックによる前記被害予測の予測精度向上機能を備えた構成としてある。
このようにすると、被害予測の解析精度を向上させることができるので、システムの性能を高めることができる。
【0021】
また、本発明のタンク防災システムは、前記地震対策処理手段が、前記点検タンク及び点検箇所を連絡する通信機能を備えた構成としてある。
このようにすると、作業者に点検が必要なタンク及び点検箇所を連絡することができるので、点検作業を効率よく行うことができる。
【0022】
また、本発明のタンク防災システムは、前記地震対策処理手段が、前記タンクの被災状況を関係者に連絡する自動連絡手段を含む構成としてある。
このようにすると、迅速な対応が要求される地震直後において、連絡業務を自動化することができるので、その分作業者が防災活動に専念することができ、より迅速な防災活動を展開することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明のタンク防災システムによれば、地震対策処理手段が、地震データ,タンクの運用情報及びタンクの構造情報にもとづいて被害予測を行い、この被害予測の解析結果にもとづいて防災処理手段をほぼ自動的に制御することにより、複数のタンクに対して、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行うことができる。特に、人員・資機材の有効活用,効率的運用を図ることができ、平常時の作業者等の人員で、複数のタンクに対して、一次被害の発生の有無を確認し、さらに、一次被害が発生した場合であっても、重大な二次被害に拡大しないように防災処理を迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るタンク防災システムの好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るタンク防災システムの概略ブロック図を示している。
同図において、タンク防災システム1は、地震に対する浮屋根式タンク200の防災システムであって、地震監視手段130,タンク運転手段120,地震対策処理手段10,表示手段41,消火手段7,監視カメラ4,スピーカ5及び連絡手段6を備えた構成としてある。
なお、図1において、図7と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、タンクは、浮屋根式タンク200に限定されるものではなく、浮屋根式以外のタンクであってもよい。さらに、浮屋根式タンク200は、理解しやすいように一つだけ図示してある。
【0025】
<地震対策処理手段>
地震対策処理手段10は、バックアップ電源を備えたパーソナルコンピュータであり、地震波解析プログラムを含む地震対策処理プログラムがインストールされている。また、地震対策処理手段10は、地震監視手段130,タンク運転手段120,表示手段41,排水弁3,受払弁2,ポンプ21,消火手段7,監視カメラ4及びスピーカ5と接続されており、さらに、通信回線61と接続された連絡手段6を内蔵した構成としてある。
この地震対策処理手段10は、常時起動しており、地震監視手段130が所定値以上の地震波を検出すると、地震監視手段130から出力される地震データを入力する。また、タンク運転手段120から、各浮屋根式タンク200のタンク運用情報(たとえば、液位や貯蔵油密度など)及びタンク構造情報(たとえば、浮屋根201の構造など)を随時入力しており、最新のタンク運用情報及びタンク構造情報を記録している。
【0026】
地震対策処理手段10は、入力した地震データが、地震データ解析を行う必要がある値(適宜、起動設定値と略称する。)以上であるとき、地震データの記録を開始する。また、入力した地震データが、地震が終了したと判断する値(適宜、地震終了設定値と略称する。)以下となったとき、地震データの記録を終了し、記録した地震データにもとづいて地震波解析プログラム(従来例のものより、解析精度を数段向上させたプログラム)により、地震データ解析(バルジングモード解析及びスロッシングモード解析)を行い、被害予測を行う構成としてある。
次に、本実施形態にかかるバルジングモード解析,スロッシングモード解析及び被害予測について図面を参照して説明する。
【0027】
「バルジングモード解析」
図2は、本発明の一実施形態に係るタンク防災システムにおける、バルジングモード解析を説明するための浮屋根式タンクの概略断面図を示している。
同図において、浮屋根式タンク200は、水平方向の地震力を受けると、地震力方向の側板202が外側方向に変形し、かつ、底板203の一部が上方に変形するバルジングモード301で振動する。
本実施形態のバルジングモード解析は、タンク運転手段120から入力した最新のタンク運用情報(たとえば、貯蔵されている石油205の液位や密度など)にもとづいて、側板202における発生応力、底板203における発生応力及び必要保有水平耐力を算出しており、上記従来例のものより解析精度を向上させることができる。
