説明

ナビゲーション装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法、およびナビゲーションプログラム

【課題】通信量を抑えつつ適切に誘導することのできるナビゲーションシステムを提案する。
【解決手段】携帯電話機は、地図アプリケーションの実行に従って地図情報サーバに対して出発地および目的地を設定する。地図情報サーバは、設定された出発地から目的地までのルートを検索して最適ルートを決定し、ルート地図データを生成する。さらに、決定されたルート上で1以上のポイントを設定し、ポイントごとの分割ルート地図データを生成する。地図情報サーバは、定期的に携帯電話機の現在位置を取得し、1つのポイントから所定範囲に到達した時点で、画像データに変換された、前のポイントから上記1つのポイントまでの上述の分割地図データを、携帯電話機に対してEメールに添付して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はナビゲーション装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法、およびナビゲーションプログラムに関し、特に、通信機能を利用して誘導するナビゲーション装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法、およびナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機へGPS(Global Positioning System)機能が搭載されることが標準となりつつある。それに伴い、携帯電話機を用いたナビゲーションシステムが構築され、アプリケーションの1つとして提供されている。また、ナビゲーションシステムの構築に伴い、位置情報を利用した周辺情報の検索などのサービスも提供されつつある。
【特許文献1】特開2001−306468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらのサービスを利用するには常時ネットワークに接続してデータ通信を行なうことが必要となり、通信量が多くなるために、通信費用が高額になるという問題があった。
【0004】
携帯電話機に搭載されるGPS機能を利用する際の利用料金を抑える技術の1つとして、特開2001−306468号公報(以下、特許文献1)は、位置情報を画像データに変換してメールで相手に送る技術を開示している。しかしながら、上記技術は、あくまで送信者がEメールを送信した時点での位置を確認するための技術であり、目的地まで誘導する技術ではない。そのため、特許文献1の開示する技術をナビゲーションシステムに応用した場合、現在位置を把握することが可能とはなるが、現在位置が目的地に至っていない場合には、現在位置から目的地までは従来どおりのナビゲーションアプリを利用しなければならない。そのため、特許文献1の開示する技術を利用した場合であっても、通信量が多くなって利用料金が高額となる、という問題は解決されない。
【0005】
また、ユーザが比較的よく地理を把握している場合には、ナビゲーションシステムを利用するまでもなく、現在地または指定した場所から目的地までのルートがわかれば十分、つまり簡易な誘導を希望する場合も考えられる。しかしながら、そうした場合においても、簡易なナビゲーションシステムがないために現状では携帯電話機等でのナビゲーションシステムを利用する必要がある。そのため、簡易な誘導を希望する場合であっても通信量が増し、余計な通信費用が発生してしまう、という問題がある。一方では、ユーザが地理を把握している場合であっても、目的地までの距離が長い場合や目的地までのルートが複雑であるといったような場合には、地図データだけでは道に迷ってしまうこともある。また、設定したルートに問題が発生するなど、予期せぬ事態が発生する可能性も考えられる。そのため、簡易な誘導であっても、このようなリスク回避が要求される。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、通信量を抑えつつ適切に誘導することのできるナビゲーション装置、ナビゲーションシステム、ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法、およびナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、ナビゲーション装置は、地図データ上で、第1の地点から第2の地点までのルートを設定する第1のルート設定手段と、設定したルート上に1以上のポイントを設定するポイント設定手段と、少なくとも、設定したルートのうちの、ポイント設定手段で設定された第n番目のポイントから、当該ルートを第1の地点から第2の地点の方向に沿って第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを生成する生成手段と、他の装置が第n番目のポイントから所定範囲内に到達すると、他の装置に対して、地図データをメールで送信する送信手段とを備える。
