説明

ナビゲーションシステムおよび車載装置

【課題】様々なニーズを有する多様な利用者を満足させつつ、プローブ情報に基づく高精度なサービスを提供すること。
【解決手段】プローブ情報取得部が、車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得し、送信部が、プローブ情報取得部によって取得されたプローブ情報を上位装置へ送信し、サブ機能有効化部が、プローブ情報に基づく道路交通情報の使用を上位装置から許可された場合にのみ、道路交通情報の提供機能を有効化するように車載装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両に搭載される車載装置と、車載装置にネットワーク接続されるサーバ装置とで車両に対するナビゲーションを行うナビゲーションシステムおよび車載装置に関し、特に、様々なニーズを有する多様な利用者を満足させつつ、プローブ情報に基づく高精度なサービスを提供することができるナビゲーションシステムおよび車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS(Global Positioning System)を利用して車両のナビゲーションを行う車載ナビゲーション装置が知られている。かかる車載ナビゲーション装置は、地図情報上に現在の車両位置や進行方向を重畳表示するとともに、目的地までの経路探索機能や、探索した経路を案内する経路案内機能を有することが一般的である。
【0003】
そして、近年では、地図情報の詳細化に伴う地図データや案内用音声データの増大に対応するために、大容量の記憶容量を有するHDD(Hard Disk Drive)を備えたいわゆるHDDナビが登場するに至っている。
【0004】
また、特定の車載ナビゲーション装置を搭載した車両をセンサ代わりに用い(プローブカー)、各プローブカーから収集したプローブ情報(たとえば、時刻情報、位置情報、速度情報)に基づいて渋滞情報などの交通情報を作成する交通情報作成システムも提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
この交通情報作成システムに用いられる車載ナビゲーション装置は、センター等と通信する通信機能を備えている。このため、現状の車載ナビゲーション装置は、高機能かつ高価格という傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−84260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、車載ナビゲーション装置の購入を希望する利用者の中には、あらかじめ用意された機能のうち一部の機能しか必要としない利用者や、自宅の近辺のごく限られた範囲のみしか走行しない利用者も存在する。そして、このような利用者は、高機能な車載ナビゲーション装置に伴う高価さゆえに、車載ナビゲーション装置の購入自体を見送る可能性が高いという問題がある。
【0008】
しかし、このように車載ナビゲーションの購入が見送られてしまうと、特許文献1の前提となっているプローブカーの台数が十分に増加せず、精度の高い交通情報の作成が困難となってしまう。そして、プローブカーの台数が十分でないと、精度の良い交通情報を欲してプローブ情報利用型の高価な車載ナビゲーション装置を購入した利用者を満足させることができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、様々なニーズを有する多様な利用者を満足させつつ、プローブ情報に基づく高精度なサービスを提供することができるナビゲーションシステムおよび車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、車両に搭載される車載装置と、前記車載装置にネットワーク接続されるサーバ装置とで前記車両に対するナビゲーションを行うナビゲーションシステムであって、前記車載装置は、当該車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、前記プローブ情報取得手段によって取得されたプローブ情報を前記サーバ装置へ送信する送信手段と、前記ナビゲーションに関する1または複数のサブ機能について、前記サーバ装置から使用を許可された前記サブ機能のみを有効化する有効化手段とを備え、前記サーバ装置は、前記車載装置から受信した前記プローブ情報に基づいて道路交通情報を生成する生成手段と、前記サブ機能の使用を許可するか否かを前記車載装置ごとに定めた情報である使用許可情報を記憶する許可情報記憶手段と、前記道路交通情報の使用が前記使用許可情報において許可されている前記車載装置に対して前記道路交通情報を提供する提供手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、車両に搭載される車載装置であって、当該車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、前記プローブ情報取得手段によって取得されたプローブ情報を上位装置へ送信する送信手段と、前記プローブ情報に基づく道路交通情報の使用を前記上位装置から許可された場合にのみ、当該道路交通情報の提供機能を有効化する有効化手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車載装置は、車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得し、取得されたプローブ情報をサーバ装置へ送信し、ナビゲーションに関する1または複数のサブ機能について、サーバ装置から使用を許可されたサブ機能のみを有効化し、サーバ装置は、車載装置から受信したプローブ情報に基づいて道路交通情報を生成し、サブ機能の使用を許可するか否かを前記車載装置ごとに定めた情報である使用許可情報を記憶し、道路交通情報の使用が使用許可情報において許可されている車載装置に対して道路交通情報を提供することとしたので、プローブ情報の取得元と、プローブ情報に基づいて作成される道路交通情報の提供先とをあえて異ならせることができる仕組みを提供することで、様々なニーズを有する多様な利用者を満足させつつ、プローブ情報に基づく交通情報などの高精度なサービスを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係るナビゲーション手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係るナビゲーションシステムのネットワーク図である。
