説明

トナー供給装置

【課題】 画像形成装置に装着する操作に伴って、トナーを確実に解すことができるトナー供給装置を提供する。
【解決手段】 トナー供給装置20内部に、回転操作時にトナーTを解し可能な解し部材36を設けて、この解し部材36に、トナー供給装置20外部から手動で解し部材36を回転操作可能な手動操作部材37を設けるとともに、画像形成装置2にトナー供給装置20を装着して手動操作部材37を一方向回りに回転操作した時に、手動操作部材37を画像形成装置2側にロックしてトナー供給装置20を装着位置に保持するロック部材38を設けることで、手動操作部材37の回転操作に連動して解し部材36も回転操作されるので、トナーTが確実に解されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置に用いるトナー供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のような画像形成装置においては、画像形成装置の現像部に、画像形成装置に対して着脱して交換可能なトナー供給装置が設けられたものがある。
【0003】
前記トナー供給装置の内部にはトナーの攪拌・搬送部材が設けられ、この攪拌・搬送部材の回転で、トナーを攪拌するとともに、トナーをトナー供給方向に搬送するようになっている(特許文献1参照)。
【0004】
前記のようなトナー供給装置では、輸送時や保管時に、縦置き(上下方向置き)をすると、トナーがトナー供給装置内部の下方に沈み込んで締まって凝集するおそれがある。
【0005】
そこで、保管時や輸送時には、トナー供給装置を縦置き(上下方向置き)しないように説明を付けたり、画像形成装置に装着する前に、振ったり、叩いたりして内部のトナーを解すように説明を付けたりしているが、これらが確実に実行されるという保証は無い。
【0006】
ところで、トナーがトナー供給装置内部で凝集していない、つまり解れているときは、安価な小型の電動モータであっても、攪拌・搬送部材をスムーズに回転させることができる。
【特許文献1】特許第3462860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、トナーがトナー供給装置内部で凝集している、つまり解れていないときは、攪拌・搬送部材の起動回転トルクが非常に大きくなるから、攪拌・搬送部材や電動モータに大きな負荷が作用するので、故障の原因になりやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、画像形成装置に装着する操作に伴って、トナーを確実に解すことができるトナー供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、画像形成装置に対して着脱して交換可能であり、回転するトナーの攪拌・搬送部材を内部に設けたトナー供給装置において、前記トナー供給装置内部に、回転操作時にトナーを解し可能な解し部材を設けて、この解し部材に、トナー供給装置外部から手動で前記解し部材を回転操作可能な手動操作部材を設けるとともに、前記画像形成装置にトナー供給装置を装着して前記手動操作部材を一方向回りに回転操作した時に、手動操作部材を画像形成装置側にロックしてトナー供給装置を装着位置に保持するロック部材を設けたことを特徴とするトナー供給装置を提供するものである。
【0010】
請求項2のように、前記手動操作部材をロック部材で画像形成装置側にロックした状態で、前記解し部材は、前記攪拌・搬送部材の回転動作を妨げない位置に待避していることが好ましい。
【0011】
請求項3のように、前記手動操作部材をロック部材で画像形成装置側にロックする際に、前記攪拌・搬送部材は、前記解し部材の回転動作を妨げない位置に待避していることが好ましい。
【0012】
請求項4のように、前記手動操作部材は、前記ロック部材でロックされていない状態で、前記画像形成装置のトナー供給装置交換用扉の全閉を阻止することが好ましい。
【0013】
請求項5のように、前記トナー供給装置内部に、トナー排出口と、このトナー排出口を開閉するシャッター部材とが設けられて、このシャッター部材と前記手動操作部材とは連係部材で連係されて、ロック方向に回転させる手動操作部材に連係してシャッター部材を開き操作することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1によれば、画像形成装置にトナー供給装置を装着して、手動操作部材を回転操作してロック部材で画像形成装置側にロックすると、トナー供給装置が装着位置に保持されるようになる。この手動操作部材の回転操作に連動して解し部材も回転操作されるので、トナーが確実に解されるようになるから、安価な小型の電動モータであっても、攪拌・搬送部材を起動時にスムーズに回転させることができる。
【0015】
