説明

チップピックアップ方法およびチップ実装方法ならびにチップ実装装置

【課題】作業効率の向上を実現することができるチップピックアップ方法およびチップ実装方法ならびにチップ実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一のチップを一のエリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップをマップデータを参照してサーチして、同一のエリア内に存在する適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、当該エリア内に適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定することにより、ピックアップヘッドの相対移動によるピックアップ動作において、ウェハの端から端までの相対移動を反復実行する無駄な動作時間を削減して、作業効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップするチップピックアップ方法およびピックアップされたチップを基板に実装するチップ実装方法ならびにチップ実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子やLED素子などのチップを基板に実装する部品実装過程においては、複数のチップが一括して作り込まれたウェハから個片のチップを取り出すピックアップ工程が実行される(例えば特許文献1参照)。この特許文献に示す先行技術においては、ウェハ上での一定の広さの領域内に存在する複数個のチップ(ペレット)が同一グループとして順次ピックアップされるように、ウェハの領域やピックアップ順序を設定する例が示されている。これにより、一連にピックアップされるチップの特性を極力同一特性とすることができるという効果を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61−292933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで各種の照明装置の光源として用いられるLED素子は、製造過程における種々の誤差要因、例えばウェハにおける膜形成時の組成の不均一などに起因して、ウェハ状態から個片に分割されたLED素子には、発光特性にばらつきが生じることが避けられない。このため、従来よりウェハから同一特性のLED素子をピックアップするために、複数のLED素子の特性を予め測定して得られた特性情報とウェハにおける位置情報とを組み合わせたマップデータを予め準備しておき、ピックアップ過程においてマップデータを参照しながらピックアップ順序を決定する方法が用いられるようになっている。
【0005】
しかしながら、LED素子の発光特性はウェハ上の領域によって偏向する傾向にあるため、単にマップデータを参照して所望の発光特性のLED素子を所定のピックアップ順序にしたがってサーチする方法では、必ずしも高い作業効率でピックアップ作業を行うことができない。例えば、同一特性のLED素子がウェハの外周部分に偏在しているような場合において、格子状に設定されたピックアップ順序でサーチすると、ピックアップヘッドをウェハに対して相対移動させるピックアップ動作において、ウェハの端から端までの相対移動を反復実行することとなり、無駄な動作時間が発生して作業効率を大幅に低下させる結果となる。このように、従来のチップピックアップにおいては、作業効率の向上が困難であるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、作業効率の向上を実現することができるチップピックアップ方法およびチップ実装方法ならびにチップ実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のチップのピックアップ方法は、複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップするチップのピックアップ方法であって、前記ウェハを複数の領域に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおける前記チップの配列位置を示す位置情報と前記チップの特性を示す特性情報とを関連付けたマップデータを記憶させるマップデータ記憶工程と、一の前記チップを一の前記エリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを前記特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定工程と、前記ピックアップチップ決定工程において決定されたチップを前記位置情報に基づいてピックアップするピックアップ実行工程とを含み、前記ピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップを前記マップデータを参照してサーチして、同一の前記エリア内に存在する前記適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、当該エリア内に前記適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する前記適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定する。
【0008】
本発明のチップ実装方法は、複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップして基板に実装するチップ実装方法であって、前記ウェハを複数に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおける前記チップの配列位置を示す位置情報と前記チップの特性を示す特性情報とを関連付けたマップデータを記憶させるマップデータ記憶工程と、一の前記チップを一の前記エリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを前記特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定工程と、前記ピックアップチップ決定工程において決定されたチップを前記位置情報に基づいてピックアップするピックアップ実行工程と、ピックアップした前記チップを前記基板に実装するチップ実装工程とを含み、前記ピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップを前記マップデータを参照してサーチして、同一の前記エリア内に存在する前記適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、当該エリア内に前記適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する前記適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定する。
