説明

ダイシング・ダイボンドフィルム及び半導体素子

【課題】 耐熱性、接着性及び吸湿特性に優れ、リフロー工程や高温多湿の条件下でも良好な熱伝導性及び電気絶縁性を有するダイシング・ダイボンドフィルム、並びに当該ダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造された半導体装置を提供すること。
【解決手段】 ダイシングフィルム上に熱硬化型ダイボンドフィルムが設けられたダイシング・ダイボンドフィルムであって、前記熱硬化型ダイボンドフィルムを構成する接着剤組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及び熱伝導性粒子を含み、前記接着剤組成物の全量に対してそれぞれ、前記アクリル樹脂及び前記エポキシ樹脂の合計含有量をA重量%とし、前記熱伝導性粒子の含有量をB重量%としたとき、式(B/(A+B))により得られる値が0.50以上0.93以下であり、前記熱硬化型ダイボンドフィルムの175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であるダイシング・ダイボンドフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシング・ダイボンドフィルム及びこれを用いて製造される半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造工程において、ダイシングフィルム上に熱硬化型ダイボンドフィルムが積層されたダイシング・ダイボンドフィルムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。このダイシング・ダイボンドフィルムを用いた半導体装置の製造工程においては、まず、ダイシング・ダイボンドフィルムに半導体ウェハが貼り付けられて固定され、その状態でダイシングが行われる。これにより、半導体ウェハは、所定のサイズに個片化され、半導体チップとなる。次に、ダイシング・ダイボンドフィルムに固定された半導体チップをダイシングフィルムから剥離するために、半導体チップのピックアップが行われる。その後、ダイボンドフィルムと共にピックアップした半導体チップを、ダイボンドフィルムを介して基板等の被着体に固定させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−218571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話やデジタルカメラ等の情報通信機器はデバイスの薄型化、高容量化、高速化が進んでおり、より高い熱伝導性、及び絶縁信頼性が要求されている。特に使用環境の多様化から高温多湿等の環境下では熱伝導率、電気抵抗等の特性の劣化が発生し、データの読み取りや書き込みエラー、内部コンポーネントの腐食といった問題が生じやすくなっている。
【0005】
これに対し、ダイボンドフィルムに熱伝導性粒子を配合させて熱伝導性をコントロールする技術が提案されている。しかしながら、熱伝導性粒子の配合によりダイボンドフィルムの弾性率や溶融粘度等の物理的特性に影響を及ぼすことがあり、場合によっては半導体チップの被着体への接着性やパッケージの信頼性が低下したりすることがあることから、熱伝導性と物理的特性との両立が望まれている。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、耐熱性、接着性及び吸湿特性に優れ、リフロー工程や高温多湿の条件下でも良好な熱伝導性及び電気絶縁性を有するダイシング・ダイボンドフィルム、並びに当該ダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造された半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、ダイボンドフィルム上にダイシングフィルムが積層されたダイシング・ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、熱硬化型ダイボンドフィルムに熱伝導性粒子を含有させ、接着剤組成物の全量に対してそれぞれ、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂の合計含有量をA重量%とし、熱伝導性粒子の含有量をB重量%としたとき、式(B/(A+B))により得られる値を0.50以上0.93以下とし、熱硬化型ダイボンドフィルムの175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率を0.1MPa以上とすることにより、熱劣化を起こり難くすると同時に接着信頼性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、ダイシングフィルム上に熱硬化型ダイボンドフィルムが設けられたダイシング・ダイボンドフィルムであって、前記熱硬化型ダイボンドフィルムを構成する接着剤組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及び熱伝導性粒子を含み、前記接着剤組成物の全量に対してそれぞれ、前記アクリル樹脂及び前記エポキシ樹脂の合計含有量をA重量%とし、前記熱伝導性粒子の含有量をB重量%としたとき、式(B/(A+B))により得られる値が0.50以上0.93以下であり、前記熱硬化型ダイボンドフィルムの175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上である。
【0009】
前記構成によれば、熱伝導性粒子を熱硬化型ダイボンドフィルム(以下、単に「ダイボンドフィルムを」と称する場合がある)に含有させて、より高い熱伝導性を付与し、熱硬化型ダイボンドフィルムの175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率を0.1MPa以上とすることにより、ダイボンドフィルム全体での構造ないし剛性が強化されて熱劣化による物性低下を防止することができる。その結果、高温多湿の環境下でもデバイスとしての信頼性を向上させることが可能となる。
【0010】
また前記構成においては、前記熱硬化型ダイボンドフィルムを構成する接着剤組成物の全量に対してそれぞれ、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂の合計含有量をA重量%とし、熱伝導性粒子の含有量をB重量%としたとき、式(B/(A+B))により得られる値が0.50以上0.93以下である。式(B/(A+B))により得られる値を0.50以上とすることにより、より高い熱伝導性を確保することができる。また、式(B/(A+B))により得られる値を0.93以下とすることにより、熱伝導性粒子の充填率が高くなりダイボンドフィルムの半導体ウェハに対する濡れ性が低下してしまうことを防止し、ダイボンドフィルムの被着体への良好な接着性を発揮させることができ、また、適度な剛性を発揮して吸湿条件下での半導体装置としての信頼性を向上させることができる。
【0011】
本発明において、前記熱伝導性粒子の平均粒径は0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。前記熱伝導性粒子の平均粒径を0.01μm以上とすることにより、ダイボンドフィルムの被着体への濡れ性を確保して良好な接着性を発揮させることができ、10μm以下とすることにより、熱伝導性粒子の添加による導電性の向上効果をより良好なものとすることができるからである。また、前記範囲の平均粒径により、熱硬化型ダイボンドフィルムの厚さを薄くすることができ、ひいては半導体チップを高積層化することができると共に、熱硬化型ダイボンドフィルムから熱伝導性粒子が突き出すことによるチップクラックの発生を防止することができる。
