説明

テストプログラム検査装置およびテストプログラム検査方法

【課題】特定の事象とテストプログラムとの関係を容易に把握できるテストプログラム検査装置およびテストプログラム検査方法を提供する。
【解決手段】 実行位置検出手段21は、事象検出手段12によりスパイク電圧の発生が検出されたときに、テスト実行手段11により実行中のテストプログラム上の位置を検出する。表示手段23は、実行位置検出手段21により検出された位置のテストプログラムの内容を表示する。編集手段24は、表示手段23により表示されたテストプログラムの内容の編集を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体テストの手順を規定するテストプログラムの検査を行うテストプログラム検査装置およびテストプログラム検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体テストの手順を規定したテストプログラムの作成時ないし修正時に必要な工程として、スパイク電圧のチェック工程がある。この工程では、テストプログラムを走らせながら、スパイク電圧のチェックの対象となるICのピンに対し、1ピンずつオシロスコープでスパイク電圧が発生しないことを確認する作業を行う。
【0003】
スパイク電圧が発生した場合には、テスタコンソールからテストプログラムのデバッグ画面を操作し、テストプログラムのどこでスパイクが発生したか見当をつけ、エラーを解決している。また、最終的に、すべてのピンについてスパイク電圧が発生しなかったことを示すレポートを手作業で作成している。
【特許文献1】特開2002−022804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スパイク電圧の発生箇所をテストプログラムから割り出す作業や、最終的にスパイク電圧が発生しないことを示すレポート作成の作業には長時間を要する。また、オシロスコープの設定の誤り等を確認する手段もなく、レポート作成時の人的ミスを防止し難い。
【0005】
本発明の目的は、特定の事象とテストプログラムとの関係を容易に把握できるテストプログラム検査装置およびテストプログラム検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテストプログラム検査装置は、半導体テストの手順を規定するテストプログラムの検査を行うテストプログラム検査装置において、テストプログラムを実行するテスト実行手段と、前記テスト実行手段による前記テストプログラムの実行に基づいて発生する特定の事象を検出する事象検出手段と、前記事象検出手段により前記特定の事象が検出されたときに、前記テスト実行手段により実行中のテストプログラム上の位置を検出する実行位置検出手段と、を備えることを特徴とする。
このテストプログラム検査装置によれば、特定の事象が検出されたときに、実行中のテストプログラム上の位置を検出するので、テストプログラムの該当箇所を探し出すための作業が不要となる。
【0007】
テストプログラムの内容を表示する表示手段を備え、前記表示手段は、前記実行位置検出手段により前記テストプログラム上の位置が検出された場合、当該位置に対応する前記テストプログラムの内容を表示してもよい。
【0008】
前記表示手段により表示された前記テストプログラムの内容を編集する編集手段を備えてもよい。
【0009】
前記事象検出手段による検出結果を保存する保存手段を備えてもよい。
【0010】
前記特定の事象はスパイク電圧の発生であってもよい。
【0011】
本発明のテストプログラム検査方法は、半導体テストの手順を規定するテストプログラムの検査を行うテストプログラム検査方法において、テストプログラムを実行するステップと、前記テストプログラムの実行に基づいて発生する特定の事象を検出するステップと、前記特定の事象を検出するステップにより前記特定の事象が検出されたときに、前記テストプログラムを実行するステップにより実行中のテストプログラム上の位置を検出するステップと、を備えることを特徴とする。
このテストプログラム検査方法によれば、特定の事象が検出されたときに、実行中のテストプログラム上の位置を検出するので、テストプログラムの該当箇所を探し出すための作業が不要となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のテストプログラム検査装置によれば、特定の事象が検出されたときに、実行中のテストプログラム上の位置を検出するので、テストプログラムの該当箇所を探し出すための作業が不要となる。
【0013】
本発明のテストプログラム検査方法によれば、特定の事象が検出されたときに、実行中のテストプログラム上の位置を検出するので、テストプログラムの該当箇所を探し出すための作業が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1〜図3を参照して、本発明によるテストプログラム検査装置の一実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態のテストプログラム検査装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、テストヘッド4に接続されたテスタ本体1と、テスタ本体1と接続された端末装置2と、により構成される。
