説明

ナビゲーション装置及び目的地到達可否判定方法

【課題】電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地まで到達可能か否かを精度良く判定できるようにする。
【解決手段】自車ドライバにより目的地が設定されると、ナビゲーションECU1が、目的地までの経路を算出するとともに通信機10を用いて情報センタ11から経路に関連する環境情報を取得する。そして、取得した経路の環境情報を加味して目的地に到達するまでの間に車両補機により消費される電力量Wsを推定し、現在のバッテリ残存量Wmaxからこの補機消費電力量Wsを減算して走行に使用可能な電力量Wrunを算出する。また、電気自動車が目的地に到達するための走行に必要な電力量Wmを算出し、走行に使用可能な電力量Wrunと走行に必要な電力量Wmとを比較して、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達可能か否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地まで到達可能か否かを判定する機能を備えたナビゲーション装置及び目的地到達可否の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地まで到達可能か否かを判定する技術として、例えば、下記特許文献1に記載された技術が知られている。この特許文献1に記載の技術は、道路リンクごとのバッテリ消費量に関するデータを複数の電気自動車から収集してその平均値を求め、目的地までの経路に含まれる各道路リンクのバッテリ消費量の平均値と現在のバッテリ残存量とを比較して、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地に到達できるか否かを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−115623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、目的地までの経路に含まれる道路リンクのバッテリ消費量の平均値をもとに目的地への到達可否を判定しているため、実際の走行時の状況によって、例えばワイパや灯器類、エアコンなどの車両補機による電力消費量が大きく変動する場合には、現在のバッテリ残存量に応じた電気自動車の走行可能距離を正しく推定できずに、目的地に到達できるか否かを精度良く判定することができないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような従来の課題に鑑みて創案されたものであって、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地まで到達可能か否かを精度良く判定することが可能なナビゲーション装置及び目的地到達可否判定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、現在地から目的地までの経路の環境情報に基づいて電気自動車が目的地に到達するまでの間に車両補機により消費される電力量を推定して、電気自動車の現在のバッテリ残存量からこの車両補機の消費電力量を減算することで走行に使用可能な電力量を算出するとともに、電気自動車が目的地に到達するための走行に必要な電力量を算出し、走行に使用可能な電力量と走行に必要な電力量とを比較して、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地に到達可能か否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、経路の環境情報に基づく車両補機の電力消費量を考慮した上で、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地に到達できるか否かを判定するようにしているので、目的地への到達可否を精度良く判定して、正確な情報をドライバに報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した電気自動車用のナビゲーション装置の一例を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態のナビゲーション装置において、自車ドライバが目的地を指定する操作入力を行ったときにナビゲーションECUにより実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS102における処理の詳細を示すフローチャートである。
【図4】目的地に到達するまでの間にエアコン装置により消費される電力量を算出する方法の具体例を説明する図である。
【図5】第2の実施形態のナビゲーション装置において、ナビゲーションECUにより実行される図2のステップS102における処理の詳細を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態のナビゲーション装置において、自車ドライバが目的地を指定する操作入力を行ったときにナビゲーションECUにより実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図6に続く処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明を適用した電気自動車用のナビゲーション装置の一例を示す構成図である。このナビゲーション装置は、当該ナビゲーション装置における各種の動作を制御するための電子制御装置であるナビゲーションECU(Electronic Control Unit)1を中心に構成される。ナビゲーションECU1には、GPS受信機2、車速センサ3、ジャイロセンサ4、地図データ記憶装置5、ディスプレイ6、スピーカ7、操作入力デバイス8、電力消費量演算用テーブル9、通信機10がそれぞれ接続されている。
【0011】
GPS受信機2と車速センサ3とジャイロセンサ4は、ナビゲーション装置が搭載された電気自動車(以下、自車という。)の位置や動きを把握するために用いられるセンサ類である。ナビゲーションECU1は、GPS受信機2から定期的に入力されるGPS信号により自車の絶対位置を求めるとともに、車速センサ3及びジャイロセンサ4から随時入力されるセンサ信号を用いてその位置及び方位を補間することで、自車の正確な現在位置及び方位を常に把握することができる。
