説明

ディスペンス方法及びディスペンス装置

【課題】
ディスペンサ自体を減圧下にさらすことなく、減圧雰囲気下で液状材料をディスペンスしてボイドを抑制する。
【解決手段】
ステージ20上に対象物10が設置された後、ステージ20上にチャンバ30が設置される。チャンバ30は、液状材料50を格納したキャピラリ33を有する。チャンバ30とステージ20との間に第1の密封空間40が形成される。また、蓋材60がチャンバ30上に設置され、チャンバの吐出部33に格納された液状材料50と蓋材60との間に、第2の密封空間45が形成される。さらに、第1の密封空間40を減圧することにより、吐出部33から対象物10上に液状材料50が吐出される。その後、チャンバ30内は大気に開放され、仮に発生していた場合であってもボイドの縮小が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状材料のディスペンス方法及びディスペンス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージなどの各種組立体の製造においては、しばしば、例えば接着剤又はアンダーフィルなどの液状材料を塗布あるいは充填する工程が必要とされる。このような液状材料は典型的に大気の下でディスペンスされているが、該材料中のボイドによる信頼性の低下が問題になっている。
【0003】
図1は、一例として、サイドフィル方式によるフリップチップパッケージの大気圧アンダーフィル充填について、ボイドの発生を模式的に示している。配線基板1上に、アレイ状の複数の突起電極を有する半導体チップ2がフリップチップ接続されており、半導体チップ2の側方からアンダーフィル5をディスペンスすることにより、配線基板1と半導体チップ2との間の空隙がアンダーフィル5で充填される。しかしながら、図1(a)−(d)に時間順に示すように、空気の巻き込みによって、液状のアンダーフィル5中にボイド9が形成されることがある。ボイド9は、図1(e)に示すように、硬化後のアンダーフィル5’中にも残存し、例えば電極間ショート及び/又は接続電極の機械的強度不足の原因となるなど、半導体パッケージなどの信頼性を低下させ得る。
【0004】
このような問題に対処するため、あるいは充填速度を高めるため、減圧雰囲気下でアンダーフィル充填を行う技術が提案されている。例えば、アンダーフィルを注入すべき空隙を囲むように配線基板上に密封空間を形成するとともに、ディスペンサのニードルを挿入する貫通孔を配線基板に設け、該密封空間を減圧しながらアンダーフィルを注入する技術が知られている。また、同様に配線基板上に密封空間を形成し、該密封空間内にディスペンサをシリンジごと配置して、該密封空間を減圧しながらアンダーフィルのサイドフィルを行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−261661号公報
【特許文献2】特開2001−217267号公報
【特許文献3】特許第4311549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンダーフィルなどの液体材料を減圧雰囲気下で充填あるいは塗布する場合、信頼性低下を引き起こすボイドの発生を抑制することができる。例えば、上述のようにアンダーフィル充填時に空気の巻き込みによるボイドが発生しても、該ボイドはその後の大気開放時に縮小あるいは消滅し得る。
【0007】
しかしながら、既知の技術においては、ディスペンサを用いて直接的に減圧雰囲気内にアンダーフィルを供給するため、減圧雰囲気下でアンダーフィルの吐出を行うための制御機構の設置又は変更を、ディスペンサに加える必要がある。
【0008】
開示の技術は、ディスペンサ自体を減圧雰囲気にさらすことなく、故に、ディスペンサの制御機構を変更することなく、減圧雰囲気下で処理対象物上に液状材料をディスペンスして、該材料中にボイドが発生することを抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一観点によれば、ステージ上に対象物が設置され、且つステージ上にチャンバが設置される。チャンバは、液状材料を格納した吐出部を有する。チャンバとステージとの間に第1の密封空間が形成される。また、蓋がチャンバ上に設置され、チャンバの吐出部に格供給された液状材料と蓋との間に、第2の密封空間が形成される。第1の密封空間を減圧することにより、吐出部から対象物上に液状材料が吐出される。その後、第1の密封空間は大気圧に戻される。
【発明の効果】
【0010】
チャンバ内の減圧により、予め液状材料が供給されたチャンバの吐出部から、処理対象物上に液状材料がディスペンスされる。吐出部への液状材料の供給は減圧下では行われない。故に、ディスペンサ自体を減圧雰囲気にさらすことなく、減圧下で液状材料のディスペンスを行い、それによりボイドの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】大気圧でのアンダーフィル充填の様子を示す模式図である。
【図2】一実施形態に係る液状材料のディスペンス方法の一例を示す断面図である。
【図3】図2(e)の処理段階を更に詳細に示す断面図である。
【図4】減圧雰囲気でのアンダーフィル充填の様子を示す模式図である。
【図5】一実施形態に係る液状材料のディスペンス方法の他の一例を示す断面図である。
【図6】図5のディスペンス方法の一詳細例を示す斜視図(その1)である。
【図7】図5のディスペンス方法の一詳細例を示す斜視図(その2)である。
【図8】図5のディスペンス方法の一詳細例を示す斜視図(その3)である。
【図9】図5のディスペンス方法の一詳細例を示す斜視図(その4)である。
【図10】図5のディスペンス方法の一詳細例を示す斜視図(その5)である。
【図11】図5のディスペンス方法の一詳細例を示す斜視図(その6)である。
【図12】認識用カメラによる半導体パッケージの認識箇所を例示する図である。
【図13】図6−11に示した2つのチャンバを用いるディスペンス方法を示すフローチャートである。
【図14】単一のチャンバを用いるディスペンス方法の一例を示すフローチャートである。
【図15】一実施形態に係る液状材料のディスペンス装置を概略的に示す正面図である。
【図16】図15のディスペンス装置のステージ部付近を示す上面図である。
【図17】図15のディスペンス装置のステージ部付近をその周辺要素の機能ブロックとともに示す正面図である。
