ナノ構造体が埋設されている少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントの製造方法
【課題】効率的に混合、分離作用を行わせることが可能なマイクロ流体コンポーネントの製造方法を提供する。
【解決手段】マイクロ流体コンポーネント1のチャンネル2の内壁にナノ構造体13a〜13cを埋設する。このナノ構造体13a〜13cは、その場成長により形成され、それにより前記チャンネル2の側壁4,5上及び前記下部壁3上に堆積された金属触媒の層となる。さらにマイクロチャンネル2に前記ナノ構造体が形成される前に、基板7の前記表面上を保護カバー11で封止する。封止はカバー11の材料と前記触媒の金属との間に共晶化合物を形成することにより行われ、その触媒は、前記ナノ構造体13a〜13cのその場成長の目的で用いられ、かつ、前記カバー11と接触するように設計された前記基板7の表面上に堆積されている。
【解決手段】マイクロ流体コンポーネント1のチャンネル2の内壁にナノ構造体13a〜13cを埋設する。このナノ構造体13a〜13cは、その場成長により形成され、それにより前記チャンネル2の側壁4,5上及び前記下部壁3上に堆積された金属触媒の層となる。さらにマイクロチャンネル2に前記ナノ構造体が形成される前に、基板7の前記表面上を保護カバー11で封止する。封止はカバー11の材料と前記触媒の金属との間に共晶化合物を形成することにより行われ、その触媒は、前記ナノ構造体13a〜13cのその場成長の目的で用いられ、かつ、前記カバー11と接触するように設計された前記基板7の表面上に堆積されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部壁及び上部壁と、2つの向かい合う側壁と、によって輪郭が描かれる、少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントの製造方法であって、
− 基板の表面に、前記マイクロチャンネルの前記下部壁及び前記2つの向かい合う側壁を形成し、
− 前記マイクロチャンネルの前記下部壁と前記2つの向かい合う側壁とに堆積された金属触媒層からの、その場成長により、前記マイクロチャンネルに埋設されているナノ構造体を形成し、
− 前記基板の前記表面上にカバーを置き、且つ前記カバーを前記表面上に封止することにより、前記マイクロチャンネルの前記上部壁を形成する、
方法に関する。
【背景技術】
【0002】
“μ-TAS”(マイクロ・トータル解析システム:micro Total Analysis System)又は“Lab-on-a-chip”(ラボ・オン・ア・チップ)という名前で知られている、マイクロリアクタ(microreactors)又はマイクロラボ(microlabs)の様な、流体マイクロシステムとも呼ばれるマイクロ流体コンポーネントは、とても少量のサンプルの化学的又は生化学的な操作及び/又は解析を行うことに関して、この10年で実に上手くいき始めている。これらのコンポーネントの使用は、異なる工程を一つのコンポーネント上に一体化することを可能にし得る(注入、分離、検出)。それによって、接続(connection)の数と、それゆえ異なる処理操作間のサンプルのロスと、を限定する。その上、同時に、解析の感度を増加して、解析時間を削減する。
【0003】
しかしながら、これらのマイクロ流体コンポーネントにますます多くの機能を一体化することが求められている。例えば、サンプルへの前処理、濾過、混合、分離、及び/又は検出操作という様な、いくつかの操作が行われ得るマイクロ流体コンポーネントを製造することが望ましい。それにもかかわらず、このような一体化は、小型化及び/又は効率について、常に改善された性能が得られるようにできるコンポーネントを要求する。さらに、不均一な化学若しくは生体反応の効率、又は分離の効率は、サンプルに接触するコンポーネントの表面と、そのコンポーネントに循環しているサンプル量との間の比が高ければ、ますます高くなる、ということが知られている。このような比は、S/V比とも呼ばれる。
【0004】
高いS/V比を得るためのほとんどの従来のアプローチは、マイクロ流体コンポーネントに形成されたマイクロチャンネルをシリカビーズのようなポーラス構造又は固定相(stationary phase)で埋設することにある。
【0005】
それゆえ、Gregor Ocvirk等による論文“High performance liquid chromatography partially integrated onto a silicon chip” (Analytical Methods and Instrumentation, Vol 2, No2, 74-82 (1995))では、液体クロマトグラフィーシステムは、充填材料が埋設されたマイクロチャンネルのネットワークを、そのマイクロチャンネルの入口に配置されたスプリット注入部、並びに、そのマイクロチャンネルの出口上に配置されたフリット(frit)及び光検出セル、を有する平坦なシリコン構造(又はチップ)中に形成することにより完成される。システムのマイクロチャンネルは、シリコン構造上に配置されたガラス層によって、陽極封止工程(anodic sealing process)により、封止される。システムを完成させている他のシリコン構造は、同一の封止工程によりガラス層上に封止され、それにより、システムをより回復力があるようにする。
【0006】
しかし、マイクロチャンネルの直径を考慮すると、マイクロチャンネルを固定相で均一に埋設することは、微視的な規模で実行するには困難な作業となる。同様に、これらのコンポーネントは、マイクロチャンネルの内側に固定相を保持する、フリット又は注入システムのようなシステムがセットアップされることを必要とする。しかし、この作業も、この規模では困難になる。
【0007】
他のアプローチはこの問題を取り除くと予想されている。例えば、直接マイクロチャンネルに固定相を行うことが提案されている。それゆえ、Isabelle Gusev等による論文”Capillary columns with in situ formed porous monolithic packing for micro high-performance liquid chromatography and capillary electrochromatography” (Journal of Chromatography A, 855 (1999) 273-290)に記述されているように、マイクロチャンネルの壁上に固定されているモノリシックな固定相のその場合成は、フリットの使用が除かれることを可能にする。マイクロエレクトロニクスの分野で用いられている技術(フォトリソグラフィー、エッチング)を用い、それによって、再現でき且つ共通の方法で、ナノ・パターニングによりマイクロチャンネルの内側に固定相を形成することも提案されている。
【0008】
CNTとも表されるカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーの様なナノ構造体の合成方法の分野での最近の進展は、さらに、マイクロ流体コンポーネントの接触表面を進展させる新たな展望が予想されることを可能にする。2つの主要な進展の方向がある。
【0009】
第1の方向は、独立のカーボンナノチューブを、表面にしっかりと結合していない触媒の粉末から製造すること、及び、次にマイクロ流体コンポーネントと、特にマイクロチャンネル又はそのコンポーネントのマイクロチャンネルとを、これらの前もって合成されたカーボンナノチューブで埋設すること、にある。固相抽出カートリッジ(extraction cartridge on solid phase)のみでなく、クロマトグラフィーカラム(chromatography columns)は、それゆえ、この原理に従って進展させられる。例えば、John H.T. Luong等による論文”Electrophoretic separation of aniline derivatives using fused silica capillaries coated with acid treated single-walled carbon nanotubes” (Journal of Chromatography A, 1074 (2005) 187-194)では、溶融石英キャピラリー(fused silica capillaries)の表面は、酸処理された単層カーボンナノチューブで覆われる前に整えられる。キャピラリーの表面上へのナノチューブの堆積は、その前もって合成され且つ処理されたナノチューブを含んでいる溶液で、その表面をすすぐことにより達成される。
