説明

ナノウレア水性分散体を乾燥することにより得られた粒子

本発明は、ナノウレアの水性分散体を乾燥させることにより製造された粒子、その製造方法およびその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノウレアの水性分散体を乾燥することにより製造することができる粒子、およびその製造のための相当する方法に関する。本発明は、その使用をさらに提供する。さらに、本発明は、化粧品の製造のための架橋ポリウレタンの水性分散体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機溶媒中のポリウレアの溶液の噴霧乾燥は、EP1630191Aに既に記載されている。しかしながら、該出版物には、開示の水性分散体の乾燥も、溶媒として用いる水も記載されていない。さらに、該出版物では、線形構造を有するポリウレアが乾燥されることについて注目が置かれている。交差分枝状(querverzweigten)ナノ粒子は議論されていない。EP1630191Aに記載のポリウレアは、イソシアネートへのアミンの重付加により製造され、加水分解を用いる鎖延長による構築反応は記載されていない。
【0003】
ナノスケール架橋ポリウレア粒子を含む水性分散体の製造は、WO2005/063873Aに記載されている。この方法では、親水性イソシアネートは水中に触媒の存在下で導入され、その結果、架橋が分散粒子内でウレア結合によって生じる。DE10200600869Aには、架橋ウレア粒子を含む水性分散体の製造が記載されている。これらの粒子はポリクロロプレン分散体をベースとする接触接着剤用の添加剤として用いられる。該粒子の粒度は10〜300nmの範囲である(レーザー相関分光法により計測)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1630191号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/063873号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願公開第10200600869号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの用途、例えば化粧品、被覆組成物、シーラントまたは接着剤等は、通常1〜50μmの範囲の粒径を有する粉末充填剤を必要とし、相当するパウダーの提供の必要性が存在する。
【0006】
従って、本発明の目的の1つは、ポリウレア含有パウダーの粒子形態での提供であり、該粒子は、好ましくは1〜50μmの平均系を有することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、パウダーは架橋ナノウレア粒子の水性分散体を乾燥させることにより得られることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従って、本発明は、架橋ナノウレアの水性分散体から出発して乾燥により得られたナノウレアパウダーを提供する。かかる方法では、相当するナノウレア分散体の乾燥により、パウダー生成物が得られることは予期することができず、むしろ粘着稠度を有する塊が得られることが予期することができた。
【0009】
本発明は、ポリウレアの水性分散体を乾燥することによりナノウレアパウダーの製造のための方法をさらに提供する。
【0010】
本発明はまた、化粧品、被覆組成物、シーラントまたは接着剤における、ナノウレアの水性分散体を乾燥させることにより製造された粒子の使用を提供する。
【0011】
本発明はまた、充填剤、添加剤、助剤および/またはサプリメントとしての、ナノウレアの水性分散体を乾燥させることにより製造された粒子の使用を提供する。
【0012】
本発明はまた、本発明による粒子を用いて得られた化粧品、物品、被覆組成物、シーラントおよび接着剤を提供する。
【0013】
本発明では、ナノウレアは、ナノスケール範囲の直径を有する交差分枝状ポリウレア粒子を意味すると理解される。
【0014】
本発明では、1つの実施態様において、ナノウレア水性分散体を凍結乾燥することにより得られたナノウレアパウダーは除外される。
【0015】
本発明では、さらなる実施態様において、820.20gのBayhydur(登録商標) VP LS 2336、次いで0.32gのIsofoam(登録商標) 16を、4952gの脱イオン水中における20.72gのトリエチルアミンの溶液に30℃で強撹拌しながら添加し、該混合物をさらに撹拌し、3、6および9時間後、さらなる820.20gのBayhydur(登録商標) VP LS 2336、次いで0.32gのIsofoam(登録商標) 16をいずれの場合にも添加し、次いで該混合物を30℃でさらに4時間、後撹拌し、200mbar真空および30℃でさらに3時間撹拌し、得られる分散体を取り出すような方法で得られたナノウレア水性分散体を凍結乾燥させることにより得られたナノウレアパウダーは除外される。
【0016】
本発明によるポリウレアパウダーは、好ましくは、架橋ナノウレア粒子の水性分散体から出発して得られたパウダーである。
【0017】
本発明による粒子の平均粒径(較正長手定規を用いる発見粒径の適合による、光学顕微鏡を用いる測定により決定)は、通常0.5〜1000μm、好ましくは1〜200μm、特に好ましくは1〜50μmの寸法を有する。
【0018】
ナノウレア分散体を乾燥させることにより得られた本発明による粒子の残存含水量は、対流式オーブン中における120℃での約1gのパウダーの試料のさらなる乾燥による重量分析により決定され、通常10重量%未満、好ましくは0.001〜5重量%、特に好ましくは0.1〜3重量%である。
【0019】
本発明によるナノウレア粒子の含量は、本発明による物品、特に化粧品、被覆組成物、シーラントまたは接着剤における分散体中において、通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%である。
【0020】
本発明による粒子は、ナノウレア水性分散体を乾燥させることにより得られる。かかる方法では、水性分散体中におけるナノウレア粒子は、ウレア結合により本質的に粒子内架橋させる。本発明によれば、用語「ウレア結合により本質的に架橋」とは、いずれの場合にもイソシアネート含有親水性出発構成物質から出発して、好ましくは少なくとも50mol%、より好ましくは少なくとも90mol%の分枝位置が架橋される場合を意味すると理解される。
【0021】
相当するナノウレア分散体は、例えばWO2005/063873により得られる(これに関する開示を、参照により本発明に組み込む)。
【0022】
未架橋または予備架橋粒子は、水中において親水性化ポリイソシアネートi)の分散体により形成される。次いで、存在するイソシアネート基のいくつかは、イソシアネート/水反応により破壊されて、第1級または第2級アミンが得られる。次いで、さらなるイソシアネート基と反応させることにより、これらのアミノ基はウレア基を形成し、結果として架橋して、ナノウレア水性分散体中に存在するナノウレア粒子が得られる。本発明では、イソシアネート基の幾つかは、上記反応前または反応中に、水と、または他のイソシアネート反応性種、例えば第1級または第2級アミンおよび/またはアルコール等と反応させることもできる。
【0023】
用いることができる親水性化ポリイソシアネートi)は、非イオン的にまたは潜在的イオン的に親水性化された当業者に既知の全てのNCO基含有化合物それ自体である。異なったポリイソシアネートi)の混合物を用いる場合、少なくとも1つのポリイソシアネートが非イオン的に親水性化する構造単位を有することは好ましい。特に好ましくは、専ら、非イオン的に親水性化する基を有するポリイソシアネートi)のみを用いる。
【0024】
イオン的にまたは潜在的イオン的に親水性化する化合物とは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基ならびに少なくとも1つの官能基、例えば−COOY、−SOY、−PO(OY)(Yは、例えばH、NH、金属カチオンである)、−NR、−NR(Rは、H、アルキル、アリールである)等を有する全ての化合物を意味し、これらは、水性媒体との相互作用により、pH依存性解離平衡状態になり、かくして、負電荷、正電荷または中性電荷を有し得る。好ましいイソシアネート反応性基は、ヒドロキシル基またはアミノ基である。
【0025】
適当なイオン的または潜在的イオン的に親水性化する化合物は、例えば、モノおよびジヒドロキシカルボン酸、モノおよびジアミノカルボン酸、モノおよびジヒドロキシスルホン酸、モノおよびジアミノスルホン酸ならびにモノおよびジヒドロキシホスホン酸またはモノおよびジアミノホスホン酸およびこれらの塩、例えばジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピル−または−ブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5−ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸との付加物(EP−A0916647、実施例1)およびそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;重亜硫酸ナトリウムとブテン−2−ジオール−1,4との付加物、ポリエーテルスルホネート、2−ブテンジオールとNaHSOとのプロポキシル化付加物(例えば、DE−A2446440(5〜9頁、式I〜III)に記載)ならびに親水性合成成分として、カチオン性基に変換し得る構成成分、例えばアミン系単位(例えばN−メチルジエタノールアミンなど)を含有する化合物である。さらに、例えば、化合物として、WO01/88006A中のシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を使用することもできる。
【0026】
好ましいイオン性基または潜在的イオン性基は、カルボキシ基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を含有するものである。特に好適なイオン性化合物は、イオン性基または潜在的イオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有するもの、例えば、N−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIとアクリル酸との付加生成物の塩(EP0916647A、実施例1)ならびにジメチロールプロピオン酸の塩である。
【0027】
適当な非イオン的に親水性化する化合物の例は、例えば、少なくとも1つのヒドロキシ基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、30重量%〜100重量%のエチレンオキシド由来の構成成分を含有する。
【0028】
適当なイオン的または潜在的イオン的に親水性化する化合物は、例えば、モノおよびジヒドロキシカルボン酸、モノおよびジアミノカルボン酸、モノおよびジヒドロキシスルホン酸、モノおよびジアミノスルホン酸ならびにモノおよびジヒドロキシホスホン酸またはモノおよびジアミノホスホン酸およびこれらの塩、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N−(2−アミノエチル)−β−アラニン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピル−または−ブチルスルホン酸、1,2−または1,3−プロピレンジアミン−β−エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5−ジアミノ安息香酸、IPDIとアクリル酸との付加物(EP−A0916 647、実施例1)およびそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;重亜硫酸ナトリウムとブタ−2−エン−1,4−ジオールとの付加物、ポリエーテルスルホネート、2−ブテンジオールとNaHSOとのプロポキシル化付加物(例えば、DE−A2446440(5〜9頁、式I〜III)に記載)ならびに親水性合成成分として、カチオン性基に変換し得る単位、例えば、アミン系単位(例えばN−メチルジエタノールアミンなど)を含有する化合物である。また、例えば、化合物として、WO01/88006中のシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を使用することもできる。
【0029】
好適なイオン性基または潜在的イオン性基は、カルボキシル基またはカルボキシレート基および/またはスルホネート基および/またはアンモニウム基を含有するものである。特に好適なイオン性化合物は、イオン性基または潜在的イオン性基としてカルボキシル基および/またはスルホネート基を含有するもの、例えば、N−(2−アミノエチル)−β−アラニンの塩、2−(2−アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIとアクリル酸との付加生成物の塩(EP−A0916647、実施例1)ならびにジメチロールプロピオン酸の塩である。
【0030】
適当な非イオン的に親水性化する化合物の例は、少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、30重量%〜100重量%のエチレンオキシド由来の単位の画分を含有する。
【0031】
エチレンオキシド単位を有する末端親水性鎖を組み込むための親水性合成成分は一般式(I):
H−Y’−X−Y−R (I)
〔式中、
Rは、1〜12個の炭素原子を有する1価炭化水素基、好適には1〜4個の炭素原子を有する未置換アルキル基であり、
Xは、少なくとも40%、好適には少なくとも65%の量のエチレンオキシド単位に構成され、エチレンオキシド単位に加えてプロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはスチレンオキシドから構成されていてよい(後述の単位は好適にはプロピレンオキシド単位である)、5〜90個、好適には20〜70個の鎖構成要素(Kettengliedern)を有するポリアルキレンオキシドであり、
Y’/Yは、酸素または−NR’−であり、R’は定義についてRまたは水素に相当する。〕
で示される好適な化合物である。
【0032】
特に好適なものは、50%、より好適には55%〜89%を超えるエチレンオキシド質量を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合ポリマーである。ある好適な実施態様においては、少なくとも400g/mol、好適には少なくとも500g/mol、特に好適には1200〜4500g/molの分子量を有する化合物を用いる。
【0033】
特に好適には、1分子あたり平均5〜70個、好適には7〜55個のオキシエチレン基、好適にはエチレン基を含有する非イオン的親水性化ポリイソシアネートi)である。
【0034】
親水性化ポリイソシアネートi)は、当業者にそれ自体既知であり、1分子あたり1個を越えるNCO基を有し、0.5〜50重量%、好適には3〜30重量%、より好適には5〜25重量%のイソシアネート含量を有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および芳香族ポリイソシアネートまたはこれらの混合物をベースとする。
【0035】
適するポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアナトメチルオクタン−1,8−ジイソシアネート、メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)またはトリイソシアナトノナン(TIN、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート)ならびにこれらの混合物である。また原則的に適するのは、芳香族ポリイソシアネート、例えば1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または−2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−2,4’−および/または−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トリフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートまたはナフチレン−1,5−ジイソシアネートである。
【0036】
上記のポリイソシアネートに加えて、ウレットジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する高分子量2次生成物を用いることも可能である。このような2次生成物は、従来技術に記載の変性反応によってモノマージイソシアネートからそれ自体既知の方法において知られている。
【0037】
好ましくは、親水性化ポリイソシアネートi)は、もっぱら脂肪族的または脂環式的に結合したイソシアネート基を含有する上記の種類のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物、または任意の所望のこれらの混合物をベースとする。
【0038】
特に好ましくは、親水性化ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートまたは異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンならびに上記のジイソシアネートのそれらの混合物をベースとする。ポリイソシアネートi)は、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする少なくとも50重量%のポリイソシアネートを好ましく含有する。
【0039】
水中でのポリイソシアネートa)の分散および水性分散体を調製するための水との反応は、好ましくは、撹拌器によりまたは他の種類の混合、例えばポンプ循環によって、スタティックミキサー、棘付ミキサー、ノズルジェット分散機、回転子および固定子等を用いて、または超音波の作用下で混合させて行う。
【0040】
原則、分散操作中または分散操作後、NCO基をイソシアネート反応性化合物、例えば第1級アミンまたは第2級アミンまたは(ポリ)アルコールなどで変性させることも可能である。その例は、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ヒドラジン、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、N−メチルエタノールアミンおよびN−メチルイソプロパノールアミン、1−アミノプロパノールまたはジエタノールアミンである。
【0041】
親水性化ポリイソシアネートi)のNCO基と水との分子比は、好適には1:100〜1:5、特に好適には1:30〜1:10である。この割合の監視は、安定性分散体を得るために、および反応エンタルピーを消散させるために有利である。
【0042】
原則として、親水性化ポリイソシアネートi)を水中への分散によって一部に組み込むことも可能である。例えば30分〜20時間にわたる親水性化ポリイソシアネートの連続添加も可能である。部分的な添加も好ましく、部分の数は2〜50、好ましくは3〜20、特に好ましくは4〜10であり、部分はサイズが等しくても異なっていてもよい。
【0043】
個々の部分間の待ち時間は通常、5分〜12時間、好ましくは10分〜8時間、より好ましくは30分〜5時間である。
【0044】
1時間〜24時間、好ましくは2時間〜15時間にわたる親水性化ポリイソシアネートi)の連続添加も可能である。
【0045】
ウレア粒子の調製の間、反応器中の温度は10〜80℃、好ましくは20〜70℃、特に好ましくは25〜50℃である。
【0046】
親水性化ポリイソシアネートi)と水との反応に次いで、反応器は、0℃〜80℃、好ましくは20℃〜60℃、特に好ましくは25℃〜50℃の内部温度で好適に真空化する。真空は、1〜900mbar、好ましくは10〜800mbar、特に好ましくは100〜400mbarの内部圧力に低下させて実施する。実際の反応に続く脱気手順の時間は、1分〜24時間、好適には10分〜8時間である。脱気は、真空にせずに温度を上昇させて行うことも可能である。
