説明

ナビゲーション装置、制御方法、プログラム、及び記憶媒体

【課題】使用者が道路状況をよく知っている地域を走行する際に、新たな誘導ルートの提示を一定の場合に制限するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】判定手段は、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する。モード設定手段は、既知の道路を走行中であると判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定する。リルート提示手段は、渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示する。リルート提示制限手段は、判定手段により車両が既知の道路を走行中と判断した場合、第1条件より基準が高い第2条件を満たさない新たな誘導ルートの情報の提示を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置による使用者への情報提示の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、経路案内中に走行予定のルートで渋滞があることを検知した場合、それを避ける新たなルートを再探索して提示する技術が存在する。例えば、特許文献1には、VICS(Vehicle Information Communication System)情報に基づき渋滞を検出した場合、渋滞を回避するため再び経路探索を行うナビゲーション装置が記載されている。また、特許文献1のナビゲーション装置は、再探索した誘導ルートを表示画面に表示すると共に、再探索の理由を示すポップアップ画面を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−139081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、道路状況をよく知っている自宅周辺等の地域を走行する場合、新たな誘導ルートの提示は使用者にとって不要な可能性がある。また、使用者がAV(Audio Visual)機能を優先させたい場合、または当該新たな誘導ルートの提示をされなくとも渋滞を避ける道を知っている場合等では、不要な誘導ルートの提示は使用者に煩わしさを与えることになる。上記の問題は、特許文献1には、何ら検討されていない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、使用者が道路状況をよく知っている地域を走行する際に、新たな誘導ルートの提示を一定の場合に制限するナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両に設置されるナビゲーション装置であって、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定手段と、前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示手段と、既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項7に記載の発明は、車両に設置されるナビゲーション装置により実行される制御方法であって、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定工程と、前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示工程と、既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項8に記載の発明は、車両に設置されるナビゲーション装置に搭載され実行されるプログラムであって、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定手段と、前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示手段と、既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限手段、として前記ナビゲーション装置を機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成の一例である。
【図2】本実施例に係るナビゲーション装置の機能ブロックの一例である。
【図3】本実施例に係るナビゲーション装置の表示例である。
【図4】本実施例の処理手順を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの観点では、車両に設置されるナビゲーション装置であって、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定手段と、前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示手段と、既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限手段と、を備える。
【0011】