【図18】処理対象物とキャピラリとの相対位置制御機構を備えたメインステージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。なお、図面において、種々の構成要素は必ずしも同一の尺度で描かれていない。また、図面全体を通して、同一あるいは対応する構成要素には同一又は類似の参照符号を付する。
【0013】
先ず、図2の模式的な断面図を参照して、一実施形態に係る液状材料のディスペンス方法の一例を説明する。ここではサイドフィル方式によるアンダーフィル充填を例にとって説明する。しかしながら、このディスペンス方法は、半導体チップなどの搭載に先立って配線基板上にアンダーフィルを塗布する所謂アンダーフィル先塗りや、例えば処理対象物上への接着剤の塗布など、ボイドの抑制が望まれるその他の液状材料の塗布にも適用可能である。
【0014】
図2(a)に示すように、処理対象物として半導体パッケージ10をステージ20上に設置する。単一の半導体パッケージ10をそのままステージ20上に設置してもよいが、好ましくは処理効率の観点から、複数の半導体パッケージ10を所定の位置に配列させて担持するキャリア15を用いて、複数の半導体パッケージ10がステージ20上に設置される。各半導体パッケージ10は、配線基板11と該基板上にフリップ接続された半導体チップ12とを有する。チップ12は、アレイ状の突起電極(例えばバンプ)13を接続電極として配線基板11上に機械的且つ電気的に接続されており、突起電極13により、配線基板11とチップ12との間に空隙が形成されている。なお、各半導体パッケージ10は、半導体チップ12に代えて、例えばBGA型などのフリップ接続される半導体パッケージを配線基板11上に有する構成であってもよい。ステージ20は典型的にヒータ25を有する。ヒータ25による加熱温度は、キャピラリフローによって空隙を充填することが可能なアンダーフィルの流動性が得られるように、使用するアンダーフィルの種類に応じて決定され得る(典型的に、室温から100℃の範囲内)。
【0015】
次いで、図2(b)に示すように、チャンバ30をステージ20上に設置する。チャンバ30は、ステージ20に密着するように配置され、当該チャンバとステージとの間に密封空間40を形成することが可能である。ただし、チャンバ30は、チャンバ容器を貫通するように設けられた1つ以上の吐出部(以下、キャピラリと称する)33を有している。キャピラリ33は、液状材料を格納するシリンジ部33aと液状材料を吐出するノズル部33bとを有している。ノズル部33bは、シリンジ部33aより小さい開口径を有する。典型的に、ノズル部33bの開口径はφ0.2mm〜1.0mmの範囲で設定され得る。ノズル部33bはまた、チャンバ30内の空間40に連通し、必要に応じて、図示のようにチャンバ30の内壁から空間40内に突出するように形成される。各半導体パッケージ10は、対応するキャピラリのノズル部33bが該パッケージ上の所定位置に位置するように配置されている。このサイドフィルの例において、好ましくは、ノズル部33bの先端は、配線基板11の表面からチップ12の上面までの高さ位置にあり、チップ12に接触せず且つ吐出したアンダーフィルに埋まらない範囲でチップに近い位置にある。
【0016】
チャンバ30はまた、密封空間40を大気圧状態と減圧状態との間で切り替えるときに使用される吸気口34及び排気口35を有している。吸気口34は、それに付随するバルブなどの開閉手段36を介して、外気に接続され得る。排気口35は、それに付随するバルブなどの開閉手段37を介して、真空ポンプなどの減圧手段に接続され得る。
【0017】
なお、キャピラリ33の形状は図示した形状に限定されるものではなく、チャンバ30内の非減圧時(図2(c)、(d)参照)に格納した液状材料の垂れ出しが起きず、チャンバ30内の減圧時(図2(e)参照)に液状材料を押し出し可能な形状であればよい。
【0018】
次いで、図2(c)に示すように、ディスペンサ55を用いて、各キャピラリ33内に所定量の液状材料50(この例ではアンダーフィル)を供給する。アンダーフィル50は例えばエポキシ系又はシアネートエステル系の樹脂とし得る。ディスペンサ55は典型的に、シリンジ55a及びニードル55bを有し、加圧によって、シリンジ55a内に収容されたアンダーフィルをニードル55bから吐出することができる。なお、ここではステージ20上に設置されたチャンバ30にアンダーフィル50を供給しているが、アンダーフィル50の供給はステージ20上に設置される前のチャンバ30において行ってもよい。
【0019】
次いで、図2(d)に示すように、チャンバ上に蓋材(単に、蓋とも称する)60を密着させて設置する。それにより、各キャピラリのシリンジ部33aの上部に、アンダーフィル50と蓋材60とに挟まれた密封空間45が形成される。
【0020】
そして、図2(e)に示すように、排気口35及びそれに付随する開閉手段37を介してチャンバ30内を減圧する。それにより、各キャピラリ33内のアンダーフィル50が半導体パッケージ10上に吐出され、半導体チップ12と配線基板11との間の空隙がアンダーフィル50で充填される。図2(c)の工程で各キャピラリ33内に供給されたアンダーフィル50の全量を吐出させることにより、ディスペンサ55の吐出量の精度で、半導体パッケージ10上に所望量のアンダーフィル50を供給することができる。
【0021】
減圧下でアンダーフィル充填が完了した後、排気口35に付随する開閉手段37は再び閉じられ、吸気口34及びそれに付随する開閉手段36を介してチャンバ30は大気開放される。その後、蓋材60及びチャンバ30をステージ20上から取り外し、半導体パッケージ10及びキャリア15を取り出す。そして、アンダーフィル50の硬化を行うことにより、半導体パッケージ10のアンダーフィルが完了する。
【0022】
図2(e)の処理段階を、図3を参照して更に詳細に説明する。図3は、図2(e)における1つの半導体パッケージ10及びその上の1つのキャピラリ33を含む部分を拡大して示している。
【0023】