【図3】図3は、車載装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、アプリ配置およびデータ配置の一例を示す図である。
【図5】図5は、サーバ装置の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、契約プランの例を示す図である。
【図7】図7は、渋滞情報関連サブ機能用の使用許可情報の一例を示す図である。
【図8】図8は、車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、サーバ装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るナビゲーション手法を適用した車載装置およびナビゲーションシステムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係るナビゲーション手法の概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係るナビゲーション手法を適用したナビゲーションシステムについての実施例を図2〜図9を用いて説明することとする。
【0015】
まず、実施例の詳細な説明に先立ち、本発明に係るナビゲーション手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係るナビゲーション手法の概要を示す図である。なお、同図の(A)には、従来技術に係るナビゲーション手法の概要を、同図の(B)には、本発明に係るナビゲーション手法の概要を、それぞれ示している。
【0016】
図1の(A)に示すように、従来技術に係るナビゲーション手法では、プローブ情報を取得して送信する機能を有する車載装置を用い(図1の(A−1)参照)、車載装置から送信されたプローブ情報をサーバ装置で収集することで、道路交通情報を生成していた(図1の(A−2)参照)。そして、サーバ装置は、生成した道路交通情報を、各プローブカーへ送信していた(図1の(A−3)参照)。
【0017】
ここで、「プローブ情報」とは、情報取得時刻、車両位置、車両速度といったデータを含んだ情報である。また、「プローブカー」とは、プローブ情報を取得して送信する機能を有する車載装置(以下、「プローブ型車載装置」と記載する)が搭載された車両のことを指す。そして、「道路交通情報」とは、時々刻々と変化する渋滞情報などのリアルタイムな交通情報のことを指す。
【0018】
すなわち、従来技術に係るナビゲーション手法では、プローブ型車載装置それぞれが、プローブ情報に基づいて作成される道路交通情報を受け取る権利を有することを前提としているといえる。
【0019】
言い換えると、リアルタイムな道路交通情報を受け取りたい利用者は、プローブ情報の取得機能および送信機能を有する車載装置を購入する必要がある。しかし、プローブ型車載装置は、このような機能を有さない非プローブ型車載装置と比較して高価であることが一般的である。それにも関わらず、利用者が高価なプローブ型車載装置を購入するのは、プローブ情報に基づいてリアルタイムに作成される道路交通情報の恩恵を受けたいためであると考えられる。
【0020】
ここで、プローブ情報に基づく道路交通情報の精度を実用性のあるレベルに保つためには、プローブカーの台数が十分に多いことが必要条件となる。しかし、上記したようにプローブ情報型車載装置は高価であるため、プローブ情報型車載装置を搭載したプローブカーの台数が伸び悩んでいるという現状がある。このため、リアルタイムな道路交通情報の利便性に期待してプローブ情報型車載装置を購入した利用者は、購入価格に見合ったサービスを受けられない結果となってしまっていた。
【0021】
そこで、本発明に係るナビゲーション手法では、プローブカーの台数を増加させる仕組みや、ナビゲーション機能を細分化したサブ機能ごとに使用許可を与える仕組みを提供することで、様々なニーズを有する多様な利用者の満足度の向上を図ることとした。
【0022】
図1の(B)に示したように、本発明に係るナビゲーション手法では、サーバ装置側に「使用許可情報」を設け、かかる使用許可情報において使用を許可されているプローブカー(車載装置)へのみ、プローブ情報に基づく道路交通情報を提供することとした。すなわち、本願発明に係るナビゲーション手法は、すべてのプローブカーがプローブ情報に基づく道路交通情報を受ける権利を有するという従来の仕組みに代えて、特定のプローブカーのみがかかる道路交通情報を受ける権利を有するというあらたな仕組みを提案するものである。
【0023】
このため、本願発明に係るナビゲーション手法は、プローブ情報の取得元と、プローブ情報に基づいて作成される道路交通情報の提供先とをあえて異ならせることができる仕組みを有している。
【0024】
具体的には、本願発明に係るナビゲーション手法は、プローブカーに搭載された車載装置がプローブ情報を送信すると(図1の(B−1)参照)、プローブ情報を収集するサーバ装置は、収集したプローブ情報に基づいて道路交通情報を生成する(図1の(B−2)参照)。
【0025】
ここで、本願発明に係るナビゲーション手法では、サーバ装置が、使用許可情報に基づいて道路交通情報の提供先を限定する処理を行う。そして、使用許可情報において、使用許可ありとされたプローブカー(車載装置)へのみ、生成した道路交通情報を提供する(図1の(B−3)参照)。
【0026】