【0047】
好ましくは、ナノウレア分散体A’)は、例えば撹拌により、真空と同時に完全に混合する。
【0048】
水性分散体A’)の製造は、好ましくは触媒の存在下で行う。
【0049】
ナノウレア分散体A’)を調製するために用いる触媒は、例えば第3級アミン、錫化合物、亜鉛化合物またはビスマス化合物または塩基性塩が挙げられる。
【0050】
適する触媒は、例えば塩化鉄(II)、塩化亜鉛、錫塩、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、10〜20個の炭素原子および適切な場合には側部OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、オクタン酸鉛または第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチル−またはN−エチルモルホリン、N,N’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン−1,6、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N−ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−ヒドロキシプロピルイミダゾール、1−アザビシクロ(2.2.0)オクタン、1,4−ジアザビシクロ(2.2.2)オクタン(Dabco)またはアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−およびN−エチル−ジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノールまたはN−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えばN,N’,N−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジンである。
【0051】
第3級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミンまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどは好適である。好適な錫化合物は、錫ジオクトエート、錫ジエチルヘキソエート、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチルジラウリル錫メルカプチドである。2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、テトラメチルアンモニウム水酸化物、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシドまたはカリウムイソプロポキシドである。
【0052】
特に好適な触媒は、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミンまたは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0053】
触媒は、得られる分散体の全固形分量を基準に、0〜8重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の量で用いる。
【0054】
触媒は、親水性化ポリイソシアネートi)と、または分散水と混合してもよく、またはポリイソシアネートi)を水中に分散した後、添加してよい。ポリイソシアネートi)の添加前に分散水に触媒を混合することも好適である。触媒を分割して、反応過程の間に異なった箇所に添加することもできる。
【0055】
溶媒、例えばN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、メトキシプロピルアセテート、ジメチルスルホキシド、メトキシプロプルアセテート、アセトンおよび/またはメチルエチルケトンなどを、分散前に親水性化ポリイソシアネートi)に添加することも可能である。反応および分散の完了後、揮発性溶媒、例えばアセトンおよび/またはメチルエチルケトンなどを蒸留によって除去することが可能である。溶媒なしでまたはアセトンまたはメチルエチルケトンを用いて調製することが好ましく、特に有機溶媒なしで調製することが好ましい。
【0056】
原則として、大気圧、大気圧より低い圧力または大気圧より高い圧力で水を除去することが可能である。ある特に好ましい変法においては、水は蒸留により除去され、減圧下および/または高温下で操作することが可能である。
【0057】
水の分離のための他の技術、例えば薄膜法または水除去性乾燥剤、例えばシリカゲルまたはゼオライト等の使用も可能である。異なった脱水技術の同時または連続した組み合わせも可能である。添加剤を用いる水の分離、例えば水の簡易化蒸留除去のための添加溶剤の混合も可能である。
【0058】
特に好ましくは、凍結乾燥法または噴霧乾燥により乾燥させることであり、極めて特に好ましくは噴霧乾燥である。
【0059】
噴霧乾燥は、従来法により行うことができる。例えば、処理は、回転噴霧器、圧力噴霧器を用いて、または空気霧化により行ってよい。しかしながら、好ましくは、圧力噴霧器を用いて操作することである。
【0060】
噴霧乾燥のために、特に加熱ガス、とりわけ加熱活性ガス、好ましくは加熱空気または加熱窒素を乾燥のために用いる。該ガスは、好ましくは、ノズルによる個別放出速度にて、噴霧粒子での温度が、一方では、水または溶媒の良好な気化が確保され、他方では、噴霧粒子についての温度が高くとも凝集/架橋等が起こらないような高さであるように加熱される。噴霧粒子での温度は、特に好ましくは高くても80℃、極めて特に好ましくは30〜70℃であるべきである。50〜170℃の温度に加熱されたガスを、特に好ましく用いる。しかしながら、水を気化するのに必要な熱の量は当然ながら、部分的または完全に、他の方法、例えば放射加熱により導入することもできる。
【0061】
噴霧乾燥のために用いる噴霧すべき分散体は、好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%の固形分を有する。
【0062】
粒子の噴霧は、回転式噴霧器により、圧力式噴霧器によりまたは空気霧化により、好ましくは回転式噴霧器により行うことができる。回転式噴霧器の使用は、狭い粒度分布を有する極めて微細に分割されたパウダーが得られる利点を有する。さらに、特に、回転式噴霧器を用いる噴霧乾燥の場合には、得られる比較的大きいパウダー粒子はより小さい粒子の1次凝集体である。
【0063】
必要に応じて、噴霧乾燥の後にふるい操作(特にウィンドシフター)を行うことができる。
【0064】
回転式噴霧器の使用の場合には、液体圧力は、通常2〜3バールである。空気霧化または圧力式噴霧器の使用の場合には、液体圧力は好ましくは20〜50バールである。
【0065】
回転式噴霧器の場合には、設備の直径は、好ましくは2.5および3.5mの間であり、長さは好ましくは4.5〜5.5mである。乾燥のために用いるガスの温度は、上記の制限内であり、好ましくは100〜200℃である。乾燥ガス、好ましくは乾燥空気の量は、1時間あたり好ましくは1000〜5500立方メートル(STP)である。
【0066】
圧力噴霧器および空気霧化の場合には、処理は同様に不活性ガスまたは空気を用いる従来の設備を用いて行う。空気霧化の場合には、用いる噴霧空気またはガスの量は、噴霧すべき物質1トンあたり通常約1トンであり、処理は好ましくは微細ノズルを用いて行う。
【0067】
噴霧乾燥中のノズルにより通気乾燥速度を好ましくは、例えばNiro Atomizerからの設備により、1分あたり50ml〜800mlを噴霧するように調節する。
【0068】
噴霧乾燥により製造されたパウダーは通常、5および50μmの間の平均粒度を有する。パウダーを回転噴霧器を用いて噴霧乾燥する場合には、その場合、平均粒度は、通常15μm未満である。空気噴霧を用いる場合、平均粒度は通常50μm未満であり、圧力噴霧器を用いる場合、平均粒度は通常20〜80μmである。平均粒度は、例えば用いる分散体の濃度、ノズル径、ノズル形状、ノズルによる側方浸透流速度または温度および乾燥ガスの流速により影響を受けることがあり、当業者が、上記のパラメーターを変化させることにより日常実験により粒度を確立することが可能である。
【0069】
パウダーの狭い粒度分布が望ましい場合には、噴霧乾燥の後に、ふるいを、特にウィンドシフターを用いて行うこともできる。これにより、例えば5〜25μm、好ましくは8〜20μmに平均粒度を調節することも可能である。場合により望ましくない粗いまたは微細な画分の除去も可能である。乾燥後、得られるパウダーをさらに粉砕することができる。
【0070】
用いることができる噴霧乾燥機の例は、Niro(デンマーク)、Anhydro(デンマーク)、Nubilosa、Caldyn、Buechi、APV、Trema等からの機器である。
【0071】
本発明による粒子の製造の間、共溶媒、消泡剤、表面活性成分および他の助剤および添加剤を用いることも可能である。他の分散ナノ粒子、例えば二酸化ケイ素のコロイド分散水溶液等の混合も可能である。揮発性共溶媒を用いる場合には、これらはまた、例えば水の除去と共に、本発明によるナノウレア分散体A)から除去することができる。共溶媒を用いずに処理することが好ましい。
【0072】
離型剤、例えばタルク等の添加も可能である。添加は、ナノウレア分散体の乾燥前、乾燥中または乾燥後に行うことができる。
【0073】
染料、芳香物質、顔料および活性成分を添加することも可能である。
【0074】
出発分散体に添加することができるさらなる添加剤は、例えば触媒、皮膜形成性ポリマー、安定剤、光保護剤、抗酸化剤、殺生物剤、顔料および/または充填剤である。添加は、ナノウレア分散体の製造前、製造中または製造後に行うことができる。
【0075】
本発明による粒子は、例えば添加剤、バインダーまたは助剤または添加剤等として、例えば被覆組成物、表面被覆物、塗料、接着剤、積層材料、シーラント、印刷インキ、インキ、着色剤、染料、エッチング剤、腐食抑制剤および防錆剤、含浸剤、潤滑油、スリップ剤、離型剤またはクーラント、柔軟剤、フロー剤、反応性シンナー、添加剤のために、化粧品においてまたは化粧品原料として、調合薬処方物の製造のため、油中において、日焼け保護組成物中において、増粘剤中においてまたは増粘剤として、クリーナー中においておよびクリーナーとして、前処理剤中においておよび前処理剤として、全種類の食料において用いることができる。
【0076】
本発明による粒子は、例えば撹拌器を用いる組み込み、または他の種類の導入、例えば循環ポンプ、静的ミキサー、棘付ミキサー、ノズルジェット分散機、回転子および固定子等を用いる組み込み、押出機における、3本ロール装置におけるまたは超音波の作用下での組み込みにより組み込むことができる。
【0077】
本発明による粒子の使用に好ましい実施例は、化粧品、被覆組成物、シーラントまたは接着剤への組み込みである。
【0078】
本発明によるナノウレアパウダーの特に好ましい用途を以下に記載する。該用途は、化粧品におけるその使用に関する。
【0079】
化粧品生成物を選択する場合には、消費者は、化粧品組成物を適用する場合および該生成物を化粧品組成物中に浸した後、化粧品組成物の皮膚感触に特に注意を払う。とりわけ、皮膚化粧品生成物の場合には、親水性保湿剤、例えば保護バリア物質(例えば鉱油または極性油等)としてのグリセリンおよび脂質等の水分損失に対抗するための使用により、ベタベタした、ときおり粘着性の皮膜の形成が生じる。
【0080】
従って、本発明は、皮膚または毛髪に塗る間に滑らかな特性を有する化粧品組成物を提供する。本発明では、「滑らかな特性」とは本質的に、皮膚または毛髪への適用により、化粧品組成物がベタベタせずさらさたした皮膚感触、好ましくは非粘着性の皮膚感触を有することを意味すると理解される。
【0081】
装飾化粧品組成物は、処方物の種類に応じて、組成物の全重量を基準として80重量%までの染料、特に顔料から構成される。染料および/または顔料の高い画分は、適用による粗い皮膚感触を残す欠点を有する。さらに、該組成物を、皮膚への塗布により分布させることが困難であるため、先行技術からの多くの装飾化粧品組成物は、色の可視的な跡を伴う色的に不均一なメイクアップ生成物を生じさせる。
【0082】
従って、通常、装飾化粧品組成物についての改良が必要である。皮膚への塗布により、容易に分布させることができる着色的に均質なメイクアップを可視的な着色跡を伴わずに形成する装飾化粧品組成物の開発が望まれている。装飾化粧品生成物の他の重要な特性、例えば長期持続性等は、同時に、該方法において軽視されることとなる。
【0083】
本発明によれば、上記の目的は、上記の本発明によるポリウレアパウダー、および/または架橋ナノウレアを含む非皮膜形成性ポリウレアの使用により達成される。用いることができる非皮膜形成性ポリウレア分散体は、本発明による上記のポリウレアパウダーが乾燥により製造される任意のポリウレア分散体である。
【0084】
化粧品組成物
本発明によるナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体を含む本発明による化粧品組成物は、水性溶液または水性アルコール性溶液、水中油型、水中シリコーン型、油中水型またはシリコーン中水型のエマルションおよび混合形態、多重エマルション、例えば油中水中油型、水中油中水型のエマルション、ポリマー安定化エマルション(いわゆる水分散体)、固体安定化エマルション(いわゆるピカリングエマルション)、PIT処方物およびパウダーの形態、毛髪および/または皮膚への使用のために、クリーム、ローション、フォーム、スプレー(ポンプスプレーまたはエアロゾル)、ゲル、ゲルスプレー、油、油ゲル、ムース、ルースパウダー、コンパクトパウダーまたはスティックの処方物の形態である。
【0085】
本発明の化粧品組成物は、本発明のナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、ならびに必要に応じて、乳化剤、界面活性剤、防腐剤、香油、化粧品活性成分、例えばフィタントリオール、ビタミンA、EおよびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、有機および無機光保護剤、漂白剤、着色剤、毛髪染料、タンニング剤、安定剤、pH調節剤、染料、塩、増粘剤、ゲル形成剤、濃度調節剤、シリコーン、保湿剤、状態調節剤、皮膜形成剤、リファッティング剤およびさらなる従来法による添加剤からなる群から選択される、化粧品における従来法による活性成分および補助剤を含んでなる。
【0086】
本発明の化粧品組成物は、とりわけ、
(1)スキンケア組成物、または
(2)毛髪化粧品組成物
として処方することができるが、本発明は、これらの特定の種類の化粧品組成物に限定されない。
【0087】
スキンケア組成物
本発明では、化粧品組成物は、皮膚用化粧品組成物であってよい。皮膚用化粧品組成物は、皮膚の洗浄、手入れおよび保護のための化粧品組成物として定義される。本発明では、皮膚用化粧品組成物は、スキンケア生成物、日焼け止め組成物、日焼け後調製物、自己タンニング組成物、装飾化粧品、洗剤、皮膚に使用するためのシャワーおよび入浴調製物、フェイス化粧水、フェイスマスク、防虫調製物、フットケア組成物、髭剃り組成物、体毛除去組成物、インティメントケア組成物、ベビーケア組成物、脱臭剤および制汗剤である。
【0088】
本発明では、好ましい皮膚用化粧品組成物は、スキンケア生成物、日焼け止め組成物、自己タンニング組成物および装飾化粧品である。
【0089】
スキンケア生成物は、皮膚、顔および/または身体へ適用して、皮膚における変化、例えば皮膚の老化、乾燥等に対して保護するための化粧品組成物である。その処方に応じて、本発明による組成物を、例えばフェイスクリーム、デイまたはナイトクリーム、アイクリーム、抗しわクリーム、美白用生成物、ボディローション、含浸媒体、日焼け後調製物等として用いることができる。場合によっては、本発明による組成物を医薬品生成物として用いることが可能である。
【0090】
本発明では、防虫剤調製物は、昆虫、特にハエおよびダニ類からの保護および撃退のために外部に用いる調製物である。このような調製物では、皮膚上での芳香の外套の形成により、昆虫を皮膚から遠ざける活性成分を用いる。
【0091】
日焼け止め組成物は、短波および長波の太陽放射に対して皮膚を保護する組成物である。日焼け止め組成物は、少なくとも1つの光保護性フィルター物質(UVA、UVBおよび/または広帯域フィルター)を含んでなる。
【0092】
本発明の組成物は、本発明によるナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、保湿剤および必要に応じてさらなる化粧品および/または皮膚用の活性成分、補助剤およびサプリメントを含むスキンケア生成物として処方することができる。
【0093】
本発明の組成物は、本発明による少なくとも1つのナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、虫除け活性成分および必要に応じてさらなる化粧品用および/または皮膚用活性成分、補助剤およびサプリメントを含む虫除け調製物として処方することができる。
【0094】
用いる虫除け活性成分は、有利には、エチル−3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオネート(商品名Repellent 3535として市販)、N,N−ジエチル−m−トルアミド(いわゆるDEET)および2−ブチル2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(商品名Bayrepel(登録商標)として市販)である。
【0095】
本発明による組成物は、本発明による少なくとも1つのナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、少なくとも1以上の光保護フィルター物質および必要に応じてさらなる化粧品用および/または皮膚用活性成分、補助剤およびサプリメントを含む日焼け止め組成物として処方することができる。
【0096】
光保護フィルター物質は、UVA、UVB、広帯域フィルターおよびこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0097】
本発明の組成物は、本発明による少なくとも1つのナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、少なくとも1以上の自己タンニング物質および必要に応じてさらなる化粧品用および/または皮膚用活性成分、補助剤およびサプリメントを含む自己タンニング調製物として処方することができる。
【0098】
日光タンニング組成物は、グリセロールアルデヒド、ヒドロキシメチルグリオキサル、γ−ジアルデヒド、エリトルローズ(erythrulose)、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)、6−アルド−D−フルクトースおよびニンヒドリンからなる群から好ましく選択される少なくとも1以上の自己タンニング物質を含んでなる。
【0099】
装飾化粧品処方物は、ヒトの皮膚、粘膜、半粘膜、毛髪および爪を色的に新しくするための化粧品組成物である。本発明による装飾処方物は、色を変化させてまたは身体をメイクアップして、例えば目の回りの環、不均一な顔色またはさらなる欠陥、例えば赤み、跡、しわまたは染み等に対抗するための、メイクアップ(ファンデーション)、着色(デイ)クリーム、ブラッシャー、口紅、マスカラ、アイライナー、コールペンシル、アイシャドウ、リップスティック、リップグロスであってよい。装飾生成物のリストは、当然、本発明の範囲内で制限するものではない。
【0100】
