説明

ナビゲーション装置、及びナビゲーション用プログラム

【課題】一時的な地点情報の変更を効率よく管理する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、地点情報DB56と、一時変更DB57を備えている。地点情報DB56には、地図上の各地点の地点情報61が記憶されており、一時変更DB57には、地点情報61が一時変更となった場合に、一時変更となった部分が一時変更情報62として記憶されている。地点情報61の変更フラグの設定により、CPU21は、地点情報DB56が一時的に変更されたことを確認することができる。また、地点情報61と、これに対応する一時変更情報62は、地点IDによって関連づけられている。CPU21は、地点情報61を検索し、一時変更されている場合、地点情報61に関連づけられている一時変更情報62を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、例えば、一時的に地点情報を変更できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置によって車両を誘導することが盛んに行われている。
ナビゲーション装置は、出発地から目的地までの経路を探索する機能、GPS(Global Positioning System)衛星やジャイロなどのセンサを用いて自車両の位置を検出する機能、及び目的地までの経路と自車両の現在位置を地図上に表示する機能などを備えている。
【0003】
そして、ナビゲーション装置は、地図を用いて経路案内するために、例えば、施設名、施設の位置といった地理的な情報を地点情報として記憶している。
このような地点情報は、例えば、新しい施設などが建設されたり、地名が変更されたり、あるいは、新しい道路が建設されたりなど、常に変化するため、ナビゲーション装置では、地点情報を更新できるようになっている。
このように、地点情報を更新する技術として、次の「ナビゲーション装置及び地図データ更新方法」がある。
【特許文献1】特開2006−350057
【0004】
この技術は、センタなどからの配信により地図データの差分を受信して地図データを更新する方法と、走行データから地図データを更新する方法が混在する場合、これらの書込領域が重なることによって、追加用地図データが更新用地図データで上書きされるのを防ぐものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば、公営の競技場の命名権を民間企業に貸与し、競技場の名称が契約期間中は民間企業名になったり、建てかえによって店舗が一時的に仮店舗に移動になったりなど、施設名称や場所などが一時的に変更される場合がある。
このように、ナビゲーション装置の地点情報が一時的に変更になった後で、変更期間が過ぎた場合、従来は、地図データの更新(全更新、差分更新共に)を行わなければ、地点情報が元に復元されなかった。
【0006】
そこで、本発明は、一時的な地点情報の変更を効率よく管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、一時変更前の検索対象情報と、当該検索対象情報の少なくとも一部が一時的に変更された一時変更後の検索対象情報と、を関連づけて記憶する検索対象情報記憶手段と、検索対象情報の検索要求を受け付ける検索受付手段と、前記検索要求を受け付けた場合に、一時変更後の検索対象情報を検索する検索手段と、前記検索手段による検索結果を出力する出力手段と、前記一時変更後の検索対象情報の一時変更が解除されたことを検知する検知手段と、前記検知した場合に、一時変更後の検索対象情報を、当該検索対象情報に関連づけられている一時変更前の検索対象情報に復元する復元手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、前記一時変更後の検索対象情報には、変更期間が設定されており、前記検知手段は、前記変更期間が経過したことを確認することにより前記一時変更が解除されたことを検知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記検知手段は、所定のサーバ装置から、前記一時変更後の検索対象情報の一時変更が解除されたことを通知する解除通知を受信することにより前記一時変更が解除されたことを検知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、所定の検索対象情報に対する一時変更後の検索対象情報を受信する一時変更後検索対象情報受信手段と、前記所定の検索対象情報を一時変更前の検索対象情報とすると共に、前記受信