【0012】
また本発明において、前記熱伝導性粒子は、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化ホウ素粒子、水酸化アルミニウム粒子及び水酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る半導体装置は、前記の課題を解決するために、当該ダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図3】本実施形態に係る半導体装置の一製造方法を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(ダイシング・ダイボンドフィルム)
本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムについて、以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。図2は、本発明の他の実施形態に係る他のダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【0016】
図1に示すように、ダイシング・ダイボンドフィルム10は、ダイシングフィルム11上にダイボンドフィルム3が積層された構成を有する。ダイシングフィルム11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されており、ダイボンドフィルム3はその粘着剤層2上に設けられている。また本発明は、図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム12のように、ワーク貼り付け部分にのみダイボンドフィルム3’を形成した構成であってもよい。
【0017】
前記基材1は紫外線透過性を有し、かつダイシング・ダイボンドフィルム10、12の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0018】
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップ(半導体素子)の回収の容易化を図ることができる。
【0019】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。
【0020】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0021】
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤を用いることができる。前記感圧性粘着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0022】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0023】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0024】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0025】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは10万以上、さらに好ましくは20万〜300万程度であり、特に好ましくは30万〜100万程度である。
【0026】
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0027】
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、図2に示す粘着剤層2のワーク貼り付け部分に対応する部分2aのみを放射線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
【0028】
また、図2に示すダイボンドフィルム3’に合わせて放射線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aにダイボンドフィルム3’が貼付けられるため、粘着剤層2の前記部分2aとダイボンドフィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。なお、粘着剤層への放射線の照射は、ダイシング後であってかつピックアップ前に行ってもよい。
【0029】
前述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2において、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bはダイボンドフィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、チップ状ワーク(半導体チップ等)を基板等の被着体に固着するためのダイボンドフィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2においては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。
【0030】
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
【0031】
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0032】
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
【0033】
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0034】
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
【0035】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
【0036】
前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0037】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0038】
また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0039】
前記放射線硬化型の粘着剤層2中には、必要に応じて、放射線照射により着色する化合物を含有させることもできる。放射線照射により、着色する化合物を粘着剤層2に含ませることによって、放射線照射された部分のみを着色することができる。すなわち、図1に示すワーク貼り付け部分3aに対応する部分2aを着色することができる。従って、粘着剤層2に放射線が照射されたか否かが目視により直ちに判明することができ、ワーク貼り付け部分3aを認識し易く、ワークの貼り合せが容易である。また光センサー等によって半導体素子を検出する際に、その検出精度が高まり、半導体素子のピックアップ時に誤動作が生ずることがない。
【0040】