【0010】
第2の方向は、前もって金属触媒の堆積物で覆われた表面上に、カーボンナノチューブがその場で形成されることを可能にする。ナノチューブの成長は、触媒の単純な選択的堆積により、それゆえ正確に特定の場所に集中され得る。この技術は、さらに全てのマイクロチャンネルのグラフティング(grafting)又は充填工程が除去されることを可能にする。例えば、Michael Stadermann等は、論文”Ultrafast gas chromatography on single-wall carbon nanotube stationary phases in microfabricated channels” (Anal. Chem. 2006, 78, 5639-5644)で、シリコンウェハー中に微構造化されているマイクロチャンネル中に単層カーボンナノチューブ(SWNTs)によって形成された固定相における、超高速ガスクロマトグラフィーについて述べている。その単層カーボンナノチューブは、化学気相成長により、例えばアルミニウム、モリブデン又は鉄から作られる金属触媒層から、その場成長により得られる。同様に、特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)は、基板に輪郭が描かれ、且つマイクロチャンネルの向かい合う側壁上及び下部壁上に予め堆積された金属触媒層からのその場成長により合成されたナノチューブが埋設されている、少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントについて述べている。
【0011】
この第2の方向で、カーボンナノチューブは一般的に上部壁のないマイクロチャンネル中に、即ち蓋の開いたマイクロチャンネル(又は溝)中に、作られる。このことは、触媒層の堆積の均一性と、ナノチューブの成長と、が制御されることを可能にする。特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)では、保護用のカバーは、それゆえ、ナノチューブが形成された後、基板表面上に堆積され、それによりナノチューブが埋設されたそのマイクロチャンネルを覆う。このカバーは、次に、Si-Si又はSi-ガラス接合を形成する分子シーリング(molecular sealing)により封止され、このことはマイクロチャンネルを塞いで完全にすき間を無くす。同様に、Michael Stadermannらによる論文では、マイクロチャンネルは、ナノチューブが形成された後に、シリコンウェハー上にガラス層を堆積し、且つ陽極封止を行うことにより、塞がれる。
【0012】
カバー封止工程、即ちマイクロチャンネルを塞ぐ工程は、しかしながら、マイクロ流体コンポーネントの製造工程で、重大な工程であることが分かっている。製造工程は実際上、この封止工程及び特にそれが課す制約と両立しなければならない。一般的に、ナノチューブは、ウェハー・ウェハー封止(wafer-wafer sealing)を行うために必要な前洗浄工程に耐えられず、また、ある種の封止技術の酸化条件下での高温にも耐えられない。ナノチューブは、さらに、封止を行っている表面及び/又は製造工程の間に用いられる装置の雰囲気を汚染しやすい。
【0013】
塞がれた環境中での成長方法は、Mahesh Karwa等により、論文”Gas chromatography on self-assembled single-walled carbon nanotubes” (Anal. Chem. 2006, 78, 2064-2070)に提案されている。単層カーボンナノチューブ(SWNTs)は、ステンレス鋼のキャピラリー管中及びシリカ・コートされたステンレス鋼のキャピラリー管中に、気相で形成される。酢酸モリブデン(molybdenum acetate)と窒化コバルト六水和物(ヘキサハイドレートコバルトナイトライド:hexahydrate cobalt nitride)が溶けたエタノール・ベースの溶液が、水素と同時にキャピラリー管に注入され、それにより触媒の層で管を覆う。次に、化学気相成長(CVD)が行われ、それによってその場成長によりナノチューブを形成する。キャピラリー管に含まれる鉄が多層カーボンナノチューブ(MWNTs)を形成するための触媒として機能するので、シリカ・コートされたキャピラリー管はSWNTsを作るのに好ましい。
【0014】
しかし、このような製造方法、及び、特にエタノール・ベースの溶液による触媒の堆積は、多数の処理操作を必要とし、且つマイクロシステムに適合させることが困難であるので、実行することは現実的ではない。
【0015】
触媒の堆積に関連した制約を避けるため、Chutarat SaridaraとSomenath Mitraは、論文”Chromatography on Self-Assembled Carbon Nanotubes” (Anal. Chem. 2005, 77, 7094-7097)で、キャピラリー管のステンレス鋼の不純物中で見つかった鉄を触媒として用いることを提案した。しかしながら、カーボンナノチューブの構造は、キャピラリー管に沿って不均一であると分かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上述の欠点を除去した、マイクロ流体コンポーネントの製造方法を提供することにある。
【0017】
その上特に、本発明の目的は、ナノ構造体が均一に埋設されている少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントが、簡単且つ安価に得られ得る製造方法を提供することにある。有利には、この方法は、ウェハー上に集合的なコンポーネントを製造する方法と、その上同時にマイクロコンポーネントの環境を汚染することを避ける方法と、両立できなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、この目的は、前記金属触媒の層は、前記カバーと接触するように設計された前記基板の前記表面上にも堆積されており、封止は、前記ナノ構造体が形成される前に、前記金属触媒層の金属と、前記カバーの材料と、の間に共晶化合物を形成する加熱処理により行われる、という事実により達成される。
【0019】
更なる本発明によれば、前記金属触媒の前記層は、前記マイクロチャンネルの前記向かい合う側壁上及び前記下部壁上に堆積されるのと同時に、前記カバーと接触するように設計された前記基板の前記表面上に堆積される。
【0020】
別の更なる本発明によれば、前記カバーと接触するように設計された前記基板の前記表面上に堆積された前記金属触媒の前記層の厚さは、20nmと200nmの間に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
他の利点と特徴は、非限定的な例示の目的のみで与えられ、添付の図面で表現される、以下の本発明のある実施形態の説明から、より明確になる。
【0022】
流体マイクロシステムとも呼ばれるマイクロ流体コンポーネントは、液体をそこに流れさせることが可能な、少なくとも1つの塞がれたマイクロチャンネルを備える。そのマイクロチャンネルは、下部壁及び上部壁と、2つの向かい合う側壁と、によって輪郭が描かれ、ナノチューブ及び特にカーボンナノチューブの様なナノ構造体が埋設されている。
【0023】
コンポーネントは、例えばシリコン、酸化シリコン又はガラスで作られる基板の表面に、予めそのマイクロチャンネルの下部壁と、向かい合う2つの側壁と、を形成することにより実現される。そのマイクロチャンネルの上部壁の形成は、例えばシリコン、酸化シリコン又はガラスから選択される材料を含んでいるカバーをその基板の表面に取り付け、カバーをその表面上に封止することにより行われる。次に、マイクロチャンネルに埋設されるナノ構造体は、そのマイクロチャンネルの向かい合う側壁上と、下部壁上と、に堆積された金属触媒の層から、その場成長により形成される。