【0028】
また、地震対策処理手段10は、バルジングモード301による被害予測として、算出した側板202における発生応力及びタンク運転手段120から入力したタンク構造情報(たとえば、側板202及び底板203の構造など)にもとづいて、側板202のフープ応力による損傷及び圧縮応力による座屈等の有無を予測することができる。さらに、算出した底板203における発生応力及びタンク構造情報(たとえば、側板202及び底板203の構造など)にもとづいて、側板202と底板203の接合部における損傷等の有無を予測することができる。
【0029】
「スロッシングモード解析」
図3は、本発明の一実施形態に係るタンク防災システムにおける、スロッシングモード解析を説明するための浮屋根式タンクの概略断面図を示している。
同図において、浮屋根式タンク200は、水平方向の地震力を受けると、貯蔵された石油205が揺動し、揺動する石油205の液面に応じて浮屋根201がスロッシングモード302で振動する。
本実施形態のスロッシングモード解析は、タンク運転手段120から入力した最新のタンク運用情報(たとえば、貯蔵されている石油205の液位や密度など)にもとづいて、スロッシング高さを算出しており、解析精度を向上させることができる。
【0030】
また、地震対策処理手段10は、スロッシングモードによる被害予測として、算出したスロッシング高さ及びタンク運転手段120から入力したタンク構造情報(たとえば、側板202,タンク上部附属設備204及び浮屋根201の構造など)にもとづいて、溢流,浮屋根201の損傷,浮屋根201とタンク上部附属設備204の衝突による損傷,及び,タンク上部附属設備204と側板202の接合部における損傷等の有無を予測することができる。
【0031】
地震対策処理手段10は、各浮屋根式タンク200について、上記バルジングモード解析及びスロッシングモード解析による被害予測を行い、被害予測の解析結果を表示手段41に表示する。
図4は、本実施形態における被害予測を表示する表示画面の概略図を示している。
同図において、表示画面11は、表示手段41に表示される被害予測一覧表であり、地震発生日時,地震の計測時間及び地震の加速度値が表示され、さらに、各原油タンクの地区ごとに、タンク番号(たとえば、T−30305など)及び被害予測結果が表示される。この被害予測結果は、バルジングモード(B)被害予測結果とスロッシングモード(S)被害予測結果に分けて表示され([B]又は「S」が表示された矩形領域)、被害が発生していないと予測されると、[B]又は「S」が表示された矩形領域が緑色で表示される。
【0032】
また、損傷発生値に対してたとえば70%〜90%の応力が作用したと予測されると、[B]又は「S」が表示された矩形領域が黄色で表示される。この場合、第一警報設定値(損傷発生値の70%)より大きな負荷が作用したことを示しており、軽度の変形等が発生している可能性があり、点検する必要がある。さらに、損傷発生値に対してたとえば90%を超える応力が作用したと予測されると、[B]又は「S」が表示された矩形領域が赤色で表示される。この場合、第二警報設定値(損傷発生値の90%)より大きな負荷が作用したことを示しており、実際に破損している危険性があり、早急に点検及び対処する必要がある。このようにすると、複数の浮屋根式タンク200のうち、どの浮屋根式タンク200から防災処理を行なうべきかといった優先順序を容易に決定することができる。
なお、被害予測の表示画面11は、容易に様々な表示形式に変更することができ、たとえば、赤色表示された浮屋根式タンク200に対して、損傷発生値に対する数値を表示させることができ、このようにすると、複数の赤色表示に対して、容易に優先順序を決定することができる。
【0033】
また、地震対策処理手段10は、被害予測の解析結果から、地震対策処理手段10のオペレータ及び現場の作業者に、点検すべき浮屋根式タンク200の点検箇所を具体的に指示することができる。
図5は、本実施形態における点検箇所を表示する表示画面の概略図を示している。
同図において、表示画面12は、第一警報設定値(黄色)又は第二警報設定値(赤色)を超えた浮屋根式タンク200に対して、タンクのどの部分を点検する必要があるかを表示する画面である。この表示画面12は、上部に地区及びタンク番号が表示され、さらに、タンク外観斜視図が表示され、点検箇所がA:西側ポンツーン及びB:東側ポンツーンであることを表示している。
地震対策処理手段10は、表示画面12を地震対策処理手段10の表示手段41に表示することができる。これにより、地震対策処理手段10のオペレータが、無線通信器,電話,現場に設置されたスピーカ5などによって、現場の作業者に点検タンク及び点検箇所を連絡することができる。
【0034】
ここで、好ましくは、地震対策処理手段10が、点検タンク及び点検箇所を現場の作業者に連絡する通信機能を備えた構成とするとよく、このようにすると、作業者に点検が必要な浮屋根式タンク200及び点検箇所を直接的に連絡することができるので、点検作業をさらに効率よく行うことができる。
