説明

ツタウルシ皮膚炎の防止/予防的治療のための組成物

本発明は、1つまたは複数の実施形態において、3−n−ペンタデシルカテコール(ツタウルシウルシオール飽和同族体)および/または3−n−ヘプタデシルカテコール(アメリカツタウルシウルシオール飽和同族体)の水溶性誘導体を、ツタウルシおよびアメリカツタウルシによって引き起こされる接触皮膚炎の防止および/または予防的治療のための組成物として含む。本発明はまた、そのような化合物の作製方法に関する。一般式(I)の水溶性ウルシオールエステルを含むウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対して対象を寛容化および脱感作するのに有効な化合物が開示される。ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対するヒトを含む哺乳動物の寛容化および脱感作は、少なくとも1つの水溶性ウルシオール化合物を含有する組成物を投与することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ツタウルシ皮膚炎の防止および/または予防的治療および/または脱感作治療のための組成物、そのような組成物の使用方法、ならびにそのような組成物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ツタウルシ(トキシコデンドロン・ラジカンス(Toxicodendron radicans))、アメリカツタウルシ(T.ジベルシロブム(T.diversilobum))、およびドクウルシ(T.ベルニクス(T.vernix))は、毎年1000〜5000万人の米国人を侵しており(1)、米国における職業性皮膚炎の主な原因である(2)。一般成人人口におけるツタウルシ過敏症およびアメリカツタウルシ過敏症の罹患率は、50%〜70%に及ぶ(3,4)。感作頻度は、8歳〜14歳の間で最も高い(5)。ウルシオール感受性に対する遺伝的易罹患性から、ウルシオール感受性の両親から生まれる子供の80%が感受性となることが示唆されている(6)。屋外活動ならびに消防、林業、および農業に関連する屋外仕事は危険性が高く、多大な医療費がかかり、従事者の身体障害をもたらす。毎年火災シーズンになると、カリフォルニア州、オレゴン州、およびワシントン州の林業従事者の約3分の1が、アメリカツタウルシ皮膚炎により障害を負う(7)。この障害は、大半の救急医および一次診療医および皮膚科医に非常によく知られている(8)。
【0003】
皮膚原性成分を含む他のウルシ科植物属としては、アナカルジウム(Anacardium)(カシューナッツ)、セミカルプス(Semicarpus)(インディアインクツリー)、メトピウム(Metopium)(ポイゾンウッド)、およびマンギフェラ(Mangifera)(マンゴー)が挙げられる。これらのほとんどの植物中のアレルギー性成分は、C−15またはC−17側鎖と様々な不飽和度(0〜3個のオレフィン結合)とを有する3−n−アルク−(エン)−イルカテコールである(9−12)。ウルシオールは、ツタウルシ、アメリカツタウルシ、およびアジア産のウルシ中に存在するそのようなアレルギー誘発性成分の典型である(13)。これは、飽和しているかまたは1個、2個、もしくは3個の不飽和結合を有しているかのいずれかの、C−15またはC−17炭化水素鎖で3位または4位が置換されているカテコール環を有する(14)。カテコール環と脂肪族鎖の両方が、ウルシオールのアレルギー誘発性に重要な役割を果たすことが証明されている(15−17)。これらのカテコールを感受性のある人の皮膚と接触させると、ウルシ科植物の全てのウルシオールに対する感作が起こる(18)。ひとたび感受性が発現すると、消失させるのは、不可能ではないにしても難しい。
【0004】
アレルギー性接触皮膚炎(ACD)は、身体が異物と認識する物質との直接的な皮膚接触によって生じる。結果として生じる皮膚の炎症は、樹状細胞依存的な遅延型過敏免疫反応である。これは、眼瞼や性器皮膚などの薄い皮膚表面で生じるのがより一般的である。この種の応答は、ハプテンとして作用し得る種々の化合物に皮膚が曝されることによって誘発される。これらのハプテンは、タンパク質またはペプチドの別々のアミノ酸残基に結合した後、免疫原性となる。臨床症状の前に、臨床症状を示さない感作期がある。接触過敏症の齧歯類モデルは、ACDの機序を理解するのに貢献している。アレルゲン/ハプテン(今回の場合はウルシオール)を取り込んだ樹状細胞(DC)は、感作期間中に、流入領域リンパ節(LN)に遊走し、そこで成熟し、共刺激分子を発現し、ナイーブT細胞に抗原を提示することが知られている(19−20)。成熟DCおよびナイーブT細胞は、LNで発現されるケモカインによってLNに誘引される(19,21)。
【0005】
感作された人がハプテン/ウルシオールに曝されると、特異的なT細胞(CD8+およびCD4+)が、ケモカインの影響を受けて、皮膚上の曝露部位に遊走し、そこで細胞が大規模に増殖する(19)。その後、活性化されたT細胞は、大量のサイトカインを産生および放出し、その結果、炎症および/または浮腫をもたらす炎症プロセスを引き起こす。CD8+細胞傷害性リンパ球はACDの発症に関与する主要なエフェクター細胞であることが示唆されている。これらの細胞は、刺激後早期に動員される。CD4+ T細胞サブセットは下方調節性細胞であり、72時間後、ACDの回復期に皮膚病変で見られる(22)。ウルシオールの経皮吸収は、他の親油性物質の経皮吸収と似ている。これらの分子は、角質層の細胞間脂質から皮膚に優先的に侵入する。ウルシオールと角質層との接触を阻止し、その侵入を防止する物質(別名、バリア製品)はどれも、ある程度の保護を与える可能性が高いと考えられる。多くの市販製品が開発され、それらのウルシオール皮膚炎防止効果が試験されており、これらの実験は公表されている(1,23−28)。現在、ある程度の現実的な効果を与える物質はごくわずかしかない(1,23,24)。
【0006】
1つの製品(有機粘土のカンテリウム(quanterium)−18ベントナイト)が、Epstein(23)により試験的研究で検討され、ベントナイト、カオリン、またはシリコーンよりも実験的ウルシオール皮膚炎の防止に有効であることが分かった。1992年、Grevelinkら(24)は、バリア製品の効果に関する当時の最良の概説を発表した。彼らはまた、9点の全般重症度スコアを用いて、20人のボランティアにおける実験的ウルシオール皮膚炎の防止に対する7つの市販製品の有効性を比較した。Stokogard(Stockhausen,Greenboro,NC)、Hollister Moisture Barrier(Hollister,Inc.,Libertyville,IL)、およびHydropel(C&M Pharmacol,Inc.,Hazel Park,MI)は、かなりの程度の保護を与えた。これらの製品は、それぞれ、59%、53%、および48%の保護を与えた。Ivy Shield(Interpro,Inc.,Haverhill,MA)、Shield Skin(Mantor Corp.,Minneapolis,MN)、Dermofilm(Innovetec,Brussels,Belgium)、およびUniderm(Smith and Nephew,Inc.,Largo,FL)は、それぞれ、22%、13%、3%、および9%の(あったとしても)ずっと少ないレベルの保護を与えた(24)。Topical Skin Protectant(TSP)という、もう1つの皮膚バリア製品は、過フッ素化ポリエーテル油中で混合されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂から構成されている(29)。TSPは、192か所の対を成す試験部位のうちの合計34か所で皮膚炎を完全に防止し、22か所の対を成す部位で皮膚炎を痕跡レベルのみにまで軽減させることがVidmarおよびIwaneにより報告された(29)。
【0007】
皮膚炎の治療は、主として対症的なものである。重症症例の患者に対しては、漸減用量の経口コルチコステロイド(例えば、プレドニソン)を使用してもよい。プレドニソンは、様々な疾患に対する免疫系の応答を減少させて、腫れやアレルギー型反応などの症状を低下させるコルチコステロイドホルモン(グルココルチコイド)である。しかしながら、コルチコステロイドの入手可能な「用量パック」は、非常に短い期間、わずかな用量のコルチコステロイドしか送達せず、多くの場合、リバウンド反応を引き起こすので、ほとんど役に立たない(30)。
【0008】
ツタウルシ関連ACDに対する残りの治療は、緩和ケアを中心としたものである。Benadryl(登録商標)局所クリーム(Pfizer)は、ツタウルシ、アメリカツタウルシ、およびドクウルシの滲出と浸出を乾燥させ、痛みと痒みを一時的に和らげる。
【0009】
1950年代以降利用されている、ツタウルシ/アメリカツタウルシの抽出物を含む脱感作レジメン(感作された個体の感受性を消失させること)は多数あるが、確実に効果のあるものはない(31,32)。これらの技術は、様々なウルシオール製剤の摂取または非経口注射からなっていた。成功を記載した報告も中にはあったが(31,32)、脱感作のレベルは様々で、持続性がなかった。さらに、これらのレジメンによって、粘膜、皮膚、および全身への副作用が生じた。したがって、この手法は、大部分は中止されている。
【0010】
植物抽出物の投与による減感作(感作された個体の感受性の程度を低下させること;寛容化)は得難い。これには多くの用量と長い年月が必要となるが、治療を中止すると感受性は速やかに取り戻される(18,31)。この目的のためにウルシ(Rhus)抽出物(活性のあるアレルギー誘発性成分のウルシオールを含有する)を使用する利益と安全性は、1917年に最初に投与されて以来、議論の的となっている。ウルシ抽出物とアレルゲンの臨床的使用に関するいくつかの概説が書かれている(23,33,34)。
【0011】
投与された遊離形態のウルシオールに活性がない理由は、ウルシオールのカテコール部分に血漿タンパク質との高い反応性があることによる可能性がある。吸収されるとすぐに、ウルシオールはこれらのタンパク質と不可逆的に結合し、「失活」すると推定される。本発明者らは、寛容の生起またはツタウルシ皮膚炎の予防的治療に有効であるためには、ウルシオールが細胞膜に結合する必要があり得るということを理論的に説明した。このことを考慮して、本発明者らは以前に、溶解し、洗浄した血液細胞に由来する血液細胞膜の懸濁液にウルシオール溶液を添加することによって、細胞膜に結合したツタウルシウルシオールコンジュゲートを調製し、その後、この懸濁液を宿主動物に再注射した(18)。本発明者ら(18)は、モルモットの赤血球細胞膜に結合した3−n−ペンタデシルカテコール(ツタウルシウルシオールの飽和同族体)の投与によって寛容が生じたことを示した。処置群は、20週間の研究の間、3−n−ペンタデシルカテコールに対して寛容であった。
【0012】
その手法で成功したので、本発明者らは、一部のエステルが血液細胞の表面で加水分解し、それにより膜に結合し得る遊離ウルシオールを生じさせることができるという点で、ウルシオールエステルの投与はより有効であり得るという理論を立てた。ウルシオールエステルの投与は、例えば、皮下注射(「s.c」)、筋肉内注射(「IM」)、静脈内注射(「IV」)、鼻腔内投与、経粘膜投与、および直腸投与を介するものであり得る。ツタウルシウルシオールおよびアメリカツタウルシウルシオールの二酢酸エステルをナイーブモルモットにIV注射することにより、モルモットモデルにおけるツタウルシウルシオールに対する寛容が達成され、感作された動物で同じ処置をすることにより、完全脱感作または減感作が達成された(35)。ツタウルシウルシオールおよびアメリカツタウルシウルシオールの経口投与の有効性を、感受性のあるモルモットを脱感作するためのそれぞれのエステル化誘導体を用いて比較した(36)。エステル化誘導体は、遊離ウルシオールがもたらすよりも大きい減感作をもたらし、この減感作はより長く持続した。本発明者らは、ウルシオールエステルが最も有効であるためには、非経口投与が必要であると結論付けた。したがって、本発明者らは、単回投与レジメンがツタウルシウルシオール皮膚炎に対する減感作に有効である可能性を評価する研究を行なった(37)。減感作は、20mgの単回筋肉内用量で達成された。
【0013】
エステル化ウルシオールを投与するためのビヒクルとして油を使用することは、IV注射または皮下注射の投与ほどは有効でない可能性のある徐放薬として作用することにより、投与経路(筋肉内に限定される)と薬物送達の効率の観点の両方から大きな制限を示す。したがって、有効な水溶性ウルシオール誘導体(またはその飽和同族体)の開発は、ツタウルシ/アメリカツタウルシ接触皮膚炎を防止するための成功した製品の実現可能な改良および選択肢となる。
【0014】
ウルシオールを用いたツタウルシ/アメリカツタウルシ皮膚炎の予防的治療の作用機序は未知であるが、CD8+ T細胞の下方調節を同時に伴うCD4+ T細胞増殖の上方調節が関与している可能性がある。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、1つまたは複数の実施形態において、ツタウルシウルシオール、すなわち、3−n−ペンタデシルカテコール(ツタウルシウルシオール飽和同族体)および/またはアメリカツタウルシウルシオール、すなわち、3−n−ヘプタデシルカテコール(アメリカツタウルシウルシオール飽和同族体)の水溶性誘導体を、ツタウルシ、アメリカツタウルシ、ならびにACDを引き起こす他のウルシ科植物およびイチョウ科植物によって引き起こされる接触皮膚炎の防止および/または予防的治療のための組成物として含む。さらに、本発明は、そのような化合物の作製方法に関する。特に、ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンによって引き起こされる接触皮膚炎に対する寛容化および脱感作に有効な化合物であって、一般式(I)
【化1】

