説明

ナビゲーション装置

【課題】案内対象交差点近傍に至る前に有効な経路案内を行うことができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索部と、経路探索部で探索された経路上に所定の案内地点を設定する設定部と、設定部で設定された案内地点に至るまでの所定距離の範囲である案内範囲内においてユーザに対して提供すべき案内情報を作成する案内情報作成部と、案内範囲内の案内対象物を特定する対象物特定部と、カメラにより撮影された映像から案内対象物を検出する対象物検出部と、対象物検出部の検出結果に基づき、案内範囲における車両と案内地点との間に存在する案内対象物の数を管理する状態管理部と、状態管理部で管理される数に基づいて、案内情報に付加する案内対象物情報を作成する案内対象物情報作成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、より特定的には、地図データと車両の前方を撮影したカメラ映像を利用して経路案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設定された目的地に対して現在の自車位置からの経路探索を行い、経路上に存在する交差点において、蓄積された地図データを利用して経路案内を行うナビゲーション装置が広く実用化されている。
【0003】
HDD(Hard Disk Drive)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録メディアの大容量化により、より詳細な地図データを記憶しておくことが可能となっており、平面的な2次元地図だけでなく、車両を運転するユーザの視点から交差点を見たような立体的な3次元地図をディスプレイに表示して経路案内を行うことができる。このため、ユーザにとっては、案内対象交差点において、どちらに分岐すればよいかの判断が容易になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような3次元地図は、自車両が案内対象交差点まで所定の距離(例えば、300m)以内に近づいたときに表示され、ユーザは目の前に広がる交差点周辺の風景と、ディスプレイに表示される3次元地図および経路案内情報を参照しつつ、自身の右左折するべき進路を特定することになる。
【0005】
このように、ナビゲーション装置は、案内対象交差点直前で案内を開始するのではなく、ある程度手前から案内対象交差点の分岐に関する情報、例えば、「およそ300mで交差点を左折です。」等のようにユーザに提示し、ユーザが事前に交差点をどちらに分岐するかの判断に余裕を持たせている。
【0006】
一方、蓄積された地図データの代わりに、車両前方に設置されたカメラにより撮影された風景の実写映像を利用して、経路案内を行うナビゲーション装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このナビゲーション装置は、ユーザが分岐しようとしている案内対象交差点周辺に存在する特徴物をカメラ映像から認識し、ユーザが案内対象交差点近傍に接近すると、ユーザが目視可能であると共に、カメラ映像から認識される特徴物を用いて、例えば「次の信号を左折です。」というような案内を行う。カメラ映像で認識した特徴物を案内に用いることで、ユーザは実際に自分の見ている風景において、どこをどちらに分岐するのかという判断が容易となる。
【特許文献1】特開2000−321089号公報
【特許文献2】特開平10−177699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の従来の3次元地図を用いた案内においては、案内対象交差点から所定の距離手前の地点で、案内対象交差点においてどちらに分岐するのかという情報が提示されるので、事前に分岐準備ができる。しかしながら、3次元地図と、実際にユーザが見る風景には乖離があり、必ずしも分かり易い案内ではなかった。
【0009】
また、特許文献2のカメラ映像を用いた案内では、案内対象交差点に存在する特徴物を用いて案内がなされるため、交差点直前ではユーザにとって非常に分かり易い。しかしながら、カメラ映像による特徴物の認識精度は必ずしも高くはないため、案内対象交差点から遠方の手前で、案内対象交差点付近に存在する特徴物を認識することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記問題に鑑みてなされた。すなわち、地図データとカメラ映像から認識された案内対象物に関する情報を利用し、案内対象交差点近傍に至る前に有効な経路案内を行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の局面は、車両に搭載されたカメラにより撮影された映像を用いて経路案内を行うナビゲーション装置に向けられている。