【0024】
この様にして、従来技術、及び、その上特に特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)に記述されている製造方法とは異なり、マイクロチャンネルの上部壁は、ナノ構造体が形成される前に形成される。その上特に、ナノ構造体の形成に用いられるものと同一の金属触媒の層が基板上にも堆積される。その層は、その上特に、カバーと接触するように設計された基板の表面に堆積される。次に、封止は、ナノ構造体の形成の前に、共晶化合物が形成されることを可能にする加熱処理を行うことにより行われる。共晶化合物は、金属触媒層の金属と、カバーの材料又は有利にはそのカバーを構成している材料と、の間の共晶化合物である。
【0025】
例えば、図1から図10は、3つの塞がれたマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネント1の、ある実施形態を示す。塞がれたマイクロチャンネルが意味することは、流体の通過用の入口及び出口を備え、しかしマイクロチャンネル2の下部を形成する下部壁3及び2つの向かい合う側壁4と5のみによるのではなく、上部壁6によっても輪郭が描かれる、微視的大きさのマイクロチャンネルである。有利には、下部壁3と上部壁6の間の間隔Pは5μmと100μmの間に含まれるが、2つの向かい合う側壁4と5の間の間隔Lは好ましくは1μmと500μmの間に含まれる。
【0026】
各々のマイクロチャンネル2の下部壁3と2つの向かい合う側壁4と5は、基板7、例えば約450μmの厚さと100mmの直径を有するシリコンウェハー、に形成されている。
【0027】
従って、図1から図5に示されている様に、3つのマイクロチャンネル2は、例えば自由表面7a(free surface)を備える基板7の選択性エッチングにより形成される。選択性エッチングを行うために、自由表面7aの全体は、図1で、フォトレジスト層8によって覆われる。次に、図2と図3に示される様に、層8はフォトリソグラフィーによってパターン8aの形にかたどられる。パターン8aは、従って、層8を、マスク9を通してUV放射(矢印F1)に曝し、次に層8の露光領域を取り除くことにより形成される。次に、図4に示される様に、基板7はディープ・リアクティブ・イオン・エッチング(DRIE)工程を経る。エッチング工程は、基板7のエッチングがパターン8aによって覆われていない基板7の領域のレベルのみで行われる限りでは、選択的であると言われている。従って、図5に示されている様に、それは、各々のマイクロチャンネル2の側壁4と5と下部壁3とを形成している表面によって基板7に輪郭が描かれている、開口(又は溝)が基板7の表面7aに形成されることを可能にする。一旦基板7がエッチングされると、フォトレジスト層のパターン8aは取り除かれ、それにより、そのマイクロチャンネル2を備える基板7の表面7aを開放する。
【0028】
図6に示される様に、金属触媒の堆積工程が次に行われる。各々のマイクロチャンネル2の側壁4と5と下部壁3は、従って金属触媒の層9で覆われる。さらに、基板7の自由表面7aも金属触媒で覆われる。同一の金属触媒によって形成される層10は、それゆえその表面7aを覆う。それは、有利には、層9がマイクロチャンネルの側壁4と5と下部壁3とを覆うのと同時に堆積される。
【0029】
金属触媒を形成する金属は、好ましくはニッケル、コバルト、鉄及び金から選ばれる。それは、物理的蒸着技術(physical deposition technique)、例えばスパッタリング若しくは蒸発、又は、化学的若しくは電解析出(electrolytic deposition)技術、によって堆積され得る。用いられる技術次第で、堆積条件は最適化される。それによって、基板7の自由表面7a上の十分な厚さeの金属触媒10の層を得て、それによって続く封止工程を行うことができ、且つナノ構造体の成長に適合した厚さe’を有する側壁4と5上の金属触媒9の層を得る。
【0030】
基板7の自由表面7a上に堆積された金属触媒層10の厚さeは、好ましくは20nmと200nmの間に含まれるが、側壁4と5上に堆積された金属触媒層9の厚さe’は、有利には1nmと20nmの間に含まれる。
【0031】
それゆえ、図7から図9に示される様に、ナノ構造体(例えばカーボンナノチューブ)が形成される前に、次に、金属触媒層10は保護用のカバー11と基板7との間の封止を行うために用いられる。
【0032】
封止は、それゆえ金属触媒層10の金属とカバー11の材料との間の共晶化合物を形成することにより行われる。カバー11の材料は、有利にはシリコン、酸化シリコン及びガラスから選択される。図7に示される様に、保護用のカバー11は基板7の表面7aを覆っている層10の上に置かれ又は配置される(矢印F2)。その結果、有利には、カバー11の平らな表面11aは、基板7の表面7a、及び、その上特に表面7a上に配置されている層10と接触するようになる。次に、図8に示される様に、熱処理(矢印F3)は、層10に含まれている金属がカバー11に拡散できるようにして、その金属とカバーの材料との間の共晶化合物12を形成する、予め決められた温度で行われる。それゆえ、一旦保護用のカバー11が基板7上に封止されると、カバー11の表面11aは、表面7aと接触する部分と、マイクロチャンネル7に面して配置される部分と、を備える。マイクロチャンネル7に面して配置される表面11aのその部分は、それゆえそのマイクロチャンネル2の上部壁6を形成し、その結果それらが塞がれるようにする。
【0033】
例えば、ニッケルから作られる層10と、シリコン又は酸化シリコンから作られるカバー11と、に関して、封止は、ニッケルシリサイドが形成されることを可能にする熱処理を行うことにより行われ得る。Zhi-Xiong Xiaoらにより論文“Low temperature silicon wafer-to-wafer bonding with nickel silicide” (J.Electrochem. Soc., Vol 145, No4, April 1998)で述べられている様に、このような封止技術は、例えば440℃の熱処理温度でのニッケルシリサイドの形成により、2枚のシリコンウェハーを封止することが知られている。
【0034】
本発明の範囲内で、封止を行うために用いられる金属は、マイクロチャンネル2内におけるナノ構造体の形成用の金属触媒の役目もする。図6で、側壁4と5上及び下部壁3上に堆積された金属触媒層9は、それゆえ、カーボンナノチューブのようなナノ構造体の成長に触媒作用が及ぼされることを可能にする。カーボンナノチューブは、例えば700℃の温度で、大気圧下で、炭素ガスとしてアセチレンを用いて行われる、化学気相成長(CVD)によって得られる。それゆえ、1つ且つ同一の温度サイクルで、ナノ構造体の3つのセット、それぞれ13a,13b,13c、は、図10で、各々の壁4,5及び3にほぼ垂直に、成長により形成される。その上有利には、図10に示されるように、ナノ構造体13aの大多数をナノ構造体13bにつなげることが可能であり、それによりマイクロチャンネル2を埋設する。切断する次の工程は、次に、各々がナノ構造体で完全に埋設されている1つ又はそれ以上のマイクロチャンネル2を備える、マイクロリアクタを形成するために行われ得る。
【0035】
図11と図12に示される別の実施形態で、更なる金属触媒層14がカバー11の表面11aの全体上に堆積される。カバー11の表面11aは、そのカバーが基板7の表面7aに置かれた時に、基板7の表面7aと接触するように設計された表面である。それゆえ、一旦カバーが基板7の表面7aに置かれ、封止が行われると、マイクロチャンネル2に面して配置されていて、且つそのマイクロチャンネル2の上部壁6を形成している、表面11aの部分は、金属触媒により覆われたままであり、それゆえ更なる金属触媒層14からのナノ構造体13dのその場成長のシートであり得る。ナノ構造体13dは、それゆえ、各々のマイクロチャンネル2の上部壁6上に形成される。