(式中、R1は、11〜19個の炭素原子を有するアルキルラジカル、もしくはその不飽和同族体、またはそれらの混合物であり、R2とR3は、各々独立して、アミノ酸もしくはアミノ酸の組合せに由来する残基ラジカル(すなわち、ジペプチド残基、トリペプチド残基、もしくはポリペプチド残基)、水溶性特性を有する塩形成化合物になるカルバメート形成化合物または硫酸エステルもしくはリン酸エステルまたはジカルボン酸エステルである)の水溶性ウルシオールエステルを含む化合物が開示される。好適な置換基としては、R1が、ペンタデシル、ヘプタデシル、ノナデシル、モノオレフィンペンタデシル、モノオレフィンヘプタデシル、ジオレフィンペンタデシル、ジオレフィンヘプタデシル、トリオレフィンペンタデシル、およびトリオレフィンヘプタデシルである化合物が挙げられる。
【0016】
本発明はまた、ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対して、ヒトを含む哺乳動物を寛容化および脱感作する方法であって、本発明に開示されているような化合物または化合物の混合物を含む組成物を該哺乳動物に投与する工程から本質的になる方法に関する。本出願の文脈では、脱感作は、感作された対象における感受性の消失および感作された対象における感受性の程度の低下(減感作または寛容化)を包含することが意図される。本発明の組成物の調製方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】ウルシオール刺激24時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験1)を示す。
【図1B】ウルシオール刺激48時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験1)を示す。
【図1C】ウルシオール刺激72時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験1)を示す。
【図2A】ウルシオール刺激24時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験2)を示す。
【図2B】ウルシオール刺激48時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験2)を示す。
【図2C】ウルシオール刺激72時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験2)を示す。
【図3A】ウルシオール刺激24時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験3)を示す。
【図3B】ウルシオール刺激48時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコア(試験3)を示す。
【図3C】ウルシオール刺激72時間後に記録した全ての群(I〜V)の合計試験スコアを示す。
【図4A】ウルシオール刺激72時間後に撮影された試験#3(第I群)の写真を示す。
【図4B】ウルシオール刺激72時間後に撮影された試験#3(第II群)の写真を示す。
【図4C】ウルシオール刺激72時間後に撮影された試験#3(第III群)の写真を示す。
【図4D】ウルシオール刺激72時間後に撮影された試験#3(第IV群)の写真を示す。
【図4E】ウルシオール刺激72時間後に撮影された試験#3(第V群)の写真を示す。
【図5A】ウルシオール刺激24時間後の合計群スコア(IV&V)を示す。
【図5B】ウルシオール刺激48時間後の合計群スコア(IV&V)を示す。
【図5C】ウルシオール刺激72時間後の合計群スコア(IV&V)を示す。
【図6】ELI-21-57-3で処置した後、ウルシオールで刺激した第IV群(72時間での皮膚反応)の写真を示す。
【図7】ビヒクルで処置し、ウルシオールで刺激した第V群(72時間での皮膚反応)の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
水溶性ウルシオールエステル誘導体を含む戦略が開発された。該誘導体は、投与後に速やかに血流に達し、血液細胞の表面で加水分解して、活性のある遊離ウルシオールを生成することができ、その後、この活性のある遊離ウルシオールは、細胞膜に結合することができる。ウルシオール細胞膜コンジュゲートは、脱感作を引き起こす活性実体であると考えられている。
【0019】
アミノ酸エステルにより、ウルシオールおよびウルシオール同族体のエステルであって、そのようなエステルを形成することが可能なカルボキシ基およびアミノ酸エステルの最終生成物中で薬学的に許容される塩形態に転換し得るアミノ基を有する化合物でフェノール基がエステル化されている、ウルシオールおよびウルシオール同族体のエステルを意味する。
【0020】
ウルシオール「アミノ酸エステル」により、例えば、ウルシオールモノアラニナートまたはウルシオールジアラニナートを意味する。アミノ基(単数または複数)は、当然、任意のアミノ酸、ポリ(アミノ酸)、またはペプチドから生じたものであってよい。
【0021】
本アミノ酸エステルを作製するために有用な化合物としては、天然と合成の両方のアミノ酸およびジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチドが挙げられる。
【0022】
有用なアミノ酸としては、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ホモセリン、ホモセリンラクトン、およびノルロイシンが挙げられる。
【0023】
ウルシオールのカルバメート誘導体により、ウルシオール誘導体であって、フェノール性ヒドロキシル基がカルバメート結合に変換され、カルバメート形成物質の残基が薬学的に許容される塩に転換され得るカルボキシ基を含む、ウルシオール誘導体を意味する。
【0024】
本明細書中の「ジカルボン酸」により、2つのカルボキシル基(−COOH)を有する有機酸を意味する。本発明における好適なジカルボン酸は、例えば、マロン酸、リンゴ酸、グルタル酸およびその誘導体、ならびにコハク酸である。ジカルボン酸には、ジカルボン酸の無水物および反応性誘導体(例えば、ジカルボン酸ハライド)も含まれる。
【0025】
ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンによって引き起こされる接触皮膚炎に対して対象を脱感作するのに有効な化合物であって、以下の式I
【化2】