放射線照射により着色する化合物は、放射線照射前には無色又は淡色であるが、放射線照射により有色となる化合物である。かかる化合物の好ましい具体例としてはロイコ染料が挙げられる。ロイコ染料としては、慣用のトリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系のものが好ましく用いられる。具体的には3−[N−(p−トリルアミノ)]−7−アニリノフルオラン、3−[N−(p−トリル)−N−メチルアミノ]−7−アニリノフルオラン、3−[N−(p−トリル)−N−エチルアミノ]−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン、4,4’,4”−トリスジメチルアミノトリフエニルメタノール、4,4’,4”−トリスジメチルアミノトリフェニルメタン等が挙げられる。
【0041】
これらロイコ染料とともに好ましく用いられる顕色剤としては、従来から用いられているフェノールホルマリン樹脂の初期重合体、芳香族カルボン酸誘導体、活性白土等の電子受容体があげられ、さらに、色調を変化させる場合は種々公知の発色剤を組合せて用いることもできる。
【0042】
この様な放射線照射によって着色する化合物は、一旦有機溶媒等に溶解された後に放射線硬化型接着剤中に含ませてもよく、また微粉末状にして当該粘着剤中に含ませてもよい。この化合物の使用割合は、粘着剤層2中に10重量%以下、好ましくは0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%であるのが望ましい。該化合物の割合が10重量%を超えると、粘着剤層2に照射される放射線がこの化合物に吸収されすぎてしまうため、粘着剤層2の前記部分2aの硬化が不十分となり、十分に粘着力が低下しないことがある。一方、充分に着色させるには、該化合物の割合を0.01重量%以上とするのが好ましい。
【0043】
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、粘着剤層2における前記部分2aの粘着力<その他の部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射してもよい。
【0044】
前記粘着剤層2に前記部分2aを形成する方法としては、支持基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、前記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、ワーク貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを支持基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
【0045】
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、支持基材1の少なくとも片面の、ワーク貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、ワーク貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになり得るものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
【0046】
なお、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、前記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
【0047】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには5〜25μmが好ましい。
【0048】
熱硬化型ダイボンドフィルム3、3’を構成する接着剤組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及び熱伝導性粒子を含む。前記熱伝導性粒子としては、熱伝導性を示す粒子であれば特に限定されないものの、熱伝導率が5W/m・K以上であるものが好ましい。前記熱伝導性粒子は、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化ホウ素粒子、水酸化アルミニウム粒子及び水酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましい。特にアルミナは高熱伝導率であり、分散性、入手容易性の点で好ましい。また、窒化ホウ素はさらに高い熱伝導率があることから、好適に用いることができる。
【0049】
前記熱伝導性粒子の形状としては、特に限定されず、例えば、フレーク状、針状、フィラメント状、球状、鱗片状のものを使用することができるが、分散性、充填率の向上の点で球状のものが好ましい。
【0050】
前記熱伝導性粒子の平均粒径は、0.01μm以上10μm以下が好ましく、0.1μm以上10μm以下がより好ましい。前記熱伝導性粒子の平均粒径を0.01μm以上とすることにより、ダイボンドフィルムの被着体への濡れ性を確保して良好な接着性を発揮させることができ、10μm以下とすることにより、熱伝導性粒子の添加による導電性の向上効果をより良好なものとすることができるからである。また、前記範囲の平均粒径により、熱硬化型ダイボンドフィルムの厚さを薄くすることができ、ひいては半導体チップを高積層化することができると共に、熱硬化型ダイボンドフィルムから熱伝導性粒子が突き出すことによるチップクラックの発生を防止することができる。なお、熱伝導性粒子の平均粒径は、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA−910)により求めた値である。
【0051】
また、前記熱伝導性粒子としては、平均粒子径の異なる2種以上の熱伝導性粒子を用いることが好ましい。平均粒径の異なる2種以上の熱伝導性粒子を用いることにより、充填率を向上させ易くすることができるからである。平均粒径の異なる2種の熱伝導性粒子を含有させる場合、平均粒径が0.01μm以上5μm未満の熱伝導性粒子Aと、平均粒径が1μm以上10μm以下の熱伝導性粒子Bとを混合した系が好ましい。この場合、上記熱伝導性粒子Aと、熱伝導性粒子Bとの混合比は、重量比で1:9〜4:6であることが好ましい。
【0052】
また、ダイボンドフィルム3、3’は、175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であることが好ましい。175℃×1hr熱硬化後の200℃での引張貯蔵弾性率を0.1MPa以上とすることにより、ワイヤーボンディング工程の際にも、超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3、3’と被着体との接着面でずり変形が生じることを防止することができる。その結果、ワイヤーボンドの成功率を向上させることができる。なお、ダイボンドフィルム3、3’を熱硬化させる際の加熱条件については、後段にて詳述する。
【0053】
ダイボンドフィルム3、3’の175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率は0.1MPa以上であれば特に制限されないものの、5000MPa以下であることが好ましく、3000MPa以下がより好ましく、さらに好ましくは1000MPa以下である。前記引張貯蔵弾性率が5000MPa以上であるとパッケージ作製プロセス中の熱起因による応力緩和効果が減少し、半導体チップの反り量が増大するおそれがある。
【0054】
