説明

ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】目標時刻に目的地に到達するために何時にどの地点を出発すればよいのかについて即座に知ることができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置の制御部が等出発時刻線描画処理を実行することにより地図上に複数の等出発時刻線を描画する。表示画面6aは、その描画した画面を示しており、地図表示6b、道路選択表示6c、経由地/目的地表示6d、目標時刻表示6eを有している。目的地に19:00(目標時刻)に到着したい場合、現在地からの探索経路が示されるとともに、18:00の等出発時刻線、17:00の等出発時刻線、16:00の等出発時刻線、及び15:00の等出発時刻線が描画される。ユーザは目的地に目標時刻19:00に到着したい場合、各等出発時刻線上の中間地点を表示されている出発時刻にその中間地点を出発すればよいことになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体が所定時間内に現在地から到達可能な位置を地図上に表示する技術として例えば、特許文献1記載の発明があった。この発明は、タクシー会社や警備会社の配車指令システムに用いられ、地図上にタクシー車両や警備車両の現在地と、各車両が現在地から所定時間内に到達可能な位置とが表示される。
【0003】
かかる技術によれば目的地を設定した経路探索の指示がなくても、任意の地点までの到達可能性を視覚的に認識することができ、タクシー車両や警備車両に最適な配車指示を出すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−16094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来の技術をナビゲーション装置に採用した場合、ユーザは現在地から所定時間内にどの地点まで到達可能であるかについては知ることができるものの、目標時刻までに目的地に到達する必要がある場合に、何時までにどの地点に到達していなければならないのかについては知ることができなかった。
【0006】
例えば、目的地がホテルであり、チェックインの時刻である午後3時に到着したい場合、従来の技術によれば現在の時刻から、例えば1時間で到達できる地点を知ることができるものの、ユーザが何時にどの地点に到達していなければならないのか、すなわち午後3時にホテルに到着するためには何時にどの地点を出発していなければならないのか、については直ぐに知ることはできない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、目標時刻に目的地に到達するために何時にどの地点を出発すればよいのかについて即座に知ることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載のナビゲーション装置は、目的地設定手段、時刻設定手段、特定手段及び表示手段を備える。そして、目的地設定手段は、地図上に目的地を設定し、時刻設定手段は、目的地に到達すべき目標時刻を設定する。また、特定手段は、目的地に至る経路上の中間地点と目標時刻に目的地に到達するためにその中間地点を出発すべき出発時刻とを対応づけて特定し、表示手段は、中間地点とその中間地点に対応づけられた出発時刻とを、対応が認識できるように表示装置に表示する。
【0009】
ここにいう目的地に至る経路上の中間地点とは、目的地に至るまでの最短経路上にある必要はなく、目的地からみて全ての方向の経路上の地点を含みうる。そのため、迂回する場合に通過する可能性がある地点だけでなく、実際に目的地に到達するまでに通過する可能の低い地点であっても、目的地に通じる経路上にあればよい。
【0010】
また中間地点の表示としては、必ずしも点による表示だけでなく、出発時刻との対応がわかる表示として、例えば、アイコン、数字、記号等の表示でもよい。
かかる請求項1記載のナビゲーション装置によれば、目的地に至る経路上の中間地点と目標時刻に目的地に到達するためにその中間地点を出発すべき出発時刻とが対応づけて特定されて表示装置に表示される。そのため、ユーザは視覚的に何時にどの地点を出発すればよいのかについて即座に知ることができる。
【0011】
ところで、中間地点が単に複数の点として表示されるのではなく、複数の点を結んだ線で表示されれば、ユーザは地図上の点を探す必要がなく視覚的にわかりやすい。
そこで、請求項2記載の発明は、請求項1記載のナビゲーション装置において、表示手段は、出発時刻が同じとなる複数の中間地点を線で結んだ等出発時刻線を表示する。