した一時変更後の検索対象情報を当該一時変更前の検索対象情報と関連づけて記憶することにより前記検索対象情報記憶手段を更新する更新手段と、を具備したことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記検索対象情報の一時的な変更の履歴を記憶する履歴記憶手段を具備し、前記検索手段は、前記記憶した履歴を用いて、過去に一時的に変更された検索対象情報を検索することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6記載の発明では、一時変更前の検索対象情報と、当該検索対象情報の少なくとも一部が一時的に変更された一時変更後の検索対象情報と、を関連づけて記憶する検索対象情報記憶手段を備えたコンピュータを、検索対象情報の検索要求を受け付ける検索受付手段と、前記検索要求を受け付けた場合に、一時変更後の検索対象情報を検索する検索手段と、前記検索手段による検索結果を出力する出力手段と、前記一時変更後の検索対象情報の一時変更が解除されたことを検知する検知手段と、前記検知した場合に、一時変更後の検索対象情報を、当該検索対象情報に関連づけられている一時変更前の検索対象情報に復元する復元手段と、して機能させるためのナビゲーション用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一時変更前の地点情報と一時変更後の地点情報を関連づけて記憶することにより、一時的な地点情報の変更を効率よく管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)実施の形態の概要
図1は、本実施の形態の概要を説明するための図である。
ナビゲーション装置1は、地点情報DB56(DBはデータベースを意味する)と、一時変更DB57を備えている。
地点情報DB56には、地図上の各地点の地点情報61が記憶されており、一時変更DB57には、地点情報DB56の地点情報61が一時変更となった場合に、一時変更となった部分が一時変更情報62として記憶されている。
【0010】
地点情報61には変更フラグが設定可能となっており、この変更フラグの設定により、CPU21は、地点情報DB56が一時的に変更されたことを確認することができる。
また、地点情報61と、これに対応する一時変更情報62は、地点IDによって関連づけられており、これによって、CPU21は、地点情報DB56に対応する一時変更DB57を特定することができる。
【0011】
このように構成された地点情報DB56、一時変更DB57を用いて、CPU21は、次のようにして地点情報の検索を行う。なお、図では対応する処理を番号にて示してある。
まず、CPU21は、地点情報DB56で地点情報61を検索する(1)。
地点情報61が一時変更されていない場合、CPU21は、地点情報61を検索結果として出力する。
【0012】
一方、地点情報61が一時変更されている場合(2)、CPU21は、地点情報61に関連づけられている一時変更情報62を一時変更DB57で検索する(3)。
そして、地点情報61の一時変更箇所を一時変更情報62で置き換えて地点情報とし、
検索結果として出力する。
なお、詳細は、本実施の形態で説明するが、一時変更情報62を検索してから、これに対応する地点情報61を検索する場合もある。
【0013】
また、一時変更情報62は、変更期間が付随してり、CPU21は、一時変更情報62の変更期間が経過した場合、これを検知して、地点情報61と一時変更情報62の関連づけを解消し、また、地点情報61の変更フラグの設定を解除して、地点情報61を一時変更前のものに復元する(4)。
なお、本実施の形態では、変更期間が予め設定されているものとするが、例えば、災害復旧のために一時的に迂回路を設定するなど、変更期間が不定なものも存在する。
この場合、センタからの復元指令を受けて地点情報61と一時変更情報62の関連づけを解消し、検索対象となる地点情報を地点情報61に復元するようにナビゲーション装置を構成することも可能である。
【0014】
(2)実施の形態の詳細
図2は本実施形態が適用されるナビゲーション装置1のシステム構成図である。
ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、この図に示すように、現在位置検出装置10、情報処理制御装置20、入出力装置40及び情報記憶装置50とを備えている。
まず、現在位置検出装置10は、以下のような構成を有している。
絶対方位センサ11は、例えば、磁石に基づいてN方向の検出から、車両が何れの方向に位置するかを検出する地磁気センサであり、絶対方向を検出する手段であればよい。