【0009】
本発明のチップ実装装置は、複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップして基板に実装するチップ実装装置であって、前記ウェハを水平姿勢で保持するウェハ保持部と、前記基板を位置決めして保持する基板保持部と、前記ウェハから前記チップをピックアップして前記基板保持部に保持された基板に移送搭載するチップ実装機構と、前記ウェハを複数に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおける前記チップの配列位置を示す位置情報と前記チップの特性を示す特性情報とを関連付けたマップデータを記憶するマップデータ記憶部と、一の前記チップを一の前記エリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを前記特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定処理部と、前記チップ実装機構を制御することにより、前記ピックアップチップ決定処理部により決定されたチップを前記位置情報に基づいてピックアップして前記基板に実装する実装制御部とを備え、前記ピックアップチップ決定処理部は、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップを前記マップデータを参照してサーチして、同一の前記エリア内に存在する前記適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、当該エリア内に前記適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する前記適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一のチップを一のエリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップをマップデータを参照してサーチして、同一のエリア内に存在する適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、当該エリア内に適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定することにより、ピックアップヘッドをウェハに対して相対移動させるピックアップ動作において、ウェハの端から端までの相対移動を反復実行する無駄な動作時間を削減して、チップのピックアップの作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態のチップ実装装置の全体斜視図
【図2】本発明の一実施の形態のチップ実装装置の部分斜視図
【図3】本発明の一実施の形態のチップ実装装置の正面図
【図4】本発明の一実施の形態のチップ実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施の形態のチップ実装装置によるチップの取り出し対象となるウェハの説明図
【図6】本発明の一実施の形態のチップ実装方法におけるマップデータの説明図
【図7】本発明の一実施の形態のチップ実装方法におけるチップ実装データの説明図
【図8】本発明の一実施の形態のチップ実装方法におけるチップ実装パターンの説明図
【図9】本発明の一実施の形態のチップ実装方法を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、チップ実装装置1の全体構成を説明する。チップ実装装置1は複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップして基板に実装する機能を有するものであり、本実施の形態においては、チップとしてのLED素子をLEDウェハからピックアップして、それぞれが1つのLEDユニットに対応する複数の単位実装区画7aに区分された基板7(図2,図8参照)に実装する作業を行う。
【0013】
図1において基台2上には、部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5がY方向に配列されている。部品供給ステージ3に備えられたウェハ保持テーブル3aには、実装対象となる複数のLED素子(以下、チップ6aと略記する。)が作り込まれたウェハ状集合体であるLEDウェハ(以下、ウェハ6と略記する。)が水平姿勢で保持されている。チップ6aを保持した部品供給ステージ3は、ウェハ6を水平姿勢で保持するウェハ保持部となっている。LEDユニットを製造するためのチップ実装作業においては、このウェハ6によってチップ6aが、以下に説明する構成のチップ実装機構に供給される。
【0014】
ユニット集合ステージ4は、直動機構(図2,3に示すX軸移動機構40参照)によってX方向に往復動する移動テーブル4aに、後述するツールストッカ15、部品回収部16,較正基準マーク17,中継ステージ18、部品認識カメラ23などの機能ユニットを集合的に配設した構成となっている。基板保持ステージ5は、チップ6aが実装される基板7を保持する基板保持テーブル5aをXYテーブル機構53(図3参照)によって水平駆動する構成となっており、基板7を位置決めして保持する機能を有している。
【0015】
部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5の上方には、基台2のX方向の端部に位置して、Y軸フレーム8が支持ポスト8aによって両端部を支持されてY方向に架設されている。Y軸フレーム8の前面には、以下に説明する実装ヘッド11をリニアモータ駆動によりY方向に案内して駆動する実装ヘッド移動機構9が組み込まれている。実装ヘッド11にはチップ6aを保持して基板7に搭載する機能を有する搭載ユニット19が装着されている。部品供給ステージ3、基板保持ステージ5の上方には、位置認識のために第1カメラ21、第2カメラ22が配設されている。第1カメラ21は部品供給ステージ3において取り出し対象のチップ6aを撮像する。第2カメラ22は、基板保持ステージ5に保持された基板7を撮像してチップ実装位置を認識する。またユニット集合ステージ4に配設された部品認識カメラ23は、部品供給ステージ3から取り出されて実装ヘッド11に保持されたチップ6aを下方から撮像する。