本発明は、出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索部と、経路探索部で探索された経路上に所定の案内地点を設定する設定部と、設定部で設定された案内地点に至るまでの所定距離の範囲である案内範囲内においてユーザに対して提供すべき案内情報を作成する案内情報作成部と、案内範囲内の案内対象物を特定する対象物特定部と、カメラにより撮影された映像から案内対象物を検出する対象物検出部と、対象物検出部の検出結果に基づき、案内範囲における車両と案内地点との間に存在する案内対象物の数を管理する状態管理部と、状態管理部で管理される数に基づいて、案内情報に付加する案内対象物情報を作成する案内対象物情報作成部とを備える。
【0012】
また、対象物特定部は、案内範囲内の案内地点近傍に存在する案内対象物のうち、所定の数以上存在する案内対象物を優先的に特定することが好ましい。
【0013】
また、対象物特定部は、案内範囲内に存在する案内対象物のうち、案内地点から最も遠くに存在する案内対象物を特定することが好ましい。
【0014】
また、対象物特定部は、案内範囲内に案内対象物が存在しない場合、案内範囲外であって案内範囲の最も近くに存在する案内対象物を特定することが好ましい。
【0015】
また、案内対象物情報作成部は、カメラにより撮影された案内対象物の情報に、状態管理部で管理される数の情報を付加した案内対象物情報を作成することが好ましい。
【0016】
また、案内開始地点を修正する案内開始地点修正部を更に備え、状態管理部は、案内地点に至るまでの管理する案内対象物の数に所定の上限値を設け、案内開始地点修正部は、所定の上限値と一致する数の案内対象物が存在する地点を案内開始地点とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明の局面によれば、地図データとカメラ映像から認識された案内対象物に関する情報を利用し、案内対象交差点近傍に至る前に有効な経路案内を行うことができるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置100について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置100の全体構成を示すブロック図である。図1において、ナビゲーション装置100は、測位部101、地図データ記憶部102、カメラ103、入力部104及び表示部105を備える。
【0020】
測位部101は、車両の現在位置、速度及び方位を計測する、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、車速センサ及びジャイロセンサである。GNSS受信機は、例えば、GPS受信機であり、衛星からの電波を受信し、それを復調することで受信機の位置を算出する。
【0021】
地図データ記憶部102は、道路や交差点、ランドマークのデータ等の地図情報が記憶される、例えば、HDDやDVDである。しかしながら、これに限らず、図示しない通信手段(例えば、携帯電話)によって情報をセンター設備から逐次ダウンロードする構成としてもよい。
【0022】
図2は、地図データ記憶部102に記憶されている地図情報の中で、本実施の形態に関連する情報を抜粋したデータを示す。地図データ記憶部102には、図2(A)に示すノードデータ、図2(B)に示すリンクデータ、及び図2(C)に示すランドマークデータが含まれる。
【0023】
ノードデータは、交差点や合流地点等、幾方向かに道路が分岐する地点であり、ノードごとに緯度・経度等の位置情報、該ノードに接続する、後述するリンクの数およびリンクのIDにより構成されている。
【0024】
リンクデータはノードとノードを結ぶ道路を表すものであり、リンクの端点である始点ノード、終点ノード、リンクの長さ(単位はメートルやキロメートル等)、リンクの幅(単位はメートル等)、一般道路、高速道路等の道路種別により構成されている。
【0025】
ランドマークデータは、ランドマークが属するジャンルや施設名称、近接するノードID、およびランドマークの位置情報により構成されている。
【0026】
カメラ103は、車両の前方を撮影し、後述するように案内対象物情報を重畳させるための映像を取得したり、同じく後述するように車両前方に存在する案内対象物を検出するための映像を取得する。なお、案内対象物の検出において、自車両と対象物までの距離を測る必要がある場合にはステレオカメラを用いる必要があるが、その必要がなければ単眼カメラでよい。