【0012】
地図データ記憶装置5は、ナビゲーションECU1に地図データを提供するものであり、リンクデータやノードデータを含む地図データが書き込まれたDVD等の記録媒体を有している。地図データ記憶装置5は、ナビゲーションECU1からの指令に応じて記録媒体から必要な地図データを適宜読み出して、ナビゲーションECU1に提供する。なお、記録媒体としては、上述したDVD以外にも、CDやメモリカード、ハードディスク等の様々な仕様の記録媒体が採用可能である。また、後述の通信機10を利用して地図データの配信を行う情報センタ等から必要な地図データを取得する構成を採用してもよく、この場合は地図データ記憶装置5は不要となる。
【0013】
ディスプレイ6とスピーカ7は、ナビゲーションECU1での処理により生成した各種の情報を自車のドライバに提示するために利用される。具体的には、ディスプレイ6は、自車周辺の地図画像や目的地までの経路の情報などを表示し、スピーカ7は、自車を目的地に誘導するためのアナウンスなどを音声にて出力する。また、特に本実施形態では、ナビゲーションECU1が目的地までの経路を算出した際に、現在のバッテリ残存量で目的地に到達可能か否かを判定するが、その判定結果の情報をこれらディスプレイ6やスピーカ7を利用して自車のドライバに提示する。
【0014】
操作入力デバイス8は、自車のドライバがナビゲーション装置に対する各種の指示入力を行うためのものであり、具体的には、例えば操作スイッチやジョイスティック、タッチパネルなどの各種入力手段が組み合わせて用いられる。また、自車ドライバの発話音声を認識して指示入力を受け付ける音声認識装置を操作入力デバイス8として用いるようにしてもよい。この操作入力デバイス8を用いた自車ドライバによる指示入力は、ナビゲーションECU1へと送られる。
【0015】
電力消費量演算用テーブル9は、自車の走行に伴う電力消費量を演算するために必要なデータを記憶したものである。具体的には、この電力消費量演算用テーブル9には、自車の走行に必要な電力量を演算するためのデータとして、自車が単位距離(例えば1km)走行する間に自車の走行駆動源である駆動モータにて消費される平均的な電力量が、例えば一般道走行時、高速道路走行時、自動車専用道路走行時といった道路種別ごとに記憶されている。また、電力消費量演算用テーブル9には、自車の走行時に車両補機にて消費される電力量を演算するためのデータとして、例えば、自車のエアコン装置を作動させた場合にこのエアコン装置にて消費される単位時間あたりの電力量や、ワイパ装置を作動させた場合にこのワイパ装置にて消費される単位時間当たりの電力量、自車のヘッドライトなどの灯器類を点灯させた場合にこの灯器類にて消費される単位時間当たりの電力量などが記憶されている。なお、エアコン装置の単位時間当たりの消費電力量に関しては、エアコン装置が車室内温度を設定温度に自動制御するオートエアコンであることを想定して、設定温度と外気温との温度差ごとに、それぞれ単位時間当たりの消費電力量が記憶されている。
【0016】
通信機10は、自車外部の情報センタ11との間で通信を行ってこの情報センタ11から環境情報を取得するものである。すなわち、この通信機10は、ナビゲーションECU1からの指令に従って移動体通信網を利用して情報センタ11にアクセスし、ナビゲーションECU1からの環境情報の配信要求を情報センタ11に送信する。そして、この配信要求への応答として、指定された環境情報(例えば、各地の気温に関する情報や天候に関する情報、渋滞情報など)が情報センタ11から送信されると、この環境情報を受信してナビゲーションECU1に伝送する。
【0017】
ナビゲーションECU1は、例えば、各種制御プログラムを実装したマイクロコンピュータなどの演算処理装置を備え、この演算処理装置により制御プログラムを実行することによって、ディスプレイ7に地図画像を表示させる機能や、現在地から自車ドライバにより指定された目的地までの経路を算出する機能、自車を目的地に誘導する機能などの各種ナビゲーション機能を実現する。また、特に本実施形態のナビゲーション装置では、ナビゲーションECU1での処理によって実現される機能として、目的地までの経路が算出された際に、自車が現在のバッテリ残存量でその目的地に到達できるか否かを判定して自車ドライバに提示する機能が付加されている。
【0018】
本実施形態のナビゲーション装置では、図1に示すように、ナビゲーションECU1が例えばCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークシステムの通信ラインを介して、バッテリコントローラ12及びエアコンECU13と通信可能に接続されている。バッテリコントローラ12は、自車に搭載されたバッテリの状態を監視しながら、バッテリの充放電動作を制御するものである。また、エアコンECU13は、自車のエアコン装置の動作を制御するものである。ナビゲーションECU1は、バッテリコントローラ12との間での通信により、バッテリの充電状態(SOC:State of Charge)の情報を取得し、また、エアコンECU13との間での通信により、エアコン装置の設定温度の情報を取得することができる。
【0019】
ナビゲーションECU1は、操作入力デバイス8を利用した自車ドライバの操作に応じて現在地から指定された目的地までの経路を算出したときに、経路を構成する道路リンクのリンクデータ(地図データ)と、上述した電力消費量演算用テーブル9に記憶されている各種演算用データと、通信機10により情報センタ11から取得した環境情報と、バッテリコントローラ12から取得したバッテリSOCの情報及びエアコンECU13から取得したエアコン設定温度の情報とを用いて、現在のバッテリ残存量で目的地に到達できるか否かを判定する。
【0020】