【0012】
かかる請求項2記載のナビゲーション装置によれば、出発時刻が同じとなる複数の中間地点が線で結ばれているため、何時にどの地点を出発すればよいのかについて、ユーザは地図上の点を探す必要がなく視覚的にわかりやすい。
【0013】
またその際、等出発時刻線の時間間隔が等しければ、等出発時刻線が目的地から何本あるかにより出発時刻を知ることができて、より視覚的にわかりやすい。
そこで、請求項3記載の発明は、請求項2記載のナビゲーション装置において、表示手段は、複数の等出発時刻線を等しい時間間隔で表示する。
【0014】
かかる請求項3記載のナビゲーション装置によれば、等出発時刻線は等しい時間間隔、例えば、1時間毎、30分毎、10分毎で表示されているため、等出発時刻線が目的地から何本あるかにより出発時刻を知ることができて、より視覚的にわかりやすい。
【0015】
一方、目標時刻から遠い出発時刻に対応する中間地点ではそれほど厳密にその中間地点を出発すべき出発時刻を知る必要はないが、目標時刻に近い出発時刻に対応する中間地点では正確にその目標時刻に到達するために厳密に出発時刻を知りたい場合もある。
【0016】
そこで、請求項4記載の発明は、請求項2記載のナビゲーション装置において、表示手段は、複数の等出発時刻線を複数の異なる時間間隔で表示するものであり、それら時間間隔は、全ての隣接する2つの時間間隔について目標時刻から近い方の時間間隔が目標時刻から遠い方の時間間隔以下となるように設定されている。
【0017】
この場合、等出発時刻線の時間間隔は、目標時刻から遠くなるにつれて、例えば、10分、20分、30分、…といった具合に全て変化させることもできるし、例えば、10分、10分、10分、30分、30分、30分、…といった具合に、等しい時間間隔を混在させて段階的にする場合も含んでいる。
【0018】
かかる請求項4記載のナビゲーション装置によれば、目標時刻に近い時刻に対応する地点では、より厳密に出発すべき時刻を確認することができて都合がよい。
さらに、目標時刻までに目的地に到達できないことが判明したならば、ユーザは早めにその旨を知ることができた方が予定を再考する上で都合がよい。
【0019】
そこで、請求項5記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、判定手段及び報知手段を備える。判定手段は、現在地及び現在時刻と等出発時刻線及びその等出発時刻線に対応づけられた出発時刻とを各々比較することにより目的地に目標時刻までに到達できる可能性を判定し、報知手段は、判定手段により目的地に目標時刻までに到達できないと判定された場合にユーザに報知する。
【0020】
かかる請求項5記載のナビゲーション装置によれば、目標時刻までに目的地に到達できないことが判明した場合、ユーザは早めにその旨を知ることができ、その結果、予定を再考する上で都合がよい。
【0021】
さらに、目標時刻までに時間に余裕がある場合、ユーザは単に現在地から最短で目的地に行かなくてもよく、どの中間地点を経由できるのかについて知りたいと考えることが予想される。
【0022】
そこで、請求項6記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、特定手段は、目的地を中心とした円上に等間隔で複数の仮中間地点を設定し、その設定した仮中間地点から目的地までの経路を探索し、その探索した経路上に中間地点とその中間地点に対応する出発時刻とを特定する。
【0023】
例えば、円上に4方向、8方向、16方向、…といったように等間隔に仮中間地点を設定することができる。
かかる請求項6記載のナビゲーション装置によれば、目的地から満遍なく異なる方向に対して中間地点を特定することができ、ユーザは目標時刻に目的地に到達するためにどの中間地点を経由することができるのかを視覚的に知ることができる。
【0024】
請求項7記載のプログラムは、地図上に目的地を設定する目的地設定手段と、目的地に到達すべき目標時刻を設定する時刻設定手段と、目的地に至る経路上の中間地点と目標時刻に目的地に到達するために中間地点を出発すべき出発時刻とを対応づけて特定する特定手段と、中間地点とその中間地点に対応づけられた出発時刻とを、対応が認識できるように表示装置に表示する表示手段としてコンピュータを機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態としてのナビゲーション装置を中心としたシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置の制御部が実行する等出発時刻線描画処理を示すフローチャートである。