本実施形態では、図示してないが、現場に無線LAN防爆型中継器が設置され、地震対策処理手段10が無線LAN機能を備え、さらに、現場で作業する作業者が、無線LANアダプタが取り付けられたPDA(個人情報端末)などを所持する構成としてある。このようにすると、地震対策処理手段10が自動的にPDAに上記表示画面12を送信することができるので、現場の作業者は、表示画面12にしたがって、迅速な点検作業を行うことができる。
【0035】
また、地震対策処理手段10は、たとえば、表示画面11に示すタンクの被災予測状況を関係者に連絡する連絡手段6を備えた構成としてあり、被災予測状況等を、電話回線やインターネットなど通信回線61を介して、メールやファックスなどの形式で自動的に予め設定された関係者に通信することができる。このようにすると、迅速な対応が要求される地震発生直後において、連絡業務を自動化することができるので、その分作業者やオペレータが防災活動に専念することができ、より迅速な防災活動を展開することができる。
【0036】
地震対策処理手段10は、上記被害予測の解析結果にもとづいて、地震による被害を低減するとともに、地震発生直後の防災対策を円滑に行うための防災処理手段(たとえば、遠隔制御可能な雨水排水用の排水弁3,受払弁2,ポンプ21の起動停止スイッチ,消火手段7,監視カメラ4,スピーカ5及び連絡手段6など)を自動又は半自動で制御する構成としてある。ここで、全ての防災処理手段を全自動としていないのは、たとえば、状況を確認してから防災処理を行うほうが好ましい場合があるからである。このようにすると、限られた人員で迅速に地震発生直後の防災処理を行うことができる。
次に、本実施形態が有する防災処理手段について説明する。
【0037】
<排水弁>
排水弁3は、浮屋根式タンク200の浮屋根201に降った雨水をタンク外に排水する弁であり、通常、開いた状態にある。この排水弁3は、地震対策処理手段10により遠隔制御可能なモータバルブとしてある。このようにすると、地震対策処理手段10が、被害予測の解析結果から浮屋根201上への石油205の溢流があると判断すると、制御信号を出力して自動的に排水弁3を閉止する。したがって、浮屋根201に溢れ出た石油205が雨水排水管を通って、タンク外に流出するのを自動的に防止することができる。なお、本実施形態では、被害予測の解析結果にもとづいて、排水弁3を制御しているが、これに限定されるものではなく、たとえば、大きな地震を検知した場合、検知直後に、全ての排水弁3を自動的に閉止してもよい。
【0038】
<受払弁>
受払弁2は、浮屋根式タンク200が石油205を受け入れたり、あるいは、浮屋根式タンク200から石油205を払い出したりする際に使用される弁であり、通常、閉じた状態にある。この受払弁2は、地震対策処理手段10により遠隔制御可能なモータバルブとしてある。このようにすると、地震発生時に、受払弁2が開かれポンプ21によって石油205の受払いを行っている場合、地震対策処理手段10が、制御信号を出力して自動的に受払弁2を閉止し、さらに、ポンプ21を停止させる。これにより、浮屋根式タンク200に貯蔵された石油205や、ポンプ21によって移送されている石油205が、タンクや配管外に流出するのを自動的に防止することができる。
【0039】
<監視カメラ>
監視カメラ4は、浮屋根式タンク200の被害状況を確認するためのものであり、図示してないが、この監視カメラ4の画像を解析する画像解析手段(通常、計器室に設置される。)を含む構成としてある。このようにすると、被害予測の解析結果等にもとづいて、浮屋根式タンク200に対する監視を迅速かつ的確に行うことができる。また、画像解析手段が、たとえば、二値化処理により、地震直後の画像と現在の画像を自動的に比較することにより、たとえば、出火や石油205の流出などの異変を自動監視することができ、多数の浮屋根式タンク200を効率よく監視することができる。
【0040】
<消火手段>
消火手段7は、遠隔操作により、浮屋根式タンク200へ泡消火剤を散布することができ、このようにすると、被害予測の解析結果等にもとづいて、出火又は出火するおそれがある場所に泡消火剤を散布することができる。これにより、消火活動又は出火を未然に防止するための防災活動を迅速かつ的確に行うことができる。
【0041】
次に、上記構成のタンク防災システム1の動作について、図面を参照して説明する。
図6aは、本発明の一実施形態に係るタンク防災システムの動作を説明するための概略フローチャート図を示している。
同図において、タンク防災システム1は、まず、地震監視手段130が常時地震観測を行っている(ステップS1)。
タンク運転手段120は、各浮屋根式タンク200の運転状態を常時モニタしており、たとえば、浮屋根式タンク200に設けられた液面計210から石油205の液面高さデータを入力したり、ポンプ21及び受払弁2の状態データを入力したりしている。また、タンク運転手段120は、タンクの構造情報も記憶しており、入力したタンクの構造情報を地震対策処理手段10に出力している。