本発明の組成物は、本発明の少なくとも1つのナノウレアパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、少なくとも1つの染料および必要に応じてさらなる化粧品および/または皮膚用活性成分、補助剤およびサプリメントを含む装飾化粧品組成物として処方することができる。染料は、可溶性染料、無機顔料、例えば酸化鉄および酸化クロム、ウルトラマリン、マンガンバイオレット等、有機顔料および真珠層の群から選択される。
【0101】
本発明の皮膚用化粧品組成物は、固体(スティック)、液体(ローション、ケアオイル)または半固体(クリーム、軟膏またはゲル状生成物)であり得る。本発明の組成物は、例えば水中油型エマルション、水中シリコーン型エマルション、油中水型エマルション、シリコーン中水型エマルション、油中水中油型エマルションまたは水中油中水型エマルションの形態で存在してよい。本発明の組成物は、高圧ガスを用いて発泡させることもできる(いわゆる、ムース)。上記のエマルションは、O/W、W/OまたはW/Si乳化剤、増粘剤(例えば水分散体の場合)または固体(例えばピカリングエマルション等)により安定化することができる。本発明の処方物は、ルースパウダーまたはコンパクトパウダーの形態であってよい。
【0102】
毛髪化粧品組成物
本発明の範囲内での好ましい使用は、本発明によるパウダーの使用および/またはパーマネントウェーブのための中和剤、カールリラクサー、スタイリングラップローション、毛髪セット組成物、毛髪成形組成物、毛髪着色剤、毛髪処理およびシャンプーからなる群から選択される毛髪化粧品組成物中での非皮膜形成性ポリウレア分散体の使用である。
【0103】
本発明による毛髪化粧品組成物は、本発明による少なくとも1つのパウダーおよび/または非皮膜形成性ポリウレア分散体、コンディショナー、皮膜形成剤、および界面活性剤、および必要に応じてさらなる化粧品および/または皮膚用活性成分、補助剤およびサプリメントからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含んでなる。
【0104】
本発明の化粧品組成物のための成分
油、脂肪、ワックス
好ましくは、本発明の皮膚および毛髪化粧品組成物は、不揮発性油および/または揮発性油、脂肪および/またはワックスを含んでなる。
【0105】
不揮発油および脂肪は、鉱油、動物油、植物油または合成起源油、極性油または無極性油、およびそれらの混合物からなる群から有利に選択される。本発明の組成物の不揮発油および脂肪は、有利には以下の物質の群から選択することができる:
鉱油、極性油、例えばカプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリド、また、天然油、例えばヒマシ油等;
脂肪、天然脂肪体および合成脂肪体、好ましくは脂肪酸と炭素数の少ないアルコール(例えばイソプロパノール、プロピレングリコールまたはグリセロール)とのエステルまたは脂肪アルコールと炭素数の少ないアルカン酸または脂肪酸とのエステル;
アルキルベンゾエート;シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンおよびそれらの混合形態。
【0106】
極性油は、有利には、以下からなる群から選択される:
a)3〜30個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸と3〜30個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルコールとのエステル、
b)芳香族カルボン酸と3〜30個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルコールとのエステル、
(そして、そのようなエステル油は、有利には、以下の群から選択される:イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、イソプロピルオレエート、n−ブチルステアレート、n−ヘキシルラウレート、n−デシルオレエート、イソオクチルステアレート、イソノニルステアレート、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−エチルヘキシルラウレート、2−エチルヘキシルイソステアレート、2−ヘキシルデシルステアレート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−エチルヘキシルココエート、オレイルオレエート、オレイルエルケート、エルシルオレエート、エルシルエルケート、ジカプリリルカーボネート(Cetiol CC)およびココグリセリド(Myritol 331)、およびそのようなエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えばホホバ油。)
c)アルキルベンゾエート、C12〜15−アルキルベンゾエート(Finetex社製Finsolv(登録商標) TN)または2−フェニルエチルベンゾエート(ISP社製X−Tend 226)、
d)レシチンおよび脂肪酸トリグリセリド、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステル(例えば、脂肪酸トリグリセリドは、ココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ココナツ油、ひまし油、小麦胚種油、グレープシード油、アザミ油、月見草油、マカダミアナッツ油、杏仁油、アボカド油などからなる群から選択され得る。)、
e)ジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネート(例えばジカプリリルエーテル(Cognis社製Cetiol(登録商標) OE)および/またはジカプリリルカーボネート(例えばCognis社製Cetiol(登録商標) CC)が好ましい。)、
f)飽和または不飽和、分枝状または非分枝状アルコール、例えばオクチルドデカノール。
【0107】
不揮発性油は、有利には、分枝状および非分枝状炭化水素、特に、鉱油、ワセリン、パラフィン油、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、例えば、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、C13〜16イソパラフィンおよびイソヘキサデカンからなる群から選択される非極性油であってもよい。
【0108】
非極性不揮発性油は、不揮発性シリコーン油から選択され得る。
【0109】
不揮発性シリコーン油のうち、任意にフェニル化されていてよいポリジメチルシロキサン(PDMS)、例えばフェニルトリメチコン、または任意に脂肪族基および/または芳香族基或いは官能基(例えば、ヒドロキシ基、チオール基および/またはアミノ基)で置換されていてよいポリジメチルシロキサン;脂肪酸、脂肪アルコールまたはポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0110】
特に有利な油は、2−エチルヘキシルイソステアレート、オクチルドデカノール、イソトリデシルイソノナノエート、イソエイコサン、2−エチルヘキシルココエート、C12〜15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ジカプリリルエーテル、鉱油、ジカプリリルカーボネート、ココグリセリド、ブチレングリコールジカプリレート/ジカプレート、水素化ポリイソブテン、セタリルイソノナノエート、イソデシルネオペンタノエート、スクアラン、C13〜16イソパラフィンである。
【0111】
本発明による組成物は、ワックスを含むこともできる。
【0112】
本明細書では、ワックスを、室温(25℃)で固体であり、30〜200℃の融点で可逆性の固体/液体状態変化を示す親油性脂肪物質と定義する。融点を超えると、ワックスは低粘度であり、油と混合できるようになる。
【0113】
ワックスは、有利には、天然ワックス、例えば、綿蝋、カルナウバ蝋、カンデリラ蝋、アフリカハネガヤ蝋、木蝋、モンタン蝋、サトウキビ蝋、密蝋、羊毛蝋、セラック、マイクロワックス、セレシン、オゾケライト、オウリカリ蝋、コルク繊維蝋、亜炭ワックス、ベリー蝋、シアバター、または合成ワックス、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、Fischer−Tropsch合成によって製造されたワックス、硬化油、25℃で固体である脂肪酸エステルおよびグリセリド、シリコーンワックスおよび誘導体(アルキル誘導体、アルコキシ誘導体、および/またはポリメチルシロキサンエステル)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。ワックスは、既知の方法(例えば、「Microemulsions Theory and Practice」、L.M. Prince Ed.、Academic Press (1977年)、第21〜32頁に記載の方法)によって調製できるコロイド状ワックス粒子の安定な分散体として存在できる。
【0114】
本発明による組成物は、揮発性の炭化水素油、シリコーン化油またはフッ素化油からなる群から選択される揮発性油を含んでなることもできる。
【0115】
本発明では、揮発性油は、室温および大気圧で皮膚と接触した際、1時間未満に蒸発する油である。揮発性油は、室温で液体であり、室温および大気圧で好ましくは0.13〜40,000Pa(10−3〜300mgHg)、特に1.3〜13,000Pa(0.01〜100mmHg)、特に好ましくは1.3〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の蒸気圧および150〜260℃、好ましくは170〜250℃の沸点を有する。
【0116】
炭化水素油は、炭素原子および水素原子および任意に酸素原子または窒素原子から本質的に形成され、ケイ素原子またはフッ素原子を含有しない、油を意味すると理解される。炭化水素油は、炭素原子および水素原子からなることもできる。しかしながら、炭化水素油は、少なくとも1つのエステル基、エーテル基、アミノ基またはアミド基を含有してもよい。
【0117】
シリコーン化油は、少なくとも1個のケイ素原子、特にSi−O基を含有する油を意味すると理解される。
【0118】
フッ素化油は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味すると理解される。
【0119】
本発明の揮発性炭化水素油は、通常40〜102℃、好ましくは40〜55℃、より好ましくは40〜50℃の引火点を有する炭化水素油から選択され得る。
【0120】
例えば、揮発性炭化水素油は、8〜16個の炭素原子を有するものおよびそれらの混合物、特に、分枝状C8〜16アルカン、例えばC8〜16イソアルカン(イソパラフィンとも称される)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えばIsopars(登録商標)またはPermetyls(登録商標)の商標名で供給されている油;分枝状C8〜16エステル、例えばイソヘキシルネオペンタノエートおよびそれらの混合物である。
【0121】
イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンのような揮発性炭化水素油が、特に有利である。
【0122】
本発明の揮発性シリコーン化油は、通常40〜102℃、好ましくは55℃超および最大95℃、特に好ましくは65〜95℃の範囲の引火点を有するシリコーン化油から選択され得る。
【0123】
例えば、揮発性シリコーン化油のために、2〜7個のケイ素原子を含有する直鎖または環状シリコーン油を挙げることができるが、これらのシリコーンは任意に、1〜10個の炭素原子を含有するアルキル基またはアルコキシ基を含有してよい。
【0124】
オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびそれらの混合物のような揮発性シリコーン化油が、特に有利である。
【0125】
揮発性フッ素化油は一般に引火点を有さない。
【0126】
例えば、揮発性フッ素化油は、ノナフルオロエトキシブタン、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、ドデカフルオロペンタンおよびそれらの混合物である。
【0127】
存在するならば、本発明の組成物の脂肪相は、不揮発性油および/または揮発性油、脂肪ならびにワックスを含むことができる。O/W型組成物は、いずれの場合にも組成物の総重量を基準として、好ましくは0.01〜45重量%の油、特に好ましくは0.01〜20重量%の油を含んでなる。W/O型組成物またはW/Si型組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として少なくとも20重量%の油を含んでなる。
【0128】
増粘剤
本発明の組成物は、水相が存在する場合、有利には、増粘剤(水相の)を含み得る。有利な増粘剤は以下である:
・架橋または未架橋のアクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー。それらは、メタクリル酸またはアクリル酸の架橋ホモポリマー、アクリル酸および/またはメタクリル酸と他のアクリロイルモノマーまたはビニルモノマーに由来するモノマー(例えば、C10〜30アルキルアクリレート、C10〜30アルキルメタクリレート、酢酸ビニルおよびビニルピロリドン)とのコポリマーを包含する。
・例えばセルロース、グアーガム、キサンタン、スクレログルカン、ジェランガム、ラムサンゴムおよびカラヤゴム、アルギネート、マルトデキストリン、デンプンおよびその誘導体、イナゴマメ粉、ヒアルロン酸、カラギーナンに基づく、天然起源の増粘性ポリマー、
・例えばポリエチレングリコールおよびその誘導体またはポリウレタンに基づく、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の会合性ポリマー、
・アクリルアミドまたはメタクリルアミドに基づく架橋または未架橋のホモポリマーまたはコポリマー、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のホモポリマー、アクリルアミドまたはメタクリルアミドおよびメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、またはアクリルアミドおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマー。
【0129】
特に有利な増粘剤は、天然起源の増粘性ポリマー、架橋アクリル酸またはメタクリル酸のホモポリマーまたはコポリマー、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーである。
【0130】
特に有利な増粘剤は、キサンタンガム、例えば、CP KelcoによってKeltrol(登録商標)およびKelza(登録商標)の名称で供給されている生成物、またはRHODIAからRhodopolの名称で供給されている生成物、およびグアーガム、例えばRHODIAからJaguar(登録商標) HP105の名称で入手可能な生成物である。
【0131】
特に有利な増粘剤は、LubrizolからCarbopol(登録商標) 940、Carbopol(登録商標) 941、Carbopol(登録商標) 980、Carbopol(登録商標) 981、Carbopol(登録商標) ETD 2001、Carbopol(登録商標) EDT 2050、Carbopol(登録商標) 2984、Carbopol(登録商標) 5984およびCarbopol(登録商標) Ultrez 10の名称で、3VからSynthalen(登録商標) K、Synthalen(登録商標) LおよびSynthalen(登録商標) MSの名称で市販されている、メタクリル酸またはアクリル酸の架橋ホモポリマーである。
【0132】
特に有利な増粘剤は、アクリル酸またはメタクリル酸およびC10〜30−アルキルアクリレートまたはC10〜30−アルキルメタクリレートの架橋コポリマー、並びにアクリル酸またはメタクリル酸およびビニルピロリドンのコポリマーである。そのようなコポリマーは、例えばLubrizolからCarbopol(登録商標) 1342、Carbopol(登録商標) 1382、Pemulen(登録商標) TR1またはPemulen(登録商標) TR2の名称で、ISP社からUltrathix P−100(INCI:アクリル酸/VP架橋ポリマー)の名称で市販されている。
【0133】
特に有利な増粘剤は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の架橋コポリマーである。そのようなコポリマーは、例えば、ClariantからAristoflex(登録商標) AVC(INCI:アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー)の名称で入手可能である。
【0134】
これらの増粘剤は通常、いずれの場合にも本発明の組成物の総重量を基準として、約0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の濃度で存在する。
【0135】
油増粘剤は、有利には、水滴の沈降または凝集に対して本発明のW/O型エマルションを安定化させるために使用され得る。油増粘剤はまた、油含有組成物中での稠度調節剤としても用い得る。
【0136】
特に有利な油増粘剤は、有機変性クレー、例えば有機変性ベントナイト(Rheox製Bentone(登録商標) 34)、有機変性ヘクトライト(Rheox製のBentone(登録商標) 27およびBentone(登録商標) 38)または有機変性モンモリロナイト、疎水性焼成シリカ(そのシラノール基は、トリメチルシロキシ基で(Degussa製AEROSIL(登録商標) R812)またはジメチルシロキシ基またはポリジメチルシロキサン(Degussa製AEROSIL(登録商標) R972、AEROSIL(登録商標) R974、Cabot製CAB−O−SIL(登録商標) TS−610、CAB−O−SIL(登録商標) TS−720)で置換されている。)、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸アルミニウム、またはスチレンコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプロペン−スチレン、スチレン−エチレン/ブテン−スチレンまたはスチレン−エチレン/プロペン−スチレンである。
【0137】
脂肪相のための増粘剤は、いずれの場合にも組成物の総重量を基準として、通常0.1〜5重量%、好ましくは0.4〜3重量%の量で存在できる。
【0138】
乳化剤
本発明による組成物は、エマルション、例えば水中油型エマルション、水中シリコーン型エマルション、油中水型エマルション、シリコーン中水型エマルション、油中水中油型エマルション、水中油中水型エマルション等の形態で乳化剤を含み得る。
【0139】
当業者に知られている通り、乳化剤の選択は、本発明による組成物の用途形態に依存する。従って、本発明による水中油型エマルション(O/W)は、好ましくは7を越えるHLB値を有する少なくとも1つの乳化剤および必要に応じて共乳化剤を含む。油中水(W/O)型エマルションまたはシリコーン中水(W/Si)型エマルションは、好ましくは、8以下のHLB値を有する1種以上のシリコーン乳化剤(W/S型)または7未満のHLB値を有する1種以上のW/O型乳化剤および10超のHLB値を有する任意の1種以上のO/W型乳化剤を含んでなる。
【0140】
O/W型乳化剤は、有利には、非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤または両性乳化剤の群から選択され得る。
【0141】
非イオン性乳化剤は、以下を包含する:
a)多価アルコールの脂肪酸エステルおよび部分脂肪酸エステル並びにそれらのエトキシル化誘導体、
b)エトキシル化脂肪アルコールおよびエトキシル化脂肪酸、
c)エトキシル化脂肪アミン、エトキシル化脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、
d)アルキルフェノールポリグリコールエーテル(例えば、Triton(登録商標) X)、および