【図3】等出発時刻線描画処理により地図上に描画された等出発時刻線を示す説明図である。
【図4】等出発時刻線の時間間隔につき目標時刻に近い部分で細かくした場合の表示モードを示す説明図である。
【図5】経由地が設定された場合に等出発時刻線を描画する場合を示す説明図である。
【図6】ナビゲーション装置の制御部が実行する到達不能報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1 構成]
図1は、本実施形態としてのナビゲーション装置1を中心としたシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0027】
ナビゲーション装置1は、車両に搭載され、現在地から目的地までの経路を探索して地図上に示したり、経路上の現在地を地図上に示したりする周知の電子機器であり、位置検出部2、地図データ格納部3、スイッチ情報入力部4、メモリ5、表示部6、音声出力部7、データ通信部8と、これら各部に接続された制御部9とを備える。
【0028】
位置検出部2は、ナビゲーション装置1の現在地を検出するためのセンサ類であり、いずれも周知の地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、及び衛星からの電波に基づいて車両の現在地を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機(いずれも図示せず)を備える。これらのセンサは各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用して精度を上げるように構成される。なお、位置検出部2は、これらセンサの一部で構成してもよく、さらにステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いてもよい。
【0029】
地図データ格納部3は、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等から構成され、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ及び目印データを含む各種データが格納される記憶装置である。
【0030】
スイッチ情報入力部4は、例えば表示部6と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等であり、ユーザのスイッチ操作により制御部9へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、目標時刻設定、経由地設定、等出発時刻線表示、経路探索、経路案内開始、現在地修正、表示画面変更、音量調整等)の操作指示を行う。
【0031】
なお、スイッチ情報入力部4をリモートコントロール端末によって構成し、制御部9との間を無線通信により情報の送受信を行うようにしてもよい。
メモリ5は、例えばROMやRAMから構成された記憶装置であり、ROMにはナビゲーションのプログラムが格納され、RAMにはプログラムのワークメモリや地図データ格納部3から取得した地図データ等を一時的に格納できる。
【0032】
表示部6は、ナビゲーションとして地図や目的地選択画面等を表示するディスプレイ装置であって、フルカラー表示が可能なものであり、液晶、有機EL等を用いて構成することができる。
【0033】
音声出力部7は、音楽や音声等を外部に出力するスピーカであり、案内のための音声や画面操作の説明を発声する。
データ通信部8は、相互通信機能を有するインタフェースであり、例えば携帯電話や自動車電話等の携帯端末から構成され、制御部9に容易に着脱可能なように接続されている。勿論、データ通信部8を制御部8に容易に着脱できないように組み込んでもよい。
【0034】
制御部9は、各種の処理を実行する電子制御ユニットであり、ここでは構成を機能的に説明した機能ブロックで示している。すなわち制御部9は、地図データ取得部10、マップマッチング部11、経路計算部12、経路案内部13、描画部14、画面制御管理部15、通信制御部16として機能する。本実施形態では、これら各構成要素がソフトウエアとして共通化されて実現される。
【0035】
なお、この制御部9の各処理部10〜16については、本実施形態のようにソフトウエアで実現してもよいし、一部又は全部を独立したハードウエア(電子回路)で実現してもよい。
【0036】
地図データ取得部10は、各処理部11〜16で必要となる地図データを地図データ格納部3より取得し、各処理部11〜16に提供する機能を果たす。ここでの各処理は、メモリ5のROMやRAMを使って実行される。