また、地震対策処理手段10は、常時起動しており、タンク運転手段120から最新のタンクの運用情報及び構造情報を入力し記憶するとともに、地震監視手段130からの地震発生信号を入力すると、ただちに、防災処理を実行可能な状態で待機している。
【0042】
次に、地震が発生すると(ステップS2)、地震監視手段130は、測定した地震波を記録するとともに、測定した地震波を地震データとして、地震対策処理手段10に出力する。
【0043】
次に、地震対策処理手段10は、地震監視手段130から地震データを入力すると、地震がシステムを起動させる起動設定値以上か否かを判断し(ステップS3)、地震が起動設定値より小さいとき、地震観測(ステップS1)にもどる。
また、地震が起動設定値以上のとき、地震対策処理手段10は、地震監視手段130からの地震データを記録する(ステップS4)。
【0044】
なお、図示してないが、地震が予想を越える大地震であるとき、地震対策処理手段10は、全浮屋根式タンク200の排水弁(ルーフドレン弁)3を緊急遮断する構成としてもよく、このようにすると、地震で揺れている間に、石油205がタンク外に排出されるといった不具合を効果的に防止することができる。また、同様に地震が予想を越える大地震であるとき、地震対策処理手段10は、受払弁2を閉じて、ポンプ21を緊急停止してもよく、このようにすると、浮屋根式タンク200に貯蔵された石油205や、ポンプ21によって移送されている石油205が、タンクや配管外に流出するのを自動的に防止することができる。
【0045】
次に、地震対策処理手段10は、地震が地震終了設定値以下であるか否かを判断し(ステップS5)、地震終了設定値を超える場合(すなわち、地震が終了していない場合)、地震データ記録(ステップS4)にもどり、連続的に地震データを記録する。また、地震が地震終了設定値以下のとき、地震対策処理手段10は、地震終了と認識し(ステップS6)、記録した地震データ,最新のタンクの運用情報及びタンクの構造情報にもとづいて地震データ解析を行う(ステップS7)。この地震データ解析は、上述したバルジングモード解析,スロッシングモード解析及び被害予測からなっている。
【0046】
次に、地震対策処理手段10は、被害予測の解析結果が、第一警報設定値より大きいか否かを判断し(ステップS8)、全ての浮屋根式タンク200において、解析結果が第一警報設定値以下のとき、地震データと解析結果(たとえば、オールグリーンの表示画面11)を表示し保存する(ステップS9)、続いて、地震観測(ステップS1)にもどる。
また、解析結果が第一警報設定値より大きいとき、被害予測の解析結果が、第二警報設定値より大きいか否かを判断し(ステップS10)、解析結果が第二警報設定値以下のとき、第一警報を黄色で表示し(ステップS11)、続いて、ステップS9に進み、地震観測(ステップS1)にもどる。
さらに、解析結果が第二警報設定値より大きいとき、第二警報を赤色で表示し(ステップS12)、続いて、ステップS9に進み、地震観測(ステップS1)にもどる。
【0047】
次に、地震対策処理手段10は、ステップS11,12を経て、地震発生直後の具体的な防災対策を開始する。まず、スピーカ5から施設内の作業者等に対して、第一警報又は第二警報が発令された旨及び防災活動を開始する旨を自動放送する(ステップS13)。これにより、日常業務を行っていた作業者等に防災活動を開始させることができる。たとえば、防災責任者(又は、防災副責任者)は、地震対策処理手段10のある計器室に入り全体の指揮をとる準備を開始し、点検担当の作業者は、点検作業の準備を行うことができる。
なお、地震対策処理手段10は、テープレコーダ等の音声発生手段(図示せず)に制御信号を出力すると、音声発生手段が自動放送を行うので、時間をロスすることなく、ほとんど瞬時にこの処理を行うことができる。
【0048】
続いて、地震対策処理手段10は、連絡手段6から通信回線61を介して、関係者(社内関連部門,防災対策要員等)に、第一警報又は第二警報が発令された旨及び防災活動を開始する旨等を自動連絡する(ステップS14)。なお、第一警報が発令された場合、防災対策要員だけに連絡し、第二警報が発令された場合、社内関連部門及び防災対策要員に連絡する構成としてもよい。また、連絡手段6は、地震対策処理手段10から制御信号を入力すると、自動送信を行うので、地震対策処理手段10は、ほとんど瞬時にこの処理を行うことができる。
【0049】
次に、地震対策処理手段10は、全浮屋根式タンク200の排水弁(ルーフドレン弁)3を閉じ(ステップS15)、続いて、開いている受払弁2を閉じ、ポンプ21を停止させる(ステップS16)。このようにすると、浮屋根201上に石油205が溢出した場合であっても、溢出した石油205が雨水排水管を通ってタンク外に流出するのを、迅速かつ適切に防止することができ、二次被害が発生する危険性を低減することができる。また、浮屋根式タンク200に対する石油205の受払いを迅速かつ適切に防止することができ、二次被害が発生する危険性を低減することができる。なお、地震対策処理手段10は、制御信号を出力するだけで、上記処理を実施することができ、ほとんど瞬時にこの処理を行なうことができる。