熱硬化前におけるダイボンドフィルム3、3’の粘着剤層2に対する90°引き剥がし粘着力は、0.03〜0.25N/25mmテープ幅が好ましく、0.04〜0.15N/25mmテープ幅がより好ましい。上記引き剥がし粘着力の測定条件は、引張り速度300mm/分、貼り付け温度50℃、引き剥がし温度25℃(室温)である。
【0055】
ダイボンドフィルム3、3’の積層構造は特に限定されず、例えば接着剤層の単層のみからなるものや、コア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造のもの等が挙げられる。前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
【0056】
前記ダイボンドフィルム3、3’を構成する接着剤組成物は、前述の熱伝導性粒子の他、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂を含む。
【0057】
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。また、エポキシ樹脂は、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ない点で好ましい。
【0058】
前記エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂が好ましい。
【0059】
前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0060】
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。すなわち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
【0061】
前記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体(アクリル共重合体)等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。アクリル樹脂は、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できる点で好ましい。
【0062】
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。
【0063】
前記アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、PETやPBT等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0064】
前記接着剤組成物における熱硬化性樹脂の配合割合としては、所定条件下で加熱した際にダイボンドフィルム3、3’が熱硬化型としての機能を発揮する程度であれば特に限定されないが、5〜60重量%の範囲内であることが好ましく、10〜50重量%の範囲内であることがより好ましい。
【0065】
当該ダイシング・ダイボンドフィルムでは、前記熱硬化型ダイボンドフィルムを構成する接着剤組成物の全量に対してそれぞれ、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂の合計含有量をA重量%とし、熱伝導性粒子の含有量をB重量%としたとき、式(B/(A+B))により得られる値が0.50以上0.93以下である。式(B/(A+B))により得られる値を0.50以上としているので、より高い熱伝導性を確保することができる。また、式(B/(A+B))により得られる値を0.93以下としていることから、熱伝導性粒子の充填率が高くなりダイボンドフィルムの半導体ウェハに対する濡れ性が低下してしまうことを防止し、ダイボンドフィルムの被着体への良好な接着性を発揮させることができる。
【0066】
本発明のダイボンドフィルム3、3’を予めある程度架橋をさせておく場合には、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのがよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
【0067】
前記架橋剤としては、従来公知のものを採用することができる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、前記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、この様なポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
【0068】
また、ダイボンドフィルム3、3’には、その用途に応じて前記熱伝導性粒子以外のフィラーを適宜配合することができる。前記フィラーの配合は、弾性率の調節等を可能とする。前記フィラーとしては、無機フィラー、及び、有機フィラーが挙げられる。前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、ほう酸アルミウィスカ、結晶質シリカ、非晶質シリカ等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0069】
なお、ダイボンドフィルム3、3’には、前記フィラー以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0070】
ダイボンドフィルム3、3’の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層による固定保持の両立性の観点から、1〜200μmが好ましく、より好ましくは3〜100μm、さらに好ましくは5〜80μmである。
【0071】
前記ダイシング・ダイボンドフィルム10、12は、基材1や粘着剤層、ダイボンドフィルムに対しても、その接着時及び剥離時等における静電気の発生やそれによる半導体ウェハ等の帯電で回路が破壊されること等を防止する目的で帯電防止機能を持たせることができる。帯電防止機能の付与は、基材1や粘着剤層2、ダイボンドフィルム3、3’に帯電防止剤や導電性物質の添加する方法、基材1への電荷移動錯体や金属膜等からなる導電層の付設等、適宜な方式で行うことができる。これら方式は半導体ウェハを変質させるおそれのある不純物イオンが発生しにくい方式が好ましい。導電性の付与、導電性の向上等を目的として配合される導電性物質(導電フィラー)としては、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル、導電性合金等の球状、針状、フレーク状の金属粉、アルミナ等の金属酸化物、アモルファスカーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。
【0072】
前記ダイシング・ダイボンドフィルム10、12のダイボンドフィルム3、3’は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルム3、3’を保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、さらに、粘着剤層2にダイボンドフィルム3、3’を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイシング・ダイボンドフィルムのダイボンドフィルム3、3’上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0073】
本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルム10、12は、例えば、次の通りにして作製される。