【0037】
マップマッチング部11は、位置検出部2で検出した位置情報と地図データ格納部3から取得された地図データの道路形状データ等を使って、現在地がどの道路上に存在するかを特定する機能を果たす。この際に必要となる地図データは、地図データ取得部10が地図データ格納部3より取得する。
【0038】
経路計算部12は、マップマッチング部11で算出された現在地の情報や、スイッチ情報入力部4を使ってユーザが設定した目的地から、目的地までの経路を算出する。本実施形態では、特に、目的地に到達する経路上に中間地点及び出発時刻を特定し、等出発時刻線を算出する機能を果たす。
【0039】
経路案内部13は、上記経路計算の結果と地図データ内に格納されている道路の形状データや、交差点の位置情報や踏み切りの位置情報等から案内に必要なポイントを算出したり、どのような案内(右に曲がるのか左に曲がるのか等)が必要なのか等を算出したりする機能を果たす。
【0040】
描画部14は、地図上の現在地、目的地、目標時刻に目的地に到達するための等出発時刻線の他、高速道路の略図、交差点付近では交差点付近の拡大図等を画面制御管理部15の指示に従い描画し、表示部6に表示する機能を果たす。
【0041】
画面制御管理部15は、描画部14に表示部6に表示すべき表示情報の描画指示を行う機能を果たす。
通信制御部16は、スイッチ情報入力部4を使ったユーザの指示や、定期時間毎の指示をデータ通信部8に送信して相互通信が可能な状態にする機能を果たす。
【0042】
また、ナビゲーション装置1は、外部から交通情報や気象情報を得ることも可能である。
すなわち、ナビゲーション装置1のデータ通信部8は、外部の無線基地局17と無線通信を行っており、交通情報や気象情報を管理・発信する交通・気象情報センタ19から発信される交通情報や気象情報を電話局18を介して受信する。
【0043】
交通・気象情報センタ19は、外部と通信するための回線端末装置20、交通情報や気象情報を加工するサーバ21、及び交通情報や気象情報を蓄積しておくデータベース22を備える。
[2 処理]
以下ナビゲーション装置1の制御部9が実行する処理について説明する。
【0044】
図2は、制御部9が実行する等出発時刻線描画処理を示すフローチャートである。
ユーザの操作により車両のイグニッションがオンにされると、ナビゲーション装置1に電源が入る。ナビゲーション装置1のデータ通信部8は、外部の無線基地局17及び電話局18を介し交通・気象情報センタ19にアクセスし、データベース22に蓄積された交通情報や気象情報を取得する。
【0045】
そしてユーザがスイッチ情報入力部4を操作することにより、ナビゲーション装置1が等出発時刻線描画モードに設定されると、制御部9はこの等出発時刻線描画処理を実行する。
【0046】
S1では、ユーザがスイッチ情報入力部4を操作することにより入力する目的地及び目標時刻を取得して、S2に進む。
S2では、ユーザがスイッチ情報入力部4を操作することにより入力する探索条件、すなわち有料道路を優先するか又は一般道路を優先するかの道路選択情報を取得して、S3に進む。
【0047】
S3では、所定の単位時間(例えば1時間)間隔で等出発時刻線を描画するために、目的地を中心とした全方位(360度)について経路探索を実施する準備を行う。すなわち、予め定められている探索方向数m(例えば16)、を取得し、経路探索を行う単位となる角度Aを、A=(360/m)の計算式により算出する。例えば、探索方向数mの値が16であれば、A=22.5度となる。S3の処理の後、S4に進む。
【0048】
S4〜S8では、中間地点及び出発時刻を算出して等出発時刻線を描画する処理を実行するが、その際、S4〜S8の処理を1回実行することにより、等出発時刻線を1本描画する。すなわち描画すべき等出発時刻線の数がnであるとすれば、n回、S4〜S8の処理を繰り返して実行することになる。
【0049】
ここで描画すべき等出発時刻線の数nは、例えば、現在時刻と目標時刻との時間間隔を描画する等出発時刻線の時間間隔で割った数に所定数(例えば1)を足した値とすることができる。また、画面に表示される範囲内で描画可能な数とすることもできる。
【0050】
また、描画した等出発時刻線の数はカウンタ値Nで表されており、初期状態では、カウンタ値Nは0と設定されている。
S4では、描画すべき等出発時刻線(数n)を全て描画したか否かを判定する。全ての等出発時刻線を描画していなければ(S4:NO)、S5に進み、全ての等出発時刻線を描画していれば(S4:YES)、この等出発時刻線描画処理を終了する。この判定は例えば、描画すべき等出発時刻線数nが既に描画した等出発時刻線数Nと等しいか否かにより判定することができる。