【0016】
次に、図2,図3を参照して各部の構造を説明する。部品供給ステージ3はXYテーブル機構31を備えており、XYテーブル機構31の上面に装着された水平な移動プレート32には、複数の支持部材33が立設されている。支持部材33は、上面にウェハ6が装着保持されるウェハ保持テーブル3aを支持している。ウェハ6はウェハシート6bに複数のチップ6aを所定配列で貼着した構成となっている。ウェハシート6bには、能動面を上向きにしたフェイスアップ姿勢で個片に分割された状態の複数のチップ6aが貼着保持されている(図5も参照)。
【0017】
部品供給ステージ3には、ウェハ6からチップ6aをピックアップするためのピックアップ作業位置[P1]が設定されている。第1カメラ21の位置はピックアップ作業位置[P1]に対応しており、第1カメラ21によってLEDウェハ6を撮像した撮像結果を認識処理することにより、ピックアップ対象のチップ6aの位置が検出される。ウェハ保持テーブル3aの内部においてピックアップ作業位置[P1]に対応する位置には、エジェクタ機構34が配設されている。エジェクタ機構34は、ウェハシート6bの下面側からチップ6aをピンで突き上げることにより、チップ6aのウェハシート6bからの剥離を促進する機能を有している。チップ6aの取り出し時にエジェクタ機構34を昇降させてウェハシート6bの下面に当接させることにより、後述するピックアップヘッド14によるチップ6aのウェハシート6bからの取り出しを容易に行うことができる。
【0018】
部品取り出し動作においては、XYテーブル機構31を駆動してウェハシート6bをXY方向に水平移動させる(矢印a)ことにより、ウェハシート6bに貼着された複数のチップ6aのうち、取り出し対象となる所望のチップ6aをピックアップ作業位置[P1]に位置させる。なおここでは、部品供給ステージ3として、ウェハシート6bに貼着されたウェハ状態の部品を供給する方式のウェハテーブルを用いる例を示したが、複数の部品を所定の平面配列で供給する部品トレイを、ウェハテーブルと交換自在に部品供給ステージ3に配置するようにしてもよい。
【0019】
部品供給ステージ3の上方には、チップ6aを吸着して保持するピックアップノズル14aを備えたピックアップヘッド14が配設されている。ピックアップヘッド14はピックアップアーム13aによって保持されており、ピックアップアーム13aは、Y軸フレーム8の下面に縣吊して配置されたピックアップヘッド移動機構13から、部品供給ステージ3の上方に延出して設けられている。ピックアップヘッド移動機構13を駆動することにより、ピックアップアーム13aはXYZ方向に移動する(矢印b)とともに、X方向の軸廻りに回転する(矢印c)。
【0020】
これにより、ピックアップヘッド14は部品供給ステージ3の上方とユニット集合ステージ4の上方との間でY方向に移動するとともに、X方向に進退する。この動作により、ピックアップヘッド14は、部品供給ステージ3からチップ6aをピックアップして、ユニット集合ステージ4に設けられた中継ステージ18に移送する動作を行う。実装ヘッド11の搭載ユニット19へ受け渡す部品受渡し位置[P2]に移動する。このときピックアップアーム13aを回転させてピックアップヘッド14を反転させることにより、ピックアップノズル14aに保持したチップ6aの姿勢を表裏反転させることが可能となっている(図3参照)。
【0021】
なお本実施の形態では、XYテーブル機構31を駆動してウェハシート6bをXY方向に水平移動させることにより、ピックアップヘッド14に対してウェハ6を相対移動させる例を示しているが、ピックアップヘッド移動機構13を駆動してピックアップヘッド14をXY方向に水平移動させることにより、ピックアップヘッド14に対してウェハ6を相対移動させるようにしてもよい。
【0022】
図3に示すように、ユニット集合ステージ4および基板保持ステージ5は、ベースプレート52の上面に設けられており、ベースプレート52は基台2の上面に立設された複数の支持ポスト51によって下方から支持されている。ここでユニット集合ステージ4の詳細構造について説明する。X軸移動機構40は、移動テーブル4aをX方向に移動させる機能を有しており、ベース部41に以下に説明する機構要素を配設して構成されている。ベース部41の上面にはX方向にガイドレール42aが配設されており、ガイドレール42aにスライド自在に嵌合したスライダ42bは、移動テーブル4aの下面に固着されている。
【0023】
図2に示すように、ベース部41の端部に立設されたブラケット43には、モータ(図示省略)によって回転駆動される送りねじ44が軸支されている。送りねじ44は移動テーブル4aの下面に結合されたナット部材(図示省略)に螺合しており、送りねじ44が正逆方向に回転することにより、移動テーブル4aはX方向に往復移動する(矢印g)。これにより、移動テーブル4aに配設された以下の機能ユニットを一体的にX方向に移動させることができ、これらの機能ユニットを実装ヘッド11がアクセス可能な領域に位置させることが可能となっている。
【0024】
移動テーブル4aには、ツールストッカ15、部品回収部16、較正基準マーク17、中継ステージ18および部品認識カメラ23が集合的に配設されている。ツールストッカ15には、搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル19aなど、部品種に応じて交換されて使用される複数の作業ツールが各部品種毎に収納される。個々に収納される作業ツールには、ピックアップヘッド14に装着されるピックアップノズル14a、そしてツールストッカ15を実装ヘッド11、ピックアップヘッド14がアクセス可能な領域に移動した状態において、実装ヘッド11、ピックアップヘッド14をユニット集合ステージ4に移動させることにより、搭載ユニット19に装着される部品保持ノズル19a、ピックアップヘッド14に装着されるピックアップノズル14aを、対象とする部品種に応じたものに交換することができるようになっている。
【0025】