具体的には、ナビゲーションECU1は、例えば、算出した経路が通る各地域の気温に関する情報や天候に関する情報などといった経路に関連する環境情報と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている車両補機での電力消費量を演算するためのデータ(例えば、エアコン装置、ワイパ装置、灯器類の単位時間当たりの消費電力量)とを用いて、算出した経路を通って自車が目的地に到達するまでの間に、エアコン装置、ワイパ装置、灯器類などの車両補機により消費される電力量(以下、補機消費電力量Wsという。)を推定する。そして、バッテリSOCの情報をもとに現在のバッテリ残存量(出力可能な電力量)Wmaxを検知し、このバッテリ残存量Wmaxと補機消費電力量Wsとに基づいて、走行に使用可能な電力量(以下、使用可能電力量Wrunという。)を算出する。
【0021】
また、ナビゲーションECU1は、算出した経路を構成する道路リンクのリンクデータに含まれる道路種別情報と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている駆動モータでの電力消費量を演算するためのデータとを用いて、自車が算出した経路を通って目的地に到達するための走行に必要な電力量(以下、必要電力量Wmという。)を算出する。そして、使用可能電力量Wrunと必要電力量Wmとを比較することによって、目的地への到達可否を判定する。
【0022】
図2は、自車ドライバが目的地を指定する操作入力を行ったときにナビゲーションECU1により実行される一連の処理の流れを示すフローチャート(メインフロー)であり、図3は、図2のステップS102における処理の詳細を示すフローチャート(サブルーチン)である。以下、これらのフローチャートに沿って、目的地への到達可否を判定する方法について、さらに詳しく説明する。
【0023】
自車ドライバが操作入力デバイス8を用いて目的地を指定する操作入力を行うと、ナビゲーションECU1は、まず図2のステップS101において、自車の現在位置からドライバにより指定された目的地までの経路を算出する。この現在地から目的地までの経路の算出は、例えば、目的地に繋がる道路リンクのコストを加算してリンクコストが最小となる経路を求めるダイクストラ法など、既知の経路探索技術を用いて行えばよい。
【0024】
次に、ナビゲーションECU1は、ステップS102において、自車がステップS101で算出した経路を通って目的地に到達するまでの間に車両補機によって消費される補機消費電力量Wsを推定する。この補機消費電力量Wsの推定は、例えば図3に示すサブルーチンに従って行う。
【0025】
すなわち、まずステップS201において、ステップS101で算出した経路を構成する道路の道路種別や距離、自車の平均車速などに基づいて、目的地に到着するまでの予想乗車時間を算出する。
【0026】
次に、ステップS202において、ステップS101で算出した経路を複数の区間(以下、通過区間という。)に分割し、ステップS201で求めた予想乗車時間と現在時刻とから、分割した各通過区間を自車が通過する時刻帯(以下、通過時間帯という。)をそれぞれ求める。
【0027】
次に、ステップS203において、通信機10による移動体通信網を利用した通信により自車外部の情報センタ11にアクセスし、ステップS101で算出した経路に関連する環境情報、具体的には、ステップS202で求めた経路上の各通過区間ごとの通過時間帯における気温に関する情報や天候に関する情報などを情報センタ11から取得する。
【0028】
次に、ステップS204において、エアコンECU13との間でCANなどの車載ネットワークシステムを利用した通信を行って、エアコン設定温度の情報を取得する。
【0029】
次に、ステップS205において、ステップS203で取得した経路上の各通過区間の通過時間帯における気温に関する情報と、ステップS204で取得したエアコン設定温度の情報と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されているエアコン設定温度と気温との温度差に応じた単位時間当たりのエアコン装置の消費電力に関するデータとに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間にエアコン装置により消費されるエアコン消費電力Ws_acを算出する。具体的には、例えば図4に示すように、現在地から目的地までの経路を経路区間A〜Eの5つの区間に分けた場合、通過区間Aの通過時間帯が11:00〜12:00でこの時間帯での通過区間Aの気温変化が26℃から29℃、通過区間Bの通過時間帯が12:00〜13:00でこの時間帯での通過区間Bの気温変化が29℃から30℃、通過区間Cの通過時間帯が13:00〜14:00でこの時間帯での通過区間Cの気温変化が30℃から33℃、通過区間Dの通過時間帯が14:00〜15:00でこの時間帯での通過区間Dの気温変化が33℃から31℃、通過区間Eの通過時間帯が15:00〜16:00でこの時間帯での通過区間Eの気温変化が31℃から29℃、エアコン設定温度が25℃であるとすると、図4中のハッチングして示す部分が、自車が目的地に到達するまでの間のエアコン装置のおおよその仕事量を表し、この仕事量からエアコン消費電力Ws_acを求めることができる。
【0030】
次に、ステップS206において、ステップS203で取得した経路上の各通過区間の通過時間帯における天候に関する情報に基づいて、自車が目的地に到達するまでの間のワイパ装置の作動時間を求め、ワイパ作動時間と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている単位時間当たりのワイパ装置の消費電力に関するデータとに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間にワイパ装置により消費されるワイパ消費電力Ws_wpを算出する。
【0031】
次に、ステップS207において、ステップS202で求めた経路上の各通過区間の通過時間帯及びステップS203で取得した天候に関する情報と、ステップS101で算出した経路上におけるトンネルなどの情報とに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間の灯器類の作動時間を求め、この灯器類作動時間と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている単位時間当たりの灯器類の消費電力に関するデータとに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間に灯器類により消費される灯器類消費電力Ws_ltを算出する。