e)エトキシル化脂肪アルコールエーテル。
【0142】
特に有利な非イオン性O/W型乳化剤は、エトキシル化脂肪アルコールまたはエトキシル化脂肪酸、好ましくは、PEG−100 ステアレート、PEG−40 ステアレート、PEG−50 ステアレート、セテアレス−20、セテス−20、ステアレス−20、セテアレス−12、セテス−12、ステアレス−12、単糖類、オリゴ糖類または多糖類と脂肪酸とのエステル、好ましくは、セテアリルグルコシド、メチルグルコースジステアレート、グリセリルモノステアレート(自己乳化型)、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンステアレート(Uniqema社製のTween(登録商標) 20およびTween(登録商標) 60)、ソルビタンパルミテート(Uniqema社製のSpan(登録商標) 40)、グリセリルステアリルシトレート、スクロースエステル、例えば、スクロースステアレート、PEG−20 メチルグルコースセスキステアレート)、脂肪アルコールのジカルボン酸エステル(ジミリスチルタータレート)である。
【0143】
有利なアニオン性乳化剤は、石鹸(例えば、ステアリン酸またはパルミチン酸のナトリウム塩またはトリエタノールアミン塩等)、クエン酸エステル(例えばグリセリルステアレートシトレート等)、脂肪アルコールスルフェート、モノアルキルリン酸エステル、ジアルキルリン酸エステルおよびトリアルキルリン酸エステル、並びにそれらのエトキシレートである。
【0144】
カチオン性乳化剤は、長鎖脂肪族基含有第4級アンモニウム化合物、例えばジステアリルジモニウムクロリドを包含する。
【0145】
両性乳化剤は、以下を包含する:
a)アルキルアミノアルカンカルボン酸、
b)ベタイン、スルホベタイン、および
c)イミダゾリン誘導体。
【0146】
更に、天然の乳化剤が存在し、それらは密蝋、羊毛脂、レシチンおよびステロールを包含する。
【0147】
シリコーン乳化剤は、有利には、アルキルジメチコンコポリオール、例えばセチルPEG/PPG 10/1 ジメチコンコポリオール(Evonik製ABIL(登録商標) EM 90)、またはラウリルPEG/PPG−18/18 ジメチコン(Dow Corning Ltd.製Dow Corning(登録商標) 5200)およびジメチコンコポリオール、例えばPEG−10 ジメチコン(Shin Etsu社製KF−6017)、PEG/PPG−18/18 ジメチコン(Dow Corning Ltd.製Dow Corning 5225C)またはPEG/PPG− 19/19 ジメチコン(Dow Corning Ltd.社製Dow Corning BY−11 030)またはトリメチルシリルアモジメチコンを含んでなる群から選択され得る。
【0148】
7未満のHLB値を有するW/O型乳化剤は、有利には、以下の群から選択され得る:8〜30個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルコールのモノグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルコールのジグリセロールエーテル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、および8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長の飽和および/または不飽和、分枝状および/または非分枝状アルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0149】
特に有利なW/O型乳化剤は以下である:グリセリルモノステアレート、グリセリルモノイソステアレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノステアレート、ジグリセリルモノイソステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノイソステアレート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノイソオレエート、スクロースジステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノカプレートおよびグリセリルモノカプリレート。
【0150】
更なる可能なW/O型乳化剤は、化合物であるポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアレート、PEG−30 ジポリヒドロキシステアレート、セチルジメチコンコポリオールおよびポリグリセリル−3 ジイソステアレートからなる群から選択される。
【0151】
10超のHLB値を有するO/W型乳化剤は、有利には、レシチン、トリラウレス−4ホスフェート、ポリソルベート−20、ポリソルベート−60、PEG−22 ドデシルグリコールコポリマー、スクロースステアレートおよびスクロースラウレートを含んでなる群から選択され得る。
【0152】
使用できる本発明のO/W型エマルションに適した共乳化剤は、8〜30個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、分枝状または非分枝状アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、分枝状または非分枝状アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、および8〜24個、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和または不飽和、分枝状または非分枝状アルカンカルボン酸のソルビタンエステルである。
【0153】
特に有利な共乳化剤は、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレエート、ジグリセリルモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、スクロースジステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコールおよびポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)である。
【0154】
UVフィルター
本発明の組成物は、任意に日焼け止めフィルターをも含んでよく、日焼け止めフィルターの総量は、本発明の組成物の総重量を基準として0〜30重量%、有利には0〜20重量%であり、特に有利には0〜10重量%である。日焼け止めフィルター(またはUVフィルター)は、有機フィルター、物理的フィルターおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0155】
本発明の組成物は、UV−Aフィルター、UV−Bフィルターまたは広帯域フィルターを含むことができる。使用する有機UVフィルターは、油溶性または水溶性であってよい。もちろん、以下に挙げる特定のUVフィルターに限定されない。
【0156】
UV−Bフィルターの例は以下である:
(1)サリチル酸誘導体、特に、ホモメンチルサリチレート、オクチルサリチレートおよび4−イソプロピルベンジルサリチレート;
(2)桂皮酸誘導体、特に、2−エチルヘキシル p−メトキシシンナメート、Givaudan社からParsol MCX(登録商標)の名称で入手可能なもの、およびイソペンチル 4−メトキシシンナメート;
(3)液状β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体、特に、2−エチルヘキシル α,β’−ジフェニルアクリレート、またはオクトクリレン、BASF社からUVINUL N539(登録商標)の名称で入手可能なもの;
(4)p−アミノ安息香酸誘導体、特に、2−エチルヘキシル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、アミル 4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート;
(5)3−ベンジリデンカンファー誘導体、特にMerck社からEUSOLEX 6300(登録商標)の名称で市販されている3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸およびポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー;
(6)2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、Merck社からEUSOLEX 232(登録商標)の名称で入手可能なもの;
(7)1,3,5−トリアジン誘導体、特に、2,4,6−トリス[p−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、BASF社からUVINUL T150(登録商標)の名称で供給されているもの、およびジオクチルブタミドトリアゾン、Sigma 3V社によってUVASORB HEB(登録商標)の名称で供給されているもの;
(8)ベンザルマロン酸エステル、特に、ジ(2−エチルヘキシル) 4−メトキシベンザルマロネート、および3−(4−(2,2−ビスエトキシカルボニルビニル)−フェノキシ)プロペニル)メトキシシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー、Roche Vitamines社からParsol(登録商標) SLXの名称で入手可能なもの;および
(9)これらフィルターの混合物。
【0157】
UV−Aフィルターの例は以下である:
(1)ジベンゾイルメタン誘導体、特に、4−(t−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン、Givaudan社によってPARSOL 1789(登録商標)の名称で供給されているもの、および1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン;
(2)Chimex社からMEXORYL SX(登録商標)の名称で市販されている、任意に完全にまたは部分的に中和されていてよい、ベンゼン−1,4−[ジ(3−メチリデンカンファー−10−スルホン酸)]、
(3)ヘキシル 2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(またアミノベンゾフェノン);
(4)ベンゾフェノン基を有するポリオルガノシロキサンまたはシラン誘導体;
(5)アントラニレート、特に、メンチルアントラニレート、Symrise社によってNEO HELIOPAN MA(登録商標)の名称で供給されているもの;
(6)一分子あたり少なくとも2個のベンゾアゾリル基または少なくとも1個のベンゾジアゾリル基を含有する化合物、特に、1,4−ビス−ベンズイミダゾリルフェニレン−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸およびその塩、Symrise社から市販されているもの;
(7)ベンズイミダゾリルベンザゾールのケイ素誘導体、N−置換されたもの、またはベンゾフラニルベンザゾールのケイ素誘導体、特に:
・2−[1−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾオキサゾール;
・2−[1−[3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾチアゾール;
・2−[1−(3−トリメチルシラニルプロピル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾオキサゾール;
・6−メトキシ−1,1’−ビス(3−トリメチルシラニルプロピル)1H,1’H−[2,2’]ジベンズイミダゾリルベンゾオキサゾール;
・2−[1−(3−トリメチルシラニルプロピル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]ベンゾチアゾール;EP−A−1 028 120に記載されているもの;
(8)トリアジン誘導体、特に、2,4−ビス[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)イミノ−1,3,5−トリアジン、3V社によってUvasorb(登録商標)K2Aの名称で供給されているもの;および
(9)それらの混合物。
【0158】
広帯域フィルターの例は以下である:
(1)ベンゾフェノン誘導体、例えば、
・2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−1);
・2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−2);
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、BASF社からUNIVNUL M40(登録商標)の名称で入手可能なもの;
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸(ベンゾフェノン−4)、およびBASF社からUVINUL MS40(登録商標)の名称で市販されているそのスルホネート形態のもの(ベンゾフェノン−5);
・2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−6−);
・5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−7);
・2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−8);
・2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン−5,5’−ジスルホン酸のジナトリウム塩(ベンゾフェノン−9);
・2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン(ベンゾフェノン−10);
・2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン(ベンゾフェノン−11);および
・2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(ベンゾフェノン−12);
(2)トリアジン誘導体、特に、2,4−ビス{[4−2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、Ciba Geigy社からTINOSORB S(登録商標)の名称で供給されているもの、および2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、Ciba Geigy社からTINOSORB M(登録商標)の名称で入手可能なもの;および
(3)Drometrizole Trisiloxane:ドロメトリゾールトリシロキサンのINCI名を有する2−(1H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノール。
【0159】
2種以上のフィルターの混合物、UV−Bフィルター、UV−Aフィルターおよび広帯域フィルターの混合物、並びに物理的フィルターとの混合物を使用することも可能である。
【0160】
物理的フィルターのうち、例えば、硫酸バリウム、酸化チタン(二酸化チタン、ルチルおよび/またはアナターゼ形態での結晶質または非晶質)、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ケイ素、酸化マンガン、またはそれらの混合物を挙げることができる。金属酸化物は、マイクロメートル範囲またはナノメートル範囲に寸法を有する粒子状(ナノ顔料)で存在できる。
【0161】
ナノ顔料の平均粒度は、例えば5〜100nmである。
【0162】
染料
適切な場合には、本発明の組成物は、親油性染料、親水性染料、顔料および真珠層の群から選択される少なくとも1つの染料を含んでなる。本発明によれば、染料の濃度は、いずれの場合にも本発明の組成物の全重量を基準として、有利には0〜40重量%、特に有利には0〜30重量%、極めて特に有利には0〜25重量%である。
【0163】
例えば、親油性染料、例えばSudan I(黄色)、Sudan II(橙色)、 Sudan III(赤色)、Sudan IV(緋色)、DC Red 17、DC Green 6、β−carotene、大豆油、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5およびDC Yellow 10等を用いることができる。
【0164】
顔料は、化粧品または皮膚用の組成物に用いられる全ての無機または有機顔料であってよい。本発明により用いる顔料は、例えば白色または着色されてよく、これらは、疎水性処理組成物により被覆されてよくまたは未被覆であってよい。
【0165】
顔料は有利には、金属酸化物、例えば鉄の酸化物等(特に黄色、赤色、褐色、黒色の酸化物)、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム等;マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、ウルトラマリンおよびアイアンブルー、ビスマス酸塩化物、真珠層、チタンまたはビスマス酸塩化物により被覆されたマイカ顔料、着色真珠光沢顔料、例えば鉄酸化物によるチタン−マイカ顔料、特にアイアンブルーまたは酸化クロムによるチタン−マイカ顔料、上記の種類の有機顔料によるチタン−マイカ顔料、ならびにビスマス酸酸化物をベースとする真珠光沢顔料、カーボンブラック、タイプD&Cの顔料およびコチニールレッド、バリウム、ストロンチウム、カルシウムおよびアルミニウムおよびこれらの混合物をベースとするレーキの群から選択される。
【0166】
鉄酸化物または二酸化チタンの顔料を特に有利に用いる。
【0167】
脂肪相の油による顔料のより良好な湿潤性のために、顔料の表面を疎水性処理剤により処理することができる。疎水性の処理剤は、シリコーン、例えばメチコン、ジメチコン、パーフルオロアルキルシラン等;脂肪酸、例えばステアリン酸等;金属石鹸、例えばアルミニウムジミリステート、水素化獣脂グルタメートのアルミニウム塩、パーフルオロホスフェート、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルシラザン、ヘキサフルオロプロピレンポリオキシド、パーフルオロアルキルパーフルオロポリエーテル基を含有するポリオルガノシロキサン、アミノ酸;N−アシル化アミノ酸またはその塩;レシチン、イソプロピルトリイソステアリルチタネートおよびこれらの混合物の群から選択される。8〜22個の炭素原子を有するアシル基、例えば2−エチルヘキサノニル、カプロイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイルまたはココイルを含有することができるN−アシル化アミノ酸。これらの化合物の塩は、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジルコニウム塩、錫塩、ナトリウム塩またはカリウム塩であってよい。アミノ酸は、例えばリジン、グルタミン酸またはアラニンであり得る。
【0168】
状態調節剤
適切な場合には、本発明による組成物は、状態調節剤を含んでなる。本発明による好ましい状態調節剤は、例えば、セクション4下でキーワード毛髪状態調節剤、保湿剤、皮膚状態調節剤、皮膚状態調節剤−皮膚軟化剤、皮膚状態調節剤−保湿剤、皮膚状態調節剤−ミセラネアス、皮膚状態調節剤−密閉および皮膚保護剤として、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(第4巻、編者:R.C.Pepe、J.A.Wenninger、G.N. McEwen、The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association、第9版、2002年)に記載の全ての化合物、ならびに「水溶性状態調節剤」および「油溶性状態調節剤」としてEP−A934956(第11〜13頁)に記載の全ての化合物である。