【0036】
本発明によるマイクロ流体コンポーネントの製造方法は、それゆえ、2重の機能を持つ金属:
− カバーと基板の間の封止用前駆体(precursor)
− 及び、ナノ構造体の成長用の触媒、
が使われることを可能にする。このことは、特に特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)に記述されているコンポーネントと比較して、行われるべき複数の技術的な工程が削減され、それゆえ、コンポーネントの製造コストを削減する、ということを意味する。特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)では、金属触媒の堆積作業が行われる時、金属触媒の層は、実際上、残っているフォトレジスト層のパターン上に堆積され、それにより、ナノ構造体の成長前にそのパターンと共に取り除かれ、そして、封止はナノ構造体の成長後に行われる。しかし、図1から図12に示される実施形態では、ナノ構造体の成長前に、金属触媒は、パターン8aが取り除かれた後、マイクロチャンネル2の壁3,4,5上のみでなく基板7の自由表面7a上にも堆積され、カバー11の封止を確実にする。
【0037】
マイクロチャンネルは、それゆえ、ナノ構造体の成長が行われる前に塞がれる。しかし、このような製造方法で、その場成長により得られるナノ構造体の成長は、マイクロチャンネルの閉鎖にもかかわらず、均一のままである。
【0038】
最終的に、この様な方法は、シリコンウェハー上に集合的なコンポーネントを製造する方法と両立でき、且つ如何なる成長後の技術的な工程も必要とせず、それは、これらの堆積を行うために用いられるデポジションチャンバーとクリーンルーム、又は工程が行われる時に存在する操作者のような、コンポーネントの外側の環境の如何なる汚染も避ける。
【0039】
この様な方法により得られるマイクロ流体コンポーネントは、様々な応用に用いられ得る。例えば、それは以下の様に用いられ得る。
− 触媒分解(catalytic decomposition)のサポート:ナノ構造体の壁がプラチナの堆積によって覆われる場合、マイクロコンポーネントは、例えばより低い温度で、酸素による、COのCO2への完全な酸化を行うために用いられ得る。
− 酵素のグラフティングのサポート:カーボンナノチューブは、容易に機能化され得る。ナノチューブはトリプシンの様な酵素によりグラフトされ得、それによりマイクロコンポーネントを蛋白質の分解用に用いる。
− 固定相のサポート:カーボンナノチューブは、クロマトグラフィーの応用に直接的に有用な固定相を構成する。それらは、様々な化学分子によっても機能化され得る。
【0040】
本発明は、図1から図12に示されている実施形態に限定されない。例えば、マイクロチャンネル又はマイクロ流体コンポーネントのマイクロチャンネル2は、如何なるタイプの形状をも有し得る。それらの入口は、さらに、それ自体が入口マイクロチャンネル(inlet microchannel)に接続されている流体分割領域(fluid division area)に接続され得るが、それらの出口はそれ自体が出口マイクロチャンネル(outlet microchannnel)に接続されている流体集合領域(fluid assembly area)に接続され得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図2】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図3】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図4】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図5】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図6】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図7】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図8】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図9】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図10】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図11】図1から図10に表される実施形態の変形の工程を概略的に表す断面図である。
【図12】図1から図10に表される実施形態の変形の工程を概略的に表す断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部壁及び上部壁と、2つの向かい合う側壁と、によって輪郭が描かれる、少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントの製造方法であって、
− 基板の表面に、前記マイクロチャンネルの前記下部壁及び前記2つの向かい合う側壁を形成し、
− 前記マイクロチャンネルの前記下部壁と前記2つの向かい合う側壁とに堆積された金属触媒層からの、その場成長により、前記マイクロチャンネルに埋設されているナノ構造体を形成し、
− 前記基板の前記表面上にカバーを置き、且つ前記カバーを前記表面上に封止することにより、前記マイクロチャンネルの前記上部壁を形成する、
方法に関する。
【背景技術】
【0002】
“μ-TAS”(マイクロ・トータル解析システム:micro Total Analysis System)又は“Lab-on-a-chip”(ラボ・オン・ア・チップ)という名前で知られている、マイクロリアクタ(microreactors)又はマイクロラボ(microlabs)の様な、流体マイクロシステムとも呼ばれるマイクロ流体コンポーネントは、とても少量のサンプルの化学的又は生化学的な操作及び/又は解析を行うことに関して、この10年で実に上手くいき始めている。これらのコンポーネントの使用は、異なる工程を一つのコンポーネント上に一体化することを可能にし得る(注入、分離、検出)。それによって、接続(connection)の数と、それゆえ異なる処理操作間のサンプルのロスと、を限定する。その上、同時に、解析の感度を増加して、解析時間を削減する。
【0003】
しかしながら、これらのマイクロ流体コンポーネントにますます多くの機能を一体化することが求められている。例えば、サンプルへの前処理、濾過、混合、分離、及び/又は検出操作という様な、いくつかの操作が行われ得るマイクロ流体コンポーネントを製造することが望ましい。それにもかかわらず、このような一体化は、小型化及び/又は効率について、常に改善された性能が得られるようにできるコンポーネントを要求する。さらに、不均一な化学若しくは生体反応の効率、又は分離の効率は、サンプルに接触するコンポーネントの表面と、そのコンポーネントに循環しているサンプル量との間の比が高ければ、ますます高くなる、ということが知られている。このような比は、S/V比とも呼ばれる。
【0004】
高いS/V比を得るためのほとんどの従来のアプローチは、マイクロ流体コンポーネントに形成されたマイクロチャンネルをシリカビーズのようなポーラス構造又は固定相(stationary phase)で埋設することにある。
【0005】
それゆえ、Gregor Ocvirk等による論文“High performance liquid chromatography partially integrated onto a silicon chip” (Analytical Methods and Instrumentation, Vol 2, No2, 74-82 (1995))では、液体クロマトグラフィーシステムは、充填材料が埋設されたマイクロチャンネルのネットワークを、そのマイクロチャンネルの入口に配置されたスプリット注入部、並びに、そのマイクロチャンネルの出口上に配置されたフリット(frit)及び光検出セル、を有する平坦なシリコン構造(又はチップ)中に形成することにより完成される。システムのマイクロチャンネルは、シリコン構造上に配置されたガラス層によって、陽極封止工程(anodic sealing process)により、封止される。システムを完成させている他のシリコン構造は、同一の封止工程によりガラス層上に封止され、それにより、システムをより回復力があるようにする。