【0032】
次に、ステップS208において、ステップS205で算出したエアコン消費電力Ws_acと、ステップS206で算出したワイパ消費電力Ws_wpと、ステップS207で算出した灯器類消費電力Ws_ltとを加算して、自車が目的地に到達するまでの間に車両補機によって消費されるトータルの補機消費電力量Wsを算出する。
【0033】
ナビゲーションECU1は、以上の処理により補機消費電力量Wsを推定したら、次に、図2のステップS103において、バッテリコントローラ12との間でCANなどの車載ネットワークシステムを利用した通信を行ってバッテリSOCの情報を取得し、現在のバッテリ残存量Wmaxを検知する。
【0034】
次に、ナビゲーションECU1は、ステップS104において、ステップS103で検知した現在のバッテリ残存量WmaxからステップS102で推定した補機消費電力量Wsを減算することで、現在のバッテリ残存量Wmaxのうちで走行に使用することができる使用可能電力量Wrunを算出する。
【0035】
次に、ナビゲーションECU1は、ステップS105において、ステップS101で算出した経路を構成する各道路の道路種別と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている駆動モータでの電力消費量を演算するためのデータとを用いて、自車が目的地に到達するための走行に必要な必要電力量Wmを算出する。具体的には、ナビゲーションECU1は、ステップS101で算出した経路を例えば1kmなどの単位距離ごとに区分し、それぞれの区分の道路種別を判断して、各区分ごとに電力消費量演算用テーブル9に記憶されている単位距離当たりの駆動モータによる消費電力に関するデータから電力消費量を求める。そして、経路の全区間の電力消費量を加算して、自車が目的地に到達するための走行に必要な必要電力量Wmを算出する。
【0036】
次に、ナビゲーションECU1は、ステップS106において、ステップS104で算出した使用可能電力量WrunとステップS105で算出した必要電力量Wmとを比較し、使用可能電力量Wrunが必要電力量Wm以上となっているか、つまり、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達可能か否かを判定する。
【0037】
ステップS106での判定の結果、使用可能電力量Wrunが必要電力量Wm以上であり、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できると判断した場合には、ナビゲーションECU1は、ステップS107において、目的地到達後のバッテリ残存量(=Wrun−Wm)を求めて、この目的地到達後のバッテリ残存量で自車が走行可能な距離を算出する。そして、ステップS108において、現在地から目的地までの経路距離にステップS107で算出した距離を加算した値を走行可能距離として、経路距離とともにディスプレイ6に表示させ、一連の処理を終了する。
【0038】
一方、ステップS106での判定の結果、使用可能電力量Wrunが必要電力量Wmに満たない状態であり、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判断した場合には、ナビゲーションECU1は、ステップS109において、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できない旨の情報を、ディスプレイ6でのメッセージ表示やスピーカ7からの音声アナウンスにより自車ドライバに提示する。また、ステップS110において、地図データ記憶装置5に記憶されている地図データなどを用いて、ステップS104で算出した使用可能電力量Wrunで到達可能な範囲内にある給電ポイント(給電設備)を探索し、その情報をディスプレイ6に表示させる。そして、ディスプレイ6に表示した給電ポイントのいずれかを選択する自車ドライバの操作入力がなされると(ステップS111でYESの判定)、ステップS112において、自車ドライバにより選択された給電ポイントを経由地とする新たな経路を算出し、ステップS102以降の処理を繰り返す。ただし、この場合には、ステップS102ではステップS111で選択された給電ポイントから目的地までの間で消費される補機消費電力Wsを算出し、ステップS103ではバッテリ残存量Wmaxをフル充電の電力量とし、ステップS105ではステップS111で選択された給電ポイントから目的地までの走行に必要な必要電力量Wrunを算出する。なお、ステップS110で給電ポイントが検出できない場合や給電ポイントの選択が行われない場合(ステップS111でNOの判定の場合)には、そのまま処理を終了する。
【0039】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のナビゲーション装置によれば、現在地から目的地までの経路に関連する環境情報を用いて自車が目的地に到達するまでの間に車両補機により消費される補機消費電力量Wsを推定しているので、この補機消費電力量Wsを精度良く推定することができる。そして、この補機消費電力量Wsを現在のバッテリ残存量Wmaxから減算することで自車の走行に使用可能な使用可能電力量Wrunを算出し、この使用可能電力量Wrunと目的地までの走行に必要な必要電力量Wmとを比較することで、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できるか否かを判定するようにしているので、目的地への到達可否を精度良く判定して、正確な情報を自車のドライバに提示することができる。
【0040】