まず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0074】
次に、基材1上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、ダイシングフィルム11が作製される。
【0075】
ダイボンドフィルム3、3’は、例えば、次の通りにして作製される。
まず、ダイシング・ダイボンドフィルム3、3’の形成材料である接着剤組成物を作製する。当該接着剤組成物には、前述の通り、前記エポキシ樹脂やアクリル樹脂、熱伝導性粒子と共に、必要に応じてその他各種の添加剤等が配合されている。通常、接着剤組成物は、溶媒に溶解させた溶液状態又は溶媒に分散させた分散液状態で用いられる(以下、溶液状態には分散液状態も含むこととする)。
【0076】
次に、接着剤組成物溶液を基材セパレータ上に所定厚さとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ、接着剤層を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて接着剤層を形成してもよい。その後、基材セパレータ上に接着剤層をセパレータと共に貼り合わせる。
【0077】
続いて、ダイシングフィルム11及び接着剤層からそれぞれセパレータを剥離し、接着剤層と粘着剤層とが貼り合わせ面となる様にして両者を貼り合わせる。貼り合わせは、例えば圧着により行うことができる。このとき、ラミネート温度は特に限定されず、例えば30〜50℃が好ましく、35〜45℃がより好ましい。また、線圧は特に限定されず、例えば0.1〜20kgf/cmが好ましく、1〜10kgf/cmがより好ましい。次に、接着剤層上の基材セパレータを剥離し、本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムが得られる。
【0078】
(半導体装置の製造方法)
本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10、12は、ダイボンドフィルム3、3’上に任意に設けられたセパレータを適宜に剥離して、次の様に使用される。以下では、図3を参照しながらダイシング・ダイボンドフィルム10を用いた場合を例にして説明する。
【0079】
まず、ダイシング・ダイボンドフィルム10におけるダイボンドフィルム3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(貼り付け工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。マウントの際の貼り付け温度は特に限定されず、例えば40〜90℃の範囲内であることが好ましい。
【0080】
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する。ダイシングは、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシング・ダイボンドフィルム10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハは、ダイシング・ダイボンドフィルム10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
【0081】
ダイシング・ダイボンドフィルム10に接着固定された半導体チップを剥離するために、半導体チップ5のピックアップを行う。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシング・ダイボンドフィルム10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0082】
ピックアップ条件としては、チッピング防止の点で、ニードル突き上げ速度を5〜100mm/秒とすることが好ましく、5〜10mm/秒とすることがより好ましい。
【0083】
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型であるため、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2のダイボンドフィルム3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップ5を損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、前述のものを使用することができる。なお、粘着剤層に予め紫外線照射し硬化させておき、この硬化した粘着剤層とダイボンドフィルムとを貼り合わせている場合は、ここでの紫外線照射は不要である。
【0084】
ピックアップした半導体チップ5は、ダイボンドフィルム3を介して被着体6に接着固定する(ダイボンド)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
【0085】
前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0086】
ダイボンドフィルム3は熱硬化型であるので、加熱硬化により、半導体チップ5を被着体6に接着固定し、耐熱強度を向上させる。このとき、本発明は、従来のダイボンドフィルムと比較して加熱温度を低減できると共に、加熱時間の短縮も図れる。その結果、加熱温度は、80〜200℃、好ましくは100〜175℃、より好ましくは100〜140℃で行うことができる。また、加熱時間は、0.1〜24時間、好ましくは0.1〜3時間、より好ましくは0.2〜1時間で行うことができる。なお、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5が基板等に接着固定されたものは、リフロー工程に供することができる。
【0087】
熱硬化後のダイボンドフィルム3の剪断接着力は、被着体6に対して0.2MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPaである。ダイボンドフィルム3の剪断接着力が少なくとも0.2MPa以上であると、ワイヤーボンディング工程の際に、当該工程における超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることがない。すなわち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことがなく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。
【0088】
なお、本発明に係る半導体装置の製造方法は、ダイボンドフィルム3の加熱処理による熱硬化工程を経ることなくワイヤーボンディングを行い、さらに半導体チップ5を封止樹脂で封止して、当該封止樹脂をアフターキュアしてもよい。この場合、ダイボンドフィルム3の仮固着時の剪断接着力は、被着体6に対して0.2MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10MPaである。ダイボンドフィルム3の仮固着時における剪断接着力が少なくとも0.2MPa以上であると、加熱工程を経ることなくワイヤーボンディング工程を行っても、当該工程における超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と半導体チップ5又は被着体6との接着面でずり変形を生じることがない。すなわち、ワイヤーボンディングの際の超音波振動により半導体素子が動くことがなく、これによりワイヤーボンディングの成功率が低下するのを防止する。なお、仮固着とは、以降の工程において支障がないように、熱硬化型ダイボンドフィルムの硬化反応を完全に進行した状態に至らない程度に該ダイボンドフィルムを硬化させて(半硬化状態にして)半導体チップ5を固定した状態をいう。