【0169】
特に有利な状態調節物質は、例えば、ポリクオタニウム(特にポリクオタニウム−1〜ポリクオタニウム−56)としてINCIに従って参照される化合物である。
【0170】
適当な状態調節剤として、例えばポリマー第4級アンモニウム化合物、カチオン性セルロース誘導体、キトサン誘導体、グアーガム誘導体および多糖類、とりわけグアーヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド(例えばRhodiaからのJaguar(登録商標) Excel、Jaguar(登録商標)162)が挙げられる。
【0171】
本発明により有利なさらなる状態調節剤は、非イオン性ポリ−N−ビニルピロリドン/ポリ酢酸ビニルコポリマー(例えばBASF AGからのLuviskol(登録商標)VA 64)、アニオン性アクリレートコポリマー(例えばBASF AGからのLuviflex(登録商標)Soft)、および/または両性アミド/アクリレート/メタクリレートコポリマー(例えばNational StarchからのAmphomer(登録商標))である。さらなる状態調節剤は4級化シリコーンである。
【0172】
界面活性剤
本発明による組成物には、アニオン性、カチオン性、非イオン性および/または両性界面活性剤の群から選択される界面活性剤を含ませることもできる。
【0173】
有利なアニオン性界面活性剤は、本発明では、以下のものである:
・アシルアミノ酸およびその塩、例えばアシルグルタミン、とりわけナトリウムアシルグルタメートおよびナトリウムアシルサルコシネート、例えばミリストイルサルコシン、TEAラウロイルサルコシネート、ナトリウムラウロイルサルコシネートおよびナトリウムココイルサルコシネート等、
【0174】
・スルホン酸およびその塩、例えばアシルイセチオネート、例えばナトリウムココイルイセチオネートまたはアンモニウムココイルイセチオネート等、スルホスクシネート、例えばジオクチルナトリウムスルホスクシネート、二ナトリウムラウレススルホスクシネート、二ナトリウムラウリルスルホスクシネート、および二ナトリウムウンデシレンアミドMEAスルホスクシネート、二ナトリウムPEG−5ラウリルシトレートスルホスクシネートおよび誘導体等、
【0175】
・硫酸エステル、例えばアルキルエーテルスルフェート等、例えばナトリウム、アンモニウム、マグネシウム、MIPA、TIPAラウレススルフェート、ナトリウムマイレススルフェートおよびナトリウムC12〜13パレススルフェート、およびアルキルスルフェート、例えばナトリウム、アンモニウムおよびTEAラウリルスルフェート、
【0176】
・タウレート、例えばナトリウムラウロイルタウレートおよびナトリウムメチルココイルタウレート、
【0177】
・エーテルカルボン酸、例えばナトリウムラウレス−13カルボキシレートおよびナトリウムPEG−6コカミドカルボキシレート、ナトリウムPEG−7オリーブ油カルボキシレート、
【0178】
・リン酸エステルおよび塩、例えばDEAオレス−10ホスフェートおよびジラウレス−4ホスフェート、
【0179】
・アルキルスルホネート、例えばナトリウムヤシ油モノグリセリドスルフェート、ナトリウムC12〜CI4−オレフィンスルホネート、ナトリウムラウリルスルホアセテートおよびマグネシウムPEG−3コカミドスルフェート、
【0180】
・アシルグルタメート、例えばジ−TEAパリミトイルアスパルテートおよびナトリウムカプリル酸/カプリン酸グルタメート等、
【0181】
・アシルペプチド、例えばパルミトイル加水分解ミルクプロテイン、ナトリウムココイル加水分解大豆蛋白質およびナトリウム/カリウムココイル加水分解コラーゲン、
【0182】
・カルボン酸および誘導体、例えばラウリン酸、アルミニウムステアレート、マグネシウムアルカノレートおよびウンデシレン酸亜鉛、エステルカルボン酸、例えばステアロイル乳酸カルシウム、ラウレス−6シトレートおよびナトリウムPEG−4ラウラミドカルボキシレート、および
【0183】
・アルキルアリールスルホネート。
【0184】
本発明では、有利なカチオン性界面活性剤は、第4級界面活性剤である。第4級界面活性剤は、4つのアルキル基またはアリール基が共有結合している少なくとも1つのN原子を含有する。例えばアルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタインおよびアルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインは有利である。
【0185】
本発明では、さらに有利なカチオン性界面活性剤はまた、アルキルアミン、アルキルイミダゾール、アルキルイミダゾールおよびエトキシル化アミンおよび特にその塩である。
【0186】
本発明では、有利な両性界面活性剤は、アシル/ジアルキルエチレンジアミン、例えばナトリウムアシルアンホアセテート、二ナトリウムアシルアンホジプロピオネート、二ナトリウムアルキルアンホジアセテート、ナトリウムアシルアンホヒドロキシプロピルスルホネート、二ナトリウムアシルアンホジアセテート、ナトリウムアシルアンホプロピオネートおよびN−ヤシ油脂肪酸アミドエチルN−ヒドロキシエチルグリシネートナトリウム塩である。
【0187】
さらなる有利な両性界面活性剤は、N−アルキルアミノ酸、例えばアミノプロピルアルキルグルタミド、アルキルアミノプロピオン酸、ナトリウムアルキルイミドジプロピオネートおよびラウロアンホカルボキシグリシネートである。
【0188】
有利な活性非イオン性界面活性は、本発明では、アルカノールアミド、例えばコカミドMEA/DEA/MIPA、カルボン酸とエチレンオキシドとのエステル化により形成されるエステル、グリセリル、ソルビタンまたは他のアルコール、エーテル、例えばエトキシル化アルコール、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ポリシロキサン、プリポキシル化POEエーテル、アルキルポリグリコシド、例えばラウリルグルコシド、デシルグリコシドおよびココグリコシド、少なくとも20のHLB値を有するグリコシド(例えばWackerからのBelsil(登録商標)SPG 128V)等である。
【0189】
さらなる有利な非イオン性界面活性は、アルコールおよびアミンオキシド、例えばココアミドプロピルアミンオキシド等である。
【0190】
アルキルエーテルスルフェートの中でも、好ましくは、とりわけ、ジ−またはトリエトキシル化ラウリルおよびミリスチルアルコールをベースとするナトリウムアルキルエーテルスルフェートである。これらは、水の硬度に対する非感受性、肥厚される能力、低い温度での溶解性、特に皮膚および粘膜相溶性について、アルキルスルフェートよりも著しく優れている。ラウリルエーテルスルフェートは、ミリスチルエーテルスルフェートより良好なフォーム特性を有するが、穏やかさについて劣っている。
【0191】
アルキルエーテルカルボキシレートは、通常、最も穏やかな界面活性剤の種類であるが、低いフォームおよび粘性挙動を示す。これらは、アルキルエーテルスルフェートおよび両性界面活性剤と組み合わせて用いることが多い。
【0192】
スルホコハク酸エステル(スルホスクシネート)は穏やかであり、界面活性剤を容易に発泡させるが、低い肥厚される能力により、他のアニオン性界面活性剤および両性界面活性剤と共にのみ好ましく用いられ、低い加水分解安定性により、中性のまたは充分に緩衝化した生成物においてのみ好ましく用いられる。
【0193】
アミドプロピルベタインは、優れた皮膚および目の粘膜相溶性を有する。他の界面活性剤と組み合わせて、その穏やかさを相乗的に向上させることができる。好ましいのは、コカミドプロピルベタインの使用である。
【0194】
アンホアセテート/アンホジアセテートは、両性界面活性剤として、極めて良好な皮膚および粘膜適合性を有し、状態調節効果を有しおよび/またはサプリメントのケア効果を向上させることができる。ベタインのように、これらは、アルキルエーテルスルフェート処方物を最適化するために用いる。ナトリウムココアンホアセテートおよび二ナトリウムココアンホジアセテートは最も好ましい。
【0195】
皮膜形成剤
皮膜形成剤または皮膜形成剤は、水溶性または水分散性ポリウレタン、ポリウレア、シリコーン樹脂および/またはポリエステルならびに非イオン性、アニオン性、両性および/またはカチオン性ポリマーおよびその混合物の群から有利に選択される。
【0196】
本発明による組成物中に単独または混合物の状態で、好ましくはアニオン性および/または両性および/または双性イオン性ポリマーと共に存在し得る有利な非イオン性ポリマーは、次のものから選択される:
・ポリアルキルオキサゾリン、
・酢酸ビニルホモポリマーまたはコポリマー。これらには、例えば酢酸ビニルおよびアクリル酸エステルのコポリマー、酢酸ビニルおよびエチレンのコポリマー、酢酸ビニルおよびマレイン酸エステルのコポリマーが含まれる。
・アクリル酸エステルコポリマー、例えばアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートのコポリマー、アルキルアクリレートおよびウレタンのコポリマー、
・ブタジエンおよび(メタ)アクリレートから選択されるアクリロニトリルおよび非イオン性モノマーのコポリマー、
・スチレンホモポリマーおよびコポリマー。これらには、例えばホモポリスチレン、スチレンおよびアルキル(メタ)アクリレートのコポリマー、スチレンのコポリマー、アルキルメタアクリレートおよびアルキルアクリレート、スチレンおよびブタジエンのコポリマー、スチレン、ブタジエンおよびビニルピリジンのコポリマー、
・ポリアミド、
・ビニルアクタムホモポリマーまたはコポリマー、例えばビニルピロリドンホモポリマーまたはコポリマー;これらには、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルおよび/またはビニルプロピオネートの種々の濃度割合におけるコポリマー、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアミドおよびその塩、およびビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー、ビニルカプロラクタムのターポリマー、ビニルピロリドンおよびジメチルアミノエチルメタクリレートが含まれる。
・ポリシロキサン、
・N−ビニルホルムアミドのホモポリマー、例えばNational StarchからのPVF。
【0197】
特に好ましい非イオン性ポリマーは、アクリル酸エステルコポリマー、ホモポリマーおよびビニルピロリドンおよびポリビニルカプロラクタムのコポリマーである。
【0198】
極めて特に好ましい非イオン性ポリマーは、ビニルピロリドンのホモポリマー、例えばBASFからのLuviskol(登録商標)K、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのコポリマー、例えばBASFからのLuviskol(登録商標)VAまたはISPからのPVPVA(登録商標)S630L、ビニルピロリドン、酢酸ビニルおよびプロピオネートのターポリマー、例えばBASFからのLuviskol(登録商標)VAP等、およびポリビニルカプロラクタム、例えばBASFからのLuviskol(登録商標)PLUSである。
【0199】
有利なアニオン性ポリマーは、必要に応じて酸基を含有しないコモノマーと共重合する酸基を含有するモノマー単位を有するホモポリマーまたはコポリマーである。適当なモノマーは、少なくとも1つの酸基、とりわけカルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸を有する不飽和遊離ラジカル重合性化合物である。
【0200】
カルボン酸基を含む有利なアニオン性ポリマーは以下のものである:
・アクリル酸またはメタクリル酸ホモポリマーまたはコポリマーまたはその塩。これらには、例えばアクリル酸およびアクリルアミドのコポリマーおよび/またはそのナトリウム塩、アクリル酸および/またはメタクリル酸およびエチレン、スチレン、ビニルエステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、必要に応じてエトキシル化化合物から選択される不飽和モノマーのコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、アクリル酸およびC1〜C20アルキルメタアクリレート、例えばISPからのAcrylidone(登録商標)LM、メタクリル酸、エチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートのコポリマー、例えばBASFからのLuvimer(登録商標)100Pが含まれる。
・クロトン酸誘導体ホモポリマーまたはコポリマーまたはその塩。これらには、例えば酢酸ビニル/クロトン酸、酢酸ビニル/アクリレートおよび/または酢酸ビニル/ビニルネオデカノエート/クロトン酸コポリマーおよびナトリウムアクリレート/ビニルアルコールコポリマー、
・不飽和C4〜C8カルボン酸誘導体またはマレイン酸、または無水マレイン酸またはフマル酸またはフマル酸無水物またはイタコン酸またはイタコン酸無水物、およびビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハロゲン誘導体、フェニルビニル誘導体、アクリル酸、アクリル酸エステルから選択される少なくとも1つのモノマーのコポリマー、またはマレイン酸または無水マレイン酸またはフマル酸またはフマル酸無水物またはイタコン酸およびアリルエステル、メタリルエステルおよび必要に応じてアクリルアミド、メタクリルアミド、α−オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピロリドンから選択される少なくとも1つのモノマーのコポリマーから選択されるカルボン酸無水物コポリマー。他の好ましいポリマーはメチルビニルエーテル/ビニルエーテルの加水分解により形成されるマレイン酸コポリマー/無水マレイン酸コポリマーである。これらのポリマーはまた、部分エステル化(エチル、イソプロピルまたはブチルエステル)または部分アミド化し得る。
・本発明によるポリウレタンとは異なった水溶性または水分散性アニオン性ポリウレタン、例えばBASFからのLuviset(登録商標)PUR、
上記のリストは当然、制限を目的とするものではない。
【0201】
スルホン酸基を含む有利なアニオン性ポリマーは、ポリビニルスルホン酸の塩、ポリスチレンスルホン酸の塩、例えばナトリウムポリスチレンスルホネートまたはポリアクリルアミドスルホン酸の塩である。
【0202】
特に有利なアニオン性ポリマーは、アクリル酸コポリマー、クロトン酸誘導体コポリマー、マレイン酸および無水マレイン酸またはフマル酸およびフマル酸無水物またはイタコン酸およびイタコン酸無水物およびビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルハロゲン誘導体、フェニルビニル誘導体、アクリル酸、アクリル酸エステルおよびポリスチレンスルホン酸の塩から選択される少なくとも1つのモノマーである。
【0203】
極めて特に有利なアニオン性ポリマーは、アクリレートコポリマー、例えばBASFからのLuvimer、BASFからのエチルアクリレート/N−tert−ブチルアクリルアミド/アクリル酸コポリマーULTRAHOLD(登録商標) STRONG、VA/クロトネート/ビニルネオデカノエートコポリマー、例えばNational StarchからのResyn 28−2930、コポリマー、例えばメチルビニルエーテルおよび部分エステル化された無水マレイン酸のコポリマー、例えばISPからのGANTREZ(登録商標)、およびナトリウムポリスチレンスルホネート、例えばNational StarchからのFlexan 130である。
【0204】
有利な両性ポリマーは、ポリマー鎖中に不規則に分配された単位AおよびBを含有するポリマーから選択することができ、Aは、少なくとも1つの塩基性窒素原子を有するモノマーから誘導される単位であり、Bは、1以上のカルボキシ基またはスルホン酸基を有する酸性モノマーに由来する単位であるか、またはAおよびBは、双性イオン性カルボキシベタインモノマーまたはスルホベタインモノマーから誘導される基であり得、AおよびBは、少なくとも1つのアミノ基が炭化水素基により結合するカルボキシ基またはスルホン酸基を有する第1級、第2級、第3級または第4級基を含有するカチオン性ポリマー鎖であってもよく、またはBおよびCは、カルボン酸基が1以上の第1級または第2級アミノ基を含有するポリアミンと反応したエチレン−α,β−ジカルボン酸単位を有するポリマー鎖の一部である。
【0205】
特に有利な両性ポリマーは、以下のものである:
・カルボキシ基を有するビニル化合物から誘導されるモノマー、例えば、とりわけ、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α−クロロアクリル酸、および置換されおよび少なくとも1つの塩基性原子を含むビニル化合物から誘導される塩基性モノマー、例えば、とりわけジアルキルアミノアルキルメタクリレートおよびアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドおよびジアルキルアミノアルキルアクリルアミド等の共重合中に形成されるポリマー。このような化合物は、米国特許第3836537号に記載されている。
・a)窒素原子上でアルキル基により置換されているアクリルアミドまたはメタクリルアミドから選択される少なくとも1つのモノマー、b)1以上の反応性カルボキシ基を含有する少なくとも1つの酸性コモノマー、およびc)少なくとも1つの塩基性コモノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸と第1級、第2級、第3級および第4級アミノ置換基とのエステル、およびジメチルアミノエチルメタクリレートとジメチルスルフェートまたはジエチルスルフェートとの4級化生成物等から誘導される単位を有するポリマー。
【0206】
本発明の特に好ましいN−置換アクリルアミドまたはメタクリルアミドは、アルキル基が2〜12個の炭素原子を含有する化合物、とりわけN−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−デシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミドおよび相当するメタクリルアミドである。
【0207】
酸性コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸またはフマル酸無水物の1〜4個の炭素原子を有するアルキルモノエステルから選択される。
【0208】
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチルメタクリレート、ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレートである。
【0209】
以下の一般式:
−[CO−R−CO−Z]−
(式中、Rは、飽和ジカルボン酸、エチレン性二重結合を有する脂肪族モノ−またはジカルボン酸、これらの酸と1〜6個の炭素原子を有する低級アルカノールとのエステルから誘導される二価基、またはこれらの酸の1つの添加中にビス第1級アミンまたはビス第2級アミン上に形成される基であり、およびZは、ビス第1級モノ−またはビス−第2級ポリアルキレンポリアミンから誘導される基である)
で示されるポリアミノアミドから誘導される架橋および完全または部分アクリル化ポリアミノアミド、好ましくは、a)60〜100モル%の量的画分において、基−NH−[(CH2)−NH−]−〔式中、x=2およびp=2もしくは3、またはx=3およびp=2〕、該基は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンまたはジプロピレントリアミンから誘導され、b)0〜40モル%の量的画分において、基−NH−[(CH2)−NH−]−〔式中、x=2およびp=1〕、これはエチレンジアミンから誘導されるか、またはピペラジン:
【化1】