【0008】
好ましくは、ナビゲーション装置は、地図データを画像データに変換する変換手段をさらに備え、送信手段は、変換された画像データをメールに添付して他の装置に送信する。
【0009】
好ましくは、ナビゲーション装置は、他の装置から現在位置を示す情報を定期的に取得する取得手段と、他の装置の現在位置が、第n番目のポイントから所定範囲内であるか否かを判断する判断手段とをさらに備える。より好ましくは、判断手段は、さらに他の装置が設定されたルート上にあるか否かを判断し、判断手段において、他の装置が当該ルート上にないと判断された場合に、他の装置の現在位置から第2の地点までのルートを設定する第2のルート設定手段をさらに備える。
【0010】
好ましくは、ナビゲーション装置は、ポイントの指定を他の装置から受付ける受付手段をさらに備える。
【0011】
本発明の他の局面に従うと、ナビゲーションシステムはナビゲーション装置と被ナビゲーション装置とを含むナビゲーションシステムであって、ナビゲーション装置は、地図データ上において、被ナビゲーション装置から設定された第1の地点から第2の地点までのルートを設定し、設定したルート上に1以上のポイントを設定し、被ナビゲーション装置が、設定された第n番目のポイントから所定範囲内に到達すると、被ナビゲーション装置に対して、設定したルートのうちの、第n番目のポイントから、当該ルートを第1の地点から第2の地点の方向に沿って第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを画像データに変換してメールで送信する。
【0012】
本発明のさらに他の局面に従うと、ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法はナビゲーション装置と被ナビゲーション装置とを含むナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法であって、被ナビゲーション装置が第1の地点と第2の地点とを指定するステップと、ナビゲーション装置が、地図データ上で、第1の地点から第2の地点までのルートを設定するステップと、ナビゲーション装置が、設定したルート上に1以上のポイントを設定するステップと、ナビゲーション装置が、被ナビゲーション装置の現在位置を取得するステップと、ナビゲーション装置において、被ナビゲーション装置が、ポイントを設定するステップで設定された第n番目のポイントから所定範囲内に到達したことが判断されると、被ナビゲーション装置に対して、設定したルートのうちの、第n番目のポイントから、当該ルートを第1の地点から第2の地点の方向に沿って第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを画像データに変換してメールで送信する。
【0013】
本発明のさらに他の局面に従うと、ナビゲーションプログラムはコンピュータにナビゲーション処理を実行させるためのプログラムであって、地図データ上で、第1の地点から第2の地点までのルートを設定するステップと、設定したルート上に1以上のポイントを設定するステップと、少なくとも、設定したルートのうちの、設定された第n番目のポイントから、当該ルートを第1の地点から第2の地点の方向に沿って第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを生成するステップと、他の装置が第n番目のポイントから所定範囲内に到達したことを判断するステップと、他の装置が第n番目のポイントから所定範囲内に到達したと判断されると、他の装置に対して、地図データを画像データに変換してメールで送信するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、通信量を抑えつつ、ユーザを適切に誘導することができる。そのため、ユーザは、通信費用を抑えつつナビゲーション機能を利用することができる。また、ンネットワークへの負荷も軽減される。さらに、地図データを用いたコミュニケーションを利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0016】
図1は、本実施の形態にかかるナビゲーションシステム(以下、システム)の構成の具体例と、当該システムに含まれる各装置の構成の具体例を示す図である。図1を参照して、本実施の形態にかかるシステムは、被ナビゲーション装置としての携帯電話機100と、Eメールサーバ200と、ナビゲーション装置としての地図情報サーバ300とを含み、これらが互いに通信を行なう。
【0017】