チャンバ30の減圧の開始前において、チャンバ30内の密封空間40及びキャピラリ33内のアンダーフィル50と蓋材60との間の密封空間45は何れも大気圧にあり、キャピラリ33からのアンダーフィル50の吐出は起こらない(図3(a))。チャンバ30内の減圧を開始すると、チャンバ内の密封空間40とキャピラリ上部の密封空間45との間に差圧が発生し、キャピラリ33からアンダーフィル50が押し出される(図3(b))。この時、キャピラリ上部の密封空間45内の空気がアンダーフィル50の吐出量だけ膨張し、密封空間45内の減圧も進行する。押し出されたアンダーフィル50は、次第に減圧される雰囲気下で、毛細管現象により、配線基板11と半導体チップ12との間に充填される(図3(c))。キャピラリ33内のアンダーフィル50が完全に吐出されると、チャンバ内の空間40とキャピラリ内の空間45とが連通し、一緒になって減圧される(図3(d))。蓋材60によって各キャピラリ33上部での密封が保持されているため、複数のキャピラリ33の間での吐出時間の相違による干渉や大気リークは阻止される。減圧雰囲気下での充填完了後、大気開放すると、チャンバ30及びキャピラリ33の内部に大気が流れ込み、これらの内部の空間は大気圧状態へと戻る(図3(e))。
【0024】
図4は、図2(e)及び図3に示した減圧雰囲気下でのアンダーフィル充填の様子を、大気圧充填に関する図1と同様の模式図にて示している。図4(a)−(d)は図1(a)−(d)と同様であり、減圧下であっても空気の巻き込みによって液状のアンダーフィル50中にボイド9が形成されることがある。しかしながら、その後の大気開放によりボイド9を縮小あるいは実質的に消滅させることができる(図4(e))。例えばボイド発生時のチャンバ内圧が約1kPaであった場合、大気開放後のボイド9’は約1/100の体積まで縮小される。そして、硬化後のアンダーフィル50’においても、信頼性低下を引き起こすボイドの発生を抑制することができる(図4(f))。
【0025】
チャンバ減圧時の到達圧力は、塗布する液状材料の種類や量に応じて大気圧未満の好適な圧力に設定される。少量の液状材料50をキャピラリ33から吐出させることには、チャンバ30内を大気圧より僅かに低い圧力まで減圧することで十分である。ただし、ボイド9が発生しやすい液状材料を塗布する場合には、ボイド9を十分に縮小させ得るように大気圧より十分に低くまで、例えば、約10kPa以下に減圧することが好ましい。また、チャンバ30内を過度に減圧することは、使用する液状材料50によっては脱ガスを生じさせ得るため、到達圧力は例えば約1kPa以上とすることが好ましい。このようにおよそ1kPaから10kPaまで、すなわち、大気圧のおよそ1/100から1/10までチャンバ30内を減圧することにより、キャピラリ33からの液状材料50の吐出と、発生したボイド9の十分な縮小とを達成し得る。
【0026】
本実施形態に係るディスペンス方法によれば、ディスペンサ55は、チャンバ30に設けられたキャピラリ33内に所定量の液状材料を大気圧下で供給するために使用され、減圧雰囲気にはさらされない。故に、チャンバ30内をどれだけ減圧するかに依らず、ディスペンサ55の加圧・減圧条件などの制御に変更を加える必要はない。また、減圧されるチャンバ30内にディスペンサを置く必要がなく、減圧すべきチャンバ容積を小さくし得る。さらに、チャンバ30に複数のキャピラリ33を設けることで、複数の半導体パッケージ10に対して同時に液状材料50を塗布することができる。故に、所望数の半導体パッケージ10に対して必要な減圧処理時間を低減し、製造スループットを向上させることが可能である。
【0027】
次に、図5の模式的な断面図を参照して、一実施形態に係るディスペンス方法の他の一例を概略的に説明する。この例においては、複数のチャンバを利用することにより、多数の処理対象物への液状材料の塗布をより効率的に行うことができる。ここでは、先述の例と同様に、サイドフィル方式によるアンダーフィル充填を例にとって説明する。図5(a)−(e)は、ステージ20上での半導体パッケージ10の設置及びアンダーフィル充填と、2つのチャンバ31及び32の吐出部(キャピラリ)33内へのアンダーフィル50の供給とを、5つの段階順に示している。なお、図2などに示した1つのチャンバ30を用いる例と共通する要素については、同一の参照符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0028】
図5(a)に示すように、ステージ20上に半導体パッケージ10を設置するとともに、それに先立って、あるいは並行して、ディスペンサ55を用いて第1のチャンバ31の各キャピラリ33内に所定量のアンダーフィル用液状材料50を供給する。この例において、各チャンバ31、32は4つのキャピラリを有し、4つの半導体パッケージ10が第1のキャリア15−1上に配列されてステージ20上に配置される。
【0029】
次いで、図5(b)に示すように、ステージ20上に第1のチャンバ31及び蓋材60を設置し、ステージ20上の4つの半導体パッケージ10に対する液状材料50の同時塗布を開始する。また、第2のチャンバ32のキャピラリ33内への液状材料50の供給が開始される。この材料供給は、第1のチャンバ31への供給に使用したのと同一のディスペンサ55を用い得る。第1のチャンバ31内の減圧が進むと、該チャンバ31のキャピラリ33内の液状材料50は押し出され、半導体パッケージ10をアンダーフィル充填する。その後、第1のチャンバ31を大気開放することで、アンダーフィル50中にボイドが発生した場合であっても、ボイドの縮小又は実質的な消滅が達成される。この処理段階中に、第2のチャンバ32のキャピラリ33への液状材料50の供給は完了され得る。
【0030】
次いで、図5(c)に示すように、蓋材60及び第1のチャンバ31をステージ20上から取り外す。そして、アンダーフィルされた4つの半導体パッケージ10を第1のキャリア15−1ごと取り出す。
【0031】
次いで、図5(d)に示すように、更なる半導体パッケージ10を担持した第2のキャリア15−2、第2のチャンバ32及び蓋材60をステージ20上に設置してアンダーフィル充填を開始する。また、第1のチャンバ31のキャピラリ33内への液状材料50の供給が開始される。そして、図5(b)に関して説明したのと同様に、第2のキャリア15−2上の半導体パッケージ10へのアンダーフィル充填と、第1のチャンバ31のキャピラリ33への液状材料50の供給とを完了する。
【0032】
次いで、図5(e)に示すように、蓋材60及び第2のチャンバ32をステージ20上から取り外す。そして、アンダーフィルされた4つの半導体パッケージ10を第2のキャリア15−2ごと取り出す。
【0033】
その後、図5(b)−(e)の段階を繰り返し、2つのチャンバ31、32を交互に入れ替えながら処理を進めることにより、更なる半導体パッケージへのアンダーフィル充填を続けることができる。なお、半導体パッケージ10を担持するキャリア15(15−1、15−2)は、典型的に、後続のアンダーフィル硬化工程にそのまま使用されるため、更なる半導体パッケージを担持する第3、第4、・・・のキャリアが使用され得る。