【0006】
しかし、マイクロチャンネルの直径を考慮すると、マイクロチャンネルを固定相で均一に埋設することは、微視的な規模で実行するには困難な作業となる。同様に、これらのコンポーネントは、マイクロチャンネルの内側に固定相を保持する、フリット又は注入システムのようなシステムがセットアップされることを必要とする。しかし、この作業も、この規模では困難になる。
【0007】
他のアプローチはこの問題を取り除くと予想されている。例えば、直接マイクロチャンネルに固定相を行うことが提案されている。それゆえ、Isabelle Gusev等による論文”Capillary columns with in situ formed porous monolithic packing for micro high-performance liquid chromatography and capillary electrochromatography” (Journal of Chromatography A, 855 (1999) 273-290)に記述されているように、マイクロチャンネルの壁上に固定されているモノリシックな固定相のその場合成は、フリットの使用が除かれることを可能にする。マイクロエレクトロニクスの分野で用いられている技術(フォトリソグラフィー、エッチング)を用い、それによって、再現でき且つ共通の方法で、ナノ・パターニングによりマイクロチャンネルの内側に固定相を形成することも提案されている。
【0008】
CNTとも表されるカーボンナノチューブ又はカーボンナノファイバーの様なナノ構造体の合成方法の分野での最近の進展は、さらに、マイクロ流体コンポーネントの接触表面を進展させる新たな展望が予想されることを可能にする。2つの主要な進展の方向がある。
【0009】
第1の方向は、独立のカーボンナノチューブを、表面にしっかりと結合していない触媒の粉末から製造すること、及び、次にマイクロ流体コンポーネントと、特にマイクロチャンネル又はそのコンポーネントのマイクロチャンネルとを、これらの前もって合成されたカーボンナノチューブで埋設すること、にある。固相抽出カートリッジ(extraction cartridge on solid phase)のみでなく、クロマトグラフィーカラム(chromatography columns)は、それゆえ、この原理に従って進展させられる。例えば、John H.T. Luong等による論文”Electrophoretic separation of aniline derivatives using fused silica capillaries coated with acid treated single-walled carbon nanotubes” (Journal of Chromatography A, 1074 (2005) 187-194)では、溶融石英キャピラリー(fused silica capillaries)の表面は、酸処理された単層カーボンナノチューブで覆われる前に整えられる。キャピラリーの表面上へのナノチューブの堆積は、その前もって合成され且つ処理されたナノチューブを含んでいる溶液で、その表面をすすぐことにより達成される。
【0010】
第2の方向は、前もって金属触媒の堆積物で覆われた表面上に、カーボンナノチューブがその場で形成されることを可能にする。ナノチューブの成長は、触媒の単純な選択的堆積により、それゆえ正確に特定の場所に集中され得る。この技術は、さらに全てのマイクロチャンネルのグラフティング(grafting)又は充填工程が除去されることを可能にする。例えば、Michael Stadermann等は、論文”Ultrafast gas chromatography on single-wall carbon nanotube stationary phases in microfabricated channels” (Anal. Chem. 2006, 78, 5639-5644)で、シリコンウェハー中に微構造化されているマイクロチャンネル中に単層カーボンナノチューブ(SWNTs)によって形成された固定相における、超高速ガスクロマトグラフィーについて述べている。その単層カーボンナノチューブは、化学気相成長により、例えばアルミニウム、モリブデン又は鉄から作られる金属触媒層から、その場成長により得られる。同様に、特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)は、基板に輪郭が描かれ、且つマイクロチャンネルの向かい合う側壁上及び下部壁上に予め堆積された金属触媒層からのその場成長により合成されたナノチューブが埋設されている、少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントについて述べている。
【0011】
この第2の方向で、カーボンナノチューブは一般的に上部壁のないマイクロチャンネル中に、即ち蓋の開いたマイクロチャンネル(又は溝)中に、作られる。このことは、触媒層の堆積の均一性と、ナノチューブの成長と、が制御されることを可能にする。特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)では、保護用のカバーは、それゆえ、ナノチューブが形成された後、基板表面上に堆積され、それによりナノチューブが埋設されたそのマイクロチャンネルを覆う。このカバーは、次に、Si-Si又はSi-ガラス接合を形成する分子シーリング(molecular sealing)により封止され、このことはマイクロチャンネルを塞いで完全にすき間を無くす。同様に、Michael Stadermannらによる論文では、マイクロチャンネルは、ナノチューブが形成された後に、シリコンウェハー上にガラス層を堆積し、且つ陽極封止を行うことにより、塞がれる。
【0012】
カバー封止工程、即ちマイクロチャンネルを塞ぐ工程は、しかしながら、マイクロ流体コンポーネントの製造工程で、重大な工程であることが分かっている。製造工程は実際上、この封止工程及び特にそれが課す制約と両立しなければならない。一般的に、ナノチューブは、ウェハー・ウェハー封止(wafer-wafer sealing)を行うために必要な前洗浄工程に耐えられず、また、ある種の封止技術の酸化条件下での高温にも耐えられない。ナノチューブは、さらに、封止を行っている表面及び/又は製造工程の間に用いられる装置の雰囲気を汚染しやすい。
【0013】
塞がれた環境中での成長方法は、Mahesh Karwa等により、論文”Gas chromatography on self-assembled single-walled carbon nanotubes” (Anal. Chem. 2006, 78, 2064-2070)に提案されている。単層カーボンナノチューブ(SWNTs)は、ステンレス鋼のキャピラリー管中及びシリカ・コートされたステンレス鋼のキャピラリー管中に、気相で形成される。酢酸モリブデン(molybdenum acetate)と窒化コバルト六水和物(ヘキサハイドレートコバルトナイトライド:hexahydrate cobalt nitride)が溶けたエタノール・ベースの溶液が、水素と同時にキャピラリー管に注入され、それにより触媒の層で管を覆う。次に、化学気相成長(CVD)が行われ、それによってその場成長によりナノチューブを形成する。キャピラリー管に含まれる鉄が多層カーボンナノチューブ(MWNTs)を形成するための触媒として機能するので、シリカ・コートされたキャピラリー管はSWNTsを作るのに好ましい。
【0014】
しかし、このような製造方法、及び、特にエタノール・ベースの溶液による触媒の堆積は、多数の処理操作を必要とし、且つマイクロシステムに適合させることが困難であるので、実行することは現実的ではない。