被ナビゲーション装置はナビゲーション装置からの情報に基づいて、当該装置を使用するユーザを目的地に誘導するための情報を提示する装置を指し、携帯電話機に限定されず、通信機能および表示機能を備えた形態可能な装置であれば、たとえばノート型のコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)など、どのような装置であってもよい。ナビゲーション装置は被ナビゲーション装置に対して当該装置を使用するユーザを目的地に誘導するための情報を出力する装置を指す。ナビゲーション装置である地図情報サーバ300は、ここでは、一般的なコンピュータで構成されるものとするが、ナビゲーション装置もまた、どのような装置で構成されてもよい。さらには、ナビゲーション装置と被ナビゲーション装置とが同じ装置で構成されてもよい。また、ナビゲーション装置がメール機能を含んでもよい。つまり、地図情報サーバ300にEメールサーバ200が含まれてもよい。
【0018】
さらに図1を参照して、携帯電話機100は、全体の制御を行なうCPU(Central Processing Unit)を含む制御部11と、テンキーなどで構成される入力部12と、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどで構成される表示部13と、通信部14と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成される記憶部15とを含む。
【0019】
通信部14はアンテナを含み、基地局と通信を行なうことでデータを送受信する。受信するデータには、Eメールサーバ200から受信するメールデータや、地図情報サーバ300から受信するデータが含まれる。また、携帯電話機100はGPS(Global Positioning System)機能を有し、基地局を仲介してGPS衛星からの信号を受信する。受信したデータは制御部11に入力され、制御部11によって処理が施される。
【0020】
記憶部15は、メールデータや写真データなどを記憶すると共に、制御部11に含まれるCPUで実行されるプログラムを記憶する。
【0021】
制御部11は、位置情報取得部111、地図情報取得部112、および表示処理部113を含む。これらは、制御部11に含まれるCPUが記憶部15に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって実現される機能である。これら機能はソフトウェアで実現されてもよいし、少なくとも一部がハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0022】
位置情報取得部111は、通信部14から入力された受信データであるGPS衛星からの信号より、当該携帯電話機100の現在位置を示す位置情報を取得する。地図情報取得部112は、通信部14から入力された受信データである地図情報サーバ300から受信したデータより、後述する地図データを取得する。表示処理部113は、地図データを含む、表示部13に表示させるデータを表示データに変換するなどの、表示のための処理を実行する。
【0023】
さらに図1を参照して、地図情報サーバ300は、全体の制御を行なうCPUを含む制御部31と、通信部32と、ROMやRAMなどで構成される記憶部33とを含む。記憶部32は、地図データを記憶する地図データ記憶部331および後述するポイントを記憶するポイント記憶部332を含む。記憶部32は、その他、制御部31に含まれるCPUで実行されるプログラムを記憶する。なお、地図データ記憶部331および後述するポイントを記憶するポイント記憶部332には、地図情報サーバ300の外部の装置に格納され、地図情報サーバ300が通信を行なうことでこれらに記憶される情報を読み出す構成も含まれるものとする。
【0024】
制御部31は、後述するルート地図を生成する生成部311と、地図データを画像データに変換する変換部312と、画像データに変換された地図データを送信するための処理を行なう送信処理部313とを含む。これらは、制御部11に含まれるCPUが記憶部15に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって実現される機能である。これら機能はソフトウェアで実現されてもよいし、少なくとも一部がハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0025】
図2は、生成部311の構成の詳細な具体例を示す図である。図2を参照して、生成部311は、地図データ取得部301、地点入力部302、ルート処理部303、ポイント設定部304、ルート地図生成部305、および分割部306を含む。
【0026】