【0015】
相対方位センサ12は、例えば交差点を曲がったか否かを検出するものであり、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリュームあるいは車輪部に取り付ける角度センサでもよい。また、角速度を利用して角度の変化を検出するジャイロセンサを用いてもよい。
つまり、基準角度(絶対方位)に対して、相対的に変化した角度を検出することができる手段であればよい。
距離センサ13は、例えば、車輪の回転を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものでもよい。つまり、車両の移動距離を計測できる手段であればよい。
【0016】
GPS(Global Positioning System)受信装置14は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、受信装置の位置情報、受信装置の移動速度、受信装置の進行方向など様々な情報を得ることができる。
ビーコン受信装置15は、特定の地点に設置された送信装置より発信された信号を受信する装置である。
特に、VICS情報を入手することができ、渋滞情報、現在位置情報、駐車場情報等車両の走行に関する情報を入手することができる。
このように、ナビゲーション装置1は、現在位置取得(検出)手段を備えている。
【0017】
データ送受信装置16は、電話回線や電波を利用して車両外部と通信をし、情報の交換を行うための装置である。
例えば、自動車電話、ATIS、VICS、GPS補正、車両間通信など様々な利用方法があり、走行に関する情報を入出力することが可能である。
【0018】
次に、情報処理制御装置20は、現在位置検出装置10、入出力装置40から入力される情報及び情報記憶装置50に格納された情報に基づいて演算及び制御を行うとともに、演算結果をディスプレイ42、プリンタ43またはスピーカ44等の出力手段に出力するように制御する手段である。
【0019】
この情報処理制御装置20は、以下のような構成を有している。
中央処理装置(CPU)21は、ナビゲーション装置1全体の総括的な演算及び制御を行う。
第1ROM22は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、目的地までの経路を案内するのに必要な地点情報の検索、及び検索した地点情報を画像表示や音声出力するためにRAM24などに出力したり、地点情報が一時変更されている場合は、一時変更された地点情報の検索、及び、地点情報の変更期間の管理などに関するナビゲーションプログラムを格納している。
センサ入力インターフェイス23は、現在位置検出装置10からの情報を受け取る手段である。
【0020】
RAM24は、目的地の情報、通過地点の情報等の利用者が入力した情報を記憶すると共に、利用者の入力情報に基づいてCPU21により演算された結果や、経路探索された結果、または情報記憶装置50から読み込まれた地図情報(地点情報も含まれる)を格納するための記憶手段である。
通信インターフェイス25は、現在位置検出手段装置10からの情報、特に外部から得られる情報を入出力するための手段である。
【0021】
第2ROM26は、ナビゲーションに関するプログラム、特に、音声案内に関するナビゲーションプログラムを格納している。画像プロセッサ27は、CPU21で処理されたベクトル情報を画像情報に処理するための処理手段である。
時計28は、時刻を刻む。
画像メモリ29は、画像プロセッサ27により処理された画像情報を格納する手段である。
音声プロセッサ30は、情報記憶装置50から読み込まれた音声情報を処理し、スピーカ44に出力する。
【0022】
入出力装置40は、利用者により目的地、通過地点、探索条件等のデータを入力する入力装置41、画像を表示するディスプレイ42、情報を印刷するプリンタ43、音声を出力するスピーカ44より構成される。
入力装置41は、例えば、タッチパネル、タッチスイッチ、ジョイスティック、キースイッチ等で構成される。
【0023】
情報記憶装置50は、伝送路45を介して情報処理制御装置20に接続される。
情報記憶装置50は、地図データファイル51、交差点データファイル52、ノードデータファイル53、道路データファイル54、写真データファイル55、地点情報DB56、一時変更DB57、その他のデータファイル60を格納している。
この情報記憶装置50は、一般的には、書き換え可能なハードディスク、フラッシュメモリなどの各種記憶媒体で構成されるが、CD−ROM、DVD−ROMなどのROMと併用して構成してもよい。
【0024】