部品回収部16は、部品供給ステージ3から取り出された後に、不良部品や混入した異種部品など基板7への実装が不適と判断された部品を廃棄回収する機能を有している。較正基準マーク17は、X軸移動機構40を継続して駆動する際に熱伸縮によって生じる機構的な位置誤差を、上方に配設された第2カメラ22によって撮像して較正するために設けられた基準マークである。中継ステージ18には、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によって取り出されたチップ6aが必要に応じて載置される。部品認識カメラ23は撮像面を中継ステージ18に隣接させて配置されており、同様にX軸移動機構40を駆動することにより、部品認識カメラ23の撮像面を部品受渡し位置[P2]に位置させることができる。部品認識カメラ23は、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によってピックアップされ、実装ヘッド11に受け渡されたチップ6aを下方から認識する場合に用いられる。
【0026】
基板保持ステージ5は、XYテーブル機構53上に基板7を保持する基板保持テーブル5aを設けた構成となっている。基板7は、それぞれが1つのLEDユニットに対応した複数の単位実装区画7aに区分されている。基板保持ステージ5には、チップ6aを基板保持テーブル5aに保持された基板7に実装するための実装作業位置[P3]が設定されており、第2カメラ22は実装作業位置[P3]に対応して配置されている。第2カメラ22によって基板7を撮像することにより、基板7の単位実装区画7aに設定されたチップ実装位置が検出される。そしてXYテーブル機構53を駆動することにより、基板保持テーブル5aは基板7とともにXY方向に水平移動し(矢印f)、基板7に設定された任意のチップ実装位置を実装作業位置[P3]に位置させることができる。
【0027】
次に、実装ヘッド11について説明する。図2においてY軸フレーム8に設けられた実装ヘッド移動機構9の前面には、実装ヘッド11およびをY方向にガイドするための2条のガイドレール9aが設けられており、これらのガイドレール9aの間には以下に説明する実装ヘッド11およびをY方向に駆動するためのリニアモータを構成する固定子9bが配設されている。ガイドレール9aには図示しないスライダがY方向にスライド自在に嵌合しており、このスライダは垂直な移動プレート11aの背面に固着されている。
【0028】
移動プレート11aの背面には、固定子9bに対向してリニアモータを構成するする可動子(図示省略)が配設されている。これらのリニアモータを駆動することにより、実装ヘッド11はガイドレール9aによってガイドされてY方向に移動する(矢印d)。移動プレート11aの前面には昇降機構11bが配設されており、昇降機構11bの前面には昇降プレート11cが垂直方向にスライド自在に配設されている。昇降機構11bを駆動することにより、昇降プレート11cは昇降する(矢印e)。昇降プレート11cには下部に部品保持ノズル19aを備えた搭載ユニット19が着脱自在に装着されている。
【0029】
搭載ユニット19は部品保持ノズル19aによって実装対象であるチップ6aを保持する機能を有しており、実装ヘッド11をY方向に水平移動させて昇降プレート11cが昇降することにより、搭載ユニット19は部品供給ステージ3から供給されたチップ6aを、基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する。ここでは、搭載ユニット19が装着された実装ヘッド11による実装形態として、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され中継ステージ18上に載置されたチップ6aを搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するプリセンタ実装形態と、ピックアップヘッド14によって部品供給ステージ3から取り出され表裏反転状態でピックアップヘッド14に保持されたチップ6aを、搭載ユニット19によって保持して基板7に搭載するフェイスダウン実装形態とを選択的に実行できるようになっている。
【0030】
本実施の形態においては、搭載ユニット19が装着された実装ヘッド11は、部品供給ステージ3から供給されピックアップヘッド14によってピックアップされ上下反転された状態のチップ6aを、部品受渡し位置[P2]にて受け取って基板保持ステージ5に保持された基板7に搭載する。上述構成において、実装ヘッド移動機構9、搭載ユニット19を備えた実装ヘッド11、ピックアップヘッド移動機構13、ピックアップヘッド14は、部品供給ステージ3からチップであるチップ6aをピックアップして基板保持部である基板保持ステージ5に保持された基板7に移送搭載するチップ実装機構を構成する。
【0031】
次に、図4を参照して制御系の構成を説明する。図4において、制御部60は、制御処理機能としてチップ実装データ作成処理部60a、ピックアップチップ決定処理部60bおよび実装制御部60cを備えており、記憶部61はチップ実装動作に使用される各種の動作プログラムやデータのほか、マップデータ記憶部61a,チップ実装データ記憶部61bを備えている。制御部60が記憶部61に記憶された各種のプログラムやデータを参照しながら以下に説明する各部を制御することにより、部品供給ステージ3から取り出した複数のチップ6aを基板7に実装して、LEDユニットを製造する作業が実行される。
【0032】
まず、マップデータ記憶部61aに記憶されるマップデータ66(図6参照)について説明する。マップデータ66はウェハ6におけるチップ6aの配列を示す位置情報と個別のチップ6aの発光特性を示す特性情報とを対応させたデータである。本実施の形態においては、図5に示すように、ウェハ6は格子状の分割線によって複数のエリアA1〜A16に区分されている。なおこれらのエリアにおけるエリア番号の付与順は、上左側端を起点(エリアA1)として一方向(最初は右方向)に歩進し、端部に至ると下方に移行して反対方向に歩進することを繰り返すジグザグ形状のエリア番号付与方法を採用している。
【0033】
そして各エリアA1〜A16について、当該エリアにおける座標原点を示すエリア別座標原点(O1〜O16)が設定されており、最終エリアのエリアA16の座標原点O16が、ウェハ6全体の座標原点Oと一致する。なおここでは、円形のウェハ6を格子分割しているため、ウェハ6の内部においては正方格子の規則形状のエリアが形成されるものの、ウェハ6の外縁部においては、エリアの形状は不規則でエリア内におけるチップ6aの配置も部分的に階段状の不規則配置となっている。