【0089】
前記のワイヤーボンディングは、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する工程である(図3参照)。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着工ネルギーの併用により行われる。本工程は、ダイボンドフィルム3の熱硬化を行うことなく実行することができる。また、本工程の過程でダイボンドフィルム3により半導体チップ5と被着体6とが固着することはない。
【0090】
ダイボンドフィルム3の175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率を0.1MPa以上としているので、ワイヤーボンディング工程の際にも、超音波振動や加熱により、ダイボンドフィルム3と被着体6との接着面でずり変形が生じることを防止することができる。その結果、ワイヤーボンドの成功率を向上させることができる。
【0091】
前記封止工程は、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する工程である(図3参照)。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させると共に、ダイボンドフィルム3を介して半導体チップ5と被着体6とを固着させる。すなわち、本発明においては、後述する後硬化工程が行われない場合においても、本工程においてダイボンドフィルム3による固着が可能であり、製造工程数の減少及び半導体装置の製造期間の短縮に寄与することができる。
【0092】
前記後硬化工程においては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。封止工程においてダイボンドフィルム3が完全に熱硬化していない場合でも、本工程において封止樹脂8と共にダイボンドフィルム3の完全な熱硬化が可能となる。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
【0093】
なお、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。このとき、半導体チップ間にダイボンドフィルムとスペーサとを積層させてもよく、スペーサを積層することなく、ダイボンドフィルムのみを半導体チップ間に積層させてもよく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
【実施例】
【0094】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の要旨をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、「部」とあるのは、「重量部」を意味する。
【0095】
(実施例1)
<ダイシングフィルムの作製>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)76部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)24部、及び、過酸化ベンゾイル0.2部及びトルエン60部を入れ、窒素気流中で61℃にて6時間重合処理をし、アクリル系ポリマーAを得た。2EHAとHEAとのモル比は、100mol対20molとした。
【0096】
このアクリル系ポリマーAに2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」という。)10部(HEAに対し80mol%)を加え、空気気流中で50℃にて48時間、付加反応処理をし、アクリル系ポリマーA’を得た。
【0097】
次に、アクリル系ポリマーA’100部に対し、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン(株)製)6部、及び光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)4部を加えて、粘着剤溶液を作製した。
【0098】
前記で調製した粘着剤溶液を、PET剥離ライナーのシリコーン処理を施した面上に塗布し、120℃で2分間加熱架橋して、厚さ30μmの粘着剤層前駆体を形成した。次いで当該粘着剤前駆体表面に厚さ100μmのポリオレフィンフィルムを貼り合わせた。その後、50℃にて24時間保存をした。貼り合わせ前にはあらかじめポリオレフィンの裏面側にMD(長さ)方向およびTD(幅)方向に220mm長さ×300mm幅部分にマーキングした。その後、粘着剤層前駆体の半導体ウェハ貼り付け部分(直径200mm)に相当する部分(直径220mm)にのみ紫外線を照射して、粘着剤層を形成した。これにより、本実施例に係るダイシングフィルムを作製した。なお、照射条件は下記の通りである。
【0099】
<紫外線の照射条件>
紫外線(UV)照射装置:高圧水銀灯
紫外線照射積算光量:500mJ/cm
出力:120W
照射強度:200mW/cm
【0100】
<熱硬化型ダイボンドフィルムの作製>
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度60.0重量%の接着剤組成物溶液を得た。
(a)エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020) 117.5部
(b)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート828US) 72.9部
(c)フェノール樹脂(三井化学(株)製、MEH7851M) 209.6部
(d)アクリルゴム(ナガセケムテックス製、SG−80H) 100部
(e)球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM−03平均粒子径3μm))
409.1部
(f)硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 1.0部
【0101】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmのダイボンドフィルムAを作製した。
【0102】
(実施例2)
本実施例2においては、上記(e)のアルミナを(株)電気化学工業製、ASFP−20平均粒子径0.2μmに変え、アルミナの添加量を60重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして本実施例に係るダイボンドフィルムBを作製した。
【0103】
(実施例3)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度60.0重量%の接着剤組成物溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして本実施例に係るダイボンドフィルムCを作製した。
(a)エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020) 58.4部
(b)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート828US) 13.6部
