説明

トラクタ

【課題】本発明では、排気ガスの温度を所定の高温状態にして、作業中にDPFの自動再生を行うことで手動再生処理を行う頻度を少なくして、作業を長く継続して行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】排気ガスの温度を検出する排気ガスセンサ157を設け、該排気ガスセンサ157で検出する排気ガス温度が所定温度以下ではDPF163の自動再生処理に適した推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bを表示すべくしたことを特徴とするトラクタとする。また、排気ガスセンサ157で検出する排気ガス温度が所定温度以下では、自動的にDPF163の自動再生処理に適した推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bに変速すべくしたことを特徴とするトラクタとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トラクタに関する。特に、DPFを有するコモンレール式ディーゼルエンジンのDPF再生技術であり、排ガス中のパティキュレート(以下PMという)をDPFにて捕集し、DPFにPMが所定量堆積したときに高温で焼却してDPFの再生処理に関する。
【背景技術】
【0002】
主としてディーゼルエンジンで駆動される車両においては、排ガス管路に排ガス中に含まれる粒子状物質としてのPMを捕集するためDPFを設置している。このDPFはPMが一定量堆積した際には、車両の走行中に自動的にPMを燃焼させてDPFを再生する自動再生処理、又は車両を停車させて手動によりDPFを清掃してPMを除去する手動再生処理を行い、PMの堆積によるDPFの目詰まりを回避している。
【0003】
かかるDPFの再生処理に関する技術の一つとして、特許文献1においては、再生制御装置によってDPFの再生完了が判定されたとき、捕集量推定手段の推定値に基づいてDPF内に堆積された灰分(アッシュ)の堆積量を算出して、この灰分堆積量算出値に基づきPM捕集量の推定値、又は閾値を補正して次回の自動再生条件を補正し、灰分の堆積量を除く捕集量が所定閾値を越えたときに次回の自動再生処理を作動させて、ポスト噴射によってPMを燃焼させDPFの再生を行うように構成させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−83036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DPFの自動再生処理は、排気ガスの温度が一定以上でないとポスト噴射によってPMを燃焼させることが出来ない。
このために、軽負荷作業中には、排気ガス温度がDPFの自動再生処理に必要な温度に達せずPMの焼却が出来ず、DPFの目詰まり進行によって、作業を中断しなければならない場合が有る。
【0006】
本発明では、排気ガスの温度を所定の高温状態にして、作業中にDPFの自動再生を行うことで手動再生処理を行う頻度を少なくして、作業を長く継続して行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、排気ガスの温度を検出する排気ガスセンサ157を設け、該排気ガスセンサ157で検出する排気ガス温度が所定温度以下ではDPF163の自動再生処理に適した推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bを表示すべくしたことを特徴とするトラクタとする。
【0008】
この構成で、トラクタを操縦する作業者が推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bに変速することで排気ガスの温度を上昇させて、走行中にDPF163の自動再生が行われる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、排気ガスセンサ157で検出する排気ガス温度が所定温度以下では、自動的にDPF163の自動再生処理に適した推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bに変速すべくしたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタとする。
【0010】
この構成で、トラクタを操縦する作業者が特に注意を払うことなく、自動的にDPF163の自動再生処理に適した推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bに変速されることで、排気ガス温度がDPFの自動再生処理に適した所定温度以上になって、走行中にDPF163の自動再生が行われる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、排気ガスセンサ157で検出する排気ガス温度が所定温度以下でDPF163の自動再生処理に適した推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bを表示する状態と自動的に前記推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bに切換える状態に切換える制御切換手段159を設けたことを特徴とする請求項2に記載のトラクタとする。
【0012】