【0015】
触媒の堆積に関連した制約を避けるため、Chutarat SaridaraとSomenath Mitraは、論文”Chromatography on Self-Assembled Carbon Nanotubes” (Anal. Chem. 2005, 77, 7094-7097)で、キャピラリー管のステンレス鋼の不純物中で見つかった鉄を触媒として用いることを提案した。しかしながら、カーボンナノチューブの構造は、キャピラリー管に沿って不均一であると分かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上述の欠点を除去した、マイクロ流体コンポーネントの製造方法を提供することにある。
【0017】
その上特に、本発明の目的は、ナノ構造体が均一に埋設されている少なくとも1つのマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネントが、簡単且つ安価に得られ得る製造方法を提供することにある。有利には、この方法は、ウェハー上に集合的なコンポーネントを製造する方法と、その上同時にマイクロコンポーネントの環境を汚染することを避ける方法と、両立できなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、この目的は、前記金属触媒の層は、前記カバーと接触するように設計された前記基板の前記表面上にも堆積されており、封止は、前記ナノ構造体が形成される前に、前記金属触媒層の金属と、前記カバーの材料と、の間に共晶化合物を形成する加熱処理により行われる、という事実により達成される。
【0019】
更なる本発明によれば、前記金属触媒の前記層は、前記マイクロチャンネルの前記向かい合う側壁上及び前記下部壁上に堆積されるのと同時に、前記カバーと接触するように設計された前記基板の前記表面上に堆積される。
【0020】
別の更なる本発明によれば、前記カバーと接触するように設計された前記基板の前記表面上に堆積された前記金属触媒の前記層の厚さは、20nmと200nmの間に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
他の利点と特徴は、非限定的な例示の目的のみで与えられ、添付の図面で表現される、以下の本発明のある実施形態の説明から、より明確になる。
【0022】
流体マイクロシステムとも呼ばれるマイクロ流体コンポーネントは、液体をそこに流れさせることが可能な、少なくとも1つの塞がれたマイクロチャンネルを備える。そのマイクロチャンネルは、下部壁及び上部壁と、2つの向かい合う側壁と、によって輪郭が描かれ、ナノチューブ及び特にカーボンナノチューブの様なナノ構造体が埋設されている。
【0023】
コンポーネントは、例えばシリコン、酸化シリコン又はガラスで作られる基板の表面に、予めそのマイクロチャンネルの下部壁と、向かい合う2つの側壁と、を形成することにより実現される。そのマイクロチャンネルの上部壁の形成は、例えばシリコン、酸化シリコン又はガラスから選択される材料を含んでいるカバーをその基板の表面に取り付け、カバーをその表面上に封止することにより行われる。次に、マイクロチャンネルに埋設されるナノ構造体は、そのマイクロチャンネルの向かい合う側壁上と、下部壁上と、に堆積された金属触媒の層から、その場成長により形成される。
【0024】
この様にして、従来技術、及び、その上特に特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)に記述されている製造方法とは異なり、マイクロチャンネルの上部壁は、ナノ構造体が形成される前に形成される。その上特に、ナノ構造体の形成に用いられるものと同一の金属触媒の層が基板上にも堆積される。その層は、その上特に、カバーと接触するように設計された基板の表面に堆積される。次に、封止は、ナノ構造体の形成の前に、共晶化合物が形成されることを可能にする加熱処理を行うことにより行われる。共晶化合物は、金属触媒層の金属と、カバーの材料又は有利にはそのカバーを構成している材料と、の間の共晶化合物である。
【0025】
例えば、図1から図10は、3つの塞がれたマイクロチャンネルを備えるマイクロ流体コンポーネント1の、ある実施形態を示す。塞がれたマイクロチャンネルが意味することは、流体の通過用の入口及び出口を備え、しかしマイクロチャンネル2の下部を形成する下部壁3及び2つの向かい合う側壁4と5のみによるのではなく、上部壁6によっても輪郭が描かれる、微視的大きさのマイクロチャンネルである。有利には、下部壁3と上部壁6の間の間隔Pは5μmと100μmの間に含まれるが、2つの向かい合う側壁4と5の間の間隔Lは好ましくは1μmと500μmの間に含まれる。
【0026】
各々のマイクロチャンネル2の下部壁3と2つの向かい合う側壁4と5は、基板7、例えば約450μmの厚さと100mmの直径を有するシリコンウェハー、に形成されている。
【0027】
従って、図1から図5に示されている様に、3つのマイクロチャンネル2は、例えば自由表面7a(free surface)を備える基板7の選択性エッチングにより形成される。選択性エッチングを行うために、自由表面7aの全体は、図1で、フォトレジスト層8によって覆われる。次に、図2と図3に示される様に、層8はフォトリソグラフィーによってパターン8aの形にかたどられる。パターン8aは、従って、層8を、マスク9を通してUV放射(矢印F1)に曝し、次に層8の露光領域を取り除くことにより形成される。次に、図4に示される様に、基板7はディープ・リアクティブ・イオン・エッチング(DRIE)工程を経る。エッチング工程は、基板7のエッチングがパターン8aによって覆われていない基板7の領域のレベルのみで行われる限りでは、選択的であると言われている。従って、図5に示されている様に、それは、各々のマイクロチャンネル2の側壁4と5と下部壁3とを形成している表面によって基板7に輪郭が描かれている、開口(又は溝)が基板7の表面7aに形成されることを可能にする。一旦基板7がエッチングされると、フォトレジスト層のパターン8aは取り除かれ、それにより、そのマイクロチャンネル2を備える基板7の表面7aを開放する。
【0028】
図6に示される様に、金属触媒の堆積工程が次に行われる。各々のマイクロチャンネル2の側壁4と5と下部壁3は、従って金属触媒の層9で覆われる。さらに、基板7の自由表面7aも金属触媒で覆われる。同一の金属触媒によって形成される層10は、それゆえその表面7aを覆う。それは、有利には、層9がマイクロチャンネルの側壁4と5と下部壁3とを覆うのと同時に堆積される。
【0029】
金属触媒を形成する金属は、好ましくはニッケル、コバルト、鉄及び金から選ばれる。それは、物理的蒸着技術(physical deposition technique)、例えばスパッタリング若しくは蒸発、又は、化学的若しくは電解析出(electrolytic deposition)技術、によって堆積され得る。用いられる技術次第で、堆積条件は最適化される。それによって、基板7の自由表面7a上の十分な厚さeの金属触媒10の層を得て、それによって続く封止工程を行うことができ、且つナノ構造体の成長に適合した厚さe’を有する側壁4と5上の金属触媒9の層を得る。
【0030】
基板7の自由表面7a上に堆積された金属触媒層10の厚さeは、好ましくは20nmと200nmの間に含まれるが、側壁4と5上に堆積された金属触媒層9の厚さe’は、有利には1nmと20nmの間に含まれる。
【0031】
それゆえ、図7から図9に示される様に、ナノ構造体(例えばカーボンナノチューブ)が形成される前に、次に、金属触媒層10は保護用のカバー11と基板7との間の封止を行うために用いられる。
【0032】