上記のナビゲーション装置は、車両に設置され、判定手段と、モード設定手段と、リルート提示手段と、リルート提示制限手段と、を備える。ここで、ナビゲーション装置は、据付型のナビゲーション装置の他、PND(Personal Navigation Device)などの持ち運び可能なナビゲーション装置等を含む。判定手段は、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する。ここで、判定手段は、例えば、使用者からの明示的な入力に基づき既知の道路か否か判断してもよく、又は、使用者が予め設定した登録地点に基づき自動的にその周辺の道路を既知の道路と判断してもよい。また、「既知の道路」とは、音声案内や画面による経路案内などのナビゲーション機能によらず、又は、ナビゲーション装置が提示する現在地周辺の地図表示によらず、使用者が所望の地点に向けて運転可能な道路(経路)を指す。また、「使用者」とは、車両の運転者の他、車両の乗員を含む。モード設定手段は、既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定する。リルート提示手段は、例えばVICSセンタから配信されるVICS情報に基づき渋滞情報を取得する。そして、リルート提示手段は、渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示する。ここで、「第1条件」とは、設定された目的地等までの所要時間、料金、距離など、誘導ルートを選択する際の判断要素に基づき設定された条件を指す。例えば、リルート提示手段は、料金又は所要時間のいずれかが経路案内中の誘導ルートよりも改善する場合に第1条件を満たすと判断する。また、リルート提示手段は、新たな誘導ルートの所要時間や料金等の情報を経路案内中の誘導ルートの場合と比較して提示してもよい。リルート提示制限手段は、既知道路走行モードにおいては、第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限する。ここで、「第2条件」とは、設定された目的地等までの所要時間、料金、距離など、誘導ルートを選択する際の判断要素に基づき設定された条件であって、第1条件よりも厳しい条件を指す。このように、ナビゲーション装置は、既知道路を走行中には、使用者へのメリットがある又はメリットが大きい場合にのみ新たな誘導ルートの提示を行う。これにより、ナビゲーション装置は、より使用者の意図に適った出力をすることができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0012】
上記のナビゲーション装置の一態様では、前記リルート提示手段は、前記第1の条件である、経路案内中の誘導ルートよりも前記新たな誘導ルートの所要時間が短い場合、及び、走行に要する料金が安い場合のいずれかに該当する場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示し、前記リルート提示制限手段は、既知道路走行モードにおいては、前記第2の条件である、経路案内中の誘導ルートよりも前記新たな誘導ルートの所要時間が所定時間差以上短い場合、及び、走行に要する料金が所定料金差以上安い場合のいずれにも該当しない場合、前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限する。即ち、この場合、第1条件は、経路案内中の誘導ルートよりも前記新たな誘導ルートの所要時間が短い、又は、走行に要する料金が安いことを条件とし、第2条件は、経路案内中の誘導ルートよりも前記新たな誘導ルートの所要時間が所定時間差以上短い、又は、走行に要する料金が所定料金差以上安いことを条件とする。上述の所定時間差及び所定料金差は、使用者からの入力又は予め実験等に基づき設定される。このようにすることで、ナビゲーション装置は、既知道路を走行中には、使用者へのメリットがある又はメリットが大きい場合にのみ新たな誘導ルートの提示を行うことができる。
【0013】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記第2条件は、外部入力に基づき設定されることを特徴とする。ここで、「外部入力」とは、ナビゲーション装置の使用者の操作に基づく入力を指す。このようにすることで、ナビゲーション装置は、使用者の意図に基づき、既知道路を走行中には新たな誘導ルートの情報の提示を限定することができる。
【0014】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記判定手段は、外部入力に基づき指定された地域にある道路を前記既知の道路であると判定する。このようにすることで、ナビゲーション装置は、使用者の既知の道路であるか否か的確に判定することができる。
【0015】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記判定手段は、外部入力に基づき予め設定されている登録地点から所定距離以内にある道路を前記既知の道路であると判定する。「登録地点」とは、判定手段に既知の道路であるか否か判定させるために登録した地点に限らず、例えば経路案内における目的地等を簡易に設定するために登録された地点等も含む。また、上述の所定距離は、例えば実験等に基づき予め適切な値に設定され、ナビゲーション装置のメモリに記憶される。このようにすることで、ナビゲーション装置は、既知の道路か否かを判定するための使用者による設定又は操作を伴うことなく、使用者の既知の道路であるか否か的確に判定することができる。
【0016】
上記のナビゲーション装置の他の一態様では、前記判定手段は、前記車両の走行履歴に基づき前記既知の道路であるか否か判定する。これによっても、ナビゲーション装置は、既知の道路か否かを判定するための設定又は操作を使用者にさせることなく、使用者の既知の道路であるか否か的確に判定することができる。
【0017】