この構成で、トラクタを操縦する作業者が制御切換手段159の切換操作で、手動変速か自動変速を選択出来る。
請求項4に記載の発明は、前記DPF163への粒状化物質PMの堆積状態を段階的に表示するPM堆積警告表示171をメータパネル117に設けたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のトラクタとする。
【0013】
この構成で、トラクタを操縦する作業者がPM堆積警告表示171を見てDPF163へのPM堆積状態を知って、手動によるDPF163の再生処理を行うタイミングを図ることが出来る。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記DPF163を再生処理するDPF手動再生スイッチ170をPM堆積警告表示171の近くに設けたことを特徴とする請求項4に記載のトラクタとする。
【0015】
この構成で、トラクタを操縦する作業者が作業を中断或いは終了した後に、DPF手動再生スイッチ170をオン操作して、確実にDPF163の再生を行って次回の作業開始に備える。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項3の発明で、作業走行中にDPF163の自動再生処理が行われる機会を増やすことで、手動再生処理のために作業を中断することが少なくなる。
請求項4或いは請求項5の発明で、DPF163の手動再生処理が必要なことをトラクタの操縦者が知り易く、DPF手動再生スイッチ170で確実に再生処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コモンレールエンジンの説明模式図
【図2】エンジン回転数制御モードと対比図
【図3】エンジンの出力特性図
【図4】(a)排気ガス処理模式図、(b)PM焼却の別実施例断面図
【図5】トラクタの全体側面図
【図6】ミッションケース内の動力伝動線図
【図7】制御のブロック図
【図8】メータパネルの拡大図
【図9】データ表示部の拡大図
【図10】ステアリングハンドルの右側周辺の一部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図である。蓄圧式燃料噴射装置は、例えば、多気筒ディーゼル機関に適用されるものであるが、ガソリン機関でもよい。そして、蓄圧式燃料噴射装置は、燃料を適宜に制御する噴射圧力に蓄圧するコモンレール1と、このコモンレール1に取り付けられるレール圧センサ2と、燃料タンク3より汲み上げた燃料を加圧してコモンレール1に圧送する燃料高圧ポンプ4と、コモンレール1に蓄圧された高圧燃料をエンジンEのシリンダ5内に噴射する高圧インジェクタ6と、前記燃料高圧ポンプ4と高圧インジェクタ6やその他の機器などの動作を制御する制御装置(エンジンECU12)等から構成される。
【0019】
このように、コモンレール1は、エンジンEの各シリンダ5へ噴射する燃料を、要求された出力に必要な圧力とするものである。
前記燃料タンク3内の燃料は吸入通路により燃料フィルタ7を介してエンジンEで駆動される燃料高圧ポンプ4に吸入され、この燃料高圧ポンプ4によって加圧された高圧燃料は吐出通路8によりコモンレール1に導かれて蓄えられる。
【0020】
コモンレール1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路9により気筒数分の高圧インジェクタ6に供給され、エンジンECU12からの指令に基づき、高圧インジェクタ6が作動して、高圧燃料がエンジンEの各シルンダ5室内に噴射供給され、各高圧インジェクタ6での余剰燃料(リターン燃料)は各リターン通路10により共通のリターン通路10aへ導かれ、このリターン通路10aによって燃料タンク3へ戻される。
【0021】
また、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御する燃料高圧ポンプ4に圧力制御弁11が設けられており、この圧力制御弁11はエンジンECU12からの信号によって、燃料高圧ポンプ4から燃料タンク3への余剰燃料のリターン通路10aの流路面積を調整するものであり、これによりコモンレール1側への燃料供給量を調整してコモンレール圧を制御することができる。
【0022】
具体的には、エンジンEの運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧センサ2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する構成としている。
【0023】
トラクタなどの農作業機におけるコモンレール1を有するディーゼルエンジンEのエンジンECU12は、図2に示すように、回転数と出力トルクの関係においてエンジン回転数変動制御モードAとエンジン回転数維持制御モードB及び重負荷モードCの三種類の制御モードを有する構成としている。
【0024】
エンジン回転数変動制御モードAは、エンジン回転数の変動で出力も変動するものである。即ち、エンジンに負荷が加わるとエンジン回転数を下げる方向に制御する。基本的には移動走行する場合に使用するものであるが、急激なエンジンストールを防止するために作業中でも使用する。例えば、移動走行の場合は、ブレーキを掛けて走行速度を減速したり停止したりすると、走行負荷の増大に伴ってエンジン回転数が低下するため走行速度の減速や停止を安全に行うことができるものである。また、作業中においては、作業負荷が作用すると、負荷の強度に比例してエンジン回転数が低下していくものである。