【0051】
S5では、ここで描画する等出発時刻線に対応する出発時刻を算出し、その出発時刻に対応する中間地点を特定する前提として仮中間地点を設定する。このS5を実行した後、S6に進む。
【0052】
すなわち、まずS4〜S8の処理で描画する等出発時刻線に対応する出発時刻を算出する。出発時刻の算出方法としては、例えば、目標時刻に近い出発時刻に対応する等出発時刻線を描画するものとして、目標時刻から、既に描画した等出発時刻線の数Nに1を加えた値と描画する等出発時刻線の間隔(例えば1時間)とを掛け合わせた値を目標時刻から引いた時刻を出発時刻とすることができる。
【0053】
また仮中間地点は、目的地を中心とした円上に角度Aで等間隔で設定される。この際の半径は、目的地を中心として、出発時刻に対応する中間地点が全て含まれる値とされ、地域や所要時間をもとに実験的に決めてある値を使用する。この円の半径を決める際は、仮に目的地に到達すべき目標時刻が19:00であり、18:00に対応する等出発時刻線を描こうとしたような場合、円の半径は後の計算の都合上、必ず18:00より前の時刻に対応するように設定する。すなわち18:00を出発時刻として、対応する中間地点を算出しなければならないので、仮中間地点は中間地点よりも外側(目的地から遠い位置)に来るように設定する。
【0054】
S6では、等出発時刻線を描画するための中間地点を特定して、S7に進む。
具体的には、仮中間地点から目的地までの経路を、交通情報、気象情報、及び道路のリンクコスト等を加味して探索し、目的地から逆算して、出発時刻に対応する中間地点をその経路上に特定し、等出発時刻線を描画するための中間地点とする。この際、目的地までの距離、車両の走行速度等から目標時刻に目的地に到達する上で影響を与える様々な諸事情を総合的に判断して、中間地点を特定する。
【0055】
なおこの場合、探索方向数mが大きいほど精度の高い等出発時刻線を描くための中間地点が得られることになるが、その分、計算時間が増えることになる。
S7では、S6で特定した各中間地点のうち隣接する2点を結び、S8に進む。
【0056】
S8では、各中間地点を結んだ等出発時刻線を描画して、S4に戻る。なおこの場合、既に描画した等出発時刻線の数を表すカウンタ値Nを1だけインクリメントする。
図3は、制御部9が等出発時刻線描画処理を実行することにより表示部6に表示される表示画面6aを示している。表示画面6aは、地図表示6b、道路選択表示6c、経由地/目的地表示6d、目標時刻表示6eを有している。
【0057】
地図表示6bは、現在地及び目的地が特定された画面表示である。図示するとおり、目的地(図面では二重丸で示す。)に19:00(目標時刻)に到着したい場合、現在地(図面では三角で示す。)からの探索経路が示されるとともに、18:00の等出発時刻線、17:00の等出発時刻線、16:00の等出発時刻線、及び15:00の等出発時刻線が描画されている。
【0058】
各等出発時刻線は、その時刻にその地点を出発すれば目標時刻に目的地に到達することを示している。
なお、図2及び図3では、等出発時刻線を等間隔で描画するモードを前提として説明しているが、ユーザの操作に応じて目標時刻に近い等出発時刻線についてより遠い部分の等出発時刻線よりも時間間隔を短く(細かく)表示するモードも選択でき、同じ処理が実行される(図4)。
【0059】
道路選択表示6cは、ユーザにより有料道路が優先と選択されたか一般道路が優先と選択されたかを示している(図2のS2に対応)。ここでは有料道路が優先と選択されている。
【0060】
経由地/目的地表示6dは、現在表示している等出発時刻線が目的地に対するものであるか又は経由地に対するものであるかを示している。ここでは目的地に対するものと表示されている。
【0061】
目標時刻表示6eは、ユーザにより設定された目標時刻が表示される(図2のS1に対応)。ここでは目標時刻が19:00に設定されている。
また図4は、同様に表示部6に表示される表示画面6aを示しているが、ここでは目標時刻に近い等出発時刻線について遠い部分の等出発時刻線よりも時間間隔を短く(細かく)表示するモードで表示している。
【0062】
すなわち目標時刻は19:00に設定されているが、目標時刻に近い18:00〜19:00では10分間隔で等出発時刻線が描画されており、目標時刻から遠いその他の部分では2時間間隔で等出発時刻線が描画されている。
【0063】