【0027】
入力部104は、ユーザがナビゲーション装置に対して指示を入力する、例えば、リモートコントローラーや音声入力装置、後述する表示部105と一体となったタッチパネルである。ユーザは入力部104から、目的地に関する情報を入力し、ナビゲーション装置はその入力に基づいて案内対象交差点等を始めとして経路案内を行う。
【0028】
表示部105は、地図情報やカメラ103による撮影された映像、さらには経路案内に関する情報を表示するディスプレイであり、前述した入力部104と一体となったタッチパネルディスプレイ等で構成されていてもよい。
【0029】
制御部106は、測位部101、地図データ記憶部102、カメラ103及び入力部104からの入力データに基づいて経路探索を行い、案内情報を表示部105に出力するように制御する、例えば、CPUである。
【0030】
図3において、制御部106は、機能的には、経路探索部301、映像重畳部302、対象物特定部303、対象物検出部305、状態管理部304、及び案内情報作成部306を備える。
【0031】
経路探索部301は、現在地から目的地に至る経路を、地図データ記憶部102を参照して探索する。経路探索部301は、探索した経路上の経路案内の対象となる交差点(案内対象交差点)を設定し、測位部101により検出される自車位置が、案内対象交差点から所定の範囲(例えば300m以内、以下、案内範囲とよぶ)に入ると、案内対象物情報をユーザに提示するように判断する。
【0032】
映像重畳部302は、カメラ103により撮影された映像に、案内対象物情報となる車両の走行進路を示す案内オブジェクトを重畳する。以下、映像重畳部302の処理の流れを図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0033】
映像重畳部302は、地図データ記憶部102に格納されている3次元地図と、カメラ103により取得される映像の撮像方向と撮像範囲を定めるパラメータであるカメラ位置とカメラ角(水平角、仰角)と焦点距離と画像サイズを基に、3次元地図空間におけるカメラの視野空間を求める(ステップS1001)。
【0034】
ここで、3次元地図とは、緯度、経度、及び高度により位置情報が表される地図のことである。カメラの視野空間は、例えば、図5に示すような方法で求める。すなわち、3次元地図空間において、カメラ位置(視点)Eからカメラ角方向に焦点距離fだけ進んだ点(点F)を求め、そこに画像サイズに相当する横x縦yの平面(カメラ画面)を視点Eと点Fを結んだベクトルに垂直になるように設定する。次に、視点Eからカメラ画面の4隅の点とを結ぶ半直線がつくる3次元空間を求める。この3次元空間は理論上無限遠まで延びるが、視点Eから適当な距離だけ離れたところで打ち切り、それを視野空間とする。
【0035】
なお、3次元地図の代わりに、3次元地図から高さ情報を除いた2次元地図を用い、2次元地図空間におけるカメラの視野空間を求めるようにしてもかまわない。また、撮像方向と撮像範囲を定めるパラメータは上記のものに限らず、撮像方向と撮像範囲が定まるものであれば、画角等の他のパラメータを用いてそこから換算するようにしてもよい。
【0036】
次に、映像重畳部302は、3次元地図空間内において、カメラ103の視野空間内に存在する道路とその位置を検出する道路検出処理を行う(ステップS1002)。図6に道路検出処理で検出される道路を示す。図6は3次元地図空間とカメラ視野空間を上方向から見た図である。図6において、視野空間に囲まれた道路(斜線を付された部分)が道路検出処理によって検出される。
【0037】
次に、映像重畳部302は、3次元地図空間において、道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部301により探索された案内経路に該当する道路上の位置に案内オブジェクトを配置する(ステップS1003)。図7に案内オブジェクトの配置位置を示す。なお、案内オブジェクトの形状は、図7に示した矢印図形に限らず、例えば、矢印図形から先端の三角形を除いた折れ線図形を用いてもかまわない。
【0038】
次に、映像重畳部302は、図5に示すカメラ画面を投影面として案内オブジェクトに対して投影変換を行う(ステップS1004)。投影処理において案内オブジェクトが投影される投影面は、カメラで撮影されるカメラ画面と一致するため、案内オブジェクトは実写映像上に写っている道路(案内経路に該当)上に重畳される。
【0039】
なお、実写映像に案内オブジェクトを重畳する際に、白線検知、道路端検知等の周知の画像認識技術を用いてカメラに写っている道路の位置を検出し、案内オブジェクトの重畳位置を補正するようにしてもよい。このようにして、実写映像中に重畳される案内オブジェクトの例を図8に示す。