【0017】
テスタ本体1は、実装されたテストプログラムを実行するテスト実行手段11と、テスト実行手段11によるテストプログラムの実行中に発生するスパイク電圧の発生を、オシロスコープ5からのトリガ信号に基づいて検出する事象検出手段12と、を構成する。
【0018】
図1に示すように、端末装置2には、スパイク電圧の発生の有無をチェックするスパイクチェッカーと、テストプログラムの作成、編集を行うためのプログラムデバッガとが実装されている。
【0019】
このうち、スパイクチェッカーは、事象検出手段12によりスパイク電圧の発生が検出されたときに、テスト実行手段11により実行中のテストプログラム上の位置を検出する実行位置検出手段21と、事象検出手段12による検出結果を保存する保存手段22と、を構成する。
【0020】
また、プログラムデバッガは、実行位置検出手段21により検出された位置におけるテストプログラムの内容を表示する表示手段23と、表示手段23により表示されたテストプログラムの内容の編集を受け付ける編集手段24と、を構成する。
【0021】
次に、本実施形態のテストプログラム検査装置の動作について説明する。
【0022】
図1に示すように、測定対象物である半導体デバイス3とテストヘッド4とを接続した状態で、テストプログラムの検査を行う。
【0023】
図2は、本実施形態のテストプログラム検査装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0024】
図2のステップS1では、スパイクチェッカーの画面を起動させる操作を受け付け、当該画面を起動する。ステップS2では、スパイク電圧の発生等を保存手段22に保存する機能である、スパイクチェッカーのログ機能を有効にする操作を受け付け、当該機能を有効にする。
【0025】
次に、ステップS3では、チェックを行いたくない範囲を指定するマスク設定の操作を受け付ける。ここでは、ユーザは、例えば、テストプログラムの行番号を指定するなどして、テストプログラム中における検査範囲(検査対象としない範囲)を定めることができる。あるいは、スパイク電圧が仮に発生した場合であっても今回の検査においてはテストプログラム上の問題としては取り扱わない範囲を定めることができる。
【0026】
次に、ステップS4では、オシロスコープ5のプローブが半導体デバイス3の1つのピンに接続されるのを待って、ステップS5へ進む。ここでは、ユーザは、スパイク電圧の計測対象となる半導体デバイス3のピンにプローブを接続し、オシロスコープ5に当該ピンの電圧を取り込むことが可能な状態とする。
【0027】
次に、ステップS5では、テスト実行手段11によりテストプログラムを実行し、終了後、テストエンド状態またはポーズ状態とする。
【0028】
図3は、ステップS5の処理手順を示すフローチャートである。
【0029】
図3のステップS51では、実行手段11によるテストプログラムの実行を開始する。
【0030】
ステップS52では、事象検出手段12において、スパイク電圧が発生したか否かをオシロスコープ5からのトリガ信号に基づいて判断する。オシロスコープ5には、スパイク電圧が発生した場合に、トリガ信号を出力する機能が設定されており、図1に示すように、スパイク電圧が検出された場合、オシロスコープ5から事象検出手段12にトリガ信号が与えられる。ステップS52の判断が肯定されればステップS53へ進み、否定されればステップS52を繰り返す。
【0031】
ステップS53では、実行位置検出手段21において、実行中のテストプログラム上の位置を検出する。これにより、直前のステップS52において検出されたスパイク電圧がテストプログラム上のどの位置で発生したかが判明する。テストプログラム上の位置は一時保存される。
【0032】
次に、ステップS54では、実行手段11によりテストプログラムの最後まで実行されたか否か判断し、判断が肯定されればステップS55へ進み、否定されればステップS52へ戻る。ステップS55では、テストプログラムの実行を終了し(テストエンド状態またはポーズ状態となる)リターンする。
【0033】
次に、図2のステップS6では、ステップS5においてスパイク電圧の発生が検出されたか否か判断し、判断が肯定されればステップS7へ進み、否定されればステップS8へ進む。
【0034】
ステップS7では、ステップS52(図3)で一時保存されたテストプログラム上の位置と、マスク設定されたテストプログラム上の範囲(ステップS3)とを対比し、スパイク電圧が発生したテストプログラム上の位置が、マスク設定された範囲か否か判断する。この判断が肯定されればステップS8へ進み、否定されればステップS11へ進む。
【0035】
ステップS11では、プログラムデバッガの画面に、実行位置検出手段21により検出されたスパイク電圧の発生箇所をレポート情報として表示するとともに、その内容を履歴ログとして保存手段22に保存する。
【0036】
次に、ステップS12では、プログラムデバッガの画面に、スパイク電圧の発生箇所のテストプログラムの内容を表示する。ここでは、例えば、スパイク電圧の発生した行番号前後のテストプログラムの記述を表示する。なお、デバッグ画面が起動されていない場合には、起動後に画面表示がスパイク電圧の発生箇所にジャンプする。
【0037】