【0025】
エンジン回転数維持制御モードBは、負荷が増大してもエンジン回転数を一定に維持する制御である。基本的には作業を行う場合に使用するものである。例えば、トラクタであれば耕耘作業時に圃場が固く耕耘刃に抵抗が掛かるときなどであり、コンバインであれば収穫作業時に負荷が増大したときでも、回転数を維持するときなどである。
【0026】
重負荷モードCは、エンジン回転数維持制御モードBと同様に負荷が加わって増大してもエンジン回転数を一定に維持する制御に加え、負荷限界近くになるとエンジン回転数を上昇させて出力を上げる重負荷制御を加えた制御である。特に、負荷限界近くで作業を行う場合に使用するものである。例えば、トラクタで耕耘作業を行っている際に、特に、固い耕地に遭遇してもエンジン出力が通常の限界を越えて増大するので作業を中断することがなく、効率の良い作業が可能となる。
【0027】
図3は、エンジンEの出力特性を表わす回転数と出力の関係図である。
低燃費のエンジン出力カーブSと標準のエンジン出力カーブNは、エンジン回転数(rpm)と出力(kw)との関係を示している。
【0028】
低燃費のエンジン出力カーブSは、標準のエンジン出力カーブNの燃料消費率よりも燃料供給量を低下させた制御で、この低燃費のエンジン出力カーブSは、全回転域で出力が標準のエンジン出力カーブNよりも出力が1割程度低下する。
【0029】
符号STは、低燃費のエンジン出力カーブSのときのエンジン回転数(rpm)とトルク(N・m)との関係を示しており、符号NTは、標準のエンジン出力カーブNのときのエンジン回転数(rpm)とトルク(N・m)との関係を示している。
【0030】
低燃費のエンジン出力カーブSと標準のエンジン出力カーブNを切り換えてエンジンEを使用するには、モード選択手段(以下、エンジンパワー選択スイッチという)134を操作して設定する。エンジンパワー選択スイッチは、図7と図8に示している。
【0031】
トラクタが走行するときにはエンジン回転数変動制御モードAに自動的に切換える。そして、前記エンジンパワー選択スイッチ134で標準のエンジン出力カーブNを選択し、トラクタに装着した作業機を駆動するPTO駆動手段(以下、PTO駆動スイッチという)151の入り状態が有効になることで、エンジン回転数維持制御モードBに自動的に切換える構成とする。PTO駆動手段については、レバーなどの操作をスイッチ等で検出する構成としてもよい。
【0032】
前記エンジンパワー選択スイッチ134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択し、作業機を駆動するPTO駆動スイッチ151の入り状態が有効になることで、エンジン回転数変動制御モードAに自動的に切換えるように構成する。
【0033】
エンジンパワー選択スイッチ134で標準のエンジン出力カーブNを選択して、PTO駆動スイッチ151を入り状態としての作業中は、自動的にエンジン回転数維持制御モードBでエンジン回転数制御を行う。そして、エンジン負荷に余裕があると判断すると、モード選択手段134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択するが、この選択で自動的にエンジン回転数変動制御モードAに切換わる。
【0034】
エンジンパワー選択スイッチ134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択し、PTO駆動スイッチ151を入り状態としての作業中は、自動的にエンジン回転数変動制御モードAでエンジン回転数制御を行う。そして、エンジン負荷に余裕が無いと判断すると、エンジンパワー選択スイッチ134で標準のエンジン出力カーブNを選択するが、この選択で自動的にエンジン回転数維持制御モードBに切換わる。
【0035】
低燃費のエンジン出力カーブSの許容最大負荷は、標準のエンジン出力カーブNの許容最大負荷よりも低いので、許容最大負荷に達する可能性が高い。このため、仮に低燃費のエンジン出力カーブSの選択状態において、エンジン回転数維持制御モードBで作業を行う場合において許容最大負荷に達すると、一気にエンジンストールしてしまうという不具合が発生する。
【0036】
そこで、低燃費のエンジン出力カーブSでエンジン回転数変動制御モードAで作業を行うと、負荷が作用して加わることに応じてエンジン回転数を下げる方向に制御するので、一気にエンジン回転数がストールしてしまって、エンジンを再始動しなくてはならないという不具合を防止できるようになる。また、負荷が加わることでエンジン回転数が低下していくので、作業者は負荷の状態を容易に把握し易くなる。
【0037】
また、エンジンパワー選択スイッチ134で標準のエンジン出力カーブNを選択し、作業機を駆動するPTO駆動スイッチ151の入り状態が有効になることで、自動的にエンジン回転数維持制御モードBに切換わる構成としたので、エンジン自体が持っている許容最大負荷まで一定の回転数で作業できるので、エンジン自体の能力を最大に引き出して、作業能率を向上させることができる。
【0038】
前記PTO駆動スイッチ151を入り状態にすると、後述する図7に示すPTOクラッチsol(ソレノイド)54bに通電して、図5に示すPTOクラッチ54aが入りとなる。
【0039】