すなわち、本願発明に係るナビゲーション手法によれば、プローブ情報の取得および送信機能を少なくとも備えた廉価な車載装置を用意することで、プローブカーの台数増加を図ることができる。そして、利用者が希望する場合には、サーバ装置を介した使用許可をネットワーク経由で付与することで、使用可能な機能を増加させることができる。ここで、使用許可の対象は、上記した道路交通情報を提供するサブ機能には限られず、検索、経路探索、音声案内といった各種サブ機能をも含む。
【0027】
したがって、本願発明に係るナビゲーション手法によれば、様々なニーズを有する多様な利用者を満足させつつ、プローブ情報に基づく交通情報などの提供用情報を精度良く生成し、利用者へ提供することができる。なお、本願発明に係るナビゲーション手法は、車載装置で使用が許可されるサブ機能の組合せに応じた柔軟な課金処理を行うことができるが、この点については、図6等を用いて後述することとする。
【0028】
以下では、図1を用いて説明したナビゲーション手法を適用したナビゲーションシステムおよび車載装置についての実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、すべての車載装置がプローブ情報の取得機能および送信機能を有する場合について説明するが、これらの機能を有しない車載装置をナビゲーションシステムに含めることとしてもよい。また、以下に示す実施例では、「車載装置を購入した利用者」といった記載を行うが、車載装置の価格が無料である場合にも、便宜的に「購入」という用語を用いるものとする。
【0029】
なお、車載装置の価格については、ナビ機能やタッチパネルディスプレイなどの基本となる構成に見合うハードウェア価格を無料または市場で競争力を保つことができる価格とし、音楽や動画の再生機能や、携帯電話などの携帯端末との通信機能に対応するオプションハードウェアについては、有料とすることとしてもよい。
【実施例】
【0030】
図2は、本実施例に係るナビゲーションシステム1のネットワーク図である。同図に示すように、本実施例に係るナビゲーションシステム1は、車両に搭載される車載装置10と、複数の車載装置10と通信するサーバ装置20とを含んでいる。なお、サーバ装置20は、電波塔などの送受信施設経由で、各車載装置10と通信する。
【0031】
ナビゲーションシステム1は、いわゆる配信型のナビゲーション手法をとっており、車載装置10は、必要最小限のハードウェアで構成されている。そして、従来の車載ナビゲーション装置が標準的に備えている検索機能や、経路探索機能といった機能は、サーバ装置20側に移管されており、車載装置10は、サーバ装置20と通信することで、これらの機能を提供する。
【0032】
具体的には、車載装置10は、キャッシュ用メモリと、ナビアプリ実行環境と、描画エンジンとを備えている。キャッシュ用メモリは、サーバ装置20から車載装置10へ配信される配信用地図データや、配信用アプリを保存するメモリである。ここで、ナビゲーションシステム1は配信型のナビゲーション手法をとっているため、車載装置10は、HDDナビのように大容量の記憶部を要しない。したがって、車載装置10のハードウェアコストを削減することができる。
【0033】
また、ナビアプリ実行環境は、サーバ装置20から配信される配信用アプリを実行するハードウェア環境を指す。ここで、ナビアプリ実行環境は、キャッシュ用メモリに対するアクセスを行いつつ、配信用アプリを動作させるCPU(Central Processing Unit)の機能を有するものとする。なお、上記したように、検索機能や、経路探索機能といった機能は、サーバ装置20側へ移管されているので、従来の車載ナビゲーション装置よりも低い処理性能のCPUで足りる。したがって、車載装置10のハードウェアコストを削減することができる。
【0034】
そして、描画エンジンは、図示しないディスプレイに表示される地図画面や、メニュー画面等を生成する処理を行うデバイスである。このように、車載装置10のハードウェア構成は、従来の車載ナビゲーション装置に比べてシンプルかつ低コストなものとなっている。したがって、後述するように、車載装置10を、たとえば、無償で提供するといった運用も可能となる。なお、図1を用いて既に説明したように、車載装置10は、プローブ情報を取得してサーバ装置20へ送信する機能を有するものとする。
【0035】
一方、サーバ装置20は、配信用地図データや、配信用アプリを記憶しており、検索エンジンや、経路探索エンジンを備えている。配信用地図データは、所定のメッシュサイズで区分された地図データであり、たとえば、車載装置10を購入した利用者の自宅近辺のメッシュ地図を基準地図データとして配信する。そして、利用者が選択したプラン(利用者とサービス提供者との間で交わされた契約)に応じたメッシュ地図を適宜、配信する。
【0036】
配信用アプリは、たとえば、ナビゲーション機能を実現するためのアプリ(ソフトウェア)であり、車載装置10の購入後に、車載装置10へ配信される。なお、ナビゲーション機能を細分化したサブ機能ごとに配信用アプリを用意しておき、利用者が選択したプランに応じ、対応する配信用アプリを都度、配信することとしてもよい。
【0037】
検索エンジンは、車載装置10から受信したキーワードに応じ、利用者が所望する施設や、地名等を検索するソフトウェアである。また、経路探索エンジンは、車載装置10から受信した現在位置や目的地に応じ、現在地から目的地までの候補経路を探索するソフトウェアである。
【0038】
このように、ナビゲーションシステム1は、従来の車載ナビゲーション装置が標準的に有していた機能について、最小限の機能のみを車載装置10側に残しつつ、その他の機能については、サーバ装置20側へ移管することで、車載装置10のコスト低減を図っている。そして、地図データの更新や、アプリの更新といったアフターメンテナンスについては、サーバ装置20主導で行うことで、利用者の利便性向上を図っている。
【0039】
次に、車載装置10の構成について図3を用いて説明する。同図に示すように、車載装置10は、GPS(Global Positioning System)部11と、車速取得部12と、ジャイロ部13と、表示操作部14と、通信インタフェース15と、制御部16と、記憶部17とを備えている。