【0050】
次に、図示してないが、地震対策処理手段10は、第二警報が発令された場合、泡消火を行うために、エアフォーム弁(図示せず)を起動させて泡消火の準備を開始してもよい。また、地震対策処理手段10は、制御信号を出力するだけで、泡消火の準備をすることができるので、時間をロスするといった不具合を回避することができる。すなわち、ステップS13からステップS16までの処理は、地震対策処理手段10が、数秒もかからないで実施できるので、タンク防災システム1の迅速性が損なわれることはない。
【0051】
次に、地震対策処理手段10は、監視カメラ4に制御信号を出力し、点検の優先順序が高い浮屋根式タンク200から順次画像を表示手段41に映し出すので、オペレータは、その画像から浮屋根式タンク200の状態を連続的に確認することができる(ステップS17)。
また、地震対策処理手段10は、画像解析手段に地震発生後の画像を取り込み、この画像と定期的に(たとえば、数分間隔で)撮像した地震発生前の最新の画像とを、画像解析手段の二値化処理により比較することにより、浮屋根式タンク200の状態(たとえば、出火や石油205の流出などの異変)を自動監視することができる。ただし、この自動監視は、何らかの異変を検出できるものの、点検中の作業者をも異変として検出するため、具体的な処理(消火開始等)を行う前に、オペレータが確認する必要がある。すなわち、地震対策処理手段10のオペレータは、画像解析手段が異変を検知した浮屋根式タンク200に注目するだけですむので、効率よく監視することができる。
【0052】
次に、地震対策処理手段10のオペレータは、地震対策処理手段10により映し出される画像から、火災が発生しているか否かを判断し(ステップS18)、火災が発生した場合、消火手段7に制御信号を出力し、消火を開始する(ステップS19)。また、地震対策処理手段10は、火災が発生した旨をスピーカ5から自動放送するとともに、連絡手段6から通信回線61を介して、関係者(消防署,警察署,社内関連部門,防災対策要員等)に、火災が発生した旨を自動通信する(ステップS20)。
また、火災が発生していないときは、ステップS20に進み、関係者(社内関連部門,防災対策要員等)に、火災が発生していない旨を自動通信する(ステップS20)。
なお、各監視カメラ4は、所定の浮屋根式タンク200の状態(たとえば、出火や石油205の流出などの異変)の自動監視を続行する。
また、地震対策処理手段10は、現場にいる作業者のPDAに上述した表示画面12を送信することができるので、現場の作業者は、表示画面12にしたがって、迅速,適切かつ効率よく点検を行うことができる。
【0053】
このように、本実施形態にかかるタンク防災システム1によれば、地震が発生した際、地震対策処理手段10が、浮屋根式タンク200の被害予測にもとづいて、ほぼ自動的に防災処理手段を作動させることができるので、複数の浮屋根式タンク200に対して、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行なうことができる。また、迅速,適切かつ効率よく地震発生直後の防災処理を行なうことにより、一次被害が発生した場合であっても、深刻な二次被害の発生を防ぐことができる。
【0054】
以上、本発明のタンク防災システムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るタンク防災システムは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、地震対策処理手段10が、フィード・バックによる被害予測の予測精度向上機能を備える構成とするとよい。この機能は、地震直後の防災活動中に作動する機能ではなく、防災活動終了後に、地震対策処理手段10の被害予測の精度を検証するためのものである。
次に、この機能について、図面を参照して説明する。
【0055】
図6bは、本実施形態にける地震対策処理手段の、予測精度向上機能を説明するための概略フローチャート図を示している。
同図において、地震対策処理手段10は、地震がシステムを起動させる起動設定値以上のとき、浮屋根式タンク200の液面データを記録し(ステップS31)、次に、解析結果と液面データの比較を行い(ステップS32)、差が許容範囲内か否かを判断し(ステップS33)、範囲から外れるとき、パラメータを修正する(ステップS35)。このようにすると、スロッシング予測と実測値の比較により、予測パラメータを最適化し予測精度を随時向上させることができ、被害予測の解析精度を向上させることができるので、システムの性能を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上説明したように、本発明のタンク防災システムは、備蓄基地等におけるタンク防災システムに限定されるものではなく、たとえば、製油所や化学工場で使用されている複数のタンクに対して、有効に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係るタンク防災システムの概略ブロック図を示している。