【0034】
図5の例によれば、2つのチャンバ31及び32を設け、一方のチャンバが半導体パッケージ10へ液状材料50を塗布する間に他方のチャンバに液状材料50を予め供給しておくことができる。故に、ステージ20上にチャンバ31又は32(及び蓋材60)を設置した後、直ちにチャンバの減圧を開始し得る。従って、特に、多数の半導体パッケージを製造する場合に、ディスペンス工程の処理時間をより効果的に低減することができる。
【0035】
なお、図5の例においては、2つのチャンバ31及び32と1つのディスペンサ55とを用いたが、3つ以上のチャンバ及び/又は2つ以上のディスペンサを用いることも可能である。例えば、マトリクス状に配列した多数の半導体パッケージに対して一括ディスペンスを行う場合など、ディスペンサによるキャピラリへの液状材料の供給が時間的なボトルネックになることもあり得る。そのような場合、例えば2つ以上のディスペンサを用いて、半導体パッケージへのディスペンスを実行中でない1つ以上のチャンバのキャピラリに液状材料を事前供給してもよい。
【0036】
次に、図6−11の斜視図に示す更なる詳細例を参照して、図5に示したディスペンス方法を更に詳細に説明する。この例では、3つのステージ(メインステージ20、プレステージ21及びアフタステージ22)と、2つのチャンバ31及び32と、2つのチャンバ台38及び39と、1つの蓋60と、1つのディスペンサ55とを有するアンダーフィル塗布装置が使用される。各チャンバ31、32は、その内部の減圧及び大気開放のために、吸気口34及び排気口35を備えている。
【0037】
図6に示すように、半導体パッケージ10、又は1つ以上の半導体パッケージ10を載せた第1のキャリア15−1を、搬送手段(以下、キャリア搬送手段と称する)70によってプレステージ21上へ搬送する。以下の説明では、4つの半導体パッケージ10を担持するキャリア15(15−1、15−2など)を用いるものとする。プレステージ21は好ましくは、温度調整可能なヒータ(図17のヒータ26参照)を内蔵しており、該プレステージ上の半導体パッケージ10を所定温度まで加熱することができる。この所定温度は、例えば、加熱下でのアンダーフィル充填のための予熱として、後述するメインステージ20のヒータ温度と同一とし得る。
【0038】
好ましくは、プレステージ21の近傍に、例えばカメラ又はセンサ等の認識機構80が備えられる。認識機構80は、プレステージ21上のキャリア15−1及び/又は半導体パッケージ10の有/無などを検出する。例えば、認識用カメラ80を用いて、図12に示すような配線基板11上の識別マーク11aの形状及び半導体チップ12のコーナー部12a(例えば、対角線上の2つのコーナー部)の座標の撮像及び認識を行うことができる。それにより、キャリア15上のパッケージ10の個数、誤ったパッケージの混入の有無、及び/又はチップ位置情報などが検出され得る。
【0039】
次いで、図7に示すように、キャリア搬送手段70によって、キャリア15−1をメインステージ20上へ搬送するとともに、処理すべき後続の半導体パッケージ10が存在する場合、それを担持した第2のキャリア15−2をプレステージ21上に搬送する。さらに、ディスペンサ55を用いて第1のチャンバ31のキャピラリ33に所定量の液状材料50を供給する。プレステージ21に認識機構80が付随する場合、その認識結果に応じて、各キャピラリ33への材料供給の要/否が決定され得る。この材料供給は、第1のチャンバ31を塗布用のメインステージ20とは別な場所、図示の例では第1のチャンバ台38の上、に置いて行うことで、プレステージ21からメインステージ20へのキャリア搬送の最中又は前に行うことができる。メインステージ20は好ましくは、キャピラリフローによるアンダーフィル充填に適した温度まで半導体パッケージを加熱し得るよう、温度調整可能なヒータ(図17のヒータ25参照)を内蔵している。第1及び第2のチャンバ31及び32は、例えばアクリル又はステンレスなど、種々の材料のうちの何れか1つ又は組み合わせを有し得る。アクリル製の透明チャンバは、アンダーフィル充填時にチャンバ内の半導体パッケージ10及び/又は液状材料50の様子を視覚的にモニタすることを可能にする。
【0040】
次いで、図8に示すように、液状材料50が供給された第1のチャンバ31を、チャンバ搬送手段(図16、17の搬送手段72参照)を用いてメインステージ20上の所定位置に設置する。チャンバ31(及びチャンバ32)とメインステージ20との接触部には、チャンバ減圧時に外気が混入しないよう、チャンバ又はステージの上にパッキンが設けられてもよい。後続の半導体パッケージ10を担持した第2のキャリア15−2が存在する場合、第2のチャンバ台39上の第2のチャンバ32への、ディスペンサ55による液状材料50の供給が開始され得る。認識機構80が存在する場合、好ましくは、その認識結果に基づいて第2のチャンバ32のキャピラリ33ごとに材料供給の要/否が決定される。
【0041】
次いで、図9に示すように、蓋60を下降させて第1のチャンバ31に押し当てる。そして、上述のようにして、第1のキャリア15−1上の半導体パッケージ10のアンダーフィル充填を実行する。すなわち、排気口35を介したチャンバ31の減圧(差圧によるキャピラリ33からの液状材料50の吐出)と、減圧状態での毛細管現象によるアンダーフィル充填と、吸気口34を介した大気開放(ボイドの縮小/消滅)とを行う。蓋60は、十分な強度が得られるよう、例えば金属などの剛体を有し得る。しかしながら、チャンバの減圧時に外気がキャピラリ33と蓋60との間に混入しないよう、チャンバと接触する底面に、ゴム等の弾性材料60aを有することが好ましい。
【0042】
次いで、図10に示すように、蓋60を上昇させて第1のチャンバ31上から除去し、第1のチャンバ31をチャンバ搬送手段によって第1のチャンバ台38上へ移動させる。また、第1のキャリア15−1をキャリア搬送手段70によってアフタステージ22上へ搬送する。アフタステージ22も、温度調整可能なヒータ(図17のヒータ27参照)を内蔵することができ、必要に応じて、アフタステージ22上の半導体パッケージ10を所定温度に加熱し、フィレット形成などの大気圧下での追加アンダーフィル塗布を行い得る。このようなアフタステージ22上での追加塗布は、キャピラリ33へのアンダーフィル供給に用いたディスペンサ55を用いて行ってもよいし、別のディスペンサを用いて行ってよい。なお、この時点で、第2のチャンバ32へのアンダーフィル供給は既に完了している。アンダーフィル充填が完了した半導体パッケージを担持した第1のキャリア15−1は、後続のアンダーフィル硬化工程に備えて、アフタステージ22から搬出される。