に由来する基であり、c)0〜20モル%の量的画分において、基−H−(CH−NH−、これはヘキサメチレンジアミンから誘導され、これらのポリアミノアミドは、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物およびビス−不飽和誘導体から選択される二官能性架橋剤の、ポリアミノアミドのアミノ基あたり0.025〜0.35モルの量での添加により架橋させ、アクリル酸、クロロ酢酸またはアルカンスルホンまたはこれらの塩によりアクリル化される。
【0210】
飽和カルボン酸は、好ましくは、6〜10個の炭素原子を有する酸、例えばアジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸および2,4,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸等、エチレン性二重結合を有する酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸から選択される。
【0211】
アシル化に用いるアルカンスルトンは、好ましくは、プロパンスルトンまたはブタンスルトンであり、アシル化剤の塩は、好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩である。
【0212】
以下の式:
【化2】

(式中、R11は、重合性不飽和基、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミド等であり、yおよびzは、1〜3の整数であり、R12およびR13は水素原子、メチル、エチルまたはプロピルであり、R14およびR15は、水素原子、または炭素原子R14およびR15の合計が10を越えないように選択されるアルキル基である。)
で示される双性イオン性単位を有するポリマー。
【0213】
このような単位を含有するポリマーは、非双性イオン性モノマー、例えばジメチル−およびジエチルアミノエチルアクリレートまたはジメチル−およびジエチルアミノエチルメタクリレートまたはアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、アクリルアミドまたはメタクリルアミドまたは酢酸ビニル等に由来する単位を有することもできる。
【0214】
キトサンから誘導され、以下の式:
【化3】