地図データファイル51には、全国道路地図、任意地域の道路地図または住宅地図等の地図データが記憶されている。
道路地図は、主要幹線道路、高速道路、細街路(比較的狭い道路)等の各道路と地上目標物(施設等)から構成される。住宅地図は、地上建造物等の外形を表す図形、及び道路名称等が表示される市街図である。
【0025】
交差点データファイル52には、交差点の地理的位置座標や名称等の交差点に関するデータが記憶されている。
ノードデータファイル53には、地図上において経路探索に利用される各ノードの地理座標データ等が記憶される。
道路データファイル54には、道路の位置と種類及び車線数及び各道路間の接続関係等の道路に関するデータが記憶されている。
写真データファイル55には、各種施設や観光地、または主要な交差点等の視覚的表示が要求される場所を写した写真の画像データやコンピュータグラフィックス画像データなどが記憶されている。
【0026】
地点情報DB56は、地点情報を表す各種ファイルから構成されたデータベースである。
地点情報は、POI(Point of Interest)情報とも呼ばれ、例えば、競技場、劇場、レストランやデパートなどの店舗、学校、行政施設、福祉施設、民間会社の本支社や営業所、観光地など、ユーザが経路案内などで興味を持つと考えられる地点に関する情報である。
一時変更DB57は、地点情報のうち、名称や所在地などが一時的に変更された場合に、変更後の一時変更情報を記憶したデータベースである。
後述するように、地点情報DB56の地点情報と、当該地点情報に対応する一時変更DB57の一時変更情報は、地点IDによって関連づけられている。
【0027】
ナビゲーション装置1は、経路案内を行うに際して、経路付近の地点情報を検索してディスプレイ42に表示するが、このように地点情報は、ナビゲーション装置1が検索を行う検索対象情報として機能している。
このため、情報記憶装置50は、一時変更前の検索対象情報(地点情報DB56の地点情報)と、当該検索対象情報の少なくとも一部が一時的に変更された一時変更後の検索対象情報(一時変更DB57の一時変更情報を用いて地点情報DB56の地点情報の変更箇所を変更した情報)と、を関連づけて記憶する検索対象情報記憶手段として機能している。
【0028】
次に、図3の各図を用いて地点情報DB56と一時変更DB57について説明する。
図3(a)は、地点情報DB56の論的な構成の一例を示した図である。
地点情報DB56は、地点情報を記憶するデータベースであって、「地点ID」、「地点名称」、「読み」、「座標」、「住所」、「電話番号」、「変更フラグ」、その他の項目に関する情報から構成されている。
このように、1つの地点情報は、「地点ID」〜「変更フラグ」の複数の情報から構成されている。
【0029】
「地点ID」には、地点情報を識別するためのID情報(識別情報)が記憶されており、これは各地点情報に一意に付与されたものである。
ナビゲーション装置1は、「地点ID」に記憶されている地点IDにより、各地点情報を識別することができると共に、後述の一時変更DB57の変更情報と地点情報とを関連づけることができる。
【0030】
「地点名称」には、地点情報が示す対象に付与されている名称が記憶されている。
この名称には、例えば、「千種ホール」、「愛知県庁」など、その地点の施設に付与されている名称や、図示しないが、「襟裳岬」などのその場所の地名などがある。
「読み」は、地点名称の読みをカタカナで表したものである。
「座標」には、地点情報が指し示す施設や場所の所在地の2次元座標値が記憶されている。一般に、この2次元座標値には緯度・経度が用いられる。また「座標」を、標高も含む3次元座標値で構成することも可能である。
「住所」には、地点情報が示す対象の所在地の住所が記憶されており、「電話番号」には、地点情報が示す対象の電話番号が記憶されている。
【0031】
「変更フラグ」には、地点情報の一時変更がなされているか否かを表す変更フラグが記憶されており、「地点名称」、「読み」、「座標」、「住所」などの、一時変更となる可能性がある項目の各々について変更フラグが設定可能となっている。
なお、図示しないが「電話番号」も一時変更の可能性がある場合は、これを変更フラグの項目に加えてもよい。
これらの各項目で変更があったものに関しては、「変更有り」のフラグが設定され、変更がないものに関してはフラグが設定されない。
【0032】
例えば、図3(a)の「千種ホール」の場合、「地点名称」と「読み」が一時変更となり、「座標」と「住所」は変更されていない。
そのため、「地点名称」と「読み」には、「変更有り」のフラグが設定され、「座標」と「住所」にはフラグが設定されていない。
【0033】