【0034】
ウェハ6内の任意のチップ6aを特定するためには、ウェハ6をチップ6a毎に格子状に区分するマトリクスにおけるX方向セル番号、Y方向セル番号を組み合わせたマトリクス座標(X,Y)が用いられる。ここでウェハ6全体の座標原点Oを基準とする全体のマトリクス座標を用いてもよく、また当該チップ6aが属するエリア番号Aiをまず特定し、当該エリアAiの個別の座標原点Oiを基準とするローカルのマトリクス座標を用いるようにしてもよい。本実施の形態においては、個別の座標原点Oiを基準とするローカルのマトリクス座標を用いて個別のチップ6aを特定する例を示している。
【0035】
次に上述構成のウェハ6を対象として作成され、マップデータ記憶部61aに記憶されるマップデータ66のデータ構成を,図6を参照して説明する。図6(a)は、マップデータ66のうち、図5に示す各エリアのうち、図6(b)に示すエリアA1,エリアA2について作成されたマップデータ66の一部を例示している。図6(a)において、エリア66aはウェハ6を複数に区分した個別のエリア(エリアA1〜エリアA16)を示しており、各エリアに属するチップ6aには、当該エリア内におけるチップ6aを特定するエリア内チップNo.66bが付与されている。位置情報66cは、エリア内チップNo.66bによって特定されるチップ6aの当該エリア内での位置を、当該エリアAiの座標原点Oiを基準とするローカルのマトリックス座標を用いて表している。
【0036】
例えば、エリアA1のチップNo.(1)は、当該エリアA1においてX方向セル番号が5,Y方向セル番号が3であることから、位置情報66cとして(x5、y3)のマトリクス座標が付されている。同様に、エリアA2のチップNo.(1)は、当該エリアA2においてX方向セル番号が5,Y方向セル番号が6であることから、位置情報66cとして(x5、y6)のマトリクス座標が付されている。
【0037】
特性情報66dは、エリア内チップNo.66bによって特定されるチップ6aの特性情報、すなわち本実施の形態においてはLED素子の発光特性ランクを示している。ここでは発光特性ランクは、実装対象となる複数のチップ6aを対象として前工程装置によって実測により求められた発光特性(ここでは発光波長)の分布を複数に区分したランク分けにおいて、個々のチップ6aがどのランクに属しているかを示すものである。本実施の形態に示す例では、発光波長の分布を高/低の2つにランク分けして、発光波長が高い方をランクA、低い方をランクBとしている。
【0038】
図6(a)に示す例では、エリアA1のチップNo.(1)についてはランクA,エリアA2のチップNo.(1)についてはランクBに分類されている。なお、ここに示す例では区分例として2区分にランク分けする例を示したが、必要に応じてより多くの区分にランク分けするようにしてもよい。このマップデータ66は、前工程装置においてウェハ6を対象として、予め発光特性を検査した検査結果に基づいて作成され、LAN回線などの通信手段を介して、またはCD−ROMなどの記憶媒体に記録された形でチップ実装装置1に提供され,マップデータ記憶部61aに書き込まれる。
【0039】
すなわち記憶部61は、ウェハ6を複数に区分して設定されたエリア毎に、当該該エリアにおけるチップ6aの配列位置を示す位置情報とチップ6aの特性を示す特性情報とを関連づけたマップデータ66を記憶する。図6に示すように、マップデータ66を参照することにより、ウェハ6の複数のチップ6aのうちの個別のチップ6aの特性情報を個別に判別することができる。本実施の形態においては、チップ6aはLED素子であり、特性情報はLED素子の発光特性を個別にランク分けした発光特性情報である。ここでは、上述のように、ウェハ6はエリアに区分されていることから、個別のチップ6aの特定を当該チップ6aが属するエリアを介して行うことができるようになっている。
【0040】
さらに本実施の形態に示すマップデータ66は、一のエリアと他の複数のエリアとの近接度合いを示すエリア近接情報66eを含むものとなっている。すなわち、図6(a)に示すように、各エリア66aには、当該エリアとの近接度合いを近接順位66fと該当エリア66gとの組み合わせによって示すエリア近接情報66eが対応しており、1つのエリアが指定されると、当該エリアから位置的に近接する順にエリアを順位付けすることが可能となっている。
【0041】
すなわち、エリアA1の例では、最も近接した近接順位1には上下に隣接したエリアA2,A8がリストアップされ、次に近接した近接順位2には斜め下方に隣接したエリアA27がリストアップされている。またエリアA2の例では、最も近接した近接順位1には左右および直下に隣接した位置関係にあるエリアA1,A3、A7がリストアップされ、次に近接した近接順位2には斜め下方に隣接したエリアA8,A6がリストアップされている。なおここで示すエリア近接情報66eの意義は、チップ6aのピックアップ動作において、ピックアップヘッド14のウェハ6に対する相対移動を極力効率化することにあることから、近接順位の定義は厳密に設定する必要はなく、大まかな括りで近接度合いを定義してもよい。
【0042】
チップ実装データ記憶部61bは、チップ実装データ67(図7参照),すなわち基板7におけるチップ6aの個別の実装位置を示す実装位置情報と各実装位置に実装されるべきチップ6aの特性情報(発光特性ランク)とを関連づけたチップ実装データ67を記憶する。図7,図8を参照してチップ実装データ67の詳細構成について説明する。図7に示すチップ実装データ67は生産対象となる基板7毎に準備される実装データであり、当該基板7を対象とするチップ実装作業に用いられるウェハ6のマップデータ66を参照して、予めチップ実装データ作成処理部60aによって作成されて、チップ実装データ記憶部61bに書き込まれる。
【0043】
図8(a)(b)に示すように、基板7は1つのLEDユニットに対応する複数の単位実装区画7aに区分されており、各単位実装区画7aに複数(ここでは4個)のチップ6aを実装することにより、各単位実装区画7a毎に1つのLEDユニット70が形成される。そして実装作業終了後に基板7を各単位実装区画7a毎に分割することにより、製品としての個片のLEDユニット70となる。
【0044】