【0043】
そして、図11に示すように、後続の第2のキャリア15−2が存在する場合には、第2のキャリア15−2をプレステージ21からメインステージ20へと搬送し、アンダーフィル供給が完了している第2のチャンバ32をメインステージ20上に設置する。第2のキャリア15−2がプレステージ21でメインステージ20の設定温度と同等の温度まで予熱されている場合、蓋60の押し当て後、直ちに第2のチャンバ32の減圧を開始し得る。また、処理すべき後続の半導体パッケージ10が存在する場合、それを担持した第3のキャリア15−3をプレステージ21上に搬送する。さらに、ディスペンサ55を用いて再び第1のチャンバ31に液状材料50を供給する。
【0044】
以降、処理すべき最後の半導体パッケージを担持したキャリアの処理が終わるまで、以上の処理を繰り返す。アンダーフィル充填が完了した半導体パッケージ群は、典型的に、恒温槽等の加熱装置にまとめて装填され、所定の熱処理によってアンダーフィルの硬化が行われる。
【0045】
図13は、図6−11に関連して説明した液状材料のディスペンス方法をまとめたフローチャートである。
【0046】
ステップS10にて、図6に示したように、第1のキャリアがプレステージ上に搬送される。また、ステップS12として、第1のチャンバへの液状材料の供給が開始され得る。
【0047】
ステップS20、S22にて、図7に示したように、プレステージ上の(第1の)キャリアのメインステージ上への搬送と、次の(第2の)キャリアのプレステージ上への搬送とが行われる。
【0048】
ステップS30にて、図8に示したように、液状材料が供給された材料供給済みの(第1の)チャンバがメインステージ上に搬送される。
【0049】
ステップS40、S42にて、図9に示したように、蓋が(第1の)チャンバ上に設置され、液状材料の塗布(例えば、アンダーフィル充填)が実行される。また、ステップS44にて、図8及び9に示したように、次の(第2の)キャリアのために、第1及び第2のチャンバのうちの使用中でない(第2の)チャンバに液状材料が供給される。
【0050】
ステップS50、S52、S54にて、図10に示したように、(第1の)チャンバ上からの蓋の除去と、メインステージからの(第1の)チャンバの搬出と、アフタステージへの(第1の)キャリアの搬送とが行われる。(第1の)キャリアは、アフタステージ上での必要に応じての追加処理の後、次の(第2の)キャリアがアフタステージに搬送される前にアフタステージから搬出される。
【0051】
そして、ステップS60にて、最後のキャリアの処理が終了したかが判定され、終了していれば、このディスペンス方法は終了する。次の(第2の)キャリアがプレステージ上に存在する場合には、この方法はステップS20に戻り、図11に示したように、次の(第2の)キャリアがメインステージ上へと搬送される。以降、最後のキャリアの処理が終わるまで、ステップS20からS60の処理が繰り返される。このとき、ステップS44では、空きチャンバとして第1及び第2のチャンバが交互に選択されることになる。なお、ステップS44における空きチャンバへの材料供給の開始時点及び終了時点は、図示の例に限定されず、次のキャリアでの使用のための搬送(S30)に間に合う範囲で変更可能である。
【0052】
なお、図6−11に示した3つのステージ20、21及び22を有するディスペンス装置を使用するディスペンス方法は、図5に示した2つのチャンバ31及び32を用いるディスペンス方法を詳細に示したものである。しかしながら、図2に示した単一のチャンバ30を用いるディスペンス方法も、チャンバ及びチャンバ台を1つのみとした同様のディスペンス装置を使用して実行することができる。その場合のフローチャートの一例を図14に示す。図14において、図13のステップと同様とし得るステップについては同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
単一のチャンバへの液状材料の供給は、先行キャリアでの使用完了(S52)から現処理対象キャリアにおける蓋の設置(S40)までの間に実行することができる。例えば、図2に示したようにメインステージ上へのチャンバの設置(S30’)の後に、ステップS35として行うことができる。また、処理すべき次のキャリアが存在する場合の、該次のキャリアのプレステージへの搬送は、現処理対象キャリアのメインステージへの搬送(S20)後であればいつでも行うことができる。しかしながら、メインステージ上での液状材料の塗布(S42)において加熱を要する場合には、プレステージ上で次のキャリアを十分に予熱しておくことが好ましい。そのような場合、ステップS45として図示したように、遅くとも現処理対象キャリアに対する液状材料の塗布(S40)の開始と並行して行うことが好ましい。
【0054】
次に、図15−17を参照して、図6−11に関連して説明したディスペンス方法に使用し得る一実施形態に係る液状材料のディスペンス装置100の一例を説明する。図15は装置100の外観を概略的に示す正面図、図16は装置100のステージ部付近の上面図、図17は装置100のステージ部付近をその周辺要素の機能ブロックとともに示す正面図である。
【0055】
ディスペンス装置100は、例えばワークステーション又はパーソナルコンピュータなどに基づく制御用コンピュータ101を含んでいる。制御用コンピュータ101は、プロセッサなどの1つ以上の演算処理装置を含み、また、操作者との相互作用のため、キーボード及び/又はマウスなどの入力装置102とモニタ103とを備え得る。制御用コンピュータ101は更に、液状材料50の塗布に必要な様々な情報を記録したレシピを保存する記憶手段を含み得る。レシピは、例えば、半導体パッケージ10の認識情報、チャンバのキャピラリ33の位置情報、各ステージのヒータ25、26及び27の温度、液状材料50の塗布量、チャンバ31及び32の減圧及び大気開放の制御情報を含み得る。制御用コンピュータ101は、入力あるいは選択されたレシピに従って、ディスペンス装置100の各構成要素の動作を制御することができる。例えば、図17に示すように、制御コンピュータ101は、ヒータ制御機構110を介して各ステージ20、21及び22の温度を制御し、カメラ制御機構111を介して認識用カメラ80を制御し、ディスペンサ制御機構112を介してディスペンサ55を制御し得る。制御コンピュータ101はまた、キャリア搬送手段制御機構113及びチャンバ搬送手段制御機構114を介して、それぞれ、キャリア搬送手段70及びチャンバ搬送手段72の動作を制御し得る。制御コンピュータ101は更に、蓋上下機構115を介して蓋60の位置を制御し得る。