また、図7に示すように、エンジン回転数を記憶するエンジン回転数記憶手段(以下、エンジン回転数記憶スイッチという)152と、該エンジン回転数記憶スイッチ152が記憶しているエンジン回転数を再現するエンジン回転数再現手段(以下、エンジン回転数再現スイッチという)153を設ける構成とする。このエンジン回転数再現スイッチ153を設けることで、エンジン回転数を自動的に設定できるので、アクセルレバーなどの操作が不要となり、操作性が向上する。記憶して再現するエンジン回転数は、運転者が希望する任意のエンジン回転数である。
【0040】
そして、エンジンパワー選択スイッチ134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択し、エンジン回転数再現スイッチ152の入り状態が有効になることで、自動的にエンジン回転数変動制御モードAに切換わる構成とする。
【0041】
エンジン回転数記憶スイッチ152で、作業者が希望するエンジン回転数を走行制御装置120に記憶する。そして、エンジン回転数再現スイッチ153を操作して、記憶しているエンジン回転数を再現する。このように、エンジン回転数再現スイッチ153で記憶しているエンジン回転数を再現する場合は、作業を行う場合である。記憶しているエンジン回転数を再現すると共に、エンジンパワー選択スイッチ134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択すると、自動的にエンジン回転数変動制御モードAに切換わる。
【0042】
このように、作業を行う際において、記憶しているエンジン回転数を再現すると共に、エンジンパワー選択スイッチ134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択すると、自動的にエンジン回転数変動制御モードAに切換わる構成としたので、負荷が加わることに応じてエンジン回転数が低下していくので、一気にエンジン回転数がストールしてしまって、エンジンを再始動しなくてはならないという不具合を防止できる。また、負荷に応じてエンジン回転数が低下していくので、作業者は負荷の状態を容易に把握し易くなる。
【0043】
また、別構成として、作業機を駆動するPTO出力軸54c(図6)の負荷率を検出し、一定時間標準のエンジン出力カーブNの最高出力の略70%以下で作業、又は走行している場合には、自動的に低燃費のエンジン出力カーブSに切り換える構成とする。これにより、効率の良い低燃費の作業や走行を行うことができる。PTO出力軸54cの負荷率は、規定の回転数に対する現在の回転数から算出する。
【0044】
逆に、一定時間低燃費のエンジン出力カーブSの最高出力の略70%以上で作業、又は走行している場合には、自動的に標準のエンジン出力カーブNに切り換わる構成とする。このように、エンジン自体の持っている能力を引き出して、作業や走行を行うことが可能となる。
【0045】
また、走行変速レバー(図示せず)を路上走行位置(高変速位置で高速走行をする位置)にするか、又は標準のエンジン出力カーブNで一定時間(10分程度)走行すると、自動的に低燃費のエンジン出力カーブSに切り換わる構成としても良い。
【0046】
前記エンジン回転数変動制御モードAとエンジン回転数維持制御モードB、及び重負荷モードCにおいて、農作業車(トラクタ、コンバイン、田植機等)の走行変速レバーの変速操作、又は作業クラッチ(トラクタであればロータリ駆動等のPTOクラッチであり、コンバインであれば刈取部や脱穀部の駆動クラッチである)の入り切り操作等によって自動的にエンジン回転数維持制御モードBに切り換わる構成としてもよい。なお、トラクタでは、PTOクラッチが切りであっても、作業機を連結しているリフトアームが最上位置より低く、かつリフトアームを昇降させている状態では、プラウ作業やプラソイラ作業であるので、自動的にエンジン回転数維持制御モードBや重負荷モードCにする。
【0047】
また、エンジン回転数変動制御モードAとエンジン回転数維持制御モードB、及び重負荷モードCは、エンジン回転数制御モード切換スイッチ148(図7)の操作により、手動で切り換える構成としてもよい。手動の場合は、運転者の判断で選択する。
【0048】
また、副変速レバーを路上走行位置にすると、自動的にエンジン回転数変動制御モードAになるが、路上走行の場合には負荷が小さいので、自動的に低燃費のエンジン出力カーブSとなる構成としてもよい。この場合に、副変速レバーを路上走行位置以外に変速操作すると、事前に標準のエンジン出力カーブNを選択していれば、その標準のエンジン出力カーブNに戻すように構成する。これにより、効率のよい走行が可能となる。
【0049】
また、エンジンパワー選択スイッチ134が入り状態のときは、常にエンジン回転数変動制御モードAとしてもよい。また、エンジンパワー選択スイッチ134が切りであり、アクセルペダルの操作で自動的に変速を行う場合も、エンジン回転数変動制御モードAとしてもよい。
【0050】
また、エンジンパワー選択スイッチ134が切りであり、手動スイッチ150(図7)を切りにし、さらに、PTOクラッチが入りであると、自動的にエンジン回転数維持制御モードBにしてもよい。このPTOクラッチが入りの条件の代わりに、作業機が下げ状態やエンジン回転数再現スイッチ153が入り状態であってもよい。そして、PTOクラッチが切りとなったり、作業機が上げ状態になったり、エンジン回転数再現スイッチ153が切り状態になると、自動的にエンジン回転数変動制御モードAにする構成とする。
【0051】