〔式中、第1単位は、0〜30%の量的画分で存在し、第2単位は、5〜50%の量的画分で存在し、第3単位は、30〜90%の量的画分で存在し、但し、第3単位中では、R16は以下の式:
【化4】

(式中、q=0の場合には、基R17、R18およびR19は、同一または異なって、いずれの場合にも水素原子、メチル基、ヒドロキシ基、アセトキシ基またはアミノ基、モノアルキルアミン基または必要に応じて1以上の窒素原子および/または必要に応じて1以上の基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、スルホン酸基、アルキルチオ基により中断されたジアルキルアミン基であり、これらのアルキル基は、アミノ基を有し、この場合、基R17、R18およびR19の少なくとも1つが水素原子であり、またはq=1の場合には、基R17、R18およびR19はいずれの場合にも、水素原子、および塩基または酸によりこれらの化合物を形成する塩である)
で示される基である〕
で示されるモノマー単位を含有するポリマー
【0215】
・以下の一般式:
【化5】

〔式中、R20は水素原子であり、CHO、CHCHOまたはフェニルであり、R21は、水素原子または低級アルキル基、例えばメチル基またはエチル基等であり、R22は、水素原子または低級C1〜6−アルキル基、例えばメチル基またはエチル基等であり、R23は低級C1〜6−アルキル基、例えばメチル基またはエチル基または式:−R24−N(R22(式中、R24は基−CH−CH、−CH−CH−CH−または−CH−CH(CH)−であり、およびR22は上記の意味を有する)で示される基等である〕
で示され、および例えば仏国特許第1400366号に記載のポリマー。
【0216】
・キトサンのN−カルボキシアルキル化中に形成することができるポリマー、例えばN−カルボキシメチルキトサンまたはN−カルボキシブチルキトサン等。
【0217】
・タイプ−D−X−D−Xの両性ポリマー、これは以下のものから選択される:
a)少なくとも1つの単位−D−X−D−X:
(式中、Dは、基:
【化6】

であり、Xは、記号EまたはE’であり、EまたはE’は、同一または異なって、非置換形態で存在する主鎖中に7個までの炭素原子を有する直鎖または分枝状アルキレン基である二価の基であるか、またはヒドロキシル基により置換され、1以上の酸素原子、窒素原子または硫黄原子、1〜3個の芳香族および/またはヘテロ環式環を含有することができ、酸素原子、窒素原子および硫黄原子は、以下の基の形態で存在する:エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミン、アルケニルアミン、ヒドロキシ、ベンジルアミン、アミンオキシド、第4級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステルおよび/またはウレタン)
を有する化合物上でクロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムの作用により形成されるポリマー。
【0218】
b)式−D−X−D−X:
【化7】

〔式中、Xは、記号EまたはE’および少なくともE’であり、Eは上記の意味を有し、E’は、主鎖中に直鎖または7個までの炭素原子を有する分枝状アルキレン基である二価の基であり、これは非置換形態で存在するかまたは1以上のヒドロキシル基により置換され、1以上の窒素原子を含有し、ここで、該窒素原子は、必要に応じて酸素原子により中断され、1以上のカルボキシ官能基または1以上のヒドロキシ官能基を必ず含み、クロロ酢酸またはクロロ酢酸ナトリウムとの反応によりベタイン化されるアルキル基により置換される〕
で示されるポリマー。
【0219】
一部において、N,N−ジアルキルアミノアルキルアミンでの半アミド化により部分的に変性される部分変性されるアルキル(C1〜5)ビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN,N−ジアルキルアミノアルコール等。これらのポリマーはさらなるコモノマー、例えばビニルカプロラクトン等を含有することもできる。
【0220】
極めて特に有利な両性ポリマーは、例えば、NATIONAL STARCHからの名称AMPHOMER(登録商標)、AMPHOMER(登録商標)LV71またはBALANCE(登録商標)47として市販されているコポリマーオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、およびメチルメタクリレート/メチルジメチルカルボキシメチルアンモニウムエチルメタクリレートコポリマーである。
【0221】
溶媒
本発明の組成物の化粧品に許容できる媒体は、水および任意に、化粧品に適した水混和性有機溶媒であってよい。
【0222】
本発明の組成物に使用する水は、花の水、純粋な脱塩水、鉱水、温泉水および/または海水であってよい。
【0223】
好ましい溶媒は、例として、C1〜4脂肪族アルコール、例えばエタノールおよびイソプロパノール;ポリオールおよびそれらの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレン−1,3−グリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、例えば、モノ−、ジ−またはトリプロピレングリコールのアルキル(C1〜4)エーテル或いはモノ−、ジ−またはトリエチレングリコールのアルキル(C1〜4)エーテル、並びにそれらの混合物である。
【0224】
高圧ガス
適切な場合には、本発明の組成物は、高圧ガスを含む。本発明による好ましい高圧ガスは、炭化水素、例えばプロパン、イソブテンおよびn−ブテン、およびこれらの混合物等である。しかしながら、圧縮空気、二酸化炭素、窒素、二酸化窒素およびジメチルエーテル、およびこれらのガスの全ての混合物はまた、本発明に従って有利に用いられる。
【0225】
当業者は、当然ながら、本発明をエアロゾル調製物の形態で実現するのに原理上適しているが、環境への有害性、または他の随伴現象の理由のために含ませないようにしなければならない、それ自体毒性を示さない高圧ガス、特にフルオロカーボンおよびクロロフルオロカーボン(CFC)、例えば1,2−ジフルオロエタン(高圧ガス152A)等が存在することを知っている。
【0226】
活性成分
本発明による化粧品組成物は、1以上の化粧品効果成分を、適切な場合には医薬品効果成分も有利に含んでなる。化粧品効果、適切な場合には治療効果の成分の例として、次のものが挙げられる:抗ニキビ剤、抗菌剤、制汗剤、収斂剤、脱臭剤、皮膚用状態調節剤、皮膚平滑剤、皮膚水和を向上させるための剤、例えばグリセロールまたはウレア(いわゆる保湿剤)、角質溶解剤、フリーラジカルのためのフリーラジカル捕捉剤、消毒活性成分、皮膚老化に対抗するための活性成分および/または皮膚の分化および/または増殖および/または色素沈着を調節する剤、ビタミン、例えばビタミンC等、刺激性2次効果を有する活性成分、例えばα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、β−ケト酸、レチノイド(レチノール、レチナール、レチノイン酸)、アントラリン(ジオキシアントラノール)、アントラノイド、パーオキシド(特に過酸化ベンゾイル)、ミノキシジル、リチウム塩、代謝拮抗物質、ビタミンDおよびその誘導体、カテキン、フラボノイド、セラミド、脂肪物質、合成油、鉱油、例えばパラフィン油またはワセリン油、シリコーン油、植物油、例えばヤシ油、甘扁桃油、杏子油、コーン油、ホホバ油、オリーブ油、アボカド油、セサミ油、パーム油、ユーカリ油、ローズマリー油、ラベンダー油、パイン油、タイム油、ミント油、カルダモン油、橙花油、大豆油、ぬか油、米油、菜種油およびヒマシ油、小麦胚芽油およびそれから単離したビタミンE、マツヨイグサ油、植物レシチン(例えば大豆レシチン)、スフィンゴリピド/植物から単離したセラミド、動物油または脂肪、例えば獣脂、ラノリン、バター油、脂肪酸エステル、脂肪アルコールと皮膚温度に対応する融点を有するワックスとのエステル(動物ワックス、例えば蜜蝋、カルナバワックスおよびカンデリアワックス、鉱物ワックス、例えば微結晶質ワックス等、および合成ワックス、例えばポリエチレンワックスまたはシリコーンワックス等)、および例えばCTFA publication、Cosmetic Ingredient Handbook(、第1版、1988年、The Cosmetic, Toiletry and Fragrance Association, Inc.、ワシントン)に記載の化粧品目的に適した全ての油、ポリ不飽和脂肪酸、必須脂肪酸(例えばγ−リノレン酸)、酵素、補酵素、酵素阻害薬、水和剤、皮膚沈静化剤、洗浄剤またはフォーム形成剤および無機または合成艶消し充填剤が挙げられるが、有利ではない上記非皮膜充填剤、研磨剤は除外される。
【0227】
さらに、本発明による化粧品組成物には、植物活性成分抽出物または抽出物またはそれから得られた個々の物質、例えば固体植物抽出物、液体植物抽出物、親水性植物抽出物、親油性植物抽出物、個々の植物成分ならびにこれらの混合物、例えばフラボノイドおよびそのアグリコン(aglyca)等からなる群から選択されるもの等:ルチン、ケルセチン、ジオスミン、ハイペロサイド、(ネオ)へスペリジン、へスペリチン、イチョウ(例えばイチョウフラボングリコシド)、クラテグス抽出物(例えばオリゴマーのプロシアニジン)、そば粉(例えば、ルチン)、エンジュ(Sophora japonica)(例えばルチン)、樺の葉(例えばケルセチングリコシド、ハイペロサイドおよびルチン)、セイヨウニワトコ(例えばルチン)、リンデンブロッサム(例えばケルセチンおよびファルネソールを含むエッセンシャルオイル)、セントジョーンズワート(St.John’s wort)の油(例えばオリーブオイル抽出物)、キンセンカ、アルニカ(例えばエッセンシャルオイルを含む花の油性溶媒抽出物、フラボノイドを含む極性抽出物)、メリッサ(例えばフラボン、エッセンシャルオイル)、免疫賦活剤:Echinacea purpurea(例えばアルコール抽出物、フレッシュ樹液、圧搾ジュース)、Eleutherokokkus senticosus;アルカロイド: ジャボク(例えばプラジマリン(Prajmalin))、ニチニチソウ(例えばビンカミン);他の植物薬剤:アロエ、トチノキ(例えばアエシン)、ニンニク(例えばニンニク油)、パイナップル(例えばブロメライン)、朝鮮人参(例えばジンセノサイド)、サントリソウの果実(例えばシリマリンについて標準化した抽出物)、ボックスホーリーの根(例えばラスコゲニン)、カノコソウ(例えばバレポトリエート、Tct. Valerianae)、カバカバ(例えばカバラクトン)、ホップの花(例えば、ホップビター物質)、抽出物Passiflorae、リンドウ(例えばエタノール抽出物)、アントラキノン含有薬物抽出物、例えばアロイン含有アロエジュース、花粉抽出物、藻類抽出物、甘草抽出物、ヤシ抽出物、ガルフィミア(例えば、原チンキ剤)、ヤドリギ(例えば、水−エタノール抽出物)、フィトステロール(例えばβ−シトステロール)、ベルバスカム(水−アルコール抽出物)、モウセンゴケ(例えばワインリキュール抽出物)、シーバックソーンの果実(例えば、これから得られたジュースまたはシーバックソーン油)、ウスベニタチアオイの根、サクラソウ根抽出物、マロー、ヒレハリソウ、セイヨウキヅタ、つくし、ノコギリソウ、ヘラオオバコ(例えば圧搾ジュース)、イラクサ、クサノオウ、パセリの新鮮な植物抽出物;Norolaena lobata、Tagetes lucida、Teeoma siems、Momordica charantiaの植物抽出物およびアロエ抽出物を含ませることができる。
【0228】
好ましい化粧品活性成分は、天然および合成の保湿要素および/または保湿剤、例えばグリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、ジメチルイソソルビトール、乳酸および/またはラクタート、特に乳酸ナトリウム、ブチレングリコール、プロピレングリコール、バイオサッカリドガム−1、グリシンソーヤ、ヒドロキシエチルウレア、エチルヘキシルオキシグリセリン、ピロリドンカルボン酸およびウレア、水溶性の多糖類および/または水膨潤性の多糖類および/または水によりゲル化可能な多糖類の群からのポリマーモイスチャー、ヒアルロン酸、キトサンおよび/またはフコースに富む多糖類であり、これはSOLABIA S.A.から名称Fucogel(商標) 1000として入手可能であり、さらにセラミド、皮膚保護剤、スキンライトナー、ビタミン、抗酸化剤、いわゆる老化防止剤、抗刺激剤等である。さらに好ましい化粧品活性成分は、例えばリファッティングおよび皮膚へのケア効果のために、天然脂肪および油、すなわち、天然脂肪酸のトリグリセリドである。
【0229】
本発明では、水溶性抗酸化剤、例として、ビタミン、例えばアスコルビン酸およびその誘導体等を特に有利に使用することができる。ビタミンEおよびその誘導体並びにビタミンAおよびその誘導体が極めて特に有利である。
【0230】
本発明の組成物中の更に有利な活性成分は以下を包含する:α−ヒドロキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびマンデル酸、β−ヒドロキシカルボン酸、例えばサリチル酸、およびそれらのアシル化誘導体、2−ヒドロキシアルカン酸およびその誘導体;天然活性成分および/またはその誘導体、例えば、α−リポ酸、葉酸、フェトエン、D−ビオチン、コエンザイムQ10、α−グルコシルルチン、カルニチン、カルノシン、天然および/または合成イソフラボノイド、クレアチン、クレアチニン、タウリンおよび/または[β]−アラニンおよび8−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(二酸、CAS番号20701−68−2;暫定INCI名オクタデセン二酸)および/またはLicochalcone Aおよび植物抽出物。
【0231】
医薬品的および治療的活性成分は、薬品法では、とりわけ、病気、苦痛、身体傷害または病的不快感の治療、軽減または予防を目的とする。剤および/または活性成分は、活性成分が皮膚活性成分または経皮活性成分である場合には外部使用を目的とする。これらには、例えば皮膚病の処置のための組成物、例えば抗菌活性成分、抗真菌薬、抗ウィルス活性成分、抗炎症活性成分、例えばデクスパンテノール、かゆみを低減する活性成分、コルチゾンおよび誘導体、例えばグルココルチコイド、例えばプレドニソン、プレドニソロン、メチルプレドニソ、ベタメタソン、デキサメタソン、トリアムシノロン、パラメタソンおよびフルドロコルチソン、皮膚病の処置のための剤、例えば神経皮膚炎、アトピー皮膚炎等、および抗ヘルペス剤等が含まれる。
【0232】
さらなる補助剤
本発明の組成物には、さらに、化粧品において一般的である1種以上の更なる添加剤、例えば酸化防止剤、光保護剤および/または他の補助剤およびサプリメント、例えば乳化剤、界面活性物質、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、活性成分、湿潤剤、充填剤、UVフィルター、皮膜形成剤、溶媒、融合助剤、芳香物質、臭気吸収剤、香料、ゲル形成剤および/または他のポリマー分散体、例えばポリアクリレートに基づく分散体、官能添加剤、皮膚軟化剤、顔料、緩衝剤、高圧ガス、フロー剤および/またはチキソトロープ剤、柔軟剤、軟化剤、防腐剤などを含ませることができる。種々のサプリメントの量は、使用する範囲について、当業者に知られており、例えば、組成物の総重量を基準として0.0〜25重量%の範囲である。
【0233】
本発明の化粧品組成物には、官能添加剤を含ませることもできる。官能添加剤は、特に、例えば組成物の官能特性を更に改善し、例えば滑らかなまたはすべすべした皮膚感触を残す、無色または白色、鉱物または合成、層状、球状または細長い不活性粒子または非粒子状の官能添加剤を意味すると理解される。
【0234】
官能添加剤は本発明の組成物中に、組成物の総重量を基準として、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜7重量%の量で存在し得る。
【0235】
本発明において有利な粒子状官能添加剤は、タルク、マイカ、二酸化ケイ素、カオリン、デンプンおよびその誘導体(例えば、タピオカデンプン、リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウムおよびオクテニルコハク酸デンプンナトリウムなど)、焼成シリカ、UVフィルター効果も着色効果も主として有さない顔料(例えば窒化ホウ素など)、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、微結晶質セルロース、合成ポリマー(例えば、ポリアミド(例としてNylon(登録商標)の商標名で入手可能なポリマー)、ポリエチレン、ポリ−β−アラニン、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))、ポリアクリレート、ポリウレタン、ラウロイル−リジン、シリコーン樹脂(例としてKobo Products Inc.からTospearl(登録商標)の商標名で入手可能なポリマー)、ポリビニリデン/アクリロニトリルの中空粒子(Akzo Nobel製Expancel(登録商標))、または酸化ケイ素の中空粒子(MAPRECOS製のSilica Beads(登録商標))である。
【0236】
有利な非粒子状官能添加剤は、ジメチコノール(例えばDow Corning Ltd.製のDow Corning 1503 Fluid)、シリコーンコポリマー(例えば、ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマー、Dow Corning Ltd.製のDow Corning HMW 2220)、またはシリコーンエラストマー(例えば、ジメチコン架橋ポリマー、Dow Corning Ltd.製のDow Corning 9040 Silicone Elastomer Blend)からなる群から選択され得る。
【0237】
本発明の化粧品組成物は、必要に応じて防腐剤を含んでなる。高含水量を有する組成物は、細菌の増加に対して確実に保護されなければならない。この目的のために用いる最も重要な防腐剤は、ウレア縮合物、p−ヒドロキシベンゾエート、フェノキシエタノールとメチルジブロモグルタロニトリルとの組み合わせ、ならびに安息香酸、サリチル酸およびソルビン酸を含有する酸性防腐剤である。
【0238】
有利な防腐剤は、本発明では、例えばホルムアルデヒドドナー(例えばDMDMヒダントイン、これは例えば商品名Glydant(登録商標)(Lonza)として市販されている)、ヨードプロピルブチルカーバメート(例えばGlycacil−L(登録商標)、Glycacil−S(登録商標)(Lonza)、Dekaben(登録商標)LMB (Jan Dekker))、パラベン(アルキルp−ヒドロキシベンゾエート、例えばメチル、エチル、プロピルおよび/またはブチルパラベン)、デヒドロ酢酸(Schulke & MayrからのEuxyl(登録商標)K 702)、フェノキシエタノール、エタノール、安息香酸である。いわゆる防腐助剤、例えばオクトキシグリセロール、グリシン、大豆、ジオールなども有利に使用することができる。
【0239】
化粧品において、防腐剤または防腐助剤、例えばジブロモジシアノブタン (2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタロジニトリル)、フェノキシエタノール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、イミダゾリジニルウレア、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−クロロアセトアミド、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、サリチル酸およびサリチル酸塩も特に有利である。
【0240】
防腐剤は、特に有利には、ヨードプロピルブチルカーバメート、パラベン(メチル-、エチル-、プロピル-および/またはブチルパラベン)、および/またはフェノキシエタノールの群から選択される。
【0241】
実施例を参照して本発明を説明するが、実施例は限定するものと理解されるべきではない。特に記載のない限り、量的データ、割合およびパーセントの全ては、重量および総量または組成物の総重量を基準とする。
【実施例】
【0242】
化学薬品
Bayhydur(登録商標)VP LS 2336 (Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、ドイツ):
ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする親水性化ポリイソシアネート、溶媒不含、粘度約6800mPas、イソシアネート含量約16.2%、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、ドイツ。
【0243】
Impranil(登録商標) DLN (Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、ドイツ):
約40%の固形分を有する水中におけるアニオン的親水性化非交差分枝状脂肪族ポリエステルポリウレタンポリウレア分散体、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、ドイツ。
【0244】
Bayhydur(登録商標) VP LS 2240 (Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、ドイツ):
ブロックトイソシアネート基を含む非イオン的親水性化水性非分枝状ポリイソシアネート分散体、水/MPA/キシレン(56:4.5:4.5)中における固形分約35%濃度
【0245】
Dispercoll S 5005 (Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、ドイツ):
非晶質二酸化ケイ素の水性アニオン性コロイド分散溶液、水中において固形分約50%濃度、pH約9、平均粒度約55nm
【0246】
Isofoam(登録商標) 16 (Petrofer−Chemie、ヒルデスハイム、ドイツ):
消泡剤
【0247】
他の化学薬品は、Sigma−Aldrich GmbH、タウフキルヒェン、ドイツでのthe fine chemicals businessにおいて入手した。
【0248】
特に記載のない限り、パーセントの全ては重量に基づく。
特に記載のない限り、分析的測定値の全ては23℃の温度での測定値を意味する。
記載した粘度は、Anton Paar Germany GmbH(ドイツ国オストフィルデルン)製回転粘度計を用い、23℃でDIN 53019に従って回転粘度測定法によって測定した。
特に記載のない限り、NCO含量はDIN−EN ISO 11909に従って容量分析で測定した。
ポリウレタン分散体の平均粒度(数平均)は、脱イオン水での希釈後、レーザー相関分光法によって測定した(機器:Malvern Zetasizer 1000, Malver Inst. Limited)。
水性分散体を乾燥させることにより調製された本発明による粒子の粒度は、光学顕微鏡を用いて100×の倍率で行った。本発明では、画像分析のために、画像処理ソフトウェア(SIS GmbH、ドイツ)を用いた。該分析は20の物体位置で行った。
本発明の分散体の固形物含量は、計量した試料を120℃に加熱することにより決定した。一定重量の時点で、固形物含量は、試料を再計量することにより計算した。同一の方法を用いて、本発明によるパウダーの含水量を決定した。
遊離NCO基についての制御は、赤外分光法(2260cm−1でのバンド)によって実施した。
【0249】
1)ナノウレア水性分散体(A)の製造
30℃で、強撹拌しながら、820.20gのBayhydur(登録商標) VP LS 2336、次いで0.32gのIsofoam(登録商標)16を、4952gの脱イオン水中における4.1gのトリエチルアミンの溶液に添加し、該混合物をさらに撹拌した。3、6および9時間後、いずれの場合にもさらなる820.20gのBayhydur(登録商標) VP LS 2336、および次いで0.32gのIsofoam(登録商標) 16を添加し、次いで、該混合物をさらに4時間、30℃で撹拌した。次いで、200mbarの減圧および30℃で、該混合物をさらに3時間撹拌し、得られる分散体を取り出した。
得られる白色水性分散体は以下の特性を有した:
粒度(LCS):93nm
粘度(粘度計、23℃):<50mPas
pH(23℃):7.8
【0250】
2)比較例
水性アニオン的親水性化非交差分枝状脂肪族ポリエステルポリウレタン−ポリウレア分散体の乾燥
蒸留付属品を有する撹拌装置において、500gの分散体Impranil(登録商標)DLNを70℃で約100mbarにまで空気を抜き、水を蒸留付属品上で約3時間蒸留する。これは、装置から切り取られなければならないゲル状被膜塊を製造した。
【0251】
3)比較例
非イオン性親水性化非交差分枝状脂肪族ポリエステルポリウレタン水性分散体の乾燥
手順は、実施例2と同様であるが、分散体Bayhydur(登録商標)VP LS 2240を乾燥した。処理可能なパウダーではなく、粘着性被膜が形成された。
【0252】
4)本発明による実施例
水の蒸留除去によるナノウレア水性分散体の直接乾燥
手順は、実施例2に同様であるが、実施例1からのナノウレア分散体を乾燥した。白色で塊の多いパウダーが形成された。
固形分:99%
乾燥試料をマルター中で粉砕することにより、微細注入可能なパウダーを得た。
固形分:99%
【0253】
5)本発明の実施例
凍結乾燥によるナノウレア水性分散体の乾燥
500gの実施例1からのナノウレア分散体を、2リットル丸底フラスコ中で冷却槽中で凍結し(約−78℃、ドライアイスおよびイソプロパノールの混合物)、凍結乾燥設備に付着した。続く真空により、水を、試料が乾燥するまで除去した。
非注入性凝集物質が形成された。
固形分:99%
【0254】
6)本発明の実施例
噴霧乾燥によりナノウレア水性分散体の乾燥
実施例1からの2000gのナノウレア分散体をBuechi(Flawli、スイス)からのB−290噴霧乾燥設備を用いて噴霧乾燥した。分散体を0.7mmの内径を有するノズルにより運び、用いた噴霧ガスは2物質ノズルの外環中において窒素であった。搬送温度は60℃であった。粒子の沈殿は、サイクロンによりおよび下流の微細粒子フィルターにより行った。
白色パウダーが形成された。
固形分:99%
平均粒度:10μm
かさ密度:0.36g/ml
【0255】
7)本発明の実施例
噴霧乾燥による希釈ナノウレア水性分散体の乾燥
手順は、実施例6に記載のとおりであるが、乾燥する前に、さらに1000gの脱イオン水を1000gのナノウレア分散体中に混合した。
白色パウダーが形成された。
固形分:99%
平均粒度:10μm
【0256】
8)本発明の実施例
噴霧乾燥によるナノシリカ分散体との混合後のナノウレア水性分散体の乾燥
手順は、実施例6に記載のとおりであるが、乾燥する前に、24gのDispercoll S 5005を1000gのナノウレア分散体中に混合した。
白色パウダーが形成された。
固形分:99%
【0257】
処方物例
化粧品調製物中のポリウレアパウダーおよび/またはナノウレア水性分散体
1.スキンケア処方物
【0258】
【表1.1.1】