【0040】
また、制御部16は、プローブ情報取得部16aと、使用要求部16bと、サブ機能有効化部16cと、サブ機能実行部16dと、送信部16eと、受信部16fとをさらに備えている。そして、記憶部17は、アプリ17aと、地図データ17bとを記憶する。
【0041】
GPS部11は、GPS衛星から受信した電波に基づいて車載装置10の位置、すなわち、自車位置を取得する処理を行うデバイスである。なお、このGPS部11は、取得した自車位置を制御部16のプローブ情報取得部16aへ渡す処理を併せて行う。
【0042】
車速取得部12は、車載装置10が搭載される車両から走行速度を取得する処理を行うデバイスである。なお、この車速取得部12は、取得した走行速度を制御部16のプローブ情報取得部16aへ渡す処理を併せて行う。
【0043】
ジャイロ部13は、たとえば、ヨー方向の運動、すなわち、車両の走行方向を取得する処理を行うジャイロである。ここで、ジャイロ部13を3軸ジャイロ(ピッチ方向、ロール方向およびヨー方向の運動を検出するジャイロ)で構成することとしてもよいが、車載装置10のコスト低減の観点からは、ヨー方向のジャイロのみで構成することが好ましい。なお、このジャイロ部13は、取得した走行方向を制御部16のプローブ情報取得部16aへ渡す処理を併せて行う。
【0044】
表示操作部14は、たとえば、タッチパネルディスプレイなどの入出力デバイスであり、利用者の操作を受け付ける処理を行うとともに、ナビ画面などを表示する処理を行う。また、通信インタフェース15は、無線通信デバイスであり、車載装置10とサーバ装置20との間のデータ送受信を行う。
【0045】
制御部16は、車載装置10の全体制御を行う制御部である。プローブ情報取得部16aは、GPS部11から受け取った自車位置、車速取得部12から受け取った走行速度、ジャイロ部13から受け取った走行方向を含んだプローブ情報を生成する処理を行う処理部である。なお、このプローブ情報取得部16aは、プローブ情報に対してプローブ情報の生成時刻を付加したうえで、送信部16e経由および通信インタフェース15経由でサーバ装置20へ送信する処理を併せて行う。また、このプローブ情報取得部16aは、車載装置10とは別体として構成されていても、車載装置10と協動して上記した処理を果たすものであればよい。
【0046】
使用要求部16bは、表示操作部14から受け取った操作内容に基づき、ナビゲーション機能自体の使用要求、ナビゲーション機能を細分化したサブ機能の使用要求を、送信部16e経由および通信インタフェース15経由サーバ装置20へ送信する処理を行う処理部である。なお、この使用要求部16bがナビゲーション機能自体の使用要求を行った場合であって、サーバ装置20がかかる使用要求を許可した場合には、サーバ装置20からナビゲーション機能に対応するアプリ17aが配布される。
【0047】
たとえば、この使用要求部16bは、車載装置10の出荷段階で無効とされているナビゲーション機能の使用要求をサーバ装置20へ送信する。また、使用要求部16bは、利用者が契約プランの変更を希望する場合には、利用者もしくは販売店店員の操作に応じ、ナビゲーション機能におけるサブ機能の使用開始または使用終了の要求をサーバ装置20へ送信する。
【0048】
サブ機能有効化部16cは、受信部16f経由でサーバ装置20からサブ機能の有効化指示を受けた場合に、該当するサブ機能を有効化するようにサブ機能実行部16dへ指示する処理を行う。なお、このサブ機能有効化部16cは、サーバ装置20からサブ機能の無効化指示を受けた場合には、該当するサブ機能を無効化するようにサブ機能実行部16dへ指示する処理を併せて行う。
【0049】
サブ機能実行部16dは、アプリ17aを実行するとともに、アプリ17aが生成した画面等を表示操作部14へ表示させる処理を行う処理部である。ここで、サブ機能実行部16dは、サブ機能有効化部16から有効化指示を受けたサブ機能のみを実行する。
【0050】
送信部16eは、プローブ情報取得部16aから受け取ったプローブ情報、使用要求部16bから受け取った使用開始要求および使用終了要求を、通信インタフェース15経由でサーバ装置20へ送信する処理を行う処理部である。
【0051】
また、受信部16fは、サーバ装置20から通信インタフェース15経由でサブ機能有効化指示またはサブ機能無効化指示を受信した場合に、これらの指示をサブ機能有効化部16cへ渡す処理を行う処理部である。また、この受信部16fは、サーバ装置20から通信インタフェース15経由で、配布用アプリや配布用地図データを受信した場合には、受信した配布用アプリや配布用地図データを、記憶部17へ登録する処理を併せて行う。
【0052】
記憶部17は、不揮発性メモリ、たとえば、メモリカード等で構成された記憶デバイスであり、アプリ17aおよび地図データ17bを記憶する。アプリ17aは、サーバ装置20から配布されるアプリ(ソフトウェア)であり、たとえば、ナビゲーション機能自体に対応するアプリ、ナビゲーション機能を細分化したサブ機能に対応するアプリなどがある。なお、ナビゲーション機能自体に対応するアプリについては、出荷段階で車載装置10へあらかじめインストールしておき、使用要求部16b経由で最初の使用要求がなされた場合に、アプリの実行を許可することとしてもよい。
【0053】
地図データ17bは、車載装置10を購入した利用者の自宅近辺のメッシュ地図である基準地図データや、利用者が選択したプラン(利用者とサービス提供者との間で交わされた契約)に応じて適宜、サーバ装置20から配信されるメッシュ地図である。なお、基準地図データは、使用要求部16b経由で最初の使用要求が行われた場合に、サーバ装置20から配信される。
【0054】
次に、車載装置10の記憶部17に記憶されるアプリ17aおよび地図データ17bについて、図4を用いてさらに詳細に説明する。図4は、アプリ配置およびデータ配置の一例を示す図である。なお、同図の(A)には、アプリ配置の一例を、同図の(B)には、データ配置の一例を、それぞれ示している。
【0055】