地図データ記憶部331には、様々な地域の地図を表わす地図データが記憶されている。地図データ取得部301は、指定された地点を含む地図(たとえば指定された地点から所定範囲を表わした地図)を、地図データ記憶部331から読み出すことで、処理対象の地図データを取得し、ルート処理部303に入力する。
【0027】
地点入力部302は、他の装置から送信され、通信部32で受信した、出発地および目的地を示す情報の入力を受付けて、ルート処理部303に入力する。ルート処理部303は、地図データ取得部301から入力された地図データ上の、地点入力部302から入力された出発地から目的地に到達するためのルートを検索し、決定する処理を行なう。この処理は、すでに知られているナビゲーションシステムにおけるルート検索・決定処理を採用することができる。たとえば、各道についての情報を予め記憶しておき、それらのすべての組み合わせのうち最短の道の組み合わせを出発地から目的地までの最適ルートと決定する処理が挙げられる。決定されたルートを示すルート情報は、ポイント設定部304およびルート地図生成部305に入力される。
【0028】
ポイント設定部304は、決定されたルート上にポイントを設定する。具体的な設定方法としては、予めポイントとなるランドマークを記憶しておき、その中からルート処理部303で決定されたルート上にあるランドマークを抽出し、さらにその中から所定間隔程度でポイントとするランドマークを自動的に抽出し、設定する方法が挙げられる。設定されたポイントを示す情報は、ルート地図生成部305に入力される。
【0029】
ルート地図生成部305は、入力された地図データに、ルート情報とポイント情報とを合成し、地図上に、ルートとポイントとを表わす地図データを生成する。この地図データのことを「ルート地図データ」と称する。生成されたルート地図情報は分割部306に入力される。
【0030】
分割部306は、入力されたルート地図データを、ポイント設定部304から入力されたポイント情報に基づいて分割する。分割されたルート地図データを「分割地図データ」と称する。ここでの分割は、厳密な意味でのデータの分割には限られず、表示する際に、隣接するポイント間のルートを中心として表示される地図となるよう、ルート地図データを変換することを指す。たとえば、第1のポイントから第2のポイントまでのルートを示すための地図データとして、分割部306は、入力されたルート地図データの中から、第1のポイントから、所定範囲、その前のポイント側の地域を含んだ地点から、第2のポイントから、所定範囲、その次の第3のポイント側の地域を含んだ地点までの地図データ、少なくとも第1のポイントから第2のポイントまでのルート情報、および第1のポイント情報と第2のポイント情報、を抽出し、それらで分割地図データを生成する。
【0031】
変換部312は、生成された分割地図データを受け取り、画像データに変換する。変換される画像データは、Eメールに添付可能なデータ形式であればよい。送信処理部313は、通信部32で受信する情報に基づいて画像データに変換された分割地図データを携帯電話機100に送信するタイミングを判断し、送信するタイミングと判断した場合に、画像データに変換された分割地図データを通信部32で携帯電話機100に送信するための処理を実行する。
【0032】
図3は、当該システムにおける具体的な処理の流れを示す図である。図3は、たとえば、携帯電話機100のユーザが地点Aから地点Bまでの移動を行なう場合における、当該システムにおけるナビゲーション処理の流れを示している。
【0033】
図3を参照して、このとき、携帯電話機100では地図アプリケーションが起動される。携帯電話機100は、地図アプリケーションの実行に従って地図情報サーバ300に対して地図データを要求し、地図情報サーバ300から取得する。ここでの要求は、必要な地図を指定してなされてもよいし、携帯電話機100の位置情報取得部111で取得された現在位置を送信することで現在位置を含んだ地図を要求するものであってもよい。また、次に説明する、出発地の情報として地点Aの情報を送信することで地点Aを含んだ地図を要求するものであってもよい。
【0034】
携帯電話機100は、取得した地図データを用いて、出発地の情報として地点Aの情報、および目的地の情報として地点Bの情報を設定し、地図情報サーバ300に送信する。地図情報サーバ300は、携帯電話機100の地図アプリケーションで指定された地点Aから地点Bまでのルートを検索して最適ルートを決定し、ルート地図データを生成する。さらに、後述する処理を行なって、決定されたルート上で上述のポイントを設定し、ポイントごとの分割地図データを生成する。
【0035】