本発明の他の観点では、車両に設置されるナビゲーション装置により実行される制御方法であって、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定工程と、前記既知の道路を走行中であると前記判定工程が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定工程と、経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示工程と、既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限工程と、を備える。ナビゲーション装置は、この制御方法を使用することで、既知道路を走行中には、使用者へのメリットがある又はメリットが大きい場合にのみ新たな誘導ルートの提示を行う。これにより、ナビゲーション装置は、より使用者の意図に適った出力をすることができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0018】
本発明のさらに別の観点では、車両に設置されるナビゲーション装置に搭載され実行されるプログラムであって、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定手段と、前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示手段と、既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限手段、として前記ナビゲーション装置を機能させる。ナビゲーション装置は、このプログラムを実行することで、既知道路を走行中には、使用者へのメリットがある又はメリットが大きい場合にのみ新たな誘導ルートの提示を行う。これにより、ナビゲーション装置は、より使用者の意図に適った出力をすることができ、使用者の利便性を向上させることができる。なお、好適には、上記のプログラムは記憶媒体に記憶される。
【実施例】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。以下では、本発明に係るナビゲーション装置の概略構成について説明した後、ナビゲーション装置が実行する制御方法、及びそれに伴う表示例、処理フローについて順に説明する。さらに、その後、本実施例に関連する各変形例についてそれぞれ説明する。
【0020】
[概略構成]
図1に、ナビゲーション装置1の概略構成を示す。図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0021】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0022】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置(以後、「現在地」とも呼ぶ。)を検出するために用いられる。
【0023】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0024】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。なお、これらのシステムコントローラ20の各要素が実行する具体的な処理については、後述する[制御方法]のセクションで詳しく説明する。
【0025】
システムコントローラ20、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0026】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD−ROMドライブ又はDVD−ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯電話や専用の通信カードなどにより構成され、VICSセンタ、又は各車両の走行履歴を蓄積管理して渋滞情報を提供するサーバなどから配信される渋滞情報(以下、「渋滞情報Id」と呼ぶ。)その他交通情報を電波39より取得する。そしてインタフェース37は、通信装置38のインタフェース動作を行い、渋滞情報Idをシステムコントローラ20等に入力する。
【0027】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5〜10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0028】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD−ROMドライブ31又はDVD−ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0029】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0030】
なお、図1におけるシステムコントローラ20は、本発明における判定手段、モード設定手段、リルート提示手段、及びリルート提示制限手段に相当する。
【0031】
以後の説明では、ナビゲーション装置1が搭載された車両を、「搭載車両」と呼ぶ。また、「使用者」とは、搭載車両の運転者の他、搭載車両の乗員も含むものとする。さらに、「目的地」とは、使用者がナビゲーション装置1に設定した目的地を指し、「立寄地」とは、使用者が目的地の途中で立ち寄る地点として設定した地点を指す。そして、目的地及び立寄地を特に区別しない場合、これらを「目的地等」と呼ぶ。また、「誘導ルート」とは、目的地等が設定された場合に、ナビゲーション装置1が当該目的地等へ使用者を案内(誘導)する経路を指す。また、「元ルート」とは、渋滞情報Idに基づく経路の再探索(リルート探索)が実行された際に既に設定されていた誘導ルートを指し、「新ルート」とは、リルート探索により新たに使用者へ提示される誘導ルートを指す。
【0032】
[制御方法]
次に、システムコントローラ20が実行する処理について説明する。概略的には、システムコントローラ20は、使用者が既に知っている道路(以後、単に「既知道路」とも呼ぶ。)を搭載車両が走行する場合には、リルート探索に基づく新ルートに関する情報(以後、「リルート情報」と呼ぶ。)を提示する判断基準を上げる。このようにすることで、システムコントローラ20は、既知道路を走行中の場合に使用者にとって有益なリルート情報のみを提示し、利便性を向上させる。