(式中、R1は、11〜19個の炭素原子を有するアルキルラジカル、もしくはその不飽和同族体、またはそれらの混合物であり、R2とR3は、各々独立して、アミノ酸もしくはアミノ酸の組合せに由来する残基ラジカル、カルバメート形成化合物、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体のエステルまたは硫酸エステルもしくはリン酸エステルであり、ここで、これらのエステルは塩形成化合物である)の水溶性ウルシオールエステルを含む化合物が開示される。
【0026】
式IのR1は、ペンタデシル、ヘプタデシル、またはノナデシルであることができる。
【0027】
式Iの化合物は、アミノ酸もしくはアミノ酸の組合せもしくはジカルボン酸を含むアミノ酸のエステル、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体を介して形成されるエステル、リン酸エステルもしくは硫酸エステル、または塩形成カルバメートであるカルバメートエステルであることができる。
【0028】
限定するものではないが、例示的化合物としては、ヘプタデシルカテコールフェニルアラニン酸エステル、3−ヘプタ−1,2−フェニレンビス(4−アミノフェニル)ブタノアート、ヘプタデシルカテコールインドール−プロピオン酸エステル、ヘプタデシルカテコール−β−アラニン酸エステル、ペンタデシルカテコールバリニン酸エステル、ペンタデシルカテコール−ジ−バリニン酸エステル、ペンタデシルカテコールグルタミン酸エステル、ペンタデシルカテコールアスパラギン酸エステル、ペンタデシルカテコールグルタミン酸−β−アラニンジペプチドエステルが挙げられる。
【0029】
本発明はまた、少なくとも1つの式Iによる水溶性化合物とそのための好適な薬学的担体とを含有する薬学的組成物を包含する。
【0030】
これらの薬学的組成物は、非経口投与、経皮投与、または鼻腔内投与されるのに適している。
【0031】
本発明はさらに、ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対して対象を脱感作する方法であって、式Iによる化合物または化合物の混合物を含む組成物を該対象に投与する工程を含む方法を包含する。
【0032】
治療方法は、対象への非経口投与、経皮投与、または経鼻投与によるものであり得る。
【0033】
ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対して対象を脱感作する本方法は、式Iによる水溶性化合物または水溶性化合物の混合物を含有する薬学的組成物を該対象に投与する工程を含む。
【0034】
本発明はさらに、式II
【化3】

(式中、R1は、上に規定のものである)の化合物を、保護アミノ酸または保護アミノ酸の組合せまたはジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体を含む保護アミノ酸の誘導体と反応させ、その後、保護基を除去することによって、本発明による化合物を調製する方法を提供する。
【0035】
さらに、本発明は、本発明による化合物を調製する方法であって、式II
【化4】

(式中、R1は、上に規定のものである)の化合物をジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体と反応させる工程を含む方法を包含する。
【0036】
さらに、本発明は、本発明による化合物を調製する方法であって、式II
【化5】

(式中、R1は、上に規定のものである)の化合物をパラニトロフェニルクロロホルメートと反応させ、その後、この中間体をアミノ酸またはアミノ酸の組合せのアリルエステルと反応させ、その後、アリル基を除去する工程を含む方法を包含する。
【0037】
さらなる実施形態は、本発明による硫酸エステルを作製する方法であって、式II
【化6】

(式中、R1は、上に規定のものである)の化合物をクロロスルホン酸と反応させる工程を含む方法である。
【0038】
以下の実験では、本発明の水溶性誘導体の調製方法が記載されている。当業者は、これらの調製方法が様々なウルシオールエステル誘導体の調製に広く適用可能であることを認識しているであろう。したがって、以下の方法は例示的なものである。さらに、当業者は、寛容化/脱感作の方法も広く適用可能であることも認識しているであろう。
【0039】
実験
水溶性誘導体は、好適性の基準として、合成による収率、水溶解度、および純度に基づいて評価し得るし、実際そのように評価した。さらに、誘導体は、モルモット動物モデルにおいてツタウルシ/アメリカツタウルシウルシオールへの感作に対する寛容を生じさせる有効性について試験し得るし、実際そのように試験した。本発明のモルモット動物モデルなどの動物モデルにおける医薬品または他の薬剤の使用による成功した治療は、ヒトを含む他の動物モデルにおける効果と強く相関することが当技術分野でよく知られている。
【0040】
水溶性ウルシオール誘導体の合成:
4つの異なるタイプの水溶性ウルシオール誘導体、すなわち、アミノ酸エステル、ジカルボン酸エステル、遊離の末端カルボン酸基を有するカルバメート、ならびに硫酸エステルおよびリン酸エステルを調製することができる。ウルシオールへの水溶性と適当な生体活性(インビボでの加水分解能を含む)とを十分に提供する他の基も企図される。したがって、以下の生成物もまた例示的なものである。これらの生成物は、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、および高性能液体クロマトグラフィーなどの、様々なクロマトグラフィー技術を用いて精製することができる。例えば、マススペクトロメトリー(MS)、1H−NMR、赤外/紫外スペクトル分析(例えば、FTIR)、および13C−NMRを融点分析および元素分析とともに用いるスペクトル分析によって、構造の確認を行なうことができる。
【0041】
ウルシオールのアミノ酸エステルの合成:
ペンタデシルカテコール(PDC、1)およびヘプタデシルカテコール(HDC、2)(それぞれ、ツタウルシウルシオールおよびアメリカツタウルシウルシオールの飽和同族体)を用いて、構造3〜12に示すエステルのような、様々なアミノ酸を有するエステルを調製することができる。他のアミノ酸およびアミノ酸ラジカル(ジペプチド、トリペプチド、またはポリペプチド)も企図される。
【0042】
出発物質(1および2)は、それぞれ、精製したツタウルシウルシオールおよびアメリカツタウルシウルシオールを水素化することにより調製することができる。あるいは、化合物1および2は、実施例1〜3に記載の手順1、2、および3で例示されるように、合成によって調製される。不飽和同族体も出発物質として企図されており、例えば、化合物(1)または(2)の不飽和同族体を誘導体化して、不飽和カテコール誘導体を生成してもよい。
【化7】