図4の(A)に示すように、ナビゲーション機能を細分化したサブ機能は、車載装置10側と、サーバ装置20側とに分散配置される。ここで、車載装置10側には、「マッチング」サブ機能、「学習」サブ機能、「案内・誘導」サブ機能、「地図描画」サブ機能が配置される。なお、これらのサブ機能にそれぞれ対応するアプリを、サーバ装置20が車載装置10へ配布することとしてもよい。
【0056】
ここで、「マッチング」サブ機能とは、自車位置を示すシンボルが、地図上の道路から外れないように補正する処理を行う機能である。また、「学習」サブ機能とは、たとえば、マッチング処理時の補正を行う機能である。また、「案内・誘導」サブ機能とは、利用者が選択した目的地までの経路について、経路案内や、経路誘導を行う機能である。そして、「地図描画」サブ機能とは、地図データの描画や、自車位置を示すシンボルの合成といった画像処理を行う、いわゆる、描画エンジンである。
【0057】
一方、サーバ装置20側には、「探索(初期探索、再探索)」サブ機能、「渋滞反映」サブ機能、「検索」サブ機能、「地図更新」サブ機能が配置される。
【0058】
ここで、「探索(初期探索、再探索)」サブ機能は、車載装置10から受信した探索指示に基づき、現在位置から目的値までのルート探索、いったん探索したルートからずれた場合などにおける目的値までのルート再探索、といった処理を行う機能である。そして、この「探索(初期探索、再探索)」サブ機能は、探索結果を車載装置10へ応答する処理を併せて行う。
【0059】
また、「渋滞反映」サブ機能は、各車載装置10から収集したプローブ情報に基づいて生成した道路交通情報から、各車載装置10の自車位置に関連する情報を抽出したうえで、該当する車載装置10へそれぞれ配布する処理を行う機能である。
【0060】
また、「検索」サブ機能は、車載装置10から受信したキーワードに基づき、利用者が所望する施設や、地名等を検索する機能である。そして、この「検索」サブ機能は、検索結果を車載装置10へ応答する処理を併せて行う。
【0061】
そして、「地図更新」サブ機能は、メッシュ地図の集合として管理している地図データの変更等が生じた場合に、変更後のメッシュ地図を、該当する車載装置10へそれぞれ配布する処理を行う機能である。
【0062】
このように、ナビゲーションシステム1は、車載装置10側には、速いレスポンスが要求されるサブ機能のみを配置し、その他のサブ機能については、サーバ装置20側に配置することで、利用者の利便性向上と、車載装置10の記憶容量低減との両立を図っている。
【0063】
また、図4の(B)に示すように、データ配置についても、車載装置10側には、必要最小限のデータのみを配置することとしている。具体的には、車載装置10に配置される「地図情報(部分)」および「案内音声(部分)」は、車載装置10を購入した利用者の自宅近辺のメッシュ地図に対応する地図データおよび案内音声である。なお、これらのデータは、上述した使用要求部16b経由でナビゲーション機能の使用要求が行われた場合に、サーバ装置20から配信される。
【0064】
一方、サーバ装置20側には、「検索用シンボル情報」、「渋滞情報」、「地図情報(全体)」および「案内音声(全体)」が配置される。ここで、「検索用シンボル情報」は、地図上に表示される施設等をあらわすシンボルの検索に用いられる情報である。また、「渋滞情報」は、各車載装置10から収集したプローブ情報に基づいて生成した道路交通情報である。
【0065】
また、「地図情報(全体)」は、たとえば、日本国内全体に対応する地図データであり、「案内音声(全体)」は、日本国内全体に対応する案内音声データである。このように、ナビゲーションシステム1は、車載装置10側には、必要最小限のデータのみを配置し、その他のデータについてはサーバ装置20側へ配置することとしているので、車載装置10の記憶容量を低減することができるとともに、ネットワーク経由で柔軟なデータ更新を行うことができる。
【0066】
次に、サーバ装置20の構成について図5を用いて説明する。図5は、サーバ装置20の構成を示すブロック図である。同図に示すように、サーバ装置20は、通信インタフェース21と、制御部22と、記憶部23とを備えている。
【0067】
また、制御部22は、受信部22aと、プローブ情報収集部22bと、道路交通情報生成部22cと、使用許可情報更新部22dと、提供部22eと、送信部22fと、課金部22gとをさらに備えている。そして、記憶部23は、プローブ情報23aと、道路交通情報23bと、使用許可情報23cと、配信用アプリ23dと、配信用地図データ23eと、課金情報23fとを記憶する。
【0068】
通信インタフェース21は、有線通信デバイスであり、送受信施設経由でサーバ装置20と車載装置10との間のデータ送受信を行う。また、制御部22は、サーバ装置20の全体制御を行う制御部である。
【0069】
受信部22aは、通信インタフェース21経由で、各車載装置10からプローブ情報、使用開始要求、使用終了要求といったデータを受信する処理を行う処理部である。また、この受信部22aは、受信したデータを、プローブ情報収集部22b、使用許可情報更新部22dおよび提供部22eへそれぞれ振り分ける処理を併せて行う。
【0070】
プローブ情報収集部22bは、受信部22aから受け取ったプローブ情報を、プローブ情報23aとして記憶部23へ登録する処理を行う処理部である。また、このプローブ情報収集部22bは、たとえば、所定の時間間隔ごとに、道路交通情報生成部22cに対して道路交通情報の生成を指示する処理を行う処理を併せて行う。
【0071】
道路交通情報生成部22cは、記憶部23のプローブ情報23aに基づいて渋滞情報などのリアルタイムな交通情報を生成するとともに、生成した交通情報を道路交通情報23bとして記憶部23へ登録する処理を行う処理部である。
【0072】
使用許可情報更新部22dは、受信部22a経由で、車載装置10から受け取った使用開始要求あるいは使用終了要求に基づき、記憶部23の使用許可情報23cを更新する処理を行う処理部である。なお、使用許可情報23cの内容については、図6および図7を用いて後述する。
【0073】