封止は、それゆえ金属触媒層10の金属とカバー11の材料との間の共晶化合物を形成することにより行われる。カバー11の材料は、有利にはシリコン、酸化シリコン及びガラスから選択される。図7に示される様に、保護用のカバー11は基板7の表面7aを覆っている層10の上に置かれ又は配置される(矢印F2)。その結果、有利には、カバー11の平らな表面11aは、基板7の表面7a、及び、その上特に表面7a上に配置されている層10と接触するようになる。次に、図8に示される様に、熱処理(矢印F3)は、層10に含まれている金属がカバー11に拡散できるようにして、その金属とカバーの材料との間の共晶化合物12を形成する、予め決められた温度で行われる。それゆえ、一旦保護用のカバー11が基板7上に封止されると、カバー11の表面11aは、表面7aと接触する部分と、マイクロチャンネル7に面して配置される部分と、を備える。マイクロチャンネル7に面して配置される表面11aのその部分は、それゆえそのマイクロチャンネル2の上部壁6を形成し、その結果それらが塞がれるようにする。
【0033】
例えば、ニッケルから作られる層10と、シリコン又は酸化シリコンから作られるカバー11と、に関して、封止は、ニッケルシリサイドが形成されることを可能にする熱処理を行うことにより行われ得る。Zhi-Xiong Xiaoらにより論文“Low temperature silicon wafer-to-wafer bonding with nickel silicide” (J.Electrochem. Soc., Vol 145, No4, April 1998)で述べられている様に、このような封止技術は、例えば440℃の熱処理温度でのニッケルシリサイドの形成により、2枚のシリコンウェハーを封止することが知られている。
【0034】
本発明の範囲内で、封止を行うために用いられる金属は、マイクロチャンネル2内におけるナノ構造体の形成用の金属触媒の役目もする。図6で、側壁4と5上及び下部壁3上に堆積された金属触媒層9は、それゆえ、カーボンナノチューブのようなナノ構造体の成長に触媒作用が及ぼされることを可能にする。カーボンナノチューブは、例えば700℃の温度で、大気圧下で、炭素ガスとしてアセチレンを用いて行われる、化学気相成長(CVD)によって得られる。それゆえ、1つ且つ同一の温度サイクルで、ナノ構造体の3つのセット、それぞれ13a,13b,13c、は、図10で、各々の壁4,5及び3にほぼ垂直に、成長により形成される。その上有利には、図10に示されるように、ナノ構造体13aの大多数をナノ構造体13bにつなげることが可能であり、それによりマイクロチャンネル2を埋設する。切断する次の工程は、次に、各々がナノ構造体で完全に埋設されている1つ又はそれ以上のマイクロチャンネル2を備える、マイクロリアクタを形成するために行われ得る。
【0035】
図11と図12に示される別の実施形態で、更なる金属触媒層14がカバー11の表面11aの全体上に堆積される。カバー11の表面11aは、そのカバーが基板7の表面7aに置かれた時に、基板7の表面7aと接触するように設計された表面である。それゆえ、一旦カバーが基板7の表面7aに置かれ、封止が行われると、マイクロチャンネル2に面して配置されていて、且つそのマイクロチャンネル2の上部壁6を形成している、表面11aの部分は、金属触媒により覆われたままであり、それゆえ更なる金属触媒層14からのナノ構造体13dのその場成長のシートであり得る。ナノ構造体13dは、それゆえ、各々のマイクロチャンネル2の上部壁6上に形成される。
【0036】
本発明によるマイクロ流体コンポーネントの製造方法は、それゆえ、2重の機能を持つ金属:
− カバーと基板の間の封止用前駆体(precursor)
− 及び、ナノ構造体の成長用の触媒、
が使われることを可能にする。このことは、特に特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)に記述されているコンポーネントと比較して、行われるべき複数の技術的な工程が削減され、それゆえ、コンポーネントの製造コストを削減する、ということを意味する。特許出願WO-A-2006/122697(国際公開第2006/122697(A)号パンフレット)では、金属触媒の堆積作業が行われる時、金属触媒の層は、実際上、残っているフォトレジスト層のパターン上に堆積され、それにより、ナノ構造体の成長前にそのパターンと共に取り除かれ、そして、封止はナノ構造体の成長後に行われる。しかし、図1から図12に示される実施形態では、ナノ構造体の成長前に、金属触媒は、パターン8aが取り除かれた後、マイクロチャンネル2の壁3,4,5上のみでなく基板7の自由表面7a上にも堆積され、カバー11の封止を確実にする。
【0037】
マイクロチャンネルは、それゆえ、ナノ構造体の成長が行われる前に塞がれる。しかし、このような製造方法で、その場成長により得られるナノ構造体の成長は、マイクロチャンネルの閉鎖にもかかわらず、均一のままである。
【0038】
最終的に、この様な方法は、シリコンウェハー上に集合的なコンポーネントを製造する方法と両立でき、且つ如何なる成長後の技術的な工程も必要とせず、それは、これらの堆積を行うために用いられるデポジションチャンバーとクリーンルーム、又は工程が行われる時に存在する操作者のような、コンポーネントの外側の環境の如何なる汚染も避ける。
【0039】
この様な方法により得られるマイクロ流体コンポーネントは、様々な応用に用いられ得る。例えば、それは以下の様に用いられ得る。
− 触媒分解(catalytic decomposition)のサポート:ナノ構造体の壁がプラチナの堆積によって覆われる場合、マイクロコンポーネントは、例えばより低い温度で、酸素による、COのCO2への完全な酸化を行うために用いられ得る。
− 酵素のグラフティングのサポート:カーボンナノチューブは、容易に機能化され得る。ナノチューブはトリプシンの様な酵素によりグラフトされ得、それによりマイクロコンポーネントを蛋白質の分解用に用いる。
− 固定相のサポート:カーボンナノチューブは、クロマトグラフィーの応用に直接的に有用な固定相を構成する。それらは、様々な化学分子によっても機能化され得る。
【0040】
本発明は、図1から図12に示されている実施形態に限定されない。例えば、マイクロチャンネル又はマイクロ流体コンポーネントのマイクロチャンネル2は、如何なるタイプの形状をも有し得る。それらの入口は、さらに、それ自体が入口マイクロチャンネル(inlet microchannel)に接続されている流体分割領域(fluid division area)に接続され得るが、それらの出口はそれ自体が出口マイクロチャンネル(outlet microchannnel)に接続されている流体集合領域(fluid assembly area)に接続され得る。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図2】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図3】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図4】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図5】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図6】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図7】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図8】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図9】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図10】本発明による製造方法のある実施形態の異なる連続する工程を概略的に表す断面図である。
【図11】図1から図10に表される実施形態の変形の工程を概略的に表す断面図である。
【図12】図1から図10に表される実施形態の変形の工程を概略的に表す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部壁(3)及び上部壁(6)と、2つの向かい合う側壁(4,5)と、によって輪郭が描かれる、少なくとも1つのマイクロチャンネル(2)を備えるマイクロ流体コンポーネント(1)の製造方法であって、