図7(a)(b)に示すように、基板7における単位実装区画7aの配列にしたがって、各LEDユニット70にはユニット番号67b((1)(2)(3)(4)・・・)が付されており、このユニット番号67bが特定されることにより、基板7の単位実装区画7aに実装される4個のチップ6aの組み合わせが特定される。そしてこれらのチップ6aには、ユニット番号67bの順番にしたがって一連の実装番号67aが対応して付されており、チップ実装のための素子実装作業においては、実装番号67aにしたがって順に素子実装を行うことにより、図8に示すLEDユニット70(1)(2)(3)(4)・・・が、基板7の各単位実装区画7aに順次形成される。
【0045】
なお、図7,図8においては、1つのLEDユニット70を構成するチップ6aにおける発光特性ランクの組み合わせの形態に応じて、2つのパターンのチップ実装データ67の例を示している。すなわち図7(a)に示すパターン1のチップ実装データ67においては、発光特性が同一ランク(ここではランクA)のチップ6aのみを組み合わせて,1つのLEDユニット70を完成させる例を示している。このような形態のチップ実装データ67を適用することにより、図8(a)に示すように、各単位実装区画7aには、全て同一の発光ランクAのチップ6aが実装される。
【0046】
これに対し、図7(b)に示すパターン2のチップ実装データ67においては、発光特性が異なる2つのランク,すなわち、ランクAのチップ6aとランクBのチップ6aとを同一個数だけ組み合わせて,1つのLEDユニット70を完成させる例を示している。このような形態のチップ実装データ67を適用することにより、図8(b)に示すように、各単位実装区画7aには、発光ランクAのチップ6a、発光ランクBのチップ6aがそれぞれ2個づつ実装される。
【0047】
すなわち、チップ実装データ作成処理部60aは、基板7におけるチップ6aの個別の実装位置を示す実装位置情報と各実装位置に実装されるべきチップ6aの特性情報とを関連づけたチップ実装データ67を作成する処理を行う。そして実装制御部60cは、上述のマップデータ66およびチップ実装データ67に基づいて前述構成のチップ実装機構を制御することにより、部品供給ステージ3から取り出した複数のチップ6aを基板7に実装するチップ実装動作を実行する。
【0048】
そしてこのチップ実装動作において、ピックアップヘッド14が部品供給ステージ3に保持されたウェハ6からチップ6aを取り出すピックアップ動作を実行する度に、次にピックアップされるチップ6aを特定する処理がピックアップチップ決定処理部60bによって実行される。前述のように、ウェハ6におけるチップ6aの特性の分布はばらついており、また基板7の各単位実装区画7aに実装されるチップ6aについては予めその特性が指定されている。このためチップピックアップ動作においては、次にピックアップすべきチップ6aはチップ実装データ67によって規定される特性を有するチップ6a、換言すれば当該ピックアップ動作においてピックアップされるべき適格性を有する適格チップであるか否かを判定しながら、チップ実装作業を反復実行する必要がある。
【0049】
このため本実施の形態においては、ピックアップチップ決定処理部60bの機能によって、ピックアップ動作毎に、次にピックアップされるべき適格チップをマップデータ66の特性情報66dに基づいて決定し、その位置を位置情報66cによって特定するようにしている。ここでは、チップ実装データ67によって規定される特性を備え、且つピックアップヘッド14によるピックアップ動作の動作効率の改善が実現されるようなピックアップ順序を想定しつつ、ピックアップチップの決定を行う。
【0050】
すなわちピックアップチップ決定処理部60bは、まず直前に実行された動作においてチップ6aのピックアップの対象となった同一のエリア内に、次にピックアップすべき適格チップが存在するか否かをマップデータ66をサーチすることにより判定する。そして同一のエリア内に適格チップが存在するならば、当該適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップ6aとして決定する。そして当該エリア内に適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する適格チップを、次にピックアップすべきチップ6aとして決定する。このとき、当該エリアとの近接度合いを判定するために、マップデータ66に含まれているエリア近接情報66eが参照される。そしてこのようにして次にピックアップすべきとして決定されたチップ6aは、部品供給ステージ3からピックアップヘッド14によってピックアップされ、搭載ユニット19に受け渡された後、実装位置情報67cによって示される基板7の実装位置に実装される。
【0051】
機構駆動部62は、制御部60によって制御されて、部品供給ステージ3、ユニット集合ステージ4、基板保持ステージ5、実装ヘッド移動機構9、実装ヘッド11、ピックアップヘッド移動機構13、ピックアップヘッド14の各部を駆動する。認識処理部63は、第1カメラ21、第2カメラ22、部品認識カメラ23による撮像結果を認識処理する。これにより、部品供給ステージ3においてピックアップヘッド14によってチップ6aを取り出す際のチップ位置認識、基板保持ステージ5に保持された基板7にチップ6aを実装する際の基板位置認識、実装ヘッド11によって保持された状態におけるチップ6aの位置認識が行われる。操作・入力部64はタッチパネルやキーボードなどの入力装置であり、チップ実装装置1を稼働させるための操作コマンドや各種データの入力を行う。表示部65は液晶パネルなどの表示装置であり、操作・入力部64による入力操作時の案内画面や各種の報知画面の表示を行う。
【0052】
このチップ実装装置1は上記のように構成されており、以下チップ実装装置1によるチップ実装方法,すなわち複数のチップ6aが配列されたウェハ6からチップ6aをピックアップして取り出し、基板7の単位実装区画7aに実装するチップ実装方法について、図9のフローに則して説明する。ここでは部品供給ステージ3に保持されたウェハ6は、複数のチップ6aとしてのLED素子を一括して作り込んだ状態のLEDウェハであり、このLEDウェハにおけるLED素子の配列順序には何ら並び替え操作が行われていない。したがって、ウェハ6におけるチップ6aの特性はウェハ6の領域によって分布が不規則に偏った状態にある場合が多い。
【0053】