【0043】
(1)または(2)をジクロロメタン(DCM)に溶解することができ、アミノ酸(2.2当量)(例えば、上記のアミノ酸)をこの溶液に添加することができる。次に、触媒量のジメチル−アミノピリジン(4−DMAP、例えば、0.1当量)をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、2.2当量)とともに添加して、出発物質が生成物に完全に変換されたことが薄層クロマトグラフィー(TLC)で確認されるまで、反応混合物を撹拌させておくことができる。
【0044】
好適な染色剤および他の検出手段(TLCプレートの紫外線分析を含む)を使用してもよく、当業者であれば、そのような薬剤および/または技術を容易に決定することができるであろう。例示的な技術には、モニター剤としての塩化第二鉄が含まれるが、その場合、遊離カテコールは明瞭な濃い青色をすぐに呈する。
【0045】
TLCプレートの前処理も当業者の能力の範囲内であり、これには、塩化第二鉄で染色する前に、アルカリによるエステルの加水分解を誘導するために、1N NaOHをプレートスプレーとして使用することが含まれる。また、好適な後処理技術も当業者の能力の範囲内であり、これには、反応液の濾過、分離、または洗浄(分液漏斗および好適な溶媒の使用によるもの)と、有機溶媒の乾燥(例えば、硫酸マグネシウムまたは硫酸ナトリウムを用いるもの)と、濃縮(例えば、回転蒸発によるもの)とが含まれる。
【0046】
N−tert−ブトキシカルボニル(t−Boc)で保護された生成物は主に、TLCを含む任意の好適な技術で画分をモニターしながら、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することが好ましい。
【0047】
T−BOCの脱保護
無水テトラヒドロフラン(THF)を飽和するまでHClガスで通気する。過剰なHClガスは窒素でフラッシュする。その後、t−Boc誘導体を無水THFに溶解することができる。これに続いて、酸性THFを滴加する。酸性THFを全て添加した後、完全に脱保護されたことがTLCまたは任意の他の好適な技術によって確認されるまで、混合物を室温で撹拌させておく。その後、溶媒を蒸発させる。その後、残渣にアセトンを添加し、混合物を冷凍庫で一晩保存する。翌朝、このようにして得られた固体生成物を濾過する。この結晶化手順を繰り返して、生成物を完全に回収してもよい(スキーム1)。1および2のアミノ酸エステルの中には、アセトンへの溶解度が高いものがある可能性があり、したがって、結晶化しない場合がある。このような場合は、溶媒を蒸発させて固体生成物を生じさせ、これを適当な溶媒から結晶化させる。
【化8】

【0048】
スキーム1:1および/または2のアミノ酸エステルの合成のための一般的手順
【化9】

モノアミノ酸誘導体に加えて、本発明は、2つ、3つ、またはそれより多くのアミノ酸を有する誘導体(ジペプチド誘導体、トリペプチド誘導体、またはポリペプチド誘導体)も含む。そのような誘導体は、水溶性に加えて、増大した安定性を有する可能性がある。ジペプチド誘導体の合成は、モノ誘導体について記載したのと同じ手順に従い、それによって、アミノ酸をもう1つ付加してジペプチドを作製するためにモノ誘導体を使用し、アミノ酸をもう1つ付加してトリペプチド誘導体を形成するためにジペプチドを使用し、などとする。これは、下記の一般的スキームに示されている。あるいは、ポリペプチド誘導体については、まずポリペプチドそれ自体を所望の長さに合成した後、このポリペプチドを化合物1または2と直接反応させて、所望の生成物を生成させる。
【化10】

【0049】
カルバメートまたはウルシオールの合成
ペンタデシルカテコール(1)およびヘプタデシルカテコール(2)を用いて、スキーム2に概説されているような以下の一般的手順を用いて、様々なカルバメートを作製することができる。
【0050】
新たに蒸留したDCMに出発物質を溶解し、DMAPとトリエチルアミンを添加した後、4−ニトロフェニル−クロロホルメートを添加した。反応の完了をTLCでモニターすることができる。完了している場合、DCMに溶解された4−アミノ酪酸アリルエステルまたは6−アミノヘキサン酸アリルエステルまたは4−(4−アミノフェニル)酪酸アリルエステルを滴加して、それぞれ、最終生成物のアリルエステル9〜11を生成させる。反応の完了を再びTLCでモニターすることができる。保護された生成物は、様々なクロマトグラフィー技術で精製することができる。
【0051】
カルバメートのアリルエステルの脱保護
生成物をDCMに溶解し、この溶液にトリフェニルホスフィンとともにフェニルシランを添加することができる。反応混合物を室温で撹拌させておき、完了をTLCでモニターすることができる。その後、メタノール(MeOH)を添加し、さらに15分間撹拌を続ける。その後、溶媒を蒸発させ、クロマトグラフィー技術を用いて生成物を精製する。
【化11】

【0052】
スキーム2.1および/または2のカルバメートの合成のための一般的手順
【化12】

ウルシオールの硫酸エステルの合成
出発物質(1または2)を無水トルエンに溶解し、−16〜−18℃に冷却し、この温度で維持することができる。温度を維持しながら、30分間かけてクロロスルホン酸を滴加する。その後、例えば、TLCで示されるような完了まで、反応液を撹拌させておく。反応が完了するとすぐに、0.1N HClを添加し、混合物をDCMで3回抽出する。有機層を合わせ、蒸発乾固させる。様々なクロマトグラフィー技術を用いて生成物(16、2から出発)を精製してもよい。
【化13】

硫酸モノ−(3−ヘプタデシル−2−スルホオキシ−フェニル)エステル−16
【実施例】
【0053】
実施例1:
ペンタデシルカテコールまたはヘプタデシルカテコール(PDCまたはHDC)の合成(手順1)
【化14】

2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒドの無水エタノール溶液に、触媒量のヨウ素とともに無水K2CO3を添加し、5℃で撹拌しながら、塩化ベンジルを滴加した。
【0054】
混合物を還流しながら3時間撹拌し、その後、追加の塩化ベンジルを添加して、さらに2時間還流した。
【0055】
溶媒を蒸発させ、残渣をエーテルと水の間に分配した。有機溶液を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。揮発性物質を全て高真空で蒸発させ、生成物を明黄色固体物質として得た。収率は定量的であった。
【化15】

【0056】
テトラデシルグリニャール試薬を、エーテル中の臭化テトラデシル、マグネシウム、および微量のヨウ素から通常の方法で調製した。この溶液に、還流しながら、エーテル中の2,3ジベンジルオキシ−ベンズアルデヒドを添加した。添加後、混合物を4時間還流し、冷却し、22℃にて12%塩酸で処理した。層を分離し、有機層を水で2回洗浄し、その後、ブラインで洗浄した。溶媒を蒸発させて、油状の粗生成物を生成させた。この油状の粗生成物を氷冷メタノールに溶解し、沈殿したろう状物質を濾過した。
【化16】

【0057】
10%のPd/C触媒と濃H2SO4とを用いて、200PSI、125℃で、2,3ジベンジルオキシ−テトラデシルベンジルアルコールまたは2,3ジベンジルオキシ−ヘキサデシルベンジルアルコールの水素化を行ない、ペンタデシルカテコール(1)またはヘプタデシルカテコール(2)を生成させた。
【0058】
実施例2:
ペンタデシルカテコールまたはヘプタデシルカテコール(PDCまたはHDC)の合成(手順2)
【化17】