【0033】
この処理について、図2を参照して具体的に説明する。図2は、システムコントローラ20の機能ブロックを示した図の一例である。図2に示すように、システムコントローラ20は、モード判定部20xと、リルート提示制限部20yと、リルート提示部20zと、を備える。以下、これらの各要素が実行する処理について説明する。なお、以後の説明では、ナビゲーション装置1は、使用者によって既に所定の目的地等の設定を受け付け、経路案内を開始しているものとする。
【0034】
まず、モード判定部20xが実行する処理について説明する。モード判定部20xは、入力装置60からの使用者の入力に基づき、搭載車両が既知道路を走行中であるか否か判定し、その判定結果に応じてナビゲーション装置1が行う音声出力及び画面出力方法(以後、単に「出力モード」と呼ぶ。)を決定する。以後では、搭載車両が既知道路を走行中の場合に適用する出力モードを「既知道路走行モード」と称し、それ以外の場合の出力方法を「通常モード」と呼ぶ。既知道路走行モードは、通常モードの機能に加え、後述するリルート提示制限部20yの実行する機能が付加された出力モードである。そして、モード判定部20xは、出力モードが既知道路走行モードであるか、又は通常モードであるかの情報(以後、単に「モード情報」と呼ぶ。)をリルート提示制限部20yに供給する。
【0035】
ここで、使用者の入力に基づき既知道路を走行中であるか否かを判定する方法について具体例を用いて補足説明する。例えば、モード判定部20xは、出力モードを既知道路走行モードにすべき旨の指示又は通常モードにすべき旨の指示を使用者から入力装置60を介して受け付ける。他の例では、モード判定部20xは、予め使用者から既知道路又は既知道路を含む地域について入力装置60により指定させる。例えば、モード判定部20xは、使用者の自宅周辺又は地点登録された周辺の地図を表示することで、使用者に既知道路又は既知道路を含む地域について指定させ、当該入力情報をデータ記憶ユニット36に記憶しておく。その後、モード判定部20xは、使用者により指定された既知道路又は既知道路を含む地域(以後、これらをまとめて「指定地域」と呼ぶ。)と、GPS受信機18から供給される現在地情報と、に基づき、搭載車両が既知道路を走行中であるか否か判定する。そして、モード判定部20xは、搭載車両が指定地域にあると判断した場合、出力モードを既知道路走行モードにする。一方、モード判定部20xは、搭載車両が指定地域にないと判断した場合、出力モードを通常モードにする。
【0036】
次に、説明の便宜上、リルート提示制限部20yに先立ってリルート提示部20zが実行する処理について説明する。リルート提示部20zは、インタフェース37から供給される渋滞情報Idに基づき、誘導ルート中に渋滞があるか否か判断する。そして、渋滞があると判断した場合、リルート提示制限部20yは、渋滞情報Idに基づき渋滞を回避可能な1又は複数の新ルートをリルート探索により決定する。そして、リルート提示制限部20yは、リルート探索により得られた新ルートが所定の条件(以後、「第1条件」と呼ぶ。)を満たし、かつ、リルート提示制限部20yによる制限がない場合、使用者に新ルートの情報を提示し、旧ルートと新ルートとを選択させる。ここで、「第1条件」とは、新ルートの情報を提示するか否かを判断するための基準となる条件であり、通常モードと既知道路走行モードの両方の場合に共通して満たすべき条件を指す。第1条件は、例えば実験等に基づき予め適切な値に設定され、データ記憶ユニット36等のメモリに記憶される。
【0037】
具体的には、第1条件は、目的地等までの距離(以後、「到着距離D」と呼ぶ。)、目的地等までの所要時間幅(以後、「所要時間T」と呼ぶ。)、目的地等までに要する料金(以後、「料金F」と呼ぶ。)等の誘導ルートを選択する際の判断要素(以後、単に「ルート判断要素」と呼ぶ。)での新ルートと旧ルートとの比較結果に基づき定められる。一例として、以後の説明では、リルート提示部20zは、新ルートの所要時間Tが旧ルートの所要時間Tよりも短くなる場合、又は、新ルートの料金Fが旧ルートの料金Fより安くなる場合に、第1条件を満たしたと判断することにする。
【0038】
そして、リルート提示部20zは、第1条件を満たした場合、表示ユニット40及び音声出力ユニット50により、新ルートと旧ルートとの比較結果を使用者に提示する。そして、リルート提示部20zは、使用者に新ルート又は旧ルートのいずれかを以後設定する誘導ルートとして選択させる。この処理については、後述する[表示例]のセクションで詳しく説明する。
【0039】
次に、リルート提示制限部20yが実行する処理について説明する。リルート提示制限部20yは、出力モードが既知道路走行モードの場合に、リルート提示部20zによるリルート情報の提示を一定の場合に制限する。具体的には、リルート提示制限部20yは、出力モードが既知道路走行モードの場合、第1条件よりも厳しい所定の条件(以後、「第2条件」と呼ぶ。)を満たさないリルート情報の提示を抑制する。言い換えると、リルート提示制限部20yは、出力モードが既知道路走行モードの場合、第2条件を満たした新ルートに関するリルート情報のみ、リルート提示部20zにより使用者に提示させる。第2条件は、例えば実験等に基づき予め適切な条件に設定され、データ記憶ユニット36等のメモリに記憶される。
【0040】