図5は、同様に表示部6に表示される表示画面6aを示しているが、ここでは経由地/目的地表示6dとして、経由地を設定した場合である。目的地に至る経由地に対しても目的地と同様に等出発時刻線の表示ができる。
【0064】
つぎに図6のフローチャートにより到達不能報知処理の説明をする。
同図は、ナビゲーション装置1の制御部9が実行する到達不能報知処理を示すフローチャートである。ナビゲーション装置1は、図2に示した等出発時刻線描画処理を実行することにより等出発時刻線を描画した状態(例えば図3〜図4)で、この処理を所定の時間(例えば数秒)間隔で実行する。
【0065】
まずS11では、マップマッチング部11で算出された現在地が目的地までの等出発時刻線を新たに越えたか否かを判定する。新しく等出発時刻線を越えていれば(S11:YES)、S12に進み、新しく等出発時刻線を越えていなければ(S11:NO)、この到達不能報知処理を終了する。
【0066】
S12では、現在時刻がS11で越えた等出発時刻線に対応する出発時刻よりも後か否かを判定する。現在時刻が出発時刻よりも後であれば(S12:YES)、S13に進み、現在時刻が出発時刻よりも後でなければ(S12:NO)、この到達不能報知処理を終了する。
【0067】
S13では、目標時刻までに目的地までに到達できない旨をユーザに報知して、この到達不能報知処理を終了する。
ユーザに対する報知は、例えば、表示部6による画面表示及び音声出力部7による音声出力により行う。
[3 効果]
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置1によれば、目的地に至る経路上の中間地点と目標時刻に目的地に到達するために中間地点を出発すべき出発時刻とが対応づけて特定されて表示部6に表示される(図3、図4)。そのため、ユーザは視覚的に何時にどの地点を出発すればよいのかについて即座に知ることができる。
【0068】
またその際、出発時刻が同じとなる複数の中間地点が線で結ばれているため(等出発時刻線)、何時にどの地点を出発すればよいのかについて、ユーザは地図上の点を探す必要がなく視覚的にわかりやすい。
【0069】
さらに図3に示すように同じ時間間隔(例えば1時間)で描画するモードによれば、等出発時刻線が目的地から何本あるかにより出発時刻を知ることができて、より視覚的にわかりやすい。
【0070】
一方、図4では、目標時刻に近い等出発時刻線について遠い部分の等出発時刻線よりも時間間隔を短く(細かく)表示するモードで表示しているため、目標時刻から遠い出発時刻に対応する中間地点ではそれほど厳密に出発時刻を知る必要はないが、目標時刻に近い出発時刻に対応する中間地点では正確に目標時刻に到達するために厳密に出発時刻を知りたい場合、目標時刻に近い時刻に対応する地点では、より厳密に出発すべき時刻を確認することができて都合がよい。
【0071】
さらに、目的地に目標時刻までに到達できないと判定された場合、表示部6による画面表示及び音声出力部7による音声出力によりユーザに報知する処理がなされているので、目標時刻までに目的地に到達できないことが判明した段階でユーザはその旨を知ることができ、予定を再考する上で都合がよい。
【0072】
また、仮中間地点を16方向で設定し、中間地点を特定して、等出発時刻線を描画しているため、ユーザは目標時刻に目的地に到達するためにどの中間地点を経由することができるのかを視覚的に知ることができる。
[4 特許請求の範囲との対応]
なお、本実施形態の制御部9が実行するS1が目的地設定手段、同様に制御部9が実行するS1が時刻設定手段、制御部9が実行するS6が特定手段と、制御部9が実行するS8が表示手段に相当する。
【0073】
また制御部9が実行するS11及びS12が判定手段、制御部9が実行するS13が報知手段に相当する。
[5 他の形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に何ら限定されるものではなく種々の形態をとりうる。
【0074】
例えば、本実施態様では、等出発時刻線を越えた場合にその出発時刻と現在時刻を比較することで目標時刻までに目的地に到達できる可能性を判定したが、これは、S11の代わりに、現在時刻が次の等出発時刻線に対応する出発時刻を越えたか否かを判断し、越えたと判断された場合に、S12の代わりに現在地が等出発時刻線を越えて、目的地に近い位置にいるか否か、すなわち必要とされる中間地点まで来ているか否かを判定するようにしてもよい。
【0075】
また本実施形態では、複数の等出発時刻線が地図上で1時間間隔となるように描画するものとしたが、これは目標時刻の設定に応じて単位時間を日・時・分・秒で変更させてもよい。
