説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザが設定した目的地に確実に到達することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ユーザは、地図20の地点21に目的地を設定するために、地図20をスクロールしてカーソルを地点21に合わせる。入力装置を操作して目的地を設定すると、地点21の周辺の周知施設である○○市役所が検索される。地点21には、目的地マーク31が表示され、○○市役所の位置には、仮の目的地マーク32が表示される。そして、○○市役所に至る推奨経路33が探索され、表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本来の目的地に至る経路が細街路の場合、細街路に接続している、経路探索可能な道路上に仮の目的地として設定し、仮の目的地を経路探索の目的地として推奨経路を探索するナビゲーション装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−97715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来のナビゲーション装置では、本来の目的地が個人宅など目立たない施設の場合、本来の目的地になかなか到着できない場合がある。また、仮の目的地も、細街路に接続している、経路探索可能な道路上の位置に設定されるだけなので、本来の目的地の目印とはならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のナビゲーション装置は、周知施設に関する情報を記憶する施設データ記憶手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、周知施設に関する情報より目的地の周囲の周知施設を検索する施設検索手段と、検索した周知施設に至る推奨経路を探索する探索手段と、推奨経路にしたがって周知施設へ経路誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明のナビゲーション装置は、周知施設に関する情報を記憶する施設データ記憶手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、周知施設に関する情報より目的地の周囲の複数の周知施設を検索する施設検索手段と、検索した複数の周知施設に囲まれる範囲の所定位置に至る推奨経路を探索する探索手段と、推奨経路にしたがって周知施設へ経路誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、探索手段は、周知施設または車両の現在地を出発地とし、目的地に至る推奨経路を探索し、経路誘導手段は、車両が周知施設に到達または接近すると、目的地に至る推奨経路にしたがって、目的地へ経路誘導することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、目的地の周囲の周知施設へ向かう推奨経路を探索し、周知施設に向けて経路誘導を行う。したがって、周知施設を目印にして目的地に確実に到達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置1を示す。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18およびディスクドライブ19を有している。ディスクドライブ19には、地図データが記憶されたDVD−ROM110が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11は、DVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行う。そして、その処理結果を推奨経路として表示モニタ16に表示する。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは車両の進行方向を検出し、車速センサ14bは車速を検出し、GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定するとともに、地図上にその現在地を自車位置マークとして表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなり、それらはDVD−ROM110に記憶された地図データに基づいて、制御回路11において適宜生成される。
【0010】
ディスクドライブ19は、DVD−ROM110から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM110以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより地図データを読み出してもよい。地図データには、さらに地図に表示される周知施設のデータ(周知施設データ)が含まれている。ここで、周知施設とは、一般に知られている施設であり、目的地の目印となる施設である。たとえば、公共の施設のように案内看板が表示されている施設や、ガソリンスタンドなどのように目立つ施設を言う。周知施設データには、周知施設の位置、名称、種別、そのほか住所や営業時間などの詳細情報が含まれる。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18を操作することにより、目的地を設定する。
【0012】
ユーザが入力した目的地が、経路探索データを有する地点の場合、入力した目的地を経路探索終了点として設定する。一方、入力された目的地が、細街路などの経路探索データを持たない地点の場合、目的地周辺の周知施設を検索し、最も近い周知施設を経路探索終了点として設定する。そして、現在地検出装置14により検出された現在地を出発地として設定された探索終了点までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示を行い、車両を経路誘導する。
【0013】
次に、本発明の一実施形態における推奨経路の経路探索をについて、図2〜図4を参照して説明する。ユーザは地図20の地点21を目的地として設定しようとしており、地点21は細街路であり、その近傍に周知施設である○○市役所22があるものとして説明する。
【0014】
図2に示すように、ユーザは、地図20の地点21に目的地を設定するために、地図20をスクロールしてカーソル23を地点21に合わせる。そして、入力装置18を操作して目的地を設定すると、図3に示すように、地点21に目的地マーク31が表示され、○○市役所22の位置に仮の目的地マーク32が表示される。そして、○○市役所22に至る推奨経路33が探索され、表示される。
【0015】
経路誘導が開始されると、図4に示す表示画面が表示モニタ16に表示される。表示画面には、自車位置周辺の地図40と自車位置マーク41が表示される。そして、○○市役所22に至る推奨経路33とともに○○市役所22が目的地の目印であることを示す目印表示欄42が表示される。
【0016】