図3(b)は、一時変更DB57の論的な構成の一例を示した図である。
一時変更DB57は、一時変更情報を記憶するデータベースであって、「地点ID」に対して、「変更項目」、「有効期間」、「変更データ」の各項目が対応づけられることにより構成されている。
「地点ID」には、地点情報DB56の地点情報のうち、対応するものの地点IDが記憶されている。この地点IDによって、地点情報DB56の地点情報と一時変更DB57の一時変更情報が関連づけられている。
【0034】
「変更項目」では、地点情報の変更フラグに対応して「地点名所」、「読み」、「座標」、「住所」などの項目が規定されており、これら項目のそれぞれに対して、「有効期間」、「変更データ」が設定可能となっている。
「有効期間」には、一時変更情報が有効である期間の最終日が記憶され、「変更データ」には、一時的に、当該地点情報に設定される変更内容である変更データが記憶される。
【0035】
例えば、図3(b)では、地点IDが123456の地点情報(以下、地点情報(ID=123456)などと記す)の「地点名称」、「読み」、「座標」、「住所」のうち、「地点名称」と「読み」が一時変更となっており、それぞれ「鈴木ホール」、「スズキホール」となっている。有効期間は、何れも2011年3月31日までとなっている。一方、「座標」と「住所」は、変更されていないので、データが記憶されていない。
この例は、千種ホールが命名権を民間事業者に貸与し、契約された有効期間の間、ホールの名称を当該民間事業者が設定した名称とするものである。このため、ホールの住所は一定のまま名称が変更されている。
また、例えば、店舗の改築のため、名称を変更せずに、一時的に仮店舗に店舗を移動する場合は、「地点名称」と「読み」は変更せず、「座標」と「住所」を一時変更することになる。
【0036】
次に、以上のように構成された地点情報DB56と一時変更DB57を用いて、ナビゲーション装置1が地点情報を検索する手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。以下の処理は、CPU21が所定のプログラムに従って行うものである。
なお、検索手順は、例えば、地点名称など、一時変更となる可能性がある項目を検索キーとして検索する場合と、地点IDなど、一時変更となる可能性がない項目を検索キーとして検索する場合で異なる。
【0037】
即ち、地点名称などは、一時変更後のものと一時変更前のものが検索キーとして入力される可能性があるため、CPU21は、地点情報DB56と一時変更DB57の両方を検索する必要がある。
一方、地点IDなどは、一時変更前後で同一であるため、CPU21は、地点情報DB56を検索すればよい。
そこで、以下のフローチャートでは、まず、前者の場合についての手順を説明する。
【0038】
まず、CPU21は、検索キーを受け付けることにより地点情報の検索要求を受け付ける(ステップ5)。
検索キーの受付は、ユーザから、名称、読み、住所などの入力を受け付けて行ってもよいし、あるいは、ナビゲーション装置1が案内エリアに存在する施設などを網羅的に地図に表示するために、案内エリア内に含まれる座標を検索キーとして受け付けてもよい。
このように、ナビゲーション装置1は、検索対象情報(地点情報)の検索要求を受け付ける検索受付手段を備えている。
【0039】
検索要求を受け付けると、CPU21は、地点情報DB56で、例えば、検索キーが地点情報の項目内容と一致するか否かを判断することにより、地点情報を検索する(ステップ10)。
地点情報が検索されなかった場合(ステップ15;N)、CPU21は、ステップ40に移行し、一時変更DB57での検索を行う。
一方、地点情報が検索された場合(ステップ15;Y)、CPU21は、当該地点情報の変更フラグを確認する。
【0040】
変更フラグが設定されていなかった場合(ステップ20;N)、当該地点情報は一時変更されていないため、CPU21は、当該地点情報を検索結果として、例えば、RAM24などの記憶装置に検索結果として記憶する(ステップ30)。
一方、変更フラグが設定されていた場合(ステップ20;Y)、CPU21は、変更フラグが設定されている項目を確認し(例えば、「地点名称」と「読み」にフラグが設定されていることを確認する)、更に、当該地点情報の地点IDをキーとして当該地点情報に関連づけられている一時変更情報を一時変更DB57で検索する。
このように、ナビゲーション装置1は、検索要求を受け付けた場合に、一時変更後の検索対象情報(一時変更DB57の一時変更情報を用いて地点情報DB56の地点情報の変更箇所を変更した情報)を検索する検索手段を備えている。
【0041】