テトラデシルグリニャール試薬を、エーテル3L中の臭化テトラデシル(3.3ミリモル)とマグネシウム(3.5ミリモル)と微量のヨウ素とから通常の方法で調製した。これに、還流しながら、2,3−ジメトキシ−ベンズアルデヒド(2.9ミリモル)のエーテル溶液1Lを添加した。添加後、混合物を4時間還流し、冷却し、20℃にて3Lの12%HClで処理し、層を分離し、有機層を水で2回洗浄し、その後、ブラインで洗浄した。その後、エーテルを回転蒸発させると、シロップが残った。このシロップを2LのMeOHに溶解した。氷浴中で一晩冷却した後、沈殿したろう状物質を濾過した。揮発性物質を全て回転蒸発させることにより、濾液から粗生成物を単離した。収率は定量的であった。
【化18】

【0059】
10%のPd/C触媒10gと濃H2SO4 10mLとを用いて、200PSI、125℃で、酢酸エチル1.5L中の2,3−ジメトキシ−1−テトラデシルベンジルアルコール(1.7ミリモル、粗製物)を水素化した。反応は4〜6時間で完了した。触媒を濾過した。濾液を水で2回、ブラインで1回洗浄した。MgSO4上で乾燥させた後、溶媒を回転蒸発させ、残留油を蒸留した。最大160℃、0.1トールで、多量の物質(未同定)が得られた。その後、165〜195℃、0.2トールで、生成物を回収した。
【化19】

【0060】
ガラス蒸留した塩化メチレン(DCM)500mL中の2,3−ジメトキシ−6−ペンタデシルカテコール(0.9ミリモル)を、窒素雰囲気下のガラス蒸留したDCM 2L中の三臭化ホウ素(BBr3)(2.4ミリモル)の撹拌溶液に、−20〜−10℃にて滴加した。添加を完了した後、混合物を室温で一晩撹拌した。メタノールを10〜20℃で添加した。混合物を強い窒素流の下で30〜40℃に加温し、存在する臭化水素の大部分を除去した。結晶化を用いて生成物を精製した。
【0061】
実施例3:
ペンタデシルカテコールまたはヘプタデシルカテコール(PDCまたはHDC)の合成(手順3)
上記の手順に記載したグリニャール反応の代替法であるウィッティヒ反応を用いて、以下に示すようにオレフィンを生成させた後、適切な工程を経て、所望の生成物を得た。
【化20】

【0062】
生成された全ての化合物をその純度(>99.5%)についてHPLCで分析した。
【0063】
実施例4:HDC−フェニルアラニン酸エステル(3)の調製
ヘプタデシルカテコール(HDC、2、0.25g)をDCM 20mLに溶解し、この溶液にt−boc−L−フェニル−アラニン(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPとDCC(2.2当量)とを添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0064】
塩化第二鉄を試薬として用いて、TLCで反応混合物をモニターしたが、その場合、遊離カテコールは、この試薬によって明瞭な濃い青色をすぐに呈した。しかしながら、エステルは、呈色する前に、塩基加水分解される必要があった。1NのNaOHを第2のスプレーとして用いて、エステルを加水分解し、エステルのスポットを置いた。反応が完了した後すぐに、反応混合物を濾過して、試薬の大部分を取り除き、その後、溶媒を蒸発させた。t−boc保護された生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、回収した画分をTLCでモニターした。
【0065】
無水THFを飽和するまでHClガスで通気した。過剰なHClガスは窒素でフラッシュした。t−boc誘導体を無水THFに溶解し、酸性THFを滴加した。酸性THFを全て添加した後、TLCによって確認されるように完全に脱保護されるまで、混合物を室温で撹拌させておいた。その後、溶媒を蒸発させ、残渣にアセトンを添加した。混合物を冷凍庫で一晩保存した後、固体生成物を濾過により得た。この結晶化手順を繰り返して、生成物239mg(73%)を得た。
【0066】
生成物をHREIMS(TOF) m/z 643.4470[M+H]+(C415824の計算値、643.4475)および他のスペクトル技術によって確認した。
【0067】
HDC−フェニルアラニン酸エステルの水溶解度:
エタノール50ulに溶解したとき、HDC−フェニルアラニナート(10mg)は均一な溶液を形成した。得られた溶液を水で1mlに合わせた。
【化21】

【0068】
実施例5:3−ヘプタ−1,2−フェニレンビス(4−アミノフェニル)ブタノアート(4)の調製
ヘプタデシルカテコール(HDC、2、0.15g)をDCM 10mLに溶解し、この溶液に4−アミノ−フェニル−酪酸(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPとDCC(2.2当量)とを添加し、出発物質が生成物(HDC−4−(4−アミノフェニル)−酪酸エステルともいう)4に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0069】
反応混合物を通常通りに後処理し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製した。生成物を含有する画分を合わせて、生成物144mg(89%)を得た。
【0070】
生成物をHREIMS(TOF) m/z 671.4788[M+H]+(C436324の計算値、671.4970)および他のスペクトル技術によって確認した。
【0071】
エタノール50ulにHCl塩として溶解したとき、3−ヘプタ−1,2−フェニレンビス(4−アミノフェニル)ブタノアート10mgは透明な溶液であった。得られた溶液を水で1ml(10mg/ml)に合わせた。
【化22】

【0072】
末端カルボン酸機能を有するウルシオールエステルの合成:
【0073】
実施例6:5,5’−(3−ヘプタデシル−1,2−フェニレン)ビス(オキシ)ビス(5−オキソペンタン酸)(5)の調製
ヘプタデシルカテコール(HDC、2、0.15g)をDCM 10mLに溶解し、この溶液にグルタル酸無水物(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPとトリエチルアミンとを添加し、出発物質が生成物5(HDC−ヘミグルタレートともいう)に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0074】
反応混合物を上記のように後処理し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、生成物を含有する画分を合わせて、HDCのジ−ヘミグルタル酸エステル180mg(72%)、(5)を得た。
【0075】
生成物をHREIMS(TOF) m/z 575.3740[M−H]+(C33528の計算値、575.3731)および他のスペクトル分析技術によって確認した。
【化23】

【0076】
エタノール50ulに溶解したとき、HDCのジヘミグルタル酸エステル10mgは均一な溶液を形成した。得られた溶液をリン酸カリウム緩衝液(pH8)で1mlに合わせた。
【0077】
実施例7:HDC−インドール−プロピオン酸エステル(6)の調製
ヘプタデシルカテコール(HDC、2、0.20g)をDCM 10mLに溶解し、この溶液にインドールプロピオン酸(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0078】
反応混合物を通常通りに後処理し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、生成物を含有する画分を合わせて、生成物(90%)を得た。生成物をHREIMS(TOF) m/z 725.4248[M+Cl]-(C4558ClN24の計算値、725.4080)によって確認した。
【化24】

【0079】
実施例8:HDC−β−アラニン酸エステル(7)の調製
ヘプタデシルカテコール(HDC、2、0.10g)をDCM 10mLに溶解し、この溶液にt−boc−β−アラニン(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0080】
反応混合物を上記のように後処理し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し、生成物を含有する画分を合わせて、生成物(85%)を得た。
【0081】
t−bocの脱保護を先に記載したように行なった。アセトン結晶化手順を繰り返して、純粋な生成物を得る。生成物をHREIMS(TOF) m/z 490.3371[M+H]+(C295124の計算値、491.4072)によって確認した。
【化25】

【0082】
実施例9:PDC−バリニン酸エステル(8)の調製
ペンタデシルカテコール(PDC、1、0.25g)をDCM 20mLに溶解し、この溶液にt−boc−L−バリン(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0083】
生成物をHREIMS(TOF) m/z 719.5220[M+H]+(C417128の計算値、719.5205)によって確認した。
【0084】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用し、画分をTLCでモニターして、t−Boc保護された生成物を精製した。
【0085】
t−bocの脱保護を先に記載したように行なった。アセトン結晶化手順を繰り返して、純粋な生成物を得た。生成物をHREIMS(TOF) m/z 519.4224[M+H]+(C315525の計算値、519.4956)によって確認した。
【化26】