また、本実施形態のナビゲーション装置によれば、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できると判定した場合に、目的地到達後のバッテリ残存量で走行可能な距離を算出し、その距離を目的地までの経路距離に加算した値を走行可能距離としてディスプレイ6に表示するようにしているので、自車が目的地に到達した後にどのようなタイミングで給電を行えばよいかをドライバに容易に認識させることができ、利便性が向上する。
【0041】
また、本実施形態のナビゲーション装置によれば、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判定した場合には、走行に使用可能な使用可能電力量Wrunで到達可能な範囲内にある給電ポイントを探索し、その情報をディスプレイ6に表示するようにしているので、目的地に向かう途中でどこで給電を行えばよいかを自車のドライバに容易に認識させることができ、利便性が向上する。さらに、ディスプレイ6に表示した給電ポイントのいずれかが選択された場合に、その選択された給電ポイントを経由地とする新たな経路を算出するようにしているので、自車のドライバによる操作負担を大幅に低減することができ、利便性がさらに向上する。
【0042】
なお、以上の例では、経路に関連する環境情報として経路が通る各地域の気温や天候の情報を用いて補機消費電力量Wsを推定するようにしているが、気温や天候の情報以外にも車両補機の作動状態を左右する環境情報が情報センタ11から配信されていれば、その環境情報を取得することで、補機消費電力量Wsをより高精度に推定することが可能となる。また、以上の例では、車両補機としてエアコン装置、ワイパ装置、灯器類を例示しているが、これら以外にも経路の環境に応じて作動状態が変更される車両補機があれば、その車両補機の消費電力も考慮して補機消費電力量Wsを推定することにより、補機消費電力量Wsをより高精度に推定することが可能となる。
【0043】
また、情報センタ11からリアルタイムで環境情報を取得できない場合は、過去の環境情報を該当する地域ごとに日付や時間帯に対応付けて統計情報として蓄積しておき、この統計情報を用いて補機消費電力量Wsを推定するようにしてもよい。また、自車の走行に必要な必要電力量Wrunを算出する際にも、過去の走行で消費した単位距離当たりの電力量を道路ごとの統計情報として蓄積しておき、この統計情報を用いて必要電力量Wrunを算出するようにしてもよい。
【0044】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、経路に関連する環境情報として、経路が通る各地域の気温や天候の情報に加えて、経路を構成する各道路リンクごとの渋滞情報を取得し、この渋滞情報も加味して補機消費電力量Wsをより高精度に推定するようにした例である。なお、本実施形態のナビゲーション装置の構成は第1の実施形態と同じであり、ナビゲーションECU1により実行される処理も、渋滞情報を用いる以外は第1の実施形態と同様であるので、以下では、第1の実施形態と重複する説明は省略し、本実施形態において特徴的な部分についてのみ説明する。
【0045】
図5は、本実施形態のナビゲーション装置において、ナビゲーションECU1が補機消費電力Wsを推定する処理の詳細を示すフローチャート(図2に示したメインフローにおけるステップS102の詳細を示すサブルーチン)であり、第1の実施形態で説明した図3のサブルーチンに代わるものである。
【0046】
本実施形態のナビゲーション装置では、ナビゲーションECU1が、図2のステップS101で経路を算出した後に、この図5に示すサブルーチンに従って、自車が目的地に到達するまでの間に車両補機によって消費される補機消費電力量Wsを推定する。
【0047】
すなわち、まずステップS301において、通信機10による移動体通信網を利用した通信により自車外部の情報センタ11にアクセスし、ステップS101で算出した経路を構成する道路リンクごとの渋滞情報、具体的には各道路リンクのリンク渋滞度(またはリンク旅行時間)の情報を情報センタ11から取得する。
【0048】
次に、ステップS302において、ステップS101で算出した経路を複数の区間(通過区間)に分割し、各通過区間に含まれる道路リンクに関する渋滞情報とリンク長さと現在時刻とから、分割した各経路区間を自車が通過する時間帯(通過時間帯)をそれぞれ求める。
【0049】
次に、ステップS303において、通信機10による移動体通信網を利用した通信により自車外部の情報センタ11に再度アクセスし、ステップS101で算出した経路に関連する環境情報、具体的には、ステップS302で分割した各通過区間ごとの通過時間帯における気温に関する情報や天候に関する情報などを情報センタ11から取得する。
【0050】
次に、ステップS304において、エアコンECU13との間でCANなどの車載ネットワークシステムを利用した通信を行って、エアコン設定温度の情報を取得する。
【0051】
次に、ステップS305において、ステップS303で取得した経路上の各通過区間の通過時間帯における気温に関する情報と、ステップS304で取得したエアコン設定温度の情報と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されているエアコン設定温度と気温との温度差に応じた単位時間当たりのエアコン装置の消費電力に関するデータとに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間にエアコン装置により消費されるエアコン消費電力Ws_acを算出する。
【0052】
次に、ステップS306において、ステップS303で取得した経路上の各通過区間の通過時間帯における天候に関する情報に基づいて、自車が目的地に到達するまでの間のワイパ装置の作動時間を求め、ワイパ作動時間と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている単位時間当たりのワイパ装置の消費電力に関するデータとに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間にワイパ装置により消費されるワイパ消費電力Ws_wpを算出する。
【0053】