次に、CPU21は、一時変更DB57を参照して変更データを読み出し、地点情報で先に一時変更を確認した項目を、当該読み出した変更データで置き換えることにより、地点情報を変更する(ステップ25)。
そして、CPU21は、変更した地点情報を検索結果として記憶装置に記憶する(ステップ30)。
【0042】
例えば、図3(a)の地点情報(ID=123456)の場合、地点情報で「地点名称」と「読み」にフラグが設定されている。
そのため、CPU21は、当該地点情報で「地点名称」と「読み」にフラグが設定されていることを確認すると共に、123456なる地点IDを一時変更DB57(図3(b))で検索して、地点情報(ID=123456)に関連づけられている一時変更情報を特定する。
【0043】
そして、CPU21は、一時変更情報から「地点名称」と「読み」の変更データである「鈴木ホール」と「スズキホール」を読み出す。
そして、CPU21は、地点情報(ID=123456)の先に確認した項目「地点名称」と「読み」を、当該読み出した「鈴木ホール」と「スズキホール」で置き換えることにより、地点情報を変更し、これを検索結果として記憶装置に記憶する。
【0044】
図4に戻り、ステップ30で検索結果を記憶した後、CPU21は、検索の対象となる地点情報の全てで検索キーを検索したか確認する(ステップ35)。
まだ、検索していない地点情報がある場合(ステップ35;N)、CPU21は、ステップ10に戻り、地点情報DB56での検索を続行する。
一方、対象となっている全ての地点情報を検索した場合(ステップ35;Y)、CPU21は、検索キーを一時変更DB57で検索する(ステップ40)。
これは、検索キーが一時変更後の内容で入力された場合に、これを検索するためである。
【0045】
検索キーが一時変更DB57で検索されなかった場合(ステップ45;N)、CPU21は、ステップ65に移行し、記憶装置に記憶されている検索結果を出力して(ステップ65)、処理を終了する。
一方、検索キーが一時変更DB57で検索された場合(ステップ45;Y)、CPU21は、検索キーがヒットした一時変更情報の地点IDを用いて、地点情報DB56にて当該一時変更情報と関連づけられている地点情報を特定する(ステップ50)。
そして、CPU21は、ステップ25と同様にして地点情報を変更し、これを検索結果として記憶装置に記憶する(ステップ55)。
【0046】
次に、CPU21は、一時変更DB57を全て検索したか確認し(ステップ60)、まだ検索していない一時変更情報がある場合(ステップ60;N)、CPU21は、ステップ40に戻る。
一方、全て検索した場合(ステップ60;Y)、CPU21は、記憶装置に記憶してある検索結果を出力し(ステップ65)、検索処理を終了する。
このように、ナビゲーション装置1は、検索手段による検索結果を出力する出力手段を備えている。
【0047】
以上の例は、一時変更が可能な項目の項目内容を検索キーとして検索する場合であったが、一時変更される可能性のない項目の項目内容(例えば、地点ID)を検索キーとして検索する場合は、地点情報DB56で地点情報を検索し、変更フラグが設定されていた場合は、一時変更DB57を用いて地点情報を変更すればよい。
このため、例えば、ステップ5で(例えば、他のシステムから)地点IDを受け付けるように構成されている場合は、ステップ5〜35を行えばよい。
以上のようにして、ナビゲーション装置1は、地点情報が一時変更となっている場合は、一時変更後の地点情報を検索することができる。
【0048】
次に、一時変更となった地点情報を変更期間経過後に復元する方法について説明する。
まず、CPU21が、一時変更DB57を検索した際に(図4のステップ45)、一時変更情報の「有効期間」を確認する方法がある。
この場合、CPU21は、確認の結果、有効期間が経過していると判断すると、当該一時変更情報を、例えば消去するなどして、一時変更DB57で無効化すると共に、当該一時変更情報に関連づけられている地点情報の変更フラグの設定を解除する。
あるいは、ユーザがナビゲーション装置1を起動した際に、一時変更DB57に対して上記の処理を一括して行うように構成することも可能である。
【0049】
また、災害復旧に伴った移転など、有効期間が設定されないものに関しては、ナビゲーション装置1を起動した際に、ナビゲーション装置1が所定のサーバにアクセスして有効期間が経過した一時変更情報の一覧を受信する。
そして、これを一時変更DB57と突合して有効期間が経過した一時変更情報を特定し、これに上記の処理を施してもよい。
【0050】