【0040】
対象物特定部303は、経路探索部301により探索された経路において、案内対象交差点ごとに、その交差点近傍に存在する案内対象物を地図データ記憶部102を参照して特定する。
【0041】
案内対象物とは、経路案内を行う際に、ユーザに提示する情報であり、例えば、信号機やランドマークである。このような案内対象物を用いた案内対象物情報の例として、「前方の信号機を右折です。」や「次のガソリンスタンドを左方向です。」等がある。
【0042】
地図データ記憶部102には、図2(C)に示すようにランドマークに関する情報として、近接するノード(すなわち交差点)、座標位置等が記憶されているので、案内対象交差点を近接ノードとし、かつ案内対象交差点との距離が所定の値(例えば、20m等)以内に存在する対象物を案内対象物とする。
【0043】
なお、図2(C)には記載していないが、案内対象物として信号機を利用する場合は、信号機の設置位置に関する情報も地図データ記憶部102に記憶しておく必要がある。
【0044】
本発明では、カメラ映像を利用して、実際に見ている風景との対比がし易い案内を行う一方、自車両が案内範囲に入ると、できるだけ早く案内対象物を利用した案内を行う必要がある。
【0045】
そのため、案内対象物の候補となるものは、ランドマーク付近に存在し、且つそれ以外に同様のものが案内範囲内に少なくとも1つは存在する必要がある。そこで、対象物特定部303は、案内対象交差点付近に存在する対象物の中で、案内範囲に所定の数以上存在するものを案内対象物として優先的に特定してもよい。
【0046】
また、案内範囲において案内対象交差点から距離が最も離れた位置に存在する対象物、すなわち、走行して案内対象交差点に接近するユーザが、できるだけ早く視認可能な対象物を案内対象物として特定するようにしてもよい。
【0047】
対象物特定部303はさらに、特定した対象物が案内範囲の中にいくつ存在するか、また、特定した対象物が位置する場所(位置、案内対象交差点からの距離等)に関する情報を地図データ記憶部102から抽出しておく。
【0048】
状態管理部304は、対象物特定部303で特定された対象物に関して抽出された情報(対象物の数、対象物の位置)を管理しておく。そして、自車位置の走行に従って後述する対象物検出部305で検出された対象物を自車両が通過する度に、管理している数を減算し、自車両と案内対象交差点の間に存在する対象物の数を常に最新の状態に更新する。
【0049】
対象物検出部305は、カメラ103により撮影された映像の中で、対象物特定部303により特定された対象物の検出処理を行う。検出処理は、経路探索部301及び測位部101を用いて、自車両が案内範囲に入ったことが判断されると開始される。
【0050】
対象物検出部305は、状態管理部304を参照して、案内範囲において最初に検出されるべき対象物の位置を取得する。そして、自車位置と、最初の対象物との位置関係から対象物までの距離を算出する。更に、対象物検出部は、状態管理部304を参照して、算出された対象物までの距離とカメラ103の撮影距離とが一致する対象物を検出する。このような検出処理は2つ目以降の対象物に対しても同様になされ、検出精度を向上させることに寄与する。
【0051】
なお、信号機のように大きさ、形状がある程度定まっている案内対象物の認識の場合には、ステレオカメラではなく単眼カメラにおいても、およその距離を求めることも可能である。
【0052】
また、案内対象物が案内対象交差点から300m程度離れた位置、すなわち、自車両が案内範囲に入ってすぐに存在する場合、自車両が案内範囲に入った後に、検出処理を開始したのでは、処理に時間を要し、案内対象物を利用した案内対象物情報を提示したときには、既にユーザは案内対象物を確認できないことも考えられる。そのため、このような場合には案内範囲の更に所定の距離(例えば、50m)手前から検出処理を開始するようにしてもよい。
【0053】
案内情報作成部306は、案内範囲内の基本的な案内情報である基本案内情報を作成すると共に、当該基本案内情報に付加する案内対象物情報を作成する。すなわち、案内情報作成部306は、案内オブジェクトが重畳されたカメラ映像と案内対象物の数に関する情報とに基づいて作成された案内範囲内の案内対象物情報を表示部105を介して提示する。案内対象物を信号機とした場合に提示される案内対象物情報の例を図9に示す。
【0054】
図9において、道路上に斜線で示されているのが案内オブジェクトである。対象物検出部305で、図9に示す、手前にある信号機が検出され、案内対象交差点までに信号機の数が3つ存在する場合には、検出された信号機に関連付けられるように数値「3」に関する情報が案内対象物情報として提示されている。