次に、ステップS307において、ステップS302で求めた経路上の各通過区間の通過時間帯及びステップS303で取得した天候に関する情報と、ステップS101で算出した経路上におけるトンネル有無などの情報とに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間の灯器類の作動時間を求め、この灯器類作動時間と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている単位時間当たりの灯器類の消費電力に関するデータとに基づいて、自車が目的地に到達するまでの間に灯器類により消費される灯器類消費電力Ws_ltを算出する。
【0054】
次に、ステップS308において、ステップS305で算出したエアコン消費電力Ws_acと、ステップS306で算出したワイパ消費電力Ws_wpと、ステップS307で算出した灯器類消費電力Ws_ltとを加算して、自車が目的地に到達するまでの間に車両補機によって消費されるトータルの補機消費電力量Wsを算出する。
【0055】
本実施形態のナビゲーション装置において、ナビゲーションECU1は、以上の処理により渋滞情報も加味した補機消費電力量Wsを推定した後、第1の実施形態と同様に、現在のバッテリ残量Wmaxからこの補機消費電力量Wsを減算することで使用可能電力量Wrunを算出する。また、目的地までの走行に必要な必要電力量Wmを算出して、これら使用可能電力量Wrunと必要電力量Wmとを比較することにより、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できるか否かを判定する。このとき、本実施形態では、必要電力量Wmを算出する際に、図5のフローチャートにおけるステップS301で取得した渋滞情報を用いることにより、必要電力量Wmについても高精度に算出することが可能となる。すなわち、駆動モータによる単位距離当たりの消費電力は自車がスムーズに走行しているか渋滞で頻繁に停止しているかといった走行状態によっても変動するので、電力消費量演算用テーブル9に記憶されている単位距離当たりの駆動モータによる消費電力に関するデータを、道路リンクごとにその渋滞度の情報などを用いて補正するようにすれば、必要電力量Wmをより高精度に算出することが可能となる。
【0056】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のナビゲーション装置によれば、現在地から目的地までの経路に関連する環境情報として、気温や天候に関する情報に加えて経路を構成する各道路リンクごとの渋滞情報を取得し、この渋滞情報も加味して補機消費電力量Wsを推定するようにしているので、補機消費電力量Wsをさらに精度良く推定することができる。また、この渋滞情報を加味して必要消費電力量Wmを算出することで、必要消費電力量Wmも高精度に算出することができる。したがって、目的地への到達可否をさらに精度良く判定して、より正確な情報を自車のドライバに提示することができる。
【0057】
なお、以上の例では、経路を算出した後に経路に関連する渋滞情報を取得するようにしているが、現在地周辺から目的地周辺までの渋滞情報を先に取得して、この渋滞情報を加味して渋滞を避けるような経路を算出するようにしてもよい。また、目的地までの経路として複数の経路を算出して各経路の情報をディスプレイ6に表示し、そのうちの何れかを自車ドライバに選択させるようにしてもよい。
【0058】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判定した場合に、目的地に到達するために不足する電力量を車両補機の動作状態を変更することにより補えることを自車ドライバに報知して、車両補機の動作状態の変更を自車ドライバに促すようにしたものである。ここでは、車両補機の動作状態としてエアコン設定温度を例に挙げて説明する。なお、本実施形態のナビゲーション装置の構成は第1の実施形態と同じであり、ナビゲーションECU1により実行される処理も、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判定した後の処理以外は第1の実施形態(または第2の実施形態)と同様であるので、以下では、第1の実施形態と重複する説明は省略し、本実施形態において特徴的な部分についてのみ説明する。
【0059】
図6及び図7は、本実施形態のナビゲーション装置において、自車ドライバが目的地を指定する操作入力を行ったときにナビゲーションECU1により実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。なお、図6のフローチャートにおけるステップS401からステップS408までの処理は、第1の実施形態で説明した図2のフローチャートにおけるステップS101からステップS108までの処理と同じである。
【0060】
本実施形態のナビゲーション装置では、ステップS406での判定の結果、使用可能電力量Wrunが必要電力量Wmに満たない状態であり、自車が現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判断した場合に、ナビゲーションECU1が、まずステップS409において、目的地に到達するために不足する電力量Wsht(=Wm−Wrun)を算出する。また、ステップS410において、経路上の各通過区間の通過時間帯における気温に関する情報と、電力消費量演算用テーブル9に記憶されているエアコン設定温度と気温との温度差に応じた単位時間当たりのエアコン装置の消費電力に関するデータと、図3のステップS205又は図5のステップS305で算出したエアコン消費電力Ws_acとに基づいて、エアコン設定温度を変更した場合の補機消費電力量Wsの減少分である電力減少量Wdを算出する。そして、ステップS411において、電力減少量Wdが不足電力量Wsht以上となるようなエアコン設定温度Tacを算出する。
【0061】