提供部22eは、使用許可情報23cにおいて所定のサブ機能の使用が許可されている車載装置10に対し、道路交通情報23b、配信用アプリ23d、配信用地図データ23e等を提供する処理を行う処理部である。
【0074】
たとえば、この提供部22eは、使用許可情報23cにおいて渋滞情報の使用が許可されている車載装置10に対し、道路交通情報23bを提供する。ここで、提供部22eは、プローブ情報23aを参照することで、車載装置10の現在位置を取得する。そして、提供部22eは、かかる現在位置に関連する渋滞情報を、道路交通情報23bから抽出したうえで、渋滞情報の使用が許可されている車載装置10へそれぞれ提供する。
【0075】
送信部22fは、提供部22eから受け取ったアプリやデータを、該当する車載装置10へ、通信インタフェース21経由でそれぞれ送信する処理を行う処理部である。また、課金部22gは、車載装置10の購入者が選択したプラン、購入後に変更したプラン、あるいは、購入後に任意に選択されたオプションプラン等に応じ、各購入者へ請求すべき課金情報23を生成して記憶部23へ登録する処理を行う処理部である。
【0076】
記憶部23は、ハードディスクドライブなどの記憶デバイスで構成される記憶部である。プローブ情報23aは、各車載装置10から収集したプローブ情報を集積した情報である。なお、プローブ情報23aは、各情報の取得時刻や、位置情報による検索が容易となるように構成される。
【0077】
道路交通情報23bは、プローブ情報23aに基づいて生成されるリアルタイムな交通情報であり、たとえば、道路ごとの渋滞情報である。また、使用許可情報23cは、各車載装置10で使用可能なサブ機能を、車載装置10ごとに定義した情報である。なお、この使用許可情報23cは、車載装置10からの要求に応じて使用許可情報更新部22dによって更新される。
【0078】
ここで、この使用許可情報23cについて図6および図7を用いて説明しておく。図6は、契約プランの例を示す図である。なお、図6に示した契約プランのうちいずれかが、利用者によって選択されると、選択されたプランと、車載装置10の識別子とを対応付けた情報が、使用許可情報23cに登録される。
【0079】
図6に示すように、契約プランには、無料プラン61と、セットプランと、いずれのプランとも任意に組み合わせることができる付加価値サービスとがある。また、セットプランには、料金が安いほうから、プランA、プランBおよびプランCがある。
【0080】
そして、すべての車載装置10からサーバ装置20へ送信されるプローブ情報に基づいて生成される道路交通情報23b(図5参照)に対応する提供サービスは、同図のサブ機能62である。すなわち、サブ機能62は、車載装置10のすべての利用者に対して提供されるのではなく、サブ機能62を明示的に選択した利用者(車載装置10)に対してのみ提供される。
【0081】
無料プラン61は、基準となるプランであり、車載装置10を購入した利用者全員が無料で得ることができる。図6に示したように、この無料プラン61では、たとえば、利用者の自宅周辺30km四方のメッシュ地図が基準地図データとして配布される。
【0082】
また、無料プラン61における、ナビゲーション機能は、地図上に自車位置シンボルを表示する現在位置表示といった、最小限の案内機能のみに限られている。そして、従来のナビゲーション車載装置では標準機能とされている検索機能や探索機能(経路探索機能)といったサブ機能は、この無料プラン61では、提供されない。
【0083】
このように、無料プラン61では、利用者が使用可能なサブ機能が最小限のものに制限されている。しかし、上記したように、車載装置10は、プローブ情報の取得および送信機能を標準機能として備えているので、車載装置10を購入した利用者は、プローブ情報送信の見返りとして、無料で図6の無料プラン61に示したサブ機能を使用することが許可される。すなわち、無料プラン61を設けることで、車載装置10の普及促進を図ることが可能となる。なお、無料プラン61で、少額の料金を徴収することとしてもよい。
【0084】
各セットプランは、高額なプランほど、使用可能なサブ機能が増加するように設定された料金プランである。たとえば、「地図エリア」については、プランAでは、自宅周辺50km四方であるが、プランBでは隣接県全域に、プランCでは隣接県全域に加えてスポット利用権というように、順次拡大されていく。ここで、スポット利用権とは、たとえば、隣接県よりも遠方へのドライブの際に、通過するエリアの地図データを一時的に取得する権利のことを指す。
【0085】
また、「検索機能」については、プランAでは、周辺のみの検索が許可されているのに対し、プランBでは、さらに、名称やジャンル/施設についての検索が許可され、プランCでは、さらに、電話番号や住所についての検索が許可される。
【0086】
また、「探索機能」については、プランAでは、推奨ルートや自動探索ルートの探索のみが許可されているのに対し、プランBでは、さらに、最短ルートの探索が許可され、プランCでは、さらに、一般/有料道路有線ルートの探索が許可される。
【0087】
そして、「案内機能」については、プランAでは、音声案内や交差点拡大図といった機能が許可されているのに対し、プランBでは、さらに、到着時刻表示の機能が許可され、プランCでは、さらに、高速道路略図表示の機能が許可される。
【0088】
ところで、「付加価値サービス」は、いずれのプランにも任意に組合せることができる提供サービスであり、料金は、選択された機能別に決定される。この「付加価値サービス」では、たとえば、「検索機能」については、PC(パソコン)連携機能や、ドライブプラン作成機能等がある。また、「探索機能」については、リアルタイム渋滞情報や渋滞回避ルートの提供機能がある。
【0089】
そして、「案内機能」については、ヒヤリハット案内等がある。ここでヒヤリハット案内とは、結果として事故につながらなかった事例を地図情報と関連付け、注意喚起の案内を行う機能を指す。なお、この「案内機能」が使用する情報を、プローブ情報に基づいて作成することとしてもよい。
【0090】