請求項2によれば、攪拌・搬送部材の回転時は、解し部材を待避させるので、攪拌・搬送部材の回転動作が妨げられなくなる。
【0016】
請求項3によれば、解し部材の回転操作時は、攪拌・搬送部材を待避させるので、解し部材の回転動作が妨げられなくなる。
【0017】
請求項4によれば、手動操作部材がロック部材でロックされていない状態では、画像形成装置のトナー供給装置交換用扉の全閉が阻止されるので、手動操作部材のロック忘れやトナーの解し忘れを皆無にできるようになる。
【0018】
請求項5によれば、手動操作部材の回転操作に連動してシャッター部材も開閉操作されるので、簡単な連係部材のみでシャッター部材を確実に開閉操作できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、画像形成装置の一例である電子写真複写機1の概略構成を示す模式図である。前記電子写真複写機1では、複写機本体2内において、図中のA方向に回転する感光体ドラム3が帯電部4によって帯電され、原稿読取部5で読み取られた原稿画像に基づくレーザ走査ユニット(LSU)6からのレーザビームにより感光体ドラム3の表面に静電潜像が形成され、現像部7により静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成される。この現像部7へのトナーの供給は、トナー供給装置8から行われる。このトナー供給装置8の詳細は後述する。
【0021】
前記のようにトナー像が形成された感光体ドラム3に向けて、給紙機構10から用紙が用紙搬送路11を経由して搬送され、転写ローラ12により感光体ドラム3の表面のトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム3から分離されて定着ローラ対13に搬送され、トナー像定着後の用紙は、そのまま(或いは、図略のスイッチバック部で反転されて両面コピーされた後に)、排出ローラ対14によって排出部15に排出される。
【0022】
なお、16はクリーニング部であり、感光体ドラム3の表面の残留トナー等を除去するものである。また、給紙機構10は、複写機本体2に着脱自在に取り付けられ、用紙を収納する給紙カセット17,18と、その上方に設けられるスタックバイパス(バイパストレイ)19を備えてなっており、これらは用紙搬送路11に繋がっている。
【0023】
前記トナー供給装置8には、図2および図4に詳細に示すように、前記複写機本体2に対して着脱して交換可能なトナーカートリッジ(トナー供給装置)20が設けられている。
【0024】
前記トナーカートリッジ20は、有底四角箱状のカートリッジ本体21と、このカートリッジ本体21の上部開口を閉じる蓋22とで構成されている。なお、図2(a)および図4では蓋22の図示を省略している。
【0025】
前記カートリッジ本体21には、トナー供給部21aと、多量のトナーTを収納するためのトナー収納部21bとが設けられている。
【0026】
前記トナー供給部21aの下壁には、前記現像部7にトナーTを供給する〔図2(b)の矢印a参照〕トナー供給口21dが形成されるとともに、前記トナー供給部21a内には、トナー供給部21a内のトナーTをトナー供給口21d寄りに集めるように搬送可能なスクリューコンベア23が設けられている。
【0027】
前記トナー収納部21b内の下側位置には、トナー供給部21aの方向にトナーTを搬送するトナー搬送機構30が設けられている。このトナー搬送機構30は、回転軸31と、この回転軸31に固定された可撓性の攪拌・搬送部材32とから構成されている。前記攪拌・搬送部材32は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のような合成樹脂製のフィルムである。
【0028】
前記各回転軸31は、両端部31aが前記カートリッジ本体21の両側壁部21fで回転可能に支持されて、前記複写機本体2に装着したときに奥側となる側壁部21fから外部に突出する端部31aに歯車(不図示)が固定されている。
【0029】
また、前記トナー供給部21a内のスクリューコンベア23の両端部23aも前記カートリッジ本体21の両側壁部21fで回転可能に支持されて、前記複写機本体2の装着したときに奥側となる側壁部21fから外部に突出する端部23aに歯車(不図示)が固定され、この歯車は、前記回転軸31の歯車と噛み合わされている。
【0030】
前記複写機本体2のトナー供給装置8にトナーカートリッジ20をセットすると、複写機本体2側の駆動モータの駆動用歯車にスクリューコンベア23または回転軸31のいずれかの歯車が噛み合うことで、スクリューコンベア23および回転軸31が同期回転されるようになる。
【0031】