まずウェハ6は、チップ実装装置1に搬入される前に特性検査の対象となり、図6に示すマップデータ66、すなわちウェハ6を複数の領域に区分して設定されたエリアA1〜A16毎に当該エリアにおけるチップ6aの配列位置を示す位置情報66cとチップ6aの特性を示す特性情報66dとを関連付けたマップデータ66が予め作成される。そして作成されたマップデータ66を、記憶部61のマップデータ記憶部61aに記憶させる(ST1)(マップデータ記憶工程)。これにより、部品供給ステージ3に保持されたウェハ6からチップ6aをピックアップして基板7に実装するチップピックアップ動作が実行可能となり、ピックアップされたチップ6aを順次基板7の単位実装区画7aに実装するチップ実装動作が実行される。
【0054】
このチップ実行動作を反復実行する過程においては、ピックアップすべきチップ6aを決定する処理がピックアップチップ決定処理部60bによって実行される。すなわち、1つのチップピックアップ動作において一のチップ6aを一のエリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップ6aをマップデータ66に規定された特性情報66dに基づいて決定する(ST2)(ピックアップチップ決定工程)。本実施の形態においては、チップ6aはLED素子であり、ピックアップチップ決定工程において、特性情報66dに示される発光特性のランク分けに基づいて特定されるLED素子を適格チップとして決定するようにしている。
【0055】
ピックアップチップ決定工程では、次にピックアップされるチップ6aとしての適格性を有する適格チップ、すなわちチップ実装データ67の特性情報67dにて規定される特性(発光特性ランク)に該当するチップ6aをマップデータ66を参照してサーチする。このとき、ピックアップヘッド14をウェハ6に対して相対移動させるピックアップ動作の作業効率を極力向上させるため、ウェハ6の端から端までの相対移動を反復実行する無駄な動作時間を削減することを目的として、以下のような方法で次にピックアップされるチップ6aを決定する。
【0056】
まず同一のエリア内に適格チップが存在するか否かを判断する(ST3)。ここで、YESならば、すなわち同一のエリア内に適格チップが存在するならば、当該適格チップを次にピックアップすべきチップ6aとして決定する(ST4)。またNOならば、すなわち同一のエリア内に適格チップが存在しないならば、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する適格チップを、次にピックアップすべきチップ6aとして決定する(ST5)。ここで、近接度合いの判断は、マップデータ66に含まれるエリア近接情報66eに基づいて行われる。すなわちエリア近接情報66eを参照して、近接順位66fが高い順にエリア内のチップ6aをサーチし、これらの中から当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する適格チップを見出す。
【0057】
次いで上述のピックアップチップ決定工程において決定された適格チップを、位置情報66cに基づいてピックアップする(ST6)(ピックアップ実行工程)。すなわち、部品供給ステージ3に保持されたウェハ6から、ピックアップヘッド14によってチップ6aをピックアップし、ピックアップヘッド14を上下反転させながら部品受渡し位置[P2]に移動させ、ここで保持したチップ6aを実装ヘッド11の搭載ユニット19に受け渡す。
【0058】
そしてピックアップしたチップ6aを基板7に実装する(ST7)。すなわち、実装ヘッド11を実装作業位置[P3]に移動させ、搭載ユニット19を下降させることにより、保持したチップ6aを基板7においてチップ実装データ67に示すユニット番号67bにて特定される単位実装区画7aのチップ実装位置に実装する。そしてこのチップ実装動作を基板7における全ての単位実装区画7aについて反復実行することにより、1つの基板7を対象としたチップ実装作業を完了する。
【0059】
上記説明したように、本実施の形態に示すチップ実装におけるチップピックアップ作業においては、まず、部品供給ステージ3に保持されたウェハ6を複数に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおけるチップ6aの配列位置を示す位置情報とチップ6aの特性を示す特性情報66dとを関連付けたマップデータ66を記憶させておくようにしている。
【0060】
そしてチップピックアップ動作の実行過程では、一のチップ6aを一のエリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップ6aを特性情報66dに基づいて決定するピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップ6aとしての適格性を有する適格チップをマップデータ66を参照してサーチして、同一のエリア内に存在する適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、当該エリア内に適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定するようにしている。
【0061】
これにより、従来技術において予め定められたサーチ経路にしたがってサーチを実行する場合に生じていた無駄な時間、すなわちピックアップヘッド14をウェハ6に対して相対移動させるピックアップ動作において、ウェハ6の端から端までの相対移動を反復実行する無駄な動作時間を削減して、チップ6aのピックアップ動作の作業効率を向上させることができる。一般に、ウェハ6において同一特性のチップ6aは近接した特定領域に偏在する傾向があることから、特に図7(a)に示すチップ実装データ67のパターン1のように、同一特性のチップ6aを連続してピックアップする場合において、この作業効率の改善効果は顕著である。
【0062】
なお上述の実施の形態では、チップ6aがLED素子であって特性情報がLED素子の発光特性ランクである例を示したが、本発明はこのような例には限定されず、複数のチップ6aが規則配列で作り込まれたウェハ6から、チップ6aを特性情報に基づいて順次ピックアップする形態であれば、本発明を適用することができる。例えば、複数の半導体素子が作り込まれた半導体ウェハから、特性情報としての半導体素子の良否判定情報に基づいて半導体素子を順次ピックアップする場合も本発明の適用対象となる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のチップピックアップ方法およびチップ実装方法ならびにチップ実装装置は、作業効率の向上を実現することができるという効果を有し、LED素子などのチップをウェハから取り出して基板に実装する分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 チップ実装装置