【0056】
レシピの入力又は選択の後、キャリア搬送手段70により、キャリア15に担持された半導体パッケージ10がプレステージ21へ搬送される。認識用カメラ80がカメラ制御機構111を介してプレステージ21上をXY方向に(すなわち、典型的に、水平面内で)移動され、プレステージ21上の半導体パッケージ10が撮像される。そして、レシピに登録された半導体パッケージの認識情報(識別マーク形状、半導体チップの大きさ及び位置など)と撮像により得られた認識情報とが照合される。
【0057】
照合の結果、キャリア15上の1つ以上のパッケージ10に対して、レシピ登録されたパッケージとの一致が確認されると、第1のチャンバ31の対応するキャピラリ33へ所定量の液状材料50が供給される。このとき、2つのチャンバ31及び32は、典型的にはメインステージ20に隣接する退避位置(例えば、図6のチャンバ台38及び39の上)に位置し得る。材料供給のため、典型的にXYZ方向に3次元移動可能なディスペンサ55が、照合結果に従って、ディスペンサ制御機構112を介して移動される。端数処理などの理由によってキャリア15上にダミーパッケージが搭載されている場合や一部のパッケージが欠落している場合、ディスペンサ55は、ダミーパッケージ又は欠落パッケージに対応するキャピラリ33には液状材料50を供給しないように制御される。
【0058】
キャリア搬送手段70により、プレステージ21上のキャリア15がメインステージ20へ搬送される。処理すべき次のキャリア15が存在する場合には、次のキャリア15がプレステージ21へ搬送され得る。液状材料50が供給されたチャンバ31が、チャンバ搬送手段72により、メインステージ20上の所定位置に設置される。複数のチャンバ31及び32を有するディスペンス装置100では、次のキャリア15が存在する場合、メインステージ20上に搬送されたチャンバ31とは別のチャンバ32への液状材料50の供給を開始することができる。メインステージ20の上方の退避位置に位置付けられていた蓋60が、蓋上下機構115により下降され、メインステージ20上に設置されたチャンバに押し当てられる。上述のように、好ましくは、蓋60はチャンバ31(及び32)との接触面にゴム等の弾性材料60aを有し、また、チャンバ31(及び32)とメインステージ20との接触面にパッキンなどの封止部材が設けられてもよい。
【0059】
バルブなどを含むチャンバ内圧制御機構116を介して、メインステージ20上のチャンバ31の排気口35と真空ポンプなどの減圧手段117とが接続され、それによりチャンバ31内が減圧される。キャピラリ33内の液状材料50と蓋60との間に存在する空気の圧力とチャンバ内圧との差圧により、キャピラリ33から液状材料50が押し出されてパッケージ10上に塗布される。アンダーフィル充填の場合、塗布された液状材料50は毛細管現象によってパッケージ10の配線基板と半導体チップとの間の空隙に充填される。その後、チャンバ内圧制御機構116は、チャンバ31の排気口35と真空ポンプ117との間の接続を断ち、続いて、チャンバ31の吸気口34を介してチャンバ31を大気開放する。
【0060】
メインステージ20上の蓋60が蓋上下機構115によって、そしてチャンバ31がチャンバ搬送手段72によって、それぞれの退避位置へ移動される。そして、キャリア搬送手段70によってメインステージ20上のキャリア15がアフタステージ22へ搬送される。アフタステージ22上に搬送されたパッケージ10は、必要に応じてフィレット形成などの大気圧下での追加処理を受け、キャリア搬送手段70によりアフタステージ22から搬出される。
【0061】
次のキャリアが存在する場合、先のキャリア15と同様にして、プレステージ21上の次のキャリア15がメインステージ20へ搬送され、液状材料50の供給が完了した上記別のチャンバ32がメインステージ20上に設置される。ディスペンス装置100は、最後のキャリア15の処理まで、上述の処理を繰り返すことができる。
【0062】
なお、メインステージ上の例えば半導体パッケージなどの処理対象物と、その上に設置されるキャピラリのノズル部との相対位置を変化させる、あるいは変更することが望まれる場合がある。例えば、比較的粘性の高い接着剤などの塗布において、あるいはアンダーフィル充填において、液状材料の塗布中にノズル部を処理対象物上で直線状又は平面状に走査することが望ましいことがある。また、液状材料の塗布中に処理対象物上の固定点にノズル部を位置付ける場合であっても、チャンバ及びキャピラリの設計後に、塗布位置の最適化を図るために上記相対位置を変更することがあり得る。
【0063】
図18は、処理対象物とキャピラリのノズル部との相対位置の制御を可能にする機構を備えた一例に係るメインステージ20’を示している。図18(a)はメインステージ20’の斜視図であり、図18(b)はメインステージ20’上にチャンバ及び蓋を設置した様子を示す断面図である。
【0064】
メインステージ20’は、相互に離隔された固定部20a及び可動部20bを有している。可動部20bは、半導体パッケージ10などの処理対象物及びそのキャリア15が設置されるステージ上面を構成している。メインステージ20’は更に、固定部20aと可動部20bとの間に配置されたx方向移動手段20c及びy方向移動手段20dを有している。図示した例において、x方向移動手段20cは、固定部20a上に配置され、上に位置するy方向移動手段20d及び可動部20bをx方向にスライドさせ、y方向移動手段20dは、上に位置する可動部20bをy方向にスライドさせることができる。故に、キャピラリ33を有するチャンバ30(又は31、32)が蓋60を介して固定部20a上に押し付けられるとき、メインステージ20’は、チャンバ30内で、ステージ上面20bに設置された処理対象物10をキャピラリのノズル部33bに対してx方向及びy方向に移動させることができる。よって、メインステージ20’は、処理対象物10上の最適位置での、あるいは処理対象物10上でノズル部33bを走査しながらの、液状材料50の塗布を可能にする。
【0065】