地図情報サーバ300は、定期的に携帯電話機100から、位置情報取得部111で取得される携帯電話機100の現在位置を示す情報を取得する。そして、携帯電話機100の位置が上の処理で設定された1つのポイントから所定範囲に到達した時点で、画像データに変換された上記1つのポイントからその次のポイントまでの上述の分割地図データを、Eメールサーバ200を中継して携帯電話機100に対してEメールに添付して送信する。以降、携帯電話機100が次のポイントから所定範囲に到達するごとに、画像データに変換された対応する分割地図データをEメールに添付して携帯電話機100に送信する。
【0036】
図4は、携帯電話機100におけるナビゲーション処理の流れを示すフローチャートである。図4のフローチャートに示される処理は、携帯電話機100において地図アプリケーションが起動した際に実行される処理であって、制御部11に含まれるCPUが記憶部15に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図1に示される携帯電話機100の各部を制御することで実現される。
【0037】
図4を参照して、地図アプリケーションが起動して処理が開始すると、制御部11は、予め規定されている要求コマンド、または位置情報取得部111で取得される現在位置を示す情報を含んだ要求コマンドを通信部14から地図情報サーバ300に対して送信することで地図データを地図情報サーバ300に要求する。そして、地図情報取得部112は、当該要求に応じて地図情報サーバ300から送信された情報から地図データを取得する(ステップ(S)101)。
【0038】
制御部11は、入力部12からの操作信号より地点Aおよび地点Bを表わす情報を取得し、それらを、各々、出発地および目的地として設定する(S103)。たとえば、表示制御部113が、S101で取得した地図データを表示させ、入力部12からのその表示上の位置を指定する操作を受付けることで、地点Aおよび地点Bを表わす情報を取得してもよい。また、具体的に、地点Aおよび地点Bであるランドマークや緯度経度や住所の入力を受付けてもよい。制御部11は、S103で設定した出発地および目的地を示す情報を、通信部14で地図情報サーバ300に送信する。
【0039】
その後、通信部14がEメールサーバ200より、地図情報サーバ300からの画像データに変換された地図データが添付されたEメールを受信すると(S107でYES)、表示処理部113は、当該Eメールに添付された画像データを表示部13に表示することで、地図を表示させる(S109)。Eメールが受信されるごとにS109で地図が表示され、受信がなくなると、処理が終了する。
【0040】
なお、制御部11は、少なくともS105で出発地および目的地を示す情報を地図情報サーバ300に送信した後、定期的に位置情報取得部111で取得された当該携帯電話機100の現在位置を示す情報を通信部14で地図情報サーバ300に送信する。これは、起動した地図アプリケーションに従って、規定された時間間隔で自動的に行なわれるものであってもよい。または、S105の後、地図情報サーバ300から定期的に現在位置が要求され、その要求に応じて現在位置を示す情報を送信してもよい。
【0041】
図5は、地図情報サーバ300におけるナビゲーション処理の流れを示すフローチャートである。図5のフローチャートに示される処理は、地図情報サーバ300において携帯電話機100から上記S101でなされた地図データの要求を受付けると実行される処理であって、制御部31に含まれるCPUが記憶部33に記憶されるプログラムを読み出して実行し、図1に示される地図情報サーバ300の各部を制御することで実現される。
【0042】
図5を参照して、携帯電話機100から上記S101でなされた地図データの要求を受付けると、地図データ取得部301は地図データ記憶部331から必要な地図データを読み出して、通信部32で携帯電話機100に送信する。
【0043】
地点入力部302より、携帯電話機100から上記S105で送信された出発地および目的地を示す情報が入力されると(S203)、ルート処理部303は、記憶されているルートの中から出発地から目的地までのルートを検索し、最適なルートを決定する(S205)。さらに、ポイント設定部304は、ポイント記憶部332に記憶されているポイントの中からS207で決定されたルート上に位置するポイント候補を抽出し、適切な間隔となるよう最適なポイントを設定する(S207)。ルート地図生成部305はS205で決定されたルートとS207で設定されたポイントとを用いてルート地図データを生成する。図6は、生成されたルート地図データの表示例を示す図である。図6の例では、出発地から目的地までのルートがこれら地点を含む地図上に示され、さらに、ルート上にポイント1が設定されている。分割部306はポイントに応じて分割地図データを生成する(S209)。生成された分割地図データは、変換部312で画像データに変換される(S211)。
【0044】