3 部品供給ステージ
4 ユニット集合ステージ
5 基板保持ステージ
6 ウェハ
6a チップ
7 基板
7a 単位実装区画
9 実装ヘッド移動機構
11 実装ヘッド
13 ピックアップヘッド移動機構
14 ピックアップヘッド
[P1] ピックアップ作業位置
[P2] 部品受渡し位置
[P3] 実装作業位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップするチップのピックアップ方法であって、
前記ウェハを複数の領域に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおける前記チップの配列位置を示す位置情報と前記チップの特性を示す特性情報とを関連付けたマップデータを記憶させるマップデータ記憶工程と、
一の前記チップを一の前記エリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを前記特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定工程と、
前記ピックアップチップ決定工程において決定されたチップを前記位置情報に基づいてピックアップするピックアップ実行工程とを含み、
前記ピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップを前記マップデータを参照してサーチして、
同一の前記エリア内に存在する前記適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、
当該エリア内に前記適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する前記適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定することを特徴とするチップピックアップ方法。
【請求項2】
前記マップデータは、一のエリアと他の複数のエリアとの近接度合いを示すエリア近接情報を含み、
前記ピックアップチップ決定工程において、前記エリア近接情報に基づいて当該エリアとの近接度合いを判断することを特徴とする請求項1記載のチップピックアップ方法。
【請求項3】
前記チップはLED素子であって、前記特性情報は前記LED素子の発光特性を個別にランク分けした発光特性情報であり、
前記ピックアップチップ決定工程において、前記ランク分けに基づいて特定されるLED素子を前記適格チップとして決定することを特徴とする請求項1または2記載のチップピックアップ方法。
【請求項4】
複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップして基板に実装するチップ実装方法であって、
前記ウェハを複数に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおける前記チップの配列位置を示す位置情報と前記チップの特性を示す特性情報とを関連付けたマップデータを記憶させるマップデータ記憶工程と、
一の前記チップを一の前記エリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを前記特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定工程と、
前記ピックアップチップ決定工程において決定されたチップを前記位置情報に基づいてピックアップするピックアップ実行工程と、
ピックアップした前記チップを前記基板に実装するチップ実装工程とを含み、
前記ピックアップチップ決定工程において、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップを前記マップデータを参照してサーチして、
同一の前記エリア内に存在する前記適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、
当該エリア内に前記適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する前記適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定することを特徴とするチップ実装方法。
【請求項5】
複数のチップが配列されたウェハからチップをピックアップして基板に実装するチップ実装装置であって、
前記ウェハを水平姿勢で保持するウェハ保持部と、
前記基板を位置決めして保持する基板保持部と、
前記ウェハから前記チップをピックアップして前記基板保持部に保持された基板に移送搭載するチップ実装機構と、
前記ウェハを複数に区分して設定されたエリア毎に当該エリアにおける前記チップの配列位置を示す位置情報と前記チップの特性を示す特性情報とを関連付けたマップデータを記憶するマップデータ記憶部と、
一の前記チップを一の前記エリアからピックアップした後に、次にピックアップすべきチップを前記特性情報に基づいて決定するピックアップチップ決定処理部と、
前記チップ実装機構を制御することにより、前記ピックアップチップ決定処理部により決定されたチップを前記位置情報に基づいてピックアップして前記基板に実装する実装制御部とを備え、
前記ピックアップチップ決定処理部は、次にピックアップされるチップとしての適格性を有する適格チップを前記マップデータを参照してサーチして、
同一の前記エリア内に存在する前記適格チップを優先的に次にピックアップすべきチップとして決定し、
当該エリア内に前記適格チップが存在しない場合には、当該エリアとの近接度合いが最も高いエリア内に存在する前記適格チップを、次にピックアップすべきチップとして決定することを特徴とするチップ実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26537(P2013−26537A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161677(P2011−161677)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】