○○市役所22は周知施設であるので、ユーザは運転中、○○市役所22を案内する看板を見る。したがって、ユーザはナビゲーション装置1による経路誘導のほかに案内看板などによる○○市役所22への案内を受け、確実に○○市役所22に向かうことができる。そして、ユーザは○○市役所22に到達または接近した後、○○市役所22を目印にして本来の目的地である地点21に確実に到達することができる。つまり、ユーザは、○○市役所22の手前の交差点24で左折し、その後、十字路25を左折すれば地点21に到達できることを容易に把握できる。
【0017】
次に、本発明の実施形態の推奨経路の経路探索処理について図5のフローチャートを参照して説明する。図5の処理は、ユーザが入力装置18を操作して目的地を入力するとスタートするプログラムにより、制御回路11において実行される。
【0018】
ステップS501では、入力された目的地が探索データのある地点か否かを判定する。探索データのある地点であると判定されると、ステップS502に進み、入力された地点を真の目的地に設定し、その地点に真の目的地マークを表示する。探索データのない地点であると判定されると、ステップS501が否定されてステップS503へ進む。ステップS503では、DVD−ROM110に記憶された周知施設データより、入力された目的地周辺の周知施設を検索する。ステップS504では、検索した周知施設の中から目的地に最も近い周知施設を抽出する。ステップS505では、目的地に目的地マークを、抽出した周知施設の位置に仮の目的地マークを表示する。ステップS506では、真の目的地、または仮の目的地を探索終了点として設定し、探索終了点に至る推奨経路を経路探索する。ステップS507では、推奨経路を地図に重ねて表示する。
【0019】
以上の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
入力された目的地が細街路にあり、その地点まで経路誘導できない場合、入力された真の目的地21の周囲の周知施設22を探索終了点(仮の目的地)として経路探索を行い、仮の目的地への経路誘導を行う。したがって、周知施設22を目印にして本来の目的地21に確実に到達することができる。
【0020】
以上の実施の形態のナビゲーション装置1を次のように変形することができる。
(1)真の目的地の目印とする仮の目的地、すなわち周知施設は1つに限定されず、複数でもよい。たとえば、図6に示すように、目的地21周辺の周知施設の中から最も近い3つの周知施設22,61,62を抽出するようにしてもよい。この場合、3つの周知施設22,61,62の位置に囲まれる範囲の所定位置、たとえば重心の位置に仮の目的地63が設定され、仮の目的地63に至る推奨経路64が探索される。ユーザは運転中、3つの周知施設22,61,62のうちのいずれかを案内する看板を見ることになる。したがって、上記実施の形態より周知施設22,61,62の案内看板を見る機会が多くなり、本来の目的地である地点21に確実に到達することができる。
【0021】
(2)以上では、入力した目的地が細街路上にある場合について説明した。しかし、経路探索データを有する道路上に目的地が入力された場合でも、入力された真の目的地に代えて、周囲の周知施設を仮の目的地として経路探索してもよい。この場合、出発地から周知施設を仮目的地として経路探索するモードと、出発地から真の目的地までを経路探索するモードを切換えるように構成すればよい。
【0022】
(3)さらに確実に目的地21に到達できるようにするため、ユーザが周知施設22に到達または接近した後、本来の目的地21までの経路誘導を開始するようにしてもよい。この場合、周知施設22または車両の現在地を出発地とし、本来の目的地21を目的地として推奨経路が探索され、経路誘導が行われる。探索データを持たない細街路上の地点が入力された場合、探索に使用する道路データは経路探索用データではなく地図表示用データである。
【0023】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0024】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の施設データ記憶手段はDVD−ROM110に対応し、目的地設定手段は制御回路11および入力装置18に対応する。施設探索手段は制御回路11、ディスクドライブ19およびDVD−ROM110に対応し、経路誘導手段は制御回路11、表示モニタ16およびスピーカ17に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地図に目的地を設定する操作を説明するための図である。
【図3】探索された推奨経路と、推奨経路の目的地を説明するための図である。
【図4】経路誘導を受けているときの表示モニタの表示画面を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態の推奨経路の経路探索処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】目的地の目印として3つの周知施設を抽出した場合の推奨経路および推奨経路の目的地を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
16 表示モニタ
18 入力装置
22 目的地
22,61,62 周知施設
23 カーソル
31 目的地マーク
32,63 仮の目的地マーク
33,64 推奨経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周知施設に関する情報を記憶する施設データ記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記周知施設に関する情報より前記目的地の周囲の周知施設を検索する施設検索手段と、
前記検索した周知施設に至る推奨経路を探索する探索手段と、
前記推奨経路にしたがって前記周知施設へ経路誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
周知施設に関する情報を記憶する施設データ記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記周知施設に関する情報より前記目的地の周囲の複数の周知施設を検索する施設検索手段と、
前記検索した複数の周知施設に囲まれる範囲の所定位置に至る推奨経路を探索する探索手段と、
前記推奨経路にしたがって前記周知施設へ経路誘導する経路誘導手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記探索手段は、前記周知施設または車両の現在地を出発地とし、前記目的地に至る推奨経路を探索し、
前記経路誘導手段は、前記車両が前記周知施設に到達または接近すると、前記目的地に至る推奨経路にしたがって、前記目的地へ経路誘導することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−128930(P2008−128930A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316623(P2006−316623)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】