ここで、第2条件についてさらに詳しく説明する。上述したように、第2条件は、第1条件よりも高い基準に設定される。具体的には、第2条件は、第1条件に用いた各ルート判断要素の条件が引き上げられ、又は/及び、満たすべきルート判断要素が多く設定されることで、第1条件よりも高い基準に設定される。ここでは、一例として、第2条件は、新ルートの所要時間Tが旧ルートの所要時間Tより所定の閾値(以後、「閾値Tth」と呼ぶ。)以上に短くなっているか又は新ルートの料金Fが旧ルートの料金Fより所定の閾値(以後、「閾値Fth」と呼ぶ。)以上に安くなっているかのいずれかを満たすことを要求する条件に設定されたとする。すなわち、第2条件は、第1条件の各々の基準より高い基準である閾値Tth及び閾値Fthが設定されている。上述の閾値Tth及び閾値Fthは、例えば実験等に基づき予め適切な値に設定され、データ記憶ユニット36等のメモリに保持される。
【0041】
以上のようにすることで、リルート提示制限部20yは、既知道路を走行中に、使用者が既に把握している地域での不要なリルート情報の提示を抑制し、使用者のメリットが大きい場合に限定して使用者にリルート情報を提示することができる。
【0042】
これについて補足説明する。道路状況をよく把握している地域では、使用者は渋滞を避けるような道の提示がされなくても分かっていると推定される。また、リルート情報の提示により、使用者の意に反して、再生中のAVに関する情報画面(AV画面)が切り替わったり、再生中の音楽が消音又は音量が小さくなったりする可能性がある。一方、リルート提示制限部20yは、上述の実施例の説明に代えて、道路情報をよく把握している地域で画一的にリルート情報の提示を抑制した場合、事故等による通行止めや大渋滞が発生したときに使用者へその旨を伝える手段がなくなってしまう。以上を勘案し、リルート提示制限部20yは、出力モードが既知道路走行モードの場合には、リルート情報の提示条件を引き上げる。これにより、リルート提示制限部20yは、不要なリルート情報の提示を抑制しつつ、事故等に基づく突発的な渋滞等により大渋滞が発生した場合などリルート情報の提示が使用者にとってメリットがある場合にはリルート情報を提示することができる。
【0043】
[表示例]
次に、図3を参照して本実施例で表示ユニット40が出力する表示画面について説明する。以後の説明では、ナビゲーション装置1は、一例としてタッチパネル方式による入力を受け付けるものとする。
【0044】
図3(a)は、経路案内時に出力される表示例を示す。図3(a)の表示例は、画面表示部70と、ボタン71と、を備える。さらに、画面表示部70は、ボタン72と、情報表示部73と、現在地表示90と、誘導ルート91と、を備える。
【0045】
ボタン71は、ナビゲーション装置1のフレーム上に設けられたボタンであり、使用者の押下により種々の入力を受け付ける。ボタン72は、画面表示部70上に設けられたボタンであり、タッチパネル方式により使用者の押下に基づく種々の入力を受け付ける。情報表示部73は、使用者が運転する上で必要な又は有益な種々の情報を提示する表示領域である。図3(a)では、情報表示部73は、現在時刻、目的地等までの距離、到着予想時刻、次に曲がるべき交差点又はさらにその次に曲がるべき交差点に関する情報を表示している。現在地表示90は、表示された地図上における搭載車両の現在地を示すアイコンである。誘導ルート91は、目的地等に至るまでにナビゲーション装置1が案内(誘導)するルートを示す。なお、経路案内中であっても、画面表示部70は、図3(a)に示す画面表示に代えて、AV画面等を表示していてもよい。
【0046】
図3(b)は、リルート情報が提示された場合の表示例を示す。図3(b)では、画面表示部70は、誘導ルート91として実線で旧ルート91xを表示すると共に、破線で新ルート91yを表示している。さらに、画面表示部70は、右側に、分岐情報表示部74と、距離表示部75と、所要時間表示部76と、料金表示部77と、を備える。分岐情報表示部74は、旧ルート91xと新ルート91yとが分岐する地点までの走行距離を示す表示領域である。距離表示部75は、到着距離Dに関する旧ルート91x及び新ルート91y(以後、単に「新旧ルート」とも呼ぶ。)の比較結果を示す表示領域である。ここでは、距離表示部75は、新ルート91yの方が、旧ルート91xよりも1.2km短縮される旨を表示している。所要時間表示部76は、所要時間Tに関する新旧ルートの比較結果を示す表示領域である。ここでは、所要時間表示部76は、新ルート91yの方が、旧ルート91xよりも所要時間Tが35分短縮される旨表示している。料金表示部77は、料金Fに関する新旧ルートの比較結果を示す表示領域である。ここでは、料金表示部77は、新ルート91yの方が、旧ルート91xよりも200円増額される旨表示している。
【0047】
また、画面表示部70は、上側に当該表示画面のタイトルを表示すると共に、下側にウィンドウ92を備える。ウィンドウ92は、新ルート91yを選択させる新ルート選択ボタン93と、旧ルート91xを選択させる旧ルート選択ボタン94と、を備える。さらに、ウィンドウ92は、一定の条件(ここでは、500m走行)が満たされるまでに新ルート選択ボタン93又は旧ルート選択ボタン94の押下がない場合、いずれか一方(ここでは元ルート選択ボタン94)が選択されたとみなす旨を表示している。
【0048】
なお、図3(b)に示す画面表示を実行した場合、システムコントローラ20は、これと同期して、渋滞があった旨、画面表示部70が表示した内容、又は/及び、使用者に新ルート選択ボタン93又は旧ルート選択ボタン94のいずれかを任意に押下すべき旨の音声出力を音声出力ユニット50に実行させてもよい。
【0049】
次に、図3(a)の表示中にシステムコントローラ20がリルート探索を行い、図3(b)に示す新旧ルートの所要時間Tの比較結果及び料金Fの比較結果が得られた場合に、システムコントローラ20が実行する表示制御について説明する。
【0050】