【0055】
また、図1に図示しない音声出力部を備えるナビゲーション装置であれば、詳細な案内対象物情報として、例えば、「3つ目の信号を左折です。」という音声による案内を行うことも可能である。
【0056】
案内対象物情報をこのように提示することで、ユーザは交差点近傍に近づく以前から、自分が前方に見えている対象物が案内対象交差点に存在することや、その交差点までに存在する対象物の数を把握することができるため、案内対象交差点の遠方においても交差点でどちらに分岐すればよいのかが分かり、分岐準備に余裕が持てる。
【0057】
次にこのように構成されるナビゲーション装置の処理の流れについて、図10のフローチャートを用いて説明する。
【0058】
入力部104により設定された目的地に関する情報を元に、経路探索部301において探索が終了すると(ステップS2001でYes)、対象物特定部303は、探索された経路を参照して、案内対象となる交差点における案内対象物の特定処理を行う(ステップS2002)。
【0059】
対象物特定部303は、合わせて各案内対象交差点の案内範囲に存在する案内対象物の数、及び案内対象物の位置に関する情報を地図データ記憶部102から抽出し、状態管理部304は、それらの情報を管理する(ステップS2003)。
【0060】
そして、自車両がある案内対象交差点の案内範囲に入ったことが判定されると(ステップS2004でYes)、対象物検出部305では、状態管理部304で管理されている案内対象物の検出処理を行う(ステップS2005)。そして、状態管理部304では、現在の自車位置から案内対象交差点までの案内対象物の数に関する情報に更新があれば、その処理を行う(ステップS2006)。
【0061】
そして、映像重畳部302は、図4に示したフローチャートに従って、カメラ103から取得した映像に対して、案内矢印の重畳処理を行う(ステップS2007)。カメラ映像に案内矢印が重畳され、対象物検出部305により案内対象物の検出が行われると、案内情報作成部306は、ユーザに対して提示する案内対象物情報を作成する(ステップS2008)。
【0062】
なお、本実施の形態においては、カメラ103により撮影された映像に案内対象物情報を重畳して表示するナビゲーション装置について説明したが、これに限るわけではなく、地図データ記憶部102に記憶されている2次元や3次元の地図情報を用いて経路案内を行うナビゲーション装置に対しても、同様に検出された対象物を利用した案内を行うことも可能である。
【0063】
なお、本実施の形態では対象物特定部303は、案内対象交差点近傍、および案内範囲にともに存在する対象物を案内対象物として特定する例について述べたが、案内範囲に案内対象物が存在しない場合もある。例えば、図11では、案内対象交差点近傍には信号機とコンビニAが存在するが、そこに至る案内範囲にはいずれも存在していない。
【0064】
このような場合、対象物特定部303は、案内範囲外において、案内範囲の最も近くに存在する対象物を案内対象物として特定してもよい。図11の例では、信号機は案内範囲まで100mの地点に存在し、コンビニAは50mの地点に存在するため、対象物特定部303はコンビニAを案内対象物として特定することになる。
【0065】
案内範囲から非常に離れた位置に存在する対象物を案内対象として特定すると、その案内対象物を用いた案内対象物情報を提示してから実際に案内対象交差点に至るまでに非常に時間がかかってしまう。そのため、案内範囲から近い位置に存在する対象物を案内対象物とすることで、案内を開始してから実際に案内対象交差点に至る時間を短くし、ユーザにとってはより分かり易い案内を行うことが可能となる。
【0066】
このような場合、案内対象物を利用した案内対象物情報の提示を開始する位置が異なってくるため、別途、図示しない案内開始地点修正部を設けてもよい。上述した例では案内開始地点修正部は、案内範囲から50m手前の地点、すなわち、案内範囲を300mとすると、案内対象交差点から350m手前の位置を案内開始地点として修正することになる。
【0067】
なお、案内開始地点修正部は、案内開始地点を案内対象物の数に基づいて決定してもよい。すなわち、案内対象物に関して、自車両が案内対象交差点に至るまでの提示する情報を3回というようにあらかじめ定めておく。
【0068】
そして、対象物特定部303で案内対象物が信号機であると特定されると、案内対象交差点に至るまでの経路で、案内対象交差点から数えて信号機が3つめの地点を案内開始地点として修正してもよい。
【0069】
このように、地図データとカメラ映像から認識された案内対象物に関する情報を利用し、案内対象交差点近傍に至る前に有効な経路案内を行うことができるナビゲーション装置を提供することができる。