【0076】
さらに本実施形態では、等出発時刻線として線を描画するものとしたが、これは必ずしも線である必要はなく、例えば、経路上に単数又は複数の出発時刻をアイコン等を含む点で表すこともできる。この場合、必ずしも経路を表示しなくてもよい。点で表す場合、出発時刻を数字で表示してもよいし、異なる色を用いることにより表示してもよい。
【0077】
また本実施形態では、等出発時刻線による表示としたが、これだけではなく、例えば、道なりの距離を数値(例えば「残り40km」等)で表示したり、直線距離を数値で表示したりしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…ナビゲーション装置、2…位置検出部、3…地図データ格納部、4…スイッチ情報入力部、5…メモリ、6…表示部、6a…表示画面、6b…地図表示、6c…道路選択表示、6d…経由地/目的地表示、6e…目標時刻表示、7…音声出力部、8…データ通信部、9…制御部、10…地図データ取得部、11…マップマッチング部、12…経路計算部、13…経路案内部、14…描画部、15…画面制御管理部、16…通信制御部、17…無線基地局、18…電話局、19…交通・気象情報センタ、20…回線端末装置、21…サーバ、22…データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上に目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地に到達すべき目標時刻を設定する時刻設定手段と、
前記目的地に至る経路上の中間地点と前記目標時刻に前記目的地に到達するために前記中間地点を出発すべき出発時刻とを対応づけて特定する特定手段と、
前記中間地点とその中間地点に対応づけられた出発時刻とを、対応が認識できるように表示装置に表示する表示手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示手段は、出発時刻が同じとなる複数の中間地点を線で結んだ等出発時刻線を表示すること
を特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示手段は、複数の等出発時刻線を等しい時間間隔で表示すること
を特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示手段は、複数の等出発時刻線を複数の異なる時間間隔で表示するものであり、それら時間間隔は、全ての隣接する2つの時間間隔について前記目標時刻から近い方の時間間隔が前記目標時刻から遠い方の時間間隔以下となるように設定されていること
を特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
現在地及び現在時刻と前記等出発時刻線及びその等出発時刻線に対応づけられた出発時刻とを各々比較することにより前記目的地に前記目標時刻までに到達できる可能性を判定する判定手段と、
前記判定手段により目的地に目標時刻までに到達できないと判定された場合にユーザに報知する報知手段と
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記特定手段は、前記目的地を中心とした円上に等間隔で複数の仮中間地点を設定し、その設定した仮中間地点から前記目的地までの経路を探索し、その探索した経路上に中間地点とその中間地点に対応する出発時刻とを特定すること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
地図上に目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地に到達すべき目標時刻を設定する時刻設定手段と、
前記目的地に至る経路上の中間地点と前記目標時刻に前記目的地に到達するために前記中間地点を出発すべき出発時刻とを対応づけて特定する特定手段と、
前記中間地点とその中間地点に対応づけられた出発時刻とを、対応が認識できるように表示装置に表示する表示手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図6】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−17561(P2011−17561A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160947(P2009−160947)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】