(c)フェノール樹脂(三井化学(株)製、MEH7851M) 78.1部
(d)アクリルゴム(ナガセケムテックス製、SG−80H) 100部
(e)球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM−03平均粒子径3μm))
1416.7部
(f)硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.5部
【0104】
(実施例4)
下記(a)〜(e)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度60.0重量%の接着剤組成物溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして本実施例に係るダイボンドフィルムDを作製した。
(a)エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020) 107.3部
(b)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート828US) 42.7部
(c)アクリルゴム(ナガセケムテックス製、SG−80H) 100部
(d)球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM−03平均粒子径3μm))
375.0部
(e)硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 2.5部
【0105】
(比較例1)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度60.0重量%の接着剤組成物溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして本比較例に係るダイボンドフィルムEを作製した。
(a)エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020) 19.6部
(b)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート828US) 12.1部
(c)フェノール樹脂(三井化学(株)製、MEH7851M) 34.9部
(d)アクリルゴム(ナガセケムテックス製、SG−80H) 100部
(e)球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM−03平均粒子径3μm))
111.1部
(f)硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.3部
【0106】
(比較例2)
下記(a)〜(f)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度60.0重量%の接着剤組成物溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして本比較例に係るダイボンドフィルムFを作製した。
(a)エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020) 4.3部
(b)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート828US) 1.0部
(c)フェノール樹脂(三井化学(株)製、MEH7851M) 5.8部
(d)アクリルゴム(ナガセケムテックス製、SG−80H) 100部
(e)球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM−03平均粒子径3μm))
2111.9部
(f)硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z) 0.2部
【0107】
(比較例3)
下記(a)〜(e)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度60.0重量%の接着剤組成物溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして本比較例に係るダイボンドフィルムGを作製した。
(a)エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020) 89.4部
(b)エポキシ樹脂(JER(株)製、エピコート828US) 332.5部
(c)フェノール樹脂(三井化学(株)製、MEH7851M) 478.2部
(d)アクリルゴム(ナガセケムテックス製、SG−80H) 100部
(e)球状アルミナ((株)電気化学工業製、DAM−03平均粒子径3μm))
2333.3部
【0108】
[引張貯蔵弾性率の測定]
各実施例及び比較例で作製したダイボンドフィルムA〜Gを粘弾性測定装置(レオメトリックス社製:形式:RSA−II)を用いて、175℃で1時間硬化させたフィルムの200℃における引張貯蔵弾性率を測定した。より詳細には、作製したダイボンドフィルムを175℃で1時間乾燥機内で加熱して硬化させ、これを切断してサンプルサイズを長さ30mm×幅5mmとし、測定試料をフィルム引っ張り測定用治具にセットし−30〜280℃の温度域で周波数10.0Hz、歪み0.025%、昇温速度10℃/minの条件下で測定した。
【0109】
[熱伝導率の測定]
各実施例及び比較例で作製したダイボンドフィルムA〜Gを175℃で1時間乾燥機内で熱硬化させた。その後、TWA法(装置:アイフェイズ社製 アイフェイズモバイル)により熱拡散率α(m/s)を測定した。同一サンプルを用いてDSCにて比熱測定を行い比熱Cp(J/g・℃)を測定した。比熱はDSC(エスアイアイナノテクノロジー製、DSC6220)、昇温速度10℃/min、20〜300℃の条件で測定したデータをもとに、JISハンドブック(比熱容量測定方法K−7123)から算出した。さらに同一サンプルにてその比重を求め、以下の式より熱伝導率を算出した。
熱伝導率(W/m・K)=熱拡散率α(m/s)×比熱Cp(J/g・℃)×比重ρ(g/cm
【0110】
[ピックアップ性の測定]
ダイボンドフィルムA〜Gのそれぞれに、前記ダイシングフィルムをラミネート温度40℃、線圧2kgf/cmにて貼り合わせ、それぞれを実施例及び比較例に係るダイシング・ダイボンドフィルムA〜Gとした。次に、ダイシング・ダイボンドフィルムA〜Gを、厚さ75μmのシリコンウエハに50℃の条件下で貼り付け、下記の条件にて5mm×5mmのサイズになるようにダイシングを行い、半導体チップのピックアップを行った。この手順を30個の半導体チップ(縦5mm×横5mm)に対し行い、破損なく半導体チップのピックアップが成功した場合をカウントして成功率を算出した。測定結果、及び評価を表1に示す。ピックアップ条件は下記の通りである。
【0111】
<ダイシング条件>
ダイシング方法:ステップカット
ダイシング装置:DISCO DFD6361(商品名、株式会社ディスコ製)
ダイシング速度:50mm/sec
ダイシングブレード:Z1;ディスコ社製「NBC−ZH203O−SE27HDD」
Z2;ディスコ社製「NBC−ZH103O−SE27HBB」
ダイシングブレード回転数:Z1;40,000rpm、Z2;45,000rpm
ダイシングテープ切り込み深さ:20μm
ウェハチップサイズ:厚み75μm、5mm×5mm
【0112】
<ピックアップ条件>
ピックアップ装置:商品名「SPA―300」(株)新川社製