【0086】
実施例10:PDC−ジ−バリニン酸エステル(9)の調製
PDC−バリンをDCM 20mLに溶解し、この溶液にt−boc−L−バリン(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0087】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用し、画分をTLCでモニターして、t−Boc保護された生成物を精製した。生成物をHREIMS(TOF) m/z 917.6553[M+H]+(C5989410の計算値、917.6573)によって確認した。
【0088】
t−bocの脱保護を先に記載した手順で行なった。アセトン結晶化手順を繰り返して、純粋な生成物を得た。生成物をHREIMS(TOF) m/z 717.5561[M+H]+(C417346の計算値、717.5525)によって確認した。
【化27】

【0089】
実施例11:PDC−グルタミン酸エステル(10)の調製
ペンタデシルカテコール(PDC、1、0.05g)をDCM 10mLに溶解し、この溶液にt−boc−L−グルタミン(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0090】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用し、画分をTLCでモニターして、t−boc保護された生成物を精製した。
【0091】
t−bocの脱保護を先に記載した手順で行なった。アセトン結晶化手順を繰り返して、純粋な生成物を得た。生成物をHREIMS(TOF) m/z 577.3966[M+H]+(C315346の計算値、577.3960)によって確認した。
【化28】

【0092】
実施例12:PDC−アスパラギン酸エステル(11)の調製
ペンタデシルカテコール(PDC、1、0.05g)をDCM 10mLに溶解し、この溶液にt−boc−L−アスパラギン(2.2当量)を添加した。その後、触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0093】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用し、画分をTLCでモニターして、t−Boc保護された生成物を精製した。
【0094】
t−bocの脱保護を先に記載したように行なった。アセトン結晶化手順を繰り返して、純粋な生成物を得た。生成された生成物を、LC/MS m/z 549.5[M+H]+を用いて確認した。
【化29】

【0095】
実施例13:PDC−グルタミン酸−β−アラニンジペプチドエステル(12)の調製
PDC−グルタミン酸(10)をDCM 8mLに溶解し、この溶液にt−boc−β−アラニン(2.2当量)を添加した。触媒量のDMAPを(2.2当量)のDCCとともに添加し、出発物質が生成物に完全に変換されたことがTLCで確認されるまで、反応混合物を撹拌させておいた。
【0096】
シリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用し、画分をTLCでモニターして、t−boc保護された生成物を精製した。
【0097】
t−bocの脱保護を先に記載したように行なった。アセトン結晶化手順を繰り返して、純粋な生成物を得た。生成された生成物を、LC/MS m/z 719.6[M+H]+を用いて確認した。
【化30】

【0098】
実施例14:モルモット接触皮膚炎モデルにおける水溶性3−n−ヘプタデシルカテコール誘導体を用いたツタウルシ/アメリカツタウルシウルシオールに対する寛容の誘導
特に、3−n−ヘプタデシルカテコール(HDC、アメリカツタウルシウルシオールの飽和同族体)の3つの誘導体、すなわち、HDCフェニルアラニン酸エステル(3)、HDCヘミグルタル酸エステル(5)、およびHDC 4−(4−アミノフェニル)酪酸エステル(4)を調製し、試験した。モルモット動物モデルを用いて、接触皮膚炎に対するこれらの薬剤活性および他の生物学的活性を評価した。
【化31】

【0099】
動物:ハートレー系モルモット(n=40)をHarlan,Indianapolis IN 46229から入手した。動物を5群(n=8/群)に分け、以下に記載の通りに処置した。これらの動物を12時間の昼夜周期の管理された環境に置き、餌と水を自由に取らせた。研究デザイン:ダイアグラム1に、本発明に従って生成される薬剤の有効性を決定するための一般的手順が記載されている。ダイアグラムに示すように、0週目にHDC誘導体を注射した後、2週目に感作し、その後、3週目以降にウルシオール刺激する。
【化32】

ダイアグラム1.実験中の様々な時点で与えられる処置を示す模式的研究デザイン
【0100】
第I群.この群の動物には、各後肢に筋肉内(IM)経路を介して化合物(4)(HDC 4−(4−アミノフェニル)酪酸エステル);遊離カテコールの5%エタノール溶液20mg/mL相当を300μl投与した。2週間後、これらの動物を、頸部表皮へのウルシオール(1.0mgのウルシオールを含有する100μLのアセトン)で感作した。2週間後、動物を、腹部皮膚への容量15μLのウルシオール(3.0μg、4.5μg、または6.0μgを含有する容量15μLのアセトン)で刺激した。ビヒクルは、15μLのアセトンを含有していた(ダイアグラム2参照)。動物を感作後3回試験した。試験#1は感作2週間後に、試験#2は感作4週間後に、試験#3は感作12週間後に行なった。
【0101】
第II群.動物には、IM経路を介してHDCフェニルアラニンエステル(化合物3)の遊離カテコールの5%エタノール溶液20mg/mL相当を300μL(合計600μL)、各後肢に投与した。これに続いて、頸部へのウルシオールで感作し、その後、第I群について記載したように腹部皮膚へのウルシオール刺激を試験した。
【0102】
第III群.動物には、IM経路を介してHDCヘミグルタル酸エステル(化合物5)の遊離カテコールの5%エタノール溶液20mg/mL相当を300μL、各後肢に投与した。この2週間後に、頸部への(ウルシオール100μL)で感作し、その後、第I群について記載したように腹部皮膚での試験を行なった。
【0103】
第IV群.動物には、IM経路を介してビヒクル(5%エタノール)300uLを各後肢に投与した。この2週間後に感作し、その後、第I群について記載したように腹部皮膚での試験を行なった。
【0104】
第V群.この群の動物には、IM経路を介してPBS(各後肢に300μL)を投与した。この2週間後に感作し、その後、第I群について記載したように腹部皮膚での試験を行なった。
【化33】

ダイアグラム2.腹部皮膚上でのウルシオール刺激投与の適用部位
【0105】
動物を腹部皮膚へのウルシオールで刺激した後、紅斑と浮腫の重症度を観察し、以下に示すようなドレーズ(Draize)スコアリングシステムに従ってスコアリングした。ウルシオールを皮膚に適用してから24、48、および72時間後に、スコアを記録した。
【表1】