まず、出力モードが通常モードの場合について説明する。図3(b)の例では、新旧ルートで所要時間Tが短縮されていることから、新ルート91yの所要時間Tが旧ルート91xの所要時間Tより短縮されるか又は新ルート91yの料金Fが旧ルート91xの料金Fより減額されるかのいずれかを条件とする第1条件を満たす。従って、出力モードが通常モードの場合、システムコントローラ20は、図3(a)の表示から図3(b)の表示へ切り替える。即ち、システムコントローラ20は、リルート情報の提示を行う。
【0051】
次に、出力モードが既知道路走行モードの場合について説明する。まず、閾値Tthが35分以下に設定されている場合、図3(b)の例では所要時間Tが閾値Tth以上(35分)短くなっている。従って、この場合、新ルート91yの所要時間Tが旧ルート91xの所要時間Tより閾値Tth以上に短くなっているか又は新ルート91yの料金Fが旧ルート91xの料金Fより閾値Fth以上に安くなっているかのいずれかを満たすことを条件とする第2条件は満たされる。従って、この場合、システムコントローラ20は、出力モードが既知道路走行モードの場合であっても、図3(a)の表示から図3(b)の表示へ切り替える。即ち、システムコントローラ20は、リルート情報の提示を行う。これにより、システムコントローラ20は、使用者のメリットが大きいリルート情報を使用者に提示することができる。
【0052】
一方、閾値Tthが35分より大きい値に設定されている場合、図3(b)の例では、新ルート91yの所要時間Tが閾値Tth以上に旧ルート91xより短くなっておらず、また、新ルート91yの料金Fも閾値Fth以上に旧ルート91xより安くなっていない。従って、図3(b)の例では第2条件を満たさない。よって、システムコントローラ20は、図3(a)の表示を継続し、リルート情報の提示は行わない。これにより、システムコントローラ20は、既知道路を走行中に、使用者が既に把握している地域での不要なリルート情報の提示を抑制することができる。
【0053】
[処理フロー]
次に、本実施例でシステムコントローラ20が実行する処理手順について図4を用いて説明する。図4は、本実施例でシステムコントローラ20が実行する処理手順を示すフローチャートの一例である。システムコントローラ20は、図4に示すフローチャートの処理を、所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0054】
まず、システムコントローラ20は、誘導ルート中に渋滞が発生したか否か判定する(ステップS101)。具体的には、システムコントローラ20は、インタフェース37から供給される渋滞情報Idに基づき、誘導ルート中に渋滞が発生したか否か判定する。
【0055】
そして、誘導ルート中に渋滞が発生した場合(ステップS101;Yes)、システムコントローラ20は、渋滞を回避するルートを探索する(ステップS102)。これにより、システムコントローラ20は、旧ルート以外のルートで渋滞を回避可能な新ルートを探索する。ここでは、システムコントローラ20は、第1条件を満たす新ルートを探索したものとする。
【0056】
一方、誘導ルート中に渋滞が発生していない場合(ステップS101;No)、システムコントローラ20は、フローチャートの処理を終了する。
【0057】
次に、システムコントローラ20は、出力モードが既知道路走行モードであるか否か判定する(ステップS103)。これにより、システムコントローラ20は、搭載車両が既知道路を走行中であるか否かを判定する。
【0058】
そして、出力モードが既知道路走行モードの場合(ステップS103;Yes)、システムコントローラ20は、さらに新ルートが第2条件を満たすか否かステップS104又は/及びステップS105で判定する。
【0059】
具体的には、まず、システムコントローラ20は、新ルートが旧ルートより閾値Tth以上所要時間Tが短いか否か判定する(ステップS104)。そして、新ルートが旧ルートより閾値Tth以上所要時間Tが短い場合(ステップS104;Yes)、システムコントローラ20は、新ルートが第2条件を満たすと判断し、画面上に新旧ルートの比較結果を表示する(ステップS106)。これにより、システムコントローラ20は、使用者に有益なリルート情報を提示することができる。
【0060】
一方、新ルートは旧ルートより閾値Tth以上所要時間Tが短くならない場合(ステップS104;No)、システムコントローラ20は、次に、新ルートは旧ルートより閾値Fth以上料金Fが安いか否か判定する(ステップS105)。そして、新ルートが旧ルートより閾値Fth以上料金Fが安い場合(ステップS105;Yes)、システムコントローラ20は、新ルートが第2条件を満たすと判断し、画面上に新旧ルートの比較結果を表示する(ステップS106)。これにより、システムコントローラ20は、使用者に有益なリルート情報を提示することができる。一方、新ルートが旧ルートより閾値Fth以上料金Fが安くならない場合(ステップS105;No)、システムコントローラ20は、フローチャートの処理を終了する。即ち、この場合、システムコントローラ20は、既知道路を走行中であり、かつ、リルート情報の提示によるメリットが少ないことから、現在の画面出力及び音声出力を維持した方が使用者の意図に適っていると判断する。これにより、システムコントローラ20は、使用者に有益なリルート情報のみを提示し、不要なリルート情報の提示を抑制することができる。
【0061】
一方、出力モードが既知道路走行モードではない場合(ステップS103;No)、システムコントローラ20は、既知道路を走行中ではないと判断し、第2条件を満たすか否かにかかわらず、画面上に新旧ルートの比較結果を表示する(ステップS106)。このように、システムコントローラ20は、既知道路を走行中ではない場合、使用者に積極的に渋滞を回避可能な新ルートを提示し、運転を支援することができる。
【0062】