なお、メインステージ20’の可動部20bに設けられるヒータ25’とヒータ制御機構110(図17参照)との結線は、例えば、ヒータ25’又はその配線を通すための貫通孔を固定部20aに形成することで行われ得る。また、x方向移動手段20c及びy方向移動手段20dが含み得るアクチュエータなどの結線も同様にして行われ得る。貫通孔は、例えば、結線作業の後に樹脂などで充填され、メインステージ20’とチャンバ30との間での密封空間の形成が確保され得る。
【0066】
以上、実施形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0067】
以上の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
チャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程と、
対象物をステージ上に設置する工程と、
前記チャンバを前記ステージ上に設置し、前記チャンバと前記ステージとの間に第1の密封空間を形成する工程と、
蓋を前記チャンバ上に設置し、前記液状材料と前記蓋との間に第2の密封空間を形成する工程と、
前記第1の密封空間を減圧することにより、前記吐出部から前記対象物上に前記液状材料を吐出させる工程と、
前記第1の密封空間を大気圧に戻す工程と、
を有することを特徴とするディスペンス方法。
(付記2)
前記対象物は半導体パッケージであり、前記液状材料はアンダーフィルであり、前記液状材料を吐出させる工程は前記半導体パッケージをアンダーフィルで充填することを含む、ことを特徴とする付記1に記載のディスペンス方法。
(付記3)
前記対象物は複数の対象物を含み、前記吐出部は複数の吐出部を含み、前記液状材料を吐出させる工程は、複数の吐出部から前記複数の対象物上に同時に前記液状材料を吐出させる、ことを特徴とする付記1又は2に記載のディスペンス方法。
(付記4)
前記複数の対象物は単一のキャリアに担持されて搬送され、前記キャリア上の前記複数の対象物の数及び対象物の位置を認識する工程を更に有し、
前記液状材料を供給する工程は、前記複数の吐出部のうち、認識された前記対象物の数及び前記対象物の位置に対応する吐出部に前記液状材料を供給することを含む、
ことを特徴とする付記3に記載のディスペンス方法。
(付記5)
前記液状材料を吐出させる工程は、前記第1の密封空間を1kPaから10kPaの範囲内の圧力まで減圧する、ことを特徴とする付記1乃至4の何れか一に記載のディスペンス方法。
(付記6)
前記大気圧に戻す工程の後に、前記蓋、前記チャンバ及び前記対象物を前記ステージ上から除去する工程と、更なる対象物を前記ステージ上に設置する工程とを有し、
当該方法は更に、前記チャンバとは別個の第2のチャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程を有し、
前記第2のチャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程は、前記除去する工程の完了までに完了される、
ことを特徴とする付記1乃至5の何れか一に記載のディスペンス方法。
(付記7)
前記吐出部から前記対象物上に前記液状材料を吐出させる工程は、前記対象物を加熱することを含み、前記第2のチャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程は、前記更なる対象物の予熱中に行われる、ことを特徴とする付記6に記載のディスペンス方法。
(付記8)
各組が1つ以上の対象物を含む複数組の対象物に液状材料を塗布するディスペンス方法であって、
各組の対象物に対する前記液状材料の塗布処理が、
チャンバの吐出部に液状材料を供給する工程と、
該組の対象物をステージ上に設置する工程と、
前記チャンバを前記ステージ上に設置し、前記チャンバと前記ステージとの間に第1の密封空間を形成する工程と、
蓋を前記チャンバ上に設置し、前記液状材料と前記蓋との間に第2の密封空間を形成する工程と、
前記第1の密封空間を減圧することにより、前記吐出部から該組の対象物上に前記液状材料を吐出させる工程と、
前記第1の密封空間を大気圧に戻し、前記蓋、前記チャンバ及び該組の対象物を前記ステージ上から除去する工程と
を有し、
前記複数組の対象物に対する前記塗布処理の繰り返しにおいて、2つ以上の前記チャンバが循環的に1つずつ使用される、
ことを特徴とするディスペンス方法。
(付記9)
前記複数組の対象物のうちの第1組の対象物及びその次の第2組の対象物に対する前記塗布処理において、前記第2組の対象物に対する前記供給する工程は、前記第1組の対象物に対する前記塗布処理が完了するまでに完了される、ことを特徴とする付記7に記載のディスペンス方法。
(付記10)
対象物が設置されるステージと、
前記ステージ上に配置される、吐出部を有するチャンバと、
前記吐出部に液状材料を供給するディスペンサと、
前記チャンバ上に設置される蓋と、
圧力制御機構と
を有し、
前記ステージ上に、前記液状材料が供給された前記チャンバが設置され且つ前記チャンバ上に前記蓋が設置されたとき、前記ステージと前記チャンバとの間に第1の密封空間が形成され且つ前記液状材料と前記蓋との間に第2の密封空間が形成され、
前記圧力制御機構は、前記吐出部から前記第1の密封空間内の前記対象物上に前記液状材料が吐出されるよう、前記第1の密封空間を減圧し、その後、前記第1の密封空間を開放して大気圧に戻すよう動作される、
ことを特徴とするディスペンス装置。
(付記11)
前記吐出部は、前記液状材料を格納するシリンジ部と、前記液状材料を吐出するノズル部とを有し、前記ノズル部は前記第1の密封空間内に突出している、ことを特徴とする付記10に記載のディスペンス装置。
(付記12)
前記ステージは、当該ステージに設置された前記対象物を前記ノズル部に対して相対移動させる可動部を有する、ことを特徴とする付記11に記載のディスペンス装置。
(付記13)
前記チャンバは複数の前記吐出部を有し、該複数の吐出部は、前記第1の密封空間が減圧されたとき、前記ステージ上に設置された複数の前記対象物に対して同時に前記液状材料を吐出する、ことを特徴とする付記10乃至12の何れか一に記載のディスペンス装置。
(付記14)
前記ステージ上への設置に先立って前記対象物が配置されるプレステージと、前記プレステージ上に配置された前記対象物の数及び位置を認識する認識機構とを更に有し、
前記ディスペンサは、前記複数の吐出部のうち、前記認識機構により認識された前記対象物の数及び位置に対応する吐出部に前記液状材料を供給するよう制御される、
ことを特徴とする付記13に記載のディスペンス装置。
(付記15)