通信部32が、携帯電話機100から定期的に送信される現在位置を示す情報を受信すると(S213でYES)、送信処理部313は、携帯電話機100の位置が上記S203で受信した目的地に達していないと判断された場合(S215でNO)、携帯電話機100の位置が、S207で設定されたポイントのうちの1つのポイント(第nポイントとする)から所定範囲内にあるか否かを判断する(S217)。ここでの「所定範囲」は、携帯電話機100を携帯したユーザが、第nポイントに到達したと言えるだけ第nポイントから近い範囲を指す。携帯電話機100が第nポイントに到達したと言える距離内である上記所定範囲内にあると判断されると(S217でYES)、送信処理部313は、第nポイントから次のポイントである第(n+1)ポイントまでの区間を含んだ分割地図データが変換された画像データを、携帯電話機100に送信するタイミングであると判断し、該当する画像データを通信部32からEメールサーバ200に送信し、携帯電話機100に対してEメールで送信する(S219)。S217では、送信処理部313が記憶領域を備えて、先に送信した分割地図データを記憶しておき、次に送信するであろう分割地図データに関連するポイントから所定範囲内に携帯電話機100が到達したか否かを判断するようにしてもよい。または、S217では、ルート上に設定されたすべてのポイントについて、当該ポイントから所定範囲内に携帯電話機100が位置しているか否かを確認し、該当するポイントがあった場合には、当該ポイントからその次のポイントまでの分割地図データを送信するようにしてもよい。
【0045】
上記S213〜S219は、通信部32が携帯電話機100から現在位置を示す情報を受信するたびに繰り返され、携帯電話機100の位置が上記S203で受信した目的地に達したと判断されると(S215でYES)、一連の処理が終了する。
【0046】
本実施の形態にかかるシステムで上の処理が実行されることで、1つのポイントから次のポイントまでのルートを示した地図データが、上記1つのポイントに到達するごとに地図情報サーバ300から携帯電話機100にEメールに添付して送信される。携帯電話機100では、地図情報サーバ300からのEメールに添付されている画像データを表示することで図7に示されるようなナビゲーション用の地図が表示される。図7の例は、図6のルート地図データが生成された場合であって、携帯電話機100が出発地付近にいるときに地図情報サーバ300から送信されるEメールに添付される地図データの表示例である。図7のような表示がされることで、ユーザは、現在地からポイント1までのルートを表示することができる。さらにポイント1に到達した時点で、ポイント1から次のポイントまでの地図データがEメールで送信されるので、ポイント1から次のポイントまでのルートを表示することができる。そのため、携帯電話機100自身が地図データを持たない携帯電話機である場合であっても、ユーザは、受信したEメールの添付ファイルの地図データから簡易なナビゲーション機能を利用できる。さらに、地図情報サーバ300からは、ポイントごとにEメールで地図データが送信されるため、従来のナビゲーションシステムのような常時ネットワークに接続する必要がなく、通信量を抑えることができる。
【0047】
[変形例1]
上の例では、S207で地図情報サーバ300側で自動的にポイントが設定されているが、携帯電話機100側で設定することも可能である。その場合、上記S205でルートが設定された時点で、地図情報サーバ300はルート地図データを携帯電話機100に送信する。携帯電話機100は、表示処理部133によって表示部13にルート地図データが表示される。ユーザは、たとえば入力部12のボタン操作などによって、表示されたルート上にポイントをプロットなどすることで、ポイントを設定する。制御部11は、入力部12からの操作信号よりポイントを指定する情報を取得し、その情報を通信部14で地図情報サーバ300に送信する。上記S207で地図情報サーバ300のポイント設定部304は、携帯電話機100から指定された位置をポイントとして設定する。
【0048】
第1の変形例でこのようにポイントを設定することで、当該システムにおいてより適切な誘導を行なうことができる。すなわち、携帯電話機100を携帯して誘導を受けようとするユーザが地理をある程度把握している場合にはポイントを少なく設定することで過剰な通信を抑えることができる。逆に、地理を把握していない場合には、ポイントを多く設定することで、詳しい誘導を受けることができる。このように、ユーザのニーズに合った適切な誘導を行なうことができる。
【0049】
[変形例2]