【図2】本発明の一実施形態に係るタンク防災システムにおける、バルジングモード解析を説明するための浮屋根式タンクの概略断面図を示している。
【図3】本発明の一実施形態に係るタンク防災システムにおける、スロッシングモード解析を説明するための浮屋根式タンクの概略断面図を示している。
【図4】本実施形態における被害予測を表示する表示画面の概略図を示している。
【図5】本実施形態における点検箇所を表示する表示画面の概略図を示している。
【図6a】本発明の一実施形態に係るタンク防災システムの動作を説明するための概略フローチャート図を示している。
【図6b】本実施形態にける地震対策処理手段の、予測精度向上機能を説明するための概略フローチャート図を示している。
【図7】従来例にかかる地震被害評価システムの概略ブロック図を示している。
【符号の説明】
【0058】
1 タンク防災システム
2 受払弁
3 排水弁
4 監視カメラ
5 スピーカ
6 連絡手段
7 消火手段
10 地震対策処理手段
11,12 表示画面
21 ポンプ
41 表示手段
61 通信回線
100 地震被害評価システム
110 地震波解析手段
120 タンク運転手段
130 地震監視手段
131 地震計
200 浮屋根式タンク
201 浮屋根
202 側板
203 底板
204 タンク上部附属設備
205 石油
210 液面計
301 バルジングモード
302 スロッシングモード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震に対するタンク防災システムであって、
地震波を測定する地震測定手段と、
地震による被害を低減するとともに、地震発生直後の防災対策を円滑に行うための防災処理手段と、
前記地震測定手段から測定された地震データを入力し、該地震データ,タンクの運用情報及び前記タンクの構造情報にもとづいて、前記タンクの地震による被害予測を行い、前記被害予測の解析結果にもとづいて、前記防災処理手段を自動又は半自動で制御する地震対策処理手段と、
前記被害予測の解析結果を入力し、地震発生時のガイダンスとして、点検タンク及び点検箇所を表示する表示手段
を備えたことを特徴とするタンク防災システム。
【請求項2】
前記タンクが浮屋根式タンクである場合に、前記地震対策処理手段が、前記被害予測として、前記タンクのスロッシングモード解析を行うことを特徴とする請求項1記載のタンク防災システム。
【請求項3】
前記防災処理手段が、前記浮屋根式タンクの雨水排水管を閉止する、遠隔制御可能な閉止手段を含むことを特徴とする請求項2記載のタンク防災システム。
【請求項4】
前記防災処理手段が、前記タンクへ泡消火剤を散布する消火手段を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンク防災システム。
【請求項5】
前記防災処理手段が、前記タンクの受払いバルブを閉止する閉止手段を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンク防災システム。
【請求項6】
前記防災処理手段が、監視カメラと、この監視カメラの画像を解析する画像解析手段を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンク防災システム。
【請求項7】
前記地震対策処理手段が、フィード・バックによる前記被害予測の予測精度向上機能を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のタンク防災システム。
【請求項8】
前記地震対策処理手段が、前記点検タンク及び点検箇所を連絡する通信機能を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のタンク防災システム。
【請求項9】
前記地震対策処理手段が、前記タンクの被災状況を関係者に連絡する自動連絡手段を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のタンク防災システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−290446(P2006−290446A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116599(P2005−116599)
【出願日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(000183624)出光エンジニアリング株式会社 (18)
【Fターム(参考)】