− 基板(7)の表面(7a)に、前記マイクロチャンネル(2)の前記下部壁(3)及び前記2つの向かい合う側壁(4,5)を形成し、
− 前記マイクロチャンネル(2)の前記下部壁(3)と前記2つの向かい合う側壁(4,5)とに堆積された金属触媒層(9)からの、その場成長により、前記マイクロチャンネル(2)に埋設されているナノ構造体(13a,13b,13c)を形成し、
− 前記基板(7)の前記表面(7a)上にカバー(11)を置き、且つ前記カバー(11)を前記表面(7a)上に封止することにより、前記マイクロチャンネル(2)の前記上部壁(6)を形成し、
前記金属触媒の層(10)は、前記カバー(11)と接触するように設計された前記基板(7)の前記表面(7a)上にも堆積されており、
封止は、前記ナノ構造体(13a,13b,13c)が形成される前に、前記金属触媒層(10)の金属と、前記カバー(11)の材料と、の間に共晶化合物(12)を形成する加熱処理により行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記金属触媒の前記層(10)は、前記マイクロチャンネル(2)の前記向かい合う側壁(4,5)上及び前記下部壁(3)上に堆積されると同時に、前記カバー(11)と接触するように設計された前記基板(7)の前記表面(7a)上に堆積されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カバー(11)と接触するように設計された前記基板(7)の前記表面(7a)上に堆積された前記金属触媒の前記層(10)の厚さ(e)は、20nmと200nmの間に含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロチャンネル(2)の前記向かい合う側壁上及び前記下部壁(3)上に堆積された前記層(9)の厚さ(e’)は、1nmと20nmの間に含まれることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
ナノ構造体(13d)は、前記壁(6)上に堆積された金属触媒(14)の付加層から、その場成長により、前記マイクロチャンネル(2)の前記上部壁(6)上に形成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
金属触媒(14)の前記更なる層は、前記カバー(11)の前記表面(11a)の全体に堆積されており、前記カバー(11)が置かれた時に、前記基板(7)の前記表面(7a)と接触するように設計されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属触媒は、ニッケル、コバルト、鉄及び金から選択されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カバー(11)の前記材料は、シリコン、酸化シリコン及びガラスから選択されることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロチャンネル(2)の前記2つの向かい合う側壁(4,5)の間の間隔(L)は、1μmと500μmの間に含まれることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロチャンネル(2)の前記上部壁(6)と下部壁(3)の間の間隔(P)は、5μmと100μmの間に含まれることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の方法。
【請求項1】
下部壁(3)及び上部壁(6)と、2つの向かい合う側壁(4,5)と、によって輪郭が描かれる、少なくとも1つのマイクロチャンネル(2)を備えるマイクロ流体コンポーネント(1)の製造方法であって、
− 基板(7)の表面(7a)に、前記マイクロチャンネル(2)の前記下部壁(3)及び前記2つの向かい合う側壁(4,5)を形成し、
− 前記マイクロチャンネル(2)の前記下部壁(3)と前記2つの向かい合う側壁(4,5)とに堆積された金属触媒層(9)からの、その場成長により、前記マイクロチャンネル(2)に埋設されているナノ構造体(13a,13b,13c)を形成し、
− 前記基板(7)の前記表面(7a)上にカバー(11)を置き、且つ前記カバー(11)を前記表面(7a)上に封止することにより、前記マイクロチャンネル(2)の前記上部壁(6)を形成し、
前記金属触媒の層(10)は、前記カバー(11)と接触するように設計された前記基板(7)の前記表面(7a)上にも堆積されており、
封止は、前記ナノ構造体(13a,13b,13c)が形成される前に、前記金属触媒層(10)の金属と、前記カバー(11)の材料と、の間に共晶化合物(12)を形成する加熱処理により行われる、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記金属触媒の前記層(10)は、前記マイクロチャンネル(2)の前記向かい合う側壁(4,5)上及び前記下部壁(3)上に堆積されると同時に、前記カバー(11)と接触するように設計された前記基板(7)の前記表面(7a)上に堆積されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カバー(11)と接触するように設計された前記基板(7)の前記表面(7a)上に堆積された前記金属触媒の前記層(10)の厚さ(e)は、20nmと200nmの間に含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロチャンネル(2)の前記向かい合う側壁上及び前記下部壁(3)上に堆積された前記層(9)の厚さ(e’)は、1nmと20nmの間に含まれることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
ナノ構造体(13d)は、前記壁(6)上に堆積された金属触媒(14)の付加層から、その場成長により、前記マイクロチャンネル(2)の前記上部壁(6)上に形成されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
金属触媒(14)の前記更なる層は、前記カバー(11)の前記表面(11a)の全体に堆積されており、前記カバー(11)が置かれた時に、前記基板(7)の前記表面(7a)と接触するように設計されていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属触媒は、ニッケル、コバルト、鉄及び金から選択されることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カバー(11)の前記材料は、シリコン、酸化シリコン及びガラスから選択されることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロチャンネル(2)の前記2つの向かい合う側壁(4,5)の間の間隔(L)は、1μmと500μmの間に含まれることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロチャンネル(2)の前記上部壁(6)と下部壁(3)の間の間隔(P)は、5μmと100μmの間に含まれることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−142976(P2009−142976A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−247639(P2008−247639)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247639(P2008−247639)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(502142323)コミサリア、ア、レネルジ、アトミク (195)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
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