前記手動スイッチ150が入り状態であれば、常にエンジン回転数維持制御モードBとする。これにより、能率のよい作業や走行が可能となる。
排気ガス処理装置は、図4(a)に示す如く、コモンレール式ディーゼルエンジンEにおいて、排気マニホールド160に接続したターボ過給器161のタービン側から延設した排気管に、DOC(酸化触媒)162の下流側にDPF163を配置した排ガスを浄化する後処理装置Fを接続すると共に、DPF163の上流側と下流側との圧力差を計測する差圧計164を設置し、DOC162の直前に排気ガスの温度を検出する排気ガスセンサ157を設ける。また、ターボ過給器161のコンプレッサ側に設けた吸気管に吸入空気流量を計測するエアフローメーター165を接続して構成する。なお、166は吸気マニホールド、167はEGRクーラー、168はEGRバルブを示す。
【0052】
また、DPF163の手動再生(無負荷強制再生)時には、吸気絞りにより排気ガス温度を上昇させ、アフター噴射によりDOC162の温度を上昇させポスト噴射によりDPF163の温度を500度以上に上昇させる作用を行わせるが、この手動再生時には走行を停止して作業を中断する必要がある。
【0053】
このため、作業中に排気温度を上げて自動再生が行えるように、排気ガスセンサ157が検出する排気ガスの温度が500度以下の場合には、メータパネル117に設ける推奨変速段表示手段158に推奨走行変速段158aとPTO変速段158bを表示して、操縦者が推奨変速段表示手段158に表示の変速段にすることでエンジンEに負荷を加えて排気温度が上昇するようにする。
【0054】
また、排気ガスの温度を上昇させる手段として、ロータリ作業機を装着している場合に耕耘爪とロータリカバーの間隔を狭めて駆動負荷を加えることで行っても良い。
また、エンジンEの起動時にDPF163の手動再生を行う場合には、エンジンEの暖気を早めるために四気筒エンジンであれば二気筒への燃料供給を断つか絞って、エンジン負荷を増大するようにしても良い。
【0055】
また、図4(b)に示す如く、DPF163に至る排気経路直前に、排気管175からバイパス管177を設けると共に排気管175にバタフライ弁176を設けて、再生処理時に、バタフライ弁176を閉じて排気ガスをバイパス管177に導き、バーナー178の炎で排気ガスを燃焼室179で燃やして排気ガスの温度を上昇させるようにすることも出来る。
【0056】
このDPF163の手動再生と自動再生の切換は、制御切換スイッチ159の切換操作で行い、自動再生にすると前記の推奨変速段表示手段158に表示の変速段に自動的に変速して自動再生の行い易い排気ガス温度になるようにする。
【0057】
なお、DPF163に蓄積するPMの残留量は、エンジン回転と燃料噴射量の関係で流入PM量をマップ化すると共に、エンジン回転と排気温度の関係で燃焼PM量をマップ化して、両マップから(残留PM量=流入PM量−燃焼PM量)の関係式で算出することが出来る。この際に、DOC(酸化触媒)が働かない低温状態では、燃焼PM量の減算を行わないことで、正確に残留PM量を算出できる。
【0058】
さらに、流入空気量と前記差圧計164で計測する差圧との関係でPM量をマップ化して、差圧から残留PM量を推測出来るが、この推測値と前記の計算残留PM量とを比較し、より多い残留PM量の方で警告し制御することで安全に制御できる。
【0059】
前記のDOC162をEGRクーラー167の前に設けると、DOCによりNO2が生成され、350度付近でPMが再生除去出来るためにEGR機能を維持出来る。
また、DPF163にPM、特にアッシュが詰まるとDPF163を清掃(交換)する必要が生じるが、このような状態が突発的に発生すると、農作業機の場合、作業性が損なわれ、シーズン中にこれら手間の掛かる作業が発生することは好ましくないものである。
【0060】
このため、強制再生実施後のDPF163上流側の圧力が基準値以上になった場合、1ステップ閾値(軽警告)では、シーズン終了時にアッシュ清掃(交換)を促す警告メッセージを表示させ、2ステップ閾値(重警告)では、作業終了時にアッシュ清掃(交換)を促す警告メッセージを表示させ、3ステップ閾値(異常)では、即座にアッシュ清掃(交換)を促す警告メッセージを表示させる。このように、数段階で警告メッセージを表示させてDPF163のアッシュ清掃を行うことにより、作業中断の発生を未然に防止することができる。
【0061】
なお、排気ガス中のNOxを尿素水溶液を使って除去する排ガス処理装置を設けた場合には、尿素水溶液のタンクが空になるとメータパネル117に警告表示を行い、作業終了後に走行モードに移行してエンジンEを停止すると、尿素水溶液を補充しないかぎりエンジンEの再起動が出来ないようにしたり、エンジンEが起動しても作業機を駆動するPTO軸の駆動を出来ないようにしたり、作業機を昇降する油圧シリンダを作動しないようにしたりする。その際に、ロータリやフロントローダ等の作業機は走行に支障の無い位置で固定する。また、尿素水溶液を補充しないと走行モードから作業モードに移行できなくする。
【0062】
図5には、本発明を実施した作業車としてトラクタ15を示している。