紅斑と浮腫のスコアの合計最大値=8
【0106】
結果:表1A、B、C(それぞれ、刺激後24、48、および72時間でのスコア)から表3A、B、C、ならびに図1A、B、Cから図3A、B、Cに結果を示す(処置群I、II、およびIIIと比較した未処置群IVおよびVにおける反応の重症度を図示するために、ウルシオール刺激72時間後に撮影された試験#3の写真も図4A〜Eに示す)。
【0107】
試験#1:モルモットの3つの処置群である第I群、第II群、および第III群は、腹部皮膚への様々な用量(3.0μg、4.5μg、および6.0μg)のウルシオールで刺激したとき、刺激の24時間後、48時間後、または72時間後のいずれにも、曝露部位で紅斑を全く示さなかったか、またはほんのわずかな浮腫しか示さなかった。対照的に、第IV群および第V群の動物は、様々な程度の紅斑と浮腫を示した。24時間で、ウルシオール3.0μgおよび4.5μgの刺激用量では、第IV群の皮膚病変スコアは第V群の皮膚病変スコアよりも低かった。しかしながら、6.0μgの刺激用量では、これら2つの群のスコアに差がなかった。予期した通り、ビヒクル(アセトン)は反応を示さなかった。刺激の48時間後、3つの予防的処置群I、II、およびIIIでは、紅斑または浮腫は観察されなかった。これらの群の皮膚病変スコアは、1.0未満のままであった。第IV群および第V群では、病変スコアは、ウルシオール刺激濃度の増加につれてより高くなった。第IV群および第V群では、皮膚病変スコアは同程度であったが、第V群でわずかにより高い傾向にあった。刺激の72時間後、第I群、第II群、および第III群では、紅斑または浮腫は観察されなかった。皮膚病変スコアは、1.0未満のままであった。第IV群および第V群では、皮膚病変スコアは同程度であったが、第V群でわずかにより高い傾向にあった。
【0108】
様々な時点での第IV群および第V群の病変スコアの比較により、最大の紅斑と浮腫は、48時間で観察されたことが示されている。48時間での病変と比較して、72時間では、病変が消失する傾向にあった。
【0109】
試験#2:この試験は、試験#1の2週間後に実施された。24時間で、(予防的処置をした)第I群、第II群、および第III群の皮膚病変スコアは1.0未満であった。第IV群(ビヒクル)では、スコアは、それぞれ、3.0、4.5、および6.0μgのウルシオール用量に曝露された場合に、2.5、3.0、および3.5であった。第V群では、スコアは、それぞれ、3.0、4.5、および6.0μgのウルシオール用量の場合に、1.0、4.0、および6.5であった。48時間で、第I群は、4.5または6.0μgの刺激用量のウルシオールで、合計スコア1.5を示した。第II群の動物の皮膚病変スコアは1.0を超えなかった。第III群では、合計スコアは、それぞれ、4.5および6.0μgのウルシオール用量の場合に1.0および2.5であった。これらのスコアは、第IV群および第V群のスコアよりも比較的低かった。第V群では、合計スコアは、それぞれ、3.0、4.5、および6.0μgのウルシオール用量に対して、1.0、4.0、および6.5であった。
【0110】
72時間で、病変は退縮する傾向にあった。第I群および第II群の合計病変スコアは1.0を超えず、第III群では最大2.0に後退した。第IV群および第V群では、皮膚病変スコアは後退し、0.5〜2.0の範囲であった。比較の上では、これらのスコアは、予防的処置をした第I群、第II群、および第III群よりも相対的に高かった。
【0111】
試験#3:この試験は、前回の試験#2の約7週間後に実施された。24時間で、第I群、第II群、および第III群は、使用したどの用量でも、ウルシオール刺激部位に紅斑または浮腫を示さなかった。第IV群の動物は、この研究で使用したそれぞれの増加用量に対して、2.0、5.0、および9.0という病変スコアを示した。第V群の皮膚病変スコアは、第IV群の皮膚病変スコアと同程度で、使用したそれぞれのウルシオール用量に対して、2.5、4.0、および7.0であった。
【0112】
48時間で、第I群および第III群の病変スコアは1.0未満のままであり、第II群の病変スコアでは1.0を超えなかった。しかしながら、第IV群および第V群では、皮膚病変は、比較的より顕著であった。第IV群では、病変スコアの合計は、使用したそれぞれのウルシオール用量に対して、11.5、20.5、および29.5であった。同様に、第V群の病変スコアは、それぞれ3つのウルシオール刺激用量に対して、合計で最大6.0、16.0、および23.5であった。
【0113】
72時間で、第I群、第II群、および第III群のスコアは1.0未満に後退したか、または1.0を超えなかった。対照的に、第IV群および第V群のスコアは、比較的高いままであった。これらの群では、ウルシオール刺激用量に対する応答最大値は、それぞれ、28.5および22.5であった。
【0114】
3つの試験の全てにおける第I群、第II群、および第III群の皮膚病変スコアは、第IV群および第V群のスコアと比較すると、無視できるほどであった。このことは、3つの試験化合物のどれを筋肉内注射しても、動物がツタウルシ皮膚炎から保護されたことを示している。これら3つの群の皮膚病変スコアには目立った差が認められなかったので、3つの化合物全てが同程度に有効であった。
【0115】
試験#1および試験#2における第IV群および第V群の皮膚病変は、試験#3における第IV群および第V群の皮膚病変と比較されるほどには重症ではなかった。大規模な感作を起こす用量の頸部へのウルシオール(1.0mg)によって、「アレルギー」の状態が引き起こされた可能性があり得る。この状態は、膨大な量のTB抗原を持つが、皮内TB検査に反応性を示さない(偽陰性)、結核(TB)患者で観察される。本発明者らの実験では、莫大な量のウルシオールで動物を感作したことにより、最初の2つの試験の間にアレルギー状態が誘導された可能性がある。しかしながら、感作から試験#3までの11週の休息期間が、アレルギー状態から正常な反応状態に反転させたのかも知れない。したがって、試験#3では、第IV群および第V群の動物がウルシオール刺激に対する比較的より強い皮膚反応を示したが、第I群、第II群、および第III群の動物は、予防的処置のために保護された(試験用量を局所適用してから72時間後の3回目の刺激に対する様々な群の反応性の写真を参照されたい)。
【0116】
実施例15 水溶性3−n−ヘプタデシルカテコール誘導体を用いた既に感受性のあるモルモットのツタウルシ/アメリカツタウルシウルシオールに対する脱感作
この研究では、調製した水溶性誘導体のうちの1つをIM投与することによって、既に感受性のある動物が脱感作されるかどうかを明らかにするために、感受性が確立されている、寛容研究の(誘導体で処置されていない)対照動物群IVおよびV(表3A〜Cならびに図4DおよびE参照)を使用した。
【0117】
第IV群の動物には、HDC 20mg/mL相当を含有するHDC−4−(4−アミノフェニル)−酪酸エステル、4、溶液600μL(各後肢に300μL)を注射した。第V群の動物には、2つの300μL用量に分けたビヒクル600μLを各後肢に投与した。約2週間の休息期間の後、両方の群の動物を、3つの用量のウルシオール(アセトン15μLに溶解した3.0μg、4.5μg、および6.0μg)を局所適用することにより刺激した。局所刺激の24、48、および72時間後に、皮膚病変を観察し、先に記載したように採点した。
【0118】
結果:図5〜図7、および図4A〜図4Cに結果を示す。24時間で、第IV群の動物に皮膚病変は観察されなかった。したがって、合計群スコアは、全ての用量について0であった。第V群では、ウルシオール3.0μgの場合、皮膚反応は観察されなかった。ウルシオール4.5μgの場合にごくわずかな紅斑が観察され、合計群スコアは1.0であった。同様に、ウルシオール用量6.0μgの場合、合計群スコアは2.5と低いままであった。
【0119】
局所刺激の48時間後(図5Bおよび表4B)、第IV群と第V群の両方において、ウルシオール3.0μgの場合、紅斑は観察されなかった。4.5μgのウルシオール刺激で、第IV群の合計スコアは0.5であったが、第V群の合計スコアは4.0であった。ウルシオール用量6.0μgで、第IV群の合計スコアは0.5のままであったが、第V群では、合計スコアが6.5に上昇した。
【0120】
ウルシオール刺激の72時間後、第IV群の合計スコアは、全てのウルシオール刺激用量で、0〜1.5のままであった。第V群の動物の合計皮膚病変スコアは、特に6.0μg用量で、18.5まで上昇した。
【0121】
第IV群の動物でのウルシオール刺激に応答した皮膚反応は、第V群の動物でのウルシオール刺激に応答した皮膚反応と比較すると、無視できるほどであった。これは、最高用量(6.0μg)でのウルシオール刺激の72時間後に、特に明白であった(図6および図7)。これらの結果は、試験化合物をIM注射することによって、第IV群の動物がウルシオール接触皮膚炎反応から保護されたことを示している。対照的に、第V群の対照動物は強い皮膚反応を示した。このことは、試験化合物HDC 4−(4−アミノフェニル)−酪酸エステル、4、をIM注射することによって、それ以前に反応性であった動物が有効に脱感作されたことを示している。
【0122】
実施例16:化合物3、4、および5の安定性
化合物に、特に室温での長期保存の利点があるかどうかを確認するために、調製された全ての誘導体に安定性研究を受けさせた。
【0123】
3つの化合物の(5%エタノール)水溶液を、10mg/mL相当のHDC濃度で調製した。各化合物について、250μLのアリコートをガラスバイアルに移して、この物質をフリーズドライし、バイアルに蓋をして室温(20〜24℃)で保存した。
【0124】
その後、個々のバイアルをある時点で取り出し、蒸留水で再構成して残渣を溶解し、溶液をHPLC分析にかけた。クロマトグラフィー条件は、分解(加水分解)が起こったかどうかの決定が容易となるようなものである。試料は、ゼロ時間、1か月、3か月、6か月、9か月、12か月、18か月、および24か月で分析した。
【0125】
結果:HDCフェニルアラニン酸2・HCl(3)およびHDC−4−(4−アミノフェニル)−酪酸2・HCl(4)は、フリーズドライ状態で、室温(20〜24℃)で極めて安定であり、24か月間室温保存した後、ゼロ時間時のもとの量の>99%がエステル形態で存在していることがデータから示された。他方、HDC−ヘミグルタル酸2Na+、(5)は、同じ条件下であまり安定していなかった。1か月後、エステル形態の8.3%が加水分解され、ゼロ時間時の物質の29.3%および44.4%が、それぞれ、3か月および6か月で加水分解された。したがって、アミノ酸誘導体はより安定であり、長期保存することができると考えられる。
【0126】
実施例17:
ヒトでの使用に適合する注射製剤の調製
【0127】
動物研究用に調製した製剤は、2つの化合物の塩(フェニルアラニン酸エステル(3)および4−(4−アミノフェニル)酪酸エステル(4)のHCl塩)の使用をベースにしていた。これらの塩は、エタノールに容易に溶解する。これらのエタノール溶液を蒸留水と混合して、アルコール濃度が5%でしかない最終溶液を作製した。
【0128】
この製剤はヒトで使用することが許されるが、本発明者らは、最終溶液が等張であるいくつかの他の製剤を調製した。これらの製剤は、様々な他の可溶化(安定化)剤を含んでおり、動物試験で使用されたもとの5%エタノール溶液と比較される。以下のビヒクルを用いて、化合物(3)および(4)の溶液を20mg/mlで調製した。
水中の5%エタノール NaClで等張にした
5%プロピレングリコール NaClで等張にした
10%プロピレングリコール NaClで等張にした
5%ポリエチレングリコール400(PEG400) NaClで等張にした
10%PEG400 NaClで等張にした
【0129】
プロピレングリコールとPEG400は両方とも、注射液を調製するために使用されており、FDAからこうした適用に安全である(GRAS)とみなされている。
【0130】
全てのビヒクルが両方の化合物を溶解することができたが、その場合、20mg/ml溶液が室温で透明な溶液として形成された。したがって、上記のビヒクルのどれを用いても、これらの化合物の注射溶液を調製することができた。
【0131】
本活性剤のための代表的な送達レジメンとしては、非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)、経皮、ならびに鼻腔内へのものが挙げられる。
【0132】
薬学的に許容される塩は、活性物質の所望の生物学的活性を保持し、中毒性副作用がない。そのような塩の例は、(a)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など、とともに形成される酸付加塩;および有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸など、とともに形成される塩;(b)一価金属イオンおよび多価金属イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウムなど、とともに形成される塩基付加塩である。
【0133】
本発明のさらなる態様は、本発明の活性成分を、その薬学的に許容される塩として、薬学的に許容される無毒担体と混合された状態で含む薬学的組成物に関する。そのような組成物は、非経口(皮下、筋肉内、または静脈内)投与用に、特に、点鼻薬や鼻エアロゾルなどの液体溶液の形態で調製し得る。
【0134】
組成物は、単位投薬形態で好都合に投与してもよく、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,(1985)に記載されているような、薬学の技術分野で周知の任意の方法で調製してもよい。非経口投与用製剤は、滅菌水または滅菌食塩水、アルキレングリコール(例えば、プロピレングリコール)、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール)などを賦形剤として含有し得る。鼻投与用製剤は固体であり得、かつ賦形剤、例えば、ラクトースもしくはテキストランを含有し得るか、または点鼻薬もしくは定量スプレーの形態で使用される水溶液であり得る。
【0135】
鼻投与用に処方される場合、例えば、グリココール酸、コール酸、タウロコール酸、エトコール酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、デヒドロコール酸、グリコデオキシコール酸、シクロデキストリンなどの、界面活性酸(surfactant acid)によって、鼻粘膜からの吸収を増強し得る。
【0136】
他の物質、例えば、防腐剤、等張性を達成するための塩、緩衝剤などを、非経口製剤および鼻用製剤に添加してもよい。
【0137】
投与される実際の投薬量は、患者の体重、状態の重症度、および突発性疾患などの身体的および生理的要因によって決定することができる。これらの考慮すべき事柄を念頭に置いて、特定の対象およびまたは治療方針のための本発明の活性物質の投薬量を容易に決定することができる。
【0138】
結論
上述の説明では、特定の用語および視覚的描写を用いて、好ましい実施形態を説明した。しかしながら、先行技術で示されているものを超えて、使用した用語または描写した図によって、不必要な限定が解釈されるべきではない。なぜなら、これらの用語および図は、例示であるに過ぎず、本発明の範囲を限定することが意図されないからである。さらに、添付の特許請求の範囲に明記されているような、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明に他の修正を施し得ることが知られている。本明細書で言及される参考文献および引用は全て、参照により本明細書に完全に組み入れられる。
【0139】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンによって引き起こされる接触皮膚炎に対して対象を脱感作するのに有効な化合物であって、以下の式I
【化1】