次に、使用許可情報23c(図5参照)の例について図7を用いて説明する。図7は、渋滞情報関連サブ機能用の使用許可情報23cの一例を示す図である。なお、他のサブ機能についても、同図と同様の使用許可情報23cがそれぞれ用意される。同図に示すように、渋滞情報関連サブ機能用の使用許可情報23cは、「車載装置ID」項目、「許可フラグ」項目および「基準エリア」項目を含んだ情報である。
【0091】
「車載装置ID」項目には、車載装置10を一意に識別する識別子が格納される。また、「許可フラグ」項目には、渋滞情報関連サブ機能の使用が許可されているか否かが、たとえば、ON、OFFといったフラグで格納される。そして、「基準エリア」項目には、利用者の自宅が含まれる位置情報が格納される。
【0092】
図7に示した例では、車載装置IDが「11111」の利用者の許可フラグは「ON」、すなわち、渋滞情報関連サブ機能の使用が許可されており、この利用者の自宅位置は、「N010E010」である。また、車載装置IDが「22222」の利用者の許可フラグは「OFF」、すなわち、渋滞情報関連サブ機能の使用が許可されておらず、この利用者の自宅位置は、「N020E020」である。
【0093】
図5の説明に戻り、サーバ装置20についての説明を続ける。配信用アプリ23dは、各車載装置10へ配布されるアプリ(ソフトウェア)である。配信用地図データ23eは、各車載装置10へ配布される地図データである。また、課金情報23fは、制御部22の課金部22gによって利用者ごとに生成される利用料金についての情報である。
【0094】
次に、車載装置10が実行する処理手順について図8を用いて説明する。図8は、車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。ここで、図8には、車載装置10が利用者によって購入され、通常の作動状態となるまでの処理手順を示している。また、購入直後における車載装置10の契約プランは、無料プラン(図6参照)であるものとする。なお、事後的な契約プランの変更も可能であるが、ここでの説明は省略する。
【0095】
図8に示すように、使用要求部16bが、初期設定操作を受け付けると(ステップS101)、所定の使用開始要求をサーバ装置20へ送信する。なお、かかる使用開始要求を受信したサーバ装置20は、該当するデータや、アプリを車載装置10へ送信する。
【0096】
そして、受信部16fは、サーバ装置20から基準アプリをダウンロードするとともに(ステップS102)、基準地図をダウンロードする(ステップS103)。なお、ダウンロードされた基準アプリは、記憶部17においてアプリ17aとしてキャッシュされ、同じく基準地図は、記憶部17において地図データ17bとしてキャッシュされる。
【0097】
つづいて、使用要求部16bは、プラン変更要求操作を受け付けたか否かを判定し(ステップS104)、プラン変更要求操作を受け付けた場合には(ステップS104,Yes)、変更要求をサーバ装置20へ送信する(ステップS105)。
【0098】
つづいて、受信部16fは、サーバ装置20から変更許可を受信したか否かを判定し(ステップS106)、変更許可を受信した場合には(ステップS106,Yes)、サブ機能有効化部16dは、該当するサブ機能の有効化あるいは無効化をサブ機能実行部16dへ指示する(ステップS107)。そして、送信部16eは、プローブ情報の送信を開始し(ステップS108)、処理を終了する。
【0099】
なお、ステップS104の判定条件を満たさなかった場合(ステップS104,No)、および、ステップS106の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS106,No)、プローブ情報の送信を開始したうえで(ステップS108)、処理を終了する。
【0100】
次に、サーバ装置20が実行する処理手順について図9を用いて説明する。図9は、サーバ装置20が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、図9には、サーバ装置20が、車載装置10から受信したプローブ情報に基づいて生成した道路交通情報を、該当する車載装置10へ提供する手順について示している。
【0101】
図9に示すように、プローブ情報収集部22bは、車載装置10から受信したプローブ情報を記憶部23のプローブ情報23aへ格納する(ステップS201)。つづいて、道路交通情報生成部22cは、プローブ情報23aに基づいて道路交通情報を生成し(ステップS202)、生成した道路交通情報を記憶部23の道路交通情報23bへ格納する(ステップS203)。
【0102】
そして、提供部22eは、使用許可情報23cを参照し(ステップS204)、道路交通情報提供の許可がある車載装置10を検索する。そして、許可あり車載装置10である場合には(ステップS205,Yes)、この車載装置10の基準エリアに基づいて道路交通情報を抽出する(ステップS206)。つづいて、抽出した道路交通情報を車載装置10へ送信し(ステップS207)、未処理の車載装置10がないか判定する(ステップS208)。
【0103】
そして、未処理の車載装置10がない場合には(ステップS208,Yes)、処理を終了する。なお、ステップS205の判定条件を満たさなかった場合には(ステップS205,No)、ステップS206およびステップS207の処理手順を実行することなく、ステップS208の処理手順を実行する。また、ステップS208の処理手順を満たさなかった場合には(ステップS208,No)、ステップS205以降の処理手順を繰り返す。
【0104】
なお、図9では、道路交通情報を送信すべき車載装置10をサーバ装置20が決定する場合について示した。しかしながら、これに限らず、道路交通情報などの各種データの配布を車載装置10がサーバ装置20へ要求し、サーバ装置20が該当する車載装置10へ要求された各種データを配布することとしてもよい。
【0105】