トラクタ15は、機体前部のボンネット内にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケース16内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪17と後輪18とに伝える構成としている。機体上の操縦席22の周りはキャビン19で覆われている。キャビン19の内部で操縦席22前側のメータパネル117を設けたダッシュボード13からステアリングハンドル20を立設し、その周りに前後進レバーや駐車ブレーキレバーやPTO変速レバー等を配置している。このエンジンEは、前記のコモンレール式のディーゼルエンジンである。
【0063】
左右の後輪18,18の間にはヒッチ21と三点リンク(図示省略)を設けてロータリ等の作業機を装着する構成としている。
図8は、メータパネル117の拡大図である。図9は、メータパネル117内の液晶のデータ表示部14の拡大図であり、表示の一例を示している。図10は、ダッシュボード13に立設したステアリングハンドル20の右側周辺の拡大斜視図である。
【0064】
ステアリングハンドル20の前側のメータパネル117には、中央にエンジン回転計24を配置し、その右側に液晶のデータ表示部14を配置し、左側に省エネモニタランプ23を配置している。
【0065】
データ表示部14には、現在の変速段を表示する変速段表示14aと、燃料消費率表示14b等が有り、燃料消費率表示14bは走行速度表示14cと一定時間毎に切り換わる構成である。燃料消費率とは、そのときのエンジン回転数における最大出力を出すための燃料噴射量に対する、実際に噴射されている燃料噴射量の割合のことである。また、データ表示部14には、燃料計14dとエンジンの冷却水温計14eも表示する構成としている。
【0066】
データ表示部14の下側には、DPF163の自動再生制御の際に表示する推奨変速段表示部158を設けて推奨走行変速段158aと推奨PTO変速段158bを表示し、PM堆積警告表示部171にPM堆積量を段階的に色分けで表示するようにしている。
【0067】
省エネモニタランプ23は、エンジンパワー選択スイッチ134で低燃費のエンジン出力カーブSを選択しているときに点灯する構成であり、緑色に点灯する。
また、図10に示すように、ステアリングハンドル20の右側の平面部156であって、ダッシュボード13にエンジンパワー選択スイッチ134を設けている。このエンジンパワー選択スイッチ134を押すと、エンジンが低燃費のエンジン出力カーブSで制御される。また、DPF163の自動再生と手動再生を選択する再生制御切換スイッチ159とDPF手動再生スイッチ170トを設け、さらに、走行状態を後輪のみの2輪駆動状態,後輪と前輪の4輪駆動状態,旋回時における前輪増速状態などを選択する走行切換スイッチ155を設けている。154はエンジン回転数を設定するアクセルレバーである。
【0068】
図6は、ミッションケース16内の変速装置の伝動機構を示す線図である。エンジンEから前輪17と後輪18への動力伝動構成を説明する。
エンジンEの出力軸に直結した入力軸25には、第一ギヤ26を固着し、前後進切換クラッチ27を装着している。
【0069】
前後進切換クラッチ27の一方の第二ギヤ28は、第一変速軸29に固着した第三ギヤ30に噛み合って減速し、前後進切換クラッチ27の他方の第四ギヤ31は、カウンタギヤ32を介して第一変速軸29に固着した第五ギヤ33に噛み合っており、逆転で動力を伝動している。すなわち、前後進切換クラッチ27を第二ギヤ28側に入れる(繋ぐ)と、入力軸25の回転が逆方向回転で第一変速軸29に伝動され、第四ギヤ31側に入れると、入力軸25の回転が順方向回転で第一変速軸29に伝動され、第二ギヤ28と第四ギヤ31の両方から離れたニュートラル状態が、動力伝動を断ったメインクラッチ切状態である。油圧バルブの制御によって、このメインクラッチ切状態を保持出来るようにしている。すなわち、自動制御を行うときや、前後進レバーの操作時、そしてクラッチペダルの操作時において作動する前後進切換クラッチ27が、メインクラッチとして機能している構成である。
【0070】
前後進切換クラッチ27の伝動下手側であって前記第一変速軸29には、一速/三速切換用第一変速クラッチ34と、二速/四速切換用第二変速クラッチ35を装着している。
一速/三速切換用第一変速クラッチ34の第一クラッチギヤ36と第二クラッチギヤ37は、第二カウンタ軸38に固着した第三クラッチギヤ39と第四クラッチギヤ40に噛み合っており、一速用にしたり三速用にしたりして、第一変速軸29の回転を第二カウンタ軸38に伝動している。
【0071】
さらに、二速/四速切換用第二変速クラッチ35の第五クラッチギヤ41と第六クラッチギヤ42は、第二カウンタ軸38に固着した第七クラッチギヤ43と第八クラッチギヤ44に噛み合っており、二速用にしたり四速用にしたりして、第一変速軸29の回転を第二カウンタ軸38に伝動している。
【0072】
第二カウンタ軸38の伝動下手側に、第三カウンタ軸45をカップリング46で連結しており、回転をそのままで伝動している。この第三カウンタ軸45には、小ギヤ47と大ギヤ48を固着している。この小ギヤ47と大ギヤ48は、第二変速軸49に装着した高・低速切換クラッチ50のクラッチ大ギヤ51とクラッチ小ギヤ52にそれぞれ噛み合っており、第三カウンタ軸45の回転を高速又は低速で第二変速軸49に伝動している。
【0073】
第二変速軸49の伝動下手側端部に第六ギヤ53を固着し、この第六ギヤ53は、第三駆動軸54に回動可能に軸支している大小ギヤ55部の大ギヤ56と噛み合っており減速伝動している。
【0074】