第2の変形例においては、地図情報サーバ300では、図8に示されるように制御部31に、以下に説明するリルート処理を行なうリルート処理部314を含む。リルート処理部314は、通信部32で携帯電話機100から定期的に受信する情報と、ポイント設定部304で設定されたポイントとに基づいて、携帯電話機100が次のポイントから上記所定範囲内に到達するタイミングを予測し、そのタイミングにおける携帯電話機100の位置が次のポイントから上記所定範囲内にあるか否かを判断する。携帯電話機100が上記範囲内にない、つまり前のポイントから次のポイントまでの間に設定したルートから移動中に外れてしまったことが判断された場合、リルート処理部314は、生成部311に携帯電話機100の現在位置を示す情報を渡し、当該位置から目的地までのルートを再設定させるための制御信号を出力する。
【0050】
なお、この判断のタイミングは、ポイントに関わらず、携帯電話機100から定期的に送信される現在位置の示す情報を受信したタイミングであってもよい。すなわち、リルート処理部314は、通信部32で携帯電話機100から現在位置を示す情報を受信するたびに、受信した情報と、ルート処理部303で決定されたルートとに基づいて、携帯電話機100の現在の位置がルート内にあるか否かを判断する。携帯電話機100がルート内にない、つまり設定したルートから移動中に外れてしまったことが判断された場合、リルート処理部314は、生成部311に携帯電話機100の現在位置を示す情報を渡し、当該位置から目的地までのルートを再設定させるための制御信号を出力する。
【0051】
生成部311のルート処理部303は、リルート処理部314より入力された位置から地点入力部302より入力された目的地までの、本来のルートとは別のルートを検索し、最適ルートを決定する。この場合、ルートを外れた場合の現在位置から目的までのルートについても、図5に示された処理と同様の処理がなされて、地図情報サーバ300から携帯電話機100に対してEメールで分割地図データが送信されるものとする。なお、この場合、好ましくは、地図情報サーバ300は、リルート処理を実行する際に、本来のルートから外れている旨の警告を携帯電話機100に送信する。
【0052】
第2の変形例でこのようにリルート処理が行なわれることで、携帯電話機100を携帯したユーザがルートから外れた場合であっても、その地点から目的地まで適切に誘導することができる。
【0053】
さらに、上述の携帯電話機100における処理および地図情報サーバ300における処理をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0054】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0055】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0056】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施の形態にかかるナビゲーションシステムの構成の具体例と、当該システムに含まれる各装置の構成の具体例を示す図である。
【図2】ナビゲーションシステムに含まれる地図情報サーバの生成部の構成の詳細な具体例を示す図である。
【図3】本実施の形態にかかるナビゲーションシステムにおける具体的な処理の流れを示す図である。
【図4】ナビゲーションシステムに含まれる携帯電話機における、ナビゲーション処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ナビゲーションシステムに含まれる地図情報サーバにおける、ナビゲーション処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】ルート地図データの表示例を示す図である。
【図7】地図情報サーバから送信されるEメールに添付される地図データの表示例である。
【図8】第2の変形例での地図情報サーバの構成の具体例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
11,31 制御部、12 入力部、13 表示部、14,32 通信部、15,33 記憶部、100 携帯電話機、111 位置情報取得部、112 地図情報取得部、113 表示処理部、200 Eメールサーバ、300 地図情報サーバ、301 地図データ取得部、302 地点入力部、303 ルート処理部、304 ポイント設定部、305 ルート地図生成部、306 分割部、311 生成部、312 変換部、313 送信処理部、314 リルート処理部、331 地図データ記憶部、332 ポイント記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ上で、第1の地点から第2の地点までのルートを設定する第1のルート設定手段と、
前記ルート上に1以上のポイントを設定するポイント設定手段と、
少なくとも、前記ルートのうちの、前記ポイント設定手段で設定された第n番目のポイントから、前記ルートを前記第1の地点から前記第2の地点の方向に沿って前記第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを生成する生成手段と、