次に、ナビゲーションECU1は、ステップS412において、エアコン設定温度をステップS411で算出したエアコン設定温度Tacに変更すれば、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的に到達可能になる旨の情報を、ディスプレイ6でのメッセージ表示やスピーカ7からの音声アナウンスにより自車ドライバに提示する。そして、ステップS413において、エアコンECU13との間での通信によりエアコン設定温度の情報を定期的に取得することによって、自車ドライバによりエアコン設定温度をTacに変更する操作が行われたか否かを監視する。そして、自車ドライバによりエアコン設定温度をTacに変更する操作が行われた場合(ステップS413でYESの判定の場合)には、ステップS407に処理を移行する。
【0062】
一方、エアコン設定温度をTacに変更する操作が行われることなく所定時間が経過した場合(ステップS413でNOの判定の場合)には、次のステップS414において、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できない旨の情報を、ディスプレイ6でのメッセージ表示やスピーカ7からの音声アナウンスにより自車ドライバに提示する。また、ステップS415において、地図データ記憶装置5に記憶されている地図データなどを用いて、ステップS404で算出した使用可能電力量Wrunで到達可能な範囲内にある給電ポイントを探索し、その情報をディスプレイ6に表示させる。そして、ディスプレイ6に表示した給電ポイントのいずれかを選択する自車ドライバの操作入力がなされると(ステップS416でYESの判定)、ステップS417において、自車ドライバにより選択された給電ポイントを経由地とする新たな経路を算出し、第1の実施形態で説明したように、給電ポイントでバッテリがフル充電されることを前提としてステップS402以降の処理を繰り返す。なお、ステップS415で給電ポイントが検出できない場合や給電ポイントの選択が行われない場合(ステップS416でNOの判定の場合)には、そのまま処理を終了する。
【0063】
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態のナビゲーション装置によれば、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判定した場合に、目的地に到達するために不足する電力量Wshtを補えるようになるエアコン設定温度Tacを求め、現在のエアコン設定温度をこの温度Tacに変更することを促す情報を自車ドライバに提示するようにしているので、無給電で目的地に到達するために必要な対応を自車ドライバに容易に認識させることができ、利便性が向上する。
【0064】
なお、以上の例では、目的地に到達するために不足する電力量をエアコン設定温度の変更により補うようにしているが、動作状態を任意に変更することが可能で且つ動作状態の変更により消費電力を少なくできる車両補機であれば、その車両補機の動作状態の変更を促す情報を自車ドライバに提示するようにしてもよい。
【0065】
以下、参考として、上述した実施形態と特許請求の範囲に記載の構成要件との対応関係を付記する。上述した実施形態のナビゲーション装置において、目的地までの経路を算出するナビゲーションECU1による処理(図2のフローチャートにおけるステップS101の処理)が、特許請求の範囲に記載の「経路算出手段」に相当する。また、移動体通信網を利用して情報センタ11にアクセスして情報センタ11から経路に関連する環境情報を取得する通信機10が、特許請求の範囲に記載の「環境情報取得手段」に相当する。また、通信機10により取得した環境情報と電力消費量演算用テーブル9に記憶されている車両補機での電力消費量を演算するためのデータとを用いて自車が目的地に到達するまでの間に車両補機により消費される電力量Wsを推定するナビゲーションECU1による処理(図2のフローチャートにおけるステップS102の処理、図3又は図5のフローチャートで示す処理)が、特許請求の範囲に記載の「補機消費電力量推定手段」に相当する。また、現在のバッテリ残存量Wmaxから補機消費電力量Wsを減算して使用可能電力量Wrunを算出するナビゲーションECU1による処理(図2にフローチャートにおけるステップS104の処理)が、特許請求の範囲に記載の「使用可能電力量算出手段」に相当する。また、経路を構成する道路リンクの道路種別情報と電力消費量演算用テーブル9に記憶されている駆動モータでの電力消費量を演算するためのデータとを用いて自車が目的地に到達するための走行に必要な電力量Wmを算出するナビゲーションECU1による処理(図2のフローチャートにおけるステップS105の処理)が、特許請求の範囲に記載の「必要電力量算出手段」に相当する。また、使用可能電力量Wrunと必要電力量Wmとを比較して現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達可能か否かを判定するナビゲーションECU1による処理(図2のフローチャートにおけるステップS106の処理)が、特許請求の範囲に記載の「到達可否判定手段」に相当する。また、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判定した場合に使用可能電力量Wrunで到達可能な範囲にある給電ポイントを探索するナビゲーションECU1による処理(図2のフローチャートにおけるステップS110の処理、図7のフローチャートにおけるステップS415の処理)が、特許請求の範囲に記載の「給電ポイント探索手段」に相当する。また、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できると判定した場合に目的地に到達したときのバッテリ残存量で走行可能な距離を算出するナビゲーションECU1による処理(図2のフローチャートにおけるステップS107の処理、図6のフローチャートにおけるステップS407の処理)が、特許請求の範囲に記載の「距離算出手段」に相当する。また、現在のバッテリ残存量Wmaxで目的地に到達できないと判定した場合に目的地に到達するために不足する電力量Wshtを算出するナビゲーションECU1による処理(図6のフローチャートにおけるステップS409の処理)が、特許請求の範囲に記載の「不足電力量算出手段」に相当する。また、エアコン設定温度を変更したときの補機消費電力Wsの減少分Wdを算出するナビゲーションECU1による処理(図6のフローチャートにおけるステップS410の処理)が、特許請求の範囲に記載の「消費電力減少量推定手段」に相当する。また、補機消費電力Wsの減少分が不足電力量Wsht異常となるエアコン設定温度を算出するナビゲーションECU1による処理(図6のフローチャートにおけるステップS411の処理)が、特許請求の範囲に記載の「動作状態決定手段」に相当する。また、ナビゲーションECU1で処理された各種情報を表示するディスプレイ6と音声を出力するスピーカ7とが、特許請求の範囲に記載の「判定結果提示手段」、「給電ポイント提示手段」、「走行可能距離提示手段」、「変更情報提示手段」に相当する。