大小ギヤ55部の小ギヤ57は、ベベルギヤ軸58に軸支した二連の副変速クラッチ59の第七ギヤ60に噛み合わせて減速伝動している。さらに、第七ギヤ60と一体に設けた第八ギヤ61を、第五カウンタ軸62に固着した第二大ギヤ63に噛み合わせて減速伝動している。
【0075】
第五カウンタ軸62には、さらに第二小ギヤ64が固着され、この第二小ギヤ64がベベルギヤ軸58の第三大ギヤ65と噛み合ってさらに減速伝動されている。従って、第二変速軸49の回転は、第六ギヤ53→大ギヤ56→小ギヤ57→第七ギヤ60→第八ギヤ61→第二大ギヤ63→第二小ギヤ64→第三大ギヤ65と順次減速されながら伝動されていく。
【0076】
副変速レバーで操作される二連の副変速クラッチ59の第一シフター66と第二シフター67は、ベベルギヤ軸58へ軸方向にスライド可能に係合していて、第一シフター66を第七ギヤ60側へスライドして係合すると、第七ギヤ60の回転がベベルギヤ軸58に伝わり、第二シフター67が第八ギヤ61側へスライドして係合すると、第八ギヤ61の回転がベベルギヤ軸58に伝わって、順次減速されてベベルギヤ軸58が低速で回転することになる。
【0077】
ベベルギヤ軸58の回転は、第一ベベルギヤ68と第二ベベルギヤ69を経てデフギヤ70に伝動され、デフギヤ70から車軸71と遊星ギヤ72を経て後輪18へ伝動される。
【0078】
以上の説明を要約すると、入力軸25の回転は、まず前後進切換クラッチ27で正転又は逆転に切り替えられ、一速/三速切換用第一変速クラッチ34と二速/四速切換用第二変速クラッチ35で一速から四速まで4段に変速され、高・低速切換クラッチ50で高速と低速の2段に変速され、さらに二連の副変速クラッチ59で高・中・低速の3段に変速されて、ベベルギヤ軸58に伝動される。すなわち、入力軸25の回転が4×2×3=24段に変速されて車軸71へ伝動される構成である。
【0079】
前輪17への駆動力伝動は、ベベルギヤ軸58に第九ギヤ74を固着し、この第九ギヤ74を中継ギヤ75に噛み合わせ、さらに第三駆動軸76に固着した第十ギヤ77に噛み合わせて第三駆動軸76を駆動する。第三駆動軸76を第二カップリング78で前輪増速クラッチ79を装着した変速軸80に連結している。前輪増速クラッチ79の第十一ギヤ81と第十二ギヤ82は、第七カウンタ軸83に固着した第十三ギヤ84と第十四ギヤ85に噛み合わせており、通常の前輪駆動から前輪増速に切り替えるようにしている。なお、前輪増速クラッチ79を中立にすると、前輪17の駆動が断たれて後輪のみの駆動になる。
【0080】
第七カウンタ軸83は、第三カップリング86で前輪駆動軸87に連結し、さらに、第四カップリング88と延長軸89及び第五カップリング90で前輪駆動ベベル軸91に連結している。
【0081】
前輪駆動ベベル軸91の動力は、前第一ベベルギヤ92、前第二ベベルギヤ93、前デフギヤ94、前デフギヤ軸95、前第三ベベルギヤ96、前第四ベベルギヤ97、垂直軸98、前第五ベベルギヤ99、前第六ベベルギヤ100、前遊星ギヤ101を経て前輪17を駆動している。
【0082】
第三駆動軸54の伝動下手側にPTO出力軸54cを連結している。PTO出力軸54cは、PTO変速部54d、PTOカウンタ軸54e、第三駆動軸54を介して駆動する構成である。
【0083】
次に、図7の制御ブロック図で、制御信号の流れを説明する。
まず、エンジンECU(エンジン制御装置)12には、エンジン排気温度センサ106から排気の温度が入り、エンジン回転センサ107からエンジン回転数が入り、エンジンオイル圧力センサ108からエンジン潤滑オイルの圧力が入り、エンジン水温センサ109から冷却水の温度が入り、レール圧センサ2からコモンレール1の圧力が入り、排気ガスセンサ157から排気ガスの温度が入り、燃料高圧ポンプ4に駆動信号が出力され、高圧インジェクタ6に燃料供給調整制御信号が出力される。
【0084】
次に、作業機昇降制御装置110には、作業機昇降レバーに設けるポジションコントロールセンサ111の操作信号と、リフトアームセンサ112の昇降信号と、上げ位置規制ダイアル113の上げ位置規制信号と、下げ速度調整ダイアル114の降下速度設定信号がそれぞれ入力し、メイン上昇ソレノイド115とメイン下降ソレノイド116に作業機昇降信号が出力し作業機昇降シリンダを作動する。
【0085】
前記エンジンECU12と作業機昇降制御装置110、及び後述する走行制御装置120は制御信号が交互に交信(CAN1,CAN2通信)されて、メータパネル117にエンジンEが標準のエンジン出力カーブNであるか、又低燃費のエンジン出力カーブSであるかの状態や、作業機の昇降状態、走行装置の走行速度等が表示され、操作パネル118に各レバーやペダルの操作位置等が表示される。
【0086】
走行制御装置120は、変速1クラッチ圧力センサ121、変速2クラッチ圧力センサ122、変速3クラッチ圧力センサ123、変速4クラッチ圧力センサ124からクラッチ入信号、即ち多段ギヤ変速装置の変速段が入力する。即ち、一速/三速切換用第一変速クラッチ34と、二速/四速切換用第二変速クラッチ35の信号である。Hi(高速)クラッチ圧力センサ125とLo(低速)クラッチ圧力センサ126からサブクラッチの変速位置が入力する。即ち、高・低速切換クラッチ50の信号である。
【0087】
前進クラッチ圧力センサ127と後進クラッチ圧力センサ128からメインクラッチの前進・中立・後進が入力する。即ち、前後進切換クラッチ27の信号である。トラクタを前後進させる前後進レバーの位置を検出する前後進レバー操作位置センサ129と、副変速レバーの操作位置を検出する副変速レバー操作位置センサ130から変速操作位置信号が入力する。