上述してきたように、本実施例では、車載装置は、車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得し、取得されたプローブ情報をサーバ装置へ送信し、ナビゲーションに関する1または複数のサブ機能について、サーバ装置から使用を許可されたサブ機能のみを有効化し、サーバ装置は、車載装置から受信したプローブ情報に基づいて道路交通情報を生成し、サブ機能の使用を許可するか否かを前記車載装置ごとに定めた情報である使用許可情報を記憶し、道路交通情報の使用が使用許可情報において許可されている車載装置に対して道路交通情報を提供することとした。
【0106】
したがって、プローブ情報の取得元と、プローブ情報に基づいて作成される道路交通情報の提供先とをあえて異ならせることができる仕組みを提供することで、様々なニーズを有する多様な利用者を満足させつつ、プローブ情報に基づく交通情報などの提供用情報を精度良く生成し、利用者へ提供することができる。
【0107】
なお、上記した実施例では、プローブ情報に基づいて生成する情報として、道路交通情報を一例として説明したが、道路交通情報以外の情報提供サービスを行うこともできる。たとえば、天候、燃費、エコルートについてのプローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づいて天候、燃費、エコルートに関する情報提供サービスを行うこととしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上のように、本発明に係るナビゲーションシステムおよび車載装置は、プローブ情報を用いたナビゲーションシステムの普及に有用であり、特に、利用者のニーズに応じたサービス提供を柔軟に行いたい場合に適している。
【符号の説明】
【0109】
1 ナビゲーションシステム
10 車載装置
11 GPS部
12 車速取得部
13 ジャイロ部
14 表示操作部
15 通信インタフェース
16 制御部
16a プローブ情報取得部
16b 使用要求部
16c サブ機能有効化部
16d サブ機能実行部
16e 送信部
16f 受信部
17 記憶部
17a アプリ
17b 地図データ
20 サーバ装置
21 通信インタフェース
22 制御部
22a 受信部
22b プローブ情報収集部
22c 道路交通情報生成部
22d 使用許可情報更新部
22e 提供部
22f 送信部
22g 課金部
23 記憶部
23a プローブ情報
23b 道路交通情報
23c 使用許可情報
23d 配信用アプリ
23e 配信用地図データ
23f 課金情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載装置と、前記車載装置にネットワーク接続されるサーバ装置とで前記車両に対するナビゲーションを行うナビゲーションシステムであって、
前記車載装置は、
当該車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、
前記プローブ情報取得手段によって取得されたプローブ情報を前記サーバ装置へ送信する送信手段と、
前記ナビゲーションに関する1または複数のサブ機能について、前記サーバ装置から使用を許可された前記サブ機能のみを有効化する有効化手段と
を備え、
前記サーバ装置は、
前記車載装置から受信した前記プローブ情報に基づいて道路交通情報を生成する生成手段と、
前記サブ機能の使用を許可するか否かを前記車載装置ごとに定めた情報である使用許可情報を記憶する許可情報記憶手段と、
前記道路交通情報の使用が前記使用許可情報において許可されている前記車載装置に対して前記道路交通情報を提供する提供手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記使用許可情報は、
使用を許可する前記サブ機能の任意の組合せおよび/または前記サブ機能の有効期間に対応した料金情報を含んでおり、
前記サーバ装置は、
前記料金情報に基づいて前記車載装置ごとの課金額を決定する課金額決定手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記車載装置の前記有効化手段は、
前記サーバ装置からダウンロードされた所定のソフトウェアを実行することによって作動することを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記車載装置は、
前記サーバ装置に対して前記サブ機能の使用開始要求または使用終了要求を行う要求手段
をさらに備え、
前記サーバ装置は、
前記要求手段から受信した前記使用開始要求または前記使用終了要求に基づいて前記使用許可情報を更新する使用許可情報更新手段
をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2または3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記サーバ装置の前記提供手段は、
前記車載装置での使用が前記使用許可情報において許可されている前記サブ機能に用いられる情報を、当該車載装置から受信した前記プローブ情報に含まれる位置情報に基づいて抽出したうえで、抽出した情報を前記車載装置に対して提供することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
車両に搭載される車載装置であって、
当該車載装置が搭載された車両に関するプローブ情報を取得するプローブ情報取得手段と、
前記プローブ情報取得手段によって取得されたプローブ情報を上位装置へ送信する送信手段と、
前記プローブ情報に基づく道路交通情報の使用を前記上位装置から許可された場合にのみ、当該道路交通情報の提供機能を有効化する有効化手段と
を備えたことを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−118484(P2011−118484A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272867(P2009−272867)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】