このように、ナビゲーション装置1は、一時変更情報の有効期間が経過したことを確認したり、あるいは、サーバから解除通知を受けるなどして、一時変更後の検索対象情報(一時変更DB57の一時変更情報を用いて地点情報DB56の地点情報の変更箇所を変更した情報)の一時変更が解除されたことを検知する検知手段を備えており、また、当該検知を行った場合に、一時変更後の検索対象情報を、当該検索対象情報に関連づけられている一時変更前の検索対象情報に復元する復元手段を備えている。
【0051】
また、一時変更DB57に新たな一時変更情報を追加する場合は、次のようにすればよい。
即ち、CPU21は、地点ID、変更項目、有効期間、変更データなどの一時変更情報を、例えば、サーバや記憶媒体から取得し、これを一時変更DB57に追加する。
更に、ナビゲーション装置1は、当該地点IDに係る地点情報の変更フラグのうち、変更項目に該当するものについてフラグを設定する。
【0052】
このように、ナビゲーション装置1は、所定の検索対象情報(地点情報)に対する一時変更後の検索対象情報(一時変更情報)を受信する一時変更後検索対象情報受信手段と、前記所定の検索対象情報(変更フラグが設定されていない地点情報)を(変更フラグを設定することにより)一時変更前の検索対象情報とすると共に、前記受信した一時変更後の地点情報を当該一時変更前の検索対象情報と関連づけて記憶することにより前記検索対象情報記憶手段を更新する更新手段を備えている。
【0053】
次に、図5を用いて本実施の形態の変形例について説明する。
先に説明した実施の形態では、地点情報61に一時変更があった場合、地点情報を変更して、変更後の地点情報64を地点情報DB56に記憶し、変更前の部分を変更前情報65として一時変更DB57に記憶するものである。
この例では、図中の(1)で示したように、CPU21は、地点情報DB56を検索すれば、変更後の地点情報を検索することができる。
【0054】
また、変更前の項目が検索キーとして入力された場合も考えられるので、一時変更可能な項目が検索キーとして使用された場合、CPU21は、先に説明した実施の形態と同様に、地点情報DB56と一時変更DB57の両方を検索して、一時変更後の地点情報を検索結果として出力する。
変更期間が経過した場合、CPU21は、変更前情報65を用いて地点情報64の一時変更されていた項目を書き換えて、地点情報64を一時変更前のものに復元する。
【0055】
図6(a)は、本変形例に係る地点情報DB56の論的な構成の一例を示した図である。
地点情報DB56に設けられている項目は、先に説明した実施の形態の地点情報DB56(図3(a))と同じであるが、項目に記憶されている内容は、一時変更後のものとなっている。
例えば、地点情報(ID=123456)の「地点名称」は、一時変更後の「鈴木ホール」となっている。
【0056】
図6(b)は、一時変更DB57の論的な構成の一例を示した図である。
一時変更DB57には、一時変更前の情報が記憶されている。一時変更DB57に設けられている項目は、先に説明した実施の形態の一時変更DB57(図3(b))と同じであるが、項目に記憶されている内容は、一時変更前のものとなっている。
例えば、地点情報(ID=123456)の「地点名称」は、一時変更前の「千種ホール」となっている。
【0057】
次に、図7を用いて他の変形例について説明する。
この例は、地点情報の変更履歴を記憶するものである。
例えば、「千種ホール」が一時的に「鈴木ホール」に変更され、更に、「山田ホール」に一時変更された場合、ナビゲーション装置1は、地点情報71(千種ホール)、一時変更情報72(鈴木ホール)、一時変更情報73(山田ホール)を地点IDを用いて関連づけて記憶する。
【0058】
そして、ナビゲーション装置1は、例えば、地点名称などの一時変更可能な項目を検索キーとして地点情報の検索を行う場合、これら履歴に渡って検索を行う。
例えば、地点名称が複数回に渡って一時変更となった場合、ユーザは、何れかの地点名称をナビゲーション装置1に入力することにより、目的の地点情報を検索することができる。
このように、ナビゲーション装置1は、検索対象情報(地点情報)の一時的な変更の履歴を記憶する履歴記憶手段を具備し、前記記憶した履歴を用いて、過去に一時的に変更された検索対象情報を検索することができる。
【0059】
以上に説明した本実施の形態、及び変形例によって次のような効果を得ることができる。
(1)地点情報を変更する場合に、一時変更の場合には、変更前の旧情報を保持することができる。
(2)一時変更した地点情報に対して変更期間が過ぎた場合には元の地点情報に復元することができる。
(3)ユーザは、一時変更前、及び一時変更後の情報(例えば、地点名称)の何れを用いても検索を行うことができる。