複数の前記チャンバを有し、該複数のチャンバが循環的に使用される、ことを特徴とする付記10乃至14の何れか一に記載のディスペンス装置。
【符号の説明】
【0068】
10 半導体パッケージ
11 配線基板
11a 識別マーク
12 半導体チップ
13 突起電極
15 キャリア
20 (メイン)ステージ
20a 固定部
20b 可動部
20c x方向移動手段
20d y方向移動手段
21 プレステージ
22 アフタステージ
25、26、27 ヒータ
30、31、32 チャンバ
33 吐出部(キャピラリ)
33a シリンジ部
33b ノズル部
34 吸気口
35 排気口
36、37 開閉手段(圧力制御機構)
38、39 チャンバ台
40、45 密封空間
50 液状材料(アンダーフィルなど)
55 ディスペンサ
60 蓋材(蓋)
60a 弾性材料
70 キャリア搬送手段
72 チャンバ搬送手段
80 認識機構(カメラなど)
100 ディスペンス装置
101 制御用コンピュータ
102 入力装置
103 モニタ
110 ヒータ制御機構
111 カメラ制御機構
112 ディスペンサ制御機構
113 キャリア搬送手段制御機構
114 チャンバ搬送手段制御機構
115 蓋上下機構
116 チャンバ内圧制御機構
117 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程と、
対象物をステージ上に設置する工程と、
前記チャンバを前記ステージ上に設置し、前記チャンバと前記ステージとの間に第1の密封空間を形成する工程と、
蓋を前記チャンバ上に設置し、前記液状材料と前記蓋との間に第2の密封空間を形成する工程と、
前記第1の密封空間を減圧することにより、前記吐出部から前記対象物上に前記液状材料を吐出させる工程と、
前記第1の密封空間を大気圧に戻す工程と、
を有することを特徴とするディスペンス方法。
【請求項2】
前記対象物は半導体パッケージであり、前記液状材料はアンダーフィルであり、前記液状材料を吐出させる工程は前記半導体パッケージをアンダーフィルで充填することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンス方法。
【請求項3】
前記対象物は複数の対象物を含み、前記吐出部は複数の吐出部を含み、前記液状材料を吐出させる工程は、複数の吐出部から前記複数の対象物上に同時に前記液状材料を吐出させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のディスペンス方法。
【請求項4】
前記複数の対象物は単一のキャリアに担持されて搬送され、前記キャリア上の前記複数の対象物の数及び対象物の位置を認識する工程を更に有し、
前記液状材料を供給する工程は、前記複数の吐出部のうち、認識された前記対象物の数及び前記対象物の位置に対応する吐出部に前記液状材料を供給することを含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のディスペンス方法。
【請求項5】
前記大気圧に戻す工程の後に、前記蓋、前記チャンバ及び前記対象物を前記ステージ上から除去する工程と、更なる対象物を前記ステージ上に設置する工程とを有し、
当該方法は更に、前記チャンバとは別個の第2のチャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程を有し、
前記第2のチャンバに配置された吐出部に液状材料を供給する工程は、前記除去する工程の完了までに完了される、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のディスペンス方法。
【請求項6】
各組が1つ以上の対象物を含む複数組の対象物に液状材料を塗布するディスペンス方法であって、
各組の対象物に対する前記液状材料の塗布処理が、
チャンバの吐出部に液状材料を供給する工程と、
該組の対象物をステージ上に設置する工程と、
前記チャンバを前記ステージ上に設置し、前記チャンバと前記ステージとの間に第1の密封空間を形成する工程と、
蓋を前記チャンバ上に設置し、前記液状材料と前記蓋との間に第2の密封空間を形成する工程と、
前記第1の密封空間を減圧することにより、前記吐出部から該組の対象物上に前記液状材料を吐出させる工程と、
前記第1の密封空間を大気圧に戻し、前記蓋、前記チャンバ及び該組の対象物を前記ステージ上から除去する工程と
を有し、
前記複数組の対象物に対する前記塗布処理の繰り返しにおいて、2つ以上の前記チャンバが循環的に1つずつ使用される、
ことを特徴とするディスペンス方法。
【請求項7】
前記複数組の対象物のうちの第1組の対象物及びその次の第2組の対象物に対する前記塗布処理において、前記第2組の対象物に対する前記供給する工程は、前記第1組の対象物に対する前記塗布処理が完了するまでに完了される、ことを特徴とする請求項6に記載のディスペンス方法。
【請求項8】
対象物が設置されるステージと、
前記ステージ上に配置される、吐出部を有するチャンバと、
前記吐出部に液状材料を供給するディスペンサと、
前記チャンバ上に設置される蓋と、
圧力制御機構と
を有し、
前記ステージ上に、前記液状材料が供給された前記チャンバが設置され且つ前記チャンバ上に前記蓋が設置されたとき、前記ステージと前記チャンバとの間に第1の密封空間が形成され且つ前記液状材料と前記蓋との間に第2の密封空間が形成され、
前記圧力制御機構は、前記吐出部から前記第1の密封空間内の前記対象物上に前記液状材料が吐出されるよう、前記第1の密封空間を減圧し、その後、前記第1の密封空間を開放して大気圧に戻すよう動作される、
ことを特徴とするディスペンス装置。
【請求項9】
前記吐出部は、前記液状材料を格納するシリンジ部と、前記液状材料を吐出するノズル部とを有し、前記ノズル部は前記第1の密封空間内に突出している、ことを特徴とする請求項8に記載のディスペンス装置。
【請求項10】
前記ステージは、当該ステージに設置された前記対象物を前記ノズル部に対して相対移動させる可動部を有する、ことを特徴とする請求項9に記載のディスペンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−200686(P2012−200686A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68719(P2011−68719)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】