ニードル数:5本
突き上げ量:400μm
突き上げ速度:10mm/秒
引き落とし量:3mm
【0113】
[ボイドの有無]
実施例および比較例で得られたダイシング・ダイボンドフィルムA〜Gを室温(25℃)、湿度55%RHの雰囲気下にて8インチのウェハ(厚さ75μm)の裏面に50℃で貼り付けし、ボイドの有無を目視にて確認した。
【0114】
[剪断接着力測定]
前記実施例及び比較例において作製したダイボンドフィルムA〜Gについて、基板に対する仮固着時の剪断接着力を以下の通り測定した。
【0115】
まず、得られたダイボンドフィルムA〜Gをセパレーターから剥離した後、5mm角に切断したものを、基板(UniMicron Technology Corporation製、商品名TFBGA16×16(2216−001A01))に貼り付けた。一方、アルミ蒸着ウェハをダイシングして、縦5mm×横5mm×厚さ500μmのチップを作製した。このチップを、基板にダイアタッチし、130℃×4hr加熱した試験片を作製した。ダイアタッチは、120℃の温度下で荷重(0.25MPa)をかけ、1秒間加熱するという条件下で、ダイボンダー((株)新川製SPA−300)を用いて行った。
【0116】
剪断接着力の測定は、温度制御可能な熱板に各試験片を固定し、ダイアタッチされた半導体素子をプッシュプルゲージにて速度0.1mm/秒の速度で水平に押して、175℃加温下にて剪断接着力を測定した。また、測定装置として、Model−2252(AIKOHエンジニアリング(株)製)を使用した。
【0117】
[ワイヤーボンディング性]
上記ダイシング後の半導体チップを120℃、0.1MPa、1秒の条件下でBGA(Ball grid array)基板にダイボンディングした後、115KHzワイヤボンダー(新川社製:UTC−300BIsuper)を用いてφ25μmの金線(田中貴金属製GMG−25)にて下記の条件でワイヤーボンディングを行った。なお、すべてのボンディングを完了するのに約1時間を要した。この手順を144個の半導体チップサンプルについて行い、良好にワイヤーボンディングを行うことができた場合を「可」とし、ワイヤーボンディング時にダイボンドフィルムのずり変形が生じた場合を「不可」として、測定サンプル全数に対する「可」のサンプルの数の割合を求めてワイヤーボンディング成功率(%)とした。
【0118】
<ワイヤーボンディング条件>
ファーストボンディング加圧:80g
ファーストボンディング超音波強度:550mW
ファーストボンディング印加時間:10msec
セカンドボンディング加圧:80g
セカンドボンディング超音波強度:500mW
セカンドボンディング印加時間:8msec
【0119】
[吸湿信頼性]
ダイボンドフィルムA〜Gをそれぞれ50℃の条件下で5mm角の半導体チップに貼り付け、120℃、0.1MPa、1秒の条件下でBGA(Ball grid array)基板にマウントした。このような試料を、ダイボンドフィルムA〜Gについてそれぞれ9個作成した。次に、100℃にて10時間の熱処理を施し、封止樹脂(GE−100、日東電工社製)を用いて封止した。次に、60℃、80%RHの雰囲気下で168時間放置した。その後、260℃以上の温度を30秒保持するように温度設定したIRリフロー炉に通過させ、超音波顕微鏡にて半導体チップとBGA基板との界面に剥離が発生しているか否かを観察した。観察の結果、剥離が生じた個数が3個以下であれば○、4個以上であれば×として評価した。結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1の結果からも明らかなように、実施例1〜4のダイシング・ダイボンドフィルムA〜Dでは、熱伝導率、引張貯蔵弾性率及び剪断接着力がいずれも高い値となっており、マウント後のボイドも発生しておらず、ワイヤーボンディング性も良好で優れた接着性を示した。さらに吸湿信頼性も良好でありダイボンドフィルムの熱劣化が抑制されていることが分かった。
【0122】
一方、比較例1のダイシング・ダイボンドフィルムEでは、マウント後のボイドが発生せず、吸湿信頼性も良好であったものの、ワイヤーボンディング性に劣る結果となった。これは、熱伝導性粒子の量が少ないために引張貯蔵弾性率及び剪断接着力が低下し、ダイボンドフィルムの接着性が低減したことに起因すると考えられる。また、比較例2のダイシング・ダイボンドフィルムFでは、ワイヤーボンディング性は良好であったものの、マウント後にボイドが発生し、吸湿信頼性に劣る結果となった。これは、熱伝導性粒子の量が過剰となって引張貯蔵弾性率が高まり、ダイボンドフィルムの基板に対する濡れ性が低下した結果、半導体チップと基板との間にボイドが残ったことに起因すると考えられる。さらに比較例3のダイシング・ダイボンドフィルムGでは、マウント後のボイドは発生しなかったものの、ワイヤーボンディング性及び吸湿信頼性に劣る結果となった。これは、ダイシング・ダイボンドフィルムGの引張貯蔵弾性率及び高温時の接着力が低下し、リフロー時の熱応力でボイドが発生したことに起因すると考えられる。
【符号の説明】
【0123】
1 基材
2 粘着剤層
3、3’ ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
4 半導体ウェハ
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
10、12 ダイシング・ダイボンドフィルム
11 ダイシングフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイシングフィルム上に熱硬化型ダイボンドフィルムが設けられたダイシング・ダイボンドフィルムであって、
前記熱硬化型ダイボンドフィルムを構成する接着剤組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂及び熱伝導性粒子を含み、
前記接着剤組成物の全量に対してそれぞれ、前記アクリル樹脂及び前記エポキシ樹脂の合計含有量をA重量%とし、前記熱伝導性粒子の含有量をB重量%としたとき、式(B/(A+B))により得られる値が0.50以上0.93以下であり、
前記熱硬化型ダイボンドフィルムの175℃で1時間硬化させた後の200℃での引張貯蔵弾性率が0.1MPa以上であるダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項2】
前記熱伝導性粒子の平均粒径は、0.01μm以上10μm以下である請求項1に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項3】
前記熱伝導性粒子は、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子、窒化ホウ素粒子、水酸化アルミニウム粒子及び水酸化マグネシウム粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子である請求項1又は2に記載のダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造される半導体装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−186361(P2012−186361A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49146(P2011−49146)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】