(式中、R1は、11〜19個の炭素原子を有するアルキルラジカル、もしくはその不飽和同族体、またはそれらの混合物であり、R2とR3は、各々独立して、アミノ酸またはアミノ酸の組合せに由来する残基ラジカル、カルバメート形成化合物、ジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体のエステルまたは硫酸エステルもしくはリン酸エステルであり、前記エステルは塩形成化合物である)の水溶性ウルシオールエステルを含む、化合物。
【請求項2】
1がペンタデシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1がヘプタデシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1がノナデシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記水溶性エステルが、アミノ酸またはアミノ酸の組合せまたはジカルボン酸を含むアミノ酸の誘導体のエステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記水溶性エステルが、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体のエステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記水溶性エステルが、リン酸エステルまたは硫酸エステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記水溶性エステルが、塩形成カルバメートである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、ヘプタデシルカテコールフェニルアラニン酸エステル、3−ヘプタ−1,2−フェニレンビス(4−アミノフェニル)ブタノアート、ヘプタデシルカテコールインドール−プロピオン酸エステル、ヘプタデシルカテコール−β−アラニン酸エステル、ペンタデシルカテコールバリニン酸エステル、ペンタデシルカテコール−ジ−バリニン酸エステル、ペンタデシルカテコールグルタミン酸エステル、ペンタデシルカテコールアスパラギン酸エステル、ペンタデシルカテコールグルタミン酸−β−アラニンジペプチドエステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物とそのための好適な薬学的担体とを含む薬学的組成物。
【請求項11】
前記組成物が、非経口投与、経皮投与、または鼻腔内投与されるのに適している、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対して対象を脱感作する方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物または化合物の混合物を前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項13】
前記組成物が、非経口投与、経皮投与、または鼻腔内投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ウルシ科植物およびイチョウ科植物に含まれるアレルゲンに対して対象を脱感作する方法であって、請求項10または11に記載の薬学的組成物を前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項15】
請求項5に記載の化合物を調製する方法であって、式II
【化2】

(式中、R1は、請求項1に規定ものである)の化合物を、保護アミノ酸または保護アミノ酸の組合せまたはジカルボン酸もしくはジカルボン酸誘導体を含む保護アミノ酸の誘導体と反応させ、その後、前記保護基を除去する工程を含む方法。
【請求項16】
請求項6に記載の化合物を調製する方法であって、式II
【化3】

(式中、R1は、請求項1に規定ものである)の化合物をジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体と反応させる工程を含む方法。
【請求項17】
請求項8に記載の化合物を調製する方法であって、式II
【化4】

(式中、R1は、請求項1に規定ものである)の化合物をパラニトロフェニルクロロホルメートと反応させ、その後、この中間体をアミノ酸またはアミノ酸の組合せのアリルエステルと反応させ、その後、得られた生成物から前記アリル基を除去する工程を含む方法。
【請求項18】
請求項7に記載の硫酸エステルを作製する方法であって、式II
【化5】

(式中、R1は、請求項1に規定ものである)の化合物をクロロスルホン酸と反応させる工程を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−516495(P2011−516495A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503211(P2011−503211)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039472
【国際公開番号】WO2009/146131
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(503082468)ザ ユニヴァーシティー オブ ミシシッピ (1)
【Fターム(参考)】