次に、ステップS13では、編集手段24によりテストプログラムの編集を受け付ける。ここでは、スパイク電圧の発生箇所が自動的に表示されるため、ユーザは、プログラムデバッガを用いてテストプログラムの該当箇所を容易に修正することができる。
【0038】
テストプログラムの修正が終了すると、ステップS5に戻り、再度、テストプログラムの該当箇所を実行することで、テストプログラムが正しく修正されているかその都度、確認することができる。
【0039】
一方、ステップS8では、半導体デバイス3のすべてのピンについて検査が終了しているか否か判断し、判断が肯定されればステップS21へ進み、否定されればステップS1へ戻る。
【0040】
ステップS21では、保存手段22に保存された履歴ログに基づいて、レポートファイル(電子ファイルを含む)を出力する。ここでは、ユーザによるレポートファイルのファイル名、出力フォーマット、形式の指定を受け付け、その指定に従ったレポートファイルを出力する。また、ユーザは、レポート情報としてコメント等を付加することもできる。
【0041】
このように、本実施形態のテストプログラム検査装置によれば、スパイク電圧が発生した場合には、プログラムデバッガの画面にスパイク電圧の発生箇所が自動的に表示され、編集作業にそのまま移行できるため、該当箇所を発見するための作業が不要となる。また、レポートの作成支援、自動作成により、従来、手作業で行っていたレポート作成に要する時間を大幅に短縮できる。
【0042】
また、図1に示すように、オシロスコープ5の設定内容を、事象検出手段12を介して取り込み、スパイク電圧の発生の有無の判断や、プログラムデバッガでの画面表示、あるいはレポート情報に設定内容を反映させることで、オシロスコープ5の設定ミスに起因する誤りを防止することができる。これにより、検査作業およびレポート作成作業に対する信頼性を向上させることができる。
【0043】
上記実施形態では、スパイク電圧の発生を検出する場合について例示したが、本発明のテストプログラム検査装置において、検出対象となる事象は限定されない。
【0044】
本発明の適用範囲は上記実施形態に限定されることはない。本発明は、半導体テストの手順を規定するテストプログラムの検査を行うテストプログラム検査装置およびテストプログラム検査方法に対し、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態のテストプログラム検査装置の構成を示すブロック図。
【図2】テストプログラム検査装置の動作手順を示すフローチャート。
【図3】ステップS5の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0046】
11 テスト実行手段
12 事象検出手段
21 実行位置検出手段
22 保存手段
23 表示手段
24 編集手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体テストの手順を規定するテストプログラムの検査を行うテストプログラム検査装置において、
テストプログラムを実行するテスト実行手段と、
前記テスト実行手段による前記テストプログラムの実行に基づいて発生する特定の事象を検出する事象検出手段と、
前記事象検出手段により前記特定の事象が検出されたときに、前記テスト実行手段により実行中のテストプログラム上の位置を検出する実行位置検出手段と、
を備えることを特徴とするテストプログラム検査装置。
【請求項2】
テストプログラムの内容を表示する表示手段を備え、
前記表示手段は、前記実行位置検出手段により前記テストプログラム上の位置が検出された場合、当該位置に対応する前記テストプログラムの内容を表示することを特徴とする請求項1にテストプログラム検査装置。
【請求項3】
前記表示手段により表示された前記テストプログラムの内容を編集する編集手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のテストプログラム検査装置。
【請求項4】
前記事象検出手段による検出結果を保存する保存手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のテストプログラム検査装置。
【請求項5】
前記特定の事象はスパイク電圧の発生であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のテストプログラム検査装置。
【請求項6】
半導体テストの手順を規定するテストプログラムの検査を行うテストプログラム検査方法において、
テストプログラムを実行するステップと、
前記テストプログラムの実行に基づいて発生する特定の事象を検出するステップと、
前記特定の事象を検出するステップにより前記特定の事象が検出されたときに、前記テストプログラムを実行するステップにより実行中のテストプログラム上の位置を検出するステップと、
を備えることを特徴とするテストプログラム検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−264782(P2009−264782A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111416(P2008−111416)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】