ステップS106の実行後、システムコントローラ20は、新ルートが選択されたか否か判断する(ステップS107)。そして、新ルートが選択された場合(ステップS107;Yes)、システムコントローラ20は、誘導ルートを新ルートに切り替える(ステップS108)。一方、新ルートが選択されなかった場合(ステップS107;No)、システムコントローラ20は、フローチャートの処理を終了し、引き続き、現在設定されている誘導ルート(旧ルート)による経路案内を実行する。
【0063】
以上説明したように、本実施例に係るナビゲーション装置は、ナビゲーション装置は、車両に設置され、判定手段と、モード設定手段と、リルート提示手段と、リルート提示制限手段と、を備える。判定手段は、使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する。モード設定手段は、既知の道路を走行中であると判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定する。リルート提示手段は、例えばVICSセンタから配信されるVICS情報に基づき渋滞情報を取得する。そして、リルート提示手段は、渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示する。リルート提示制限手段は、既知道路走行モードの場合、第1条件より基準が高い第2条件を満たさない新たな誘導ルートの情報の提示を制限する。このように、ナビゲーション装置は、既知道路を走行中には、使用者へのメリットがある又はメリットが大きい場合にのみ新たな誘導ルートの提示を行う。これにより、ナビゲーション装置は、より使用者の意図に適った出力をすることができ、使用者の利便性を向上させることができる。
【0064】
[変形例]
以下、本実施例の各変形例について説明する。なお、これらの各変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用することが可能である。
【0065】
(変形例1)
図2の説明に加え、システムコントローラ20は、使用者に第1条件又は/及び第2条件について使用者に入力装置60を介して設定させてもよい。具体的には、使用者は、第1条件又は/及び第2条件に用いるルート判断要素を任意に選択させると共に、閾値Tth及び閾値Fthなどのルート判断要素の各閾値を任意に設定させてもよい。この場合であっても、システムコントローラ20は、第1条件よりも第2条件の基準を高く設定させる。
【0066】
このようにすることで、システムコントローラ20は、出力モードが既知道路走行モードか否かに応じて、より使用者の意図に適ったルート情報の提示を行うことができる。
【0067】
(変形例2)
図2及び図3の説明では、第1条件及び第2条件のルート判断要素として所要時間T及び料金Fを用いていた。しかし、本発明が適用可能なルート判断要素は、これらに限定されない。
【0068】
これに代えて、又は、これに加えて、システムコントローラ20は、例えば、燃費、二酸化炭素排出量、危険度合等の取得可能な種々の情報をルート判断要素として使用してもよい。
【0069】
燃費又は二酸化炭素排出量をルート判断要素とする場合、システムコントローラ20は、例えば到着距離D又は/及び所要時間T等に基づき所定の式又はマップを参照して新旧ルートの燃費又は二酸化炭素排出量を予測する。また、システムコントローラ20は、危険度合をルート判断要素とする場合、例えば、新旧ルート中における過去の交通事故数、車線数、曲率の大きいカーブの有無等の情報をデータ記憶ユニット36が保持する地図データ又は所定のサーバから通信装置38を介して受信した配信情報により取得し、これらの情報に基づき所定のマップ又は式を参照して危険度合を数値化又は分類化する。これらのマップ又は式は、実験等に基づき予め作成され、データ記憶ユニット36等のメモリに保持される。
【0070】
そして、システムコントローラ20は、必要に応じてこれらの各ルート判断要素に所定の閾値を設け、第1条件よりも第2条件を厳しく設定する。ここで、上述の閾値は、実験等に基づき適切な値に予め設定されてもよく、(変形例1)に説明したように外部入力に基づき使用者により設定されてもよい。
【0071】
以上のように、種々のルート判断要素を用いて第1条件及び第2条件を設定する場合であっても、好適に本発明を適用することができる。
【0072】
(変形例3)
図2の説明では、モード判定部20xは、使用者からの入力に基づき、即ち使用者による出力モードの選択又は/及び使用者により入力された指定地域に基づき、出力モードを決定していた。しかし、本発明が適用可能な方法は、これに限定されない。これに代えて、又は、これに加えて、モード判定部20xは、これらの使用者からの入力によらず自動的に出力モードを決定してもよい。
【0073】
これについて具体的に説明する。例えば、モード判定部20xは、目的地等の簡易設定などを目的として予め使用者が設定した登録地点及びその付近に存在する道路については既知道路であるとみなしてもよい。この場合、モード判定部20xは、例えば、登録地点から所定距離以内では自動的に出力モードを既知道路走行モードにし、登録地点から所定距離より離れた場所では出力モードを通常モードにする。上述の所定距離は、実験等に基づき適切な値に設定される。
【0074】
他の例では、モード判定部20xは、データ記憶ユニット36等に保存された走行履歴に基づき、搭載車両が既知道路を走行中であるか否か判定する。具体的には、モード判定部20xは、所定回数以上の走行履歴がある道路を既知道路とみなし、当該道路の走行中では出力モードを既知道路走行モードに設定する。一方、モード判定部20xは、所定回数未満の走行履歴しかない道路は既知道路ではないとみなし、当該道路の走行中では出力モードを通常モードに設定する。この場合、所定回数は、1以上の値に実験等に基づき適切に設定される。