【0070】
上記実施の形態で説明した構成は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を制限するものではない。本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、地図データと車両の前方を撮影したカメラ映像を利用して経路案内を行うナビゲーション装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図
【図2】地図データに記憶されているノードデータ、リンクデータ及びランドマークデータを示す図
【図3】制御部の構成を示すブロック図
【図4】案内オブジェクト重畳処理を示すフローチャート
【図5】3次元地図空間におけるカメラ視野空間の設定方法を示した図
【図6】道路検出処理によって検出される道路を示す図
【図7】3次元地図空間における案内矢印の配置位置を示す図
【図8】実写案内における案内表示を示す図
【図9】案内対象物の数に関する情報を元に、案内情報作成部により作成される案内対象物情報の一例を示す図
【図10】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の処理を示すフローチャート
【図11】対象物が案内範囲に存在しない場合の、対象物特定部の処理を説明する図
【符号の説明】
【0073】
101 測位部
102 地図データ記憶部
103 カメラ
104 入力部
105 表示部
106 制御部
301 経路探索部
302 映像重畳部
303 対象物特定部
304 状態管理部
305 対象物検出部
306 案内情報作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラにより撮影された映像を用いて経路案内を行うナビゲーション装置であって、
出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索部と、
前記経路探索部で探索された経路上に所定の案内地点を設定する設定部と、
前記設定部で設定された案内地点に至るまでの所定距離の範囲である案内範囲内においてユーザに対して提供すべき案内情報を作成する案内情報作成部と、
前記案内範囲内の案内対象物を特定する対象物特定部と、
前記カメラにより撮影された映像から案内対象物を検出する対象物検出部と、
前記対象物検出部の検出結果に基づき、前記案内範囲における車両と前記案内地点との間に存在する案内対象物の数を管理する状態管理部と、
前記状態管理部で管理される数に基づいて、前記案内情報に付加する案内対象物情報を作成する案内対象物情報作成部とを備える、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記対象物特定部は、案内範囲内の案内地点近傍に存在する案内対象物のうち、所定の数以上存在する案内対象物を優先的に特定することを特徴とする、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記対象物特定部は、案内範囲内に存在する案内対象物のうち、案内地点から最も遠くに存在する案内対象物を特定することを特徴とする、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記対象物特定部は、案内範囲内に案内対象物が存在しない場合、案内範囲外であって案内範囲の最も近くに存在する案内対象物を特定することを特徴とする、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記案内対象物情報作成部は、前記カメラにより撮影された前記案内対象物の情報に、前記状態管理部で管理される数の情報を付加した案内対象物情報を作成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
案内開始地点を修正する案内開始地点修正部を更に備え、
前記状態管理部は、案内地点に至るまでの管理する案内対象物の数に所定の上限値を設け、
前記案内開始地点修正部は、前記所定の上限値と一致する数の前記案内対象物が存在する地点を案内開始地点とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−263849(P2007−263849A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91309(P2006−91309)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】