【0259】
【表1.1.2】

【0260】
【表1.1.3】

【0261】
【表1.2】

【0262】
【表1.3】

【0263】
【表1.4】

【0264】
2.サンケア
【0265】
【表2.1.1】

【0266】
【表2.1.2】

【0267】
【表2.1.3】

【0268】
【表2.1.4】

【0269】
【表2.2.1】

【0270】
【表2.2.2】

【0271】
【表2.3】

【0272】
【表2.4.1】

【0273】
【表2.4.2】

【0274】
3.装飾化粧品
【0275】
【表3.1】

【0276】
【表3.2】

【0277】
【表3.3】

【0278】
【表3.4】

【0279】
【表3.5】

【0280】
【表3.6.1】

【0281】
【表3.6.2】

【0282】
【表3.7】

【0283】
【表3.8】

【表3.9】

【0284】
4.脱臭剤および制汗剤
【0285】
【表4.1】

【0286】
【表4.2】

【0287】
【表4.3】

【0288】
【表4.4】

【0289】
【表4.5】

【0290】
【表4.6】

【0291】
【表4.7】

【0292】
5.ヘアスタイリング
【0293】
【表5.1】

【0294】
【表5.2】

【0295】
【表5.3】

【0296】
【表5.4】

【0297】
【表5.5】

【0298】
6.洗浄調製物
【0299】
【表6.1】

【0300】
【表6.2】

【0301】
【表6.3】

【0302】
【表6.4】

【0303】
【表6.5】

【0304】
【表6.6】

【0305】
【表6.7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリウレア分散体から出発して乾燥により得られたナノウレアパウダー。
【請求項2】
前記パウダーは、架橋ナノウレア粒子の水性分散体から出発して得られることを特徴とする、請求項1に記載のナノウレアパウダー。
【請求項3】
パウダーの粒子は、0.5〜1000μmの寸法を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のナノウレアパウダー。
【請求項4】
ナノウレアの水性分散体を乾燥させることを特徴とする、ナノウレアパウダーの製造のための方法。
【請求項5】
乾燥を、水を分散体から大気圧、大気圧より低い圧力または大気圧より高い圧力で除去しながら行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
架橋ナノウレア粒子の水性分散体を用いることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
水性分散体の乾燥を、噴霧乾燥法により行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載の方法により得られるナノウレアパウダー。
【請求項9】
化粧品、被覆組成物、シーラント、接着剤、フィルター、添加剤、補助剤および/またはサプリメントにおける、請求項1〜3または8のいずれかに記載のナノウレアパウダーの使用。
【請求項10】
請求項1〜3または8のいずれかに記載のポリウレアパウダーを含む、化粧品、物品、被覆組成物、シーラント、接着剤、フィルター、添加剤、補助剤および/またはサプリメント。
【請求項11】
化粧品における、架橋ポリウレアを含む水性分散体の使用。
【請求項12】
架橋ポリウレアの水性分散体を含む化粧品。
【請求項13】
請求項1〜3または8のいずれかに記載のナノウレアパウダーおよび/または架橋ポリウレアの水性分散体を用いる化粧品の製造方法。

【公表番号】特表2011−516435(P2011−516435A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502258(P2011−502258)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002131
【国際公開番号】WO2009/121501
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】