【0066】
なお、以上説明した本発明の実施形態は、本発明の一適用例を例示的に示したものであり、本発明の技術的範囲が上記の実施形態として開示した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。例えば、以上説明した実施形態では、目的地までの経路を算出する処理と、現在のバッテリ残量で目的地に到達可能か否かを判定する処理の全てを、電気自動車に搭載された車載端末において実施するようにしているが、これらの処理の一部又は全部を情報処理センタ11などの電気自動車の外部に設置された演算処理装置で行い、その結果を電気自動車に搭載された車載端末に送信するといった形態で本発明を実施することも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 ナビゲーションECU
2 GPS受信機
3 車速センサ
4 ジャイロセンサ
5 地図データ記憶装置
6 ディスプレイ
7 スピーカ
8 操作入力デバイス
9 電力消費量演算用テーブル
10 通信機
11 情報センタ
12 バッテリコントローラ
13 エアコンECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地までの経路を算出する経路算出手段と、
算出された経路の環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記環境情報に基づき、電気自動車が前記目的地に到達するまでの間に車両補機により消費される電力量を推定する補機消費電力量推定手段と、
電気自動車の現在のバッテリ残存量と前記車両補機の消費電力量とに基づき、走行に使用可能な電力量を算出する使用可能電力量算出手段と、
電気自動車が前記目的地に到達するための走行に必要な電力量を算出する必要電力量算出手段と、
前記使用可能電力量算出手段により算出された電力量と、前記必要電力量算出手段により算出された電力量とを比較して、電気自動車が現在のバッテリ残存量で前記目的地に到達可能か否かを判定する到達可否判定手段と、
前記到達可否判定手段による判定結果を提示する判定結果提示手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記車両補機には、電気自動車が備えるエアコン装置、ワイパ装置、灯器類の少なくともいずれかが含まれることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記環境情報には、前記経路が通る各地域の気温に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記環境情報には、前記経路が通る各地域の天候に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記環境情報には、前記経路上の各道路区間における渋滞情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記到達可否判定手段により前記目的地に到達できないと判定された場合に、前記使用可能電力量算出手段により算出された電力量で到達可能な範囲内にある給電ポイントを探索する給電ポイント探索手段と、
前記給電ポイント探索手段により探索された給電ポイントの情報を提示する給電ポイント提示手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記到達可否判定手段により前記目的地に到達できると判定された場合に、目的地到達後のバッテリ残存量で走行可能な距離を算出する距離算出手段と、
前記目的地までの距離と前記距離算出手段により算出された距離とを加算した距離を走行可能距離として提示する走行可能距離提示手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記到達可否判定手段により前記目的地に到達できないと判定された場合に、前記目的地に到達するために不足する電力量を算出する不足電力量算出手段と、
前記車両補機の動作状態を変更した場合の消費電力量の減少分を推定する消費電力減少量推定手段と、
前記消費電力減少量推定手段が推定する消費電力量の減少分が、前記不足電力量算出手段により算出された電力量以上となる前記車両補機の変更後の動作状態を決定する動作状態決定手段と、
前記車両補機の動作状態を前記動作状態決定手段により決定された動作状態に変更することを促す情報を提示する変更情報提示手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
現在地から目的地までの経路の環境情報に基づいて電気自動車が目的地に到達するまでの間に車両補機により消費される電力量を推定し、
電気自動車の現在のバッテリ残存量から前記車両補機の消費電力量を減算して走行に使用可能な電力量を算出し、
電気自動車が目的地に到達するための走行に必要な電力量を算出し、
走行に使用可能な電力量と走行に必要な電力量とを比較して、電気自動車が現在のバッテリ残存量で目的地に到達可能か否かを判定すること、を特徴とする目的地到達可否判定方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−210271(P2010−210271A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53826(P2009−53826)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】