そして、トナー搬送機構30の回転軸31が右回りR〔図2(b)参照〕に回転すると、回転軸31に固定された可撓性の攪拌・搬送部材32も右回りRに回転して、攪拌・搬送部材32の回転で、トナー収納部21b内のトナーTが攪拌されるとともに、攪拌・搬送部材32によって、トナーTが下流側の立壁部21eに沿って上方に掻き上げられながら、その下流のトナー供給部21a内に搬送されるようになる。
【0032】
このトナー供給部21a内のトナーTは、スクリューコンベア23の回転でトナー供給口21d寄りに集められて、トナー供給口21dから前記現像部7にトナーTが供給されるようになる。
【0033】
前記回転軸31は、図5(a)に詳細に示すように、両端部31aの間が平面視で略U字状に屈曲された逃げ部31bに形成されて、この逃げ部31bに沿うように略U字状に形成された前記攪拌・搬送部材32が回転方向の下流側面に固定されている。
【0034】
前記トナー収納部21b内の上側位置には、トナー収納部21b内のトナーTを解すトナー解し機構35設けられている。このトナー解し機構35は、解し部材36と、この解し部材36に固定された手動操作部材37とから構成されている。
【0035】
図5(b)に詳細に示すように、前記解し部材36は櫛歯状に形成されるとともに、この解し部材36の軸部の両端部36bが前記カートリッジ本体21の両側壁部21fで回転可能に支持されて、前記複写機本体2に装着したときに手前側となる側壁部21fから外部に突出する端部36bに、櫛歯の突出方向に対して直角方向となるように前記手動操作部材37が固定されている。
【0036】
そして、工場等でのトナー充填時には、図2に示したように、前記トナー搬送機構30の攪拌・搬送部材32は、回転軸31の逃げ部31bが前記トナー供給部21a側とは反対方向の横向き位置にセットされるとともに、前記トナー解し機構35の解し部材36は、真下向き位置に設置されて、手動操作部材37は、前記トナー供給部21a側の方向の横向き位置にセットされている。この場合、解し部材36の下部は、回転軸31の逃げ部31bの凹部分内に入り込んでいる。
【0037】
前記トナーカートリッジ20は、前記複写機本体2の前扉(カートリッジ交換用扉)40〔図3(b)参照〕を開けて、トナー供給装置8に手前側から奥方向に挿入することで装着できるようになっている。
【0038】
このトナーカートリッジ20の装着位置において、図3(a)に示すように、前記手動操作部材37を一方向回り〔図3(a)において右回り…矢印c参照〕に90度で回転操作した時に、手動操作部材37を複写機本体2側にロックして、トナーカートリッジ20を装着位置に保持するロック部材38が設けられている。
【0039】
前記のようにトナーカートリッジ20を構成すれば、複写機本体2の前扉40〔図3(b)参照〕を開けて、トナーカートリッジ20をトナー供給装置8に手前側から奥方向に挿入し、手動操作部材37を右回りに回転操作して、ロック部材38で複写機本体2側にロックすると、トナーカートリッジ20が装着位置に保持されるようになる。
【0040】
この手動操作部材37の回転操作に連動して、櫛歯状の解し部材36も同回りに回転操作されるので、図3(a)にハッチングで示した範囲dのトナーTが確実に解されるようになる。
【0041】
このように、手動操作部材37を右回りに回転操作して、複写機本体2側にロック部材38でロックする操作に伴って、トナーTを確実に解せるようになるから、トナー搬送機構30の攪拌・搬送部材32の駆動用電動モータが安価な小型のものであっても、攪拌・搬送部材32を起動時にスムーズに回転させることができる。
【0042】
また、手動操作部材37をロック部材38で複写機本体2側にロックした状態では、図3(a)のように、解し部材36は、攪拌・搬送部材32の回転動作を妨げない横向き位置Dに待避しているから、攪拌・搬送部材32の回転動作が妨げられなくなる。
【0043】
さらに、手動操作部材37をロック部材38で複写機本体2側にロックする際には、図3(a)のように、攪拌・搬送部材32は、解し部材36の回転動作を妨げない横向き位置Eに待避しているから、解し部材36の回転動作が妨げられなくなる。
【0044】
一方、図3(b)に示すように、前記複写機本体2の前扉40は、前記トナーカートリッジ20を交換する際には、手前側Fに引いて開けるとともに、奥側Gに押して閉めるようになっている。
【0045】
前記前扉40の内面に、右回りに回転操作する前の手動操作部材37に当接するとともに、右回り回動操作した後の手動操作部材37に当接しない突起部40aを設けている。
【0046】
このような突起部40aを前扉40に設ければ、手動操作部材37がロック部材38でロックされていない右回りに回転操作する前の状態では、突起部40aが手動操作部材37に当たって前扉40の全閉(二点鎖線e参照)が阻止されるので、手動操作部材37のロック忘れやトナーの解し忘れを皆無にできるようになる。
【0047】