【0075】
以上のように、モード判定部20xは、使用者からの入力によらず自動で出力モードを決定することで、利便性をさらに向上させることができる。
【0076】
(変形例4)
図2等の説明では、リルート提示制限部20yは、既知道路で渋滞が発生したか否かによらず、出力モードが既知道路走行モードの場合には、新ルートが第2条件を満たした場合のみリルート情報の提示を許可した。これに加えて、リルート提示制限部20yは、出力モードが既知道路走行モードの場合であって、かつ、既知道路で渋滞が発生した場合のみ、リルート情報の提示を制限するとしてもよい。この場合、例えば、リルート提示制限部20yは、指定地域又は(変形例3)で説明した走行履歴若しくは登録地点等と、渋滞情報Idとに基づき、既知道路で渋滞が発生したか否かを判定する。これによっても、ナビゲーション装置1は、適切に不要なリルート情報の提示を抑制しつつ、使用者に必要なリルート情報を提示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、車載用ナビゲーション装置、PND(Personal Navigation Device)、その他ナビゲーション機能を有する端末に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ナビゲーション装置
10 自立測位装置
12 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
36 データ記憶ユニット
38 通信装置
40 表示ユニット
44 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されるナビゲーション装置であって、
使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定手段と、
前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、
経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示手段と、
既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記リルート提示手段は、前記第1の条件である、経路案内中の誘導ルートよりも前記新たな誘導ルートの所要時間が短い場合、及び、走行に要する料金が安い場合のいずれかに該当する場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示し、
前記リルート提示制限手段は、既知道路走行モードにおいては、前記第2の条件である、経路案内中の誘導ルートよりも前記新たな誘導ルートの所要時間が所定時間差以上短い場合、及び、走行に要する料金が所定料金差以上安い場合のいずれにも該当しない場合、前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第2条件は、外部入力に基づき設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記判定手段は、外部入力に基づき指定された地域にある道路を前記既知の道路であると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判定手段は、外部入力に基づき予め設定されている登録地点から所定距離以内にある道路を前記既知の道路であると判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記車両の走行履歴に基づき前記既知の道路であるか否か判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
車両に設置されるナビゲーション装置により実行される制御方法であって、
使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定工程と、
前記既知の道路を走行中であると前記判定工程が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定工程と、
経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示工程と、
既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項8】
車両に設置されるナビゲーション装置に搭載され実行されるプログラムであって、
使用者の既知の道路を前記車両が走行中であるか否かを判定する判定手段と、
前記既知の道路を走行中であると前記判定手段が判定した場合に出力モードを既知道路走行モードに設定するモード設定手段と、
経路案内中に渋滞情報に基づき誘導ルートの再探索を行い、当該再探索により得られた新たな誘導ルートが第1条件を満たす場合、当該新たな誘導ルートの情報を提示するリルート提示手段と、
既知道路走行モードにおいては、前記第1条件より基準が高い第2条件を満たさない前記新たな誘導ルートの情報の提示を制限するリルート提示制限手段、
として前記ナビゲーション装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−58899(P2011−58899A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207694(P2009−207694)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(500403929)パイオニアシステムテクノロジー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】