【0088】
車速センサ131から走行速度が入力し、ミッションオイル油温センサ132からミッションオイルの温度が入力し、クラッチペダル操作位置センサ133からクラッチペダルの踏込み信号が入力し、エンジンパワー選択スイッチ134から標準のエンジン出力カーブNと低燃費のエンジン出力カーブSの選択信号が入力し、エンジン回転数制御モード切換スイッチ148からエンジン制御モードの切換信号が入力する。手動スイッチ150からオン・オフ信号が入力する。
【0089】
さらに、アクセルペダルの踏み込み状態で走行(路上)の自動変速を行うアクセル変速設定スイッチ144からも信号が入力し、手動で変速の増減速を行う主変速増減速操作スイッチ145の操作信号が入力し、アクセルレバーの位置を検出するアクセルセンサ146からアクセル操作信号が入力し、アクセルを微調整するアクセル微調整レバーセンサ147のアクセル調整信号が入力し、再生制御切換スイッチ159からDPF163の自動再生と手動再生の切換信号が入力する。
【0090】
走行制御装置120からの出力は、前後進切換sol(ソレノイド)135に前後進切換クラッチの切換信号が出力し、リニア昇圧sol(ソレノイド)136に前後進切換sol(ソレノイド)を駆動する油圧のリリーフ圧調整信号が出力してクラッチ接続のショックを低減し、クラッチsol(ソレノイド)137に入・切信号が出力する。
【0091】
さらに、一速/三速切換用第一変速クラッチ34を駆動する油圧シリンダの変速1−3切換sol(ソレノイド)138に一速又は三速の入信号が出力し、変速1−3昇圧sol(ソレノイド)139に一速/三速切換用第一変速クラッチ34を駆動する油圧のリリーフ圧調整信号が出力してクラッチ接続のショックを低減する。二速/四速切換用第二変速クラッチ35を駆動する油圧シリンダの変速2−4切換sol(ソレノイド)140に二速又は四速の入信号が出力し、変速2−4昇圧sol(ソレノイド)141に二速/四速切換用第二変速クラッチ35を駆動する油圧のリリーフ圧調整信号が出力してクラッチ接続のショックを低減する。高・低速切換クラッチ50を駆動する油圧シリンダを作動するHi(高速)クラッチ切換sol(ソレノイド)142とLo(低速)クラッチ切換sol(ソレノイド)143に高速クラッチの入信号及び低速クラッチの入信号が出力する構成である。
【0092】
トラクタ15を電気駆動やハイブリッド駆動にした場合には、ロータリ作業機の耕耘負荷を軽くするために、ロータリの回転が車体の推進力として作用するように、耕耘深さを制限する。
【0093】
エンジンの吸排気用バルブの開閉をカムシャフトの回転で行う吸排気システムの場合に、回転速度によってカムシャフトを油圧でスライドして、カムシャフトをリフトするカムの高さを変更することで、低速回転から高速回転まで吸入空気の流速を速く出来て吸排気を最適化出来る。
【産業上の利用可能性】
【0094】
その他の産業機械にも適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
117 メータパネル
157 排気ガスセンサ
158a 推奨走行変速段
158b 推奨PTO変速段
159 制御切換手段
163 DPF
170 DPF手動再生スイッチ
171 PM堆積警告表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの温度を検出する排気ガスセンサ(157)を設け、該排気ガスセンサ(157)で検出する排気ガス温度が所定温度以下ではDPF(163)の自動再生処理に適した推奨走行変速段(158a)と推奨PTO変速段(158b)を表示すべくしたことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
排気ガスセンサ(157)で検出する排気ガス温度が所定温度以下では、自動的にDPF(163)の自動再生処理に適した推奨走行変速段(158a)と推奨PTO変速段(158b)に変速すべくしたことを特徴とする請求項1に記載のトラクタ。
【請求項3】
排気ガスセンサ(157)で検出する排気ガス温度が所定温度以下でDPF(163)の自動再生処理に適した推奨走行変速段(158a)と推奨PTO変速段(158b)を表示する状態と自動的に前記推奨走行変速段(158a)と推奨PTO変速段(158b)に切換える状態に切換える制御切換手段(159)を設けたことを特徴とする請求項2に記載のトラクタ。
【請求項4】
前記DPF(163)への粒状化物質(PM)の堆積状態を段階的に表示するPM堆積警告表示(171)をメータパネル(117)に設けたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のトラクタ。
【請求項5】
前記DPF(163)を再生処理するDPF手動再生スイッチ(170)をPM堆積警告表示(171)の近くに設けたことを特徴とする請求項4に記載のトラクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−246900(P2012−246900A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121634(P2011−121634)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】