(4)ユーザは、地点情報を一時変更前のものに復元するために、地図の更新/購入を行う必要がない。
(5)地点情報の供給者は、変更が一時的なものだと分かっている場合には一時変更を行うことで、元に復元するための更新データを作成する必要が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施の形態の概要を説明するための図である。
【図2】ナビゲーション装置のシステム構成図である。
【図3】地点情報DBと一時変更DBを説明するための図である。
【図4】検索手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】変形例を説明するための図である。
【図6】変形例に係る地点情報DBと一時変更DBを説明するための図である。
【図7】変形例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0061】
1 ナビゲーション装置
10 現在位置検出装置
20 情報処理制御装置
21 CPU
40 入出力装置
50 情報記憶装置
56 地点情報DB
57 一時変更DB
61 地点情報
62 一時変更情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時変更前の検索対象情報と、当該検索対象情報の少なくとも一部が一時的に変更された一時変更後の検索対象情報と、を関連づけて記憶する検索対象情報記憶手段と、
検索対象情報の検索要求を受け付ける検索受付手段と、
前記検索要求を受け付けた場合に、一時変更後の検索対象情報を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索結果を出力する出力手段と、
前記一時変更後の検索対象情報の一時変更が解除されたことを検知する検知手段と、
前記検知した場合に、一時変更後の検索対象情報を、当該検索対象情報に関連づけられている一時変更前の検索対象情報に復元する復元手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記一時変更後の検索対象情報には、変更期間が設定されており、
前記検知手段は、前記変更期間が経過したことを確認することにより前記一時変更が解除されたことを検知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記検知手段は、所定のサーバ装置から、前記一時変更後の検索対象情報の一時変更が解除されたことを通知する解除通知を受信することにより前記一時変更が解除されたことを検知することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
所定の検索対象情報に対する一時変更後の検索対象情報を受信する一時変更後検索対象情報受信手段と、
前記所定の検索対象情報を一時変更前の検索対象情報とすると共に、前記受信した一時変更後の検索対象情報を当該一時変更前の検索対象情報と関連づけて記憶することにより前記検索対象情報記憶手段を更新する更新手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記検索対象情報の一時的な変更の履歴を記憶する履歴記憶手段を具備し、
前記検索手段は、前記記憶した履歴を用いて、過去に一時的に変更された検索対象情報を検索することを特徴とする請求項1から請求項4までのうちの何れか1の請求項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
一時変更前の検索対象情報と、当該検索対象情報の少なくとも一部が一時的に変更された一時変更後の検索対象情報と、を関連づけて記憶する検索対象情報記憶手段を備えたコンピュータを、
検索対象情報の検索要求を受け付ける検索受付手段と、
前記検索要求を受け付けた場合に、一時変更後の検索対象情報を検索する検索手段と、
前記検索手段による検索結果を出力する出力手段と、
前記一時変更後の検索対象情報の一時変更が解除されたことを検知する検知手段と、
前記検知した場合に、一時変更後の検索対象情報を、当該検索対象情報に関連づけられている一時変更前の検索対象情報に復元する復元手段と、
して機能させるためのナビゲーション用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−310669(P2008−310669A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159078(P2007−159078)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】