また、図6に示すように、前記トナーカートリッジ20のトナー供給部21a内に、前記トナー供給口21dに対応してスクリューコンベア23の外周囲を取り囲む筒状のシャッター部材41を設けて、このシャッター部材41に、トナー供給口21dに対して90度で左回り方向に変位した位置にシャッター開口41aを形成する。
【0048】
前記回転軸31にプーリ42(連係部材)を固定して、このプーリ42と前記筒状のシャッター部材41とにベルト若しくはワイヤー(連係部材)43を掛け回している。なお、回転軸31とシャッター部材41とを歯車のような連係部材で連係するようにしても良い。
【0049】
このように構成によれば、手動操作部材37の右回りの回転操作で、プーリ42とベルト43とを介してシャッター部材41も右回りに回転して、シャッター開口41aがトナー供給口21dに一致して、シャッター部材41が開操作されるとともに、手動操作部材37の左回りの回転操作で、プーリ42とベルト43とを介してシャッター部材41も左回りに回転して、シャッター開口41aがトナー供給口21dに一致しなくなって、シャッター部材41が閉操作されるようになる。
【0050】
このように、手動操作部材37の回転操作に伴って、簡単な連係部材(プーリ42やベルト43)のみでシャッター部材41を確実に開閉操作できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るトナー供給装置を備えた電子写真複写機の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係るトナーカートリッジであり、(a)はカートリッジ本体の平面図、(b)は側面断面図である。
【図3】(a)は、手動操作部材をロック位置に回転操作したトナーカートリッジの側面断面図、(b)は複写機本体の前扉とトナーカートリッジ側の手動操作部材との関係を示す要部平面図である。
【図4】カートリッジ本体の斜視図である。
【図5】(a)はトナー搬送機構の斜視図、(b)はトナー解し機構の斜視図である。
【図6】シャッター部材を設けたトナーカートリッジの側面断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電子写真複写機(画像形成装置)
8 トナー供給装置
20 トナーカートリッジ(トナー供給装置)
21 カートリッジ本体
21a トナー供給部
21b トナー収納部
21d トナー供給口
30 トナー搬送機構
31 回転軸
32 攪拌・搬送部材
35 トナー解し機構
36 解し部材
37 手動操作部材
38 ロック部材
41 シャッター部材
40 前扉(カートリッジ交換用扉)
42 プーリ(連係部材)
43 ベルト(連係部材)
D,E 待避位置
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に対して着脱して交換可能であり、回転するトナーの攪拌・搬送部材を内部に設けたトナー供給装置において、
前記トナー供給装置内部に、回転操作時にトナーを解し可能な解し部材を設けて、この解し部材に、トナー供給装置外部から手動で前記解し部材を回転操作可能な手動操作部材を設けるとともに、前記画像形成装置にトナー供給装置を装着して前記手動操作部材を一方向回りに回転操作した時に、手動操作部材を画像形成装置側にロックしてトナー供給装置を装着位置に保持するロック部材を設けたことを特徴とするトナー供給装置。
【請求項2】
前記手動操作部材をロック部材で画像形成装置側にロックした状態で、前記解し部材は、前記攪拌・搬送部材の回転動作を妨げない位置に待避していることを特徴とする請求項1記載のトナー供給装置。
【請求項3】
前記手動操作部材をロック部材で画像形成装置側にロックする際に、前記攪拌・搬送部材は、前記解し部材の回転動作を妨げない位置に待避していることを特徴とする請求項1または2記載のトナー供給装置。
【請求項4】
前記手動操作部材は、前記ロック部材でロックされていない状態で、前記画像形成装置のトナー供給装置交換用扉の全閉を阻止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のトナー供給装置。
【請求項5】
前記トナー供給装置内部に、トナー排出口と、このトナー排出口を開閉するシャッター部材とが設けられて、このシャッター部材と前記手動操作部材とは連係部材で連係されて、ロック方向に回転させる手動操作部材に連係してシャッター部材を開き操作することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−276616(P2006−276616A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97478(P2005−97478)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】