他の装置が前記第n番目のポイントから所定範囲内に到達すると、前記他の装置に対して、前記地図データをメールで送信する送信手段とを備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図データを画像データに変換する変換手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記画像データを前記メールに添付して前記他の装置に送信する、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記他の装置から現在位置を示す情報を定期的に取得する取得手段と、
前記他の装置の現在位置が、前記第n番目のポイントから所定範囲内であるか否かを判断する判断手段とをさらに備える、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判断手段は、さらに前記他の装置が前記ルート上にあるか否かを判断し、
前記判断手段において、前記他の装置が前記ルート上にないと判断された場合に、前記他の装置の現在位置から前記第2の地点までのルートを設定する第2のルート設定手段をさらに備える、請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ポイントの指定を前記他の装置から受付ける受付手段をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
ナビゲーション装置と被ナビゲーション装置とを含むナビゲーションシステムであって、
前記ナビゲーション装置は、地図データ上において、前記被ナビゲーション装置から設定された第1の地点から第2の地点までのルートを設定し、前記ルート上に1以上のポイントを設定し、前記被ナビゲーション装置が、設定された第n番目のポイントから所定範囲内に到達すると、前記被ナビゲーション装置に対して、前記ルートのうちの、前記第n番目のポイントから、前記ルートを前記第1の地点から前記第2の地点の方向に沿って前記第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを画像データに変換してメールで送信する、ナビゲーションシステム。
【請求項7】
ナビゲーション装置と被ナビゲーション装置とを含むナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法であって、
前記被ナビゲーション装置が第1の地点と第2の地点とを指定するステップと、
前記ナビゲーション装置が、地図データ上で、前記第1の地点から前記第2の地点までのルートを設定するステップと、
前記ナビゲーション装置が、前記ルート上に1以上のポイントを設定するステップと、
前記ナビゲーション装置が、前記被ナビゲーション装置の現在位置を取得するステップと、
前記ナビゲーション装置において、前記被ナビゲーション装置が、前記ポイントを設定するステップで設定された第n番目のポイントから所定範囲内に到達したことが判断されると、前記被ナビゲーション装置に対して、前記ルートのうちの、前記第n番目のポイントから、前記ルートを前記第1の地点から前記第2の地点の方向に沿って前記第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを画像データに変換してメールで送信する、ナビゲーションシステムにおけるナビゲーション方法。
【請求項8】
コンピュータにナビゲーション処理を実行させるためのプログラムであって、
地図データ上で、第1の地点から第2の地点までのルートを設定するステップと、
前記ルート上に1以上のポイントを設定するステップと、
少なくとも、前記ルートのうちの、前記設定された第n番目のポイントから、前記ルートを前記第1の地点から前記第2の地点の方向に沿って前記第n番目のポイントの次にある第(n+1)番目のポイントまでのルートを表わす地図データを生成するステップと、
他の装置が前記第n番目のポイントから所定範囲内に到達したことを判断するステップと、
前記他の装置が前記第n番目のポイントから所定範囲内に到達したと判断されると、前記他の装置に対して、前記地図データを画像データに変換してメールで送信するステップとを実行させる、ナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−133731(P2010−133731A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307643(P2008−307643)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】